説明

果物及び野菜のフィルムとその使用法

本発明は、果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせから構成される単層、2層
、及び多層のフィルムであって、栄養ならびに果物及び野菜の風味を提供すると同時に、
薄さ、強度、柔軟性、及びパリパリとした食感を備え、海苔のような海藻を用いたフィル
ムの変形品もしくは代替品として提供される。このフィルムは、多様な食糧を包むものと
して便利であり、たとえば果物及び野菜で包まれた寿司及びおにぎりを含む、包装された
食品として提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果物及び野菜のフィルムに関する。より詳細には、本発明は、果物及び野菜
を用いたシートフィルムに関して、海苔のような海藻を用いたフィルムの代替品として、
薄さ、強度、柔軟性、及びパリパリとした食感を備え、さらに果物及び野菜の栄養、風味
、及び色を提供する。このフィルムは、多様な食糧を包むものとして便利であり、寿司及
びおにぎりを果物及び野菜で包んで提供するのに用いられる。
【背景技術】
【0002】
携帯型の食糧及びスナック食品を含む、幅広く便利で、栄養になり、味の良い食糧が求め
られている。そのような食糧を提供する便利な方法は、食糧を包装することである。包装
された食糧の例は、日本の手巻き寿司(ハンドロールアンドコーン)及びおにぎり/おむ
すび(ライスボール)である。現在、寿司及びおにぎり/おむすびを包む主要なシート製
品は、ポルフィラ(Porphyra)属の海藻より作られた藻類を用いた「海苔」であ
り、それらはシートへ処理され乾燥される。この製品は、紙を製造するのに類似の過程に
よって作られる。海藻海苔シートの重要で独特な特性は、折り畳んだ時に折り目できれい
に破砕できることである。高い重量に対する強度の比及び低水分での高い強度を持つ特性
は、食糧を包装するのに便利な薄いシートを作ることができる。海苔は、特にアジアの国
々で広く知られているが、多くの消費者が、海藻がアピールする味もしくは食感のものを
見つけることができない。
【0003】
市場には、海苔海藻の代替品がある。例は、レインボー海藻(Rainbow Seaw
eed)、100%澱粉で作られた有色のシート、及び長いキャベツの繊維を持つキャベ
ツを用いた野菜のシートを含む。しかし、これらは、貧弱な食感及び殆どもしくは全く風
味がないと報告されている。野菜もしくは果物の風味を持つ海藻海苔シートに対する代替
品は、全世界の大半の人にとって健康食品としての魅力を増加させるだろう。
【0004】
果物及び野菜を食べることにより、健康に有益であるという人々への教育は、全国的及び
国際的の両方での努力でなされている。米国農務省(The U.S. Departm
ent of Agriculture)の食品ガイドピラミッドでは、1日あたり成人
で2−4サービングの果物及び3−5サービングの野菜を消費するように勧告している。
「1日5つの健康増進計画(5−A−Day for a Better Health
Program)」は、果物及び野菜を少なくとも5サービング食べることによって国
民の健康を改善する目的で、国立癌研究所(National Cancer Inst
itute)及び健康増進財団(Produce for Better Health
Foundation)により発起されている。消費者は、食糧における便利さと多様
さを望むので、果物もしくは野菜で包装された食糧は、果物及び野菜の消費を増加させる
重大な要求を満たすことができ、携帯型食品、スナック食品、及びコンビニエンス食品を
含む、栄養になり味のよい食糧を提供する。
【0005】
食用となる果物及び野菜食品の報告がある。部分的に脱水した果物もしくは野菜片及びゲ
ルマトリックスから作られた中間水分食品は、Huxsollらによって米国特許第6,
623,779号に報告されている。対のスクリュー押し出しを使用して生産された、7
0から100%の果物及び野菜バーは、McHughらによって米国特許第6,027,
758号に報告されている。
【0006】
果物を用いた食用の包装と野菜を用いた食用の包装であって、作成の際に脂質を使用で
きるものは、SenesiとMcHughによって「果物を用いたマトリックスによる食
用フィルムの報告(Film e coperture eduli con matr
ici a base di frutta)」、Industrie Aliment
ari XLI、2002年12月、p.1289−1294;McHughとSene
siによって「林檎の包装:切りたての林檎の質と貯蔵寿命を改善する新しい方法(Ap
ple Wraps:A Novel Method to Improve the
Quality and Extend the Shelf Life of Fre
sh−Cut Apples)」、Journal of Food Science、
2000年、第65巻、第3号、p.480−485;McHughによって「果物及び
野菜の食用包装(Fruit and Vegetable Edible Wraps
)」、Asian Food Tech、2001年、第2巻、第4号、p.18−23
;McHughによって「食用包装(Edible Packaging)」、Reso
urce Magazine、2001年11月、p.7−8;McHughらによって
「果物及び野菜の包装:部分的に脱水された林檎片への応用(Fruit and Ve
getable Wraps: Application to Partially
Dehydrated Apple Pieces)」、F.Shahidi、A.Sp
anier、C−T.Ho、及びT.Bragginsが編集したQuality of
Fresh and Processed Foods、Kluwer Academ
ics/Plenum Publishing、2004年、第21章、p.289−2
99;McHughらによって「切りたての林檎の貯蔵寿命を延ばす林檎を用いた食用包
装(Apple−based Edible Wraps Extend the Sh
elf Life of Fresh Cut Apples)」、Abstract#
20A−33、IFT Annual Meeting Book of Abstra
cts、1998年、に報告されている。
【0007】
果物ピューレの食用フィルムとコーティング、及びそれらの特性は、McHughらに
よって「果物ピューレを用いた食用フィルムとコーティング(Fruit Puree−
Based Edible Films and Coatings)」、Spanie
r,A.、Tamura,M.、及びMills,0.が編集したIn Chemist
ry of Novel Foods、Allured Publishing Cor
poration, Carol Stream, IL、1997年、167−198
頁;McHughらによって「果物ピューレの食用フィルムの浸透特性(Permeab
ility Properties of Fruit Puree Edible F
ilms)」、Journal of Food Science、1996年、第61
巻、第1号、p.88−91に報告されている。
【0008】
果物もしくは野菜成分を含む、人間もしくはペットのための乾燥肉、皮、もしくはロープ
型食品は、報告されている。参照先は、米国特許第5,853,836号;米国特許第5
,773,070号;米国特許第5,549,921号;米国特許第5,084,296
号;米国特許第4,631,837号;米国特許第4,565,702号;米国特許第4
,205,093号である。
【0009】
ゲル化された食品成分は、米国特許出願第2002/0168460号及び米国特許第6
,663,910号に報告されている。スナック食品、食用のフィルムスナック、もしく
は巻かれた食用フィルムは、米国特許出願第2003/0224090号、米国特許出願
第2004/0043134号、及び米国特許第6,596,298号;米国特許第5,
962,053号;米国特許第5,264,235号に報告されている。
【0010】
果物もしくは野菜の成分を含まない、コーティングもしくはゲルカプセルを適用した食用
フィルムの使用は、報告されている。参照先は、米国特許第6,699,315号;米国
特許第6,375,981号;米国特許第6,083,582号;米国特許第5,928
,692号である。
【0011】
果物、野菜、もしくは果物及び野菜を用いたフィルムで求められることは、海藻を用いた
フィルムの変形品もしくは代替品として提供される性質を持つことである。
【特許文献1】米国特許第6,623,779号
【特許文献2】米国特許第6,027,758号
【特許文献3】米国特許第5,853,836号
【特許文献4】米国特許第5,773,070号
【特許文献5】米国特許第5,549,921号
【特許文献6】米国特許第5,084,296号
【特許文献7】米国特許第4,631,837号
【特許文献8】米国特許第4,565,702号
【特許文献9】米国特許第4,205,093号
【特許文献10】米国特許出願第2002/0168460号
【特許文献11】米国特許第6,663,910号
【特許文献12】米国特許出願第2003/0224090号
【特許文献13】米国特許出願第2004/0043134号
【特許文献14】米国特許第6,596,298号
【特許文献15】米国特許第5,962,053号
【特許文献16】米国特許第5,264,235号
【特許文献17】米国特許第6,699,315号
【特許文献18】米国特許第6,375,981号
【特許文献19】米国特許第6,083,582号
【特許文献20】米国特許第5,928,692号
【特許文献21】米国特許第4,784,864号
【非特許文献1】Industrie Alimentari XLI、2002年12月、1289−1294頁
【非特許文献2】Journal of Food Science、2000年、第65巻、第3号、p.480−485
【非特許文献3】Asian Food Tech、2001年、第2巻、第4号、p.18−23
【非特許文献4】Resource Magazine、2001年11月、p.7−8
【非特許文献5】In "Quality of Fresh and Processed Foods" edited by F.Shahidi, A.Spanier, C−T.Ho and T.Braggins Kluwer Academics/Plenum Publishing、2004年、第21章、p.289−299
【非特許文献6】IFT Annual Meeting Book of Abstracts Abstract、1998年、#20A−33
【非特許文献7】In Chemistry of Novel Foods, Spanier,A., Tamura,M. and Mills,0. (Eds.) Allured Publishing Corporation, Carol Stream, IL.、1997年、p.167−198
【非特許文献8】Journal of Food Science、1996年、第61巻、第1号、p.88−91
【非特許文献9】Potter著、Food Science 4th Ed. AVI Publishing Co., Westport, CT、1986年、p.296
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせから作られるフィルムであっ
て、海苔のような海藻を用いたフィルムの変形品もしくは代替品として、薄さ、強度、柔
軟性及びパリパリとした食感を備え、同時に果物及び野菜の栄養及び風味を提供する。そ
のフィルムは、多様な食糧を包むものとして便利であり、包装された食品を提供するのに
用いることが可能で、例として寿司及びおにぎりを果物及び野菜で包んだものを含む。
【0013】
特に本発明は、果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせの層を持つフィルムで
あって、その層は、固体成分百分率から計算して少なくとも75%の果物、野菜、もしく
は果物及び野菜の組み合わせのピューレから構成され、そのフィルムは、乾燥時の厚さが
約4から約7ミル(約0.1から約0.18mm)の範囲、含水量は約4から約8%の範
囲、及び水分活性が約0.2から約0.6の範囲である。
【0014】
1つの形態として、本発明のフィルムは、食用のポリマー層から構成される2層フィルム
であって、果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせを含み、果物、野菜、ならび
に果物及び野菜の組み合わせの層が、固体成分百分率から計算して約75%から100%
の果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせからそれぞれ構成される。
【0015】
別の形態として、本発明のフィルムは、果物を用いた、野菜を用いた、もしくは野菜と果
物を用いた、単層フィルムである。この形態において、果物を用いた単層フィルムは、固
体成分百分率から計算して約75%から90%の果物を含み、
野菜を用いた単層フィルムは、固体成分約75%から約100%の野菜を含み、また、果
物及び野菜の組み合わせを用いた単層フィルムは、固体成分百分率から計算して約75%
から100%の果物及び野菜の組み合わせを含む。
【0016】
さらに別の形態では、本発明のフィルムは、多層フィルムであって、先に記述されたよう
な2層フィルムと、1つもしくはそれ以上の追加の層を含む。
【0017】
そのフィルムは、末端消費者による後の使用のために、シート、ロール、もしくは任意の
都合の良い形で包装される。そのフィルムもしくはフィルム製品は、求められる水分活性
のフィルム及び水分含有率を維持するように、たとえば防湿層バッグもしくは他の容器、
または酸素及び防湿層のバッグならびに容器(たとえば金属で覆われたバッグ)で包装さ
れる。乾燥剤は、保存中に水分を吸収し、及び求められるパリパリとした食感の特性を維
持するために、フィルムの包装もしくはフィルム製品の包装に組み入れられる。あるいは
、そのフィルムは、製品の調製のために直接使用できる。
【0018】
そのフィルムは、携帯型の食糧及びスナック食品を含む、幅広く便利で、栄養になり、味
のよい食糧を提供するために、食糧のまわりの包むのに役立つ。本発明の特定の使用は、
寿司及びおにぎり/おむすびを包むことであり、海藻で包まれた食品の代替品を望む消費
者に対して製品を提供する。一方で、そのフィルムは多様な食糧を包むために使用でき、
及び本発明のもう1つの形態は、本発明のフィルムで包まれた製品である。そのフィルム
は、食糧の間に挟まれても使用できる。そのフィルムは、栄養、風味、色、及び目新しさ
を加えて、製品にさらなる魅力を付加できる。このように、本発明のフィルムは、健康的
で、便利で、風味に富んで、色彩豊かで、すぐに食べられるという使い易さで、ならびに
興味深い味及び食感がある製品を提供する。その製品は、即座の消費もしくは将来の消費
のために調整できる。将来的な消費の場合には、本発明のフィルムの特性である乾燥した
パリパリとした食感を維持するように、その製品が包装されるのが望ましい。
【0019】
本発明は、そのフィルム及び包装された製品を生産する方法も含む。
【0020】
本発明のフィルムの特別な利点は、海藻を用いた海苔のようなフィルムの代替品として
、薄さ、強度、柔軟性、及びパリパリとした食感といった独特な特性があり、ならびに果
物及び野菜の栄養及び風味を提供することである。
【0021】
本発明のフィルムの別な利点は、果物及び野菜の消費を増加させて、ならびに消費者が毎
日の食糧必要量を満たすのに役立つために、果物及び野菜製品を提供する重要な要求を適
える。
【0022】
発明のさらなる一層の利点は、携帯型食糧、スナック食品、及びコンビニエンス食品を含
む、栄養になり味のよい食糧の供給である。低脂肪及び低カロリーで栄養になる食糧の提
供は、消費者全体にとって重要であり、及び本発明は、増加する肥満症の問題を解決する
ために、重要な手段を提供できる。
【0023】
したがって、本発明の目的は、果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせを用いた
フィルムであって、海藻を用いた海苔のようなフィルムの代替品として、薄さ、強度、柔
軟性、及びパリパリとした食感といった独特な特性があり、同時に果物及び野菜の栄養及
び風味を提供することである。
【0024】
本発明のさらなる目的は、本発明のフィルムで包まれた食品の提供である。本発明のさら
なる一層の目的は、本発明のフィルム及び製品を生産する方法を提供することである。本
発明のその他の目的及び利点は、続く以下の記述から容易に明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0025】
食用フィルムとは、食用の材料から成る薄い層である。食用フィルムは、固体のシートと
して予め作られ、そして、食品、食物成分もしくは食品添加物の表面、周囲、もしくは挟
んだ状態で適用できる。
【0026】
果物もしくは野菜ピューレは、通常果物もしくは野菜を破砕して作られた、ペーストもし
くは液体の懸濁液を指す。果物もしくは野菜ピューレは、果肉葉肉全体から、もしくはそ
のようなピューレが部分的に脱水している場合は、果物もしくは野菜のペーストから調整
される。
【0027】
このように、ピューレは、異なる最終製品へ処理するために使用できる中間生産物である
。ピューレは、無菌的もしくはそうでない状態で熱処理ができるが、必ずしも熱処理は必
要ではない。ここで使用する「ピューレ」とは、熱処理及び熱処理をしない両方の果物も
しくは野菜全体の断片であり、選別もしくはパルプ化するような装置の下で機械的に粘性
のあるスラリー状に変形されたものを意味する。したがって、この細かく粉砕された果物
もしくは野菜原料は、原型を保った果肉もしくは葉肉の各々に分離した断片とは区別でき
る。ピューレは、水分4%の乾燥状態から98%の希釈状態の範囲で変動できる。
【0028】
成分百分率は、[(成分重量/成形における全体重量) × 100]で示される。
【0029】
固体成分百分率を成分百分率として示す式は、[(成分重量 × 固体成分百分率)/{
(成形における各成分重量 × 成形における各固体成分百分率)の合計} × 100
]を用いて計算される。計算は、例1において以下に示される。
【0030】
水分活性は、生物的及び化学的な反応を行うことが可能な系における自由水であり、遊離
量で定義される(Potter, 「食品科学第4版(Food Science 4
Ed.)」 AVI Publishing Co., Westport, CT
、1986年、p.296)。水分活性は、特定食品の絶対水分含量における水分活性と
異なる概念である。いくつかの食糧は、高い水準の総水分含量であり、一方で同時に低い
水分活性を持つことができる。水分活性を求める式は:A=VP/VPOにおいて、V
Pが食糧の温度Tにおける蒸気分圧であり、VPOは温度Tにおける純水の飽和蒸気圧で
ある。この比率は、食品が置かれている室温と気圧の条件の下で、周辺環境の蒸気圧にお
ける遊離水分含量の平衡状態として示される、食品の自由水の量を提供する。
【0031】
含水量は、AOAC(Association of Analytical Commu
nities)の公式法22.012を用いて決定される。それは、カールフィッシャー
滴定器を用いて、もしくは技術的に知られている他の方法によっても決定できる。
【0032】
本発明のフィルム
本発明は、果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせから作られるフィルムであっ
て、海苔のような海藻を用いたフィルムの変形品もしくは代替品として、薄さ、強度、柔
軟性、及びパリパリとした食感を備え、さらに果物及び野菜の栄養、風味、ならびに色を
提供する。本発明に含まれるフィルムは、果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わ
せ、及び食用のポリマー層を含む2層フィルムであって、
果物を用いた、野菜を用いた、ならびに野菜及び果物を用いた単層フィルムを含み、もし
くは、多層フィルムであって、上述したような2層フィルムと、1つもしくはそれ以上の
追加の層を含む。そのフィルムは、湿式キャスト成形における湿式キャスト成形全成分に
おける固体成分百分率から計算して、少なくとも75%の果物、野菜、もしくは果物及び
野菜の組み合わせを含み、成形される。
【0033】
本発明のフィルムは、以下に掲げる特性として独特な組み合わせを含む:乾燥フィルムの
厚さが約4から約7ミル(約0.1から約0.18mm)の範囲、含水量は約4から約8
%の範囲、及び水分活性が約0.2から約0.6の範囲であって、そのフィルムは、固体
成分百分率から計算して少なくとも75%の果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合
わせのピューレから構成される、果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせの層を
含む。乾燥フィルムの水分活性は、約0.35から約0.6の範囲でもよい。望ましい含
水量は、約4.5%から約7%の範囲であり、さらに望ましくは約4.5%から約5.5
%の範囲である。
【0034】
望ましい実施形態において、果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせの層におけ
る粒径は、約1700マイクロメーターを超えない。果物、野菜、もしくは果物及び野菜
の組み合わせの層における粒径は、できれば約15から約1700マイクロメーターの範
囲がよい。望ましい粒径は、約24から約1000マイクロメーターの範囲である。これ
らの範囲にある粒径の幅は、たとえば粒径が約50から約500マイクロメーターの範囲
及び粒径が約75から約500マイクロメーターの範囲が、本発明に含まれる。
【0035】
驚いたことに、薄さ、含水量、及び水分活性のこの独特の組み合わせの提供によって、薄
く、強く、柔軟に、曲げることができ、及びパリパリもしくはバリバリとした食感があり
、ならびに海苔のような海藻を用いたフィルムの代替品として提供できる、75%もしく
はそれ以上の果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせのピューレからなる果物及
び野菜を用いたフィルムが、初めて得られた。これらの特性を持つ果物、野菜、もしくは
果物及び野菜の組み合わせによるフィルムの開発は、難問の克服が求められた。
【0036】
本発明のフィルムは、技術的に知られている、混合、流し込み、及び乾燥を用いて調整さ
れる。
【0037】
そのフィルムは、多様な食糧の周囲の包装に役立ち、たとえば果物もしくは野菜で包んだ
寿司やおにぎりを含む、包装された食糧を提供するために使用できる。
【0038】
そのフィルムは、末端消費者による後の使用のために、シート、ロール、もしくは任意の
都合の良い形で包装できる。そのフィルムは、上述の求められる水分活性及び水分含有率
を維持するように、たとえば防湿層バッグもしくは他の容器、または酸素及び防湿層のバ
ッグならびに容器(たとえば金属で覆われたバッグ)で包装される。あるいは、そのフィ
ルムは、製品の調整のために直接使用できる。
【0039】
本発明の2層フィルム
望ましい実施形態において、本発明のフィルムは、2層フィルムを含む。本発明の用途に
おける、用語「2層フィルム」は、果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせの層
ならびに食用のポリマー層を指す。各々の層は、成形され、そして、2層フィルムとして
調整される。2層フィルムの調整の望ましい実施形態において、食用のポリマーの水溶液
は、準備され、そして、その溶液は、適切な担体基材上に流し込まれて、食用のポリマー
層を形成するために乾燥される。果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせの層は
、果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせの成分、及びフィルム成形溶液を作る
ための任意の成分とともに、混合もしくは混和されて作られる。この溶液は、食用のポリ
マー層に流し込まれ、2層フィルムを形成するために乾燥される。
【0040】
果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせの層の2層フィルムの成形
2層フィルムの果物、野菜、もしくは果物及び野菜の層は、固体成分百分率から計算して
約75%から100%の果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせをそれぞれ含む

【0041】
層中の果物成分は、1つの型の果物だけ、2つ、もしくはそれ以上の型の果物を含んでも
よい。いかなる果物も用いることが可能である。限定することのない例は、林檎、桃、西
洋梨、イチゴ、ラズベリー、クランベリー、ブルーベリー、マンゴー、バナナ、サクラン
ボ、アンズ、ダイオウ、グアバ、レーズン、及びナツメヤシを含む。
【0042】
層中の野菜成分は、1つの型の野菜のみ、2つ、もしくはそれ以上の型の野菜を含んでも
よい。限定することのない例は、ニンジン、トマト、ブロッコリー、ピーマン、パンプキ
ン、カボチャ(アジアンパンプキン)、スカッシュ、トウモロコシ、サツマイモ、ホウレン
ソウ、緑サヤインゲン、グリーンピース、及びアスパラガスを含む。本発明の用途となる
野菜成分は、人間の食用となるその他の植物原料である、たとえば小麦草や緑茶も含む。
【0043】
層中の果物及び野菜成分の組み合わせは、上述した果物と野菜ピューレの任意の組み合わ
せ、混合、もしくは混和であって、1つもしくはそれ以上の型の果物及び1つもしくはそ
れ以上の型の野菜を含む。たとえば果物成分は、付加的に甘み、及び/もしくは風味もし
くは色を、果物及び野菜の組み合わせのフィルムに対して、提供するために用いられる。
野菜成分は、付加的な強さ、パリパリとした食感、及び/もしくは風味もしくは色を、野
菜及び果物の組み合わせのフィルムに対して、提供するために用いられる。果物及び野菜
の組み合わせは、例として、ホウレンソウと桃、ホウレンソウとマンゴー、ホウレンソウ
と林檎、ホウレンソウと西洋ナシ、パンプキンと林檎、桃と黄色スカッシュ、トウモロコ
シと白ブドウがある。限定することのない組み合わせは、50:50、60:40、70
:30、80:20、90:10、95:5、99.9:0.1、100:0の果物:野
菜もしくは野菜:果物、または任意の比率である。
【0044】
本発明の果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせの層を作るために、フィルム成
形溶液を、以下に示される「湿式キャスト成形」によって調整する。果物、野菜、もしく
は果物及び野菜の組み合わせ成分は、ピューレとして提供される。ピューレは、1つの型
の果物もしくは野菜のみ、果物の混合もしくは混和、野菜の混合もしくは混和、または果
物及び野菜ピューレの組み合わせ、混合、もしくは混和から作られてもよい。以下で詳細
に論じるように、他の成分は、湿式キャスト成形に含まれてもよい。
【0045】
但し全ての場合において、固体成分百分率から計算した全湿式キャスト成形中の、果物、
野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせのピューレにおける百分率は、約75%から約
100%、望ましくは約80%から100%である。これらの範囲の百分率は、たとえば
76から80%、80から98%、83から95%、85から90%を用いてもよい。こ
れは、以下に例で示される。湿式キャスト成形における残存する固体百分率は、以下の詳
細及び例で論じる他の成分より構成される。
【0046】
最初のピューレにおける水分含有率は、変化する場合がある。基礎となるピューレは、望
まれる固体百分率を得るために必要に応じて、乾燥もしくは希釈されてもよい。
【0047】
他の成分は、成形によって作られた最終的なフィルムの、薄さ、強さ、柔軟さ、及びパリ
パリとした食感の維持といった、望まれる特徴を得るために十分な量を、湿式キャストフ
ィルム成形に組み入れてもよい。限定することのない他の成分の例は、食用の可塑剤源、
及び食用の可溶性繊維源、食用の不溶性繊維源、風味成分もしくは強化剤を含む食用のポ
リマー、及び着色源もしくは強化剤を含む。
【0048】
他の成分は、柔軟性、堅牢性、抗張力、風味、色、もしくは他の有利な特性を提供するた
めに加えられる、
但しその濃度は、追加の成分が湿式キャストフィルム成形から実質分離するほど高くある
べきでない。全ての他成分の合計百分率は、全固体成分が100%固体で示される、果物
、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせのピューレの合計百分率の合算における、固
体成分百分率から計算された。したがって、全ての他成分の組み合わせは、湿式キャスト
フィルム成形の固体成分百分率から計算して、25%以上であることはできない。一般的
に風味もしくは着色成分は、約0から1%である。可塑剤、ポリマー源、及び不溶性繊維
源は、別々にもしくは一緒に加えられてもよい。それらは、本出願における全ての他成分
及びピューレの合計が100%固体で構成される中における、約0%から約25%までの
範囲であって、約0%から20%、約0.05%から約20%、約0.04%から21.
06%、約3%から15%、約5%から12%、約8%から10%、約3%から5%、約
5%から8%、もしくはその中間の値を含む。追加成分が固体である場合には、水と混合
するもしくは湿式キャストフィルム成形に混合する前に可溶化するのが望ましい。
【0049】
上述のように、1つもしくはそれ以上の成分は、フィルムに柔軟性を提供するために、こ
こで言及された食用の可塑剤として、加えられてもよい。限定することのない食用の可塑
剤源の例は、グリセリン、ソルビトール、グリセリド、スクロース、グルコース、フルク
トース、高フルクトースコーンシロップ、キシロース、ポリオール、グリコール、もしく
はそれらの混合物を包含する糖質源を含む。果物濃縮物も、可塑剤源として用いられる。
この成分は、自然食品由来であるという利点を持つ。食用の可塑剤は、成形された最終フ
ィルム品の、薄さ、強さ、柔軟性、及びパリパリとした食感の維持といった、望まれる特
徴を得るための量が加えられる。
【0050】
ある成分は、湿式キャスト成形に、フィルム抗張力の改善を提供するために加えられても
よい。典型的な成分は、食用の繊維源を包含する食用のポリマー源を含む。限定すること
のない例は、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース、グアーガム、ローカストビーンガム、セルロースガム、キサンタンガム、
カラギーナン、アルギン、プロピレングリコール、ペクチン、アラビアゴム、天然澱粉(
コーンスターチ、ろう質のトウモロコシ澱粉、高アミロースのコーンスターチ、じゃがい
も、タピオカ、米、及び小麦澱粉を含む)、加工澱粉(酸修飾された、漂白された、酸化
された、エステル化された、エーテル化された、架橋された、及び酵素処理された澱粉を
含む)、さらに、加水分解された澱粉製品(マルトデキストリンを含む)、さらに、蛋白
質(ゼラチン、カゼイン、カゼイン塩、乳清、及び大豆由来の蛋白質を含む)を含む。
【0051】
食用の不溶性繊維源は、パリパリした食感及び/もしくは粘着性を減じるという有益な特
性を提供するために、湿式キャスト成形に加えられる。例は、リグニン、木材パルプ、粉
末セルロース、たとえばSolka Floc(登録商標)を含む。択一的にもしくは組
み合わせて、食用の不溶性繊維は、キャストフィルムにふりかけられる。
【0052】
風味料、甘味料、着色成分、または風味もしくは着色強化剤は、成形された最終フィルム
品の、薄さ、強さ、柔軟性、及びパリパリとした食感の維持といった、望ましい外観及び
/もしくは味を得るために、十分な量が加えられる。風味料は、認可されている自然もし
くは人工の風味料、強化剤、またはそれらの組み合わせのいかなる食糧を含む。これらは
、例として、調味料、香辛料、風味料、及びそれらの組み合わせを含む。任意の求められ
る風味の組み合わせは、本発明に含まれる。例は、トマトとバジル、ニンジンと生姜、ピ
ザ風味とトマト、メキシコの調味料、イタリアの風味調味料、カレー、パンプキン香辛料
を含む。
【0053】
甘味料は、認可されている自然のもしくは人工の甘味料またはそれらの組み合わせの任意
の食糧を含む。これらは、例として、スクロース、グルコース、及びアスパルテームを含
む。着色料は、認可されている自然のもしくは人工の着色料、着色強化剤、またはそれら
の組み合わせの任意の食糧を含む。
【0054】
湿式キャスト成形の調整、及び果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせの層の形
成における特性。その層は、技術的に知られている様々な工程によって形成できる。工程
の1つは、湿式キャスト成形を行うために、果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合
わせのピューレと任意の成分を一緒に、混合もしくは混和することである。湿式キャスト
成形は、物質的に均一であることが望ましい。
【0055】
粒径
本発明では、湿式キャスト溶液中の粒子の約80%が、溶液から流し込まれた湿式フィル
ムの厚さの約75%よりも小さいことが望ましい。したがって、たとえばニンジンを用い
たフィルムであって、35ミル(889マイクロメーター)の湿式キャストフィルムの厚
さである場合は、溶液中の粒子の約80%が約26.2ミル(665マイクロメーター)
よりも小さい粒径を持つことが望ましい。
【0056】
トマトピューレの湿式キャストの厚さが約25ミル(635マイクロメーター)である場
合は、溶液ピューレ中の粒子の約80%が約19ミル(476マイクロメーター)より小
さな粒径を持つことが望ましい。
【0057】
ブロッコリーピューレの湿式キャストの厚さが約50ミル(1,270マイクロメーター
)である場合は、ピューレ中の粒子の約80%が約37.5ミル(952.5マイクロメ
ーター)より小さな粒径を持つことが望ましい。
【0058】
果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせにおける、湿式キャスト成形における粘
性は、一般的に約6000から約25000cPsである。
【0059】
成形時におけるbrixは、成形時に用いられる、果物、野菜、もしくは果物及び野菜の
組み合わせのピューレ、あるいは成形中の他の成分によって異なる可能性がある。トマト
を用いた成形のbrixは、以下に例として記述されているように、約16から約17
brixであった。ブロッコリーを用いた成形のbrixは、約4から5 brixであ
った。ニンジンとニンニク及びニンジンと生姜を用いた湿式キャスト成形のbrixは、
約8から10 brixであった。
【0060】
2層フィルムにおける食用のポリマー層の成形
2層フィルムの食用のポリマー層を作る際に、フィルム成形加工溶液、すなわち、湿式キ
ャスト成形は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)のような食用のフィル
ム形成ポリマーより調整される。他のフィルム成形において共通して用いられるのは、食
用のポリマーであって、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、グアーガム、
ローカストビーンガム、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン、プロピレングリコー
ル、ペクチン、アラビアゴム、天然澱粉(コーンスターチ、ろう質のトウモロコシ澱粉、
高アミロースのコーンスターチ、じゃがいも、タピオカ、米、及び小麦澱粉を含む)、加
工澱粉(酸修飾された、漂白された、酸化された、エステル化された、エーテル化された
、架橋された、及び酵素処理された澱粉を含む)、加水分解された澱粉製品(マルトデキ
ストリンを含む)、蛋白質(ゼラチン、カゼイン、カゼイン塩、乳清、及び大豆由来の蛋
白質を含む)、ポリマー(ポリビニルピロリドン、メチクリレート共重合体、カルボキシ
ビニル共重合体、ポリデキストロース、もしくは先述の混合物を含む)、を含む。他の成
分は、含まれることが可能であり、たとえば風味成分も食用のポリマー層に含まれていて
よい。食用のポリマーフィルム成形溶液は、約1〜20%の範囲のHPMCもしくは他の
食用のポリマーの水溶液である。その望ましい範囲は、5〜20%の間であり、最も望ま
しい範囲は、10〜20%の間である。他の濃度は、本発明において、6から18%もし
くは6から12%が含まれる。例で以下に論じるように、ある便利なフィルム成形溶液は
、約2ミルの湿式キャストにおいて、17.5%のHMPCを含む水溶液である。
【0061】
2層フィルムの流し込み
技術的に知られている任意のコーティング技術は、本発明のフィルムを作るために用いら
れる。以下の記述において、フィルムの流し込みは、ナイフオーバーロールコーティング
「ギャップ・コーティング」として表される技術を用いて記載される。この工程は、基板
へ塗りつけられるコーティングによるものであり、その基板が、「ナイフ」と支持ローラ
の間の「ギャップ」を通過する。コーティングと基板が通り過ぎる時に、過剰量が削り取
られる。他の技術も、本発明に含まれ、例として、グラビアコーティング、リバースロー
ルコーティング、ミータリングロッド(マイヤーロッド)コーティング、スロットダイ(
挿入、押し出し)コーティング、イマーション(浸漬)コーティング、カーテンコーティ
ング、及びエアナイフコーティング、を含む。
【0062】
2層フィルムを作る望ましい実施形態において、食用のポリマー層は、適切な担体基板上
に流し込まれる。適切な担体基板は、食用のポリマー層に対して不浸透性であり、食用の
ポリマー形成が基板上で十分均一に分散することが可能であり、及び基板からの食用のポ
リマー層の容易な除去が可能である。そのような基板の典型的なものは、Mylar(登
録商標)(強い、耐熱のポリエステルフィルム)、Teflon(登録商標)(ポリテト
ラフルオロエチレン)、シリコン、セロハン、及び同類のものである。食用のポリマー層
は、その後フィルム形成のために乾燥される。乾燥した食用のポリマーフィルム層の厚さ
は、一般的に約0.2から約0.7ミル(約5から約18マイクロメーター)の範囲であ
る。
【0063】
乾燥は、求められる乾燥状態を得るために、トンネルオーブンで加熱、脱水装置、及び同
類のものを含む、技術的に知られる工程によって、必要に応じて実行されてもよい。追加
の乾燥のステップは、要求に応じて行なわれてもよい。赤外乾燥は、熱風衝撃乾燥工程を
増強するために、用いられてもよい。
【0064】
次に、湿式キャスト成形であって、他の成分を添加したもしくは添加しない果物、野菜、
もしくは果物及び野菜の組み合わせのピューレを含むものは、食用のポリマー層の上に流
し込まれる。一般的な湿式キャストの厚さは、約10から約50ミルの範囲である。他の
範囲も、例として、湿った状態の厚さで20から50ミル、20から45ミル、30から
45ミル、もしくは30から40ミル、を含む。フィルムは乾燥される。乾燥は、上述の
求められる乾燥状態を得るために、必要に応じて実行されてもよい。追加の乾燥のステッ
プは、要求に応じて行なわれてもよい。
【0065】
任意の都合のよい幅もしくは長さのフィルムは、たとえば12インチもしくは27インチ
の幅で、流し込まれることができ、巻き取りロールに巻きつけられる。
【0066】
あらかじめ作られた固体シートの2層フィルムは、以下に論じるような製品を作るために
直ちに用いることができもしくは将来の使用のために保存できる。保存は、望ましくはフ
ィルムのパリパリとした食感を維持するように行われる。ロールの束は、以下に論じるよ
うな、さらなる特定の利用のために処理できる。
【0067】
フィルムの特性
本発明のフィルムは、以下に掲げる特性として独特な組み合わせを持つ:乾燥時の厚さ
が約4から約7ミル(約0.1から約0.18mm)の範囲、含水量は約4から約8%の
範囲、及び水分活性が約0.35から約0.6の範囲であって、そのフィルムは、固体成
分百分率から計算して少なくとも75%の果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わ
せのピューレから構成される、果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせの層を含
むことを特徴とする。もし求められる水分含有率の条件を満たすために必要ならば、フィ
ルムは、フィルムの流し込み及び生産工程のさらに後で、乾燥できる。フィルムの厚さは
、食用のポリマー層の分を含み、一般的に約0.2から約0.7ミル(約5マイクロメー
ターから約18マイクロメーター)の範囲で変動する。望ましい実施形態において、果物
、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせの層における粒径は、約1700マイクロメ
ーターを超えない。ニンジン、トマト、及びブロッコリーの2層フィルムサンプルにpけ
る粒径範囲は、以下の例1の表2から4に記される。
【0068】
フィルムの重量は、24平方インチのフィルムシートあたり約1.4から約3.5グラム
の範囲であり、好ましくは24平方インチのフィルムシートあたり約1.4から約3.0
グラムの範囲であり、さらに好ましくは24平方インチのフィルムシートあたり約2.5
から約2.7グラムの範囲である。望ましいフィルムは、パリパリという食感で、求めら
れる風味で、細かく破砕可能で、そして無地で半透明である、すなわち、フィルムは細か
い筋を持つ。Mylar(登録商標)基板に流し込まれた時、フィルムは、Mylar(
登録商標)の上に直接流し込まれた側の滑らかな面、及び逆側の粗い面を持つ。つまりフ
ィルムは、栄養になり、薄く、曲げることができて、パリパリとした食感を備え、低水分
で強度を持つ。これは、よく噛む必要のある果物皮、ならびに他の従来の果物及び野菜の
食用フィルムもしくは皮との差異である。
【0069】
抗張力のある特徴は、本発明のフィルムにおける重要な特質である。抗張力は、フィル
ムの最大強度及び弾性率を決定し、ならびに伸び率は、フィルムの柔軟性を決定する。以
下の例1におけるテーブル5AからC及び6AからCは、本発明におけるニンジン及びト
マトの2層フィルムのサンプルにおける破壊に対する最大強度、弾性率、及び伸び率を含
む抗張力を示す。
【0070】
本発明における単層フィルム
用語「単層フィルム」は、果物を用いた、野菜を用いた、もしくは野菜及び果物の組み合
わせを用いたフィルムを指し、本発明の2層フィルムで言及された上述の食用のポリマー
層を含まない。単層フィルムも、上述の特性の独特な組み合わせを持ち、すなわち、乾燥
フィルムの厚さが約4から約7ミル(約0.1から約0.18mm)の範囲であり、含水
量は約4から約8%の範囲であり、及び水分活性が約0.2から約0.6の範囲である。
望ましい実施形態において、乾燥フィルム中の粒径は、約1700マイクロメートルを超
えない。望ましい粒径は、約15から約1700マイクロメートルの範囲で変動してもよ
い。望ましい粒径は、約24から約1000マイクロメートルの範囲である。これらの範
囲内の粒径範囲は、本発明に含まれる。
【0071】
本発明の果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせの単層フィルムを作るために
、果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせの成分は、フィルム成形溶液を作るた
めに、果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせ材料、ならびに任意の他の材料と
一緒に混合もしくは混和されて成形される。この溶液は、基板上に流し込まれ、フィルム
を形成するために乾かされる。2層での実施形態のように、果物、野菜、もしくは果物及
び野菜の組み合わせの成分は、ピューレとして提供される。
【0072】
果物を用いた単層フィルムにおいて、湿式キャスト成形中の果物ピューレ百分率は、湿
式キャスト成形における固体成分百分率約75%から約90%である。これらの範囲内の
百分率は、たとえば80%から85%を用いられる。2層フィルムと同様に任意の果物は
、用いることが可能で、1つの型の果物は、1つ、2つ、もしくはそれ以上の型の組み合
わせによって用いられてもよい。他の成分(湿式キャスト成形の固体成分百分率における
10から25%)は、本出願における全ての他の成分及びピューレの合計が100%固体
で構成される、湿式キャストフィルム成形に組み入れてもよい。
【0073】
限定することのない例は、他の材料であって、本発明の2層フィルムに関して上述され
たような、食用の可塑剤源、可溶性繊維源を含む食用のポリマー、食用の不溶性源、風味
成分もしくは強化剤、及び着色料もしくは強化剤、を含む。一般的に風味もしくは着色成
分は、湿式キャスト成形において1%を超えない。可溶性繊維源及び/もしくは食用の不
溶性繊維源を含む、食用のポリマーは、乾燥フィルムに求められる強さ及び/もしくはパ
リパリとした食感を提供する量が加えられる。10から25%を占める他の成分の約95
%は、食用のポリマー、不溶性繊維源、もしくはそれらの組み合わせを含むことが望まし
い。
【0074】
野菜を用いた単層フィルムにおいて、湿式キャスト成形の中の野菜ピューレ百分率は、
湿式キャスト成形の固体成分百分率から計算して約75%から約100%である。2層フ
ィルムの野菜の層に関して上述のように、これらの範囲内の百分率も、用いられる。2層
フィルムと同様に、任意の野菜が用いることが可能で、1つの型の野菜は、1つ、2つ、
もしくはそれ以上の型の組み合わせによって用いられてもよい。他の成分(湿式キャスト
成形の固体成分百分率における0から25%)は、本出願における全ての他の成分及びピ
ューレの合計が100%固体で構成される、湿式キャストフィルム成形に組み入れられて
もよい。限定することのない例は、他の材料であって、本発明の2層フィルムに関して上
述されたような、食用の可塑剤源、可溶性繊維源を含む食用のポリマー、食用の不溶性源
、風味成分もしくは強化剤、及び着色料もしくは強化剤、を含む。一般的に風味もしくは
着色成分は、湿式キャスト成形において1%を超えない。食用の可塑剤源は、乾燥フィル
ムに求められる柔軟性を提供する量が加えられる。可溶性繊維源及び/もしくは食用の不
溶性繊維源を含む食用のポリマーは、乾燥フィルムに求められる強さ及び/もしくはパリ
パリとした食感を提供する量が加えられる。2層フィルムの野菜の層に関して上述のよう
に、可塑剤源、ポリマー源、及び不溶性繊維源は、固体成分百分率から計算して約0から
約25%の範囲、もしくはその中間であってよい。
【0075】
果物及び野菜の組み合わせを用いた単層フィルムにおいて、湿式キャスト成形の中の果
物及び野菜ピューレ百分率は、湿式キャスト成形の固体成分百分率から計算して、約75
%から約100%である。2層フィルムに関して上述のように、これらの範囲内の百分率
も用いられる。果物及び野菜の型と組み合わせは、2層フィルムに関して上述の通りであ
る。本発明の2層フィルムに関して詳細に論じられたように、そのピューレは、1つの型
の果物もしくは野菜のみ、混合もしくは混和した果物、混合もしくは混和した野菜、また
は組み合わせ、混合、もしくは混和した果物及び野菜のピューレ、から作られてもよい。
果物及び野菜の組み合わせの成分は、乾燥フィルムに求められる特性を満たす、任意の果
物:野菜の比率であることができる。これは、50:50、40:60、30:70、2
0:80、10:90、 5:95の比率の果物:野菜ピューレ、及びその中間であって
よい。他の成分(湿式キャスト成形の固体成分百分率における0から25%)は、本出願
における全ての他の成分及びピューレの合計が100%固体で構成される、湿式キャスト
フィルム成形に組み入れてもよい。先に論じた、本発明の2層フィルムに関して上述され
たような他の材料の例は、食用の可塑剤源、可溶性繊維源を含む食用のポリマー、食用の
不溶性源、風味成分もしくは強化剤、及び着色料もしくは強化剤、を含む。一般的に風味
もしくは着色成分は、湿式キャスト成形において1%を超えない。2層フィルムに関して
上述のように、可塑剤源、ポリマー源、及び不溶性繊維源は、固体成分百分率から計算し
て約0から約25%の範囲、もしくはその中間であってよい。
単層フィルムは、適切な担体基板に直接流し込まれ、乾燥される。
【0076】
本発明の多層フィルム
多層フィルムは、上述されたような2層フィルムを含み、1つもしくはそれ以上の追加の
層を含む。1つもしくはそれ以上の追加の層は、果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組
み合わせを用いた層であってよく、食用のポリマー層、もしくはそれらの組み合わせであ
る。2層フィルムで上述されたように、その層は、流し込まれて乾燥される。
【0077】
本発明の製品
本発明におけるあらかじめ作られた食用の果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わ
せのフィルムは、食糧、食物成分、もしくは材料の表面、周囲、もしくは挟んだ状態で適
用できる。たとえば本発明のフィルムは、携帯型の食糧、持ち運び可能な食糧、コンビニ
エンスフード、及びスナック食品を含む、栄養になり、味のよい食糧を提供するために用
いられる。そのような食糧を提供する便利な方法は、食糧を包装することである。本発明
のフィルムは、乾燥した海藻に包まれた寿司もしくはおにぎり(ライスボール)の代わり
となることができ、新しく、風味があって、視覚的に魅力のある、色彩豊かな、及び健康
的な製品を提供する。風味に富んで、色彩豊かで、視覚的に魅力のある果物及び/もしく
は野菜の包装であって、寿司もしくはおにぎりに用いられる海藻の包装の代わりになる本
発明は、全世界の消費者に対して味の好みと健康を提供し、様々な風味の組み合わせを備
えたフィルムの発表を可能にする。
【0078】
本発明のフィルムは、手巻き寿司といった日本料理に用いられる、乾燥した海藻のシー
ト(海苔)の変形品もしくは代替品として用いられることが想定される。この場合、カリ
フォルニアロールは、海藻海苔の代わりとなる本発明の、果物、野菜、もしくは果物及び
野菜の組み合わせのフィルムで包まれる。「ライスポケット」を作る際において、稲荷寿
司の揚げ袋は、本発明のフィルムで作られる野菜もしくは果物の袋に置き換わる。
【0079】
本発明のフィルムは、任意の食物、食物成分、もしくは材料を、包んでもしくは囲んで
用いられることが想定される。限定することのない例は、任意の型の米、クスクス、豆腐
、じゃがいも、ヌードル、カニもしくは他の魚、肉、豆、木の実、オートミール、チーズ
、野菜、果物、卵、ポレンタ、パン、及びゼラチンゲルのような様々なゲルマトリックス
、を含む。食糧もしくは材料は、求められる風味をつけてもよい。
【0080】
例2で以下に論じるように、製品は、白米を包んだニンジンと生姜のフィルムであって
、レーズン及びパイナップル、ならびに着色用の基底フィルムの小片と一緒にしたもの、
もしくは白米を包んだトマトのフィルムであって、バジルとニンニクで風味を付けたもの
、を調整できる。限定することのない他の例は、オートミールを包んだ林檎とシナモンの
フィルムもしくは桃のフィルムを含む。つまり、果物フィルム、野菜フィルム、ならびに
果物及び野菜の組み合わせにおける単層、2層、及び多層フィルムの任意及び全ての組み
合わせは、多様な製品を提供するために、任意の型と組み合わせの材料を、包んで、貼り
つけて、もしくは挟んで用いることが想定される。
【0081】
本発明のフィルムもしくはフィルム製品は、本発明のフィルムの乾燥して、パリパリと
した食感という特性を維持するように包装されることが望まれる。1つの方法は、米国特
許第4,784,864号に記述されるような、2つの異なる食糧を包むために設計され
た包装紙を用いることである。包装紙は、中に、たとえば多量の米のような、食糧を保存
するための食糧包装の合成樹脂材料によって作られる内部の三角形のバッグと、内部のバ
ッグを取り囲むために同じ材料で作られた外部の三角形のバッグを持つ。本発明のフィル
ムは、そのフィルムと米が消費者によって包装紙が開かれるまでは接触しないようにする
ために、熱融着された内側のバッグと外側のバッグの間に置かれる。さらに、フィルムも
しくは製品は、防湿層容器もしくは酸素及び防湿層の容器で包まれてもよい。そのような
容器に典型的なのは、金属化されたバッグである。さらに、乾燥剤は、保存中に水分を吸
収し及び求められるパリパリとした食感の特性を維持するために、フィルムの包装もしく
はフィルム製品の包装に組み入れられる。
【0082】
フィルム及び/もしくは製品は、技術的に知られているように、製品の品質を維持する
必要に応じて保存される。
【0083】
製品は、技術的に知られた方法を用いて調整される。たとえば、包装されたライスポケ
ットの調整は、以下のように行なわれる:米は、希望通りに、洗われ、すすがれ、料理さ
れ、及び風味をつけられる。米の求められる部分は、本発明のフィルムで包まれ、即座の
消費、もしくは将来の消費のために配給される。将来の消費の場合において、製品は、本
発明のフィルムの乾燥して、パリパリとした食感という特性を維持するように、包装され
ることが望ましい。
【0084】
本発明の範囲は、上述のもしくは以下に記載された特定の例で論じる用途に制限されな
い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0085】

以下の例は、単に本発明をさらに説明するような意図であり、請求項によって定義される
、本発明の範囲を限定する意図ではない。
【実施例1】
【0086】
以下の例は、本発明のフィルムの成形及び流し込みについて記載する。
【0087】
材料
ニンジンピューレは、Stahlbush Island Farms, Inc.,
Corvallis, OR.より入手した。商品は、湯通しすること、ピューレにする
こと、華氏185度で殺菌すること、華氏36度まで冷やして包装すること、によって調
整された。それは、約12%の固体(w/w)、約88%の水分含量、約10.5°のbr
ix、約5.4のpH、及び調理されたニンジンで典型的に知覚される明るいニンジンの
オレンジ色(2.5のYR6/14に等しい色)、であった。
【0088】
トマトペーストは、California Fruit and Tomato Ki
tchens, Riverbank, CAより入手した。商品は、成熟した、赤い丸
型及び/もしくはトックリ型の種類のトマトからなる選別された汁を濃縮したものであっ
て、それは洗われ、仕分けされ、熱によって酵素が非活性化され、及び最低24%の天然
トマトの可溶性固形物(NTSS)になるまで蒸発されて、調整された。充填後、製品は
、密封容器の中で熱処理され、冷やされ、商業的に無菌な製品となった。そのペーストは
、約25%の固体(w/w)、約75%の水分含量、約24.03°のbrix、約4.
37のpH、48ポイントの色、及び熟れた、良質のトマトに特有な異臭のない風味/芳
香、であった。
【0089】
ブロッコリーピューレは、Stahlbush Island Farms, Inc
., Corvallis, OR.より入手した。商品は、湯通しすること、ピューレ
にすること、華氏185度で殺菌すること、華氏36度まで冷やして包装すること、によ
って調整された。それは、約10%の固体(w/w)、約90%の水分含量、約5.5°か
ら6.5°のbrix、約5.8から5.9のpH、及び調理されたブロッコリーで典型
的に知覚される、わずかに青緑がかった濃くて明るい緑色(2.5のGY6/8から2.
5のGY6/6に等しい色)、であった。
【0090】
ペクチンは、TIC Gums, Inc., Belcamp, MDが販売してい
る「TIC 1200」もしくは「TIC Pretested(登録商標) Pect
in 1460 Powder」を入手した。このペクチンは、柑橘類の皮から抽出され
た、天然の精製された多糖である。それは、無臭で、黄色から褐色がかった、粘着性の風
味を持つ自由な流動性の粉、として生じる。それは、オパールのようなコロイド溶液を形
成して、水に溶ける。それは、実際にアルコール中で溶けない。ペクチンの大部分は、1
−4連鎖したD−ガラクツロン酸のユニットである。カルボキシル基のいくつかは、メチ
ルアルコールでエステル化され、残りのカルボキシル基を持つユニットは、遊離酸形式も
しくはアンモニウム塩で存在する。物理的及び化学的な基準は、pH 3.4から4.2
、最小69%のエステル化度、最大10%の乾燥減量、である。
【0091】
粉末セルロースは、「Solka Floe(登録商標)」として販売されているもの
を入手した。、それは、高度に精製されたセルロースであり、ベータ−1、4グルカンユ
ニットから構成される。それは、白い、無臭で、及び風味のない固体である。以下の例で
論じるように、水は、流し込み成形へ添加するのに先立って、混合するために加えられた

【0092】
TIC Gums, Inc., Belcamp, MDから「TIC Prete
sted(登録商標) Pectin HM Slow Set Powder」という名
のペクチンは、販売されている。このペクチンは、柑橘類の皮から抽出された、天然の精
製され及び画一化された多糖である。それは、無臭で、黄色から褐色がかった、粘着性の
風味を持つ自由な流動性の粉、として生じる。それは、オパールのようなコロイド溶液を
形成して、水中で溶ける。それは、実際にアルコール中で溶けない。ペクチンの大部分は
、1−4連鎖したD−ガラクツロン酸のユニットである。カルボキシル基のいくつかは、
メチルアルコールでエステル化され、残りのカルボキシル基を持つユニットは、遊離酸形
式もしくはアンモニウム塩で存在する。ペクチンは、そのゼリー化する特性によって様々
に変化し、したがって通常は、一貫性のあるゲルを作るために糖質で画一化される。TI
C Pretested(登録商標) Pectin HM Slowは、150等級(
USA SAG)を持つ。メッシュ分析は、USS#60によって98%である。物理的
及び化学的な基準は、pH 3.4から4.0、145から150のUSA SAG、6
3から67%のエステル化度、である。
【0093】
グリセリン(グリセロール)は、入手された。それは、約100%の固体であった。ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロースは、Dow Chemical Companyから
入手できる。
【0094】
抗張力テストのための食塩水は、塩化マグネシウム(Mallinckrodt Ba
ker Inc., Paris, Kentucky)、硝酸マグネシウム(Malli
nckrodt Baker Inc., Paris, Kentucky)、塩化ナトリ
ウム(Fisher, Fair Lawn, New Jersey)、及び無水硫酸カル
シウム(W.A. Hammond Drierite Company LTD, Xen
ia, Ohio)、で入手した。
【0095】
フィルムの準備及び流し込む方法
2層フィルムのニンジン、トマト、及びブロッコリーの層における典型的な成形は、以下
の表1に示される。
【表1】

【0096】
2層フィルムにおける食用のポリマー層の成形は、HPMCの17.5%水溶液であっ
た。
【0097】
食用のポリマー層は、毎分約50フィートを約2ミルの湿式キャストの厚さでMyla
r(登録商標)基板に流し込まれて、乾燥された。
【0098】
以下は、表1に記載された湿式キャストニンジン成形を調整するための手順について記
述する。2つに分けられたバッチの半分は、この方法を用いて調整された。最初に、ニン
ジンを用いた成分(ピューレ)の詳細が、説明される。その用いられた成分は、87.8
%の含水量、10.5のBrix、5.4のpH、及び2.5 YR6/14に等しい色
、であった。好気生菌の数は、グラムあたり10以下であり、合計の大腸菌の数は、グラ
ムあたり10以下であり、E. Coliの数は、ゼロである。湿式キャスト成形は、以
下のように混合された。分離された容器において、10ポンドの水は、粘性の溶液を作る
ために、2.4ポンドの粉末セルロースSolka Floe(登録商標)300へ加え
られた。それは、その用いられる成分への後々の添加のために、完全に混合され保存され
た。その後、52.5ポンドである6%のTIC Pectin 1200溶液は、湿式
キャスト成形の真空撹拌槽に加えられた。撹拌器の速度は、約50%(30%から70%
の範囲)に調節された。次に、150ポンドのニンジン・ピューレは、真空撹拌槽に加え
られた。その溶液は、50%の速度で少なくとも10分間混合された。その溶液は、最高
華氏90度まで加熱された。次に0.1ポンドの黄色染料#6は、真空撹拌槽に加えられ
た。その粉末のSolka Floe(登録商標)混合物も、容器にゆっくり加えられ、
50%の速度で少なくとも10分間混合された。その温度及び撹拌速度は、混合中に混合
の渦を維持するために、必要に応じて監視されて調節された。その後、真空度は、少なく
とも15分間26インチ水銀柱以上に引かれた。ゆっくりした撹拌は、真空下で維持され
た。そして、この手順は、2つ目のバッチを作るために繰り返された。1つ目のバッチは
、華氏85度で18,870センチポアズの粘性を持ち、及び11.3%の固形含量を持
つ。2つ目のバッチは、華氏90度で17,170センチポアズの粘性を持ち、及び11
.2%の固形含量を持つ。その後、2つのバッチは、組み合わされ、容器を支えたライン
ポンプで保持された。
【0099】
ニンジンフィルムの流し込みの工程
その流し込みラインの調製は、人間食糧消費のために医薬品最適製造基準(GMP)に沿
って完成された。その槽の溶液温度は、華氏87度であった。その流し込み箱の溶液温度
は、華氏76度であった。湿った状態の厚さは、30ミルに調節された。赤外線ユニット
の温度は、貯蔵所1で華氏156度、貯蔵所2で華氏160度、貯蔵所3で華氏157度
、であった。赤外線送風機速度は、70%であり、 実行ポンプ速度は、20%であり、
オーブン湿度は、4%であり、ドラム温度は、華氏196度、であった。そのフィルムは
、7.4分間オーブンの中で加熱された。フィルム出口温度は、華氏181度であった。
この工程は、5.0%の含水量の、4×6インチ片が1.480gのニンジン・フィルム
を作る。ニンジンフィルムの束は、478フィート×27インチに伸ばされた。
【0100】
トマト及びブロッコリーの2層フィルムは、上述した表1のような成形を用いて調製さ
れた。トマトの層は、約25ミルの湿式キャストの厚さで流し込まれた。ブロッコリーフ
ィルムは、約50ミルの湿式キャストの厚さで流し込まれた。そのフィルムは、乾燥され
た。
【0101】
テストの方法
抗張力テストのための試料調製。試料は、ストライキングダイ(The Right I
mage, Sacramento, CA)を用いて調製された。そのダイは、犬用の
骨に似ていて、寸法が幅15mm×長さ100mmであり、幅35mm×長さ25mmのグリップ
ハンドルに向かって、鋭く張り出していた。フィルムは、8から10個の小口試料へと調
製され、3回繰り返された。
【0102】
試料は、無水硫酸カルシウム(CaSO、ドライエライト)、塩化マグネシウム(M
gCl)、及び塩化ナトリウム(NaCl)の塩溶液を含む湿度室で、それぞれ0、3
3、及び75%の平衡相対湿度を持って平衡に保たれた。
【0103】
塩溶液は、沸騰水中で最大の飽和溶液を作ることによって、実験室で調製された。冷却
後、その溶液は、水分活性メーター (Aqua Lab, Pullman, WA)
を用いて検証された。
【0104】
抗張力テスト条件
果物及び野菜のフィルムの伸長可能な特性は、インストロン万能テスト機5500R (
Instron Corporation Headquarter, Canton,
MA)によって、100Nのロードセルを用いて検査された。ASTM方法D882−
91、1991年は、我々の標準的なテスト方法を開発するのに用いられた。試料の厚さ
は、110mmの間隔で空圧駆動のグリップに置かれる前に、測微計を用いて、正確に0
.001mmになるよう測定された。グリップの最大圧力は、138 kPaであった。
グリップの分離割合は、7.5mm/分であった。シリーズIX材料テストソフトウェア
(Instron Corporation Headquarter, Canton
, MA)は、TS、EM、及び%Eを決定するために用いられた。室内条件は、25±
3℃及び40±10%相対湿度であった。試料は、湿度室の中で保存され、テスト直前に
取り出された。
【0105】
粒径は、ベックマン・クルターLS粒径分析器モデルLS230(Beckman C
oulter Corporation)を用いて分析された。
【0106】
水分活性は、AquaLab CX‐2を用いて測定された。試料は、AquaLab
の操作手引書に従って、調製され分析された。
【0107】
結果
ニンジン・フィルムは、5%の含水量であった。ロールの束から得られた42試料からの
平均結果は、1.45グラムの平均重量、4ミルの平均皮膜厚さ、0.5の平均水分活性
、であった。
【0108】
ニンジン、トマト、及びブロッコリーの2層フィルムにおける粒径のデータは、表2、
3、及び4にそれぞれ示される。ニンジン及びトマトの2層フィルムにおける抗張力のデ
ータは、表5A、5B、5C、及び表6A、6B、6Cにそれぞれ示される。
【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【実施例2】
【0109】
以下の例は、米が本発明のフィルムで包装されたことを特徴とするおにぎりに類似する
本発明の製品における本発明の製品の調製について記述する。
【0110】
ニンジン、トマト、及びブロッコリーの2層フィルムは、例1において上述したような
成形であって、25ポンドの成形あたりニンジンフィルムが25グラムの生姜を含む例を
追加して、調製された。
米は、洗われ、すすがれ、及び調理され、ならびに調理された米は、果物もしくは香辛料
を加えて成形された。ニンジンと生姜のフィルムに対する米は、レーズン、パイナップル
、及びニンジンと生姜のフィルムの着色のための小片を含む。トマトのフィルムに対する
米は、バジルとニンニクで風味付けされた。
米の成形は、表7及び8で示される
【表7】

【表8】

【0111】
本発明の乾燥フィルムは、まず海苔を用いたおにぎり/ライスボールの包装に類似する
プラスチックの包装で内側を包んで、及び本発明のプラスチック包装されたフィルムは、
米の周囲を包んだ。この方法で、フィルムは、米が消費されるまで、乾燥して、パリパリ
とした食感という特性を維持した。プラスチックの包装がフィルムから取り除かれた時に
、本発明における柔軟性のあるフィルムは、消費者によって使われて米のまわりを包んだ

【実施例3】
【0112】
以下の例は、本発明の果物及び野菜の組み合わせの単層フィルムの調製について記述す
る。120グラムの全体の溶液重量は、以下のように調製された。
【0113】
28グラムのほうれん草ピューレ及び9グラムの桃ピューレは、83グラムの水と混ぜ
られ、ポリトロンホモジナイザーを用いて均質化された。固体成分百分率から計算した湿
式フィルム成形中の果物及び野菜ピューレの組み合わせの百分率は、100%である。5
0グラムのこの溶液は、直径5インチのTeflon(登録商標)の鋳型へ注がれ、湿度
を管理した乾燥機中で一晩乾燥させた。作られたフィルムは、2.6グラムの重量、6.
0ミルの平均の厚さ、及び22.3℃で0.469の水分活性であった。
【0114】
先の詳細な記載は、単なる説明の目的であり、その改良や変形は、本発明の本質及び範
囲の範疇であって外れることはない部分でされてもよい。ここに引用された全ての出版物
及び特許は、参考文献によってそれらの全体が盛り込まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせの層を含む食用フィルムであって、層
は、固体成分百分率から計算して少なくとも75%の果物、野菜、もしくは果物及び野菜
の組み合わせのピューレであり、
フィルムは、乾燥時の厚さが約4から約7ミル(約0.1から約0.18mm)の範囲
、含水量は約4から約8%の範囲、及び水分活性が約0.2から約0.6の範囲である食
用フィルム。
【請求項2】
2層フィルムであって、食用のポリマー層、ならびに果物、野菜、もしくは果物及び野
菜の組み合わせを含み、果物、野菜、ならびに果物及び野菜の組み合わせの層が、それぞ
れ固体成分百分率から計算して約75%から100%の果物、野菜、もしくは果物及び野
菜の組み合わせである、請求項1に記載の食用フィルム。
【請求項3】
果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせから構成される単層フィルムであって
、固体成分百分率から計算して約75%から約90%の果物のピューレであり、
野菜の単層フィルムであって、固体成分百分率から計算して約75%から約100%の
野菜のピューレであり、ならびに果物及び野菜の組み合わせの単層フィルムであって、固
体成分百分率から計算して約75%から約100%の果物及び野菜の組み合わせのピュー
レである、請求項1に記載の食用フィルム。
【請求項4】
多層フィルムであって、(a)食用のポリマー層と、
(b)果物、野菜、ならびに果物及び野菜の組み合わせの層は、それぞれ固体成分百分
率から計算して約75%から100%の果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせ
のピューレである、果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせの層と、ならびに(
c)1つもしくはそれ以上の層であって、果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わ
せの層と、を含む、
食用のポリマー層もしくはそれらの組み合わせを含む請求項1に記載の食用フィルム。
【請求項5】
前記果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせの層であって、さらに固体成分百
分率から計算して全体の約0%から25%に他の材料を含み、前記他の材料であって、1
つもしくはそれ以上の、可塑剤、食用のポリマー、食用の不溶性繊維、風味成分、風味強
化剤、色素源、着色剤、もしくはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の食用フィ
ルム。
【請求項6】
食糧、食物成分、もしくは食品添加物と、前記請求項1に記載の食用フィルムとの組み
合わせを含む食品。
【請求項7】
前記フィルムは、食糧、食物成分、及び食品添加物に、周囲を包まれ、挟まれ、もしく
は付けられる、請求項6に記載の食品。
【請求項8】
前記食品、食物成分、もしくは食品添加物は、米、クスクス、豆腐、じゃがいも、ヌー
ドル、魚、肉、豆、木の実、オートミール、チーズ、野菜、果物、卵、ポレンタ、パン、
及び様々なゼラチンゲルのようなゲルマトリックスより構成される群から選択される、請
求項7に記載の食品。
【請求項9】
前記食用フィルムは、2層、単層もしくは多層である、請求項6に記載の食品。
【請求項10】
食用フィルムの含水量を維持するように包装された、請求項6に記載の食品。
【請求項11】
前記包装は、包装紙が前記食品、食物成分、もしくは食品添加物をその中に保持するた
めに食糧を包装する合成された樹脂により作られた内側のバッグ、及び内側のバッグを包
む同じ材料により作られた外側のバッグを含む、を包含し、
包装紙を開けるまでは、フィルム及び食品、食物成分、もしくは食品添加物が互いに接
しないように、前記食用フィルムが、熱融着した内側のバッグと前記外側のバッグの間に
配置される、請求項10に記載の包装された食品。
【請求項12】
前記包装は、防湿の容器、もしくは酸素及び防湿の容器を含む、請求項10に記載の包
装された食品。
【請求項13】
前記包装は、乾燥剤を含む、請求項10に記載の包装された食品。
【請求項14】
食用フィルムの含水量を保つために包装された、請求項1に記載の食用フィルム。
【請求項15】
前記包装は、防湿の容器、もしくは酸素及び防湿の容器を含む、請求項14に記載の包
装された食用フィルム。
【請求項16】
前記包装は、乾燥剤を含む、請求項14に記載の包装された食品。
【請求項17】
湿式キャスト成形であって、全湿式キャスト成形中の固体成分百分率から計算して少な
くとも75%の果物、野菜、もしくは果物及び野菜の組み合わせのピューレを含む、請求
項1に記載の食用フィルムを調整するための湿式キャスト成形。
【請求項18】
請求項17に記載の湿式キャスト成形及びフィルムの流し込みを調製するステップであ
って、湿式キャスト溶液中の約80%の粒子は、成形における湿ったフィルムキャストの
厚さの約75%よりも小さいことを含む、食用フィルムを調製する方法
【請求項19】
さらにキャストフィルムを乾燥させるステップを含み、乾燥フィルムが厚さ約4から約
7ミル(約0.1から約0.18mm)の範囲と、含水量は約4から約8%の範囲と、及
び水分活性が約0.2から約0.6の範囲と、である、請求項18に記載の方法
【請求項20】
含水量を約4から約8%の範囲で維持するために、乾燥フィルムの包装をさらに含む、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
乾燥フィルムを包装する前に、食品、食物成分、及び食品添加物に対して、周囲に、も
しくは挟んだ状態で乾燥フィルムを使用することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
食品、食物成分、及び食品添加物は、米、クスクス、豆腐、じゃがいも、ヌードル、魚
、肉、豆、木の実、オートミール、チーズ、野菜、果物、卵、ポレンタ、パン、及び様々
なゼラチンゲルのようなゲルマトリックスより構成される群から選択される、請求項21
に記載の方法。

【公表番号】特表2008−512119(P2008−512119A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531257(P2007−531257)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/031648
【国際公開番号】WO2006/029128
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(500228193)
【出願人】(507074007)
【Fターム(参考)】