説明

方向性が制御されたナノウィスカーの成長

優先的な方向への成長を抑制するために核形成条件を規則することによって、ナノウィスカーが非優先成長方向に成長する。好ましい実施例において、<001>III-V半導体ナノウィスカーは、優先的な<111>B方向への成長を有効に抑制することによって、(001)III-V半導体基板上に成長する。一例として、金属−有機物の蒸気相エピタキシーによって、<001>InPナノワイヤが直接(001)InP基板上に成長する。走査電子顕微鏡と透過電子顕微鏡による特徴付けによって、ほぼ正方形の断面と積層欠陥のない完壁なせん亜鉛鉱結晶の構造を持つワイヤが明らかになった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にナノテクノロジー技術よって製造された構造およびその構造を製造する方法に関連する。より詳細には、本発明は、本質的に少なくとも1つの要素を一次元形態で組み込む構造及びデバイスに関し、その要素の幅あるいは直径がナノメートルの寸法で作られており、その要素は触媒粒子の援助を受けて製造され、「ナノウィスカー」と一般的に呼ばれるものである。
【背景技術】
【0002】
関連出願への相互参照
本出願は2004年2月6日に出願され、その全体が参照により本出願に組み込まれる、米国仮特許出願第60/541,949号の優先権の利益を主張する。
【0003】
ナノテクノロジーはナノスケール工学の実践として評価されうるナノ工学の分野を含む様々な分野にわたっている。このことは、サイズが原子寸法の小さいデバイスから顕微鏡スケールなどのはるかに大きなスケールの構造までの構造をとり得る。通常、ナノ構造は約1μm未満の少なくとも2つの寸法(すなわちナノメートル寸法)を有するデバイスである。通常、1μm未満の厚さを有する1つ以上の層を有する積層構造または積層材料は、ナノ構造ではないと考えらえる。従って、用語ナノ構造は、約1μm未満の2つの寸法を有する自立するまたは孤立した構造を含み、大きな構造の機能および用途と異なる機能および用途を有し、通常、大きな、すなわちマクロスケールの構造を調製する通常の手順とは異なった方法によって製造される。ナノ構造クラスの正確な境界は特別な数値限界によって定められないが、その用語は当業者によって容易に認識されるクラスを意味するようになっている。多くの場合、ナノ構造を特徴付ける少なくとも2つの寸法のサイズの上限は約500nmである。いくつかの技術的な状況において、用語「ナノ構造」は約100μm未満の少なくとも2つの寸法を持つ構造を含むと解釈される。与えられた状況において、その技術の専門家が意図されたサイズの範囲を認識し得る。本出願において、用語「ナノ構造」は上記示されたように1μm未満の少なくとも2つの横断する寸法を有する細長い構造に言及することを広く意図している。本出願のより好ましい場合は、そのような寸法は約100nm未満、より好ましくは約50nm未満、更に好ましくは約20nm未満になるだろう。
【0004】
ナノ構造は、本質的に1次元形態の一次元ナノエレメントを含み、一次元ナノエレメントの幅又は直径はナノメートル寸法であり、一般的に、ナノウィスカー、ナノロッド、ナノワイヤ、ナノチューブなどとして知られている。
【0005】
基板上にウィスカーを形成する基本的なプロセスはいわゆるVLS(蒸気−液体−固体)メカニズムによって知られている。触媒材料の粒子、通常、金は、基板上に配置され、あるガスの存在下で溶解物を形成するために加熱される。柱状物が溶融物のもとで形成し、溶融物は柱状物の先端に上昇する。その結果として、先端に固化した粒子の溶融物を持つ所望の材料のウィスカーが得られる。Wagner, Whisker Technology,Wiley,New York,1970とE.I Givargizov, Current Topics in Materials Science, Vol.1, page 79-145, North Holland Publishing Company, 1978が参照される。本技術の初期の出願において、そのようなウィスカーの寸法はマイクロメータの範囲であったが、本技術は、それ以来、ナノウィスカーの形成のためにもまた適用されている。例えば、国際特許出願公開第WO 01/84238号(その全体が参照で本出願に組み込まれる)は、図15と16でナノウィスカーの形成方法を開示し、その中で、エアロゾルからナノメートルサイズの粒子が基板上に堆積され、これらの粒子がフィラメントまたはナノウィスカーを生成するための種として使用されている。
【0006】
成長するウィスカーの先端で触媒粒子によって触媒されるナノウィスカーの成長は、通常、VLS(蒸気−液体−固体プロセス)として言及されてきたが、触媒粒子はウィスカーの成長のための有効な触媒として機能するために液体状態にある必要はないかもしれないことが認識されるようになった。少なくともいくつかの証拠は、触媒粒子がその融点以下の温度であり、固体状態であると推定される場合でも、ウィスカーを形成するための材料が粒子とウィスカーの界面に達して成長するウィスカーに貢献することができることを示唆している。そのような条件において、成長の材料、例えば、成長するときにウィスカーの先端に追加される原子は、成長温度でウィスカーの成長先端まで固体の触媒粒子の内部を拡散し得る、または、固体の触媒粒子の表面に沿って拡散し得る。Persson et all., “GaAsナノウィスカー成長の固相拡散メカニズム”, Nature Matrials, Vol. 3,October 2004,pp 687-681は、半導体化合物のナノウィスカーに対して、触媒粒子を通る化合物(GaAs)の一つの成分(Ga)の固体相の拡散メカニズムが起こり得ることを示している。明らかに、総合的な効果は同じである。すなわち、その正確なメカニズムは、温度、触媒粒子組成、意図されたウィスカーの組成、あるいは、ウィスカー成長に関連がある他の条件などの特別な環境の下で存在し得るどんなものであろうとも、ウィスカーの伸びは触媒粒子によって触媒される。本出願の目的にとって、用語「VLSプロセス」または「VLSメカニズム」あるいは同等な用語は、ナノウィスカーの成長は、ナノウィスカーの成長する先端で接触する液体または固体粒子によって触媒される触媒作用を用いる手順の全てを含む。
【0007】
本明細書の目的にとって、用語「ナノウィスカー」はナノメートルサイズの幅と直径(あるいは一般的に交差する寸法)をもつ一次元のナノエレメントを意味し、このエレメントは好ましくは上記定めたような、いわゆるVLSメカニズムによって形成される。ナノウィスカーは、この技術分野では「ナノワイヤ」あるいは、文脈で、単に「ウィスカー」または「ワイヤ」として言及される。
【0008】
自立するナノウィスカーは、エレクトロニクスおよびフォトニックスの出願において、その使用の可能性に対する注目が増加している。
【特許文献1】国際特許出願公開第WO 01/84238号
【非特許文献1】Wagner, Whisker Technology,Wiley,New York,1970とE.I Givargizov, Current Topics in Materials Science, Vol.1, page 79-145, North Holland Publishing Company, 1978
【非特許文献2】Persson et all., “Solid-phase diffusion mechanism for GaAs nanowiresgrowth”, Nature Matrials, Vol. 3,…October 2004,pp 687-681
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記参照したワグナーの初期の仕事で既に示されるように、そのようなナノウィスカーの優先的な成長方向は<111>である。<111>に配向されたナノウィスカーの1つの欠点は、一般的に成長方向に垂直に形成する積層欠陥の高密度である。これらの欠陥はナノウィスカーの物理的な性質に影響することが予期される。この優先的な成長方向の別の欠点は、工業的な応用で一般的に使用される基板の主要表面の(001)結晶面との非互換性である。すなわち、優先的な成長方向は基板の主要表面に対して垂直方向であるよりも斜めの方向であり、この垂直方向は<001>である。例えば、III-V化合物では、一般的に工業的に利用可能な基板は、(001)結晶面を主要表面としてもっている。対照的に、III-V化合物のナノウィスカーは優先的に(111)B結晶面から<111>B方向に成長する。
【0010】
Hiruma et al., J. Appl.Phys,, 77(2),15 January 1995, pages 447-462は、特に(001)の表面を含む様々な表面を持つGaAs基板上へのInAsナノウィスカーの成長を報告した。例えば、InAsナノワイヤは不変的に<111>方向に成長し、その結果、(001)表面に35°の角度で傾いた1組のワイヤ([1−11]と[−111])を得た。
【0011】
ナノウィスカーの他の成長方向は、ウィスカーの成長の間に散発的に起こることが観察された。例えば、 Wu et al., "分子線ビームエピタキシーの<110>GaAsナノワイヤーの成長分枝とねじれ”, Applied Physics Letters, 20 October 2003, Vol. 83, No. 16, pp 3368-3370は、分子ビームエピタキシー(MBE)によって、GaAs(001)上に成長したGaAsナノウィスカーに対する<011>方向を明らかにした。
【0012】
Bjork et al, "半導体のナノウィスカーにおける1次元ヘテロ構造,” Applied Physics Letters, Vol. 80, No. 6,11 February 2002, pages 1058-1060 は、セグメントがナノウィスカーの最初の<111>B成長方向から外れて、(111)B GaAs表面から化学ビームエピタキシー(CBE)で成長したInAs/InPヘテロ構造のナノウィスカーの<001>セグメントを記載している。特に、ほとんどのナノウィスカーが<111>B方向に成長したが、中に散発的に最初に<111>B方向に成長するが<001>方向にねじれる「ホッケイのスティック」の形態で形成されたナノウィスカーがあったことが認められた。開示されたナノウィスカーはInAsの基部の領域を有しInP/InAs界面における圧縮ひずみの結果として<001>方向に成長した。<001>方向におけるナノウィスカーの成長は積層欠陥などの欠陥の形成を劇的に抑制する。
【0013】
国際特許出願公開第WO 2004/004927号(その全体が参照として本出願に組み込まれる)では、図24(b)にウィスカーの成長方向を制御する技術が開示されており、それによると、形成の間にウィスカーに引張り力を加えて成長条件を変化することによって、ウィスカーの成長方向を普通の<111>方向から<100>方向に変えることができる。また、広いバンドギャップ材料の短いバンドギャップセグメントはナノウィスカーの基部で成長し得る。
【0014】
ナノウィスカーの成長方向の制御に関して更なる改良が望まれる。例えば、適合しない基板表面−すなわち、ウィスカーの優先的な成長方向が基板の斜めである−に垂直に最初のウィスカーの成長方向を提供する方法は、そのような方法で構造が製造され得るならば、非常に望ましいであろう。そのような方法は、前に観察されたような表面に斜めに最初の成長方向を有するねじれたナノウィスカーと対照的なものとして、その全体の長さ(または、より一般に少なくともそれらの長さの最初の部分)にわたって表面に垂直なウィスカーの成長を可能にするであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の概要
本発明は、ナノウィスカーの直接的に制御された成長およびそのようなナノウィスカーを含む構造に関し、特に、上記の記載された非常に好ましい特性を持っている構造と製造方法を提供する。その結果、本発明は、ナノウィスカーが基板表面から非優先的な成長方向に成長した少なくとも1つの基部部分を有する構造と製造方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
発明の開示
本発明は、1つの見方として、特別な半導体材料のナノウィスカーが成長の優先方向を有することおよび特別な半導体材料の一般的に利用可能な基板が優先的な成長方向に対応していない主要表面を定義する特別な結晶面を有することを認める。したがって、本発明は、優先的な成長方向に対応しない結晶面によって定められた基板の主要表面から、非優先的な成長方向にナノウィスカーの成長を可能とするナノウィスカーの成長メカニズムを提供する。
【0017】
また、本発明は、基板の主要表面から非優先的な成長方向に直立している(または、直立する最初のまたは基部部分を少なくとも有する)ナノウィスカーを含むナノ設計された構造を提供し、表面を定義する結晶面はナノウィスカーの成長の非優先的な方向に対応している。ナノウィスカーの成長方向は、好ましくは、その全体の長さの方向に維持される。しかしながら、本発明のより広い範囲の中では、成長方向は、最初の非優先的な成長方向からウィスカーの基部部分の成長の後にウィスカーの成長条件(例えば、構成材料)を変えることによって変えられ得る。
【0018】
本発明は、より一般に、改良された構造形態を有する、基板上に成長したナノウィスカーを組み込むナノ構造を提供する。
【0019】
本明細書の目的に対し、表面または結晶面は、ミラーインデックス(hkl)、ここでh、k、lは数値である、によって定義され、したがって、これは、ナノウィスカー成長方向<hkl>に対応することが理解される。
【0020】
本発明は、別の見方において、基板の表面から非優先的な成長方向へナノウィスカーを故意に成長させることが望まれる場所で、優先的な成長方向にナノウィスカーの成長を引き起こす条件が触媒粒子と基板との界面で生成しないように成長の開始時に核形成条件を規制し得ることを認める。
【0021】
したがって、別の態様において、本発明は、予め決められた結晶面を提供する基板表面にナノウィスカーを成長させる方法を提供する。その方法は、少なくとも1つの触媒粒子を基板表面に供給する工程と、前記触媒粒子と基板との界面を制御するために規制されている成長の開始における核形成条件を用いて、前記触媒粒子からナノウィスカーの非優先的な成長方向である予め決められた成長方向へナノウィスカーを成長させる工程であって、前記結晶面が予め決められた成長方向を定義して安定させるために前記界面で前記基板表面として維持されている工程とを有する。ナノウィスカーは基板材料と同じ材料あるいは異なる材料であり得る。
【0022】
本発明によると、核形成時の開始の表面条件を規制することによって、ナノウィスカー成長方向が定義されて安定させられ得る。この核形成は、基板表面の触媒粒子の前処理に強く影響され得る。通常の方法では、高温でのアニーリングステップは基板の表面に触媒粒子を供給した後でナノウィスカーの成長の開始の前に実行される。そのようなアニーリングステップにおいて、基板材料は触媒粒子によってまたは触媒中に溶解して消費され、これにより触媒粒子が配置された基板表面中にくぼみまたは凹部を生成する。このくぼみは、<111>等の優先方向で、その面に垂直なナノウィスカーの成長をもたらす(111)等の結晶面を露出させ得る。したがって、本発明を実践する際には、このアニーリングステップは、好ましくは省略される。より一般に、最初のナノウィスカー成長の核形成段階は、好ましくは、触媒粒子中に過飽和条件を生成するために、ガス相から構成材料を吸収する工程を含んでおり、基板材料はかなりの程度まで貢献しない。
【0023】
核形成条件が開始されると、一貫して適切な核形成と成長とを確実にするように、できるだけ温度を低く維持することが好まれる。さらに、そのような条件下で加熱されると、触媒粒子は不規則なもの、原子ステップなどを「取り除く(iron-out)」ために、下層の基板表面上に「アイロン」効果をなし得ることが見出され、そして、これは、さらに、良く定義された表面を維持するのに貢献する。表面は、ナノウィスカーが所望の非優先方向に成長すること以外の可能性を持たないように、原始ステップなどの無い原子的に平たんな表面に達し得る。しかしながら、完壁な原子的な平坦さは、所望の方向に成長を強制するのに必要でないかもしれない。
【0024】
さらに、触媒粒子は、通常、金などの非反応性の材料であるが、ナノウィスカーの構成元素(例えばInなどのグループIIIの材料)から、またはそれを含んで形成され得る。その結果、核形成および過飽和条件は、その周囲から触媒粒子中に構成材料の減少した量が吸収されて、かなりすばやく達成され得る。
【0025】
更なる態様において、本発明は、(001)結晶面を供給する表面を持つ基板と、少なくとも最初にその表面からその表面に対して<001>方向に伸びる少なくとも1つのナノウィスカーとを含む構造を供給する。ここで、<001>方向は、他の1つ以上の方向が成長に貢献するときのナノウィスカーの非優先的な成長の方向に対応するものである。
【0026】
より一般的な態様において、本発明は、予め決められた結晶面によって定義される主要表面を持つ基板と、少なくとも最初にその表面から結晶面に対応する方向に伸びる少なくとも1つのナノウィスカーとを含む構造を供給する。ここで、ナノウィスカーの方向は、他の1つ以上の方向が成長に貢献するときのナノウィスカーの非優先的な成長の方向である。
【0027】
ガス状形態の適切な材料に晒されると、III-V材料の(001)表面が、特に、バルクのエピタキシャル成長に貢献することが見いだされた。これは、ナノウィスカー成長と競争し、ナノウィスカー成長を禁止しまたはナノウィスカー成長を妨害し得る。
【0028】
本発明の更なる態様によると、予め決められた結晶面を提供する基板表面にナノウィスカーを成長させる方法は、基板表面に少なくとも1つの触媒粒子を配置する工程と、ナノウィスカーの予め決められた成長方向に対応しない表面から予め決められた方向に前記触媒粒子のそれぞれからナノウィスカーを成長させる工程と、を含み、成長条件を確立するに先立って、前記ナノウィスカーを形成するために使用される材料のバルク成長を抑制するために不活性化材料のマスクが前記基板表面上に形成される。
【0029】
1つの好ましい実施例では、本発明はIII-V半導体材料の基板の(001)の表面上にナノウィスカーを成長させる方法を提供する。ここで、少なくとも1つの触媒粒子が(001)基板表面に配置され、成長条件を確立するに先立って不活性化材料のマスクがバルク成長を抑制するために基板表面に形成され、その表面に対して<001>方向へ前記触媒粒子のそれぞれからナノウィスカーを成長ために、加熱され、構成材料がガス状形態で導入されたときに、成長条件が確立される。
【0030】
更なる態様において、本発明は予め決められた結晶面によって定義される表面をもつ基板と、ナノウィスカーの優先的な成長方向に対応していないが前記表面から前記結晶面に対応する方向に伸びる少なくとも1つのナノウィスカーと、前記基板上に配置された不活性化材料の層と、を有する構造を提供する。
【0031】
1つの好ましい形態において、構造は(001)表面を有するIII-V半導体材料の基板と、前記表面から前記表面に対して<001>方向に伸びる少なくとも1つのナノウィスカーと、前記基板表面上に配置された不活性化材料の層とを有する。
【0032】
不活性化材料のマスクは、2004年1月7日に申請され、ともに出願中の米国特許出願第10/751,944号(その全体が本出願で参照として組み込まれる)に記載されたように酸化珪素または窒化珪素であり得る。各触媒粒子はマスク中の各開口に配置され得る。また好ましくは、基板と触媒粒子の上に堆積される炭素含有材料の層を使用することができる。特に好ましい材料は、リジン(アミノ酸)である。加熱されると、その材料は薄い層を残して分解し、その層は炭素を含む材料でかつ基板上にバルク成長を抑制するために作用する単層と同じように薄くなり得る。この層は触媒粒子もをコーティングするが非常に薄いので、ナノウィスカーの成長を妨害しないし、また抑制もしない。
【0033】
触媒粒子を基板表面に配置する方法としてエアロゾルからの粒子の堆積を使用することが好まれる。国際特許出願公開第WO 01/84238号(その全体が本出願で参照として組み込まれる)で記載されたような方法は使用し得る。基板上に金などの触媒粒子を配置するリソグラフプロセスを使用するのが必要とされる状況において、触媒粒子の配置を定義するマスクをエッチングするなどの処理ステップのすべてが好ましくないくぼみを生成しないようにするのを確実にすることは適切である。
【0034】
触媒粒子の材料に関して、Auなどの非反応性材料を含み得る。また、Auは、例えば、ナノウィスカー化合物の一部を形成する、グループIIIの材料と合金化され得る。また、触媒粒子は、例えば、Auの1つの領域と、グループIII材料の別の領域との異種であり得る。また、触媒粒子はInなどのグループIIIの材料で完全に形成され得る。
【0035】
ナノウィスカー材料に関し、ナノウィスカー材料が基板材料と同じである必要はなく、所望の材料であり得る。半導体ナノウィスカーを半導体基板に形成するとき、ウィスカーの材料は、基板材料と同じ半導体グループであり得る、または、異なった半導体グループであり得る。以下に記述された、優れた結果を有する特別な具体例は、(001)InP基板の表面上で<001>方向に成長したInPナノウィスカーを含む。
【0036】
さらに、III-V材料に加えてグループIVの基板とII-VI半導体の材料、および他の基板の材料は、ナノウィスカーの成長に使用され得る。III-V材料の基板は、通常、商業的には(001)表面をもつものが提供され、(111)表面をもつ基板はかなり高価である。本発明の特別の実施例は、InPに言及して以下に記載されるが、本発明はまた、例えばGaPとInAsを用いて実践され得る。Gaを含む材料の基板は、厚くてかなり抵抗力のある酸化物を形成し得るが、この酸化物は好ましくは、核形成に先だって基板表面にくぼみを形成しないで、取り除かれるべきである。
【0037】
グループIV半導体の基板材料中で、Siは電子部品の製造において基板材料として広く使用されている。安定したシリコン表面は(001)、(111)および(113)を含んでいる。ほとんどの電子部品は(001)表面上に作られる。これまで、ナノウィスカーは(001)表面から優先的な(および斜めの)<111>方向に成長していた。しかしながら、本発明の技術によると、ナノウィスカーは、(001)表面から優先的な成長方向に対応しないような表面に垂直な方向、例えば、<001>方向に成長することができる。
【0038】
本発明は原則としてナノウィスカーおよびその基板の製造に使用され得る材料のいずれにも適用可能である。そのような材料は、一般的に、グループIIからグループVIの元素から形成された半導体である。そのような元素は、限定なしに以下のものを含む。
グループII:Be、Mg、Ca、Zn、Cd、Hg
グループIII:B、Al、Ga、Tl
グループIV:C、Si、Ge、Sn、Pb
グループV:N、P、As、Sb
グループVI:O、S、 Se、Te
【0039】
半導体化合物は一般的にIII-V化合物またはII-VI化合物を作るために2つの元素から形成される。しかしながら、また、グループIIまたはグループIIIから例えば2つの元素を含む3つまたは4つの化合物も使用され得る。化学量論的な、または非化学量論的な元素の混合物を使うことができる。
【0040】
III-Vの材料とII-VIの材料は限定なしに以下のものを含む。AlN、GaN、SiC、BP、InN、GaP、AlP、AlAs、GaAs、InP、PbS、PbSe、InAs、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、AlSb、GaSb、SnTe、InSb、HgTe、CdTe、ZnTe、ZnO
【0041】
本発明が適用することができる他の多くの半導体材料がある。例えば、”化学と物理のためにハンドブック(Handbook of Chemistry and Physics)”−CRC−半導体の特性−より完全な処理のために、が参照される。
【0042】
本発明によると、半導体基板は上記のグループIV、III−VまたはII−VI材料の1つから選択され得る、ナノウィスカーはグループIV、III−VまたはII−VIの同じまたは別のものから選択され得る。
【0043】
好ましい実施例の記載
本発明の好ましい実施例は添付の図面を参照して記載される。本発明によれば、非優先的な方向(例えば、(001)の結晶面から<001>方向へ)へのナノウィスカーの成長は一度確立されると安定することが見出された。本発明は、特に、核形成のイベントの開始のときの条件を制御することによって、特に成長方向を定めて安定させる可能性を認識する。
【0044】
以下の議論では本発明の金属有機物の蒸気相エピタキシーによって、(001)InP基板上に直接成長させられた[001]InPナノウィスカーの実施例を記載する。以下に詳細に議論するように、ナノウィスカーは、走査電子顕微鏡と透過電子顕微鏡によって特徴付けられ、優先的な<111>B方向に成長した比較のウィスカーの構造的な特徴に比べて実質的に優れた構造的な特徴を有することが見出された。
【0045】
低圧金属有機物蒸気相エピタキシー(MOVPE)を使用してInPナノウィスカーを成長させた。エアロゾル生成された50nmのAu-粒子がInP基板上に堆積され、次に基板はRF(高周波)加熱されたグラファイトのサセプター上の水平な反応セル内に配置された。6L/分の水素キャリアガス流れが100mBar(10kPa)の圧力で使用された。1.5×10-2のモル分率で、一定流れのホスフィンが反応セルに供給され、サンプルは5分間、420℃まで加熱された。この昇温工程後に、直ちに反応セル中にトリメチルインジウム(TMI)を導入してナノウィスカーの成長が始められた。TMIのモル分率は3×10-6であり、通常の成長時間は8分間であった。本ウィスカー製造方法は、Au触媒の表面を還元して半導体材料と合金化するために、ウィスカー成長の前に高温度でAu粒子をアニーリングする、しばしば使用されているウィスカー成長手順と異なっていることが特筆される。さらに、(001)表面での競合するバルク成長に対する[001]ナノウィスカー成長を改良するために、Au粒子が堆積された基板は成長チャンバーに挿入する前にポリ−L−リジンの溶液に浸積される。Lリジン(2,6ジアミノカプロン酸)は低蒸気圧を有する接着活性な物質であることが知られている。この一水化物は212〜214℃の範囲の分解で溶解し、表面に薄い不活性な層を残す。この層は露出した(001)InPの表面上でのInP成長を防ぐ。
【0046】
サンプルの特徴付けは、15kVで操作されたJSM6400GFフィールドエミッション走査電子顕微鏡(SEM)を使用して実行された。図1の(a)から(d)は、上記に記載された手順によって成長した[001]InPナノウィスカーSEM像である。図1の(a)は、上からの観察である。図1の(b)は、拡大された上からの観察である。図1の(c)は、30°傾けられた基板の観察である。図1の(d)は、基板を40°時計回りに回転した後の1本のウィスカーの拡大を示す。図1の(b)において、[001]に配向したウィスカーの階段状の{110}側面に形成された長方形のウィスカー形状が明確に示されている。
【0047】
[001]におけるウィスカー成長の最も顕著な効果は、観測される高い結晶の完全性である。図3の(a)〜(e)は、[001]から成長したInPワイヤと比較の<111>Bから成長したInPワイヤの高解像度の透過電子顕微鏡(TEM)像である。[001]ワイヤーは欠陥なしのようだが、<111>B成長したウィスカーは積層欠陥を高濃度に含んでいる。<111>Bにおける六角形または立方体の積層の連続に対するエネルギーの差異は小さく、積層欠陥は、成長方向に垂直な平面の欠陥として、ナノウィスカーの側面で自由に終わり得る。[001]での成長の間に同様の欠陥を形成するには、フランク部分転位(Frank partial dislocation)の生成に対する活性化障壁に打ち勝つ必要があるだろう。図3(a)は、無欠陥で[001]に成長したナノウィスカーを示す側面図である。図3(b)は、図3(a)の囲まれた領域の拡大であり、[110]突起物の無欠陥なせん亜鉛鉱構造の原子格子を示している。図3(c)は、[110]突起物のフーリエ変換である。図3(d)は、ワイヤに沿って積層欠陥を有する一般に使用される<111>B方向に成長したナノウィスカーを示す側面図である。図3(e)は図3(d)のナノウィスカーのクローズアップであり、ミラー平面の積層欠陥が結果としてウルツ鉱構造のセグメントとなることを示している。
【0048】
図3(a)から(e)のTEM像は、TEMグリッドをナノウィスカー基板に接触させることによって基板からこわれて落ちたナノウィスカーから取られた。
【0049】
[001]で成長したナノウィスカーの高い材料の完全性もまたフォトルミネセンスの研究で明白となった。フォトルミネセンス(PL)研究において、ナノウィスカーは熱で酸化されたSiウエハーに移された、その上には金のパターンがPLで研究されるウィスカーの局所化と識別を容易にするために生成された。測定は液体He温度で実行された。532nmの放射する周波数が倍増されたNd−YAGレーザが励起のために使用された。ルミネッセンスは光学顕微鏡で集められて、分光計で分散されて、液体窒素で冷却されたCCDによって検出された。
【0050】
本発明に従って成長した1本の[001]InPナノウィスカーのフォトルミネセンス測定は、約1.4eVで細く強い放出ピークを示したが、一般に使用される参照ウィスカーが成長した<111>Bでは、低エネルギーで、追加のブロードな発光ピークを示した。図4(a)は、本発明のナノウィスカー(太線)に関連づけられる強いバンドギャップをもつ<001>ナノウィスカーからと、弱いルミネッセンスと低エネルギーにおける追加のブロードピークをもつ一般に使用される<111>Bウィスカー(細線:ブロードな形状を示す頂部に重なる小ピークはCCD中の干渉で生じた人工物である)からのフォトルミネセンススペクトルを示している。図4(b)は、図4(a)の強いフォトルミネセンスを示す、<001>ウィスカーのSEM像を示している。
【0051】
アニーリングする状態とアニーリングしない状態の違いは、図2(a)と(b)の概略図によって説明され得る。図2(a)はアニーリング後に(001)表面のAu液滴からの成長を示す。InPはAu/In合金を形成するために局所的に溶解され、結果としてくぼみを形成し得る。くぼみ中の2つの側面は{111}B特性をもつ。高温度(500℃より高い)では、InPは局所的にAuとの反応で溶解し得る。くぼみ中のそのような条件で発展する、典型的なAu/半導体界面は、基板の主要表面を定める(001)面よりむしろ低エネルギー面の{111}Bと{011}である。そのような低エネルギー面における核発生は、[1−11]と[-111]における一般的に観測されたウィスカーの成長のための出発点であり得て、GaAs-MBEに対して報告された、めったに観測されない<011>方向と同じである。
【0052】
図2(b)は本発明のアニーリングしないときのAu液滴からの成長を示す。Au/In合金はTMIとAuの反応によって形成され、Au小滴の下の(001)の表面は本質的に完全なままで残っている。高温度におけるアニーリングをしなければ、InPとAuとの反応は抑えられるだろう。Au液滴中に溶解したInとPは蒸気相からのTMIとPH3の供給からであり、基板材料は消耗(損失)していない。臨界の過飽和に達すると、核形成はInP(001)/Au界面で始まり、その結果、ワイヤの成長が[001]方向に制御され得る。すべてのサンプルにおいて、[001]ワイヤが優位である領域が観測されたが、また<111>Bワイヤが支配的である領域もまた観測された。わずかに誤って配向された基板(0.2°)が使用されるので、この異なる挙動は、(001)基板表面におけるステップ構造の側面の違いによるかもしれない。
【0053】
その結果、本発明は他の利点とともに(1)強い1本のワイヤのルミネッセンスを示す積層欠点のない極めて完全なせん亜鉛鉱結晶であるナノワイヤと、(2)工業的に実用的な(001)基板配向上に垂直に成長する性能を実現し得ることが理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】(a)〜(d)は、本発明のInP(001)基板上のInPナノウィスカーのSEM像であり、(a)は上からの観察、(b)は拡大された上からの観察、(c)30°傾けた基板の上からの観察、(d)基板を時計方向に40°回転した後の1つのウィスカーの拡大である。
【図2】(a)と(b)は、異なったスタート(核形成)条件によって異なった成長方向になるという点で本発明を説明するための概要図である。
【図3】(a)から(e)は、InPナノウィスカーのTEM像であり、優先的な<111>B方向に成長したナノウィスカーに対して、本発明による非優先な<001>方向に成長したナノウィスカーの特性を比較している。
【図4】(a)は本発明の<001>ナノウィスカー(厚い線)と、一般に使用される<111>Bウィスカー(薄い線)からのフォトルミネセンススペクトルを示しており、(b)は(a)のフォトルミネセンススペクトルを有する<001>ウィスカーのSEM像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノウィスカーを成長させる方法であって、
触媒粒子を予め決められた結晶面を与える基板表面に配置する工程と、
前記触媒粒子と前記基板との間の界面であって、前記界面で前記結晶面が前記基板表面として前記予め決められた成長方向を定めて安定化させために維持されるように、規制された成長開始時の核形成条件を用いて前記界面を制御してナノウィスカーが非優先的な成長方向である予め決められた成長方向に前記触媒粒子から前記ナノウィスカーの少なくとも1つの基部部分を成長させる工程と、
を有する方法。
【請求項2】
前記条件は、前記ナノウィスカーの核形成が実質的にいかなる材料も前記基板から消費しない触媒粒子を用いてなされるように規制されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記条件は、前記触媒粒子と前記基板との間の界面で、くぼみまたは凹部が形成されないように規制されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記条件は、前記触媒粒子と前記基板との間の界面で、ナノウィスカーの優先的な成長方向に対応する結晶面が露出されないように規制されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ウィスカーの核形成が前記基板表面に配置された前記触媒粒子を最初にアニーリングしないで開始されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ナノウィスカーがIII-V半導体化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
インジウムが前記半導体化合物のグループIII成分であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記予め決められた方向が<001>方向であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記結晶面が(001)面であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記基板がIII−V半導体化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
インジウムが前記半導体化合物のグループIII成分であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
成長条件を確立に先だって、バルク成長を抑制するために不活性化材料のマスクが前記基板表面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記マスクは、炭素を含む薄膜層を供給するために前記基板表面に蒸着される炭素含有材料であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記マスクがアミノ酸から形成されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記触媒粒子がエーロゾルから前記基板表面に堆積することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記触媒粒子が前記ナノウィスカーの一部を形成する構成要素で前もって少なくとも部分的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
ナノウィスカーの成長は、前記ナノウィスカーの成長に基板材料が貢献しないように低温でなされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
ナノウィスカーを成長させる方法であって、
(001)基板表面に触媒粒子を供給する工程と、
前記触媒粒子からIII-V半導体化合物の少なくとも基部部分を持つナノウィスカーを成長させるために熱が適用され成分材料がガス状形態で導入される成長条件を確立する工程と、を有し、
成長開始時の核形成条件は前記ナノウィスカーの前記基部部分が前記基板から<001>方向に成長するように規制されていることを特徴とする方法。
【請求項19】
前記条件は、前記触媒粒子と前記基板との間の界面で、くぼみまたは凹部が形成されないように規制されていることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記条件は、前記触媒粒子と前記基板との間の界面で、ナノウィスカーの成長の優先方向に対応する結晶面が露出されないように規制されていることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
ウィスカーの核形成が前記基板表面に配置された前記触媒粒子を最初にアニーリングしないで開始されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項22】
インジウムが前記半導体化合物のグループIII成分であることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記基板がIII−V半導体化合物を含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項24】
インジウムが前記半導体化合物のグループIII成分であることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記触媒粒子がエーロゾルから前記基板表面に堆積することを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記触媒粒子が前記ナノウィスカーの一部を形成する構成要素で前もって少なくとも部分的に形成されていることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項27】
ナノウィスカーの成長は、前記ナノウィスカーの成長に基板材料が貢献しないように低温でなされることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項28】
予め決められた結晶面で定義される主要表面を有する基板と、
前記結晶面に対応する方向に前記表面から伸びる少なくとも1つの基部部分を有する少なくとも1つのナノウィスカーと、を有し、
前記方向は前記ナノウィスカーに対する非優先的な成長方向であることを特徴とする構造。
【請求項29】
前記ナノウィスカーがIII−V半導体化合物を含むことを特徴とする請求項28に記載の構造。
【請求項30】
インジウムが前記半導体化合物のグループIII成分であることを特徴とする請求項29に記載の構造。
【請求項31】
前記基板がIII−V半導体化合物を含むことを特徴とする請求項28に記載の構造。
【請求項32】
前記化合物のグループIIII部分がインジウムを含むことを特徴とする請求項31に記載の構造。
【請求項33】
前記ナノウィスカーは断面が実質的に長方形であることを特徴とする請求項28に記載の構造。
【請求項34】
(001)結晶面を提供する表面を有する半導体材料の基板と、
前記表面から前記表面に対して<001>方向に伸びるIII-V半導体のすくなくとも基部部分を有する少なくとも1つのナノウィスカーと、を有し、
前記<001>方向は前記ナノウィスカーの非優先的な成長方向であることを特徴とする構造。
【請求項35】
ナノウィスカーを成長させる方法であって、
予め決められた結晶面によって定義される主要表面を有する基板を供給する工程と、
前記基板表面に触媒粒子を配置する工程と、
前記基板表面から前記触媒粒子を介してナノウィスカーの非優先的な成長方向である予め決められた方向に少なくともナノウィスカーの基部部分を成長させるために、熱が適用され成分材料がガス状形態で導入される成長条件を確立する工程と、を有し、
前記成長条件を確立するに先立って、前記予め決められた方向に前記ナノウィスカーの成長と競合するバルク成長を抑制するために、不活性化材料のマスクが前記基板表面に形成されることを特徴とする方法。
【請求項36】
前記ナノウィスカーがIII-V半導体化合物を含むことを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
インジウムが前記半導体化合物のグループIII成分であることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記基板がIII−V半導体化合物を含むことを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項39】
インジウムが前記半導体化合物のグループIII成分であることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記マスクは炭素を含む薄膜を供給するために前記基板上に蒸着される炭素含有材料であることを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記マスクがアミノ酸から形成されることを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記マスクは前記触媒粒子が前記基板上に配置された後で供給されることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項43】
前記ナノウィスカーの成長は、直前のアニーリング工程なしで開始されることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項44】
前記成長の開始時の核形成条件が、前記結晶面が前記界面で前記基板表面として前記成長方向を定義して安定化させるために維持されるように前記触媒粒子と前記基板との間の界面を制御するために、規制されていることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項45】
(001)基板表面に触媒粒子を配置する工程と、
前記触媒粒子から前記基板表面に対して<001>方向に伸びるIII-V半導体化合物を含むナノウィスカーの少なくとも基部部分を成長させるために、熱が適用され成分材料がガス状形態で導入される成長条件を確立する工程と、を有し、
成長条件を確立に先だって、バルク成長を抑制するために不活性化材料のマスクが半導体化合物の前記基板表面に形成されることを特徴とする方法。
【請求項46】
(001)表面を有する半導体材料の基板と、
前記基板表面から前記基板表面に対して<001>方向に伸びるIII-V半導体材料を含む少なくとも1つの基部部分を有する少なくとも1つのナノウィスカーと、
前記基板表面に配置された不活性な材料の層と、
を有することを特徴とする構造。
【請求項47】
予め決められた結晶面によって定義された主要表面を有する基板と、
前記表面から前記結晶面に対応する方向でかつ前記ナノウィスカーの非優先的な成長方向である方向に、伸びる少なくとも1つの基部部分を有する少なくとも1つのナノウィスカーと、
前記基板表面に配置された不活性な材料の層と、
を有することを特徴とする構造。
【請求項48】
前記ナノウィスカーがIII-V半導体化合物を含むことを特徴とする請求項47に記載の構造。
【請求項49】
インジウムが前記半導体化合物のグループIII成分であることを特徴とする請求項48に記載の構造。
【請求項50】
前記ナノウィスカーは実質的に長方形の断面を有することを特徴とする請求項48に記載の構造。
【請求項51】
前記不活性な材料が炭素を含む材料の薄膜で形成されていることを特徴とする請求項48に記載の構造。
【請求項52】
前記ナノウィスカーは前記予め決められた方向に実質的にその全体の長さにわたって成長することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項53】
前記ナノウィスカーは前記<001>方向に実質的にその全体の長さにわたって成長することを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項54】
前記ナノウィスカーの実質的にその全体の長さは前記結晶面に対応する前記方向に伸びていることを特徴とする請求項28に記載の構造。
【請求項55】
前記ナノウィスカーの実質的にその全体の長さが前記<001>方向に伸びていることを特徴とする請求項34に記載の構造。
【請求項56】
前記ナノウィスカーは、実質的にその全体の長さにわたって前記予め決められた方向に成長することを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項57】
前記ナノウィスカーは、実質的にその全体の長さにわたって前記<001>方向に成長することを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項58】
前記ナノウィスカーの実質的にその全体の長さが前記<001>方向に伸びることを特徴とする請求項46に記載の構造。
【請求項59】
前記ナノウィスカーの実質的にその全体の長さが前記結晶面に対応する前記方向に伸びることを特徴とする請求項47に記載の構造。
【請求項60】
予め決められた結晶面によって定義された主要表面を有する基板を供給する工程と、
前記基板表面から非優先的な成長方向に前記ナノウィスカーの少なくとも基部部分が成長するようにVLSプロセスで前記基板表面からナノウィスカーを成長させる工程と、
を有する特徴とする方法。
【請求項61】
請求項60の方法で成長させたナノウィスカーを有することを特徴とする構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−528412(P2008−528412A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551917(P2006−551917)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【国際出願番号】PCT/GB2005/000390
【国際公開番号】WO2005/078167
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(506177590)クナノ アーベー (15)
【氏名又は名称原語表記】QuNano AB
【住所又は居所原語表記】Ideon Park,SE−223 70 Lund,Sweden
【Fターム(参考)】