説明

新規糖誘導体、その調製方法、界面活性剤としてのその使用

その質量の100%につき、0.5%〜30%の式(IV):R1−OH(IV)を有する1種以上のアルコール(式中、R1は8〜36個の炭素原子を有し、1つ以上のヒドロキシル基により任意に置換されている飽和または不飽和の、直鎖のまたは分枝した脂肪族基を示す)、および70%〜99.5%の式(I)を有する1種以上の化合物(式中、Rは1つ以上のヒドロキシ基により任意に置換された1〜8個の炭素原子を有する直鎖のまたは分枝した脂肪族基を示し、nは1以上で10以下の整数であり、R1は上記式(IV)について先に定義した通りであり、Z1基またはZ2基のうちの少なくとも1つは基(II)(式中、−S−は還元糖の二価の残基を示し、pは1以上で10以下の小数を示し、Z1基またはZ2基のうちの他方の基は水素原子または上記基(III)を示す))を含む組成物(C)。界面活性剤としての組成物(C)の調製方法およびその使用。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、糖から得られる新規な界面活性剤に関する。
【0002】
アルキルポリグリコシドおよびアルケニルポリグリコシドの界面活性剤は、起泡剤、乳化剤および/または可溶化剤として、化粧用若しくは製薬用の配合物中、または工業的用途のための配合物中で幅広く用いられている。
【0003】
米国特許第5,849,679号明細書は、グリコシド化合物のエーテルのアノマーαおよびβ異性体と、グリセロールのモノエーテルまたはポリグリセロールのモノエーテルおよびC1−C22アルコールのモノエーテルとの混合物、より特には以下の化合物:1−O−n−デシルグリセリル−D−グルコピラノシド、1−O−n−ヘキシルグリセリル−D−グルコピラノシド、1−O−n−ドデシルトリグリセリル−D−グルコピラノシド、1−O−n−オレイルトリグリセリル−D−グルコピラノシド、およびステアリルポリグリセリル−D−グルコピラノシドを含む非イオン界面活性剤を開示している。
【0004】
独国特許出願DE 197 28 900は、上記文献に開示されているものと同じタイプの、グリセロールから誘導される非イオン界面活性剤、特に以下の化合物:ラウリルグリセリルグルコシドおよび(2−エチルヘキシル)グリセリルグルコシドを開示している。
【0005】
仏国特許出願2 804 432も、ポリグリセリルグルコシドから誘導される化合物と、界面活性剤としてのその使用を開示している。
【0006】
新規の界面活性剤の開発のためのリサーチの過程で、本発明者等は、界面活性性質を有する新規グリコシド構造を開発した。
【0007】
つまり、第1の側面によれば、本発明は組成物(C)に関し、これはその質量の100%につき、
0.5%〜30%の1種以上の式(IV)のアルコール:
R1−OH (IV)
(式中、R1は、8〜36個の炭素原子を有し、任意に1つ以上のヒドロキシ基により置換されている、飽和または不飽和の、直鎖のまたは分枝した脂肪族基を示す)、および
70%〜99.5%の1種以上の式(I)の化合物:
【化1】

【0008】
(式中、Rは、任意に1つ以上のヒドロキシ基により置換される1〜8個の炭素原子を有する、直鎖のまたは分枝したアルキル基を示し、nは、1以上で10以下の整数を示し、R1は先に定義した通りであり、Z1またはZ2基の少なくとも1つは、基;
【化2】

【0009】
(式中、−S−は還元糖の二価の残基を示し、pは、1以上で10以下の小数を示す)を示し、Z1またはZ2基のもう一方は水素原子または上記した基;
【化3】

【0010】
を示す)を含み、
ここで、「8〜36個の炭素原子を有し、任意に1つ以上のヒドロキシル基、および/または1つ以上のオキソ基により置換されている、飽和または不飽和の、直鎖のまたは分枝した脂肪族基」は、上記した式(I)および(IV)におけるR1を意味し、
直鎖のアルキル基、例えばオクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシルまたはドコシル基、
式(A)のイソアルカノールから得られる基:
(CH3)(CH3)CH−(CH2m−CH2−OH (A)
(式中、mは4〜18の整数を示し、例えばイソオクチル、イソデシル、イソドデシル、イソテトラデシル、イソヘキサデシル、またはイソオクタデシル基を示す)
式(B)のゲルベアルコールから得られる2−エチルヘキシル基または分枝したアルキル基:
CH(Cs2s+1)(Ct2t+1)−CH2−OH (B)
(式中、tは4〜18の整数であり、sは2〜16の整数であり、s+tの合計は8以上であり、例えば2−エチルデシル、2−ブチルオクチル、2−エチルドデシル、2−ブチルデシル、2−ヘキシルオクチル、2−エチルテトラデシル、2−ブチルデシル、2−ヘキシルオクチル、2−エチルヘキサデシル、2−ブチルテトラデシル、2−ヘキシルドデシル、2−オクチルデシル、2−ヘキシルデシル、2−オクチルドデシル、2−デシルテトラデシル、2−ドデシルヘキサデシル、2−テトラデシルオクタデシル、2−テトラデシルエイコシル、2−ヘキサデシルオクタデシル、または2−ヘキサデシルエイコシル基である);またはゲルベアルコールの同族体から得られる基、例えば2−プロピルヘプチル基である。
【0011】
不飽和の直鎖の基、例えばウンデセニル、ドセセニル(docecenyl)、テトラデセニル、ヘキサデセニル、オクタデセニル、オクタデカジエニル、オクタデカトリエニル、オクタデカテトラエニル、エイコセニル、エイコサジエニル、またはドコセニル基、例えば10−ウンデセニル、4−ドデセニル、ドデセニル、オレイル、イソオレイル、リノリル、リノレニル、または10,13−エイコサジエニル不飽和基;
1つ以上のヒドロキシル基で置換される、8〜36個の炭素原子を有する飽和または不飽和の、直鎖のまたは分枝した脂肪族基、例えばヘキサデシル、ヒドロキシオクタデシル、ジヒドロキシドコシル、またはジヒドロキシ−オクタデシルヒドロキシ基、例えば3−ヒドロキシヘキサデシル基、4−ヒドロキシヘキサデシル酸、11−ヒドロキシヘキサデシル酸、16−ヒドロキシヘキサデシル、12−ヒドロキシステアリル、または8,9−ジヒドロキシステアリル酸。
【0012】
「任意に1つ以上のヒドロキシル基、および/または1つ以上により置換される、1〜8個の炭素原子を有する直鎖のまたは分枝したアルキル基」は、上記した式(I)におけるRを特に示し、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、オクチル、イソオクチル、ヒドロキシメチルまたは2−ヒドロキシエチル基を示す。
【0013】
「還元糖の残基」とは、上記した式(I)における−S−を主に示し、グルコース、スクロース、フルクトース、イドース、ガラクトース、マルトース、マルトトリオース、ラクトース、セロビオース、マンノース、キシロース、アラビノース、リボース、デキストラン、またはタロース(tallose)残基を示す。
【0014】
上記した式(I)において、pは小数であり、残基Sの平均重合度を示す。
【0015】
pが整数である場合には、(S)pは、残基Sのクラスpのポリマー残基である。
【0016】
pが小数である場合には、式(I)は、化合物a1[(Q)(S)]+a2[(Q)(S)2]+a3[(Q)(S)3]+……+aq[(Q)(S)q]の混合物を示し、ここで、Qは、式(I)の糖残基Sに結合した基を示し、qは、1〜10の整数を示し、モル比a1、a2、a3、……aqは、以下のようなものである。
【化4】

【0017】
先に定義した式(I)の定義において、nは3価の基:
【化5】

【0018】
の重合を示す整数である。
【0019】
つまり、nが例えば2である場合には、全てのその立体異性の形態にある、以下の4価の基である。
【化6】

【0020】
nが例えば3の場合は、全てのその立体異性の形態にある以下の5価の基:
【化7】

【0021】
または、全てのその立体異性の形態にある以下の5価の基:
【化8】

【0022】
のいずれかである。
【0023】
本発明の第1の詳細な側面によれば、式(IV)において、R1は、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル、2−エチルヘキシル、2−ブチルオクチル、2−ブチルデシル、2−ヘキシルオクチル、2−ヘキシルデシル、2−ヘキシルドデシル、2−オクチルデシル、2−オクチルドデシル、2−デシルテトラデシル、イソドデシル、イソテトラデシル、イソヘキサデシル、イソオクタデシル、10−ウンデセニル、オレイル、イソオレイル、リノリル、リノレニル、または10,13−エイコサジエニル、12−ヒドロキシステアリル、または2−プロピルヘプチル基から選択される基を示す。
【0024】
本発明の第2の詳細な側面によれば、式(I)において、−S−は、グルコースまたはキシロースの二価の残基を示す。
【0025】
本発明による第3の詳細な側面によれば、式(I)において、pは1.005〜5であり、より特には1.05〜2である。
【0026】
本発明の第4の詳細な側面によれば、式(I)において、Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルおよびヒドロキシメチル基から選択される。
【0027】
本発明は、先に定義した組成物(C)の調製方法であって、以下の連続工程:
アルコール、または式(IV)のアルコールの混合物:
R1−OH (IV)
(式中、R1は、8〜36個の炭素原子を有し、任意に1つ以上のヒドロキシル基により置換されている飽和または不飽和の、直鎖のまたは分枝した脂肪族基を示す)
または式(IV)のアルコールと、式(V)の3,3−二置換オキセタン:
【化9】

【0028】
(式中、Rは、1〜8個の炭素原子を有し、1つ以上のヒドロキシル基により任意に置換されている直鎖のまたは分枝したアルキル基を示す)
の混合物の反応の工程a)であって、反応していない式(IV)のアルコールと、1つ以上の式(II)の化合物
【化10】

【0029】
(式中、RおよびR1は先に定義した通りであり、nは1以上で10以下の整数を示す)
を含む混合物(M)をもたらすもの;
上記界面活性組成物(C)を得るための、上記混合物(M)と式(III)の還元糖:
S−−H (III)
との反応の工程(b)
を含む方法に関する。
【0030】
上記した方法において、工程(a)は、触媒としてルイス酸の存在下で一般的に行なわれ、例えばジエチルエーテル中で安定化されている三フッ化ホウ素(BF3・Et2O)、四塩化スズ(SnCl4)、四塩化チタン(SnTi4)、または三塩化アルミニウム(AlCl3)を挙げることができる。
【0031】
式(V)のいくつかの化合物は既知の化合物であり、式(V)の3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン(またはTMPオキセタン)は、番号RN 3047−32−3およびEINECS 221−54−0で特定される市販の製品である。
【0032】
上記の方法において、工程(b)は、触媒として強酸、例えば硫酸、塩酸、リン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、または次亜リン酸の存在下で一般的に行なわれる。
【0033】
本発明による組成物(C)は、先に定義した方法により得られた場合に、その質量の5%までの残りの生成物、主に式(III)の還元糖、式(V)のオキセタン誘導体、および/または式(VI)の化合物:
【化11】

【0034】
(式中、R1、Sおよびpは先に定義した通りである)
および水をさらに含んでいてもよい。
【0035】
先に定義した方法の詳細な側面によれば、式(V)の化合物を得るために、式(VII)の化合物:
【化12】

【0036】
(式中、Rは先に定義した通りである)
の脱水の工程(c)をさらに含む。
【0037】
上記した工程(c)は、一般的に、式(VII)の化合物の、炭酸ジアルキル、例えば炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、または炭酸ジブチルとの反応の初期工程から成り、式(VII)の誘導体の環状炭酸エステルを得て、二置換の式(V)のオキセタンを得るための、上記環状炭酸エステルの脱炭酸反応が続く。
【0038】
式(VII)の既知の化合物の例は、トリメチロールプロパン(TMP)(Rはエチル基を示す)、またはペンタエリスリトール(Rはヒドロキシルメチル基を示す)である。
【0039】
上記した式(II)において、nが1である場合に、上記式(II)は、以下の式(IIa)の化合物を示す:
【化13】

【0040】
式(IIa)の化合物の例は、式(IIa1)の化合物:
【化14】

【0041】
または、式(IIa2)の化合物:
【化15】

【0042】
であり、これらは式(IIa)に対応し、式中、Rはそれぞれエチル基またはヒドロキシメチル基を示し、上記式(II)の化合物は、異性体(R)、異性体(S)またはラセミ体(RS)であるか否かに関らず、その第四級炭素に対して全ての考えられ得る立体異性の形態にある。
【0043】
式(II)においてnが2である場合に、上記式(II)は、以下の式(IIb)の化合物:
【化16】

【0044】
を示し、上記式(IIb)の化合物は、異性体(R)、(S)またはそのラセミ体であるか否かに関らず、その第四級炭素に対して全ての考えられ得る立体異性の形態にある。
【0045】
式(II)においてnが3である場合に、上記式(II)は、以下の式(IIc1)の化合物:
【化17】

【0046】
または式(IIc2)の化合物:
【化18】

【0047】
を示し、上記式(IIc1)および(IIc2)の化合物は、全ての考えられ得る立体異性の形態にある。
【0048】
本発明は、式(Ia):
【化19】

【0049】
の化合物に関し、これは先に定義した式(I)に対応し、式中、Z1基またはZ2基のうちの1つは水素原子を示し、および他方は基:
【化20】

【0050】
を示す。
【0051】
本発明は、より特には、式(Ia1):
【化21】

【0052】
の化合物に関し、これは先に定義した式(Ia)に対応し、式中nは1であり、より特には、式(Ia3):
【化22】

【0053】
または式(Ia4):
【化23】

【0054】
の化合物に関し、これらは先に定義した式(Ia1)に対応し、式中、Rはエチル基またはヒドロキシメチル基をそれぞれ示し、上記(Ia1)、(Ia3)および(Ia4)の化合物は、全ての考えられ得る立体異性の形態にある。
【0055】
式(Ia)において、nが2である場合に、上記式(Ia)は、式(Ib1)の化合物:
【化24】

【0056】
または式(Ib2)の化合物:
【化25】

【0057】
を主に示し、上記式(Ib1)および(Ib2)の化合物は、全ての考えられ得る立体異性の形態にある。
【0058】
本発明は、式(Ic)の化合物:
【化26】

【0059】
に関し、これは先に定義した式(I)に対応し、式中、Z1基またはZ2基のそれぞれは、基:
【化27】

【0060】
を示す。
【0061】
本発明は、先に定義した組成物(C)または式(Ia)の化合物の、界面活性剤としての、より詳細には起泡剤、乳化剤、湿潤剤、分散剤または洗浄剤としての使用に関する。
【0062】
本発明は最終的には、化粧用または製薬用の組成物に関し、界面活性剤として、先に定義した組成物(C)または少なくとも1種の式(Ia)の化合物を含むことを特徴とする。
【0063】
以下の実験項は本発明を示すが、これに限定されない。
【0064】
例1 式(I)および(IV)において、R1はオクタデシル基を示し、式(I)において、Rはエチル基を示し、およびSはグルコース残基を示しところの組成物C1の調製
工程a):TMPオキセタンのオクタデカノールによる開環
TMPオキセタンは、先に定義した式(V)の化合物であり、式中Rはエチル基を示す。この第1の工程を、触媒量のルイス酸(BF3・Et2O)の存在下、120℃で行なう。TMPオキセタンにおいて2つの異なる化学量論を調べ(試験1および2)、第1のものはオクタデカノールに対して等モル量を含み、第2のものは、オクタデカノールに対して3を超えるモル当量を含んでいた。作業条件は以下の通りである:〜120℃で窒素雰囲気下、機械的に撹拌しながら(反応剤の全質量に対して)0.5%のBF3・Et2Oを加えてオクタデカノールを溶融した後、TMPオキセタンを(約180分に渡り)徐々に加え、120℃に90〜180分間保った後、冷却する。得られた混合物(M1)および(M2)の特性を、以下の表1aに示す(RT:室温;IA:酸価;IOH:ヒドロキシル数)。
【表1a】

【0065】
一般に、結果は、オクタデカノールとTMPオキセタンの良好な反応性を示す。理論的には、反応混合物のヒドロキシル数は反応中には変化しないはずであり、最終的に測定した値は、計算したものと一致する(289.2mg KOH/gの理論値に対して、混合物M1:285.6mg KOH/g;361.8mg KOH/gの理論値に対して混合物M2:351.3mg KOH/g)。残余オクタデカノールの定量は、それぞれ、試験1および2において、出発時のオクタデカノールのそれぞれ約54%および72%が反応中に消費されたことを示している。残余TMPオキセタンの定量は、試験1および2において、98%および94%を超える出発時のTMPオキセタンが反応したことをそれぞれ示している。最後に、ガスクロマトグラフィーにより決定され、100%に正規化した後の種々の付加体の分布は、過剰のTMPオキセタンの導入は、オクタデカノールのより高い消費につながり、TMP単位の重合の現象を促進する(より高いn)ことを示している。
【0066】
工程b):TMPオキセタン/オクタデカノール付加体のグルコースによるアセタール化
選択した手法は以下の通りであった:混合物M1およびM2を約100℃で大気圧において、窒素雰囲気下で溶融した後、機械的に撹拌しながら、1モル当量の無水グルコース(この量は、第1の工程で導入されたオクタデカノールのモル数から計算した)を加え、1%の98%硫酸(導入されるグルコースの量に対して表現される重量%)を加え、徐々に真空にし[約30 102Pa(30mbar)]、およびグルコースを用いて6時間約100℃でアセタール化し、80℃にまで冷却し、30%のソーダライ(soda lye)溶液を加えることにより中和して7付近のpHを得て、4マイクロメータの孔を有するフィルタプレートにおいて熱ろ過し、状態調節した。得られた2つの組成物(C1)および(C2)の分析特性を以下の表1bに示す。
【表1b】

【0067】
反応の過程でのヒドロキシル数の顕著な増加は、グルコースと、「オクタデカノール+TMP」付加体との十分な反応性を示している。
【0068】
例2 式(I)および(IV)において、R1はオクタデシル基およびヘキサデシル基を示し、式(I)において、Rはエチル基を示し、およびSはグルコース残基を示すところの、2つの組成物C3およびC4の調製
オクタデカノールをセテアリルアルコール(ヘキサデカノールとオクタデカノールの50/50モル混合物)に代えて、2つの試験において、化学量論比のグルコース/式(IV)のアルコールTMPオキセタンを用いて、先の例に示した2つの工程を行った。得られた2つの組成物(C3)および(C4)分析特性を以下の表2に示す。
【表2】

【0069】
例3 乳化性質の評価
3.1 油中水型エマルジョン
3つのタイプの油:パラフィン油(MARCOL(登録商標)52)、極性油(C−8/10 トリグリセリド 5545)、および芳香族油(SOLVESSO(登録商標)100)を用いた。選択した2つの配合は、
20%の油、2%の界面活性剤組成物、および78%の水道水+1%MgSO4
50%の油、5%の界面活性剤組成物、および45%の水道水+1%MgSO4
である。
【0070】
エマルジョンの調製方法は、以下の工程を含む:
1.油と界面活性剤組成物とを、スパチュラで均質化しながら、400ml高のビーカー内、80℃の水浴において混合する;
2.水相(水道水+1%の乾燥MgSO4(2%のMgSO47水和物))を80℃で加える;
3.Silverson(登録商標)で混合物を剪断する(4分間8000rev/分;ビーカー中できる限り低い回転子/固定子、および静かにビーカーを回旋)、および
4.静かに撹拌しながら室温にまで冷却して、200gのエマルジョンを得る。
【0071】
室温(RT)および40℃での安定性についての結果を以下の表3に示す。混合物が24時間後室温において完全に乳化しない場合は含まない。
【表3】

【0072】
観察された安定性は、室温および調べた脂肪相についてのD1における本発明による組成物の乳化能力を示す。C1は、トリグリセリド5545を用いて水−油エマルジョンを調製するための、良好な乳化能力を有する。
【0073】
3.2 水中油型エマルジョンについて
水中油型エマルジョンの場合、2つのタイプの油:パラフィン油(MARCOL(登録商標)52)および極性油(C8/C10トリグリセリド55)を用いた。選択した配合は、先に記載したものと同じであり、但しMgSO4を含まない水道水を用いた。
【0074】
エマルジョンの調製方法は、以下の工程を含む:
1.水道水と界面活性剤組成物とを80℃で混合する;
2.油を加え、スパチュラで撹拌する;
3.Silverson(登録商標)で混合物を剪断する(4分間8000rev/分;ビーカー中できる限り低い回転子/固定子、および静かにビーカーを回旋)、および
4.静かに撹拌しながら室温にまで冷却して、200gのエマルジョンを得る。
【0075】
室温および40℃での安定性についての結果を以下の表4に示す。混合物が24時間後室温において完全に乳化しない場合は含まない。
【表4】

【0076】
全体的に、「オクタデカノール+TMP」付加体のグルコシドは、Montanov(登録商標)68と比較して、水中油O/Wについての優れた乳化能力を示す(C16−C18のR1を有する式(IV)および(VI)の化合物の混合物)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物(C)であって、その質量の100%につき、
0.5%〜30%の1種以上の式(IV)のアルコール:
R1−OH (IV)
(式中、R1は、8〜36個の炭素原子を有し、任意に1つ以上のヒドロキシル基により置換されている、飽和または不飽和の、直鎖のまたは分枝した脂肪族基を示す)、および
70%〜99.5%の1種以上の式(I)の化合物:
【化1】

(式中、Rは、任意に1つ以上のヒドロキシル基により置換される1〜8個の炭素原子を有する、直鎖のまたは分枝したアルキル基を示し、nは、1以上で10以下の整数を示し、R1は式(IV)について先に定義した通りであり、Z1基またはZ2基の少なくとも1つは、基;
【化2】

(式中、−S−は還元糖の二価の残基を示し、pは、1以上で10以下の小数を示す)を示し、Z1またはZ2基のもう一方は水素原子または上記した基;
【化3】

を示す)
を含む組成物(C)。
【請求項2】
式(I)および(IV)において、R1はオクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、2−エチルヘキシル基、2−ブチルオクチル基、2−ブチルデシル基、2−ヘキシルオクチル基、2−ヘキシルデシル基、2−ヘキシルドデシル基、2−オクチルデシル基、2−オクチルドデシル基、2−デシルテトラデシル基、イソドデシル基、イソテトラデシル基、イソヘキサデシル基、イソオクタデシル基、10−ウンデセニル基、オレイル基、イソオレイル基、リノリル(linoleyl)基、リノレニル基、または10,13−エイコサジエニル基、12−ヒドロキシステアリル基および2−プロピルヘプチル基から選択される基を示す請求項1に記載の組成物(C)。
【請求項3】
式(I)において、−S−が二価のグルコース残基を示す請求項1または2に記載の組成物(C)。
【請求項4】
式(I)において、Sは二価のキシロース残基を示す請求項1または2に記載の組成物(C)。
【請求項5】
式(I)において、pは1.005〜5であり、より特には1.05〜2である請求項1〜4のうちの一項に記載の組成物(C)。
【請求項6】
式(I)において、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基およびヒドロキシメチル基から選択される請求項1〜4のうちの一項に記載の組成物(C)。
【請求項7】
請求項1〜6のうちの一項に記載の組成物(C)の調製方法であって、以下の連続工程の化学反応:
式(IV)のアルコール:
R1−−OH (IV)
(式中、R1は、8〜36個の炭素原子を有し、任意に1つ以上のヒドロキシル基により置換されている飽和または不飽和の、直鎖のまたは分枝した脂肪族基を示す)
または式(IV)のアルコールと、式(V)の3,3−二置換オキセタン:
【化4】

(式中、Rは、1つ以上のヒドロキシル基により任意に置換される1〜8個の炭素原子を有する、直鎖のまたは分枝したアルキル基を示す)
の混合物の反応の工程a)であって、反応していない式(IV)のアルコールと、1つ以上の式(II)の化合物
【化5】

(式中、RおよびR1は先に定義した通りであり、nは1以上で10以下の整数を示す)
を含む混合物(M)をもたらすもの;
前記組成物(C)を得るための、上記混合物(M)と式(III)の還元糖:
S−−H (III)
との反応の工程(b)
を含む調製方法。
【請求項8】
式(V)の化合物を得るために、式(VII)の化合物:
【化6】

(式中、Rは先に定義した通りである)
の脱水の工程(c)をさらに含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜6のうちの一項に記載の式(I)に対応する式(Ia)の化合物。
【化7】

(式中、Z1基またはZ2基のうちの1つは水素原子を示し、他の1つは基:
【化8】

を示す)。
【請求項10】
請求項9に記載の式(Ia)に対応する式(Ia1)の化合物。
【化9】

(式中nは1である)。
【請求項11】
式(Ia1)に対応する式(Ia3)の化合物:
【化10】

または式(Ia4)の化合物。
【化11】

(式中、Rはそれぞれ、エチル基またはヒドロキシメチル基を示す)。
【請求項12】
請求項1〜6のうちの一項に記載の式(I)に対応する式(Ic)の化合物。
【化12】

(式中、Z1基またはZ2基のそれぞれは、基:
【化13】

を示す)。
【請求項13】
請求項1〜6のうちの一項に記載の組成物(C)の、または請求項9〜11のうちの一項に記載の式(Ia)の化合物の、界面活性剤としての、より特には起泡剤、乳化剤、湿潤剤、分散剤、または洗浄剤としての使用。
【請求項14】
界面活性剤として、請求項1〜6のうちの一項に記載の組成物(C)、または請求項9〜11のうちの一項に記載の式(Ia)の少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする化粧用または製薬用の組成物。

【公表番号】特表2009−542436(P2009−542436A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518931(P2009−518931)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際出願番号】PCT/FR2007/051600
【国際公開番号】WO2008/007003
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(398057293)ソシエテ・デクスプロワタシオン・デ・プロデュイ・プール・レ・アンデュストリー・シミック・セピック (27)
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE D’EXPLOITATION DE PRODUITS POUR LES INDUSTRIES CHIMIQUES SEPPIC
【Fターム(参考)】