映像投射装置
【課題】 部品点数を削減して組立て、製造を容易化し、小型化を可能とし、かつ、充分な明るさを有する投射映像が得られるようにする。
【解決手段】 色切替素子8、偏光フィルタ7b、色分離素子9及び偏光ビームスプリッタ10からなる原色成分選択手段と、この原色成分選択手段において光路を分離された光束が入射される液晶パネル1a,1bと、これら液晶パネル1a,1bを経た光束を合成して投射する投射レンズ13とを備える。液晶パネル1a,1bは、それぞれ一つの互いに異なる原色成分に対応する映像に対応する空間変調を行う。
【解決手段】 色切替素子8、偏光フィルタ7b、色分離素子9及び偏光ビームスプリッタ10からなる原色成分選択手段と、この原色成分選択手段において光路を分離された光束が入射される液晶パネル1a,1bと、これら液晶パネル1a,1bを経た光束を合成して投射する投射レンズ13とを備える。液晶パネル1a,1bは、それぞれ一つの互いに異なる原色成分に対応する映像に対応する空間変調を行う。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶パネルなどを用いた空間的変調手段により表示される映像を投射する映像投射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、液晶パネルなどを用いた空間的変調手段により表示される映像を、投射レンズを介して投射する映像投射装置、いわゆる液晶プロジェクタが提案されている。
【0003】このような映像投射装置としては、図42に示すように、透過型の空間的変調手段である液晶パネル101a,101b,101cを3枚備えて構成されたものがある。この映像投射装置においては、例えばハロゲンランプなどの光源102を出射した光束は、インテグレータ103を経て偏光変換システム104に入射され、一方向の直線偏光状態の光束となされる。偏光変換システム104は、多数の偏光ビームスプリッタとこれら偏光ビームスプリッタに対応して配設されたミラー及び二分の一波長板とを有して構成されている。この偏光変換システム104においては、各偏光ビームスプリッタを透過する光束はこの偏光ビームスプリッタの反射面に対してP偏光となっており、また、偏光ビームスプリッタで反射された光束は二分の一波長板を透過することによってやはり偏光ビームスプリッタの反射面に対するP偏光となる。
【0004】偏光変換システム104を経た光束は、第1のコンデンサレンズ105aを経て、第1のミラー106aにより反射されて第1のダイクロイックミラー107aに入射される。この第1のダイクロイックミラー107aに入射した光束は、第1の原色成分が透過し、第2及び第3の原色成分が反射される。第1のダイクロイックミラー107aを透過した第1の原色成分は、第2のミラー106aにより反射され、第2のコンデンサレンズ105bを経て第1の液晶パネル101aに入射される。この第1の液晶パネル101aは、第1の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて透過光を変調する。
【0005】一方、第1のダイクロイックミラー107aにより反射された第2及び第3の原色成分は、第2のダイクロイックミラー107bに入射される。この第2のダイクロイックミラー107bに入射した光束は、第2の原色成分が反射され、第3の原色成分が透過する。この第2のダイクロイックミラー107bにより反射された第2の原色成分は、第3のコンデンサレンズ105cを経て第2の液晶パネル101bに入射される。この第2の液晶パネル101bは、第2の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて透過光を変調する。
【0006】さらに、第2のダイクロイックミラー107bを透過した第3の原色成分は、第4のコンデンサレンズ105d、第3のミラー106c、第5のコンデンサレンズ105e、第4のミラー106d及び第6のコンデンサレンズ105fを順次経て、第3の液晶パネル101cに入射される。この第3の液晶パネル101cは、第3の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて透過光を変調する。
【0007】第1乃至第3の液晶パネル101a,101b,101cを透過した光束は、ダイクロイックプリズム109に三方向から入射されて合成され、このダイクロイックプリズム109から出射される。そして、このダイクロイックプリズム109からの出射光束は、投射レンズ110に入射され、図示しないスクリーンなどに投射される。ダイクロイックプリズム109からの出射光束は、三原色成分が合成されたものであるので、投射レンズ110によって、カラー映像が投射される。
【0008】また、図43に示すように、反射型の空間的変調手段である液晶パネル111a,111b,111cを3枚備えて構成されたものがある。この映像投射装置においては、光源102を出射した光束は、インテグレータ103を経て偏光変換システム104に入射され、一方向の直線偏光状態の光束となされる。偏光変換システム104を経た光束は、第1のコンデンサレンズ105aを経て、ミラー106により反射されて第2のコンデンサレンズ105bを経て、偏光ビームスプリッタ112に入射される。
【0009】ここで、偏光ビームスプリッタ112に対する入射光束は、該偏光ビームスプリッタ112の反射面に対してS偏光となっており、該反射面で反射されて、第1のダイクロイックプリズム113aに入射される。この第1のダイクロイックプリズム113aに入射した光束は、第1の原色成分がプリズム内面で反射され、第2及び第3の原色成分が透過する。第1のダイクロイックプリズム113aの内面で反射された第1の原色成分は、第1の液晶パネル111aに入射される。この第1の液晶パネル111aは、第1の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて反射する。
【0010】一方、第1のダイクロイックプリズム113aを透過した第2及び第3の原色成分は、第2のダイクロイックプリズム113bに入射される。この第2のダイクロイックプリズム113bに入射した光束は、第2の原色成分がプリズム内面で反射され、第3の原色成分が透過する。第2のダイクロイックプリズム113bの内面で反射された第2の原色成分は、第2の液晶パネル111bに入射される。この第2の液晶パネル111bは、第2の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて反射する。
【0011】さらに、第2のダイクロイックプリズム113bを透過した第3の原色成分は、プリズム113cを経て第3の液晶パネル111cに入射される。この第3の液晶パネル111cは、第3の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて反射する。
【0012】第1乃至第3の液晶パネル111a,111b,111cにより反射された光束は、各液晶パネル111a,111b,111cへの入射光束の光路を逆に辿って合成され、第1のダイクロイックプリズム113aから出射され、偏光ビームスプリッタ112に入射する。ここで、偏光ビームスプリッタ112に対する入射光束は、該偏光ビームスプリッタ112の反射面に対してP偏光となっており、該反射面を透過して、投射レンズ110に入射される。第1のダイクロイックプリズム113aからの出射光束は、三原色成分が合成されたものであるので、投射レンズ110によって、図示しないスクリーンなどにカラー映像が投射される。
【0013】上述のような映像投射装置は、いずれも、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の三原色に対応する映像をそれぞれ表示するために、液晶パネルを3枚備えて構成されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のような映像投射装置においては、特に透過型の液晶パネルを備えて構成されたものにおいて、光学部品点数が多く、組立て、製造が煩雑である。また、液晶パネルが透過型のものである場合には、配線等を設ける必要から、開ロ率が制限され、低開口率となる。
【0015】反射型の液晶パネルを用いた場合には、透過型の液晶パネルを用いた場合に比較して、小型化が可能であり、また、開ロ率を高くできる。しかしながら、反射型の液晶パネルを用いた場合には、透過型の液晶パネルを用いた場合に比較して、液晶パネルと投射レンズとの間の距離が長くなり、投射レンズのバックフォーカスが長くなるため、投射レンズ及び偏光ビームスプリッタの口径を大きくしないと、充分な明るさを有する投射映像が得られない。
【0016】そこで、本発明は、上述の実情に鑑みて提案されるものであって、部品点数が削減されて組立て、製造が容易化され、小型化が可能であり、かつ、充分な明るさを有する投射映像が得られるようになされた映像投射装置を提供しようとするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するため、本発明に係る映像投射装置は、入射光のうちの一の原色成分を取り除き他の二の原色成分のみを残すとともに該一の原色成分を時間の経過とともに順次変更する時間的色分離手段と入射光のうちの一の原色成分の光路と他の二の原色成分の光路とを分離させる空間的色分離手段とからなる原色成分選択手段と、この原色成分選択手段において光路を分離された光束の一方が入射される第1の空間的変調手段と該光束の他方が入射される第2の空間的変調手段とからなる変調手段と、この変調手段における各空間的変調手段を経た光束を合成して投射する投射手段とを備えている。
【0018】そして、この映像投射装置は、第1及び第2の空間的変調手段が、時間的色分離手段の各動作状態において、入射光に対し、それぞれ一つの互いに異なる原色成分に対応する映像に対応する空間変調を行うことを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0020】本発明に係る映像投射装置は、図1に示すように、反射型の空間的変調手段である第1及び第2の液晶パネル1a,1bからなる変調手段を備えて構成されている。
【0021】この映像投射装置においては、例えばハロゲンランプなどの光源2を出射した光束は、インテグレータ3を経て偏光変換システム4に入射され、一方向の直線偏光状態の光束となされる。偏光変換システム4は、多数の偏光ビームスプリッタとこれら偏光ビームスプリッタに対応して配設されたミラー及び二分の一波長板とを有して構成されている。この偏光変換システム4においては、各偏光ビームスプリッタを透過する光束はこの偏光ビームスプリッタの反射面に対してP偏光となっており、また、偏光ビームスプリッタで反射された光束は二分の一波長板を透過することによってやはり偏光ビームスプリッタの反射面に対するP偏光となる。
【0022】偏光変換システム4を経た光束は、第1のコンデンサレンズ5aを経て、ミラー6により反射されて第2のコンデンサレンズ5bを経て、原色成分選択手段に入射される。この原色成分選択手段は、第1の偏光板7aと、時間的色分離手段となる色切替素子8及び偏光選択素子である第2の偏光板7bと、空間的色分離手段となる色分離素子9及び立方体状の偏光ビームスプリッタ10とが順次配列されて構成されている。この偏光ビームスプリッタ10は、偏光依存性のある反射面10aを備えている。各偏光板7e,7bは、特定の偏光方向の光束のみを透過させるものである。
【0023】色切替素子8は、入射光のうちの一の原色成分の偏光状態と他の二の原色成分の偏光状態とを互いに異なるものとさせるとともに、該一の原色成分を時間の経過とともに順次変更することができるものである。例えば、色切替素子8は、第1の期間において、白色の入射光のうちの第1の原色成分と、第2及び第3の原色成分との偏光状態を互いに異なる(直交する)ものとし、続く第2の期間において、入射光のうちの第2の原色成分と、第1及び第3の原色成分との偏光状態を互いに異なる(直交する)ものとする。そして、色切替素子8は、このような第1の期間及び第2の期間を順次繰り返す動作を行う。
【0024】このような色切替素子8は、液晶セルと位相差板とを使って構成することができる。例えば、カラーリンク(Color Link)社から「カラースイッチ(Color Switch)」(商品名)として販売されているものは、このような色切替素子である。
【0025】そして、色切替素子8の出射光束が第2の偏光板7bを透過することによって、この色切替素子8に対する入射光束のうちの一の原色成分が取り除かれ、他の二の原色成分のみが残る(透過する)こととなる。そして、この一の原色成分は、時間の経過とともに順次変更される。
【0026】また、色分離素子9は、図13に示すように、分離したい原色成分の偏光軸を入射光束の偏光軸に対して直交する方向に変換する機能をもつ。すなわち、色分離素子9は、入射光のうちの一の原色成分の偏光状態と他の二の原色成分の偏光状態とを互いに異なるものとさせるので、偏光ビームスプリッタ10と併せて用いることにより、一の原色成分の光路と他の二の原色成分の光路とを互いに異なるものとさせることができる。
【0027】このような色分離素子9は、位相差板を積層することで構成することができる。このような色分離素子については、例えば、「SlD99ダイジェスト(1072頁乃至1075頁)」に報告されており、また、例えば、カラーリンク(Color Link)社から「カラーセレクト(Color Select)」(商品名)として販売されているものは、このような色分離素子である。
【0028】ここで、色分離素子9及び偏光ビームスプリッタ10として、例えば、第3の原色成分のみが偏光ビームスプリッタ10の反射面10aに対してS偏光となってこの反射面10aで反射されるものとしておく。そして、上述した色切替素子8の動作と併せると、この偏光ビームスプリッタ10においては、第1の期間においては、第2の偏光板7bの作用により、第2及び第3の原色成分のみが入射され、第2の原色成分のみが偏光ビームスプリッタ10の反射面10aを透過し、第3の原色成分のみが偏光ビームスプリッタ10の反射面10aで反射される。また、この偏光ビームスプリッタ10においては、第2の期間においては、第2の偏光板7bの作用により、第1及び第3の原色成分のみが入射され、第1の原色成分のみが偏光ビームスプリッタ10の反射面10aを透過し、第3の原色成分のみが偏光ビームスプリッタ10の反射面10aで反射される。
【0029】そして、偏光ビームスプリッタ10に入射した光束のうち、反射面10aを透過した光束は、第1の液晶パネル1aに入射され、反射面10aにより反射された光束は、第2の液晶パネル1bに入射される。
【0030】第1の液晶パネル1aは、上述した第1の期間においては、第2の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて反射し、また、第2の期間においては、第1の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて反射する。そして、第2の液晶パネル1bは、第1及び第2の期間に亘って、第3の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて反射する。
【0031】第1及び第2の液晶パネル1a,1bにより反射された光束は、各液晶パネル1a,1bへの入射光束の偏光方向に対して直交する方向の偏光方向となされて、偏光ビームスプリッタ10に戻り、偏光ビームスプリッタ10の反射面10aにおいて合成され、該偏光ビームスプリッタ10より射出される。そして、偏光ビームスプリッタ10よりの射出光束は、投射手段に入射される。投射手段は、色合成素子11、第3の偏光板12及び投射レンズ13から構成されている。
【0032】色合成素子11は、色分離素子9と同様に、位相差板を積層することで構成することができる。色合成素子11は、互いに偏光軸が直交する異なる原色成分の光束を、一方向の直線偏光に変換して合成する機能を持つ。
【0033】色合成素子11からの射出光束は、第3の偏光板12を経て、投射レンズ13によって、図示しないスクリーンなどにカラー映像が投射される。なお、第3の偏光板12は、偏光軸を、直線偏光である色合成素子11からの射出光束を透過させるの方向として配設されている。
【0034】偏光ビームスプリッタ10からの出射光束は、時間的に積分すれば、三原色成分が合成されたものであるので、投射レンズ13によって、カラー映像が投射される。
【0035】また、この映像投射装置は、上述の実施の形態に示した立方体状の偏光ビームスプリッタ10に代えて、図2に示すように、六角柱状の偏光ビームスプリッタ14を用いても構成することができる。この偏光ビームスプリッタ14は、偏光依存性のある反射面14aを備えている。
【0036】この映像投射装置においても、偏光ビームスプリッタ14に光束を入射させる光学系の構成及び該光束の状態、並びに、該偏光ビームスプリッタ14より射出された光束が入射される光学系の構成及び該光束の状態は、前述した実施の形態におけるものと同様である。なお、この図2に示す映像投射装置においては、光源2から偏光ビームスプリッタ14に至る光路上においてミラー6を省いている。
【0037】さらに、本発明に係る映像投射装置においては、上述したような偏光ビームスプリッタ10,14に限らず、偏光方向に応じて光束を分離する機能を有する光学素子であれば、いずれのものを用いても構成することができる。
【0038】そして、上述した各実施の形態においては、色切替素子8が光源2と偏光ビームスプリッタ10,14との間の光路上に配設されていたが、本発明に係る映像投射装置は、図3及び図4に示すように、色切替素子8を偏光ビームスプリッタ10,14から射出された光束の光路上に配設してもよい。図3に示す映像投射装置は、立方体状の偏光ビームスプリッタ10を用いて構成した場合であり、図4に示す映像投射装置は、六角柱状の偏光ビームスプリッタ14を用いて構成した場合である。
【0039】この場合には、光源2からの光束は、インテグレータ3、偏光変換システム4、第1のコンデンサレンズ5a、ミラー6、第2のコンデンサレンズ5b、第1の偏光板7a及び色分離素子9を経て、偏光ビームスプリッタ10,14に入射される。なお、ミラー6は省いてもよい。そして、偏光ビームスプリッタ10,14からの出射光束は、色合成素子11、色切替素子8及び第2の偏光板7bを経て、投射レンズ13に入射される。すなわち、色切替素子8は、色合成素子11と投射レンズ13との間に配設される。
【0040】また、本発明に係る映像投射装置は、図5及び図6に示すように、上述の各実施の形態において色切替素子8の後に配置されていた第2の偏光板7bに代えて、偏光選択素子として、立方体状の偏光ビームスプリッタ15、または、六角柱状の偏光ビームスプリッタ16を配置しても構成することができる。これら偏光ビームスプリッタ15,16は、色切替素子8の作用によって変換された偏光状態を検出する、すなわち、所定の偏光方向の光束のみを通過させるためのものである。
【0041】図5に示す映像投射装置においては、偏光ビームスプリッタ15の反射面15aを透過した光束のみが、色分離素子9及び各液晶パネル1a,1bを経て投射レンズ13に至る。また、図6に示す映像投射装置においては、偏光ビームスプリッタ16の反射面16aにより反射された光束のみが、色分離素子9及び各液晶パネル1a,1bを経て投射レンズ13に至る。
【0042】さらに、本発明に係る映像投射装置は、図7R>7及び図8に示すように、反射型の色切替素子17を用いても構成することができる。この色切替素子17は、入射光束のうちの一の原色成分の偏光状態と他の二の原色成分の偏光状態とを互いに異なるものとさせて反射するとともに、該一の原色成分を時間の経過とともに順次変更する機能を有する。したがって、この色切替素子17からの反射光束を偏光板、または、偏光ビームスプリッタを透過させることにより、この色切替素子17に対する入射光束のうちの一の原色成分を取り除き他の二の原色成分のみを残すことができ、また、該一の原色成分を時間の経過とともに順次変更することができる。
【0043】図7に示す映像投射装置においては、光源2から発せられた光束は、インテグレータ3、偏光変換システム4、第1のコンデンサレンズ5a、第1の偏光板7aを経て、偏光ビームスプリッタ15に入射される。この偏光ビームスプリッタ15に対する入射光束は、偏光変換システム4及び第1の偏光板7aの作用により、反射面15aに対してS偏光となっており、この反射面15aにより反射されて偏光ビームスプリッタ15より出射して色切替素子17に至る。そして、この色切替素子17の反射光束は、偏光方向を90°変換されて偏光ビームスプリッタ15に再入射し、反射面15aに対してP偏光となっているためにこの反射面15aを透過して、該偏光ビームスプリッタ15より出射して、第2のコンデンサレンズ5bを経て色分離素子9に入射する。この光束は、以降は、図2、図5及び図6に示す上述した実施の形態における光学系と同様の光学系を経て、投射レンズ13に至る。
【0044】また、図8に示す映像投射装置においては、光源2から発せられた光束は、インテグレータ3、偏光変換システム4、第1のコンデンサレンズ5aを経て、偏光ビームスプリッタ16に入射される。この偏光ビームスプリッタ16に対する入射光束は、偏光変換システム4の作用により、反射面16aに対してP偏光となっており、この反射面15aを透過して偏光ビームスプリッタ16より出射して色切替素子17に至る。そして、この色切替素子17の反射光束は、偏光方向を90°変換されて偏光ビームスプリッタ16に再入射し、反射面16aに対してS偏光となっているためにこの反射面16aにより反射され、該偏光ビームスプリッタ16より出射して、四分の一波長(λ/4)板18を経て反射板19に至る。この反射板19からの反射光束は、再び四分の一波長板18を経て、反射面16aに対してP偏光となされて、偏光ビームスプリッタ16に再入射し、反射面16aを透過して該偏光ビームスプリッタ16から射出する。この偏光ビームスプリッタ16からの出射光束は、第2のコンデンサレンズ5bを経て色分離素子9に入射する。この光束は、以降は、図2、図5及び図6に示す上述した実施の形態における光学系と同様の光学系を経て、投射レンズ13に至る。
【0045】そして、本発明に係る映像投射装置は、図9R>9乃至図12に示すように、時間的色分離手段として、カラーホイール20を用いて構成することができる。このカラーホイール20は、入射光のうちの第1の原色成分を遮断し第2及び第3の原色成分を透過させる第1のフィルタと、入射光のうちの第2の原色成分を遮断し第1及び第3の原色成分を透過させる第2のフィルタとを有しており、これらフィルタを時間の経過とともに順次光路上に位置させることによって、一の原色成分を時間の経過とともに順次変更するものである。第1及び第2のフィルタは、回転操作可能に支持された円盤状部材に取付けられている。カラーホイール20においては、円盤状部材を回転操作されることにより、第1及び第2のフィルタを時間の経過とともに順次光路上に位置させる。
【0046】図9に示す映像投射装置においては、光源2を出射した光束は、インテグレータ3、偏光変換システム4、第1のコンデンサレンズ5a、ミラー6、第2のコンデンサレンズ5b及び第1の偏光板7aを経て、色分離素子9に入射され、さらに、立方体状の偏光ビームスプリッタ10に入射される。
【0047】ここで、色分離素子9及び偏光ビームスプリッタ10として、例えば、第3の原色成分のみが偏光ビームスプリッタ10の反射面10aに対してS偏光となってこの反射面10aで反射されるものとしておく。すると、偏光ビームスプリッタ10への入射光束のうち、第1及び第2の原色成分は、反射面10aを透過して第1の液晶パネル1aに至り、第3の原色成分のみが、反射面10aにより反射されて第2の液晶パネル1bに至る。この場合においては、第1の液晶パネル1aは、第1の期間においては、第2の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて反射し、また、第2の期間においては、第1の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて反射するようにしておく。そして、第2の液晶パネル1bは、第1及び第2の期間に亘って、第3の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて反射するようにしておく。
【0048】第1及び第2の液晶パネル1a,1bにより反射された光束は、各液晶パネル1a,1bへの入射光束の偏光方向に対して直交する方向の偏光方向となされて、偏光ビームスプリッタ10に戻り、偏光ビームスプリッタ10の反射面10aにおいて合成され、該偏光ビームスプリッタ10より射出され、カラーホイール20に入射される。
【0049】カラーホイール20は、第1の期間においては、第1のフィルタを光路上に位置させて第2及び第3の原色成分を透過させ、第2の期間においては、第2のフィルタを光路上に位置させて第1及び第3の原色成分を透過させる。
【0050】カラーホイール20を経た光束は、投射レンズ13を有して構成されている投射手段に入射される。偏光ビームスプリッタ10から出射されカラーホイール20を経た光束は、時間的に積分すれば、三原色成分が合成されたものであるので、投射レンズ13によって、カラー映像が投射される。
【0051】また、図10に示す映像投射装置においては、光源2を出射した光束は、インテグレータ3、偏光変換システム4、第1のコンデンサレンズ5a、ミラー6、第2のコンデンサレンズ5b及び第1の偏光板7aを経て、色分離素子9に入射され、さらに、立方体状の偏光ビームスプリッタ10に入射される。
【0052】ここで、色分離素子9及び偏光ビームスプリッタ10として、例えば、第3の原色成分のみが偏光ビームスプリッタ10の反射面10aに対してP偏光となってこの反射面10aを透過するものとしておく。すると、偏光ビームスプリッタ10への入射光束のうち、第1及び第2の原色成分は、反射面10aで反射されて第2の液晶パネル1bに向かい、第3の原色成分のみが、反射面10aを透過して第1の液晶パネル1aに至る。この場合においては、第2の液晶パネル1bは、第1の期間においては、第2の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて反射し、また、第2の期間においては、第1の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて反射するようにしておく。そして、第1の液晶パネル1aは、第1及び第2の期間に亘って、第3の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて反射するようにしておく。
【0053】この映像投射装置においては、偏光ビームスプリッタ10と第2の液晶パネル1bとの間に、カラーホイールが配設されている。したがって、反射面10aで反射されて第2の液晶パネル1bに向かった第1及び第2の原色成分は、第1の期間においては、カラーホイール20が第1のフィルタを光路上に位置させて第2及び第3の原色成分を透過させていることにより、第2の原色成分のみが第2の液晶パネル1bに到達し、第2の期間においては、カラーホイール20が第2のフィルタを光路上に位置させて第1及び第3の原色成分を透過させていることにより、第1の原色成分のみが第2の液晶パネル1bに到達する。
【0054】そして、第1及び第2の液晶パネル1a,1bにより反射された光束は、各液晶パネル1a,1bへの入射光束の偏光方向に対して直交する方向の偏光方向となされて、偏光ビームスプリッタ10に戻り、偏光ビームスプリッタ10の反射面10aにおいて合成され、該偏光ビームスプリッタ10より射出され、投射レンズ13を有して構成されている投射手段に入射される。偏光ビームスプリッタ10から出射された光束は、時間的に積分すれば、三原色成分が合成されたものであるので、投射レンズ13によって、カラー映像が投射される。
【0055】図11に示す映像投射装置においては、光源2を出射した光束は、第1のコンデンサレンズ5aを経て、まず、カラーホイール20に入射される。カラーホイール20を経た光束は、第2のコンデンサレンズ5b、インテグレータ3、偏光変換システム4、第3のコンデンサレンズ5c、第4のコンデンサレンズ5d及び第1の偏光板7aを経て、色分離素子9に入射され、さらに、六角柱状の偏光ビームスプリッタ14に入射される。
【0056】ここで、カラーホイール20は、第1の期間においては、第1のフィルタを光路上に位置させて第2及び第3の原色成分を透過させ、第2の期間においては、第2のフィルタを光路上に位置させて第1及び第3の原色成分を透過させるものとしておく。そして、色分離素子9及び偏光ビームスプリッタ14として、例えば、第3の原色成分のみが偏光ビームスプリッタ14の反射面14aに対してS偏光となってこの反射面14aで反射されるものとしておく。
【0057】すると、偏光ビームスプリッタ14へは、第1の期間においては、第2及び第3の原色成分が入射され、第2の原色成分が反射面14aを透過して第1の液晶パネル1aに至り、第3の原色成分が反射面14aにより反射されて第2の液晶パネル1bに至る。また、第2の期間においては、偏光ビームスプリッタ14へは、第1及び第3の原色成分が入射され、第1の原色成分が反射面14aを透過して第1の液晶パネル1aに至り、第3の原色成分が反射面14aにより反射されて第2の液晶パネル1bに至る。
【0058】この場合においては、第1の液晶パネル1aは、第1の期間においては、第2の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて反射し、また、第2の期間においては、第1の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて反射するようにしておく。そして、第2の液晶パネル1bは、第1及び第2の期間に亘って、第3の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて反射するようにしておく。
【0059】第1及び第2の液晶パネル1a,1bにより反射された光束は、各液晶パネル1a,1bへの入射光束の偏光方向に対して直交する方向の偏光方向となされて、偏光ビームスプリッタ14に戻り、偏光ビームスプリッタ14の反射面14aにおいて合成され、該偏光ビームスプリッタ14より射出され、投射レンズ13を有して構成されている投射手段に入射される。
【0060】偏光ビームスプリッタ14から出射され投射レンズ13に入射した光束は、時間的に積分すれば、三原色成分が合成されたものであるので、投射レンズ13によって、カラー映像が投射される。
【0061】そして、図12に示す映像投射装置においては、空間変調素子として、透過型の液晶パネルを用いている。この映像投射装置においては、光源2を出射した光束は、インテグレータ3、偏光変換システム4、第1のコンデンサレンズ5a及び第1の偏光板7aを経て、色分離素子9に入射され、さらに、立方体状の偏光ビームスプリッタ15に入射される。
【0062】ここで、色分離素子9及び偏光ビームスプリッタ15として、例えば、第3の原色成分のみが偏光ビームスプリッタ15の反射面15aに対してS偏光となってこの反射面15aで反射されるものとしておく。偏光ビームスプリッタ15の反射面15aで反射された第3の原色成分の光束は、第1のリレーレンズ21a、第1のミラー6a、第2のリレーレンズ21b、第2のミラー6b及び第2のコンデンサレンズ5bを経て、第1の液晶パネル1cに入射される。一方、偏光ビームスプリッタ15の反射面15aを透過した第1及び第2の原色成分の光束は、第3のコンデンサレンズ5c、色切替素子8及び第2の偏光板7bを経て、第2の液晶パネル1dに入射される。そして、第1及び第2の液晶パネル1c,1dを透過した光束は、光束合成を行う偏光ビームスプリッタ10に二方向から入射される。
【0063】第1及び第2の液晶パネル1a,1bを透過した光束は、偏光ビームスプリッタ10の反射面10aにおいて合成され、該偏光ビームスプリッタ10より射出され、投射レンズ13を有して構成されている投射手段に入射される。
【0064】ここで、色切替素子8は、第1の期間においては、第2の原色成分を偏光ビームスプリッタ10の反射面10aに対するS偏光とし、第2の期間においては、第1の原色成分を偏光ビームスプリッタ10の反射面10aに対するS偏光とするものとしておく。
【0065】すると、偏光ビームスプリッタ10へは、第1の期間においては、第2の液晶パネル1dを透過した第2の原色成分が入射され、第2の期間においては、第2の液晶パネル1dを透過した第1の原色成分が入射される。また、この偏光ビームスプリッタ10へは、第1及び第2の期間に亘って、第1の液晶パネル1cを透過した第3の原色成分が入射される。
【0066】この場合においては、第2の液晶パネル1dは、第1の期間においては、第2の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて透過させ、また、第2の期間においては、第1の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて透過させるようにしておく。そして、第1の液晶パネル1cは、第1及び第2の期間に亘って、第3の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて透過させるようにしておく。
【0067】偏光ビームスプリッタ10から出射され投射レンズ13に入射した光束は、時間的に積分すれば、三原色成分が合成されたものであるので、投射レンズ13によって、カラー映像が投射される。
【0068】上述の実施の形態中に示したカラーホイールにおける第1及び第2のフィルタは、入射光のうちの第1の原色成分を吸収し第2及び第3の原色成分を反射させるものと、入射光のうちの第2の原色成分を吸収し第1及び第3の原色成分を反射させるものであってもよい。すなわち、カラーホイールは、反射させたい原色に塗り分けられた円盤状の部材を有し、この円盤状部材を回転操作する構成のものでもよい。
【0069】なお、上述した各実施の形態において、色分離素子9への入射光束が透過する偏光板は、色分離素子9へ偏光度のよい直線偏光光束を入射させる目的で用いている。色分離素子9に入射する光束の偏光度を向上させることにより、色分離特性を良好なものとすることができる。色分離素子9における色分離特性が良好であれば、偏光ビームスプリッタにおけるP偏光とS偏光との分離特性及び色合成素子の機能は、必ずしも良好であることを要しない。
【0070】
【実施例】次に、本発明に係る映像投射装置における、色分離素子及び色切替素子の色の組み合わせの例について説明する。まず、図1及び図2により示した映像投射装置について説明する。
【0071】(例1)色分離素子においてレッド(R)とシアン(C)とに分離し、色切替素子においてマゼンタ(M)とイエロー(Y)との切替えを行う。
【0072】図14に示すように、色分離素子にてレッド成分とシアン成分とに分離し、色切替素子にてマゼンタ成分とイエロー成分とに時間的に原色成分を分割する。ここで、シアン成分の偏光方向を偏光ビームスプリッタの反射面に対してのS偏光方向とした場合、シアン成分は該反射面により反射されて、第1の液晶パネルLV1に入射し、レッド成分は該反射面を透過し、第2の液晶パネルLV1に入射する。
【0073】そして、第2の液晶パネルLV2は、レッド成分の変調を受け持つ。第1の液晶パネルLV1は、プルー成分及びグリーン成分の変調を受け持つ。色切替素子は、第2の液晶パネルLV2と同期して色切替えを行う。つまり、色切替素子は、第2の液晶パネルLV2でブルー成分の変調をしている時刻においては、マゼンタ成分、第2の液晶パネルLV2でグリーン成分の変調をしている時刻においては、イエロー成分のフィルタとなっている。第1の液晶パネルLV1は、どの時刻においても、レッド成分の変調を受け持つている。色切替素子において、マゼンタ(=ブルー+レッド)、イエロー(=グリーン+レッド)の色の切替えが必要な理由がここにある。
【0074】以上のように、色分離素子と色切替素子の組み合わせで3原色を再現することが可能となる。ちなみに、色分離素子で分離したシアンの偏光方向を偏光ビームスプリッタの反射板に対してP偏光方向とした場合には、第1及び第2の液晶パネルLV1,LV2の配置を入れかえれば良い。
【0075】(例2)色分離素子においてブルー(B)とイエロー(Y)とに分離し、色切替素子においてシアン(C)とマゼンタ(M)との色切替えを行う。
【0076】この場合には、第1の液晶パネルLV1においてブルー成分の変調を行い、第2の液晶パネルLV2においてグリーン成分及びレッド成分の変調を行う。
【0077】(例3)色分離素子においてグリーン(G)とマゼンタ(M)とに分離し、色切替素子においてシアン(C)とイエロー(Y)との色切替えを行う。
【0078】この場合には、第1の液晶パネルLV1においてグリーン成分の変調を行い、第2の液晶パネルLV2においてブルー成分及びレッド成分の変調を行う。
【0079】(例4)そして、ここからの3例は、第1及び第2の液晶パネルLV1,LV2ともに、2色の原色成分について変調を行う場合である。
【0080】すなわち、図15に示すように、色分離素子において、ブルー(B)+ブルーイッシュグリーン(BG:グリーン1)と、レッド(R)+レッディシュグリーン(RG:グリーン2)とに分離し、色切替素子において、シアンとイエローとの色切替えを行う。そして、第1の液晶パネルLV1において、ブルー成分及びブルーイッシュグリーン成分の変調を行い、第2の液晶パネルLV2において、レッド成分及びレッディシュグリーン成分の変調を行う。
【0081】(例5)また、図16に示すように、色分離素子において、ブルー(B)+レッディシュグリーン(RG:グリーン2)と、レッド(R)+ブルーイッシュグリーン(BG:グリーン1)とに分離し、色切替素子において、ブルー(B)+ブルーイッシュグリーン(BG)と、レッド(R)+レッディシュグリーン(RG:グリーン2)との色切替えを行う。そして、第1の液晶パネルLV1において、ブルー成分及びレッディシュグリーン成分の変調を行い、第2の液晶パネルLV2において、レッド成分及びブルーイッシュグリーン成分の変調を行う。
【0082】上述のようなフィルタの設計例のどれを採用するかについては、光源の発光特性との組み合わせにおいて決定されるべきものである。光源においてレッドの演色性か悪ければ、(例1)の構成が、ブルーの演色性が悪ければ、(例2)の構成が、グリーンの演色性か悪ければ、(例3)の構成が、光源の色バランスが良い場合には、(例4)の構成が、それぞれ適している。
【0083】(例6)色分離素子においてレッド(R)とシアン(C)とに色分離し、色切替素子においてマゼンタ(M)、イエロー(Y)及びホワイト(W)の色切替えを行う。
【0084】この場合には、第1の液晶パネルLV1において、レッド成分及びホワイト成分の変調を行い、第2の液晶パネルLV2において、ブルー成分、グリーン成分及びホワイト成分の変調を行う。
【0085】(例1)との違いは、時間的色切替えが3色となっている点である。この構成のメリットは、ホワイトが加わることで、白の明るさを向上できる点と、後に述べる動画表示における「色割れの問題」を軽減できる点である。
【0086】色の組み合わせについては、上述の(例2)乃至(例5)における色切替えにホワイトを加えることも同様に可能である。
【0087】次に、色切替素子の設計例を示す。ここでは、上述の(例1)の場合について説明する。
【0088】位相差板と偏光板との組み合わせにより、色フィルタを設計することができるが、図17に、位相差板を2枚使う構成を示す。各位相差板の遅相軸を、図1717に示すように、以下の2値とする。
【0089】
{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
これは、フォルデッド−ソルク−フィルタ(Folded Solc filter)の理論に基づいている。位相差板の材料をポリカーボネイト(Polycarbonate)とし、この材料の△nd(△n:屈折率異方性、d:厚さ)(以下、△ndと記す)を変化させた場合の偏光板通過後の分光透過率を、図18に示す。ここで、2枚の位相差板の位相差は等量変化させている。 波長550nmにおけるリターデーションが、3λ/2、2.17λ/2の透過率を示している。それぞれが、マゼンタ成分、イエロー成分のフィルタになっている。
【0090】ところで、レッド、グリーン、ブルー(RGB)3色に対しそれぞれに変調素子を配置する、いわゆる「3板構成」の映像投射装置では、3色分離フィルタの透過率の総和は100%以下である。それに対し、時分割色切替えを用いた場合、それぞれのフィルタの特性の総和を透過率100%以上とすることができる。
【0091】図17において、ブルー成分とグリーン成分の切り替わり部分で、それぞれの透過率の特性はオーバーラップしている。つまり、マゼンタ成分の透過率及びイエロー成分の透過率を足し合わせた場合のように、100%以上になる波長域が存在する。このようなフィルタの設計にすることで、投射する映像の明るさを改善することができる。
【0092】(設計例1)上述のマゼンタ成分、イエロー成分のリターデーション変化量は、以下の式により、228nmとなる。
【0093】
(550nm/2)・(3−2.17)=228nmさて、この位相差の切替えを、液晶セルを使って実現する。例としては、「ベント配向セル」を使った場合について説明する。液晶材料の△n、セルギャップd、切替える電圧V1、V2を適当に選ぶことにより、図19に示すように、求めるリターデーション変化量になるように設計することができる。
【0094】これと、ポリカーボネート延伸フィルムによる位相差板とを、図20に示すように、第1の液晶セル、第1の位相差板、第2の液晶セル、第2の位相差板の順に組み含わせ、液晶駆動電圧V1の時のリターデーシヨンと位相差板のリターデーションを足し合わせたものが、(550nm/2)・3=825nmになるようにする。
【0095】第1の液晶セル及び第1の位相差板の遅相軸を、以下の値とする。
【0096】
{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第2の液晶セル及び第2の位相差板の遅相軸を、以下の値とする。
【0097】{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
ここで、第1の液晶セル及び第1の位相差板の順番と、第2の液晶セル及び第2の位相差板との順番は、入れ替えてもかまわない。液晶モードは「VA」(垂直配向モード)、「HAN」(ハイブリツド配向)等の動作モードが使える。いずれもよく知られた動作モードである。液晶セルは2枚であるが、駆動は2枚の液晶セルを同一条件で行うので、一つの駆動回路に各液晶セルを並列で接続することにより、一つの駆動回路で各液晶セルの駆動を行うことができる。
【0098】(設計例2)上述の(設計例1)の構成に、さらに位相差板を積層させて組合わせることにより、フィルタの特性を調整することができる。すなわち、図21に示すように、第1乃至第4の位相差板、第1の液晶セル、第2の液晶セルを順に組合わせて積層して配置する。
【0099】第1乃至第4の位相板の遅相軸を、順次、以下の値とする。
【0100】
{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
そして、第1の液晶セルの遅相軸を、以下の値とする。
【0101】
{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第2の液晶セルの遅相軸を、以下の値とする。
【0102】{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
ここで、位相差板のリターデーションは、マゼンタ(825nm)に設定している。つまり、液晶セルの電圧がV1の設定でリターデーションが825nmの状態の時、マゼンタのフィルタが3層積層された構成となっている。マゼンタフィルタが1層の場合と比べ、ブルー波長領域の透過率が改善される。この構成における分光透過率を図22に示す。
【0103】(設計例3)ここでは、上述の(設計例1)で設計した位相差板2枚の色フィルタを延伸フィルムの積層で作成し、これに液晶セル1枚を組み合わせて、図23に示すように、第1及び第2の位相差板、液晶セルを順に組合わせて積層し、それぞれ遅相軸の角度設定をする。液晶セルがない状態で、イエローもしくは、マゼンタの特性になるように、位相差板の積層部分の設計を行い、液晶セルの電圧のスイッチングによってもう一つの色に切替える。
【0104】第1の位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0105】
{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第2の位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0106】{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
液晶セルの遅相軸を、以下の値とする。
【0107】
{(π/4)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
ここで、液晶セル1枚でマゼンタ及びイエローの色切替素子を実現するには、リターデーション変化量が、グリーン及びプルーにおいてλ/2の奇数倍、レッドにおいてλ/2の偶数倍になることが理想的である。各波長における△ndとλ/2との比率を図24に示す。ここでは、一般的液晶材料の△nの波長分散データを用いた。グラフの凡例における「*3、*5」とは、550nmにおいて△ndがλ/2(つまり、225nm)のそれぞれ3倍、5倍の値の場合を示している。
【0108】550nmでλ/2の5倍に相当する△ndの場合(1375nm)には、440nmでは7倍となる。また、レッドの波長域では、λ/2の4倍近傍にあり透過率変化は少ない。そして、イエローの位相差板の積層に、液晶層を組み合わせる。この結果のマゼンタ、イエローの色切替素子の分光透過率を図25に示す。
【0109】液晶モードは、(設計例1)と同様、ベンド配向、「VA」(垂直配向モード)、「HAN」(ハイブリツド配向)等の動作モードが使える。ただし、電圧印加によって得られる実効的△ndの低レベルの値は、0にする必要がある。ベンド配向、HAN等では、実効的△ndを0にするためには高い電圧を必要とする。これらの対策として、図26に示すように、液晶配向方向と直交する方向に延伸フィルム等のスタティックな補償位相差板を配置することで補償することができる。
【0110】すなわち、第1及び第2の位相差板、液晶セル、補償位相板を順に組合わせて積層し、それぞれ遅相軸の角度設定をする。
【0111】第1の位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0112】
{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第2の位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0113】{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
液晶セルの遅相軸を、以下の値とする。
【0114】
{(π/4)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
補償位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0115】{(3π/4)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
(設計例4)上述の(設計例3)において液晶セルを2層に分割することで、マゼンタ、イエロー及びホワイトの3色の切替えが可能となる。液晶セルの配向方向は、2枚のセルで同じである。液晶部セルのリターデーションかイエローのリターデーション(596nm)の時、ホワイト表示となる。つまり、液晶セルのリターデーションは、0、596nm、1375nmの3値をとるように、2枚の液晶層のリターデーション、電圧と、補償位相差板とを設定する。
【0116】(設計例5)上述の(設計例1)と同様の特性であるが、この例では、2板でマゼンタ、イエロー、ホワイトの3色の切替えが可能となる。(設計例1)との違いは、位相差板と液晶セルの組み合わせで、マゼンタ−ホワイト、イエロー−ホワイトの切替えを行う。それを積層することで、マゼンタ、イエロー、ホワイトの3色の切替えが可能となる。ここでは、位相差板及び液晶セルの方位を、図27に示すように、それぞれ配置する。
【0117】すなわち、第1の位相差板、第1の液晶セル及び第2の位相板を順に組合わせて積層して第1の位相差板群とし、次いで、第3の位相差板、第2の液晶セル及び第4の位相板を順に組合わせて積層して第2の位相差板群とし、それぞれ遅相軸の角度設定をする。
【0118】第1の位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0119】
{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第1の液晶セルの遅相軸を、以下の値とする。
【0120】
{(π/2)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第2の位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0121】{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第3の位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0122】
{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第2の液晶セルの遅相軸を、以下の値とする。
【0123】
{(π/2)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第4の位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0124】{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
(設計例1)と同様に、マゼンタ、イエローの場合のリターデーションを設定する。以下のように組み合わせることで、イエロー、マゼンタ、ホワイトの切替えができる。図27において、第1のリターデーション位相差板群をマゼンタ(825nm)、第2の位相差板群をイエロー(596nm)の設定にすると、液晶セルの動作は以下のようになる。
【0125】第1の液晶セルがオンで、第2の液晶セルがオフならば、出力はマゼンタとなる。
【0126】第1の液晶セルがオフで、第2の液晶セルがオンならば、出力はイエローとなる。
【0127】第1の液晶セルがオフで、第2の液晶セルもオフならば、出力はホワイトとなる。
【0128】ここで、オンとは、液晶セルのリターデーションが0の状態となるように電圧の設定をすることてあり、オフとは液晶セルのリターデーションをそれぞれの位相差板のそれと同じ状態となるように電圧を設定することである。
【0129】(設計例6)ここでは、図28に示すように、強誘電液晶等を使ったインプレーンの切替えスイッチを行う液晶セルを1枚使ったマゼンタ、イエロー2色の色切替えの例を示す。
【0130】すなわち、第1及び第2の位相差板、液晶セルを順に組合わせて積層し、それぞれ遅相軸の角度設定をする。
【0131】第1の位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0132】
{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第2の位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0133】{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
液晶セルの遅相軸を、以下の値とする。
【0134】
{(π/4)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
n・(π/2)(ただし、nは整数)
位相差板のリターデーションは、マゼンタに設定している(すなわち、波長550nmにおいて825mmである)。液晶セルのリターデーションは、波長550nmにおいて188nmに設定している。また、液晶の配向方位は、45°と0°の切替えである。この時の分光透過率を図29に示す。
【0135】(設計例7)ここでは、図30に示すように、インプレーンの切替えスイッチを使ったマゼンタ、イエロー、ホワイト3色の切替えの設計例を示す。第1の位相差板群をマゼンタ、第2の位相差板群をイエローの設定にすると、液晶配向方向が以下の組合わせとなる。第1及び第2の液晶セルのリターデーションは、それそれ、マゼンタ(825mm)及びイエロー(596nm)に設定する。
【0136】すなわち、第1の位相差板及び第1の液晶セルを順に組合わせて積層して第1の位相差板群とし、第2の位相差板及び第2の液晶セルを順に組合わせて積層して第2の位相差板群とし、それぞれ遅相軸の角度設定をする。
【0137】第1の位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0138】
{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第1の液晶セルの遅相軸を、以下の値とする。
【0139】{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
{(−3π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第2の位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0140】
{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第2の位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0141】{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
{(−3π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第1の液晶セルの配向方向が−22.5°で、第2の液晶セルの配向方向が−67.5°ならば、出力はマゼンタとなる。
【0142】第1の液晶セルの配向方向が−67.5°で、第2の液晶セルの配向方向が−22.5°ならば、出力はイエローとなる。
【0143】第1の液晶セルの配向方向が−67.5°で、第2の液晶セルの配向方向も−67.5°ならば、出力はホワイトとなる。
【0144】上述の(設計例1)乃至(設計例7)において、偏光板は、ニュートラルな特性のものを用いているが、カラー偏光板を組み合わせる構成も可能である。すなわち、(設計例1)乃至(設計例7)では、マゼンタ、シアンの色切替えであるので、レッドの波長域に偏光能を持たない(すなわち、吸収を持たない)カラー偏光板を組み合わせることにより、レッドの波長域の透過率を向上させることも可能である。
【0145】(設計例8)この例は、図31に示すように、反射型の色切替素子の設計例である。位相差板の△ndは、イエロー(596nm)に設定している。液晶セルのリターデーシヨンは、596nmと825nmとの切替えである。ここでの分光透過率を図32に示す。
【0146】液晶セル、第1及び第2の位相差板、四分の一波長(λ/4)板を順に組合わせて積層して反射板の前に配置し、それぞれ遅相軸の角度設定をする。
【0147】液晶セルの遅相軸を、以下の値とする。
【0148】
{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第1の位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0149】{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第2の位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0150】
{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
四分の一波長板の遅相軸を、以下の値とする。
【0151】
{(π/4)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
なお、上述した各色分離素子及び色切替素子においては、他の光学部品と光学的にマッチングをとることで、界面における反射を低減させ、光利用効率を向上させることが可能となる。
【0152】偏光板とも貼合わせることで、同様に光利用効率を向上することができるが、偏光板の場合には、光の吸収により、光源の出力に依存して温度上昇が起こる。
【0153】偏光板を独立にするか、貼合わせるかは、光学部品の耐熱性を考慮して決定するべきである。貼合わせる際の接着剤については、光学部品との光学的マッチングをとるため、紫外線硬化樹脂型の接着剤が広く用いられている。
【0154】次に、(例1)の場合について、さらに具体的な設計例を示す。色分離素子は、「カラーリンク(Color Link)社製「カラーセレクト(Color Select)」のレッド−シアン分離素子を用い、色切替素子は、上述の(設計例2)として示したものを用いる。光源として、高圧水銀ランプを用い、このときの色再現範囲を図33に示す。ここで、レッド、グリーン、ブルーの色度点が色再現範囲を示しており、ホワイトの色度点は、この3色の合成時のホワイトである。光源と表示してある色度点は、光源の色度点である。この光源ではレッドの演色性が悪いが、レッドを第1の液晶パネルLV1、グリーン及びブルーを第2の液晶パネルLV2に配置して、レッドの光利用時間を2倍とすることで、ホワイトバランスを改善することができる。
【0155】次に、光学系全休の光利用効率について説明する。映像投射装置の出力光束は、以下の式により示される。
【0156】〔出力光束〕=〔光源光束〕×〔光学システム効率〕×〔照明効率〕
ここで、「光学システム効率」とは、映像投射装置全体の光利用効率であり、照明効率は、ALV・NA2の関数となる。ここで、ALVは、液晶パネルの表示部の面積である。NA(開口数)については、この液晶パネルの表示部における照明光の最大角度をθとして、NA=sinθである。照明効率とALV・NA2と照明効率との関係は、図34に示すように、NAを大きくとるほど、照明効率が上がるという関係にある。そして、NAは、投射レンズのFナンバできまる。すなわち、NA=0.5/〔Fナンバ〕である。
【0157】そして、投射レンズの口径が一定である場合には、バックフォーカス長が短いほど、Fナンバは小さくなり、NAは大きくなる。バックフォーカス長とは、投射レンズの最終面と液晶パネルまでの距離に相当する。液晶パネルを2板用いて構成する映像投射装置(「2板型」)では、液晶パネルを3板用いて構成する場合(「3板型」)に比較して、色分離合成を行う光学系が占める距離を短縮できるので、バックフォーカス長を短くすることが可能となる。
【0158】実用的な投射レンズとして、「2板型」では、F1.7、「3板型」の場合は、F3.1として、以下の〔表1〕に、「3板反射型」と「2板型」の効率の比較を示す。
【0159】
【表1】
【0160】ここで、液晶パネルの表示面の大きさは、0.9インチ(対角線)である。光源としては、アーク長1mmの高圧水銀ランプを使った。ここで、「2板型」の「色分離合成効率」とは、上述の(設計例2)におけるフィルタ特性から求めたものである。本発明に係る映像投射装置においては、時分割の色切替えによる光利用効率の低下があるにもかかわらず、「色分離合成効率」及び「照明効率」の積である「総合効率」は、「3板型」と同等以上にできる可能性がある。
【0161】さらに、(例6)に示した色切り替えのように、ホワイトを加えることで、白色表示の最大輝度をさらに改善することが可能となる。
【0162】次に、時分割によるカラー表示の問題点であるいわゆる「色割れ」について、説明する。例として、赤色、緑色、青色(RGB)の3色の「フィールドシーケンシャルカラーディスプレイ」の場合について、黒色の背景上に白いウィンドウが移動する場合を考える。この場合の「位置」と「時間」との関係は、図35に示すように、表示物体(ウィンドウ)の動きに眼球か完全に追従したとして、各時刻での観測点を基準に相対的位置を示すことができる。人間の視覚の積分効果により、数10ms以内の短時間内の光刺激は、ほぼ完全に積分される。その結果として、白いウィンドウの両端に、レッド及びイエロー、シアン及びブルーの色付きが生じる。
【0163】「2板型」の場合の色切替えパターンの例を、図36に示す。「2板型」では、3色の色切替えと比べて、「色割れ」は軽減されるが、完全になくなるわけではない。例えば、図36中の「色切替え1」のように、「グリーン−ブルー」という単一のパターンを繰り返す切替の場合においては、シアンのウィンドウか移動した場合に、図37に位置−時間領域で示すように、このウィンドウの両端には、青、緑の色付きが生じ、ホワイトのウィンドウが移動した場合に、このウィンドウの両端には、マゼンタ、イエローの色付きが生じる。
【0164】ところが、図36中の「色切替え2」のように、「グリーン−ブルー」という第1のパターン及び「ブルー−グリーン」という第2のパターンを繰り返す切替の場合や、「色切替え3」のように、「グリーン−ブルー−グリーン」という第1のパターン及び「ブルー−グリーン−ブルー」という第2のパターンを繰り返す切替の場合については、図38及び図39に位置−時間領域で示すように、複数のフィールドを積分した結果においては、エッジの「色割れ」を生じない。
【0165】これら「色切替え2」、「色切替え3」の「色切替え1」との違いは、1フィールド周期で色の切替えを奇数回行うこと(「色切替え2」では1回、「色切替え3」では3回)、すなわち、一定周期で繰り返される複数種類の切替えパターンにしたがって選択する原色成分の変更を行うとともに、一の切替えパターンの実行期間内における各時刻において選択される原色成分が、次の切替えパターンの実行期間内において相当する時刻において選択される原色成分と異なるということである。
【0166】つまり、「色切替え2」、「色切替え3」では、フィールド毎にフィールド内の同一時刻における色が切り替わるため、各フィールドにおいて「色割れ」を生じても、複数のフィールドを積分した結果では、エッジの「色割れ」を生じないのである。
【0167】2色とホワイトの切替えにおいても、図40R>0に示すように、フィールド毎にフィールド内の同一時刻における色が切り替わるように出力することで、エッジの「色割れ」を生じない。図40中、「シアン(ホワイト)」、「レッド(ホワイト)」と表示しているのは、それぞれの液晶パネルではホワイトの信号を変調しているが、実際にはシアン、レッドを合成した後にホワイトの映像になることを示している。
【0168】上述の(例4)に示した色切替えの場合については、同時に表示する色を補色の関係に近づけることにより、白ウィンドウを表示した場合にも「色割れ」を目立たなくすることができる。なお、補色の関係に近い色とは、図41に示すように、ブルーと「グリーン2」、レッドと「グリーン1」などであり、これらはそれぞれ補色の関係に近い。これらの2色を同時に表示することとすることにより、「色割れ」を軽減することができる。
【0169】
【発明の効果】上述のように、本発明に係る映像投射装置は、時間的色分離手段及び空間的色分離手段からなる原色成分選択手段と、この原色成分選択手段において光路を分離された光束が入射される変調手段と、この変調手段の第1及び第2の空間的変調手段を経た光束を合成して投射する投射手段とを備えている。そして、この映像投射装置においては、第1及び第2の空間的変調手段が、それぞれ一つの互いに異なる原色成分に対応する映像に対応する空間変調を行う。
【0170】本発明に係る映像投射装置においては、空間的変調手段が2枚であり、空間的変調手段を3枚用いるいわゆる「3板式」の映像投射装置に比較して、構造を簡素化でき、小型化が可能である。
【0171】また、この映像投射装置においては、「3板式」と同等以上の投射映像の明るさを確保することができるとともに、光源の発色特性に応じて色バランスの調整を行うことができる。
【0172】さらに、この映像投射装置においては、時分割で各原色表示を行ういわゆる「フィールドシーケンシャルカラー表示」の問題点であった「エッジカラー(色割れ)」の問題を低減することができる。
【0173】すなわち、本発明は、部品点数が削減されて組立て、製造が容易化され、小型化が可能であり、かつ、充分な明るさを有する投射映像が得られるようになされた映像投射装置を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る映像投射装置の構成を示す側面図である。
【図2】本発明に係る映像投射装置を六角柱状の偏光ビームスプリッタを用いて構成したものを示す側面図である。
【図3】本発明に係る映像投射装置を色切替素子を偏光ビームスプリッタの後に配置して構成したものを示す側面図である。
【図4】本発明に係る映像投射装置を色切替素子を六角柱状の偏光ビームスプリッタの後に配置して構成したものを示す側面図である。
【図5】本発明に係る映像投射装置を偏光フィルタに代えて偏光ビームスプリッタを用いて構成したものを示す側面図である。
【図6】本発明に係る映像投射装置を偏光フィルタに代えて六角柱状の偏光ビームスプリッタを用いて構成したものを示す側面図である。
【図7】本発明に係る映像投射装置を反射型の色切替素子を用いて構成したものを示す側面図である。
【図8】本発明に係る映像投射装置を反射型の色切替素子及び六角柱状の偏光ビームスプリッタを用いて構成したものを示す側面図である。
【図9】本発明に係る映像投射装置を色切替素子としてカラーホイールを用いて構成したものを示す側面図である。
【図10】本発明に係る映像投射装置を色切替素子としてカラーホイールを偏光ビームスプリッタと液晶パネルとの間に配置して構成したものを示す側面図である。
【図11】本発明に係る映像投射装置を色切替素子としてカラーホイールを光源の直後に配置して構成したものを示す側面図である。
【図12】本発明に係る映像投射装置を透過型の液晶パネルを用いて構成したものを示す側面図である。
【図13】上記映像投射装置における色分離素子及び色合成素子の機能を示す斜視図である。
【図14】上記映像投射装置における色切替素子の動作を示すグラフである。
【図15】上記映像投射装置における色切替素子の動作の他の例を示すグラフである。
【図16】上記映像投射装置における色切替素子の動作のさらに他の例を示すグラフである。
【図17】色切替素子の設計例の構成を示す斜視図である。
【図18】図17に示した偏光板の分光透過率を示すグラフである。
【図19】色切替素子の設計例1における液晶セルの特性を示すグラフである。
【図20】色切替素子の設計例1の構成を示す斜視図である。
【図21】色切替素子の設計例2の構成を示す斜視図である。
【図22】図21に示した偏光板の分光透過率を示すグラフである。
【図23】色切替素子の設計例3の構成を示す斜視図である。
【図24】上記設計例3において各波長における△ndとλ/2との比率を示すグラフである。
【図25】図23に示した偏光板の分光透過率を示すグラフである。
【図26】上記設計例3に補償位相板を加えた構成を示す斜視図である。
【図27】色切替素子の設計例5の構成を示す斜視図である。
【図28】色切替素子の設計例6の構成を示す斜視図である。
【図29】図28に示した偏光板の分光透過率を示すグラフである。
【図30】色切替素子の設計例7の構成を示す斜視図である。
【図31】色切替素子の設計例8の構成を示す斜視図である。
【図32】図31に示した偏光板の分光透過率を示すグラフである。
【図33】上記映像投射装置における色再現範囲を示す色度図である。
【図34】上記映像投射装置における照明効率を示すグラフである。
【図35】3色のフィールドシーケンシャルカラー表示におけるエッジカラー(色割れ)の発生原因を示すグラフである。
【図36】色切替素子における原色の切替パターンを示すグラフである。
【図37】2色のフィールドシーケンシャルカラー表示におけるエッジカラー(色割れ)の発生を示すグラフである。
【図38】本発明に係る映像投射装置において図36中の「色切替2」の採用によりエッジカラー(色割れ)が防止される状態を示すグラフである。
【図39】本発明に係る映像投射装置において図36中の「色切替3」の採用によりエッジカラー(色割れ)が防止される状態を示すグラフである。
【図40】本発明に係る映像投射装置において、2色とホワイトの切替えを行った場合においてエッジカラー(色割れ)が防止される状態を示すグラフである。
【図41】本発明に係る映像投射装置の色切替えにおいて、同時に表示される補色の関係に近い色を示す色度図である。
【図42】透過型液晶パネルを3枚用いる従来の映像投射装置の構成を示す側面図である。
【図43】反射型液晶パネルを3枚用いる従来の映像投射装置の構成を示す側面図である。
【符号の説明】
1a 第1の液晶パネル、1b 第2の液晶パネル、2 光源、7a 第1の偏光フィルタ、7b 第2の偏光フィルタ、8 色切替素子、9 色分離素子、10,14 偏光ビームスプリッタ、11 色合成素子、13 投射レンズ
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶パネルなどを用いた空間的変調手段により表示される映像を投射する映像投射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、液晶パネルなどを用いた空間的変調手段により表示される映像を、投射レンズを介して投射する映像投射装置、いわゆる液晶プロジェクタが提案されている。
【0003】このような映像投射装置としては、図42に示すように、透過型の空間的変調手段である液晶パネル101a,101b,101cを3枚備えて構成されたものがある。この映像投射装置においては、例えばハロゲンランプなどの光源102を出射した光束は、インテグレータ103を経て偏光変換システム104に入射され、一方向の直線偏光状態の光束となされる。偏光変換システム104は、多数の偏光ビームスプリッタとこれら偏光ビームスプリッタに対応して配設されたミラー及び二分の一波長板とを有して構成されている。この偏光変換システム104においては、各偏光ビームスプリッタを透過する光束はこの偏光ビームスプリッタの反射面に対してP偏光となっており、また、偏光ビームスプリッタで反射された光束は二分の一波長板を透過することによってやはり偏光ビームスプリッタの反射面に対するP偏光となる。
【0004】偏光変換システム104を経た光束は、第1のコンデンサレンズ105aを経て、第1のミラー106aにより反射されて第1のダイクロイックミラー107aに入射される。この第1のダイクロイックミラー107aに入射した光束は、第1の原色成分が透過し、第2及び第3の原色成分が反射される。第1のダイクロイックミラー107aを透過した第1の原色成分は、第2のミラー106aにより反射され、第2のコンデンサレンズ105bを経て第1の液晶パネル101aに入射される。この第1の液晶パネル101aは、第1の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて透過光を変調する。
【0005】一方、第1のダイクロイックミラー107aにより反射された第2及び第3の原色成分は、第2のダイクロイックミラー107bに入射される。この第2のダイクロイックミラー107bに入射した光束は、第2の原色成分が反射され、第3の原色成分が透過する。この第2のダイクロイックミラー107bにより反射された第2の原色成分は、第3のコンデンサレンズ105cを経て第2の液晶パネル101bに入射される。この第2の液晶パネル101bは、第2の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて透過光を変調する。
【0006】さらに、第2のダイクロイックミラー107bを透過した第3の原色成分は、第4のコンデンサレンズ105d、第3のミラー106c、第5のコンデンサレンズ105e、第4のミラー106d及び第6のコンデンサレンズ105fを順次経て、第3の液晶パネル101cに入射される。この第3の液晶パネル101cは、第3の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて透過光を変調する。
【0007】第1乃至第3の液晶パネル101a,101b,101cを透過した光束は、ダイクロイックプリズム109に三方向から入射されて合成され、このダイクロイックプリズム109から出射される。そして、このダイクロイックプリズム109からの出射光束は、投射レンズ110に入射され、図示しないスクリーンなどに投射される。ダイクロイックプリズム109からの出射光束は、三原色成分が合成されたものであるので、投射レンズ110によって、カラー映像が投射される。
【0008】また、図43に示すように、反射型の空間的変調手段である液晶パネル111a,111b,111cを3枚備えて構成されたものがある。この映像投射装置においては、光源102を出射した光束は、インテグレータ103を経て偏光変換システム104に入射され、一方向の直線偏光状態の光束となされる。偏光変換システム104を経た光束は、第1のコンデンサレンズ105aを経て、ミラー106により反射されて第2のコンデンサレンズ105bを経て、偏光ビームスプリッタ112に入射される。
【0009】ここで、偏光ビームスプリッタ112に対する入射光束は、該偏光ビームスプリッタ112の反射面に対してS偏光となっており、該反射面で反射されて、第1のダイクロイックプリズム113aに入射される。この第1のダイクロイックプリズム113aに入射した光束は、第1の原色成分がプリズム内面で反射され、第2及び第3の原色成分が透過する。第1のダイクロイックプリズム113aの内面で反射された第1の原色成分は、第1の液晶パネル111aに入射される。この第1の液晶パネル111aは、第1の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて反射する。
【0010】一方、第1のダイクロイックプリズム113aを透過した第2及び第3の原色成分は、第2のダイクロイックプリズム113bに入射される。この第2のダイクロイックプリズム113bに入射した光束は、第2の原色成分がプリズム内面で反射され、第3の原色成分が透過する。第2のダイクロイックプリズム113bの内面で反射された第2の原色成分は、第2の液晶パネル111bに入射される。この第2の液晶パネル111bは、第2の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて反射する。
【0011】さらに、第2のダイクロイックプリズム113bを透過した第3の原色成分は、プリズム113cを経て第3の液晶パネル111cに入射される。この第3の液晶パネル111cは、第3の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて反射する。
【0012】第1乃至第3の液晶パネル111a,111b,111cにより反射された光束は、各液晶パネル111a,111b,111cへの入射光束の光路を逆に辿って合成され、第1のダイクロイックプリズム113aから出射され、偏光ビームスプリッタ112に入射する。ここで、偏光ビームスプリッタ112に対する入射光束は、該偏光ビームスプリッタ112の反射面に対してP偏光となっており、該反射面を透過して、投射レンズ110に入射される。第1のダイクロイックプリズム113aからの出射光束は、三原色成分が合成されたものであるので、投射レンズ110によって、図示しないスクリーンなどにカラー映像が投射される。
【0013】上述のような映像投射装置は、いずれも、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の三原色に対応する映像をそれぞれ表示するために、液晶パネルを3枚備えて構成されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のような映像投射装置においては、特に透過型の液晶パネルを備えて構成されたものにおいて、光学部品点数が多く、組立て、製造が煩雑である。また、液晶パネルが透過型のものである場合には、配線等を設ける必要から、開ロ率が制限され、低開口率となる。
【0015】反射型の液晶パネルを用いた場合には、透過型の液晶パネルを用いた場合に比較して、小型化が可能であり、また、開ロ率を高くできる。しかしながら、反射型の液晶パネルを用いた場合には、透過型の液晶パネルを用いた場合に比較して、液晶パネルと投射レンズとの間の距離が長くなり、投射レンズのバックフォーカスが長くなるため、投射レンズ及び偏光ビームスプリッタの口径を大きくしないと、充分な明るさを有する投射映像が得られない。
【0016】そこで、本発明は、上述の実情に鑑みて提案されるものであって、部品点数が削減されて組立て、製造が容易化され、小型化が可能であり、かつ、充分な明るさを有する投射映像が得られるようになされた映像投射装置を提供しようとするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するため、本発明に係る映像投射装置は、入射光のうちの一の原色成分を取り除き他の二の原色成分のみを残すとともに該一の原色成分を時間の経過とともに順次変更する時間的色分離手段と入射光のうちの一の原色成分の光路と他の二の原色成分の光路とを分離させる空間的色分離手段とからなる原色成分選択手段と、この原色成分選択手段において光路を分離された光束の一方が入射される第1の空間的変調手段と該光束の他方が入射される第2の空間的変調手段とからなる変調手段と、この変調手段における各空間的変調手段を経た光束を合成して投射する投射手段とを備えている。
【0018】そして、この映像投射装置は、第1及び第2の空間的変調手段が、時間的色分離手段の各動作状態において、入射光に対し、それぞれ一つの互いに異なる原色成分に対応する映像に対応する空間変調を行うことを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0020】本発明に係る映像投射装置は、図1に示すように、反射型の空間的変調手段である第1及び第2の液晶パネル1a,1bからなる変調手段を備えて構成されている。
【0021】この映像投射装置においては、例えばハロゲンランプなどの光源2を出射した光束は、インテグレータ3を経て偏光変換システム4に入射され、一方向の直線偏光状態の光束となされる。偏光変換システム4は、多数の偏光ビームスプリッタとこれら偏光ビームスプリッタに対応して配設されたミラー及び二分の一波長板とを有して構成されている。この偏光変換システム4においては、各偏光ビームスプリッタを透過する光束はこの偏光ビームスプリッタの反射面に対してP偏光となっており、また、偏光ビームスプリッタで反射された光束は二分の一波長板を透過することによってやはり偏光ビームスプリッタの反射面に対するP偏光となる。
【0022】偏光変換システム4を経た光束は、第1のコンデンサレンズ5aを経て、ミラー6により反射されて第2のコンデンサレンズ5bを経て、原色成分選択手段に入射される。この原色成分選択手段は、第1の偏光板7aと、時間的色分離手段となる色切替素子8及び偏光選択素子である第2の偏光板7bと、空間的色分離手段となる色分離素子9及び立方体状の偏光ビームスプリッタ10とが順次配列されて構成されている。この偏光ビームスプリッタ10は、偏光依存性のある反射面10aを備えている。各偏光板7e,7bは、特定の偏光方向の光束のみを透過させるものである。
【0023】色切替素子8は、入射光のうちの一の原色成分の偏光状態と他の二の原色成分の偏光状態とを互いに異なるものとさせるとともに、該一の原色成分を時間の経過とともに順次変更することができるものである。例えば、色切替素子8は、第1の期間において、白色の入射光のうちの第1の原色成分と、第2及び第3の原色成分との偏光状態を互いに異なる(直交する)ものとし、続く第2の期間において、入射光のうちの第2の原色成分と、第1及び第3の原色成分との偏光状態を互いに異なる(直交する)ものとする。そして、色切替素子8は、このような第1の期間及び第2の期間を順次繰り返す動作を行う。
【0024】このような色切替素子8は、液晶セルと位相差板とを使って構成することができる。例えば、カラーリンク(Color Link)社から「カラースイッチ(Color Switch)」(商品名)として販売されているものは、このような色切替素子である。
【0025】そして、色切替素子8の出射光束が第2の偏光板7bを透過することによって、この色切替素子8に対する入射光束のうちの一の原色成分が取り除かれ、他の二の原色成分のみが残る(透過する)こととなる。そして、この一の原色成分は、時間の経過とともに順次変更される。
【0026】また、色分離素子9は、図13に示すように、分離したい原色成分の偏光軸を入射光束の偏光軸に対して直交する方向に変換する機能をもつ。すなわち、色分離素子9は、入射光のうちの一の原色成分の偏光状態と他の二の原色成分の偏光状態とを互いに異なるものとさせるので、偏光ビームスプリッタ10と併せて用いることにより、一の原色成分の光路と他の二の原色成分の光路とを互いに異なるものとさせることができる。
【0027】このような色分離素子9は、位相差板を積層することで構成することができる。このような色分離素子については、例えば、「SlD99ダイジェスト(1072頁乃至1075頁)」に報告されており、また、例えば、カラーリンク(Color Link)社から「カラーセレクト(Color Select)」(商品名)として販売されているものは、このような色分離素子である。
【0028】ここで、色分離素子9及び偏光ビームスプリッタ10として、例えば、第3の原色成分のみが偏光ビームスプリッタ10の反射面10aに対してS偏光となってこの反射面10aで反射されるものとしておく。そして、上述した色切替素子8の動作と併せると、この偏光ビームスプリッタ10においては、第1の期間においては、第2の偏光板7bの作用により、第2及び第3の原色成分のみが入射され、第2の原色成分のみが偏光ビームスプリッタ10の反射面10aを透過し、第3の原色成分のみが偏光ビームスプリッタ10の反射面10aで反射される。また、この偏光ビームスプリッタ10においては、第2の期間においては、第2の偏光板7bの作用により、第1及び第3の原色成分のみが入射され、第1の原色成分のみが偏光ビームスプリッタ10の反射面10aを透過し、第3の原色成分のみが偏光ビームスプリッタ10の反射面10aで反射される。
【0029】そして、偏光ビームスプリッタ10に入射した光束のうち、反射面10aを透過した光束は、第1の液晶パネル1aに入射され、反射面10aにより反射された光束は、第2の液晶パネル1bに入射される。
【0030】第1の液晶パネル1aは、上述した第1の期間においては、第2の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて反射し、また、第2の期間においては、第1の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて反射する。そして、第2の液晶パネル1bは、第1及び第2の期間に亘って、第3の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて反射する。
【0031】第1及び第2の液晶パネル1a,1bにより反射された光束は、各液晶パネル1a,1bへの入射光束の偏光方向に対して直交する方向の偏光方向となされて、偏光ビームスプリッタ10に戻り、偏光ビームスプリッタ10の反射面10aにおいて合成され、該偏光ビームスプリッタ10より射出される。そして、偏光ビームスプリッタ10よりの射出光束は、投射手段に入射される。投射手段は、色合成素子11、第3の偏光板12及び投射レンズ13から構成されている。
【0032】色合成素子11は、色分離素子9と同様に、位相差板を積層することで構成することができる。色合成素子11は、互いに偏光軸が直交する異なる原色成分の光束を、一方向の直線偏光に変換して合成する機能を持つ。
【0033】色合成素子11からの射出光束は、第3の偏光板12を経て、投射レンズ13によって、図示しないスクリーンなどにカラー映像が投射される。なお、第3の偏光板12は、偏光軸を、直線偏光である色合成素子11からの射出光束を透過させるの方向として配設されている。
【0034】偏光ビームスプリッタ10からの出射光束は、時間的に積分すれば、三原色成分が合成されたものであるので、投射レンズ13によって、カラー映像が投射される。
【0035】また、この映像投射装置は、上述の実施の形態に示した立方体状の偏光ビームスプリッタ10に代えて、図2に示すように、六角柱状の偏光ビームスプリッタ14を用いても構成することができる。この偏光ビームスプリッタ14は、偏光依存性のある反射面14aを備えている。
【0036】この映像投射装置においても、偏光ビームスプリッタ14に光束を入射させる光学系の構成及び該光束の状態、並びに、該偏光ビームスプリッタ14より射出された光束が入射される光学系の構成及び該光束の状態は、前述した実施の形態におけるものと同様である。なお、この図2に示す映像投射装置においては、光源2から偏光ビームスプリッタ14に至る光路上においてミラー6を省いている。
【0037】さらに、本発明に係る映像投射装置においては、上述したような偏光ビームスプリッタ10,14に限らず、偏光方向に応じて光束を分離する機能を有する光学素子であれば、いずれのものを用いても構成することができる。
【0038】そして、上述した各実施の形態においては、色切替素子8が光源2と偏光ビームスプリッタ10,14との間の光路上に配設されていたが、本発明に係る映像投射装置は、図3及び図4に示すように、色切替素子8を偏光ビームスプリッタ10,14から射出された光束の光路上に配設してもよい。図3に示す映像投射装置は、立方体状の偏光ビームスプリッタ10を用いて構成した場合であり、図4に示す映像投射装置は、六角柱状の偏光ビームスプリッタ14を用いて構成した場合である。
【0039】この場合には、光源2からの光束は、インテグレータ3、偏光変換システム4、第1のコンデンサレンズ5a、ミラー6、第2のコンデンサレンズ5b、第1の偏光板7a及び色分離素子9を経て、偏光ビームスプリッタ10,14に入射される。なお、ミラー6は省いてもよい。そして、偏光ビームスプリッタ10,14からの出射光束は、色合成素子11、色切替素子8及び第2の偏光板7bを経て、投射レンズ13に入射される。すなわち、色切替素子8は、色合成素子11と投射レンズ13との間に配設される。
【0040】また、本発明に係る映像投射装置は、図5及び図6に示すように、上述の各実施の形態において色切替素子8の後に配置されていた第2の偏光板7bに代えて、偏光選択素子として、立方体状の偏光ビームスプリッタ15、または、六角柱状の偏光ビームスプリッタ16を配置しても構成することができる。これら偏光ビームスプリッタ15,16は、色切替素子8の作用によって変換された偏光状態を検出する、すなわち、所定の偏光方向の光束のみを通過させるためのものである。
【0041】図5に示す映像投射装置においては、偏光ビームスプリッタ15の反射面15aを透過した光束のみが、色分離素子9及び各液晶パネル1a,1bを経て投射レンズ13に至る。また、図6に示す映像投射装置においては、偏光ビームスプリッタ16の反射面16aにより反射された光束のみが、色分離素子9及び各液晶パネル1a,1bを経て投射レンズ13に至る。
【0042】さらに、本発明に係る映像投射装置は、図7R>7及び図8に示すように、反射型の色切替素子17を用いても構成することができる。この色切替素子17は、入射光束のうちの一の原色成分の偏光状態と他の二の原色成分の偏光状態とを互いに異なるものとさせて反射するとともに、該一の原色成分を時間の経過とともに順次変更する機能を有する。したがって、この色切替素子17からの反射光束を偏光板、または、偏光ビームスプリッタを透過させることにより、この色切替素子17に対する入射光束のうちの一の原色成分を取り除き他の二の原色成分のみを残すことができ、また、該一の原色成分を時間の経過とともに順次変更することができる。
【0043】図7に示す映像投射装置においては、光源2から発せられた光束は、インテグレータ3、偏光変換システム4、第1のコンデンサレンズ5a、第1の偏光板7aを経て、偏光ビームスプリッタ15に入射される。この偏光ビームスプリッタ15に対する入射光束は、偏光変換システム4及び第1の偏光板7aの作用により、反射面15aに対してS偏光となっており、この反射面15aにより反射されて偏光ビームスプリッタ15より出射して色切替素子17に至る。そして、この色切替素子17の反射光束は、偏光方向を90°変換されて偏光ビームスプリッタ15に再入射し、反射面15aに対してP偏光となっているためにこの反射面15aを透過して、該偏光ビームスプリッタ15より出射して、第2のコンデンサレンズ5bを経て色分離素子9に入射する。この光束は、以降は、図2、図5及び図6に示す上述した実施の形態における光学系と同様の光学系を経て、投射レンズ13に至る。
【0044】また、図8に示す映像投射装置においては、光源2から発せられた光束は、インテグレータ3、偏光変換システム4、第1のコンデンサレンズ5aを経て、偏光ビームスプリッタ16に入射される。この偏光ビームスプリッタ16に対する入射光束は、偏光変換システム4の作用により、反射面16aに対してP偏光となっており、この反射面15aを透過して偏光ビームスプリッタ16より出射して色切替素子17に至る。そして、この色切替素子17の反射光束は、偏光方向を90°変換されて偏光ビームスプリッタ16に再入射し、反射面16aに対してS偏光となっているためにこの反射面16aにより反射され、該偏光ビームスプリッタ16より出射して、四分の一波長(λ/4)板18を経て反射板19に至る。この反射板19からの反射光束は、再び四分の一波長板18を経て、反射面16aに対してP偏光となされて、偏光ビームスプリッタ16に再入射し、反射面16aを透過して該偏光ビームスプリッタ16から射出する。この偏光ビームスプリッタ16からの出射光束は、第2のコンデンサレンズ5bを経て色分離素子9に入射する。この光束は、以降は、図2、図5及び図6に示す上述した実施の形態における光学系と同様の光学系を経て、投射レンズ13に至る。
【0045】そして、本発明に係る映像投射装置は、図9R>9乃至図12に示すように、時間的色分離手段として、カラーホイール20を用いて構成することができる。このカラーホイール20は、入射光のうちの第1の原色成分を遮断し第2及び第3の原色成分を透過させる第1のフィルタと、入射光のうちの第2の原色成分を遮断し第1及び第3の原色成分を透過させる第2のフィルタとを有しており、これらフィルタを時間の経過とともに順次光路上に位置させることによって、一の原色成分を時間の経過とともに順次変更するものである。第1及び第2のフィルタは、回転操作可能に支持された円盤状部材に取付けられている。カラーホイール20においては、円盤状部材を回転操作されることにより、第1及び第2のフィルタを時間の経過とともに順次光路上に位置させる。
【0046】図9に示す映像投射装置においては、光源2を出射した光束は、インテグレータ3、偏光変換システム4、第1のコンデンサレンズ5a、ミラー6、第2のコンデンサレンズ5b及び第1の偏光板7aを経て、色分離素子9に入射され、さらに、立方体状の偏光ビームスプリッタ10に入射される。
【0047】ここで、色分離素子9及び偏光ビームスプリッタ10として、例えば、第3の原色成分のみが偏光ビームスプリッタ10の反射面10aに対してS偏光となってこの反射面10aで反射されるものとしておく。すると、偏光ビームスプリッタ10への入射光束のうち、第1及び第2の原色成分は、反射面10aを透過して第1の液晶パネル1aに至り、第3の原色成分のみが、反射面10aにより反射されて第2の液晶パネル1bに至る。この場合においては、第1の液晶パネル1aは、第1の期間においては、第2の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて反射し、また、第2の期間においては、第1の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて反射するようにしておく。そして、第2の液晶パネル1bは、第1及び第2の期間に亘って、第3の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて反射するようにしておく。
【0048】第1及び第2の液晶パネル1a,1bにより反射された光束は、各液晶パネル1a,1bへの入射光束の偏光方向に対して直交する方向の偏光方向となされて、偏光ビームスプリッタ10に戻り、偏光ビームスプリッタ10の反射面10aにおいて合成され、該偏光ビームスプリッタ10より射出され、カラーホイール20に入射される。
【0049】カラーホイール20は、第1の期間においては、第1のフィルタを光路上に位置させて第2及び第3の原色成分を透過させ、第2の期間においては、第2のフィルタを光路上に位置させて第1及び第3の原色成分を透過させる。
【0050】カラーホイール20を経た光束は、投射レンズ13を有して構成されている投射手段に入射される。偏光ビームスプリッタ10から出射されカラーホイール20を経た光束は、時間的に積分すれば、三原色成分が合成されたものであるので、投射レンズ13によって、カラー映像が投射される。
【0051】また、図10に示す映像投射装置においては、光源2を出射した光束は、インテグレータ3、偏光変換システム4、第1のコンデンサレンズ5a、ミラー6、第2のコンデンサレンズ5b及び第1の偏光板7aを経て、色分離素子9に入射され、さらに、立方体状の偏光ビームスプリッタ10に入射される。
【0052】ここで、色分離素子9及び偏光ビームスプリッタ10として、例えば、第3の原色成分のみが偏光ビームスプリッタ10の反射面10aに対してP偏光となってこの反射面10aを透過するものとしておく。すると、偏光ビームスプリッタ10への入射光束のうち、第1及び第2の原色成分は、反射面10aで反射されて第2の液晶パネル1bに向かい、第3の原色成分のみが、反射面10aを透過して第1の液晶パネル1aに至る。この場合においては、第2の液晶パネル1bは、第1の期間においては、第2の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて反射し、また、第2の期間においては、第1の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて反射するようにしておく。そして、第1の液晶パネル1aは、第1及び第2の期間に亘って、第3の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて反射するようにしておく。
【0053】この映像投射装置においては、偏光ビームスプリッタ10と第2の液晶パネル1bとの間に、カラーホイールが配設されている。したがって、反射面10aで反射されて第2の液晶パネル1bに向かった第1及び第2の原色成分は、第1の期間においては、カラーホイール20が第1のフィルタを光路上に位置させて第2及び第3の原色成分を透過させていることにより、第2の原色成分のみが第2の液晶パネル1bに到達し、第2の期間においては、カラーホイール20が第2のフィルタを光路上に位置させて第1及び第3の原色成分を透過させていることにより、第1の原色成分のみが第2の液晶パネル1bに到達する。
【0054】そして、第1及び第2の液晶パネル1a,1bにより反射された光束は、各液晶パネル1a,1bへの入射光束の偏光方向に対して直交する方向の偏光方向となされて、偏光ビームスプリッタ10に戻り、偏光ビームスプリッタ10の反射面10aにおいて合成され、該偏光ビームスプリッタ10より射出され、投射レンズ13を有して構成されている投射手段に入射される。偏光ビームスプリッタ10から出射された光束は、時間的に積分すれば、三原色成分が合成されたものであるので、投射レンズ13によって、カラー映像が投射される。
【0055】図11に示す映像投射装置においては、光源2を出射した光束は、第1のコンデンサレンズ5aを経て、まず、カラーホイール20に入射される。カラーホイール20を経た光束は、第2のコンデンサレンズ5b、インテグレータ3、偏光変換システム4、第3のコンデンサレンズ5c、第4のコンデンサレンズ5d及び第1の偏光板7aを経て、色分離素子9に入射され、さらに、六角柱状の偏光ビームスプリッタ14に入射される。
【0056】ここで、カラーホイール20は、第1の期間においては、第1のフィルタを光路上に位置させて第2及び第3の原色成分を透過させ、第2の期間においては、第2のフィルタを光路上に位置させて第1及び第3の原色成分を透過させるものとしておく。そして、色分離素子9及び偏光ビームスプリッタ14として、例えば、第3の原色成分のみが偏光ビームスプリッタ14の反射面14aに対してS偏光となってこの反射面14aで反射されるものとしておく。
【0057】すると、偏光ビームスプリッタ14へは、第1の期間においては、第2及び第3の原色成分が入射され、第2の原色成分が反射面14aを透過して第1の液晶パネル1aに至り、第3の原色成分が反射面14aにより反射されて第2の液晶パネル1bに至る。また、第2の期間においては、偏光ビームスプリッタ14へは、第1及び第3の原色成分が入射され、第1の原色成分が反射面14aを透過して第1の液晶パネル1aに至り、第3の原色成分が反射面14aにより反射されて第2の液晶パネル1bに至る。
【0058】この場合においては、第1の液晶パネル1aは、第1の期間においては、第2の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて反射し、また、第2の期間においては、第1の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて反射するようにしておく。そして、第2の液晶パネル1bは、第1及び第2の期間に亘って、第3の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて反射するようにしておく。
【0059】第1及び第2の液晶パネル1a,1bにより反射された光束は、各液晶パネル1a,1bへの入射光束の偏光方向に対して直交する方向の偏光方向となされて、偏光ビームスプリッタ14に戻り、偏光ビームスプリッタ14の反射面14aにおいて合成され、該偏光ビームスプリッタ14より射出され、投射レンズ13を有して構成されている投射手段に入射される。
【0060】偏光ビームスプリッタ14から出射され投射レンズ13に入射した光束は、時間的に積分すれば、三原色成分が合成されたものであるので、投射レンズ13によって、カラー映像が投射される。
【0061】そして、図12に示す映像投射装置においては、空間変調素子として、透過型の液晶パネルを用いている。この映像投射装置においては、光源2を出射した光束は、インテグレータ3、偏光変換システム4、第1のコンデンサレンズ5a及び第1の偏光板7aを経て、色分離素子9に入射され、さらに、立方体状の偏光ビームスプリッタ15に入射される。
【0062】ここで、色分離素子9及び偏光ビームスプリッタ15として、例えば、第3の原色成分のみが偏光ビームスプリッタ15の反射面15aに対してS偏光となってこの反射面15aで反射されるものとしておく。偏光ビームスプリッタ15の反射面15aで反射された第3の原色成分の光束は、第1のリレーレンズ21a、第1のミラー6a、第2のリレーレンズ21b、第2のミラー6b及び第2のコンデンサレンズ5bを経て、第1の液晶パネル1cに入射される。一方、偏光ビームスプリッタ15の反射面15aを透過した第1及び第2の原色成分の光束は、第3のコンデンサレンズ5c、色切替素子8及び第2の偏光板7bを経て、第2の液晶パネル1dに入射される。そして、第1及び第2の液晶パネル1c,1dを透過した光束は、光束合成を行う偏光ビームスプリッタ10に二方向から入射される。
【0063】第1及び第2の液晶パネル1a,1bを透過した光束は、偏光ビームスプリッタ10の反射面10aにおいて合成され、該偏光ビームスプリッタ10より射出され、投射レンズ13を有して構成されている投射手段に入射される。
【0064】ここで、色切替素子8は、第1の期間においては、第2の原色成分を偏光ビームスプリッタ10の反射面10aに対するS偏光とし、第2の期間においては、第1の原色成分を偏光ビームスプリッタ10の反射面10aに対するS偏光とするものとしておく。
【0065】すると、偏光ビームスプリッタ10へは、第1の期間においては、第2の液晶パネル1dを透過した第2の原色成分が入射され、第2の期間においては、第2の液晶パネル1dを透過した第1の原色成分が入射される。また、この偏光ビームスプリッタ10へは、第1及び第2の期間に亘って、第1の液晶パネル1cを透過した第3の原色成分が入射される。
【0066】この場合においては、第2の液晶パネル1dは、第1の期間においては、第2の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて透過させ、また、第2の期間においては、第1の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて透過させるようにしておく。そして、第1の液晶パネル1cは、第1及び第2の期間に亘って、第3の原色成分に対応する映像を表示し、この映像に応じて入射光を変調させて透過させるようにしておく。
【0067】偏光ビームスプリッタ10から出射され投射レンズ13に入射した光束は、時間的に積分すれば、三原色成分が合成されたものであるので、投射レンズ13によって、カラー映像が投射される。
【0068】上述の実施の形態中に示したカラーホイールにおける第1及び第2のフィルタは、入射光のうちの第1の原色成分を吸収し第2及び第3の原色成分を反射させるものと、入射光のうちの第2の原色成分を吸収し第1及び第3の原色成分を反射させるものであってもよい。すなわち、カラーホイールは、反射させたい原色に塗り分けられた円盤状の部材を有し、この円盤状部材を回転操作する構成のものでもよい。
【0069】なお、上述した各実施の形態において、色分離素子9への入射光束が透過する偏光板は、色分離素子9へ偏光度のよい直線偏光光束を入射させる目的で用いている。色分離素子9に入射する光束の偏光度を向上させることにより、色分離特性を良好なものとすることができる。色分離素子9における色分離特性が良好であれば、偏光ビームスプリッタにおけるP偏光とS偏光との分離特性及び色合成素子の機能は、必ずしも良好であることを要しない。
【0070】
【実施例】次に、本発明に係る映像投射装置における、色分離素子及び色切替素子の色の組み合わせの例について説明する。まず、図1及び図2により示した映像投射装置について説明する。
【0071】(例1)色分離素子においてレッド(R)とシアン(C)とに分離し、色切替素子においてマゼンタ(M)とイエロー(Y)との切替えを行う。
【0072】図14に示すように、色分離素子にてレッド成分とシアン成分とに分離し、色切替素子にてマゼンタ成分とイエロー成分とに時間的に原色成分を分割する。ここで、シアン成分の偏光方向を偏光ビームスプリッタの反射面に対してのS偏光方向とした場合、シアン成分は該反射面により反射されて、第1の液晶パネルLV1に入射し、レッド成分は該反射面を透過し、第2の液晶パネルLV1に入射する。
【0073】そして、第2の液晶パネルLV2は、レッド成分の変調を受け持つ。第1の液晶パネルLV1は、プルー成分及びグリーン成分の変調を受け持つ。色切替素子は、第2の液晶パネルLV2と同期して色切替えを行う。つまり、色切替素子は、第2の液晶パネルLV2でブルー成分の変調をしている時刻においては、マゼンタ成分、第2の液晶パネルLV2でグリーン成分の変調をしている時刻においては、イエロー成分のフィルタとなっている。第1の液晶パネルLV1は、どの時刻においても、レッド成分の変調を受け持つている。色切替素子において、マゼンタ(=ブルー+レッド)、イエロー(=グリーン+レッド)の色の切替えが必要な理由がここにある。
【0074】以上のように、色分離素子と色切替素子の組み合わせで3原色を再現することが可能となる。ちなみに、色分離素子で分離したシアンの偏光方向を偏光ビームスプリッタの反射板に対してP偏光方向とした場合には、第1及び第2の液晶パネルLV1,LV2の配置を入れかえれば良い。
【0075】(例2)色分離素子においてブルー(B)とイエロー(Y)とに分離し、色切替素子においてシアン(C)とマゼンタ(M)との色切替えを行う。
【0076】この場合には、第1の液晶パネルLV1においてブルー成分の変調を行い、第2の液晶パネルLV2においてグリーン成分及びレッド成分の変調を行う。
【0077】(例3)色分離素子においてグリーン(G)とマゼンタ(M)とに分離し、色切替素子においてシアン(C)とイエロー(Y)との色切替えを行う。
【0078】この場合には、第1の液晶パネルLV1においてグリーン成分の変調を行い、第2の液晶パネルLV2においてブルー成分及びレッド成分の変調を行う。
【0079】(例4)そして、ここからの3例は、第1及び第2の液晶パネルLV1,LV2ともに、2色の原色成分について変調を行う場合である。
【0080】すなわち、図15に示すように、色分離素子において、ブルー(B)+ブルーイッシュグリーン(BG:グリーン1)と、レッド(R)+レッディシュグリーン(RG:グリーン2)とに分離し、色切替素子において、シアンとイエローとの色切替えを行う。そして、第1の液晶パネルLV1において、ブルー成分及びブルーイッシュグリーン成分の変調を行い、第2の液晶パネルLV2において、レッド成分及びレッディシュグリーン成分の変調を行う。
【0081】(例5)また、図16に示すように、色分離素子において、ブルー(B)+レッディシュグリーン(RG:グリーン2)と、レッド(R)+ブルーイッシュグリーン(BG:グリーン1)とに分離し、色切替素子において、ブルー(B)+ブルーイッシュグリーン(BG)と、レッド(R)+レッディシュグリーン(RG:グリーン2)との色切替えを行う。そして、第1の液晶パネルLV1において、ブルー成分及びレッディシュグリーン成分の変調を行い、第2の液晶パネルLV2において、レッド成分及びブルーイッシュグリーン成分の変調を行う。
【0082】上述のようなフィルタの設計例のどれを採用するかについては、光源の発光特性との組み合わせにおいて決定されるべきものである。光源においてレッドの演色性か悪ければ、(例1)の構成が、ブルーの演色性が悪ければ、(例2)の構成が、グリーンの演色性か悪ければ、(例3)の構成が、光源の色バランスが良い場合には、(例4)の構成が、それぞれ適している。
【0083】(例6)色分離素子においてレッド(R)とシアン(C)とに色分離し、色切替素子においてマゼンタ(M)、イエロー(Y)及びホワイト(W)の色切替えを行う。
【0084】この場合には、第1の液晶パネルLV1において、レッド成分及びホワイト成分の変調を行い、第2の液晶パネルLV2において、ブルー成分、グリーン成分及びホワイト成分の変調を行う。
【0085】(例1)との違いは、時間的色切替えが3色となっている点である。この構成のメリットは、ホワイトが加わることで、白の明るさを向上できる点と、後に述べる動画表示における「色割れの問題」を軽減できる点である。
【0086】色の組み合わせについては、上述の(例2)乃至(例5)における色切替えにホワイトを加えることも同様に可能である。
【0087】次に、色切替素子の設計例を示す。ここでは、上述の(例1)の場合について説明する。
【0088】位相差板と偏光板との組み合わせにより、色フィルタを設計することができるが、図17に、位相差板を2枚使う構成を示す。各位相差板の遅相軸を、図1717に示すように、以下の2値とする。
【0089】
{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
これは、フォルデッド−ソルク−フィルタ(Folded Solc filter)の理論に基づいている。位相差板の材料をポリカーボネイト(Polycarbonate)とし、この材料の△nd(△n:屈折率異方性、d:厚さ)(以下、△ndと記す)を変化させた場合の偏光板通過後の分光透過率を、図18に示す。ここで、2枚の位相差板の位相差は等量変化させている。 波長550nmにおけるリターデーションが、3λ/2、2.17λ/2の透過率を示している。それぞれが、マゼンタ成分、イエロー成分のフィルタになっている。
【0090】ところで、レッド、グリーン、ブルー(RGB)3色に対しそれぞれに変調素子を配置する、いわゆる「3板構成」の映像投射装置では、3色分離フィルタの透過率の総和は100%以下である。それに対し、時分割色切替えを用いた場合、それぞれのフィルタの特性の総和を透過率100%以上とすることができる。
【0091】図17において、ブルー成分とグリーン成分の切り替わり部分で、それぞれの透過率の特性はオーバーラップしている。つまり、マゼンタ成分の透過率及びイエロー成分の透過率を足し合わせた場合のように、100%以上になる波長域が存在する。このようなフィルタの設計にすることで、投射する映像の明るさを改善することができる。
【0092】(設計例1)上述のマゼンタ成分、イエロー成分のリターデーション変化量は、以下の式により、228nmとなる。
【0093】
(550nm/2)・(3−2.17)=228nmさて、この位相差の切替えを、液晶セルを使って実現する。例としては、「ベント配向セル」を使った場合について説明する。液晶材料の△n、セルギャップd、切替える電圧V1、V2を適当に選ぶことにより、図19に示すように、求めるリターデーション変化量になるように設計することができる。
【0094】これと、ポリカーボネート延伸フィルムによる位相差板とを、図20に示すように、第1の液晶セル、第1の位相差板、第2の液晶セル、第2の位相差板の順に組み含わせ、液晶駆動電圧V1の時のリターデーシヨンと位相差板のリターデーションを足し合わせたものが、(550nm/2)・3=825nmになるようにする。
【0095】第1の液晶セル及び第1の位相差板の遅相軸を、以下の値とする。
【0096】
{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第2の液晶セル及び第2の位相差板の遅相軸を、以下の値とする。
【0097】{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
ここで、第1の液晶セル及び第1の位相差板の順番と、第2の液晶セル及び第2の位相差板との順番は、入れ替えてもかまわない。液晶モードは「VA」(垂直配向モード)、「HAN」(ハイブリツド配向)等の動作モードが使える。いずれもよく知られた動作モードである。液晶セルは2枚であるが、駆動は2枚の液晶セルを同一条件で行うので、一つの駆動回路に各液晶セルを並列で接続することにより、一つの駆動回路で各液晶セルの駆動を行うことができる。
【0098】(設計例2)上述の(設計例1)の構成に、さらに位相差板を積層させて組合わせることにより、フィルタの特性を調整することができる。すなわち、図21に示すように、第1乃至第4の位相差板、第1の液晶セル、第2の液晶セルを順に組合わせて積層して配置する。
【0099】第1乃至第4の位相板の遅相軸を、順次、以下の値とする。
【0100】
{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
そして、第1の液晶セルの遅相軸を、以下の値とする。
【0101】
{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第2の液晶セルの遅相軸を、以下の値とする。
【0102】{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
ここで、位相差板のリターデーションは、マゼンタ(825nm)に設定している。つまり、液晶セルの電圧がV1の設定でリターデーションが825nmの状態の時、マゼンタのフィルタが3層積層された構成となっている。マゼンタフィルタが1層の場合と比べ、ブルー波長領域の透過率が改善される。この構成における分光透過率を図22に示す。
【0103】(設計例3)ここでは、上述の(設計例1)で設計した位相差板2枚の色フィルタを延伸フィルムの積層で作成し、これに液晶セル1枚を組み合わせて、図23に示すように、第1及び第2の位相差板、液晶セルを順に組合わせて積層し、それぞれ遅相軸の角度設定をする。液晶セルがない状態で、イエローもしくは、マゼンタの特性になるように、位相差板の積層部分の設計を行い、液晶セルの電圧のスイッチングによってもう一つの色に切替える。
【0104】第1の位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0105】
{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第2の位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0106】{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
液晶セルの遅相軸を、以下の値とする。
【0107】
{(π/4)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
ここで、液晶セル1枚でマゼンタ及びイエローの色切替素子を実現するには、リターデーション変化量が、グリーン及びプルーにおいてλ/2の奇数倍、レッドにおいてλ/2の偶数倍になることが理想的である。各波長における△ndとλ/2との比率を図24に示す。ここでは、一般的液晶材料の△nの波長分散データを用いた。グラフの凡例における「*3、*5」とは、550nmにおいて△ndがλ/2(つまり、225nm)のそれぞれ3倍、5倍の値の場合を示している。
【0108】550nmでλ/2の5倍に相当する△ndの場合(1375nm)には、440nmでは7倍となる。また、レッドの波長域では、λ/2の4倍近傍にあり透過率変化は少ない。そして、イエローの位相差板の積層に、液晶層を組み合わせる。この結果のマゼンタ、イエローの色切替素子の分光透過率を図25に示す。
【0109】液晶モードは、(設計例1)と同様、ベンド配向、「VA」(垂直配向モード)、「HAN」(ハイブリツド配向)等の動作モードが使える。ただし、電圧印加によって得られる実効的△ndの低レベルの値は、0にする必要がある。ベンド配向、HAN等では、実効的△ndを0にするためには高い電圧を必要とする。これらの対策として、図26に示すように、液晶配向方向と直交する方向に延伸フィルム等のスタティックな補償位相差板を配置することで補償することができる。
【0110】すなわち、第1及び第2の位相差板、液晶セル、補償位相板を順に組合わせて積層し、それぞれ遅相軸の角度設定をする。
【0111】第1の位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0112】
{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第2の位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0113】{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
液晶セルの遅相軸を、以下の値とする。
【0114】
{(π/4)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
補償位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0115】{(3π/4)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
(設計例4)上述の(設計例3)において液晶セルを2層に分割することで、マゼンタ、イエロー及びホワイトの3色の切替えが可能となる。液晶セルの配向方向は、2枚のセルで同じである。液晶部セルのリターデーションかイエローのリターデーション(596nm)の時、ホワイト表示となる。つまり、液晶セルのリターデーションは、0、596nm、1375nmの3値をとるように、2枚の液晶層のリターデーション、電圧と、補償位相差板とを設定する。
【0116】(設計例5)上述の(設計例1)と同様の特性であるが、この例では、2板でマゼンタ、イエロー、ホワイトの3色の切替えが可能となる。(設計例1)との違いは、位相差板と液晶セルの組み合わせで、マゼンタ−ホワイト、イエロー−ホワイトの切替えを行う。それを積層することで、マゼンタ、イエロー、ホワイトの3色の切替えが可能となる。ここでは、位相差板及び液晶セルの方位を、図27に示すように、それぞれ配置する。
【0117】すなわち、第1の位相差板、第1の液晶セル及び第2の位相板を順に組合わせて積層して第1の位相差板群とし、次いで、第3の位相差板、第2の液晶セル及び第4の位相板を順に組合わせて積層して第2の位相差板群とし、それぞれ遅相軸の角度設定をする。
【0118】第1の位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0119】
{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第1の液晶セルの遅相軸を、以下の値とする。
【0120】
{(π/2)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第2の位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0121】{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第3の位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0122】
{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第2の液晶セルの遅相軸を、以下の値とする。
【0123】
{(π/2)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第4の位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0124】{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
(設計例1)と同様に、マゼンタ、イエローの場合のリターデーションを設定する。以下のように組み合わせることで、イエロー、マゼンタ、ホワイトの切替えができる。図27において、第1のリターデーション位相差板群をマゼンタ(825nm)、第2の位相差板群をイエロー(596nm)の設定にすると、液晶セルの動作は以下のようになる。
【0125】第1の液晶セルがオンで、第2の液晶セルがオフならば、出力はマゼンタとなる。
【0126】第1の液晶セルがオフで、第2の液晶セルがオンならば、出力はイエローとなる。
【0127】第1の液晶セルがオフで、第2の液晶セルもオフならば、出力はホワイトとなる。
【0128】ここで、オンとは、液晶セルのリターデーションが0の状態となるように電圧の設定をすることてあり、オフとは液晶セルのリターデーションをそれぞれの位相差板のそれと同じ状態となるように電圧を設定することである。
【0129】(設計例6)ここでは、図28に示すように、強誘電液晶等を使ったインプレーンの切替えスイッチを行う液晶セルを1枚使ったマゼンタ、イエロー2色の色切替えの例を示す。
【0130】すなわち、第1及び第2の位相差板、液晶セルを順に組合わせて積層し、それぞれ遅相軸の角度設定をする。
【0131】第1の位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0132】
{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第2の位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0133】{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
液晶セルの遅相軸を、以下の値とする。
【0134】
{(π/4)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
n・(π/2)(ただし、nは整数)
位相差板のリターデーションは、マゼンタに設定している(すなわち、波長550nmにおいて825mmである)。液晶セルのリターデーションは、波長550nmにおいて188nmに設定している。また、液晶の配向方位は、45°と0°の切替えである。この時の分光透過率を図29に示す。
【0135】(設計例7)ここでは、図30に示すように、インプレーンの切替えスイッチを使ったマゼンタ、イエロー、ホワイト3色の切替えの設計例を示す。第1の位相差板群をマゼンタ、第2の位相差板群をイエローの設定にすると、液晶配向方向が以下の組合わせとなる。第1及び第2の液晶セルのリターデーションは、それそれ、マゼンタ(825mm)及びイエロー(596nm)に設定する。
【0136】すなわち、第1の位相差板及び第1の液晶セルを順に組合わせて積層して第1の位相差板群とし、第2の位相差板及び第2の液晶セルを順に組合わせて積層して第2の位相差板群とし、それぞれ遅相軸の角度設定をする。
【0137】第1の位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0138】
{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第1の液晶セルの遅相軸を、以下の値とする。
【0139】{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
{(−3π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第2の位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0140】
{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第2の位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0141】{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
{(−3π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第1の液晶セルの配向方向が−22.5°で、第2の液晶セルの配向方向が−67.5°ならば、出力はマゼンタとなる。
【0142】第1の液晶セルの配向方向が−67.5°で、第2の液晶セルの配向方向が−22.5°ならば、出力はイエローとなる。
【0143】第1の液晶セルの配向方向が−67.5°で、第2の液晶セルの配向方向も−67.5°ならば、出力はホワイトとなる。
【0144】上述の(設計例1)乃至(設計例7)において、偏光板は、ニュートラルな特性のものを用いているが、カラー偏光板を組み合わせる構成も可能である。すなわち、(設計例1)乃至(設計例7)では、マゼンタ、シアンの色切替えであるので、レッドの波長域に偏光能を持たない(すなわち、吸収を持たない)カラー偏光板を組み合わせることにより、レッドの波長域の透過率を向上させることも可能である。
【0145】(設計例8)この例は、図31に示すように、反射型の色切替素子の設計例である。位相差板の△ndは、イエロー(596nm)に設定している。液晶セルのリターデーシヨンは、596nmと825nmとの切替えである。ここでの分光透過率を図32に示す。
【0146】液晶セル、第1及び第2の位相差板、四分の一波長(λ/4)板を順に組合わせて積層して反射板の前に配置し、それぞれ遅相軸の角度設定をする。
【0147】液晶セルの遅相軸を、以下の値とする。
【0148】
{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第1の位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0149】{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
第2の位相板の遅相軸を、以下の値とする。
【0150】
{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
四分の一波長板の遅相軸を、以下の値とする。
【0151】
{(π/4)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
なお、上述した各色分離素子及び色切替素子においては、他の光学部品と光学的にマッチングをとることで、界面における反射を低減させ、光利用効率を向上させることが可能となる。
【0152】偏光板とも貼合わせることで、同様に光利用効率を向上することができるが、偏光板の場合には、光の吸収により、光源の出力に依存して温度上昇が起こる。
【0153】偏光板を独立にするか、貼合わせるかは、光学部品の耐熱性を考慮して決定するべきである。貼合わせる際の接着剤については、光学部品との光学的マッチングをとるため、紫外線硬化樹脂型の接着剤が広く用いられている。
【0154】次に、(例1)の場合について、さらに具体的な設計例を示す。色分離素子は、「カラーリンク(Color Link)社製「カラーセレクト(Color Select)」のレッド−シアン分離素子を用い、色切替素子は、上述の(設計例2)として示したものを用いる。光源として、高圧水銀ランプを用い、このときの色再現範囲を図33に示す。ここで、レッド、グリーン、ブルーの色度点が色再現範囲を示しており、ホワイトの色度点は、この3色の合成時のホワイトである。光源と表示してある色度点は、光源の色度点である。この光源ではレッドの演色性が悪いが、レッドを第1の液晶パネルLV1、グリーン及びブルーを第2の液晶パネルLV2に配置して、レッドの光利用時間を2倍とすることで、ホワイトバランスを改善することができる。
【0155】次に、光学系全休の光利用効率について説明する。映像投射装置の出力光束は、以下の式により示される。
【0156】〔出力光束〕=〔光源光束〕×〔光学システム効率〕×〔照明効率〕
ここで、「光学システム効率」とは、映像投射装置全体の光利用効率であり、照明効率は、ALV・NA2の関数となる。ここで、ALVは、液晶パネルの表示部の面積である。NA(開口数)については、この液晶パネルの表示部における照明光の最大角度をθとして、NA=sinθである。照明効率とALV・NA2と照明効率との関係は、図34に示すように、NAを大きくとるほど、照明効率が上がるという関係にある。そして、NAは、投射レンズのFナンバできまる。すなわち、NA=0.5/〔Fナンバ〕である。
【0157】そして、投射レンズの口径が一定である場合には、バックフォーカス長が短いほど、Fナンバは小さくなり、NAは大きくなる。バックフォーカス長とは、投射レンズの最終面と液晶パネルまでの距離に相当する。液晶パネルを2板用いて構成する映像投射装置(「2板型」)では、液晶パネルを3板用いて構成する場合(「3板型」)に比較して、色分離合成を行う光学系が占める距離を短縮できるので、バックフォーカス長を短くすることが可能となる。
【0158】実用的な投射レンズとして、「2板型」では、F1.7、「3板型」の場合は、F3.1として、以下の〔表1〕に、「3板反射型」と「2板型」の効率の比較を示す。
【0159】
【表1】
【0160】ここで、液晶パネルの表示面の大きさは、0.9インチ(対角線)である。光源としては、アーク長1mmの高圧水銀ランプを使った。ここで、「2板型」の「色分離合成効率」とは、上述の(設計例2)におけるフィルタ特性から求めたものである。本発明に係る映像投射装置においては、時分割の色切替えによる光利用効率の低下があるにもかかわらず、「色分離合成効率」及び「照明効率」の積である「総合効率」は、「3板型」と同等以上にできる可能性がある。
【0161】さらに、(例6)に示した色切り替えのように、ホワイトを加えることで、白色表示の最大輝度をさらに改善することが可能となる。
【0162】次に、時分割によるカラー表示の問題点であるいわゆる「色割れ」について、説明する。例として、赤色、緑色、青色(RGB)の3色の「フィールドシーケンシャルカラーディスプレイ」の場合について、黒色の背景上に白いウィンドウが移動する場合を考える。この場合の「位置」と「時間」との関係は、図35に示すように、表示物体(ウィンドウ)の動きに眼球か完全に追従したとして、各時刻での観測点を基準に相対的位置を示すことができる。人間の視覚の積分効果により、数10ms以内の短時間内の光刺激は、ほぼ完全に積分される。その結果として、白いウィンドウの両端に、レッド及びイエロー、シアン及びブルーの色付きが生じる。
【0163】「2板型」の場合の色切替えパターンの例を、図36に示す。「2板型」では、3色の色切替えと比べて、「色割れ」は軽減されるが、完全になくなるわけではない。例えば、図36中の「色切替え1」のように、「グリーン−ブルー」という単一のパターンを繰り返す切替の場合においては、シアンのウィンドウか移動した場合に、図37に位置−時間領域で示すように、このウィンドウの両端には、青、緑の色付きが生じ、ホワイトのウィンドウが移動した場合に、このウィンドウの両端には、マゼンタ、イエローの色付きが生じる。
【0164】ところが、図36中の「色切替え2」のように、「グリーン−ブルー」という第1のパターン及び「ブルー−グリーン」という第2のパターンを繰り返す切替の場合や、「色切替え3」のように、「グリーン−ブルー−グリーン」という第1のパターン及び「ブルー−グリーン−ブルー」という第2のパターンを繰り返す切替の場合については、図38及び図39に位置−時間領域で示すように、複数のフィールドを積分した結果においては、エッジの「色割れ」を生じない。
【0165】これら「色切替え2」、「色切替え3」の「色切替え1」との違いは、1フィールド周期で色の切替えを奇数回行うこと(「色切替え2」では1回、「色切替え3」では3回)、すなわち、一定周期で繰り返される複数種類の切替えパターンにしたがって選択する原色成分の変更を行うとともに、一の切替えパターンの実行期間内における各時刻において選択される原色成分が、次の切替えパターンの実行期間内において相当する時刻において選択される原色成分と異なるということである。
【0166】つまり、「色切替え2」、「色切替え3」では、フィールド毎にフィールド内の同一時刻における色が切り替わるため、各フィールドにおいて「色割れ」を生じても、複数のフィールドを積分した結果では、エッジの「色割れ」を生じないのである。
【0167】2色とホワイトの切替えにおいても、図40R>0に示すように、フィールド毎にフィールド内の同一時刻における色が切り替わるように出力することで、エッジの「色割れ」を生じない。図40中、「シアン(ホワイト)」、「レッド(ホワイト)」と表示しているのは、それぞれの液晶パネルではホワイトの信号を変調しているが、実際にはシアン、レッドを合成した後にホワイトの映像になることを示している。
【0168】上述の(例4)に示した色切替えの場合については、同時に表示する色を補色の関係に近づけることにより、白ウィンドウを表示した場合にも「色割れ」を目立たなくすることができる。なお、補色の関係に近い色とは、図41に示すように、ブルーと「グリーン2」、レッドと「グリーン1」などであり、これらはそれぞれ補色の関係に近い。これらの2色を同時に表示することとすることにより、「色割れ」を軽減することができる。
【0169】
【発明の効果】上述のように、本発明に係る映像投射装置は、時間的色分離手段及び空間的色分離手段からなる原色成分選択手段と、この原色成分選択手段において光路を分離された光束が入射される変調手段と、この変調手段の第1及び第2の空間的変調手段を経た光束を合成して投射する投射手段とを備えている。そして、この映像投射装置においては、第1及び第2の空間的変調手段が、それぞれ一つの互いに異なる原色成分に対応する映像に対応する空間変調を行う。
【0170】本発明に係る映像投射装置においては、空間的変調手段が2枚であり、空間的変調手段を3枚用いるいわゆる「3板式」の映像投射装置に比較して、構造を簡素化でき、小型化が可能である。
【0171】また、この映像投射装置においては、「3板式」と同等以上の投射映像の明るさを確保することができるとともに、光源の発色特性に応じて色バランスの調整を行うことができる。
【0172】さらに、この映像投射装置においては、時分割で各原色表示を行ういわゆる「フィールドシーケンシャルカラー表示」の問題点であった「エッジカラー(色割れ)」の問題を低減することができる。
【0173】すなわち、本発明は、部品点数が削減されて組立て、製造が容易化され、小型化が可能であり、かつ、充分な明るさを有する投射映像が得られるようになされた映像投射装置を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る映像投射装置の構成を示す側面図である。
【図2】本発明に係る映像投射装置を六角柱状の偏光ビームスプリッタを用いて構成したものを示す側面図である。
【図3】本発明に係る映像投射装置を色切替素子を偏光ビームスプリッタの後に配置して構成したものを示す側面図である。
【図4】本発明に係る映像投射装置を色切替素子を六角柱状の偏光ビームスプリッタの後に配置して構成したものを示す側面図である。
【図5】本発明に係る映像投射装置を偏光フィルタに代えて偏光ビームスプリッタを用いて構成したものを示す側面図である。
【図6】本発明に係る映像投射装置を偏光フィルタに代えて六角柱状の偏光ビームスプリッタを用いて構成したものを示す側面図である。
【図7】本発明に係る映像投射装置を反射型の色切替素子を用いて構成したものを示す側面図である。
【図8】本発明に係る映像投射装置を反射型の色切替素子及び六角柱状の偏光ビームスプリッタを用いて構成したものを示す側面図である。
【図9】本発明に係る映像投射装置を色切替素子としてカラーホイールを用いて構成したものを示す側面図である。
【図10】本発明に係る映像投射装置を色切替素子としてカラーホイールを偏光ビームスプリッタと液晶パネルとの間に配置して構成したものを示す側面図である。
【図11】本発明に係る映像投射装置を色切替素子としてカラーホイールを光源の直後に配置して構成したものを示す側面図である。
【図12】本発明に係る映像投射装置を透過型の液晶パネルを用いて構成したものを示す側面図である。
【図13】上記映像投射装置における色分離素子及び色合成素子の機能を示す斜視図である。
【図14】上記映像投射装置における色切替素子の動作を示すグラフである。
【図15】上記映像投射装置における色切替素子の動作の他の例を示すグラフである。
【図16】上記映像投射装置における色切替素子の動作のさらに他の例を示すグラフである。
【図17】色切替素子の設計例の構成を示す斜視図である。
【図18】図17に示した偏光板の分光透過率を示すグラフである。
【図19】色切替素子の設計例1における液晶セルの特性を示すグラフである。
【図20】色切替素子の設計例1の構成を示す斜視図である。
【図21】色切替素子の設計例2の構成を示す斜視図である。
【図22】図21に示した偏光板の分光透過率を示すグラフである。
【図23】色切替素子の設計例3の構成を示す斜視図である。
【図24】上記設計例3において各波長における△ndとλ/2との比率を示すグラフである。
【図25】図23に示した偏光板の分光透過率を示すグラフである。
【図26】上記設計例3に補償位相板を加えた構成を示す斜視図である。
【図27】色切替素子の設計例5の構成を示す斜視図である。
【図28】色切替素子の設計例6の構成を示す斜視図である。
【図29】図28に示した偏光板の分光透過率を示すグラフである。
【図30】色切替素子の設計例7の構成を示す斜視図である。
【図31】色切替素子の設計例8の構成を示す斜視図である。
【図32】図31に示した偏光板の分光透過率を示すグラフである。
【図33】上記映像投射装置における色再現範囲を示す色度図である。
【図34】上記映像投射装置における照明効率を示すグラフである。
【図35】3色のフィールドシーケンシャルカラー表示におけるエッジカラー(色割れ)の発生原因を示すグラフである。
【図36】色切替素子における原色の切替パターンを示すグラフである。
【図37】2色のフィールドシーケンシャルカラー表示におけるエッジカラー(色割れ)の発生を示すグラフである。
【図38】本発明に係る映像投射装置において図36中の「色切替2」の採用によりエッジカラー(色割れ)が防止される状態を示すグラフである。
【図39】本発明に係る映像投射装置において図36中の「色切替3」の採用によりエッジカラー(色割れ)が防止される状態を示すグラフである。
【図40】本発明に係る映像投射装置において、2色とホワイトの切替えを行った場合においてエッジカラー(色割れ)が防止される状態を示すグラフである。
【図41】本発明に係る映像投射装置の色切替えにおいて、同時に表示される補色の関係に近い色を示す色度図である。
【図42】透過型液晶パネルを3枚用いる従来の映像投射装置の構成を示す側面図である。
【図43】反射型液晶パネルを3枚用いる従来の映像投射装置の構成を示す側面図である。
【符号の説明】
1a 第1の液晶パネル、1b 第2の液晶パネル、2 光源、7a 第1の偏光フィルタ、7b 第2の偏光フィルタ、8 色切替素子、9 色分離素子、10,14 偏光ビームスプリッタ、11 色合成素子、13 投射レンズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】 入射光のうちの一の原色成分を取り除き他の二の原色成分のみを残すとともに該一の原色成分を時間の経過とともに順次変更する時間的色分離手段と、入射光のうちの一の原色成分の光路と他の二の原色成分の光路とを分離させる空間的色分離手段とからなる原色成分選択手段と、上記原色成分選択手段において光路を分離された光束の一方が入射される第1の空間的変調手段と、該光束の他方が入射される第2の空間的変調手段とからなる変調手段と、上記変調手段における各空間的変調手段を経た光束を合成して投射する投射手段とを備え、上記第1及び第2の空間的変調手段は、時間的色分離手段の各動作状態において、入射光に対し、それぞれ一つの互いに異なる原色成分に対応する映像に対応する空間変調を行うことを特徴とする映像投射装置。
【請求項2】 時間的色分離手段は、一の原色成分を時間の経過とともに順次変更するにあたって、この変更が完了する前に該一の原色成分の偏光状態が他の二の原色成分の偏光状態と同一となる期間を設けることを特徴とする請求項1記載の映像投射装置。
【請求項3】 時間的色分離手段は、原色成分選択手段に入射される入射光の分光成分において相対的に出力の低い原色成分について空間的変調手段に到達する時間を他の原色成分が空間的変調手段に到達する時間よりも長くすることを特徴とする請求項1記載の映像投射装置。
【請求項4】 原色成分選択手段に対する入射光を発する光源を備え、時間的色分離手段は、上記光源と空間的色分離手段との間の光路上に位置していることを特徴とする請求項1記載の映像投射装置。
【請求項5】 空間的色分離手段及び時間的色分離手段は、他の光学部品と光学的に接着されて構成されていることを特徴とする請求項1記載の映像投射装置。
【請求項6】 時間的色分離手段は、入射光のうちの第1の原色成分を遮断し第2及び第3の原色成分を通過させる第1のフィルタと、入射光のうちの第2の原色成分を遮断し第1及び第3の原色成分を通過させる第2のフィルタとを有し、これらフィルタを時間の経過とともに順次光路上に位置させることによって、一の原色成分を時間の経過とともに順次変更するものであることを特徴とする請求項1記載の映像投射装置。
【請求項7】 時間的色分離手段は、入射光のうちの一の原色成分の偏光状態と他の二の原色成分の偏光状態とを互いに異なるものとさせるとともに該一の原色成分を時間の経過とともに順次変更する色切替素子と、特定の偏光方向の光束のみを透過させる偏光選択素子とを有するものであって、所定の偏光状態の光束が入射されるものであることを特徴とする請求項1記載の映像投射装置。
【請求項8】 色切替素子は、2枚の液晶セルを有して構成されていることを特徴とする請求項7記載の映像投射装置。
【請求項9】 2枚の液晶セルの液晶配向方位は、入射光の偏光方位を基準として、一方が{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
他方が{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
であることを特徴とする請求項8記載の映像投射装置。
【請求項10】 2枚の液晶セルは、屈折率異方性△nと厚さdとの積△ndが互いに等しいことを特徴とする請求項8記載の映像投射装置。
【請求項11】 液晶セルは、電圧印加後の屈折率異方性△nと厚さdとの積△ndの実効的な値が、遮断する光束の波長λにおいて、略々λ/2の奇数倍となっていることを特徴とする請求項8記載の映像投射装置。
【請求項12】 2枚の液晶セルを並列に駆動する単一駆動回路を備えていることを特徴とする請求項8記載の映像投射装置。
【請求項13】 色切替素子は、位相差板と、1枚以上の液晶セルとを有して構成されていることを特徴とする請求項7記載の映像投射装置。
【請求項14】 液晶セルの液晶配向方位は、入射光の偏光方位を基準として、{(π/4)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
であることを特徴とする請求項13記載の映像投射装置。
【請求項15】 液晶セルの電圧の切替えによる屈折率異方性△nと厚さdとの積△ndの実効的な値の変化量は、切替える光束の波長λにおいて、略々λ/2の奇数倍となっていることを特徴とする請求項13記載の映像投射装置。
【請求項16】 時間的色分離手段は、複数の位相差板と2枚の液晶セルとを有して構成され、二原色成分と白色とを切換え、上記2枚の液晶セルの配向方位は、入射光の偏光方位を基準として、{(π/4)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
であることを特徴とする請求項7記載の映像投射装置。
【請求項17】 2枚の液晶セルの電圧の切替えによる屈折率異方性△nと厚さdとの積△ndの実効的な値変化量は、切替える光束の波長λにおいて、0、位相差板と等しい値、及び、略々λ/2の奇数倍の3値から選択される値となっていることを特徴とする請求項16記載の映像投射装置。
【請求項18】 色切替素子は、複数の位相差板と1枚の液晶セルとからなる位相差板群を2群有して構成されていることを特徴とする請求項7記載の映像投射装置。
【請求項19】 それぞれの位相差板群は、一原色成分と白色との切替えを行い、時間的色分離手段は、上記各位相差板群が組み合わされていることによって二原色成分と白色との切替えを行うことを特徴とする請求項18記載の映像投射装置。
【請求項20】 それぞれの位相差板群において、各位相差板の配向方位は、入射光の偏光方位を基準として、一方の位相差板群において{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
で、他方の位相差板群において{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
であって、これら位相差板の間に配設された液晶セルの配向方位は、入射光の偏光方位を基準として、{(π/2)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
であることを特徴とする請求項18記載の映像投射装置。
【請求項21】 それぞれの位相差板群を構成する位相差板の屈折率異方性△nと厚さdとの積△ndと、液晶セルの屈折率異方性△nと厚さdとの積△ndの実効的な値とは、白色を表示するときには、略々等しく、いずれかの色を表示するときには、液晶セルの屈折率異方性△nと厚さdとの積△ndの実効的な値が0であることを特徴とする請求項18記載の映像投射装置。
【請求項22】 色切替素子は、複数の位相差板と1枚の液晶セルとを有して構成されており、上記液晶セルは、液晶ダイレクタの変化が平面内で行われるインプレーンスイッチングであることを特徴とする請求項7記載の映像投射装置。
【請求項23】 液晶セルの配向方位は、入射光の偏光方位を基準として、(0+n)・(π/2)(ただし、nは整数)
と{(π/4)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
との間で切替えられることを特徴とする請求項22記載の映像投射装置。
【請求項24】 色切替素子は、位相差板と1枚の液晶セルからなる位相差板群を2群有して構成されており、上記液晶セルは、液晶ダイレクタの変化が平面内で行われるインプレーンスイッチングであることを特徴とする請求項7記載の映像投射装置。
【請求項25】 それぞれの位相差板群は、一原色成分と白色との切替えを行い、時間的色分離手段は、上記各位相差板群が組み合わされていることによって二原色成分と白色との切替えを行うことを特徴とする請求項24記載の映像投射装置。
【請求項26】 それぞれの位相差板群を構成する位相差板の屈折率異方性△nと厚さdとの積△ndと、液晶セルの屈折率異方性△nと厚さdとの積△ndとは、略々等しいことを特徴とする請求項24記載の映像投射装置。
【請求項27】 それぞれの位相差板群において、各位相差板の配向方位は、入射光の偏光方位を基準として、{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
で、液晶セルの配向方位は、入射光の偏光方位を基準として、{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
と、{(−5π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
との間で切替えられることを特徴とする請求項24記載の映像投射装置。
【請求項28】 色切替素子は、位相差板と1枚の液晶セルと反射板とを有して構成されていることを特徴とする請求項7記載の映像投射装置。
【請求項29】 時間的色分離手段は、偏光選択素子として偏光ビームスプリッタを備え、液晶セルによって切替えられる偏光状態に応じて該偏光ビームスプリッタにおいて光束を分割させることを特徴とする請求項28記載の映像投射装置。
【請求項30】 各空間的変調手段の少なくとも一方は、時間的色分離手段における一の原色成分の変更に同期して、当該原色成分に対応する映像に応じて入射光束に対する強度変調を行うことを特徴とする請求項7記載の映像投射装置。
【請求項31】 原色成分選択手段に対する入射光となる白色光を発する光源を備え、時間的色分離手段は、上記光源からの白色光が入射され、空間的色分離手段は、上記時間的色分離手段を経た光束のうちの一の原色成分を除く他の二の原色成分が入射されて、この入射光の各一の原色成分の光路を分離させることを特徴とする請求項30記載の映像投射装置。
【請求項32】 投射手段は、空間的色分離手段を経た光束を各空間的変調手段に導くとともにこれら空間的変調手段を経た光束を合成する偏光ビームスプリッタと、該偏光ビームスプリッタを経た光束投射する投射レンズとを備え、時間的色分離手段は、上記偏光ビームスプリッタと上記投射レンズとの間の光路上に位置していることを特徴とする請求項30記載の映像投射装置。
【請求項33】 投射手段は、空間的色分離手段を経た光束を各空間的変調手段に導くとともにこれら空間的変調手段を経た光束を合成する偏光ビームスプリッタと、該偏光ビームスプリッタを経た光束投射する投射レンズとを備え、時間的色分離手段は、上記偏光ビームスプリッタと上記各空間的変調手段との間の光路上に位置していることを特徴とする請求項30記載の映像投射装置。
【請求項34】 時間的色分離手段は、一定周期で繰り返される複数種類の切替えパターンにしたがって一の原色成分の変更を行うものであって、一の切替えパターンの実行期間内における各時刻において選択される原色成分は、次の切替えパターンの実行期間内において相当する時刻において選択される原色成分と異なることを特徴とする請求項30記載の映像投射装置。
【請求項1】 入射光のうちの一の原色成分を取り除き他の二の原色成分のみを残すとともに該一の原色成分を時間の経過とともに順次変更する時間的色分離手段と、入射光のうちの一の原色成分の光路と他の二の原色成分の光路とを分離させる空間的色分離手段とからなる原色成分選択手段と、上記原色成分選択手段において光路を分離された光束の一方が入射される第1の空間的変調手段と、該光束の他方が入射される第2の空間的変調手段とからなる変調手段と、上記変調手段における各空間的変調手段を経た光束を合成して投射する投射手段とを備え、上記第1及び第2の空間的変調手段は、時間的色分離手段の各動作状態において、入射光に対し、それぞれ一つの互いに異なる原色成分に対応する映像に対応する空間変調を行うことを特徴とする映像投射装置。
【請求項2】 時間的色分離手段は、一の原色成分を時間の経過とともに順次変更するにあたって、この変更が完了する前に該一の原色成分の偏光状態が他の二の原色成分の偏光状態と同一となる期間を設けることを特徴とする請求項1記載の映像投射装置。
【請求項3】 時間的色分離手段は、原色成分選択手段に入射される入射光の分光成分において相対的に出力の低い原色成分について空間的変調手段に到達する時間を他の原色成分が空間的変調手段に到達する時間よりも長くすることを特徴とする請求項1記載の映像投射装置。
【請求項4】 原色成分選択手段に対する入射光を発する光源を備え、時間的色分離手段は、上記光源と空間的色分離手段との間の光路上に位置していることを特徴とする請求項1記載の映像投射装置。
【請求項5】 空間的色分離手段及び時間的色分離手段は、他の光学部品と光学的に接着されて構成されていることを特徴とする請求項1記載の映像投射装置。
【請求項6】 時間的色分離手段は、入射光のうちの第1の原色成分を遮断し第2及び第3の原色成分を通過させる第1のフィルタと、入射光のうちの第2の原色成分を遮断し第1及び第3の原色成分を通過させる第2のフィルタとを有し、これらフィルタを時間の経過とともに順次光路上に位置させることによって、一の原色成分を時間の経過とともに順次変更するものであることを特徴とする請求項1記載の映像投射装置。
【請求項7】 時間的色分離手段は、入射光のうちの一の原色成分の偏光状態と他の二の原色成分の偏光状態とを互いに異なるものとさせるとともに該一の原色成分を時間の経過とともに順次変更する色切替素子と、特定の偏光方向の光束のみを透過させる偏光選択素子とを有するものであって、所定の偏光状態の光束が入射されるものであることを特徴とする請求項1記載の映像投射装置。
【請求項8】 色切替素子は、2枚の液晶セルを有して構成されていることを特徴とする請求項7記載の映像投射装置。
【請求項9】 2枚の液晶セルの液晶配向方位は、入射光の偏光方位を基準として、一方が{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
他方が{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
であることを特徴とする請求項8記載の映像投射装置。
【請求項10】 2枚の液晶セルは、屈折率異方性△nと厚さdとの積△ndが互いに等しいことを特徴とする請求項8記載の映像投射装置。
【請求項11】 液晶セルは、電圧印加後の屈折率異方性△nと厚さdとの積△ndの実効的な値が、遮断する光束の波長λにおいて、略々λ/2の奇数倍となっていることを特徴とする請求項8記載の映像投射装置。
【請求項12】 2枚の液晶セルを並列に駆動する単一駆動回路を備えていることを特徴とする請求項8記載の映像投射装置。
【請求項13】 色切替素子は、位相差板と、1枚以上の液晶セルとを有して構成されていることを特徴とする請求項7記載の映像投射装置。
【請求項14】 液晶セルの液晶配向方位は、入射光の偏光方位を基準として、{(π/4)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
であることを特徴とする請求項13記載の映像投射装置。
【請求項15】 液晶セルの電圧の切替えによる屈折率異方性△nと厚さdとの積△ndの実効的な値の変化量は、切替える光束の波長λにおいて、略々λ/2の奇数倍となっていることを特徴とする請求項13記載の映像投射装置。
【請求項16】 時間的色分離手段は、複数の位相差板と2枚の液晶セルとを有して構成され、二原色成分と白色とを切換え、上記2枚の液晶セルの配向方位は、入射光の偏光方位を基準として、{(π/4)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
であることを特徴とする請求項7記載の映像投射装置。
【請求項17】 2枚の液晶セルの電圧の切替えによる屈折率異方性△nと厚さdとの積△ndの実効的な値変化量は、切替える光束の波長λにおいて、0、位相差板と等しい値、及び、略々λ/2の奇数倍の3値から選択される値となっていることを特徴とする請求項16記載の映像投射装置。
【請求項18】 色切替素子は、複数の位相差板と1枚の液晶セルとからなる位相差板群を2群有して構成されていることを特徴とする請求項7記載の映像投射装置。
【請求項19】 それぞれの位相差板群は、一原色成分と白色との切替えを行い、時間的色分離手段は、上記各位相差板群が組み合わされていることによって二原色成分と白色との切替えを行うことを特徴とする請求項18記載の映像投射装置。
【請求項20】 それぞれの位相差板群において、各位相差板の配向方位は、入射光の偏光方位を基準として、一方の位相差板群において{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
で、他方の位相差板群において{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
であって、これら位相差板の間に配設された液晶セルの配向方位は、入射光の偏光方位を基準として、{(π/2)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
であることを特徴とする請求項18記載の映像投射装置。
【請求項21】 それぞれの位相差板群を構成する位相差板の屈折率異方性△nと厚さdとの積△ndと、液晶セルの屈折率異方性△nと厚さdとの積△ndの実効的な値とは、白色を表示するときには、略々等しく、いずれかの色を表示するときには、液晶セルの屈折率異方性△nと厚さdとの積△ndの実効的な値が0であることを特徴とする請求項18記載の映像投射装置。
【請求項22】 色切替素子は、複数の位相差板と1枚の液晶セルとを有して構成されており、上記液晶セルは、液晶ダイレクタの変化が平面内で行われるインプレーンスイッチングであることを特徴とする請求項7記載の映像投射装置。
【請求項23】 液晶セルの配向方位は、入射光の偏光方位を基準として、(0+n)・(π/2)(ただし、nは整数)
と{(π/4)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
との間で切替えられることを特徴とする請求項22記載の映像投射装置。
【請求項24】 色切替素子は、位相差板と1枚の液晶セルからなる位相差板群を2群有して構成されており、上記液晶セルは、液晶ダイレクタの変化が平面内で行われるインプレーンスイッチングであることを特徴とする請求項7記載の映像投射装置。
【請求項25】 それぞれの位相差板群は、一原色成分と白色との切替えを行い、時間的色分離手段は、上記各位相差板群が組み合わされていることによって二原色成分と白色との切替えを行うことを特徴とする請求項24記載の映像投射装置。
【請求項26】 それぞれの位相差板群を構成する位相差板の屈折率異方性△nと厚さdとの積△ndと、液晶セルの屈折率異方性△nと厚さdとの積△ndとは、略々等しいことを特徴とする請求項24記載の映像投射装置。
【請求項27】 それぞれの位相差板群において、各位相差板の配向方位は、入射光の偏光方位を基準として、{(π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
で、液晶セルの配向方位は、入射光の偏光方位を基準として、{(−π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
と、{(−5π/8)+n}・(π/2)(ただし、nは整数)
との間で切替えられることを特徴とする請求項24記載の映像投射装置。
【請求項28】 色切替素子は、位相差板と1枚の液晶セルと反射板とを有して構成されていることを特徴とする請求項7記載の映像投射装置。
【請求項29】 時間的色分離手段は、偏光選択素子として偏光ビームスプリッタを備え、液晶セルによって切替えられる偏光状態に応じて該偏光ビームスプリッタにおいて光束を分割させることを特徴とする請求項28記載の映像投射装置。
【請求項30】 各空間的変調手段の少なくとも一方は、時間的色分離手段における一の原色成分の変更に同期して、当該原色成分に対応する映像に応じて入射光束に対する強度変調を行うことを特徴とする請求項7記載の映像投射装置。
【請求項31】 原色成分選択手段に対する入射光となる白色光を発する光源を備え、時間的色分離手段は、上記光源からの白色光が入射され、空間的色分離手段は、上記時間的色分離手段を経た光束のうちの一の原色成分を除く他の二の原色成分が入射されて、この入射光の各一の原色成分の光路を分離させることを特徴とする請求項30記載の映像投射装置。
【請求項32】 投射手段は、空間的色分離手段を経た光束を各空間的変調手段に導くとともにこれら空間的変調手段を経た光束を合成する偏光ビームスプリッタと、該偏光ビームスプリッタを経た光束投射する投射レンズとを備え、時間的色分離手段は、上記偏光ビームスプリッタと上記投射レンズとの間の光路上に位置していることを特徴とする請求項30記載の映像投射装置。
【請求項33】 投射手段は、空間的色分離手段を経た光束を各空間的変調手段に導くとともにこれら空間的変調手段を経た光束を合成する偏光ビームスプリッタと、該偏光ビームスプリッタを経た光束投射する投射レンズとを備え、時間的色分離手段は、上記偏光ビームスプリッタと上記各空間的変調手段との間の光路上に位置していることを特徴とする請求項30記載の映像投射装置。
【請求項34】 時間的色分離手段は、一定周期で繰り返される複数種類の切替えパターンにしたがって一の原色成分の変更を行うものであって、一の切替えパターンの実行期間内における各時刻において選択される原色成分は、次の切替えパターンの実行期間内において相当する時刻において選択される原色成分と異なることを特徴とする請求項30記載の映像投射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【公開番号】特開2001−228455(P2001−228455A)
【公開日】平成13年8月24日(2001.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−46833(P2000−46833)
【出願日】平成12年2月18日(2000.2.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成13年8月24日(2001.8.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成12年2月18日(2000.2.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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