板状体の搬送容器
【課題】容器本体の側壁の撓み変形や歪みを抑制でき、ガラス基板等の板状体の撓みを防ぎ、溝外れ及び干渉による破損を防止でき、板状体の薄肉化にも対応できる、板状体の搬送容器を提供する。
【解決手段】相対向する側壁12bの内面に板状体の側端部を支持する支持用溝13を設けた容器本体1と、蓋体3と、中蓋5とを備え、中蓋5を、四周各辺部51a,51bを側壁上端部の内側に嵌合することにより容器本体1の側壁12a,12bの変形を抑制できる板体よりなるものとし、少なくとも一方の相対向辺部51bの側端面に突設した突縁5a,52bを、容器本体1の側壁上端部の内側に形成された切欠段部22a、22bに嵌合して所定位置に位置決めするように設ける。
【解決手段】相対向する側壁12bの内面に板状体の側端部を支持する支持用溝13を設けた容器本体1と、蓋体3と、中蓋5とを備え、中蓋5を、四周各辺部51a,51bを側壁上端部の内側に嵌合することにより容器本体1の側壁12a,12bの変形を抑制できる板体よりなるものとし、少なくとも一方の相対向辺部51bの側端面に突設した突縁5a,52bを、容器本体1の側壁上端部の内側に形成された切欠段部22a、22bに嵌合して所定位置に位置決めするように設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素板ガラスのほか、液晶表示用やプラズマ表示用のガラス基板、タッチパネル用のガラス基板その他の主として薄肉の板状体の搬送、保管に使用する搬送容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶表示用やプラズマ表示用の比較的大形のガラス基板を複数枚並列して収容して搬送するための搬送容器として、緩衝性を有する合成樹脂発泡体製の容器本体と蓋体とよりなる容器で、容器本体の一方の相対向する側壁内面に等間隔に縦溝からなる支持用溝を形成しておき、該支持用溝にガラス基板の側端部を挿入して相互に接触させないように支持して収納するようにしたものが知られている。
【0003】
さらに、前記容器本体内の底板上にガラス基板の下端部を保護する横溝からなる支持用溝を有する底パッドを設けることに加えて、容器本体の上方に突出するガラス基板の上端部を保護する横溝からなる支持用溝を有する天パッドを設けることも提案されている(例えば、特許文献1、2)。前記天パッドは、被着操作の際にガラス基板の上端部を支持用溝に嵌め合わせる必要があることから、蓋体とは別にガラス基板の上端部に被せ、その後に蓋体を被着するようにしている。
【0004】
ところで、近年、ガラス基板の薄肉化が進み、例えば、液晶表示用パネルには、0.7mm前後のガラス基板が使用され、またタッチパネル用には、0.3mm前後のごく薄肉のガラス基板が使用されている。かかるガラス基板を搬送する際の保護のために、緩衝性のある溝付きの底パッドや天パッド等を設けた搬送容器を使用する場合においても、ガラス基板が薄肉であるものほど撓み変形し易いこともあって、ガラス基板の破損が増加している。
【0005】
この問題は、ガラス基板の薄板化のために輸送時の振動による撓みが大きくなることに加え、輸送中の振動や他物との接触による衝撃等の外的要因による容器自体の変形により、収納された内部のガラス基板が大きく撓んだり、ガタついたりして、ガラス基板を保持する左右側壁の支持用溝あるいは底パッドや天パッドの支持用溝からの溝外れが発生し、その結果、ガラス基板同士が干渉し当接することが大きな原因であると考えられる。
【0006】
この点について説明する。図14及び図15に示すように、底パッド106と天パッド104を備える前記の搬送容器において、蓋体103は容器本体101の各側壁112(112a,112b)の上端部に外嵌合して被着される形態をなすものが一般的であるが、この嵌合部の遊び等のために、輸送中の振動や他物との接触による衝撃等の影響を受け易く、容器本体101の側壁、特には収納されたガラス基板等の板状体Bの板面と対向する側壁112aが蓋体102に対して内方へ変位する撓み変形が生じ易いものである。
【0007】
すなわち、容器本体101の各側壁112の蓋体103に対する外方向の撓み変形が蓋体103により規制され、また、支持用溝113を有する左右側壁112bの内方への撓み変形が板状体B自体により規制されるが、前記板状体Bの板面と対向する側壁112aは、内方へ変形するのを規制する部分がなく、そのため振動や外的衝撃等のために内方へ撓み変形するおそれがある。
【0008】
仮に、前記側壁112aが蓋体103に対し内方へ、あるいは蓋体103が前記側壁112aに対し外方へ相対的に変位するような変形が生じると、図16のように、蓋体103の天板の下面に装着された天パッド104の支持用溝155の位置と、容器本体101の側壁内面の支持用溝113の位置とにずれが生じ、その結果、支持用溝113及び155に嵌め込まれて一定間隔に並列して保持されている板状体Bに大きな撓みが発生し、板状体Bの溝外れや干渉による損傷が生じ易くなるものである。
【0009】
したがって、この種の搬送容器としては、前記のようにガラス基板等の板状体の両側端部及び上下端部を支持用溝に挿入して一定間隔に並列して支持する場合においては、溝外れを容易に発生させないようにすること、そのために容器本体の側壁上端部の撓み変形を抑制できることが望まれる。
【0010】
このような板状体の搬送容器の問題を解決するために、支持用溝を有する側壁に対応する両辺で側方に開口し、他方の相対向する両辺に側壁上端部に内嵌合する端部壁を有する中蓋を使用し、支持用溝を有する天パッドを両端部壁間に装設した中蓋を容器本体に対し嵌合被着することで、容器本体の側壁上端部の撓み変形を規制することが提案されている(特許文献3)。
【0011】
前記提案の場合、前記中蓋は両辺の端部壁が嵌合する側壁上端部の内方への撓み変形を規制するものであり、支持用溝を有する容器本体の側壁上端部も含めた全体的な撓み変形抑制については充分に満足できないものである。
【0012】
また、前記のように天パッドを装設した中蓋を蓋体の内側に保持することになるため、蓋体が深くなり嵩高になるばかりか、収納された板状体の上端を前記中蓋に保持された天板パッドにより保護することから、収納された板状体の上端が容器本体よりも高く上方に突出した状態になり、そのため蓋体及び中蓋を取り外したときには、板状体の上端部が突出状態で露出し他物が接触し易くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2004−51131号公報
【特許文献2】特開2006−199351号公報
【特許文献3】特開2010−215262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記の問題を解消するためになしたものであり、中蓋を利用して容器本体の四方の各側壁の撓み変形や歪みを抑制でき、側壁の変形に伴うガラス基板等の板状体の撓みを防ぎ、溝外れおよび板状体同士の干渉による破損を防止でき、板状体の薄肉化にも対応できる、板状体の搬送容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決する本発明は、板状体を収容して搬送するための合成樹脂発泡体製の平面矩形の容器であって、上面が開口し、かつ、一方の相対向する側壁内面に板状体の側端部を支持する複数の支持用溝が設けられてなる容器本体と、前記容器本体の側壁上端部に嵌合する被着自在な蓋体と、該蓋体の内側で板状体の上端部を保持する中蓋とを備えてなる板状体の搬送容器において、前記中蓋は、四周各辺部が側壁上端部の内側に嵌合することにより容器本体の各側壁の変形を抑制できる平板状の板体よりなることを特徴とする。
【0016】
上記の搬送容器によれば、容器本体の相対向側壁に有する支持用溝にガラス基板等の板状体の両側端を挿入して一定間隔で並列状態に保持し、その上に中蓋を側壁上端部の内側に四周各辺部で嵌合して板状体の上端部を覆うようにする。この際、前記中蓋は平板状の板体よりなるものであるため中蓋の嵌合操作が容易であるばかりか、該中蓋の四周各辺部が容器本体の四方の各側壁上端部の内側に嵌合することになるため、四方の側壁上端部の内方への撓み変形を中蓋によって阻止でき、容器本体が平行四辺形になるような変形も抑制できる。そのため、輸送、運搬時の取扱いにおいて、収納された板状体の撓み変形や溝外れを防止できる。しかも、前記中蓋は容器本体の側壁上端部の内側に嵌合されるため、容器本体内に収納される板状体の上端部が容器本体より上方に突出することにはならず、蓋体及び中蓋を取り外した際に、板状体の上端部が露出した状態になることがない。
【0017】
前記の板状体の搬送容器において、前記中蓋の少なくとも一方の相対向辺部の側端面に外方に突出する突縁が設けられ、該突縁が容器本体の側壁上端部の内側に形成された切欠段部に嵌合することにより所定位置に位置決めされて支持されるものが好ましい。これにより、中蓋を前後左右の動きを規制した状態で容器本体に嵌合して一定の位置に保持でき、中蓋の下面に支持用溝が形成されている場合には、該支持用溝を容器本体の側壁に有する支持用溝と容易に位置合わせできることになる。
【0018】
前記の板状体の搬送容器において、前記中蓋の下面に、板状体の上端部を保護する天パッドが装着されてなるものとすることができる。この場合、板状体の上端部が天パッドに当接することで保護される。
【0019】
また、前記中蓋の下面には、前記支持用溝を有する側壁と対応する相対向両辺部に沿って、それぞれ前記側壁上端部に嵌合した状態において前記側壁内面の支持用溝と同列に並列する複数の支持用溝を有する凸状部が設けられ、該凸状部間の凹部に前記天パッドが装着されてなるものとすることができる。これにより、板状体の上端部を前記支持用溝に挿入して安定性よく支持でき、板状体の上端部での撓み変形を抑制できる。特に、前記支持用溝による保持の効果は、天パッドに形成された溝による場合よりも大きくなる。
【0020】
前記の板状体の搬送容器において、前記中蓋の下面には、前記相対向辺部の前記凸状部間の個所に、前記凸状部の支持用溝と同列に並列する複数の支持用溝を有する凸状部が設けられ、各凸状部間の凹部に分割形成された天パッドが装着されてなるものとすることができる。この場合、板状体の上端部の中央部も中間にある凸状部の支持用溝によって支持されることになり、薄肉の板状体の撓み変形の抑制効果を高めることができる。
【0021】
前記の板状体の搬送容器において、前記中蓋は、前記支持用溝を有する側壁と対向する方向で複数の中蓋部材に分割され、分割された各中蓋部材の天板下面には、支持用溝を有する側壁と平行な両辺端部に前記支持用溝を有する凸状部が設けられるとともに、両凸状部間の凹部に複数に分割形成された天パッドが装着されてなるものとすることができる。この場合も、支持用溝に挿入した板状体の上端部を安定性よく支持できる。
【0022】
前記の板状体の搬送容器において、前記中蓋の少なくとも一方の相対向辺部の側端面における突縁が、前記凸状部より上面側の側端面に形成されているものとするのが望ましい。これにより、前記凸状部に形成された支持用溝に嵌り込んで支持される板状体の上端部を避けて嵌合できる。
【0023】
前記の板状体の搬送容器において、前記天パッドは、その下面が前記凸状部の突出高さより低く、かつ支持用溝の溝底位置より下方位置にあるフラットな板状をなしているものとすることができる。これにより、中蓋の凸状部に形成された支持用溝に嵌り込んでいる板状体の上端を溝底に当接させないように弾力的に押さえて、安定性よく支持することができる。
【0024】
前記の板状体の搬送容器において、中蓋の下面には、前記凸状部と直交する方向の他方の相対向辺部に沿って前記凸状部と同高さの凸部が設けられ、該凸部と凸条部が枠状に連続して形成されてなるものとすることができる。これにより、中蓋自体の保形強度や寸法安定性が増し、容器本体の側壁の撓み変形防止の効果が高くなる。
【0025】
前記の板状体の搬送容器において、前記中蓋の一方の相対向辺部の中央部に取手部用の切欠が設けられてなるものとすることができる。これにより、容器本体の側壁上端部の内側に嵌合する中蓋の脱着操作を容易に行うことができる。
【0026】
前記の板状体の搬送容器において、前記蓋体は、容器本体の側壁上端部に対し外嵌合するように設けられ、前記中蓋は前記蓋体の嵌合位置下端より上で側壁上端部の内側に嵌合するように設けられてなるものとすることができる。この場合、容器本体の四方の側壁上端部の外方への変形は蓋体により、また内方への変形は中蓋により、それぞれ規制できることで、全体的な保形性を高めることができる。
【0027】
前記の板状体の搬送容器において、前記蓋体は、容器本体の側壁上端部に対し内嵌合するように設けられ、前記中蓋は前記蓋体の嵌合位置の下で前記側壁上端部の内側に嵌合するように設けられてなるものとすることもできる。
【発明の効果】
【0028】
上記したように本発明の板状体の搬送容器によれば、板状体の上端部を保持する中蓋を板状の板体よりなるものとして、該中蓋の四周各辺部を側壁上端部の内側に嵌合する構成としたことにより、容器本体の四方の各側壁の撓み変形や歪み、例えば容器本体が平行四辺形になるような変形も抑制できる。そのため、輸送、運搬時の取扱いにおいて、側壁の変形に伴うガラス基板等の板状体の撓みを防ぎ、溝外れ及び板状体同士の干渉による破損を防止できる。しかも、平板状の中蓋であるため、容器本体内に収納される板状体の上端部が容器本体より上方に突出した状態にはならず、蓋体及び中蓋を取り外した際にも他物が接触の虞が殆どないものとなる。
【0029】
特に、板状体の上端部を支持する支持用溝を、天パッドではなく、中蓋に形成した場合には、板状体の保持の効果が大きくなる上、精度を出し易いこともあって、容器本体の支持用溝と中蓋の支持用溝の位置を合わせ易く、容器本体の側壁内面の支持用溝に対してずれを生じさせないようにして、板状体の上端部を安定性よく保持できることになる。そのため、振動や外的衝撃等に起因する板状体の大きな撓みや溝外れおよび干渉による破損を防止でき、ひいては、ガラス基板等の板状体の薄板化に対応でき、輸送中の保護を良好になし得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の板状体の搬送容器の1実施例の容器本体と、蓋体と、中蓋を分離して示す略示斜視図である。
【図2】同上の搬送容器の容器本体の平面図である。
【図3】図2のC1−C1線における容器本体と蓋体と天パッドと中蓋を分離した断面図である。
【図4】同上の中蓋と天パッドの組合わせ前(a)と組合わせ後(b)の下面側からの斜視図である。
【図5】板状体を収納し蓋体を被着した状態の蓋体と中蓋の半部を切除して示す平面図である。
【図6】同上の半部縦断側面図である。
【図7】同上の一部の拡大断面図である。
【図8】同上の他の実施例を示す中蓋と天パッドの組合わせ前(a)と組合わせ後(b)の下面補からの斜視図である。
【図9】同上のさらに他の実施例を示す中蓋と天パッドの組合わせ前(a)と組合わせ後(b)の下面側からの斜視図である。
【図10】本発明の他の実施例を示す容器本体と蓋体と天パッドを保持する中蓋を分離した状態の略示斜視図である。
【図11】同上の蓋体と中蓋の半部を切除して示す平面図である。
【図12】同上の半部縦断正面図である。
【図13】同上の半部縦断側面図である。
【図14】従来の包装容器の分離した斜視図である。
【図15】同上の包装状態の半部縦断側面図である。
【図16】同上の蓋体と容器本体の側壁上端部と変位が生じた場合の一部の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0032】
図1〜図7の第1の実施例において、この実施例の搬送容器Aは、緩衝効果のある合成樹脂発泡体製の平面矩形すなわち平面長方形や正方形の容器であって、上面が開口する容器本体1と、該容器本体1の開口部を形成する側壁上端部に被着される蓋体3と、該蓋体3とは別に、該蓋体3の内側で収納対象のガラス基板等の板状体Bの上端部を覆い保持する中蓋5とを備えている。図の場合、前記中蓋5は、その下面に板状体Bの上端部を保護する天パッド4を備えている。また、前記容器本体1の底部11の上面には、収納される板状体Bの下端部を保護する底パッド6を備えている。
【0033】
前記容器本体1は、適度に剛性があり保形性のある合成樹脂発泡体により一体に成形されてなり、底部11より立ち上がった四方の各側壁つまり前後及び左右の各側壁12a及び12bのうち、一方の相対向する側壁、例えば図の例のように、短辺側の左右の側壁12bの内面に、収納対象のガラス基板等の板状体Bの左右側端部を挿入し支持するための縦溝からなる支持用溝、すなわち縦方向(上下方向)の支持用溝13が等間隔に複数並設されている。前記支持用溝13を有する側壁12bは、側壁上端部を除いて肉厚を増大させて上端が段部14をなすように形成され、その内面側に前記支持用溝13が形成されて前記段部14で上方に開口している。
【0034】
図示する実施例の場合、図2及び図3に示すように、前記底部11の上面には、前記縦方向の支持用溝13を有する両側壁12bに沿う側の両端部に凸状段部15が設けられ、該凸状段部15において前記支持用溝13の下端部が内方に向かって連続した溝をなすように形成されており、板状体Bの下端部を支持用溝13から連続して支持するようになっている。この段状凸部15の部分の溝深さは底面が底部11の上面と同一面をなす深さになっているが、後述する内方の凸状部の支持用溝と同深さであってもよい。
【0035】
前記底部11の上面には、前記両端部の凸状段部15より内方に前記両側壁12bの対向方向に所要の間隔をおいて、前記凸状段部15と同高さの凸状部16が1もしくは複数の凹部17を画するように設けられ、各凸状部16には、それぞれ前記支持用溝13と同列に並列する複数の支持用溝18が形成されている。そして、前記凸状部16により画された1もしくは複数の凹部17に底パッド6が装着されている。図の場合は、複数のパッド片61として分割形成された板状の底パッド6が嵌合され装着されている。
【0036】
前記底パッド6としての各パッド片61は、容器本体1に比して柔軟な弾力性のある合成樹脂発泡体等よりなり、前記凹部17に装着した状態において、パッド片61の上面が前記凸状部16の支持用溝18の溝深さの範囲内で溝底からやや上方位置、好ましく前記溝底から溝深さの1/3〜1/5程度の高さ位置にあるように設定された所定の厚みを有するフラットな板状をなしており、これにより、支持用溝18に嵌り込んで支持された板状体Bの下端部を弾力的に受支できるようになっている。通常、板状体Bの下端と凹部17の底面、すなわち底部11の上面との間に、5mm以上のクリアランスを保持するように設定される。
【0037】
前記底パッド6の装着手段としては、前記各パッド片61を前記凹部17に単に嵌合して保持するだけでもよいが、各パッド片61の外周面と前記凹部17の周側面とに、互いに嵌合し係合する凹凸形状による係合手段を設けておくことできる(図示省略)。また接着手段を利用して固設しておくこともできる。
【0038】
前記凸状段部15に近接する端部位置の凸状部16については、図のように若干の間隔を存して形成するほか、凸状段部15と一体に形成しておくこともできる。すなわち、前記凸状段部15を底パッド6としての各パッド片61を保持する凸状部16を兼ねて形成しておくことができる。
【0039】
前記のように形成しておくことで、縦方向の支持用溝13に挿入されて落とし込まれるガラス基板等の板状体Bの下端コーナー部が、該支持用溝13の下端部において底部11の上面内方に向かって延びる横方向の溝部分がガイドとなって、板状体Bの下端部が撓み規制され、内方の支持用溝、例えば各凸状部16に有する支持用溝18に対しても、ずれや外れなく確実に嵌り込むことになる。そのため、板状体Bがかなり薄肉のものであっても、その収納操作を容易に行うことができる。
【0040】
なお、前記底部11の上面において板状体Bの下端部を支持する支持用溝を、従来同様に底パッド6の各パッド片61に形成しておくことも可能であるが(図示せず)、この場合、前記凸状部16の高さを低くし、底パッド6の厚みを大きくして、前記凸状部16より上方に突出したパッド片61の肉厚上部に支持用溝を形成するものとする。実施上は、図のように、底部11と一体の凸状部16に支持用溝18を設けておくのが、側壁内面の支持用溝13に対し誤差やずれを殆ど生じさせずに成形でき、また成形後の収縮の影響も受けず、特に好ましい。
【0041】
前記のように底パッド6に支持用溝を形成した場合も、前記凸状段部15における支持用溝13の下端部の溝部分により、薄板状の板状体Bの下端部の撓みをある程度規制しながら、該下端部の中央部を前記支持用溝に対して嵌め込み支持させることができ、収納操作が容易に行われる。
【0042】
前記蓋体3は、前記容器本体1と同様の合成樹脂発泡体により成形され、天板31の周縁部下面に、前記容器本体1の開口部を形成する側壁上端部すなわち各側壁12a,12bの上端部に外嵌合するように下方に突出する前後左右の嵌合壁32a,32bを有し、容器本体1に対し被着自在に形成されている。
【0043】
図の場合、前記容器本体1に対する蓋体3の嵌合構造として、前記容器本体1の側壁上端部、すなわち四方の側壁12a,12bの上端部には、外側を切欠して内側に嵌合用の突縁19が形成され、前記蓋体3の周縁部の嵌合壁32a,32bが前記突縁19の外側の切欠部21に嵌合するように形成されている。図中の1a及び3aはバンド掛け用の凹部を示す。
【0044】
前記中蓋5は、前記蓋体3と同様に合成樹脂発泡体により成形された平板状の板体よりなり、該板体の四周各辺部51a,51bが、前記容器本体1の四方の各側壁12a,12bの上端部の内側に嵌合することで、収容された板状体Bの上端部に対し該上端部を保持するように被着可能であり、またこれにより容器本体1の各側壁12a,12bの変形、特に内方への撓み変形を抑制できるようになっている。
【0045】
前記中蓋5の容器本体1に対する嵌合構造として、前記中蓋5の少なくとも一方の相対向辺部の側端面、特に好ましくは図のように四周各辺部51a,51bの側端面に、外方に突出する位置決め用の突縁52a,52bが設けられ、他方、容器本体1の四周の側壁12a,12bの上端部、すなわち前記突縁19の内側に前記突縁52a,52bが嵌合できる位置決め用の切欠段部22a,22bが設けられており、前記中蓋5の突縁52a,52bが前記切欠段部22a,22bに嵌合することにより所定位置に位置決めされて支持され、側壁12a,12bの撓み変形の抑制効果を良好に発揮できるようになっている。
【0046】
すなわち、容器本体1の縦横一方の側壁12a又は12bが内方へ撓み変形しようとする際、他方の側壁12b又は12aの切欠段部22b又は22aに中蓋5の突縁52b又は52aが嵌合していることで、中蓋5の変位が抑制され、ひいては側壁12a又は12bの内方への変形を抑制できることになる。前記の嵌合構造として、前記中蓋5の四周各辺部51a,51bが、容器本体1の側壁上端部の内周に単に嵌合するものであってもよいが、前記の効果の点から、前記の突縁52a,52bによる嵌合構造とするのが望ましい。
【0047】
図の場合、前記突縁52a,52bは、四周各辺部51a,51bに、それぞれ二つずつ間隔をおいて設けられ、さらに一方の相対向する両辺部51bの中央部には、該中蓋5の脱着操作のための取手用の切欠部53が形成されされている。このほか、各辺部51a,51bに一つの突縁を形成して実施することも、また3つ以上の突縁を形成して実施することもできる。この場合、容器本体1の嵌合段部についても、前記の突縁に対応した形状をなすように形成される。前記取手用の切欠部についても、その形状や配置を適宜設定できる。
【0048】
そして、前記中蓋5の下面には、前記支持用溝13を有する側壁12bと対向する側の相対向する両辺部51bに沿って、容器本体の側壁上端部に嵌合した状態において前記容器本体1の側壁内面の支持用溝13と同列に並列する複数の支持用溝54を有する凸状部55が形成されている。図1〜図7の第1の実施例の場合、前記相対向辺部51bの前記凸状部55,55間の中央部等の1もしくは複数の所要の個所にも、前記支持用溝54と同列に並列する複数の支持用溝54を有する凸状部55が設けられている。もちろん、図8の例のように、前記中間の凸状部を設けないで、相対向辺部51bの前記凸状部55,55間に一つの凹部を形成するようにして実施することもできる。
【0049】
図示する実施例の場合、前記各凸状部55により画された1もしくは複数の凹部56に、1つの天パッド4、又は複数のパッド片41として分割形成された板状の天パッド4が嵌合され装着ている。一つの凹部56に一つの天パッド4を装着して実施した場合、板状体Bの上端部の中央部が支持用溝によって支持されないことになり、撓み変形が生じやすくなるので、収納操作時及び包装状態で支持用溝54に対する位置ずれや溝外れを防止する上では、上記の実施例のように中央部等の内方の個所に一つもしくは複数の凸状部55を形成して、該凸状部55に有する支持用溝54により板状体Bの上端部を支持するほうが好ましい。
【0050】
前記の実施例では、前記中蓋5の下面には、前記凸状部55と直交する方向の他方の相対向辺部51aに沿って前記凸状部55と同高さの凸部57が設けられ、該凸部57と前記凸状部55が内方の凹部56を枠状に画するように連続形成されている。前記四周各辺部51a,51bにおける突縁52a,52bは、前記凸状部55及び凸部57より上の位置の板体の側端面に設けられている。
【0051】
前記中蓋5は、図9のように、前記相対向する両辺部51bの前記凸状部55,55間の中央部で、2つの中蓋部材50aに分割形成し、各中蓋部材50aの下面に、一つの凹部56を画するように、それぞれ開口方向の両端部に前記支持用溝54を有する凸状部55を形成して、各凹部56に天パッド4としての板状の1つのパッド片41を装着しておくこともできる。前記のように2つに分割形成した中蓋部材50aを用いることで、容器本体1に一定間隔に並列して収納した板状体Bに対し中蓋5を被着する際、各板状体Bに対する支持用溝54の位置合わせ、及び嵌合被着作業が容易になり、実施上より好ましい。
【0052】
前記天パッド4又は天パッドとしての各パッド片41は、前記底パッド6と同様に、前記容器本体1、蓋体3並びに中蓋5より柔軟な弾力性のある軟質合成樹脂発泡体等の緩衝材料よりなり、前記凹部56に装着した状態において、その下面が前記凸状部55の支持用溝54の溝深さの範囲内で溝底からやや下方位置、例えば溝底から溝深さの1/3〜1/5程度の位置にあるように設定された所定の厚みを有するフラットな板状をなしており、中蓋5の被着状態において、前記凸状部55の支持用溝54に嵌り込んで支持される板状体Bの上端が弾力的に当接するようになっている。
【0053】
前記天パッド5の装着手段としては、例えば、中蓋5又は中蓋部材50a毎の天パッド4又は各パッド片41を前記凹部56に単に嵌合して保持するだけでもよいが、例えば、前記凹部56の周側面と各天パッド4又はパッド片41の外周面とに、互いに係合する凹凸による嵌合手段を設けて、容易に抜脱しないように嵌着しておくことができる。この係合構造は、上記した底パッド6にも適用できる。また接着手段を利用することもできる。
【0054】
なお、板状体Bの上端部を支持する支持用溝を天パッド4に形成しておくことも可能であるが(図示せず)、この場合、中蓋5の下面の凸状部55の高さを低くし、天パッド4の厚みを大きくして、前記凸状部55より下方に突出した部分に支持用溝を形成するものとする。実施上は、図のように、中蓋5と一体の凸状部55に支持用溝54を設けておくのが、側壁内面の支持用溝13と誤差を殆ど生じさせずに成形でき、また成形後の収縮の影響も受けず、特に好ましい。さらに、前記中蓋5としては、前記の天パッド4を使用することなく、前記凸状部55の支持用溝54でのみ板状体Bの上端部を保持するようにして実施することもできるが、板状体Bの保護効果の点からは、図示する実施例のように天パッド4を装着して実施するのが望ましい。
【0055】
また、上記した実施例では、蓋体3を容器本体1の側壁上端部に対し外嵌合する場合を示したが、本発明は、図10〜図13の実施例のように、蓋体3が容器本体1の側壁上端部に対し内嵌合する形式の容器においても同様に実施することができる。この実施例において、上記した第1の実施例と同構成部材、同構成部分については同符号を付して詳しい説明を省略する。
【0056】
この実施例においては、容器本体1に対する蓋体3の嵌合構造として、前記容器本体1の側壁上端部、すなわち四方の側壁12a,12bの上端部には、内側を切欠して外側に嵌合用の突縁24が形成され、前記蓋体3の天板31の周縁部下面に前記突縁24が嵌合する切欠部34が設けられ、該切欠部34より内側の天板部分が前記容器本体1の突縁24の内側に形成された切欠部分25a,25bに嵌合するように設けられている。
【0057】
また、中蓋5は、その四周各辺部51a,51bが前記蓋体3より下で前記切欠部分25a,25bによる段面上に載接するように嵌合することもできるが、図示する実施例の場合は、中蓋5を構成する板体の四周各辺部51a,51bの側端面に形成された突縁52a,52bが、容器本体1の各側壁12a,12bの前記切欠部分25a,25bによる段面部分に形成された位置決め用の切欠段部26a,26bに嵌合するように設けられており、これにより、側壁12a,12bの撓み変形の抑制効果を良好に発揮できるようになっている。特に、前記突縁52a,52bの嵌合構造により、容器本体1の縦横一方の側壁12a又は12bの内方へ撓み変形しようとする際に、他方の側壁12b又は12aの切欠段部22b又は22aに突縁52b又は52aが嵌合している中蓋5の変位が抑制され、ひいては側壁12a又は12bの内方への変形を抑制できるようになっている。なお、中蓋5における前記突縁52a,52bの配置形態や数等は上記した第1の実施例と同様に構成して実施できる。
【0058】
上記した各実施例の搬送容器Aにおいて、容器本体1の左右の両側壁12b,12bの支持用溝13、中蓋5の下面において板状体Bの上端部を支持する支持用溝54、及び容器本体1の底部11において板状体Bの下端部を支持する支持用溝18については、開口端側がV字形に広がったテーパ状をなすとともに、これより溝底側で両内側面間が一定幅の間隙による溝状をなす形状とすることも、また両内側面が溝底から開口端まで連続して一面でV字形に広がったテーパ状をなすものとする。
【0059】
前記容器本体1及び蓋体3は、任意の発泡樹脂成形体により製作でき、例えばポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−エチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリ乳酸、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等の各種合成樹脂の発泡体を用いることができる。中でも、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂を含む複合樹脂のビーズ発泡体による成形体が好適に用いられる。ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂を含む複合樹脂のビーズ発泡体は、ポリオレフィン系樹脂粒子にスチレン系単量体を重合させた後、発泡剤を含浸させた発泡性樹脂粒子を、蒸気加熱することにより成形体を得ることができる。また、前記発泡体の発泡倍率は3〜50倍が好ましい。
【0060】
また、前記中蓋5についても、基本的に前記蓋体3と同程度の保形性及び弾力性を有する前記同様の発泡体が用いられる。例えば、蓋体3と中蓋5が同素材よりなるものの場合、中蓋5としては基本的に蓋体3と同発泡倍率の発泡体が用いられる。
【0061】
また、前記天パッド4や底パッド6としては、前記同様の合成樹脂のビーズ成形発泡体で、主として、前記容器本体1や蓋体3及び中蓋5に比してやや柔軟な保形性及び弾力性を有する合成樹脂発泡体が用いられる。
【0062】
上記した実施例の搬送容器Aの使用においては、容器本体1の底部11の上面の凸状部16間の凹部17に底パッド6(各パッド片61)を配置し、また、中蓋5の下面の凸状部55、55間の凹部56に、天パッド4(各パッド片41)を配置して装着しておく。
【0063】
そして、板状体Bの収納操作においては、板状体Bの側端部を容器本体1の左右の側壁12b,12bに有する支持用溝13に挿入して、該側端部を滑らせるようにして底部11にまで落とし込んで収納する。この際、収納されるガラス基板等の板状体Bの下端コーナー部が、該支持用溝13の下端部が底部11の上面における凸状段部15において内方に延びていることで、これがガイドとなって、板状体Bの下端部が撓み規制されながら内方の各凸状部16に有する支持用溝18に対して外れることなく容易に嵌り込んで支持されるとともに、前記底パッド6により弾力的に受支され保護される。
【0064】
こうして、前記支持用溝13に対応した一定の間隔で並列して収納した板状体Bの上に、前記のように天パッド4を装着した平板状の中蓋5を、その下面に有する凸状部55の支持用溝54の位置を板状体Bの上端部に対し位置合わせして、板状体Bの上端部を前記支持用溝54に嵌め込みながら、容器本体1の側壁上端部の内側に嵌合する。四周の各辺部51a,51bに突縁52a,52bを有する場合は、該突縁52a,52bを、容器本体1の側壁上端部の内側に有する位置決め用の切欠段部22a,22bに嵌合することにより、該中蓋5を位置決めして所定位置に保持する。この後、蓋体3を前記中蓋5の上で容器本体1の側壁上端部に外嵌合して被着する。こうして包装した容器外側に、必要に応じてバンド掛け(図示せず)して輸送に供する。
【0065】
蓋体3が容器本体1に対し内嵌合する図10〜図13の実施例の搬送容器Aの場合も、前記同様に、天パッド4を装着した平板状の中蓋5を、その下面に有する凸状部55の支持用溝54の位置を板状体Bの上端部に対し位置合わせして、板状体Bの上端部を前記支持用溝54に嵌め込みながら、容器本体1の側壁上端部の内側の切欠部分25a,25bに、又は該切欠部分26a,26bによる段面に形成された切欠段部26a,26bに、四周の各辺部51a,51bに有する突縁52a,52bを嵌合することにより、該中蓋5を位置決めして所定位置に保持する。この後、蓋体3を前記中蓋5の上で容器本体1の側壁上端部に外嵌合して被着する。こうして包装した容器外側に、必要に応じてバンド掛け(図示せず)して輸送に供する。
【0066】
いずれの場合も、前記中蓋5の四周各辺部51a,51bが容器本体1の四方の各側壁12a,12bの上端部の内側に嵌合することになるため(例えば図5)、四方の側壁上端部の内方への撓み変形を中蓋5によって阻止でき、容器本体1が平行四辺形になるような変形も抑制できる。そのため、輸送、運搬時の取扱いにおいて、ガラス基板の撓み変形や溝外れを防止できる。
【0067】
特に、前記中蓋の少なくとも一方、好ましくは双方の相対向辺部51a,51bの側端面に設けられた突縁52a,52bが、容器本体1の側壁上端部の内側に形成された切欠段部22a、22b又は26a,26bに嵌合している場合には、中蓋5の前後左右の動きを規制でき、例えば容器本体1の縦横一方の側壁12a又は12bが内方へ撓み変形しようとする際、他方の側壁12b又は12aの切欠段部22b又は22aに突縁52b又は52aが嵌合している中蓋5の変位を規制でき、ひいては前記側壁12a又は12bの内方への変形を抑制できることになる。そのため、板状体Bの上端部が支持用溝54から離脱するのを効果的に防止でき、中蓋5の下面に有する支持用溝54と、容器本体1の側壁内面の支持用溝13との相対位置にずれが生じることがない。
【0068】
しかも、前記中蓋5は容器本体1の側壁上端部の内側に嵌合されるため、容器本体1内に収納される板状体Bの上端部が容器本体1より上方に突出することにはならず、蓋体3及び中蓋5を取り外した際に、板状体Bの上端部が露出した状態になることがなく、他物が容易に接触するおそれがない。
【0069】
従って、支持用溝13に嵌め込まれて一定間隔に並列して保持されている板状体Bに大きな撓みや溝外れが発生することがなく、板状体Bの大きな撓み変形に伴うガラス基板同士の干渉に起因する破損を防止でき、ひいては板状体Bの薄肉化にも対応できるものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の搬送容器は、素板ガラス、液晶表示用やプラズマ表示用のガラス基板さらにはタッチパネル用のかなり薄肉のガラス基板その他の衝撃に弱い各種の板状体の搬送、保管に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0071】
A…搬送容器、B…板状体、1…容器本体、1a…バンド欠け用凹部、11…底部、12a,12b…側壁、13…支持用溝、14…段部、15…凸状段部、16…凸状部、17…凹部、18…支持用溝、19…突縁、21…切欠部、22a,22b…切欠段部、24…突縁、25a,25b…切欠部分、26a,26b…切欠段部、3…蓋体、3a…バンド掛け用の凹部、31…天板、32a,32b…嵌合壁、34…切欠部、4…天パッド、41…パッド片、5…中蓋、50a…中蓋部材、51a,51b…辺部、52a,52b…突縁、53…切欠部、54…支持用溝、55…凸状部、56…凹部、57…凸部、6…底パッド、61…パッド片。
【技術分野】
【0001】
本発明は、素板ガラスのほか、液晶表示用やプラズマ表示用のガラス基板、タッチパネル用のガラス基板その他の主として薄肉の板状体の搬送、保管に使用する搬送容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶表示用やプラズマ表示用の比較的大形のガラス基板を複数枚並列して収容して搬送するための搬送容器として、緩衝性を有する合成樹脂発泡体製の容器本体と蓋体とよりなる容器で、容器本体の一方の相対向する側壁内面に等間隔に縦溝からなる支持用溝を形成しておき、該支持用溝にガラス基板の側端部を挿入して相互に接触させないように支持して収納するようにしたものが知られている。
【0003】
さらに、前記容器本体内の底板上にガラス基板の下端部を保護する横溝からなる支持用溝を有する底パッドを設けることに加えて、容器本体の上方に突出するガラス基板の上端部を保護する横溝からなる支持用溝を有する天パッドを設けることも提案されている(例えば、特許文献1、2)。前記天パッドは、被着操作の際にガラス基板の上端部を支持用溝に嵌め合わせる必要があることから、蓋体とは別にガラス基板の上端部に被せ、その後に蓋体を被着するようにしている。
【0004】
ところで、近年、ガラス基板の薄肉化が進み、例えば、液晶表示用パネルには、0.7mm前後のガラス基板が使用され、またタッチパネル用には、0.3mm前後のごく薄肉のガラス基板が使用されている。かかるガラス基板を搬送する際の保護のために、緩衝性のある溝付きの底パッドや天パッド等を設けた搬送容器を使用する場合においても、ガラス基板が薄肉であるものほど撓み変形し易いこともあって、ガラス基板の破損が増加している。
【0005】
この問題は、ガラス基板の薄板化のために輸送時の振動による撓みが大きくなることに加え、輸送中の振動や他物との接触による衝撃等の外的要因による容器自体の変形により、収納された内部のガラス基板が大きく撓んだり、ガタついたりして、ガラス基板を保持する左右側壁の支持用溝あるいは底パッドや天パッドの支持用溝からの溝外れが発生し、その結果、ガラス基板同士が干渉し当接することが大きな原因であると考えられる。
【0006】
この点について説明する。図14及び図15に示すように、底パッド106と天パッド104を備える前記の搬送容器において、蓋体103は容器本体101の各側壁112(112a,112b)の上端部に外嵌合して被着される形態をなすものが一般的であるが、この嵌合部の遊び等のために、輸送中の振動や他物との接触による衝撃等の影響を受け易く、容器本体101の側壁、特には収納されたガラス基板等の板状体Bの板面と対向する側壁112aが蓋体102に対して内方へ変位する撓み変形が生じ易いものである。
【0007】
すなわち、容器本体101の各側壁112の蓋体103に対する外方向の撓み変形が蓋体103により規制され、また、支持用溝113を有する左右側壁112bの内方への撓み変形が板状体B自体により規制されるが、前記板状体Bの板面と対向する側壁112aは、内方へ変形するのを規制する部分がなく、そのため振動や外的衝撃等のために内方へ撓み変形するおそれがある。
【0008】
仮に、前記側壁112aが蓋体103に対し内方へ、あるいは蓋体103が前記側壁112aに対し外方へ相対的に変位するような変形が生じると、図16のように、蓋体103の天板の下面に装着された天パッド104の支持用溝155の位置と、容器本体101の側壁内面の支持用溝113の位置とにずれが生じ、その結果、支持用溝113及び155に嵌め込まれて一定間隔に並列して保持されている板状体Bに大きな撓みが発生し、板状体Bの溝外れや干渉による損傷が生じ易くなるものである。
【0009】
したがって、この種の搬送容器としては、前記のようにガラス基板等の板状体の両側端部及び上下端部を支持用溝に挿入して一定間隔に並列して支持する場合においては、溝外れを容易に発生させないようにすること、そのために容器本体の側壁上端部の撓み変形を抑制できることが望まれる。
【0010】
このような板状体の搬送容器の問題を解決するために、支持用溝を有する側壁に対応する両辺で側方に開口し、他方の相対向する両辺に側壁上端部に内嵌合する端部壁を有する中蓋を使用し、支持用溝を有する天パッドを両端部壁間に装設した中蓋を容器本体に対し嵌合被着することで、容器本体の側壁上端部の撓み変形を規制することが提案されている(特許文献3)。
【0011】
前記提案の場合、前記中蓋は両辺の端部壁が嵌合する側壁上端部の内方への撓み変形を規制するものであり、支持用溝を有する容器本体の側壁上端部も含めた全体的な撓み変形抑制については充分に満足できないものである。
【0012】
また、前記のように天パッドを装設した中蓋を蓋体の内側に保持することになるため、蓋体が深くなり嵩高になるばかりか、収納された板状体の上端を前記中蓋に保持された天板パッドにより保護することから、収納された板状体の上端が容器本体よりも高く上方に突出した状態になり、そのため蓋体及び中蓋を取り外したときには、板状体の上端部が突出状態で露出し他物が接触し易くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2004−51131号公報
【特許文献2】特開2006−199351号公報
【特許文献3】特開2010−215262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記の問題を解消するためになしたものであり、中蓋を利用して容器本体の四方の各側壁の撓み変形や歪みを抑制でき、側壁の変形に伴うガラス基板等の板状体の撓みを防ぎ、溝外れおよび板状体同士の干渉による破損を防止でき、板状体の薄肉化にも対応できる、板状体の搬送容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決する本発明は、板状体を収容して搬送するための合成樹脂発泡体製の平面矩形の容器であって、上面が開口し、かつ、一方の相対向する側壁内面に板状体の側端部を支持する複数の支持用溝が設けられてなる容器本体と、前記容器本体の側壁上端部に嵌合する被着自在な蓋体と、該蓋体の内側で板状体の上端部を保持する中蓋とを備えてなる板状体の搬送容器において、前記中蓋は、四周各辺部が側壁上端部の内側に嵌合することにより容器本体の各側壁の変形を抑制できる平板状の板体よりなることを特徴とする。
【0016】
上記の搬送容器によれば、容器本体の相対向側壁に有する支持用溝にガラス基板等の板状体の両側端を挿入して一定間隔で並列状態に保持し、その上に中蓋を側壁上端部の内側に四周各辺部で嵌合して板状体の上端部を覆うようにする。この際、前記中蓋は平板状の板体よりなるものであるため中蓋の嵌合操作が容易であるばかりか、該中蓋の四周各辺部が容器本体の四方の各側壁上端部の内側に嵌合することになるため、四方の側壁上端部の内方への撓み変形を中蓋によって阻止でき、容器本体が平行四辺形になるような変形も抑制できる。そのため、輸送、運搬時の取扱いにおいて、収納された板状体の撓み変形や溝外れを防止できる。しかも、前記中蓋は容器本体の側壁上端部の内側に嵌合されるため、容器本体内に収納される板状体の上端部が容器本体より上方に突出することにはならず、蓋体及び中蓋を取り外した際に、板状体の上端部が露出した状態になることがない。
【0017】
前記の板状体の搬送容器において、前記中蓋の少なくとも一方の相対向辺部の側端面に外方に突出する突縁が設けられ、該突縁が容器本体の側壁上端部の内側に形成された切欠段部に嵌合することにより所定位置に位置決めされて支持されるものが好ましい。これにより、中蓋を前後左右の動きを規制した状態で容器本体に嵌合して一定の位置に保持でき、中蓋の下面に支持用溝が形成されている場合には、該支持用溝を容器本体の側壁に有する支持用溝と容易に位置合わせできることになる。
【0018】
前記の板状体の搬送容器において、前記中蓋の下面に、板状体の上端部を保護する天パッドが装着されてなるものとすることができる。この場合、板状体の上端部が天パッドに当接することで保護される。
【0019】
また、前記中蓋の下面には、前記支持用溝を有する側壁と対応する相対向両辺部に沿って、それぞれ前記側壁上端部に嵌合した状態において前記側壁内面の支持用溝と同列に並列する複数の支持用溝を有する凸状部が設けられ、該凸状部間の凹部に前記天パッドが装着されてなるものとすることができる。これにより、板状体の上端部を前記支持用溝に挿入して安定性よく支持でき、板状体の上端部での撓み変形を抑制できる。特に、前記支持用溝による保持の効果は、天パッドに形成された溝による場合よりも大きくなる。
【0020】
前記の板状体の搬送容器において、前記中蓋の下面には、前記相対向辺部の前記凸状部間の個所に、前記凸状部の支持用溝と同列に並列する複数の支持用溝を有する凸状部が設けられ、各凸状部間の凹部に分割形成された天パッドが装着されてなるものとすることができる。この場合、板状体の上端部の中央部も中間にある凸状部の支持用溝によって支持されることになり、薄肉の板状体の撓み変形の抑制効果を高めることができる。
【0021】
前記の板状体の搬送容器において、前記中蓋は、前記支持用溝を有する側壁と対向する方向で複数の中蓋部材に分割され、分割された各中蓋部材の天板下面には、支持用溝を有する側壁と平行な両辺端部に前記支持用溝を有する凸状部が設けられるとともに、両凸状部間の凹部に複数に分割形成された天パッドが装着されてなるものとすることができる。この場合も、支持用溝に挿入した板状体の上端部を安定性よく支持できる。
【0022】
前記の板状体の搬送容器において、前記中蓋の少なくとも一方の相対向辺部の側端面における突縁が、前記凸状部より上面側の側端面に形成されているものとするのが望ましい。これにより、前記凸状部に形成された支持用溝に嵌り込んで支持される板状体の上端部を避けて嵌合できる。
【0023】
前記の板状体の搬送容器において、前記天パッドは、その下面が前記凸状部の突出高さより低く、かつ支持用溝の溝底位置より下方位置にあるフラットな板状をなしているものとすることができる。これにより、中蓋の凸状部に形成された支持用溝に嵌り込んでいる板状体の上端を溝底に当接させないように弾力的に押さえて、安定性よく支持することができる。
【0024】
前記の板状体の搬送容器において、中蓋の下面には、前記凸状部と直交する方向の他方の相対向辺部に沿って前記凸状部と同高さの凸部が設けられ、該凸部と凸条部が枠状に連続して形成されてなるものとすることができる。これにより、中蓋自体の保形強度や寸法安定性が増し、容器本体の側壁の撓み変形防止の効果が高くなる。
【0025】
前記の板状体の搬送容器において、前記中蓋の一方の相対向辺部の中央部に取手部用の切欠が設けられてなるものとすることができる。これにより、容器本体の側壁上端部の内側に嵌合する中蓋の脱着操作を容易に行うことができる。
【0026】
前記の板状体の搬送容器において、前記蓋体は、容器本体の側壁上端部に対し外嵌合するように設けられ、前記中蓋は前記蓋体の嵌合位置下端より上で側壁上端部の内側に嵌合するように設けられてなるものとすることができる。この場合、容器本体の四方の側壁上端部の外方への変形は蓋体により、また内方への変形は中蓋により、それぞれ規制できることで、全体的な保形性を高めることができる。
【0027】
前記の板状体の搬送容器において、前記蓋体は、容器本体の側壁上端部に対し内嵌合するように設けられ、前記中蓋は前記蓋体の嵌合位置の下で前記側壁上端部の内側に嵌合するように設けられてなるものとすることもできる。
【発明の効果】
【0028】
上記したように本発明の板状体の搬送容器によれば、板状体の上端部を保持する中蓋を板状の板体よりなるものとして、該中蓋の四周各辺部を側壁上端部の内側に嵌合する構成としたことにより、容器本体の四方の各側壁の撓み変形や歪み、例えば容器本体が平行四辺形になるような変形も抑制できる。そのため、輸送、運搬時の取扱いにおいて、側壁の変形に伴うガラス基板等の板状体の撓みを防ぎ、溝外れ及び板状体同士の干渉による破損を防止できる。しかも、平板状の中蓋であるため、容器本体内に収納される板状体の上端部が容器本体より上方に突出した状態にはならず、蓋体及び中蓋を取り外した際にも他物が接触の虞が殆どないものとなる。
【0029】
特に、板状体の上端部を支持する支持用溝を、天パッドではなく、中蓋に形成した場合には、板状体の保持の効果が大きくなる上、精度を出し易いこともあって、容器本体の支持用溝と中蓋の支持用溝の位置を合わせ易く、容器本体の側壁内面の支持用溝に対してずれを生じさせないようにして、板状体の上端部を安定性よく保持できることになる。そのため、振動や外的衝撃等に起因する板状体の大きな撓みや溝外れおよび干渉による破損を防止でき、ひいては、ガラス基板等の板状体の薄板化に対応でき、輸送中の保護を良好になし得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の板状体の搬送容器の1実施例の容器本体と、蓋体と、中蓋を分離して示す略示斜視図である。
【図2】同上の搬送容器の容器本体の平面図である。
【図3】図2のC1−C1線における容器本体と蓋体と天パッドと中蓋を分離した断面図である。
【図4】同上の中蓋と天パッドの組合わせ前(a)と組合わせ後(b)の下面側からの斜視図である。
【図5】板状体を収納し蓋体を被着した状態の蓋体と中蓋の半部を切除して示す平面図である。
【図6】同上の半部縦断側面図である。
【図7】同上の一部の拡大断面図である。
【図8】同上の他の実施例を示す中蓋と天パッドの組合わせ前(a)と組合わせ後(b)の下面補からの斜視図である。
【図9】同上のさらに他の実施例を示す中蓋と天パッドの組合わせ前(a)と組合わせ後(b)の下面側からの斜視図である。
【図10】本発明の他の実施例を示す容器本体と蓋体と天パッドを保持する中蓋を分離した状態の略示斜視図である。
【図11】同上の蓋体と中蓋の半部を切除して示す平面図である。
【図12】同上の半部縦断正面図である。
【図13】同上の半部縦断側面図である。
【図14】従来の包装容器の分離した斜視図である。
【図15】同上の包装状態の半部縦断側面図である。
【図16】同上の蓋体と容器本体の側壁上端部と変位が生じた場合の一部の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0032】
図1〜図7の第1の実施例において、この実施例の搬送容器Aは、緩衝効果のある合成樹脂発泡体製の平面矩形すなわち平面長方形や正方形の容器であって、上面が開口する容器本体1と、該容器本体1の開口部を形成する側壁上端部に被着される蓋体3と、該蓋体3とは別に、該蓋体3の内側で収納対象のガラス基板等の板状体Bの上端部を覆い保持する中蓋5とを備えている。図の場合、前記中蓋5は、その下面に板状体Bの上端部を保護する天パッド4を備えている。また、前記容器本体1の底部11の上面には、収納される板状体Bの下端部を保護する底パッド6を備えている。
【0033】
前記容器本体1は、適度に剛性があり保形性のある合成樹脂発泡体により一体に成形されてなり、底部11より立ち上がった四方の各側壁つまり前後及び左右の各側壁12a及び12bのうち、一方の相対向する側壁、例えば図の例のように、短辺側の左右の側壁12bの内面に、収納対象のガラス基板等の板状体Bの左右側端部を挿入し支持するための縦溝からなる支持用溝、すなわち縦方向(上下方向)の支持用溝13が等間隔に複数並設されている。前記支持用溝13を有する側壁12bは、側壁上端部を除いて肉厚を増大させて上端が段部14をなすように形成され、その内面側に前記支持用溝13が形成されて前記段部14で上方に開口している。
【0034】
図示する実施例の場合、図2及び図3に示すように、前記底部11の上面には、前記縦方向の支持用溝13を有する両側壁12bに沿う側の両端部に凸状段部15が設けられ、該凸状段部15において前記支持用溝13の下端部が内方に向かって連続した溝をなすように形成されており、板状体Bの下端部を支持用溝13から連続して支持するようになっている。この段状凸部15の部分の溝深さは底面が底部11の上面と同一面をなす深さになっているが、後述する内方の凸状部の支持用溝と同深さであってもよい。
【0035】
前記底部11の上面には、前記両端部の凸状段部15より内方に前記両側壁12bの対向方向に所要の間隔をおいて、前記凸状段部15と同高さの凸状部16が1もしくは複数の凹部17を画するように設けられ、各凸状部16には、それぞれ前記支持用溝13と同列に並列する複数の支持用溝18が形成されている。そして、前記凸状部16により画された1もしくは複数の凹部17に底パッド6が装着されている。図の場合は、複数のパッド片61として分割形成された板状の底パッド6が嵌合され装着されている。
【0036】
前記底パッド6としての各パッド片61は、容器本体1に比して柔軟な弾力性のある合成樹脂発泡体等よりなり、前記凹部17に装着した状態において、パッド片61の上面が前記凸状部16の支持用溝18の溝深さの範囲内で溝底からやや上方位置、好ましく前記溝底から溝深さの1/3〜1/5程度の高さ位置にあるように設定された所定の厚みを有するフラットな板状をなしており、これにより、支持用溝18に嵌り込んで支持された板状体Bの下端部を弾力的に受支できるようになっている。通常、板状体Bの下端と凹部17の底面、すなわち底部11の上面との間に、5mm以上のクリアランスを保持するように設定される。
【0037】
前記底パッド6の装着手段としては、前記各パッド片61を前記凹部17に単に嵌合して保持するだけでもよいが、各パッド片61の外周面と前記凹部17の周側面とに、互いに嵌合し係合する凹凸形状による係合手段を設けておくことできる(図示省略)。また接着手段を利用して固設しておくこともできる。
【0038】
前記凸状段部15に近接する端部位置の凸状部16については、図のように若干の間隔を存して形成するほか、凸状段部15と一体に形成しておくこともできる。すなわち、前記凸状段部15を底パッド6としての各パッド片61を保持する凸状部16を兼ねて形成しておくことができる。
【0039】
前記のように形成しておくことで、縦方向の支持用溝13に挿入されて落とし込まれるガラス基板等の板状体Bの下端コーナー部が、該支持用溝13の下端部において底部11の上面内方に向かって延びる横方向の溝部分がガイドとなって、板状体Bの下端部が撓み規制され、内方の支持用溝、例えば各凸状部16に有する支持用溝18に対しても、ずれや外れなく確実に嵌り込むことになる。そのため、板状体Bがかなり薄肉のものであっても、その収納操作を容易に行うことができる。
【0040】
なお、前記底部11の上面において板状体Bの下端部を支持する支持用溝を、従来同様に底パッド6の各パッド片61に形成しておくことも可能であるが(図示せず)、この場合、前記凸状部16の高さを低くし、底パッド6の厚みを大きくして、前記凸状部16より上方に突出したパッド片61の肉厚上部に支持用溝を形成するものとする。実施上は、図のように、底部11と一体の凸状部16に支持用溝18を設けておくのが、側壁内面の支持用溝13に対し誤差やずれを殆ど生じさせずに成形でき、また成形後の収縮の影響も受けず、特に好ましい。
【0041】
前記のように底パッド6に支持用溝を形成した場合も、前記凸状段部15における支持用溝13の下端部の溝部分により、薄板状の板状体Bの下端部の撓みをある程度規制しながら、該下端部の中央部を前記支持用溝に対して嵌め込み支持させることができ、収納操作が容易に行われる。
【0042】
前記蓋体3は、前記容器本体1と同様の合成樹脂発泡体により成形され、天板31の周縁部下面に、前記容器本体1の開口部を形成する側壁上端部すなわち各側壁12a,12bの上端部に外嵌合するように下方に突出する前後左右の嵌合壁32a,32bを有し、容器本体1に対し被着自在に形成されている。
【0043】
図の場合、前記容器本体1に対する蓋体3の嵌合構造として、前記容器本体1の側壁上端部、すなわち四方の側壁12a,12bの上端部には、外側を切欠して内側に嵌合用の突縁19が形成され、前記蓋体3の周縁部の嵌合壁32a,32bが前記突縁19の外側の切欠部21に嵌合するように形成されている。図中の1a及び3aはバンド掛け用の凹部を示す。
【0044】
前記中蓋5は、前記蓋体3と同様に合成樹脂発泡体により成形された平板状の板体よりなり、該板体の四周各辺部51a,51bが、前記容器本体1の四方の各側壁12a,12bの上端部の内側に嵌合することで、収容された板状体Bの上端部に対し該上端部を保持するように被着可能であり、またこれにより容器本体1の各側壁12a,12bの変形、特に内方への撓み変形を抑制できるようになっている。
【0045】
前記中蓋5の容器本体1に対する嵌合構造として、前記中蓋5の少なくとも一方の相対向辺部の側端面、特に好ましくは図のように四周各辺部51a,51bの側端面に、外方に突出する位置決め用の突縁52a,52bが設けられ、他方、容器本体1の四周の側壁12a,12bの上端部、すなわち前記突縁19の内側に前記突縁52a,52bが嵌合できる位置決め用の切欠段部22a,22bが設けられており、前記中蓋5の突縁52a,52bが前記切欠段部22a,22bに嵌合することにより所定位置に位置決めされて支持され、側壁12a,12bの撓み変形の抑制効果を良好に発揮できるようになっている。
【0046】
すなわち、容器本体1の縦横一方の側壁12a又は12bが内方へ撓み変形しようとする際、他方の側壁12b又は12aの切欠段部22b又は22aに中蓋5の突縁52b又は52aが嵌合していることで、中蓋5の変位が抑制され、ひいては側壁12a又は12bの内方への変形を抑制できることになる。前記の嵌合構造として、前記中蓋5の四周各辺部51a,51bが、容器本体1の側壁上端部の内周に単に嵌合するものであってもよいが、前記の効果の点から、前記の突縁52a,52bによる嵌合構造とするのが望ましい。
【0047】
図の場合、前記突縁52a,52bは、四周各辺部51a,51bに、それぞれ二つずつ間隔をおいて設けられ、さらに一方の相対向する両辺部51bの中央部には、該中蓋5の脱着操作のための取手用の切欠部53が形成されされている。このほか、各辺部51a,51bに一つの突縁を形成して実施することも、また3つ以上の突縁を形成して実施することもできる。この場合、容器本体1の嵌合段部についても、前記の突縁に対応した形状をなすように形成される。前記取手用の切欠部についても、その形状や配置を適宜設定できる。
【0048】
そして、前記中蓋5の下面には、前記支持用溝13を有する側壁12bと対向する側の相対向する両辺部51bに沿って、容器本体の側壁上端部に嵌合した状態において前記容器本体1の側壁内面の支持用溝13と同列に並列する複数の支持用溝54を有する凸状部55が形成されている。図1〜図7の第1の実施例の場合、前記相対向辺部51bの前記凸状部55,55間の中央部等の1もしくは複数の所要の個所にも、前記支持用溝54と同列に並列する複数の支持用溝54を有する凸状部55が設けられている。もちろん、図8の例のように、前記中間の凸状部を設けないで、相対向辺部51bの前記凸状部55,55間に一つの凹部を形成するようにして実施することもできる。
【0049】
図示する実施例の場合、前記各凸状部55により画された1もしくは複数の凹部56に、1つの天パッド4、又は複数のパッド片41として分割形成された板状の天パッド4が嵌合され装着ている。一つの凹部56に一つの天パッド4を装着して実施した場合、板状体Bの上端部の中央部が支持用溝によって支持されないことになり、撓み変形が生じやすくなるので、収納操作時及び包装状態で支持用溝54に対する位置ずれや溝外れを防止する上では、上記の実施例のように中央部等の内方の個所に一つもしくは複数の凸状部55を形成して、該凸状部55に有する支持用溝54により板状体Bの上端部を支持するほうが好ましい。
【0050】
前記の実施例では、前記中蓋5の下面には、前記凸状部55と直交する方向の他方の相対向辺部51aに沿って前記凸状部55と同高さの凸部57が設けられ、該凸部57と前記凸状部55が内方の凹部56を枠状に画するように連続形成されている。前記四周各辺部51a,51bにおける突縁52a,52bは、前記凸状部55及び凸部57より上の位置の板体の側端面に設けられている。
【0051】
前記中蓋5は、図9のように、前記相対向する両辺部51bの前記凸状部55,55間の中央部で、2つの中蓋部材50aに分割形成し、各中蓋部材50aの下面に、一つの凹部56を画するように、それぞれ開口方向の両端部に前記支持用溝54を有する凸状部55を形成して、各凹部56に天パッド4としての板状の1つのパッド片41を装着しておくこともできる。前記のように2つに分割形成した中蓋部材50aを用いることで、容器本体1に一定間隔に並列して収納した板状体Bに対し中蓋5を被着する際、各板状体Bに対する支持用溝54の位置合わせ、及び嵌合被着作業が容易になり、実施上より好ましい。
【0052】
前記天パッド4又は天パッドとしての各パッド片41は、前記底パッド6と同様に、前記容器本体1、蓋体3並びに中蓋5より柔軟な弾力性のある軟質合成樹脂発泡体等の緩衝材料よりなり、前記凹部56に装着した状態において、その下面が前記凸状部55の支持用溝54の溝深さの範囲内で溝底からやや下方位置、例えば溝底から溝深さの1/3〜1/5程度の位置にあるように設定された所定の厚みを有するフラットな板状をなしており、中蓋5の被着状態において、前記凸状部55の支持用溝54に嵌り込んで支持される板状体Bの上端が弾力的に当接するようになっている。
【0053】
前記天パッド5の装着手段としては、例えば、中蓋5又は中蓋部材50a毎の天パッド4又は各パッド片41を前記凹部56に単に嵌合して保持するだけでもよいが、例えば、前記凹部56の周側面と各天パッド4又はパッド片41の外周面とに、互いに係合する凹凸による嵌合手段を設けて、容易に抜脱しないように嵌着しておくことができる。この係合構造は、上記した底パッド6にも適用できる。また接着手段を利用することもできる。
【0054】
なお、板状体Bの上端部を支持する支持用溝を天パッド4に形成しておくことも可能であるが(図示せず)、この場合、中蓋5の下面の凸状部55の高さを低くし、天パッド4の厚みを大きくして、前記凸状部55より下方に突出した部分に支持用溝を形成するものとする。実施上は、図のように、中蓋5と一体の凸状部55に支持用溝54を設けておくのが、側壁内面の支持用溝13と誤差を殆ど生じさせずに成形でき、また成形後の収縮の影響も受けず、特に好ましい。さらに、前記中蓋5としては、前記の天パッド4を使用することなく、前記凸状部55の支持用溝54でのみ板状体Bの上端部を保持するようにして実施することもできるが、板状体Bの保護効果の点からは、図示する実施例のように天パッド4を装着して実施するのが望ましい。
【0055】
また、上記した実施例では、蓋体3を容器本体1の側壁上端部に対し外嵌合する場合を示したが、本発明は、図10〜図13の実施例のように、蓋体3が容器本体1の側壁上端部に対し内嵌合する形式の容器においても同様に実施することができる。この実施例において、上記した第1の実施例と同構成部材、同構成部分については同符号を付して詳しい説明を省略する。
【0056】
この実施例においては、容器本体1に対する蓋体3の嵌合構造として、前記容器本体1の側壁上端部、すなわち四方の側壁12a,12bの上端部には、内側を切欠して外側に嵌合用の突縁24が形成され、前記蓋体3の天板31の周縁部下面に前記突縁24が嵌合する切欠部34が設けられ、該切欠部34より内側の天板部分が前記容器本体1の突縁24の内側に形成された切欠部分25a,25bに嵌合するように設けられている。
【0057】
また、中蓋5は、その四周各辺部51a,51bが前記蓋体3より下で前記切欠部分25a,25bによる段面上に載接するように嵌合することもできるが、図示する実施例の場合は、中蓋5を構成する板体の四周各辺部51a,51bの側端面に形成された突縁52a,52bが、容器本体1の各側壁12a,12bの前記切欠部分25a,25bによる段面部分に形成された位置決め用の切欠段部26a,26bに嵌合するように設けられており、これにより、側壁12a,12bの撓み変形の抑制効果を良好に発揮できるようになっている。特に、前記突縁52a,52bの嵌合構造により、容器本体1の縦横一方の側壁12a又は12bの内方へ撓み変形しようとする際に、他方の側壁12b又は12aの切欠段部22b又は22aに突縁52b又は52aが嵌合している中蓋5の変位が抑制され、ひいては側壁12a又は12bの内方への変形を抑制できるようになっている。なお、中蓋5における前記突縁52a,52bの配置形態や数等は上記した第1の実施例と同様に構成して実施できる。
【0058】
上記した各実施例の搬送容器Aにおいて、容器本体1の左右の両側壁12b,12bの支持用溝13、中蓋5の下面において板状体Bの上端部を支持する支持用溝54、及び容器本体1の底部11において板状体Bの下端部を支持する支持用溝18については、開口端側がV字形に広がったテーパ状をなすとともに、これより溝底側で両内側面間が一定幅の間隙による溝状をなす形状とすることも、また両内側面が溝底から開口端まで連続して一面でV字形に広がったテーパ状をなすものとする。
【0059】
前記容器本体1及び蓋体3は、任意の発泡樹脂成形体により製作でき、例えばポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−エチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリ乳酸、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等の各種合成樹脂の発泡体を用いることができる。中でも、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂を含む複合樹脂のビーズ発泡体による成形体が好適に用いられる。ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂を含む複合樹脂のビーズ発泡体は、ポリオレフィン系樹脂粒子にスチレン系単量体を重合させた後、発泡剤を含浸させた発泡性樹脂粒子を、蒸気加熱することにより成形体を得ることができる。また、前記発泡体の発泡倍率は3〜50倍が好ましい。
【0060】
また、前記中蓋5についても、基本的に前記蓋体3と同程度の保形性及び弾力性を有する前記同様の発泡体が用いられる。例えば、蓋体3と中蓋5が同素材よりなるものの場合、中蓋5としては基本的に蓋体3と同発泡倍率の発泡体が用いられる。
【0061】
また、前記天パッド4や底パッド6としては、前記同様の合成樹脂のビーズ成形発泡体で、主として、前記容器本体1や蓋体3及び中蓋5に比してやや柔軟な保形性及び弾力性を有する合成樹脂発泡体が用いられる。
【0062】
上記した実施例の搬送容器Aの使用においては、容器本体1の底部11の上面の凸状部16間の凹部17に底パッド6(各パッド片61)を配置し、また、中蓋5の下面の凸状部55、55間の凹部56に、天パッド4(各パッド片41)を配置して装着しておく。
【0063】
そして、板状体Bの収納操作においては、板状体Bの側端部を容器本体1の左右の側壁12b,12bに有する支持用溝13に挿入して、該側端部を滑らせるようにして底部11にまで落とし込んで収納する。この際、収納されるガラス基板等の板状体Bの下端コーナー部が、該支持用溝13の下端部が底部11の上面における凸状段部15において内方に延びていることで、これがガイドとなって、板状体Bの下端部が撓み規制されながら内方の各凸状部16に有する支持用溝18に対して外れることなく容易に嵌り込んで支持されるとともに、前記底パッド6により弾力的に受支され保護される。
【0064】
こうして、前記支持用溝13に対応した一定の間隔で並列して収納した板状体Bの上に、前記のように天パッド4を装着した平板状の中蓋5を、その下面に有する凸状部55の支持用溝54の位置を板状体Bの上端部に対し位置合わせして、板状体Bの上端部を前記支持用溝54に嵌め込みながら、容器本体1の側壁上端部の内側に嵌合する。四周の各辺部51a,51bに突縁52a,52bを有する場合は、該突縁52a,52bを、容器本体1の側壁上端部の内側に有する位置決め用の切欠段部22a,22bに嵌合することにより、該中蓋5を位置決めして所定位置に保持する。この後、蓋体3を前記中蓋5の上で容器本体1の側壁上端部に外嵌合して被着する。こうして包装した容器外側に、必要に応じてバンド掛け(図示せず)して輸送に供する。
【0065】
蓋体3が容器本体1に対し内嵌合する図10〜図13の実施例の搬送容器Aの場合も、前記同様に、天パッド4を装着した平板状の中蓋5を、その下面に有する凸状部55の支持用溝54の位置を板状体Bの上端部に対し位置合わせして、板状体Bの上端部を前記支持用溝54に嵌め込みながら、容器本体1の側壁上端部の内側の切欠部分25a,25bに、又は該切欠部分26a,26bによる段面に形成された切欠段部26a,26bに、四周の各辺部51a,51bに有する突縁52a,52bを嵌合することにより、該中蓋5を位置決めして所定位置に保持する。この後、蓋体3を前記中蓋5の上で容器本体1の側壁上端部に外嵌合して被着する。こうして包装した容器外側に、必要に応じてバンド掛け(図示せず)して輸送に供する。
【0066】
いずれの場合も、前記中蓋5の四周各辺部51a,51bが容器本体1の四方の各側壁12a,12bの上端部の内側に嵌合することになるため(例えば図5)、四方の側壁上端部の内方への撓み変形を中蓋5によって阻止でき、容器本体1が平行四辺形になるような変形も抑制できる。そのため、輸送、運搬時の取扱いにおいて、ガラス基板の撓み変形や溝外れを防止できる。
【0067】
特に、前記中蓋の少なくとも一方、好ましくは双方の相対向辺部51a,51bの側端面に設けられた突縁52a,52bが、容器本体1の側壁上端部の内側に形成された切欠段部22a、22b又は26a,26bに嵌合している場合には、中蓋5の前後左右の動きを規制でき、例えば容器本体1の縦横一方の側壁12a又は12bが内方へ撓み変形しようとする際、他方の側壁12b又は12aの切欠段部22b又は22aに突縁52b又は52aが嵌合している中蓋5の変位を規制でき、ひいては前記側壁12a又は12bの内方への変形を抑制できることになる。そのため、板状体Bの上端部が支持用溝54から離脱するのを効果的に防止でき、中蓋5の下面に有する支持用溝54と、容器本体1の側壁内面の支持用溝13との相対位置にずれが生じることがない。
【0068】
しかも、前記中蓋5は容器本体1の側壁上端部の内側に嵌合されるため、容器本体1内に収納される板状体Bの上端部が容器本体1より上方に突出することにはならず、蓋体3及び中蓋5を取り外した際に、板状体Bの上端部が露出した状態になることがなく、他物が容易に接触するおそれがない。
【0069】
従って、支持用溝13に嵌め込まれて一定間隔に並列して保持されている板状体Bに大きな撓みや溝外れが発生することがなく、板状体Bの大きな撓み変形に伴うガラス基板同士の干渉に起因する破損を防止でき、ひいては板状体Bの薄肉化にも対応できるものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の搬送容器は、素板ガラス、液晶表示用やプラズマ表示用のガラス基板さらにはタッチパネル用のかなり薄肉のガラス基板その他の衝撃に弱い各種の板状体の搬送、保管に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0071】
A…搬送容器、B…板状体、1…容器本体、1a…バンド欠け用凹部、11…底部、12a,12b…側壁、13…支持用溝、14…段部、15…凸状段部、16…凸状部、17…凹部、18…支持用溝、19…突縁、21…切欠部、22a,22b…切欠段部、24…突縁、25a,25b…切欠部分、26a,26b…切欠段部、3…蓋体、3a…バンド掛け用の凹部、31…天板、32a,32b…嵌合壁、34…切欠部、4…天パッド、41…パッド片、5…中蓋、50a…中蓋部材、51a,51b…辺部、52a,52b…突縁、53…切欠部、54…支持用溝、55…凸状部、56…凹部、57…凸部、6…底パッド、61…パッド片。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状体を収容して搬送するための合成樹脂発泡体製の平面矩形の容器であって、上面が開口し、かつ、一方の相対向する側壁内面に板状体の側端部を支持する複数の支持用溝が設けられてなる容器本体と、前記容器本体の側壁上端部に嵌合する被着自在な蓋体と、該蓋体の内側で板状体の上端部を保持する中蓋とを備えてなる板状体の搬送容器において、
前記中蓋は、四周各辺部が側壁上端部の内側に嵌合することにより容器本体の各側壁の変形を抑制できる平板状の板体よりなることを特徴とする板状体の搬送容器。
【請求項2】
前記中蓋の少なくとも一方の相対向辺部の側端面に外方に突出する突縁が設けられ、該突縁が容器本体の側壁上端部の内側に形成された切欠段部に嵌合することにより所定位置に位置決めされて支持される請求項1に記載の板状体の搬送容器。
【請求項3】
前記中蓋の下面に、板状体の上端部を保護する天パッドが装着されてなる請求項1又は2に記載の板状体の搬送容器。
【請求項4】
前記中蓋の下面には、前記支持用溝を有する側壁と対応する相対向両辺部に沿って、それぞれ前記側壁上端部に嵌合した状態において前記側壁内面の支持用溝と同列に並列する複数の支持用溝を有する凸状部が設けられ、該凸状部間の凹部に天パッドが装着されてなる請求項3に記載の板状体の搬送容器。
【請求項5】
前記中蓋の下面には、前記相対向辺部の前記凸状部間の個所に、前記凸状部の支持用溝と同列に並列する複数の支持用溝を有する凸状部が設けられ、各凸状部間の凹部に分割形成された天パッドが装着されてなる請求項4に記載の板状体の搬送容器。
【請求項6】
前記中蓋は、前記支持用溝を有する側壁と対向する方向で複数の中蓋部材に分割され、分割された各中蓋部材の天板下面には、支持用溝を有する側壁と平行な両辺端部に前記支持用溝を有する凸状部が設けられるとともに、両凸状部間の凹部に複数に分割形成された天パッドが装着されてなる請求項5に記載の板状体の搬送容器。
【請求項7】
前記中蓋の少なくとも一方の相対向辺部の側端面における突縁が、前記凸状部より上面側の側端面に形成されている請求項4〜6のいずれか1項に記載の板状体の搬送容器。
【請求項8】
前記天パッドは、その下面が前記凸状部の突出高さより低く、かつ支持用溝の溝底位置より下方位置にあるフラットな板状をなしている請求項4〜7のいずれか1項に記載の板状体の搬送容器。
【請求項9】
中蓋の下面には、前記凸状部と直交する方向の他方の相対向辺部に沿って前記凸状部と同高さの凸部が設けられ、該凸部と凸状部が枠状に連続して形成されてなる請求項4〜8のいずれか1項に記載の板状体の搬送容器。
【請求項10】
前記中蓋の一方の相対向辺部の中央部に取手部用の切欠が設けられてなる請求項1〜9のいずれか1項に記載の板状体の搬送容器。
【請求項11】
前記蓋体は、容器本体の側壁上端部に対し外嵌合するように設けられ、前記中蓋は前記蓋体の嵌合位置下端より上で側壁上端部の内側に嵌合するように設けられてなる請求項1〜10のいずれか1項に記載の板状体の搬送容器。
【請求項12】
前記蓋体は、容器本体の側壁上端部に対し内嵌合するように設けられ、前記中蓋は前記蓋体の嵌合位置の下で前記側壁上端部の内側に嵌合するように設けられてなる請求項1〜10のいずれか1項に記載の板状体の搬送容器。
【請求項1】
板状体を収容して搬送するための合成樹脂発泡体製の平面矩形の容器であって、上面が開口し、かつ、一方の相対向する側壁内面に板状体の側端部を支持する複数の支持用溝が設けられてなる容器本体と、前記容器本体の側壁上端部に嵌合する被着自在な蓋体と、該蓋体の内側で板状体の上端部を保持する中蓋とを備えてなる板状体の搬送容器において、
前記中蓋は、四周各辺部が側壁上端部の内側に嵌合することにより容器本体の各側壁の変形を抑制できる平板状の板体よりなることを特徴とする板状体の搬送容器。
【請求項2】
前記中蓋の少なくとも一方の相対向辺部の側端面に外方に突出する突縁が設けられ、該突縁が容器本体の側壁上端部の内側に形成された切欠段部に嵌合することにより所定位置に位置決めされて支持される請求項1に記載の板状体の搬送容器。
【請求項3】
前記中蓋の下面に、板状体の上端部を保護する天パッドが装着されてなる請求項1又は2に記載の板状体の搬送容器。
【請求項4】
前記中蓋の下面には、前記支持用溝を有する側壁と対応する相対向両辺部に沿って、それぞれ前記側壁上端部に嵌合した状態において前記側壁内面の支持用溝と同列に並列する複数の支持用溝を有する凸状部が設けられ、該凸状部間の凹部に天パッドが装着されてなる請求項3に記載の板状体の搬送容器。
【請求項5】
前記中蓋の下面には、前記相対向辺部の前記凸状部間の個所に、前記凸状部の支持用溝と同列に並列する複数の支持用溝を有する凸状部が設けられ、各凸状部間の凹部に分割形成された天パッドが装着されてなる請求項4に記載の板状体の搬送容器。
【請求項6】
前記中蓋は、前記支持用溝を有する側壁と対向する方向で複数の中蓋部材に分割され、分割された各中蓋部材の天板下面には、支持用溝を有する側壁と平行な両辺端部に前記支持用溝を有する凸状部が設けられるとともに、両凸状部間の凹部に複数に分割形成された天パッドが装着されてなる請求項5に記載の板状体の搬送容器。
【請求項7】
前記中蓋の少なくとも一方の相対向辺部の側端面における突縁が、前記凸状部より上面側の側端面に形成されている請求項4〜6のいずれか1項に記載の板状体の搬送容器。
【請求項8】
前記天パッドは、その下面が前記凸状部の突出高さより低く、かつ支持用溝の溝底位置より下方位置にあるフラットな板状をなしている請求項4〜7のいずれか1項に記載の板状体の搬送容器。
【請求項9】
中蓋の下面には、前記凸状部と直交する方向の他方の相対向辺部に沿って前記凸状部と同高さの凸部が設けられ、該凸部と凸状部が枠状に連続して形成されてなる請求項4〜8のいずれか1項に記載の板状体の搬送容器。
【請求項10】
前記中蓋の一方の相対向辺部の中央部に取手部用の切欠が設けられてなる請求項1〜9のいずれか1項に記載の板状体の搬送容器。
【請求項11】
前記蓋体は、容器本体の側壁上端部に対し外嵌合するように設けられ、前記中蓋は前記蓋体の嵌合位置下端より上で側壁上端部の内側に嵌合するように設けられてなる請求項1〜10のいずれか1項に記載の板状体の搬送容器。
【請求項12】
前記蓋体は、容器本体の側壁上端部に対し内嵌合するように設けられ、前記中蓋は前記蓋体の嵌合位置の下で前記側壁上端部の内側に嵌合するように設けられてなる請求項1〜10のいずれか1項に記載の板状体の搬送容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
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【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−106777(P2012−106777A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258205(P2010−258205)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】
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