説明

板材、床材、天井材及び壁材

【課題】 薄型化しても化粧板が変形しにくく、長期に渡って良好な美観を保つことができる板材を提供すること。
【解決手段】 平板状の基材と、上記基材上に設けられた紙と、さらに上記紙上に設けられた化粧板とからなる板材であって、上記基材の長手方向と、上記紙の紙目方向とが交差していることを特徴とする板材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板材、床材、天井材及び壁材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、床材、天井材、壁材等の建築材用途に使用する板材として、木質薄板(単板)を積層してなる合板が知られている。
この合板に要求される特性の一つとして、寸法安定性が高いことが挙げられる。寸法安定性が低いと、合板の経時的な反りやねじれ等が発生することにより、合板が使用に耐えられなくなるからである。
【0003】
寸法安定性が高い合板として、例えば、特許文献1には、針葉樹等の木材から作製された複数枚の単板が、熱硬化性樹脂と紙等の繊維質材料とからなる接着剤層を介して互いに接着され、積層一体化してなる合板が開示されている。
【0004】
特許文献1によれば、上記接着剤層を採用することにより、合板を構成する単板ごとに単位面積当たりの重さや含水率等が異なったとしても、高い寸法安定性を維持することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−272922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された合板は、使用条件によっては寸法安定性が充分に高いとはいえない。
そのため、特許文献1に記載の合板に化粧板を貼り付けることにより作製した板材を所定の場所に設置すると、板材の設置された場所の温度や湿度が変化することにより、内側の合板が収縮又は膨張し、この合板の変形に同調して外側の化粧板が変形することがある。
その結果、使用者の目につく化粧板に割れ等が発生し、板材の美観が著しく損なわれるという問題がある。
【0007】
また、リフォーム用途の床材等として上記板材を使用する場合には、既存の床板等の上に板材を敷設することが多いが、このような場合には、天井と床との空間の広さを充分に確保するべく、板材の薄型化が要求される。
しかしながら、特許文献1に記載の合板の厚さは3〜15cmであり、この合板をリフォーム用途に適した厚さにすべく、各々の単板の厚さを薄くして合板の薄型化を図ると、強度が低下して合板が変形しやすくなり、その結果、化粧板に割れ等が発生しやすくなる。
【0008】
また、既存の床暖房の床板の上に敷設することにより、床暖房のリフォーム用途の床材として板材を使用する場合には、暖房運転による加温と運転停止による冷却により、板材に大きな温度差が生じ、乾燥による板材の収縮と吸湿による板材の膨張とが繰り返される。
しかしながら、特許文献1に記載の合板は、熱には不対応であり、板材に大きな温度差が生じると、合板が変形しやすくなり、化粧板に割れ等が発生しやすくなる。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、本発明の第一の目的は、薄型化しても化粧板が変形しにくく、長期に渡って良好な美観を保つことができる板材を提供することであり、第二の目的は、化粧板の収縮及び膨張が少なく、高い寸法安定性を維持することができる板材を提供することであり、第三の目的は、耐衝撃性の高い板材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成すべく、本発明者は、従来の板材の化粧板に変形が発生する理由について検討した。
以下、本発明者が推測する化粧板が変形する理由について、図面を用いて説明する。
【0011】
図7は、従来の板材の一例を模式的に示す一部切り欠き斜視図である。
なお、図7では、紙及び化粧板の一部を切り欠いて示している。また、下記する基材の長手方向を両矢印510Lで示しており、基材の短手方向を両矢印510Wで示している。
【0012】
図7に示す従来の板材500は、基材510と紙520と化粧板530とを、この順で積層してなり、平面視略矩形状を有している。
【0013】
基材510は、単板を積層してなる合板から構成されており、主に板材500の強度を確保するために用いられる部材である。
そのため、紙520や化粧板530よりも厚さが充分に厚く、温度変化や湿度変化の影響を受けやすいと考えられる。例えば、板材500が乾燥した場合には、紙520や化粧板530よりも基材510が収縮しやすく、また、板材500が吸湿した場合には、紙520や化粧板530よりも基材510が膨張しやすいと考えられる。
従って、板材500が置かれる環境に応じて発生する基材510の収縮力や膨張力は、紙520や化粧板530の収縮力等に比べてかなり大きいと推測される。
【0014】
紙520は、複数の繊維521が複雑に絡み合ってなるので、ある程度の柔軟性を有する。
そのため、紙面に平行な方向に沿って外力が加えられた場合には、その方向に対して伸縮可能であり、当該外力を吸収することができると考えられる。
【0015】
化粧板530は、単板からなり、木目531が形成されている。
化粧板530の厚さは、基材510に比べて充分に薄く、化粧板530の収縮力等は、基材510の収縮力等と比べてかなり小さいと考えられる。
【0016】
上述した各部材からなる板材500を乾燥させると、乾燥初期では、基材510の収縮力がそれほど大きくなく、当該収縮力が紙520に吸収されて化粧板530まで伝わらず、化粧板530は変形しないと考えられる。
しかしながら、板材500の乾燥がさらに進むと、基材510の収縮の度合いが大きくなり、特に、基材510の短手方向510Wに比べて、基材510の長手方向510Lに沿って、基材510が大きく収縮すると推測される。そのため、基材510の長手方向510Lに沿った方向には、大きな収縮力が発生すると考えられる。
従って、基材510の長手方向510Lに沿って発生した収縮力は、紙520に全て吸収されず、その一部が化粧板530まで伝わってしまい、化粧板530が長手方向に収縮し、化粧板530の変形が引き起こされると考えられる。
なお、本明細書でいう基材の長手方向とは、平板状の基材を平面視することにより得られる多角形において、その多角形の重心を通り、かつ、長辺方向に沿った方向のことをいう。
【0017】
このことから、本発明者は、基材510の長手方向510Lに沿って発生した収縮力等を紙520によって確実に吸収することができれば、上記収縮力等が化粧板530まで伝わることはなく、化粧板530の変形を防止することができるのではないかとの考えに至った。
【0018】
係る知見に基づいて、本発明者が板材についてさらに検討を行ったところ、基材の長手方向と紙の紙目方向とを交差させた構成を採用することにより、化粧板が変形しにくくなることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0019】
即ち、請求項1に記載の板材は、平板状の基材と、上記基材上に設けられた紙と、さらに上記紙上に設けられた化粧板とからなる板材であって、上記基材の長手方向と、上記紙の紙目方向とが交差していることを特徴とする。
【0020】
本発明の板材では、薄型化しても化粧板が変形しにくく、長期に渡って良好な美観を保つことができる。
これについて、図面を用いて以下に説明する。
【0021】
図1(a)は、本発明の板材の一例を模式的に示す一部切り欠き斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示した本発明の板材のA−A線断面図である。
なお、図1(a)では、紙及び化粧板の一部を切り欠いて示している。
また、下記する基材の長手方向10L、紙の紙目横断方向20L及び化粧板の長手方向30Lは、ともに同じ方向を示しているので、これらの方向を一の両矢印Lで表しており、下記する基材の短手方向10W、紙の紙目方向20W及び化粧板の短手方向30Wは、ともに同じ方向を示しているので、これらの方向を一の両矢印Wで表している。
【0022】
図1(a)及び(b)に示す本発明の板材1は、平板状の基材10と、基材10上に設けられた紙20と、紙20上に設けられた化粧板30とからなり、平面視略矩形状を有している。
なお、板材1の形状については、平面視略矩形状に限定されず、その他の実施形態で後述するように平面視略正方形状等であってもよい。
【0023】
基材10は、単板を積層してなる合板から構成されている。
上述したように、板材1を乾燥させた場合には、平面視略矩形状の基材10は、短手方向10Wに比べて長手方向10Lに沿って大きく収縮すると推測される。そのため、短手方向10Wに沿った方向には収縮力がそれほど発生しないものの、長手方向10Lに沿った方向には、大きな収縮力が発生すると考えられる。
【0024】
紙20は、複数の繊維21が複雑に絡み合ってなるものであるが、繊維21は紙20の紙目方向20Wに沿ってより多く配向しており、紙目方向20Wに沿って繊維21が複雑に絡み合っている。
従って、紙20は、紙目方向20Wに沿ってやや伸縮しにくく、紙目方向20Wに対して垂直な方向20L(以下、単に紙目横断方向ともいう)には、繊維21があまり絡み合っておらず、伸縮しやすい。
それゆえ、紙20は、紙目方向20Wに沿って加えられた外力も、紙目横断方向20Lに沿って加えられた外力も吸収可能であるが、特に、紙目横断方向20Lに沿って加えられた外力をよく吸収することができると考えられる。
なお、紙目方向20Wとは、抄紙工程において、抄紙機の漉き網に載せられた紙料が漉き網の移動する方向に沿って漉き網の上を流動し、徐々に脱水されていく方向をいう。従って、繊維21の大部分は、脱水される過程で紙目方向20Wに沿って配向する。
【0025】
化粧板30は、単板からなり、化粧板30の長手方向30Lに沿って木目31が形成されている。
化粧板30の厚さは、基材10に比べて充分に薄く、化粧板30の収縮力等は、基材10の収縮力等と比べてかなり小さいと考えられる。
なお、化粧板30としては、木目が形成された単板に限定されず、後述する請求項6に記載のプリントシート等であってもよい。
【0026】
本発明の板材1では、基材10の長手方向10Lと、紙20の紙目方向20Wとが交差するように、基材10、紙20、化粧板30の順で積層されている。
即ち、基材10の長手方向10Lと、紙20の紙目横断方向20Lとが一致しており、より大きな収縮力等が発生する基材10の方向と、外力を吸収しやすい紙20の方向とが揃った状態で、基材10上に紙20が設けられている。
そのため、板材1を乾燥させた場合には、基材10の長手方向10Lに沿って発生した収縮力が、基材10に直接接触している紙20に充分に吸収されると考えられる。
従って、基材10の長手方向10Lに沿って発生した収縮力は、化粧板30まで伝わりにくいと推測される。
その結果、化粧板30は、化粧板30の長手方向30Lに収縮しにくいと考えられる。
【0027】
なお、基材10の短手方向10Wに沿って発生した収縮力は、紙20に対して紙目方向20Wから加わることになる。しかしながら、基材10の短手方向10Wに沿って発生する収縮力は、基材10の長手方向10Lに沿って発生する収縮力に比べて充分に小さく、繊維21の配向状態に関係なく紙20が有する外力の吸収力によって、充分に吸収されると考えられる。そのため、基材10の短手方向10Wに沿って発生した収縮力は、化粧板30まで伝わりにくいと推測される。
このため、化粧板30は、化粧板30の短手方向30Wにも収縮しにくいと考えられる。
【0028】
このように、本発明の板材1では、基材10の収縮力が紙20に充分に吸収され、化粧板30まで伝わりにくい。そのため、化粧板30は、長手方向30L及び短手方向30Wのいずれの方向にも収縮しにくく、変形しにくい。
そのため、本発明の板材1は、長期に渡って良好な美観を保つことができる。
特に、板材の薄型化の要求を満たすべく、化粧板30の厚さを0.1〜1.0mm程度に薄くし、化粧板30の強度が低くなった場合であっても、化粧板30の変形が発生しにくく、優れた変形防止効果を発揮することができる。
なお、上記のメカニズムは、板材1が吸湿すること等により、基材10が膨張し、基材10の膨張力が発生した場合であっても同様であると考えられる。
【0029】
また、本発明の板材1は、化粧板30に変形が発生しにくいので、乾燥や吸湿が繰り返されたとしても、板材1全体として高い寸法安定性を発揮することができる。
【0030】
さらに、基材10と化粧板30との間には、柔軟性を有し、緩衝能を有する紙20が配設されている。そのため、例えば、重量物が板材1に落下することにより衝撃が加えられた場合であっても、衝撃が紙20に充分に吸収されるので、板材1が破損しにくく、優れた耐衝撃性を発揮することができる。
【0031】
請求項2に記載の板材は、請求項1に記載の板材において、平面視略矩形状である。
上述したように、板材が平面視略矩形状であっても、本発明の作用効果を好適に享受することができる。
【0032】
請求項3に記載の板材では、請求項1又は2に記載の板材において、上記紙が和紙である。
和紙は、繊維長の長い靭皮繊維が含まれた紙料を抄造してなるので、繊維が紙目方向により多く配向しており、紙目方向で繊維がより複雑に絡み合う一方、紙目横断方向での繊維の絡み合いはより少ない。
そのため、和紙は紙目横断方向に充分に伸縮し、紙目横断方向に沿って発生する力をよく吸収することができる。
従って、基材の収縮力のうちで、基材の長手方向(和紙の紙目横断方向)に沿って発生した収縮力は、和紙に充分に吸収され、化粧板に伝わることはほとんどない。
このような理由によって、化粧板は長手方向に収縮せず、割れることがない。
【0033】
請求項4に記載の板材は、請求項1〜3のいずれかに記載の板材において、上記化粧板が、単板からなり、上記紙の紙目方向と、上記単板の木目方向とが交差している。
上述したように、化粧板が単板からなり、紙の紙目方向と単板の木目方向とが交差している場合であっても、本発明の作用効果を好適に享受することができる。
【0034】
請求項5に記載の板材は、請求項4に記載の板材において、上記単板がなら材単板又はかば桜材単板である。
請求項5に記載の板材では、床材や天井材や壁材等としての使用時に利用者の目につく、おもて面となる化粧板が、木目の美観に優れたなら材単板又はかば桜材単板から構成されている。そのため、商品価値の高い板材とすることができる。
【0035】
請求項6に記載の板材は、請求項1〜3のいずれかに記載の板材において、上記化粧板が、プリントシートである。
請求項6に記載の板材では、床材や天井材や壁材等としての使用時に利用者の目につく、おもて面となる化粧板が、プリントシートから構成されている。プリントシートは、紙や合成樹脂製のシート材に木目や種々の模様を転写したものであり、需要に応じて意匠性を高めることができる。それゆえ、商品価値の高い板材とすることができる。
【0036】
請求項7に記載の板材は、請求項1〜6のいずれかに記載の板材において、上記紙の単位面積当たりの重さが、25g/m以上である。
そのため、紙の繊維がより密に絡み合っており、紙の強度が高く、衝撃を吸収する効果が高い。よって、板材に衝撃が加えられても、衝撃が紙に充分に吸収されるので、板材が破損しにくい。
これに対して、単位面積当たりの重さが25g/m未満である紙を使用した場合には、紙の衝撃を吸収する効果が低く、衝撃が板材に加えられることにより板材が破損することがある。
なお、紙の単位面積当たりの重さの上限値は、特に限定されない。
【0037】
請求項8に記載の板材は、請求項1〜7のいずれかに記載の板材において、上記基材が、ラワン合板又は中密度繊維板である。
請求項8に記載の板材によると、軽量で加工しやすいラワン合板又は中密度繊維板から基材が構成されているので、板材の取り扱い性が向上する。
また、基材が中密度繊維板からなる場合には、厚手の合板等と比べて比較的安価であるので、板材を作製するコストを低減することができる。
【0038】
請求項9に記載の板材は、請求項1〜8のいずれかに記載の板材において、厚さが6mm以下であり、請求項10に記載の板材では、特に、厚さが3〜5mmである。
請求項9又は10に記載の板材では、従来の板材に比較して厚さが充分に薄くなっているが、このような実施形態であっても、化粧板が変形しにくく、長期に渡って良好な美観を保つことができる。また、高い寸法安定性を維持することができるし、耐衝撃性の高い板材とすることもできる。
【0039】
さらに、薄型化されているので、リフォーム用途の床材等として板材を使用する場合には、既存の床板等の上に敷設したとしても、天井と床との空間の広さを確保することができる。
特に、板材の厚さが3〜5mmであると、天井と床との空間の広さを充分に確保することができるので好ましい。また、床暖房のリフォーム用途の床材として板材を使用する場合には、加温ユニットからの熱を効率的に伝えることができるので好ましい。
一方、板材の厚さが3mm未満であると、床材等として使用した場合に強度が低下することがあり、破損しやすくなることがある。また、後述するような雄実部及び雌実部を設けた実構造を採用する場合には、板材の厚さが薄くなり過ぎて実構造を作製しにくくなることがある。
【0040】
請求項11に記載の板材では、請求項1〜10のいずれかに記載の板材において、上記板材の一方の長側面には、上記板材を短側面側から見た場合に凸形状となる雄実部が形成されており、上記板材の他方の長側面には、上記短側面側から見た場合に凹形状となるように、溝部を挟んだ上下に上顎部及び下顎部が形成された雌実部が形成されており、一の板材の雄実部と他の板材の雌実部とが互いに嵌合するように構成されている。
そのため、複数枚の板材を敷設する場合には、一の板材を敷設し、この板材の雄実部(又は雌実部)と他の板材の雌実部(又は雄実部)を嵌合させる手順を繰り返すことにより、複数の板材を容易に敷設することができる。
また、実構造が形成されていない場合と比べて、板材が互いに外れにくくなる。
【0041】
請求項12に記載の板材は、請求項11に記載の板材において、上記上顎部は、上記板材の化粧板が設けられた側に形成されており、上記下顎部の上記溝部底面からの高さは、上記上顎部の上記溝部底面からの高さに比べて長くなっており、上記下顎部には、上記板材を敷設面に固定するための固定部材を取り付ける固定部が設けられている。
従って、上記下顎部の固定部に固定部材を設置することにより、板材を敷設面に強固に固定することができる。
【0042】
請求項13に記載の板材では、請求項1〜12のいずれかに記載の板材において、上記化粧板上にさらに塗膜が形成されており、上記塗膜の厚さが、0.05〜0.3mmである。
また、請求項14に記載の板材は、請求項13に記載の板材において、上記塗膜が、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂及び漆のうちの少なくとも一種からなる。
請求項13又は14に記載の板材によると、化粧板上に厚さが0.05〜0.3mmの塗膜が形成されているので、板材の化粧板表面付近の強度を高めることができる。そのため、化粧板側から板材に重量物が落下しても、化粧板に割れやへこみが発生しにくく、耐衝撃性をより高めることができる。
一方、塗膜の厚さが、0.05mm未満であると、塗膜の厚さが薄すぎて、板材の化粧板表面付近の強度がそれほど向上せず、化粧板側から板材に重量物が落下した場合には、化粧板の変形やへこみを充分に防止することができない場合がある。
また、塗膜の厚さの上限値は、0.3mmであるが、0.3mmを超える厚さの塗膜を設けても、化粧板の変形やへこみを防止する効果が格段に向上するわけではなく、コストがかさむことがある。また、塗膜の厚さが厚くなりすぎて、基材等との収縮差や膨張差に起因して塗膜が剥がれることがある。
また、上記塗膜は、請求項14に記載のように、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂及び漆のうちの少なくとも一種からなることが好ましい。
これらの樹脂は、光沢を有し、透明度が高いものであることが多い。そのため、化粧板の木目がより鮮明に視覚に映ることになり、板材の意匠性が高まって商品価値が向上するからである。
【0043】
請求項15に記載の板材では、請求項1〜14のいずれかに記載の板材において、上記化粧板が複数枚の化粧板ユニットに分割されている。
そのため、種々の木目等の模様を有する化粧板ユニット(単板やプリントシート等)を複数枚組み合わせて化粧板とすることにより、板材の意匠性を高め、商品価値を向上させることができる。
また、化粧板に割れやへこみ等が発生しても、不具合が発生した箇所の化粧板ユニットのみ新たな化粧板ユニットと交換することによって、容易に板材の修理を行うことができる。
【0044】
請求項16に記載の床材は、既存の床板を覆うように、請求項1〜15のいずれかに記載の板材が複数枚敷設されてなることを特徴とする。
また、請求項17に記載の天井材は、既存の天井板を覆うように、請求項1〜15のいずれかに記載の板材が複数枚敷設されてなることを特徴とする。
また、請求項18に記載の壁材は、既存の壁板を覆うように、請求項1〜15のいずれかに記載の板材が複数枚敷設されてなることを特徴とする。
【0045】
請求項16〜18に記載の床材等は、既存の床板等の上に複数枚の板材を敷設してなる所謂リフォームの施工構造であるが、上記板材が、薄型化しても化粧板が変形しにくい請求項1〜15のいずれかに記載の板材からなる。
そのため、薄型化した板材を使用することにより、広い居住スペースを確保することができるとともに、長期に渡って良好な美観を保つことができる。
また、既存の床暖房の床板の上に板材を敷設してなる床暖房のリフォームの施工構造である場合には、暖房運転による加温と運転停止による冷却により、板材に大きな温度差が発生し、乾燥による板材の収縮と吸湿による板材の膨張とが繰り返される。
しかしながら、このような場合であっても、板材の化粧板が変形しにくく、長期に渡って良好な美観を保つことができる。また、薄型化した板材の使用により、加温ユニットからの熱を効率的に伝えることが可能となり、暖房効率を高めることもできる。
また、板材の寸法安定性が高いので、床材等に反りやねじれ等が発生するのを防止することができる。さらに、板材の耐衝撃性が高いので、床材等に割れ、へこみ等の破損が発生しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1(a)は、本発明の板材の一例を模式的に示す一部切り欠き斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示した本発明の板材のA−A線断面図である。
【図2】図2(a)は、本発明の板材の別の一例を模式的に示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)に示した本発明の板材のB−B線断面図である。
【図3】図2(a)に示した本発明の板材のC−C線断面図である。
【図4】本発明の床材の一例を模式的に示す斜視図である。
【図5】図5(a)は、本発明の板材のさらに別の一例を模式的に示す斜視図であり、図5(b)は、図5(a)に示した本発明の板材のD−D線断面図である。
【図6】図5(a)に示した本発明の板材のE−E線断面図である。
【図7】従来の板材の一例を模式的に示す一部切り欠き斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
(第一実施形態)
以下、本発明の一実施形態である第一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0048】
はじめに、本実施形態の板材について説明するが、上述した本発明の板材の説明と重複する事項については、説明を省略する。
【0049】
図2(a)は、本発明の板材の別の一例を模式的に示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)に示した本発明の板材のB−B線断面図である。
図3は、図2(a)に示した本発明の板材のC−C線断面図である。
なお、図2(a)では、下記する板材の長手方向2L、基材の長手方向110L、紙の紙目横断方向120L及び化粧板の長手方向130Lは、ともに同じ方向を示しているので、これらの方向を一の両矢印L’で表しており、下記する板材の短手方向2W、基材の短手方向110W、紙の紙目方向120W及び化粧板の短手方向130Wは、ともに同じ方向を示しているので、これらの方向を一の両矢印W’で表している。
【0050】
図2(a)、(b)及び図3に示す本実施形態の板材2は、平板状の基材110と、基材110上に設けられた紙120と、さらに紙120上に設けられた化粧板130とからなり、平面視略矩形状を有している。
また、基材110の長手方向110Lと、紙120の紙目方向120Wとが交差している。
【0051】
板材2の厚さ(図2(b)及び図3中、両矢印Tで示す)は、6mm以下であり、長手方向2Lの長さは、454.5〜1818mmであり、短手方向2Wの長さは、151.5〜606mmである。
ここで、板材の厚さは、3〜5mmであることが好ましい。板材の厚さが3〜5mmであると、天井と床との距離を充分に確保することができるし、床暖房のリフォーム用途の床材として板材を使用する場合には、加温ユニットからの熱を効率的に伝えることができる。
【0052】
板材2の一方の長側面2Aには、板材2を短側面2B、2B’側から見た場合に凸形状となる雄実部2aが形成されている。また、板材2の他方の長側面2A’には、短側面2B、2B’側から見た場合に凹形状となるように、溝部2cを挟んだ上下に上顎部2d及び下顎部2eが形成された雌実部2bが形成されている。一の板材の雄実部と他の板材の雌実部とは、互いに嵌合可能である。
図2(b)に示す雄実部2aの突出長2alは、3〜6mmであり、幅2awは、1〜3mmである。
雌実部2bの溝部底面からの高さ2blは、3〜6mmであり、溝部底面の幅2bwは、1〜3mmである。
なお、上記雄実部及び雌実部は形成されていなくともよく、両長側面2A、2A’が平坦面であってもよい。
【0053】
板材2の一方の短側面2Bには、板材2を長側面2A、2A’側から見た場合に凸形状となる雄実部2a’が形成されている。また、板材2の他方の短側面2B’には、長側面2A、2A’側から見た場合に凹形状となるように、溝部2c’を挟んだ上下に上顎部2d’及び下顎部2e’が形成された雌実部2b’が形成されている。一の板材の雄実部と他の板材の雌実部とは、互いに嵌合可能である。
図3に示す雄実部2a’の突出長2al’は、雄実部2aの突出長2alと同じであり、雄実部2a’の幅2aw’の長さは、雄実部2aの幅2awの長さと同じである。
また、雌実部2b’の溝部底面からの高さ2bl’は、雌実部2bの溝部底面からの高さ2blと同じであり、雌実部2b’の溝部底面の幅2bw’の長さは、雌実部2bの溝部底面の幅2bwと同じである。
なお、上記雄実部及び雌実部は形成されていなくともよく、両短側面2B、2B’が平坦面とであってもよい。
【0054】
板材2の化粧板130上には、厚さが、0.05〜0.3mmの塗膜140が形成されている。塗膜140は、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂及び漆のうちの少なくとも一種からなる。
なお、塗膜140には、上記樹脂等の他に、シリカ等の無機粒子が含有されていてもよい。無機粒子が含まれていると、塗膜の耐磨耗性、耐汚染性、耐薬品性等の諸特性の向上を図ることができる。
また、上記塗膜は、形成されていなくともよい。
【0055】
また、紙120は、繊維長の長い靭皮繊維が含まれた紙料を抄造してなる和紙である。
そのため、繊維が紙目方向120Wにより多く配向しており、紙目方向120Wで繊維がより複雑に絡み合う一方、紙目横断方向120Lでの繊維の絡み合いは少ない。
そのため、紙120は紙目横断方向120Lに充分に伸縮し、紙目横断方向120Lに沿って発生する力をよく吸収することができる。
【0056】
紙120の単位面積当たりの重さは、25g/m以上であることが好ましい。紙120の単位面積当たりの重さが、25g/m以上であると、紙120の繊維がより密に絡み合い、紙120の強度が高くなり、衝撃を吸収する効果が高くなる。
【0057】
紙120の紙目横断方向120Lの長さは、板材2の長手方向2Lの長さと一致しており、紙120の紙目方向120Wの長さは、板材2の短手方向2Wの長さと一致しており、紙120の厚さは、0.025〜0.2mmである。
紙の厚さが、0.025mm未満であると、紙の厚さが薄くなりすぎて、収縮力等を吸収する効果が低くなったり、衝撃を吸収する効果が低くなることがある。また、紙の厚さが、0.2mmを超えると、板材の厚さが厚くなりすぎて、板材を敷設する箇所の空間を充分に確保することができなくなることがある。
【0058】
化粧板130は、略同一形状の4枚の化粧板ユニット131、132、133及び134に分割されており、各々の化粧板ユニット131、132、133及び134は、木目135の美観に優れた平板状のなら材単板又はかば桜材単板から構成されている。
木目135は、化粧板(化粧板ユニット)の長手方向130Lに沿って形成されており、紙120の紙目方向120Wと、化粧板130の木目方向135とが交差している。
また、化粧板130の長手方向130Lの長さは、板材2の長手方向2Lの長さと一致しており、化粧板130の短手方向130Wの長さは、板材2の短手方向2Wの長さと一致しており、化粧板130の厚さは、0.1〜1.0mmである。
化粧板の厚さが、0.1mm未満であると、化粧板の厚さが薄くなりすぎて、強度が低下し、化粧板が割れやすくなることがある。また、化粧板の厚さが、1.0mmを超えると、板材の厚さが厚くなりすぎて、板材を敷設する箇所の空間を充分に確保することができなくなることがある。
なお、化粧板ユニットは、木目が形成されていないプリントシートから構成されていてもよい。
【0059】
基材110は、軽量で加工しやすいラワン合板又は中密度繊維板からなり、平板状である。
また、基材110の長手方向110Lの長さは、板材2の長手方向2Lの長さと一致しており、基材110の短手方向110Wの長さは、板材2の短手方向2Wの長さと一致しており、基材110の厚さは、3.5〜5.5mmである。
基材の厚さが、3.5mm未満であると、基材の厚さが薄くなりすぎて、板材の強度が低下し、板材が破損することがある。また、基材の厚さが、5.5mmを超えると、板材の厚さが厚くなりすぎて、板材を敷設する箇所の空間を充分に確保することができなくなることがある。
【0060】
次に、本実施形態の床材、天井材及び壁材について、図面を用いて説明する。
【0061】
図4は、本発明の床材の一例を模式的に示す斜視図である。
【0062】
図4に示す本実施形態の床材100は、既存の床板600を覆うように、本実施形態の板材2が複数枚敷設されてなる。
具体的には、板材2の基材110側の主面2C(以下、単に、第一の主面ともいう)が下(床板600側)になり、板材2の化粧板130側の主面2D(以下、単に、第二の主面ともいう)が上になった状態で、既存の床板600上に、複数枚の板材2が隙間なく敷きつめられている。具体的には、一の板材2の長側面の雌実部2bに、他の板材2の長側面の雄実部2aが嵌合し、一の板材2の短側面の雌実部2b’に、他の板材2の雄実部2a’が嵌合することにより、複数枚の板材2が隙間なく敷きつめられている。
なお、雄実部と雌実部とは、接着剤で接着されていてもよい。その場合には、板材同士がより強固に結合することになる。
また、板材の第一の主面と床板とは、接着剤で接着されていてもよく、板材と床板とは、ネジ、釘、ステープル等の固定部材で互いに固定されていてもよい。その場合には、板材が床板から剥がれにくい。
【0063】
本実施形態の天井材は、板材を敷設する床板が天井板に変更されていること以外は、上述した本実施形態の床材と同様の構成を有しているので説明を省略する。
また、本実施形態の壁材は、板材を敷設する床板が壁板に変更されていること以外は、上述した本実施形態の床材と同様の構成を有しているので説明を省略する。
【0064】
以下、本実施形態の板材を作製する方法、及び、本実施形態の床材、天井材及び壁材を作製する方法について説明する。
まず、板材の作製方法について説明する。
【0065】
1.板材の作製方法
以下の手順により板材を作製する。
【0066】
(1−1)積層工程
長手方向の長さが、457.5〜1824mm、短手方向の長さが、154.5〜612mm、厚さが、3.5〜5.5mmであって、ラワン合板又は中密度繊維板からなる平板状の基材を準備する。
また、長手方向の長さが、457.5〜1824mm、短手方向の長さが、154.5〜612mm、厚さが、0.025〜0.2mm、紙目方向(短手方向)に沿って繊維がより多く配向している和紙を準備する。なお、単位面積当たりの重さは、25g/m以上であることが好ましい。
さらに、長手方向の長さが、457.5〜1824mm、短手方向の長さが、38.6〜153.0mm、厚さが、0.1〜1.0mmであって、なら材単板又はかば桜材単板からなる平板状の化粧板ユニットを4枚準備する。
なお、単板は、ロータリーレース等を使用することにより、なら又はかば桜の原木から作製すればよい。
【0067】
そして、基材の一方の主面に接着剤を塗布し、当該主面に和紙を貼り付けることにより、基材上に和紙を配設する。
この際、基材の主面の長辺の位置と和紙の主面の長辺の位置とを一致させ、基材の主面の短辺の位置と和紙の主面の短辺の位置とを一致させることにより、基材の主面の全面を覆うようにして和紙を貼り付ける。こうすることで、基材の長手方向と、和紙の紙目方向(短手方向)とが交差した状態で、基材上に和紙が配設される。
なお、接着剤としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、ユリア−酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シアノアクリレート樹脂、クロロプレンゴム等の合成ゴム等を、有機溶剤や水等に溶解又は分散させてなるものを使用すればよい。
【0068】
さらに、基材に貼り付けられた和紙に上記接着剤を塗布し、和紙に4枚の化粧板ユニットを順次貼り付けることにより、和紙上に化粧板を配設する。
この際、各化粧板ユニットの長側面同士が互いに接触するようにし、一の化粧板ユニットの長側面と、隣接する他の化粧板ユニットの長側面との間に隙間が形成されないようにする。
【0069】
その後、24時間程度、室温で乾燥させることにより、接着剤を固化させる。
これにより、積層体を作製する。
【0070】
(1−2)塗膜形成工程
次に、積層体の化粧板の主面にウレタン樹脂等を含む塗料を均一に塗布し、化粧板上に塗膜を形成する。この際、乾燥後の塗膜の厚さが0.05〜0.3mmとなるように、塗布する塗料の量を適宜調整する。
これにより、板材前駆体を作製する。
なお、塗膜形成工程及び下記する切削工程を行わずともよく、その場合には、塗膜形成前の積層体が本発明の板材となる。
【0071】
(1−3)切削工程
板材前駆体を短側面側から見た場合に凹形状となった雌実部が、板材前駆体の一方の長側面に形成されるように、一方の短側面側から他方の短側面側まで連続して当該長側面を切削する。このようにして作製される雌実部は、溝部を挟んだ上下に上顎部及び下顎部を有している。なお、雌実部の溝部底面からの高さは3〜6mm、溝部底面の幅は1〜3mmとする。
次に、板材前駆体を短側面側から見た場合に凸形状となった雄実部が、板材前駆体の他方の長側面に形成されるように、一方の短側面側から他方の短側面側まで連続して当該長側面を切削する。なお、雄実部の突出長は3〜6mm、幅は1〜3mmとする。
同様に、板材前駆体の一方の短側面に雄実部が形成され、他方の短側面に雌実部が形成されるように、短側面についても切削する。
以上の工程を経ることにより、本実施形態の板材を作製する。作製する板材の厚さは、6mm以下である。
なお、切削工程を行わずともよく、その場合には、切削加工前の板材前駆体が本発明の板材となる。
【0072】
2.本実施形態の床材、天井材及び壁材の作製方法
以下の手順により、本実施形態の床材等を作製する。
なお、本実施形態の天井材又は壁材の作製方法は、下記する床板を天井板又は壁板に変更すること以外は、本実施形態の床材の作製方法と同様であるので説明を省略する。
【0073】
まず、第一の主面を下(床板側)にし、第二の主面を上にして、既存の床板の上に第一の板材を敷設する。
次に、第二の板材を準備し、第二の板材の長側面の雄実部を第一の板材の長側面の雌実部に嵌合させる。同様にして、短側面についても雄実部と雌実部とを嵌合させる。
続いて、第三の板材を準備し、第三の板材の長側面の雄実部を第二の板材の長側面の雌実部に嵌合させる。同様にして、短側面についても雄実部と雌実部とを嵌合させる。
上記手順を繰り返すことにより、複数枚の板材を既存の床板上に敷設する。
【0074】
以下に、本実施形態の板材、床材、天井材及び壁材の作用効果について列挙する。
(1)本実施形態の板材では、基材の長手方向と紙の紙目方向とが交差した状態で、基材、紙、化粧板の順で積層されている。特に、上記紙は、紙目横断方向に沿って発生する力をよく吸収することができる和紙から構成されている。
それゆえ、基材の長手方向(紙の紙目横断方向)に沿って発生した大きな収縮力等が紙に充分に吸収される。
そのため、基材の収縮力等が化粧板まで伝わることはほとんどなく、化粧板が変形しない。
従って、本実施形態の板材は、長期に渡って良好な美観を保つことができる。
また、化粧板に変形が発生しにくいので、板材全体として高い寸法安定性を発揮することができる。
さらに、基材と化粧板との間には、緩衝能を有する紙が配設されているので、優れた耐衝撃性を発揮することができる。
【0075】
(2)本実施形態の板材の厚さは、6mm以下であり、従来の板材に比較して厚さが充分に薄くなっている。そのため、リフォーム用途の床材等として板材を使用する場合には、天井と床との空間の広さを確保することができる。
なかでも、板材の厚さが3〜5mmである場合には、天井と床との距離を充分に確保することができるし、床暖房のリフォーム用途の床材として板材を使用する場合には、加温ユニットからの熱を効率的に伝えることができる。
【0076】
(3)本実施形態の板材の一方の長側面及び短側面には、雄実部が形成されており、他方の長側面及び短側面には雌実部が形成されているので、一の板材の雄実部と他の板材の雌実部とを互いに嵌合することができる。
そのため、複数枚の板材を敷設する場合には、一の板材を敷設し、この板材の雄実部(又は雌実部)と他の板材の雌実部(又は雄実部)を嵌合させる手順を繰り返すことにより、複数の板材を容易に敷設することができる。
また、実構造が形成されていない場合と比べて、板材が互いに外れにくい。
【0077】
(4)本実施形態の板材の化粧板上には、厚さが、0.05〜0.3mmの塗膜が形成されている。そのため、板材の化粧板表面付近の強度が高く、化粧板側から板材に重量物が落下しても化粧板に割れやへこみが発生しにくい。
【0078】
(5)また、上記塗膜は、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂及び漆のうちの少なくとも一種からなる。これらの樹脂は、光沢を有し、透明度が高いものであることが多く、化粧板の木目がより鮮明に視覚に映ることになるので、意匠性が高い。
【0079】
(6)上記紙の単位面積当たりの重さは、25g/m以上である場合には、下記効果を発揮することもできる。
上記紙の単位面積当たりの重さが25g/m以上であると、紙の繊維がより密に絡み合っており、紙の強度が高く衝撃を吸収する効果が高い。よって、板材に衝撃が加えられても、衝撃が紙に充分に吸収されるので、板材が破損しにくい。
【0080】
(7)本実施形態の板材では、床材や天井材や壁材等としての使用時に利用者の目につく、おもて面となる化粧板が、木目の美観に優れたなら材単板又はかば桜材単板から構成されている。そのため、商品価値の高い板材とすることができる。
【0081】
(8)また、上記化粧板は、4枚の化粧板ユニットに分割されている。そのため、種々の木目を有する化粧板ユニットを組み合わせて化粧板とした場合には、板材の意匠性を高め、商品価値を向上させることができる。
また、化粧板に割れやへこみ等が発生しても、不具合が発生した箇所の化粧板ユニットのみ新たな化粧板ユニットと交換することによって、容易に板材の修理を行うことができる。
【0082】
(9)上記基材は、軽量で加工しやすいラワン合板又は中密度繊維板から構成されているので、板材の取り扱い性が向上する。
特に、中密度繊維板から基材が構成されている場合には、厚手の合板等と比べて比較的安価であるので、板材を作製するコストを低減することができる。
【0083】
(10)本実施形態の床材、天井材及び壁材は、既存の床板等を覆うように、薄型化しても化粧板が変形しにくい本実施形態の板材を複数枚敷設してなる。
そのため、薄型化した板材を使用することにより、広い居住スペース等を確保することができるとともに、長期に渡って良好な美観を保つことができる。特に、既存の床暖房の床板の上に板材を敷設してなる床暖房のリフォームの施工構造であっても、化粧板が変形しにくい点で有利である。また、薄型化した板材の使用により、加温ユニットからの熱を効率的に伝えることが可能となり、暖房効率を高めることもできる。
また、使用する板材の寸法安定性が高いので、床材等に反りやねじれ等が発生するのを防止することができる。さらに、使用する板材の耐衝撃性が高いので、床材等に割れ、へこみ等が発生しにくい。
【0084】
(実施例1)
以下の手順により板材を作製した。
(1−1)積層工程
長手方向の長さが1822mm、短手方向の長さが307mm、厚さが4.5mmの平板状のラワン合板を準備した。
また、長手方向の長さが1822mm、短手方向の長さが307mm、厚さが0.1mmであって、単位面積当たりの重さが25g/mの和紙(株式会社白川製紙製、着色オーバーレイ)を準備した。この和紙の繊維は、紙目方向(短手方向)に沿ってより多く配向している。
さらに、長手方向の長さが、1822mm、短手方向の長さが、76.8mm、厚さが、0.3mmであって、なら材単板からなる化粧板ユニットを4枚準備した。
【0085】
ラワン合板の一方の主面に、酢酸ビニル樹脂系接着剤を塗布し、当該主面の全面を覆うように和紙を貼り付けることにより、ラワン合板上に和紙を配設した。この際、ラワン合板の長手方向と和紙の紙目方向(短手方向)とが交差するように、ラワン合板上に和紙を配設した。
【0086】
さらに、ラワン合板に貼り付けられた和紙に接着剤を塗布し、和紙上に隙間なく4枚の化粧板ユニットを順次貼り付けることにより、和紙上に化粧板を配設した。
【0087】
その後、24時間、室温で乾燥させることにより、接着剤を固化させて積層体を作製した。
【0088】
(1−2)塗膜形成工程
次に、積層体の化粧板の主面にウレタン樹脂を含む塗料を均一にスプレー塗布し、化粧板上に塗膜を形成することにより、板材前駆体を作製した。塗膜の厚さは、0.1mmであった。
【0089】
(1−3)切削工程
板材前駆体を短側面側から見た場合に凹形状となった雌実部が、板材前駆体の一方の長側面に形成されるように、一方の短側面側から他方の短側面側まで連続して当該長側面を切削した。長側面の雌実部の溝部底面からの高さは、4mmであり、長側面の雌実部の溝部底面の幅は、1.5mmであった。
続いて、板材前駆体を短側面側から見た場合に凸形状となった雄実部が、板材前駆体の他方の長側面に形成されるように、一方の短側面側から他方の短側面側まで連続して当該長側面を切削した。長側面の雄実部の突出長は、4mmであり、長側面の雄実部の幅は、1.5mmであった。
同様に、板材前駆体の一方の短側面に雄実部が形成され、他方の短側面に雌実部が形成されるように、短側面についても切削した。短側面の雌実部の溝部底面からの高さは、4mmであり、短側面の雌実部の溝部底面の幅は、1.5mmであった。また、短側面の雄実部の突出長は、4mmであり、短側面の雄実部の幅は、1.5mmであった。
以上の工程を経て板材を作製した。作製した板材の厚さは、5.0mmであった。
作製した板材の特性について、下記の要領で評価した。
【0090】
(割れ試験)
割れ試験は、JAS寒熱繰り返しB試験に準じて、以下の手順で行った。
実施例1で作製した板材を、80℃に保った恒温室に入れて2時間放置した。
その後、恒温室から取り出した板材をすぐに−20℃の冷蔵室に入れて2時間放置した。
この操作を1サイクルとして、連続して5サイクルの操作を行い、5サイクルの操作が終了した後に、化粧板に割れが発生していないか目視で確認した。
その結果、実施例1で作製した板材では、化粧板の割れが発生していなかった。
【0091】
(耐衝撃性試験)
耐衝撃性試験は、JIS A 1408(2001)に準じて、以下の手順で行った。
実施例1で作製した板材を安定した測定台の上に設置した。
このとき、板材の第一の主面を下(測定台側)にし、板材の第二の主面を上にして板材を設置した。
この状態で、第二の主面に向けて所定の高さから鋼球を自然落下させた。鋼球の重量は500gとし、第二の主面と鋼球との距離は75mmとした。
鋼球落下後、第二の主面の鋼球落下地点に形成された陥没深さ(mm)を測定した。
この測定を三回行って各測定値の平均値を求め、これを平均陥没深さ(mm)とした。
なお、平均陥没深さが0.20mm以下であれば、一般的に充分な強度を有する板材であると評価できるため、平均陥没深さが0.20mm以下であることを合格基準とした。
その結果、実施例1で作製した板材では、平均陥没深さが、0.19mmであり、合格基準を満たした。
【0092】
下記要領にて、実施例2〜7、及び、比較例1〜3の板材を作製した。
【0093】
(実施例2、3)
下記する表1に示すように、単位面積当たりの重さが異なる和紙を使用したこと以外は、実施例1と同様にして板材を作製した。
【0094】
(実施例4、5)
厚さの異なる基材を使用することにより、下記する表1に示すように板材の厚さを変更したこと以外は、実施例1と同様にして板材を作製した。
【0095】
(実施例6、7)
下記する表1に示すように、塗膜の厚さを変更したこと以外は、実施例1と同様にして板材を作製した。
【0096】
(比較例1)
実施例1の積層工程(1−1)で、和紙の代わりに、繊維が特定の方向に配向していない紙を用いたこと以外は、実施例1と同様にして板材を作製した。
【0097】
(比較例2)
実施例1の積層工程(1−1)で、短手方向に沿ってより多くの繊維が配向した和紙の代わりに、長手方向に沿ってより多くの繊維が配向した和紙を使用し、ラワン合板の一方の主面に和紙を貼り付ける際、基材の長手方向と紙の長手方向(紙目方向)とが揃うようにして基材上に紙を配設したこと以外は、実施例1と同様にして板材を作製した。
【0098】
(比較例3)
実施例1の積層工程(1−1)で、和紙を使用せずに、ラワン合板上に化粧板ユニットを直接貼り付けたこと以外は、実施例1と同様にして板材を作製した。
【0099】
実施例1〜7、及び、比較例1〜3で作製した板材に関し、基材の長手方向と紙の紙目方向との関係、板材の厚さ、紙の単位面積当たりの重さ及び塗膜の厚さについて、表1にまとめて示す。
【0100】
【表1】

【0101】
実施例2〜7、及び、比較例1〜3で作製した板材について、実施例1と同様にして割れ試験を行った。結果を表2に示す。
【0102】
【表2】

【0103】
表2に示したように、実施例1〜7で作製した板材は、いずれも化粧板に割れが発生しておらず、比較例1〜3で作製した板材に比べて、優れた変形防止効果を有していることが分かる。
【0104】
また、実施例1〜3、6、7、及び、比較例3で作製した板材について、実施例1と同様にして耐衝撃性試験を行った。結果を表3に示す。
【0105】
【表3】

【0106】
表3に示したように、実施例1〜3、6及び7で作製した板材は、比較例3で作製した板材と比べて優れた耐衝撃性を有していることが分かる。
特に、実施例1〜3の試験結果によると、単位面積当たりの重さが25g/m以上の紙を使用することが好ましいことが分かる。特に、単位面積当たりの重さが30g/m以上の紙を使用することが極めて好ましいことが分かる。また、実施例1、6及び7の試験結果より、塗膜の厚さを、0.05〜0.3mmにすることが好ましいことが分かる。
【0107】
(第二実施形態)
以下、本発明の一実施形態である第二実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0108】
はじめに、本実施形態の板材について説明するが、本実施形態の板材は、雄実部及び雌実部の構成が第一実施形態の板材に係る雄実部及び雌実部の構成と異なること以外は、第一実施形態の板材と同様の構成を有している。そのため、第一実施形態の板材と重複する事項については、説明を省略する。
【0109】
図5(a)は、本発明の板材のさらに別の一例を模式的に示す斜視図であり、図5(b)は、図5(a)に示した本発明の板材のD−D線断面図である。
図6は、図5(a)に示した本発明の板材のE−E線断面図である。
なお、図5(a)では、下記する基材の長手方向210L、紙の紙目横断方向220L及び化粧板の長手方向230Lは、ともに同じ方向を示しているので、これらの方向を一の両矢印L’’で表しており、下記する基材の短手方向210W、紙の紙目方向220W及び化粧板の短手方向230Wは、ともに同じ方向を示しているので、これらの方向を一の両矢印W’’で表している。
【0110】
図5(a)、(b)及び図6に示す本実施形態の板材3は、平板状の基材210と、基材210上に設けられた紙220と、紙220上に設けられた化粧板230と、化粧板230上に設けられた塗膜240とからなり、平面視略矩形状を有している。
また、基材210の長手方向210Lと、紙220の紙目方向220Wとが交差している。
【0111】
板材3の一方の長側面3Aには、板材3を短側面3B、3B’側から見た場合に凸形状となる雄実部3aが形成されている。また、板材3の他方の長側面3A’には、短側面3B、3B’側から見た場合に凹形状となるように、溝部3cを挟んだ上下に上顎部3d及び下顎部3eが形成された雌実部3bが形成されている。一の板材の雄実部と他の板材の雌実部とは、互いに嵌合可能である。
図5(b)に示す雄実部3aの幅3awは、1〜3mmであり、化粧板230側の突出長3alは、1〜4mmであり、基材210側の突出長3al’は、化粧板230側の突出長3alよりも長く、5〜8mmである。
【0112】
また、雌実部3bの溝部底面の幅3bwは、1〜3mmである。
そして、上顎部3dは、板材3の化粧板230が設けられた側に形成されており、下顎部3eは、板材3の基材210が設けられた側に形成されている。
下顎部3eの溝部底面からの高さ3elは、5〜8mmである。上顎部3dの溝部底面からの高さ3dlは、1〜4mmであり、下顎部3eの溝部底面からの高さ3elに比べて短い。
【0113】
板材3の一方の短側面3Bには、板材3を長側面3A、3A’側から見た場合に凸形状となる雄実部4aが形成されている。また、板材3の他方の短側面3B’には、長側面3A、3A’側から見た場合に凹形状となるように、溝部4cを挟んだ上下に上顎部4d及び下顎部4eが形成された雌実部4bが形成されている。一の板材の雄実部と他の板材の雌実部とは、互いに嵌合可能である。
図6に示す雄実部4aの幅4awは、1〜3mmであり、化粧板230側の突出長4alは、1〜4mmであり、基材210側の突出長4al’は、化粧板230側の突出長4alよりも長く、5〜8mmである。
【0114】
また、雌実部4bの溝部底面の幅4bwは、1〜3mmである。
そして、上顎部4dは、板材3の化粧板230が設けられた側に形成されており、下顎部4eは、板材3の基材210が設けられた側に形成されている。
下顎部4eの溝部底面からの高さ4elは、5〜8mmである。上顎部4dの溝部底面からの高さ4dlは、1〜4mmであり、下顎部4eの溝部底面からの高さ4elに比べて短い。
【0115】
下顎部3eには、板材3を敷設面に固定するための固定部材Xを取り付ける固定部250が略等間隔で4つ設けられている。また、下顎部4eには、上記固定部250と同様の構成を有する固定部(図示せず)が略等間隔で2つ設けられている。
なお、固定部材Xとしては、板材と敷設面とを固定することができるのであれば、特に限定されず、例えば、ネジ、釘、ステープル等であってもよい。図5(b)及び図6に示した例では、固定部材Xとして、釘を使用している。
また、固定部250の数については、特に限定されないが、2〜6個であることが好ましい。板材と敷設面とをより強固に固定することができるからである。
【0116】
また、本実施形態における化粧板230は、4枚の化粧板ユニット231、232、233及び234に分割されている。各々の化粧板ユニット231、232、233及び24は、プリントシートからなる。
プリントシートとしては、例えば、木目プリントシート(木目プリント化粧板)や、強化プリントシート等を使用してもよい。
なお、化粧板ユニットは、なら材単板、かば単板等の単板から構成されていてもよい。
【0117】
本実施形態の板材の作製方法については、板材前駆体の長側面及び短側面を切削する形状が異なること以外は、第一実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0118】
本実施形態の床材、天井材及び壁材は、本実施形態の板材を使用したこと以外は、第一実施形態の床材、天井材及び壁材と同様の構成を有しているので説明を省略するが、固定部材を使用して床材等を作製する方法について、以下に説明しておく。
【0119】
第一の主面を下にし、第二の主面を上にして、既存の床板等の上に第一の板材を敷設する。その後、第一の板材の長側面及び短側面の下顎部に設けられた固定部に固定部材を設置することにより、第一の板材と床板等とを固定する。
次に、第二の板材を準備し、第二の板材の長側面の雄実部を第一の板材の長側面の雌実部に嵌合させる。同様にして、短側面についても雄実部と雌実部とを嵌合させる。
その後、第二の板材の長側面及び短側面の下顎部に設けられた固定部に固定部材を設置することにより、第二の板材と床板等とを固定する。
上記手順を繰り返すことにより、複数枚の板材を既存の床板等の上に固定部材を用いて敷設する。
【0120】
本実施形態の板材、床材、天井材及び壁材においても、第一実施形態で説明した効果(1)〜(6)、(8)〜(10)を発揮することができる。
また、以下の効果を発揮することができる。
【0121】
(11)本実施形態の板材は、板材を敷設面に固定するための固定部材を取り付ける固定部が、下顎部に設けられている。
従って、下顎部の固定部に固定部材を設置することにより、板材を敷設面に強固に固定することができる。
【0122】
(12)床材等としての使用時に利用者の目につく、おもて面となる化粧板が、プリントシートから構成されている。
従って、種々の模様が付されたプリントシートを選択することにより、需要に応じて板材の意匠性を高め、商品価値の高い板材とすることができる。
【0123】
(その他の実施形態)
本発明の板材(基材)の形状は、上述した平面視略矩形状に限られず、平面視略正方形状、平面視略平行四辺形状、平面視略六角形状等の平面視多角形状であってもよい。
その場合、基材の長手方向とは、平板状の基材を平面視することにより得られる多角形において、その多角形の重心を通り、かつ、長辺方向に沿った方向のことをいう。
例えば、板材の形状が平面視略正方形状である場合における基材の長手方向とは、当該正方形のいずれかの辺に沿った方向のことをいう。
【0124】
本発明の板材の厚さについては、上述したように、6mm以下であることが好ましいが、板材の用途等によっては、6mmを超えていてもよい。
【0125】
本発明の板材を構成する基材は、上述したようにラワン合板又は中密度繊維板から構成されていることが好ましいが、その他にも、例えば、配向性ストランドボード、パーティクルボード等から構成されていてもよい。
【0126】
本発明の板材を構成する紙については、繊維が特定方向に配向している紙であればよく、上述した和紙の他に、例えば、洋紙、メラミン等の合成樹脂を含浸させた紙等であってもよい。
【0127】
本発明の板材を構成する化粧板は、複数枚の化粧板ユニットに分割されていることが好ましいが、化粧板ユニットの枚数については、上述したように4枚に限定されず、例えば、化粧板が1〜8枚の化粧板ユニットに分割されていてもよい。
【0128】
また、上記化粧板は、上述したなら材単板、かば桜材単板及びプリントシートに限られず、天然木の単板であれば、同様に使用することができる。
【0129】
本発明の板材において、上述したように、雄実部及び雌実部は、長側面及び短側面に設けられていてもよいが、雄実部及び雌実部が長側面のみに形成されていてもよいし、雄実部及び雌実部が短側面のみに設けられていてもよい。これらの実施形態をとった場合であっても、複数枚の板材を敷設する際には、一の板材を敷設し、この板材の雄実部(又は雌実部)と他の板材の雌実部(又は雄実部)を嵌合させる手順を繰り返すことにより、複数の板材を容易に敷設することができる。また、実構造が形成されていない場合と比べて、板材が互いに外れにくい。
なお、雄実部及び雌実部が短側面のみに設けられている場合とは、板材の一方の短側面に、板材を長側面側から見た場合に凸形状となる雄実部が形成されており、板材の他方の短側面に、上記長側面側から見た場合に凹形状となるように、溝部を挟んだ上下に上顎部及び下顎部が形成された雌実部が形成されており、一の板材の雄実部と他の板材の雌実部とが互いに嵌合するように構成されていることをいう。
また、雄実部及び雌実部が長側面のみに設けられている場合とは、板材の一方の長側面に、板材を短側面側から見た場合に凸形状となる雄実部が形成されており、板材の他方の長側面に、上記短側面側から見た場合に凹形状となるように、溝部を挟んだ上下に上顎部及び下顎部が形成された雌実部が形成されており、一の板材の雄実部と他の板材の雌実部とが互いに嵌合するように構成されていることをいう。
【0130】
また、雄実部及び雌実部が短側面のみに設けられている実施形態、並びに、雄実部及び雌実部が長側面のみに設けられている実施形態においても、上顎部が板材の化粧板が設けられた側に形成されており、下顎部の溝部底面からの高さが上顎部の溝部底面からの高さに比べて長くなっており、下顎部には、板材を敷設面に固定するための固定部材を取り付ける固定部が設けられていてもよい。
このような実施形態では、下顎部の固定部に固定部材を設置することにより、板材を敷設面に強固に固定することができる。
【符号の説明】
【0131】
1、2、3 板材
10、110、210 基材
20、120、220 紙
10L、110L、210L 基材の長手方向
20W、120W、220W 紙の紙目方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の基材と、
前記基材上に設けられた紙と、
さらに前記紙上に設けられた化粧板とからなる板材であって、
前記基材の長手方向と、前記紙の紙目方向とが交差していることを特徴とする板材。
【請求項2】
平面視略矩形状である請求項1に記載の板材。
【請求項3】
前記紙は、和紙である請求項1又は2に記載の板材。
【請求項4】
前記化粧板は、単板からなり、
前記紙の紙目方向と、前記単板の木目方向とが交差している請求項1〜3のいずれかに記載の板材。
【請求項5】
前記単板は、なら材単板又はかば桜材単板である請求項4に記載の板材。
【請求項6】
前記化粧板は、プリントシートである請求項1〜3のいずれかに記載の板材。
【請求項7】
前記紙の単位面積当たりの重さが、25g/m以上である請求項1〜6のいずれかに記載の板材。
【請求項8】
前記基材は、ラワン合板又は中密度繊維板である請求項1〜7のいずれかに記載の板材。
【請求項9】
厚さが、6mm以下である請求項1〜8のいずれかに記載の板材。
【請求項10】
厚さが、3〜5mmである請求項9に記載の板材。
【請求項11】
前記板材の一方の長側面には、前記板材を短側面側から見た場合に凸形状となる雄実部が形成されており、
前記板材の他方の長側面には、前記短側面側から見た場合に凹形状となるように、溝部を挟んだ上下に上顎部及び下顎部が形成された雌実部が形成されており、
一の板材の雄実部と他の板材の雌実部とが互いに嵌合するように構成されている請求項1〜10のいずれかに記載の板材。
【請求項12】
前記上顎部は、前記板材の化粧板が設けられた側に形成されており、
前記下顎部の前記溝部底面からの高さは、前記上顎部の前記溝部底面からの高さに比べて長くなっており、
前記下顎部には、前記板材を敷設面に固定するための固定部材を取り付ける固定部が設けられている請求項11に記載の板材。
【請求項13】
前記化粧板上にはさらに塗膜が形成されており、前記塗膜の厚さが、0.05〜0.3mmである請求項1〜12のいずれかに記載の板材。
【請求項14】
前記塗膜は、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂及び漆のうちの少なくとも一種からなる請求項13に記載の板材。
【請求項15】
前記化粧板は、複数枚の化粧板ユニットに分割されている請求項1〜14のいずれかに記載の板材。
【請求項16】
既存の床板を覆うように、請求項1〜15のいずれかに記載の板材が複数枚敷設されてなることを特徴とする床材。
【請求項17】
既存の天井板を覆うように、請求項1〜15のいずれかに記載の板材が複数枚敷設されてなることを特徴とする天井材。
【請求項18】
既存の壁板を覆うように、請求項1〜15のいずれかに記載の板材が複数枚敷設されてなることを特徴とする壁材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−80262(P2011−80262A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233642(P2009−233642)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(391034488)イビケン株式会社 (29)
【Fターム(参考)】