説明

映像表示装置

【課題】部分的な外光の射し込みなどによる視環境の変化が生じても、かかる変化に応じて高い視認性を確保することができること。
【解決手段】被照射領域推定部が、複数の照度センサの検出結果から部分的な外光の照射を受けた被照射領域を推定し、RGB制御部およびバックライト制御部が連携してかかる被照射領域について映像の調整を行い、表示制御部がかかる映像の調整に基づいて出力映像信号を生成し、補正部が出力映像信号の領域間および時系列上の補正を行うように映像表示装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部分的な外光の射し込みなどによる視環境の変化が生じても、かかる変化に応じて高い視認性を確保することができる映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のカーナビゲーションシステムなどに備えられ、目的地までの経路情報や渋滞情報といったナビゲーション情報やワンセグ放送などを車載ディスプレイに対して表示する映像表示装置が知られている。
【0003】
そして、かかる映像表示装置は、時間帯による日照の変化や天候の変化など種々の視環境の変化にさらされる運転者を支援するため、常に高い視認性を確保することが求められてきた。
【0004】
たとえば、オープンカーについては、外光を光源とできる半透過型液晶を車載ディスプレイに利用するなど、直射日光にさらされた日中の運転時でも視認性を確保するための工夫が施されている。
【0005】
また、近年では、車載ディスプレイの近傍に配置した照度センサによって照度変化を検出し、液晶ディスプレイのバックライトの輝度を制御して視認性を確保する、いわゆるディマー技術を利用した映像表示装置も登場してきている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−285064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した半透過型液晶については、バックライト光源に特化した透過型液晶あるいは外光光源に特化した反射型液晶と比べて表示品質が劣るうえ、夜間の視認性に優れないという問題点がある。したがって、車載ディスプレイとしては、オープンカー以外の自動車ではほとんど利用されていない。
【0008】
また、自動車の車内には、ウィンドウの形状や透過率、あるいはピラー(支柱)の配置などの影響によって部分的に外光が射し込むのが通常である。したがって、車載ディスプレイに対する外光の射し込みも部分的であることが多い。しかしながら、特許文献1の技術においては、この点について言及されていない。
【0009】
このため、同技術を用いた場合には、かかる部分的な外光による照度変化を検出した際にも、車載ディスプレイ全体のバックライト輝度を一様に制御していた。これにより、運転者からみた視認性において何ら支障がない場合にも、不要なバックライト制御を行ってしまう可能性が高かった。さらに、かかる不要な制御によって、消費電力もかさむ可能性があった。
【0010】
なお、携帯端末装置の表示ディスプレイなどであれば、かかる部分的な外光による視認性の低下が生じても、装置自体の向きを変えることで対処することが可能である。しかしながら、自動車の場合、かかる部分的な外光に逐一応じて走行方向を変更することはできない。
【0011】
これらのことから、部分的な外光の射し込みなどによる視環境の変化が生じても、かかる変化に応じて高い視認性を確保することができる映像表示装置をいかにして実現するかが大きな課題となっている。
【0012】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであって、部分的な外光の射し込みなどによる視環境の変化が生じても、かかる変化に応じて高い視認性を確保することができる映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、ディスプレイに対して映像を表示する映像表示装置であって、前記ディスプレイの近傍の照度を検出する複数の照度検出手段と、前記複数の照度検出手段による検出値に基づいて前記ディスプレイの視認性の低下部分である部分領域を特定する領域特定手段と、前記領域特定手段によって特定された前記部分領域に表示される映像を調整する調整手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ディスプレイの近傍の照度を複数の照度センサによって検出し、複数の照度センサによる検出値に基づいてディスプレイの視認性の低下部分である部分領域を特定し、特定された部分領域に表示される映像を調整することとしたので、部分的な外光の射し込みなどによる視環境の変化が生じても、かかる変化に応じて高い視認性を確保することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明に係る映像表示手法の概要を示す図である。
【図2】図2は、映像表示装置の概略図である。
【図3】図3は、映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、RGB制御部とバックライト制御部との関連を説明するための図である。
【図5】図5は、補正部における補正処理を説明するための図である。
【図6】図6は、被照射領域を推定する場合の処理を説明するための図である。
【図7】図7は、映像表示装置が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】図8は、自発光式メーターを表示制御の対象とした場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る映像表示手法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る映像表示手法の概要について図1を用いて説明した後に、本発明に係る映像表示手法を適用した映像表示装置についての実施例を図2〜図8を用いて説明することとする。
【0017】
また、以下では、バックライトの発する光を部分的に遮蔽あるいは透過することで表示を行う、いわゆる透過型液晶パネル(以下、「液晶パネル」と記載する)を有する表示装置(以下、「ディスプレイ」と記載する)を、本発明に係る映像表示装置が表示制御の対象とする場合について説明することとする。また、かかるディスプレイは、液晶パネルの構成部品のひとつであるRGB画素を制御することで階調表現を行うものとする。
【0018】
まず、本発明に係る映像表示手法の概要について図1を用いて説明する。図1は、本発明に係る映像表示手法の概要を示す図である。なお、同図の(A)には、照度センサの配置例および液晶パネル20の区画例を、同図の(B)には、本発明に係る映像表示手法における処理手順の概要を、それぞれ示している。
【0019】
図1の(A)に示したように、本発明に係る映像表示手法では、液晶パネル20の近傍に複数の照度センサを配置することとした。また、かかる複数のセンサの各々へ対応づけて、液晶パネル20を複数の領域へ分割することとした。
【0020】
なお、同図の(A)は、液晶パネル20の近傍に4個の照度センサAS〜DSを配置するとともに、液晶パネル20を各センサに対応するエリアA20a〜D20dの4個の領域に分割した例を示している。以下に、かかる例を前提とした処理手順の概要を、同図の(B)を用いて説明する。
【0021】
同図の(B−1)に示したように、直射日光が液晶パネル20へ照射された場合、かかる照射を受けた液晶パネル20の領域は通常、140,000ルクスにも及ぶ直射日光の影響で視認性が極度に低下する。
【0022】
また、かかる直射日光の照射は、自動車のウィンドウやピラー(支柱)などの形状や配置の影響を受けて部分的である場合がきわめて多い。ここで、かかる直射日光の部分的な照射を受けた液晶パネル20の部分領域を、以下、単に「被照射領域」と記載する。なお、同図の(B−1)には、液晶パネル20のエリアA20aのみが直射日光を受けて視認性が極度に低下した例を示している。
【0023】
ところで、かかる視認性の低下は、非常に強力な直射日光のような外光を液晶パネル20が反射してしまい、最大階調表現幅(以下、「ダイナミックレンジ」と記載する)の一部を喪失してしまうことに起因する。
【0024】
そして、RGB画素の階調は、通常時のダイナミックレンジに割り付けられているので、かかるダイナミックレンジの部分的喪失にともなって、かかる階調の一部を喪失することとなる。すなわち、表現できない階調が生じることで、視認性の低下が生じることとなる。
【0025】
そこで、同図の(B−1)に示したように、本発明に係る映像表示手法では、エリアA20aに対応する照度センサASが直射日光による照度の上昇を検出したならば、かかる照度センサASに対応づけられたエリアA20aが部分的に視認性の低下した「被照射領域」であると推定することとした。
【0026】
そして、同図の(B−2)に示したように、「被照射領域」であるエリアA20aの視認性を回復するため、かかるエリアA20aを対象とする部分制御を行うこととした。ここで、かかる部分制御の手法としては、以下に示す2つの手法をとる。
【0027】
まず、1つめの手法として、RGB画素の階調制御を行って表現できなくなった階調を復元することとした(同図の(B−2a)参照)。
【0028】
ここで、映像表示装置は、RGBシャッタと呼ばれる機構を用いてRGB画素の透過光量を調整し、階調表現を行うことが一般的である。そして、かかる制御によって、前述の階調はダイナミックレンジへと割り付けられている。
【0029】
そこで、1つめの手法では、直射日光を受けてなお残されたダイナミックレンジの範囲内へ、被照射前の階調を射影して割り付け、表現できなくなった階調を復元することとした。なお、この点の詳細については図4を用いて後述する。
【0030】
また、2つめの手法では、バックライトの輝度を制御してダイナミックレンジを拡張することとした(図1の(B−2b)参照)。具体的には、バックライト光源の光量を増加させることで、被照射前のダイナミックレンジに相当する程度までダイナミックレンジを拡張する。なお、この点の詳細についても図4を用いて後述する。
【0031】
したがって、この2つめの手法によれば、1つめの手法で「残されたダイナミックレンジの範囲内」へ射影して制限的に割り付けていた被照射前の階調を、2つめの手法で拡張したダイナミックレンジへ割り付けることで、表現できなくなった階調をより適正に復元することができる。すなわち、図1の(B−2)に示した部分制御では、上述の2つの手法を連携して制御することで適正な視認性の回復を行う。
【0032】
つづいて、同図の(B−3)に示したように、入力映像信号が同図の(B−2)に示した部分制御を経て生成される出力映像信号の輝度の補正を行うこととした。ここで、本発明に係る映像表示手法では、かかる補正の手法として以下に示す2つの手法をとる。
【0033】
まず、1つめの手法では、エリア間の輝度の差を補正することとした。すなわち、「被照射領域」であるエリアA20aと隣り合うエリアA20bとの間に生じる輝度の差を、所定のパラメータを用いて平滑化することで、映像を表示した際にエリアの境界を目立たないようにする。なお、この点の詳細については図5を用いて後述する。
【0034】
また、2つめの手法では、時系列上の輝度の差を補正することとした。すなわち、時系列上に生じる輝度の差を、所定のパラメータを用いて平滑化することで、映像を表示した際に生じる画面のちらつきを抑制する。なお、この点の詳細についても図5を用いて後述する。
【0035】
そして、図1の(B−4)に示したように、映像表示装置は、同図の(B−3)に示した補正を経た出力映像信号を液晶パネル20に対して表示する。すなわち、「被照射領域」のエリアA20aの視認性は回復し、部分的な直射日光の射し込みを受ける視環境の下でも、運転者を支援する情報などの提供を行うことができる。
【0036】
なお、ここまでは、同図に示したように、複数の照度センサAS〜DSが液晶パネル20の所定の領域にそれぞれ対応している場合について説明してきた。しかしながら、かかる所定の領域と各センサとの対応づけを行わずに、各センサの検出結果のみに基づいて「被照射領域」を推定することとしてもよい。この点については、図6を用いて後述する。
【0037】
このように、本発明に係る映像表示手法によれば、液晶パネル20に対して直射日光のような外光が部分的に射し込む場合であっても、かかる部分的な射し込みを受けた「被照射領域」のみを制御することによって高い視認性を確保することができる。
【0038】
また、複数の照度センサを用いることで、「被照射領域」を部分的な直射日光の射し込みに応じて適宜推定することができ、かかる「被照射領域」のみを制御することによって消費電力を抑えることができる。したがって、視環境の変化に応じて効率的に高い視認性の確保を行うことができる。
【0039】
以下では、図1を用いて説明した映像表示手法を適用した映像表示装置についての実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0040】
まず、本発明に係る映像表示装置の概略について図2を用いて説明する。図2は、本発明に係る映像表示装置の概略図である。なお、同図では、本発明に係る映像表示装置の特徴を説明するために必要な機構の一部のみを示しており、機構の形状や構成部品などを限定するものではない。また、同図の(A)には、液晶パネル20周辺の概略図を、同図の(B)には、液晶パネル20上の任意点Pの部分制御例を示す図を、それぞれ示している。
【0041】
図2の(A)に示したように、本発明に係る映像表示装置は、液晶パネル20と、導光板30と、複数のバックライトBL〜BLとを表示部の構成部品として備えている。
【0042】
また、液晶パネル20の近傍には複数の照度センサAS〜DSが配置されており、液晶パネル20の分割領域であるエリアA20〜D20にそれぞれ対応づけられている。なお、このような静的な対応づけを行わないこととしてもよいが、この点については、図6を用いて後述する。
【0043】
液晶パネル20は、ガラスなどの透明な複数の基板で液晶を挟んだ構造になっており、映像表示装置がかかる液晶に電圧を印加して液晶分子の向きを変えると、光の透過率を増減させることができる。すなわち、かかる原理により、液晶パネル20上に映像を表示させることができる。
【0044】
なお、前述のRGBシャッタは、かかる原理によりRGB画素の透過光量を増減させることで階調表現を行っている。
【0045】
また、バックライトBL〜BLは、液晶パネル20を透過する光の光源である。かかるバックライトBL〜BLの発した光は、導光板30によって液晶パネル20の背面に広げられる。すなわち、導光板30は、同図の(A)に示した、n個の点光源(LEDなど)を面光源へと変換し、かかる面光源を液晶パネル20の背面に配置する役割を果たす。
【0046】
なお、同図の(A)には、バックライトがLEDなどの点光源である場合を示しているが、光源の種類や数を限定するものではなく、たとえば、冷陰極管などの線光源であってもよい。
【0047】
また、導光板30は、表層や内部などに光の屈折率を制御する加工などを施すことによって、導光板30の端面から入射した光を自在に反射させることができる。したがって、かかる反射を制御することで、液晶パネル20の任意の領域を透過する光量のみを調整することが可能となる。
【0048】
ここで、かかる点について、同図の(B)を用いて説明する。同図の(B)は、液晶パネル20上の任意点Pの部分制御例を示す図である。
【0049】
同図の(B)に示したように、たとえば、バックライトBLから発する光Rと、バックライトBLから発する光Rとを重ねることで、かかる2つの光が交差する領域Dの輝度を上げることができる。
【0050】
すなわち、かかる光の交差や前述の導光板30による反射などの制御を組み合わせることによって、液晶パネル20上の任意点Pのみの輝度を上げることも可能となる。なお、同図の(B)に示した例は単純なモデルケースであって、実際の制御の方法を限定するものではない。
【0051】
次に、本発明に係る映像表示装置の構成について図3を用いて説明する。図3は、本発明に係る映像表示装置10の構成を示すブロック図である。なお、同図では、映像表示装置10の特徴を説明するために必要な構成要素のみを示しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0052】
同図に示すように、映像表示装置10は、照度センサ部11と、表示部12と、映像入力部13と、制御部14と、記憶部15とを備えている。また、制御部14は、被照射領域推定部14aと、部分制御部14bと、RGB制御部14cと、バックライト制御部14dと、表示制御部14eと、補正部14fとをさらに備えている。そして、記憶部15は、被照射領域情報15aと、補正情報15bとを記憶する。
【0053】
照度センサ部11は、照度センサからの信号を受け取り、被照射領域推定部14aに対して通知する入力デバイスである。また、照度センサ部11は、図1および図2に示した照度センサASa〜DSdなどのセンサごとに個別に存在する。したがって、映像表示装置10においては、複数の照度センサ部11が並列して動作することとなる。
【0054】
表示部12は、図1および図2に示した液晶パネル20に対応するデバイスであり、表示制御部14eからの出力映像信号を表示する。なお、表示部12については、特に構成を限定されるものではなく、たとえば、PDP(Plasma Display Panel)を用いることとしてもよい。
【0055】
映像入力部13は、入力映像信号を受信して、表示制御部14eに対して通知する入力デバイスであり、特に構成を限定されない。したがって、受信する信号の種類を限定するものでもなく、たとえば、RGB信号を入力することとしてもよいし、色差信号を入力することとしてもよい。なお、本実施例では、入力映像信号としてRGB信号が入力されるものとする。
【0056】
制御部14は、照度センサ部11からの信号に基づいて被照射領域を推定し、かかる被照射領域について映像の調整を行って表示部12に対して表示する処理を行う処理部である。
【0057】
被照射領域推定部14aは、照度センサ部11から入力した信号に基づき、液晶パネル20上で直射日光のような外光の照射を受けている被照射領域を特定あるいは推定する処理を行う処理部である。
【0058】
すなわち、被照射領域推定部14aは、液晶パネル20の近傍に配置された照度センサから照度が上昇した旨の信号を受け付けると、かかる照度センサにあらかじめ対応づけられた液晶パネル20の所定の領域が、部分的に映像調整が必要な被照射領域であると特定する(図1参照)。
【0059】
なお、かかる照度センサと所定の領域との対応づけは、特に手段を限定するものではない。したがって、ハードウェア結線によるものとしてもよいし、ソフトウェアによって制御することとしてもよい。
【0060】
また、被照射領域推定部14aは、かかる照度センサと所定の領域との対応づけが行われていない場合には、各照度センサの検出結果に基づいて被照射領域を推定する処理を行う処理部でもある。かかる被照射領域の推定の際、被照射領域推定部14aは、記憶部15の被照射領域情報15aを参照する。なお、この点の詳細については、図6を用いて後述する。
【0061】
また、被照射領域推定部14aは、推定した被照射領域の映像調整を行うにあたって必要となる階調や輝度などの映像調整値を推定する処理部でもある。
【0062】
なお、かかる映像調整値の推定については、たとえば、推定の目安となる照度レベルの閾値などを、あらかじめ記憶部15の被照射領域情報15aに格納しておき、かかる閾値と照度センサ部11から通知される照度とに基づいて推定を行うこととしてもよい。
【0063】
また、被照射領域推定部14aは、推定した被照射領域および映像調整値を、部分制御部14bに対して通知する処理を行う処理部でもある。
【0064】
部分制御部14bは、被照射領域推定部14aから通知された被照射領域および映像調整値に基づき、RGB制御部14cおよびバックライト制御部14dに対して映像調整を行うよう指示する処理を行う処理部である。
【0065】
また、部分制御部14bは、RGB制御部14c、バックライト制御部14dの両処理部が、連携して適性に映像調整を行うよう指示する処理を行う処理部でもある。
【0066】
また、部分制御部14bは、被照射領域が複数に及ぶ場合に、かかる複数の領域の映像調整を適正に行うよう、RGB制御部14cおよびバックライト制御部14dに対して指示する処理を行う処理部でもある。
【0067】
RGB制御部14cは、映像表示装置10が備える前述のRGBシャッタを用いて、RGB画素を透過する光量の増減を行い、被照射領域の階調を調整する処理を行う処理部である。なお、この点の詳細については、図4を用いて後述する。
【0068】
また、RGB制御部14cは、かかる調整の結果である映像調整信号を、表示制御部14eに対して通知する処理を行う処理部でもある。
【0069】
バックライト制御部14dは、映像表示装置10が備えるバックライト光源の光量を調整して、被照射領域の輝度を調整する処理を行う処理部である。なお、この点の詳細については、図4を用いて後述する。
【0070】
また、バックライト制御部14dは、かかる調整の結果である映像調整信号を、表示制御部14eに対して通知する処理を行う処理部でもある。
【0071】
ここで、RGB制御部14cおよびバックライト制御部14dが行う処理の詳細と、両処理部の関連とについて、図4を用いて説明する。図4は、RGB制御部14cとバックライト制御部14dとの関連を説明するための図である。
【0072】
なお、同図の(A)には、RGB制御部14cのみを用いた場合を、同図の(B)には、RGB制御部14cとバックライト制御部14dとを連携して用いた場合を、それぞれ示している。
【0073】
まず、同図の(A)に示した、RGB制御部14cのみを用いた場合について説明する。同図の(A−a)に示したように、液晶パネル20が直射日光のような外光の照射を受けていない場合、映像表示装置10は、幅Mのダイナミックレンジを有している。したがって、かかる場合、RGB画素の階調(たとえば、256段階)は、幅Mのダイナミックレンジへ割り付けられている。
【0074】
しかしながら、同図の(A−b)に示したように、液晶パネル20が外光の照射を受けた場合、映像表示装置10は、被照射領域のダイナミックレンジをたとえば幅l分喪失してしまう。これは、非常に強力な直射日光のような外光を液晶パネル20が反射してしまい見えにくくなった(視認性が低下した)状態を指す。
【0075】
そして、これにともなって、被照射領域のRGB画素は幅l分に相当する階調を喪失する。すなわち、幅l分相当の表現できない階調が生ずることとなる。
【0076】
そこで、RGB制御部14cは、幅M分のダイナミックレンジへ割り付けられていた被照射前の階調表現性能を、被照射後に残された幅r分のダイナミックレンジへ射影して割り付ける処理を行う(同図の(A−b)参照)。これにより、被照射領域のRGB画素は、幅r分の範囲で階調表現を行うことができる。
【0077】
なお、幅lおよび幅rの算定値については、たとえば、照度の1レベル上昇ごとに所定の喪失幅単位を被照射領域情報15aにあらかじめ格納しておき、照度センサ部11の検出値とかかる喪失幅単位とから幅lを、かかる幅lを幅Mから差し引いて幅rを、それぞれ算定することとすればよい。
【0078】
具体的には、幅Mが256、照度の1レベル上昇ごとの喪失幅単位が10である場合に、照度が10レベル上昇したとすると、幅lは100(=10(レベル)×10(喪失幅単位))、幅rは156(=256(幅M)−100(幅l))と算定されることとなる。
【0079】
次に、同図の(B)に示した、RGB制御部14cとバックライト制御部14dとを連携して用いた場合について説明する。なお、外光の照射を受けて幅l分のダイナミックレンジおよび階調表現性能を喪失する点については、同図の(A)に示した場合と同様であるため、説明を省略する。
【0080】
同図の(B)に示したように、RGB制御部14cとバックライト制御部14dとが連携して処理を行う場合、バックライト制御部14dは、バックライト光源の光量を増やして、幅e分のダイナミックレンジをあらたに確保する。すなわち、幅r分のダイナミックレンジが幅e分拡張され、幅(r+e)分に及ぶこととなる(同図の(B−b)参照)。
【0081】
そして、RGB制御部14cは、幅M分のダイナミックレンジへ割り付けられていた被照射前の階調表現性能を、幅(r+e)分のダイナミックレンジへ射影して割り付ける。(同図の(B−a)および(B−b)参照)。これにより、被照射領域のRGB画素は、幅(r+e)分の範囲で階調表現を行うことができる。
【0082】
ここで、かかる幅Mと幅(r+e)とを等値とする必要はない。すなわち、幅lと幅eとを等値とする必要はない。なぜなら、被照射領域のダイナミックレンジの喪失分lを、運転者の視認性を損ねない程度に小さなものにすれば足りるので、lよりも小さいr幅だけダイナミックレンジを拡張すれば、かかる視認性を確保することができる場合もあるからである。
【0083】
なお、ダイナミックレンジの喪失分lが、運転者の視認性に影響を与えないほど小さい場合には、バックライト制御そのものを行わないこととしてもよい。この場合、同図の(A)に示したRGB制御部14cの処理のみによることができ、バックライト制御部14dによるバックライト調光の消費電力などを抑えることが可能となる。
【0084】
図3の説明に戻り、表示制御部14eは、映像入力部13からの入力映像信号と、RGB制御部14cおよびバックライト制御部14dからの映像調整信号と、補正部14fからの映像補正信号とに基づき、出力映像信号を生成する処理を行う処理部である。
【0085】
また、表示制御部14eは、生成した出力映像信号を、表示部12に対して通知する処理を行う処理部でもある。
【0086】
補正部14fは、表示制御部14eが生成する出力映像信号を補正する処理を行う処理部である。ここで、補正部14fが行う補正処理の内容について、図5を用いて詳細に説明する。図5は、補正部における補正処理を説明するための図である。
【0087】
なお、同図の(A)には、液晶パネル20における部分領域間の輝度差を補正する場合を示している。また、同図の(A−0)には、液晶パネル20の分割例を、同図の(A−1)には、補正前の領域間の輝度差を、同図の(A−2)には、補正後の領域間の輝度差を、それぞれ示している。
【0088】
また、同図の(B)には、出力映像信号の時系列上の輝度差を補正する場合を示している。また、同図の(B−1)には、補正前の時系列上の輝度差を、同図の(B−2)には、補正後の時系列上の輝度差を、それぞれ示している。
【0089】
まず、図5の(A)を用いて、液晶パネル20の領域間の輝度差を補正する場合について説明する。同図の(A−0)に示したように、液晶パネル20が所定の水平位置B、B、BでエリアA〜Dの4個の領域に分割されているとする。すなわち、水平位置B、B、Bは、各領域の境界線である。
【0090】
そして、同図の(A−1)に示したように、本発明による手法では被照射領域ごとに輝度を含めた映像の調整を行うため、かかる境界線B、B、Bにおいては通常、輝度の差が生じることとなる。そして、かかる輝度差は映像上、各領域の境界線としてあらわれてしまう。
【0091】
そこで、補正部14fは、かかる境界点B、B、Bにおける輝度の差を平滑化する。すなわち、補正しなければ映像上にあらわれてしまう各領域間の境界線を、輝度差の平滑化によってぼかす(いわゆるフェードをかける)処理を行う。
【0092】
具体的には、同図の(A−2)に示したように、補正部14fは、境界点をはさむ所定の区間で徐々に輝度変動が行われるようにする。たとえば、同図の(A−2)に示した、境界点B、あるいは境界点Bをはさむ区間であるPは、高い輝度から低い輝度へ、すなわち明るい領域から暗い領域へ徐々に輝度を下げていく暗順応区間である。
【0093】
また、同図の(A−2)に示した、境界点Bをはさむ区間Pは、暗い領域から明るい領域へ徐々に輝度を上げていく明順応区間である。なお、かかる区間Pおよび区間Pは、それぞれ暗順応区間パラメータP、明順応区間パラメータPとして、あらかじめ記憶部15の補正情報15bへ格納されているものとする。
【0094】
次に、図5の(B)を用いて、出力映像信号の時系列上の輝度差を補正する場合について説明する。同図の(B−1)に示したように、顕著な輝度の差がみられる時間軸上の点T〜Tがあるとする。
【0095】
かかる場合、補正を行わずに映像として表示すると、ごく短時間で輝度が大きく変動するために、画面にちらつきを生じることとなる。このため、補正部14fは、かかる輝度差の平滑化を行って、画面のちらつきを抑制する。
【0096】
具体的には、同図の(B−2)に示したように、補正部14fは、輝度差が生じている時間軸上の点から所定の時間をかけて徐々に輝度変動が行われるようにする。たとえば、同図の(B−2)に示した、点T、あるいは点Tからの所定の経過期間Tは、高い輝度から低い輝度へ徐々に輝度を下げていく暗順応期間である。
【0097】
また、同図の(B−2)に示した、点Tあるいは点Tからの所定の経過期間Tは、徐々に輝度を上げていく明順応期間である。なお、かかる経過時間Tおよび経過時間Tは、それぞれ暗順応時間パラメータT、明順応時間パラメータTとして、あらかじめ記憶部15の補正情報15bへ格納されているものとする。
【0098】
図3の説明に戻り、記憶部15は、ハードディスクドライブや不揮発性メモリ、レジスタといった記憶デバイスで構成される記憶部であり、被照射領域情報15aと、補正情報15bとを記憶する。
【0099】
なお、被照射領域情報15aおよび補正情報15bは、映像表示装置10の運用前の検証試験などを経て、あらかじめ設定値が格納されている。かかる設定値については、運用に沿って適宜変更することとしてもよい。また、設定や変更などの方法についても特に限定する必要はなく、ハードウェアによることとしてもよいし、ソフトウェアによることとしてもよい。
【0100】
被照射領域情報15aは、複数の照度センサの照度の組み合わせから推定される照射パターンをあらかじめ定義づけた静的な定義情報である。なお、かかる照射パターンには、被照射領域の形状などが含まれる。また、かかる定義情報は、ウィンドウやピラーなどの形状や配置を同じくする同一車種ごとに定義されるものとする。
【0101】
また、被照射領域情報15aは、複数の照度センサと液晶パネル20の所定の領域との対応づけが行われていない場合に、被照射領域推定部14aによって参照される。この点については、図6を用いて後述する。
【0102】
補正情報15bは、補正部14fが出力映像信号を補正する際に参照するパラメータ群である。具体的には、液晶パネル20の領域間の輝度差を平滑化するための暗順応/明順応区間パラメータ(図5の(A)のPおよびP参照)と、出力映像信号の時系列上の輝度差を平滑化するための暗順応/明順応期間パラメータ(図5の(B)のTおよびT参照)とを含む。
【0103】
ところで、これまでは、液晶パネル20の近傍に配置された複数の照度センサが、同パネルの所定の領域へそれぞれ対応づけられている場合について説明してきたが、かかる対応づけを行わずに各センサの検出結果に基づいて被照射領域を推定することとしてもよい。
【0104】
そこで、以下では、かかる照度センサと所定の領域との対応づけが行われていない場合の処理について、図6を用いて説明する。図6は、被照射領域を推定する場合の処理を説明するための図である。なお、同図の(A)には、複数の照度センサの配置と被照射領域とを、同図の(B)には、被照射領域情報15aの設定例を、それぞれ示している。
【0105】
同図の(A)に示したように、たとえば、液晶パネル20の近傍に6個の照度センサ1S〜6Sを配置するものとする。そして、かかる場合に、直射日光のような外光が液晶パネル20に対して斜光として射し込むものとする。なお、かかる場合の被照射領域は、同図の(A)に示した被照射領域20Bである。
【0106】
そして、図示しないが、照度センサは照度レベルを10進数の検出値で検出するものとし、6個の照度センサ1S〜6Sの検出する照度レベルは、それぞれ順にS=7、S=10、S=3、S=7、S=10、S=3であるものとする。
【0107】
かかる場合、検出距離や検出方向などの各種条件の違いから、照度センサ1S〜6Sの各検出結果は異なるものとなるが、逆に、かかる結果の差異などに基づいて被照射領域20Bの形状を推定することができる。
【0108】
そこで、本発明に係る手法では、各照度センサの検出結果から推定可能な被照射領域20Bの形状パターンを、あらかじめ記憶部15の被照射領域情報15aへ格納することとした。
【0109】
ただし、上述したように、直射日光のような外光の射し込みは、自動車のウィンドウやピラーの形状や配置などの影響を受けやすいため、かかる被照射領域20Bの形状のパターン化については、部品の形状や配置、ならびに表示部12の設置位置などを同じくする同一車種ごとに行うものとする。なお、かかるパターン化については、映像表示装置20の検証試験などを通じて行うものとすればよい。
【0110】
したがって、被照射領域推定部14aは、各照度センサと液晶パネル20の所定の領域との対応づけが行われていない場合には、照度センサ部11からの検出信号と被照射領域情報15aとに基づいて被照射領域20Bを推定する処理を行うこととなる。以下、かかる点について説明する。
【0111】
同図の(B)に示したのは、記憶部15の被照射領域情報15aの設定例である。同図の(B)に示したように、かかる被照射領域情報15aは、車種ごとの情報として管理される。したがって、映像表示装置10と同装置を搭載する車種との関連付けが必要となるが、特に手段を限定するものではない。また、同装置を搭載する車種のみの情報を有することとしてもよい。
【0112】
ここで、被照射領域推定部14aは、照度センサ1S〜6Sの検出結果を照度センサ部11から受け取り、受け取った検出結果の組み合わせと合致する照度レベルの組み合わせを有するレコードを被照射領域情報15aから抽出する。すなわち、同図の(A)に示した例であれば、被照射領域推定部14aは、同図の(B)に示した組合せNo.003のレコードを抽出することとなる。
【0113】
そして、被照射領域推定部14aは、抽出した照度レベルの組み合わせに関連付けられた照射パターンを、被照射領域20Bとして推定する。また、被照射領域推定部14aは、抽出したレコードの各照度レベルに応じて、輝度や階調などの映像調整値を推定するものとする。
【0114】
なお、上述した説明では、各照度センサの検出結果と照度レベルの組み合わせとが合致した場合に、かかる組み合わせに対応する照射パターンを被照射領域20Bとして推定することとした。しかし、これに限らず、各照度センサの検出結果に最も近い照度レベルの組み合わせを抽出し、抽出した組み合わせに対応する照射パターンを被照射領域20Bとして推定することとしてもよい。
【0115】
次に、映像表示装置10が実行する処理手順について図7を用いて説明する。図7は、映像表示装置10が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0116】
図7に示したように、映像表示装置10は、各照度センサの出力する検出信号をサンプリングする(ステップS101)。そして、各照度センサと液晶パネル20の所定の領域との対応づけがあるか否かを判定する(ステップS102)。
【0117】
そして、かかる対応づけがある場合には(ステップS102,Yes)、ステップS101でのサンプリング結果から部分制御が必要な領域、すなわち被照射領域を特定する(ステップS103)。また、ステップS102の判定条件を満たさなかった場合には(ステップS102,No)、ステップS101でのサンプリング結果と被照射領域情報15aとから被照射領域を推定する(ステップS104)。
【0118】
そして、映像表示装置10は、部分制御が必要な領域、すなわち被照射領域があるか否かを判定する(ステップS105)。そして、被照射領域がある場合には(ステップS105,Yes)、次のステップS106の処理へと制御を移す。なお、ステップS105の判定条件を満たさなかった場合には(ステップS105,No)、ステップS101の処理を繰り返す。
【0119】
つづいて、映像表示装置10は、該当領域、すなわち被照射領域のダイナミックレンジを推定する(ステップS106)。なお、かかる推定とは、喪失分のダイナミックレンジを推定し、かかる喪失分に基づいて被照射後のダイナミックレンジを推定することを指す(図4参照)。
【0120】
そして、映像表示装置10は、ダイナミックレンジが適正であるか否か、すなわち、被照射後のダイナミックレンジの階調表現性能で視認性の回復が図れるか否かを判定する(ステップS107)。
【0121】
そして、被照射後のダイナミックレンジが適正でない場合(ステップS107,No)、映像表示装置10は、バックライトの輝度を制御して被照射後のダイナミックレンジの調整を行い(ステップS108)、ステップS107の処理を繰り返す。
【0122】
また、被照射後のダイナミックレンジが適正である場合(ステップS107,Yes)、RGBシャッタを制御して階調の調整を行う(ステップS109)。すなわち、映像表示装置10は、被照射後のダイナミックレンジへ、被照射前のダイナミックレンジへ割り付けられていた階調表現性能を射影して割り付ける(図4参照)。
【0123】
つづいて、映像表示装置10は、被照射領域と他領域との輝度の差を補正し(ステップS110)、また、時系列上の輝度の差を補正する(ステップS111)(図5参照)。
【0124】
そして、映像表示装置10は、表示部12に対して映像を表示したうえで(ステップS112)、処理を終了する。
【0125】
上述してきたように、本実施例では、被照射領域推定部が、複数の照度センサの検出結果から部分的な外光の照射を受けた被照射領域を推定し、RGB制御部およびバックライト制御部が連携してかかる被照射領域について映像の調整を行い、表示制御部がかかる映像の調整に基づいて出力映像信号を生成し、補正部が出力映像信号の領域間および時系列上の補正を行うように映像表示装置を構成した。したがって、部分的な外光の射し込みなどによる視環境の変化が生じても、かかる変化に応じて高い視認性を確保することができる。
【0126】
なお、上述した実施例では、本発明に係る映像表示装置が、カーナビゲーションシステムなどに備えられる車載タイプの液晶ディスプレイを表示制御の対象とする場合について説明した。
【0127】
ところで、近年、自動車のインストルメントパネルには、従来のアナログ表示の針や文字盤の計器類ではなく、デジタル描画した計器類(以下、「描画式メーター」と記載する)を液晶ディスプレイなどに集約表示した、いわゆるグラスコックピット方式を採用したものが普及してきている。
【0128】
また、計器類のなかでも、特に、速度計は、法規のうえでも「道路運送車両法」や「道路運送車両の保安基準」などに定められているとおり、走行中に運転者が容易に確認できる位置に設置しなくてはならず、また平坦な舗装路面での走行時において実速度と著しい誤差があってはならないものとされている。したがって、インストルメントパネルには、速度計への外光の照射を防ぐ長い庇を設けるなどの処置が取られていることが一般的である。
【0129】
このように、速度計についても、視環境の変化に応じた高い視認性の確保が求められている。そこで、かかる速度計が描画式メーターである場合に、本発明に係る映像表示手法の表示制御の対象とすることとしてもよい。
【0130】
すなわち、速度計(もしくは速度計を表示した液晶ディスプレイ)の近傍に複数の照度センサを配置しておき、被照射領域が推定されたならば、RGB制御部およびバックライト制御部による階調や輝度などの制御を行って、速度計の視認性を確保することとすればよい。
【0131】
また、かかる速度計が、針や文字盤をバックライトで照射して、針や文字そのものが発光しているようにみせる自発光式メーターである場合にも、本発明に係る映像表示手法の表示制御の対象とすることとしてもよい。
【0132】
そこで、かかる速度計が自発光式メーターである場合について、以下に図8を用いて説明する。図8は、自発光式メーターを表示制御の対象とした場合を示す図である。なお、同図の(A)には、照度センサの配置例と速度計の分割例を、同図の(B)には、被照射領域情報の設定例を、それぞれ示している。
【0133】
同図の(A)に示したように、速度計の近傍に4個の照度センサAS〜DSを配置した場合、かかる各センサに対応づけて、たとえば、速度計を4個の領域に分割することができる(同図の(A−a)〜(A−d)参照)。
【0134】
そして、映像表示装置は、照度センサASが照度の上昇を検出した場合に、かかる照度センサASに対応づけられたエリアA(同図の(A−a)参照)を被照射領域として特定し、かかる領域の階調や輝度などの制御を行って自発光式メーターの視認性を確保することができる。
【0135】
また、かかるセンサと領域との対応づけを行わなくとも、同図の(B)に示した、各センサの照度レベルの組合せから類推される照射パターンを、あらかじめ被照射領域情報へ格納しておくこととすればよい。これにより、映像表示装置は被照射領域を推定し、かかる領域の階調や輝度などの制御を行って速度計の視認性を確保することができる。
【0136】
また、かかる自発光式メーターの一部(針のみ、文字のみなど)を描画しているメーターを、本発明に係る映像表示手法の表示制御の対象とすることとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0137】
以上のように、本発明に係る映像表示装置は、部分的な外光の射し込みなどによる視環境の変化が生じても、かかる変化に応じて高い視認性を確保したい場合に有用であり、特に、運転者を支援する情報などを継続して提供する必要性の高い映像表示装置への適用に適している。
【符号の説明】
【0138】
10 映像表示装置
11 照度センサ部
12 表示部
13 映像入力部
14 制御部
14a 被照射領域推定部
14b 部分制御部
14c RGB制御部
14d バックライト制御部
14e 表示制御部
14f 補正部
15 記憶部
15a 被照射領域情報
15b 補正情報
20 液晶パネル
30 導光板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイに映像を表示する映像表示装置であって、
前記ディスプレイの近傍の照度を検出する複数の照度検出手段と、
前記複数の照度検出手段による検出値に基づいて前記ディスプレイの視認性の低下部分である部分領域を特定する領域特定手段と、
前記領域特定手段によって特定された前記部分領域に表示される映像を調整する調整手段と
を備えたことを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
前記領域特定手段は、
前記検出値が所定の閾値以上である前記照度検出手段とあらかじめ対応付けられている領域を前記部分領域として特定することを特徴とする請求項1に記載の映像表示装置。
【請求項3】
前記複数の照度検出手段による検出値の組み合わせに対応する前記部分領域をあらかじめ定義した部分領域情報を記憶する部分領域情報記憶手段
をさらに備え、
前記領域特定手段は、
前記複数の照度検出手段による検出値および前記部分領域情報に基づいて前記部分領域を特定することを特徴とする請求項1に記載の映像表示装置。
【請求項4】
前記複数の照度検出手段による検出値に基づいて前記映像に対する調整量を推定する調整量推定手段
をさらに備え、
前記調整手段は、
前記調整量推定手段によって推定された前記調整量に基づいて前記部分領域に表示される前記映像を調整することを特徴とする請求項1、2または3に記載の映像表示装置。
【請求項5】
前記調整手段は、
前記複数の照度検出手段による検出値に基づいて前記部分領域におけるダイナミックレンジの喪失範囲を推定し、前記ダイナミックレンジの全範囲から前記喪失範囲を差し引いた残存範囲に対して前記全範囲の階調を射影することで、前記映像を調整することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の映像表示装置。
【請求項6】
前記調整手段は、
前記喪失範囲の存在が推定された場合に、前記ディスプレイにおける光源の光量を増加させることで前記残存範囲を拡張し、拡張後の前記残存範囲に対して前記全範囲の階調を射影することで、前記映像を調整することを特徴とする請求項5に記載の映像表示装置。
【請求項7】
前記調整手段は、
前記映像の調整対象とした前記部分領域と当該部分領域に隣接する領域との輝度差、および/または、前記映像の調整対象とした前記部分領域における時系列の輝度差に基づき、前記輝度差を平滑化する補正を行うことで前記映像を調整することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−118001(P2011−118001A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272869(P2009−272869)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】