説明

架橋型シアニン化合物及び該化合物を用いた光学記録材料

【課題】吸収波長特性及び耐光性に優れ、レーザ光による光学記録材料に用いられる光学要素に適した化合物を提供すること。
【解決手段】式(I)で表されるシアニン化合物。(式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子等の基。R及びRは、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜30の有機基等の置換基。R〜Rは互いに連結して環構造を形成していてもよく、N−Rは、隣接するポリメチン鎖中のメチレン基と互いに連結して複素環を形成していてもよい。Xは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子等。Zは、炭素原子数1〜10の有機基であり、nは1又は2で、rは2〜8で、Anq−はq価のアニオン。qは、1又は2であり、pは電荷を中性に保つ係数。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として光学記録材料等に用いられる架橋型シアニン化合物及びその金属錯体に関し、詳しくは、主として情報をレーザ等による情報パターンとして付与することにより記録する光学記録媒体に使用される光学記録材料に関し、さらに詳しくは、紫外及び可視領域の波長を有し且つ低エネルギーのレーザ等による高密度の光学記録及び再生が可能な光学記録媒体に使用される光学記録材料に関する。
【背景技術】
【0002】
光学記録媒体は、一般に、記録容量が大きく、記録又は再生が非接触で行なわれること等の優れた特徴を有することから、広く普及している。WORM、CD−R、DVD±R等の追記型の光ディスクでは、記録層の微小面積にレーザを集光させ、光学記録層の性状を変えて記録し、記録部分と未記録部分との反射光量の違いによって再生を行なっている。
【0003】
現在、上記の光ディスクにおいては、記録及び再生に用いる半導体レーザの波長は、CD−Rは750〜830nmであり、DVD−Rは620nm〜690nmであるが、更なる容量の増加を実現すべく、短波長レーザを使用する光ディスクが検討されており、例えば、記録光として380〜420nmの光を用いるものが検討されている。
【0004】
短波長記録光用の光学記録媒体において、光学記録層の形成には、各種化合物が使用されている。例えば、特許文献1〜3には特定の構造を持つシアニン化合物を含有する光学記録材料が報告されている。しかし、これらの化合物は、光学記録層の形成に用いられる光学記録材料としては、その吸収波長特性及び耐久性が必ずしも適合するものではなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2001−301333号公報
【特許文献2】特開2004−339460号公報
【特許文献3】特開平11−58961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、吸収波長特性及び耐光性に優れ、レーザ光による光学記録材料に用いられる光学要素に適した化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、検討を重ねた結果、N−側鎖で架橋された特定の構造を有するシアニン化合物が、吸収波長特性及び耐光性に優れることを知見し、これを使用することにより、上記課題を解決しうることを知見した。
【0008】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、下記一般式(I)で表されるシアニン化合物を提供することで、上記目的を達成したものである。
【0009】
【化1】

(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数1〜30の有機基あるいは下記一般式(II)、下記一般式(II’)又は下記一般式(III)で表される基を表し、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜30の有機基又は下記一般式(III)で表される置換基を表し、R1とR2は、互いに連結して環構造を形成していてもよく、R3とR4は、互いに連結して複素環を形成してもよく、N−R3は、隣接するポリメチン鎖中のメチレン基と互いに連結して複素環を形成していてもよい。Xは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、−CR56−、−NH−又は−NYj−を表わし、R5及びR6は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜30の有機基あるいは下記一般式(II)、下記一般式(II’)又は下記一般式(III)で表わされる置換基を表わし、R5とR6は、互いに連結して環構造を形成していてもよく、Yjは、炭素原子数1〜30の有機基又は下記一般式(III)で表される基を表す。Z0は、炭素原子数1〜10の有機基であり、nは1又は2であり、rは2〜8であり、Anq-はq価のアニオンを表し、qは、1又は2であり、pは電荷を中性に保つ係数を表す。)
【0010】
【化2】

(上記一般式(II)において、WとTの間の結合は二重結合、共役二重結合又は三重結合であり、Wは炭素原子を表し、Tは炭素原子、又は窒素原子を表し、x、y、zは0又は1を表し、aは0〜4の数を表し、R7は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜4のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、該アルキル基又はアルコキシ基中のメチレン基は、−O−又は−CO−で置換されていてもよく、R8、R9、R10は水素原子、ハロゲン原子又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基中のメチレン基は、−O−又は−CO−で置換されていてもよく、R8とR10は、結合して環構造を形成してもよい。上記一般式(II’)において、W’とT’の間の結合は二重結合又は共役二重結合であり、W’は炭素原子を表し、T’は炭素原子、又は窒素原子を表し、a’は0〜4の数を表し、W’、T’を含む環は、ヘテロ原子を含んでもよい5員環、ヘテロ原子を含んでもよい6員環、ナフタレン環、キノリン環、イソキノリン環、アントラセン環又はアントラキノン環を表し、これらW’、T’を含む環は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基で置換されていてもよい。)
【0011】
【化3】

(式中、Ra〜Riは、各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基中のメチレン基は、−O−又は−CO−で置換されていてもよく、Zは、直接結合又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、該アルキレン基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−N=CH−又は−CH=CH−で置換されていてもよく、Mは、Fe、Co、Ni、Ti、Cu、Zn、Zr、Cr、Mo、Os、Mn、Ru、Sn、Pd、Rh、Pt又はIrを表す。)
【0012】
また本発明は、下記一般式(IV)で表されるシアニン化合物を提供することで、上記目的を達成したものである。
【0013】
【化4】

(式中、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数1〜30の有機基あるいは下記一般式(II)、下記一般式(II’)又は下記一般式(III)で表される基を表し、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜30の有機基又は下記一般式(III)で表される置換基を表し、R11とR12は、互いに連結して環構造を形成していてもよく、R19は、水素原子又は炭素原子数1〜30の有機基を表し、R13とR14は、互いに連結して複素環を形成してもよく、N−R13は、ポリメチン鎖中のメチレン基と互いに連結して複素環を形成していてもよい。Z00は、炭素原子数1〜10の有機基であり、mは0又は1であり、sは2〜8であり、Anq-、q、pは、上記一般式(V)と同じである。)
【0014】
また、本発明は、下記一般式(V)で表されるシアニン化合物を提供することで、上記目的を達成したものである。
【0015】
【化5】

(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数1〜30の有機基あるいは下記一般式(II)、下記一般式(II’)又は下記一般式(III)で表される基を表し、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜30の有機基又は下記一般式(III)で表される置換基を表し、R1とR2は、互いに連結して環構造を形成していてもよく、R3とR4は、互いに連結して複素環を形成してもよく、N−R3は、隣接するポリメチン鎖中のメチレン基と互いに連結して複素環を形成していてもよい。Xは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、−CR56−、−NH−又は−NYj−を表わし、R5及びR6は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜30の有機基あるいは下記一般式(II)、下記一般式(II’)又は下記一般式(III)で表わされる置換基を表わし、R5とR6は、互いに連結して環構造を形成していてもよく、Yjは、炭素原子数1〜30の有機基又は下記一般式(III)で表される基を表す。Z1は、直接結合、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基又はp−ジアルキレンベンゼンであり、該アルキレン基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−N=CH−又は−CH=CH−で置換されていてもよく、nは1又は2であり、Anq-はq価のアニオンを表し、An’q'-はq’価のアニオンを表し、q及びq’は、それぞれ独立に1又は2であり、p及びp’は電荷を中性に保つ係数を表す。)
【0016】
また、本発明は、下記一般式(VI)で表されるシアニン化合物を提供することで、上記目的を達成したものである。
【0017】
【化6】

(式中、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数1〜30の有機基あるいは上記一般式(II)、上記一般式(II’)又は上記一般式(III)で表される基を表し、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜30の有機基又は上記一般式(III)で表される置換基を表し、R11とR12は、互いに連結して環構造を形成していてもよく、R19は、水素原子又は炭素原子数1〜30の有機基を表し、R13とR14は、互いに連結して複素環を形成してもよく、N−R13は、ポリメチン鎖中のメチレン基と互いに連結して複素環を形成していてもよい。Z3は、直接結合、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基又はp−ジアルキレンベンゼンであり、該アルキレン基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−N=CH−又は−CH=CH−で置換されていてもよく、mは0又は1であり、Anq-、q、p、An’q'-、q’及びp’は、上記一般式(V)と同じである。)
【0018】
また、本発明は、上記シアニン化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする光学記録材料を提供することで、上記目的を達成したものである。
【0019】
また、本発明は、基体上に、上記光学記録材料から形成された光学記録層を有することを特徴とする光学記録媒体を提供することで、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、光学要素として適する吸収波長特性及び耐光性に優れた新規なシアニン化合物を提供することができる。また、該化合物を含有してなる光学記録材料は、光学記録媒体の光学記録層の形成に好適に用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明のシアニン化合物、並びに該化合物を含有してなる光学記録材料について、好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
【0022】
まず、上記一般式(I)で表される本発明のシアニン化合物について説明する。
上記一般式(I)におけるR1及びR2で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、上記一般式(I)におけるR1、R2、R3及びR4、並びにX中の基であるR5、R6及びYjで表される炭素原子数1〜30の有機基としては特に制限を受けず、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチル、ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ペプタデシル、オクタデシル等のアルキル基;ビニル、1−メチルエテニル、2−メチルエテニル、プロペニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、デセニル、ぺンタデセニル、1−フェニルプロペン−3−イル等のアルケニル基;フェニル、ナフチル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−ビニルフェニル、3−イソプロピルフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−ブチルフェニル、4−イソブチルフェニル、4−第三ブチルフェニル、4−ヘキシルフェニル、4−シクロヘキシルフェニル、4−オクチルフェニル、4−(2−エチルヘキシル)フェニル、4−ステアリルフェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4−ジ第三ブチルフェニル、シクロヘキシルフェニル等のアルキルアリール基;ベンジル、フェネチル、2−フェニルプロパン−2−イル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル等のアリールアルキル基及びこれらの炭化水素基がエーテル結合、チオエーテル結合で中断されたもの、例えば、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、2−ブトキシエチル、メトキシエトキシエチル、メトキシエトキシエトキシエチル、3−メトキシブチル、2−フェノキシエチル、2−メチルチオエチル、2−フェニルチオエチルが挙げられ、更にこれらの基は、アルコキシ基、アルケニル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。
【0023】
上記一般式(I)におけるR1とR2とが連結して形成する環構造としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピペリジン環、ピペラジン環、ピロリジン環、モルフォリン環、チオモルフォリン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、イミダゾール環、オキサゾール環、イミダゾリジン環、ピラゾリジン環、イソオキサゾリジン環、イソチアゾリジン環等が挙げられ、上記一般式(I)におけるX中の基であるR5とR6とが連結して形成する環構造としては、ピペリジン環、ピペラジン環、ピロリジン環、モルフォリン環、チオモルフォリン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、イミダゾール環、オキサゾール環、イミダゾリジン環、ピラゾリジン環、イソオキサゾリジン環、イソチアゾリジン環等が挙げられ、これらの環は他の環と縮合されていたり、置換されていたりしてもよい。
上記一般式(I)におけるR3とR4並びに上記一般式(I)におけるN−R3が隣接するポリメチン鎖中のメチレン基と互いに連結して形成する複素環としては、ピペリジン環、ピペラジン環、ピロリジン環、モルフォリン環、チオモルフォリン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、イミダゾール環、オキサゾール環、イミダゾリジン環、ピラゾリジン環、イソオキサゾリジン環、イソチアゾリジン環等が挙げられ、これらの環は他の環と縮合されていたり、置換されていたりしてもよい。
【0024】
上記一般式(I)におけるZ0で表される炭素原子数1〜10の有機基としては、例えば、2〜8価のアルコール又はフェノールの残基を挙げることができる。
2〜8価のアルコール又はフェノールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、ソルバイト等の2価アルコール;カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン等の2価フェノール:グリセリン、トリオキシイソブタン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、2,3,4−ヘキサントリオール、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール、ペンタメチルグリセリン、ペンタグリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、1,2,3,4−ペンタンテトロール、2,3,4,5−ヘキサンテトロール、1,2,4,5−ペンタンテトロール、1,3,4,5−ヘキサンテトロール、ジグリセリン、ソルビタン等の4価アルコール;アドニトール、アラビトール、キシリトール、トリグレセリン等の5価アルコール;ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、イノシトール、ダルシトール、タロース、アロース等の6価アルコール;蔗糖等の8価アルコール等が挙げられる。
【0025】
上記一般式(I)において、Anq-で表されるアニオンとしては、例えば、一価のものとして、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、フッ素アニオン等のハロゲンアニオン;過塩素酸アニオン、塩素酸アニオン、チオシアン酸アニオン、六フッ化リンアニオン、六フッ化アンチモンアニオン、四フッ化ホウ素アニオン等の無機系アニオン;ベンゼンスルホン酸アニオン、トルエンスルホン酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ジフェニルアミン−4−スルホン酸アニオン、2−アミノ−4−メチル−5−クロロベンゼンスルホン酸アニオン、2−アミノ−5−ニトロベンゼンスルホン酸アニオン等の有機スルホン酸アニオン;オクチルリン酸アニオン、ドデシルリン酸アニオン、オクタデシルリン酸アニオン、フェニルリン酸アニオン、ノニルフェニルリン酸アニオン、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスホン酸アニオン等の有機リン酸系アニオン、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドアニオン、ビスパーフルオロブタンスルホニルイミドアニオン、パーフルオロ-4-エチルシクロヘキサンスルホネートアニオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸アニオン、トリス(フルオロアルキルスルホニル)カルボアニオン等が挙げられ、二価のものとしては、例えば、ベンゼンジスルホン酸アニオン、ナフタレンジスルホン酸アニオン等が挙げられる。また、励起状態にある活性分子を脱励起させる(クエンチングさせる)機能を有するクエンチャーアニオンやシクロペンタジエニル環にカルボキシル基やホスホン酸基、スルホン酸基等のアニオン性基を有するフェロセン、ルテオセン等のメタロセン化合物アニオン等も、必要に応じて用いることができる。
また、p及びp’は、分子全体で電荷が中性となるように選択される。
【0026】
上記のクエンチャーアニオンとしては、例えば、下記一般式(A)、(B)又は下記式(C)で表されるもの、特開昭60−234892号公報、特開平5−43814号公報、特開平5−305770号公報、特開平6−239028号公報、特開平9−309886号公報、特開平9−323478号公報、特開平10−45767号公報、特開平11−208118号公報、特開2000−168237号公報、特開2002−201373号公報、特開2002−206061号公報、特開2005−297407号公報、特公平7−96334号公報、国際公開98/29257号公報等に記載されたようなアニオンが挙げられる。
【0027】
【化7】

(式中、Mは、Fe、Co、Ni、Ti、Cu、Zn、Zr、Cr、Mo、Os、Mn、Ru、Sn、Pd、Rh、Pt又はIrを表し、Rj及びRkは、ハロゲン原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基又は−SO2−G基を表し、Gは、アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、ピペリジノ基又はモルフォリノ基を表し、a及びbは、それぞれ独立に、0〜4の数を表す。また、Rl、Rm、Rn及びRoは、各々独立にアルキル基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基又はハロゲン化フェニル基を表す。)
【0028】
【化8】

【0029】
上記一般式(II)におけるR7、R8、R9及びR10で表される炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル等が挙げられ、該アルキル基中のメチレン基が−O−で置換された基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、メトキシメチル、エトキシメチル、2−メトキシエチル等が挙げられ、該アルキル基中のメチレン基が−CO−で置換された基としては、アセチル、1−カルボニルエチル、アセチルメチル、1−カルボニルプロピル、2−オキソブチル、2−アセチルエチル、1−カルボニルイソプロピル等が挙げられる。上記一般式(II)におけるR7で表される炭素原子数1〜4のアルコキシ基としては、上記炭素原子数1〜4のアルキル基として例示したものにエーテル基を加えたものが挙げられる。
【0030】
上記一般式(II)におけるR7、R8、R9及びR10で表されるハロゲン原子としては、上記一般式(I)のR1及びR2で表されるハロゲン原子として例示したものが挙げられる。
上記一般式(II)におけるR8とR10とが連結して形成する環構造としては、上記一般式(I)のX中の基であるR5とR6とが連結して形成する環構造として例示したものが挙げられる。
【0031】
上記一般式(II’)において、ヘテロ原子を含んでもよい5員環としては、例えばシクロペンテン環、シクロペンタジエン環、イミダゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、イソキサゾール環、チオフェン環、フラン環、ピロール環等が挙げられ、ヘテロ原子を含んでもよい6員環としては、例えばベンゼン環、ピリジン環、ピペラジン環、ピペリジン環、モルフォリン環、ピラジン環、ピロン環、ピロリジン環等が挙げられる。
【0032】
上記一般式(III)におけるRa〜Riで表される炭素原子数1〜4のアルキル基としては、上記一般式(II)で例示したものが挙げられる。
上記一般式(III)におけるZ2で表される炭素原子数1〜10のアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、メチルエチレン、ブチレン、1−メチルプロピレン、2−メチルプロピレン、1,2−ジメチルプロピレン、1,3−ジメチルプロピレン、1−メチルブチレン、2−メチルブチレン、3−メチルブチレン、4−メチルブチレン、2,4−ジメチルブチレン、1,3−ジメチルブチレン、ペンチレン、へキシレン、ヘプチレン、オクチレン、エタン−1,1−ジイル、プロパン−2,2−ジイル等が挙げられ、該アルキレン基中のメチレン基が−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−N=CH−又は−CH=CH−で置換された基としては、メチレンオキシ、エチレンオキシ、オキシメチレン、チオメチレン、カルボニルメチレン、カルボニルオキシメチレン、メチレンカルボニルオキシ、スルホニルメチレン、アミノメチレン、アセチルアミノ、エチレンカルボキシアミド、エタンイミドイル、エテニレン、プロペニレン等が挙げられる。
【0033】
次に、上記一般式(IV)で表される本発明のシアニン化合物について説明する。
上記一般式(IV)におけるR11及びR12で表されるハロゲン原子としては、上記一般式(I)のR1及びR2で表されるハロゲン原子として例示したものが挙げられる。上記一般式(IV)におけるR11、R12、R13、R14及びR19で表される炭素原子数1〜30の有機基としては、上記一般式(I)のR1、R2、R3及びR4で表される炭素原子数1〜30の有機基として例示したものが挙げられる。
上記一般式(IV)におけるR11とR12とが連結して形成する環構造としては、上記一般式(I)のR1とR2とが連結して形成する環構造として例示したものが挙げられる。
上記一般式(IV)におけるR13とR14並びに上記一般式(IV)におけるN−R13が隣接するポリメチン鎖中のメチレン基と互いに連結して形成する複素環としては、上記一般式(I)のR3とR4並びに上記一般式(I)におけるN−R3が隣接するポリメチン鎖中のメチレン基と互いに連結して形成する複素環として例示したものが挙げられる。
上記一般式(IV)におけるZ00で表される炭素原子数1〜10の有機基としては、上記一般式(I)のZ0で表される炭素原子数1〜10の有機基として例示したものが挙げられる。
【0034】
上記一般式(I)で表されるシアニン化合物としては、式中のrが2の場合に該当する上記一般式(V)で表されるシアニン化合物が挙げられる。
同様に上記一般式(IV)で表されるシアニン化合物としては、式中のsが2の場合に該当する上記一般式(VI)で表されるシアニン化合物が挙げられる。
これらの化合物の製造方法については、後述の上記一般式(V)で表されるシアニン化合物及び上記一般式(VI)で表されるシアニン化合物の製造方法が挙げられる。
【0035】
また、上記一般式(I)で表されるシアニン化合物であって、式中のrが3〜8の場合に該当するシアニン化合物及び上記一般式(IV)で表されるシアニン化合物であって、式中のsが3〜8の場合に該当するシアニン化合物としては、下記化合物A及び化合物Bが挙げられる。
【0036】
【化9】

【0037】
また、上記一般式(I)で表されるシアニン化合物であって、式中のrが3〜8の場合に該当するシアニン化合物及び上記一般式(IV)で表されるシアニン化合物であって、式中のsが3〜8の場合に該当するシアニン化合物の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、3〜8価のアルコール又はフェノールの水酸基をハロゲン原子に置換し、後述の上記一般式(V)で表わされるシアニン化合物及び上記一般式(VI)で表わされるシアニン化合物の製造方法に準じて製造する方法が挙げられる。
【0038】
次に、上記一般式(V)で表される本発明のシアニン化合物について説明する。
上記一般式(V)におけるZ1で表される炭素原子数1〜10のアルキレン基、及びZ1で表されるp−ジアルキレンベンゼン中の基である炭素原子数1〜10のアルキレン基としては、上記一般式(III)の説明で例示したものが挙げられる。
【0039】
また、上記一般式(V)におけるAn’q'-で表されるアニオンとしては、上記一般式(I)において、Anq-で表されるアニオンとして例示したものが挙げられる
上記一般式(VI)におけるZ3で表される炭素原子数1〜10のアルキレン基、及びZ3で表されるp−ジアルキレンベンゼン中の基である炭素原子数1〜10のアルキレン基としては、上記一般式(III)の説明で例示したものが挙げられる。
【0040】
上記一般式(V)で表されるシアニン化合物の中でも、下記一般式(VII)で表される化合物が、製造コストが小さく、且つ吸収波長特性が380〜420nmの短波長用レーザ用の光学記録媒体の光学記録層の形成に特に適しているので、好ましい。
また、上記一般式(VI)で表されるシアニン化合物の中でも、下記一般式(VIII)で表される化合物が、上記と同様の理由により好ましい。
【0041】
【化10】

(式中、Z1は、炭素原子数1〜30のアルキレン基であり、R15は、水素原子、炭素原子数1〜30の有機基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数2〜20の複素環基を表し、tは、1〜4の数であり、R3、R4、X、n、Anq-、q、p、An’q'-、q’及びp’は、上記一般式(V)と同じである。)
【0042】
【化11】

(式中、Z3は、炭素原子数1〜30のアルキレン基であり、R16は、水素原子、炭素原子数1〜30の有機基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数2〜20の複素環基を表し、uは、1〜5の数であり、Anq-、q、p、An’q'-、q’及びp’は、上記一般式(V)と同じであり、R13、R14、R19及びmは、上記一般式(VI)と同じである。)
【0043】
上記一般式(VII)におけるR15で表されるアミノ基としては、アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、2−エチルヘキシルアミノ、ドデシルアミノ、アニリノ、クロロフェニルアミノ、トルイジノ、アニシジノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ,ナフチルアミノ、2−ピリジルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、ホルミルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、トリメチルアンモニオ、トリエチルアンモニオ等が挙げられ、上記一般式(VII)におけるR15で表される炭素原子数2〜20の複素環基としては、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピペラジル、ピペリジル、ピラニル、ピラゾリル、トリアジル、ピロリジル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、トリアゾリル、フリル、フラニル、ベンゾフラニル、チエニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、チアジアゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、ユロリジル、モルフォリニル、チオモルフォリニル、2−ピロリジノン−1−イル、2−ピペリドン−1−イル、2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル、2,4−ジオキシオキサゾリジン−3−イル等が挙げられる。
【0044】
上記一般式(VIII)におけるR16で表されるアミノ基としては、上記一般式(VII)におけるR15で表されるアミノ基として例示したものが挙げられ、上記一般式(VIII)におけるR16で表される炭素原子数2〜20の複素環基としては、上記一般式(VII)のR16で表される炭素原子数2〜20の複素環基として例示したものが挙げられる。
【0045】
上記一般式(V)におけるR1、R2、R3及びR4、上記一般式(VI)におけるR11、R12、R13及びR14、上記一般式(VII)におけるR15、上記一般式(VIII)におけるR16並びにX中の基であるR5、R6及びYjで表される炭素原子数1〜30の有機基、上記一般式(V)におけるR1とR2、上記一般式(II)におけるR8とR10及びX中の基であるR5とR6並びに上記一般式(VI)におけるR11とR12とが連結して形成する環構造、上記一般式(V)におけるR3とR4及び上記一般式(VI)におけるR13とR14、並びに上記一般式(V)におけるN−R3及び上記一般式(VI)におけるN−R13が隣接するポリメチン鎖中のメチレン基と互いに連結して形成する複素環、上記一般式(V)及び(VII)におけるZ1、上記一般式(III)におけるZ2、上記一般式(VI)及び(VIII)におけるZ3、並びに上記一般式(V) 及び(VII)におけるZ1中の基及び上記一般式(VI)及び(VIII)におけるZ3中の基であるp−ジアルキレンベンゼンにおけるで表される炭素原子数1〜10のアルキレン基、上記一般式(VII)におけるR15及び上記一般式(VIII)におけるR16で表されるアミノ基、上記一般式(II)におけるR7、R8、R9及びR10並びに上記一般式(III)におけるRa〜Riで表される炭素原子数1〜4のアルキル基及び上記一般式(II)におけるR7、R8、R9及びR10並びに上記一般式(III)におけるRa〜Riで表される炭素原子数1〜4のアルコキシ基は、いずれも、置換基を有していてもよい。該置換基としては、以下のものが挙げられる。尚、R1〜R16、Yj及びZ1〜Z3が、上記の炭素原子数1〜30の有機基等の炭素原子を含有する基であり、且つ、それらの基が、以下の置換基の中でも、炭素原子を含有する置換基を有する場合は、該置換基を含めたR1〜R16等の全体の炭素原子数が、規定された範囲を満たすものとする。
上記置換基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、シクロペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、シクロヘキシル、ビシクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル等のアルキル基;メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、第二ブチルオキシ、第三ブチルオキシ、イソブチルオキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ、第三アミルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、イソヘプチルオキシ、第三ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、第三オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ等のアルコキシ基;メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、第二ブチルチオ、第三ブチルチオ、イソブチルチオ、アミルチオ、イソアミルチオ、第三アミルチオ、ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、ヘプチルチオ、イソヘプチルチオ、第三ヘプチルチオ、n−オクチルチオ、イソオクチルチオ、第三オクチルチオ、2−エチルヘキシルチオ等のアルキルチオ基;ビニル、1−メチルエテニル、2−メチルエテニル、2−プロペニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−ブテニル、イソブテニル、3−ペンテニル、4−ヘキセニル、シクロヘキセニル、ビシクロヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、デセニル、ぺンタデセニル、エイコセニル、トリコセニル等のアルケニル基;ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル等のアリールアルキル基;フェニル、ナフチル等のアリール基;フェノキシ、ナフチルオキシ等のアリールオキシ基;フェニルチオ、ナフチルチオ等のアリールチオ基;ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピペリジル、ピラニル、ピラゾリル、トリアジル、ピロリル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、トリアゾリル、フリル、フラニル、ベンゾフラニル、チエニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、チアジアゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、2−ピロリジノン−1−イル、2−ピペリドン−1−イル、2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル、2,4−ジオキシオキサゾリジン−3−イル等の複素環基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;アセチル、2−クロロアセチル、プロピオニル、オクタノイル、アクリロイル、メタクリロイル、フェニルカルボニル(ベンゾイル)、フタロイル、4−トリフルオロメチルベンゾイル、ピバロイル、サリチロイル、オキザロイル、ステアロイル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル、カルバモイル等のアシル基;アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等のアシルオキシ基;アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、2−エチルヘキシルアミノ、ドデシルアミノ、アニリノ、クロロフェニルアミノ、トルイジノ、アニシジノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ,ナフチルアミノ、2−ピリジルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、ホルミルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ等の置換アミノ基;スルホンアミド基、スルホニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホ基、水酸基、ニトロ基、メルカプト基、イミド基、カルバモイル基、スルホンアミド基等が挙げられ、これらの基は更に置換されていてもよい。また、カルボキシル基及びスルホ基は塩を形成していてもよい。
【0046】
本発明の上記一般式(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)で表されるシアニン化合物の具体例としては、下記化合物No.1〜15が挙げられる。尚、以下の例示では、アニオンを省いたカチオンで示している。本発明の化合物において、二重結合は共鳴構造をとっていてもよい。
【0047】
【化12】

【0048】
【化13】

【0049】
上記一般式(V)で表されるシアニン化合物は、その製造方法によって特に限定されず、周知一般の反応を利用した方法で得ることができる。該化合物は、例えば、n=1で表される化合物は、下記〔化14〕に示す反応式の如く、アルキルジハライドとニ等量のインドレニン化合物を反応させ、続いてVilsmeier反応により合成することができる。また、n=2で表される化合物も、下記〔化14〕に示されるルートに準じて合成することができる。
【0050】
【化14】

(式中、R1、R2、R3、R4、X、n、Z1、Anq-、q、p、An’q'-、q’及びp’は、上記一般式(V)と同じであり、R111は、炭素原子数1〜30の有機基であり、X*は、ハロゲン原子である。)
【0051】
上記一般式(VI)で表されるシアニン化合物は、その製造方法によって特に限定されず、周知一般の反応を利用した方法で得ることができる。該化合物は、例えば、m=0で表される化合物は、下記〔化15〕に示す反応式の如く、アルキルジハライドとニ等量のインドール化合物を反応させ、続いてVilsmeier反応により合成することができる。また、m=1で表される化合物も、下記〔化15〕に示されるルートに準じて合成することができる。
【0052】
【化15】

(式中、Anq-、q、p、An’q'-、q’及びp’は、上記一般式(V)と同じであり、R11、R12、R13、R14、R19、m、Z3は、上記一般式(VI)と同じであり、R111及びX*は、上記〔化14〕と同じである。)
【0053】
上述した本発明のシアニン化合物は、450nm〜1100nmの範囲の光に対する光学要素、特に480〜620nmの範囲の光に対する光学要素として好適である。該光学要素とは、特定の光を吸収することにより機能を発揮する要素のことであり、具体的には、光吸収剤、光学記録剤、光増感剤等が挙げられる。例えば、光学記録剤は、DVD±R等の光学記録媒体における光学記録層に用いられ、光吸収剤は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイ等の画像表示装置用、あるいは分析装置用、半導体装置製造用、天文観測用、光通信用等の光学フィルターに用いられる。
【0054】
次に、基体上に光学記録層が形成された光学記録媒体の該光学記録層に用いられる、本発明のシアニン化合物を含有してなる本発明の光学記録材料について、以下に説明する。
上記一般式(I)〜(VIII)で表される本発明のシアニン化合物は、情報をレーザ等による熱的情報パターンとして付与することにより記録する光学記録媒体における光学記録層に使用される光学記録材料にも有用であり、特にDVD−R、DVD+R、青色レーザー用光学記録媒体等の光学記録層に使用される光学記録材料に好適である。なお、本発明の光学記録材料は、光学記録層を形成するために用いられる材料であり、上記一般式(V)で表される本発明のシアニン化合物及び後述する有機溶媒や各種化合物との混合物のことである。
【0055】
上記一般式(I)〜(VIII)で表されるシアニン化合物を含有する本発明の光学記録材料を用いて光学記録媒体の光学記録層を形成する方法については、特に制限を受けない。一般には、メタノール、エタノール等の低級アルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルジグリコール等のエーテルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチル等のエステル類;アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ化アルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;メチレンジクロライド、ジクロロエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素類等の有機溶媒に、本発明のシアニン化合物及び必要に応じて後述の各種化合物を溶解して溶解して溶液状の光学記録材料を作製し、該光学記録材料を基体上にスピンコート、スプレー、ディッピング等で塗布する湿式塗布法が用いられ、蒸着法、スパッタリング法等も用いられる。上記有機溶媒を使用する場合、その使用量は、本発明の光学記録材料中における上記一般式(I)〜(VIII)で表されるシアニン化合物の含有量が0.1〜10質量%となる量にするのが好ましい。
【0056】
上記光学記録層は薄膜として形成され、その厚さは、通常、0.001〜10μmが適当であり、好ましくは0.01〜5μmの範囲である。
【0057】
また、本発明の光学記録材料中において、上記一般式(I)〜(VIII)で表されるシアニン化合物の含有量は、本発明の光学記録材料に含まれる固形分中、10〜100質量%が好ましい。上記光学記録層は、光学記録層中に上記一般式(I)〜(VIII)で表されるシアニン化合物を50〜100質量%含有するように形成されることが好ましく、このような化合物含有量の光学記録層を形成するために、本発明の光学記録材料は、上記一般式(I)〜(VIII)で表されるシアニン化合物を、本発明の光学記録材料に含まれる固形分基準で50〜100質量%含有するのがさらに好ましい。
【0058】
本発明の光学記録材料に含まれる上記固形分は、該光学記録材料から有機溶媒等の固形分以外の成分を除いた成分のことであり、該固形分の含有量は、上記光学記録材料中、0.01〜100質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。
【0059】
本発明の光学記録材料は、本発明のシアニン化合物の他に、必要に応じて、アゾ系化合物、フタロシアニン系化合物、オキソノール系化合物、スクアリリウム系化合物、インドール化合物、スチリル系化合物、ポルフィン系化合物、アズレニウム系化合物、クロコニックメチン系化合物、ピリリウム系化合物、チオピリリウム系化合物、トリアリールメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、テトラヒドロコリン系化合物、インドフェノール系化合物、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、キサンテン系化合物、チアジン系化合物、アクリジン系化合物、オキサジン系化合物、スピロピラン系化合物、フルオレン系化合物、ローダミン系化合物等の、通常光学記録層に用いられる化合物;ポリエチレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート等の樹脂類;界面活性剤;帯電防止剤;滑剤;難燃剤;ヒンダードアミン等のラジカル捕捉剤;フェロセン誘導体等のピット形成促進剤;分散剤;酸化防止剤;架橋剤;耐光性付与剤等を含有していてもよい。さらに、本発明の光学記録材料は、一重項酸素等のクエンチャーとして芳香族ニトロソ化合物、アミニウム化合物、イミニウム化合物、ビスイミニウム化合物、遷移金属キレート化合物等を含有していてもよい。本発明の光学記録材料において、これらの各種化合物は、本発明の光学記録材料に含まれる固形分中、0〜50質量%の範囲となる量で使用される。
【0060】
このような光学記録層を設層する上記基体の材質は、書き込み(記録)光および読み出し(再生)光に対して実質的に透明なものであれば特に制限はなく、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートなどの樹脂、ガラスなどが用いられる。また、その形状は、用途に応じ、テープ、ドラム、ベルト、ディスク等の任意の形状のものを使用できる。
【0061】
また、上記光学記録層上には、金、銀、アルミニウム、銅等を用いて蒸着法あるいはスパッタリング法により反射膜を形成することもできるし、アクリル樹脂、紫外線硬化性樹脂等により保護層を形成することもできる。
【実施例】
【0062】
以下、実施例及び評価例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
下記実施例1〜3は、上記一般式(I)で表されるシアニン化合物の製造を示し、下記実施例4及び5は、上記一般式(IV)で表されるシアニン化合物の製造を示し、下記実施例6〜10は、実施例1〜5で得られた本発明のシアニン化合物を用いた本発明の光学記録材料及び光学記録媒体の実施例を示し、比較例1及び2は、本発明のシアニン化合物とは異なる構造の化合物を用いた光学記録材料及び光学記録媒体の例を示す。また、下記評価例1では、実施例1及び2で得られた本発明のシアニン化合物及び比較化合物1について耐光性の評価を行い、下記評価例2では、実施例6及び7で得られた光学記録媒体及び比較例1で得られた比較光学記録媒体について、熱安定性の評価を行った。下記評価例3では、実施例6並びに7で得られた光学記録媒体及び比較例1並びに2で得られた比較光学記録媒体について、短波長レーザによる記録及び再生の適否の評価を行った。
【0063】
〔実施例1〜3〕化合物No.1及びNo.2のクエンチャーアニオン塩及び化合物No.2のPF6塩の合成
<ステップ1>中間体1〜3の合成
インドレニン化合物20mmol、ジヨードペンタン20mmol及びジメチルホルムアミド30mlを混合し、120℃で4時間撹拌した。室温に冷却し、ろ過、乾燥を経て中間体1〜3をそれぞれ得た。
【0064】
<ステップ2>化合物No.1及び化合物No.2のPF6塩の合成
アルデヒド誘導体7ml及びクロロホルム44mlを混合し、氷冷下でオキシ塩化リン30mmolを滴下し、氷冷下で1時間撹拌した。続いて、氷冷下で、ステップ1で得られた中間体10mmolをそれぞれ加え、加熱還流下3時間撹拌した。室温まで冷却後、KPF6の179mmol及び水650mlを加えて1時間撹拌し、析出物をろ別した。メタノールで洗浄後、乾燥させて目的物である化合物No.1及びNo.2のPF6塩を得た。
【0065】
<ステップ3>化合物No.1及びNo.2のクエンチャーアニオン塩の合成
ステップ2で得られた化合物3.0mmolを、それぞれアセトン12mlに溶解し、化学式〔C〕で示されるアニオンのトリエチルアミン塩6.0mmolをアセトン120mlに溶解したものを滴下して、さらにアセトン28mlを加えて3時間加熱還流した。室温まで冷却後、反応物を水1800mlに滴下し、室温で6時間撹拌した。析出した固体をろ別し、メタノールにより洗浄し、乾燥させて目的物である化合物No.1及びNo.2のクエンチャーアニオン塩をそれぞれ得た。
【0066】
〔実施例4及び5〕化合物No.10及びNo.11のPF6塩の合成
<ステップ1>中間体4及び5の合成
インドール化合物20mmol、ジヨードペンタン20mmol及びジメチルホルムアミド30mlを混合し、120℃で4時間撹拌した。室温に冷却し、ろ過、乾燥を経て中間体4及び5をそれぞれ得た。
【0067】
<ステップ2>化合物No.11のPF6塩の合成
アルデヒド誘導体12ml及びクロロホルム74mlを混合し、氷冷下でオキシ塩化リン37mmolを滴下し、氷冷下で1時間撹拌した。続いて、氷冷下で、ステップ1で得られた中間体5の12mmolをそれぞれ加え、加熱還流下3時間撹拌した。室温まで冷却後、KPF6の163mmol及び水500mlを加えて1時間撹拌し、析出物をろ別した。メタノールで洗浄後、乾燥させて目的物である化合物No.11のPF6塩を得た。
【0068】
<ステップ3>化合物No.10のPF6塩の合成
ステップ1で得られた中間体4の4.8mmol、N−アルキルチアゾリン9.6mmol及びピリジン20mlを混合し、100℃で3.5時間撹拌した。室温まで冷却し、溶媒を留去してアセトンから再結晶を行い、ろ過、乾燥を経て、目的物である化合物No.10のPF6塩を得た。
【0069】
実施例1〜5で得られた化合物についての収率及び分析結果を表1〜3に示す。
なお、表1において、分解点は10℃/分の昇温速度における示差熱分析の質量減少開始温度である。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
【表3】

【0073】
〔実施例6〜10〕光学記録材料及び光学記録媒体の製造
上記の実施例1〜5で得た化合物それぞれを、化合物の濃度が濃度1.0質量%となるように2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール溶液に溶解して、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール溶液として実施例6〜10の光学記録材料をそれぞれ得た。チタンキレート化合物(T−50:日本曹達社製)を塗布、加水分解して下地層(0.01μm)を設けた直径12cmのポリカーボネートディスク基板上に、上記の光学記録材料をスピンコーティング法にて塗布して、厚さ100nmの光学記録層を形成し、実施例6〜10の光学記録媒体No.1〜No.5をそれぞれ得た。
【0074】
〔比較例1及び2〕
実施例1〜5で得た化合物に替えて下記比較化合物No.1又はNo.2を用いた以外は、上記実施例6〜10と同様にして、比較例1及び2の光学記録材料を作製し、該光学記録材料を用いて比較例1及び2の比較光学記録媒体No.6及びNo.7を得た。
【0075】
【化16】

【0076】
〔評価例1−1及び1−2並びに比較評価例1−1〕上記一般式(I)及び(IV)で表されるシアニン化合物の耐光性評価
実施例1及び2で得られた化合物No.1及びNo.2のクエンチャーアニオン塩、及び比較化合物1について、耐光性評価を行なった。
まず、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールに本発明の化合物を、1質量%となるように溶解して2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール溶液を調製し、得られた溶液を、20×20mmのポリカーボネート板上に2000rpm、60秒でスピンコーティング法により塗布して、試験片を作成した。評価は、該試験片に55000ルクスの光を照射し、それぞれ24時間、300時間照射した後、照射前のUV吸収スペクトルのλmaxでの吸光度残率を測定することにより行なった。結果を〔表4〕に示す。
【0077】
【表4】

【0078】
〔表4〕から明らかなように、本発明の上記一般式(I)及び(IV)で表される化合物は、照射300時間後においても吸光度残存率が高かった。一方、比較化合物は、照射24時間後において吸光度残存率の低下が見られ、また照射300時間後において著しい吸光度残存率の低下が見られ、耐光性は良好でなかった。
【0079】
〔評価例2−1及び2−2〕上記一般式(I)及び(IV)で表されるシアニン化合物の耐熱性評価
実施例1及び2で得られた化合物No.1及びNo.2のクエンチャーアニオン塩、について、耐熱性評価を行なった。
評価は、上記耐光性試験で用いたものと同じ試験片を、100℃でそれぞれ100時間、400時間保持した後、照射前のUV吸収スペクトルのλmaxでの吸光度残率を測定することにより行なった。結果を〔表5〕に示す。
【0080】
【表5】

【0081】
〔表5〕において、本発明の上記一般式(I)及び(IV)で表されるシアニン化合物及び比較化合物は、保持400時間後においても吸光度残存率が高かった。
【0082】
〔評価例3−1及び3−2並びに比較評価例3−1並びに3−2〕
実施例6及び7で得られた光学記録媒体No.1及びNo.2について、UVスペクトル吸収を測定した。結果を〔表6〕に示す。
【0083】
【表6】

【0084】
〔表6〕から明らかなように、本発明の光学記録材料により形成された光学記録層を有する光学記録材媒体は、UVスペクトル吸収において380〜550nm近くにλmaxを示し、いずれの光学記録媒体も、380〜420nmのレーザ光により記録が可能であることが確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表されるシアニン化合物。
【化1】

(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数1〜30の有機基あるいは下記一般式(II)、下記一般式(II’)又は下記一般式(III)で表される基を表し、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜30の有機基又は下記一般式(III)で表される置換基を表し、R1とR2は、互いに連結して環構造を形成していてもよく、R3とR4は、互いに連結して複素環を形成してもよく、N−R3は、隣接するポリメチン鎖中のメチレン基と互いに連結して複素環を形成していてもよい。Xは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、−CR56−、−NH−又は−NYj−を表わし、R5及びR6は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜30の有機基あるいは下記一般式(II)、下記一般式(II’)又は下記一般式(III)で表わされる置換基を表わし、R5とR6は、互いに連結して環構造を形成していてもよく、Yjは、炭素原子数1〜30の有機基又は下記一般式(III)で表される基を表す。Z0は、炭素原子数1〜10の有機基であり、nは1又は2であり、rは2〜8であり、Anq-はq価のアニオンを表し、qは、1又は2であり、pは電荷を中性に保つ係数を表す。)
【化2】

(式中、WとTの間の結合は二重結合、共役二重結合又は三重結合であり、Wは炭素原子を表し、Tは炭素原子又は窒素原子を表し、x、y、zは0又は1を表し、aは0〜4の数を表し、R7は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜4のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、該アルキル基又はアルコキシ基中のメチレン基は、−O−又は−CO−で置換されていてもよく、R8、R9、R10は水素原子、ハロゲン原子又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基中のメチレン基は、−O−又は−CO−で置換されていてもよく、R8とR10は、結合して環構造を形成してもよい。上記一般式(II’)において、W’とT’の間の結合は二重結合又は共役二重結合であり、W’は炭素原子を表し、T’は炭素原子又は窒素原子を表し、a’は0〜4の数を表し、W’、T’を含む環は、ヘテロ原子を含んでもよい5員環、ヘテロ原子を含んでもよい6員環、ナフタレン環、キノリン環、イソキノリン環、アントラセン環又はアントラキノン環を表し、これらW’、T’を含む環は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基で置換されていてもよい。)
【化3】

(式中、Ra〜Riは、各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基中のメチレン基は、−O−又は−CO−で置換されていてもよく、Z2は、直接結合又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、該アルキレン基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−N=CH−又は−CH=CH−で置換されていてもよく、Mは、Fe、Co、Ni、Ti、Cu、Zn、Zr、Cr、Mo、Os、Mn、Ru、Sn、Pd、Rh、Pt又はIrを表す。)
【請求項2】
下記一般式(IV)で表されるシアニン化合物。
【化4】

(式中、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数1〜30の有機基あるいは上記一般式(II)、上記一般式(II’)又は上記一般式(III)で表される基を表し、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜30の有機基又は上記一般式(III)で表される置換基を表し、R11とR12は、互いに連結して環構造を形成していてもよく、R19は、水素原子又は炭素原子数1〜30の有機基を表し、R13とR14は、互いに連結して複素環を形成してもよく、N−R13は、ポリメチン鎖中のメチレン基と互いに連結して複素環を形成していてもよい。Z00は、炭素原子数1〜10の有機基であり、mは0又は1であり、sは2〜8であり、Anq-、q、pは、上記一般式(I)と同じである。)
【請求項3】
下記一般式(V)で表されるシアニン化合物。
【化5】

(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数1〜30の有機基あるいは上記一般式(II)、上記一般式(II’)又は上記一般式(III)で表される基を表し、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜30の有機基又は上記一般式(III)で表される置換基を表し、R1とR2は、互いに連結して環構造を形成していてもよく、R3とR4は、互いに連結して複素環を形成してもよく、N−R3は、隣接するポリメチン鎖中のメチレン基と互いに連結して複素環を形成していてもよい。Xは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、−CR56−、−NH−又は−NYj−を表わし、R5及びR6は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜30の有機基あるいは上記一般式(II)、上記一般式(II’)又は上記一般式(III)で表わされる置換基を表わし、R5とR6は、互いに連結して環構造を形成していてもよく、Yjは、炭素原子数1〜30の有機基又は下記一般式(III)で表される基を表す。Z1は、直接結合、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基又はp−ジアルキレンベンゼンであり、該アルキレン基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−N=CH−又は−CH=CH−で置換されていてもよく、nは1又は2であり、Anq-はq価のアニオンを表し、An’q'-はq’価のアニオンを表し、q及びq’は、それぞれ独立に1又は2であり、p及びp’は電荷を中性に保つ係数を表す。)
【請求項4】
下記一般式(VI)で表されるシアニン化合物。
【化6】

(式中、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数1〜30の有機基あるいは上記一般式(II)、上記一般式(II’)又は上記一般式(III)で表される基を表し、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜30の有機基又は上記一般式(III)で表される置換基を表し、R11とR12は、互いに連結して環構造を形成していてもよく、R19は、水素原子又は炭素原子数1〜30の有機基を表し、R13とR14は、互いに連結して複素環を形成してもよく、N−R13は、ポリメチン鎖中のメチレン基と互いに連結して複素環を形成していてもよい。Z3は、直接結合、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基又はp−ジアルキレンベンゼンであり、該アルキレン基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−N=CH−又は−CH=CH−で置換されていてもよく、mは0又は1であり、Anq-、q、p、An’q'-、q’及びp’は、上記一般式(V)と同じである。)
【請求項5】
下記一般式(VII)で表されるシアニン化合物。
【化7】

(式中、Z1は、炭素原子数1〜30のアルキレン基であり、R15は、水素原子、炭素原子数1〜30の有機基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数2〜20の複素環基を表し、tは、1〜4の数であり、R3、R4、X、n、Anq-、q、p、An’q'-、q’及びp’は、上記一般式(V)と同じである。)
【請求項6】
下記一般式(VIII)で表されるシアニン化合物。
【化8】

(式中、Z3は、炭素原子数1〜30のアルキレン基であり、R16は、水素原子、炭素原子数1〜30の有機基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数2〜20の複素環基を表し、uは、1〜5の数であり、Anq-、q、p、An’q'-、q’及びp’は、上記一般式(V)と同じであり、R13、R14、R19及びmは、上記一般式(VI)と同じである。)
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のシアニン化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする光学記録材料。
【請求項8】
基体上に、請求項7記載の光学記録材料から形成された光学記録層を有することを特徴とする光学記録媒体。


【公開番号】特開2008−24655(P2008−24655A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−199713(P2006−199713)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】