説明

方向装置およびそれを用いた動作システム

【課題】掃除ロボットを制御する方向装置、およびそれを用いた動作システムを提供する。
【解決手段】掃除ロボットの走行ルートを制御する方向装置であって、前記掃除ロボットによって発せられ、エンコードされた無線信号を受ける受信ユニット、少なくとも1つの無線信号を発する送信ユニット、および前記受信ユニットが前記エンコードされた無線信号を受けた時、前記掃除ロボットの走行ルートを制御する第1の方向無線信号を発するように前記送信ユニットを有効にする制御ユニットを含むことを特徴とする方向装置を採用した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除ロボットを制御する方向装置、およびそれを用いた動作システムに関し、特に、掃除ロボットの動作システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に駆動装置、センサ、および走行制御装置を含み、且つ自動的に動作しながら多くの役立つ機能を実行する、種々の自律走行型の移動ロボットが開発されている。例えば、自律走行型家庭用掃除ロボットは、使用者が操作をすることなく、室内を自動的に動き回りながら室内の床からゴミとほこりを吸い込む掃除機である。
【0003】
ところが、従来の主な自律走行型ロボットは、広域で且つ1つの領域内での移動を対象として設計されたものが殆どであり、極簡単な移動設定しか行うことができなかった。例えば、従来の自律走行型ロボットを家庭用掃除ロボットとして用いる場合において、境界壁で区切られた複数領域間の移動、すなわち部屋から部屋への移動に対処することができないものが殆どであった。以上の問題に鑑み、従来の自律走行ロボットの中には、予め設定された基準位置と掃除作業領域の出入口との間を結ぶ走行経路を走行させ、これによって掃除作業領域の出入口の配置を示すマップを作成することにより、基準位置と掃除作業領域との間を確実に自律走行できるようなものも存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のマップを作成する自律走行ロボットは、掃除作業領域の境界壁の内側を壁伝いに壁際を一周した領域を1つの作業領域として認識するようになるため、掃除作業領域と掃除非作業領域とを細かく設定することができなかった。また、このような自律走行ロボットによる掃除作業領域の認識方法の場合には、境界壁で区切られた複数領域間の結ぶ出入口の幅が広いと、1つの領域としか判断されない恐れがある。更に、このような自律走行ロボットは、指定された作業領域における掃除が終了した場合に、ロボットが備えるバッテリに充電を行うための装置が配置される位置まで戻らなくてはならないため、掃除作業を行う領域を広範囲に設定することができなかった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解消するために案出されたもので、その目的は、従来の自律走行型家庭用掃除ロボットのように、掃除作業を行う領域を細かく設定できない等の弊害を克服するために、前記ロボットを制御する方向装置、およびそれを用いた動作システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る方向装置: 本発明に係る方向装置は、掃除ロボットの走行ルートを制御する方向装置であって、前記掃除ロボットによって発せられる、エンコードされた無線信号を受ける受信ユニット、少なくとも1つの無線信号を発する送信ユニット、および前記受信ユニットが前記エンコードされた無線信号を受けた時、前記掃除ロボットの走行ルートを制御する第1の方向無線信号を発するように前記送信ユニットを有効にする制御ユニットを含むことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る方向装置において、前記無線信号は、超音波または赤外線であることが好ましい。
【0008】
本発明に係る方向装置において、前記受信ユニットが前記エンコードされた無線信号を未受信の時に、前記制御ユニットは、前記送信ユニットが前記第1の方向無線信号を発しないように前記送信ユニットを無効にするものであることが好ましい。
【0009】
本発明に係る方向装置において、前記受信ユニットが前記エンコードされた無線信号を未受信の時に、前記制御ユニットは、前記送信ユニットが前記方向装置を認識させる認識無線信号を発するために前記送信ユニットを有効にするものであることが好ましい。
【0010】
本発明に係る方向装置において、前記送信ユニットが前記第1の方向無線信号を発した後、前記制御ユニットは、前記送信ユニットが前記エンコードされた無線信号の強度またはエンコード値に基づいた前記掃除ロボットの走行ルートを制御する第2の方向無線信号を発するために、前記送信ユニットを有効にするものであることが好ましい。
【0011】
本発明に係る方向装置において、前記第1の方向無線信号の前記エンコード値は、前記第2の方向無線信号のエンコード値と異なるか、または前記第1の方向無線信号の強度は、前記第2の方向無線信号の強度と異なることが好ましい。
【0012】
本発明に係る動作システム: 本発明の動作システムは、上述した方向装置を用いた動作システムであって、掃除手順を実行し、且つ第1のエンコードされた無線信号を発する第1の送信ユニットを含む掃除ロボットと、前記第1のエンコードされた無線信号を受ける受信ユニット、少なくとも1つの無線信号を発する第2の送信ユニット、および前記受信ユニットが前記第1のエンコードされた無線信号を受けた時、前記第2の送信ユニットが前記掃除ロボットの走行ルートを制御する第1の方向無線信号を発するために、前記第2の送信ユニットを有効にする制御ユニットを含む方向装置とを含み、前記掃除ロボットは、前記第1の方向無線信号に基づいて走行することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る動作システムにおいて、前記無線信号は、超音波または赤外線であることが好ましい。
【0014】
本発明に係る動作システムにおいて、前記動作システムは、前記方向装置が、充電端子、および前記充電端子を介して前記掃除ロボットを充電する充電ユニットを更に含むことが好ましい。
【0015】
本発明に係る動作システムにおいて、前記掃除ロボットが前記第1の方向無線信号を受けた後、前記掃除ロボットは、前記充電端子に向かって接近し、次いで、前記第2の送信ユニットは、前記掃除ロボットの走行ルートを制御する第2の方向無線信号を発して前記掃除ロボットを誘導することが好ましい。
【0016】
本発明に係る動作システムにおいて、前記掃除ロボットは、前記第2の方向無線信号に基づいて前記充電端子に接触することが好ましい。
【0017】
本発明に係る動作システムにおいて、前記掃除ロボットは、前記第2の方向無線信号に基づいて前記方向装置の右側を通るか、または前記方向装置の左側を通ることが好ましい。
【0018】
本発明に係る動作システムにおいて、前記受信ユニットが前記第1のエンコードされた無線信号を未受信の時に、前記制御ユニットは、前記第2の送信ユニットを無効にして、前記第2の送信ユニットが前記少なくとも1つの無線信号を発しないようにすることが好ましい。
【0019】
本発明に係る動作システムにおいて、前記受信ユニットが前記第1のエンコードされた無線信号を未受信の時に、前記制御ユニットは、前記第2の送信ユニットを有効にして、前記第2の送信ユニットが前記方向装置を認識させる認識無線信号を発するようにし、前記掃除ロボットは、前記認識無線信号に基づいて前記方向装置に向かって接近し、前記第2の送信ユニットが前記認識無線信号を発した後、前記掃除ロボットは、前記第1の方向無線信号に基づいて、前記掃除ロボットと前記方向装置との間の距離を取得することが好ましい。
【0020】
本発明に係る動作システムにおいて、前記掃除ロボットが第1の領域での前記掃除手順を終えた後、前記第1の送信ユニットは、第2のエンコードされた無線信号を発し、前記方向装置は、前記第2のエンコードされた無線信号に基づいて、第2の方向無線信号を発し、前記掃除ロボットは、前記第2の方向無線信号に基づいて第2の領域に入ることが好ましい。
【0021】
本発明に係る動作システムにおいて、前記第1の方向無線信号の前記エンコード値は、前記第2の方向無線信号のエンコード値と異なることが好ましい。
【0022】
本発明に係る動作システムにおいて、前記掃除ロボットが前記第2の領域に入った後、前記方向装置は、前記第1の方向無線信号を発し、前記第1の送信ユニットは、前記第1のエンコードされた無線信号を発することが好ましい。
【0023】
本発明に係る動作システムにおいて、前記掃除ロボットが前記第2の領域で前記掃除手順を終えた後、前記第1の送信ユニットは、第2のエンコードされた無線信号を発し、前記方向装置は、前記第2のエンコードされた無線信号に基づいて、第2の方向無線信号を発し、前記掃除ロボットは、前記第2の方向無線信号に基づいて前記第1の領域に入ることが好ましい。
【0024】
本発明に係る動作システムにおいて、前記掃除ロボットは、再充電可能ユニット、および前記再充電可能ユニットの電気量を検出する電気量検出ユニットを含み、前記第1の送信ユニットは、再充電可能ユニットの電気量が既定値より小さい時、前記第2のエンコードされた無線信号を発し、前記方向装置は、前記第2のエンコードされた無線信号に基づいて、前記第2の方向無線信号を発し、前記掃除ロボットは、前記第2の方向無線信号に基づいて前記第1の領域に入ることが好ましい。
【0025】
本発明に係る動作システムにおいて、前記掃除ロボットは、ストレージユニットを更に含み、前記ストレージユニットは、前記掃除ロボットが前記第1の方向無線信号を受けた時、前記掃除手順に関する情報を保存し、前記保存された情報は、リセットされるか、または修正されることが好ましい。
【0026】
本発明に係る動作システムにおいて、前記掃除ロボットが前記第1の方向無線信号を受けた時、前記掃除ロボットは、前記方向装置が仮想壁であると判定することが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の方向装置は、ドック(dock)、ライトハウス(light house)、および仮想壁(virtual wall)の1つまたは組み合わせとなり得る。本発明の方向装置が充電機能を有する時、方向装置は、掃除ロボットの充電ドックとなり得る。掃除ロボットは、方向装置によって発された方向信号に基づいて進むため、方向装置は、ライトハウス機能を有する。また、掃除ロボットは、方向装置が方向装置によって発された無線信号に基づいて仮想壁であると判定するので、本発明の方向装置は、仮想壁機能を有する。すなわち、本発明の方向装置およびそれを用いた動作システムによれば、掃除作業を行う領域を細かく設定できない等の弊害を克服することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の動作システムの模範的な実施の形態の概略図である。
【図2A】本発明の動作システムの動作概略図である。
【図2B】本発明の動作システムの動作概略図である。
【図2C】本発明の動作システムの動作概略図である。
【図3】本発明の動作システムのもう1つの模範的な実施の形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、以下の詳細な説明を参照することにより、より完全に理解され得る。
【0030】
本発明の実施の形態において、掃除ロボットの走行ルートを制御する方向装置は、受信ユニット、送信ユニット、および制御ユニットを含む。受信ユニットは、掃除ロボットによって発せられ、エンコードされた無線信号を受ける。送信ユニットは、少なくとも1つの無線信号を発する。制御ユニットは、受信ユニットがエンコードされた無線信号を受けた時、送信ユニットを有効にし、第1の方向無線信号を発する。掃除ロボットは、第1の方向無線信号に基づいて走行する。
【0031】
また、本発明の実施の形態において、動作システムは、掃除ロボットおよび方向装置を含む。掃除ロボットは、掃除手順を実行し、第1の送信ユニットを含む。第1の送信ユニットは、第1のエンコードされた無線信号を発する。方向装置は、受信ユニット、第2の送信ユニット、および制御ユニットを含む。受信ユニットは、第1のエンコードされた無線信号を受信する。第2の送信ユニットは、少なくとも1つの無線信号を発する。制御ユニットは、受信ユニットが第1のエンコードされた無線信号を受信した時、第2の送信ユニットを有効にし、第1の方向無線信号を発する。掃除ロボットは、第1の方向無線信号に基づいて走行する。
【0032】
本発明の詳細な説明は、添付の図面を参照して、以下の実施の形態に提供される。
【0033】
以下の説明は、本発明を実施するベストモードが開示されている。この説明は、本発明の一般原理を例示する目的のためのもので本発明を限定するものではない。本発明の範囲は、添付の請求の範囲を参考にして決定される。
【0034】
図1は、本発明の動作システムの模範的な実施の形態の概略図である。動作システム100は、掃除ロボット110および方向装置(direction device)130を含む。掃除ロボット110は、掃除手順を実行する。この実施の形態において、掃除ロボット110の走行ルートは、方向装置130によって制御される。方向装置130は、同時に、またはそれぞれドック(dock)、ライトハウス(light house)、および仮想壁(virtual wall)の1つまたは組み合わせとなり得る。
【0035】
図1に示されるように、掃除ロボット110は、送信ユニット111および受信ユニット113を含む。送信ユニット111は、無線信号を発する。受信ユニット113は、無線信号を受信する。本発明は、送信された無線信号および受信された無線信号の種類を限定するものではない。本発明の一実施の形態において、送信された無線信号および受信された無線信号は、超音波または赤外線である。
【0036】
本発明の一実施の形態において、送信された無線信号の種類は、受信された無線信号の種類と同じである。例えば、送信ユニット111によって送信された無線信号は超音波であり、受信ユニット113によって受信された無線信号は、超音波である。本発明の他の実施の形態において、送信ユニット111によって送信された無線信号は赤外線であり、受信ユニット113によって受信された無線信号は、赤外線である。
【0037】
また、本発明の他の実施の形態において、送信された無線信号の種類は、受信された無線信号の種類と異なる。例えば、送信ユニット111によって送信された無線信号は赤外線であり、受信ユニット113によって受信された無線信号は超音波である。
【0038】
本発明の他の実施の形態において、送信ユニット111によって送信された無線信号は超音波であり、受信ユニット113によって受信された無線信号は赤外線である。この実施の形態において、送信ユニット111は、超音波エミッタであり、受信ユニット113は、赤外線エミッタである。送信ユニット111は、例えばUWまたはUWなどのエンコードされた(encoded)超音波を発する。エンコードされた超音波UWのエンコード値は、エンコードされた超音波UWのエンコード値と異なる。超音波をエンコードする方法は、当業者にはよく知られているものであるため、前記方法の説明は、簡略にするために省略する。
【0039】
超音波は伝送距離が長く、また、赤外線は障害物の問題を克服する。よって、赤外線が掃除ロボットに用いられる場合、掃除手順の効率が高められる。また、超音波は、障害物が掃除ロボットの前にあるかどうかを見つけ出すように用いられるため、掃除ロボットは、障害物と直接衝突しない。よって、掃除ロボットが掃除手段を実行している時に望ましくない騒音が発生しない。また、超音波は、高い安定性および精度を有し、太陽光などの光が超音波に影響を与えることがない。
【0040】
また、この実施の形態において、方向装置130は、受信ユニット131、送信ユニット133、および制御ユニット135を含む。受信ユニット131は、送信ユニット111によって発されたエンコードされた超音波(UWまたはUW)を受けることができる。送信ユニット111によって発されたエンコードされた超音波が特定のエンコード値を含むため、エンコードされた超音波の特定のエンコード値に基づいて、受信ユニット131は、エンコードされた超音波が掃除ロボット110の送信ユニット111によって発せられたかどうかを判定することができる。受信ユニット131は、受信ユニット131に近接した他の周辺装置によって発せられた、他のエンコードされた超音波を受けることがない。
【0041】
送信ユニット133は、例えばIRID、IR、およびIRの少なくとも1つの無線信号を発する。本発明は、送信ユニット133から発せられる無線信号の種類を限定するものではない。本発明の一実施の形態において、無線信号は、超音波または赤外線である。この実施の形態において、送信ユニット133は、赤外線IRID、IR、およびIRを発する。赤外線IRID、IR、およびIRは、エンコードされ、異なるエンコード値を含む。赤外線のエンコード方法は、当業者にはよく知られているものであるため、前記方法の説明は、簡略にするため省略する。
【0042】
制御ユニット135は、受信ユニット131および送信ユニット133を制御する。本発明の一実施の形態において、制御ユニット135は、マイクロコントローラユニット(MCU)である。受信ユニット131がエンコードされた超音波UWを受けた時、制御ユニット135は、送信ユニット133を有効にし、方向(direction)無線信号IRを発する。掃除ロボットは、方向無線信号IRに基づいて走行する。
【0043】
本発明の一実施の形態において、方向無線信号IRを発した後、掃除ロボット110は、方向装置130に向かって接近する。よって、受信ユニット131は、掃除ロボット110より発せられた、エンコードされた超音波UWを正確に受けることができる。
【0044】
受信ユニット131がエンコードされた超音波UWを受けた後、制御ユニット135は、送信ユニット133が超音波UWの強度またはエンコード値に基づいて掃除ロボット110の走行ルートを制御するための方向無線信号IRを発するために、送信ユニット133を有効にする。
【0045】
この実施の形態において、掃除ロボット110は、全方位ミラーを含むため、方向無線信号IRまたはIRは、受信ユニット113によって受けられ易くなる。また、方向無線信号IRの強度は、方向無線信号IRの強度と異なり得る。他の実施の形態において、方向無線信号IRのエンコード値は、方向無線信号IRのエンコード値と異なり得る。
【0046】
他の実施の形態において、受信ユニット131が、エンコードされた超音波UWをまだ受けていない場合、制御ユニット135は、送信ユニット133を無効にする。よって、送信ユニット133は、例えばIRID、IR、およびIRなどの無線信号を発しない。制御ユニット135は、受信ユニット131がエンコードされた超音波UWを受けた時のみ、送信ユニット133を有効にする。方向装置130は、エンコードされた超音波UWを受けるまで、無線信号を発しない。よって、動作システム100の消費電力は、方向装置130が無線信号を連続的に発しないため、低減される。
【0047】
本発明の他の実施の形態において、受信ユニット131がエンコードされた超音波UWをまだ受けていない場合、制御ユニット135は、送信ユニット133を有効にし、認識(recognition)無線信号IRIDを発する。掃除ロボット110が認識無線信号IRIDを受けた時、掃除ロボット110は、方向装置が障害物でないことを判定する。よって、掃除ロボット110は、方向装置130によって発された無線信号に基づいて移動し動作する。
【0048】
例えば、認識無線信号IRIDを受けた後、掃除ロボット110は、方向装置130に向かって接近する。よって、受信ユニット131は、掃除ロボット110より提供された、エンコードされた超音波UWを受けることができる。
【0049】
受信ユニット131がエンコードされた超音波UWを受けた後、送信ユニット133は、方向無線信号IRを発する。掃除ロボット110は、方向無線信号IRに基づいて掃除ロボット110と方向装置130との間の距離を取得する。掃除ロボット110は、掃除ロボット110と方向装置130との間の距離に基づいて、特定の機能を実行する。
【0050】
この場合、掃除ロボット110は、方向無線信号IRに基づいて方向装置130の位置を決める。よって、掃除ロボット110の充電量が不足した時、掃除ロボット110は、方向装置130に移動して接近するため、方向装置130は、掃除ロボット110を充電する。
【0051】
例えば、方向装置130が掃除ロボット110を充電する場合、方向無線信号IRは、掃除ロボット110を方向装置130に接近するように誘導し、次いで、掃除ロボット110は、方向装置130によって充電される。例えば、方向装置130が掃除ロボット110を充電する場合、方向装置130は、方向無線信号IRを発するため、掃除ロボット110は、方向無線信号IRに基づいて、充電位置に移動して近接する。掃除ロボット110が充電位置に到達した時、掃除ロボット110は充電され得る。
【0052】
本発明の他の実施の形態において、掃除ロボット110の充電量が十分な場合、方向装置130は、方向無線信号IRを発して掃除ロボット110を誘導する。掃除ロボット110は、方向無線信号IRに基づいて誘導され、次いで、他の領域で掃除手順を実行する。
【0053】
例えば、方向装置130は、2つの領域の間に配置されて掃除ロボットを制御するため、掃除ロボットは、2つの領域で掃除手順を実行する。図2Aは、本発明の動作システムの動作概略図である。図2Aを用いて説明する。掃除ロボット110が領域210で掃除手順を実行した時、方向装置130Aは、方向無線信号IRを発する。掃除ロボット110が方向無線信号IRを受けた時、掃除ロボット110は、方向装置130Aが壁(wall)だと判定する。よって、掃除ロボット110は、領域210を出ない。この場合、方向装置130Aは、仮想壁(virtual wall)であると判定する。よって、掃除ロボット110は、領域210で掃除手順を連続的に実行する。
【0054】
図2Bは、本発明の動作システムの動作概略図である。図2Bを用いて説明する。掃除ロボット110が領域210で掃除手順を終えた後、掃除ロボット110の送信ユニット111は、エンコードされた超音波UWを発する。方向装置130Aがエンコードされた超音波UWを受けた時、方向装置130Aは、方向無線信号IRを発する。掃除ロボット110は、方向無線信号IRに基づいて領域210を出る。掃除ロボット110は領域220に入り、掃除手順を実行する。
【0055】
図2Bを用いて説明する。方向無線信号IRのエンコード値は、方向無線信号IRのエンコード値と異なる。また、エンコードされた超音波UWのエンコード値は、エンコードされた超音波UWのエンコード値と異なる。
【0056】
掃除ロボット110が領域220に入った時、方向装置130Aおよび130Bのそれぞれは、方向無線信号IRを発するため、掃除ロボット110は、方向装置130Aおよび130Bが仮想壁であると判定する。よって、掃除ロボット110は、領域220を出ず、領域210で掃除手順を連続的に実行する。この時、掃除ロボット110は、エンコードされた超音波UWを発する。
【0057】
図2Cは、本発明の動作システムの動作概略図である。図2Cを用いて説明する。掃除ロボット110が領域220で掃除手順を終えた後、掃除ロボット110は、エンコードされた超音波UWを発する。方向装置130Bがエンコードされた超音波UWを受けた時、方向装置130Bは、方向無線信号IRを発する。方向無線信号IRは、掃除ロボット110に領域220を出るように誘導する。掃除ロボット110は、方向無線信号IRに基づいて領域230に入り、次いで掃除ロボット110は、領域230で掃除手順を連続的に実行する。
【0058】
上述の実施の形態において、方向装置130Aがエンコードされた超音波UWを既に受けているため、方向装置130Aは、方向無線信号IRを発しない。方向装置130Aは、方向無線信号IRを発するため、掃除ロボット110は、領域220から領域210に入らない。
【0059】
掃除ロボット110が元の領域を出た場合、且つ、掃除ロボット110の充電量が不足した時、掃除ロボット110は、エンコードされた超音波UWを発し、例えば領域210の元の領域に戻る。
【0060】
例えば、掃除ロボット110がまず、領域210で掃除手順を実行し、次いで、領域220で掃除手順を実行したとする。掃除ロボット110の充電量が不足した時、掃除ロボット110は領域220にあり、掃除ロボット110は、エンコードされた超音波UWを発する。方向装置130Bが、方向無線信号IRをまだ発していないため、掃除ロボット110は領域230にまだ入っていない。そして、方向装置130Aは、方向無線信号IRを既に発して、掃除ロボット110を領域210から領域220に誘導している。よって、方向装置130Aのみがエンコードされた超音波UWに基づいて、方向無線信号IRを発するため、掃除ロボット110は、領域220から領域210に誘導されて入る。この場合、方向装置130Aは、充電機能を有するものとする。掃除ロボット110は、方向装置130Aによって充電され得る。
【0061】
また、掃除ロボット110は、時間計測機能を有する。例えば、掃除手順が掃除ロボット110によって実行され、掃除手順を実行する時間が30分を超えた時、掃除ロボット110は、エンコードされた超音波UWを発して他の領域に入ることができる。
【0062】
他の実施の形態において、掃除ロボット110が新しい領域に入った時、掃除ロボット110は、仮想壁に沿って通り、新しい領域の大きさを算出し、掃除時間を算出する。実際の掃除時間が算出された掃除時間と同じ時、掃除ロボット110は、エンコードされた超音波UWを発し、他の領域に入る。
【0063】
図3は、動作システムのもう1つの模範的な実施の形態の概略図である。図3は、方向装置330が充電端子137および充電ユニット139を含む以外は図1と同様である。充電ユニット139は、充電端子137を介して掃除ロボット310を充電することができる。
【0064】
例えば、方向無線信号IRを受けた後、掃除ロボット310は、充電端子137に向かって接近する。次いで、送信ユニット133は、方向無線信号IRを発するため、掃除ロボット310は、方向無線信号IRに基づいて充電端子137に正確に接触する。よって、掃除ロボット310は、掃除ロボット310が充電端子137に正確に接触した時、充電され得る。この時、方向装置330は、ドックとなる。
【0065】
他の実施の形態において、方向無線信号IRを受けた後、掃除ロボット310は、充電端子137に向かって接近する。次いで、送信ユニット133は、方向無線信号IRを発して、掃除ロボット310の走行ルートを変える。掃除ロボット310は、方向装置330の左側を通るか、または方向装置330の右側を通ることができる。この時、方向装置330は、ライトハウスとなる。
【0066】
また、掃除ロボット310は、再充電可能ユニット115、充電量検出ユニット117およびストレージユニット119を更に含んでも良い。再充電可能ユニット115は、再充電可能な電池を用いることができ、電力を送信ユニット111および受信ユニット113に提供することができる。
【0067】
充電量検出ユニット117は、再充電可能ユニット115の電気を検出する。再充電可能ユニット115の充電量が既定値より小さく、方向装置330が充電機能を有する場合、掃除ロボット310は、方向装置330に向かって接近する。
【0068】
ストレージユニット119は、掃除手順に関する情報を保存する。掃除ロボット310が方向無線信号IRを受けた時、ストレージユニット119は、リセットされるか、または修正(correct)される。
【0069】
例えば、掃除ロボット310のホイール311の回転数は、掃除ロボット310の位置を取得するように用いられる。他の実施の形態において、掃除ロボット310のホイール311の移動方向は、掃除ロボット310の位置を取得するために用いられる。掃除ロボット310の位置は、ストレージユニット119に保存される。掃除ロボット310の掃除の範囲(coverage rate)は、ストレージユニット119に保存されたデータに基づいて得ることができる。
【0070】
但し、ホイール311の回転数、またはホイール311の移動方向は、ホイールがスリップする等の影響により誤差の生じることがある。よって、掃除ロボット310は、方向無線信号IRを受けた時に、ストレージユニット119がリセットされるか、または修正(correct)されることで、掃除性能の精度を高めることができる。
【0071】
以上のことから、本発明に係る方向装置およびそれを用いた動作システムによれば、従来の方向装置が掃除ロボットの単一の機能だけを備えた場合の欠点を克服することができる。例えば、従来の本発明における方向装置に相当する装置は、自律走行ロボットの待機位置に配されて充電の機能を提供するだけのドックとしての機能のみを有していた。掃除ロボットが方向装置(ドック)が発した信号を受信した時、掃除ロボットは方向装置に戻って充電を行い、別の領域に入って掃除をすることができない。しかし、上述したように、本発明の掃除ロボット(例えば図1における110)は、方向装置(例えば図1における130)が発する、異なる方向信号(例えば図1におけるIR、IR)に基づき、異なる機能(例えば方向装置に戻って充電を行い、別の領域に入って掃除の動作を行うか、または方向装置を仮想壁とする)を実行することができる。本発明の方向装置の方向信号は、異なるエンコードを有するため、掃除ロボットが異なる機能を備えることが可能である。
【0072】
以上、本発明の好適な実施例を例示したが、これは本発明を限定するものではなく、本発明の精神及び範囲を逸脱しない限りにおいては、当業者であれば行い得る少々の変更や修飾を付加することが可能である。従って、本発明が請求する保護範囲は、特許請求の範囲を基準とする。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本件発明に係る方向装置およびそれを用いた動作システムは、方向装置がドック、ライトハウス、及び仮想壁の機能を兼ね備えるものとすることができるので、掃除ロボットの無駄な移動を排除し、且つ、掃除ムラを防ぎ、効率の良い掃除を可能とする。また、本発明の方向装置およびそれを用いた動作システムによれば、掃除作業を行う領域を細かく設定できない等の課題を克服することができる。そのため、本件発明に係る方向装置およびそれを用いた動作システムを採用することで、特に、広いスペースを掃除に利用すると効果を発揮する。
【符号の説明】
【0074】
100、300 動作システム
110、310 掃除ロボット
130、330 方向装置
111、131 送信ユニット
113、133 受信ユニット
135 制御ユニット
137 充電端子
139 充電ユニット
115 再充電可能ユニット
117 電気検出ユニット
119 ストレージユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除ロボットの走行ルートを制御する方向装置であって、
前記掃除ロボットによって発せられる、エンコードされた無線信号を受ける受信ユニット、
少なくとも1つの無線信号を発する送信ユニット、および
前記受信ユニットが前記エンコードされた無線信号を受けた時、前記掃除ロボットの走行ルートを制御する第1の方向無線信号を発するように前記送信ユニットを有効にする制御ユニットを含むことを特徴とする方向装置。
【請求項2】
前記無線信号は、超音波または赤外線である請求項1に記載の方向装置。
【請求項3】
前記受信ユニットが前記エンコードされた無線信号を未受信の時に、前記制御ユニットは、前記送信ユニットが前記第1の方向無線信号を発しないように前記送信ユニットを無効にするものである請求項1又は請求項2に記載の方向装置。
【請求項4】
前記受信ユニットが前記エンコードされた無線信号を未受信の時に、前記制御ユニットは、前記送信ユニットが前記方向装置を認識させる認識無線信号を発するために前記送信ユニットを有効にするものである請求項1又は請求項2に記載の方向装置。
【請求項5】
前記送信ユニットが前記第1の方向無線信号を発した後、前記制御ユニットは、前記送信ユニットが前記エンコードされた無線信号の強度またはエンコード値に基づいた前記掃除ロボットの走行ルートを制御する第2の方向無線信号を発するために、前記送信ユニットを有効にするものである請求項1又は請求項2に記載の方向装置。
【請求項6】
前記第1の方向無線信号の前記エンコード値は、前記第2の方向無線信号のエンコード値と異なるか、または前記第1の方向無線信号の強度は、前記第2の方向無線信号の強度と異なる請求項5に記載の方向装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の方向装置を用いた動作システムであって、
掃除手順を実行し、且つ第1のエンコードされた無線信号を発する第1の送信ユニットを含む掃除ロボットと、
前記第1のエンコードされた無線信号を受ける受信ユニット、
少なくとも1つの無線信号を発する第2の送信ユニット、および
前記受信ユニットが前記第1のエンコードされた無線信号を受けた時、前記第2の送信ユニットが前記掃除ロボットの走行ルートを制御する第1の方向無線信号を発するために、前記第2の送信ユニットを有効にする制御ユニットを含む方向装置とを含み、
前記掃除ロボットは、前記第1の方向無線信号に基づいて走行することを特徴とする動作システム。
【請求項8】
前記無線信号は、超音波または赤外線である請求項7に記載の動作システム。
【請求項9】
前記動作システムは、前記方向装置が、充電端子、および前記充電端子を介して前記掃除ロボットを充電する充電ユニットを更に含む請求項7に記載の動作システム。
【請求項10】
前記掃除ロボットが前記第1の方向無線信号を受けた後、前記掃除ロボットは、前記充電端子に向かって接近し、次いで、前記第2の送信ユニットは、前記掃除ロボットの走行ルートを制御する第2の方向無線信号を発して前記掃除ロボットを誘導する請求項9に記載の動作システム。
【請求項11】
前記掃除ロボットは、前記第2の方向無線信号に基づいて前記充電端子に接触する請求項10に記載の動作システム。
【請求項12】
前記掃除ロボットは、前記第2の方向無線信号に基づいて前記方向装置の右側を通るか、または前記方向装置の左側を通る請求項10に記載の動作システム。
【請求項13】
前記受信ユニットが前記第1のエンコードされた無線信号を未受信の時に、
前記制御ユニットは、前記第2の送信ユニットを無効にして、前記第2の送信ユニットが前記少なくとも1つの無線信号を発しないようにする請求項7又は請求項8に記載の動作システム。
【請求項14】
前記受信ユニットが前記第1のエンコードされた無線信号を未受信の時に、
前記制御ユニットは、前記第2の送信ユニットを有効にして、前記第2の送信ユニットが前記方向装置を認識させる認識無線信号を発するようにし、
前記掃除ロボットは、前記認識無線信号に基づいて前記方向装置に向かって接近し、
前記第2の送信ユニットが前記認識無線信号を発した後、前記掃除ロボットは、前記第1の方向無線信号に基づいて、前記掃除ロボットと前記方向装置との間の距離を取得する請求項7又は請求項8に記載の動作システム。
【請求項15】
前記掃除ロボットが第1の領域での前記掃除手順を終えた後、
前記第1の送信ユニットは、第2のエンコードされた無線信号を発し、
前記方向装置は、前記第2のエンコードされた無線信号に基づいて、第2の方向無線信号を発し、
前記掃除ロボットは、前記第2の方向無線信号に基づいて第2の領域に入る請求項7又は請求項8に記載の動作システム。
【請求項16】
前記第1の方向無線信号の前記エンコード値は、前記第2の方向無線信号のエンコード値と異なる請求項15に記載の動作システム。
【請求項17】
前記掃除ロボットが前記第2の領域に入った後、前記方向装置は、前記第1の方向無線信号を発し、
前記第1の送信ユニットは、前記第1のエンコードされた無線信号を発する請求項15又は請求項16に記載の動作システム。
【請求項18】
前記掃除ロボットが前記第2の領域で前記掃除手順を終えた後、
前記第1の送信ユニットは、第2のエンコードされた無線信号を発し、
前記方向装置は、前記第2のエンコードされた無線信号に基づいて、第2の方向無線信号を発し、
前記掃除ロボットは、前記第2の方向無線信号に基づいて前記第1の領域に入る請求項17に記載の動作システム。
【請求項19】
前記掃除ロボットは、再充電可能ユニット、および前記再充電可能ユニットの電気量を検出する電気量検出ユニットを含み、
前記第1の送信ユニットは、再充電可能ユニットの電気量が既定値より小さい時、前記第2のエンコードされた無線信号を発し、
前記方向装置は、前記第2のエンコードされた無線信号に基づいて、前記第2の方向無線信号を発し、前記掃除ロボットは、前記第2の方向無線信号に基づいて前記第1の領域に入る請求項17に記載の動作システム。
【請求項20】
前記掃除ロボットは、ストレージユニットを更に含み、
前記ストレージユニットは、前記掃除ロボットが前記第1の方向無線信号を受けた時、前記掃除手順に関する情報を保存し、
前記保存された情報は、リセットされるか、または修正される請求項7〜請求項19のいずれかに記載の動作システム。
【請求項21】
前記掃除ロボットが前記第1の方向無線信号を受けた時、前記掃除ロボットは、前記方向装置が仮想壁であると判定する請求項7〜請求項20のいずれかに記載の動作システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−245295(P2011−245295A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112049(P2011−112049)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(510238605)微星科技股▲ふん▼有限公司 (3)
【Fターム(参考)】