説明

新規マクロライドおよびそれらの使用

本発明は、式(I)のマクロライド化合物、医薬としての、特に炎症性およびアレルギー性疾患の治療または予防のための、該化合物の使用、該化合物を含有する医薬組成物ならびにそれらの製造方法に関する。特に、本発明は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、リューマチ性関節炎、アトピー性皮膚炎もしくは炎症性腸疾患のような炎症性およびアレルギー性疾患またはガンのような増殖性疾患の治療および/または予防用にそれらの化合物を有用なものとする、主としてホスホジエステラーゼ4(PDE4)の阻害を通して仲介される抗炎症活性を有するマクロライド化合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なマクロライド化合物、医薬としての、特に炎症性およびアレルギー性疾患の治療または予防のための、該化合物の使用、該化合物を含有する医薬組成物ならびにそれらの製造方法に関する。特に、本発明は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、リューマチ性関節炎、アトピー性皮膚炎もしくは炎症性腸疾患のような炎症性およびアレルギー性疾患またはガンのような増殖性疾患の治療および/または予防用にそれらの化合物を有用なものとする、主としてホスホジエステラーゼ4(PDE4)の阻害を通して仲介される抗炎症活性を有するマクロライド化合物に関する。
【0002】
環状アデノシンモノホスフェート(cAMP)は、細胞内で鍵となる2番目のメッセンジャーである。環状AMPの濃度が増大すると、リンパ球、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、好塩基球および肺上皮細胞を含む様々な種類の炎症細胞および免疫細胞における細胞応答が抑制されることが知られている。cAMPの細胞内濃度は、アデニルシクラーゼおよび環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE類)により調節される。PDE類は、環状ヌクレオチドcAMPおよびcGMPをAMPおよびGMPへの加水分解により不活性化する一群の酵素である。cAMP特異的酵素であるPDE4は、前炎症細胞における主たる酵素である。PDE4は、炎症プロセスに関与していることが示されている(例えば、Lipworth B. J., Lancet (2005) 365, p. 167またはGiembycz M. A., Curr. Opin. Pharmacol. (2005), 5, p. 238参照)。したがって、PDE4の阻害剤は、喘息、慢性気管支炎、気腫、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹 アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、乾癬、リューマチ性関節炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、敗血性ショック、潰瘍性大腸炎、クローン病、成人呼吸窮迫症候群および多発性硬化症のような炎症性およびアレルギー性疾患の治療および/または予防に有用である。PDE4阻害剤は、また、増殖性疾患、例えばヒトのガンの処置に有用である(例えば、Cancer Research, 2007, 67, p. 5248参照)。
【0003】
多数のPDE4阻害剤が、文献に開示されている(例えば、J. O. Odingo, Expert. Opin. Ther. Patents, 2005, 15(7), 773; M. Hendrix, C. Kallus, Methods and Principles in Medicinal Chemistry (2004), Vol. 22 (Chemogenomics in Drug Discovery), 243-288 (Wiley-VCH)参照)。公知のPDE4阻害剤の多くが、嘔吐および頭痛のような用量を制限する副作用を示す。
【0004】
マクロラクトン環の11,12位に縮合した5員環ラクトンを有するエリスロマイシン誘導体は、例えば、WO02/16380、WO03/004509、WO03/042228、WO03/072588、WO03/024986、US2004/0038915およびWO2005067919に開示されている。文献WO02/16380、WO03/072588、WO03/024986およびUS2004/0038915は、エリスロマイシン足場(erythromycin scaffold)の3位にカルボニル基を有する、いわゆるケトライドについてのみ記述している。WO03/042228、WO03/004509およびWO2005/067919は、11,12位に縮合した11,12ラクトン環を持ち、クラジノース糖置換基をエリスロマイシン足場の3位に有するマクロライド誘導体を開示している。
【0005】
エリスロマイシン足場の2、3位に二重結合を持つエリスロマイシン誘導体、いわゆるアンハイドロライドは、例えばWO97/42205およびUS6720308に開示されている。エリスロマイシン足場の3位にヒドロキシル基を持つ化合物は、上記の種々の化合物の合成における中間体として見出されており、同じく、例えばWO2004/013153に開示されている。3−アシル誘導体の生成は、例えば、J. Med. Chem. 2003, 46, 2706に記載されている。
【0006】
上記の文献に記載の大部分の分子は、抗感染活性を有する。しかしながら、エリスロマイシン誘導体が、病原菌により引き起こされたものではない疾患の長期の処置用として予見される場合には、抗生剤耐性菌の発現を回避するために、抗感染活性のない化合物が望まれている。デソサミン部分の修飾は、抗菌活性の喪失をもたらし得ることが報告されている。エリスロマイシン誘導体のデソサミン糖部分の種々の修飾は、以下の刊行物:WO2007/129646、WO2004/013153およびBioorg. Med. Chem. 2007, 15, 3266に例示されているように、文献中に記載されている。
【0007】
エリスロマイシン由来のマクロライドは、また、抗炎症活性を有することが報告されている(例えば、Journal of Antimicrobial Chemotherapy, 1998, 41, Suppl. B, 37-46)。上記の文献に記載の全てのマクロライド化合物は、細菌感染の処置に有用であると開示されている。さらに、エリスロマイシン由来のマクロライドは、炎症細胞に蓄積されることが知られている。
【0008】
驚くべきことに、有意の抗菌活性を有しない、エリスロマイシン足場に縮合した5員ラクトン環を有しかつ特定の側鎖で置換されているある種のマクロライド化合物は、この種の分子についてこれまでに記載されていない新規に見出された活性である、ホスホジエステラーゼを阻害し、特に選択的にPDE4を阻害することがここに見出された。これらのマクロライドは、したがって、炎症性およびアレルギー性疾患ならびに例えばガンのような増殖性疾患の治療および/または予防に有用である。本明細書中に記載の分子は、現在知られているPDE4阻害剤とは構造的に異なっており、したがって、上記の副作用を克服する可能性を有している。
【0009】
したがって、本発明は、式I:
【0010】
【化1】

【0011】
[式中、
R1は、残基−Y−X−Qであり;
Yは、S、SOまたはSOであり;
Xは、結合または、水素原子ならびにC、N、OおよびSから選択される1〜9個の原子からなる直鎖状基であり、そのうち2個までの原子が、Nであってよく、1個の原子がOもしくはSであってよく、1個の炭素原子が、CO基として現れてもよく、硫黄原子が、SO基として現れてもよく、かつ2個の隣接するC原子が、−CH=CH−もしくはC≡C−として存在してもよく、基Xは非置換であるかまたは−COO−Wもしくは−CONH−Wで置換されており;
Qは、Wであるか、残基−V−A1−L−A2−Wであるか、またはXが結合を表さない場合には、−NR10R11であってもよく;
Vは、場合により置換されている二価の芳香族またはヘテロ環基であり;
Wは、場合により置換されているアリールまたはヘテロシクリルであるか;または基−V−A1−L−A2−W(式中、基A1、LまたはA2の少なくとも1つが存在する)において、水素原子ならびにC、N、Oおよび/もしくはSの1〜5個の原子からなり、そのうちの1個の炭素が、CO基として現れてもよく、1個の硫黄原子が、SO基として現れてもよい、一価の置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の、直鎖状基であってもよく、
A1およびA2は、互いに独立して、存在しないかまたはC〜Cアルキレン基のいずれかであり;
Lは、単結合、−O−、−S−、−SO−、−NH−、−CO−、−(CO)O−、−O(OC)−、−(CO)NH−、−NH(CO)−、−(SO)NH−、−HN(SO)−、−HN(CO)NH−、−O(CO)NH−、−NH(CO)O−であるか、またはA1および/もしくはA2が存在する場合には、存在していなくてもよく;
R2は、OR2aまたは
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、
【0014】
【化3】

【0015】
は、リンクする結合を表す)であり;
R2aは、水素、アセチル、−(C=O)CHNR2bR2c、または−(C=O)CHCHNR2bR2cであり;
R2bおよびR2cは、互いに独立して、水素またはC1〜C6アルキル(これは、置換もしくは非置換であってもよく、ここで、2個までの原子が、N、OもしくはSであってもよく、そして1個の炭素原子が、C=Oとして現れてもよい)であるか、またはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、そのうちの2個までの原子が、N、OもしくはSであってもよく、そして1個の炭素がC=Oとして現れてもよい4〜7員環を形成し;
R3は、水素であるか、または
R2およびR3は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C=O基を表し;
R4は、水素であるか、または
R2およびR4は、それらが結合している炭素原子の間の結合と一緒になって、該炭素原子間の二重結合を表し;
Zは、
【0016】
【化4】

【0017】
(式中、
【0018】
【化5】

【0019】
は、リンクする結合を表す)であり;
R5は、水素または−OR5aもしくは−NR5bR5cであり;
R6は、水素または−OR6aもしくは−NR6bR6cであるか;または
R5およびR6は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C=O基を表し;
R7は、水素または−OR7aもしくは−NR7bR7cであり;
R8は、水素または−OR8aもしくは−NR8bR8cであるか;または
R7およびR8は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C=O基を表し;または
R5およびR6の一つは、
R7およびR8の一つと一緒になって、式−NR56(CO)O−もしくは−O(CO)NR78−の基を表し、
R9は、水素であるか、または
R8およびR9は、それらが結合している炭素原子の間の結合と一緒になって、該炭素原子間の二重結合を表し;
R5a、R6a、
R7aおよびR8aは、互いに独立して、水素またはC1〜C6アルキル(これは、置換もしくは非置換であってもよく、ここで、1個以上の単結合は、二重結合および/もしくは三重結合で置き換えられてもよく、かつ1個の炭素原子が、C=Oとして現れてもよく、また、2個までの原子がN、OもしくはSであってもよい)であり;
R56およびR78は、水素またはC1〜C6アルキルであり;
R5b、R5c、
R6b、R6c、
R7b、R7c、
R8bおよびR8cは、互いに独立して、水素、C1〜C6アルキル(これは、置換もしくは非置換であってもよく、2個までの原子が、N、OもしくはSであってもよく、かつ1個の炭素原子が、C=Oとして現れてもよい)もしくは−(C=O)ヘテロシクリルであるか、またはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、そのうちの2個までの原子がN、OもしくはSであってもよく、かつ1個の炭素がC=Oとして現れてもよい4〜7員環を形成し;
R10およびR11は、独立して、水素、メチルから;アリール;アラルキル;ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキル基から選択される場合により置換されている基から選択され、かつR10およびR11の一つは、基−L−A2−Wであってもよく;そして
は、(R)もしくは(S)体であるキラル中心を示し;
ただし、
Zは、式:
【0020】
【化6】

【0021】
(式中、
【0022】
【化7】

【0023】
は、リンクする結合を表す)の基ではない]
のマクロライド化合物に関する。
【0024】
本発明の目的のために、用語「マクロライド化合物」は、化合物の分離した立体異性(stereomeric)形態およびジアステレオマー混合物を含むものと理解される。
【0025】
さらに、用語「マクロライド化合物」は、本発明において、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩およびN−オキシドならびにin vivo開裂可能(cleavable)エステルを含むものと理解される。
【0026】
本発明の化合物は、ホスホジエステラーゼ(PDE類)、特に、PDE4,特にヒトホスホジエステラーゼ(PDE類および、炎症プロセスに関与していることが示されているPDE4に対して相当な阻害活性を示す(例えば、Lipworth B. J., Lancet (2005) 365, p. 167またはGiembycz M. A., Curr. Opin. Pharmacol. (2005), 5, p. 238参照)。このことを実施例に示す。したがって、ホスホジエステラーゼ、特にホスホジエステラーゼ4(PDE4)の阻害により改善または緩和し得る例えば哺乳類のような動物から選択される対象、特にヒトでの疾患および障害の処置のための本発明に係る化合物の使用は、本発明のさらなる局面である。この活性に基づいて、本化合物は、特に、炎症性疾患の予防および/または治療ならびにアレルギー性疾患の治療および/または予防、さらに、そのような対象における制御されない細胞成長、増殖および/または生存に伴う疾患、例えばガンの予防および/または治療に有用である。ヒトへの使用が好ましい。
【0027】
このような疾患の特に重要な例は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、リューマチ性関節炎、アトピー性皮膚炎または炎症性腸疾患およびガン疾患である。
【0028】
本発明の目的のために、用語「芳香族基」および「アリール」は、1個以上の、好ましくは6員の核を有し、かつ6〜14個の炭素原子を有する芳香族基を指す。例としては、特に、フェニル、ナフチル、アントリルおよびフェナントリルがある。これらの基は、さらに、例えば、以下で定義するようなアルキル、低級アルキコシ、例えばメトキシ、エトキシ、プロピルオキシもしくはn−ブトキシのようなC〜Cアルキコシ、シクロペンチルオキシ、シクロプロピルメチルオキシのようなC〜CシクロアルキルオキシもしくはC〜Cシクロアルキル−C〜Cアルコキシ、以下に定義するようなハロゲン、ジフルオロメチルもしくはトリフルオロメチル、トリクロロエチル等のハロゲン置換アルキル基、ジフルオロメトキシ等のハロゲン置換アルコキシ基、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、メルカプト、ヒドロキシ、カルバモイル、カルボキシル基から選択される1、2、3もしくは4個の置換基で置換されていてもよい。アリール基に1個より多い置換基が結合している場合、これらの置換基は、同一でも、互いに異なっていてもよい。また本発明の範囲内に包含されものは、特定の基の異なる可能な位置異性体(構造異性体)であり、例えば、「ジメトキシ−フェニル」は、両方のメトキシ置換基が、フェニル環の2,3位、2,4位、2,5位、2,6位、3,4位、3,5位および3,6位に結合し得ることを意味する。
【0029】
本明細書で使用される用語「ヘテロ環基」または「ヘテロシクリル」は、硫黄、酸素、および好ましくは窒素からなる群より選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む、不飽和または飽和の、非置換または置換された5〜10員の(単環または二環)ヘテロ環系を指す。例示的なヘテロ環置換基は、例えば、以下の基を含むが、これらに限定されるものではない:ピペリジニル、モルホリニル、2−、3−もしくは4−ピリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、1H−ピラゾール−1−イル、1H−イミダゾール−1−イル、1H−イミダゾール−2−イル、ピラジニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラゾリル、トリアジニル、チアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、例えば1H−[1,2,4]−トリアゾール−1−イル、1H−テトラゾリル、2H−テトラゾリル;チエニル、フリル(2−フラニルもしくは3−フラニル)、1H−アゼピニル、テトラヒドロチオフェニル、3H−1,2,3−オキサチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジチオリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、4H−1,2,4−オキサジアジニル、1,2,5−オキサチアジニル、1,2,3,5−オキサチアジアジニル、1,3,4−チアジアゼピニル、1,2,5,6−オキサトリアゼピニル、オキサゾリジニル、テトラヒドロチエニル等、またはキノリニルのような縮合ヘテロ環系、例えばキノリン−8−イル、キノリン−5−イル、キノリン−2−イル、キノリン−6−イル、キノリン−3−イル、イソキノリニル(6−イソキノリニル)、キナゾリニル、1H−ベンズトリアゾリル、1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジニル、5H−イミダゾ[4,5−c]ピリジニル、1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル、3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル、1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−キノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリニル、チエノ[2,3−b]ピリジニル、ベンゾチアゾリル(例えば、2−ベンゾチアゾリル)、1H−ベンゾイミダゾリル、1H−インドリル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、プリニル、例えば9H−プリン−9−イル、6−アミノ−9H−プリン−9−イル、2,6−ジアミノ−9H−プリン−9−イル、1H−プリン−6−イル、1H−2,3−ジヒドロインドール−1−イル、2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イル、2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−4−イル、1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、2,3−ベンゾオキサゾリニル、1,2−ジヒドロ−オキサゾロ[5,4−c]ピリジニル、6−キノキサリニル、2−ベンゾ[b]チエン−3−イル、3,4−ジヒドロ−1H−2−オキソ−キノリン−6−イル。
【0030】
ヘテロシクリル基は、さらに、1個以上の置換基で置換されていてもよい。そのような置換基は、例えば、以下に定義するようなアルキル、低級アルキコシ、例えばメトキシ、エトキシ、プロピルオキシもしくはn−ブトキシのようなC〜Cアルキコシ、シクロペンチルオキシ、シクロプロピルメチルオキシのようなC〜CシクロアルキルオキシもしくはC〜Cシクロアルキル−C1〜C4アルコキシ、以下に定義するようなハロゲン、トリフルオロメチル、トリクロロエチル等のハロゲン置換アルキル基、ジフルオロメトキシ等のハロゲン置換アルコキシ基;シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、メルカプト、ヒドロキシ、カルバモイル、カルボキシル、オキソ基を含む。ヘテロシクリル基に1個より多い置換基が結合している場合、これらの置換基は、同一でも、互いに異なっていてもよい。また異なる位置異性体も本発明の範囲内に包含され、例えば、「ジメチルピリジル」は、両方のメチル置換基が、化学的に可能な位置にてピリジルに結合し得ることを意味する。例えば、両方のメチル置換基は、3,4位、4,5位、5,6位、3,5位、3,6位および4,6位で2−ピリジルに結合し得る。両方のメチル置換基は、2,4位、2,5位、2,6位、4,5位、4,6位および5,6位で3−ピリジルに結合し得る。両方のメチル置換基は、2,3位、2,5位、2,6位および3,5位で4−ピリジルに結合し得る。
【0031】
ヘテロシクリル基の特に好ましい置換基は、アルキル、アルキコシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノまたはジアルキルアミノであり、ここでアルキルおよびアルキコシは、上で定義したとおりである。
【0032】
置換されたヘテロ環の好ましい例は、1H−ピリミジン−2,4−ジオン、1H,3H−ピリミジン−2,4−ジオン−5−メチル、1H−ピリミジン−4−アミノ−2−オン、6−アミノ−9H−プリン、6−ジメチルアミノ−9H−プリン、2,6−ジアミノ−9H−プリン、6−アミノ−8−[(3−ピリジニルメチル)アミノ]−9H−プリン、4−アミノ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン、4−メトキシ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン、1−エチル−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン、4−フェニル−1H−ピラゾール、3−(ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール、3−(ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル、3−(ピリジン−3−イル)−1H−イミダゾール−1−イル、3−(ピリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−イル、3−(ピリジン−3−イル)−1H−[1,2,4]トリアゾール、3−(ピリジン−4−イル)−1H−[1,2,4]トリアゾールおよび2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロ−キノリンである。
【0033】
本明細書で使用される用語「アルキル」は、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する、分岐鎖または直鎖の飽和炭化水素基を指す。このような基は、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、三級ブチル、ペンチル、ヘキシル等である。これらのアルキル基はさらに、例えば、低級アルキコシ、例えばメトキシ、エトキシ、プロピルオキシもしくはn−ブトキシのようなC〜Cアルキコシ、シクロペンチルオキシ、シクロプロピルメチルオキシのようなC〜CシクロアルキルオキシもしくはC〜Cシクロアルキル−C〜Cアルコキシ、以下に定義するようなハロゲン、ジフルオロメチルもしくはトリフルオロメチル、トリクロロエチル等のハロゲン置換アルキル基、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、メルカプト、ヒドロキシ、カルバモイル、カルボキシル、またはオキソから選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよい。1個より多い置換基が存在する場合、これらは、同一でも、互いに異なっていてもよい。
【0034】
用語、脂肪族基は、飽和または不飽和であり得る、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する分岐鎖または,好ましくは直鎖の炭化水素基を指す。例として、アルキル、ビニル、n−プロペニル、n−プロピニル、ブテニル基、ブタジエニル、ペンテニル基などが挙げられる。
【0035】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくはフッ素および塩素を指す。
【0036】
組み合わせにおいて、「ヘテロシクリルアルキル」および「アラルキル」の単一構成要素、「ヘテロシクリル」、「アラ」(すなわち、アリール)および「アルキル」は、上に示した意味を有する。
【0037】
用語、C〜Cアルキレン基は、例えば、メチレン、エチレン、n−プロピレン、イソ−プロピレンまたはn−ブチレンを指す。
【0038】
R1は、式−Y−X−Qの残基である。
【0039】
この式において、Yは、一般にはS、SOまたはSOであり;好ましくはSおよびSO、特に、Sである。
【0040】
Xは、結合、すなわち、「不存在」であるか、または水素原子およびC、N、Oおよび/またはSから選択される9個までの原子よりなる線状基であり、そのうち2個までの原子が、Nであってもよく、1個の原子がOもしくはSであってもよく、1個の炭素原子が、CO基として現れてもよく、その硫黄原子が、SO2基として現れてもよい。2個の隣接するC原子は、−CH=CH−またはC≡C−として存在してもよい。その基Xは非置換であるかまたは式−COO−Wもしくは−CONH−Wの置換基で置換されていてもよく、ここで、Wは、本明細書中で定義された意味を有する。既に示したように、9個までの原子を有するスペーサー基Xは、C原子を飽和させてメチレン基を形成するために、またはN原子を飽和させてアミノ基を形成するために追加の水素原子を有していてもよい。好ましくは、このスペーサーは、C、N、Oおよび/またはSから選択される2〜5個の原子よりなる。
【0041】
好ましい基Xは:
(CH、(CHOCH、(CHNCH(CH、CHCHNH、(CHCOO、(CHCONH;O(CHまたはHN(CH(式中、nおよびpは1、2または3であり、mは0または好ましくは1、2または3である)であり、炭素原子を介して基Yと結合する。
【0042】
特に好ましいX基は、1,2−エチレン、n−プロピレンまたはイソ−プロピレンおよびO(CHまたはHN(CH(式中、pは2または3であり、好ましくは2である)である。
【0043】
YとXの好適な組み合わせは、例えば、以下のとおりである:
Y=Sに関しては、Xは、1,2−エチレン、1,2−および1,3−プロピレン、CHCO、CHCOCH、CHCONR、CHCONRCH、CHCONRCHCH、CHCHO、CHCHCONR、CHCHCONRCH、CHCHNR、CHCHNRCO、CHCHNRSO、CHCHNRCOO、CHCHOCH、CHSONR、CHSONRCH、CHCHOCONR、CH2CH=CHまたはCHC≡Cであり;ここで、上記の表現におけるRは、水素またはメチルであり、炭素原子を介して基Yと結合する。
【0044】
YとXの特に好適な組み合わせは、SCHCH、SCHCHN、SCHCHO、SCHCHCH、SCHCHCHNおよびSCHCHCHOである。
【0045】
式I中、Qは、Wまたは式−V−A1−L−A2−Wの残基である。または、Xが結合を表さない場合には、式I中のQは、−NR10R11であってもよい。
【0046】
Vは、二価の芳香族基またはヘテロ環基、例えば、具体的に上記したものの一つであってもよい。
【0047】
式Iの化合物の他の好ましい基において、Vは、式:
【0048】
【化8】

【0049】
(式中、
【0050】
【化9】

【0051】
は、フェニレン環または、2〜(x−1)個の炭素原子と、硫黄および、好ましくは酸素と窒素からなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子とを含む、x員の飽和もしくは不飽和の二価のヘテロ脂肪族もしくはヘテロ芳香族の環(xは5〜8、好ましくは5または6である)であり、R12およびR13は、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cシクロアルキルオキシ、C〜Cシクロアルキル−C〜Cアルコキシ、ハロゲン、ハロゲン置換C〜Cアルキル基、ハロゲン置換C〜Cアルコキシ基、シアノ、ニトロ、アミノ、C〜Cアルキルアミノ、ジ(C〜C)アルキルアミノ、C〜Cアルキルチオ、メルカプト、ヒドロキシ、カルバモイル、カルボキシル基、オキソ基;またはアリールもしくはヘテロシクリル(これらは、非置換、またはアリールもしくはヘテロシクリル以外の、1個以上の上で特定した置換基で置換されていてもよい)からなる群より独立して選択されるか、または置換基R12およびR13の両方が、環:
【0052】
【化10】

【0053】
の隣接する炭素原子に位置する場合、これら2個の置換基は、該隣接する炭素原子と一緒になって、5員もしくは6員の芳香族環、または2〜(x−1)個の炭素原子と、硫黄および、好ましくは酸素と窒素からなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子とを含む、x員の飽和もしくは不飽和のヘテロ脂肪族もしくはヘテロ芳香族の環(xは、5〜8、好ましくは5または6である)を形成してもよく、ここで、Vは、全体で、R12およびR13について定義した種類の1〜4個の置換基を有していてもよく、そして自由原子価は、基Vの一方または両方の環のいずれかに位置していてもよい)
の二価の基である。
【0054】
Vの特に好ましい意味として、
【0055】
【化11】

【0056】
が挙げられる。
【0057】
式IのWは、上記で説明したアリールまたは、好ましくはヘテロシクリルのいずれかであることができる。
【0058】
基−V−A1−L−A2−W(式中、基A1;LもしくはA2の少なくとも1つが存在する)において、Wは、一価の置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の、C、N、Oおよび/またはSからなる5個までの原子を有し、その1個の炭素原子は、CO基として現れてもよく、1個の硫黄原子は、SO基として現れてもよい線状基であってもよい。この場合、Wは、また、基Xに関して既に上記したように、CまたはN原子を飽和させるために、追加の水素原子を有していてもよい。
【0059】
式Iの好ましい実施態様において、Wは、式:
【0060】
【化12】

【0061】
(式中、
【0062】
【化13】

【0063】
は、フェニル環または、2〜(x−1)個の炭素原子と、硫黄および、好ましくは酸素と窒素からなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子とを含む、x員の飽和もしくは不飽和のヘテロ脂肪族もしくはヘテロ芳香族の環(xは5〜8、好ましくは5または6である)であり、R14およびR15は、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cシクロアルキルオキシ、C〜Cシクロアルキル−C〜Cアルコキシ、ハロゲン、ハロゲン置換C〜Cアルキル基、ハロゲン置換C〜Cアルコキシ基、シアノ、ニトロ、アミノ、C〜Cアルキルアミノ、ジ(C〜C)アルキルアミノ、C〜Cアルキルチオ、メルカプト、ヒドロキシ、カルバモイル、カルボキシル基、およびオキソ基からなる群より独立して選択されるか、または置換基R14およびR15の両方が、環:
【0064】
【化14】

【0065】
の隣接する炭素原子に位置する場合、これら2個の置換基は、該隣接する炭素原子と一緒になって、5員もしくは6員の芳香族環または、2〜(x−1)個の炭素原子と、硫黄および、好ましくは酸素と窒素からなる群より選択される1〜3個のヘテロ原子とを含む、x員の飽和もしくは不飽和のヘテロ脂肪族もしくはヘテロ芳香族の環(xは、5〜8、好ましくは5または6である)を形成してもよく、ここで、Wは、全体で、R14およびR15について定義した種類の1〜4個の置換基を有していてもよく、そして自由原子価は、基Wのいずれかの環に位置していてもよい)
の基を表す。
【0066】
Wの特に好ましい例は、以下の基である:
【0067】
【化15】

【0068】
(式中、R16は、水素またはC〜Cアルキル、特にメチルである)。
【0069】
基−V−A1−L−A2−Wにおいて、基A1、A2は、一般に、互いに独立して、存在しないかまたはC〜Cアルキレン基である。Lは、一般に、そのような基中で、−O−、−S−、−SO−、−NH−、−CO−、−(CO)O−、−O(OC)−、−(CO)NH−、−NH(CO)−、−(SO)NH−、−HN(SO)−、−HN(CO)NH−、−O(CO)NH−および−NH(CO)O−から選択されるが、A1および/またはA2が存在する場合には、存在していなくてもよい。
【0070】
本発明に係るマクロライド化合物の好ましい例において、A1およびA2は、互いに独立して、存在しないかまたはC〜Cアルキレン基であり;そして
Lは、−NH−、−(CO)NH−および−NH(CO)−から選択されるか;または存在しない。
【0071】
特に好ましいものは、
A1、A2が、互いに独立して、存在しないかまたはC〜Cアルキレン基であり;
Lが、−NH−、−(CO)NH−または−NH(CO)−であり;
Vが、式:
【0072】
【化16】

【0073】
の二価の基であり、そして
Wが、式:
【0074】
【化17】

【0075】
の基である、式(I)の化合物である。
【0076】
同じく好ましいものは、
Yが、−S−であり、そして
Xが、−CH−CH−CH−または、好ましくは、それぞれNH基もしくはO原子を介して残基Qに結合している−CH−CH−NH−、−CH−CH−O−、−CH−CH−CH−NH−もしくは−CH−CH−CH−O−、または−CH−CH−、最も好ましくは−CH−CH−である、
本発明に係る化合物、特に先の段落で述べたものである。
【0077】
本発明に係る対応するマクロライド化合物の好ましい例は、Qが以下の式:
【0078】
【化18】

【0079】
を有する式Iの化合物である。
【0080】
Xが式Iにおいて結合を表さない場合には、Qはまた、−NR10R11であってもよい。この場合、R10およびR11は、例えば上で説明したような、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルから独立して選択され;そしてR10およびR11の一方は、基−L−A2−W(式中、LおよびWは、上記の意味の一つを有する)であってもよい。
【0081】
本発明に係る対応するマクロライド化合物の好ましい例は、Qが、基−NR10R11であり、かつ、以下の式:
【0082】
【化19】

【0083】
(式中、
【0084】
【化20】

【0085】
は、メトキシ残基を意味する)
の一つを有する、式Iの化合物である。
【0086】
式(I)の化合物の特別な態様において、基Qは、上で一般的に定義されたような残基Wを表す。このタイプの特別な化合物は、基Wとして、式:
【0087】
【化21】

【0088】
の一つの基を含む。
【0089】
残基R5およびR6の一つならびに/または残基R7およびR8の一つが、水素であり、対応する他の方は、水素ではない場合が、同じく本明細書に記載の他の好適例と組み合わせて、さらに好ましい。
【0090】
同じく好ましいものは、R5が−NR5aR5bであり、および/またはR7が−NR7aR7bである、式Iの化合物である。
【0091】
同じく好ましいものは、R6が−OR6aであり、および/またはR8が−OR8aである、本発明に係る化合物である。
【0092】
本発明の化合物のさらに好ましい態様は:
R8およびR9が、それらが結合している炭素原子の間の結合と一緒になって、二重結合を形成する、化合物;
R9が、水素である、化合物;
R5a、R6a、R7a、R8aが、互いに独立して、水素もしくはC1〜C6アルキルもしくはビニルであるか、またはR56とR78、R5b、R5c、R6b、R6c、R7b、R7c、R8bおよびR8cが、互いに独立して、水素またはC1〜C6アルキルである、化合物;
R2が、
【0093】
【化22】

【0094】
(式中、
【0095】
【化23】

【0096】
は、リンクする結合を表す)である、化合物;
R2aが、水素である、化合物;
R2およびR3が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C=O基を表す、化合物;または
R2およびR4が、それらが結合している炭素原子の間の結合と一緒になって、二重結合を形成する、化合物
を含む。
【0097】
本発明に係るさらに好ましい化合物は、以下のものである:
【0098】
【化24】

【0099】
本発明の化合物の具体的な例として、例えば:
【0100】
【化25】

【0101】
ならびに式:
【0102】
【化26】

【0103】
の化合物および式:
【0104】
【化27】

【0105】
の化合物が挙げられる。
【0106】
本発明に係るさらに好ましい化合物は:
【0107】
【化28】

【0108】
である。
【0109】
既に上に示したように、所望であれば、式Iのマクロライド化合物は、薬学的に許容される酸付加塩として存在し、使用し得る。無機酸との塩だけでなく、有機酸との塩も考慮し得る。塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等は、そのような塩の例である。
【0110】
さらに、式Iの該化合物を、in vivo開裂可能なエステル、例えば糖部分の2’−ヒドロキシ基を有するエステルに変換することができる。好適なエステルは、一般に、酢酸エステル、ピバロイルエステル、酒石酸エステル、マレイン酸エステル、コハク酸エステル等である。
【0111】
それらの薬学的に許容され得る酸付加塩またはin vivo開裂可能なそれらのエステルを含む本発明の化合物は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、リューマチ性関節炎、アトピー性皮膚炎または炎症性腸疾患などの疾患の予防および/または治療に有用である。
【0112】
本発明の化合物、およびそれらの薬学的に許容され得る酸付加塩またはin vivo開裂可能なそれらのエステルは、慢性気管支炎、気腫、蕁麻疹、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、乾癬、敗血性ショック、成人呼吸窮迫症候群および多発性硬化症等の疾患の予防および/または治療ならびに制御されない細胞成長、増殖および/または生存に伴うヒト(+動物)の疾患、例えばガンの処置にも有用であり得る。
【0113】
本発明に係る化合物は、医薬として使用し得る。したがって、本発明のさらなる実施態様は、動物、例えば哺乳動物および、好ましくはヒトから選択される対象において感染性疾患もしくはアレルギー性疾患または制御されない細胞成長、増殖および/もしくは生存に伴う疾患の治療および予防のための、例えば経腸(経口)投与用の医薬製剤形態の式Iの化合物、それらの薬学的に許容され得る酸付加塩、N−オキシドまたはそれらのin vivo開裂可能なエステルを含有する医薬である。本発明に係る製品は、例えば、例えば錠剤、フィルムコーティング錠剤、糖被覆錠剤、硬および軟カプセル剤、液剤、乳剤もしくは懸濁剤の剤形として経口的に、または例えば坐薬の剤形として直腸経由で、または例えば注射により非経口的に、または経鼻的に、または吸入もしくは経皮的に、または例えば局所投与により局所的に投与され得る。好ましくは、化合物は、局所的または経口的に投与される。
【0114】
これら化合物を含有する医薬組成物は、当業者が精通している従来の手順を用いて、例えば成分を、適切な、無毒の、不活性な、治療的に適合性の固体または液体担体材料、および、所望であれば、通常の医薬アジュバントと一緒に組み合わせて剤形にすることにより調製し得る。
【0115】
化合物は、最終的に、適切な経口、非経口または局所剤形の組成物に具現化されることが想定される。本発明の組成物は、場合による成分として、医薬製剤の製造において通常使用されている任意の様々なアジュバントを含有し得る。したがって、例えば、本組成物を所望の経口剤形に処方する際には、場合による成分として、微晶質セルロース、リン酸カルシウムまたはラクトース等の充填剤;澱粉、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムまたは架橋ポリビニルピロリドン等の崩壊剤;およびタルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等の滑沢剤などを使用し得る。しかしながら、本明細書に挙げた場合による成分は、例としてのみ示され、本発明は、これらの使用に限定されないことを十分理解する必要がある。本発明の実施の際には、当該技術分野にて周知の他のそのようなアジュバントを使用し得る。
【0116】
そのような担体材料としては、無機担体材料のみでなく、有機担体材料も適切である。したがって、錠剤、フィルムコーティング錠剤、糖被覆錠剤および硬カプセル剤のために、例えばラクトース、トウモロコシ澱粉またはその誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩を使用し得る。軟カプセル剤のための適切な担体は、例えば植物油、ロウ、脂肪ならびに半固体および液体ポリオール(活性物質の性質に応じて)である。液剤およびシロップ剤の調製のための適切な担体材料は、例えば水、アルコール、ポリオール、サッカロース、転化糖およびグルコースである。坐薬のための適切な担体材料は、例えば天然油または硬化油、ロウ、脂肪および半液体または液体ポリオールである。
【0117】
医薬アジュバントとしては、通常の保存剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、矯味矯臭剤、浸透圧を調整するための塩、緩衝剤、コーティング剤および酸化防止剤が想定される。
【0118】
式Iの化合物およびそれらの酸付加塩、N−オキシドまたはそれらのin vivo開裂可能なエステルは、非経口投与用に使用し得、この目的のために、好ましくは、水または等張の通常の塩溶液等の慣用の物質で希釈される凍結乾燥物(lyophilisate)または乾燥粉末として、注射用製剤に作製される。
【0119】
式Iの化合物およびそれらの酸付加塩、N−オキシドまたはそれらのin vivo開裂可能なエステルは、局所投与用に使用し得、この目的のために、好ましくは、軟膏、クリームまたはジェルのような製剤に作製される。
【0120】
ヒトおよびヒトではない哺乳動物での炎症性およびアレルギー性疾患の治療および/または予防のために、一日当たり約10mg〜約2000mg、特に約50mg〜約1000mgの用量が一般的であり、当業者は、用量が、哺乳動物の年齢および病状、ならびに予防または治療すべき疾患の種類に依存するであろうことを認識している。一日用量は、一回量で投与しても、または数回の用量に分割してもよい。約10mg、100mg、250mg、500mgおよび1000mgの平均一回量を想定し得る。
【0121】
式Iの化合物の調製は、例えば、スキーム1〜13に従って実施される。
【0122】
【化29】

【0123】
例えば、本発明の化合物は、一般スキーム1に説明されるようにクラリスロマイシンから出発して調製し得る。第一工程において、基R2〜R9が上で定義したとおりであるか、または当技術分野において周知の方法に従って適切に保護されている一般式IIを有するクラリスロマイシンまたはその誘導体を、Bakerら、J. Org. Chem. 1988, 53, 2340-2345に記載されている方法と同様の方法で、式IVの化合物に(IIIを経て)変換し得る。式IVの化合物の12位のヒドロキシ基を、標準的な方法に従って、例えば、2−クロロ酢酸、DCCおよびDMAPのような活性化剤で、または例えば塩化メチレン等の溶媒中、2−クロロ酢酸無水物、ピリジン、DMAPで処理することによりエステル化する。次に、中間体Vを、アセトン中、DBU等の塩基の存在下、適切な求核剤Q−X−SH(式中、QおよびXは、上で定義したとおりである)で処理して、式VIの化合物を得る(ここで、R1〜R9は、上で定義したとおりである)。R1の性質に応じて、式VIの化合物は、式IVの化合物を、塩化メチレン等の適切な溶媒中、適切なカルボン酸(R1CHCOOH)、DCCおよびDMAPのような活性化剤と反応させて、式VIの化合物を得ることによっても合成し得る。式VIの化合物は、DMFまたはTHF等の非プロトン性溶媒中、NaHまたはカリウムtert−ブトキシドもしくはLDA等のアルカリ金属塩基で処理すると、式VIIの化合物(式中、基R2〜R9は、上で定義したとおりである)を与える(スキーム1)。
【0124】
必要であれば、一般式VIIの化合物を、例えば、T. W. Greenら、Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, 1999に記載の、当技術分野において周知の方法に従って脱保護し、式Iの化合物を得る。
【0125】
R1がS−Rpであり(スキーム2)、Rpが硫黄保護基、例えばベンジル、4−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジルまたは4−ニトロ−ベンジル、好ましくは4−メトキシベンジルである場合、WO03/072588またはWO2006084410に記載されている方法と同様の方法で、中間体VIIaを、ジスルフィド誘導体VIII(式中、R2〜R9は、上で定義したとおりであり、Rpは、例えば3−ニトロ−2−ピリジニルまたはメチルである)に変換する。式VIIIの化合物を、アセトン水溶液、ジメチルホルムアミド水溶液、ジオキサン水溶液またはテトラヒドロフラン水溶液、好ましくはジメチルホルムアミド水溶液のような溶媒中、好ましくは0℃〜60℃で、トリアルキルホスフィン(好ましくはトリブチルホスフィン)またはトリアリールホスフィン(好ましくはトリフェニルホスフィン)のような還元剤で1分間〜1時間処理して、化合物IXを得る。化合物IXを、好ましくは単離せずに、同一の溶媒系内で、式Q−X−Lgの化合物(ここで、QおよびXは、以前に定義したとおりであり、Lgは、脱離基、例えば塩化物、臭化物、ヨウ化物、メタンスルホニルオキシ、p−トシルスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシである)で直接処理して、いずれの保護基をも除去した後に、式Iaの化合物を得る(スキーム2)。反応は、炭酸アルカリ金属もしくは炭酸水素塩等の塩基、例えば炭酸カリウム、炭酸セシウムもしくは炭酸水素ナトリウム、または有機塩基、例えばトリエチルアミン、N−エチルN,N−ジイソプロピルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンもしくは1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、好ましくは1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンの存在下に、0℃〜50℃間の温度で実施することが好ましい。反応混合物に触媒量のヨウ化物塩、好ましくはヨウ化ナトリウムを加えると有利であり得る。必要ならば、保護基を、例えば、T. W. Greenら、Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, 1999に記載の、当技術分野において周知の方法に従って除去する。
【0126】
【化30】

【0127】
マクロラクトン環の2位および/または3位(すなわち、R2〜R4)ならびに糖部分の1’位〜4’位(すなわち、R5〜R9)での修飾は、一般スキーム1および2に従って、一般式Iの分子の調製の前、その途中、またはその終わりに導入することができる。このような修飾のための適切な時点は、当業者に周知のように、適用される条件の種類に依存し、T. W. Greenら、Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, 1999に記載の標準的な手法に従って、特定の官能基を適切な保護基で保護することおよびそれに続く脱保護を必要とする場合がある。そのような修飾は、さらに、スキーム3〜14に記載されている。
【0128】
【化31】

【0129】
式IbおよびIcの化合物(式中、R7bおよびR7cは、上で定義されたとおりであるが、メチルではない)は、式VIIbの化合物から調製し得る(スキーム3)。N−脱メチル化は、例えば、文献に記載の手法に従って、光照射下のヨウ素またはN−ヨードスクシンイミドを用いて行われ(J. Med. Chem., 1995, 38, 1793; J. Org. Chem. 2000, 65, 3875)、式Xまたは式XIの化合物が得られる。置換基R7bおよびR7cは、例えば、好ましくは室温でメタノール等の溶媒中でNaCNBHのような還元剤の存在下、適切なアルデヒドを用いる還元的アミノ化により、またはDMF、アセトニトリル、トルエン等のような溶媒中で水素化ナトリウムまたは炭酸ナトリウムのような塩基の存在下のハロゲン化アルキルでのアルキル化により導入され、式IbまたはIcの化合物を与える。2種の基R7bおよびR7cは、同時にまたは順次、好ましくは順次導入することができる。式XおよびXIの化合物は、また、アミド結合の形成のために当技術分野において公知の標準的な条件下に、置換クロロホルミエート、置換カルボニル塩化物またはカルボン酸と反応させることができる。または、基R7bおよびR7cは、スキーム4に示された上に記載の同様の方法に従って、式XIIIまたはXVの化合物から出発して導入してもよく、式XIVおよびXVIIの化合物が得られる。これらの化合物を、次いで、スキーム1〜14のいずれかに従ってさらに修飾して、一般式IbおよびIcの化合物が得られる。
【0130】
【化32】

【0131】
式Idおよび式Ieの化合物は、クラリスロマイシンを出発して調製し得る。第一工程において、クラリスロマイシンは、例えば、好ましくは室温で、メタノールのような溶媒中、過酸化水素で処理されて、化合物XVIIIを与える。次いで、化合物XVIIIを、好ましくは150℃〜190℃で熱分解すると、式XIXの化合物が得られる。2’および4”−ヒドロキシル基の保護は、文献に記載の方法により適切な酸無水物または酸塩化物との反応により達成することができ、式XXの化合物(式中、Rp1およびRp2は、アセチル、ベンゾイル、ベンジルオキシカルボニル等である)が得られる。または、式XIXの化合物は、パラジウム炭素のような触媒の存在下に水素ガス雰囲気下で水素化すると、上記の方法に従って保護した後に、式XXIIの化合物を与える。次いで、式XXおよびXXIIの化合物を、スキーム1〜14のいずれかに従ってさらに修飾すると、一般式IdおよびIeの化合物が得られる。
【0132】
【化33】

【0133】
式XXVIIの化合物は、化合物XXIV(式中、Rp1およびRp2は上で定義されたとおりであり、好ましくはアセチルである)を出発して得ることができる。化合物XXIVは、Rp1がアセチルの場合は20〜50℃の範囲の温度でメタノール中で攪拌することにより、2’位で選択的に脱保護されて、式XXVの化合物を与える。この中間体は、0〜30℃の範囲の温度で、ピリジンのような塩基の存在下にジクロロメタンのような溶媒中で、塩化メシル、メタンスルホン酸無水物、塩化トシル、好ましくはメタンスルホン酸無水物のような試薬で処理すると、式XXVIの化合物(式中、Raは、メチル、トリフルオロメチル、またはメチルフェニルである)を与える。次いで、化合物XXVIは、例えばメタノール、エタノール、モルホリン、ジメチルアミン等のような、基R8を含む適切な求核剤で処理すると、一般式XXVIIの化合物を与える。次いで、式XXVIIの化合物は、スキーム1〜14のいずれかに従ってさらに修飾すると、一般式Ifの化合物を与える(スキーム6)。または、式Ifの化合物は、上記の手法と同様の手法に従って、スキーム7に記載のように式XXVIIIの化合物を出発して得ることができる。式XXVIIIの化合物は、スキーム1に従って得られる。
【0134】
【化34】

【0135】
【化35】

【0136】
一般式Iの化合物(式中、R6はO−R6aである)は、一般式XXXIIの化合物を出発して調製し得る。2’位のヒドロキシル基は、当技術分野において公知の以下の方法、例えば、DMF、THF、DMSO、アセトンまたはこれらの混合物のような溶媒中で、水素化ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムのような塩基の存在下にハロゲン化アルキルで処理することによりアルキル化することができ、式XXXIIIの化合物が得られる(スキーム8)。次いで、式XXXIIIの化合物は、スキーム1〜14のいずれかに従ってさらに修飾すると、一般式Ihの化合物を与える。
【0137】
【化36】

【0138】
2,3−アンヒドロ−マクロラクトンは、スキーム9に記載のように調製し得る。化合物XXXIV(J. Med. Chem. 1998, 41, 1651)は、0℃〜25℃でDMFもしくはTHFまたはこれらの混合物のような溶媒中で水素化ナトリウムのような塩基で処理すると、式XXXVの化合物を与える。次いで、式XXXVの化合物は、スキーム1〜14のいずれかに従ってさらに修飾すると、一般式Iiの化合物を与える(スキーム9)。
【0139】
【化37】

【0140】
式Iの化合物(式中、R2およびR3は、一緒になってカルボニル基を形成する)は、式XXXVIの化合物を出発して合成し得る(J. Med. Chem. 1998, 41, 4080)。次いで、式XXXVIの化合物は、スキーム1〜14のいずれかに従って修飾すると、一般式Ikの化合物を与える(スキーム9)。または、3位のカルボニル基は、当技術分野において周知の方法に従う合成において、後に導入することができる(例えば、WO03/072588)(スキーム11)。
【0141】
【化38】

【0142】
【化39】

【0143】
式Ioの化合物は、ヒドロキシル基のエステル化について周知の方法に従って、化合物XXXIXを2−クロロアセチル塩化物、2−クロロ酢酸無水物または2−クロロ酢酸と反応させることにより得ることができ、式XLの化合物(Rb=CHCl)を与える。次いで、この化合物は、例えばジメチルアミンまたはモルホリンのような適切な求核剤と反応させると、式Ioの化合物を与える(スキーム12)。式Inの化合物を、同様な方法で、化合物XXXIXを塩化アクロイルと反応させることにより化合物XL(式中、RbはCH=CHである)が得られ、続いて、例えばジメチルアミンまたはモルホリンのような適切な求核剤と反応させることにより式Inの化合物を与える。式Imの化合物は、塩基と適切な活性化剤の存在下での、酸無水物、酸塩化物またはカルボン酸の反応により、化合物XXXIXから調製される。
【0144】
【化40】

【0145】
式Ipの化合物は、化合物XLIから出発して、スキーム13にまとめられているようにスキーム1〜14のいずれかに従って調製し得る(Bioorg. Med. Chem. 2007, 15, 3266)。または、式Ipの化合物は、Bioorg. Med. Chem. 2007, 15, 3266に記載されたものと同様の方法に従って、化合物XXVIIIから出発して調製される。
【0146】
【化41】

【0147】
式Iqの化合物は、例えば、0℃〜室温の範囲の温度で1〜3時間、塩化メチレンのような溶媒中で、式Iaの化合物(Y=Sの式Iの化合物)を2〜2.5当量の3−クロロ過安息香酸(mCPBA)および4〜5当量のNaHCOで処理することにより調製することができる。反応中に糖残基のジメチルアミノ基上に形成されるN−オキシドは、室温で5分〜24時間の間、有機相をピロ亜硫酸ナトリウムの水溶液で処理することにより、後処理で還元すると、所望の式Iqの化合物をジアステレオ異性体の混合物として与える。または、適当であるならば、N−オキシドは、標準的な手法に従って、触媒的水素化により還元される。式Iqの化合物は、上記のように、ただし室温で1〜48時間さらに酸化することができ、N−オキシドの還元後、式Irの化合物が得られる。化合物Irは、また、0℃〜室温の範囲の温度で、5〜48時間の間、3.5〜10当量の酸化剤および7〜20当量のNaHCOを用い、引き続いて上記の後処理手法により、式Iaの化合物から一工程で得ることができる(スキーム14)。
【0148】
Qがアミノ基のような酸化に感受性の置換基でさらに置換されている場合、これらの置換基は、スルフィドIaを酸化に供する前に保護する必要があり得る。当技術分野において一般的に公知の好適な保護基は、T. W. Greenら、Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, 1999に記載の標準的な手法に従って、導入することができる。酸化の後、保護基は、同じくT. W. Greenらに記載の標準的な手法に従って除去することができる。
【0149】
【化42】

【0150】
スキーム1〜14に記載の個々の修飾を、同一の分子で順次行って、一般式Iの化合物を得ることができ、すなわち、例えばスキーム9に記載のマクロラクトン環の2位および3位における修飾は、例えばスキーム4に記載の糖部分の修飾と組み合わせることができることが理解される。官能基との干渉を回避するために、当業者は、反応を適切な順序で行い、かつ、必要ならば、官能基を保護し、その後脱保護するであろう。
【0151】
例えば式IまたはI−Aの化合物中のおよび上記のもののような中間体のR1は、さらに修飾することができることがさらに理解される。例えば、エステル基は、加水分解することができ、得られた酸は、当技術分野において周知の方法に従って、アミンと結合されてアミドを形成することができる。
【0152】
したがって、本発明はさらに、本発明に係る式(I)の化合物の製造方法であって、
a)式(II):
【0153】
【化43】

【0154】
(式中、基R2〜R9は、上で定義したとおりである)
を有するマクロライド化合物を、必要な場合には適切に保護した後、それ自体公知の方法で、式IV:
【0155】
【化44】

【0156】
の化合物に変換し、
b)式IVの化合物を、それ自体公知の方法で、式VI:
【0157】
【化45】

【0158】
(式中、R1は、上で定義したとおりであるか、または式−S−Rp基であり、ここでRpは、硫黄保護基である)の化合物に変換し、
c)式VIの化合物を、非プロトン性溶媒中で、アルカリ金属塩基と反応させて、式VII:
【0159】
【化46】

【0160】
(式中、R1〜R9は、上記の意味を有する)の化合物を形成し、必要な場合には任意の保護基を除去して、式Iの化合物を形成することを含み、
ただし、R1がS−Rpである場合、存在するヒドロキシル保護基を除去する前に、式VIIの化合物を、(R2がクラジノシル基を表すとき、モレキュラーシーブの存在下、)式VIII:
【0161】
【化47】

【0162】
(式中、Rpは、C1〜C4アルキル、特にメチルであるか、または3−ニトロ−2−ピリジニルである)のジスルフィド誘導体とし、
この化合物を、溶媒、特にアセトン水溶液、DMF水溶液、ジオキサン水溶液またはTHF水溶液中、還元剤、特にトリアルキルホスフィンまたはトリアリールホスフィンで処理して、式IX:
【0163】
【化48】

【0164】
(式中、R2〜R9は、上記の意味を有する)の化合物を得、
次に、この化合物を、式Q−X−Lgの化合物(式中、QおよびXは、式(I)中で定義したとおりであり、Lgは、脱離基であるか、またはXがカルボニルもしくはスルホニル基を表す場合、ビニル基である)と反応させて、式VIIの化合物(式中、R1は、上で定義したとおりである)を得ることを条件とする、方法に関する。
【0165】
式(II):
【0166】
【化49】

【0167】
(式中、基R2〜R9は、上で定義したとおりである)
の化合物;
式IV:
【0168】
【化50】

【0169】
(式中、基R2〜R9は、上で定義したとおりである)
の化合物;
式VI:
【0170】
【化51】

【0171】
(式中、基R1、R2〜R9は、上で定義したとおりである)
の化合物;および
式(VIII):
【0172】
【化52】

【0173】
(式中、Rp、R2〜R9は、上で定義したとおりである)
の化合物;
は、したがって、式(I)に係る化合物の製造用の有用な中間体であり、本発明のさらなる対象である。
【0174】
本発明はさらに、請求項1記載の式Iの化合物の製造方法であって、
式:
【0175】
【化53】

【0176】
(式中、R1、R2、R3およびR4は、上で定義したとおりの意味を有し、そして
Z1は、式:
【0177】
【化54】

【0178】
(式中、
【0179】
【化55】

【0180】
は、リンクする結合を表す)
の基である)
の化合物から選択される化合物を、それ自体公知の方法で、本発明に係る式(I)の化合物に変換することを含む、方法に関する。
【0181】
式(I−1);(II−1);(IV−1);(VI−1)または(VII−1)の化合物は、以下の方法スキームに従って得られる:
a)式(II−1):
【0182】
【化56】

【0183】
(式中、基R2〜R4およびZ1は、請求項41に定義したとおりである)
を有するマクロライド化合物を、必要な場合には適切に保護した後、それ自体公知の方法で、対応する式(IV−1):
【0184】
【化57】

【0185】
の化合物に変換し、
b)式(IV−1)の化合物を、それ自体公知の方法で、対応する式(VI−1):
【0186】
【化58】

【0187】
(式中、R1は、請求項1に定義したとおりであるか、または式−S−Rp基であり、ここでRpは、硫黄保護基である)の化合物に変換し、
c)式(VI−1)の化合物を、非プロトン性溶媒中で、アルカリ金属塩基と反応させて、対応する式(VII−1):
【0188】
【化59】

【0189】
の化合物を形成し、必要な場合には任意の保護基を除去して、式(I−1)の化合物を形成するか、
またはR1がS−Rpである場合、任意のヒドロキシル保護基を除去する前に、(R2がクラジノシル基を表すとき、モレキュラーシーブの存在下、)式(VIII−1):
【0190】
【化60】

【0191】
(式中、Rpは、C1〜C4アルキル、特にメチルであるか、または3−ニトロ−2−ピリジニルである)
のジスルフィド誘導体に変換し、上記の方法でさらに加工する。
【0192】
以下の実施例は、本発明をさらに説明するために提供され、本発明の範囲をどのようにも限定するものとして解釈するべきではない。
【0193】
実施例
以下の実施例は、本発明をさらに説明するために提供され、本発明の範囲をどのようにも限定するものとして解釈するべきではない。
【0194】
【表1】













【0195】
一般的な注釈:MSスペクトルは、(A)Masslynxソフトウエアを伴うMicromass Waters ZQシステム、および(B)Waters Acquity−LCを搭載したQ−Tof−Ultima(Waters AG)を用いて測定した。このシステムは、標準的Locksprayインターフェースを装備していた。スペクトルは、+ESIイオン化および内部較正付きの+3.4kVのキャピラリー電圧で測定した。正確な質量は、電子質量を考慮して4桁の十進数字で提供される。分析用HPLC:システムAa:カラム:Bischoff Prontosil 120−3−C18 SH 3μm、75x4.6mm;流速:1.2mL/分;検出:ELSD,UV;移動相A:水+3%アセトニトリル+0.1%TFA;移動相B:アセトニトリル+0.1%TFA;勾配:0〜2分は一定の5%B;2〜5分は直線的に5%〜30%B;5〜18分は直線的に30%〜55%B;18〜23.5分は直線的に55%〜95%B;23.5〜35分は95%B。システムBa:カラム:Agilent ZORBAX Eclipse plus C18、5μm、250x4.6mm;流速:1.0mL/分;検出:220nm;移動相A:水/アセトニトリル/TFA 98.9/1/0.1(v/v/v);移動相B:水/アセトニトリル/TFA 1/98.9/0.1(v/v/v);勾配:0〜5分は一定の0%B;5〜45分は直線的に0%〜100%B;45〜55分は100%B。分取HPLC:システムAp:カラム:YMC ODS−AQ、120A、5μm、50x20mm;プレカラム:YMC ODS−AQ、120A、5μm、10x20mm;流速:30ml/分;注入:500μl;検出:ELSD;移動相A:水+0.1%HCOOH;移動相B:アセトニトリル;勾配:直線的に10〜95%アセトニトリル、4分にて。システムBp:カラム:YMC Pro C18、50x21.1mm;流速:30mL/分;検出:ELSD;移動相A:20mM酢酸アンモニウム水溶液 移動相B:アセトニトリル;勾配:0.2分は直線的に90%B〜95%B;2〜6分は一定の95%B。略語:HPLCは、高速液体クロマトグラフィー;DMSOは、ジメチルスルホキシド;DBUは、ジアザビシクロウンデカン;DCMは、ジクロロメタン;DMFは、ジメチルホルムアミド;THFは、テトラヒドロフラン;DCCは、ジシクロヘキシルカルボジイミド;DMAPは、4−ジメチルアミノピリジン;EDC・HClは、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩;HATUは、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート;HOBtは、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール;MTBEは、メチルtert−ブチルエーテルTBDMSClは、tert−ブチル−ジメチル−シリルクロリド、TBAFは、テトラブチルアンモニウムフルオリド、MSは、質量分析;NMRは、核磁気共鳴;ESIは、エレクトロスプレーイオン化。
【0196】
実施例1
I−1、R1が[2−(6−アミノ−9H−プリン−9−イル)エチル]チオであり、R2がc−OHであり、R6がヒドロキシであり、R8およびR9がそれらが結合している炭素原子間の結合と一緒になって、二重結合を形成しており、そしてR3、R4、R5およびR7が水素である、式Iの化合物の調製
【0197】
A]化合物1−Aの調製
【0198】
【化61】

【0199】
メタノール800ml中のクラリスロマイシン30.0gの溶液に、過酸化水素(水中の10%)の溶液270mを3回に分けて加え、得られた懸濁液を15℃で20時間撹拌した。反応混合物は清澄になった。メタノールを減圧下で除去し、白色の固体の沈殿物を得た。固体を濾過により単離し、乾燥させ、粗生成物35.2gを得て、tert−ブチルメチルエーテル200mlに懸濁した。懸濁液を3時間撹拌し、次に濾過した。固体をtert−ブチルメチルエーテル80mlで洗浄し、減圧下で75℃で乾燥させ、所望の化合物28.4g(92%)を白色の固体として得た。
MS(ESI):764.6[MH]
保持時間(system Aa):10.9分
【0200】
B]化合物1−Bの調製
【0201】
【化62】

【0202】
化合物1−A 2gを減圧下で(〜70Pa)160〜180℃で2時間加熱した。続いて、明黄色の粉末をメタノールに溶解し、炭で脱色して、明灰色の固体を得た。この固体をメタノールと水(3:1)の混合物60mlから結晶化して、オフホワイトの固体620mgを得て、これを更にシリカゲル(DCM:MeOH 120:1、次に60:1)のカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物420mg(22%)を白色の固体として得た。
MS(−ESI):747.5[MHCOO]
保持時間(system Aa):17.2分
【0203】
C]化合物1−Cの調製
【0204】
【化63】

【0205】
無水酢酸1.6ml(17mmol;4当量)を、ジクロロメタン100ml中の化合物1−B 3.0g(4.24mmol)及びDMAP0.2g(1.7mmol、0.4当量)の撹拌した溶液に加え、混合物を32℃で一晩撹拌した。更に無水酢酸1.2ml(12.2mmol;3当量)及びトリエチルアミン1.0mを加え、混合物を再び一晩撹拌し、続いてDCM10mlで希釈した。有機層を水100で2回洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で蒸発させて、明黄色の固体を得た。粗生成物をMTBE 6mlで1時間粉砕し、濾過し、乾燥させて、所望の生成物2.5g(74%)を白色の固体として得た。
MS(−ESI):831.6[MHCOO]
保持時間(system Aa):23.4分
【0206】
D]化合物1−Dの調製
【0207】
【化64】

【0208】
化合物1−C400mg(0.51mmol)を、無水THF10mlに−50℃で溶解し、THF(0.91mmol)中の1M ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの溶液0.9mlで5分間かけて滴下して処理した。40分後、THF5ml中のカルボニルジイミダゾール0.206g(1.27mmol)を−50℃で加えた。反応混合物を−50℃で20分間撹拌し、次に0℃に15分間かけて温め、0〜3℃で5時間保った。反応混合物を飽和NHCl水溶液10mlでクエンチした。混合物を水40mlで希釈し、溶液を酢酸エチル30mlで3回抽出した。合わせた有機層を水30ml及びブライン40mlで2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させ、明黄色の固体410mgを得た。粗生成物230mgをシリカゲル(ヘキサン:酢酸エチル 4:1)カラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物120mgを白色の固体として得た。
保持時間(system Aa):23.0分
1H-NMR (CDCl3):(診断シグナルのみ) 5.74 (d, 1H); 5.49 (d, 1H); 5.21 (m, 1H); 5.02 (d, 1H); 4.94 (d, 1H); 4.84 (d, 1H); 4.66 (d, 1H); 4.58 (s, 1H); 4.51 (m, 1H), 4.36 (m, 1H); 3.77 (d, 1H); 3.60 (d, 1H); 3.28 (s, 3H); 2.99 (s, 3H); 2.92 (m, 1H); 2.82 (m, 1H); 2.64 (m, 1H); 2.37 (d, 1H); 2.09 (s, 3H); 2.04 (s, 3H); 1.83 (m, 2H); 1.48 (s, 3H); 1.38 (s, 3H); 0.95 (d, 3H); 0.87 (t, 3H).
【0209】
E]化合物1−Eの調製
【0210】
【化65】

【0211】
トルエン15mlに溶解した化合物1−D 180mg(0.22mmol)及びDBU0.1ml(0.66mmol)を、100℃に24時間加熱し、室温に冷まし、0.5M NaHPO水溶液10mlに注いだ。水層を酢酸エチル10mlで2回抽出した。合わせた有機抽出物を0.5M NaHPO10ml、水10mlで洗浄し、ブライン10mlで2回洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮して、粗生成物を明黄色の泡状物として得た。粗生成物をシリカゲル(DCM:酢酸エチル 10:1)カラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物65mg(38%)を得た。
MS(−ESI):813.6[MHCOO]
保持時間(system Aa):22.8分
【0212】
F]化合物1−Fの調製
【0213】
【化66】

【0214】
ジクロロメタン215ml中の化合物1−E9.94g(12.9mmol)、4−ジメチルアミノピリジン0.6g(4.9mmol)及びピリジン1.95gの溶液に、窒素下、ジクロロメタン45ml中のクロロ酢酸無水物(25.8mmol)4.42gの溶液を1時間かけて滴下した。溶液を室温で3.5時間撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO水溶液100mlに注いだ。水層をジクロロメタン400mlで2回抽出した。合わせた有機層を水100ml及びブライン100mlで連続して洗浄し、NaSOで乾燥させ、蒸発させて、粗生成物を褐色の泡状物として得た。粗生成物を精製しないで次の工程に使用した。
保持時間(system Aa):24.3分
【0215】
G]化合物1−Gの調製
【0216】
【化67】

【0217】
粗化合物1−F 13.1gを、窒素下、アセトン370ml及びDBU2.45mlに溶解し、ヨウ化ナトリウム117mg及び(4−メトキシフェニル)メタンチオール2.52gを一度に加えた。反応混合物を、窒素下、室温で18時間撹拌した。アセトンを蒸発させ、残留物をDCM 40mlに取った。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液、水及びブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で蒸発させ、粗生成物を褐色の泡状物として得た。粗生成物をシリカゲル(ヘプタン:酢酸エチル3:1→2:1)カラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物9.89gを白色の泡状物として得た。
【0218】
H]化合物1−Hの調製
【0219】
【化68】

【0220】
化合物1−G 0.804gを、アルゴン下、DMF 10mlに溶解し、氷浴で冷却した。水素化ナトリウム油状分散液(60%)0.0435gを加え、暗赤混合物を0〜5℃で3時間撹拌した。ここで、飽和NHCl水溶液20mlを加え、混合物をジエチルエーテル40mlで抽出した。有機層を5% NaHCO水溶液及びブラインで洗浄した。水層をジエチルエーテル40mlで抽出し、合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、減圧下で蒸発させて、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲル(ヘプタン:酢酸エチル 3:1→2:1)カラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物0.45g(56%)を白色の泡状物として得た。
1H-NMR (CDCl3):(診断シグナルのみ) 7.36 (d, 2H); 6.87 (d, 2H); 5.79 (m, 1H); 5.54 (m, 2H); 5.25 (m, 1H); 4.95 (d, 1H); 4.90 (d, 1H); 4.69 (d, 1H); 4.56 (m, 1H); 4.40 (m, 1H); 4.36 (s, 1H); 4.14 (d, 1H); 4.09 (d, 1H); 3.83 (m, 1H); 3.81 (s, 3H); 3.67 (d, 1H); 3.31 (s, 3H); 3.12 (s, 3H); 2.99 (m, 1H); 2.84 (m, 1H); 2.52 (m, 2H); 2.39 (d, 1H); 2.12 (s, 3H); 2.07 (s, 3H); 1.93 (m, 2H); 1.45 (s, 3H); 1.39 (s, 3H).
【0221】
I]化合物1−Iの調製
【0222】
【化69】

【0223】
1−H 0.45g(0.47mmol)をDCM 10mlに溶解し、ジメチル(メチルチオ)スルホニウムテトラフルオロボラート165mg(0.84mmol)を混合物に加え、反応物を室温で3時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、NaHCO(5%)水溶液10mlで2回洗浄し、水10ml及びブライン10mlで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、褐色を帯びた油状物0.37gを得た。粗生成物を精製しないで次の工程で使用した。
【0224】
K]化合物1−Kの調製
【0225】
【化70】

【0226】
DMF 10ml及び水1滴に溶解した実施例1工程Iの生成物0.35gの溶液に、トリブチルホスフィン0.194mlを加え、混合物を室温で2時間撹拌した。次に6−アミノ−9−(2−クロロエチル)−プリン85mg及びDBU 0.059mlを溶液に加えた。反応を室温で一晩撹拌し、減圧下で濃縮し、残留物をDCM 10mlに取った。有機層をNaHCO水溶液(5%)及びブラインで2回洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物を、シリカゲル(DCM→DCM/MeOH/NH 95:5:0.01)フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物31mgを得た。
MS(ESI):804.4[MH]
【0227】
L]化合物I−1の調製
【0228】
【化71】

【0229】
実施例1工程Kの生成物31mgをメタノール1mlに溶解し、DBU 0.023mlを加えた。混合物を、出発物質が残存しなくなるまで加熱還流した(5時間)。メタノールを蒸発させ、残留物をジクロロメタン2mlに取った。有機層をNaHCO水溶液(5%)及びブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物を、分取HPLC(System Ap)により精製して、所望の生成物3.4mgをギ酸との付加物として得た。
MS:正確な質量(ESI):762.3760 Da.
保持時間(system Ba):22.4分
1H-NMR (CDCl3):(診断シグナルのみ) 8.40 (s, 1H); 8.28 (s, 1H); 6.96 (s, br, 2H); 5.62-5.71 (m, 2H); 5.49 (dd, 1H); 4.71-4.79 (m, 1H); 4.52-4.62 (m, 3H); 4.32 (m, 1H); 4.13 (m, 1H); 3.82 (s, 1H); 3.62-3.71 (m, 1H); 3.56 (d, 1H); 2.97 (s, 3H); 2.04-2.05 (m, 1H); 1.89-1.99 (m, 2H); 1.51 (s, 3H); 1.41 (s, 3H); 0.85 (t, 3H).
【0230】
実施例2
式中、R1は[2−(6−アミノ−9H−プリン−9−イル)エチル]チオであり、R2はO−クラジノシルであり、R6はヒドロキシであり、R7はイソブチル−メチル−アミノであり、及びR3、R4、R5、R8及びR9は水素である、式Iの化合物I−2の調製。
【0231】
A]化合物2−Aの調製
【0232】
【化72】

【0233】
式中、R1は[(4−メトキシ−フェニル)メチル]チオであり、R2はO−クラジノシルであり、R6はヒドロキシルであり、そしてR3、R4及びR5は水素(WO2006084410、実施例10)である、式VIIbの化合物35g(37.9mmol)を、窒素雰囲気下、メタノール500ml及び水50mlに溶解した。次に、酢酸ナトリウム15.7g(189.4mmol)及びヨウ素38.5g(151.48mmol)を加えた。反応混合物を55℃に加熱し、高圧水銀灯(250W)で3時間照射した。反応物を、Na38gの添加によりクエンチした。メタノールを減圧下で除去し、水500mlを残留物に加えた。混合物をDCM500mlで3回抽出した。合わせた有機層を水500mlで2回、そしてブライン500mlで2回洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗生成物(33.5g)を黄色の泡状物として得た。粗生成物をMTBE 150mlに懸濁し、懸濁液を2時間加熱還流した。DCM15mlを加え、更に30分間撹拌し続けた。温かい懸濁液を濾過し、固体をMTBE 100mlで洗浄し、減圧下で乾燥させて、所望の生成物25.47gをオフホワイトの固体として得た。
保持時間 (system Aa):17.8分
MS(ESI):910.3[MH]
【0234】
B]化合物2−Bの調製
【0235】
【化73】

【0236】
化合物2−A 4.3g(4.61mmol)を、窒素雰囲気下、メタノール100mlに溶解し、イソ−ブチルアルデヒド670mg(9.21mmol)、NaBHCN 1.83g(27.6mmol)及び酢酸3滴を加えた。反応混合物を室温で20時間撹拌し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をDCM120mlに取り、有機層をブライン150mlで3回洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮し、粗生成物を明黄色の泡状物として得た。粗生成物を、シリカゲル(DCM/MeOH/NEt 500:12:3)フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物3.75gを白色の泡状物として得た。
保持時間(system Aa):20.4分
MS(ESI):966.4[MH]
【0237】
C]化合物2−Cの調製
【0238】
【化74】

【0239】
実施例2工程Bの生成物3.65g(3.69mmol)を、窒素雰囲気下、DCM25mlに溶解し、酢酸無水物0.7ml(7.37mmol)を加えた。反応混合物を室温で6時間撹拌した。溶液をDCM 100mlで希釈し、有機層を水100ml及びブライン100mlで洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、所望の生成物3.79g(99%)を白色の泡状物として得た。
保持時間(system Aa):21.2分
MS(ESI):1008.4[MH]
1H NMR (CDCl3): 7.32 (d, 2H); 6.83 (d, 2H); 5.48 (d, 1H); 4.87 (d, 1H); 4.72 (t, 1H); 4.53 (d, 1H); 4.31 (s, 1H); 4.07 (q, 2H); 3.95 (m, 1H); 3.78-3.74 (m, 4H); 3.57 (d, 1H); 3.44 (m, 1H); 3.34 (s, 3H); 3.10-2.87 (m, 5H); 2.79 (m, 1H); 2.43-2.62 (m, 3H); 2.32 (d, 1H); 2.27-2.06 (m, 7H); 2.01 (s, 3H); 1.86 (m, 2H); 1.72-1.44 (m, 6H); 1.41 (s, 3H); 1.37-1.14 (m, 14H); 1.14-0.98 (m, 7H); 0.96-0.72 (m, 12H).
【0240】
D]化合物2−Dの調製
【0241】
【化75】

【0242】
2−C 1.0g(0.99mmol)をDCM20mlに溶解し、ジメチル(メチルチオ)スルホニウムテトラフルオロボラート233mg(1.19mmol)及びモレキュラーシーブ(4A)12gを混合物に加え、反応物を室温で7時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、水10ml及びNaHCO水溶液(5%)10mlで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、所望の生成物を泡状物として得た。粗生成物を精製しないで次の工程で使用した。
MS(ESI):934.6[MH]
【0243】
E]化合物2−Eの調製
【0244】
【化76】

【0245】
DMF 10ml及び水1滴に溶解した化合物2−D 0.2gの溶液に、トリブチルホスフィン0.105mlを加え、混合物を室温で出発物質が残存しなくなるまで撹拌した。次に6−アミノ−9−(2−クロロエチル)−プリン46.5mg及びDBU0.032mlを、溶液に加えた。反応物を室温で一晩撹拌し、減圧下で濃縮し、残留物をDCM 10mlに取った。有機層をNaHCO水溶液(5%)10mlで2回、そしてブライン10mlで2回洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、シリカゲル(DCM/MeOH95:5)のフラッシュクロマトグラフィーにより一部精製し、所望の生成物270mgを得て、これを更に精製しないで次の工程で使用した。
MS(ESI):525.6[MH++
【0246】
F]化合物I−2の調製
【0247】
【化77】

【0248】
実施例2工程Eの一部精製した生成物260mgを、メタノール5mlに溶解した。混合物を室温で3日間撹拌し、更に40℃で4日間撹拌した。メタノールを蒸発させ、粗生成物を分取HPLC(System Ap)により精製して、所望の生成物28mgを白色の固体として得た。
MS:正確な質量(ESI):1007.5750 Da.
保持時間(system Ba):27.1分
1H-NMR (DMSO-d6)(診断シグナルのみ):8.24 (s, 1H); 8.14 (s, 1H); 7.21 (s, br, 2H); 5.22 (dd, 1H); 4.73 (d, 1H); 4.58 (m, 1H); 4.41-4.53 (m, 4H); 4.03 (m, 1H); 3.69 (m, 1H); 3.60 (dd, 2H); 3.42 (m, 1H); 3.21 (s, 3H); 3.04-3.12 (m, 3H); 2.91 (s, 3H); 0.76 (t, 3H).
【0249】
実施例3
式中、R1は[2−[(3シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−フェニル)−(ピリジン−4−イル−カルボニル)−アミノ]エチル]チオであり、R2はO−クラジノシルであり、R6はヒドロキシルであり、R7はイソブチル−メチル−アミノであり、そしてR3、R4、R5、R8及びR9は水素である、式Iの化合物I−3の調製
【0250】
A]化合物3−Aの調製
【0251】
【化78】

【0252】
3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−フェニルアミン(Garcia et al., JOC, 2005, 70, p 1050)7.0g(33.8mmol)を、DCM 150mlに溶解した。溶液を0℃に冷却し、DCM 50ml中のイソニコチノイルクロリド5.74g(40.5mmol)を溶液に加えた。沈殿物を形成した。反応混合物を室温で2時間続けて撹拌した。水100ml中のNaOH2.7gの溶液を、赤色の反応混合物に加えた。有機層を分離し、NaSOで乾燥させて、蒸発させた。粗生成物を、シリカゲル(酢酸エチル/n−ヘキサン 2:1)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物7.2g(62%)を得た。
MS(ESI):313.1
【0253】
B]化合物3−Bの調製
【0254】
【化79】

【0255】
実施例3工程Aの生成物(3−A)3.0g(9.6mmol)を、1−ブロモ−2−クロロエタン50mlに溶解し、水酸化カリウム5.33g(95mmol)を溶液に加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次に60℃に4時間加熱した。反応混合物を室温に冷まし、水50mlを加えた。混合物をDCM50mlで抽出した。有機層を水及びブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させて、蒸発させた。粗生成物を、シリカゲル(酢酸エチル/n−ヘキサン 1:1)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物1.3g(43%)を黄色の油状物として得た。
1H-NMR (DMSO-d6): 8.45 (d, 2H); 7.21 (d, 2H); 6.8 (m, 3H); 4.63 (m, 1H); 4.13 (t, 2H); 3.76 (t, 2H); 3.66 (s, 3H); 1.4-1.8 (m, 8H).
【0256】
C]化合物3−Cの調製
【0257】
【化80】

【0258】
標記化合物3−Cを、N−(2−クロロエチル)−N−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−フェニル)−イソニコチンアミド(3−B)及び式VIII(ここでRpはメチルであり、R2はO−クラジノシルであり、R6はO−Rpであり、R7はジメチル−アミノであり、そしてR3、R4、R5、R8及びR9は水素であり、そしてRpは、下記WO2006084410、実施例4に記載された手順のアセチル(WO2006084410、実施例4))で示される化合物から出発して調製した。
MS:正確な質量(ESI):1141.6073 Da.
【0259】
D]化合物3−Dの調製
【0260】
【化81】

【0261】
式3−C(実施例3、工程C)の化合物0.27g(0.24mmol)を、窒素雰囲気下、メタノール40ml及び水4mlに溶解した。次に酢酸ナトリウム0.097g(1.18mmol)及びヨウ素0.24g(0.95mmol)を加えた。反応混合物を40℃に加熱し、高圧水銀灯(250W)で2時間照射した。反応物をNa水溶液の添加によりクエンチした。メタノールを減圧下で除去し、水100mlを残留物に加えた。混合物をDCM 100mlで3回抽出した。合わせた有機層を水100ml及びブライン100mlで洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮し、粗生成物(0.15g)をオフホワイトの固体として得た。粗生成物を次の工程で直接使用した。
保持時間(system Aa):12.8分
MS(ESI):565.3[MH++
【0262】
E]化合物I−3の調製
【0263】
【化82】

【0264】
化合物3−D 0.15g(0.13mmol)を、窒素雰囲気下、メタノール15ml及びイソ−ブチルアルデヒド19.2mg(0.27mmol)に溶解し、NaBHCN 50.1mg(0.8mmol)及び酢酸1滴を加えた。反応混合物を室温で48時間撹拌し、溶媒を減圧下で除去した。残留物を水に取り、水層をDCM 3*50mlで抽出した。合わせた有機層を水100ml及びブライン100mlで洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮し、粗生成物を明黄色の泡状物として得た。粗生成物を、シリカゲル(DCM/MeOH 50:1)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物96mgをオフホワイトの泡状物として得た。生成物を分取HPLC(System Ap)により更に精製した。
保持時間(system Aa):15.4分
保持時間(system Ba):31.8分
MS(ESI):593.2[MH++
1H-NMR (CDCl3): (診断シグナルのみ、生成物はいくらかのギ酸を含む) 8.46 (d, 2H); 7.22 (d, 2H); 6.68 (m, 2H); 6.61 (s, 1H); 5.43 (dd, 1H); 4.91(d, 1H); 4.55-4.65 (m, 3H); 4.38 (s, 1H); 4.28 (m, 2H); 4.01 (m, 1H); 3.79 (s, 3H); 3.70 (d, 1H); 3.61 (m, 1H); 3.48 (m, 1H); 3.31 (s, 3H); 3.21-3.32 (m, 2H); 3.10 (s, 3H); 2.55 (m, 2H); 0.85 (t, 3H).
【0265】
実施例4
R1は[2−[(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−フェニル)−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル−メチル)−アミノ]エチル]チオであり、R2はO−クラジノシルであり、R6はヒドロキシルであり、R7はイソブチル−メチル−アミノであり、そしてR3、R4、R5、R8及びR9は水素である、式Iの化合物I−4の調製。
【0266】
A]化合物4−Aの調製
【0267】
【化83】

【0268】
3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−フェニルアミン(Garcia et al., JOC, 2005, 70, p 1050)1.408g(6.48mmol)を、トルエン20mlに溶解し、3,5−ジクロロ−4−ピリジンカルボキシアルデヒド1.197g(6.6mmol)、トリエチルアミン3.6ml(25.9mmol)及び酢酸1.85ml(32.4mmol)を加えた。混合物を25℃で2時間撹拌し、次にNaBHCN 1.629g(25.9mmol)を加え、混合物を25℃で1時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、粗生成物を、シリカゲル(石油エーテル/酢酸エチル 15:1)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物1.98g(82%)を明黄色の固体として得た。
1H NMR (DMSO-d6): 8.61(s, 2H); 6.70 (d, 1H); 6.30(d, 1H); 6.15 (dd, 1H); 5.55 (t, 1H); 4.65 (m, 1H); 4.36 (d, 2H); 3.59 (s, 3H); 1.77-1.81 (m, 2H); 1.64-1.67 (m, 4H); 1.53-1.56 (m, 2H).
【0269】
B]化合物4−Bの調製
【0270】
【化84】

【0271】
化合物4−A 1.9g(4.96mmol)をメタノール20mlに溶解し、クロロアセトアルデヒド溶液(水中の40%;29.7mmol、6当量)5.8g、NaBHCN 1.87g(77.4mmol、6当量)及び酢酸0.44ml(7.69mmol)を加えた。混合物を28℃で5時間撹拌した。次に溶媒を減圧下で除去し、残留物を水20ml及びジクロロメタン40mlに溶解した。混合物を分離し、水相をDCM 30mlで抽出した。合わせた有機層を水30ml及びブライン30mlで洗浄し、NaSOで乾燥させて、減圧下で蒸発させた。粗生成物を、シリカゲル(石油エーテル/酢酸エチル 15:1及び10:1)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物1.6g(72%)を明黄色の固体として得た。
1H NMR (DMSO-d6): 8.59 (s, 2H); 6.77 (d, 1H); 6.40 (s, 1H); 6.38 (d, 1H); 4.66 (m, 1H); 4.65 (s, 2H); 3.62 (s, 3H); 3.60 (t, 2H); 3.55 (t, 2H); 1.51-1.65 (m, 8H).
【0272】
C]化合物4−Cの調製
【0273】
【化85】

【0274】
実施例2工程Dの生成物0.1g(0.11mmol)を、窒素雰囲気下、DMF5ml及び水1滴に溶解し、トリブチルホスフィン0.053ml(0.21mmol)を加え、混合物を出発物質が残存しなくなるまで(2時間)室温で撹拌した。次に、(2−クロロエチル)−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−フェニル)−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル−メチル)−アミン(化合物4−B)50.6mg(0.12mmol)及びDBU 0.016mlを溶液に加えた。反応物を室温で20時間撹拌し、減圧下で濃縮し、残留物をDCM 5mlに取った。有機層をNaHCO水溶液2ml(5%)で2回、及びブライン2mlで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、粗生成物(0.184g)を黄色の油状物として得た。粗生成物を、シリカゲル(DCM/MeOH/NH3 99.8:0.2:0.01→99:1:0.01)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物0.072mgを白色の固体として得た。
MS(ESI):1280.6([MH]),641.1([MH++
【0275】
D]化合物I−4の調製
【0276】
【化86】

【0277】
実施例4工程Cの生成物(4−C)72mgをメタノール2mlに溶解した。混合物を室温で10日間撹拌した。メタノールを蒸発させ、粗生成物を、シリカゲル(DCM/MeOH/NH 99.8:0.2:0.01→99:1:0.01)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、続いて分取HPLC(System Bp)により精製して、所望の生成物26mgを白色の固体として得た。
MS:正確な質量(ESI):1238.6024 Da.
保持時間(system Ba):41.7分
1H-NMR (CDCl3)(診断シグナルのみ): 8.45 (s, 2H); 6.77 (d, 1H); 6.51 (d, 1H); 6.46 (dd, 1H); 5.42 (dd, 1H); 4.92 (d, 1H); 4.73 (m, 1H); 4.65 (s, 2H); 4.31 (s, 1H); 4.01 (m, 1H); 3.82 (m, 1H); 3.80 (s, 2H); 3.10 (s, 3H); 0.87 (t, 3H).
【0278】
実施例5
式中、R1は[2−[4−アミノ−7−(3,5−ジクロロ−ピリジン−4−イル−アミノ−カルボニル)−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]−エチル]チオであり、R2はO−クラジノシルであり、R5はジメチルアミノであり、R8はメトキシであり、R3、R4、R6、R7及びR9は水素である、式Iの化合物I−5の調製。
【0279】
A]化合物5−Aの調製
【0280】
【化87】

【0281】
式中、R2は4”−ORp−クラジノシルであり、R6はO−Rpであり、R7はジメチルアミノであり、R3、R4、R5、R8及びR9は水素であり、そしてRpはアセチル(WO2006084410、実施例1)である、式Vの化合物10.5gを、アルゴン下、アセトン180ml及びDBU 2.42gに溶解し、ヨウ化ナトリウム20mg及び(4−メトキシフェニル)メタンチオール2.20gを一度に加えた。反応混合物を、アルゴン下、室温で2.5時間撹拌した。DCM 250mlを反応混合物に加えた。有機層を5% NaHCOで3回洗浄し、NaSOで乾燥させて、減圧下で蒸発させ、明褐色の泡状物11.7g(98.4%)を得た。
MS(ESI):1008.4
【0282】
B]化合物5−Bの調製
【0283】
【化88】

【0284】
化合物5−A 6.00gを、窒素下、DMF 60mlに溶解し、氷浴で冷却した。水素化ナトリウム油状物分散液(60%) 0.39gを加え、混合物を0〜5℃で3時間撹拌した。次に0.5N KHPO水溶液を加え、混合物をジエチルエーテル100mlで抽出した。有機層を3% NaHCO水溶液60ml及びブライン80mlで3回洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で蒸発させて、粗生成物4.65gを得た。
MS(ESI):1008.4[MH]
【0285】
C]化合物5−Cの調製
【0286】
【化89】

【0287】
実施例5、工程Bの生成物7.5gをメタノール140mlに溶解し、溶液を40℃で30時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、粗生成物を、シリカゲル(DCM/MeOH 80:1次に30:1)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物4.2g(65%)を黄色の泡状物として得た。
【0288】
D]化合物5−Dの調製
【0289】
【化90】

【0290】
生成物5−C 11.5g(11.9mmol)を、窒素雰囲気下、乾燥DCM 100mlに溶解し、ピリジン3.3ml(41.7mmol)を加えた。溶液を10℃に冷却し、乾燥DCM 20mlに溶解した5.18g(29.8mmol)を5分間かけて滴下した。溶液を27℃で20時間撹拌した。得られた懸濁液を濾過し、固体をDCM200mlで洗浄した。合わせた有機層を水200ml及びブライン200mlで3回洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で蒸発させ、生成物を泡状物として得た。粗生成物を、シリカゲル(DCM:メタノール 200:1)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物9.05g(73%)を明黄色の固体として得た。
1H NMR (CDCl3): (診断シグナルのみ) 7.32 (d, 2H); 6.83 (d, 2H); 5.47 (dd, 1H); 4.92 (d, 1H); 4.66 (d, 1H); 4.63 (d, 1H); 4.31 (s, 1H); 4.22-4.30 (m, 2H); 4.10 (d, 1H); 4.04 (d, 1H); 3.81 (d, 1H); 3.78 (s, 3H); 3.60-3.72 (m, 2H); 3.30 (s, 3H); 3.17 (s, 3H); 3.06 (s, 3H); 2.93-3.01 (m, 1H); 2.70-2.84 (m, 2H); 2.55 (s, 1H); 2.50 (m, 1H); 2.38 (d, 1H); 2.28 (s, 6H); 2.10 (s, 3H); 1.82-1.95 (m, 2H); 1.72-1.81 (m, 2H); 1.42 (s, 3H); 1.31 (s, 3H); 1.03 (d, 3H); 0.85 (t, 3H).
【0291】
E]化合物5−Eの調製
【0292】
【化91】

【0293】
化合物5−D 380mgをメタノール20mlに懸濁し、反応混合物を加熱還流した。清澄な溶液をこの温度で5時間撹拌した。次にDBU 280mgを加え、反応混合物を60℃で12時間撹拌し、続けて減圧下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル40mlに溶解し、有機層を水40ml及びブライン40mlで3回洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で蒸発させ、粗生成物を明黄色の泡状物として得た。粗生成物をシリカゲル(DCM:メタノール 50:1)のカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物310mg(90%)を白色の固体として得た。
1H NMR (CDCl3): 7.33 (d, 2H), 6.84 (d, 2H), 5.48 (d, 1H), 4.89 (s, 1H), 4.85 (d, 1H), 4.30 (s, 1H), 4.11 (d, 1H); 4.08 (d, 1H), 4.00 (m, 1H), 3.8 (d, 2H), 3.79 (s, 3H), 3.53 (m, 2H), 3.33 (s, 3H), 3.29 (s, 3H), 3.09 (s, 3H), 2.97 (m, 2H), 2.74 (m, 1H), 2.54 (m, 3H), 2.50 (s, 6H), 2.40 (d, 1H), 2.32 (d, 1H), 1.93〜1.75 (m, 3H), 1.69〜1.62 (m, 2H), 1.57〜1.49 (m, 3H), 1.42 (s, 6H), 1.28 (d, 3H), 1.22 (s, 3H), 1.19 (s, 3H), 1.17 (d, 3H), 1.08 (d, 3H), 1.04 (d, 3H), 0.96 (d, 3H), 0.86 (t, 3H).
【0294】
F]化合物5−Fの調製
【0295】
【化92】

【0296】
実施例5、工程Eの生成物2g(2.13mmol)をDCM 30mlに溶解し、ジメチル(メチルチオ)スルホニウムテトラフルオロボラート0.95g(4.82mmol)及びモレキュラーシーブ(4A)12gを混合物に加え、反応を10℃で4時間撹拌した。モレキュラーシーブを濾別し、DCM 60mlで洗浄した。合わせた有機層をNaHCO水溶液(5%)80mlで2回、水80mlで、そしてブライン80mlで洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、所望の生成物1.85gを明黄色の固体として得た。粗生成物を次の工程で精製しないで使用した。
MS(ESI):864.5
【0297】
G]化合物5−Gの調製
【0298】
【化93】

【0299】
ジエチル1,3−アセトンジカルボキシレート5.0g(24.73mmol)、無水酢酸5.05g(49.45mmol)及びオルトギ酸エチル3.7g(24.73mmol)の混合物を、120℃に2時間加熱した。揮発成分を減圧下で除去し、残留した混合物をアンモニア水(25%)10mlで処理した。混合物を室温で30分間撹拌した。続いて混合物のpHをHCl水溶液(2N)でpH2に調節した。固体を濾別し、冷水で洗浄して、乾燥させた。トルエン8mlを粗生成物に加え、混合物を0℃で30分間撹拌し、次に濾過し、乾燥させて、赤色の固体2.26g(50%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6): 11.77 (s, br, 1H); 10.74 (s, br, 1H); 8.01 (s, 1H); 5.60 (s, 1H); 4.26 (q, 2H); 1.28 (t, 3H).
【0300】
H]化合物5−Hの調製
【0301】
【化94】

【0302】
酢酸9ml中の化合物5−G 2.34g(12.78mmol)の溶液に、硝酸1.24g(65%、12.78mmol)を60℃で滴下した。混合物を90℃で20時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、濾過し、フィルターケーキを冷水で洗浄した。固体を乾燥させ、所望の生成物2.2g(75%)を明黄色の結晶として得た。
MS(ESI):229.0([MH]
【0303】
I]化合物5−Iの調製
【0304】
【化95】

【0305】
オキシ塩化リン8.0ml(86mmol)中の化合物5−H2.0g(8.77mmol)を、80℃で74時間撹拌した。次にオキシ塩化リンの約半分を減圧下で除去し、残存した混合物を氷に注いだ。混合物を酢酸エチル3×30mlで抽出した。合わせた有機相を炭酸ナトリウム水溶液(10%)30ml、水2×30ml及びブライン30mlで洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で蒸発させて、粗生成物を褐色の油状物として得て、これをシリカゲル(酢酸エチル/ヘキサン 1:20)のカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物1.67g(72%)を明黄色の固体として得た。
1H-NMR (DMSO-d6): 9.08 (s, 1H); 4.40 (q, 2H); 1.35 (t, 3H).
【0306】
K]化合物5−Kの調製
【0307】
【化96】

【0308】
エタノール4ml中の化合物5−I 362mg(1.37mmol)及びトリエチルアミン138mg(1.37mmol)の溶液を加熱還流した。2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−エチルアミン240mg(1.37mmol)をこの溶液に滴下し、混合物を還流下、更に1時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、得られた残留物を、シリカゲル(ヘキサン/酢酸エチル 80:1)のカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物430mg(79%)を黄色の油状物として得た。
1H-NMR (DMSO-d6): 9.05 (m, 1H); 8.66 (s, 1H); 4.33 (q, 2H); 3.75 (t, 2H); 3.11 (t, 2H); 1.32 (t, 3H); 0.84 (s, 9H); 0.04 (s, 6H).
【0309】
L]化合物5−Lの調製
【0310】
【化97】

【0311】
化合物5−K 1.7g(4.21mmol)をエタノール10mlに溶解し、ラネーニッケル0.5gを加えた。反応混合物を、水素ガス(1atm)の雰囲気下、室温で12時間撹拌した。触媒をシリカゲルパッドでの濾過により除去し、濾液を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲル(ヘキサン/酢酸エチル 80:1→40:1→20:1)のカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物570mg(36%)を褐色の油状物として得た。
MS (ESI): 374.1 ([MH]).
1H-NMR (DMSO-d6): 8.01 (s, 1H); 7.25 (t, 1H); 4.94 (s, 2H); 4.27 (q, 2H), 3.65 (m, 2H); 3.42 (m, 2H); 1.30 (t, 3H); 0.81 (s, 9H); -0.02 (s, 6H).
【0312】
M]化合物5−Mの調製
【0313】
【化98】

【0314】
化合物5−L 250mg(0.67mmol)をオルトギ酸トリエチル3mlに溶解し、混合物を44時間加熱還流した。混合物を減圧下で濃縮し、残留物を、ヘキサン/酢酸エチル(20/1→10/1→5/1)で溶離するシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の化合物124mg(48%)を明褐色の油状物として得た。
1H-NMR (DMSO-d6): 8.59 (s, 1H); 8.52 (s, 1H); 4.72 (m, 2H); 4.40 (q, 2H); 3.81 (m, 2H); 1.36 (t, 3H); 0.64 (s, 9H); -0.28 (s, 6H).
【0315】
N]化合物5−N調製
【0316】
【化99】

【0317】
液体アンモニア約20mlをオートクレーブ100ml中のエタノール20mlに溶解し、化合物5−M 476mgを加えた。混合物を100℃で16時間撹拌した。反応を冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残留物を、シリカゲル(DCM/MeOH 100:1、80:1次に50:1)のカラムクロマトグラフィーにより精製して、白色の固体160mg(35%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6): 8.34 (s, 1H); 8.03 (s, 1H); 7.03 (s, 2H); 4.67 (m, 2H); 4.27 (q, 2H); 3.77 (m, 2H); 1.30 (t, 3H); 0.69 (s, 9H); -0.27 (s, 6H).
【0318】
O]化合物5−Oの調製
【0319】
【化100】

【0320】
化合物5−N 2.0g(5.49mmol)を乾燥THF 30mlに溶解し、フッ化テトラブチルアンモニウム1.46g(約5.6mmol)を加えた。混合物を室温で0.5時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を、分取HPLCにより精製して、所望の生成物300mg(22%)を白色の固体として得た。
1H-NMR (DMSO-d6): 8.31 (s, 1H); 8.01 (s, 1H); 7.04 (s, 2H); 4.80 (m, 1H); 4.57 (m, 2H); 4.26 (q, 2H); 3.57 (m, 2H); 1.29 (t, 3H).
【0321】
P]化合物5−Pの調製
【0322】
【化101】

【0323】
塩化チオニル4ml中の化合物5−O 100mgの懸濁液を、70℃で5時間撹拌した。トリエチルアミン0.05mlを加え、70℃で4時間撹拌し続け、更に13.5時間室温で撹拌し続けた。反応の完了後、ジエチルエーテル5mlを冷却した反応混合物に加え、沈殿物の形成を得た。固体を濾過により単離し、所望の生成物65mg(60%)を明黄色の粉末として得た。
MS(ESI):269.1([MH]
1H-NMR (DMSO-d6): 9.00 (s, br, 2H); 8.53 (s, 1H); 8.31 (s, 1H); 4.96 (t, 2H); 4.33 (q, 2H); 4.00 (t, 2H); 1.32 (t, 3H).
【0324】
Q]化合物5−Qの調製
【0325】
【化102】

【0326】
化合物5−F 1.2g(1.28mmol)を、窒素雰囲気下、DMF50mlに溶解し、水0.3ml及びトリブチルホスフィン775mg(3.83mmol)を加え、混合物を出発物質が残存しなくなるまで室温で撹拌した(4時間)。次に化合物5−P 342mg(1.28mmol)及びDBU 230mgを溶液に加えた。反応物を室温で20時間撹拌し、次に水120mlを加えた。水層を酢酸エチル80mlで3回抽出した。合わせた有機相を水120ml及びブライン100mlで3回洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物を、シリカゲル(DCM/MeOH 80:1次に20:1)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物380mgを明黄色の泡状物として得た。
1H NMR (CDCl3)(診断シグナルのみ): 8.57 (s, 1H), 8.18 (s, 1H), 5.63 (s, 2H), 5.31 (d, 1H), 5.27(m, 1H), 4.95 (s, 1H), 4.82 (d, 1H), 4.74 (m, 1H), 4.47 (s, 1H), 4.33 (q, 2H), 3.99 (m, 1H), 3.85 (m, 1H), 3.75 (m, 2H), 3.61-3.49 (m, 2H), 3.34 (s, 3H), 3.28 (s, 3H), 3.08 (s, 3H), 3.12-2.92 (m, 3H), 2.75 (m, 2H), 2.62 (s, 6H), 2.54 (s, 1H), 2.43 (d, 2H), 2.30 (d, 2H), 1.84 (m, 3H), 1.70 (m, 2H), 1.60-1.48 (m, 3H), 1.46 (s, 3H), 1.44 (s, 3H), 1.42〜1.38 (m, 3H), 1.28 (d, 3H), 1.22-1.02 (m, 9H), 0.96 (d, 3H), 0.86 (t, 3H).
【0327】
R]化合物5−Rの調製
【0328】
【化103】

【0329】
THF 6ml及びMeOH 1ml中の化合物5−Q 380mgの溶液に、0.5M LiOH水溶液2.7mlを10℃で加えた。混合物を28℃で一晩撹拌した。反応混合物を2N HCl水溶液で中和し、減圧下で乾燥させた。残留物を、分取HPLC(カラム:Purospher STAR RP18e、5μm、125×25mm 流速:25ml/分;検出:254nm;移動相A:25mM ギ酸アンモニウム水溶液;移動相B:アセトニトリル;勾配:20%から40%Bへ直線で10分、次に40%〜100%Bに直線で5分)により精製して、所望の生成物180mg(49%)を明黄色の固体として得た。
MS(ESI):511.8([MH]
【0330】
S]化合物I−5の調製
【0331】
【化104】

【0332】
NaH(油状物中60%)63mg(1.57mmol)を、DMF 3ml中の4−アミノ−3,5−ジクロロピリジン306mg(1.88mmol)の溶液に加えた。懸濁液を25℃で5時間撹拌した。同時に、DMF 4ml中の合物5−R 160mg(0.16mmol)、EDC.HCl 96mg(0.5mmol)及びHOBt 47mg(0.34mmol)の溶液を25℃で1時間撹拌した。次にこの溶液を、上記で調製した4−アミノ−3,5−ジクロロピリジンのナトリウム塩の溶液に0〜10℃で加えた。混合物をこの温度で5分間撹拌し、反応物を2N HCl水溶液でクエンチした。反応混合物を水で希釈し、水層を酢酸エチルで数回抽出した。合わせた有機層を水及びブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、分取HPLC(カラム:Purospher STAR RP18e、5μm、125×25mm 流速:25ml/分;検出:254nm;移動相A:25mM ギ酸アンモニウム水溶液;移動相B:アセトニトリル;勾配:20%〜68%Bへ直線で8.5分、次に68%〜100%Bへ直線で0.5分)により精製した。生成物を含有する画分を蒸発させ、生成物を更に、シリカゲル(DCM/MeOH 25:1次に20:1)のカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物を白色の固体として得た。
MS:正確な質量(ESI):1166.5011 Da.
保持時間(system Ba):28.0分
1H NMR (CDCl3) (診断シグナルのみ): 8.57 (s, 2H), 8.42 (s, 1H), 8.25 (s, 1H), 7.87 (s, 1H), 5.67 (s, 2H), 5.27 (dd, 1H), 5.06 (m, 1H), 4.91 (s, 1H), 4.81 (d, 1H), 4.67 (m, 1H), 4.33 (s, 1H), 3.99 (m, 1H), 3.84 (m, 1H), 3.73 (d, 1H), 3.59 (m, 1H), 3.55 (d, 1H), 3.52-3.42 (m, 1H), 3.33 (s, 3H), 3.28 (s, 3H), 3.00 (s, 3H), 3.1-2.92 (m, 3H), 2.75 (m, 1H), 2.62 (s, 2H), 2.54 (s, 6H), 2.49 (s, 1H), 2.31(d, 1H), 1.60-1.48 (m, 3H), 1.46 (s, 3H), 1.41 (s, 3H), 0.95 (d, 3H), 0.81 (t, 3H).
【0333】
実施例6
式中、R1は[2−[(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−フェニル)−(ピリジン−4−イルメチル)−アミノ]−エチル]チオであり、R2はO−クラジノシルであり、R5はジメチルアミノであり、R8はメトキシであり、R3、R4、R6、R7及びR9は水素である、式Iの化合物I−6の調製。
【0334】
A]化合物6−Aの調製
【0335】
【化105】

【0336】
化合物3−A 0.5g(1.6mmol)を、窒素下、乾燥THF 20mlに溶解し、及びリチウムアルミニウムヒドリド(6.4mmol)0.24gを室温で加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、次に0℃に冷却し、水2mlを加えた。混合物を酢酸エチル3×20mlで抽出した。合わせた有機層を水及びブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で蒸発させて、粗生成物を油状物として得た。粗生成物を、シリカゲル(酢酸エチル/n−ヘキサン1:1)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物0.4g(84%)を油状物として得た。MS(ESI):299.2([MH]
【0337】
B]化合物6−Bの調製
【0338】
【化106】

【0339】
化合物6−A 3.85g(12.9mmol)をメタノール50mlに25℃で溶解し、クロロアセトアルデヒド溶液5.1ml(水中40%;77.4mmol、6当量)、ナトリウムシアノボロヒドリド4.86g(77.4mmol、6当量)及び酢酸0.74ml(12.9mmol)を加えた。混合物を25℃で16時間撹拌した。次に溶媒を減圧下で除去し、残留物をジクロロメタン100mlに取った。混合物をブライン3×50mlで洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲル(酢酸エチル/n−ヘキサン 1:4)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物1.66g(35%)を油状物として得た。
MS(ESI):361.2, 363.1([MH]
1H-NMR (CDCl3): 8.52 (d, 2H); 7.17 (d, 2H); 6.75 (d, 1H); 6.18-6.24 (m, 2H); 4.6 (m,1H); 4.52 (s, 2H); 3.75 (s, 3H); 3.64-3.73 (m, 4H); 1.5-1.9 (m, br, 8H).
【0340】
C]化合物I−6の調製
【0341】
【化107】

【0342】
化合物5−F 0.11g(0.13mmol)を、窒素雰囲気下、DMF 10mlに溶解し、水1滴及びトリブチルホスフィン0.063ml(0.25mmol)を加え、混合物を出発物質が残存しなくなるまで(2時間)室温で撹拌した。次に化合物6−B 50.5mg(0.14mmol)及びDBU 0.048ml(0.13mmol)を溶液に加えた。反応物を室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させた。残留物をDCM 20mlに溶解した。有機相をNaHCO水溶液(5%)及びブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物を、シリカゲル(DCM/MeOH 98:2)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物26mgを明黄色の無定形の固体として得た。
1H NMR (CDCl3) (診断シグナルのみ): 8.52 (d, 2H); 7.24 (d, 2H); 6.76 (d, 1H); 6.26 (d, 1H); 6.22 (dd, 1H); 5.48 (dd, 1H); 4.98 (s, 1H); 4.88 (d, 1H); 4.64 (m, 1H); 4.59 (d, 1H); 4.37 (s, 1H); 3.77 (s, 3H); 3.37 (s, 3H); 3.32 (s, 3H); 3.11 (s, 3H); 1.46 (s, 3H); 1.44 (s, 3H); 0.88 (t, 3H).
【0343】
実施例7
式中、R1は[2−[(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−フェニル)−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル−メチル)−アミノ]エチル]チオであり、R2はO−クラジノシルであり、R5はジメチルアミノであり、R8はメトキシであり、R3、R4、R6、R7及びR9は水素である、式Iの化合物I−7の調製。
【0344】
A]化合物7−Aの調製
【0345】
【化108】

【0346】
化合物7−Aを実施例6工程Cに記載された手順に従って、化合物5−F(実施例5、工程F)及び4−B(実施例4、工程B)から調製した。
MS:正確な質量(ESI):1210.5777 Da.
保持時間(system Ba):42.0分
【0347】
実施例8
式中、R1は[2−[(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−フェニル)−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル−メチル)−アミノ]エチル]チオであり、R2はOHであり、R5はジメチルアミノであり、R8はメトキシであり、R3、R4、R6、R7及びR9は水素である、式Iの化合物I−7の調製。
【0348】
A]化合物8−Aの調製
【0349】
【化109】

【0350】
エタノール1ml及び水2ml中の化合物7−A 20mgの撹拌した溶液にHCl水溶液0.125ml(2N)を滴下した。清澄な溶液を室温で20時間撹拌した。更にHCl水溶液0.125ml(2N)を加え、反応物を更に20時間撹拌した。反応混合物をNaOH水溶液(2N)で中和し、酢酸エチル10mlで2回抽出した。合わせた有機層をNaHCO水溶液(5%)及びブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮し、粗生成物(20mg)を黄色の固体として得た。粗生成物を、シリカゲル(DCM/MeOH/NH 99.8:0.2:0.01→96:4:0.01)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物13mgを白色の固体として得た。
MS:正確な質量(ESI):1052.4845 Da
保持時間(system Ba):39.0分
1H-NMR (CDCl3):(診断シグナルのみ) 8.46 (s, 2H); 6.77 (d, 1H); 6.52 (d, 1H); 6.46 (dd, 1H); 5.52 (dd, 1H); 5.02 (s, br, 1H); 4.73 (m, 1H); 4.63 (m, 2H); 4.30 (m, 1H); 3.94 (m, 2H); 3.80 (s, 3H); 3.32 (s, 3H); 2.44 (s, 6H).
【0351】
実施例9
式中、R1は[2−[(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−フェニル)−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル−メチル)−アミノ]エチル]チオであり、R2は−OHであり、R6は−OCHであり、R7はジメチルアミノであり、そしてR3、R4、R5、R8及びR9は水素である、式Iの化合物I−9の調製。
【0352】
A]化合物9−Aの調製
【0353】
【化110】

【0354】
DCM 30ml中の化合物5−C1.93g(2mmol)の撹拌した溶液に、ヨウ化メチル0.37ml(6.0mmol)を加えた。反応物を25℃で5時間撹拌し、次に溶媒を蒸発させて、粗9−Aを白色の固体(1.95g)として得た。
MS(ESI):980.5([MH]
【0355】
B]化合物9−Bの調製
【0356】
【化111】

【0357】
化合物9−A 2.22g(2.0mmol)を乾燥THF 30mlに溶解した。NaH(4mmol)153mgを0℃で溶液に加え、混合物をこの温度で10分間撹拌した。ヨウ化メチル2.5ml(40.0mmol)を加え、反応混合物を0〜10℃で2時間撹拌した。混合物をpH=7に希釈したHCl水溶液で調整し、続けて溶媒を減圧下で除去し、粗9−Bを明黄色の固体として得た。生成物を次の工程で更に精製しないで使用した。
MS(ESI):994.5([M]
【0358】
C]化合物9−Cの調製
【0359】
【化112】

【0360】
粗化合物9−B 18.8gをMeOH 200mlに溶解し、AgCl(10当量)10.2gを加えた。混合物を室温で4時間撹拌し、濾過した。濾液を減圧下で蒸発乾固し固体を得た。乾燥アセトニトリル100ml中のこの固体17.2g(14.2mmol)の溶液を、乾燥アセトニトリル500ml中の4−ピリジンチオール12.7g(0.11mol)及び水素化ナトリウム2.7g(0.11mmol)の溶液に加え、これを20℃で1時間撹拌した。得られた混合物を、窒素雰囲気下、90℃で18時間加熱還流した。混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残留物をDCM800mlに取り、有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液150mlで3回洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗生成物18gを得た。粗生成物を、シリカゲル(DCM/MeOH 150:1→10:1)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物6.49gを明褐色の固体として得た。
MS(ESI):980.4([MH]
【0361】
D]化合物9−Dの調製
【0362】
【化113】

【0363】
化合物9−C 5.78gをメタノール200mlに溶解し、DBU 3.75mlを加えた。得られた混合物を70℃で8時間撹拌した。溶媒を除去し、粗生成物を、シリカゲル(DCM/MeOH 50:1→10:1)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、生成物3.5gを得て、これを更に分取TLC(DCM/MeOH 10:1)により精製して、白色の固体1.1gを得た。DCM15mlをこの生成物0.48gに加え、混合物を濾過した。濾液を蒸発させ、所望の生成物0.37gを白色の固体として得た。MS(ESI):939.1([MH]
【0364】
E]化合物9−E調製
【0365】
【化114】

【0366】
化合物9−D 0.37g(0.39mmol)をDCM 10mlに溶解し、モレキュラーシーブ(4A) 4.4g及びジメチル(メチルチオ)スルホニウムテトラフルオロボラート0.177g(0.9mmol)を加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。混合物を濾過し、そして有機層をNaHCO水溶液で2回、水、及びブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、所望の生成物0.25gを暗色の油状物として得た。生成物を次の工程で更に精製しないで使用した。
【0367】
F]化合物I−9の調製
【0368】
【化115】

【0369】
実施例9工程Eの生成物0.15g(0.21mmol)を、窒素雰囲気下、DMF 10mlに溶解し、水1滴及びトリブチルホスフィン0.105ml(0.42mmol)を加え、混合物を室温で出発物質が残存しなくなるまで(2時間)撹拌した。次に、(2−クロロエチル)−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−フェニル)−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル−メチル)−アミン(化合物4−B)100mg(0.23mmol)及びDBU 0.032mlを溶液に加えた。反応物を室温で20時間撹拌し、減圧下で濃縮し、残留物をDCM 5mlに取った。有機層をNaHCO水溶液2ml(5%)及びブライン2mlで2回洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、粗生成物(0.31g)を褐色の油状物として得た。粗生成物を、シリカゲル(DCM/MeOH/NH3 99.8:0.2:0.01→93:7:0.01)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、生成物0.079mgを得て、これを更に分取HPLC(system Ap)により精製して、所望の生成物18mgを白色の固体として得た。
保持時間 (system Ba): 38.5分間
MS(ESI):1052.6, 1054.6([MH]
【0370】
実施例10
式中、R1は[2−[(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−フェニル)−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル−メチル)−アミノ]エチル]チオであり、R2は−O−クラジノシルであり、R6は−OHであり、R7はアセチル−メチル−アミノであり、そしてR3、R4、R5、R8及びR9は水素である、式Iの化合物I−10の調製。
【0371】
A]化合物10−Aの調製
【0372】
【化116】

【0373】
式中、Rpはメチルであり、R2はO−クラジノシルであり、R6はO−アセチルであり、R7はジメチルアミノであり、そしてR3、R4、R5、R8及びR9は水素である式VIIIの化合物0.30g(0.34mmol)(WO2008/017696、実施例1、工程Nの生成物)を、窒素雰囲気下、DMF 10mlに溶解し、水1滴及びトリブチルホスフィン0.166ml(0.67mmol)を加え、混合物を室温で出発物質が残存しなくなるまで(2時間)撹拌した。次に(2−クロロエチル)−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−フェニル)−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル−メチル)−アミン(化合物4−B)159mg(0.37mmol)及びDBU 0.05mlを、溶液に加えた。反応物を室温で20時間撹拌し、減圧下で濃縮し、残留物をDCM 10mlに取った。有機層をNaHCO水溶液(5%)及びブラインで2回洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、粗生成物(0.64g)を黄色の油状物として得た。粗生成物を、シリカゲル(DCM/MeOH/NH3 99.8:0.2:0.01→94:6:0.01)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物0.20gを白色の泡状物として得た。
【0374】
B]化合物の10−B調製
【0375】
【化117】

【0376】
化合物10−A 200mgをメタノール10mlに溶解し、溶液を室温で4日間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残留物を、シリカゲル(DCM/MeOH/NH3 99:1:0.01→92:8:0.01)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物153mgをオフホワイトのガム状物として得た。
MS(ESI):1197.1,1199.1([MH])。
【0377】
C]化合物10−Cの調製
【0378】
【化118】

【0379】
化合物10−B 100mgをメタノール5mlに溶解し、水0.5ml及び酢酸ナトリウム34mgを加えた。混合物を10分間撹拌し、ヨウ素42.4mgを加えた。暗色の混合物を60℃に6時間加熱し、ヨウ素42.4mgを添加した後、混合物を更に3時間60℃で撹拌した。反応混合物を1M Na水溶液でクエンチした。溶媒を減圧下で除去し、残留物をDCMに取った。有機層をNaHCO水溶液(5%)、水及びブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物(97mg)を褐色の油状物として得た。粗生成物を、シリカゲル(DCM/MeOH/NH 99:1:0.01→86:14:0.01)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、黄色の固体37mgを得た。生成物を更に精製しないで次の工程で使用した。
【0380】
D]化合物I−10の調製
【0381】
【化119】

【0382】
化合物10−C 37mgをDCM 2mlに溶解し、トリエチルアミン4.4μl及び無水酢酸3μlを加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。混合物をNaHCO水溶液(5%)、水及びブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物(51mg)を黄色の油状物として得た。粗生成物を、シリカゲル(DCM/MeOH/NH 99.5:0.5:0.01→97:3:0.01)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物31mgをオフホワイトの固体として得た。
保持時間(system Ba): 46.0分
MS(ESI):1224.9([MH]
【0383】
実施例11
R1は[2−[(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−フェニル)−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル−メチル)−アミノ]エチル]チオであり、R2は−O−クラジノシルであり、R5はジメチルアミノであり、R8は4−モルホリニルであり、R3、R4、R6、R7、及びR9は水素である、式Iの化合物I−11の調製。
【0384】
A]化合物11−Aの調製
【0385】
【化120】

【0386】
実施例5工程Dの生成物3.25g(3.1mmol)をTHF 200mlに溶解し、モルホリン18.5ml(0.2mol)を加えた。混合物を20時間加熱還流した。溶媒を蒸発させ、残留物をDCMに溶解した。有機相を飽和NHCl水溶液及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、蒸発させて、粗所望の生成物3.0gを明黄色の固体として得た。
MS(ESI):1035.6([MH]
【0387】
B]化合物11−Bの調製
【0388】
【化121】

【0389】
化合物11−Bを、実施例5工程F及び実施例10工程Aに記載した手順に従って、化合物11−A及び化合物4−B(実施例4、工程B)から調製した。
【0390】
C]化合物I−11の調製
【0391】
【化122】

【0392】
化合物11−B 655mgをメタノール20mlに溶解し、DBU 0.4mlを加えた。反応混合物を70℃で5時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をDCMに溶解した。有機層を水及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗生成物(0.64g)を黄色の固体として得た。粗生成物を、シリカゲル(DCM/MeOH 80:1→20:1)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物0.5gを得て、これを更に分取HPLC(system Ap)により精製して、所望の生成物200mgを得た。
MS(ESI):1265.7[MH],633.6[MH++
保持時間(system Ba):41.1分
【0393】
実施例12
R1は[2−[(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−フェニル)−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル−メチル)−アミノ]エチル]チオであり、R2は−OHであり、R5はジメチルアミノであり、R8は4−モルホリニルであり、そしてR3、R4、R6、R7及びR9は水素である、式Iの化合物I−12の調製。
【0394】
A]化合物I−12の調製
【0395】
【化123】

【0396】
化合物11−B 655mgをメタノール30mlに溶解し、濃縮したHCl 2mlを加え、反応物を25〜28℃で撹拌した。24時間後、濃縮したHCl 3mlを更に加え、混合物を30時間撹拌した。メタノールを蒸発させ、残存した水溶液をNaOH水溶液で中和した。水層をDCM 50mlで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗生成物(0.65g)を得た。この粗生成物400mgを、分取HPLC(system Ap)により精製して、所望の生成物100mgを得た。
MS(ESI):1107.6[MH],554.5[MH++
保持時間(system Ba):38.0分
【0397】
実施例13
式中、R1は[2−[(3−シクロプロピルメチル−4−メトキシ−フェニル)−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル−メチル)−アミノ]エチル]チオであり、R2は−O−クラジノシルであり、R6とR7は一緒になって−O(CO)N(CH)−であり、そしてR3、R4、R5、R8及びR9は水素である、式Iの化合物I−13の調製。
【0398】
A]化合物13−Aの調製
【0399】
【化124】

【0400】
2−メトキシ−5−ニトロフェノール5.0g(29.5mmol)を、窒素雰囲気下、アセトン400mlに溶解し、炭酸カリウム20.4g(148mmol)、(クロロメチル)−シクロプロパン13.4g(148mmol)及びヨウ化カリウム5g(29.5mmol)を加えた。反応混合物を30時間加熱還流し、室温に冷まして、固体を濾過により除去した。濾液を蒸発させ、残留物を酢酸エチルに溶解して、シリカゲルで濾過した。濾液を蒸発させ、粗生成物を明黄色の固体として得た。この固体を石油エーテルで洗浄し、所望の生成物5.5gを明黄色の固体として得た。
【0401】
B]化合物13−Bの調製
【0402】
【化125】

【0403】

化合物13−A 0.2g(0.9mmol)をエタノール6mlに溶解し、パラジウム担持炭48mg(5%)を加えた。混合物を、水素ガス雰囲気下、25℃で3時間撹拌した。触媒をシリカゲルの層を通して濾別し、濾液を減圧下で蒸発させ、所望の粗生成物170mgを赤色の油状物として得た。
【0404】
C]化合物13−Cの調製
【0405】
【化126】

【0406】
トルエン60ml中4.1g(21.22mmol)の溶液に、3,5−ジクロロ−4−ピリジンカルボキシアルデヒド3.8g(21.64mmol)、トリエチルアミン12ml(84.9mmol)及び酢酸6ml(106mmol)を加えた。混合物を25℃で2時間撹拌し、NaBHCN5.33g(84.9mmol)を加えた。反応混合物を25℃で3時間撹拌し、次に溶媒を蒸発させた。残留物を、シリカゲル(石油エーテル/酢酸エチル 20:1)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物6.75gを黄色の固体として得た。
MS(ESI):353.0,355.0([MH]
【0407】
D]化合物13−Dの調製
【0408】
【化127】

【0409】
化合物13−Dを実施例4工程Bに記載した手順に従って、化合物13−Cから調製した。
【0410】
E]化合物13−Eの調製
【0411】
【化128】

【0412】
式中、Rp及びRpはアセチルである、式XXVIIIの化合物9.8g(9.7mmol)(WO2008/017696、実施例1、工程Kの生成物)をメタノール100ml及び水20mlに溶解し、酢酸ナトリウム4.1g(48.6mmol)及びヨウ素10g(38.8mmol)を加えた。暗色の混合物を45℃に3時間加熱した。反応混合物を1M Na水溶液でクエンチした。溶媒を減圧下で除去し、水50mlを残留物に加えた。混合物をDCMで3回抽出した。合わせた有機層を水及びブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を黄色の泡状物として得た。粗生成物を、シリカゲル(DCM/MeOH 40:1)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物5.4gを明黄色の泡状物として得た。
MS(ESI):952.3([MH]
【0413】
F]化合物13−Fの調製
【0414】
【化129】

【0415】
化合物13−E 1g(1.05mmol)をジオキサン11mlに溶解し、1N NaOH 3.2mlを0℃で加えた。次にビス(トリクロロメチル)カルボネート343mg(1.16mmol)を加え、混合物を室温で2時間撹拌した。飽和NHCl水溶液30mlを加え、混合物を酢酸エチル200mlで抽出した。有機層を水50ml及びブライン50mlで3回洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗生成物を明黄色の固体として得た。粗生成物を、シリカゲル(DCM/MeOH 200:1)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物700mgを白色の固体として得た。
【0416】
G]化合物13−Gの調製
【0417】
【化130】

【0418】
化合物13−Gを、実施例5工程F及び実施例10工程Aに記載された手順に従って、化合物13−F及び化合物13−D(実施例13、工程D)から調製した。
MS(ESI):1236.6, 1238.6([MH]
【0419】
H]化合物I−13の調製
【0420】
【化131】

【0421】
化合物13−G 75mgをメタノール5mlに溶解し、DBU 46mgを加えた。混合物を70℃で2時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、粗生成物を、分取TLC(DCM/MeOH 25:1)により2回精製し所望の生成物35mgを得て、これを更に、シリカゲル(DCM/MeOH 25:1)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物27mgを白色の泡状物として得た。
MS(ESI):1194.6,1196.6[MH]
保持時間(system Ba):46.5分
【0422】
実施例14
式中、R1は[2−[5−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル−アミノカルボニル)−2−メトキシ−フェノキシ]エチル]チオであり、R2は−O−クラジノシルであり、R6は−OHであり、R7はアセチル−メチル−アミノであり、そしてR3、R4、R5、R8及びR9は水素である、式Iの化合物I−14の調製。
【0423】
A]化合物14−Aの調製
【0424】
【化132】

【0425】
イソバニリン酸500mg(2.97mmol)をDMF5mlに溶解し、炭酸カリウム1.07g(7.74mmol)及び1−ブロモ−2−クロロエタン0.7ml(8.49mmol)を加えた。混合物を50℃に6時間、70℃に1時間加熱した。続いてDMFを蒸発させ、水20mlを残留物に加えた。水層を酢酸エチル50mlで2回抽出した。有機層を合わせ、溶媒を減圧下で蒸発させた。残留物を、THF 20mlに溶解し、メタノール20ml及び4N NaOH水溶液20mlを加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、有機溶媒を蒸発させた。水相を濃縮したHCl水溶液でpH=7に調整し、生成物を沈殿させ、これを濾過により単離し、水で洗浄して、所望の生成物347mgを灰色の固体として得た。
【0426】
B]化合物14−Bの調製
【0427】
【化133】

【0428】
水素化ナトリウム31mg(0.74mmol)をDMF 2mlに溶解し、4−アミノ−3,5−ジクロロピリジン134mg(0.82mmol)を加えた。混合物を28℃で3時間撹拌し、“溶液A”を得た。化合物14−A 50mg(0.22mmol)、HATU 99mg(0.26mmol)及びエチルジイソプロピル45μl(0.26mmol)アミンを、DMF 20mlに溶解し、得られた溶液を29℃で45分間撹拌した。溶液A(上記参照)を0〜10℃で滴下し、混合物をこの温度で15分間撹拌した。混合物のpHをHCl水溶液の添加により6に調整し、DMFを減圧下で蒸発させた。残留物を酢酸エチル70mlに溶解し、有機層を、0.5N HCl水溶液50mlで2回、水50mlで、そしてブライン50mlで2回洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗生成物120mgを褐色の固体として得た。粗生成物を、シリカゲル(酢酸エチル/石油エーテル 1:2)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物60mgを白色の固体として得た。
1H NMR (DMSO-d6): 3.86 (s, 3H), 3.96 (t, 2H), 4.30 (t, 2H), 7.14 (d, 1H), 7.58 (d, 1H), 7.70 (dd,1H), 8.73(s, 2H), 10.45(s, 1H)
【0429】
C]化合物14−Cの調製
【0430】
【化134】

【0431】
化合物5−B 2.0g(2.0mmol)をメタノール80mlに溶解し、水8ml及び酢酸ナトリウム0.83g(10.0mmol)を加えた。混合物を室温で10分間撹拌し、ヨウ素2.5g(10.0mmol)を加えた。暗色の混合物を25〜30℃で2時間撹拌し、次に1M Na水溶液でクエンチした。溶媒を減圧下で除去し、水層をDCM 50mlで2回抽出した。合わせた有機層を水及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物(2.0g)を明黄色の固体として得た。生成物を更に精製しないで次の工程で使用した。
MS(ESI):994.6[MH]
【0432】
D]化合物14−Dの調製
【0433】
【化135】

【0434】
DCM 50ml中の化合物14−C 3.81g(4mmol)の溶液に、DMAP 1.23g(10mmol)及び無水酢酸1.14ml(12mmol)を加え、混合物を25〜28℃で20時間撹拌した。有機層を飽和NHCl水溶液、水及びブラインで3回洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得て、これを、シリカゲル(DCM/MeOH 100:1)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物3.4gを明黄色の固体として得た。
MS(ESI):1058.8[MNa]
【0435】
E]化合物14−Eの調製
【0436】
【化136】

【0437】
実施例14、工程Dの生成物2.0g(1.9mmol)をDCM 100mlに溶解し、ジメチル(メチルチオ)スルホニウムテトラフルオロボラート0.8g(4.1mmol)及びモレキュラーシーブ(4A)0.8gを混合物に加え、反応物を0〜5℃で1時間撹拌した。モレキュラーシーブを濾別し、DCM60mlで洗浄した。合わせた有機層をNaHCO水溶液(5%)、水及びブラインで2回洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮し、所望の生成物2gを明黄色の固体として得た。粗生成物を精製しないで次の工程で使用した。
【0438】
F]化合物14−Fの調製
【0439】
【化137】

【0440】
化合物14−E 1.9g(2.0mmol)を、窒素雰囲気下、DMF 50mlに溶解し、水2ml及びトリブチルホスフィン1.0ml(4.0mmol)を加え、混合物を出発物質が残存しなくなるまで(1時間)0〜5℃で撹拌した。次に、3−(2−クロロ−エトキシ)−N−(3,5−ジクロロ−ピリジン−4−イル)−4−メトキシ−ベンズアミド(化合物14−B)750mg(2.0mmol)、DBU0.6ml(4.0mmol)及びKI 170mg(0.5mmol)を溶液に加えた。反応物を室温で12時間撹拌し、水50mlを加えた。混合物をDCM 100mlで3回抽出した。合わせた有機層を飽和NHCl水溶液、水及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮し、粗生成物を得て、これを、シリカゲル(DCM/MeOH 120:1→40:1)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物1.4gを明黄色の固体として得た。
MS(ESI):1253.7[MH]
【0441】
G]化合物I−14の調製
【0442】
【化138】

【0443】
化合物14−F 1.3g(0.42mmol)をメタノール50mlに溶解し、DBU 1.0ml(6.6mmol)を加えた。混合物を70℃に30時間加熱した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をDCMに溶解した。有機層を水及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗生成物を明黄色の固体として得た。粗生成物を、シリカゲル(DCM/MeOH 80:1→30:1)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物0.3gを得て、これを更に、分取HPLC(カラム:Phenomenex Gemini C18,110A 150×21.5mm;流速:16ml/分;移動相A:25mM アンモニウムアセテート水溶液、移動相B:アセトニトリル;勾配:0〜10分 55%Bから80%Bへ直線)により精製して、所望の生成物230mgを得た。
MS(ESI):1170.5, 1172.5[MH]
保持時間(system Ba):37.0分
【0444】
実施例15
式中、R1は[2−[5−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル−アミノカルボニル)−2−メトキシ−フェノキシ]エチル]チオであり、R2は−O−クラジノシルであり、R6は−OHであり、R7はメチル−(モルホリン−4−カルボニル)−アミノであり、そしてR3、R4、R5、R8及びR9は水素である、式Iの化合物I−15の調製。
【0445】
A]化合物15−Aの調製
【0446】
【化139】

【0447】
化合物14−C 2.0g(2.0mmol)をTHF 100mlに溶解し、NaH 140mg(6.0mmol)を、窒素雰囲気下、0℃で加えた。混合物を0〜5℃で10分間撹拌し、4−モルホリンカルボニルクロリド1.2ml(10mmol)を加えた。混合物を0〜25℃で18時間、30〜35℃で2時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をDCMに溶解した。有機層を水及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗生成物を明黄色の固体として得た。粗生成物を、シリカゲル(DCM/MeOH 50:1→100:1)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物1.8gを白色の固体として得た。
MS(ESI):1129.6[MNa]
【0448】
B]I−15の調製
【0449】
【化140】

【0450】
化合物I−15を、実施例14工程E〜Gに記載された手順に従って、化合物15−A及び化合物14−B(実施例14、工程B)から調製した。
MS(ESI):1241.6[MH]
保持時間(system Ba):38.8分
【0451】
実施例16
式中、R1は[2−[5−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル−アミノカルボニル)−2−メトキシ−フェノキシ]プロピル]チオであり、R2は−O−クラジノシルであり、R6は−OHであり、R7はメチル−(モルホリン−4−カルボニル)−アミノであり、そしてR3、R4、R5、R8及びR9は水素である、式Iの化合物I−16の調製。
【0452】
A]化合物16−Aの調製
【0453】
【化141】

【0454】
イソバニリン酸200mg(1.19mmol)をDMF 10mlに溶解し、炭酸カリウム493mg(3.57mmol)及び1−ブロモ−3−クロロプロパン0.35ml(3.57mmol)を加えた。混合物を50℃に4時間加熱した。次に水20mlを加え、水層を酢酸エチル20mlで2回抽出した。有機層を合わせ、溶媒を減圧下で蒸発させた。残留物をTHF 20mlに溶解し、メタノール20ml及び4N NaOH水溶液20mlを加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、有機溶媒を蒸発させた。水相を濃縮したHCl水溶液でpH=7に調整し、生成物の沈殿物を得て、これを濾過により単離し、水で洗浄して、所望の生成物100mgを白色の固体として得た。
【0455】
B]化合物16−Bの調製
【0456】
【化142】

【0457】
化合物16−Bを、実施例14工程Bの手順に従って、化合物16−Aから調製した。
1H NMR (DMSO-d6): 2.16-2.20 (m, 2H), 3.78-3.81 (m, 2H), 3.84 (s, 3H), 4.12-4.15 (m, 2H), 7.12 (d, 1H), 7.59 (s, 1H), 7.67 (d, 1H), 8.72 (s, 2H), 10.40 (bs, 1H)
【0458】
C]化合物I−16の調製
【0459】
【化143】

【0460】
化合物I−16を、実施例14工程E〜Gに記載された手順に従って、化合物15−A及び化合物16−Bから調製した。
MS(ESI):1255.7[MH]
保持時間(system Ba):39.4分
【0461】
実施例17
式中、R1は[2−[5−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル−アミノカルボニル)−2−メトキシ−フェノキシ]プロピル]チオであり、R2はO−クラジノシルであり、R6は−OHであり、R7はイソブチル−メチル−アミノであり、そしてR3、R4、R5、R8及びR9は水素である、式Iの化合物I−17の調製。
【0462】
A]化合物I−17の調製
【0463】
【化144】

【0464】
化合物I−17を、実施例2工程E〜Fに記載された手順に従って、化合物2−B及び化合物16−Bから調製した。
MS(ESI):1198.8[MH]
保持時間(system Ba):35.1分
【0465】
実施例18
式中、R1は[2−[(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−フェニル)−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル−メチル)−アミノ]エチル]チオであり、R2は−O−クラジノシルであり、R6はヒドロキシであり、R8及びR9が、それらが結合している炭素原子の間の結合と一緒になって二重結合を形成し、そしてR3、R4、R5及びR7は水素である、式Iの化合物I−18の調製。
【0466】
A]化合物18−Aの調製
【0467】
【化145】

【0468】
化合物4−B 0.6g(1.4mmol)をアセトン8mlに溶解し、チオ酢酸カリウム0.21g(1.8mmol)を加えた。混合物を60℃で36時間撹拌し、溶媒を蒸発させた。残留物を酢酸エチル100mlに溶解し、有機層をブラインで3回洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮し、粗生成物を得て、これを、シリカゲル(酢酸エチル/石油エーテル 1:20)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物90mgを褐色の油状物として及び化合物4−B 520mgを得た。
MS(ESI):469.1[MH]
【0469】
B]化合物18−Bの調製
【0470】
【化146】

【0471】
化合物18−A 90mgをメタノール6mlに溶解し、アンモニアガスを溶液に5分間泡立てて入れた。30分間撹拌し続け、溶媒を蒸発させた。生成物を次の工程で直接使用した。
【0472】
C]18−Cの調製
【0473】
【化147】

【0474】
化合物18−Cを、実施例1工程G〜Hに記載された手順に従って、化合物18−B及び化合物1−Fから調製した。
【0475】
D]化合物I−18の調製
【0476】
【化148】

【0477】
粗化合物18−C 60mgをメタノール3mlに溶解し、DBU 15mgを加えた。混合物を室温で24時間撹拌した。DBU 60mgを加え、混合物を室温で24時間、40℃で24時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を、シリカゲル(DCM/MeOH 250:1)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物3mgを得た。
MS(ESI):1151.3,1153.3[MH]
保持時間(system Ba):48.2分
【0478】
実施例19
式中、R1は[2−[(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−フェニル)−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル−メチル)−アミノ]エチル]チオであり、R2は−O−クラジノシルであり、R6はヒドロキシであり、そしてR3、R4、R5、R7、R8及びR9は水素である、式Iの化合物I−19の調製。
【0479】
A]化合物19−Aの調製
【0480】
【化149】

【0481】
化合物1−D 200mgをエタノール5mlに溶解し、酢酸エチル5ml及びパラジウム担持炭26mg(10%)を加えた。混合物を、水素ガス雰囲気下、28℃で16時間撹拌した。反応混合物をシリカゲルの層を通して濾過し、濾液を蒸発させ、所望の生成物0.2gを白色の固体として得た。
【0482】
B]I−19の調製
【0483】
【化150】

【0484】
化合物 I−19を、実施例1工程E〜H、実施例14工程E〜G及び実施例18工程Dに記載された手順に従って、化合物19−A及び化合物4−Bから調製した。
MS(ESI):1153.5,1155.5[MH]
保持時間(system Ba):49.0分
【0485】
実施例20
式中、R1は[2−[5−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル−アミノカルボニル)−2−メトキシ−フェノキシ]エチル]チオであり、R2は−O−クラジノシルであり、R6は−OHであり、R7は(2−ジメチルアミノアセチル)−メチル−アミノであり、そしてR3、R4、R5、R8及びR9は水素である、式Iの化合物I−20の調製。
【0486】
A]化合物20−Aの調製
【0487】
【化151】

【0488】
化合物14−C 2.5g(2.51mmol)をDMF 20mlに溶解し、HATU 1.91g(5.03mmol)、エチルジイソプロピルアミン1.63g(12.6mmol)及びN,N−ジメチルグリシン塩酸塩0.88g(6.29mmol)を加え、混合物を15℃で20時間撹拌した。水を加え、混合物をDCM 150mlで2回抽出した。合わせた有機層を水及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮し、粗生成物を得て、シリカゲル(DCM/MeOH 50:1)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物1.75gを明黄色の固体として得た。
MS(ESI):1079.6[MH]
【0489】
B]化合物I−20の調製
【0490】
【化152】

【0491】
化合物I−20を、実施例14工程E〜Gに記載した手順に従って、化合物20−A及び化合物14−Bから調製した。
MS(ESI):1213.5,1215.5[MH]
保持時間(system Ba):32.3分
【0492】
生物活性
本発明の化合物は、ヒトホスホジエステラーゼ(PDE類)、特にPDE4に対して相当の阻害活性を示す。以下のアッセイを、化合物の阻害活性を決定するために使用した。
【0493】
アッセイ
PDE4はcAMPを特異的に加水分解し、生成物であるAMPを放出する。該薬剤によるPDE阻害の潜在能力は、in vitro酵素的アッセイで決定した。アッセイは、市販されており(IMAP(商標)FPアッセイ Molecular Devices Corp.(MDS))、ヒトPDE4の使用のために最適化された。蛍光標識cAMPがPDE4により加水分解され、第二段階で、標識生成物が大きな結合相手と結合することにより、蛍光偏光(FP)測定による生成物の検出が可能となる。
【0494】
PDE4は、Thorpyら、1992(J. Pharmacol. Exp. Ther. 263: 1195)に従って、未分化ヒト単球細胞(U−937)から部分的に精製した。最終調製物は、cAMPに特異的であり、アッセイの検出限界より上には、cGMPを加水分解しなかった。さらに、PDE4調製物は、PDE4特異的および非特異的PDE阻害剤での阻害実験により有効であると確認された。
【0495】
試験化合物の原液はDMSO中で作製され、所望の濃度に、アッセイ緩衝液(10mMトリス−HCl、10mM MgCl、0.1%BSA 0.05%NaN、pH7.2)で希釈した。アッセイで使用した溶液は、2%DMSOを含むアッセイ緩衝液中に試験化合物を含んでいた。
【0496】
基質10μl(製造者の推奨する濃度で)を、適切に希釈されたPDE5μlおよび試験化合物溶液5μlと混合した。2%DMSOを含む反応緩衝液5μlを対照反応に使用した。アッセイでのDMSOの最終濃度は0.5%であり、これは、PDE活性を有意には変えなかった。室温で90分のインキュベーション後、製造者が指定したとおりに、結合試薬60μlを加えた。結合を30分間進行させ、蛍光偏光を測定した。PDE阻害の用量依存性は、試験化合物の希釈系列を二重にアッセイすることにより測定した。IC50値は、曲線当てはめ(カーブフィッティング)により、測定した活性から決定した。
【0497】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化153】


[式中、
式中、
R1は、残基−Y−X−Qであり;
Yは、S、SOまたはSOであり;
Xは、結合または、水素原子ならびにC、N、OおよびSから選択される1〜9個の原子からなる直鎖状基であり、そのうち2個までの原子が、Nであってよく、そして1個の原子が、OもしくはSであってよく、1個の炭素原子が、CO基として現れてもよく、そして硫黄原子が、SO基として現れてもよく、そして2個の隣接するC原子が、−CH=CH−もしくは−C≡C−として存在してもよく、そして基Xは、非置換であるかまたは−COO−Wもしくは−CONH−Wで置換されており;
Qは、Wであるか、残基−V−A1−L−A2−Wであるか、またはXが結合を表さない場合には、−NR10R11であってもよく;
Vは、場合により置換されている二価の芳香族またはヘテロ環基であり;
Wは、場合により置換されているアリールまたはヘテロシクリルであるか;または基−V−A1−L−A2−W(式中、基A1、LまたはA2の少なくとも1つが存在する)において、水素原子ならびにC、N、Oおよび/もしくはSの5個までの原子からなり、そのうちの1個の炭素が、CO基として現れてもよく、1個の硫黄原子が、SO基として現れてもよい、一価の置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の、直鎖状基であってもよく、
A1およびA2は、互いに独立して、存在しないかまたはC〜Cアルキレン基のいずれかであり;
Lは、単結合、−O−、−S−、−SO−、−NH−、−CO−、−(CO)O−、−O(OC)−、−(CO)NH−、−NH(CO)−、−(SO)NH−、−HN(SO)−、−HN(CO)NH−、−O(CO)NH−、−NH(CO)O−であるか、またはA1および/もしくはA2が存在する場合には、存在していなくてもよく;
R2は、OR2aまたは
【化154】


(式中、
【化155】


は、リンクする結合を表す)であり;
R2aは、水素、アセチル、−(C=O)CHNR2bR2c、または−(C=O)CHCHNR2bR2cであり;
R2bおよびR2cは、互いに独立して、水素またはC1〜C6アルキル(これは、置換もしくは非置換であってもよく、ここで、2個までの原子が、N、OもしくはSであってもよく、そして1個の炭素原子が、C=Oとして現れてもよい)であるか、またはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、そのうちの2個までの原子が、N、OもしくはSであってもよく、そして1個の炭素が、C=Oとして現れてもよい4〜7員環を形成し;
R3は、水素であるか、または
R2およびR3は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C=O基を表し;
R4は、水素であるか、または
R2およびR4は、それらが結合している炭素原子の間の結合と一緒になって、該炭素原子間の二重結合を表し;
Zは、
【化156】


(式中、
【化157】


は、リンクする結合を表す)であり;
R5は、水素または−OR5aもしくは−NR5bR5cであり;
R6は、水素または−OR6aもしくは−NR6bR6cであるか;または
R5およびR6は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C=O基を表し;
R7は、水素または−OR7aもしくは−NR7bR7cであり;
R8は、水素または−OR8aもしくは−NR8bR8cであるか;または
R7およびR8は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C=O基を表し;または
R5およびR6の一つは、
R7およびR8の一つと一緒になって、式−NR56(CO)O−もしくは−O(CO)NR78−の基を表し、
R9は、水素であるか、または
R8およびR9は、それらが結合している炭素原子の間の結合と一緒になって、該炭素原子間の二重結合を表し;
R5a、R6a、
R7aおよびR8aは、互いに独立して、水素またはC1〜C6アルキル(これは、置換もしくは非置換であってもよく、ここで、1個以上の単結合は、二重結合および/もしくは三重結合で置き換えられてもよく、そして1個の炭素原子が、C=Oとして現れてもよく、そして2個までの原子が、N、OもしくはSであってもよい)であり;
R56およびR78は、水素またはC1〜C6アルキルであり;
R5b、R5c、
R6b、R6c、
R7b、R7c、
R8bおよびR8cは、互いに独立して、水素、C1〜C6アルキル(これは、置換もしくは非置換であってもよく、そして2個までの原子が、N、OもしくはSであってもよく、そして1個の炭素原子が、C=Oとして現れてもよい)もしくは−(C=O)ヘテロシクリルであるか、またはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、そのうちの2個までの原子が、N、OもしくはSであってもよく、そして1個の炭素が、C=Oとして現れてもよい4〜7員環を形成し;
R10およびR11は、独立して、水素、メチルから;アリール;アラルキル;ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキル;基から選択される場合により置換されている基から選択され、そしてR10およびR11の一つは、基−L−A2−Wであってもよく;そして
は、(R)もしくは(S)体であるキラル中心を示し;
ただし、
Zは、式:
【化158】


(式中、
【化159】


は、リンクする結合を表す);
の基ではない]
のマクロライド化合物。
【請求項2】
R5およびR6の一方ならびに/または
R7およびR8の一方が、水素であり、そして他方が、水素ではない、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R5が、−NR5bR5cであるか、または
R7が、−NR7bR7cである、請求項1または好ましくは2記載の化合物。
【請求項4】
R6が、−OR6aであるか、または
R8が、−OR8aである、請求項1または好ましくは2もしくは3のいずれか一項記載の化合物。
【請求項5】
R8およびR9が、それらが結合している炭素原子の間の結合と一緒になって、二重結合を形成する、請求項1または好ましくは2もしくは3のいずれか一項記載の化合物。
【請求項6】
R9が、水素である、請求項1または好ましくは2〜4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項7】
R5a、R6a、R7a、R8a、R56およびR78、R5b、R5c、R6b、R6c、R7b、R7c、R8bおよびR8cが、互いに独立して、水素またはC1〜C6アルキルである、請求項1または好ましくは2〜6のいずれか一項記載の化合物。
【請求項8】
R2が、
【化160】


(式中、
【化161】


は、リンクする結合を表す)である、請求項1または好ましくは2〜7のいずれか一項記載の化合物。
【請求項9】
R2aが、水素である、請求項1または好ましくは2〜7のいずれか一項記載の化合物。
【請求項10】
R2およびR3が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C=O基を表す、請求項1または好ましくは2〜7のいずれか一項記載の化合物。
【請求項11】
R2およびR4が、それらが結合している炭素原子の間の結合と一緒になって、二重結合を形成する、請求項1または好ましくは2〜7のいずれか一項記載の化合物。
【請求項12】
Yが、SOまたは、好ましくはSである、請求項1〜11のいずれか一項記載の化合物。
【請求項13】
Qが、残基−V−A1−L−A2−Wである、請求項1〜12のいずれか一項記載の化合物。
【請求項14】
Vが、式:
【化162】


(式中、
【化163】


は、フェニレン環または、2〜(x−1)個の炭素原子と、硫黄および、好ましくは酸素および窒素からなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子とを含む、x員の飽和もしくは不飽和の二価のヘテロ脂環式もしくはヘテロ芳香族環(xは、5〜8、好ましくは5または6である)であり、R12およびR13は、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cシクロアルキルオキシ、C〜Cシクロアルキル−C〜Cアルコキシ、ハロゲン、ハロゲン置換C〜Cアルキル基、ハロゲン置換C〜Cアルコキシ基、シアノ、ニトロ、アミノ、C〜Cアルキルアミノ、ジ(C〜C)アルキルアミノ、C〜Cアルキルチオ、メルカプト、ヒドロキシ、カルバモイル、カルボキシル基、オキソ基;またはアリールもしくはヘテロシクリル(これらは、非置換、またはアリールもしくはヘテロシクリル以外の、1個以上の上で特定した置換基で置換されていてもよい)からなる群より独立して選択されるか、または置換基R12およびR13の両方が、環:
【化164】


の隣接する炭素原子に位置する場合、これら2個の置換基は、該隣接する炭素原子と一緒になって、5員もしくは6員の芳香族環、または2〜(x−1)個の炭素原子と、硫黄および、好ましくは酸素および窒素からなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子とを含む、x員の飽和もしくは不飽和のヘテロ脂環式もしくはヘテロ芳香族環(xは、5〜8、好ましくは5または6である)を形成してもよく、ここで、Vは、全体で、R12およびR13について定義した種類の1〜4個の置換基を有していてもよく、そして自由原子価は、基Vの一方または両方の環のいずれかに位置していてもよい)
の二価の基である、請求項1〜13のいずれか一項記載の化合物。
【請求項15】
Vが、式:
【化165】


の二価の基である、請求項14記載の化合物。
【請求項16】
Wが、アリール、または好ましくは、ヘテロシクリルである、請求項1〜15のいずれか一項記載の化合物。
【請求項17】
Wが、式:
【化166】


(式中、
【化167】


は、フェニル環または、2〜(x−1)個の炭素原子と、硫黄および、好ましくは酸素および窒素からなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子とを含む、x員の飽和もしくは不飽和のヘテロ脂環式もしくはヘテロ芳香族環(xは、5〜8、好ましくは5または6である)であり、R14およびR15は、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cシクロアルキルオキシ、C〜Cシクロアルキル−C〜Cアルコキシ、ハロゲン、ハロゲン置換C〜Cアルキル基、ハロゲン置換C〜Cアルコキシ基、シアノ、ニトロ、アミノ、C〜Cアルキルアミノ、ジ(C〜C)アルキルアミノ、C〜Cアルキルチオ、メルカプト、ヒドロキシ、カルバモイル、カルボキシル基、およびオキソ基からなる群より独立して選択されるか、または置換基R14およびR15の両方が、環:
【化168】


の隣接する炭素原子に位置する場合、これら2個の置換基は、該隣接する炭素原子と一緒になって、5員もしくは6員の芳香族環または、2〜(x−1)個の炭素原子と、硫黄および、好ましくは酸素および窒素からなる群より選択される1〜3個のヘテロ原子とを含む、x員の飽和もしくは不飽和のヘテロ脂環式もしくはヘテロ芳香族環(xは、5〜8、好ましくは5または6である)を形成してもよく、ここで、Wは、全体で、R14およびR15について定義した種類の1〜4個の置換基を有していてもよく、そして自由原子価は、基Wのいずれかの環に位置していてもよい)
の基である、請求項1〜16のいずれか一項記載の化合物。
【請求項18】
Wが、式:
【化169】


のうちの一つの基であるか、または式:
【化170】


(式中、R16は、水素またはC〜Cアルキルである)
の基である、請求項17記載の化合物。
【請求項19】
Qが、Wである、請求項1〜12のいずれか一項記載の化合物。
【請求項20】
Wが、式:
【化171】


のうちの一つの基である、請求項19記載の化合物。
【請求項21】
Qが、−NR10R11である、請求項1〜12のいずれか一項記載の化合物。
【請求項22】
A1、A2が、互いに独立して、存在しないか、またはC〜Cアルキレン基であり;そしてLが、−NH−、−(CO)NH−または−NH(CO)−であるか、または存在しない、請求項1〜19のいずれか一項記載の化合物。
【請求項23】
A1、A2が、互いに独立して、存在しないか、またはC〜Cアルキレン基であり;Lが、−NH−、−(CO)NH−または−NH(CO)−であり;
Vが、式:
【化172】


の二価の基であり、そして
Wが、式:
【化173】


の基である、請求項22記載の化合物。
【請求項24】
Yが、−S−であり、そして
Xが、−CH−CH−CH−または、好ましくは、それぞれNH基もしくはO原子を介して残基Qに結合している−CH−CH−NH−、−CH−CH−O−、−CH−CH−CH−NH−もしくは−CH−CH−CH−O−、または−CH−CH−、最も好ましくは−CH−CH−である、請求項1〜23のいずれか一項記載の化合物。
【請求項25】
−NR10R11が、以下の式:
【化174】


(式中、
【化175】


は、メトキシ残基を意味する)
のうちの一つの基である、請求項21または24記載の化合物。
【請求項26】
以下の式:
【化176】


の一つを有する、請求項19、20または24のいずれか一項記載の化合物。
【請求項27】
式:
【化177】


を有する、請求項1〜18のいずれか一項記載の化合物。
【請求項28】
以下の式:
【化178】


の一つを有する、請求項21、24または25のいずれか一項記載の化合物。
【請求項29】
請求項1〜28のいずれか一項記載の化合物および薬学的に許容され得る担体を含む医薬。
【請求項30】
動物および、好ましくはヒトから選択される対象において障害および/または疾患の予防および/または治療方法において使用する請求項29記載の医薬であって、該方法が、該対象におけるホスホジエステラーゼ、特にホスホジエステラーゼ4の阻害に基づくものである、医薬。
【請求項31】
対象における炎症性もしくはアレルギー性疾患または制御されない細胞成長、増殖および/もしくは生存に伴う疾患、例えばガンの予防および/または治療のための、請求項29または30記載の医薬。
【請求項32】
喘息、慢性気管支炎、気腫、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、乾癬、リューマチ性関節炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、敗血性ショック、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、例えばクローン病、成人呼吸窮迫症候群または多発性硬化症の予防および/または治療のための、請求項29〜31のいずれか一項記載の医薬。
【請求項33】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、リューマチ性関節炎またはアトピー性皮膚炎の予防および/または治療のための、請求項29〜32のいずれか一項記載の医薬。
【請求項34】
動物および、好ましくはヒトから選択される対象における、医学的治療における使用、特に炎症性もしくはアレルギー性疾患または制御されない細胞成長、増殖および/もしくは生存に伴う疾患、例えばガンの予防および/または治療のための、請求項1〜28のいずれか一項記載の化合物。
【請求項35】
治療を必要とする、動物および、好ましくはヒトから選択される対象における、炎症性もしくはアレルギー性疾患または制御されない細胞成長、増殖および/もしくは生存に伴う疾患、例えばガンの治療または予防方法であって、前記炎症性もしくはアレルギー性疾患または制御されない細胞成長、増殖および/もしくは生存に伴う疾患の予防または治療に有効な量の、請求項1〜28のいずれか一項記載の化合物を、前記対象に投与する、方法。
【請求項36】
ヒトホスホジエステラーゼ、特にヒトホスホジエステラーゼ4の阻害により改善し得る障害または疾患に罹患したヒトの治療方法であって、前記障害または疾患の改善に有効な量の、請求項1〜28のいずれか一項記載の化合物を、前記ヒトに投与する、方法。
【請求項37】
疾患または障害が、炎症性もしくはアレルギー性疾患もしくは障害または制御されない細胞成長、増殖および/もしくは生存に伴う疾患である、請求項36記載の方法。
【請求項38】
炎症性もしくはアレルギー性疾患または制御されない細胞成長、増殖および/もしくは生存に伴う疾患、例えばガンの予防および/または治療用の医薬の製造のための、請求項1〜28のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項39】
ヒトホスホジエステラーゼ、特にヒトホスホジエステラーゼ4の阻害により改善し得る障害または疾患の処置用の医薬の製造のための、請求項1〜28のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項40】
請求項1記載の式(I)の化合物の製造方法であって、
a)式(II):
【化179】


(式中、基R2〜R9は、請求項1に定義したとおりである)
を有するマクロライド化合物を、必要な場合には適切に保護した後、それ自体公知の方法で、式IV:
【化180】


の化合物に変換し、
b)式IVの化合物を、それ自体公知の方法で、式VI:
【化181】


(式中、R1は、請求項1に定義したとおりであるか、または式−S−Rp基であり、ここでRpは、硫黄保護基である)の化合物に変換し、
c)式VIの化合物を、非プロトン性溶媒中で、アルカリ金属塩基と反応させて、式VII:
【化182】


(式中、R1〜R9は、上記の意味を有する)の化合物を形成し、必要な場合には任意の保護基を除去して、式Iの化合物を形成することを含むが、
ただし、R1がS−Rpである場合、式VIIの化合物を、ヒドロキシル保護基RpおよびRpを除去する前に、R2がクラジノシル基を表すならば、モレキュラーシーブの存在下、式VIII:
【化183】


(式中、Rpは、C1〜C4アルキル、特にメチルであるか、または3−ニトロ−2−ピリジニルである)のジスルフィド誘導体に変換し、
この化合物を、溶媒、特にアセトン水溶液、DMF水溶液、ジオキサン水溶液またはTHF水溶液中、還元剤、特にトリアルキルホスフィンまたはトリアリールホスフィンで処理して、式IX:
【化184】


(式中、R2〜R9は、上記の意味を有する)の化合物を得、
次いで、この化合物を、式Q−X−Lg(式中、QおよびXは、請求項1に定義したとおりであり、そしてLgは、脱離基であるか、またはXがカルボニルもしくはスルホニル基を表す場合、ビニル基である)の化合物と反応させて、式VII(式中、R1は、請求項1に定義したとおりである)の化合物を得ることを条件とする、方法。
【請求項41】
請求項1記載の式Iの化合物の製造方法であって、
式:
【化185】


(式中、R1、R2、R3およびR4は、請求項1に定義したとおりの意味を有し、そして
Z1は、式:
【化186】


(式中、
【化187】


は、リンクする結合を表す)
の基である)
の化合物から選択される化合物を、それ自体公知の方法で、請求項1記載の式(I)の化合物に変換することを含む、方法。
【請求項42】
式(I−1);(II−1);(IV−1);(VI−1)または(VII−1)の化合物が、以下の方法スキームに従って得られる、請求項41記載の方法であって、
a)式(II−1):
【化188】


(式中、基R2〜R4およびZ1は、請求項41に定義したとおりである)
を有するマクロライド化合物を、必要な場合には適切に保護した後、それ自体公知の方法で、対応する式(IV−1):
【化189】


の化合物に変換し、
b)式(IV−1)の化合物を、それ自体公知の方法で、対応する式(VI−1):
【化190】


(式中、R1は、請求項1に定義したとおりであるか、または式−S−Rp基であり、ここでRpは、硫黄保護基である)の化合物に変換し、
c)式(VI−1)の化合物を、非プロトン性溶媒中で、アルカリ金属塩基と反応させて、対応する式(VII−1):
【化191】


の化合物を形成し、そして必要な場合には任意の保護基を除去して、式(I−1)の化合物を形成するか、
またはR1がS−Rpである場合、式(VII−1)の化合物を、任意のヒドロキシル保護基を除去する前に、R2がクラジノシル基を表すならば、モレキュラーシーブの存在下、式(VIII−1):
【化192】


(式中、Rpは、C1〜C4アルキル、特にメチルであるか、または3−ニトロ−2−ピリジニルである)
のジスルフィド誘導体に変換し、式(I−1);(II−1);(IV−1);(VI−1)または(VIII−1)の化合物を請求項41に従って加工する、方法。
【請求項43】
化合物、式(II):
【化193】


(式中、基R2〜R9は、請求項1に定義したとおりである)の化合物;
式IV:
【化194】


(式中、基R2〜R9は、請求項1に定義したとおりである)
の化合物;
式VI:
【化195】


(式中、R1、R2〜R9は、請求項1に定義したとおりである)
の化合物;および
式(VIII):
【化196】


(式中、R2〜R9は、請求項1に定義したとおりであり、そしてRpは、C1〜C4アルキル、特にメチルであるか、または3−ニトロ−2−ピリジニルである)
の化合物;
から選択される中間体。

【公表番号】特表2011−511043(P2011−511043A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545493(P2010−545493)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【国際出願番号】PCT/EP2009/051441
【国際公開番号】WO2009/106419
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(501241380)バジリア ファルマスーチカ アーゲー (24)
【氏名又は名称原語表記】Basilea Pharmaceutica AG
【Fターム(参考)】