説明

方向転換装置

【課題】物品を適切に方向転換できる方向転換装置を提供する。
【解決手段】方向転換装置1は、支持体31と、前後1対の方向転換用回転体61と、4つの回転体群81,82,83,84とを備える。各回転体群81,82,83,84は、物品を前後方向に移動可能な複数の前後移動用回転体86と、物品を左右方向に移動可能な複数の左右移動用回転体87とを有する。物品は、方向転換用回転体61の駆動回転と、第1・第3回転体群81,83の前後移動用回転体86および左右移動用回転体87のいずれか一方の駆動回転と、第2・第4回転体群82,84の前後移動用回転体86および左右移動用回転体87のいずれか他方の駆動回転とによって、支持体31を中心として回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を適切に方向転換できる方向転換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された方向転換装置が知られている。
【0003】
この方向転換装置は、物品を支持する支持体と、支持体を中心とする仮想円上に位置する前後左右4つの方向転換用回転体と、物品を前後方向に移動可能な複数の前後移動用回転体と、物品を左右方向に移動可能な複数の左右移動用回転体と、前後左右方向に間隔をおいて並んで位置する複数のボール状の回転体とを備えている。そして、この方向転換装置では、支持体にて支持された物品が方向転換用回転体の駆動回転のみによって支持体を中心として回転して方向転換する。
【特許文献1】特開平5−306016号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の方向転換装置のように方向転換用回転体の駆動回転のみによって物品を回転させる構成では、例えば物品の下面形状等によっては方向転換用回転体から物品の下面に回転力がうまく伝わらず、物品の方向転換が不十分となるおそれがある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、物品を適切に方向転換できる方向転換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の方向転換装置は、物品を支持する支持体と、この支持体を中心とする仮想円上に位置する方向転換用回転体と、前記支持体の前左方領域に位置する第1回転体群と、前記支持体の前右方領域に位置する第2回転体群と、前記支持体の後右方領域に位置する第3回転体群と、前記支持体の後左方領域に位置する第4回転体群とを備え、前記各回転体群は、物品を前後方向に移動可能な複数の前後移動用回転体と、物品を左右方向に移動可能な複数の左右移動用回転体とを有し、前記支持体にて支持された物品が、前記方向転換用回転体の駆動回転と、前記4つの回転体群中の少なくとも1つの回転体群における前後移動用回転体および左右移動用回転体の少なくともいずれか一方の駆動回転とによって、前記支持体を中心として回転するものである。
【0007】
請求項2記載の方向転換装置は、請求項1記載の方向転換装置において、支持体にて支持された物品が、方向転換用回転体の駆動回転と、第1・第3回転体群における前後移動用回転体および左右移動用回転体のいずれか一方の駆動回転と、第2・第4回転体群における前後移動用回転体および左右移動用回転体のいずれか他方の駆動回転とによって、前記支持体を中心として回転するものである。
【0008】
請求項3記載の方向転換装置は、請求項1または2記載の方向転換装置において、支持体および方向転換用回転体は、上下動により物品に対して接離可能となっているものである。
【0009】
請求項4記載の方向転換装置は、請求項1ないし3のいずれか一記載の方向転換装置において、方向転換用回転体は、第1回転体群および第2回転体群間の位置と第3回転体群および第4回転体群間の位置とに設けられているものである。
【0010】
請求項5記載の方向転換装置は、請求項1ないし4のいずれか一記載の方向転換装置において、前後移動用回転体および左右移動用回転体は、駆動回転するローラ本体と、このローラ本体の外周側に回転可能に設けられた複数のフリーローラとを有するものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、物品が方向転換用回転体の駆動回転と4つの回転体群中の少なくとも1つの回転体群における前後移動用回転体および左右移動用回転体の少なくともいずれか一方の駆動回転とによって支持体を中心として回転する構成であるから、物品を適切に方向転換できる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、物品が方向転換用回転体の駆動回転と第1・第3回転体群における前後移動用回転体および左右移動用回転体のいずれか一方の駆動回転と第2・第4回転体群における前後移動用回転体および左右移動用回転体のいずれか他方の駆動回転とによって支持体を中心として回転する構成であるから、物品をより一層適切に方向転換できる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、支持体および方向転換用回転体を下動させて物品から離すことで、回転体群による物品の移動を適切にできる。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、第1回転体群および第2回転体群間の位置と第3回転体群および第4回転体群間の位置とに方向転換用回転体を容易に設けることができる。
【0015】
請求項5に係る発明によれば、前後移動用回転体および左右移動用回転体が駆動回転するローラ本体とこのローラ本体の外周側に回転可能に設けられた複数のフリーローラとを有するため、物品を適切かつスムーズに方向転換できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の方向転換装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0017】
図1ないし図4において、1は方向転換装置で、この方向転換装置1は、例えば空港等に設置された空港貨物作業ステーション(航空貨物の荷役装置)である。方向転換装置1は、例えば航空機で運搬される外形略直方体状で箱状のコンテナである物品Wを水平方向(前後左右方向)および上下方向に移動可能でかつ方向転換可能なものである。
【0018】
方向転換装置1は、水平状の物品搬入出面である第1床面3に設けられたベース体4を備え、このベース体4には略4角形状、すなわち例えば略正方形状のフレーム体である昇降フレーム体5が昇降駆動手段6を介して昇降可能に設けられている。
【0019】
昇降駆動手段6は、図3に示されるように、軸7を中心として互いに連結され上下回動可能な複数の回動リンク8と、これら複数の回動リンク8を軸7を中心として上下回動させる駆動手段である油圧シリンダ9とを有している。各回動リンク8の下端部がベース体4に軸10を介して回動可能に取り付けられ、上端部が昇降フレーム体5に軸11を介して回動可能に取り付けられている。
【0020】
そして、荷台である昇降フレーム体5は、昇降駆動手段6の作動に基づき、図2に示す下位置に位置する状態と図3に示す上位置に位置する状態とになる。
【0021】
図2に示す状態では、昇降フレーム体5の上面がフリーローラからなる乗り移りローラ13の上端と略同じ高さに位置する。乗り移りローラは、ローラ支持部14の上部に前後方向の軸15を中心として回動可能に設けられている。なお、乗り移りローラ13は、モータ等の駆動手段から動力を受けて駆動回転する駆動ローラでもよい。また、図3に示す状態では、昇降フレーム体5の上面が、第1床面3より高い水平状の作業面である第2床面16と略同じ高さに位置する。なお、図1に示されるように、平面視で、乗り移りローラ13は昇降フレーム体5の左側方に位置し、昇降フレーム体5の右側方および前後方に第2床面16が位置している。
【0022】
昇降フレーム体5は、例えば略正方形状で板状のフレーム本体21、このフレーム本体21に設けられた複数の前後方向長手状の第1フレーム22および隣り合う第1フレーム22間に位置する複数の第2フレーム23等にて構成されている。
【0023】
そして、昇降フレーム体5の略中央には、物品Wの平面視中央部の下面を支持する回転可能な支持支点等の支持体31が設けられている。すなわち例えば昇降フレーム体5の略中央には、上下方向の軸線を中心として従動回転可能な支持体31を有する支持手段32が設けられている。
【0024】
支持手段32は、図5ないし図7に示すように、昇降フレーム体5の略中央に固設された基体33と、基体33に上下方向の案内棒34に沿って上下動可能に設けられた可動体35と、基体33に設けられ可動体35を上下動させる駆動手段である油圧シリンダ36とを有している。
【0025】
可動体35は、基体33の軸挿通孔37に略円筒状のスライドブッシュ38を介して上下動可能に挿通された上下方向の軸部39を有し、この軸部39の下部には上下方向長手状の長孔40が形成されている。軸部39の上端部には、支持体31を略円筒状のスライドブッシュ41を介して上下方向の軸線を中心として回転可能に保持する保持部42が設けられている。軸部39の下端部にはばね受け部43が設けられ、このばね受け部43には軸挿通孔44が形成され、この軸挿通孔44に案内棒34が挿通されている。そして、可動体35のばね受け部43と基体33のばね受け部45との間には、可動体35を上方に向けて付勢する付勢手段としての圧縮ばねであるコイルばね46が設けられている。コイルばね46の上端が可動体35のばね受け部43に当接し、コイルばね46の下端が基体33のばね受け部45に当接している。
【0026】
油圧シリンダ36は、シリンダ本体部47と、このシリンダ本体部47内に対して出入りするロッド部48と、このロッド部48の上端部に設けられた挿通軸部49とを有し、この挿通軸部49が可動体35の長孔40に挿通されている。
【0027】
支持体31は、水平面に沿って位置する略円形板状で水平状の支持部である支持板部51と、この支持板部51の略中央から下方に向って突出する略円柱状の軸部である突出部52とを有し、この突出部52が可動体35の保持部42にて回動可能に保持されている。
【0028】
そして、支持体31は、油圧シリンダ36の伸縮作動に基づき、基体33に対して可動体35とともに上下動する。つまり、支持体31は、昇降フレーム体5に対する上下動により物品Wの下面に対して接離可能となっている。
【0029】
なお、図6の実線で示す状態(物品Wなしの状態)では、油圧シリンダ36の挿通軸部49がコイルばね46の付勢力によって長孔40の下端に当接して支持体31が所定の上限位置(つまり支持体31の上面がホイール上端位置より上方に突出する位置)に位置するが、この状態で支持体31は挿通軸部49が長孔40の上端に当接するまでコイルばね46の付勢力に抗して下動可能である。そして、油圧シリンダ36が縮むと、支持体31は、基体33に対して可動体35とともに下動して図6の2点鎖線で示す状態である退避状態となる。
【0030】
また、昇降フレーム体5の中央付近には、支持体31にて中央部下面が支持された物品Wを支持体31を中心として回転(方向転換)させる正逆駆動回転可能(左右方向に駆動回転可能)な複数、例えば前後1対で2つの方向転換用駆動タイヤ等の方向転換用回転体61が設けられ、これら2つの方向転換用回転体61は支持体31を中心とする仮想円上に位置している。すなわち例えば昇降フレーム体5の中央付近の2箇所には、水平方向である前後方向の軸線を中心として互いに異なる方向に駆動回転可能な方向転換用回転体61を有する方向転換手段62が設けられている。なお、方向転換用回転体61の回転方向は、平面視で、支持体31を中心とする仮想円に対する接線と略一致する方向である。
【0031】
方向転換手段62は、図8ないし図10に示すように、昇降フレーム体5に固設された基体63と、基体63に上下動可能、すなわち例えば前後方向の軸64を中心として上下回動可能に設けられた可動体65と、基体63に設けられ可動体65を軸64を中心として上下回動させる駆動手段である油圧シリンダ66とを有している。可動体65の支点軸である軸64はその両端部が基体63の軸受け部67にて回動可能に保持されている。
【0032】
油圧シリンダ66は、シリンダ本体部68と、このシリンダ本体部68内に対して出入りするロッド部69と、このロッド部69の先端部に設けられたリンクプレート等の連結部である連結板部70とを有している。連結板部70の一端部が可動体65の取付板部72に軸71を介して回動可能に取り付けられ、連結板部70の他端部がロッド部69の先端部に軸73を介して回動可能に取り付けられ、この軸73の両端部が基体63の案内部74に沿ってスライド移動可能な案内ベアリングである案内軸受け部75にて回動可能に保持されている。
【0033】
また、可動体65には方向転換用回転体61を回転させる駆動手段である駆動モータ(油圧モータや電動モータ等)77が設けられている。この駆動モータ77は、モータ本体部78と、このモータ本体部78の側面から突出する駆動回転軸部79とを有し、この駆動回転軸部79に略円形板状の方向転換用回転体61が取り付けられ、この方向転換用回転体61は駆動モータ77の作動時に駆動回転軸部79とともに駆動回転する。方向転換用回転体61の外周面は、幅方向中央側が径方向外方に向って凸となるように略円弧面状に形成されている。
【0034】
そして、方向転換用回転体61は、油圧シリンダ66の伸縮作動に基づき、基体63に対して可動体65および駆動モータ77とともに軸64を中心として上下回動する。つまり方向転換用回転体61は、支持体31と同様、昇降フレーム体5に対する上下動により物品Wの下面に対して接離可能となっている。
【0035】
なお、図10の実線で示す状態(物品Wなしの状態)では、可動体65が水平姿勢で方向転換用回転体61が所定の上限位置(つまり方向転換用回転体61の上端がホイール上端位置より上方に突出する位置)に位置する。そして、油圧シリンダ66が縮むと、方向転換用回転体は、基体63に対して可動体65および駆動モータ77とともに下動して図10の2点鎖線で示す状態である退避状態となる。
【0036】
さらに、昇降フレーム体5には、物品Wを前後方向および左右方向に移動させて搬送する複数の回転体群、すなわち例えば第1回転体群81、第2回転体群82、第3回転体群83および第4回転体群84が設けられている。第1回転体群81は支持体31の前左方領域(第1ブロック)に位置し、第2回転体群82は支持体31の前右方領域(第2ブロック)に位置し、第3回転体群83は支持体31の後右方領域(第3ブロック)に位置し、第4回転体群84は支持体31の後左方領域(第4ブロック)に位置している。すなわち例えば、第1回転体群81が昇降フレーム体5の前部左側に設けられ、第2回転体群82が昇降フレーム体5の前部右側に設けられ、第3回転体群83が昇降フレーム体5の後部右側に設けられ、第4回転体群84が昇降フレーム体5の後部左側に設けられ、また前側の方向転換用回転体61が第1回転体群81および第2回転体群82間の位置に設けられ、後側の方向転換用回転体61が第3回転体群83および第4回転体群84間の位置に設けられている。
【0037】
各回転体群81,82,83,84は、左右方向の軸線を中心として駆動回転して物品Wを前後方向に移動させる正逆駆動回転可能(前後方向に駆動回転可能)な複数の前後移動用回転体86と、前後方向の軸線を中心として駆動回転して物品Wを左右方向に移動させる正逆駆動回転可能(左右方向に駆動回転可能)な複数の左右移動用回転体87とを有している。
【0038】
前後移動用回転体86は所定領域内において平面視で行列状、例えば7行3列に配設され、左右移動用回転体87は所定領域内において平面視で行列状、例えば7行4列に配設され、また左右方向に隣り合う左右移動用回転体87間に前後移動用回転体86が配設されている。
【0039】
そして、物品Wを前後方向に移動可能つまり前後搬送可能な複数(例えば21個)の前後移動用回転体86にて前後回転体群86aが構成され、物品Wを左右方向に移動可能つまり左右搬送可能な複数(例えば28個)の左右移動用回転体87にて左右回転体群87aが構成されている。
【0040】
また、各回転体群81,82,83,84は、それぞれ個別に駆動回転可能な構成となっている。すなわち例えば各回転体群81,82,83,84において、前後回転体群86aおよび左右回転体群87aの各々に対応して駆動手段である駆動モータ(油圧モータや電動モータ等)88,89がそれぞれ設けられている。つまり、前後回転体群86aの各前後移動用回転体86は前後駆動モータ88からの動力を動力伝達手段を介して受けて一斉に駆動回転し、左右回転体群87aの各左右移動用回転体87は左右駆動モータ89からの動力を動力伝達手段を介して受けて一斉に駆動回転する。なお、駆動モータ77,88,89および油圧シリンダ9,36,66等は制御手段(図示せず)に電気的に接続されこの制御手段にて制御される。
【0041】
ここで、各前後移動用回転体86および各左右移動用回転体87は、いずれも同一のもので、例えば略球形状のオムニディレクショナルホイールとしての駆動ホイールであるホイール90にて構成されている。
【0042】
なお、各ホイール90は、昇降フレーム体5に対する上下動不能でそれぞれが同じ高さに配設され、各ホイール90の上端は常に昇降フレーム体5の上面位置より上方に若干突出し、各ホイール90の上端と昇降フレーム体5の上面とが常に略同じ高さに位置している。
【0043】
ホイール90は、図11に示すように、水平方向の軸線を中心として駆動回転するローラ本体91と、このローラ本体91の外周側にローラ本体91の回転中心の軸線と直交する方向に沿った軸93を中心として回転可能に設けられた複数、例えば8つのフリーローラ92とを有している。ローラ本体91の中央部には軸挿通孔94が形成され、この軸挿通孔94に動力伝達手段の駆動回転軸部(図示せず)が挿通固定され、ローラ本体91はこの駆動回転軸部とともに駆動回転する。また、ローラ本体91の外周面には略円筒面状の搬送面95が形成され、各フリーローラ92の外周面がその搬送面95に沿った円弧状に形成されている。
【0044】
なお、図2に示されるように、方向転換装置1は、物品Wの質量を検出する計量器等の質量検出手段99を備え、この質量検出手段99は例えば第1床面3と昇降駆動手段6との間に設けられている。
【0045】
次に、方向転換装置1の動作作等を図面を参照して説明する。
【0046】
まず、図2に示すように、昇降駆動手段6の作動により昇降フレーム体5を所定量下降させて下位置に位置させ、回転体群81,82,83,84のホイール(前後移動用回転体86、左右移動用回転体87)90の上端と乗り移りローラ13の上端とを略同じ高さに設定する。このとき、支持体31および方向転換用回転体61は、退避状態で各ホイール90の上端位置より下方に位置する。
【0047】
そして、この状態で、4つの回転体群81,82,83,84の左右回転体群87aの各左右移動用回転体87が右方向に駆動回転する。すると、第1床面3上を走行する台車100にて運ばれてきた物品Wは、図12に示すように、右方向に移動し、台車100の載置面101上から乗り移りローラ13上を経て回転体群81,82,83,84上に乗り移り、搬入され、その物品Wの下面が回転体群81,82,83,84のホイール90にて下方から支持される。
【0048】
なお、例えば所定位置に配置された光電センサ等の物品有無検知手段が物品Wを検知した時点で、左右回転体群87aの駆動回転が停止する。つまり制御手段が図示しない光電センサ等の物品有無検知手段からの検知信号に基づき、駆動モータ77,88,89等の駆動およびその停止を適宜制御するようになっている。なお、例えば物品Wを方向転換させる場合のみ、作業者の操作による操作手段からの操作信号に基づき駆動モータ77,88,89等が手動制御される構成でもよい。
【0049】
次に、図3に示すように、昇降駆動手段6の作動により昇降フレーム体5を所定量上昇させて上位置に位置させ、回転体群81,82,83,84のホイール90の上端と第2床面16とを略同じ高さに設定する。
【0050】
そして、この状態で、4つの回転体群81,82,83,84の前後回転体群86aの各前後移動用回転体86が後方向に駆動回転する。すると、物品Wは、図13に示すように後方向に移動し、物品Wの短手方向である前後方向の中央と昇降フレーム体5の前後方向の中央とが略一致する。
【0051】
次いで、4つの回転体群81,82,83,84の左右回転体群87aの各左右移動用回転体87が右方向に駆動回転する。すると、物品Wは、図14に示すように右方向に移動し、物品Wの長手方向である左右方向の中央と昇降フレーム体5の左右方向の中央とが略一致する。こうして物品Wは、所定位置にセンタリングされ、その平面視中央部が支持体31の真上の上方位置に位置した状態となる。
【0052】
次に、図15に示すように、支持体31が油圧シリンダ36の作動により上動して物品Wの中央部の下面に圧接してこの物品Wの下面を支持板部51で下方から支持する。また同時に、2つの方向転換用回転体61が油圧シリンダ66の作動により上動して物品Wの下面に圧接する。なおこのとき、回転体群81,82,83,84のホイール(前後移動用回転体86、左右移動用回転体87)90は、物品Wの下面に接触したままである。
【0053】
次いで、前側の方向転換用回転体61が左方向に駆動回転し、後側の方向転換用回転体61が右方向に前側の方向転換用回転体61と同じ速さで駆動回転する。
【0054】
また同時に、第1回転体群81の左右回転体群87aの各左右移動用回転体87が前側の方向転換用回転体61と同じ左方向に駆動回転し、第3回転体群83の左右回転体群87aの各左右移動用回転体87が後側の方向転換用回転体61と同じ方向であって第1回転体群81とは異なる方向である右方向に駆動回転する。
【0055】
さらに同時に、第2回転体群82の前後回転体群86aの各前後移動用回転体86が前方向に駆動回転し、第4回転体群84の前後回転体群86aの各前後移動用回転体86が第2回転体群82とは異なる方向である後方向に駆動回転する。
【0056】
すると、支持体31の支持板部51にて支持された物品Wは、2つの方向転換用回転体61の互いに異なる方向への駆動回転と、第1・第3回転体群81,83における左右回転体群87aの互いに異なる方向への駆動回転と、第2・第4回転体群82,84における前後回転体群86aの互いに異なる方向への駆動回転とによって、図16に示すように、支持体31を中心として例えば左回りに90度回転(旋回)して方向転換する。つまり、第1・第3回転体群81,83の左右回転体群87aの各左右方向回転体87と第2・第4回転体群82,84における前後回転体群86aの各前後方向回転体86とが方向転換用回転体として機能して方向転換用回転体61を補助するため、物品Wがスムーズに方向転換する。
【0057】
次に、支持体31および両方向転換用回転体61が昇降フレーム体5に対して下動して物品Wの下面から離れた後、4つの回転体群81,82,83,84の左右回転体群87aの各左右移動用回転体87が右方向に駆動回転する。すると、物品Wは、図17に示すように、右方向に移動して作業側に寄せられ、物品Wの右端が昇降フレーム体5の右端に略一致する。
【0058】
そして、この状態で、第2床面16上に位置する作業者は、積み込み時には物品Wであるコンテナ内にスーツケース等の荷物を積み込み、また積み降ろし時には物品Wであるコンテナ内から荷物を積み降ろす。このとき、コンテナの大きさ等によっては、昇降駆動手段6で昇降フレーム体5を昇降させてコンテナの高さ位置を調整設定する。
【0059】
なお、積み込みまたは積み降ろしを行う作業側の位置に応じて、物品Wの方向転換の角度や物品Wが寄せられる位置が異なる。
【0060】
そして、積み込みまたは積み降ろしの作業終了後、物品Wは、図18に示すように、再度センタリングされる。
【0061】
その後、図19に示すように、支持体31が上動して物品Wの中央部の下面に圧接してこの物品Wの下面を支持板部51で下方から支持すると同時に、2つの方向転換用回転体61が上動して物品Wの下面に圧接する。なおこのとき、回転体群81,82,83,84のホイール(前後移動用回転体86、左右移動用回転体87)90は、物品Wの下面に接触したままである。
【0062】
次いで、前側の方向転換用回転体61が右方向に駆動回転し、後側の方向転換用回転体61が左方向に前側の方向転換用回転体61と同じ速さで駆動回転する。
【0063】
また同時に、第1回転体群81の左右回転体群87aの各左右移動用回転体87が前側の方向転換用回転体61と同じ右方向に駆動回転し、第3回転体群83の左右回転体群87aの各左右移動用回転体87が後側の方向転換用回転体61と同じ方向であって第1回転体群81とは異なる方向である左方向に駆動回転する。
【0064】
さらに同時に、第2回転体群82の前後回転体群86aの各前後移動用回転体86が後方向に駆動回転し、第4回転体群84の前後回転体群86aの各前後移動用回転体86が第2回転体群82とは異なる方向である前方向に駆動回転する。
【0065】
すると、支持体31の支持板部51にて支持された物品Wは、2つの方向転換用回転体61の互いに異なる方向への駆動回転と、第1・第3回転体群81,83における左右回転体群87aの互いに異なる方向への駆動回転と、第2・第4回転体群82,84における前後回転体群86aの互いに異なる方向への駆動回転とによって、図20に示すように、支持体31を中心として例えば右回りに90度回転(旋回)して方向転換し、搬入時と同じ向きとなる。
【0066】
次いで、支持体31および両方向転換用回転体61が昇降フレーム体5に対して下動して物品Wの下面から離れるとともに、昇降フレーム体5が下位置まで下降して回転体群81,82,83,84のホイール90の上端と乗り移りローラ13の上端とが略同じ高さに設定された後、4つの回転体群81,82,83,84の左右回転体群87aの各左右移動用回転体87が左方向に駆動回転する。すると、作業済みの物品Wは、図21に示すように、台車100上に向けて搬出される。
【0067】
なお、質量検出手段99により搬入時の物品Wの質量と搬出時の物品Wの質量とが検出され、例えば荷物の質量等が算出される。
【0068】
そして、このような方向転換装置1によれば、物品Wが2つの方向転換用回転体61の駆動回転だけでなく、第1・第3回転体群81,83の前後回転体群86aおよび左右回転体群87aのいずれか一方の互いに異なる方向であって物品回転方向に対応した方向の駆動回転と、第2・第4回転体群82,84の前後回転体群86aおよび左右回転体群87aのいずれか他方の互いに異なる方向であって物品回転方向に対応した方向の駆動回転とによって、支持体31を中心として回転して方向転換する構成であるから、物品Wの下面が均一でなく、凹凸等がある場合等であっても、物品Wの下面に回転体61,86,87から十分な安定した回転力を加えることができ、物品Wを適切かつ正確に方向転換でき、また大小様々な物品サイズに適切に対応できる。
【0069】
また、支持体31および方向転換用回転体61はホイール90に対する相対的な上下動により物品Wに対して接離可能となっているため、支持体31および方向転換用回転体61を、物品Wを支持したホイール90に対して下動させて物品Wから離すことにより、回転体群81,82,83,84のホイール90による物品Wの移動を適切にできる。
【0070】
さらに、第1回転体群81および第2回転体群82間の位置と第3回転体群83および第4回転体群84間の位置とに方向転換用回転体61を容易に設けることができる。
【0071】
また、回転体群81,82,83,84の各前後移動用回転体86および各左右移動用回転体87が、駆動回転可能なローラ本体91とこのローラ本体91の外周側に回転可能に設けられた複数のフリーローラ92とを有するホイール90にて構成されているため、物品Wを適切かつスムーズに移動および方向転換できる。
【0072】
なお、方向転換装置1は、物品Wが方向転換用回転体61の駆動回転と第1・第3回転体群81,83の前後回転体群86aおよび左右回転体群87aのいずれか一方の駆動回転と第2・第4回転体群82,84の前後回転体群86aおよび左右回転体群87aのいずれか他方の駆動回転とによって支持体31を中心として回転する構成には限定されず、物品Wが方向転換用回転体61の駆動回転と4つの回転体群81,82,83,84の中の少なくとも1つの回転体群における前後移動用回転体(前後回転体群86a)86および左右移動用回転体(左右回転体群87a)87の少なくともいずれか一方の駆動回転とによって支持体31を中心として回転する構成であってもよい。
【0073】
すなわち例えば物品Wが方向転換用回転体61の駆動回転と第1・第2の回転体群81,82の前後移動用回転体86の前後方向いずれか一方の駆動回転と第3・第4の回転体群83,84の前後移動用回転体86の前後方向いずれか他方の駆動回転とによって支持体31を中心として回転する構成でもよく、また物品Wが方向転換用回転体61の駆動回転と第1・第2の回転体群81,82の左右移動用回転体87の前側の方向転換用回転体61と同じ方向の駆動回転と第3・第4の回転体群83,84の左右移動用回転体87の後側の方向転換用回転体61と同方向の駆動回転とによって支持体31を中心として回転する構成でもよく、さらにこれらを組み合わせた構成でもよい。
【0074】
また、例えば物品Wが方向転換用回転体61の駆動回転と第1・第3の回転体群81,83の前後移動用回転体86および左右移動用回転体87のいずれか一方の駆動回転とによって支持体31を中心として回転する構成や、また物品Wが方向転換用回転体61の駆動回転と第2・第4の回転体群82,84の前後移動用回転体86および左右移動用回転体87のいずれか一方の駆動回転とによって支持体31を中心として回転する構成等でもよい。
【0075】
さらに、支持体31を中心とする仮想円上に位置する前後左右4つの方向転換用回転体を有する構成、支持体31を中心とする仮想円上に位置する左右1対で2つの方向転換用回転体を有する構成、或いは支持体31を中心とする仮想円上に120度間隔で位置する3つの方向転換用回転体を有する構成等でもよい。
【0076】
なお、上記実施の形態では、物品Wの搬入出方向が左右方向であるとして説明したが、物品Wの搬入出方向が前後方向であってもよく、また物品Wを左右方向いずれかから搬入して前後方向いずれかに搬出する構成等でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一実施の形態に係る方向転換装置の平面図である。
【図2】同上方向転換装置の側面図である。
【図3】同上方向転換装置の昇降フレーム体を上位置に位置させた状態の側面図である。
【図4】同上方向転換装置の側面図である。
【図5】同上方向転換装置の支持手段の平面図である。
【図6】同上支持手段の側面視断面図である。
【図7】同上支持手段の側面視断面図である。
【図8】同上方向転換装置の方向転換手段の正面図である。
【図9】同上方向転換手段の平面視断面図である。
【図10】同上方向転換手段の側面視断面図である。
【図11】同上方向転換装置のホイールの斜視図である。
【図12】同上方向転換装置の動作説明図である。
【図13】図12に続く動作説明図である。
【図14】図13に続く動作説明図である。
【図15】図14に続く動作説明図である。
【図16】図15に続く動作説明図である。
【図17】図16に続く動作説明図である。
【図18】図17に続く動作説明図である。
【図19】図18に続く動作説明図である。
【図20】図19に続く動作説明図である。
【図21】図20に続く動作説明図である。
【符号の説明】
【0078】
1 方向転換装置
31 支持体
61 方向転換用回転体
81 第1回転体群
82 第2回転体群
83 第3回転体群
84 第4回転体群
86 前後移動用回転体
87 左右移動用回転体
91 ローラ本体
92 フリーローラ
W 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を支持する支持体と、
この支持体を中心とする仮想円上に位置する方向転換用回転体と、
前記支持体の前左方領域に位置する第1回転体群と、
前記支持体の前右方領域に位置する第2回転体群と、
前記支持体の後右方領域に位置する第3回転体群と、
前記支持体の後左方領域に位置する第4回転体群とを備え、
前記各回転体群は、
物品を前後方向に移動可能な複数の前後移動用回転体と、
物品を左右方向に移動可能な複数の左右移動用回転体とを有し、
前記支持体にて支持された物品が、前記方向転換用回転体の駆動回転と、前記4つの回転体群中の少なくとも1つの回転体群における前後移動用回転体および左右移動用回転体の少なくともいずれか一方の駆動回転とによって、前記支持体を中心として回転する
ことを特徴とする方向転換装置。
【請求項2】
支持体にて支持された物品が、方向転換用回転体の駆動回転と、第1・第3回転体群における前後移動用回転体および左右移動用回転体のいずれか一方の駆動回転と、第2・第4回転体群における前後移動用回転体および左右移動用回転体のいずれか他方の駆動回転とによって、前記支持体を中心として回転する
ことを特徴とする請求項1記載の方向転換装置。
【請求項3】
支持体および方向転換用回転体は、上下動により物品に対して接離可能となっている
ことを特徴とする請求項1または2記載の方向転換装置。
【請求項4】
方向転換用回転体は、第1回転体群および第2回転体群間の位置と第3回転体群および第4回転体群間の位置とに設けられている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の方向転換装置。
【請求項5】
前後移動用回転体および左右移動用回転体は、
駆動回転するローラ本体と、
このローラ本体の外周側に回転可能に設けられた複数のフリーローラとを有する
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の方向転換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−155690(P2010−155690A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334518(P2008−334518)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000103426)オークラ輸送機株式会社 (84)
【Fターム(参考)】