説明

旋回式作業機械

【課題】旋回用の油圧モータに電動機を接続し、この電動機と蓄電器による回生作用を働かせる方式を前提として、電気システムの異常発生時に、旋回動作を確保しながら電動機及び蓄電器を保護する。
【解決手段】油圧モータ11の両側管路14,15とタンクTとの間に連通弁25,26を設ける一方、油圧モータ11に電動機29を接続し、旋回動作中、操作された側と反対側の連通弁を開いてメータアウト側の管路をタンクTに直接接続するとともに、減速操作時に電動機29と蓄電器30による回生作用によってブレーキをかけ、回生電力を蓄電器30に蓄える。一方、電気システムに異常が発生したときは、連通弁25,26を閉じるとともに、回生作用を停止させ、通常の油圧ショベルと同様に減速時に油圧ブレーキが働く状態として旋回動作を確保し、かつ、電動機29及び蓄電器30を保護する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はショベル等の旋回式作業機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ショベルを例にとって背景技術を説明する。
【0003】
ショベルは、図3に示すようにクローラ式の下部走行体1上に上部旋回体2が地面に対して鉛直な軸Xまわりに旋回自在に搭載され、この上部旋回体2に掘削アタッチメント3が装着されて構成される。
【0004】
掘削アタッチメント3は、起伏自在なブーム4と、このブーム4の先端に取付けられたアーム5と、このアーム5の先端に取付けられたバケット6、それにこれらを作動させるブーム、アーム、バケット各シリンダ(油圧シリンダ)7,8,9によって構成される。
【0005】
このショベルにおいて、特許文献1に示されるように、旋回用の油圧モータに電動機を接続し、減速時にこの電動機に回生作用を行わせてブレーキ力を発揮させるとともに、回生電力を蓄電器に蓄えるようにした技術が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−65510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、この公知技術によると、電動機及び蓄電器とそれぞれの制御系を含む電気システムに異常が発生した場合、たとえば電動機が故障によってブレーキトルクが発生しない状態になったり、蓄電器が回生電力を回収しきれない状態になったりした場合に、回生作用(ブレーキ作用と電力回収作用)が働かなくなる。
【0008】
この異常が旋回動作中に発生すると旋回停止できなくなるし、電動機または蓄電器の破損を招くおそれがあることから、この後、修理しない限り旋回動作ができなくなって作業不能となる。
【0009】
そこで本発明は、旋回用の油圧モータに電動機を接続し、この電動機と蓄電器による回生作用を働かせる方式を前提として、電気システムの異常発生時に、旋回動作を確保しながら電動機及び蓄電器を保護することができる旋回式作業機械を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する手段として、本発明においては、下部走行体と、この下部走行体上に旋回自在に搭載された上部旋回体と、この上部旋回体の旋回駆動源としての油圧モータと、この油圧モータにより回転駆動されて回生作用を行う電動機と、この電動機の回生電力を蓄える蓄電器と、上記油圧モータの圧油供給源としての油圧ポンプと、旋回の加速、定常運転、減速、停止を指令する旋回操作手段と、この旋回操作手段の操作に基づいて上記油圧モータに対する圧油の給排を制御するコントロールバルブと、上記油圧モータの両側管路に接続され減速操作時に油圧ブレーキ作用を行うブレーキ弁と、上記油圧モータの出口側管路を上記コントロールバルブを介さずに直接タンクまたは入口管路に連通させる連通位置とこの連通を遮断する連通遮断位置との間で作動する連通弁と、上記旋回操作手段の操作を検出する操作検出手段と、上記操作検出手段からの信号に基づいて上記連通弁を制御する制御手段とを具備し、この制御手段は、
(i) 上記電動機及び蓄電器とそれぞれの制御系を含む電気システムからの信号に基づいて電動機と蓄電器による回生作用が不能または不適となる異常事態が発生したか否かを判断し、
(ii) 上記電気システムが正常状態で、かつ、少なくとも旋回減速時に上記連通弁を連通位置にセットするとともに、上記電動機に回生作用を行わせるための駆動指令を出力し、
(iii) 上記電気システムが異常状態になったときに、上記連通弁を連通遮断位置に切換えるとともに、電動機に回生作用を行わせないための非駆動指令を出力するように構成したものである。
【0011】
この構成によると、電気システムが正常な状態では、少なくとも旋回減速時に連通弁を開いてモータ出口管路をタンク(請求項2)または入口管路に連通させた状態とする。
【0012】
これにより、電気システムが正常な状態での減速時に電動機に回生作用を働かせてブレーキ力を発揮させながら旋回エネルギーを回収することができる。
【0013】
一方、電動機及び蓄電器を含む電気システムに異常が発生すると、上記連通弁による連通を遮断し、かつ、電動機の回生作用を停止させるため、通常の油圧ショベルと同様に減速時にブレーキ弁による油圧ブレーキを働かせることができる。
【0014】
これにより、旋回動作を確保して作業を継続させながら、回生作用の停止によって蓄電器及び電動機を保護することができる。
【0015】
また、本発明においては、上記連通弁として、上記油圧モータの出口側管路を上記コントロールバルブを介さずに直接タンクに連通させる開き位置と、この連通を遮断する閉じ断位置との間で切換わり作動する切換弁を油圧モータの両側管路とタンクとの間に設け、上記電気システムが正常状態でかつ旋回動作中は上記連通弁を連通位置にセットするように構成するのが望ましい(請求項2)。
【0016】
この構成によれば、上記効果に加えて、旋回加速時及び定常運転時の背圧を低減することができる。
【0017】
また、本発明においては、上記制御手段は、旋回停止時に上記連通弁を連通遮断位置に切換えるように構成するのが望ましい(請求項3)。
【0018】
この構成によれば、旋回停止状態で上記連通を遮断することにより、ブレーキ弁による油圧ブレーキを作用させて油圧モータ(上部旋回体)を停止状態に保持することができる。すなわち、旋回停止状態で電動機を位置保持制御する場合と比べて省電力となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、電気システムの異常発生時に、旋回動作を確保しながら電動機及び蓄電器を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態を示す回路構成図である。
【図2】実施形態の作用を説明するためのフローチャートである。
【図3】ショベルの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施形態は、背景技術の説明に合わせてショベルを適用対象としている。
【0022】
図1において、10は図示しないエンジンによって駆動される油圧源としての油圧ポンプ、11はこの油圧ポンプ10からの圧油により回転して上部旋回体2を旋回駆動する旋回用の油圧モータで、油圧ポンプ10及びタンクTとこの油圧モータ11との間に、旋回操作手段としてのリモコン弁12によって操作される油圧パイロット式の切換弁であるコントロールバルブ13が設けられている。
【0023】
リモコン弁12は、中立位置と左右の旋回位置との間で操作され、このリモコン弁12からのパイロット圧によりコントロールバルブ13が図示の中立位置イと左、右両旋回位置ロ,ハとの間で切換わり動作して油圧モータ11に対する圧油の給排、すなわち、旋回の加速、速度一定での定常運転、減速、停止の各状態、そして回転方向と回転速度が制御される。
【0024】
一方、コントロールバルブ13と油圧モータ11とを結ぶモータ両側管路(図左側を左旋回管路、右側を右旋回管路という)14,15間には、ブレーキ弁としての一対のリリーフ弁16,17を互いの出口同士が接続された状態で対向配置したリリーフ弁回路18と、一対のチェック弁19,20を互いの入口同士が接続された状態で対向配置したチェック弁回路21とが並列状態で設けられている。
【0025】
リリーフ弁、チェック弁両回路18,21は連通路22によって接続されるとともに、この連通路22が油吸い上げ用のメークアップライン23によってタンクTに接続されている。24はメークアップライン23に設けられた背圧弁である。
【0026】
ここまでの構成による基本的な作用は次の通りである。
【0027】
リモコン弁12が操作されないとき(中立時)はコントロールバルブ13が図示の中立位置イにセットされ、リモコン弁操作時にコントロールバルブ13が中立位置イから図左側の位置(左旋回位置)ロまたは右側の位置(右旋回位置)ハにリモコン弁操作量に応じたストロークで作動する。
【0028】
コントロールバルブ13の中立位置イでは、両旋回管路14,15がポンプ10に対してブロックされるため、油圧モータ11は回転しない。
【0029】
この状態から、リモコン弁12が左または右旋回側に操作されてコントロールバルブ13が左旋回位置ロまたは右旋回位置ハに切換えられると、ポンプ10から左旋回管路14または右旋回管路15に圧油が供給される。
【0030】
これにより、油圧モータ11が左または右に回転して旋回力行、すなわち加速または定常運転状態となる。
【0031】
この場合、油圧モータ11から吐出された油はコントロールバルブ13経由でタンクTに戻る。
【0032】
また、たとえば右旋回力行中、リモコン弁12が減速操作(中立復帰、または中立側への戻し操作)されると、油圧モータ11への圧油の供給及び油圧モータ11からタンクTへの油の戻りが停止し、または供給油量及び戻り油量が減少する。
【0033】
ここで、油圧モータ11は上部旋回体2の慣性によって右旋回を続けようとするため、メータアウト側である左旋回管路14に圧力が立ち、これが一定値に達すると図左側のリリーフ弁16が開いて左旋回管路14の油が図6中破線矢印で示すように同リリーフ弁16−連通路22−図右側のチェック弁20を通って右旋回管路(メータイン側管路)15に入り、油圧モータ11に流入する。
【0034】
これにより、油圧モータ11が慣性回転しながら上記リリーフ作用による油圧ブレーキ力を受けるため、減速し停止する。左旋回からの減速/停止時もこれと同じである。
【0035】
また、この減速中、旋回管路14または15が負圧傾向になると、メークアップライン23、連通路22、チェック弁回路21のルートで旋回管路14または15にタンク油が吸い上げられてキャビテーションが防止される。
【0036】
実施形態においては、両旋回管路14,15とタンクTとの間に左側及び右側両連通弁25,26が設けられている。
【0037】
この連通弁25,26は、制御手段としてのコントローラ27からの信号によって開き位置(連通位置)aと閉じ位置(連通遮断位置)bとの間で切換わる電磁切換弁として構成され、入口側が旋回管路14,15に、出口側が通路28を介してリリーフ弁回路18にそれぞれ接続されている。
【0038】
ここで、リリーフ弁回路18は前記のように連通路22及びメークアップライン23を介してタンクTに接続されているため、連通弁25,26が開き位置aにセットされると両旋回管路14,15がコントロールバルブ13を介さずに直接タンクTに連通する。
【0039】
また、油圧モータ11によって回転駆動される電動機29と、蓄電器30、それにコントローラ27からの指令に基づいてこれらを制御する電動機・蓄電器制御器(以下、単に制御器という)31が設けられている。
【0040】
さらに、センサとして、リモコン弁12からのパイロット圧を通じてリモコン弁12の操作(中立か左または右旋回操作されたか)を検出する操作検出手段としての圧力センサ32,33と、電動機29の回転速度(旋回速度)を検出する速度検出手段としての速度センサ34とが設けられ、これらからの信号がコントローラ27に入力される。
【0041】
コントローラ27は、各センサ32〜34からの信号に基づいて旋回力行時(加速時または定常運転時)か、減速時か、停止状態かを判断し、旋回力行時に、連通弁25,26のうち操作された側と反対側のもの(右旋回時には左側連通弁25を、左旋回時には右側連通弁26.以下、反対側連通弁という)を開き位置aに切換える。
【0042】
従って、旋回力行時には、油圧モータ11から吐出された油は、コントロールバルブ13を通らずに、一方の連通弁25または26を通るルートでタンクTに直接戻される。
【0043】
たとえば右旋回時には、図1中に太線書きしかつ実線矢印を付して示すように油圧モータ11、左旋回管路14、左側連通弁25、通路28、連通路22、メークアップライン23のルートでタンクTに戻る。
【0044】
この旋回力行中、旋回電動機29は油圧モータ11により駆動されて所謂連れ回り回転する。
【0045】
また、この右旋回からリモコン弁12が減速操作(中立復帰操作、または中立側に戻し操作)されると、油が、連通路22からチェック弁回路21(右側チェック弁20)を通って右旋回管路15に戻る破線矢印のルートで循環する。
【0046】
このとき、電動機29は、コントローラ27からの駆動指令に基づいて発電機作用を行ってブレーキ力を発揮させ、発生した回生電力が蓄電器30に蓄えられる。
【0047】
この回生作用により、リリーフ弁回路18による油圧ブレーキ作用に代わって油圧モータ11に回生ブレーキがかけられ、上部旋回体が減速/停止する。
【0048】
一方、旋回停止状態となると、コントローラ27からの信号によって連通弁25,26が閉じられ、リリーフ弁回路18による油圧ブレーキによって油圧モータ11(上部旋回体)が停止状態に保持される。
【0049】
ここで、コントローラ27には、電気システムの異常の有無を判断するための情報として、電動機29からの電動機状態(速度、温度等)、蓄電器30からの蓄電器状態(温度、電圧等)、及び制御器31からの制御器状態(電圧、電流、温度等)がそれぞれ常時入力され、この情報に基づいて異常の有無を判断する。
【0050】
そして、正常時には、上記のように電動機29に対する駆動指令を制御器31に送り、異常時には電動機29に対する非駆動指令(回生停止指令)を送る。
【0051】
このような作用を含めた実施形態の作用を図2のフローチャートを用いて説明する。
【0052】
制御開始後、ステップS1,S2で電動機29、蓄電器30、制御器31からの状態信号に基づいてこれら及び配線を含めた電気システム全体の異常判定が行われる。
【0053】
ここでYES(すべて異常なし)となると、ステップS3で操作の有無及び旋回速度から旋回動作状態か否か、つまり旋回力行、減速のいずれかの状態であるか否かが判断される。
【0054】
なお、「旋回力行」とは、旋回加速状態及び定常運転状態をいい、「減速」とは、リモコン弁12が操作位置から中立側に戻し操作されての減速、及びリモコン弁12が中立復帰操作されての減速の両状態をいう。
【0055】
ステップS3でYES(旋回動作状態)のときは、ステップS4で、両連通弁25,26のうち、操作側と反対側のもの(たとえば右旋回時には左側連通弁25)を開く。
【0056】
また、旋回の実速度と、リモコン弁操作量によって決まる目標速度(予めコントローラ27にたとえばマップとして設定・記憶されている)との比較から旋回力行中か減速中かが判断され、旋回力行中と判断された場合は、連通弁25,26に対する開き指令のみが出力される。
【0057】
この状態では、油圧モータ11から吐出された油がコントロールバルブ13を介さずに連通弁25,26によって直接タンクに戻るため、コントロールバルブ13での絞り作用による背圧を無くすることができる。
【0058】
これにより、旋回力行時のメータアウト側に作用する背圧を低減してメータイン側の圧力を落とし、ポンプ圧を低下させることができるため、油圧ポンプ10の動力損失を抑えてエネルギーの無駄を省くことができる。
【0059】
一方、減速中と判断されたときは、連通弁開き指令に加えて、電動機29に対する駆動指令が制御器31に送られる。
【0060】
この駆動指令により、電動機29が回生ブレーキ作動を行い、油圧モータ11にブレーキがかけられるとともに、回生電力が蓄電器30に蓄えられる。
【0061】
つまり、電気システムが正常状態であれば、減速時に電動機29と蓄電器30による回生作用が働く。
【0062】
これに対し、ステップS2でNO(異常あり)と判断された場合、及びステップS3で旋回動作状態でない(旋回停止)と判断された場合は、いずれもステップS5に移行する。
【0063】
なお、「異常」とは、たとえば電動機29については加熱や過速度、過負荷等、蓄電器30については高温、セル不均衡、過電圧、設定電圧異常等、制御器31についてはセンサ異常、過電流、CPU異常、入力過電圧、入力電圧不足、過熱等をいう。
【0064】
ステップS5では、連通弁25,26を閉じるとともに、電動機29に対する非駆動指令(回生作用を停止させる指令)が出される。
【0065】
これにより、電動機29及び蓄電器30による回生作用が停止するとともに、リリーフ弁回路18による油圧ブレーキ作用が働く。
【0066】
このように、電気システムの正常時には、旋回力行時の背圧を低減してポンプ圧を低下させることができるとともに、減速時に電動機29及び蓄電器30による回生作用を行わせて旋回エネルギーを回生できるため、エネルギー効率を上げることができる。
【0067】
一方、電気システムに異常が発生した場合に、連通弁25,26による連通を遮断するととともに、回生作用を停止させるため、いいかえれば、電動機29も蓄電器30も連通弁25,26もない通常の油圧ショベルと同じ状態にし、減速時にブレーキ弁による油圧ブレーキを働かせる構成としたから、旋回動作を確保して作業を継続することができる。
【0068】
また、回生作用を停止させることにより、電動機29及び蓄電器30に過電流が流れたり過電圧がかかったりする事態を回避し、これらを保護することができる。
【0069】
他の実施形態
(1) 上記実施形態では、連通弁として、モータ出口側管路をタンクTに連通させる開き位置aとこの連通を遮断する閉じ位置bとの間で切換わる連通弁25,26をモータ両側管路14,15とタンクTとの間に設けたが、特許文献1に記載された短絡切換弁と同様に、モータ両側管路を短絡させる位置と、両側管路をコントロールバルブに接続する位置との間で切換わる連通弁をモータ両側管路とコントロールバルブとの間に設けてもよい。
【0070】
この構成をとる場合、旋回減速時のみに連通弁を連通させて回生ブレーキを働かせることになる。
【0071】
この構成によっても、上記実施形態と基本的に同じ作用効果を得ることができる。
【0072】
(2) 上記実施形態では、速度センサ29からの電動機速度信号を用いて旋回状態(旋回停止等)を判断する構成をとったが、たとえば旋回操作手段(リモコン弁12)が中立位置となって一定時間が継続したことを旋回停止と判断する等、電動機速度信号を用いない他の手段によって旋回状態を判断する構成をとることもできる。
【0073】
(3) 上記実施形態では、旋回停止状態でも連通弁を連通遮断位置に切換える構成をとったが、旋回停止状態では連通弁を連通位置のままとし、停止保持は電動機の位置保持制御やメカニカルブレーキ等によって行う構成をとってもよい。
【0074】
(4) 本発明はショベルに限らず、ショベルを母体として構成される解体機や破砕機等の他の旋回式作業機械にも上記同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 下部走行体
2 上部旋回体
10 油圧ポンプ
11 油圧モータ
12 旋回操作手段としてのリモコン弁
13 コントロールバルブ
14 左旋回管路
15 右旋回管路
16 ブレーキ弁としてのリリーフ弁
18 リリーフ弁回路
21 チェック弁回路
22 連通路
23 メークアップライン
25,26 連通弁
T タンク
27 制御手段としてのコントローラ
29 電動機
30 蓄電器
31 電動機・蓄電器制御器
32,33 圧力センサ
34 速度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、この下部走行体上に旋回自在に搭載された上部旋回体と、この上部旋回体の旋回駆動源としての油圧モータと、この油圧モータにより回転駆動されて回生作用を行う電動機と、この電動機の回生電力を蓄える蓄電器と、上記油圧モータの圧油供給源としての油圧ポンプと、旋回の加速、定常運転、減速、停止を指令する旋回操作手段と、この旋回操作手段の操作に基づいて上記油圧モータに対する圧油の給排を制御するコントロールバルブと、上記油圧モータの両側管路に接続され減速操作時に油圧ブレーキ作用を行うブレーキ弁と、上記油圧モータの出口側管路を上記コントロールバルブを介さずに直接タンクまたは入口管路に連通させる連通位置とこの連通を遮断する連通遮断位置との間で作動する連通弁と、上記旋回操作手段の操作を検出する操作検出手段と、上記操作検出手段からの信号に基づいて上記連通弁を制御する制御手段とを具備し、この制御手段は、
(i) 上記電動機及び蓄電器とそれぞれの制御系を含む電気システムからの信号に基づいて電動機と蓄電器による回生作用が不能または不適となる異常事態が発生したか否かを判断し、
(ii) 上記電気システムが正常状態で、かつ、少なくとも旋回減速時に上記連通弁を連通位置にセットするとともに、上記電動機に回生作用を行わせるための駆動指令を出力し、
(iii) 上記電気システムが異常状態になったときに、上記連通弁を連通遮断位置に切換えるとともに、電動機に回生作用を行わせないための非駆動指令を出力するように構成したことを特徴とする旋回式作業機械。
【請求項2】
上記連通弁として、上記油圧モータの出口側管路を上記コントロールバルブを介さずに直接タンクに連通させる開き位置と、この連通を遮断する閉じ断位置との間で切換わり作動する切換弁を油圧モータの両側管路とタンクとの間に設け、上記電気システムが正常状態でかつ旋回動作中は上記連通弁を連通位置にセットするように構成したことを特徴とする請求項1記載の旋回式作業機械。
【請求項3】
上記制御手段は、旋回停止時に上記連通弁を連通遮断位置に切換えるように構成したことを特徴とする請求項1または2記載の旋回式作業機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−237123(P2012−237123A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106184(P2011−106184)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【特許番号】特許第5071571号(P5071571)
【特許公報発行日】平成24年11月14日(2012.11.14)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)
【Fターム(参考)】