映像ネットワークシステム及び伝送制御装置
【課題】既存のカメラ及び映像蓄積装置に変更を加えることなくネットワークの負荷を抑制することを目的とする。
【解決手段】複数のカメラ装置が撮影した画像を蓄積する蓄積装置と、蓄積装置がカメラ装置に送信した画像要求に含まれるアドレス及びポートを変換してからカメラ装置側へ転送し、カメラ装置が蓄積装置へ送信した返信メッセージに含まれるアドレス及びポートを変換してから当該返信メッセージを蓄積装置へ転送するリクエスト変換装置と、リクエスト変換装置が転送した画像要求に含まれるポートの情報から当該画像要求を転送するカメラ装置を特定して転送し、画像要求に応じてカメラ装置が送信した返信メッセージに含まれるアドレス及びポートを変換してからリクエスト変換装置に転送する伝送制御装置とを備える。
【解決手段】複数のカメラ装置が撮影した画像を蓄積する蓄積装置と、蓄積装置がカメラ装置に送信した画像要求に含まれるアドレス及びポートを変換してからカメラ装置側へ転送し、カメラ装置が蓄積装置へ送信した返信メッセージに含まれるアドレス及びポートを変換してから当該返信メッセージを蓄積装置へ転送するリクエスト変換装置と、リクエスト変換装置が転送した画像要求に含まれるポートの情報から当該画像要求を転送するカメラ装置を特定して転送し、画像要求に応じてカメラ装置が送信した返信メッセージに含まれるアドレス及びポートを変換してからリクエスト変換装置に転送する伝送制御装置とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のカメラを備える映像ネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
WebカメラなどのIP接続可能な撮像装置が普及することにより、IPネットワークを利用した広域・大規模監視システムを構築することが可能となった。しかし、多数のカメラと映像蓄積装置の間を単純にIP接続すると、帯域不足及び/又は負荷集中によって効率的な監視システムを構成することができない。このため、情報の優先度に基づいた帯域制御を行う必要がある。これを実現するための方法として、以下の三つの方法がある。
【0003】
第1に、カメラ及び映像蓄積装置に帯域制御機能を組み込む方法である。しかし、安価な市販品を用いて構築された既存のシステムに対し、帯域制御機能を追加的に導入することは困難である。また、帯域制御機能の組み込みが可能であっても、新たな優先度付けの手法をさらに追加しようとしたときには、大量の装置に対して設定の変更が必要となる。
【0004】
第2に、IPレイヤ以下での帯域制御を導入する方法である。これは、透過的に導入できるという利点があるが、レイヤ4以上でのみ識別可能なコンテンツレベルの優先度情報に基づいた帯域制御を導入することが困難である。
【0005】
第3に、Webプロキシ等のレイヤ7のネットワーク処理装置を導入し、明示的に帯域を制御する方法がある。これには、要求を受け付けるカメラ側には変更が不要である利点があるが、要求を出す蓄積装置側にはプログラムの変更が発生する。
【0006】
いずれの方法によっても、広域かつ大規模な監視システム帯域制御を実現することは困難であった。
【0007】
また、通信経路上の装置で伝送制御を行うものとしては、例えば、特許文献1に開示される技術が知られている。これは、メール転送時に悪意のあるメールに対しての返答に遅延を導入することにより、悪意のあるメールに対する応答速度を下げつつ、通常のメールは高い応答速度で転送可能とするものである。
【特許文献1】特開2003−173315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のような従来の技術では、多数のカメラから映像データ(フレーム画像)を映像蓄積装置に登録すると、データを転送するためのネットワークの負荷が増大し、映像蓄積装置の記憶装置の容量が増大する。
【0009】
また、上述のように既存のカメラ及び映像蓄積装置に帯域制御機能を組み込む場合では、安価な市販品を用いて構築された既存のシステムに対して、帯域制御機能を追加的に導入することは設備投資が過大になるという問題がある。特に、カメラの台数が数百または数千などの多数になると、カメラ側に変更を加えること自体に多大な労力と費用を要するという問題がある。
【0010】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、既存のカメラ及び映像蓄積装置に変更を加えることなくネットワークの負荷を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、画像を撮影する複数のカメラ装置と、前記カメラ装置が撮影した画像を蓄積する蓄積装置と、前記カメラ装置と蓄積装置を接続するネットワークと、を備え、前記蓄積装置が前記カメラ装置に画像要求を送信し、前記カメラ装置は前記画像要求を受信すると画像を返信メッセージとして前記蓄積装置に送信する映像ネットワークシステムにおいて、前記ネットワークと蓄積装置の間に設置されて、前記蓄積装置が前記カメラ装置に送信した画像要求を受信して、当該画像要求に含まれるアドレス及びポートを変換してから当該画像要求をカメラ装置側へ転送し、前記カメラ装置が前記蓄積装置へ送信した返信メッセージを受信し、当該返信メッセージに含まれるアドレス及びポートを変換してから当該返信メッセージを前記蓄積装置へ転送するリクエスト変換装置と、前記ネットワークとカメラ装置の間に設置されて、前記リクエスト変換装置が転送した画像要求を受信し、当該画像要求に含まれるポートの情報から当該画像要求を転送するカメラ装置を特定して当該画像要求を前記特定されたカメラ装置に転送し、前記画像要求に応じて前記カメラ装置が送信した返信メッセージを受信して、当該返信メッセージに含まれるアドレス及びポートを変換してから前記リクエスト変換装置に転送する伝送制御装置と、を備える。
【0012】
また、前記リクエスト変換装置は、前記蓄積装置から画像要求を受信したときには、当該画像要求に含まれる宛先アドレスを前記蓄積装置が設定した前記カメラ装置のアドレスに代わって前記伝送制御装置のアドレスに変換し、前記カメラ装置のアドレスに対応する値を宛先ポートに設定し、当該画像要求の送信元アドレスを前記蓄積装置に代わって当該リクエスト変換装置のアドレスに変換してから当該画像要求を前記伝送制御装置に転送し、前記伝送制御装置から返信メッセージを受信したときには、当該返信メッセージに含まれる宛先アドレスを、前記蓄積装置のアドレスに変換し、前記返信メッセージに含まれる宛先ポートの値を対応する送信元アドレスに変換してから当該返信メッセージを前記蓄積装置へ転送し、前記伝送制御装置は、前記リクエスト変換装置から受信した画像要求に含まれる宛先ポートから、当該画像要求を転送するカメラ装置を特定し、当該特定したカメラ装置に前記画像要求を転送し、前記画像要求に応じて前記カメラ装置が送信した返信メッセージを受信して、当該返信メッセージに含まれる宛先アドレスを前記リクエスト変換装置のアドレスに変換し、前記返信メッセージに含まれる送信元アドレスに対応する値を宛先ポートに設定してから前記リクエスト変換装置に転送する。
【0013】
また、前記カメラ装置は、前記画像要求を受信すると、所定の数の画像を返信メッセージとし送信し、前記伝送制御装置は、他の計算機から受信した優先すべきカメラ装置の情報に基づいて、前記リクエスト変換装置に転送する返信メッセージの優先度を前記カメラ装置毎に設定し、前記優先度に基づいて受信した返信メッセージを転送するタイミングを変更する。
【発明の効果】
【0014】
したがって、本発明は、返信メッセージの優先度に基づいてフレームレートの制御(帯域制御)を行うことで、必要最小限の帯域で画像の転送が可能となり、多数のカメラ装置を備えたシステムにおいても、ネットワークの負荷が過大になるのを抑制することができる。さらに、既存のシステムに適用する際には、カメラ措置と蓄積装置の間にリクエスト変換装置と伝送制御装置を挿入するだけでよいので、導入コスト及び労力を低減することができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本発明を適用するネットワーク映像モニタリングシステムの一例を示すブロック図である。また、図2は、図1に示したネットワーク映像モニタリングシステムの構成要素間の通信の概要を示すブロック図である。
【0017】
図1において、ネットワーク映像モニタリングシステムは、複数のカメラ220を含むカメラ群2−0、2−1と、複数のカメラ220を制御し、所望のカメラ220の画像を表示するセンタ1と、センタ1と各カメラ群2−0、2−1を接続するネットワーク100と、センタ1のセンサ情報変換装置7に接続されてセンサノードからの情報(センサ情報)を転送するセンサネットワーク8を主体に構成される。
【0018】
このネットワーク映像モニタリングシステムは、建造物内などに複数のカメラ220を設置し、監視センタ1の管理者または監視員が複数のカメラ220の画像を監視し、各カメラ220の画像を蓄積装置4に格納していくものである。
【0019】
監視センタ1には、複数のカメラ220のサムネイル画像を表示し、所望のカメラ220の画像を高精細度の画像で表示する表示PC(計算機)5を備え、管理者(または監視員)が表示PC5の入出力装置50に表示されるサムネイル画像または高精細度画像を監視する。また、表示PC5では、予め設定したセンサノードからのイベントに基づいて、このセンサノードの位置に対応するカメラ220の画像を入出力装置50に表示する。センサノードが所定の位置に固定されて、かつ、所定のカメラ220に対応付けられており、このセンサノードのイベントから当該カメラ220の画像を表示PC5に表示させることで、人や物の通過などを監視することができる。また、表示PC5では、管理者が入出力装置50の操作によって指定したカメラ220の画像を高精細度で表示することができる。
【0020】
監視センタ1は、上述の機能を実現するため、画像の表示を行う表示PC5と、カメラ群2−0、2−1から画像を要求して蓄積する蓄積装置4と、カメラ群2−0、2−1から画像のサムネイルと特徴量を取得して表示PC5に配信する検索PC(計算機)6と、蓄積装置4からの画像の要求を後述するように変換するリクエスト変換装置3と、センサネットワーク8からの情報を後述するように変換し、カメラ220の識別子に対応付けたセンサ情報を送信するセンサ情報変換装置7から構成される。以下、各部の詳細について説明する。
【0021】
<カメラ群の構成>
監視センタ1は、複数のカメラ群2−0、2−1を管理しており、各カメラ群は建造物などの所定の領域(例えば、各フロア)毎、あるいは、カメラ220の台数毎に設定され、ひとつのカメラ群2−0、2−1には複数のカメラ220とひとつの伝送制御装置20が含まれる。なお、以下の説明では、カメラ群2−0、2−1の構成は同様であるので、同一のものに同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0022】
所定の位置に設置されたカメラ220は、所定のフレームレートで所定の解像度の画像(動画)を撮像し、出力する。カメラ220は、カメラPC(計算機)210に接続される。
【0023】
カメラPC210は、CPUとメモリ及び通信インターフェースを備えた計算機であり、図2で示すように、カメラ220が撮影した動画を蓄積装置4からの要求に応じて1フレームずつ監視センタ1の蓄積装置4へ送信する。したがって、カメラPC210は、蓄積装置4からの画像要求があったときにのみ、最新の1フレーム(画像)を蓄積装置4へ向けて送信し、その他のフレームについては後述するサムネイル画像の生成と特徴量の抽出が完了すると破棄する。
【0024】
さらに、カメラPC210は、図2で示すように、カメラ220が撮影した画像からサムネイル画像を生成し、また、画像の特徴量を抽出し、これらのサムネイル画像と特徴量を監視センタ1の検索PC(計算機)5へ送信する。サムネイル画像は、カメラ220が撮影した動画の解像度を縮小したものであり、例えば、カメラ220が640×480ドット(VGA)の解像度の画像を出力する場合には、カメラPC210はサムネイル画像として128×96ドットの画像を生成する。また、カメラPC210は、カメラ220が撮影した画像から、エッジ検出や輪郭検出など公知の手法によって、画像の特徴量を抽出する。なお、以下の説明では、カメラ220の原画像の解像度またはサムネイル画像よりも高解像度の画像を高精細度画像という。
【0025】
各カメラPC210から監視センタ1宛に送信された情報と、監視センタ1から各カメラPC210またはカメラ220宛の情報は、伝送制御装置20を介して転送される。
【0026】
ここで、各カメラPC210には所定の識別子(例えば、IPアドレス)が予め付与されており、監視センタ1はこのIPアドレスによりカメラ220を特定する。
【0027】
蓄積装置4は、画像を取得するカメラPC210のIPアドレスを指定して画像要求をリクエスト変換装置3へ送信する。リクエスト変換装置3は、蓄積装置4からの画像要求の宛先を、後述するように各カメラ群の伝送制御装置20のアドレスとポート番号に変換してネットワーク100に送信する。蓄積装置4は、全てのカメラPC210に対してポーリングを行い、各カメラPC210に対する画像要求をリクエスト変換装置に送信する。ただし,1台のカメラPC210に対して並行して2つ以上の要求は発行しない。
【0028】
伝送制御装置20は、ネットワーク100を介してリクエスト変換装置3から画像要求を受信すると、画像要求のポート番号からカメラPC210を特定し、画像要求を特定したカメラPC210へ転送する。このため、カメラPC210は、ポート番号とカメラPC210の対応関係を示す転送先テーブル230を備える。なお、転送先テーブル230は、予め設定されたものであり、図5で示すように設定される。図5については後述する。
【0029】
カメラPC210は、伝送制御装置20からの画像要求に対して最新の画像(高精細度画像)を1フレームだけ返信する。伝送制御装置20は、カメラPC210から受信した画像を含んだメッセージを、当該カメラPC210を特定するポート番号に変換してからリクエスト変換装置3へ送信する。リクエスト変換装置3は、受信した画像のポート番号からカメラPC210のIPアドレスに変換し、蓄積装置4へ送信する。蓄積装置4は、受信した画像の送信元のIPアドレスからカメラPC210を特定して画像を格納していく。
【0030】
伝送制御装置20は、所定の数のカメラPC210を配下に置き、リクエスト変換装置3から転送された画像要求をカメラPC210に転送し、画像要求に対する返信メッセージを受信して、リクエスト変換装置3へ返信する返信メッセージについて、後述するように優先度とセンサ情報に基づいてフレームレートの制御を行う。返信メッセージを転送する優先度の制御を行うため、伝送制御装置20は、図6に示す優先度履歴テーブル240を備える。図6については後述する。
【0031】
また、伝送制御装置20は、モニタリング対象の拠点側(つまり、カメラ群側)、リクエスト変換装置3は集約モニタリングを行う監視センタ1側に置き、その間は広域のネットワーク100に接続されている。これにより、ネットワーク100に流れるトラフィックを削減することが可能となる。
【0032】
なお、本実施形態では、カメラPC210とカメラ220が独立した構成を示したが、カメラPC210とカメラ220が一体となった構成であっても良い。
【0033】
<監視センタの構成>
次に、監視センタ1の構成要素について、図1及び図2を参照しながら以下に説明する。
【0034】
蓄積装置4は、CPUとメモリと通信インターフェース及びストレージ装置を含む計算機で構成されて、多数のカメラPC210を管理下に置き、各カメラPC210に対して画像要求を送信して高精細画像を取得すると共に、表示PCからの蓄積画像取得要求に対して高精細の画像を返信する。
【0035】
センサ情報変換装置7は、CPUとメモリ及び通信インターフェースを備えた計算機で構成され、赤外発信ノード820と名札センサ810と無線基地局80からなるセンサネットワーク8から送られてくる情報を、伝送制御装置20および検索PC6が解釈可能なメッセージ形式および送信手順に変換してそれぞれにメッセージ(センサ情報)を送信する。
【0036】
センサ情報変換装置7は、センサノードの識別子から当該センサノードに対応するカメラPC210の識別子を特定するセンサ−カメラ管理テーブル70を備える。このセンサ−カメラ管理テーブル70は、センサノードのうち固定ノードの識別子に対して、予め設定したカメラPC210のIPアドレスを設定したもので、例えば、固定ノードの近傍を通過する人や物体を撮影可能なカメラ220に接続されたカメラPC210のIPアドレスが設定される。
【0037】
センサ情報変換装置7は、図2で示すように、後述する名札センサ810からのイベントについて無線基地局80を介して受信すると、センサ−カメラ管理テーブル70を参照し、赤外線ノード820の識別子(ID)からカメラPC210のIPアドレスを特定し、このIPアドレスを画像の転送の際に優先すべき画像であることを示す優先カメラIDとして伝送制御装置20に送信する。また、センサ情報変換装置7は、伝送制御装置20に優先カメラIDを送信する際に、検索PC6に名札センサ810からのイベントを送信する。なお、センサ情報変換装置7は、伝送制御装置20と検索PC6に対して優先カメラIDに加えて、イベントを送信した名札センサ810の識別子(名札ID)とこのイベントの種別もセンサ情報として送信する。イベントの種別は、名札センサ810の検出(接近)や、検出した名札センサ810の消失(離脱)など、固定ノードが検知した情報の種別などである。
【0038】
検索PC6は、CPUとメモリと通信インターフェース及びストレージ装置を備えた計算機で構成され、カメラPC210からの画像の特徴量およびサムネイル画像、およびセンサ情報変換装置7から受信したセンサ情報を格納し、表示PC5に対して検知情報(センサネットワークからのセンサ情報)とサムネイル画像を送付する。
【0039】
リクエスト変換装置3は、CPUとメモリ及び通信インターフェースを備えた計算機で構成され、蓄積装置4とカメラPC210の間の通信経路上に配置され、蓄積装置4からカメラPC210に向かう画像要求を中継する際に、伝送制御装置20を経由するようメッセージの送信元と送信先を変更し、かつ、伝送制御装置20から蓄積装置4に向かうメッセージの送信元と送信先を変更する。
【0040】
リクエスト変換装置3は、蓄積装置4からの画像要求に含まれる宛先(カメラPC210のIPアドレス)を各カメラ群の伝送制御装置20のIPアドレスとポート番号に変換し、送信元をリクエスト変換装置3に置き換えたメッセージを伝送制御装置20に送信する。また、リクエスト変換装置3は伝送制御装置20からの返信(画像)に含まれる宛先を蓄積装置4に変換し、送信元を返信に含まれるカメラPC210のIPアドレスに変換したメッセージを蓄積装置4に送信する。このため、リクエスト変換装置3は、カメラPC210のIPアドレスとポート番号を変換するためのアドレス変換テーブル30を備える。アドレス変換テーブル30は、図4に示すように構成され、詳細については後述する。
【0041】
表示PC5は、CPUとメモリ及び通信インターフェースを備えた計算機で構成され、複数のカメラ220のサムネイル画像と、所望のカメラ220の画像を高精細度の画像で入出力装置50に表示する。なお、入出力装置50は、ディスプレイとキーボードやマウスなどで構成される。
【0042】
表示PC5は、入出力装置50の操作により管理者または監視員が指定したカメラPC210の識別子(優先カメラID)を、フレームレートを優先するカメラPC210として伝送制御装置20に通知する。この通知に基づいて、伝送制御装置20は指定されたカメラPC210の優先度履歴テーブル240を更新する。
【0043】
表示PC5で、管理者などが表示させるカメラPC210を指定すると、図2で示すように、表示PC5がカメラPC210の識別子を優先カメラIDとして伝送制御装置20へ送信し、当該優先カメラIDの高精細度画像を蓄積装置4へ要求する。蓄積装置4は表示PC5から要求されたカメラPC210からの画像を受信すると、表示PC5へ転送する。これにより、表示PC5では指定されたカメラPC210のカメラ220が撮影した画像を表示することができる。
【0044】
また、表示PC5は、検索PC6からセンサ情報変換装置7がイベントを受信したセンサ情報を受信すると、センサ情報に含まれる優先カメラIDの画像を取得するように蓄積装置4に指令する。
【0045】
<センサネットワークの構成>
次に、センサネットワーク8について説明する。図1において、センサネットワーク8は、センサ情報変換装置7に接続された無線基地局80と、無線ネットワーク800を介して無線基地局80に接続されたセンサノードから構成される。
【0046】
本実施形態のセンサノードとしては、所定の位置に固定された固定ノードと、人や物体に装着される移動ノードから構成された例を示す。図1において、センサネットワーク8は、予め設定された識別子を赤外線発信機から送信する赤外線ノード820を固定ノードとして備える。また、センサネットワーク8は、移動ノードとして赤外線ノード820から受信した識別子を無線基地局80へ送信する名札センサ810を備える。
【0047】
図13に名札センサ810と赤外線ノード820の構成を示す。赤外線ノード820は、予め設定された識別子を格納するID格納部822と、識別子を発信する赤外線通信部823と、無線基地局80と通信を行う無線通信部821を備える。
【0048】
名札センサ810は、赤外線ノード820から識別子を受信する赤外線通信部813と、予め設定された名札センサ自身の識別子を格納するID格納部812と、赤外線通信部813で受信した赤外線ノード820の識別子と、自身の識別子を無線ネットワーク800へ送信する無線通信部811から構成される。
【0049】
名札センサ810は、赤外線ノード820に接近すると、赤外線通信部813で赤外線ノード820から識別子を受信し、無線基地局80へ自身の識別子と赤外線ノード820の識別子及び赤外線ノード820へ接近したことを示すイベントの種別を送信することで、固定ノードである赤外線ノード820の近傍に名札センサ810が接近したことを通知することができる。逆に、名札センサ810は、赤外線通信を開始した赤外線ノード820から離れて赤外線ノード820の識別子が取得できなくなると、無線基地局80へ自身の識別子と赤外線ノード820の識別子及び赤外線ノード820から離脱したことを示すイベントの種別を送信することで、固定ノードである赤外線ノード820の近傍から名札センサ810が離脱したことを通知することができる。なお、赤外線ノード820の無線通信部821は、赤外線ノード820の識別子の設定などの際にセンサ情報変換装置7や表示PC5等と通信を行うことができる。
【0050】
<蓄積装置とカメラPCの通信手順>
図3は、蓄積装置4がカメラPC210に対して1枚の画像を要求した際の通信手順を示している。
【0051】
蓄積装置4は、蓄積装置4のIPアドレスを送信元、カメラPC210のIPアドレスを送信先にした画像要求メッセージを送信する(S1)。
【0052】
画像要求メッセージの通信系路上にあるリクエスト変換装置3は、画像要求メッセージを中継する際に、画像要求メッセージの送信先を伝送制御装置20のIPアドレスに変更し、さらに、送信元のIPアドレスをリクエスト変換装置3に変更して、画像要求メッセージを伝送制御装置20へ転送する(S2)。このとき、リクエスト変換装置3は、図4に示すアドレス変換テーブル30を参照して、元の送信先のカメラPC210のIPアドレスと、伝送制御装置20のポート番号とを対応付けて変換することで、伝送制御装置20において元の送信先であるカメラPC210を識別可能にする。
【0053】
図4は、リクエスト変換装置3に予め設定されたアドレス変換テーブル30の一例を示す説明図である。アドレス変換テーブル30は、ひとつのエントリに、蓄積装置4のIPアドレスを格納する送信元IP301と、画像要求メッセージの最終的な宛先となるカメラPC210のIPアドレスを格納する送信先IP302と、送信先のポート番号を格納する送信先ポート303と、カメラPC210のIPアドレス(送信先IP302)に代わる宛先として伝送制御装置20のIPアドレスを格納する転送先IP304と、伝送制御装置20の転送先のポート番号を格納する転送先ポート305と、を含む。
【0054】
ここで、本発明のアドレス変換テーブル30では、転送先ポート305の値を送信先IP302のIPアドレスから設定したものである。つまり、送信先のカメラPC210のIPアドレスの一部または全てを転送先ポート305のポート番号とすればよい。これにより、画像要求メッセージを受信する伝送制御装置20では、ポート番号を参照すれば宛先のカメラPC210を容易に識別することができる。なお、IPアドレスとポート番号の間に一対一の対応が取れるのであれば,必ずしもIPアドレスの一部をポート番号とする必要はない。
【0055】
リクエスト変換装置3は、蓄積装置4側から送られてきたメッセージの送信元IPアドレス・送信先IPアドレス・送信先ポートと同じエントリがアドレス変換テーブル30に存在していた場合、そのメッセージの送信元をリクエスト変換装置3のIPアドレスに変更し、送信先をエントリの転送先IP304の内容に変更し、送信先ポートをエントリの転送先ポート305の内容に変更した後に転送を行う。
【0056】
また、伝送制御装置20側から送信先アドレスがリクエスト変換装置3であり、送信元IPアドレス・送信元ポートが、それぞれ転送先アドレス、転送先ポートと等しいエントリがあった場合、そのメッセージの送信元IPアドレスとポートを、当該エントリの送信先IP・ポートの内容に変更した後にメッセージの転送を行う。
【0057】
図4の例では、蓄積装置4のIPアドレスが10.0.0.2、カメラ群2−0の伝送制御装置20のIPアドレスが10.0.2.20、カメラ群2−1の伝送制御装置20のIPアドレスが10.0.2.21である場合を示している。
蓄積装置4が宛先のカメラPC210のIPアドレスとして10.0.1.10の画像要求メッセージを送信すると、リクエスト変換装置3は、アドレス変換テーブル30を参照し、宛先のIPアドレスをカメラ群2−0の伝送制御装置20のIPアドレスである転送先IP304の10.0.2.20に変更し、宛先のポートを転送先ポート305の10110に変更した画像要求メッセージを伝送制御装置20へ転送する。
【0058】
次に、図3のS3では、リクエスト変換装置3から転送された画像要求メッセージを受け取った伝送制御装置20は、図5で示す転送先テーブル230を参照して、受信したポート番号から転送先のカメラPC210を決定し、当該カメラPC210あてに画像要求メッセージを送信する。
【0059】
ここで、図5に示す転送先テーブル230は、伝送制御装置20に予め設定されたものであり、ひとつのエントリに伝送制御装置20が受信したポート番号を格納する受信ポート2301と、画像要求メッセージを転送する宛先を格納する転送先URL2302とを含む。
【0060】
伝送制御装置20は、リクエスト変換装置3から受け取った画像要求メッセージの送信先ポートを調べ、転送先テーブル230を検索し、転送すべきカメラPC210のアドレス(URL)を得る。ここではURLでカメラPC210へのアクセス方法を表現している。例えば、”http://camera1.example.com:80/getimage”であれば、送信先アドレスがcamera1.example.com、送信先ポートが80、送信プロトコルはHTTP、要求は”/getimage”という文字列を渡す、ということを示している。
【0061】
次に、図3において、カメラPC210は、カメラ220からの画像を含んだ返信メッセージを伝送制御装置20に送信する(S4)。この返信メッセージには、高精細画像と当該高精細度画像を転送する優先度を示す情報が含まれている。優先度を示す情報は、カメラPC210が設定したものであり、返信メッセージのパケットに含まれる優先度フィールドの値であり、伝送制御装置20はこれらの優先度に関するフィールドを書き換えることで、蓄積装置4に蓄積される動画のフレームレートを制御する。優先度を示す情報は,ネットワーク100のプロトコルがIPv4であればサービスタイプの値、プロトコルがIPv6であればClassの値として格納しても良い。
【0062】
伝送制御装置20はカメラPC210から返信メッセージを受信し、この返信メッセージ内に含まれる優先度の情報と、センサ情報変換装置7および表示PC5からの情報(センサ情報)に従って当該高精細度画像を含む返信メッセージの送信の優先度を決定する。
【0063】
伝送制御装置20は、送信の優先度が一定の閾値より低い場合は、当該IPアドレスのカメラPC210のメッセージ(画像)を返信せず、カメラPC210あてに再度画像の取得要求を行う(S5)。伝送制御装置20とカメラPC210は上記ステップS4とステップS5を繰り返し、伝送制御装置20は当該カメラPC210の優先度が所定の閾値を超えるか、もしくは一定の上限回数まで繰り返した後に、優先度に従った待ち時間を挿入した後、返信メッセージに優先カメラIDおよび優先度の情報を追加した返信メッセージをリクエスト変換装置3宛に返信する(S6)。なお、伝送制御装置20が付与する待ち時間は、例えば、優先度が低くなるにつれて大きく設定される。
【0064】
ここで、伝送制御装置20が管理するカメラPC210毎の優先度は、図6に示す優先度履歴テーブル240に格納される。図6に示す優先度履歴テーブル240は、伝送制御装置20に予め設定されたものであり、ひとつのエントリにカメラPC210の識別子を格納するカメラID2401と、当該カメラPC210の画像の最新の優先度を格納する最新優先度2402と、画像の優先度の平均値を格納する平均優先度2403と、センサ情報変換装置7や表示PC5から受信した情報を格納するセンサ情報2404とを含む。
【0065】
センサ情報2404には、センサ情報変換装置7からの検出情報(優先カメラID)と、表示PC5からのカメラPC210の優先度の指示が格納される。例えば、図6において、カメラID2401=Camera3のエントリのセンサ情報2404には、表示PC5からの優先度を高める指示があったことを示す情報として”disp”という情報が格納されている。
【0066】
また、図6において、カメラID2401=Camera2のエントリのセンサ情報2404には、センサ情報変換装置7からの名札センサ810の識別子として、”Nameid1”と”Nameid2”が格納されており、これらの識別子を有する名札センサ810が赤外線ノード820の近傍を通過したことを示す。このようにセンサ情報2404に何らかの値が入っている場合、伝送制御装置20は該当カメラIDの情報を最高の優先度で送信する。
【0067】
次に、図3において、伝送制御装置20から返信メッセージを受信したリクエスト変換装置3は、図4に示したアドレス変換テーブル30を参照し、受け取った返信メッセージの送信元アドレスをカメラPC210に変換し、送信先アドレスを蓄積装置4に変換してから当該返信メッセージを蓄積装置4に転送する(S7)。
【0068】
こうして蓄積装置4は、あたかもカメラPC210から高精細画像が返信されたと認識して、画像を蓄積装置4内に格納する。
【0069】
<伝送制御装置における処理>
図7は、伝送制御装置20で行われる処理の一例を示し、リクエスト変換装置3から画像要求メッセージを受信したときに実行される処理のフローチャートである。
【0070】
まず、伝送制御装置20は、リクエスト変換装置3から画像要求メッセージを受信すると、上述のように受信ポートをキーとして転送先テーブル230を検索して転送先のカメラPC210を決定し、画像要求を転送する(S11)。
【0071】
そして、伝送制御装置20はカメラPC210からの返信メッセージを受信し、返信メッセージのヘッダに含まれる画像の優先度、およびカメラ220またはカメラPC210のIDを抽出する(S12)。そして、画像の優先度は変数Pnowに代入しておく。
【0072】
次に伝送制御装置20は、カメラPC210のIDをキーとして優先度履歴テーブル240を検索する(S13)。検索されたエントリ内にセンサ情報が存在していた場合、このカメラPC210の画像は最高の優先度として扱うため、遅延を挿入せずに転送処理を行う(S14、S24、S20)。
【0073】
ステップS20の転送処理では、返信メッセージのヘッダに優先度の情報とセンサ情報を追加して、リクエスト変換装置3に送信する。このとき、返信メッセージ内だけでなくその下位レイヤであるIPレイヤのパケットの優先度の情報として画像の優先度を書き込むことで、伝送制御装置20とリクエスト変換装置3の間のIPネットワークにおいて、IPレベルの優先度制御に利用することも可能である。
【0074】
一方、ステップS14の判定で、検索されたエントリ内にセンサ情報が無かった場合、ステップS15以降で通常の送信優先度決定処理を行う。ステップS15では、返信メッセージに含まれている画像の優先度が0であるか否かを判定する。この判定の結果、返信メッセージに含まれている画像の優先度が0であった場合にはステップS21へ進み、そうでない場合にはステップS16へ進む。
【0075】
ステップS21では、画像の優先度が0であるため、当該画像の優先度は非常に低いと判定し、再度転送先のカメラPC210に画像要求を行う。このとき、画像要求の繰り返しが長期間に及んで蓄積装置4への返信が中断されることを防止するため、繰り返しの回数が所定の上限値である10回未満の時のみ繰り返し処理を行い(S23、S11)、繰り返し回数が10回に達した時点で、優先度を最低にした上で前述の転送処理を行う(S22、S20)。なお、カメラPC210に画像要求を繰り返す際には、ステップS23で所定の遅延(例えば、200msec)を挿入する。
【0076】
一方、ステップS15の判定で、画像の優先度が正の値であった場合は、ステップS16に進んで、上記ステップS12で抽出した現在の画像の優先度Pnowから、優先度履歴テーブル240に格納された平均優先度2403を差し引いた値を、最新の優先度2402として計算する。最新の優先度をP’nowとし、平均優先度をPaveとすると、
P’now=Pnow−Pave
となる。この処理によって、一旦優先度を高く設定したカメラPC210の画像は、センサ情報や表示PC5からの指示がない場合には、時間の経過とともに徐々に優先度が低下することになる。
【0077】
次に、伝送制御装置20はステップ17で、優先度履歴テーブル240内の平均優先度および最新優先度の値の更新を行う。ここでは、前回までの優先度の平均と画像の最新の優先度の間で加重平均を取ることで、新しい平均優先度2403を求める。すなわち、新たな平均優先度をP’aveとすると、
P’ave=(99×Pave+Pnow)÷100
となる。伝送制御装置20は新たな平均優先度P’aveを現在着目しているカメラID2401のエントリの平均優先度2403に格納し、ステップS16で求めた最新の優先度Pnowを最新優先度2402に格納する。
【0078】
次に、ステップS18では、上記ステップS16で求めた最新優先度2402と、優先度履歴テーブル240内の他のカメラIDの最新優先度2402とを比較して、現在着目しているカメラIDの優先度の順位を求める。次に、ステップS19では、当該カメラPC210の送信の優先度が上位3位までに入った場合は、遅延を挿入せずに転送処理に進む。一方、上位4位以下であった場合、当該カメラPC210の送信の優先度の順位が前回の値から下がる毎に所定の遅延(例えば、20msの)を挿入してステップS20の転送処理に進む(すなわち、遅延時間[ms]=(順位−3)*20)。
【0079】
以上の処理により、優先度履歴テーブル240のセンサ情報2404に名札センサ810のIDや表示PC5からの表示の指示が設定されている場合には、カメラPC210から受信した画像(高精細度画像)をそのままリクエスト変換装置3に転送するが、優先度が低下するにつれて遅延が大きくなるため、カメラPC210の画像のフレームレートは低下することになる。
【0080】
すなわち、本実施形態の蓄積装置4は、ひとつのカメラPC210に対して画像の要求を行う際に、1フレームずつ高精細画像を取得するので、高精細度画像が返信されてから、次の画像要求を行うことになり、遅延が大きくなれば一枚の画像を取得する時間がかかり、蓄積装置4に蓄積されるカメラPC210への画像要求の頻度が低下する。この結果、蓄積装置4に蓄積されるカメラPC210からの画像のフレームレートは低下することになる。
【0081】
また、カメラ220の画像の過去の優先度の平均値と最新の優先度の差によって送信の優先度を評価することにより、恒常的に高い優先度を送信してくるカメラ220の画像の優先度を相対的に低下させることができる。
【0082】
次に図8は、伝送制御装置20がセンサ情報変換装置7からセンサ情報を受信した場合のフローチャートである。伝送制御装置20はセンサ情報変換装置7からセンサ情報を受信すると、受信したセンサ情報からカメラIDと、名札IDおよびイベント種別を抽出する(S31)。
【0083】
次に、ステップS32では、伝送制御装置20がステップS31で抽出したイベント種別について、名札センサ810が赤外線ノード820へ接近したのか、検出した名札センサ810が赤外線ノード820から離脱したのかを判定し、接近の場合にはステップS33へ進み、離脱の場合にはステップS34へ進む。
【0084】
イベント種別の判定が名札センサ810が赤外線ノード820へ接近したことを示す接近情報であった場合、伝送制御装置20は、ステップS33でセンサ情報から抽出したカメラIDから優先度履歴テーブル240を検索し、カメラIDに対応するエントリのセンサ情報2404に名札センサ810のIDを追加する。
【0085】
一方、ステップS32の判定で、センサ情報から抽出したイベント種別が離脱情報であった場合、ステップS34で、伝送制御装置20がカメラIDから優先度履歴テーブル240を検索し、当該カメラIDに対応するエントリのセンサ情報2404から名札センサ810のIDを削除する。これにより、一旦、センサ情報2404に名札センサ810のIDを登録して優先度の高くなったカメラIDは、名札センサ810の離脱によりセンサ情報2404から名札センサ810のIDが削除されるので、優先度が低減され、いつまでも優先度が高い状態が保持されるのを防ぐことができる。
【0086】
表示PC5からの優先度変更要求は、優先度を上げたいカメラPC210に対してはカメラ220へのダミーの人物の接近情報を設定し、優先度を下げたいカメラPC210に対してはカメラへの離脱の情報として表示PC5が伝送制御装置20にメッセージを送ることで対応可能である。
【0087】
<メッセージの詳細>
図9は、蓄積装置4が発行する画像要求のメッセージの一例である。HTTPに準拠したメッセージとして、”/getimage”というパスの情報を取得(GET)せよという命令として表現している。この画像要求メッセージを受信したカメラPC210は、1フレームの画像を伝送制御装置20へ送信する。
【0088】
図10は、カメラPC210が発行する上記画像要求に対する返信メッセージの例である。図中、8行目の”X-ICN-Precedence: 20”が画像の優先度を示し、9行目の”X-ICN-Camera-Id: 15”がカメラPC210のカメラIDを示し、11行目の”JFIF”以降が高精細画像のデータを示す。なお、図10は返信メッセージのデータ部を示しており、宛先アドレスと宛先ポートと送信元アドレスと送信元ポートを含むヘッダ部は省略した。
【0089】
図11は、センサ情報変換装置7が送信するセンサ情報のメッセージのフォーマットの一例である。本実施形態では、図中のフォーマットうち、イベント種別と、名札IDと、カメラIDを利用する。上述のようにイベント種別には、名札センサ810の接近または離脱が格納され、名札IDには赤外線ノード820と赤外線で通信した名札センサ810の識別子が格納され、カメラIDには名札センサ810がセンサ情報変換装置7に通知した赤外線ノード820に対応するカメラPC210の識別子が格納される。
【0090】
<リクエスト変換装置の処理>
図12は、リクエスト変換装置3が蓄積装置4または伝送制御装置20からメッセージを受信した際に実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0091】
リクエスト変換装置3は、蓄積装置4または伝送制御装置20からメッセージを受信すると、受信したメッセージの送信元アドレスと、送信先アドレスと、送信元ポートと、送信先ポートを抽出する(S41)。
【0092】
そして、リクエスト変換装置3は、抽出した送信元アドレスと、送信先アドレスと、送信先ポートが、アドレス変換テーブル30の送信元IP301、送信先IP302、送信先ポート303に一致するエントリを検索する(S42)。ステップS43では、上記ステップS42の検索の結果、エントリが存在した場合にはステップS44へ進み、エントリが存在しない場合にはステップS45へ進む。
【0093】
エントリが存在した場合のステップS44では、当該メッセージが蓄積装置4からカメラPC210への画像要求メッセージであると判定し、伝送制御装置20へメッセージを転送するために、メッセージの送信先アドレス、送信先ポートを、検索されたエントリ内の転送先IP304と、転送先ポート305の内容に変更し、メッセージの送信元アドレスをリクエスト変換装置3のIPアドレスに変換してから転送する(S44、S45、S46、S47)。
【0094】
一方、ステップS43の判定で、エントリが存在しない場合は、メッセージの送信先アドレスがリクエスト変換装置3であるか否かを判定する(S48)。判定の結果、リクエスト変換装置3宛のメッセージでない場合には、本メッセージは伝送制御すべきメッセージではないためそのまま転送する(S49、S47)。
【0095】
メッセージの宛先がリクエスト変換装置3の場合は、ステップS50に進んで、受信したメッセージの送信元アドレスと送信元ポートが、アドレス変換テーブル30内の転送先IP304と転送先ポート305に一致するエントリを検索する。そして、ステップS51では、リクエスト変換装置3がエントリの有無を判定して、エントリが存在しなかった場合には、ステップS49、S47に進んで、本メッセージは伝送制御すべきメッセージではないためそのまま転送する。
【0096】
一方、エントリが存在した場合はステップS52へ進む。ステップS52では、本メッセージはカメラPC210から蓄積装置4へ送られた高精彩画像情報であるため、蓄積装置4にメッセージを転送するために、メッセージの送信元アドレスと、送信元ポートと、送信先アドレスを、アドレス変換テーブル30で検索されたエントリ内の送信先IP302と、送信先ポート303と、送信元IP301の内容に変更して転送する(S52、S53、S54、S47)。
【0097】
以上処理により、蓄積装置4がカメラPC210に送信した画像要求メッセージは、宛先アドレスを伝送制御装置20に変更され、宛先ポートをカメラPC210のアドレスに対応するポート番号に変更され、さらに送信元のアドレスをリクエスト変換装置3のIPアドレスに変更することにより、蓄積装置4からの画像要求に対して必ずリクエスト変換装置3へ返信メッセージが送られる。
【0098】
そして、伝送制御装置20からリクエスト変換装置3に宛てた画像要求メッセージに対する返信メッセージは、リクエスト変換装置3で送信元のアドレスとポートを、蓄積装置4が要求したカメラPC210のアドレスとポート番号に変換することで、蓄積装置4はあたかもカメラPC210と直接通信を行っていると同様に処理することができる。
【0099】
したがって、本発明を既存のネットワーク映像モニタリングシステムに適用する際には、カメラPC210と蓄積装置4の間に本発明のリクエスト変換装置3と伝送制御装置20を挿入するだけで、多数のカメラ220の画像の優先度に応じたフレームレートで動画の蓄積を行うことができるのである。そして、優先度に応じたフレームレートに抑制することで、多数のカメラ220を備えたネットワーク映像モニタリングシステムであっても、ネットワークの負荷が過大になるのを抑制することができる。
【0100】
なお、上記実施形態では、画像を撮影するカメラ220と、カメラ220が撮影した画像を監視センタ1側へ転送するカメラPC210を独立して備えた例を示したが、画像を撮影して監視センタ1側へ送信するカメラ装置に置き換えても良い。特に、カメラ装置で撮影した画像を蓄積装置4へ蓄積することを主眼とするネットワーク映像モニタリングシステムまたは映像ネットワークシステムでは、カメラ装置にサムネイルの生成機能や特徴量の抽出機能を備える必要はなく、カメラ装置は画像要求メッセージに応じて1フレームずつ監視センタ1側(伝送制御装置20)へ送信する送信部を備えればよい。
【0101】
また、上記実施形態においては、カメラ装置(カメラ220及びカメラPC210)が、画像要求に応じて1フレームずつ画像を送信する例を示したが、所定数のフレーム(画像)を送信するようにしても良い。
【0102】
<まとめ>
以上のように、本発明では、カメラPC210からの返信メッセージの優先度に基づいてフレームレートの制御(帯域制御)を行うことで、必要最小限の帯域で映像監視が可能となり、多数のカメラ220を備えたシステムにおいても、ネットワークの負荷が過大になるのを抑制することができる。
【0103】
また、本発明では帯域制御を行う際に、カメラ同士が情報交換することはなく、複数のカメラ220(カメラPC210)の情報をもとに通信帯域の調停が可能となり、複数のカメラPC210が一斉に発報(送信)した場合であっても帯域を適切に制限するため、通信帯域が細い通信回線(またはネットワーク)を用いたシステムであっても安定した画像の転送が可能となる。
【0104】
また、カメラ220やカメラPC210に変更を加えることなく、優先度の設定のための新たな手法を導入できるため、画像解析手法の進歩や、新たなセンサデバイスの登場時に迅速に対応することが可能となる。
【0105】
さらに、センサ情報や表示PC5からの指示により優先度を変更可能であるため、監視者が捕らえようとしている画像を高い優先度で配信することができるので、監視の効率を高めることが可能となる。
【0106】
既存の装置(カメラ220、カメラPC210及び蓄積装置4)に変更を加えることなく、コンテンツレベルの情報(センサ情報や表示PC5からの指定)に基づいた帯域制御を行うことが可能となるため、帯域制御機能の導入にかかるコストを最低限に抑えることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
以上のように、本発明は、多数のカメラを備えて画像の転送を行うネットワーク映像モニタリングシステムに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明を適用するネットワーク映像モニタリングシステムの一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示したネットワーク映像モニタリングシステムの構成要素間の通信の概要を示すブロック図である。
【図3】蓄積装置がカメラPCに対して1枚の画像を要求した際の通信手順を示すシーケンス図である。
【図4】リクエスト変換装置のアドレス変換テーブルの一例を示す説明図である。
【図5】伝送制御装置の転送先テーブルの一例を示す説明図である。
【図6】伝送制御装置の優先度履歴テーブルの一例を示す説明図である。
【図7】伝送制御装置で行われる処理の一例を示すフローチャートで、リクエスト変換装置3から画像要求メッセージを受信したときに実行される処理を示す。
【図8】伝送制御装置がセンサ情報変換装置からセンサ情報を受信した場合の処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】蓄積装置が発行する画像要求のメッセージの一例を示す説明図である
【図10】カメラPCが発行する画像要求に対する返信メッセージの一例を示す説明図である。
【図11】センサ情報変換装置が送信するセンサ情報のメッセージのフォーマットの一例を示す説明図である。
【図12】リクエスト変換装置が蓄積装置または伝送制御装置からメッセージを受信した際に実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【図13】名札センサと赤外線ノードの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0109】
1 監視センタ
3 リクエスト変換装置
4 蓄積装置
5 表示PC
6 検索PC
7 センサ情報変換装置
8 センサネットワーク
20 伝送制御装置
30 アドレス変換テーブル
210 カメラPC
220 カメラ
230 転送先テーブル
240 優先度履歴テーブル
810 名札センサ
820 赤外線ノード
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のカメラを備える映像ネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
WebカメラなどのIP接続可能な撮像装置が普及することにより、IPネットワークを利用した広域・大規模監視システムを構築することが可能となった。しかし、多数のカメラと映像蓄積装置の間を単純にIP接続すると、帯域不足及び/又は負荷集中によって効率的な監視システムを構成することができない。このため、情報の優先度に基づいた帯域制御を行う必要がある。これを実現するための方法として、以下の三つの方法がある。
【0003】
第1に、カメラ及び映像蓄積装置に帯域制御機能を組み込む方法である。しかし、安価な市販品を用いて構築された既存のシステムに対し、帯域制御機能を追加的に導入することは困難である。また、帯域制御機能の組み込みが可能であっても、新たな優先度付けの手法をさらに追加しようとしたときには、大量の装置に対して設定の変更が必要となる。
【0004】
第2に、IPレイヤ以下での帯域制御を導入する方法である。これは、透過的に導入できるという利点があるが、レイヤ4以上でのみ識別可能なコンテンツレベルの優先度情報に基づいた帯域制御を導入することが困難である。
【0005】
第3に、Webプロキシ等のレイヤ7のネットワーク処理装置を導入し、明示的に帯域を制御する方法がある。これには、要求を受け付けるカメラ側には変更が不要である利点があるが、要求を出す蓄積装置側にはプログラムの変更が発生する。
【0006】
いずれの方法によっても、広域かつ大規模な監視システム帯域制御を実現することは困難であった。
【0007】
また、通信経路上の装置で伝送制御を行うものとしては、例えば、特許文献1に開示される技術が知られている。これは、メール転送時に悪意のあるメールに対しての返答に遅延を導入することにより、悪意のあるメールに対する応答速度を下げつつ、通常のメールは高い応答速度で転送可能とするものである。
【特許文献1】特開2003−173315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のような従来の技術では、多数のカメラから映像データ(フレーム画像)を映像蓄積装置に登録すると、データを転送するためのネットワークの負荷が増大し、映像蓄積装置の記憶装置の容量が増大する。
【0009】
また、上述のように既存のカメラ及び映像蓄積装置に帯域制御機能を組み込む場合では、安価な市販品を用いて構築された既存のシステムに対して、帯域制御機能を追加的に導入することは設備投資が過大になるという問題がある。特に、カメラの台数が数百または数千などの多数になると、カメラ側に変更を加えること自体に多大な労力と費用を要するという問題がある。
【0010】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、既存のカメラ及び映像蓄積装置に変更を加えることなくネットワークの負荷を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、画像を撮影する複数のカメラ装置と、前記カメラ装置が撮影した画像を蓄積する蓄積装置と、前記カメラ装置と蓄積装置を接続するネットワークと、を備え、前記蓄積装置が前記カメラ装置に画像要求を送信し、前記カメラ装置は前記画像要求を受信すると画像を返信メッセージとして前記蓄積装置に送信する映像ネットワークシステムにおいて、前記ネットワークと蓄積装置の間に設置されて、前記蓄積装置が前記カメラ装置に送信した画像要求を受信して、当該画像要求に含まれるアドレス及びポートを変換してから当該画像要求をカメラ装置側へ転送し、前記カメラ装置が前記蓄積装置へ送信した返信メッセージを受信し、当該返信メッセージに含まれるアドレス及びポートを変換してから当該返信メッセージを前記蓄積装置へ転送するリクエスト変換装置と、前記ネットワークとカメラ装置の間に設置されて、前記リクエスト変換装置が転送した画像要求を受信し、当該画像要求に含まれるポートの情報から当該画像要求を転送するカメラ装置を特定して当該画像要求を前記特定されたカメラ装置に転送し、前記画像要求に応じて前記カメラ装置が送信した返信メッセージを受信して、当該返信メッセージに含まれるアドレス及びポートを変換してから前記リクエスト変換装置に転送する伝送制御装置と、を備える。
【0012】
また、前記リクエスト変換装置は、前記蓄積装置から画像要求を受信したときには、当該画像要求に含まれる宛先アドレスを前記蓄積装置が設定した前記カメラ装置のアドレスに代わって前記伝送制御装置のアドレスに変換し、前記カメラ装置のアドレスに対応する値を宛先ポートに設定し、当該画像要求の送信元アドレスを前記蓄積装置に代わって当該リクエスト変換装置のアドレスに変換してから当該画像要求を前記伝送制御装置に転送し、前記伝送制御装置から返信メッセージを受信したときには、当該返信メッセージに含まれる宛先アドレスを、前記蓄積装置のアドレスに変換し、前記返信メッセージに含まれる宛先ポートの値を対応する送信元アドレスに変換してから当該返信メッセージを前記蓄積装置へ転送し、前記伝送制御装置は、前記リクエスト変換装置から受信した画像要求に含まれる宛先ポートから、当該画像要求を転送するカメラ装置を特定し、当該特定したカメラ装置に前記画像要求を転送し、前記画像要求に応じて前記カメラ装置が送信した返信メッセージを受信して、当該返信メッセージに含まれる宛先アドレスを前記リクエスト変換装置のアドレスに変換し、前記返信メッセージに含まれる送信元アドレスに対応する値を宛先ポートに設定してから前記リクエスト変換装置に転送する。
【0013】
また、前記カメラ装置は、前記画像要求を受信すると、所定の数の画像を返信メッセージとし送信し、前記伝送制御装置は、他の計算機から受信した優先すべきカメラ装置の情報に基づいて、前記リクエスト変換装置に転送する返信メッセージの優先度を前記カメラ装置毎に設定し、前記優先度に基づいて受信した返信メッセージを転送するタイミングを変更する。
【発明の効果】
【0014】
したがって、本発明は、返信メッセージの優先度に基づいてフレームレートの制御(帯域制御)を行うことで、必要最小限の帯域で画像の転送が可能となり、多数のカメラ装置を備えたシステムにおいても、ネットワークの負荷が過大になるのを抑制することができる。さらに、既存のシステムに適用する際には、カメラ措置と蓄積装置の間にリクエスト変換装置と伝送制御装置を挿入するだけでよいので、導入コスト及び労力を低減することができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本発明を適用するネットワーク映像モニタリングシステムの一例を示すブロック図である。また、図2は、図1に示したネットワーク映像モニタリングシステムの構成要素間の通信の概要を示すブロック図である。
【0017】
図1において、ネットワーク映像モニタリングシステムは、複数のカメラ220を含むカメラ群2−0、2−1と、複数のカメラ220を制御し、所望のカメラ220の画像を表示するセンタ1と、センタ1と各カメラ群2−0、2−1を接続するネットワーク100と、センタ1のセンサ情報変換装置7に接続されてセンサノードからの情報(センサ情報)を転送するセンサネットワーク8を主体に構成される。
【0018】
このネットワーク映像モニタリングシステムは、建造物内などに複数のカメラ220を設置し、監視センタ1の管理者または監視員が複数のカメラ220の画像を監視し、各カメラ220の画像を蓄積装置4に格納していくものである。
【0019】
監視センタ1には、複数のカメラ220のサムネイル画像を表示し、所望のカメラ220の画像を高精細度の画像で表示する表示PC(計算機)5を備え、管理者(または監視員)が表示PC5の入出力装置50に表示されるサムネイル画像または高精細度画像を監視する。また、表示PC5では、予め設定したセンサノードからのイベントに基づいて、このセンサノードの位置に対応するカメラ220の画像を入出力装置50に表示する。センサノードが所定の位置に固定されて、かつ、所定のカメラ220に対応付けられており、このセンサノードのイベントから当該カメラ220の画像を表示PC5に表示させることで、人や物の通過などを監視することができる。また、表示PC5では、管理者が入出力装置50の操作によって指定したカメラ220の画像を高精細度で表示することができる。
【0020】
監視センタ1は、上述の機能を実現するため、画像の表示を行う表示PC5と、カメラ群2−0、2−1から画像を要求して蓄積する蓄積装置4と、カメラ群2−0、2−1から画像のサムネイルと特徴量を取得して表示PC5に配信する検索PC(計算機)6と、蓄積装置4からの画像の要求を後述するように変換するリクエスト変換装置3と、センサネットワーク8からの情報を後述するように変換し、カメラ220の識別子に対応付けたセンサ情報を送信するセンサ情報変換装置7から構成される。以下、各部の詳細について説明する。
【0021】
<カメラ群の構成>
監視センタ1は、複数のカメラ群2−0、2−1を管理しており、各カメラ群は建造物などの所定の領域(例えば、各フロア)毎、あるいは、カメラ220の台数毎に設定され、ひとつのカメラ群2−0、2−1には複数のカメラ220とひとつの伝送制御装置20が含まれる。なお、以下の説明では、カメラ群2−0、2−1の構成は同様であるので、同一のものに同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0022】
所定の位置に設置されたカメラ220は、所定のフレームレートで所定の解像度の画像(動画)を撮像し、出力する。カメラ220は、カメラPC(計算機)210に接続される。
【0023】
カメラPC210は、CPUとメモリ及び通信インターフェースを備えた計算機であり、図2で示すように、カメラ220が撮影した動画を蓄積装置4からの要求に応じて1フレームずつ監視センタ1の蓄積装置4へ送信する。したがって、カメラPC210は、蓄積装置4からの画像要求があったときにのみ、最新の1フレーム(画像)を蓄積装置4へ向けて送信し、その他のフレームについては後述するサムネイル画像の生成と特徴量の抽出が完了すると破棄する。
【0024】
さらに、カメラPC210は、図2で示すように、カメラ220が撮影した画像からサムネイル画像を生成し、また、画像の特徴量を抽出し、これらのサムネイル画像と特徴量を監視センタ1の検索PC(計算機)5へ送信する。サムネイル画像は、カメラ220が撮影した動画の解像度を縮小したものであり、例えば、カメラ220が640×480ドット(VGA)の解像度の画像を出力する場合には、カメラPC210はサムネイル画像として128×96ドットの画像を生成する。また、カメラPC210は、カメラ220が撮影した画像から、エッジ検出や輪郭検出など公知の手法によって、画像の特徴量を抽出する。なお、以下の説明では、カメラ220の原画像の解像度またはサムネイル画像よりも高解像度の画像を高精細度画像という。
【0025】
各カメラPC210から監視センタ1宛に送信された情報と、監視センタ1から各カメラPC210またはカメラ220宛の情報は、伝送制御装置20を介して転送される。
【0026】
ここで、各カメラPC210には所定の識別子(例えば、IPアドレス)が予め付与されており、監視センタ1はこのIPアドレスによりカメラ220を特定する。
【0027】
蓄積装置4は、画像を取得するカメラPC210のIPアドレスを指定して画像要求をリクエスト変換装置3へ送信する。リクエスト変換装置3は、蓄積装置4からの画像要求の宛先を、後述するように各カメラ群の伝送制御装置20のアドレスとポート番号に変換してネットワーク100に送信する。蓄積装置4は、全てのカメラPC210に対してポーリングを行い、各カメラPC210に対する画像要求をリクエスト変換装置に送信する。ただし,1台のカメラPC210に対して並行して2つ以上の要求は発行しない。
【0028】
伝送制御装置20は、ネットワーク100を介してリクエスト変換装置3から画像要求を受信すると、画像要求のポート番号からカメラPC210を特定し、画像要求を特定したカメラPC210へ転送する。このため、カメラPC210は、ポート番号とカメラPC210の対応関係を示す転送先テーブル230を備える。なお、転送先テーブル230は、予め設定されたものであり、図5で示すように設定される。図5については後述する。
【0029】
カメラPC210は、伝送制御装置20からの画像要求に対して最新の画像(高精細度画像)を1フレームだけ返信する。伝送制御装置20は、カメラPC210から受信した画像を含んだメッセージを、当該カメラPC210を特定するポート番号に変換してからリクエスト変換装置3へ送信する。リクエスト変換装置3は、受信した画像のポート番号からカメラPC210のIPアドレスに変換し、蓄積装置4へ送信する。蓄積装置4は、受信した画像の送信元のIPアドレスからカメラPC210を特定して画像を格納していく。
【0030】
伝送制御装置20は、所定の数のカメラPC210を配下に置き、リクエスト変換装置3から転送された画像要求をカメラPC210に転送し、画像要求に対する返信メッセージを受信して、リクエスト変換装置3へ返信する返信メッセージについて、後述するように優先度とセンサ情報に基づいてフレームレートの制御を行う。返信メッセージを転送する優先度の制御を行うため、伝送制御装置20は、図6に示す優先度履歴テーブル240を備える。図6については後述する。
【0031】
また、伝送制御装置20は、モニタリング対象の拠点側(つまり、カメラ群側)、リクエスト変換装置3は集約モニタリングを行う監視センタ1側に置き、その間は広域のネットワーク100に接続されている。これにより、ネットワーク100に流れるトラフィックを削減することが可能となる。
【0032】
なお、本実施形態では、カメラPC210とカメラ220が独立した構成を示したが、カメラPC210とカメラ220が一体となった構成であっても良い。
【0033】
<監視センタの構成>
次に、監視センタ1の構成要素について、図1及び図2を参照しながら以下に説明する。
【0034】
蓄積装置4は、CPUとメモリと通信インターフェース及びストレージ装置を含む計算機で構成されて、多数のカメラPC210を管理下に置き、各カメラPC210に対して画像要求を送信して高精細画像を取得すると共に、表示PCからの蓄積画像取得要求に対して高精細の画像を返信する。
【0035】
センサ情報変換装置7は、CPUとメモリ及び通信インターフェースを備えた計算機で構成され、赤外発信ノード820と名札センサ810と無線基地局80からなるセンサネットワーク8から送られてくる情報を、伝送制御装置20および検索PC6が解釈可能なメッセージ形式および送信手順に変換してそれぞれにメッセージ(センサ情報)を送信する。
【0036】
センサ情報変換装置7は、センサノードの識別子から当該センサノードに対応するカメラPC210の識別子を特定するセンサ−カメラ管理テーブル70を備える。このセンサ−カメラ管理テーブル70は、センサノードのうち固定ノードの識別子に対して、予め設定したカメラPC210のIPアドレスを設定したもので、例えば、固定ノードの近傍を通過する人や物体を撮影可能なカメラ220に接続されたカメラPC210のIPアドレスが設定される。
【0037】
センサ情報変換装置7は、図2で示すように、後述する名札センサ810からのイベントについて無線基地局80を介して受信すると、センサ−カメラ管理テーブル70を参照し、赤外線ノード820の識別子(ID)からカメラPC210のIPアドレスを特定し、このIPアドレスを画像の転送の際に優先すべき画像であることを示す優先カメラIDとして伝送制御装置20に送信する。また、センサ情報変換装置7は、伝送制御装置20に優先カメラIDを送信する際に、検索PC6に名札センサ810からのイベントを送信する。なお、センサ情報変換装置7は、伝送制御装置20と検索PC6に対して優先カメラIDに加えて、イベントを送信した名札センサ810の識別子(名札ID)とこのイベントの種別もセンサ情報として送信する。イベントの種別は、名札センサ810の検出(接近)や、検出した名札センサ810の消失(離脱)など、固定ノードが検知した情報の種別などである。
【0038】
検索PC6は、CPUとメモリと通信インターフェース及びストレージ装置を備えた計算機で構成され、カメラPC210からの画像の特徴量およびサムネイル画像、およびセンサ情報変換装置7から受信したセンサ情報を格納し、表示PC5に対して検知情報(センサネットワークからのセンサ情報)とサムネイル画像を送付する。
【0039】
リクエスト変換装置3は、CPUとメモリ及び通信インターフェースを備えた計算機で構成され、蓄積装置4とカメラPC210の間の通信経路上に配置され、蓄積装置4からカメラPC210に向かう画像要求を中継する際に、伝送制御装置20を経由するようメッセージの送信元と送信先を変更し、かつ、伝送制御装置20から蓄積装置4に向かうメッセージの送信元と送信先を変更する。
【0040】
リクエスト変換装置3は、蓄積装置4からの画像要求に含まれる宛先(カメラPC210のIPアドレス)を各カメラ群の伝送制御装置20のIPアドレスとポート番号に変換し、送信元をリクエスト変換装置3に置き換えたメッセージを伝送制御装置20に送信する。また、リクエスト変換装置3は伝送制御装置20からの返信(画像)に含まれる宛先を蓄積装置4に変換し、送信元を返信に含まれるカメラPC210のIPアドレスに変換したメッセージを蓄積装置4に送信する。このため、リクエスト変換装置3は、カメラPC210のIPアドレスとポート番号を変換するためのアドレス変換テーブル30を備える。アドレス変換テーブル30は、図4に示すように構成され、詳細については後述する。
【0041】
表示PC5は、CPUとメモリ及び通信インターフェースを備えた計算機で構成され、複数のカメラ220のサムネイル画像と、所望のカメラ220の画像を高精細度の画像で入出力装置50に表示する。なお、入出力装置50は、ディスプレイとキーボードやマウスなどで構成される。
【0042】
表示PC5は、入出力装置50の操作により管理者または監視員が指定したカメラPC210の識別子(優先カメラID)を、フレームレートを優先するカメラPC210として伝送制御装置20に通知する。この通知に基づいて、伝送制御装置20は指定されたカメラPC210の優先度履歴テーブル240を更新する。
【0043】
表示PC5で、管理者などが表示させるカメラPC210を指定すると、図2で示すように、表示PC5がカメラPC210の識別子を優先カメラIDとして伝送制御装置20へ送信し、当該優先カメラIDの高精細度画像を蓄積装置4へ要求する。蓄積装置4は表示PC5から要求されたカメラPC210からの画像を受信すると、表示PC5へ転送する。これにより、表示PC5では指定されたカメラPC210のカメラ220が撮影した画像を表示することができる。
【0044】
また、表示PC5は、検索PC6からセンサ情報変換装置7がイベントを受信したセンサ情報を受信すると、センサ情報に含まれる優先カメラIDの画像を取得するように蓄積装置4に指令する。
【0045】
<センサネットワークの構成>
次に、センサネットワーク8について説明する。図1において、センサネットワーク8は、センサ情報変換装置7に接続された無線基地局80と、無線ネットワーク800を介して無線基地局80に接続されたセンサノードから構成される。
【0046】
本実施形態のセンサノードとしては、所定の位置に固定された固定ノードと、人や物体に装着される移動ノードから構成された例を示す。図1において、センサネットワーク8は、予め設定された識別子を赤外線発信機から送信する赤外線ノード820を固定ノードとして備える。また、センサネットワーク8は、移動ノードとして赤外線ノード820から受信した識別子を無線基地局80へ送信する名札センサ810を備える。
【0047】
図13に名札センサ810と赤外線ノード820の構成を示す。赤外線ノード820は、予め設定された識別子を格納するID格納部822と、識別子を発信する赤外線通信部823と、無線基地局80と通信を行う無線通信部821を備える。
【0048】
名札センサ810は、赤外線ノード820から識別子を受信する赤外線通信部813と、予め設定された名札センサ自身の識別子を格納するID格納部812と、赤外線通信部813で受信した赤外線ノード820の識別子と、自身の識別子を無線ネットワーク800へ送信する無線通信部811から構成される。
【0049】
名札センサ810は、赤外線ノード820に接近すると、赤外線通信部813で赤外線ノード820から識別子を受信し、無線基地局80へ自身の識別子と赤外線ノード820の識別子及び赤外線ノード820へ接近したことを示すイベントの種別を送信することで、固定ノードである赤外線ノード820の近傍に名札センサ810が接近したことを通知することができる。逆に、名札センサ810は、赤外線通信を開始した赤外線ノード820から離れて赤外線ノード820の識別子が取得できなくなると、無線基地局80へ自身の識別子と赤外線ノード820の識別子及び赤外線ノード820から離脱したことを示すイベントの種別を送信することで、固定ノードである赤外線ノード820の近傍から名札センサ810が離脱したことを通知することができる。なお、赤外線ノード820の無線通信部821は、赤外線ノード820の識別子の設定などの際にセンサ情報変換装置7や表示PC5等と通信を行うことができる。
【0050】
<蓄積装置とカメラPCの通信手順>
図3は、蓄積装置4がカメラPC210に対して1枚の画像を要求した際の通信手順を示している。
【0051】
蓄積装置4は、蓄積装置4のIPアドレスを送信元、カメラPC210のIPアドレスを送信先にした画像要求メッセージを送信する(S1)。
【0052】
画像要求メッセージの通信系路上にあるリクエスト変換装置3は、画像要求メッセージを中継する際に、画像要求メッセージの送信先を伝送制御装置20のIPアドレスに変更し、さらに、送信元のIPアドレスをリクエスト変換装置3に変更して、画像要求メッセージを伝送制御装置20へ転送する(S2)。このとき、リクエスト変換装置3は、図4に示すアドレス変換テーブル30を参照して、元の送信先のカメラPC210のIPアドレスと、伝送制御装置20のポート番号とを対応付けて変換することで、伝送制御装置20において元の送信先であるカメラPC210を識別可能にする。
【0053】
図4は、リクエスト変換装置3に予め設定されたアドレス変換テーブル30の一例を示す説明図である。アドレス変換テーブル30は、ひとつのエントリに、蓄積装置4のIPアドレスを格納する送信元IP301と、画像要求メッセージの最終的な宛先となるカメラPC210のIPアドレスを格納する送信先IP302と、送信先のポート番号を格納する送信先ポート303と、カメラPC210のIPアドレス(送信先IP302)に代わる宛先として伝送制御装置20のIPアドレスを格納する転送先IP304と、伝送制御装置20の転送先のポート番号を格納する転送先ポート305と、を含む。
【0054】
ここで、本発明のアドレス変換テーブル30では、転送先ポート305の値を送信先IP302のIPアドレスから設定したものである。つまり、送信先のカメラPC210のIPアドレスの一部または全てを転送先ポート305のポート番号とすればよい。これにより、画像要求メッセージを受信する伝送制御装置20では、ポート番号を参照すれば宛先のカメラPC210を容易に識別することができる。なお、IPアドレスとポート番号の間に一対一の対応が取れるのであれば,必ずしもIPアドレスの一部をポート番号とする必要はない。
【0055】
リクエスト変換装置3は、蓄積装置4側から送られてきたメッセージの送信元IPアドレス・送信先IPアドレス・送信先ポートと同じエントリがアドレス変換テーブル30に存在していた場合、そのメッセージの送信元をリクエスト変換装置3のIPアドレスに変更し、送信先をエントリの転送先IP304の内容に変更し、送信先ポートをエントリの転送先ポート305の内容に変更した後に転送を行う。
【0056】
また、伝送制御装置20側から送信先アドレスがリクエスト変換装置3であり、送信元IPアドレス・送信元ポートが、それぞれ転送先アドレス、転送先ポートと等しいエントリがあった場合、そのメッセージの送信元IPアドレスとポートを、当該エントリの送信先IP・ポートの内容に変更した後にメッセージの転送を行う。
【0057】
図4の例では、蓄積装置4のIPアドレスが10.0.0.2、カメラ群2−0の伝送制御装置20のIPアドレスが10.0.2.20、カメラ群2−1の伝送制御装置20のIPアドレスが10.0.2.21である場合を示している。
蓄積装置4が宛先のカメラPC210のIPアドレスとして10.0.1.10の画像要求メッセージを送信すると、リクエスト変換装置3は、アドレス変換テーブル30を参照し、宛先のIPアドレスをカメラ群2−0の伝送制御装置20のIPアドレスである転送先IP304の10.0.2.20に変更し、宛先のポートを転送先ポート305の10110に変更した画像要求メッセージを伝送制御装置20へ転送する。
【0058】
次に、図3のS3では、リクエスト変換装置3から転送された画像要求メッセージを受け取った伝送制御装置20は、図5で示す転送先テーブル230を参照して、受信したポート番号から転送先のカメラPC210を決定し、当該カメラPC210あてに画像要求メッセージを送信する。
【0059】
ここで、図5に示す転送先テーブル230は、伝送制御装置20に予め設定されたものであり、ひとつのエントリに伝送制御装置20が受信したポート番号を格納する受信ポート2301と、画像要求メッセージを転送する宛先を格納する転送先URL2302とを含む。
【0060】
伝送制御装置20は、リクエスト変換装置3から受け取った画像要求メッセージの送信先ポートを調べ、転送先テーブル230を検索し、転送すべきカメラPC210のアドレス(URL)を得る。ここではURLでカメラPC210へのアクセス方法を表現している。例えば、”http://camera1.example.com:80/getimage”であれば、送信先アドレスがcamera1.example.com、送信先ポートが80、送信プロトコルはHTTP、要求は”/getimage”という文字列を渡す、ということを示している。
【0061】
次に、図3において、カメラPC210は、カメラ220からの画像を含んだ返信メッセージを伝送制御装置20に送信する(S4)。この返信メッセージには、高精細画像と当該高精細度画像を転送する優先度を示す情報が含まれている。優先度を示す情報は、カメラPC210が設定したものであり、返信メッセージのパケットに含まれる優先度フィールドの値であり、伝送制御装置20はこれらの優先度に関するフィールドを書き換えることで、蓄積装置4に蓄積される動画のフレームレートを制御する。優先度を示す情報は,ネットワーク100のプロトコルがIPv4であればサービスタイプの値、プロトコルがIPv6であればClassの値として格納しても良い。
【0062】
伝送制御装置20はカメラPC210から返信メッセージを受信し、この返信メッセージ内に含まれる優先度の情報と、センサ情報変換装置7および表示PC5からの情報(センサ情報)に従って当該高精細度画像を含む返信メッセージの送信の優先度を決定する。
【0063】
伝送制御装置20は、送信の優先度が一定の閾値より低い場合は、当該IPアドレスのカメラPC210のメッセージ(画像)を返信せず、カメラPC210あてに再度画像の取得要求を行う(S5)。伝送制御装置20とカメラPC210は上記ステップS4とステップS5を繰り返し、伝送制御装置20は当該カメラPC210の優先度が所定の閾値を超えるか、もしくは一定の上限回数まで繰り返した後に、優先度に従った待ち時間を挿入した後、返信メッセージに優先カメラIDおよび優先度の情報を追加した返信メッセージをリクエスト変換装置3宛に返信する(S6)。なお、伝送制御装置20が付与する待ち時間は、例えば、優先度が低くなるにつれて大きく設定される。
【0064】
ここで、伝送制御装置20が管理するカメラPC210毎の優先度は、図6に示す優先度履歴テーブル240に格納される。図6に示す優先度履歴テーブル240は、伝送制御装置20に予め設定されたものであり、ひとつのエントリにカメラPC210の識別子を格納するカメラID2401と、当該カメラPC210の画像の最新の優先度を格納する最新優先度2402と、画像の優先度の平均値を格納する平均優先度2403と、センサ情報変換装置7や表示PC5から受信した情報を格納するセンサ情報2404とを含む。
【0065】
センサ情報2404には、センサ情報変換装置7からの検出情報(優先カメラID)と、表示PC5からのカメラPC210の優先度の指示が格納される。例えば、図6において、カメラID2401=Camera3のエントリのセンサ情報2404には、表示PC5からの優先度を高める指示があったことを示す情報として”disp”という情報が格納されている。
【0066】
また、図6において、カメラID2401=Camera2のエントリのセンサ情報2404には、センサ情報変換装置7からの名札センサ810の識別子として、”Nameid1”と”Nameid2”が格納されており、これらの識別子を有する名札センサ810が赤外線ノード820の近傍を通過したことを示す。このようにセンサ情報2404に何らかの値が入っている場合、伝送制御装置20は該当カメラIDの情報を最高の優先度で送信する。
【0067】
次に、図3において、伝送制御装置20から返信メッセージを受信したリクエスト変換装置3は、図4に示したアドレス変換テーブル30を参照し、受け取った返信メッセージの送信元アドレスをカメラPC210に変換し、送信先アドレスを蓄積装置4に変換してから当該返信メッセージを蓄積装置4に転送する(S7)。
【0068】
こうして蓄積装置4は、あたかもカメラPC210から高精細画像が返信されたと認識して、画像を蓄積装置4内に格納する。
【0069】
<伝送制御装置における処理>
図7は、伝送制御装置20で行われる処理の一例を示し、リクエスト変換装置3から画像要求メッセージを受信したときに実行される処理のフローチャートである。
【0070】
まず、伝送制御装置20は、リクエスト変換装置3から画像要求メッセージを受信すると、上述のように受信ポートをキーとして転送先テーブル230を検索して転送先のカメラPC210を決定し、画像要求を転送する(S11)。
【0071】
そして、伝送制御装置20はカメラPC210からの返信メッセージを受信し、返信メッセージのヘッダに含まれる画像の優先度、およびカメラ220またはカメラPC210のIDを抽出する(S12)。そして、画像の優先度は変数Pnowに代入しておく。
【0072】
次に伝送制御装置20は、カメラPC210のIDをキーとして優先度履歴テーブル240を検索する(S13)。検索されたエントリ内にセンサ情報が存在していた場合、このカメラPC210の画像は最高の優先度として扱うため、遅延を挿入せずに転送処理を行う(S14、S24、S20)。
【0073】
ステップS20の転送処理では、返信メッセージのヘッダに優先度の情報とセンサ情報を追加して、リクエスト変換装置3に送信する。このとき、返信メッセージ内だけでなくその下位レイヤであるIPレイヤのパケットの優先度の情報として画像の優先度を書き込むことで、伝送制御装置20とリクエスト変換装置3の間のIPネットワークにおいて、IPレベルの優先度制御に利用することも可能である。
【0074】
一方、ステップS14の判定で、検索されたエントリ内にセンサ情報が無かった場合、ステップS15以降で通常の送信優先度決定処理を行う。ステップS15では、返信メッセージに含まれている画像の優先度が0であるか否かを判定する。この判定の結果、返信メッセージに含まれている画像の優先度が0であった場合にはステップS21へ進み、そうでない場合にはステップS16へ進む。
【0075】
ステップS21では、画像の優先度が0であるため、当該画像の優先度は非常に低いと判定し、再度転送先のカメラPC210に画像要求を行う。このとき、画像要求の繰り返しが長期間に及んで蓄積装置4への返信が中断されることを防止するため、繰り返しの回数が所定の上限値である10回未満の時のみ繰り返し処理を行い(S23、S11)、繰り返し回数が10回に達した時点で、優先度を最低にした上で前述の転送処理を行う(S22、S20)。なお、カメラPC210に画像要求を繰り返す際には、ステップS23で所定の遅延(例えば、200msec)を挿入する。
【0076】
一方、ステップS15の判定で、画像の優先度が正の値であった場合は、ステップS16に進んで、上記ステップS12で抽出した現在の画像の優先度Pnowから、優先度履歴テーブル240に格納された平均優先度2403を差し引いた値を、最新の優先度2402として計算する。最新の優先度をP’nowとし、平均優先度をPaveとすると、
P’now=Pnow−Pave
となる。この処理によって、一旦優先度を高く設定したカメラPC210の画像は、センサ情報や表示PC5からの指示がない場合には、時間の経過とともに徐々に優先度が低下することになる。
【0077】
次に、伝送制御装置20はステップ17で、優先度履歴テーブル240内の平均優先度および最新優先度の値の更新を行う。ここでは、前回までの優先度の平均と画像の最新の優先度の間で加重平均を取ることで、新しい平均優先度2403を求める。すなわち、新たな平均優先度をP’aveとすると、
P’ave=(99×Pave+Pnow)÷100
となる。伝送制御装置20は新たな平均優先度P’aveを現在着目しているカメラID2401のエントリの平均優先度2403に格納し、ステップS16で求めた最新の優先度Pnowを最新優先度2402に格納する。
【0078】
次に、ステップS18では、上記ステップS16で求めた最新優先度2402と、優先度履歴テーブル240内の他のカメラIDの最新優先度2402とを比較して、現在着目しているカメラIDの優先度の順位を求める。次に、ステップS19では、当該カメラPC210の送信の優先度が上位3位までに入った場合は、遅延を挿入せずに転送処理に進む。一方、上位4位以下であった場合、当該カメラPC210の送信の優先度の順位が前回の値から下がる毎に所定の遅延(例えば、20msの)を挿入してステップS20の転送処理に進む(すなわち、遅延時間[ms]=(順位−3)*20)。
【0079】
以上の処理により、優先度履歴テーブル240のセンサ情報2404に名札センサ810のIDや表示PC5からの表示の指示が設定されている場合には、カメラPC210から受信した画像(高精細度画像)をそのままリクエスト変換装置3に転送するが、優先度が低下するにつれて遅延が大きくなるため、カメラPC210の画像のフレームレートは低下することになる。
【0080】
すなわち、本実施形態の蓄積装置4は、ひとつのカメラPC210に対して画像の要求を行う際に、1フレームずつ高精細画像を取得するので、高精細度画像が返信されてから、次の画像要求を行うことになり、遅延が大きくなれば一枚の画像を取得する時間がかかり、蓄積装置4に蓄積されるカメラPC210への画像要求の頻度が低下する。この結果、蓄積装置4に蓄積されるカメラPC210からの画像のフレームレートは低下することになる。
【0081】
また、カメラ220の画像の過去の優先度の平均値と最新の優先度の差によって送信の優先度を評価することにより、恒常的に高い優先度を送信してくるカメラ220の画像の優先度を相対的に低下させることができる。
【0082】
次に図8は、伝送制御装置20がセンサ情報変換装置7からセンサ情報を受信した場合のフローチャートである。伝送制御装置20はセンサ情報変換装置7からセンサ情報を受信すると、受信したセンサ情報からカメラIDと、名札IDおよびイベント種別を抽出する(S31)。
【0083】
次に、ステップS32では、伝送制御装置20がステップS31で抽出したイベント種別について、名札センサ810が赤外線ノード820へ接近したのか、検出した名札センサ810が赤外線ノード820から離脱したのかを判定し、接近の場合にはステップS33へ進み、離脱の場合にはステップS34へ進む。
【0084】
イベント種別の判定が名札センサ810が赤外線ノード820へ接近したことを示す接近情報であった場合、伝送制御装置20は、ステップS33でセンサ情報から抽出したカメラIDから優先度履歴テーブル240を検索し、カメラIDに対応するエントリのセンサ情報2404に名札センサ810のIDを追加する。
【0085】
一方、ステップS32の判定で、センサ情報から抽出したイベント種別が離脱情報であった場合、ステップS34で、伝送制御装置20がカメラIDから優先度履歴テーブル240を検索し、当該カメラIDに対応するエントリのセンサ情報2404から名札センサ810のIDを削除する。これにより、一旦、センサ情報2404に名札センサ810のIDを登録して優先度の高くなったカメラIDは、名札センサ810の離脱によりセンサ情報2404から名札センサ810のIDが削除されるので、優先度が低減され、いつまでも優先度が高い状態が保持されるのを防ぐことができる。
【0086】
表示PC5からの優先度変更要求は、優先度を上げたいカメラPC210に対してはカメラ220へのダミーの人物の接近情報を設定し、優先度を下げたいカメラPC210に対してはカメラへの離脱の情報として表示PC5が伝送制御装置20にメッセージを送ることで対応可能である。
【0087】
<メッセージの詳細>
図9は、蓄積装置4が発行する画像要求のメッセージの一例である。HTTPに準拠したメッセージとして、”/getimage”というパスの情報を取得(GET)せよという命令として表現している。この画像要求メッセージを受信したカメラPC210は、1フレームの画像を伝送制御装置20へ送信する。
【0088】
図10は、カメラPC210が発行する上記画像要求に対する返信メッセージの例である。図中、8行目の”X-ICN-Precedence: 20”が画像の優先度を示し、9行目の”X-ICN-Camera-Id: 15”がカメラPC210のカメラIDを示し、11行目の”JFIF”以降が高精細画像のデータを示す。なお、図10は返信メッセージのデータ部を示しており、宛先アドレスと宛先ポートと送信元アドレスと送信元ポートを含むヘッダ部は省略した。
【0089】
図11は、センサ情報変換装置7が送信するセンサ情報のメッセージのフォーマットの一例である。本実施形態では、図中のフォーマットうち、イベント種別と、名札IDと、カメラIDを利用する。上述のようにイベント種別には、名札センサ810の接近または離脱が格納され、名札IDには赤外線ノード820と赤外線で通信した名札センサ810の識別子が格納され、カメラIDには名札センサ810がセンサ情報変換装置7に通知した赤外線ノード820に対応するカメラPC210の識別子が格納される。
【0090】
<リクエスト変換装置の処理>
図12は、リクエスト変換装置3が蓄積装置4または伝送制御装置20からメッセージを受信した際に実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0091】
リクエスト変換装置3は、蓄積装置4または伝送制御装置20からメッセージを受信すると、受信したメッセージの送信元アドレスと、送信先アドレスと、送信元ポートと、送信先ポートを抽出する(S41)。
【0092】
そして、リクエスト変換装置3は、抽出した送信元アドレスと、送信先アドレスと、送信先ポートが、アドレス変換テーブル30の送信元IP301、送信先IP302、送信先ポート303に一致するエントリを検索する(S42)。ステップS43では、上記ステップS42の検索の結果、エントリが存在した場合にはステップS44へ進み、エントリが存在しない場合にはステップS45へ進む。
【0093】
エントリが存在した場合のステップS44では、当該メッセージが蓄積装置4からカメラPC210への画像要求メッセージであると判定し、伝送制御装置20へメッセージを転送するために、メッセージの送信先アドレス、送信先ポートを、検索されたエントリ内の転送先IP304と、転送先ポート305の内容に変更し、メッセージの送信元アドレスをリクエスト変換装置3のIPアドレスに変換してから転送する(S44、S45、S46、S47)。
【0094】
一方、ステップS43の判定で、エントリが存在しない場合は、メッセージの送信先アドレスがリクエスト変換装置3であるか否かを判定する(S48)。判定の結果、リクエスト変換装置3宛のメッセージでない場合には、本メッセージは伝送制御すべきメッセージではないためそのまま転送する(S49、S47)。
【0095】
メッセージの宛先がリクエスト変換装置3の場合は、ステップS50に進んで、受信したメッセージの送信元アドレスと送信元ポートが、アドレス変換テーブル30内の転送先IP304と転送先ポート305に一致するエントリを検索する。そして、ステップS51では、リクエスト変換装置3がエントリの有無を判定して、エントリが存在しなかった場合には、ステップS49、S47に進んで、本メッセージは伝送制御すべきメッセージではないためそのまま転送する。
【0096】
一方、エントリが存在した場合はステップS52へ進む。ステップS52では、本メッセージはカメラPC210から蓄積装置4へ送られた高精彩画像情報であるため、蓄積装置4にメッセージを転送するために、メッセージの送信元アドレスと、送信元ポートと、送信先アドレスを、アドレス変換テーブル30で検索されたエントリ内の送信先IP302と、送信先ポート303と、送信元IP301の内容に変更して転送する(S52、S53、S54、S47)。
【0097】
以上処理により、蓄積装置4がカメラPC210に送信した画像要求メッセージは、宛先アドレスを伝送制御装置20に変更され、宛先ポートをカメラPC210のアドレスに対応するポート番号に変更され、さらに送信元のアドレスをリクエスト変換装置3のIPアドレスに変更することにより、蓄積装置4からの画像要求に対して必ずリクエスト変換装置3へ返信メッセージが送られる。
【0098】
そして、伝送制御装置20からリクエスト変換装置3に宛てた画像要求メッセージに対する返信メッセージは、リクエスト変換装置3で送信元のアドレスとポートを、蓄積装置4が要求したカメラPC210のアドレスとポート番号に変換することで、蓄積装置4はあたかもカメラPC210と直接通信を行っていると同様に処理することができる。
【0099】
したがって、本発明を既存のネットワーク映像モニタリングシステムに適用する際には、カメラPC210と蓄積装置4の間に本発明のリクエスト変換装置3と伝送制御装置20を挿入するだけで、多数のカメラ220の画像の優先度に応じたフレームレートで動画の蓄積を行うことができるのである。そして、優先度に応じたフレームレートに抑制することで、多数のカメラ220を備えたネットワーク映像モニタリングシステムであっても、ネットワークの負荷が過大になるのを抑制することができる。
【0100】
なお、上記実施形態では、画像を撮影するカメラ220と、カメラ220が撮影した画像を監視センタ1側へ転送するカメラPC210を独立して備えた例を示したが、画像を撮影して監視センタ1側へ送信するカメラ装置に置き換えても良い。特に、カメラ装置で撮影した画像を蓄積装置4へ蓄積することを主眼とするネットワーク映像モニタリングシステムまたは映像ネットワークシステムでは、カメラ装置にサムネイルの生成機能や特徴量の抽出機能を備える必要はなく、カメラ装置は画像要求メッセージに応じて1フレームずつ監視センタ1側(伝送制御装置20)へ送信する送信部を備えればよい。
【0101】
また、上記実施形態においては、カメラ装置(カメラ220及びカメラPC210)が、画像要求に応じて1フレームずつ画像を送信する例を示したが、所定数のフレーム(画像)を送信するようにしても良い。
【0102】
<まとめ>
以上のように、本発明では、カメラPC210からの返信メッセージの優先度に基づいてフレームレートの制御(帯域制御)を行うことで、必要最小限の帯域で映像監視が可能となり、多数のカメラ220を備えたシステムにおいても、ネットワークの負荷が過大になるのを抑制することができる。
【0103】
また、本発明では帯域制御を行う際に、カメラ同士が情報交換することはなく、複数のカメラ220(カメラPC210)の情報をもとに通信帯域の調停が可能となり、複数のカメラPC210が一斉に発報(送信)した場合であっても帯域を適切に制限するため、通信帯域が細い通信回線(またはネットワーク)を用いたシステムであっても安定した画像の転送が可能となる。
【0104】
また、カメラ220やカメラPC210に変更を加えることなく、優先度の設定のための新たな手法を導入できるため、画像解析手法の進歩や、新たなセンサデバイスの登場時に迅速に対応することが可能となる。
【0105】
さらに、センサ情報や表示PC5からの指示により優先度を変更可能であるため、監視者が捕らえようとしている画像を高い優先度で配信することができるので、監視の効率を高めることが可能となる。
【0106】
既存の装置(カメラ220、カメラPC210及び蓄積装置4)に変更を加えることなく、コンテンツレベルの情報(センサ情報や表示PC5からの指定)に基づいた帯域制御を行うことが可能となるため、帯域制御機能の導入にかかるコストを最低限に抑えることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
以上のように、本発明は、多数のカメラを備えて画像の転送を行うネットワーク映像モニタリングシステムに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明を適用するネットワーク映像モニタリングシステムの一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示したネットワーク映像モニタリングシステムの構成要素間の通信の概要を示すブロック図である。
【図3】蓄積装置がカメラPCに対して1枚の画像を要求した際の通信手順を示すシーケンス図である。
【図4】リクエスト変換装置のアドレス変換テーブルの一例を示す説明図である。
【図5】伝送制御装置の転送先テーブルの一例を示す説明図である。
【図6】伝送制御装置の優先度履歴テーブルの一例を示す説明図である。
【図7】伝送制御装置で行われる処理の一例を示すフローチャートで、リクエスト変換装置3から画像要求メッセージを受信したときに実行される処理を示す。
【図8】伝送制御装置がセンサ情報変換装置からセンサ情報を受信した場合の処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】蓄積装置が発行する画像要求のメッセージの一例を示す説明図である
【図10】カメラPCが発行する画像要求に対する返信メッセージの一例を示す説明図である。
【図11】センサ情報変換装置が送信するセンサ情報のメッセージのフォーマットの一例を示す説明図である。
【図12】リクエスト変換装置が蓄積装置または伝送制御装置からメッセージを受信した際に実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【図13】名札センサと赤外線ノードの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0109】
1 監視センタ
3 リクエスト変換装置
4 蓄積装置
5 表示PC
6 検索PC
7 センサ情報変換装置
8 センサネットワーク
20 伝送制御装置
30 アドレス変換テーブル
210 カメラPC
220 カメラ
230 転送先テーブル
240 優先度履歴テーブル
810 名札センサ
820 赤外線ノード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を撮影する複数のカメラ装置と、
前記カメラ装置が撮影した画像を蓄積する蓄積装置と、
前記カメラ装置と蓄積装置を接続するネットワークと、を備え、前記蓄積装置が前記カメラ装置に画像要求を送信し、前記カメラ装置は前記画像要求を受信すると画像を返信メッセージとして前記蓄積装置に送信する映像ネットワークシステムにおいて、
前記ネットワークと蓄積装置の間に設置されて、前記蓄積装置が前記カメラ装置に送信した画像要求を受信して、当該画像要求に含まれるアドレス及びポートを変換してから当該画像要求をカメラ装置側へ転送し、前記カメラ装置が前記蓄積装置へ送信した返信メッセージを受信し、当該返信メッセージに含まれるアドレス及びポートを変換してから当該返信メッセージを前記蓄積装置へ転送するリクエスト変換装置と、
前記ネットワークとカメラ装置の間に設置されて、前記リクエスト変換装置が転送した画像要求を受信し、当該画像要求に含まれるポートの情報から当該画像要求を転送するカメラ装置を特定して当該画像要求を前記特定されたカメラ装置に転送し、前記画像要求に応じて前記カメラ装置が送信した返信メッセージを受信して、当該返信メッセージに含まれるアドレス及びポートを変換してから前記リクエスト変換装置に転送する伝送制御装置と、
を備えたことを特徴とする映像ネットワークシステム。
【請求項2】
前記リクエスト変換装置は、
前記蓄積装置から画像要求を受信したときには、当該画像要求に含まれる宛先アドレスを前記蓄積装置が設定した前記カメラ装置のアドレスに代わって前記伝送制御装置のアドレスに変換し、前記カメラ装置のアドレスに対応する値を宛先ポートに設定し、当該画像要求の送信元アドレスを前記蓄積装置に代わって当該リクエスト変換装置のアドレスに変換してから当該画像要求を前記伝送制御装置に転送し、
前記伝送制御装置から返信メッセージを受信したときには、当該返信メッセージに含まれる宛先アドレスを、前記蓄積装置のアドレスに変換し、前記返信メッセージに含まれる宛先ポートの値を対応する送信元アドレスに変換してから当該返信メッセージを前記蓄積装置へ転送し、
前記伝送制御装置は、
前記リクエスト変換装置から受信した画像要求に含まれる宛先ポートから、当該画像要求を転送するカメラ装置を特定し、当該特定したカメラ装置に前記画像要求を転送し、
前記画像要求に応じて前記カメラ装置が送信した返信メッセージを受信して、当該返信メッセージに含まれる宛先アドレスを前記リクエスト変換装置のアドレスに変換し、前記返信メッセージに含まれる送信元アドレスに対応する値を宛先ポートに設定してから前記リクエスト変換装置に転送することを特徴とする請求項1に記載の映像ネットワークシステム。
【請求項3】
前記カメラ装置は、前記画像要求を受信すると、所定の数の画像を返信メッセージとし送信し、
前記伝送制御装置は、
他の計算機から受信した優先すべきカメラ装置の情報に基づいて、前記リクエスト変換装置に転送する返信メッセージの優先度を前記カメラ装置毎に設定し、前記優先度に基づいて受信した返信メッセージを転送するタイミングを変更することを特徴とする請求項1に記載の映像ネットワークシステム。
【請求項4】
前記他の計算機は、前記伝送制御装置に対して返信メッセージの優先度を高く設定するカメラ装置の識別子を指定し、前記優先すべきカメラ装置の情報として送信する第1の計算機であることを特徴とする請求項3に記載の映像ネットワークシステム。
【請求項5】
前記他の計算機は、固定ノードと移動ノードを含むセンサネットワークに接続されて、前記センサネットワークから固定ノードを検出した移動ノードからイベントを受信し、当該イベントから前記固定ノードに対応するカメラ装置を特定するセンサ情報変換装置であって、
前記センサ情報変換装置は、前記特定したカメラ装置の返信メッセージの優先度を高く設定するよう前記伝送制御装置に通知することを特徴とする請求項3に記載の映像ネットワークシステム。
【請求項6】
前記移動ノードは、前記固定ノードと通信を行ったときに前記固定ノードの識別子を取得し、当該固定ノードの識別子と当該移動ノードの識別子を含むイベントを前記センサ情報変換装置に送信し、
前記センサ情報変換装置は、前記イベントに含まれる固定ノードの識別子からカメラ装置を特定して、当該カメラ装置の識別子と前記移動ノードの識別子を前記伝送制御装置に通知することを特徴とする請求項5に記載の映像ネットワークシステム。
【請求項7】
前記他の計算機は、
固定ノードと移動ノードを含むセンサネットワークに接続されて、前記センサネットワークから固定ノードを検出した移動ノードからイベントを受信し、当該イベントから前記固定ノードに対応するカメラ装置を特定し、前記特定したカメラ装置の返信メッセージの優先度を高く設定するよう前記伝送制御装置に通知するセンサ情報変換装置と、
前記センサ情報変換装置から前記通知を受信すると、前記蓄積装置に対して前記特定したカメラ装置の画像を要求する第1の計算機と、
を含むことを特徴とする請求項3に記載の映像ネットワークシステム。
【請求項8】
前記伝送制御装置は、
前記カメラ装置毎に優先度を蓄積し、前記蓄積した優先度の値と前記カメラ装置毎の最新の優先度の値に基づいて優先度を変化させることを特徴とする請求項3に記載の映像ネットワークシステム。
【請求項9】
前記伝送制御装置は、
前記優先度に基づいて遅延時間を設定することで、前記受信した返信メッセージを転送するタイミングを変更することを特徴とする請求項3に記載の映像ネットワークシステム。
【請求項10】
画像を撮影する複数のカメラ装置に接続されて、ネットワークから受信した画像要求を前記カメラ装置へ転送し、前記カメラ装置が送信した画像を含む返信メッセージを前記ネットワークに転送する伝送制御装置であって、
前記伝送制御装置は、
前記ネットワークから受信した前記画像要求に含まれる宛先ポートから当該画像要求を転送するカメラ装置を特定し、当該特定されたカメラ装置に前記画像要求を転送し、
前記画像要求に応じた返信メッセージを前記ネットワークに転送する際に、当該返信メッセージの送信元アドレスに対応する値を宛先ポートに設定し、前記送信元アドレスに当該伝送制御装置のアドレスを設定してから当該返信メッセージを転送し、
他の計算機から受信した優先すべきカメラ装置の情報に基づいて、前記ネットワークに転送する返信メッセージの優先度を前記カメラ装置毎に設定し、前記優先度に基づいて受信した返信メッセージを転送するタイミングを変更することを特徴とする伝送制御装置。
【請求項11】
前記他の計算機は、前記伝送制御装置に対して返信メッセージの優先度を高く設定するカメラ装置の識別子を指定し、前記優先すべきカメラ装置の情報として送信する第1の計算機であることを特徴とする請求項10に記載の伝送制御装置。
【請求項12】
前記他の計算機は、固定ノードと移動ノードを含むセンサネットワークに接続されて、前記センサネットワークから固定ノードを検出した移動ノードからイベントを受信し、当該イベントから前記固定ノードに対応するカメラ装置を特定するセンサ情報変換装置であって、
前記センサ情報変換装置は、前記特定したカメラ装置の返信メッセージの優先度を高く設定するよう前記伝送制御装置に通知することを特徴とする請求項10に記載の伝送制御装置。
【請求項13】
前記移動ノードは、前記固定ノードと通信を行ったときに前記固定ノードの識別子を取得し、当該固定ノードの識別子と当該移動ノードの識別子を含むイベントを前記センサ情報変換装置に送信し、
前記センサ情報変換装置は、前記イベントに含まれる固定ノードの識別子からカメラ装置を特定して、当該カメラ装置の識別子と前記移動ノードの識別子を前記伝送制御装置に通知することを特徴とする請求項12に記載の伝送制御装置。
【請求項14】
前記伝送制御装置は、
前記カメラ装置毎に優先度を蓄積し、前記蓄積した優先度の値と前記カメラ装置毎の最新の優先度の値に基づいて優先度を変化させることを特徴とする請求項10に記載の伝送制御装置。
【請求項15】
前記伝送制御装置は、
前記優先度に基づいて遅延時間を設定することで、前記受信した返信メッセージを転送するタイミングを変更することを特徴とする請求項10に記載の伝送制御装置。
【請求項1】
画像を撮影する複数のカメラ装置と、
前記カメラ装置が撮影した画像を蓄積する蓄積装置と、
前記カメラ装置と蓄積装置を接続するネットワークと、を備え、前記蓄積装置が前記カメラ装置に画像要求を送信し、前記カメラ装置は前記画像要求を受信すると画像を返信メッセージとして前記蓄積装置に送信する映像ネットワークシステムにおいて、
前記ネットワークと蓄積装置の間に設置されて、前記蓄積装置が前記カメラ装置に送信した画像要求を受信して、当該画像要求に含まれるアドレス及びポートを変換してから当該画像要求をカメラ装置側へ転送し、前記カメラ装置が前記蓄積装置へ送信した返信メッセージを受信し、当該返信メッセージに含まれるアドレス及びポートを変換してから当該返信メッセージを前記蓄積装置へ転送するリクエスト変換装置と、
前記ネットワークとカメラ装置の間に設置されて、前記リクエスト変換装置が転送した画像要求を受信し、当該画像要求に含まれるポートの情報から当該画像要求を転送するカメラ装置を特定して当該画像要求を前記特定されたカメラ装置に転送し、前記画像要求に応じて前記カメラ装置が送信した返信メッセージを受信して、当該返信メッセージに含まれるアドレス及びポートを変換してから前記リクエスト変換装置に転送する伝送制御装置と、
を備えたことを特徴とする映像ネットワークシステム。
【請求項2】
前記リクエスト変換装置は、
前記蓄積装置から画像要求を受信したときには、当該画像要求に含まれる宛先アドレスを前記蓄積装置が設定した前記カメラ装置のアドレスに代わって前記伝送制御装置のアドレスに変換し、前記カメラ装置のアドレスに対応する値を宛先ポートに設定し、当該画像要求の送信元アドレスを前記蓄積装置に代わって当該リクエスト変換装置のアドレスに変換してから当該画像要求を前記伝送制御装置に転送し、
前記伝送制御装置から返信メッセージを受信したときには、当該返信メッセージに含まれる宛先アドレスを、前記蓄積装置のアドレスに変換し、前記返信メッセージに含まれる宛先ポートの値を対応する送信元アドレスに変換してから当該返信メッセージを前記蓄積装置へ転送し、
前記伝送制御装置は、
前記リクエスト変換装置から受信した画像要求に含まれる宛先ポートから、当該画像要求を転送するカメラ装置を特定し、当該特定したカメラ装置に前記画像要求を転送し、
前記画像要求に応じて前記カメラ装置が送信した返信メッセージを受信して、当該返信メッセージに含まれる宛先アドレスを前記リクエスト変換装置のアドレスに変換し、前記返信メッセージに含まれる送信元アドレスに対応する値を宛先ポートに設定してから前記リクエスト変換装置に転送することを特徴とする請求項1に記載の映像ネットワークシステム。
【請求項3】
前記カメラ装置は、前記画像要求を受信すると、所定の数の画像を返信メッセージとし送信し、
前記伝送制御装置は、
他の計算機から受信した優先すべきカメラ装置の情報に基づいて、前記リクエスト変換装置に転送する返信メッセージの優先度を前記カメラ装置毎に設定し、前記優先度に基づいて受信した返信メッセージを転送するタイミングを変更することを特徴とする請求項1に記載の映像ネットワークシステム。
【請求項4】
前記他の計算機は、前記伝送制御装置に対して返信メッセージの優先度を高く設定するカメラ装置の識別子を指定し、前記優先すべきカメラ装置の情報として送信する第1の計算機であることを特徴とする請求項3に記載の映像ネットワークシステム。
【請求項5】
前記他の計算機は、固定ノードと移動ノードを含むセンサネットワークに接続されて、前記センサネットワークから固定ノードを検出した移動ノードからイベントを受信し、当該イベントから前記固定ノードに対応するカメラ装置を特定するセンサ情報変換装置であって、
前記センサ情報変換装置は、前記特定したカメラ装置の返信メッセージの優先度を高く設定するよう前記伝送制御装置に通知することを特徴とする請求項3に記載の映像ネットワークシステム。
【請求項6】
前記移動ノードは、前記固定ノードと通信を行ったときに前記固定ノードの識別子を取得し、当該固定ノードの識別子と当該移動ノードの識別子を含むイベントを前記センサ情報変換装置に送信し、
前記センサ情報変換装置は、前記イベントに含まれる固定ノードの識別子からカメラ装置を特定して、当該カメラ装置の識別子と前記移動ノードの識別子を前記伝送制御装置に通知することを特徴とする請求項5に記載の映像ネットワークシステム。
【請求項7】
前記他の計算機は、
固定ノードと移動ノードを含むセンサネットワークに接続されて、前記センサネットワークから固定ノードを検出した移動ノードからイベントを受信し、当該イベントから前記固定ノードに対応するカメラ装置を特定し、前記特定したカメラ装置の返信メッセージの優先度を高く設定するよう前記伝送制御装置に通知するセンサ情報変換装置と、
前記センサ情報変換装置から前記通知を受信すると、前記蓄積装置に対して前記特定したカメラ装置の画像を要求する第1の計算機と、
を含むことを特徴とする請求項3に記載の映像ネットワークシステム。
【請求項8】
前記伝送制御装置は、
前記カメラ装置毎に優先度を蓄積し、前記蓄積した優先度の値と前記カメラ装置毎の最新の優先度の値に基づいて優先度を変化させることを特徴とする請求項3に記載の映像ネットワークシステム。
【請求項9】
前記伝送制御装置は、
前記優先度に基づいて遅延時間を設定することで、前記受信した返信メッセージを転送するタイミングを変更することを特徴とする請求項3に記載の映像ネットワークシステム。
【請求項10】
画像を撮影する複数のカメラ装置に接続されて、ネットワークから受信した画像要求を前記カメラ装置へ転送し、前記カメラ装置が送信した画像を含む返信メッセージを前記ネットワークに転送する伝送制御装置であって、
前記伝送制御装置は、
前記ネットワークから受信した前記画像要求に含まれる宛先ポートから当該画像要求を転送するカメラ装置を特定し、当該特定されたカメラ装置に前記画像要求を転送し、
前記画像要求に応じた返信メッセージを前記ネットワークに転送する際に、当該返信メッセージの送信元アドレスに対応する値を宛先ポートに設定し、前記送信元アドレスに当該伝送制御装置のアドレスを設定してから当該返信メッセージを転送し、
他の計算機から受信した優先すべきカメラ装置の情報に基づいて、前記ネットワークに転送する返信メッセージの優先度を前記カメラ装置毎に設定し、前記優先度に基づいて受信した返信メッセージを転送するタイミングを変更することを特徴とする伝送制御装置。
【請求項11】
前記他の計算機は、前記伝送制御装置に対して返信メッセージの優先度を高く設定するカメラ装置の識別子を指定し、前記優先すべきカメラ装置の情報として送信する第1の計算機であることを特徴とする請求項10に記載の伝送制御装置。
【請求項12】
前記他の計算機は、固定ノードと移動ノードを含むセンサネットワークに接続されて、前記センサネットワークから固定ノードを検出した移動ノードからイベントを受信し、当該イベントから前記固定ノードに対応するカメラ装置を特定するセンサ情報変換装置であって、
前記センサ情報変換装置は、前記特定したカメラ装置の返信メッセージの優先度を高く設定するよう前記伝送制御装置に通知することを特徴とする請求項10に記載の伝送制御装置。
【請求項13】
前記移動ノードは、前記固定ノードと通信を行ったときに前記固定ノードの識別子を取得し、当該固定ノードの識別子と当該移動ノードの識別子を含むイベントを前記センサ情報変換装置に送信し、
前記センサ情報変換装置は、前記イベントに含まれる固定ノードの識別子からカメラ装置を特定して、当該カメラ装置の識別子と前記移動ノードの識別子を前記伝送制御装置に通知することを特徴とする請求項12に記載の伝送制御装置。
【請求項14】
前記伝送制御装置は、
前記カメラ装置毎に優先度を蓄積し、前記蓄積した優先度の値と前記カメラ装置毎の最新の優先度の値に基づいて優先度を変化させることを特徴とする請求項10に記載の伝送制御装置。
【請求項15】
前記伝送制御装置は、
前記優先度に基づいて遅延時間を設定することで、前記受信した返信メッセージを転送するタイミングを変更することを特徴とする請求項10に記載の伝送制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図13】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図13】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−171295(P2009−171295A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−7933(P2008−7933)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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