説明

有機電子デバイスおよび方法

層を浸漬コーティングする工程を含む有機電子デバイスの製造方法およびそれによって製造されたデバイスが開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に有機電子デバイス、ならびにその製造のための材料および方法に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本願は、2004年12月30日出願の米国特許公報(特許文献1)および2005年6月28日出願の米国特許公報(特許文献2)に利益を要求する。これらの特許の開示は、本明細書において全体として援用される。
【背景技術】
【0003】
有機電子デバイスは電気エネルギーを放射線に変換し、電子プロセスを通して信号を検出し、放射線を電気エネルギーに変換し、または1つまたは複数の有機半導体層を含む。ほとんどの有機電子デバイスは付着層を含む。重要な1つの領域は、費用効果が優れている有機電子デバイスの製造に関する。スピンコーティングまたはインクジェット印刷のような液体媒体からの付着の利点は著しい。
【0004】
従って、有機電子デバイスを製造するためのより多くの液体付着方法が必要とされている。
【0005】
【特許文献1】米国仮特許出願第60/640,673号明細書
【特許文献2】米国仮特許出願第60/694,886号明細書
【特許文献3】米国特許第5,693,372号明細書
【特許文献4】米国特許第5,681,391号明細書
【特許文献5】米国特許第5,578,410号明細書
【特許文献6】米国特許第5,633,046号明細書
【特許文献7】国際公開第02/02714号パンフレット
【特許文献8】米国特許出願第2001/0019782号明細書
【特許文献9】欧州特許第1191612号明細書
【特許文献10】国際公開第02/15645号パンフレット
【特許文献11】欧州特許第1191614号明細書
【特許文献12】米国特許第6,303,238号明細書
【特許文献13】国際公開第00/70655号パンフレット
【特許文献14】国際公開第01/41512号パンフレット
【非特許文献1】「フレキシブル ライト−エミッティング ダイオード メイド フローム ソルブル コンダクティング ポリマー(Flexible Light−Emitting Diodes Made From Soluble Conducting Polymer)」、ネーチャー(Nature)、1992年、357、477頁−479頁
【非特許文献2】カーク オスマー(Kirk Othmer)、「エンサイクロペディア オブ ケミカル テクノロジー(Encyclopedia of Chemical Technology)」、第18巻、837頁〜860頁(第4版、1996年)
【非特許文献3】ブラッドレイ(Bradley)ら、「シンテティック メタルズ(Synth.Met.)」、2001年、116(1−3)、379頁−383頁
【非特許文献4】キャンプベル(Campbell)ら、「フィジカル レビュー B(Phys.Rev.B)」、第65 085210巻
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
少なくとも1つの浸漬コーティングされた層を有する電子有機デバイスおよびその製造方法、ならびにそれを含むデバイスおよびサブアセンブリが提供される。
【0007】
前記の一般的な記載および以下の詳細な記載は例示であり、あくまでも説明のためのものであり、添付の特許請求の範囲で定義されるように本発明を限定するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
一実施形態において、少なくとも1つの浸漬コーティングされた層を有する電子有機デバイスが提供される。一実施形態において、層は約10nm〜約500nmまたは約10nm〜約300nmまたは80nm〜150nmの厚さを有する。浸漬コーティングとは、液体媒体中におけるデバイスの一部(「ワークピース」−定義の項目を参照のこと)の漬浸および引抜を指す。用語「液体媒体」は、純粋な液体、液体の組み合わせ、溶液、分散液、懸濁液および乳濁液を含む液体材料を意味するように意図される。液体媒体は、1つまたは複数の溶媒が存在するかどうかに関係なく使用される。所望のコーティング次第で、液体媒体は活性材料を含有してもよい。
【0009】
層または材料を指す場合、用語「活性」は、電子または電子放射性特性を示す層または材料を意味するように意図される。放射線を受けた時に活性層材料は放射線を放出するか、または電子正孔対の濃度の変化を示し得る。用語「活性材料」は、デバイスの操作を電子的に促進する材料を指す。活性材料の例としては、限定されないが、電荷を伝導、注入、輸送またはブロックする材料が挙げられ、ここでは電荷は電子または正孔であり得る。不活性材料の例としては、限定されないが、平坦化材料、絶縁材料および環境バリア材料が挙げられる。
【0010】
用語「光活性」は、エレクトロルミネセンス、ホトルミネセンスおよび/または感光性を示すいずれの材料も指す。加えて、かかる材料は、バッファー材料、電荷輸送(電子または正孔)または電極であり得る。活性材料の混合物が使用されてもよい。
【0011】
一実施形態において、ワークピースを提供する工程と、活性層材料を含む、液体媒体中にワークピースを浸漬コーティングする工程とを含む有機電子デバイスのための活性層の付着方法が提供される。一実施形態において、活性材料はバッファー材料である。一実施形態において、ワークピースはバッファー層を有し、そして活性材料は放射性材料である。一実施形態において、約10nm〜約500nmの範囲の厚さの活性層を提供するように液体媒体の特性が選択される。一実施形態において、約10nm〜約500nmの範囲の厚さの活性層を提供するように漬浸速度が選択される。
【0012】
表面が10度未満の水接触角を有するように基材を洗浄する工程と、液体媒体中に基材を浸漬コーティングする工程とを含む、有機電子デバイス上における層の付着方法。一実施形態において、浸漬コーティングされる基材は、外部表面が10度未満の脱イオン水(「水」)接触角を有するように洗浄される。本明細書で使用される場合、用語「接触角」は、図2に示される角度φを意味するように意図される。表面上の液滴に関して、角度φは、表面の平面と、液滴の外縁から表面への線との交差によって定義される。液滴が適用後に表面上で平衡位置に達した後の角度φが測定される(すなわち、「静止接触角」)。様々な製造業者が、接触角を測定することができる機器を製造している。
【0013】
洗浄が本明細書に記載される所望の水接触角を有する表面を生じ得る限り、電子分野、特にOLED製造分野において一般的に使用されるいずれかの表面洗浄技術を使用して洗浄が行われてよい。いくつかの例において、UVオゾンによって表面を処理することによって洗浄工程を実行することができる。他の例において、O2プラスマ処理を使用することができる。当業者は、本発明との関連において洗浄に使用することができる洗浄方法論に精通している。洗浄は一般的に、所望の水接触角をもたらすために十分な条件および時間で実行されることは理解されるべきである。かかる条件の選択および達成される水接触角の評価は、当業者の範囲内の作業である。
【0014】
一実施形態において、約8度以下の水接触角に達するまで基材は洗浄される。一実施形態において、約5度以下の水接触角に達するまで基材は洗浄される。
【0015】
一実施形態において、液体媒体は約1cP〜約100cP、約1cP〜約50cPまたは約1cP〜約20cPの粘度を有する。いずれの不完全性も排除するため、またはコーティングされたフィルムもしくは層の厚さを調節するため、ワークピースを1回以上、同一の液体に浸漬することができる。
【0016】
ワークピースをいずれの時間量で液体コーティングに浸漬してもよく、いくつかの実施形態において、それは5秒と30分との間である。付着物の厚さを調節するために周知の方法に従って、浸漬プロセス間のワークピースの角度および/または配向を調節することができる。
【0017】
液体媒体からの引抜の間、ワークピースは約0.2mm/分〜約400mm/分の速度で引き抜かれる。一実施形態において、引抜速度は約1mm/分〜約25mm/分である。ワークピースの引抜は、相当する液体媒体の空気−液体表面に対して約45度〜約90度の範囲にある。
【0018】
一実施形態において、ワークピースを提供する工程と、ワークピースの一部を非湿潤性にするために処理する工程と、活性層材料を含む液体媒体中にワークピースを浸漬コーティングする工程とを含む、有機電子デバイス上におけるパターン化活性層の形成方法が提供される。ここで、活性層材料は非湿潤性部分上に付着されず、それによってパターンが作製される。一実施形態において、処理はフッ素含有プラズマによる。一実施形態において、活性層材料はバッファー層材料である。一実施形態において、活性層材料は正孔輸送層材料である。一実施形態において、活性層材料は光活性材料である。一実施形態において、ワークピースは放射性材料によってさらにコーティングされる。一実施形態において、得られる活性層は約10nm〜約300nmの範囲の厚さを有する。
【0019】
一実施形態において、約10nm〜約500nmの範囲の厚さの活性層を提供するように液体媒体の特性が選択される。一実施形態において、液体媒体の粘度は約1cP〜約100cP、約1cP〜約50cPまたは約1cP〜約20cPである。
【0020】
一実施形態において、約10nm〜約500nmの範囲の厚さの活性層を提供するように漬浸後の引抜速度が選択される。一実施形態において、引抜速度は約0.2mm/分〜約400mm/分または約1mm/分〜約25mm/分である。
【0021】
ワークピースの表面に液体媒体を接触させるための別の方法論は浸漬コーティングに限定されない。液体媒体を洗浄されたワークピースと接触させ、次いで2つを分離するための方法論は、表面への液体媒体の均一な接着を分裂させないように、スムーズまたは穏やかな移行を必要とする。浸漬コーティングの方法および装置のいくつかの例は、米国特許公報(特許文献3)、米国特許公報(特許文献4)、米国特許公報(特許文献5)および米国特許公報(特許文献6)に開示される。これらは本明細書に全体的に援用される。
【0022】
第2の活性材料を適用することができる。第1の活性材料の第1の層に悪影響を及ぼさないように、第2の溶媒を選択する。例えば、第2の溶媒は第1の活性材料を実質的に溶解または分散させることができない。一実施形態において、第2の溶媒中で溶解または分散されないように、第1の層を架橋することができる。さらなる浸漬コーティングのような液体付着または非液体付着、例えば蒸着および熱転写を含むいずれかの付着技術によって、第2の液体媒体を適用することができる。いくつかの他の液体付着技術としては、限定されないが、連続付着技術、例えば、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、スロットダイコーティング、スプレーコーティングおよび連続ノズルコーティング;ならびに不連続付着技術、例えば、インクジェット印刷、グラビア印刷およびスクリーン印刷が挙げられる。いくつかの実施形態において、第2の活性材料はスピンコーティング、インクジェット印刷および連続ノズル印刷から選択される方法によって適用される。
【0023】
(デバイス)
図1を参照すると、例示的な有機電子デバイス100が示される。デバイス100は基材105を含む。基材105は剛性でも屈曲性でもよく、例えば、ガラス、セラミック、金属、プラスチックであってよい。電圧が印加される時、放射される光は基材105を通して可視である。
【0024】
第1の電気接触層110は、基材105上に付着される。実例の目的のため、層110はアノード層である。アノード層は線として付着されてもよい。アノードは、例えば、金属、混合金属、合金、金属オキシドまたは混合金属オキシドを含有するか、または含む材料から製造可能である。アノードは、導電性ポリマー、ポリマーブレンドまたはポリマー混合物を含んでなってよい。適切な金属には第11族金属、第4族、第5族および第6族金属、ならびに第8族、第10族遷移金属が含まれる。アノードが光伝送性であるべき場合、第12族、第13族および第14族金属の混合金属オキシド、例えばインジウム−スズオキシドが一般的に使用される。アノードは、有機材料、特にポリアニリンのような導電性ポリマーを含んでもよく、これらとしては、(非特許文献1)に記載されるような例示的な材料が挙げられる。発生した光が観測されるように、アノードおよびカソードの少なくとも一方は少なくとも部分的に透明でなければならない。
【0025】
正孔輸送材料のような任意のバッファー層120がアノード層110上に付着されてもよく、これは「正孔注入接触層」と呼ばれることがある。層120としての使用に適切な正孔輸送材料の例は、例えば、(非特許文献2)にまとめられている。正孔輸送「小」分子ならびにオリゴマーおよびポリマーの両方が使用されてよい。正孔輸送分子としては、限定されないが:N,N’ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、1,1ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC)、N,N’ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1’−(3,3’−ジメチル)ビフェニル]−4,4’−ジアミン(ETPD)、テトラキス(3−メチルフェニル)−N,N,N’,N’−2,5−フェニレンジアミン(PDA)、a−フェニル4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS)、p(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH)、トリフェニルアミン(TPA)、ビス[4(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル](4−メチルフェニル)メタン(MPMP)、1フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPRまたはDEASP)、1,2トランス−ビス(9H−カルバゾル−9−イル)シクロブタン(DCZB)、N,N,N’,N’テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TTB)および銅フタロシアニンのようなポルフィリン化合物が挙げられる。有用な正孔輸送ポリマーとしては、限定されないが、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)ポリシランおよびポリアニリンが挙げられる。導電性ポリマーは1種として有用である。上記のような正孔輸送部分をポリスチレンおよびポリカーボネートのようなポリマーへとドーピングすることによって正孔輸送ポリマーを得ることも可能である。
【0026】
有機層130は、存在する場合、バッファー層120上または第1の電気接触層110上に付着されてもよい。いくつかの実施形態において、有機層130は様々な構成要素を含む多くの不連続層であってもよい。デバイスの適用次第で、有機層130は、印加電圧によって活性化される発光層(例えば、発光ダイオードまたは発光電気化学的電池において)、あるいは放射エネルギーに応答し、そして印加されたバイアス電圧の有無にかかわらず信号を発生する材料の層(例えば、光検出器において)であり得る。
【0027】
デバイスの他の層は、かかる層によって機能する機能の考慮において、かかる層において有用であることが既知であるいずれかの材料によって製造可能である。
【0028】
いずれの有機エレクトロルミネセンス(EL)材料も光活性材料として(例えば層130において)使用可能である。かかる材料としては、限定されないが、蛍光染料、小分子有機蛍光性化合物、蛍光性およびリン光性金属錯体、共役ポリマーおよびそれらの混合物が挙げられる。蛍光染料の例としては、限定されないが、ピレン、ペリレン、ルブレン、それらの誘導体およびそれらの混合物が挙げられる。金属錯体の例としては、限定されないが、金属キレート化オキシノイド化合物、例えばトリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq3);シクロメタル化イリジウムおよび白金エレクトロルミネセンス化合物、例えば、ペトロフ(Petrov)ら、(特許文献7)に開示されるようなフェニルピリジン、フェニルキノリンまたはフェニルピリミジン配位子を有するイリジウムの錯体、ならびに、例えば、米国特許公報(特許文献8)、(特許文献9)、(特許文献10)および(特許文献11)に記載される他の有機金属錯体;ならびにそれらの混合物が挙げられる。電荷保有ホスト材料および金属錯体を含むエレクトロルミネセンス放射層は、トンプソン(Thompson)らによって米国特許公報(特許文献12)、ならびにボローズ(Burrows)およびトンプソン(Thompson)によって(特許文献13)および(特許文献14)に記載されている。共役ポリマーの例としては、限定されないが、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、ポリ(スピロビフルオレン)、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレン)、それらのコポリマーおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0029】
本発明のデバイスの一実施形態において、光活性材料は有機金属錯体であり得る。もう1つの実施形態において、光活性材料はイリジウムまたは白金のシクロメタル化錯体である。他の有用な光活性材料が同様に利用されてもよい。フェニルピリジン、フェニルキノリンまたはフェニルピリミジン配位子を有するイリジウムの錯体は、エレクトロルミネセンス化合物として、ペトロフ(Petrov)ら、(特許文献7)に開示されている。他の有機金属錯体は、例えば、米国特許公報(特許文献8)、(特許文献9)、(特許文献10)および(特許文献11)に記載されている。イリジウムの金属錯体でドープされたポリビニルカルバゾール(PVK)の活性層を有するエレクトロルミネセンスデバイスは、ボローズ(Burrows)およびトンプソン(Thompson)によって(特許文献13)および(特許文献14)に記載されている。電荷保有ホスト材料およびリン光性白金錯体を含むエレクトロルミネセンス放射層は、トンプソン(Thompson)らによって米国特許公報(特許文献12)、(非特許文献3)および(非特許文献4)に記載されている。
【0030】
第2の電気接触層160は、有機層130上に付着される。実例の目的のため、層160はカソード層である。
【0031】
カソード層は、線として、またはフィルムとして付着されてよい。カソードは、アノードよりも低い仕事関数を有するいずれかの金属または非金属であり得る。カソードの例示的な材料としては、アルカリ金属、特にリチウム、第2族(アルカリ土類)金属、希土類元素およびランタニドを含む第12族金属、ならびにアクチニドが挙げられる。アルミニウム、インジウム、カルシウム、バリウム、サマリウムおよびマグネシウム、ならびに組み合わせのような材料を使用することができる。システムの動作電圧を低下させるために、有機層とカソード層との間にLiFおよびLi2Oのようなリチウム含有および他の化合物が付着されてもよい。
【0032】
電子輸送層140または電子注入層150が任意にカソードに隣接して配置され、ここで、カソードは「電子注入接触層」と呼ばれることがある。
【0033】
デバイス100中への水および酸素のような望ましくない成分の侵入を防止するため、カプセル化層170を接触層160上に付着させる。かかる成分は有機層130に対して悪影響を有し得る。一実施形態において、カプセル化層170はバリア層またはフィルムである。
【0034】
描写されていないが、デバイス100が追加的な層を含み得ることは理解される。例えば、層の正電荷輸送および/またはバンドギャップ整合を促進するために、あるいは保護層として機能するため、アノード110と正孔輸送層120との間に層(図示せず)が存在し得る。当該分野等において既知の他の層が使用されてもよい。加えて、いずれかの上記の層が2層以上の副層を含んでもよく、または薄層構造を形成してもよい。あるいは、電荷キャリア輸送効率またはデバイスの他の物理的な特性を増加させるために、アノード層110、正孔輸送層120、電子輸送層140および150、カソード層160および他の層のいくつかまたは全てが処理、特に表面処理されてもよい。各構成層の材料の選択は、好ましくは、高いデバイス効率を有するデバイス提供の目的と、デバイス操作寿命の考慮、製造時間および複雑さの要因ならび当業者に認識される他の考慮を釣り合わせることによって決定される。最適の部品、部品配置および構成同一性を決定することは、当業者にとって日常業務であることは認識されるであろう。
【0035】
一実施形態において、様々な層は、以下の厚さ範囲を有する:アノード110、500〜5000A、一実施形態において1000〜2000A;正孔輸送層120、50〜2000A、一実施形態において200〜1000A;光活性層130、10〜2000A、一実施形態において100〜1000A;層140および150、50〜2000A、一実施形態において100〜1000A;カソード160、200〜10000A、一実施形態において300〜5000A。デバイスの電子正孔組換え領域、従ってデバイスの発光スペクトルの位置は、各層の相対的な厚さに影響を受け得る。従って、電子輸送層の厚さは、電子正孔組換え領域が発光層にあるように選択されなければならない。層の厚さの所望の比率は、使用される材料の正確な本質に依存する。
【0036】
操作中、適切な電力供給(描写されず)からの電圧がデバイス100に印加される。従って、電流はデバイスの層100を横切って通過する。電子は有機ポリマー層に入り、光子を放出する。アクティブマトリックスOLEDディスプレイと呼ばれるいくつかのOLEDにおいて、個々の光活性有機フィルムの付着物は、独立して電流の通過によって励起され得、光放射の個々のピクセルへと導かれる。パッシブマトリックスOLEDディスプレイと呼ばれるいくつかのOLEDにおいて、光活性有機フィルムの付着物は、電気接触層の横列および縦列によって励起され得る。
【0037】
様々な技術を利用することによって、デバイスを調製することができる。これらとしては、非限定的な例示として、蒸着技術および液体付着が挙げられる。デバイスは別々の製造物品へと半組み立てされてもよく、これは次いで組み合わせられてデバイスを形成し得る。
【0038】
(定義)
「一つ(aまたはan)」の使用は、本発明の要素および部品を記載するために利用される。これはあくまでも便宜上のため、そして本発明の一般的な意味を与えるためである。この記載は1つまたは少なくとも1つを含むように読解されなければならない。そして他に意味があることが明白でない限り、単数には複数も含まれる。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「を含む(comprises)」「を含んでなっている(comprising)」「を含む(includes)」「を含んでいる(including)」「を有する(has)」「を有している(having)」またはそれらのいずれかの他の変形は、排他的でない包含に及ぶように意図される。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品または装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるわけではなく、明白に記載されない他の要素または固有のかかるプロセス、方法、物品または装置を含んでもよい。さらに、明白に逆であることが定義されなければ、「または」は包含的論理和を指し、そして排他論理和を指さない。例えば、条件AまたはBは次のいずれかによって満たされる:Aは真(または存在する)であり、そしてBは偽(または存在しない)である。Aは偽(または存在しない)であり、そしてBは真(または存在する)である。ならびにAおよびBは真(または存在する)である。
【0040】
用語「層」は用語「フィルム」と交換可能に使用され、そして所望の領域を被覆するコーティングを指す。この領域は、全デバイスまたは実際の視覚ディスプレイのような特定の機能領域と同じぐらい大きくてもよく、または単一サブピクセルと同じぐらい小さくてもよい。蒸着および液体付着を含むいずれかの従来の付着技術によってフィルムを形成することができる。液体付着技術としては、限定されないが、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、ディップコーティング、スロット−ダイコーティング、スプレーコーティングおよび連続ノズルコーティングのような連続付着技術ならびにインクジェット印刷、グラビア印刷およびスクリーン印刷のような不連続付着技術が挙げられる。
【0041】
用語「有機電子デバイス」は、1つまたは複数の半導体層または材料を含むデバイスを意味するように意図される。有機電子デバイスとしては、限定されないが、(1)電気エネルギーを放射線に変換するデバイス(例えば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、ダイオードレーザーまたは照明パネル)、(2)電子プロセスによって信号を検出するデバイス(例えば、光検出器、光伝導セル、フォトレジスター、フォトスイッチ、フォトトランジスター、光電管、赤外線(「IR」)検出器またはバイオセンサー)、(3)放射線を電気エネルギーに変換するデバイス(例えば、光電池デバイスまたは太陽光電池)、および(4)1つまたは複数の有機半導体層を含む1つまたは複数の電子部品を含むデバイス(例えば、トランジスタまたはダイオード)が挙げられる。デバイスという用語は、記憶デバイスのためのコーティング材料、帯電防止フィルム、バイオセンサー、エレクトロクロミックデバイス、固体電解質コンデンサー、エネルギー貯蔵デバイス、例えば充電式バッテリーおよび電磁ブロック適用も含む。
【0042】
用語「基材」は、剛性または屈曲性のベース基材を意味するように意図され、1つまたは複数の材料の1つまたは複数の層を含んでよい。基材としては、限定されないが、ガラス、ポリマー、金属またはセラミックの材料またはそれらの組み合わせが挙げられる。基材に関する基準点は、プロセス系列の開始点である。基材は電子部品、回路または導電性部材を含んでも、含まなくてもよい。
【0043】
用語「ワークピース」は、プロセス系列のいずれかの特定の点における基材を意味するように意図される。留意すべきは、プロセス系列の間、基材は著しく変化し得ないが、ワークピースはプロセス系列間に著しく変化し得る。例えば、プロセス系列の開始点において、基材およびワークピースは同一である。層が基材上で形成された後、基材は技術的に変化しないが、ワークピースは基材および層を含む。
【0044】
特記されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的な用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または同等の方法および材料を本発明の実施形態の実施または試験において使用することが可能であるが、適切な方法および材料を以下に記載する。本明細書において言及された全ての出版物、特許出願、特許および他の参照文献は、特定の一節が引用されない限り、全体として援用される。抵触する場合、本明細書は、定義を含め、調節される。加えて、材料、方法および実施例は単なる実例であり、限定するように意図されない。
【0045】
本明細書に記載されない範囲まで、特定の材料、プロセス実施および回路に関する多くの詳細は従来通りであり、そして有機発光ダイオードディスプレイ、光検出器、光電池および半導体部材の分野における教本および他の情報源に見出され得る。
【実施例】
【0046】
本明細書に記載される概念は、以下の実施例にさらに記載される。これは特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定しない。
【0047】
(実施例1)
本実施例は、電流、輝度およびデバイス効率のような様々なデバイス特性に及ぼす浸漬コーティング層の効果を例示する。
【0048】
浸漬コーティングプロセスを使用して、ガラス/ITO(アノード)/バッファー層/発光層/Ba/AI(カソード)の構造を有するOLEDを構築した(表1を参照のこと)。バッファー層はPEDOT(バイエル(Bayer)からのバイトロン(Baytron)−P、CH8000)を含有し、そして発光層はPPV誘導体(コビオン(Covion)からのPDY−132、SY20−007−021)を含有した。基材のサイズは30mm×30mmであり、20mm×15mmの活性領域サイズを有した。
【0049】
バッファー層および発光層のスピンコーティングおよび浸漬コーティングの様々な組み合わせを使用して4つのデバイスを製造した。4つのデバイスは表1中で試料1〜4として示される。
【0050】
【表1】

【0051】
バッファー層の単一コーティングおよび発光層の単一コーティングを使用して表1のデータを収集した。ワークピースは、溶液の表面に対して約90度(すなわち、垂直)で溶液から引っ張られた。
【0052】
粒子を含ませないように、各経路の後、水性のバッファー層溶液を0.45ミクロンフィルタによって濾過した。有機溶媒中の発光層溶液も0.45ミクロンフィルタによって濾過した。
【0053】
引き抜く前に約5〜30秒間、ワークピースを各浸漬コーティング溶液に浸漬させた。第1の層、バッファー層をデックタック(Dektak)表面プロフィルメーターで測定されるように約100nm〜120nmの厚さまで適用した後、ワークピースを約5分間200℃のホットプレート上で焼成した。
【0054】
あるいは、ワークピースを約30分間90℃の真空中で焼成してもよい。
【0055】
発光層は65nm〜76nmの厚さまで適用され、そして約10分間180℃で焼成させた。
【0056】
所望の層を達成するか、または必要に応じて表面欠損を修正するため、各バッファー層および発光層を一回以上浸漬コーティングすることができる。典型的に、層の厚さは各浸漬に対して30%〜70%増加した。
【0057】
図3は、電極に印加された電圧の関数としての試料デバイス電流レベルのI−Vプロットである。図に示されるように、0.2V〜5.0Vの範囲の電圧を各試料に印加した。試料間の電流レベル変動は1.5Vより低い電圧範囲で大きいが、2Vより高い電圧範囲では約75mA以下であった。試料4は、他の試料の電流レベルよりいくらか高い電流レベルを示した。理論に拘束されることはないが、このようなより高い電流レベルは、スピンコーティングされた層よりも薄い浸漬コーティングされた層によるためであり得る。全体的に、4つの試料の電流レベルは互いに合理的な範囲内であり、電流漏洩の観点から相当する性能を示した。
【0058】
図4は、電圧の関数としての試料デバイスの輝度レベルのプロットである。少なくとも約1.8V〜5.0Vの電圧範囲において、試料デバイスの輝度レベルにおける変動は約75cd/m2以下であった。しかしながら、一般的に、試料4は、変動のこのような狭い範囲内で最高の輝度レベルを示した。
【0059】
表2は、約3Vの電圧および200cd/m2の輝度における4つの試料の電流およびデバイス効率の値をまとめる。「デバイス効率」は、単位面積あたりの電流に対する単位面積あたりの放射された光の比率[cd/A]である。このデータは、光子を発生させるために最少数の電荷キャリアが必要とされるため、バッファー層および発光層が浸漬コーティングされる時にデバイス効率は最良であることを示す。バッファー層を浸漬コーティングしている間に発光層をスピンコーティングすることによって最悪の効率がもたらされ、平均的に、光子を発生させるために7より多い電荷キャリアを必要とする。
【0060】
【表2】

【0061】
表2のデータは、相当するデバイス効率が浸漬コーティングおよびスピンコーティングによって達成されることを示唆する。この実験のための基材のサイズは30mm×30mmのみであったが、Gen−5またはGen−6サイズまで基材サイズを拡大することは試料の傾向に著しく影響を及ぼさないだろう。
【0062】
(実施例2)
本実施例は、浸漬コーティングを使用するフルカラーエレクトロルミネセンスディスプレイの製造方法を例示する。洗浄された基材を液体材料の容器に浸漬する。一実施形態において、液体媒体はバッファー材料である。バッファー材料としてバイエル(Bayer)からのPEDOT バイトロン(Baytron)−P、CH8000を使用してよい。次いで、バッファー−コーティングされたワークピースを、コビオン(Covion)ポリスピロ CB02LO2 006002のような青色発光ポリマーにおいて浸漬コーティングする(工程330)。その後、青色層上にコビオン(Covion)からのスピロポリフルオレン赤色放射体(アニソール:o−キシレン:3,4−DMAの助溶媒中0.05〜0.15重量%)の滴下付着または連続線付着によって赤色ピクセルをインクジェットする。このような滴下付着または連続線付着は、単一ノズルまたは多重ノズルインクジェット機を使用して実行され得る。赤色層の厚さは約10nm〜30nmである。赤色発光層の乾燥後、緑色発光層を相当するポリマー溶液によって赤色ポリマー層上にインクジェットする。緑色材料は、例えば、ダウ ケミカル カンパニー(Dow Chemical Co.)からのダウ グリーン(DOW Green)−K2であってよい。次いで、コーティングされたワークピースを約10分間120℃で焼成する。焼成後、カソードを付着させる。別のプロセスにおいて、パターン化されていない青色ポリマーが浸漬コーティングによって付着される前に、緑色および赤色ポリマー層が形成される。また緑色および赤色ピクセルのインクジェットプロセスは画定された領域へのレーザー熱転写によって、または熱拡散によって置換されてもよい。任意に、赤色層および緑色層が付着させられる部分で青色層がないように、青色層部分が除去されてもよい。青色層は、時間制御O2プラズマエッチングによって除去されてもよい。
【0063】
(実施例3)
本実施例は、浸漬コーティングを使用してフルカラーエレクトロルミネセンスディスプレイを製造するための第2のOLED製造プロセスを例示する。このプロセスは実施例2のプロセスと同様であるが、主な差異は、緑色放射体は赤色放射体の前にインクジェットされることである。従って、実施例2に記載される様式で青色発光ポリマーの浸漬コーティング後、青色コーティングされたワークピースを緑色発光材料(例えば、ダウ ケミカル カンパニー(Dow Chemical Co.)からのダウ グリーン(DOW Green)−K2)でインクジェットする。緑色材料を乾燥させた後、赤色層(例えば、実施例2のコビオン(Covion)混合物)をインクジェットし、次いで約10分間120℃で焼成した。
【0064】
(実施例4)
本実施例は、高画質で高品質、巨大サイズのディスプレイを作製するために浸漬コーティングを使用することができることを実証する。約102mm×102mm(対角径4インチ)およびQVGA(2.3×105より大きい総ピクセル数の320×RGB×240ピクセル)のアクティブマトリックス非晶質シリカが得られた。約100nmのバッファー層厚さおよび約80nmの発光層厚さを有する1つの構造を表1(浸漬コーティング/スピンコーティング)から選択した。
【0065】
この構造は、200cd/m2で約11.2cd/Aのエレクトロルミネセンス効率および約4.5Im/Wattの電力効率を実証した。このディスプレイは、高画質を有し全活性領域上で均質性を示す。I−V特徴を図5に示す。
【0066】
(実施例5)
フッ素含有プラズマによる基材、例えばカポン(Capon)Rev2基材のフォトレジスト構造の処理は、構造の処理部分を非湿潤にさせる。
【0067】
プラズマは、マーチ プラズマ システムズ(March Plasma Systems)(カリフォルニア州、コンコード(Concord,CA))によるマーチ(March)PX500モデル プラズマ発生器を使用して製造可能である。穿孔された接地プレートおよびフローティング基板によるモードを通しての流れにおいて機器を構成する。6インチフローティング基材プレートをCF4/O2ガス組成物から形成されるプラズマで処理する。気体組成物は、体積で約80%〜約100%のCF4または約92%のCF4および約0%〜約20%のO2または約8%のO2を含み得る。基材は約300mTorr〜約600mTorrまたは約400mTorrの圧力で約2分〜約5分または約3分間、約200W〜約500Wのプラズマまたは約400Wのプラズマを使用して暴露されてもよい。
【0068】
次いで、ワークピースをバッファー層中で浸漬コーティングする。適切に乾燥させた後、次いでワークピースを正孔輸送層中で浸漬コーティングする。構造の処理された非湿潤部品はコーティングされず、そしてそれらの非湿潤特性を保持し、これはRGB(赤色、緑色、青色)放射層の印刷において利用され得る。例えば、3,4ジメチルアニソール中1%ダウ(Dow)K2緑色発光ポリマーによる37pL滴下のため、30umインクジェットチップを有するマイクロファブ(MicroFab)インクジェット式印刷機を使用することができる。カソードの添加およびワークピースのカプセル化によって有機電子デバイスを形成し、製造は完了する。
【0069】
前記明細書において、具体的な実施形態に関して概念が記載された。しかしながら、当業者は、請求の範囲で明かにされる本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を行うことができることを認識する。従って、明細書および図面は限定的な意味というよりも、実例として考えられ、そして全てのかかる修正は本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0070】
多くの態様および実施形態が上記されるが、あくまでも例示であって、限定するものではない。本明細書を読んだ後、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく他の態様および実施形態が可能であることを認識する。
【0071】
利益、他の利点および問題への解決策が、具体的な実施形態に関して上記されている。しかしながら、利益、利点、問題への解決策、ならびにいずれの利益、利点または解決策を生じさせるか、またはより明白にさせるいずれの特徴が、いずれかのまたは全ての特許請求の範囲の重大な、必要とされる、または本質的な特徴として解釈されるべきではない。
【0072】
特定の特徴は、明瞭さのため、本明細書で別々の実施形態の文脈において記載されるが、単一の実施形態において組み合せで提供されてもよいことは認識されるべきである。逆に、様々な特徴は、簡潔さのため、単一の実施形態の文脈において記載されるが、別々に、またはいずれかの部分的組み合わせで提供されてもよい。さらに、範囲に定められた値の言及は、範囲内の各全値を含む。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】有機電子デバイスの概略図。
【図2】接触角に関連する概略図。
【図3】浸漬コーティングデバイスのI−Vプロット。
【図4】浸漬コーティングデバイスの輝度対電圧のプロット。
【図5】もう1つの浸漬コーティングデバイスのI−Vプロット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機電子デバイスのための活性層の付着方法であって、
ワークピースを提供する工程と、
活性層材料を含む液体媒体中にワークピースを浸漬コーティングする工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
活性材料がバッファー材料であるか、またはワークピースがバッファー層を有し、そして活性材料が放射性(emissive)材料であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
得られる層が約10nm〜約300nmの範囲の厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
約10nm〜約500nmの範囲の厚さの活性層を提供するように液体媒体の特性を選択する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
液体媒体の粘度が約1cP〜約100cP、約1cP〜約50cPまたは約1cP〜約20cPであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
約10nm〜約500nmの範囲の厚さの活性層を提供するように漬浸後の引抜速度を選択する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
引抜速度が約0.2mm/分〜約400mm/分または約1mm/分〜約25mm/分であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
有機電子デバイス上における層の付着方法であって、
表面が10度未満の水接触角を有するように基材を洗浄する工程と、
液体媒体中に基材を浸漬コーティングする工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
水接触角が約8度以下になるまで基材が洗浄されるか、または水接触角が約5度以下になるまで基材が洗浄されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
有機電子デバイス上におけるパターン化された活性層の形成方法であって、
ワークピースを提供する工程と、
ワークピースの一部を非湿潤性にするために処理する工程と、
活性層材料を含む液体媒体中にワークピースを浸漬コーティングする工程と、
を含み、活性層材料が非湿潤性部分上に付着されず、それによってパターンが作製されることを特徴とする方法。
【請求項11】
処理がフッ素含有プラズマによることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
活性層材料がバッファー層材料であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
活性層材料が正孔輸送層材料であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
活性層材料が光活性材料であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項15】
ワークピースが放射性材料によってさらにコーティングされることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項16】
得られる活性層が約10nm〜約300nmの範囲の厚さを有することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項17】
約10nm〜約500nmの範囲の厚さの活性層を提供するように液体媒体の特性を選択する工程をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項18】
液体媒体の粘度が約1cP〜約100cP、約1cP〜約50cPまたは約1cP〜約20cPであることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
約10nm〜約500nmの範囲の厚さの活性層を提供するように漬浸後の引抜速度を選択する工程をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項20】
引抜速度が約0.2mm/分〜約400mm/分または約1mm/分〜約25mm/分であることを特徴とする請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−527637(P2008−527637A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549686(P2007−549686)
【出願日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/047598
【国際公開番号】WO2006/072066
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】