説明

映像表示装置用電源回路およびこの電源回路を用いたプラズマディスプレイ装置

【課題】映像表示装置用電源回路の電力効率の向上と小型化とをともに実現する。
【解決手段】主電源81と副電源82とを有し、主電源81は、第1の二次巻線L812と第2の二次巻線L813とを有する主電源用スイッチングトランスT81と、第1の二次巻線L812の電圧を整流する第1の整流部812と、第1の整流部812の出力電圧が一定となるように制御する主電源用スイッチング制御部S81とを備え、副電源82は、第3の二次巻線L822と第4の二次巻線L823とを有する副電源用スイッチングトランスT82と、第2の二次巻線L813の電圧と第3の二次巻線L822の電圧との大きいほうの電圧を整流する第2の整流部822と、第4の二次巻線L823の電圧を整流して第2の整流部822の出力電圧に重畳する第3の整流部823と、第3の整流部823の出力電圧が一定となるように制御する副電源用スイッチング制御部S82とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流面放電型のプラズマディスプレイ装置等の映像表示装置に用いる電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(以下、「パネル」と略記する)は、対向配置された前面板と背面板との間に多数の放電セルが形成されている。前面板は、走査電極と維持電極とからなる表示電極対がガラス製の前面基板上に複数形成されている。そしてそれら表示電極対を覆って誘電体層が形成され、誘電体層上には保護層が形成されている。背面板は、ガラス製の背面基板上にデータ電極が複数形成されている。そしてそれらデータ電極を覆って誘電体層が形成され、誘電体層上には隔壁が複数形成されている。誘電体層の表面と隔壁の側面とにはそれぞれ蛍光体層が形成されている。そして、表示電極対とデータ電極とが立体交差するように前面板と背面板とが対向配置されて密封され、内部の放電空間には、例えばキセノンを含む放電ガスが封入されている。こうして表示電極対とデータ電極との対向する部分に放電セルが形成される。
【0003】
プラズマディスプレイ装置は、これらの放電セルのそれぞれを独立に制御し、選択的に放電、発光させることにより映像を表示している。そして、多くの電圧値を持つ駆動電圧波形を走査電極、維持電極およびデータ電極に印加することによりこれらの放電を安定に制御している。
【0004】
プラズマディスプレイ装置は、パネルを駆動する各電極駆動回路や映像信号処理回路等を備えた映像表示部と、その映像表示部の各回路ブロックへ電力を供給するための電源回路とを備えている。またこの電源回路は、スピーカ等を備えた音声出力部、チューナを備えたAV信号供給部、リモコンで制御する電力制御部にも電力を供給している。
【0005】
このようなプラズマディスプレイ装置は、オフ状態、映像表示状態、待機録画状態、スタンバイ状態の4つの電力供給モードがある。オフ状態は、本体電源スイッチをオフにし、プラズマディスプレイ装置本体の電源を完全に切った状態である。映像表示状態は、映像を表示するために映像表示部、音声出力部、AV信号供給部および電力制御部へ電力を供給している状態である。待機録画状態は、映像の表示も音声の出力もしないため映像表示部および音声出力部へは電力を供給しないが、番組の録画等を行うためにAV信号供給部および電力制御部に電力を供給している状態である。スタンバイ状態は、映像の表示も音声の出力もせず、またAV信号供給部も起動しないため映像表示部、音声出力部およびAV信号供給部へは電力を供給しないが、電力制御部へだけは電力を供給している状態である。
【0006】
従来は、待機録画状態およびスタンバイ状態に対応するために様々な電源回路が検討されていた。
【0007】
図11は、従来のプラズマディスプレイ装置の電源回路200の一例を示す回路図である。この電源回路200は、主電源201と副電源202とを備えている。主電源201では、スイッチング素子Q201を有するスイッチングレギュレータ(SWR)を用いて映像表示部へ電力P1を供給し、自動電圧レギュレータ(AVR)を用いて音声出力部へ電力P2を供給している。図11では、AVRを集積回路IC201で示した。また副電源202でも、スイッチング素子Q202を有するSWRを用いてAV信号供給部へ電力P3を供給し、集積回路IC202で示したAVRを用いて電力制御部へ電力P4を供給している。
【0008】
図12は、従来のプラズマディスプレイ装置の電源回路300の他の例を示す回路図である。この電源回路300は、主電源301と副電源302とを備えている。主電源301では、スイッチング素子Q301を有するSWRを用いて映像表示部へ電力P1を供給している。また副電源302では、スイッチング素子Q302を有するSWRを用いて音声出力部へ電力P2を供給し、AV信号供給部へ電力P3を供給している。また集積回路IC302で示したAVRを用いて電力制御部へ電力P4を供給している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図11に示した電源回路200では、生成電力から出力電力を差し引いた電力ロスの大きいAVRを用いて音声出力部へ電力P2を供給していた。また図12に示した電源回路300では、AVRを用いずに音声出力部へ電力P2を供給できるが、副電源302が負担する電力が増え、副電源302が大きくなってしまうという課題があった。
【0011】
本発明は、これらの課題に鑑みなされたものであり、電力効率の向上と小型化とをともに実現できる映像表示装置用電源回路およびこの電源回路を用いたプラズマディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明の映像表示装置用電源回路は、映像表示時に動作する主電源と、機能待機時および映像表示時に動作する副電源とを有する映像表示装置用電源回路であって、主電源は、第1の二次巻線と第2の二次巻線とを有する主電源用スイッチングトランスと、第1の二次巻線に発生する電圧を整流する第1の整流部と、第1の整流部から出力される電圧が一定となるように主電源用スイッチングトランスの一次巻線の電流を制御する主電源用スイッチング制御部とを備え、副電源は、第3の二次巻線と第4の二次巻線とを有する副電源用スイッチングトランスと、第2の二次巻線に発生する電圧および第3の二次巻線に発生する電圧の大きいほうの電圧を整流する第2の整流部と、第4の二次巻線に発生する電圧を整流して第2の整流部から出力される電圧に重畳する第3の整流部と、第3の整流部から出力される電圧が一定となるように副電源用スイッチングトランスの一次巻線の電流を制御する副電源用スイッチング制御部とを備えたことを特徴とする。
【0013】
この構成により、電力効率の向上と小型化とをともに実現できる映像表示装置用電源回路を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電力効率の向上と小型化とをともに実現できる映像表示装置用電源回路およびこの電源回路を用いたプラズマディスプレイ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1におけるパネルの分解斜視図である。
【図2】同パネルの電極配列図である。
【図3】同パネルの各電極に印加する駆動電圧波形図である。
【図4】本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置の回路ブロック図である。
【図5】同プラズマディスプレイ装置の電源回路の詳細を示す回路図である。
【図6】同プラズマディスプレイ装置が映像表示状態のときの電源回路の動作を説明する図である。
【図7】同プラズマディスプレイ装置が待機録画状態のときの電源回路の動作を説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態2におけるプラズマディスプレイ装置の電源回路の詳細を示す回路図である。
【図9】同プラズマディスプレイ装置が映像表示状態のときの電源回路の動作を説明する図である。
【図10】同プラズマディスプレイ装置が待機録画状態のときの電源回路の動作を説明する図である。
【図11】従来のプラズマディスプレイ装置の電源回路の一例を示す回路図である。
【図12】従来のプラズマディスプレイ装置の電源回路の他の例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置について、図面を用いて説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるパネル10の分解斜視図である。パネル10は、前面板20と背面板30とを放電空間を挟んで対向配置して構成されている。
【0018】
前面板20は、ガラス製の前面基板21上に走査電極22と維持電極23とからなる表示電極対24を複数形成して構成されている。そしてそれら表示電極対24を覆って誘電体層25が形成され、誘電体層25上に保護膜26が形成されている。
【0019】
背面板30は、ガラス製の背面基板31上にデータ電極32を複数形成して構成されている。そしてそれらデータ電極32を覆って誘電体層33が形成され、誘電体層33上に井桁状の隔壁34が形成されている。さらに隔壁34の側面および誘電体層33上に赤色、緑色および青色の各色に発光する蛍光体層35が形成されている。
【0020】
放電空間には、放電ガスとしてネオン(Ne)とキセノン(Xe)との混合ガスが封入されている。放電空間は、図1に示すように隔壁34によって複数の区画に仕切られており、表示電極対24とデータ電極32とが交差する部分に放電セルが形成されている。そして各放電セルが放電、発光することにより映像が表示される。
【0021】
図2は、本発明の実施の形態1におけるパネル10の電極配列図である。パネル10には、行方向に長いn本の走査電極22およびn本の維持電極23が配列され、列方向に長いm本のデータ電極32が配列されている。そして放電空間内には、1対の走査電極22および維持電極23と1つのデータ電極32とが交差した部分に放電セルが形成される。こうしてパネル10にはm×n個の放電セルが形成されている。
【0022】
次に、パネル10を駆動するための駆動電圧波形およびその動作の概要について説明する。プラズマディスプレイ装置は、サブフィールド法、すなわち1フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、各サブフィールドに輝度重みをそれぞれ設定し、サブフィールド毎に各放電セルの発光・非発光を制御することによって階調表示を行う。
【0023】
本実施の形態1においては、1フィールドを8つのサブフィールドで構成し、各サブフィールドはそれぞれ1、2、4、8、16、32、64、128の輝度重みを有する。各サブフィールドの維持期間には、それぞれのサブフィールドの輝度重みに所定の輝度倍率を乗じた数の維持パルスを表示電極対24のそれぞれに印加する。
【0024】
しかし本発明は、サブフィールド数や各サブフィールドの輝度重みが上記の値に限定されるものではなく、また映像信号等に基づいてサブフィールド構成を切換えてもよい。
【0025】
図3は、本発明の実施の形態1におけるパネル10の各電極に印加する駆動電圧波形図である。図3には2つのサブフィールドの駆動電圧波形を示しているが、他のサブフィールドの駆動電圧波形もほぼ同様である。
【0026】
第1サブフィールドの初期化期間では、データ電極32、維持電極23にそれぞれ0(V)を印加し、走査電極22に電圧Vi1に向かって緩やかに上昇する傾斜波形電圧を印加する。次に、維持電極23に電圧Veを印加し、走査電極22に電圧Vi2に向かって緩やかに下降する傾斜波形電圧を印加する。すると走査電極22と維持電極23、データ電極32との間でそれぞれ微弱な初期化放電が起こる。そして、走査電極22上の壁電圧および維持電極23上の壁電圧が弱められ、データ電極32上の壁電圧は書込み動作に適した値に調整される。ここで、電極上の壁電圧とは電極を覆う誘電体層上、保護層上、蛍光体層上等に蓄積された壁電荷により生じる電圧を表す。
【0027】
なお、初期化期間の駆動電圧波形としては、図3の第2サブフィールドの初期化期間に示したように、初期化期間後半部の駆動電圧波形だけを印加してもよい。この場合には直前のサブフィールドの維持期間において維持放電を行った放電セルで選択的に初期化放電が発生する。
【0028】
書込み期間では、1行目の走査電極22に電圧Vaの走査パルスを印加するとともに、データ電極32のうち1行目に発光させるべき放電セルのデータ電極32に電圧Vdの書込みパルスを印加する。するとデータ電極32と走査電極22との間および維持電極23と走査電極22との間で書込み放電が起こり、走査電極22上に正の壁電圧が蓄積され、維持電極23上に負の壁電圧が蓄積され、データ電極32上にも負の壁電圧が蓄積される。以上の書込み動作を走査電極22のn行目の放電セルに至るまで行う。このようにして、表示すべき映像データに応じて、対応する放電セルで書込み動作が行われる。
【0029】
続く維持期間では、まず維持電極23に0(V)を印加し、走査電極22に電圧Vsの維持パルスを印加する。すると書込み放電を起こした放電セルで維持放電が起こり、このとき発生した紫外線により蛍光体層35が発光する。そして走査電極22上に負の壁電圧が蓄積され、維持電極23上に正の壁電圧が蓄積される。続いて、走査電極22には0(V)を、維持電極23には電圧Vsの維持パルスをそれぞれ印加する。すると、書込み放電を起こした放電セルで再び維持放電が起こり、維持電極23上に負の壁電圧が蓄積され走査電極22上に正の壁電圧が蓄積される。以降同様に、走査電極22と維持電極23とに交互に輝度重みに応じた数の維持パルスを印加して、書込み放電を起こした放電セルで維持放電を継続して発生させる。
【0030】
以上が、パネル10の各電極に印加する駆動電圧波形の概要である。ここで維持放電を発生させるための電力は大きく、本実施の形態1においてはおよそ100(W)である。しかしこの電力は表示する映像によって大きく変動する。また初期化放電を発生させるための電力はわずかである。そのためパネル10を駆動するための電力は初期化期間では小さく、維持期間で大きくなる。
【0031】
次に、本実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置の構成について説明する。
【0032】
図4は、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置40の回路ブロック図である。プラズマディスプレイ装置40は、AV信号供給部50、映像表示部60、音声出力部70および電源回路80を備えている。
【0033】
AV信号供給部50は、チューナ51と記憶再生部52と信号分離部53とを有する。チューナ51は、受信した電波信号を復調して復調信号を記憶再生部52および信号分離部53へ送信する。記憶再生部52は、復調信号をハードディスクドライブに記憶する。また、記憶した復調信号を信号分離部53へ送信する。信号分離部53は、復調信号を映像信号と音声信号と同期信号とに分離する。そして、映像信号および同期信号を映像表示部60へ送信し、音声信号を音声出力部70へ送信する。このようにAV信号供給部50は、電波信号を受信し映像信号および音声信号を出力する。
【0034】
映像表示部60は、映像信号処理回路61、タイミング発生回路62、データ電極駆動回路63、走査電極駆動回路64、維持電極駆動回路65およびパネル10を有する。映像信号処理回路61は、サブフィールド毎の放電セルの発光・非発光を示す映像データに映像信号を変換し、映像データをデータ電極駆動回路63へ送信する。タイミング発生回路62は、同期信号に従って各回路ブロックの動作を制御する各種のタイミング信号を発生し、各回路ブロックへ供給する。データ電極駆動回路63は、各データ電極32に対応する書込みパルスに映像データを変換し、書込みパルスを各データ電極32に印加する。走査電極駆動回路64は、タイミング信号に基づいて各走査電極22をそれぞれ駆動する。維持電極駆動回路65は、タイミング信号に基づいて維持電極23を駆動する。このように映像表示部60は、映像信号に基づき各回路を動作させてパネル10に映像を表示する。
【0035】
音声出力部70は、音声増幅回路71とスピーカ72とを有する。音声増幅回路71は音声信号を増幅してスピーカ72へ送信する。スピーカ72は音声信号を音声に変換する。このように音声出力部70は、音声信号に基づき音声を出力する。
【0036】
電源回路80は、主電源81、副電源82、電力制御部83、本体電源スイッチ84、主電源スイッチ85、音声出力部スイッチ86およびAV信号供給部スイッチ87を有する。
【0037】
本体電源スイッチ84は、商用交流電源100の電力を副電源82へ供給する。また主電源スイッチ85を介して商用交流電源100の電力を主電源81に供給する。
【0038】
副電源82は、電力制御部83へ電力P4を供給する。またAV信号供給部スイッチ87を介してAV信号供給部50へ電力P3を供給し、音声出力部スイッチ86を介して音声出力部70へ電力P2を供給する。ただし本実施の形態1においては、詳細は後述するが、プラズマディスプレイ装置40の電力供給モードに応じて、電力制御部83、AV信号供給部50および音声出力部70へ電力を供給する方法を切り替えている。
【0039】
主電源81は、映像表示部60へ電力P1を供給する。また詳細は後述するが、電力制御部83により電力供給を制御され、副電源82を介して電力制御部83、AV信号供給部50および音声出力部70へ電力を供給する。
【0040】
電力制御部83は、受光部83aで受信したリモコン83bの信号に基づいて、主電源スイッチ85、音声出力部スイッチ86およびAV信号供給部スイッチ87を制御する。映像表示状態では、主電源スイッチ85をオンにして主電源81を動作させ、映像表示部60へ電力P1を供給する。また音声出力部スイッチ86をオンにして音声出力部70へ電力P2を供給し、AV信号供給部スイッチ87をオンにしてAV信号供給部50へ電力P3を供給する。待機録画状態では、主電源スイッチ85および音声出力部スイッチ86をオフにし、AV信号供給部スイッチ87をオンにしてAV信号供給部50だけに電力P3を供給する。スタンバイ状態では、主電源スイッチ85、音声出力部スイッチ86およびAV信号供給部スイッチ87をオフにし、電力P1、P2、P3を供給しない。このように電力制御部83は、AV信号供給部50と映像表示部60と音声出力部70とへの電力供給を制御する。
【0041】
なお、本実施の形態1においては、映像表示部60へは電圧200(V)平均電流0.5(A)の電力P1を、音声出力部70へは電圧15(V)平均電流2(A)の電力P2を、AV信号供給部50へは電圧15(V)平均電流2(A)の電力P3を、電力制御部83へは電圧5(V)平均電流0.01(A)の電力P4をそれぞれ供給するものとして説明する。しかし本発明はこれらの数値に限定されるものではない。
【0042】
次に、電源回路80の詳細な構成について説明する。
【0043】
図5は、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置40の電源回路80の詳細を示す回路図である。
【0044】
主電源81は、主電源用スイッチングトランスT81と、一次側整流部811と、第1の整流部812と、主電源用スイッチング制御部S81とを有する。
【0045】
主電源用スイッチングトランスT81は、一次巻線L811と第1の二次巻線L812と第2の二次巻線L813とを有する。
【0046】
一次側整流部811はダイオードD811とコンデンサC811とを有し、商用交流電源100を整流して一次巻線L811に直流電流を供給する。
【0047】
第1の整流部812はダイオードD812とコンデンサC812とを有し、第1の二次巻線L812に発生する電圧e1を整流して電圧E1を出力する。
【0048】
主電源用スイッチング制御部S81は第1の整流部812から出力される電圧E1が電圧200(V)で一定となるようにスイッチング素子Q81を制御して、主電源用スイッチングトランスT81の一次巻線L811の電流を制御する。第2の二次巻線L813の低電位側の端子は接地され、高電位側の端子は後述する副電源82の第2の整流部822に接続されている。
【0049】
副電源82は、副電源用スイッチングトランスT82と、一次側整流部821と、第2の整流部822と、第3の整流部823と、副電源用スイッチング制御部S82と、集積回路IC82とを有する。
【0050】
副電源用スイッチングトランスT82は、一次巻線L821と第3の二次巻線L822と第4の二次巻線L823とを有する。
【0051】
一次側整流部821はダイオードD821とコンデンサC821とを有し、商用交流電源100を整流して一次巻線L821に供給する。
【0052】
第2の整流部822はダイオードD813とダイオードD822とダイオードD891とコンデンサC822とを有する。そして、第2の二次巻線L813の高電位側の端子はダイオードD813を介してコンデンサC822の高電位側の端子に接続され、第3の二次巻線L822の高電位側の端子もダイオードD822を介してコンデンサC822の高電位側の端子に接続されている。第2の二次巻線L813の低電位側の端子は接地され、第3の二次巻線L822の低電位側の端子も接地されている。そして、第2の二次巻線L813に発生する電圧e2と第3の二次巻線L822に発生する電圧e3との大きいほうの電圧を整流する。こうして第2の整流部822は、電圧e2>電圧e3の場合には電圧e2を整流して電圧E2を出力し、電圧e2<電圧e3の場合には電圧e3を整流して電圧E3を出力する。なおダイオードD891はコンデンサC822の保護用ダイオードであり、コンデンサC822として電解コンデンサ等の有極性コンデンサを用いた場合に逆極性の電圧が印加されないように設けられている。
【0053】
第3の整流部823はダイオードD823とダイオードD892とコンデンサC823とを有し、第4の二次巻線L823に発生する電圧e4を整流して電圧E4を出力する。そして、電圧E4を第2の整流部822から出力される電圧E2または電圧E3に重畳する。そのため第3の整流部823から出力される電圧、すなわち電力P2および電力P3の電圧は、電圧e3>電圧e2の場合には電圧E3と電圧E4との和の電圧(E3+E4)となる。また電圧e3<電圧e2の場合には電圧E2と電圧E4との和の電圧(E2+E4)となる。
【0054】
なお、ダイオードD892はコンデンサC823の保護用ダイオードであり、コンデンサC823として電解コンデンサ等の有極性コンデンサを用いた場合に逆極性の電圧が印加されないように設けられている。また実施の形態1においては、第2の二次巻線L813は電圧E2が8(V)を下回らない巻数に設定されている。また第3の二次巻線L822および第4の二次巻線L823の巻数は同数に設定されている。そのため電圧E3と電圧E4とは同程度の電圧である。
【0055】
副電源用スイッチング制御部S82は、第3の整流部823から出力される電圧が安定して電圧15(V)となるようにスイッチング素子Q82を制御して、副電源用スイッチングトランスT82の一次巻線L821の電流を制御する。すなわち電圧e3>電圧e2の場合には電圧(E3+E4)が電圧15(V)となるようにスイッチング素子Q82を制御する。また電圧e3<電圧e2の場合には電圧(E2+E4)が電圧15(V)となるようにスイッチング素子Q82を制御する。
【0056】
集積回路IC82は電力P4の電圧が5(V)となるように出力される電圧を安定させるためのAVRである。したがって、電圧e3>電圧e2の場合には電圧E3を入力して安定した5(V)を出力する。また電圧e3<電圧e2の場合には電圧E2を入力して安定した5(V)を出力する。
【0057】
次にプラズマディスプレイ装置40の電力供給モードについて説明する。
【0058】
プラズマディスプレイ装置40には、オフ状態、映像表示状態、待機録画状態およびスタンバイ状態の4つの電力供給モードがある。オフ状態は、本体電源スイッチ84をオフにし、プラズマディスプレイ装置40に電力P1、P2、P3、P4を供給しない状態である。つまりテレビ本体の電源を完全に切った状態である。映像表示状態は、副電源82および主電源81を動作させてAV信号供給部50、映像表示部60、音声出力部70および電力制御部83へそれぞれ電力P1、P2、P3、P4を供給している状態である。つまり映像と音声とを出力しテレビ番組を視聴できる状態である。待機録画状態は、副電源82だけを動作させてAV信号供給部50および電力制御部83へそれぞれ電力P3、P4を供給している状態である。つまり放送番組を録画または録画予約している状態である。スタンバイ状態は、副電源82だけを動作させて電力制御部83だけに電力P4を供給している状態である。つまりリモコン83bでテレビの電源を切った状態である。
【0059】
次に、各電力供給モードにおける電源回路80の動作について説明する。
【0060】
(オフ状態)
本体電源スイッチ84をオフにする。すると電源回路80に電力は供給されず、プラズマディスプレイ装置40の各回路ブロックには電力P1、P2、P3、P4は供給されない。
【0061】
(映像表示状態)
映像表示状態では本体電源スイッチ84をオンにして副電源82を動作させ、主電源スイッチ85をオンにして主電源81を動作させる。さらに、音声出力部スイッチ86をオンにして音声出力部70に電力P2を供給し、AV信号供給部スイッチ87をオンにしてAV信号供給部50に電力P3を供給する。
【0062】
図6は、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置40が映像表示状態のときの電源回路80の動作を説明する図である。なお図6では、コンデンサの保護用ダイオードであるダイオードD891、ダイオードD892は省略した。主電源81が動作すると第1の二次巻線L812に発生する電圧e1がダイオードD812で整流されコンデンサC812で平滑されて、第1の整流部812からは電圧E1が出力される。主電源用スイッチング制御部S81は、この電圧E1が安定して200(V)となるようにスイッチング素子Q81を制御する。こうして安定した電圧200(V)の電力P1を映像表示部60へ供給する。また第2の二次巻線L813に発生する電圧e2がダイオードD813で整流されコンデンサC822で平滑されて、第2の整流部822からは電圧E2が出力される。
【0063】
ここで、映像表示部60の消費電力は表示する映像等に依存して大きく変動する。そしてこの負荷変動を抑えるように主電源用スイッチング制御部S81がスイッチング素子Q81を制御する。そのため、映像表示部60の負荷が大きくなるとスイッチング素子Q81をオンする時間が長くなり電圧e2が上昇する。逆に、映像表示部60の負荷が小さくなるとスイッチング素子Q81をオンする時間が短くなり電圧e2が低下する。このように電圧e2は表示する映像に依存して大きく変動する。したがって電圧E2もおよそ8(V)〜10(V)の範囲で大きく変動する。
【0064】
副電源82の第4の二次巻線L823に発生する電圧e4はダイオードD823で整流されコンデンサC823の両端には電圧E4が発生する。この電圧E4は第2の整流部822の出力する電圧E2に重畳されるので、コンデンサC823の高電位側の電圧、すなわち第3の整流部823から出力される電圧は電圧(E2+E4)となる。
【0065】
副電源用スイッチング制御部S82は、この電圧(E2+E4)が15(V)となるようにスイッチング素子Q82を制御する。こうして音声出力部70へ電圧15(V)の安定した電力P2が供給される。またAV信号供給部50へも電圧15(V)の安定した電力P3が供給される。
【0066】
このように本実施の形態1においては電圧(E2+E4)が電圧15(V)となるように制御されている。そのため、電圧E2が8(V)程度であれば電圧E4は7(V)程度の電圧となっている。上述したように第3の二次巻線L822の巻数は第4の二次巻線L823と同数に設定されている。そのため、第3の二次巻線L822に発生する電圧e3を整流した場合の電圧E3も7(V)程度となる。このように、映像表示状態では主電源81および副電源82がともに動作して電圧e3<電圧e2となる。そのため電力P2および電力P3は、第2の二次巻線L813および第4の二次巻線L823から主に供給され、第3の二次巻線L822からはほとんど供給されない。
【0067】
実施の形態1においては、映像表示部60へ電圧200(V)、平均電流0.5(A)を供給するので、第1の二次巻線L812が供給する電力P1はおよそ100(W)である。また電力P2の平均電流は2(A)であり、電力P3の平均電流は2(A)であり、その合計は4(A)である。したがって電圧E2を8(V)程度とすると、第2の二次巻線L813から供給される電力はおよそ32(W)である。そして残りの電力28(W)のほとんどは第4の二次巻線L823から供給される。
【0068】
このように映像表示状態においては、主電源81からおよそ132(W)の電力が供給され、副電源82からおよそ28(W)の電力が供給される。
【0069】
なお、電力制御部83へはAVR用の集積回路IC82を用いて電圧が5(V)の電力P4を供給するが、電流はわずかであるため電力P4も微小である。
【0070】
(待機録画状態)
待機録画状態では、本体電源スイッチ84をオンにして副電源82を動作させる。またAV信号供給部スイッチ87をオンにしてAV信号供給部50に電力P3を供給する。しかし主電源スイッチ85をオフにして主電源81を動作させない。また音声出力部スイッチ86をオフにして音声出力部70に電力P2を供給しない。
【0071】
図7は、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置40が待機録画状態のときの電源回路80の動作を説明する図である。なお図7でも、コンデンサの保護用ダイオードであるダイオードD891、ダイオードD892は省略した。主電源81が動作しないので、第1の二次巻線L812および第2の二次巻線L813には電圧が発生しない。すなわち電圧e1および電圧e2は電圧0(V)となる。
【0072】
副電源82の第3の二次巻線L822には電圧e3が発生し、第4の二次巻線L823には電圧e4が発生する。このとき電圧e2は0(V)であるため電圧e3>電圧e2となる。したがって第3の二次巻線L822に発生する電圧e3がダイオードD822で整流されコンデンサC822で平滑されて、第2の整流部822からは電圧E3が出力される。また第4の二次巻線L823に発生する電圧e4がダイオードD823で整流されコンデンサC823で平滑されて電圧E4が出力される。そして電圧E4が電圧E3に重畳されて、第3の整流部823からは電圧(E3+E4)が出力される。副電源用スイッチング制御部S82はこの電圧(E3+E4)が15(V)となるようにスイッチング素子Q82を制御する。こうしてAV信号供給部50へ電圧15(V)の安定した電力P3が供給される。
【0073】
このように待機録画状態においては、副電源82からおよそ30(W)の電力が供給される。
【0074】
なお、電力制御部83へはAVR用の集積回路IC82を用いて電圧が5(V)の電力P4を供給するが、電流はわずかであるので電力P4も微小である。
【0075】
(スタンバイ状態)
スタンバイ状態では、本体電源スイッチ84をオンにして副電源82を動作させる。しかし主電源スイッチ85をオフにして主電源81を動作させない。またAV信号供給部スイッチ87をオフ、音声出力部スイッチ86をオフにしてAV信号供給部50および音声出力部70に電力を供給しない。
【0076】
このとき副電源82の第3の二次巻線L822に発生する電圧e3がダイオードD822で整流されコンデンサC822で平滑されて、第2の整流部822からは電圧E3が出力される。また第4の二次巻線L823に発生する電圧e4がダイオードD823で整流されコンデンサC823で平滑されて電圧E4が出力される。そして電圧E4が電圧E3に重畳されて、第3の整流部823からは電圧(E3+E4)が出力される。副電源用スイッチング制御部S82はこの電圧(E3+E4)が15(V)となるようにスイッチング素子Q82を制御する。こうして電力制御部83へはAVR用の集積回路IC82を用いて電圧が5(V)の電力P4を供給するが、電流はわずかであるため電力P4も微小である。
【0077】
以上のように実施の形態1においては、映像表示状態では、主電源81は100(W)の電力P1をSWRで安定化して映像表示部60へ供給するとともに、60(W)の電力(P2+P3)のうちの約半分である32(W)を供給する。副電源82は、60(W)の電力(P2+P3)のうちの残りの約半分の28(W)を供給する。また電力(P2+P3)をSWRで安定化して音声出力部70およびAV信号供給部50へ供給する。このように主電源81からおよそ132(W)の電力が供給され、副電源82からおよそ28(W)の電力が供給される。
【0078】
また待機録画状態では、副電源82のみが動作して、30(W)の電力P3をSWRで安定化してAV信号供給部50へ供給する。このように副電源82から映像表示状態とほぼ同様の電力が供給される。
【0079】
したがって実施の形態1における電源回路80は、副電源82から供給する電力は、映像表示状態および待機録画状態のいずれであっても30(W)程度である。そのため電力ロスの大きいAVRを用いることなく副電源82を小型化することができる。こうして、電力効率の向上と小型化とをともに実現した電源回路80を用いたプラズマディスプレイ装置40を提供することが可能となる。
【0080】
さらに実施の形態1における電源回路80は、主電源81を動作させた場合に主電源81の第2の二次巻線L813から出力される電圧E2が、副電源82の第3の二次巻線L822から出力される電圧E3より大きくなるように設定されている。そのため映像表示状態では電圧E2の電力が供給され、待機録画状態では電圧E3の電力が供給される。このように主電源スイッチ85のオン・オフで切り替えることで、主電源81と副電源82との電力の分担を切り替えることができる。
【0081】
(実施の形態2)
本実施の形態2におけるプラズマディスプレイ装置41のパネル10の構成は実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置40のパネル10と同じである。また本実施の形態2におけるプラズマディスプレイ装置41の回路ブロックも実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置40の回路ブロックと同様であるため、同一の構成要素には実施の形態1と同じ符号を付して詳細な説明は省略する。実施の形態2におけるプラズマディスプレイ装置41が実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置40と異なる点は、電源回路90の主電源91および副電源92の回路構成およびその動作である。
【0082】
図8は、本発明の実施の形態2におけるプラズマディスプレイ装置41の電源回路90の詳細を示す回路図である。電源回路90は、主電源91、副電源92、電力制御部83、本体電源スイッチ84、主電源スイッチ85、音声出力部スイッチ86およびAV信号供給部スイッチ87を有する。
【0083】
主電源91は、主電源用スイッチングトランスT91と、一次側整流部911と、第1の整流部912と、第2の整流部913と、主電源用スイッチング制御部S91とを有する。
【0084】
主電源用スイッチングトランスT91は、一次巻線L911と第1の二次巻線L912と第2の二次巻線L913とを有する。
【0085】
一次側整流部911はダイオードD911とコンデンサC911とを有し、商用交流電源100を整流して一次巻線L911に直流電流を供給する。
【0086】
第1の整流部912はダイオードD912とコンデンサC912とを有し、第1の二次巻線L912に発生する電圧e11を整流して電圧E11を出力する。
【0087】
主電源用スイッチング制御部S91は第1の整流部912から出力される電圧E11が安定して電圧200(V)となるようにスイッチング素子Q91を制御して、主電源用スイッチングトランスT91の一次巻線L911の電流を制御する。
【0088】
第2の整流部913はダイオードD913とダイオードD991とコンデンサC913とを有し、第2の二次巻線L913に発生する電圧e12を整流して電圧E12を出力する。第2の二次巻線L913の低電位側の端子は接地されている。
【0089】
副電源92は、副電源用スイッチングトランスT92と、一次側整流部921と、第3の整流部922と、副電源用スイッチング制御部S92と、集積回路IC92とを有する。
【0090】
副電源用スイッチングトランスT92は、一次巻線L921と第3の二次巻線L922と第4の二次巻線L923とを有する。
【0091】
一次側整流部921はダイオードD921とコンデンサC921とを有し、商用交流電源100を整流して一次巻線L921に供給する。
【0092】
第3の整流部922はダイオードD922とダイオードD923とダイオードD992とコンデンサC922とを有する。第3の二次巻線L922の低電位側の端子はコンデンサC913の高電位側の端子に接続され、第3の二次巻線L922の高電位側の端子はダイオードD922を介してコンデンサC922の高電位側の端子に接続されている。また第4の二次巻線L923の低電位側の端子は接地され、第4の二次巻線L923の高電位側の端子はダイオードD923を介してコンデンサC922の高電位側の端子に接続されている。そして第3の整流部922は、第2の整流部913から出力される電圧E12を第3の二次巻線L922に発生する電圧e13に重畳した電圧(E12+e13)と、第4の二次巻線L923に発生する電圧e14との大きいほうの電圧を整流する。そのため第3の整流部922は、電圧e14>電圧(E12+e13)の場合には電圧e14を整流して電圧E14を出力する。また電圧e14<電圧(E12+e13)の場合には電圧(E12+e13)を整流して電圧(E12+E13)を出力する。
【0093】
なお、本実施の形態2においては、第4の二次巻線L923の巻数は第3の二次巻線L922の巻数の2倍に設定されている。そのため第4の二次巻線L923に発生する電圧e14は第3の二次巻線L922に発生する電圧e13の2倍程度の電圧である。また第2の二次巻線L913は電圧E12が電圧8(V)を下回らない巻数に設定されている。
【0094】
副電源用スイッチング制御部S92は、第3の整流部922から出力される電圧が安定して電圧15(V)となるようにスイッチング素子Q92を制御して、副電源用スイッチングトランスT92の一次巻線L921の電流を制御する。すなわち電圧e14>電圧(E12+e13)の場合には電圧E14が電圧15(V)となるようにスイッチング素子Q92を制御する。また電圧e14<電圧(E12+e13)の場合には電圧(E12+E13)が電圧15(V)となるようにスイッチング素子Q92を制御する。
【0095】
集積回路IC92は、電力P4の電圧が5(V)となるように出力される電圧を安定させるためのAVRである。第3の整流部922から出力される電圧を入力して安定した電圧5(V)を出力する。
【0096】
次に、プラズマディスプレイ装置41の各電力供給モードにおける電源回路90の動作について説明する。
【0097】
(オフ状態)
本体電源スイッチ84をオフにする。すると電源回路90に電力は供給されず、プラズマディスプレイ装置41の各回路ブロックには電力P1、P2、P3、P4が供給されない。
【0098】
(映像表示状態)
映像表示状態では、本体電源スイッチ84をオンにして副電源92を動作させ、主電源スイッチ85をオンにして主電源91を動作させる。さらに、音声出力部スイッチ86をオンにして音声出力部70に電力P2を供給し、AV信号供給部スイッチ87をオンにしてAV信号供給部50に電力P3を供給する。
【0099】
図9は、本発明の実施の形態2におけるプラズマディスプレイ装置41が映像表示状態のときの電源回路90の動作を説明する図である。なお図9では、コンデンサの保護用ダイオードであるダイオードD991、ダイオードD992は省略した。主電源91が動作すると、第1の二次巻線L912に発生する電圧e11がダイオードD912で整流されコンデンサC912で平滑されて、第1の整流部912からは電圧E11が出力される。主電源用スイッチング制御部S91は、この電圧E11が200(V)となるようにスイッチング素子Q91を制御する。こうして安定した電圧200(V)の電力P1を映像表示部60へ供給する。また第2の二次巻線L913に発生する電圧e12がダイオードD913で整流されコンデンサC913で平滑されて、第2の整流部913からは電圧E12が出力される。
【0100】
ここでも映像表示部60の消費電力の変動に依存して、電圧E12はおよそ8(V)〜10(V)の範囲で大きく変動する。
【0101】
副電源92の第3の二次巻線L922に発生する電圧e13はダイオードD922で整流され、コンデンサC922の両端には電圧E13が発生する。この電圧E13は第2の整流部913の出力する電圧E12に重畳されるので、コンデンサC922の高電位側の電圧、すなわち第3の整流部922から出力される電圧は電圧(E12+E13)となる。
【0102】
副電源用スイッチング制御部S92は、この電圧(E12+E13)が15(V)となるようにスイッチング素子Q92を制御する。こうしてAV信号供給部50へ電圧15(V)の安定した電力P3が供給される。また音声出力部70へも電圧15(V)の安定した電力P2が供給される。
【0103】
このように実施の形態2においては電圧(E12+E13)が電圧15(V)となるように制御されている。そのため、電圧E12が8(V)程度であれば電圧E13は7(V)程度の電圧となり、電圧E12が10(V)程度であれば電圧E13は5(V)程度の電圧となっている。上述したように第4の二次巻線L923の巻数は第3の二次巻線L922の2倍に設定されているため、第4の二次巻線L823に発生する電圧e14は電圧e14<電圧(E12+e13)となる。そのため電力P2、P3およびP4は第2の二次巻線L913および第3の二次巻線L922から主に供給され、第4の二次巻線L923からはほとんど供給されない。
【0104】
実施の形態2においては、映像表示部60へ電圧200(V)、平均電流0.5(A)を供給するため、第1の二次巻線L912が供給する電力P1はおよそ100(W)である。また電力P2の平均電流は2(A)であり、電力P3の平均電流は2(A)であり、その合計は4(A)である。したがって電圧E12を8(V)程度とすると、第2の二次巻線L913から供給される電力はおよそ32(W)である。そして残りの電力28(W)のほとんどは第3の二次巻線L922から供給される。
【0105】
このように映像表示状態においては、主電源91からおよそ132(W)の電力が供給され、副電源92からおよそ28(W)の電力が供給される。
【0106】
なお、電力制御部83へはAVR用の集積回路IC92を用いて電圧が5(V)の電力P4を供給するが、電流はわずかであるので電力P4も微小である。
【0107】
(待機録画状態)
待機録画状態では、本体電源スイッチ84をオンにして副電源92を動作させる。またAV信号供給部スイッチ87をオンにしてAV信号供給部50に電力P3を供給する。しかし主電源スイッチ85をオフにして主電源91を動作させない。また音声出力部スイッチ86をオフにして音声出力部70に電力P2を供給しない。
【0108】
図10は、本発明の実施の形態2におけるプラズマディスプレイ装置41が待機録画状態のときの電源回路90の動作を説明する図である。なお図10でも、コンデンサの保護用ダイオードであるダイオードD991、ダイオードD992は省略した。主電源91が動作しないので、第1の二次巻線L912および第2の二次巻線L913には電圧が発生しない。すなわち電圧e11および電圧e12は電圧0(V)となり、電圧E12も電圧0(V)となる。
【0109】
副電源92の第3の二次巻線L922には電圧e13が発生し、第4の二次巻線L923には電圧e13の2倍程度の電圧e14が発生する。このとき電圧E12が電圧0(V)であるため電圧e14>電圧(E12+e13)となる。したがって第4の二次巻線L923に発生する電圧e14がダイオードD923で整流されコンデンサC922で平滑されて、第3の整流部923からは電圧E14が出力される。副電源用スイッチング制御部S92は、この電圧E14が15(V)となるようにスイッチング素子Q92を制御する。こうして、AV信号供給部50へ電圧15(V)の安定した電力P3が供給される。
【0110】
このように待機録画状態においては、副電源92からおよそ30(W)の電力が供給される。
【0111】
なお、電力制御部83へはAVR用の集積回路IC82を用いて電圧が5(V)の電力P4を供給するが、電流はわずかであるので電力P4も微小である。
【0112】
(スタンバイ状態)
スタンバイ状態では、本体電源スイッチ84をオンにして副電源92を動作させる。しかし主電源スイッチ85をオフにして主電源91を動作させない。またAV信号供給部スイッチ87をオフ、音声出力部スイッチ86をオフにしてAV信号供給部50および音声出力部70に電力を供給しない。
【0113】
このとき副電源92の第4の二次巻線L923に発生する電圧e14がダイオードD923で整流されコンデンサC922で平滑されて、第3の整流部922からは電圧E14が出力される。副電源用スイッチング制御部S92は、この電圧E14が15(V)となるようにスイッチング素子Q92を制御する。そして電力制御部83へはAVR用の集積回路IC82を用いて電圧が5(V)の電力P4を供給するが、電流はわずかであるので電力P4も微小である。
【0114】
以上のように実施の形態2においては、映像表示状態では、主電源91は100(W)の電力P1をSWRで安定化して映像表示部60へ供給するとともに、60(W)の電力(P2+P3)のうちの約半分である32(W)を供給する。副電源92は、60(W)の電力(P2+P3)のうちの残りの約半分の28(W)を供給する。また電力(P2+P3)をSWRで安定化して音声出力部70およびAV信号供給部50へ供給する。このように主電源91からおよそ132(W)の電力が供給され、副電源92からおよそ28(W)の電力が供給される。
【0115】
また待機録画状態では、副電源92のみが動作して、30(W)の電力P3をSWRで安定化してAV信号供給部50へ供給する。このように副電源92から映像表示状態とほぼ同様の電力が供給される。
【0116】
したがって実施の形態2における電源回路90も実施の形態1における電源回路80と同様に、副電源92から供給される電力は、映像表示状態および待機録画状態のいずれであっても30(W)程度である。そのため電力ロスの大きいAVRを用いることなく副電源92を小型化することができる。このように、電力効率の向上と小型化とをともに実現した電源回路90を用いたプラズマディスプレイ装置41を提供することが可能となる。
【0117】
さらに実施の形態2における電源回路90は、主電源91を動作させた場合に主電源91の第2の二次巻線L913から出力される電圧E12が、副電源92の第4の二次巻線L923から出力される電圧E14より大きくなるように設定されている。そのため映像表示状態では電圧(E12+E13)の電力が供給され、待機録画状態では電圧E14の電力が供給される。このように主電源スイッチ85のオン・オフで切り替えることで、主電源91と副電源92との電力の分担を切り替えることができる。
【0118】
なお実施の形態1、2において用いた具体的な各数値は、単に一例を挙げたに過ぎず、プラズマディスプレイ装置の仕様等に合わせて、適宜最適な値に設定することが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明の電源回路は、電力効率の向上と小型化とをともに実現でき、交流面放電型のプラズマディスプレイ装置等の映像表示装置を提供する上で有用である。
【符号の説明】
【0120】
10 パネル
20 前面板
21 前面基板
22 走査電極
23 維持電極
24 表示電極対
25,33 誘電体層
26 保護膜
30 背面板
31 背面基板
32 データ電極
34 隔壁
35 蛍光体層
40,41 プラズマディスプレイ装置
50 AV信号供給部
51 チューナ
52 記憶再生部
53 信号分離部
60 映像表示部
61 映像信号処理回路
62 タイミング発生回路
63 データ電極駆動回路
64 走査電極駆動回路
65 維持電極駆動回路
70 音声出力部
71 音声増幅回路
72 スピーカ
80,90,200,300 電源回路
81,91,201,301 主電源
82,92,202,302 副電源
83 電力制御部
83a 受光部
83b リモコン
84 本体電源スイッチ
85 主電源スイッチ
86 音声出力部スイッチ
87 AV信号供給部スイッチ
100 商用交流電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像表示時に動作する主電源と、機能待機時および映像表示時に動作する副電源とを有する映像表示装置用電源回路であって、
前記主電源は、第1の二次巻線と第2の二次巻線とを有する主電源用スイッチングトランスと、前記第1の二次巻線に発生する電圧を整流する第1の整流部と、前記第1の整流部から出力される電圧が一定となるように前記主電源用スイッチングトランスの一次巻線の電流を制御する主電源用スイッチング制御部とを備え、
前記副電源は、第3の二次巻線と第4の二次巻線とを有する副電源用スイッチングトランスと、前記第2の二次巻線に発生する電圧と前記第3の二次巻線に発生する電圧との大きいほうの電圧を整流する第2の整流部と、前記第4の二次巻線に発生する電圧を整流して前記第2の整流部から出力される電圧に重畳する第3の整流部と、前記第3の整流部から出力される電圧が一定となるように前記副電源用スイッチングトランスの一次巻線の電流を制御する副電源用スイッチング制御部とを備えたことを特徴とする映像表示装置用電源回路。
【請求項2】
電波信号を受信し映像信号および音声信号を出力するAV信号供給部と、前記映像信号に基づき映像を表示する映像表示部と、前記音声信号に基づき音声を出力する音声出力部と、前記AV信号供給部と前記映像表示部と前記音声出力部とへの電力供給を制御する電力制御部と、前記電力制御部により電力供給を制御される主電源と、前記電力制御部に電力を供給する副電源とを備えたプラズマディスプレイ装置であって、
前記主電源は、第1の二次巻線と第2の二次巻線とを有する主電源用スイッチングトランスと、前記第1の二次巻線に発生する電圧を整流する第1の整流部と、前記第1の整流部から出力される電圧が一定となるように前記主電源用スイッチングトランスの一次巻線の電流を制御する主電源用スイッチング制御部とを備え、
前記副電源は、第3の二次巻線と第4の二次巻線とを有する副電源用スイッチングトランスと、前記第2の二次巻線に発生する電圧と前記第3の二次巻線に発生する電圧との大きいほうの電圧を整流する第2の整流部と、前記第4の二次巻線に発生する電圧を整流して前記第2の整流部から出力される電圧に重畳する第3の整流部と、前記第4の整流部から出力される電圧が一定となるように前記副電源用スイッチングトランスの一次巻線の電流を制御する副電源用スイッチング制御部とを備え、
映像表示時には、前記第1の整流部の出力を前記映像表示部に供給し、前記第2の整流部の出力を前記電力制御部へ供給し、前記第3の整流部の出力を前記音声出力部および前記AV信号供給部に供給し、
機能待機時には、前記第2の整流部の出力を前記電力制御部へ供給し、前記第3の整流部の出力を前記AV信号供給部に供給する
ことを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
【請求項3】
前記第2の二次巻線の巻数は、前記第2の二次巻線に発生する電圧が前記第3の二次巻線に発生する電圧より大きくなるように設定されていることを特徴とする請求項2に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項4】
電波信号を受信し映像信号および音声信号を出力するAV信号供給部と、前記映像信号に基づき映像を表示する映像表示部と、前記音声信号に基づき音声を出力する音声出力部と、前記AV信号供給部と前記映像表示部と前記音声出力部とへの電力供給を制御する電力制御部と、前記電力制御部により電力供給を制御される主電源および前記電力制御部に電力を供給する副電源を有する電源回路とを備えたプラズマディスプレイ装置であって、
前記主電源は、第1の二次巻線と第2の二次巻線とを有する主電源用スイッチングトランスと、前記第1の二次巻線に発生する電圧を整流する第1の整流部と、前記第2の二次巻線に発生する電圧を整流する第2の整流部と、前記第1の整流部から出力される電圧が一定となるように前記主電源用スイッチングトランスの一次巻線の電流を制御する主電源用スイッチング制御部とを備え、
前記副電源は、第3の二次巻線と第4の二次巻線とを有する副電源用スイッチングトランスと、前記第2の整流部から出力される電圧に前記第3の二次巻線に発生する電圧を重畳した電圧と前記第4の二次巻線に発生する電圧との大きいほうの電圧を整流する第3の整流部と、前記第3の整流部から出力される電圧が一定となるように前記副電源用スイッチングトランスの一次巻線の電流を制御する副電源用スイッチング制御部とを備え、
映像表示時には、前記第1の整流部の出力を前記映像表示部に供給し、前記第3の整流部の出力を前記音声出力部、前記AV信号供給部および前記電力制御部に供給し、
機能待機時には、前記第3の整流部の出力を前記AV信号供給部および前記電力制御部へ供給する
ことを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
【請求項5】
前記第4の二次巻線の巻数は、前記第4の二次巻線に発生する電圧が前記第2の整流部から出力される電圧に前記第3の二次巻線に発生する電圧を重畳した電圧より小さくなるように設定されていることを特徴とする請求項4に記載のプラズマディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−22167(P2012−22167A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160377(P2010−160377)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】