説明

梱包装置及び梱包材

【課題】部材点数を増加させることなく、基板部上に物品を載置しつつ積み重ね状態に梱包された場合において基板部上の物品が荷重を受けて変形してしまうことを抑制することができる梱包装置及び梱包材を提供する。
【解決手段】梱包材としての内装体13は、インクカートリッジ14を載置可能な基板部16を有し、該基板部16には、直線状をなす折り目線部19を基点に切り起こし可能な荷重支持片20が前記折り目線部19と平行な先端縁部20aを有するように切り込み形成され、前記荷重支持片20の前記折り目線部19の長さは前記先端縁部20aの長さよりも短くなっており、前記荷重支持片20を切り起こした状態の前記基板部16上に前記インクカートリッジ14を載置しつつ前記荷重支持片20の先端縁部20aに荷重がかかる積み重ね状態にして梱包可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば長尺の物品を梱包する際に使用される梱包装置及び梱包材に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、物品を梱包(包装)する際には、例えば特許文献1に記載されるような包装用箱(梱包装置)が使用される。この特許文献1に記載の包装用箱は、角筒形のカバーと、カバー内に挿し込まれる身箱(梱包材)とからなる。身箱の底板には、所定長さの直線状の折り目線部を基点にして上面側に切り起こされる切片状の仕切壁が複数形成されている。そして、複数の物品を仕切壁に仕切られた状態で底板上に載置した身箱をカバー内に挿入することで、この包装用箱(梱包装置)は物品を運搬可能な梱包形態になる。
【0003】
ところで、近年、インクジェット式プリンターは、印刷処理の高速化及び生産性の向上等によるインク消費量の増大に伴って、インクカートリッジの大容量化が図られている。こうしたインクカートリッジの大容量化は、インクジェット式プリンター本体におけるカートリッジホルダの装着口の形状に合わせて行われるために、インクカートリッジにおけるカートリッジホルダの装着口と対応した断面形状は従来どおりのままとして、そのインクカートリッジの長手方向を延ばした形状のものが普及している。
【0004】
そして、こうした長手方向に延びるインクカートリッジのような長尺の物品を大量に梱包して運搬する場合には、例えば、特許文献1の包装用箱における内装体が利用可能となる。すなわち、身箱の底板から仕切壁を切り起こすと共に、その底板上に複数の長尺の物品を仕切壁に仕切られた状態で載置し、そのように底板上に長尺の物品がそれぞれ載置された状態にある複数の身箱をダンボール箱等の箱体内に積み重ね状態にして梱包すればよい。
【0005】
なお、そのように長尺の物品を載置した複数の身箱が積み重ねられた梱包状態では、上側の身箱の底板の下面に下側の身箱の底板から切り起こされた仕切壁の先端縁部が当接するようにするとよい。このようにすれば、仕切壁が荷重支持部として機能し、上側の身箱及びその身箱の底板上に載置された長尺の物品の荷重が下側の身箱の底板上に載置された長尺の物品に対して直接加わることを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−104318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、身箱の底板から仕切壁を切り起こした場合には、その仕切壁と対応した形状・大きさの切り抜き孔が底板に形成されることになり、その切り抜き孔の孔縁の一部は仕切壁の根元部分となる折り目線部により構成されることになる。すなわち、仕切壁は、その根元部分が切り抜き孔という空間域に臨んだ状態となるので、そのような空間域に根元部分が臨んでいない場合よりも、荷重に対する強度がある程度は低下する。
【0008】
そのため、梱包時に積み重ね状態とされた複数の身箱のうち下側の身箱において切り起こされた仕切壁に対して上側の身箱及び同身箱に載置された物品の荷重が加わった場合において荷重が大きいときには、その荷重を受けた仕切壁の根元部分が底板よりも下方に切り抜き孔の孔縁の一部を垂れ下げるようにして落ち込んでしまうことがあった。その結果、下側の身箱においては、その仕切壁の先端縁部が底板上に載置されている物品の上面よりも上方に突出した位置態様を維持できなくなり、下側の身箱の底板上に載置された物品が荷重を受けて変形してしまう虞があった。
【0009】
なお、こうした虞を回避するために、身箱同士の間にダンボール板等の緩衝材を介在させることで、長尺の物品に対して加わる荷重を抑制することも考えられるが、その場合には身箱同士の間に介在させる緩衝材が部材点数を増加させるという問題があった。
【0010】
本発明は、こうした事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、部材点数を増加させることなく、基板部上に物品を載置しつつ積み重ね状態に梱包された場合において基板部上の物品が荷重を受けて変形してしまうことを抑制することができる梱包装置及び梱包材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の梱包材は、物品を載置可能な基板部を有し、該基板部には、直線状をなす折り目線部を基点に切り起こし可能な荷重支持片が前記折り目線部と平行な先端縁部を有するように切り込み形成され、前記荷重支持片の前記折り目線部の長さは前記先端縁部の長さよりも短くなっており、前記荷重支持片を切り起こした状態の前記基板部上に前記物品を載置しつつ前記荷重支持片の先端縁部に荷重がかかる積み重ね状態にして梱包可能とされている。
【0012】
この発明によれば、荷重支持片における折り目線部の長さと先端縁部の長さが同じである場合よりも、荷重支持片の根元部分となる折り目線部の長さを先端縁部の長さよりも短くしたことにより、荷重に対する強度の低下誘因となる切り抜き孔の大きさが小さくなる。そのため、切り起こされた荷重支持片が荷重を受けた場合において、その荷重支持片の根元部分が基板部よりも下方に切り抜き孔の孔縁の一部を垂れ下げるようにして落ち込んでしまうことが抑制される。また、荷重支持片において荷重を受ける支持部分となる先端縁部の長さの方が折り目線部の長さよりも長くなるという点で、荷重を安定支持することができるようになる。さらに、こうした荷重支持片は基板部から切り起こされる構成であるため、部材点数が増加することもない。したがって、部材点数を増加させることなく、基板部上に物品を載置しつつ積み重ね状態に梱包された場合において基板部上の物品が荷重の影響で変形してしまうことを抑制することができる。
【0013】
本発明の梱包材において、前記荷重支持片における前記折り目線部の長さは、前記基板部における前記折り目線部が延びる方向での全長の4分の1以下である。
この発明によれば、基板部から切り起こされた荷重支持片の根元部分が臨むことになる切り抜き孔の大きさが過大になることを規制でき、荷重に対する強度を確保することができる。
【0014】
本発明の梱包材において、前記基板部には、複数の前記荷重支持片が各荷重支持片の折り目線部同士を同一線上に位置させるようにして設けられている。
この発明によれば、荷重支持片を基板部上の同一線上に複数設けることで、そうした荷重支持片が一つだけ設けられた場合と比べて、荷重に対する強度を向上することができる。
【0015】
本発明の梱包材において、前記同一線上に位置する前記各荷重支持片の前記折り目線部の長さの合計は、前記基板部における前記折り目線部が延びる方向での全長の6割以下である。
【0016】
この発明によれば、基板部全体として同一線上に位置する各荷重支持片が切り起こされた場合に形成される切り抜き孔の領域比率を少なくすることができ、荷重支持片が切り起こされた基板部における荷重に対する強度を確保することができる。
【0017】
本発明の梱包材において、前記各荷重支持片の前記先端縁部の長さの合計は、前記基板部における前記折り目線部が延びる方向での全長の7割以上である。
この発明によれば、基板部全体として同一線上に位置する各荷重支持片が切り起こされた場合において荷重を受ける支持部分が多くなるため、荷重に対する安定支持機能を確保することができる。
【0018】
本発明の梱包材において、前記物品は、液体噴射装置において使用される液体を内部に収容した液体収容体である。
この発明によれば、液体収容体を物品として梱包した場合において、上記と同様の効果を得ることができる。
【0019】
本発明の梱包装置は、上記構成の梱包材と、複数の前記梱包材を前記積み重ね状態にして収容可能な箱体とを備えた。
この発明によれば、上記梱包材の発明と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態における梱包装置を示す斜視図。
【図2】梱包材の展開図。
【図3】荷重支持片を拡大して示す梱包材の部分平面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、「前後方向」、「上下方向」及び「左右方向」をいう場合は、特に説明がない限り、図1において矢印で示す「前後方向」、「上下方向」及び「左右方向」をいうものとする。
【0022】
図1に示すように、梱包装置11は、平面視矩形状をなすダンボール製の箱体12と、その箱体12内に積み重ね状態にして収容可能な平面視矩形状をなす複数(図1には2つのみ図示)の梱包材としての内装体13とを備えている。内装体13は液体噴射装置としてのインクジェット式プリンター(以下、「プリンター」という。)に着脱可能に装着される複数(本実施形態では3つ)の長尺の物品としてのインクカートリッジ14をカートリッジ厚さ方向が上下方向に沿う横倒し状態にして支持(載置)しつつ箱体12内に収容される。なお、本実施形態では、図1に示すように、内部にインク(液体)を収容した液体収容体の一種である各インクカートリッジ14は透明な袋15に包装された状態で内装体13上に支持されるが、袋15に包装されない状態で内装体13上に支持されるようにしてもよい。
【0023】
まず、箱体12について説明する。
図1に示すように、箱体12は、長手方向が前後方向となる矩形状の底壁部12aを有している。底壁部12aにおける長手方向に沿う左右各辺には長側壁部12bが互いに対向するように底壁部12aに対して垂直方向に立設されるとともに、底壁部12aにおける短手方向に沿う前後各辺には短側壁部12cが互いに対向するように底壁部12aに対して垂直方向に立設されている。そして、左右の各長側壁部12b及び前後の各短側壁部12cの各上辺により内装体13等を出し入れ可能とする矩形状の開口部12fが形成されている。
【0024】
左右の各長側壁部12bの上辺には、底壁部12aの略半分の大きさに形成された左右フラップ12dが対応する上辺を折り曲げ線として折り曲げ自在に設けられている。また、前後の各短側壁部12cの上辺には、底壁部12aの半分未満の大きさに形成された前後フラップ12eが対応する上辺を折り曲げ線として折り曲げ自在に設けられている。そして、箱体12は、左右フラップ12d及び前後フラップ12eを底壁部12aと対向するように内側へ折り曲げた場合に開口部12fが閉鎖され、図1に示すように、左右フラップ12d及び前後フラップ12eを底壁部12aと対向した状態から外側へ回動させた場合に開口部12fが開放されるようになっている。
【0025】
次に、梱包材としての内装体13について説明する。
図1及び図2に示すように、内装体13は、箱体12の底壁部12aと対応した矩形状をなすダンボール製の基板部16を有している。基板部16の長手方向(前後方向)の長さは、インクカートリッジ14の長手方向(前後方向)の長さよりも僅かに長くなっているとともに、基板部16の短手方向(左右方向)の長さは、インクカートリッジ14の短手方向(左右方向)の長さの3倍に相当する長さよりも僅かに長くなっている。
【0026】
また、基板部16における長手方向(図2で示す矢印Xの方向)に沿う左右各辺には、インクカートリッジ14の厚さ寸法に対応した幅寸法の長帯状をなす長側板部17が、対応する左右各辺を折り返し線L1として折り曲げ自在に設けられている。また、基板部16における短手方向(図2で示す矢印Yの方向)に沿う前後各辺には、同じくインクカートリッジ14の厚さ寸法に対応した幅寸法の短帯状をなす短側板部18が、対応する前後各辺を折り返し線L2として折り曲げ自在に設けられている。そして、各長側板部17及び各短側板部18は、図2において破線で示す基板部16の四辺のうち各々が対応する辺を折り返し線L1,L2として互いに対向するように上方に折り曲げられることで基板部16に対して垂直方向に立設されるようになっている。
【0027】
また、内装体13における基板部16の上面は、基板部16の長手方向に沿う方向に3つのインクカートリッジ14を横倒しにして並列に載置することができる載置面16aとして機能する。そして、この載置面16aとして機能する基板部16の上面には、基板部16の短手方向においてインクカートリッジ14を一つずつ横倒し状態にして載置可能な3つの区域に仕切る各位置に、図2において破線で示す複数(本実施形態では合計6つ)の直線状をなす折り目線部19が設けられている。
【0028】
載置面16a上において、各折り目線部19は、基板部16の長手方向における中央位置と、その中央位置と前後各短側板部18の各折り返し線L2との間の前後各中間位置とに、左右方向で互いに対をなすように形成されている。そして、基板部16の長手方向(前後方向)に所定間隔をおいて形成される3つの折り目線部19は、基板部16の長手方向に沿う同じ一本の直線上に位置するように形成されている。
【0029】
すなわち、基板部16の載置面16a上には、これら6つの折り目線部19が、インクカートリッジ14を一つずつ載置する左右方向の区域幅を隔てて、基板部16における短手方向(左右方向)に1列で3つずつ2列並んだ状態で設けられている。そして、基板部16の短手方向においてインクカートリッジ14を一つずつ横倒し状態にして載置可能な区域同士を仕切る位置に設けられた各折り目線部19は、基板部16を平面視すると、左右両列の折り目線部19同士が左右方向で互いに対向した状態で平行線上に位置している。
【0030】
また、図1〜図3に示すように、基板部16には各折り目線部19を基点にして上方に切り起こし可能な荷重支持片20が、折り目線部19と平行な先端縁部20aを有するように切り込み形成されている。すなわち、基板部16には、基板部16の長手方向における中央位置に同一形状・大きさの荷重支持片20が左右で対をなすように一つずつ設けられるとともに、その中央位置と前後各短側板部18の各折り返し線L2との間の前後各中間位置にも同一形状・大きさの荷重支持片20が各々左右で対をなすように設けられている。基板部16の長手方向(前後方向)に所定間隔をおいて形成される3つの荷重支持片20は、基板部16の長手方向に沿う同じ一本の直線上に位置するように形成されている。
【0031】
すなわち、基板部16の載置面16a上には、これら6つの荷重支持片20が、インクカートリッジ14を一つずつ載置する左右方向の区域幅を隔てて、基板部16における短手方向(左右方向)に1列で3つずつ2列並んだ状態で設けられている。そして、基板部16の短手方向においてインクカートリッジ14を一つずつ横倒し状態にして載置可能な区域同士を仕切る位置に設けられた荷重支持片20は、基板部16を平面視すると、左右両列の荷重支持片20同士が左右方向で互いに対向した状態で平行線上に位置している。なお、図2において示す荷重支持片20に関する実線は、基板部16に対する切り込みを示す。
【0032】
図3に示すように、荷重支持片20は平面視台形状をなすとともに、切り起こした場合に荷重支持片20の根元部分となる折り目線部19の長さLaは、荷重支持片20において上方から加わる荷重を受ける支持部分となる先端縁部20aの長さLbよりも短くなっている(La<Lb)。また、荷重支持片20が切り起こされた状態の折り目線部19から先端縁部20aまでの長さLcは、長側板部17及び短側板部18が折り返し線L1,L2から折り曲げられた状態の長側板部17及び短側板部18の高さと同じ高さとなっている。
【0033】
さらに、荷重支持片20が切り起こされた状態の折り目線部19から先端縁部20aまでの長さLcは、インクカートリッジ14が横倒し状態であるときのカートリッジ厚さ方向の長さよりも僅かに長くなっている。よって、基板部16の載置面16aにインクカートリッジ14を横倒しに載置した状態においては、荷重支持片20の先端縁部20aが隣り合うインクカートリッジ14同士の間から僅かに上方に突出した状態となる。また、荷重支持片20が基板部16から切り起こされた状態では、基板部16に荷重支持片20の形状と同じ形状の空間域となる切り抜き孔21(図2においては斜線で示す領域)が形成される。
【0034】
なお、基板部16の一部を切り起こすことで形成される荷重支持片20の折り目線部19の長さLaと先端縁部20aの長さLbは、基板部16の長手方向の全長との関係で、次のような設定がされている。すなわち、基板部16の長手方向に複数の荷重支持片20を設ける場合には、各荷重支持片20の先端縁部20aにおける長手方向の長さLbの合計は、基板部16の長手方向の全長の7割以上となっているとともに、折り目線部19の長さLaの合計は、基板部16の長手方向の全長の6割以下となっている。ちなみに、一つの荷重支持片20における折り目線部19の長さLaは、基板部16の長手方向の全体長さの4分の1以下、より好ましくは5分の1以下となっている。
【0035】
さて、上記構成の箱体12と内装体(梱包材)13とからなる梱包装置11において、インクカートリッジ14を梱包する際には、まず、基板部16に長側板部17及び短側板部18が立設されるとともに、各折り目線部19を基点にして各荷重支持片20が切り起こされた状態の内装体13に対して、3本のインクカートリッジ14をそれぞれ横倒しの状態で、各載置面16aに載置する。そして、載置面16aに3本のインクカートリッジ14が載置された状態の内装体13を開口状態の箱体12内へ挿入する。よって、インクカートリッジ14が載置された状態の内装体13が、まず一つだけ、箱体12内へ収容された状態となる。
【0036】
次に、一つ目の内装体13と同様に、3本のインクカートリッジ14が各載置面16aにそれぞれ載置された状態の二つ目の内装体13を箱体12内に挿入する。すると、箱体12内に挿入された2つ目の内装体13は、既に箱体12内に収容されている一つ目の内装体13の上に積み重なるように収容される。このとき、下側に位置する一つ目の内装体13における荷重支持片20の先端縁部20aは、上側に位置する二つ目の内装体13における基板部16の下面16b(図1参照)と当接する。
【0037】
荷重支持片20の先端縁部20aの長さLbが折り目線部19の長さLaよりも長い構成の荷重支持片20は、先端縁部20aの長さが折り目線部19の長さよりも短い構成の荷重支持片と比べて、上側の内装体13における基板部16の下面16bと当接する領域が多いため、上側の内装体13を支持する支持力が強い。よって、上側の内装体13の荷重を下側の内装体13に設けられた荷重支持片20によって安定支持することができる。また、荷重支持片20の折り目線部19の長さLaを先端縁部20aの長さLbよりも短くしたので、荷重支持片20を切り起こすことで形成される切り抜き孔21(すなわち、化自由に対する強度の低下誘因となる空間域)の大きさが小さくなる。そのため、基板部16から切り起こされた荷重支持片20が荷重を受けた場合において、その荷重支持片20の根元部分が基板部16よりも下方に切り抜き孔21の孔縁の一部を垂れ下げるようにして落ち込んでしまうことが抑制される。
【0038】
なお、このことは、一つ目及び二つ目の内装体13に限らず、三つ目以降に積み重ねられる内装体13についても同様のことが言える。そして、このようにして、箱体12内に複数の内装体13を複数のインクカートリッジ14を横倒しに載置した状態のままで積み重ねながら収容するとともに、箱体12の上面をフラップ12d及び12eを重ね合わせ、箱体12の開口部12fを開口状態から閉口状態とすることで、インクカートリッジ14が運搬可能な梱包形態とされる。
【0039】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)荷重支持片20における折り目線部19の長さLaと先端縁部20aの長さLbが同じである場合よりも、荷重支持片20の根元部分となる折り目線部19の長さLaを先端縁部20aの長さLbよりも短くしたことにより、荷重に対する強度の低下誘因となる切り抜き孔21の大きさが小さくなる。そのため、切り起こされた荷重支持片20が荷重を受けた場合において、その荷重支持片20の根元部分が基板部16よりも下方に切り抜き孔21の孔縁の一部を垂れ下げるようにして落ち込んでしまうことが抑制される。また、荷重支持片20において荷重を受ける支持部分となる先端縁部20aの長さLbの方が折り目線部19の長さLaよりも長くなるという点で、荷重を安定支持することができるようになる。さらに、こうした荷重支持片20は基板部16から切り起こされる構成であるため、部材点数が増加することもない。したがって、梱包材としての内装体13は、部材点数を増加させることなく、基板部16上に長尺の物品である長大なインクカートリッジ14を載置しつつ、箱体12内に積み重ね状態に梱包された場合において、基板部16上のインクカートリッジ14が荷重の影響で変形してしまうことを抑制することができる。
【0040】
(2)荷重支持片20における折り目線部19の長さLaは、基板部16における折り目線部19が延びる長手方向での全長の4分の1以下であるため、基板部16から切り起こされた荷重支持片20の根元部分が臨むことになる切り抜き孔21の大きさが過大になることを規制でき、内装体13は荷重に対する強度を確保することができる。
【0041】
(3)内装体13は、荷重支持片20を基板部16上の長手方向に沿う同一線上に複数設けることで、そうした荷重支持片20が基板部16に一つだけ設けられた場合と比べて、荷重に対する強度を向上することができる。
【0042】
(4)基板部16上の長手方向に沿う同一線上に位置する複数の荷重支持片20における折り目線部19の長さLaの合計は、基板部16における折り目線部19が延びる長手方向での全長の6割以下である。そのため、内装体13は、基板部16全体として同一線上に位置する各荷重支持片20が切り起こされた場合に形成される切り抜き孔21の領域比率を少なくすることができ、荷重支持片20が切り起こされた基板部16における荷重に対する強度を確保することができる。
【0043】
(5)各荷重支持片20の先端縁部20aの長さLbの合計は、基板部16における折り目線部19が延びる長手方向での全長の7割以上である。そのため、内装体13は、基板部16全体として同一線上に位置する各荷重支持片20が切り起こされた場合において荷重を受ける支持部分が多くなるため、荷重に対する安定支持機能を確保することができる。
【0044】
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・ 実施形態において、荷重支持片20は、基板部16の長手方向に沿う方向に複数設けなくてもよく、荷重支持片20を1つのみ設ける構成にしてもよい。この場合、荷重支持片20の先端縁部20aを長くすればするほど、上側の内装体13における基板部16の下面16bと当接する領域が多くなるため、荷重支持片20の先端縁部20aをできる限り長くするようにしたほうが好ましい。これによれば、荷重支持片20を切り起こす作業工程が複数の荷重支持片20を切り起こす場合と比べて少なくなり、インクカートリッジ14を梱包する作業効率が向上する。
【0045】
・ 実施形態において、基板部16には、荷重支持片20を1本分のインクカートリッジ14を載置する間隔に隔てて、基板部16における短手方向に2列並んだ状態で設けたが、これに限らない。例えば、基板部16に、荷重支持片20を基板部16における短手方向に1列又は3列以上並んだ状態で設けるとともに、インクカートリッジ14を横倒しの状態で2本、又は4本以上載置可能な内装体13を構成してもよい。
【0046】
・ 実施形態において、荷重支持片20は、基板部16の長手方向に所定間隔をおいて3つずつ設けたが、これに限らず、荷重支持片20を基板部16の長手方向に沿う方向に一直線上に2つ又は4つ以上設けてもよい。
【0047】
・ 実施形態において、荷重支持片20の先端縁部20aの長さLbの合計は、基板部16の長手方向の長さの7割未満であってもよい。
・ 実施形態において、折り目線部19の長さLaの合計は、基板部16の長手方向の長さの6割よりも大きくてもよいが、折り目線部19の長さLaは、短ければ短いほど好ましい。
【0048】
・ 本発明をインクカートリッジ14以外の長尺の物品(例えば、胡瓜等の長尺の野菜や薬品が入った円筒状のアンプルなど)を梱包するために適用してもよい。
・ 実施形態において、内装体13を物品としてのインクカートリッジ14を基板部16上に載置しつつ積み重ね状態とされるものの、箱体12内に収容されることなく、その積み重ね状態のまま結束される等して運搬可能な梱包形態とされるようにしてもよい。
【0049】
・ 実施形態において、荷重支持片20は、左右で対をなさず、例えば千鳥配列であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
11…梱包装置、12…箱体、13…梱包材としての内装体、14…物品としてのインクカートリッジ、16…基板部、16b…下面、19…折り目線部、20…荷重支持片、20a…先端縁部、La,Lb,Lc…長さ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載置可能な基板部を有し、該基板部には、直線状をなす折り目線部を基点に切り起こし可能な荷重支持片が前記折り目線部と平行な先端縁部を有するように切り込み形成され、前記荷重支持片の前記折り目線部の長さは前記先端縁部の長さよりも短くなっており、前記荷重支持片を切り起こした状態の前記基板部上に前記物品を載置しつつ前記荷重支持片の先端縁部に荷重がかかる積み重ね状態にして梱包可能とされていることを特徴とする梱包材。
【請求項2】
前記荷重支持片における前記折り目線部の長さは、前記基板部における前記折り目線部が延びる方向での全長の4分の1以下であることを特徴とする請求項1に記載の梱包材。
【請求項3】
前記基板部には、複数の前記荷重支持片が各荷重支持片の折り目線部同士を同一線上に位置させるようにして設けられていることを特徴とする請求項2に記載の梱包材。
【請求項4】
前記同一線上に位置する前記各荷重支持片の前記折り目線部の長さの合計は、前記基板部における前記折り目線部が延びる方向での全長の6割以下であることを特徴とする請求項3に記載の梱包材。
【請求項5】
前記各荷重支持片の前記先端縁部の長さの合計は、前記基板部における前記折り目線部が延びる方向での全長の7割以上であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の梱包材。
【請求項6】
前記物品は、液体噴射装置において使用される液体を内部に収容した液体収容体であることを特徴とする請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の梱包材。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の梱包材と、複数の前記梱包材を前記積み重ね状態にして収容可能な箱体とを備えたことを特徴とする梱包装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−222052(P2010−222052A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74385(P2009−74385)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】