説明

新規オレフィン誘導体

【課題】医薬として有用な新規オレフィン誘導体を創製すること、また、その誘導体の新たな薬理作用を見出すこと。
【解決手段】式[I]の化合物は、Rhoキナーゼが関与する疾患の治療剤として有用であり、特に緑内障等の眼疾患治療剤に有用である。Xはベンゼン環、シクロアルカン環または芳香族複素環;Yはピリジン環または1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン環;R1とR2は水素原子またはアルキル基;R3とR4はハロゲン原子、H、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルキルアミノ基またはアリールアミノ基;R5およびR6は、ハロゲン原子、H、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基、アリール基、カルボキシ基、そのエステル若しくはそのアミド、ニトロ基またはシアノ基を示す。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬として有用な新規オレフィン誘導体またはその塩に関する。本発明に係るオレフィン誘導体は、Rhoキナーゼ阻害作用を有し、Rhoキナーゼが関与する疾患、例えば、緑内障等の眼疾患治療剤として有用である。
【背景技術】
【0002】
低分子量GTP結合タンパク質であるRhoは種々の細胞膜受容体からのシグナルにより活性化される。活性化されたRhoは、Rhoキナーゼ情報伝達系およびアクトミオシン情報伝達系を介して、平滑筋収縮、細胞の形態変化、細胞運動、細胞分裂、細胞間接着、血小板凝集、白血球凝集、癌細胞の浸潤・亢進等、種々の細胞現象の分子スイッチとして機能する。
【0003】
また、これらの細胞現象が、高血圧症、狭心症、喘息、抹消循環障害、早産、動脈硬化症、癌、炎症性疾患、自己免疫疾患、AIDS、受精および受精卵の着床、骨粗鬆症、脳機能障害、細菌の消化管障害、緑内障、網膜症等の疾患に深く関与していることが知られている。
【0004】
したがって、Rhoを阻害することで、前記のRhoが関与する疾患の予防および/または治療が可能になると考えられている。
【0005】
一方、Rhoを介する情報伝達系の下流に存在するRhoキナーゼを阻害することによっても、Rhoによる種々の細胞現象を抑制できることが知られている。
【0006】
すなわち、Rhoキナーゼを阻害する化合物は、前記のRhoが関与する疾患、例えば、高血圧症、狭心症、喘息、抹消循環障害、早産、動脈硬化症、癌、炎症性疾患、自己免疫疾患、AIDS、受精および受精卵の着床、骨粗鬆症、脳機能障害、細菌の消化管障害、緑内障、網膜症等の有効な予防および/または治療剤となると考えられている(特許文献1)。
【0007】
Rhoキナーゼ阻害剤は、一般的にRhoの活性化に伴い活性化されるセリン/スレオニンキナーゼの阻害剤として定義されている。そのRhoキナーゼ阻害剤には、ROCKα(ROCK−II)、p160ROCK(ROKβ、ROCK−I)、その他のセリン/スレオニン活性を有するタンパク質を阻害する化合物が含まれる。
【0008】
公知のRhoキナーゼ阻害剤としては、特許文献1に開示されているアミド誘導体、特許文献2、非特許文献1および特許文献3に開示されているイソキノリンスルホニル誘導体、特許文献4に開示されているヘテロサイクルアミノ誘導体、特許文献5に開示されているインダゾール誘導体、特許文献6および特許文献7に開示されているキナゾリン誘導体等が挙げられる。
【0009】
また、Rhoキナーゼ阻害剤が緑内障の治療剤として有用であることが特許文献8および特許文献9に開示されている。
【0010】
しかしながら、上記いずれの文献にも本発明に係る化合物についての具体的な開示はない。
【特許文献1】国際公開WO98/06433号パンフレット
【特許文献2】国際公開WO97/23222号パンフレット
【非特許文献1】Nature,389,990−994(1997)
【特許文献3】国際公開WO99/64011号パンフレット
【特許文献4】国際公開WO01/56988号パンフレット
【特許文献5】国際公開WO02/100833号パンフレット
【特許文献6】国際公開WO02/076976号パンフレット
【特許文献7】国際公開WO02/076977号パンフレット
【特許文献8】国際公開WO00/09162号パンフレット
【特許文献9】国際公開WO00/57914号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
医薬として有用な新規オレフィン誘導体を創製すること、また、その誘導体の新たな薬理作用を見出すことは非常に興味のある課題である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、上記の課題を解決するために新規オレフィン誘導体の合成研究を行い、数多くの新規化合物を創製することに成功した。
【0013】
また、本発明に係るオレフィン誘導体(以下、特記なき限り、これを「本オレフィン誘導体」とする)の医薬としての有用性を種々検討したところ、本オレフィン誘導体はRhoキナーゼ阻害作用を有し、Rhoキナーゼが関与する疾患の治療剤として有用であることを見出した。
【0014】
さらに、本オレフィン誘導体のRhoキナーゼが関与する具体的な疾患への適用を検証するために、本オレフィン誘導体の眼圧下降作用についても検討した。その結果、本オレフィン誘導体は優れた眼圧下降作用を有しており、緑内障等の眼疾患治療剤としても有用であることを併せて見出し、本発明を完成させた。
【0015】
すなわち、本発明は、下記一般式[I]で表される化合物またはその塩(以下、特記なき限り、これを「本発明化合物」とする)および本発明化合物を含有する医薬に関し、より詳しくは、本発明化合物を有効成分とするRhoキナーゼ阻害剤に関するものであり、例えば、緑内障等の眼疾患治療剤に関するものである。
【0016】
本発明化合物は、以下1〜3)に示す化学構造的特徴を有する:
1)エチレン基を主骨格とする。
【0017】
2)環Xとピリジン環がエチレン基に直接結合している。
【0018】
3)環Xがアミノ基で置換されたアルキル基を有する。
【0019】
また、それら1〜3)の各構造的特徴および/またはそれらの組み合わせが、本発明化合物のRhoキナーゼ阻害作用の発現に非常に重要である。
【化1】

[式中、環Xはベンゼン環、シクロアルカン環または1若しくは複数の窒素原子を環内に有する芳香族複素環を示し;
環Yはピリジン環または1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン環を示し;
1とR2は同一または異なって、水素原子またはアルキル基を示し;
3とR4は同一または異なって、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルキルアミノ基またはアリールアミノ基を示し;
3とR5は結合して、シクロアルケン環を形成してもよく;
5およびR6は同一または異なって、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基、アリール基、カルボキシ基、そのエステル若しくはそのアミド、ニトロ基またはシアノ基を示し;
上記で規定した各アルキル基がヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシイミノ基およびアルコキシイミノ基からなる群より選択される1または複数の基で置換されていてもよい。以下、同じ。]
【発明の効果】
【0020】
本発明は、医薬として有用な新規オレフィン誘導体またはその塩を提供する。特に本発明に係るオレフィン誘導体は、優れたRhoキナーゼ阻害作用を有し、Rhoキナーゼが関与する疾患、例えば、緑内障等の眼疾患治療剤として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
前記で規定した各基について以下に詳しく説明する。
【0022】
ハロゲン原子とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を示す。
【0023】
アルキル基とは、炭素原子数1〜6個の直鎖または分枝のアルキルを示す。具体例として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル等が挙げられる。
【0024】
アルコキシ基とは、炭素原子数1〜6個の直鎖または分枝のアルコキシを示す。具体例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、イソペントキシ、n−ヘキシルオキシ等が挙げられる。
【0025】
アリール基とは、炭素数が6〜14個の単環式または縮合多環式芳香族炭化水素を示す。具体例として、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル等が挙げられる。
【0026】
シクロアルカン環とは、炭素数が3〜8個のシクロアルカンを示す。具体例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロペプタン、シクロオクタン等が挙げられる。
【0027】
シクロアルケン環とは、炭素数が3〜8個のシクロアルケンを示す。具体例として、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等が挙げられる。
【0028】
1若しくは複数の窒素原子を環内に有する芳香族複素環とは、1または2個の窒素原子を環内に含む単環式の芳香族複素環を示す。具体例として、ピリジン、ピリミジン、ピロール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール等の1または2個の窒素原子を環内に有する単環式芳香族複素環が挙げられる。
【0029】
カルボキシ基のエステルとは、アルキルアルコール、アリールアルコール等とのエステルを示す。アルキルアルコールの具体例として、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられ、アリールアルコールの具体例として、フェノール、ナフトール等が挙げられる。
【0030】
カルボキシ基のアミドとは、アンモニアまたは1級若しくは2級のアミン等とのアミドを示す。アミンはアルキルアミンまたはアリールアミンであってよく、アルキルアミンの具体例として、メチルアミン、エチルアミン、エチルメチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン等が挙げられ、アリールアミンの具体例として、アニリン、メチルフェニルアミン、エチルフェニルアミン、ジフェニルアミン等を挙げられる。
【0031】
本発明化合物が、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基またはアリールアミノ基を置換基として有する場合、それらの基は保護基で保護されていてもよい。
【0032】
ヒドロキシ基の保護基とは、ベンジルオキシメチル基、アリル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、トリチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等の置換または無置換アルキル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ビニルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル等のエステル;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基等の置換または無置換シリル基等のヒドロキシ基の保護基として汎用されるものを示す。
【0033】
アミノ基、アルキルアミノ基またはアリールアミノ基の保護基とは、アリル基、ベンジル基、トリチル基、(4−メトキシフェニル)ジフェニルメチル基、ジフェニルメチル基等の置換または無置換のアルキル基;ホルミル基、アセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、ピコリノイル基、ベンゾイル基等のアシル基;メトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、ジフェニルメトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のエステル基;メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホニル基等の置換または無置換のスルホニル基等のアミノ基、アルキルアミノ基またはアリールアミノ基の保護基として汎用されるものを示す。
【0034】
また、一般式Iで表される本発明化合物のY環が、1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン環である場合、その1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン環の窒素原子は保護基で保護されていてもよい。
【0035】
1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン環の窒素原子の保護基としては、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基、アリル基、ベンジル基、トリチル基、(4−メトキシフェニル)ジフェニルメチル基、ジフェニルメチル基等の置換または無置換のアルキル基;ホルミル基、アセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、ピコリノイル基、ベンゾイル基等のアシル基;メトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、ジフェニルメトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のエステル基;メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホニル基等の置換または無置換のスルホニル基等のピロール環の窒素原子の保護基として汎用されるものを示す。
【0036】
本発明化合物における『塩』とは、医薬として許容される塩であれば、特に制限はなく、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸との塩、酢酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、アジピン酸、乳酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸との塩、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩、アンモニア、ヨウ化メチル等との四級塩等が挙げられる。
【0037】
本発明化合物に幾何異性体、例えばシン−アンチ(syn-anti)異性体、または光学異性体が存在する場合は、それらの異性体も本発明の範囲に含まれる。
【0038】
本発明化合物における好ましい例としては、一般式[I]で規定された各基が以下の基から選択され、またはそれらの組み合わせからなる化合物またはその塩が挙げられる:
環X:ベンゼン環、シクロアルカン環または1若しくは複数の窒素原子を環内に有する芳香族複素環を示し;
環Y:ピリジン環または1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン環を示し;
1とR2:同一または異なって、水素原子またはアルキル基を示し;
3:ハロゲン原子、水素原子またはアルキル基を示し;
3とR5:結合して、シクロアルケン環を形成してもよく;
4:水素原子またはアミノ基を示し;
5:水素原子またはアルキル基を示し;
6:水素原子、アルキル基、カルボキシ基、そのエステルまたはシアノ基を示し;
6で規定したアルキル基:ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはヒドロキシイミノ基から選択される1または複数の基で置換されていてもよい。
【0039】
より好ましい例としては、一般式[I]で規定された各基が以下の基から選択され、またはそれらの組み合わせからなる化合物またはその塩が挙げられる:
環X:ベンゼン環、シクロヘキサン環またはピリジン環を示し;
環Y:ピリジン環または1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン環を示し;
1とR2:同一または異なって、水素原子またはアルキル基を示し;
3:塩素原子、水素原子またはメチル基を示し;
3とR5:結合してシクロヘキセン環を形成してもよく;
4:水素原子またはアミノ基を示し;
5:水素原子またはメチル基を示し;
6:水素原子、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、フェノキシメチル基、ヒドロキシイミノメチル基、カルボキシ基、メトキシカルボニル基またはシアノ基を示す。
【0040】
本発明化合物における別の好ましい例としては、一般式[I]で規定された各基が以下の基から選択され、またはそれらの組み合わせからなる化合物またはその塩が挙げられる:
環X:ベンゼン環を示し;
環Y:ピリジン環または1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン環を示し;
1とR2:水素原子またはアルキル基を示し;
3:水素原子を示し;
4:水素原子またはアミノ基を示し;
5:水素原子またはアルキル基を示し;
6:水素原子、アルキル基、カルボキシ基、そのエステルまたはシアノ基を示し;
6で規定したアルキル基:ヒドロキシ基またはヒドロキシイミノ基から選択される1または複数の基で置換されていてもよい。
【0041】
別のより好ましい例としては、一般式[I]で規定された各基が以下の基から選択され、またはそれらの組み合わせからなる化合物またはその塩が挙げられる:
環X:ベンゼン環を示し;
環Y:ピリジン環または1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン環を示し;
1とR2:水素原子またはアルキル基を示し;
3:水素原子を示し;
4:水素原子またはアミノ基を示し;
5:水素原子またはメチル基を示し;
6:水素原子、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシイミノメチル基、カルボキシ基、メトキシカルボニル基またはシアノ基を示す。
【0042】
本発明化合物は前述したとおり、以下1〜3)に示す化学構造的特徴を有し、また、それら1〜3)の各構造的特徴および/またはそれらの組み合わせが、本発明化合物のRhoキナーゼ阻害作用の発現に非常に重要である。
【0043】
1)エチレン基を主骨格とする。
【0044】
2)環Xとピリジン環がエチレン基に直接結合している。
【0045】
3)環Xがアミノ基で置換されたアルキル基を有する。
【0046】
特に、環Xと環Yの位置関係がエチレン基に対して、トランス位に直接結合している本発明化合物が、優れたRhoキナーゼ阻害作用を示し、この位置に環Xと環Yが置換された本発明化合物がより好ましい。
【0047】
本発明化合物における特に好ましい具体例として、以下に示す化合物またはその塩が挙げられる。
【0048】
・E−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−2−(4−ピリジル)エチレン
【化2】

・E−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−メチル−2−(4−ピリジル)エチレン
【化3】

・ Z−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−メチル−2−(4−ピリジル)エチレン
【化4】

・E−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−2−(2−アミノピリジン−4−イル)−1−メチルエチレン
【化5】

・ E−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−2−メチル−2−(4−ピリジル)エチレン
【化6】

・ Z−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−ヒドロキシメチル−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン
【化7】

・Z−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−(ヒドロキシイミノメチル)−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン
【化8】

・Z−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−シアノ−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン
【化9】

・Z−1−[4−(アミノメチル)フェニル]−1−ヒドロキシメチル−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン
【化10】

・Z−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−メトキシカルボニル−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン
【化11】

・Z−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−カルボキシ−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン
【化12】

本発明化合物の代表的な製造方法を以下に記す。尚、本発明化合物の個々の具体的な製造方法については、後述の実施例[製造例の項]で詳細に説明する。
【化13】

合成経路1:化合物Aと化合物Bとを有機溶媒中で、塩基存在下、Horner−Emmoms型の反応をさせることにより本発明化合物を得ることができる。
【0049】
合成経路2:化合物Aと化合物Cとを有機溶媒中、塩基存在下、求核反応させることにより化合物Dを得る。この化合物Dを有機溶媒中、塩基存在下、脱離基を導入した後、さらなる塩基を加え、脱離反応させることにより本発明化合物を得ることもできる。
【0050】
合成経路3:化合物Eと化合物Fとを有機溶媒中、金属触媒および塩基存在下、カップリング反応させることにより本発明化合物を得ることもできる。
【0051】
上記の製造方法において、製造の便宜上、保護基を使用した場合には、その保護基を汎用される方法にて除去することができる。
【0052】
本発明化合物の環X、ピリジン環およびオレフィンの置換基は、当初から所望の置換基を導入しておいてもよく、また、上記の方法により基本骨格を製造した後に、酸化、還元、アルキル化、アミド化、オキシム化、脱水反応、脱保護反応および/またはそれらの反応を組み合わせた汎用される合成方法を使用して、基本骨格に所望の置換基を導入してもよい。
【0053】
本発明化合物の合成中間体の製造方法については、後述の実施例[製造例の項]で詳述する。
【0054】
本発明化合物の有用性を見出すため、本発明化合物のRhoキナーゼ阻害活性について評価検討した。その詳細は後述の実施例[薬理試験の項(Rhoキナーゼ阻害活性評価試験)]で説明するが、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー,274巻,32418頁,1999年発行[J.Biol.Chem.,274,32418(1999)]に記載の貝淵等の方法および市販の活性型ROCKII[アップステイツ バイオテクノロジー,カタログ 番号14−338,(5Unit/50μl)[upstate biotechnology,Catalog No.14-338,(5Unit/50μl)]]付属の説明書記載の方法に準じて、本発明化合物のRhoキナーゼ阻害活性を評価検討した。その結果、本発明化合物は優れたRhoキナーゼ阻害作用を有しており、Rhoキナーゼが関与する疾患の治療剤として非常に有用であることを見出した。
【0055】
さらに本発明化合物のRhoキナーゼが関与する具体的な疾患への適用を検証するために、本発明化合物の眼圧下降作用についても検討した。その詳細は後述の実施例[薬理試験の項(眼圧下降作用測定試験)]で説明するが、カニクイザル(性別:雄性、一群6匹)に本発明化合物を点眼投与したところ、本発明化合物は優れた眼圧下降作用を有しており、緑内障等の眼疾患の治療剤としても有用であることも併せて見出した。
【0056】
前述したようにRhoキナーゼは、高血圧症、狭心症、喘息、抹消循環障害、早産、動脈硬化症、癌、炎症性疾患、自己免疫疾患、AIDS、受精および受精卵の着床、骨粗鬆症、脳機能障害、細菌の消化管障害、緑内障、網膜症等の疾患と深く関係していることが知られている。したがって、本発明化合物はRhoキナーゼの関与するそれら疾患の治療剤として非常に期待されるものである。
【0057】
また、本発明におけるRhoキナーゼ阻害剤とはRhoの活性化に伴い活性化されるセリン/スレオニンキナーゼを阻害する化合物を意味する。
【0058】
さらに本発明における緑内障としては、原発性開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、房水産生過多緑内障、高眼圧症、急性閉塞隅角緑内障、慢性閉塞隅角緑内障、混合型緑内障、ステロイド緑内障、アミロイド緑内障、血管新生緑内障、悪性緑内障、水晶体の嚢性緑内障、台地状虹彩シンドローム(plateau iris syndrom)等が例示される。
【0059】
本発明化合物は経口でも、非経口でも投与することができる。投与剤型として、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、注射剤、点眼剤等が挙げられ、それらは汎用される技術を組合わせて使用することで製剤化することができる。
【0060】
例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等の経口剤は、例えば、乳糖、マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム等の賦形剤、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の結合剤、カルボキシメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルメチルセルロース、クエン酸カルシウム等の崩壊剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール、シリコーン樹脂等のコーティング剤、パラオキシ安息香酸エチル、ベンジルアルコール等の安定化剤、甘味料、酸味料、香料等の矯味矯臭剤等を必要に応じて本発明化合物に組合わせて調製することができる。
【0061】
また、注射剤、点眼剤等の非経口剤は、グリセリン、プロピレングリコール、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ソルビトール、マンニトール等の等張化剤、リン酸、リン酸塩、クエン酸、酢酸、ε-アミノカプロン酸、トロメタモール等の緩衝剤、塩酸、クエン酸、リン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のpH調節剤、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、マクロゴール4000、精製大豆レシチン、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール等の可溶化または分散剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の増粘剤、エデト酸、エデト酸ナトリウム等の安定化剤、汎用のソルビン酸、ソルビン酸カリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、クロロブタノール等の保存または防腐剤、クロロブタノール、ベンジルアルコール、リドカイン等の無痛化剤を必要に応じて本発明名化合物に組合わせて調製することができる。
【0062】
尚、注射剤または点眼剤の場合、pHは4.0〜8.0に設定することが望ましく、また、浸透圧比は1.0付近に設定することが望ましい。
【0063】
本発明化合物の投与量は、症状、年齢、剤型等により適宜選択して使用することができる。例えば、経口剤であれば通常1日当たり0.01〜1000mg、好ましくは1〜100mgを1回または数回に分けて投与することができる。
【0064】
また、点眼剤であれば通常0.0001%〜10%(w/v)、好ましくは0.01%〜5%(w/v)の濃度のものを1回または数回に分けて投与することができる。
【0065】
以下に本発明化合物(実施例1〜13)および合成中間体(参考例1〜9)の製造例、製剤例ならびに薬理試験の結果を示す。尚、これらの例示は本発明をよりよく理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。なお、実施例の物性におけるRf値は、薄層クロマトグラフィー(メルク社製、TLCプレートシリカゲル60F254(商品名))を用いて測定した値である。
【0066】
[製造例]
(参考例1)
1−ブロモ−4−(1−シアノ−1−メチルエチル)ベンゼン(参考化合物1−1)の合成
【化14】

1−ブロモ−4−シアノメチルベンゼン100g(510mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド1500ml溶液に、アルゴン気流下撹拌しながら水素化ナトリウム(鉱物油60%分散物)45g(1100mmol)を0℃で分割添加した。次いでヨウ化メチル95ml(1500mmol)を撹拌下0℃で滴下し、10℃で1時間撹拌した。
【0067】
反応終了後、反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液900gにゆっくり注加し、水500mlを加えた後、酢酸エチル2000mlで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮することにより標記の化合物110gを茶褐色油状物として得た。(収率96%)
Rf値:0.78(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0068】
マススペクトル(CI,m/z):224,226(M+1)。
【0069】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.71(s,6H),7.32-7.38(m,2H),7.49-7.54(m,2H)。
【0070】
以下、参考化合物1−1の製造方法に準じて、参考化合物1−2を製造した。
【0071】
4−(1−シアノ−1−メチルエチル)−1−ヨードベンゼン(参考化合物1−2)
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.70(s,6H),7.20-7.24(m,2H), 7.70-7.74(m,2H)。
【0072】
(参考例2)
4−(1−アミノカルボニル−1−メチルエチル)−1−ブロモベンゼン(参考化合物2−1)の合成
【化15】

1−ブロモ−4−(1−シアノ−1−メチルエチル)ベンゼン(参考化合物1−1)100g(450mmol)のトルエン1000ml溶液に、アルゴン気流下撹拌しながらカリウムトリメチルシラノレート(純分90%)250g(1800mmol)を室温で添加し、加熱還流条件で4.5時間撹拌した。
【0073】
反応終了後、室温まで冷却し水500mlを滴下した。次いで室温で25分間撹拌後、生成した固体を濾取し、水400mlで洗浄、乾燥することにより標記の化合物99gを白色粉末として得た。(収率92%)
融点:139-141℃。
【0074】
Rf値:0.23(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0075】
マススペクトル(CI,m/z):242,244(M+1)。
【0076】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.56(s,6H),5.18(brs,1H),5.52(brs,1H),7.25-7.30(m,2H),7.46-7.51(m,2H)。
【0077】
以下、参考化合物2−1の製造方法に準じて、参考化合物2−2〜3を製造した。
【0078】
4−(1−アミノカルボニル−1−メチルエチル)−1−ヨードベンゼン(参考化合物2−2)
Rf値:0.25(n-ヘキサン:酢酸エチル=4:1(V/V))
マススペクトル(CI,m/z):290(M+1)。
【0079】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.56(s,6H),5.00-5.50(m,2H),
7.13-7.17(m,2H),7.66-7.71(m,2H)。
【0080】
4−アミノカルボニルメチル−1−ヨードベンゼン(参考化合物2−3)
Rf値:0.30(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0081】
マススペクトル(CI,m/z):262(M+1)。
【0082】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):3.53(s,2H),5.36(brs,2H),7.04(d,J=8.4Hz,2H),7.69(d,J=8.4Hz,2H)。
【0083】
(参考例3)
1−ブロモ−4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)ベンゼン(参考化合物3−1)の合成
【化16】

4−(1−アミノカルボニル−1−メチルエチル)−1−ブロモベンゼン(参考化合物2−1)99g(410mmol)のtert−ブタノール1000ml溶液に、アルゴン気流下撹拌しながら[ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼン260g(600mmol)を室温で添加し、加熱還流条件で30分間撹拌した。次いでピリジン100ml(1200mmol)を添加し、加熱還流条件で1時間撹拌した。
【0084】
反応終了後、反応溶液を減圧濃縮して、得られた残渣に10重量%クエン酸水溶液500gを加え、トルエン2000mlで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣にn−ヘキサン200mlを加えて生成した固体を濾取し、冷n−ヘキサン400mlで洗浄、乾燥することにより標記の化合物77gを薄茶色粉末として得た。(収率60%)
融点:92-93℃。
【0085】
Rf値:0.56(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1(V/V))。
【0086】
マススペクトル(CI,m/z):314,316(M+1)。
【0087】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.36(brs,9H),1.59(s,6H),4.90(brs,1H),7.24-7.29(m,2H),7.39-7.45(m,2H)。
【0088】
以下、参考化合物3−1の製造方法に準じて、参考化合物3−2〜3を製造した。
【0089】
4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)−1−ヨードベンゼン(参考化合物3−2)
Rf値:0.50(n-ヘキサン:酢酸エチル=4:1(V/V))
マススペクトル(EI,m/z):361(M)。
【0090】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.37(brs,9H),1.58(s,6H),
4.90(brs,1H),7.12-7.16(m,2H),7.60-7.65(m,2H)。
【0091】
4−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)−1−ヨードベンゼン(参考化合物3−3)
Rf値:0.40(n-ヘキサン:酢酸エチル=4:1(V/V))
マススペクトル(EI,m/z):334(M)。
【0092】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.45(s,9H),4.23-4.26(m,2H),4.78-4.93(m,1H),7.03(d,J=8.4Hz,2H),7.65(d,J=8.4Hz,2H)。
【0093】
(参考例4)
1−アセチル−4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)ベンゼン(参考化合物4−1)の合成
【化17】

1−ブロモ−4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)ベンゼン(参考化合物3−1)9.4g(30mmol)のジエチルエーテル200ml溶液をアルゴン雰囲気下−78℃で撹拌しながら、0.98M sec−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液67ml(66mmol)を添加した。添加後30分間−78℃で撹拌し、次いで無水酢酸13ml(150mmol)を添加して40分間撹拌した。冷却浴をはずして室温まで徐々に昇温させた。
【0094】
反応終了後、反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液300mlを添加し、酢酸エチル300mlで抽出した。有機層を水、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1(V/V))に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮して標記の化合物2.9gを白色粉末として得た。(収率35%)
Rf値:0.50(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0095】
マススペクトル(CI,m/z):278(M+1)。
【0096】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.37(brs,9H),1.63(s,6H),2.59(s,3H),4.96(brs,1H),7.46-7.51(m,2H),7.89-7.94(m,2H)。
【0097】
以下、参考化合物4−1の製造方法に準じて、参考化合物4−2を製造した。
【0098】
1−プロピオニル−4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)ベンゼン(参考化合物4−2)
Rf値:0.55 (n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1(V/V))。
【0099】
マススペクトル(CI,m/z):292(M+1)。
【0100】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.22(t,J=7.3Hz,3H),1.38(brs,9H),1.62(s,6H),2.99(q,J=7.3Hz,2H),4.97(brs,1H),7.45-7.50(m,2H),7.90-7.94(m,2H)。
【0101】
(参考例5)
4−ヨード−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(参考化合物5−1)および1−アセチル−4−ヨード−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(参考化合物5−2)の合成
参考化合物5−1
【化18】

参考化合物5−2
【化19】

4−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(B. A. J. Clark and J. Parrick, ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサエティ・パーキン・トランスアクションズ(J. Chem. Soc. Perkin Trans.) , 1, 2270(1974)参照)391mg(2.56mmol)のアセトニトリル7.0ml溶液に、ヨウ化ナトリウム1.15g(7.68mmol)及び塩化アセチル0.380ml(5.38mmol)を添加して加熱還流条件で2.5時間撹拌した。した。次いで更にヨウ化ナトリウム384mg(2.56mmol)及び塩化アセチル0.180ml(2.56mmol)を添加して加熱還流条件で12.5時間した撹拌した。
【0102】
反応終了後、反応懸濁液を濾過し、得られた残渣に酢酸エチル15ml及び10%炭酸ナトリウム水15mlを添加して抽出した。有機層を10%亜硫酸水素ナトリウム水溶液、水、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=49:1(V/V))に付し、4−ヨード−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(参考化合物5−1)を含む画分を減圧濃縮し、この化合物137mgを白色粉末として得た。(収率22%)
Rf値:0.58(酢酸エチル)。
【0103】
マススペクトル(CI,m/z):245(M+1)。
【0104】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):6.42(dd,J1=3.5Hz,J2=1.8Hz,1H),7.38(dd,J1=3.5Hz,J2=1.6Hz,1H),7.51(d,J=5.1Hz,1H),7.94(d,J=5.1Hz,1H),9.30-9.54(m,1H)。
【0105】
また、同時に1−アセチル−4−ヨード−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(参考化合物5−2)を含む画分を減圧濃縮し、この化合物の272mgを白色粉末として得た。(収率37%)
Rf値:0.37 (n−ヘキサン:酢酸エチル=19:1(V/V))。
【0106】
マススペクトル(CI,m/z):287(M+1)。
【0107】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):3.04(s,3H),6.53(d,J=4.2Hz,1H),7.61(d,J=5.1Hz,1H),7.99(d,J=5.1Hz,1H),8.06(d,J=4.2Hz,1H)。
【0108】
(参考例6)
4−ヨード−1−[2−(トリメチルシリル)エトキシメチル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(参考化合物6)
【化20】

4−ヨード−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(参考化合物5−1)2.4g(10mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド25ml溶液に0℃で水素化ナトリウム(鉱物油60%分散物)0.48g(12mmol)を添加し、10分間撹拌した。更に2−(トリメチルシリル)エトキシメチルクロリド1.8ml(10mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド3ml溶液を反応溶液に5分間かけて滴下した。その後、冷却浴をはずして室温まで徐々に昇温させながら2.5時間撹拌した。
【0109】
反応終了後、反応溶液に水100mlを添加し、酢酸エチル100mlで抽出した。有機層を水、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=9:1(V/V))に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮し、標記の化合物3.1gを白色粉末として得た。(収率84%)
Rf値:0.49(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1(V/V))。
【0110】
マススペクトル(CI,m/z):375(M+1)。
【0111】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):-0.07(s,9H),0.86-0.94(m,2H),3.49-3.56(m,2H),5.64(s,2H),6.42(d,J=3.7Hz,1H),7.41(d,J=3.7Hz,1H),7.50(d,J=5.1Hz,1H),7.96(d,J=5.1Hz,1H)。
【0112】
(参考例7)
4−(3−ヒドロキシプロピン−1−イル)−1−[2−(トリメチルシリル)エトキシメチル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(参考化合物7−1)
【化21】

4−ヨード−1−[2−(トリメチルシリル)エトキシメチル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(参考化合物6)0.56g(1.5mmol)の1,4−ジオキサン6ml溶液に、アルゴン雰囲気下室温でプロパルギルアルコール0.44ml(7.5mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン0.91ml(5.2mmol)、ヨウ化銅(I)28mg(0.15mmol)及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)0.21g(0.30mmol)を添加し、70℃で1時間撹拌した。
【0113】
反応終了後、反応溶液に水50mlを添加し、酢酸エチル50mlで抽出した。有機層を水、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1(V/V))に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮し、標記の化合物0.30gを褐色油状物として得た。(収率67%)
Rf値:0.28(n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1(V/V))
マススペクトル(CI,m/z):303(M+1)。
【0114】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):-0.08(s,9H),0.86-0.94(m,2H),1.80(t,J=6.2Hz,1H),3.49-3.56(m,2H),4.61(d,J=6.2Hz,2H),5.67(s,2H),6.65(d,J=3.7Hz,1H),7.13(d,J=5.1Hz,1H),7.39(d,J=3.7Hz,1H),8.28(d,J=5.1Hz,1H)。
【0115】
以下、参考化合物7−1の製造方法に準じて、参考化合物7−2〜3を製造した。
【0116】
1−アセチル−4−(3−ヒドロキシプロピン−1−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(参考化合物7−2)
Rf値:0.31 (n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1(V/V))。
【0117】
マススペクトル(CI,m/z):215(M+1)。
【0118】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):3.04(s,3H),4.61(s,2H),6.72(d,J=4.2Hz,1H),7.20(d,J=5.0Hz,1H),8.01(d,J=4.2Hz,1H),8.30(d,J=5.0Hz,1H)
1−アセチル−4−(2−メトキシカルボニルエチン−1−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(参考化合物7−3)
Rf値:0.40 (クロロホルム)。
【0119】
マススペクトル(CI,m/z):243(M+1)。
【0120】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):3.05(s,3H),3.89(s,3H),6.81(d,J=4.2Hz,1H),7.35(d,J=5.2Hz,1H),8.10(d,J=4.2Hz,1H),8.39(d,J=5.2Hz,1H)。
【0121】
(参考例8)
E−1−(4−シアノフェニル)−2−(4−ピリジル)エチレンの合成(参考化合物8)
【化22】

4−シアノベンズアルデヒド2.6g(20mmol)の無水酢酸6ml溶液に、4−ピコリン3.7g(40mmol)を添加し加熱還流条件で3.5時間撹拌した。反応終了後、n−ヘキサン10mlを加えて得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄することにより、標記の化合物3.6gを淡褐色粉末として得た。(収率87%)
Rf値:0.59(クロロホルム:メタノール=9:1(V/V))。
【0122】
マススペクトル(CI,m/z):207(M+1)。
【0123】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):7.46(d,J=16.6Hz,1H),7.60(dd,J1=4.6Hz,J2=1.5Hz,2H),7.63(d,J=16.6Hz,1H),7.84(d,J=8.6Hz,2H),7.89(d,J=8.6Hz,2H),8.58(dd,J1=4.6Hz,J2=1.5Hz,2H)。
【0124】
(参考例9)
1−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−2−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノピリジン−4−イル)−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン(参考化合物9)の合成
【化23】

2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−ピコリン(Nathan C. Ihle and Amy E. Krause,ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー (J. Org. Chem.), 61(14), 4810(1996)参照)210mg(1.0mmol)のテトラヒドロフラン10ml溶液をアルゴン雰囲気下−78℃で撹拌しながら、1.55M n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液1.1ml(1.7mmol)を添加した。その後1時間−78℃で撹拌し、次いで1−アセチル−4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)ベンゼン(参考化合物4−1)110mg(0.4mmol)のテトラヒドロフラン3ml溶液を加えて、−78℃で30分間撹拌した。その後昇温させて−20℃で3時間撹拌した。
【0125】
反応終了後、反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液30mlを添加し、酢酸エチル30mlで抽出した。有機層を水、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1(V/V))に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮して標記の化合物110mgを白色粉末として得た。(収率56%)
Rf値:0.55 (n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0126】
マススペクトル(CI,m/z):486(M+1)。
【0127】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.38(brs,9H),1.52(s,9H),1.55(s,3H),1.62(s,6H),1.80(s,1H),2.98(d,J=13.2Hz,1H),3.07(d,J=13.2Hz,1H),4.91(brs,1H),6.59-6.62(m,1H),7.25(brs,1H),7.36(s,4H),7.68-7.71(m,1H),8.03(d,J=5.4Hz,1H)。
【0128】
(実施例1)
E−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−2−(4−ピリジル)エチレン 2塩酸塩(化合物1)の合成
【化24】

無水塩化セリウム3.70g(15.0mmol)のテトラヒドロフラン30ml溶液をアルゴン雰囲気下−78℃で撹拌しながら、1.14Mメチルリチウム/ジエチルエーテル溶液13.2ml(15.0mmol)を添加した。添加後−78℃で30分間撹拌し、(参考例8)で得られたE−1−(4−シアノフェニル)−2−(4−ピリジル)エチレン(参考化合物8)1.07g(5.2mmol)のテトラヒドロフラン30ml溶液を添加した。次いで−78℃で3.5時間撹拌した。
【0129】
反応終了後、反応溶液を−30℃まで昇温し、水20mlを添加し、酢酸エチル50mlで抽出した。次いで水層を酢酸エチルで2回抽出し、合わせた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール=49:1(V/V))に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮した。次いで得られた残渣を薄層クロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール=9:1(V/V))に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮して微黄色粉末52mgを得た。
【0130】
得られた粉末21mgのエタノール3ml溶液に0.1N塩酸3.4mlを添加し、室温で20分間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮して標記の化合物25mgを淡黄色粉末として得た。(収率4%)
融点:247-249℃ (分解)
Rf値:0.31(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=9:1:0.01(V/V/V))
マススペクトル(CI,m/z):239(M+1)。
【0131】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.65(s,6H),7.49(d,J=16.4Hz,1H),7.63(d,J=8.5Hz,2H),7.79(d,J=8.5Hz,2H),7.86(d,J=16.4Hz,1H),7.98(d,J=6.2Hz,2H),8.44-8.66(m,3H),8.76(d,J=6,2Hz,2H)。
【0132】
(実施例2)
E−1−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−メチル−2−(4−ピリジル)エチレン(化合物2−1)およびZ−1−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−メチル−2−(4−ピリジル)エチレン(化合物2−2)の合成
化合物2−1
【化25】

化合物2−2
【化26】

水素化ナトリウム(鉱物油60%分散物)32mg(0.80mmol)をジメチルスルホキシド1mlに加えて75℃で1時間撹拌した後、4−ピリジルメチルホスホン酸ジエチル(Alan J. Hutchison et al., ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J. Med. Chem.), 32(9), 2172(1989)参照)0.20g(0.88mmol)を添加し、室温で45分間撹拌した。次いでこの溶液に1−アセチル−4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)ベンゼン(参考化合物4−1)0.11g(0.40mmol)のジメチルスルホキシド1ml溶液を加えて、室温で23時間撹拌した。
【0133】
反応終了後、反応溶液に水5mlを添加し、トルエン5mlで抽出した。有機層を水、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1(V/V))に付し、標記の化合物E−1−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−メチル−2−(4−ピリジル)エチレン(化合物2−1)及びZ−1−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−メチル−2−(4−ピリジル)エチレン(化合物2−2)の混合物(55:45)62mgを白色粉末として得た。
【0134】
この混合物62mgを高速液体クロマトグラフィー(溶出溶媒;アセトニトリル:水=13:7(V/V))に付し、E−2−[4−(1−t−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−(4−ピリジル)プロペン(化合物2−1)32mgを白色粉末として得た。(収率23%)
Rf値:0.34(n−ヘキサン:エタノール=4:1(V/V))。
【0135】
マススペクトル(CI,m/z):353(M+1)。
【0136】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.39(brs,9H),1.64(s,6H),2.30(s,3H),4.94(brs,1H),6.72(s,1H),7.24(dd,J1=6.0Hz,J2=1.6Hz,2H),7.39-7.43(m,2H),7.45-7.49(m,2H),8.59(dd,J1=6.0Hz,J2=1.6Hz,2H)。
【0137】
また、同時にZ−1−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−メチル−2−(4−ピリジル)エチレン(化合物2−2)21mgを白色粉末として得た。(収率15%)
Rf値:0.38(n−ヘキサン:エタノール=4:1(V/V))。
【0138】
マススペクトル(CI,m/z):353(M+1)。
【0139】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.37(brs,9H),1.62(s,6H),2.22(d,J=1.7Hz,3H),4.91(brs,1H),6.37(d,J=1.7Hz,1H),6.75-6.85(m,2H),7.08-7.12(m,2H),7.28-7.35(m,2H),8.29(dd,J1=6.3Hz,J2=1.7Hz,2H)。
【0140】
以下、化合物2−1及び2−2の製造方法に準じて、化合物2−3および化合物2−4の混合物を製造した。
【0141】
E−1−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−エチル−2−(4−ピリジル)エチレン(化合物2−3)およびZ−1−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−エチル−2−(4−ピリジル)エチレン(化合物2−4)
Rf値:0.23(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1(V/V))。
【0142】
マススペクトル(CI,m/z):367(M+1)。
【0143】
(実施例3)
E−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−メチル−2−(4−ピリジル)エチレン 2塩酸塩(化合物3−1)の合成
【化27】

E−1−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−メチル−2−(4−ピリジル)エチレン(化合物2−1)29mg(0.082mmol)の1,4−ジオキサン0.7ml溶液に、メタノール0.7mlを添加した。更に4N塩化水素/1,4−ジオキサン溶液1.5mlを添加して室温で3時間撹拌した。
【0144】
反応終了後、反応液を減圧濃縮し、残渣をジエチルエーテルで洗浄することにより、標記の化合物18mgを淡黄色粉末として得た。(収率67%)
融点:160-163℃ (分解)
Rf値:0.31(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=9:1:0.01(V/V/V))
マススペクトル(CI,m/z):253(M+1)。
【0145】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.66(s,6H),2.37(d,J=1.2Hz,3H),7.08(d,J=1.2Hz,1H),7.62(d,J=8.5Hz,2H),7.73(d,J=8.5Hz,2H),7.85(d,J=6.6Hz,2H),8.56-8.71(m,3H),8.78(d,J=6.6Hz,2H)
以下、化合物3−1の製造方法に準じて、化合物3−2〜11を製造した。
【0146】
ただし、化合物3−3、3−6、3−10及び3−11の合成では、分離、精製するために高速液体クロマトグラフィー(溶出溶媒;0.03容量%トリフルオロ酢酸水溶液:アセトニトリル=1:1(V/V)及び9:1(V/V))を用いた。その際、塩酸塩からトリフルオロ酢酸塩へ交換された。
【0147】
Z−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−メチル−2−(4−ピリジル)エチレン 2塩酸塩(化合物3−2)
融点:171-175℃ (分解)
Rf値:0.31(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=9:1:0.01(V/V/V))
マススペクトル(CI,m/z):253(M+1)。
【0148】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.64(s,6H),2.26(s,3H),6.70(s,1H),7.13(d,J=5.5Hz,2H),7.29(d,J=8.5Hz,2H),7.54(d,J=8.5Hz,2H),8.47(d,J=5.5Hz,2H),8.54(brs,3H)。
【0149】
E−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−2−(2−アミノピリジン−4−イル)−1−メチルエチレン 2トリフルオロ酢酸塩(化合物3−3)
融点:214-217℃ (分解)
マススペクトル(CI,m/z):268(M+1)。
【0150】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.64(s,6H),2.25(s,3H),6.29(brs,2H),6.54(s,1H),6.58(d,J=5.4Hz,1H),6.75(s,1H),7.55(d,J=8.5Hz,2H),7.65(d,J=8.5Hz,2H),7.91(d,J=5.4Hz,1H),8.49(brs,3H)。
【0151】
E−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−2−メチル−2−(4−ピリジル)エチレン 2塩酸塩(化合物3−4)
融点:181-183℃ (分解)
マススペクトル(CI,m/z):253(M+1)。
【0152】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.66(s,6H),2.29(d,J=1.2Hz,3H),7.40-7.42(m,1H),7.56(d,J=8.6Hz,2H),7.63(d,J=8.6Hz,2H),7.95(d,J=6.4Hz,2H),8.56-8.68(m,3H),8.75(d,J=6.4Hz,2H)。
【0153】
Z−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−ヒドロキシメチル−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン 2塩酸塩(化合物3−5)
融点:214-216℃ (分解)
Rf値:0.17(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=9:1:0.01(V/V/V))
マススペクトル(CI,m/z):308(M+1)。
【0154】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.67(s,6H),4.55(s,2H),6.79(dd,J1=3.4Hz,J2=1.7Hz,1H),7.28(s,1H),7.41(d,J=5.3Hz,1H),7.59-7.62(m,3H),7.82(d,J=8.8Hz,2H),8.34(d,J=5.3Hz,2H),8.63(brs,3H),12.10-12.30(m,1H)。
【0155】
Z−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−(ヒドロキシイミノメチル)−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン 2トリフルオロ酢酸塩(化合物3−6)
融点:164-166℃ (分解)
Rf値:0.16(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=9:1:0.01(V/V/V))。
【0156】
マススペクトル(CI,m/z):321(M+1)。
【0157】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.64(s,6H),6.24(d,J=5.1Hz,1H),6.63(dd,J1=3.4Hz,J2=2.0Hz,1H),7.27(d,J=8.3Hz,2H),7.38(s,1H),7.46-7.54(m,3H),7.81(d,J=5.1Hz,1H),8.28(s,1H),8.40(brs,3H),11.23(s,1H),11.62-11.68(m,1H)。
【0158】
Z−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−シアノ−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン 2塩酸塩(化合物3−7)
融点:255-256℃ (分解)
Rf値:0.38(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=9:1:0.01(V/V/V))
マススペクトル(CI,m/z):303(M+1)。
【0159】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.69(s,6H),6.95(dd,J1=3.4Hz,J2=1.7Hz,1H),7.67-7.70(m,1H),7.76(d,J=8.6Hz,2H),7.78(d,J=5.0Hz,1H),7.96(d,J=8.6Hz,2H),8.41(d,J=5.0Hz,1H),8.42(s,1H),8.85(brs,3H),12.09-12.22(m,1H)。
【0160】
Z−1−[4−(アミノメチル)フェニル]−1−ヒドロキシメチル−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン 2塩酸塩(化合物3−8)
融点:189-192℃ (分解)
Rf値:0.08(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=9:1:0.01(V/V/V))
マススペクトル(CI,m/z):280(M+1)。
【0161】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):4.05(d,J=5.7Hz,1H),4.09(d,J=5.7Hz,1H),4.55(s,2H),6.83-6.85(m,1H),7.30(s,1H),7.46(d,J=5.4Hz,1H),7.55(d,J=8.5Hz,2H),7.61-7.64(m,1H),7.82(d,J=8.5Hz,2H),8.36(d,J=5.4Hz,2H),8.41(brs,3H),12.20-12.40(m,1H)。
【0162】
Z−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−メトキシカルボニル−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン 2塩酸塩(化合物3−9)
融点:192-194℃ (分解)
Rf値:0.28(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=9:1:0.01(V/V/V))
マススペクトル(CI,m/z):336(M+1)。
【0163】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.66(s,6H),3.73(s,3H),6.71(dd,J1=3.4Hz,J2=1.7Hz,1H),6.97(d,J=5.2Hz,1H),7.55-7.58(m,1H),7.61(d,J=8.9Hz,2H),7.62(s,1H),7.66(d,J=8.9Hz,2H),8.23(d,J=5.2Hz,1H),8.42-8.64(m,3H),11.70-11.90(m,1H)。
【0164】
E−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−エチル−2−(4−ピリジル)エチレン 2トリフルオロ酢酸塩(化合物3−10)
Rf値:0.31(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=9:1:0.01(V/V/V))
マススペクトル(CI,m/z):267(M+1)。
【0165】
1H−NMRスペクトル(CD3OD,δppm):1.10(t,J=7.3Hz,3H),1.78(s,6H),2.89(q,J=7.3Hz,2H),6.87(s,1H),7.58-7.61(m,2H),7.67-7.70(m,2H),7.81-7.88(m,2H),8.60-8.80(m,2H)。
【0166】
Z−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−エチル−2−(4−ピリジル)エチレン 2トリフルオロ酢酸塩(化合物3−11)
マススペクトル(CI,m/z):267(M+1)。
【0167】
1H−NMRスペクトル(CD3OD,δppm):1.10(t,J=7.3Hz,3H),1.78(s,6H),2.66(q,J=7.3Hz,2H),6.73(s,1H),7.31(d,J=8.3Hz,2H),7.34-7.44(m,2H),7.57(d,J=8.3Hz,2H),8.20-8.55(m,2H)。
【0168】
(実施例4)
E−1−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−2−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノピリジン−4−イル)−1−メチルエチレン(化合物4)
【化28】

1−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−2−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノピリジン−4−イル)−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン(参考化合物9)82mg(0.17mmol)の塩化メチレン3ml溶液に、0℃でトリエチルアミン0.12ml(0.84mmol)を添加した。更にメタンスルホン酸クロライド0.027ml(0.35mmol)を添加して室温で30分間撹拌した後、加熱還流条件で30分間撹拌した。この溶液に1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン0.10ml(0.68mmol)を添加し加熱還流条件で1.5時間撹拌した。
【0169】
反応終了後、反応溶液に水15mlを添加し、塩化メチレン15mlで抽出した。有機層を水、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1(V/V))に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮した。得られた残渣を高速液体クロマトグラフィー(溶出溶媒;アセトニトリル:水=4:1(V/V))に付し、標記の化合物11mgを白色粉末として得た。(収率14%)
Rf値:0.54 (n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))
マススペクトル(CI,m/z):468(M+1)。
【0170】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.39(brs,9H),1.64(s,6H),2.31(d,J=1.2Hz,3H),4.94(brs,1H),6.71-6.74(m,1H),6.93(dd,J1=5.4Hz,J2=1.1Hz,1H),7.24(brs,1H),7.37-7.41(m,2H),7.44-7.48(m,2H),7.91-7.92(m,1H),8.19(d,J=5.4Hz,2H)。
【0171】
(実施例5)
E−1−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−2−メチル−2−(4−ピリジル)エチレン(化合物5)の合成
【化29】

1−ブロモ−4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)ベンゼン(参考化合物3−1)392mg(3.3mmol)のN,N−ジイソプロピルエチルアミン5ml溶液に、アルゴン雰囲気下室温で2−(ピリジン−4−イル)プロペン(Y. Inubushi et al., テトラヘドロン(Tetrahedron), 20, 2007(1964)参照)940mg(3.0mmol)、酢酸パラジウム34mg(0.15mmol)及びトリ−o−トリルホスフィン91mg(0.30mmol)を添加し、120℃で20時間撹拌した。
【0172】
反応終了後、反応溶液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1(V/V))に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮した。得られた粗精製物を高速液体クロマトグラフィー(溶出溶媒;アセトニトリル:水=7:3(V/V))に付し、標記の化合物220mgを白色粉末として得た。(収率21%)
Rf値:0.49 (n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0173】
マススペクトル(CI,m/z):353(M+1)。
【0174】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.39(brs,9H),1.65(s,6H),2.28(d,J=1.5Hz,3H),4.94(brs,1H),6.98-7.01(m,1H),7.33(d,J=8.3Hz,2H),7.38-7.44(m,4H),8.58(dd,J1=4.6Hz,J2=1.7Hz,2H)。
【0175】
(実施例6)
Z−1−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−ヒドロキシメチル−2−{1−[2−(トリメチルシリル)エトキシメチル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル}エチレン(化合物6−1)の合成
【化30】

4−(3−ヒドロキシプロピン−1−イル)−1−[2−(トリメチルシリル)エトキシメチル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(参考化合物7−1)9.1g(30mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド30ml溶液に、アルゴン雰囲気下室温で4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)−1−ヨードベンゼン(参考例化合物3−2)11g(30mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加物8.0g(7.7mmol)及びギ酸カリウム6.3g(75mmol)を添加し、35℃で1時間撹拌した。
【0176】
反応終了後、反応溶液に水100mlに添加し、酢酸エチル100mlで抽出した。有機層を水、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1(V/V))に付し、標記の化合物5.8gを微褐色泡状物として得た。(収率36%)
Rf値:0.22(n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1(V/V))
マススペクトル(CI,m/z):538(M+1)。
【0177】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):-0.06(s,9H),0.89-0.95(m,2H),1.40(brs,9H),1.66(s,6H),3.53-3.59(m,2H),4.72(s,2H),4.98(brs,1H),5.70(s,2H),6.59(d,J=3.7Hz,1H),7.15-7.19(m,2H),7.37(d,J=3.7Hz,1H),7.44-7.49(m,2H),7.59-7.64(m,2H),8.34(d,J=4.9Hz,1H)。
【0178】
以下、化合物6−1の製造方法に準じて、化合物6−2〜3を製造した。
【0179】
Z−1−[4−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]−1−ヒドロキシメチル−2−(1−アセチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン(化合物6−2)
Rf値:0.74(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0180】
マススペクトル(CI,m/z):422(M+1)。
【0181】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.48(s,9H),3.09(s,3H),4.35-4.38(m,2H),4.68(s,2H),4.70-4.97(m,1H),6.69(d,J=4.2Hz,1H),7.07(s,1H),7.28(d,J=4.9Hz,1H),7.37(d,J=8.5Hz,2H),7.61(d,J=8.5Hz,2H),8.01(d,J=4.2Hz,1H),8.38(d,J=4.9Hz,1H)。
【0182】
Z−1−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−メトキシカルボニル−2−(1−アセチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン(化合物6−3)
マススペクトル(CI,m/z):436(M+1)。
【0183】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.40(brs,9H),1.65(s,6H),3.72(s,3H),4.97(brs,1H),6.60(dd,J1=3.7Hz,J2=1.7Hz,1H),7.07(d,J=5.1Hz,1H),7.33-7.35(m,2H),7.44(d,J=8.8Hz,2H),7.49(d,J=8.8Hz,2H),8.28(d,J=5.1Hz,1H),8.74-8.84(m,1H)。
【0184】
(実施例7)
Z−1−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−ヒドロキシメチル−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン(化合物7)の合成
【化31】

Z−1−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−ヒドロキシメチル−2−{−1−[2−(トリメチルシリル)エトキシメチル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル}エチレン(化合物6−1)1.1g(2.0mmol)を1.0Mテトラブチルアンモニウムフルオライド/テトラヒドロフラン溶液20mlに溶解させ、アルゴン雰囲気下で更にエチレンジアミン0.67ml(10mmol)を添加して50℃で21時間撹拌した。
【0185】
反応終了後、反応溶液に水100mlに添加し、酢酸エチル100mlで抽出した。有機層を水、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;酢酸エチル)に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮し、標記の化合物0.65gを白色粉末として得た。(収率80%)
Rf値:0.17(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))
マススペクトル(CI,m/z):408(M+1)。
【0186】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.40(brs,9H),1.67(s,6H),4.73(s,2H),5.01(brs,1H),6.58(dd,J1=3.4Hz,J2=2.0Hz,1H),7.16-7.18(m,2H),7.34(dd,J1=3.4Hz,J2=2.2Hz,1H),7.44-7.50(m,2H),7.59-7.65(m,2H),8.32(d,J=5.1Hz,1H),9.56-9.34(m,1H)。
【0187】
(実施例8)
Z−1−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−ホルミル−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン(化合物8)の合成
【化32】

Z−1−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−ヒドロキシメチル−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン(化合物7)1.98g(4.26mmol)のアセトン350ml溶液に二酸化マンガン42.2g(486mmol)を添加し、室温で14時間撹拌した。
【0188】
反応終了後、セライトを用いて反応溶液の二酸化マンガンを濾過し、濾液を減圧濃縮することにより、標記の化合物1.36gを黄色粉末として得た。(収率78%)
Rf値:0.40(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0189】
マススペクトル(CI,m/z):406(M+1)。
【0190】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.40(brs,9H),1.66(s,6H),4.99(brs,1H),6.57(dd,J1=3.4Hz,J2=1.9Hz,1H),7.08(d,J=4.9Hz,1H),7.42(dd,J1=3.4Hz,J2=2.4Hz,1H),7.48(s,4H),8.07(s,1H),8.38(d,J=4.9Hz,1H),9.25-9.27(m,1H),10.13(s,1H)。
【0191】
(実施例9)
Z−1−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−(ヒドロキシイミノメチル)−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン(化合物9)の合成
【化33】

Z−1−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−ホルミル−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン(化合物8)0.30g(0.74mmol)のエタノール25ml溶液にトリエチルアミン0.52ml(3.7mmol)及びヒドロキシルアミン塩酸塩0.21g(3.0mmol)を添加し、50℃で1時間撹拌した。
【0192】
反応終了後、反応溶液を減圧濃縮して得られた残渣に水100mlを添加し、酢酸エチル150mlで抽出した。有機層を水、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=2/1(V/V))に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮し、標記の化合物0.29gを淡黄色粉末として得た。(収率94%)
Rf値:0.40(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0193】
マススペクトル(CI,m/z):421(M+1)。
【0194】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.36(brs,9H),1.52(s,6H),6.52-6.54(m,1H),6.97(d,J=5.1Hz,1H),7.13-7.24(m,2H),7.34(d,J=8.5Hz,2H),7.46(d,J=8.5Hz,2H),7.49-7.52(m,1H),8.17(s,1H),8.25(d,J=5.1Hz,1H),11.37(s,1H),11.72-11.79(m,1H)。
【0195】
(実施例10)
Z−1−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−シアノ−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン(化合物10)の合成
【化34】

Z−1−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−(ヒドロキシイミノメチル)−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン(化合物9)0.33g(0.78mmol)のテトラヒドロフラン35ml溶液を0℃で撹拌し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン2.0ml(12mmol)及びトリフルオロ酢酸無水物1.1ml(7.8mmol)を添加した。添加後0℃で2時間撹拌し、次いで飽和アンモニア水溶液10mlを添加した。添加後、更に室温で1時間撹拌した。
【0196】
反応終了後、反応溶液を減圧濃縮して得られた残渣に水50mlを添加し、酢酸エチル50mlで抽出した。有機層を水、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=2/1(V/V))に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮し、標記の化合物0.22gを黄色粉末として得た。(収率70%)
Rf値:0.43(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0197】
マススペクトル(CI,m/z):403(M+1)。
【0198】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.40(brs,9H),1.66(s,6H),5.01(brs,1H),6.66(dd,J1=3.4Hz,J2=1.8Hz,17.43(dd,J1=3.4Hz,J2=2.2Hz,1H),7.49-7.55(m,2H),7.69-7.73(m,2H),7.89(d,J=5.1Hz,1H),7.91(s,1H),8.44(d,J=5.1Hz,1H),9.20-9.30(m,1H)。
【0199】
(実施例11)
Z−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−カルボキシ−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン 2トリフルオロ酢酸塩(化合物11)の合成
【化35】

Z−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−シアノ−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン 2塩酸塩(化合物3−7)80mg(0.20mmol)を濃塩酸5mlに溶解させ、加熱還流条件で45時間撹拌した。次いで反応溶液に濃塩酸10mlを添加して、加熱還流条件で20時間撹拌し、更に反応溶液に濃塩酸10mlを添加して加熱還流条件で25時間撹拌した。
【0200】
反応終了後、反応溶液を減圧濃縮し、得られた残渣を高速液体クロマトグラフィー(溶出溶媒;0.03容量%トリフルオロ酢酸水溶液:アセトニトリル=85:15(V/V))に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮し、標記の化合物16mgを白色粉末として得た。(収率14%)
融点:231-233℃ (分解)
マススペクトル(FAB,m/z):322(M+1)。
【0201】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.61(s,6H),6.40(d,J=5.3Hz,1H),6.46-6.48(m,1H),7.26(d,J=8.2Hz,2H),7.46(d,J=8.2Hz,2H),7.49-7.52(m,1H),7.90(d,J=5.3Hz,1H),8.06(s,1H),11.72-11.75(m,1H)
(実施例12)
Z−1−[4−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]−1−ヒドロキシメチル−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン(化合物12)の合成
【化36】

Z−1−[4−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]−1−ヒドロキシメチル−2−(1−アセチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン(化合物6−2)0.30g(0.70mmol)のエタノール15ml溶液に1N水酸化ナトリウム1.8mlを添加して室温で1時間撹拌した。
【0202】
反応終了後、反応溶液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;酢酸エチル)に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮し、標記の化合物0.24gを微黄色粉末として得た。(収率91%)
Rf値:0.26 (酢酸エチル)。
【0203】
マススペクトル(CI,m/z):380(M+1)。
【0204】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.48(s,9H),4.35-4.38(m,2H),4.73(s,2H),4.81-4.97(m,1H),6.58(dd,J1=3.7Hz,J2=1.7Hz,1H),7.14-7.17(m,2H),7.32-7.40(m,3H),7.63(d,J=8.5Hz,2H),8.32(d,J=5.1Hz,1H),9.16(brs,1H)。
【0205】
(実施例13)
Z−1−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−メトキシカルボニル−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン(化合物13)の合成
【化37】

Z−1−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−メトキシカルボニル−2−(1−アセチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン(化合物6−3)12mg(0.025mmol)のメタノール1.5ml溶液に塩化メチレン1mlを添加し、50℃で3時間撹拌した。
【0206】
反応終了後、反応溶液を減圧濃縮し、標記の化合物12mgを淡黄色粉末として得た。(収率 定量的)
マススペクトル(CI,m/z):436(M+1)。
【0207】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.40(brs,9H),1.65(s,6H),3.72(s,3H),4.97(brs,1H),6.60(dd,J1=3.7Hz,J2=1.7Hz,1H),7.07(d,J=5.1Hz,1H),7.33-7.35(m,2H),7.44(d,J=8.8Hz,2H),7.49(d,J=8.8Hz,2H),8.28(d,J=5.1Hz,1H),8.74-8.84(m,1H)。
【0208】
[製剤例]
本発明化合物の一般的な製剤例を以下に示す。
【0209】
1)錠剤
処方1 100mg中
本発明化合物 1mg
乳糖 66.4mg
トウモロコシデンプン 20mg
カルボキシメチルセルロースカルシウム 6mg
ヒドロキシプロピルセルロース 4mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6mg
上記処方の錠剤に、コーティング剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール、シリコーン樹脂等通常のコーティング剤)2mgを用いてコーティングを施し、目的とするコーティング錠を得る(以下の処方の錠剤も同じ)。また、本発明化合物ならびに添加物の種類および量を適宜変更することにより、所望の錠剤を得ることができる。
【0210】
2)カプセル剤
処方2 150mg中
本発明化合物 5mg
乳糖 145mg
本発明化合物と乳糖の混合比を適宜変更することにより、所望のカプセル剤を得ることができる。
【0211】
3)点眼剤
処方3 100ml中
本発明化合物 100mg
塩化ナトリウム 900mg
ポリソルベート80 200mg
水酸化ナトリウム 適量
塩酸 適量
滅菌精製水 適量
本発明化合物ならびに添加物の種類および量を適宜変更することにより、所望の点眼剤を得ることができる。
【0212】
[薬理試験]
A.Rhoキナーゼ阻害活性評価試験
本発明化合物のRhoキナーゼ阻害剤としての有用性を調べるため、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー,274巻,32418頁,1999年発行[J.Biol.Chem.,274,32418(1999)]に記載の貝淵等の方法および市販の活性型ROCKII[アップステイツ バイオテクノロジー,カタログ 番号14−338,(5Unit/50μl)[upstate biotechnology,Catalog No.14-338,(5Unit/50μl)]]付属の説明書記載の方法に準じて、本発明化合物のRhoキナーゼ阻害活性を評価検討した。被験化合物としては、化合物3−1、化合物3−2、化合物3−3、化合物3−4、化合物3−5、化合物3−6、化合物3−7、化合物3−8および化合物3−9を使用した。
【0213】
(試薬の調製)
1)緩衝溶液の調製
50mM トリスヒドロキシアミノメタン(Tris)(pH7.5)、2mM エチレングリコールビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−四酢酸(EGTA)、1mM エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、5mM 塩化マグネシウム(MgCl2)、5mM β−グリセロールホスフェイトおよび2mM ジチオスレイトール(DTT)となるよう混和して緩衝溶液とした。
【0214】
2)300μM ATP[γ−32P]ATP溶液の調製
緩衝溶液で10mM ATP溶液と市販の[γ−32P]ATP溶液[NEN社 Code No.NEG-002A]を希釈して、300μM ATP[γ−32P]ATP溶液とした。
【0215】
3)活性型ROCKII溶液の調製
市販の活性型ROCKII[upstate biotechnology,Catalog No.14-338,(5Unit/50μl)]を緩衝溶液で1/100希釈して、活性型ROCKII溶液とした。
【0216】
4)1mM 基質溶液の調製
S6キナーゼ基質ペプチド(S6 Kinase Substrare Peptide)[アップステイツ バイオテクノロジー,カタログ 番号12−124,(2mg)[upstate biotechnology,Catalog No.12-124,(2mg)]]を蒸留水に溶解して1mM 基質溶液の調製とした。
【0217】
5)被験化合物溶液の調製
被験化合物は、10%ジメチルスルホキシド(DMSO)溶液に調製し使用した。
【0218】
(評価方法)
1)マイクロチューブに被験化合物溶液を入れる。
【0219】
2)マイクロチューブに300μM ATP[γ−32P]ATP溶液を加えた後、4℃に冷却する。
【0220】
3)次いで、各マイクロチューブに活性型ROCKII溶液、1mM基質溶液および緩衝溶液の順で加えて混和し、再度4℃に冷却する。
【0221】
4)マイクロチューブをインキュベーター(30℃)に入れて15分間反応させる。
【0222】
5)4℃に冷却した後、各マイクロチューブに250mMリン酸溶液(5μl)を加えて反応を停止する。
【0223】
6)各マイクロチューブから反応溶液30μlを採取した後、濾紙(ワットマンP81)にスポットして、反応生成物(リン酸化された基質)を濾紙に吸着させる。
【0224】
7)その濾紙を75mMリン酸溶液の入ったビーカーに移し、5分間振盪することで未反応の[γ−32P]ATPを洗い流す。尚、この洗浄操作は4回行う。
【0225】
8)次いで、濾紙をエタノールに浸けて脱水処理し、液体シンチレーションカウンターによりろ紙に吸着した反応生成物のエネルギー量(放射活性)を測定する。
【0226】
(IC50の算出)
IC50値は、XL−fit(IDBS)にて算出した。
【0227】
(Ki値の算出)
以下の計算式に従って、Ki値を算出する。Sは反応液中に含まれるATP濃度を、Kmはミカエリス−メンテン(Michaelis−Menten)定数を表す。
【0228】
Ki=IC50/(1+S/Km)
(結果および考察)
被験化合物として、化合物3−1、化合物3−2、化合物3−3、化合物3−4、化合物3−5、化合物3−6、化合物3−7、化合物3−8および化合物3−9を使用した時の結果を表1に示す。
【表1】

表1から明らかなように、本発明化合物は、いずれも優れたRhoキナーゼ阻害作用を示した。上記のことから、本発明化合物はRhoキナーゼが関与する疾患の治療剤として非常に有用であることがわかった。
【0229】
B.眼圧下降作用測定試験
本発明化合物の緑内症治療剤としての有用性を調べるため、カニクイザル(性別:雄性、一群6匹)に本発明化合物を投与した時の眼圧下降効果を評価検討した。被験化合物としては化合物3−5(以下、被験化合物1とする)および化合物3−8(以下、被験化合物2とする)を使用した。
【0230】
(被験化合物溶液の調製)
被験化合物1または2を5% Tween80(商品名)含有生理食塩液に溶解後、水酸化ナトリウムを加えてpHを調整し(pH4.0〜5.0)、濃度1%の被験化合物1または2溶液を調製した。
【0231】
(眼圧下降評価試験方法)
1)0.4%塩酸オキシブプロカイン点眼液をカニクイザルの両眼に一滴点眼し局所麻酔をした。
【0232】
2)被験化合物溶液投与直前に眼圧を測定し初期眼圧とした。
【0233】
3)被験化合物溶液を実験動物の片眼に点眼した(対側眼は無処置)。
【0234】
4)被験化合物溶液点眼の2時間、4時間および6時間後に0.4%塩酸オキシブプロカイン点眼液を一滴両眼に点眼し局所麻酔後、眼圧を測定した。また、各時間の眼圧は3回測定し、その平均値を算出した。
【0235】
尚、コントロールには被験化合物溶液に代えて、基剤(5% Tween80含有生理食塩液)のみを投与して、他は上記の1〜4)と同じ方法で試験した。
【0236】
(結果および考察)
被験化合物として、被験化合物1を使用した時の結果を図1に、被験化合物2を使用した時の結果を図2に示す。眼圧は初期眼圧からの変化値を示す。
【0237】
図1および図2から明らかなように、本発明化合物は、いずれも優れた眼圧下降作用を示した。上記のことから、本発明化合物は緑内障治療剤として特に有用であることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0238】
【図1】各投与群の眼圧の経時変化を示すグラフである。眼圧は初期眼圧からの変化値で示す。□は被験化合物1投与群を、○はコントロール群を示す。
【図2】各投与群の眼圧の経時変化を示すグラフである。眼圧は初期眼圧からの変化値で示す。□は被験化合物2投与群を、○はコントロール群を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式[I]で表される化合物またはその塩。
【化1】

[式中、環Xはベンゼン環、シクロアルカン環または1若しくは複数の窒素原子を環内に有する芳香族複素環を示し;
環Yはピリジン環または1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン環を示し;
1とR2は同一または異なって、水素原子またはアルキル基を示し;
3とR4は同一または異なって、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルキルアミノ基またはアリールアミノ基を示し;
3とR5は結合して、シクロアルケン環を形成してもよく;
5およびR6は同一または異なって、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基、アリール基、カルボキシ基、そのエステル若しくはそのアミド、ニトロ基またはシアノ基を示し;
上記で規定した各アルキル基がヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシイミノ基およびアルコキシイミノ基からなる群より選択される1または複数の基で置換されていてもよい。]
【請求項2】
一般式[I]において、
環Xがベンゼン環、シクロアルカン環または1若しくは複数の窒素原子を環内に有する芳香族複素環を示し;
環Yがピリジン環または1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン環を示し;
1とR2は同一または異なって、水素原子またはアルキル基を示し;
3がハロゲン原子、水素原子またはアルキル基を示し;
3とR5が結合して、シクロアルケン環を形成してもよく;
4が水素原子またはアミノ基を示し;
5が水素原子またはアルキル基を示し;
6が水素原子、アルキル基、カルボキシ基、そのエステルまたはシアノ基を示し;
6で規定したアルキル基がヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基およびヒドロキシイミノ基からなる群より選択される1または複数の基で置換されていてもよい請求項1記載の化合物またはその塩。
【請求項3】
一般式[I]において、
環Xがベンゼン環、シクロヘキサン環またはピリジン環を示し;
環Yがピリジン環または1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン環を示し;
1とR2は同一または異なって、水素原子またはアルキル基を示し;
3が塩素原子、水素原子またはメチル基を示し;
3とR5が結合してシクロヘキセン環を形成してもよく;
4が水素原子またはアミノ基を示し;
5が水素原子またはメチル基を示し;
6が水素原子、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、フェノキシメチル基、ヒドロキシイミノメチル基、カルボキシ基、メトキシカルボニル基またはシアノ基を示す請求項1記載の化合物またはその塩。
【請求項4】
一般式[I]において、
環Xがベンゼン環を示し;
環Yがピリジン環または1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン環を示し;
1とR2が水素原子またはアルキル基を示し;
3が水素原子を示し;
4が水素原子またはアミノ基を示し;
5が水素原子またはアルキル基を示し;
6が水素原子、アルキル基、カルボキシ基、そのエステルまたはシアノ基を示し;
6で規定したアルキル基が、ヒドロキシ基および/またはヒドロキシイミノ基で置換されていてもよい請求項1記載の化合物またはその塩。
【請求項5】
一般式[I]において、
環Xがベンゼン環を示し;
環Yがピリジン環または1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン環を示し;
1とR2が水素原子またはアルキル基を示し;
3が水素原子を示し;
4が水素原子またはアミノ基を示し;
5が水素原子またはメチル基を示し;
6が水素原子、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシイミノメチル基、カルボキシ基、メトキシカルボニル基またはシアノ基を示す請求項1記載の化合物またはその塩。
【請求項6】
一般式[I]において、環Yが環Xのトランス位に置換されている請求項1記載の化合物またはその塩。
【請求項7】
・E−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−2−(4−ピリジル)エチレン、
・E−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−メチル−2−(4−ピリジル)エチレン、
・Z−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−メチル−2−(4−ピリジル)エチレン、
・E−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−2−(2−アミノピリジン−4−イル)−1−メチルエチレン、
・E−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−2−メチル−2−(4−ピリジル)エチレン、
・Z−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−ヒドロキシメチル−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン、
・Z−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−(ヒドロキシイミノメチル)−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン、
・Z−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−シアノ−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン、
・Z−1−[4−(アミノメチル)フェニル]−1−ヒドロキシメチル−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン、
・Z−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−メトキシカルボニル−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレン、および、
・Z−1−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−カルボキシ−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチレンからなる群より選択される化合物またはその塩。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1記載の化合物またはその塩を含有する医薬組成物。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1記載の化合物またはその塩を有効成分とするRhoキナーゼ阻害剤。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1記載の化合物またはその塩を有効成分とする緑内障治療剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−15928(P2007−15928A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−354946(P2003−354946)
【出願日】平成15年10月15日(2003.10.15)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【出願人】(000177634)参天製薬株式会社 (177)
【Fターム(参考)】