説明

映像電話機間の通信方法

【課題】 読口唇による盗聴可能性を取り除いて通信時の完全な音声秘匿を具現して秘話通信を行える映像電話機間の通信方法を提供する。
【解決手段】 送信側映像電話機1の画面処理部12は、読口唇によって盗聴が不可能になるように画面の全体領域または一定領域を別に処理(暗号化処理またはモザイク処理)する。受信側映像電話機2の画面処理部62は、受信された映像データの全部または一部に対して、画面処理部12での画面処理(暗号化処理またはモザイク処理)とは逆の画面処理(復号化処理またはモザイク復元処理)を施す。全体画面を暗号化して伝送するか、 通話者の口部分を別に処理して送ることにより、読口唇による音声盗聴の虞はなく、音声の完全な秘話通信が実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像電話機間の通信方法に関し、更に詳細には、音声データを暗号化して秘話通信する映像電話機間の通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信網が発達している現代社会にあって、我々が生活しているすべての分野でデータ通信が使われているという点を考慮してみると、個人的に利用されている通信網を通じて送受信されているデータ(信号)が他人によって簡単に盗聴された場合には、個人的な生活が露出されて被害を被ることになる。産業情報を多く持っている企業体でその産業情報を利用する際に通信網を用いる場合、同様に簡単に他人に盗聴されれば企業体の安全性が揺らぐことになる。このように、通信網の発達により、社会全般にわたって盗聴という問題が発生し、通信の秘密保障を図る対策が叫ばれている。
【0003】
ところで、映像圧縮技術の発展により、一般電話線は勿論インターネット、無線領域でも映像を見ながら通話する映像電話技術が一般化されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】韓国特許公開2001−0103488号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
映像を使用しない一般電話の場合には、音声保安を遂行するために、音声データを暗号化して伝送し、受信した音声データを復号化して処理する方式で秘話通話を行うことにより、この方式で十分に音声秘匿を具現することができる。
【0005】
しかしながら、音声と共に映像も送受信される映像電話通信の場合には、通話者の映像が通信相手に伝送されるので、盗聴しようとする第三者が読口唇にて音声を盗聴する、つまり通話者の口または唇の動きを読み取ることで音声を盗聴することができる危険があるため、音声データを暗号化することだけでは完全な音声秘匿を具現することができないという問題がある。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、全体画面を暗号化して伝送するとか、 通話者の口部分を別に処理して送ることによって、読口唇による盗聴可能性を取り除いて通信時の完全な音声秘匿を具現して秘話通信を行うことができる映像電話機間の通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の映像電話機間の通信方法は、第1映像電話機から音声データを暗号化して第2映像電話機へ送信し、該第2映像電話機で受信した音声データを復号化することにより、前記第1,第2映像電話機間の秘話通信を行う方法において、秘話通信に関与しない第三者が見れないように映像データの全部または一部を前記第1映像電話機で処理して前記第2映像電話機へ送信し、処理された前記映像データの全部または一部を前記第2映像電話機で復元することを特徴とする。
【0008】
本発明の映像電話機間の通信方法は、上記方法において、前記第1映像電話機で前記映像データの全部または一部を暗号化処理し、暗号化処理された前記映像データの全部または一部を前記第2映像電話機で復号化して復元することを特徴とする。
【0009】
本発明の映像電話機間の通信方法は、上記方法において、前記第1映像電話機で前記映像データの全部または一部をモザイクで処理し、モザイク処理された前記映像データの全部または一部を前記第2映像電話機でモザイク逆順で復元することを特徴とする。
【0010】
本発明の映像電話機間の通信方法は、上記方法において、前記映像データの一部は通話者の口の部分を含む映像データであることを特徴とする。
【0011】
本発明では、秘話通信を行わない第三者が見れないように送信する映像データの全部または一部を送信側の第1映像電話機で画面処理して送信し、受信側の第2映像電話機で、その画面処理された映像データの全部または一部を復元する。この画面処理としては、全体画面または通話者の口部分を含む所定領域を暗号化するとか、全体画面または通話者の口部分を含む所定領域をモザイク処理するとかが可能である。
【0012】
本発明にあっては、このように映像データに画面処理を施して送信するため、読口唇による音声盗聴の可能性を取り除いて完全な音声秘匿を実現する。画面の一部分だけ別に処理して伝送する方式では、全体画面を処理する方式に比べて、システム処理演算量が少なく、相対的に安価で完全な音声秘匿を実現する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、 全体画面を暗号化して伝送するとか、 通話者の口を含む所定部分を別に処理して送受信するようにしたので、読口唇による音声盗聴の可能性を取り除くことができ、完全な音声秘匿を実現することができる。また、画面の一部分だけ別に処理して伝送するようにしたので、全体画面を処理する場合に比べて、システム処理演算量を減らす効果を期待でき、相対的に安価で完全な音声秘匿を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。図1は、本発明の映像電話機間の通信方法を実施するための映像電話システムの構成図である。映像電話システムでは、第1の映像電話機としての送信側映像電話機1と第2の映像電話機としての受信側映像電話機2とが、PSTN(Public Switched Telephone Network:公衆電話回線網)、インターネット網、 無線網のような通信網40を介して接続される。
【0015】
送信側映像電話機1は、入力されたアナログ映像データをデジタル映像データに変換するA/D変換部10と、読口唇による盗聴が不可能になるように画面の全体領域または所定領域を別に画面処理する画面処理部12と、画面処理された映像データを圧縮する映像圧縮部14と、入力されたアナログ音声データをデジタル音声データに変換するA/D変換部20と、デジタル音声データを圧縮する音声圧縮部22と、圧縮された音声データを暗号化するデータ暗号化部24と、映像圧縮部14の出力及びデータ暗号化部24の出力を通信網40へ送信するデータ送信部30とを有する。
【0016】
受信側映像電話機2は、通信網40を介して送られた映像データ及び音声データを受信するデータ受信部50と、圧縮された映像データを伸長する映像復元部60と、画面処理された映像データを元に戻す画面処理部62と、デジタル映像データをアナログ映像データに変換するD/A変換部64と、暗号化された音声データを復号化するデータ復号化部70と、圧縮された音声データを伸長する音声復元部72と、デジタル音声データをアナログ音声データに変換するD/A変換部74とを有する。
【0017】
次に、動作について説明する。送信側映像電話機1に入力されたアナログ映像データをA/D変換部10にてデジタル映像データに変換して画面処理部12へ出力する。画面処理部12は、読口唇による盗聴が不可能になるように画面の全体領域または一定領域を別に処理する。画面処理された映像データを、映像圧縮部14にて低送信率のデータに圧縮し、圧縮映像データを、データ送信部30を介して通信網40へ送信する。
【0018】
画面処理部12でのデジタル映像データに対する画面処理としては、暗号化する方式、画面操作によってモザイク処理する方式等がある。このモザイク処理は、画面一定領域の各ドットとして表示されるドットデータを表示せずに、ドットデータ中で画面一定領域のドットとして表示されるドットデータ中の任意のドットデータを抽出して前記画面一定領域のドットとして繰り返して表示することにより、本来の映像をモザイク画形態の映像に歪曲表示する処理を意味する。
【0019】
この場合、画面処理部12における暗号化処理またはモザイク処理の対象領域は、画面の全体領域であっても、口の部分を含む画面の一部領域であってもよい。画面の一部分だけ別に処理して伝送する方式は、全体画面を処理する方式に比べてシステムの処理演算量を減らすことができる。
【0020】
また、別途処理する画面領域を設定する方法として、全体画面または通話者が所望する一定領域を直接指定する受動方式と、通話者の口の部分を含む一定領域を自動的に認識して処理領域を設定する自動方式とのいずれかを用いることができる。自動方式による場合には、通話者が画面処理領域を特別に設定する操作が不要となる長所、通話中に話し相手の位置が変更されても口部分の画面処理領域に自動的に補正できる長所がある。
【0021】
送信側映像電話機1に入力されたアナログ音声データをA/D変換部20にてデジタル音声データに変換して音声圧縮部22へ出力する。音声圧縮部22は、デジタル音声データを低送信率のデータで圧縮する。圧縮された音声データを、データ暗号化部24にて暗号化し、暗号化された音声データを、データ送信部30を介して通信網40へ送信する。
【0022】
受信側では、通信網40を介して通信された映像データと音声データとが、受信側映像電話機2のデータ受信部50で受信され、受信された映像データは映像復元部60へ送られ、受信された音声データはデータ復号化部70へ送られる。
【0023】
映像復元部60は、受信された圧縮映像データを伸長して画面処理部62へ出力する。
画面処理部62は、入力された映像データの全部または一部に対して、画面処理部12での画面処理(暗号化処理またはモザイク処理)とは逆の画面処理(復号化処理またはモザイク復元処理)を施して、D/A変換部64へ出力する。すなわち、画面処理部12で一定領域を暗号化した場合には画面処理部62で復号化して復元し、画面処理部12で一定領域をモザイク処理した場合には画面処理部62でモザイク方式の逆順で復元する。D/A変換部64は、デジタル映像データをアナログ映像データに変換し、映像データに応じた映像が画面に表示される。
【0024】
データ復号化部70は、暗号化された音声データを復号化して音声復元部72へ出力する。音声復元部72は、復号化された圧縮音声データを伸長してD/A変換部74へ出力する。D/A変換部74は、デジタル音声データをアナログ音声データに変換し、音声データに応じた音声がスピーカなどを通じて出力される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の映像電話機間の通信方法を実施するための映像電話システムの構成図である。
【符号の説明】
【0026】
1 送信側映像電話機
2 受信側映像電話機
12 画面処理部
24 データ暗号化部
30 データ送信部
40 通信網
50 データ受信部
62 画面処理部
70 データ復号化部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1映像電話機から音声データを暗号化して第2映像電話機へ送信し、該第2映像電話機で受信した音声データを復号化することにより、前記第1,第2映像電話機間の秘話通信を行う方法において、
秘話通信に関与しない第三者が見れないように映像データの全部または一部を前記第1映像電話機で処理して前記第2映像電話機へ送信し、処理された前記映像データの全部または一部を前記第2映像電話機で復元することを特徴とする映像電話機間の通信方法。
【請求項2】
前記第1映像電話機で前記映像データの全部または一部を暗号化処理し、暗号化処理された前記映像データの全部または一部を前記第2映像電話機で復号化して復元することを特徴とする請求項1記載の映像電話機間の通信方法。
【請求項3】
前記第1映像電話機で前記映像データの全部または一部をモザイクで処理し、モザイク処理された前記映像データの全部または一部を前記第2映像電話機でモザイク逆順で復元することを特徴とする請求項1記載の映像電話機間の通信方法。
【請求項4】
前記映像データの一部は通話者の口の部分を含む映像データであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の映像電話機間の通信方法。



【図1】
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【公開番号】特開2006−13723(P2006−13723A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−185486(P2004−185486)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(502456736)株式会社シエンエステクノロジー (2)
【Fターム(参考)】