説明

棗の環状アデノシン一リン酸から調製された抗うつ薬

【課題】本発明は従来の抗うつ薬の副作用を抑制するため、棗のcAMPから製造される抗うつ薬を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、棗のcAMPから製造される抗うつ薬又は健康食品及びその製造する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棗の環状アデノシン一リン酸(jujuba cAMP)から製造される抗うつ薬又は健康食品に関するものであり、更に、棗の環状アデノシン一リン酸から製造される抗うつ薬又は健康食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
うつ病はよく知られている疾病である。統計資料によると、世界人口の約25%の女性と約10%の男性は、彼らの生活の中でうつ病を経験していた(張春興の『現代心理学』を参照する)。世界保健機関(WHO)からの資料によると、世界でうつ病の発生率が約11%である。現在、世界では約3億4000万人のうつ病患者がおり、その数は依然として高い増加傾向を示している。これまでの調査により、今から20年後、うつ病は世界で2番目のありふれた疾病になる。
【0003】
現時点では、主要な抗うつ薬は、プロザック(Prozac)、パキシル(Paxil)、ゾロフト(Zoloft)など、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)の取り込みを抑制するノルエピネフリン・ドーパミン再取り込み阻害薬(NDRI)、セロトニン取り込み抑制薬(5−HT) 、ノルエピネフィリン(NE)及びドーパミン(DA)に属し、これらの医薬品が機能する機構は、5−HTのような神経伝達物質を増加させることによって、うつ病の症状を緩和軽減する。
【0004】
しかし、これらの医薬品は、異なる重症度のさまざまな副作用を有し、例えば、自殺率の増加、頭痛、めまい、不眠症、過眠症、耳鳴り、のどの渇き、嫌食、食欲旺盛、体重上昇、血圧上昇、胃の不調、逆流、悪心、嘔吐、消化不良、下痢、便秘、足の痛み、皮膚の発疹、ためらい、痙攣、多汗症、浮腫、性欲不足、インポテンツなど。近年では、プロザックなどの抗うつ薬は、深刻な社会問題を引き起こした。2004年において、米国の食品医薬品局(FDA)は、更に製薬会社に、市場における32種類の主要な抗うつ薬に対して、医薬品の副作用と警告を明確に記載するように製品ラベル表示を変更するように命じた。又、医療従事者に対して、これらの医薬品は、子供と青少年の自殺率を増やす可能性を強調した。とりわけパキシルは、1996年に有害であることが発見され、2001年来継続的に市場から回収されている。2004年6月、ニューヨーク州検事総長は、「青少年期における自殺行為と傾向が増加するリスク」とパキシルとが関連があるという研究報告を隠蔽したことに対して、英国グラクソ・スミスクライン株式会社を非難した。現状を踏まえて、副作用がより少なくなり、強力な抗うつ病の機能を有する新世代の医薬品の探索に、製薬産業界の注目が集まっている。
【0005】
したがって、本発明はこのような従来の課題を解決するため、実験と研究を重ねた結果、「棗のcAMPから調製された抗うつ薬」の発明に至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、棗に含まれるcAMPから調製される抗うつ用の医薬または健康食品を提供することにより、従来の抗うつ薬の副作用を抑制する新技術方案を提案することにある。本発明のもう一つの目的は、棗に含まれるcAMPから調製される抗うつ薬または健康食品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の医薬品による解決方案は、本発明の発明者が鋭意努力した結果、現代医学と薬理学の理論を組み合わせたものであり、特に、アデニル酸サイクラーゼ(AC)、環状アデノシン一リン酸(cAMP)に関する信号伝達経路、及びcAMP誘導の転写プロセス等の研究分野を組み合わせたものである。発明者はうつ病を治療するための植物性材料を研究する努力を行った。
【0008】
多くの動物実験によると、棗のcAMPは、外因性非加水分解のcAMPとして、生物体内のcAMP転移過程に関与することができると証明され、且つ細胞内のcAMP含有量を高めるために酵素機能をシミュレートし、こうして抗うつ病の効果を達成するに至った。棗のcAMPは、食用果実である棗から抽出されるものであり、長い歴史において果物として人に食べられ、且つ漢方薬の材料として使われても、人に対して抗うつ薬のような有害反応と副作用の例がない。
【0009】
発明者が水で棗から極微量(約一萬分の一)の棗のcAMPを抽出し、更にその抽出物を精製して1%のcAMPを有する棗抽出物を得た。棗のcAMPは、このように加工した棗抽出物により、動物実験で抗うつ作用を持っていることを示す。
【0010】
棗のcAMPを有する水溶液を精製しないと微量の棗のcAMPを含有していても、このような水抽出物は、通常の処方による動物実験では抗うつ作用を示さない。これにより、発明者が本発明の「棗のcAMPによって製造する抗うつ薬」という新技術方案を提出し、先行技術の問題を改善する。
【0011】
棗のcAMP:
ソース:乾燥した成熟果実である棗。
異名:3’,5’−環状アデノシン一リン酸または3’,5’−環状リン酸エステル。
英語名:cyclic adenosine−3’,5’−monophosphate。
分子式、分子量:C1013P・HO、347.23。
生物活性:棗にあるcAMPのようなもの活性がcAMPの活性に似ている。cAMPは、外因性非加水分解のcAMPとして、酵素機能をシミュレートすることで、細胞内のcAMP含有量を高める。
【0012】

【0013】
上述の目的を達成するため、うつ病を治療するための医薬組成物を提供する。前記医薬組成物は、棗の環状アデノシン一リン酸 (jujuba cAMP)を含むものである。
【0014】
本発明の上記構想に基づいて、前記医薬組成物は、経口薬、健康食品または栄養補助食品として製造されるものである。
【0015】
本発明の上記構想に基づいて、前記医薬組成物は、剤形を有し、前記剤形は、錠剤、カプセル、粉薬、丸薬、粉末、溶液、マイクロカプセル、懸濁液、乳剤、粒子、点滴剤、ロールからなる群から選ばれるものである。
【0016】
本発明の上記構想に基づいて、前記剤形は、0.003mg〜0.3mgの前記環状アデノシン一リン酸を含み、1日1回服用するための第一経口剤形であり、前記第一経口剤形は、好ましくは0.01mg〜0.25mgの前記環状アデノシン一リン酸を含む。前記剤形は、また0.002mg〜0.2mgの前記環状アデノシン一リン酸を含み、1日2回服用するための第二経口剤形であり、前記第二経口剤形は、好ましくは0.005mg〜0.12mgの前記環状アデノシン一リン酸を含む。前記剤形は、0.001mg〜0.1mgの前記環状アデノシン一リン酸を含み、1日3回服用するための第三経口剤形であり、前記第三経口剤形は、好ましくは0.003mg〜0.08mgの前記環状アデノシン一リン酸を含む。前記剤形は、また0.0008mg〜0.06mgの前記環状アデノシン一リン酸を含み、1日4回服用するための第四経口剤形であり、前記第四経口剤形は、好ましくは0.002mg〜0.04mgの前記環状アデノシン一リン酸を含むものである。
【0017】
本発明の上記構想に基づいて、前記医薬組成物は、少なくとも1つの薬理学的に許容される担体と添加剤を含むものである。
上記医薬組成物は、また健康食品または栄養補助食品として調製される。
【0018】
本発明の上記構想に基づいて、前記環状アデノシン一リン酸は、棗から抽出され、第一濃度の環状アデノシン一リン酸を有する第一抽出物が抽出され、更に前記第一抽出物から第二濃度の環状アデノシン一リン酸を有する第二抽出物が抽出され、前記第二濃度は前記第一濃度よりも高くなる。
【0019】
本発明の別の態様に従えば、うつ病を治療するための医薬組成物の製造方法が提供される。前記医薬組成物の製造方法は、(a)棗から第一濃度の環状アデノシン一リン酸を有する第一抽出物を抽出する工程と、(b)前記第一抽出物から第二濃度の環状アデノシン一リン酸を有する第二抽出物を抽出する工程と、を含む。前記第二濃度は前記第一濃度よりも高くなる。
【0020】
前記医薬組成物の製造方法において、工程(b)は、クロマトグラフィーでアルデヒド基と結合するマクロ多孔性樹脂によって前記第一抽出物を抽出する工程であり、更に、工程(b)は、(b1)クロマトグラフィーでアルデヒド基と結合するマクロ多孔性樹脂OU−2によって前記第一抽出物を抽出する工程、又は(b2)クロマトグラフィーでアルデヒド基と結合するマクロ多孔性樹脂OU−2によって前記第一抽出物を抽出する工程からなる。
【0021】
本発明の別の態様によれば、棗の環状アデノシン一リン酸(jujuba cAMP,「棗のcAMP」と記載することもある)の製造方法を提供する。前記棗の環状アデノシン一リン酸の製造方法は、(a)棗から第一抽出物を抽出する工程と、(b)クロマトグラフィーでアルデヒド基と結合するマクロ多孔性樹脂によって前記第一抽出物から抽出する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、従来の抗うつ薬の副作用が少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第一実施例による医薬組成物の製造方法を示すフローチャートである。
【図2】本発明の第二実施例による医薬組成物の製造方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第三実施例による医薬組成物の製造方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第四実施例による医薬組成物の製造方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第五実施例による医薬組成物の製造方法を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第六実施例による医薬組成物の製造方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第七実施例による医薬組成物の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下のように、本発明を実施例に基づいて詳述するが、あくまでも例示であって、本発明の範囲はこれらの実施形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲に記載されており、さらに特許請求の範囲の記載と均等な意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
【0025】
本発明の目的を達成するために、本発明の実施態様による技術方案は以下に説明する。
【0026】
例1:
本発明の実施例によるうつ病を治療するための経口薬は、棗の環状アデノシン一リン酸を含む原料から製造されるものである。
【0027】
例2:
棗の環状アデノシン一リン酸を含む原料から、本発明の実施例によるうつ病を治療するための経口薬の剤形が製造される。うつ病を治療するための前記剤形は、例えば、錠剤、カプセル、粉薬、丸薬、粉末、溶液、マイクロカプセル、懸濁液、乳剤、粒子、点滴剤、ロール等薬理学上よく知られているものである。
【0028】
例3:
本発明の実施例による医薬品の剤形は、所定量の棗cAMPを含む所定量の原料から調製し1日1回服用する剤形として一剤形当たり0.003mg〜0.3mgの棗の環状アデノシン一リン酸を含むものである。前記剤形は、好ましくは、1日1回服用する剤形として0.01mg〜0.25mgの環状アデノシン一リン酸を含むものである。
【0029】
例4:
本発明の実施例による医薬品の剤形は、所定量の棗cAMPを含む所定量の原料から調製し1日2回服用する剤形として一剤形当たり0.002mg〜0.2mgの棗の環状アデノシン一リン酸を含むものである。前記剤形は、好ましくは、1日2回服用する剤形として0.005mg〜0.12mgの環状アデノシン一リン酸を含むものである。
【0030】
例5:
本発明の実施例による医薬品の剤形は、所定量の棗cAMPを含む所定量の原料から調製し1日3回服用する剤形として一剤形当たり0.001mg〜0.1mgの棗の環状アデノシン一リン酸を含むものである。前記剤形は、好ましくは、1日3回服用する剤形として0.003mg〜0.08mgの環状アデノシン一リン酸を含むものである。
【0031】
例6:
本発明の実施例による医薬品の剤形は、所定量の棗cAMPを含む所定量の原料から調製し1日4回服用する剤形として一剤形当たり0.0008mg〜0.06mgの棗の環状アデノシン一リン酸を含むものである。前記剤形は、好ましくは、1日4回服用する剤形として0.002mg〜0.04mgの環状アデノシン一リン酸を含むものである。
【0032】
例7:
棗を破砕した後、破砕した棗を室温で水に浸漬し、それから、浸漬された棗を煎出し、且つアルコールで沈降して棗抽出物を得る。更にマクロ多孔性樹脂OU−2とME−2によって棗抽出物を順次吸収して分離し、そうして乾燥する。最後に、高濃度の棗の環状アデノシン一リン酸を含む棗抽出物は、本発明の医薬品を準備するための原料として得るものである。
【0033】
例8:
本発明の実施例による経口薬は、薬理学的に許容される担体、添加剤又はそれらの混合物を含んでいてもよい。
【0034】
例9:
本発明の実施例による経口薬は、更に健康食品と栄養補助食品として製造されてもよい。
【0035】
本発明の目的を達成するために、医薬組成物を製造する方法を以下に示す。
【0036】
方法1:
優良製造基準(Good Manufacturing Practice,GMP)による標準的な製薬方法に基づき、本発明の実施例によるうつ病を治療するための経口薬は、棗の環状アデノシン一リン酸を含む原料から製造されるものである。
【0037】
方法2:
GMPによる標準的な製薬方法に基づき、棗の環状アデノシン一リン酸を含む原料から、本発明の実施例によるうつ病を治療するための経口薬の剤形が製造される。うつ病を治療するための前記剤形は、例えば、錠剤、カプセル、粉薬、丸薬、粉末、溶液、マイクロカプセル、懸濁液、乳剤、粒子、点滴剤、ロール等薬理学上よく知られているものである。
【0038】
方法3:
GMPによる標準的な製薬方法に基づき、本発明の実施例による医薬品の剤形は、所定量の棗cAMPを含む所定量の原料から調製し1日1回服用する剤形として一剤形当たり0.003mg〜0.3mgの棗の環状アデノシン一リン酸を含むものである。前記剤形は、好ましくは、1日1回服用する剤形として0.01mg〜0.25mgの環状アデノシン一リン酸を含むものである。
【0039】
方法4:
GMPによる標準的な製薬方法に基づき、本発明の実施例による医薬品の剤形は、所定量の棗cAMPを含む所定量の原料から製造され、1日2回服用する剤形として一剤形当たり0.002mg〜0.2mgの棗の環状アデノシン一リン酸を含むものである。前記剤形は、好ましくは、1日2回服用する剤形として0.005mg〜0.12mgの環状アデノシン一リン酸を含むものである。
【0040】
方法5:
GMPによる標準的な製薬方法に基づき、本発明の実施例による医薬品の剤形は、所定量の棗cAMPを含む所定量の原料から製造され、1日3回服用する剤形として一剤形当たり0.001mg〜0.1mgの棗の環状アデノシン一リン酸を含むものである。前記剤形は、好ましくは、1日3回服用する剤形として0.003mg〜0.08mgの環状アデノシン一リン酸を含むものである。
【0041】
方法6:
GMPによる標準的な製薬方法に基づき、本発明の実施例による医薬品の剤形は、所定量の棗cAMPを含む所定量の原料から製造され、1日4回服用する剤形として一剤形当たり0.0008mg〜0.06mgの棗の環状アデノシン一リン酸を含むものである。前記剤形は、好ましくは、1日4回服用する剤形として0.002mg〜0.04mgの環状アデノシン一リン酸を含むものである。
【0042】
方法7:
GMPによる標準的な製薬方法に基づき、棗を破砕した後、破砕した棗を室温で水に浸漬し、それから、浸漬された棗を煎出し、且つアルコールで沈降して棗抽出物を得る。更にマクロ多孔性樹脂OU−2とME−2によって棗抽出物を順次吸収して分離し、そうして乾燥する。このように、高濃度の棗の環状アデノシン一リン酸を含む棗抽出物は、本発明の医薬品を調製するための原料として得られる。
【0043】
方法8:
GMPによる標準的な製薬方法に基づき、本発明の実施例による経口薬は、薬理学的に許容される担体、添加剤又はそれらの混合物を含んでいてもよい。
【0044】
方法9:
GMPによる標準的な製薬方法に基づき、本発明の実施例による経口薬は、更に健康食品と栄養補助食品として製造されてもよい。
【0045】
以下のように、好適な実施例と図面を組み合わせることにより、本発明を詳述する。
【実施例1】
【0046】
図1を参照して下さい。図1は、本発明の第一実施例による医薬組成物の製造方法を示すフローチャートである。図1によると、GMPによる標準的な製薬方法に基づき、1%の棗の環状アデノシン一リン酸を含む前記棗抽出物(30g)を用意して原料とする(工程101)。270gの補助剤と賦形剤(澱粉、乳糖、二酸化ケイ素とステアリン酸マグネシウム等)を加えることにより、うつ病を治療するための経口薬や健康食品の錠剤(10000錠、30mg/錠、1錠中0.03mgの棗のcAMPを含む)を製造する(工程102と103)。
【実施例2】
【0047】
図2を参照して下さい。図2は、本発明の第二実施例による医薬組成物の製造方法を示すフローチャートである。図2によると、GMPによる標準的な製薬方法に基づき、1%の棗の環状アデノシン一リン酸を含む前記棗抽出物(30g)を用意して原料とする(工程201)。420gの補助剤と賦形剤(澱粉、乳糖、二酸化ケイ素とステアリン酸マグネシウム等)を加えることにより、うつ病を治療するための経口薬や健康食品の錠剤(15000錠、30mg/錠、1錠中0.02mgの棗のcAMPを含む)を製造する(工程202と203)。
【実施例3】
【0048】
図3を参照して下さい。図3は、本発明の第三実施例による医薬組成物の製造方法を示すフローチャートである。図3によると、GMPによる標準的な製薬方法に基づき、1%の棗の環状アデノシン一リン酸を含む前記棗抽出物(50g)を用意して原料とする(工程301)。250gの補助剤と賦形剤(澱粉、乳糖、二酸化ケイ素とステアリン酸マグネシウム等)を加えることにより、うつ病を治療するための経口薬や健康食品の錠剤(10000錠、30mg/錠、1錠中0.05mgの棗のcAMPを含む)を製造する(工程302と303)。
【実施例4】
【0049】
図4を参照して下さい。図4は、本発明の第四実施例による医薬組成物の製造方法を示すフローチャートである。図4によると、GMPによる標準的な製薬方法に基づき、1%の棗の環状アデノシン一リン酸を含む前記棗抽出物(30g)を用意して原料とする(工程401)。210gの補助剤と賦形剤(澱粉、乳糖、二酸化ケイ素とステアリン酸マグネシウム等)を加えることにより、うつ病を治療するための経口薬や健康食品の錠剤(12000錠、20mg/錠、1錠中0.025mgの棗のcAMPを含む)を製造する(工程402と403)。
【実施例5】
【0050】
図5を参照して下さい。図5は、本発明の第五実施例による医薬組成物の製造方法を示すフローチャートである。図5によると、GMPによる標準的な製薬方法に基づき、1%の棗の環状アデノシン一リン酸を含む前記棗抽出物(17g)を用意して原料とする(工程501)。183gの補助剤と賦形剤(澱粉、乳糖、二酸化ケイ素とステアリン酸マグネシウム等)を加えることにより、うつ病を治療するための経口薬や健康食品の錠剤(10000錠、20mg/錠、1錠中0.017mgの棗のcAMPを含む)を製造する(工程502と503)。
【実施例6】
【0051】
図6を参照して下さい。図6は、本発明の第六実施例による医薬組成物の製造方法を示すフローチャートである。図6によると、GMPによる標準的な製薬方法に基づき、1%の棗の環状アデノシン一リン酸を含む前記棗抽出物(13g)を用意して原料とする(工程601)。187gの補助剤と賦形剤(澱粉、乳糖、二酸化ケイ素とステアリン酸マグネシウム等)を加えることにより、うつ病を治療するための経口薬や健康食品の錠剤(10000錠、20mg/錠、1錠中0.013mgの棗のcAMPを含む)を製造する(工程602と603)。
【実施例7】
【0052】
図7を参照して下さい。図7は、本発明の第七実施例による医薬組成物の製造方法を示すフローチャートである。図7によると、GMPによる標準的な製薬方法に基づき、10kgの棗を破砕する(工程701)後、室温で水に破砕した棗を浸漬し、それから、浸漬された棗を煎出し、且つアルコールで沈降して棗抽出物を得る。更にマクロ多孔性樹脂OU−2とME−2によって棗抽出物を順次吸収して分離し、そうして乾燥することで、環状アデノシン一リン酸含む棗抽出物(30g)を得る(工程702)。1%濃度(300mg)がある棗の環状アデノシン一リン酸を含む棗抽出物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定することにより、うつ病を治療するための経口薬や健康食品を製造する(工程703)。
実験例1:マウスの尾の吊り下げ試験(tail suspension test,TST)において第三実施例の影響
【0053】
1.1 実験動物:二級、体重22.0±2gのICRマウス(雄)が北京首都医科大学実験動物科学部に提供される。
【0054】
1.2 実験用医薬品:第三実施例の医薬品は、北京ウォナー生物学技術株式会社(Beijing Wonner Biotech.Ltd.Co.)に提供される。パロキセチン(パキシル)は、中美天津スミスクライン製薬株式会社(Zhong Mei Tianjin Smith Kline pharmaceuticals Co.Ltd.)の製品である。
【0055】
1.3 実験装置:ストップウォッチ。
1.4 服用量の設計:1.第三実施例の高用量(5mg/kg/d);2.第三実施例の中用量(2.5 mg/kg/d);3.第三実施例の低用量(1.25mg/kg/d)。
【0056】
1.5 実験方法と結果:
1.5.1 グループ分割と薬の投与:マウスが無作為にグループ毎に10匹に分類される。
1.第三実施例の高用量(5mg/kg、経口で7日間投与する); 2.第三実施例の中用量(2.5mg/kg、経口で7日間投与する); 3.第三実施例の低用量(1.25mg/kg、経口で7日間投与する); 4.パロキセチン(3mg/kg、経口で7日間に投与する);及び 5.生理食塩水(経口)。最後の投与から1時間後、マウスの尾懸垂実験が進む。
【0057】
1.5.2 実験方法:マウスの尾(末端までの距離は1cm)を壇より5cm高い木片にテープで括り、6分間マウスを吊り下げる。最後の5分間でマウスの非運動時間を記録する。
【0058】

【0059】
1.5.4 実験結果:表1を参照して下さい。

【0060】
結論:上記の実験によると、本発明の第三実施例の高用量、中用量及びパロキセチングループは、すべてのマウスが吊り下げられた後の非運動時間が減少する傾向を示す。又、それらのグループと対照グループとを比較して、有意差があると認められる。したがって、本発明の第三実施例は、抗うつ病機能を有することを推定できる。
【0061】
実験例2:マウスの強制遊泳試験において第三実施例の影響
2.1 実験動物:二級、体重22.0±2gのICRマウス(雄)が北京首都医科大学実験動物科学部に提供される。
【0062】
2.2 実験用医薬品:第三実施例の医薬品は、北京ウォナー生物学技術株式会社(Beijing Wonner Biotech.Ltd.Co.)に提供される。パロキセチン(パキシル)は、中美天津スミスクライン製薬株式会社(Zhong Mei Tianjin Smith Kline pharmaceuticals Co.Ltd.)の製品である。
【0063】
2.3 実験装置:ストップウォッチ。
2.4 服用量の設計:1.第三実施例の高用量(5mg/kg/d); 2.第三実施例の中用量(2.5mg/kg/d); 3.第三実施例の低用量(1.25mg/kg/d)。
【0064】
2.5 実験方法と結果:
2.5.1 グループ分割と薬の投与:マウスが無作為にグループ毎に10匹に分類される。
1.第三実施例の高用量(5mg/kg、経口で7日間投与する); 2.第三実施例の中用量(2.5mg/kg、経口で7日間投与する); 3.第三実施例の低用量(1.25mg/kg、経口で7日間投与する); 4.パロキセチン(3mg/kg、経口で7日間に投与する);及び 5.生理食塩水(経口)。
【0065】
2.5.2 実験方法:最後の投与から1時間後、マウスは、水の深さが10cmと14cm径のガラス水槽の25℃の水中に配置される。最後の5分間、水中のマウスの非運動の累積時間を記録する。
【0066】

【0067】
2.5.4 実験結果:表2を参照して下さい。

【0068】
結論:上記の実験によると、本発明の第三実施例の高用量とパロキセチングループは、マウスの強制遊泳試験における非運動時間が減少する傾向を示す。したがって、本発明の第三実施例は、抗うつ病機能を有することを推定できる。
【0069】
産業上の利用性:
本発明のうつ病を治療するための経口薬に適用する範囲:
1.本発明で説明したうつ病を治療するための経口薬は、薬理学的に許容される添加剤を含めることができる。
2.本発明で説明したうつ病を治療するための経口薬は、既知の剤形として製造することができ、例えば粉、カプセル、及び錠等;及び
3.本発明で説明したうつ病を治療するための経口薬は、うつ病を治療するための健康食品として製造することができる。
【0070】
本発明には、最も実用的で好ましい態様が何たるかと云う観点から記載されているが、他方では、本願の特許請求の範囲と精神に含まれる種々の変更や類似した編成をも包含するように意図され、全てのそのような変更やル持した構造を含めるように最も広い範囲の解釈が適用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
うつ病を治療するための医薬組成物であって、棗の環状アデノシン一リン酸を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項2】
前記医薬組成物は、経口薬、健康食品または栄養補助食品として製造されることを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記医薬組成物は、剤形を有し、前記剤形は、錠剤、カプセル、粉薬、丸薬、粉末、溶液、マイクロカプセル、懸濁液、乳剤、粒子、点滴剤、ロールからなる群から選ばれることを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記剤形は、0.003mg〜0.3mgの前記環状アデノシン一リン酸を1日1回服用するための第一経口剤形であり、前記第一経口剤形は、好ましくは0.01mg〜0.25mgの前記環状アデノシン一リン酸を含み、
前記剤形は、0.002mg〜0.2mgの前記環状アデノシン一リン酸を1日2回服用するための第二経口剤形であり、前記第二経口剤形は、好ましくは0.005mg〜0.12mgの前記環状アデノシン一リン酸を含み、
前記剤形は、0.001mg〜0.1mgの前記環状アデノシン一リン酸を1日3回服用するための第三経口剤形であり、前記第三経口剤形は、好ましくは0.003mg〜0.08mgの前記環状アデノシン一リン酸を含み、
前記剤形は、0.0008mg〜0.06mgの前記環状アデノシン一リン酸を1日4回服用するための第四経口剤形であり、前記第四経口剤形は、好ましくは0.002mg〜0.04mgの前記環状アデノシン一リン酸を含むことを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記医薬組成物は、少なくとも1つの薬理学的に許容される担体と添加剤を含むことを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記環状アデノシン一リン酸は、棗から抽出され、第一濃度の環状アデノシン一リン酸を有する第一抽出物が得られ、更に前記第一抽出物から第二濃度の環状アデノシン一リン酸を有する第二抽出物が抽出され、前記第二濃度は前記第一濃度よりも高くなることを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
【請求項7】
うつ病を治療するための医薬組成物の製造方法であって、(a)棗から第一濃度の環状アデノシン一リン酸を有する第一抽出物を抽出する工程と、(b)前記第一抽出物から第二濃度の環状アデノシン一リン酸を有する第二抽出物を抽出する工程と、を含み、前記第二濃度は前記第一濃度よりも高くなることを特徴とする医薬組成物の製造方法。
【請求項8】
前記医薬組成物の製造方法であって、工程(b)は、クロマトグラフィーでアルデヒド基と結合するマクロ多孔性樹脂によって前記第一抽出物を抽出する工程であり、更に、工程(b)は、(b1)クロマトグラフィーでアルデヒド基と結合するマクロ多孔性樹脂OU−2によって前記第一抽出物を抽出する工程、又は(b2)クロマトグラフィーでアルデヒド基と結合するマクロ多孔性樹脂ME−2によって前記第一抽出物を抽出する工程、を含むことを特徴とする請求項7記載の医薬組成物の製造方法。
【請求項9】
棗の環状アデノシン一リン酸の製造方法であって、(a)棗から第一抽出物を抽出する工程と、(b)クロマトグラフィーでアルデヒド基と結合するマクロ多孔性樹脂によって前記第一抽出物から抽出する工程と、を含むことを特徴とする棗の環状アデノシン一リン酸の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−504885(P2011−504885A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535191(P2010−535191)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【国際出願番号】PCT/CN2007/003397
【国際公開番号】WO2009/070921
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(510151326)
【出願人】(510151337)
【Fターム(参考)】