説明

検査装置、検査方法及びパターン基板の製造方法

【課題】高いコントラストで検査を行うことができる検査装置及び検査方法並びにそれを用いたパターン基板の製造方法を提供すること。
【解決手段】
本発明にかかる検査装置は、光を透過するガラス基板21の透過率に基づいて欠陥を検出して、ガラス基板21と、反射面を有する第1の膜29とを備える試料を検査する検査装置であって、ガラス基板21の一方の面である入射面から試料に光を入射させる光源11と、開口数が0.002以上0.2以下で、光源11からの光を反射面上に集光する対物レンズ17と、ガラス基板21に斜めに入射した入射光が反射面で正反射されることによって、ガラス基板21において入射光が通過した位置と近い位置を斜めに通過して入射面から出射された光を検出する光検出器32とを備えるものである

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は検査装置、検査方法及びパターン基板の製造方法に関し、特に詳しくは試料に光を照射して検査を行う検査装置及び検査方法並びにそれを用いたパターン基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIの微細化に伴い、半導体ウエハの製造に用いられるマスクブランクス、フォトマスク等の表面や内部に存在する微小な欠陥を正確に検出することができる欠陥検出装置の開発が行われている。例えば、フォトマスクに用いられる光透過性支持体の表面や内部の欠陥を検査する検査装置が開示されている(特許文献1)。この欠陥検査装置では、略平行な検査光を光透過性支持体に投光している。そして、光透過性支持体によって反射された反射光を検出して、欠陥を測定している。この検査装置では、表面、内部欠陥の2重透過光を捕らえているため、裏面欠陥を検出する場合よりも検出力を向上することができる。
【0003】
また、別の構成を有する検査装置が開示されている(特許文献2)。この検査装置では、光透過性の被検査体の裏面側に所定間隔を開けて配置されたミラーが設けられている。そして、光源からの光を傾けて入射させ、欠陥のエッジで散乱された散乱光を検出している。この検査装置では、暗視野照明光学系により検査を行っているため、欠陥を高いコントラストで撮像することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−115592号公報
【特許文献2】特開2004−257776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年の半導体装置の微細化により、露光装置により短波長の光源が用いられるようになってきている。実際に使用される露光光の波長は、436nm(g線)から始まり、365nm(i線)、248nm(KrFエキシマレーザ)と短波長へ移行していき、現在では、例えば193nm(ArFレーザ)が用いられるようになってきている。このように紫外領域の光を用いた露光装置に用いられるフォトマスクには、248nmや可視光では検出できない欠陥が存在してしまう場合がある。
【0006】
例えば、フォトマスクの一部である透明なガラス基板の内部に、波長が193nmの光に対する欠陥が生じてしまうという問題が発生することがあった。例えば、ガラス基板の内部で露光波長の光の屈折率や透過率が変化して、均一でなくなってしまうという問題があった。このように、光の屈折率や透過率が他の領域と異なる欠陥が発生した領域では、正確にパターンを転写することができなくなってしまう。例えば、光の屈折率が一様でなくなった場合、欠陥部分の屈折角が他の領域と異なり、転写されるパターンの大きさ、形状が変わってしまう。また、光の透過率が一様でない場合、欠陥部分の露光量が他の領域と異なってしまう。このような欠陥は193nm近傍の波長の光でしか検出できない。よって、このような欠陥に対して通常のランプ光源を用いた検査装置により検査を行うと、193nmよりも長波長側の光ではコントラストがない。したがって、正常なパターン形状であると認識されてしまい、欠陥を検出することができなかった。
【0007】
特許文献1の検査装置では、略平行な光を試料に照射しており、光センサに結像させることができなかった。よって、ガラス基板の画像を撮像することができなかった。また、特許文献2において上記のような欠陥を検出しようとしても、散乱光の強度が低いため、カメラに入射する光の強度が低い。よって、高いコントラストで撮像することができなかった。
【0008】
このように透明基板内部において光の透過率や屈折率が異なる領域は欠陥となってしまう。このような欠陥は露光波長である193nmでは現れるが、その他の波長、例えば248nmの光では表れない。このように、従来の検査装置では欠陥を高いコントラストで撮像することができないという問題点があった。よって、正確に欠陥を検出することができないという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様にかかる検査装置は、光を透過する光透過性基板の透過率に基づいて欠陥を検出して、前記光透過性基板と、反射面を有する第1の膜とを備える試料を検査する検査装置であって、前記光透過性基板の一方の面である入射面から前記試料に光を入射させる光源と、開口数が0.002以上0.2以下で、前記光源からの光を前記反射面上に集光する対物レンズと、前記光透過性基板に斜めに入射した入射光が前記反射面で正反射されることによって、前記光透過性基板において前記入射光が通過した位置と近い位置を斜めに通過して前記入射面から出射された光を検出する光検出器とを備えるものである。これにより、コントラストを向上することができ、正確に検査を行うことができる。
【0010】
本発明の第2の態様にかかる検査装置は、上記の検査装置であって、前記第1の膜は、前記光透過性基板の前記入射面とは反対側の面に設けられており、前記第1の膜と前記光透過性基板との界面が前記反射面となるものである。
【0011】
本発明の第3の態様にかかる検査装置は、上記の検査装置であって、前記試料が、前記光透過性基板側から入射した光のうち、前記第1の膜側に一部を透過させる第2の膜をさらに備え、前記試料は、前記光透過性基板の前記入射面とは反対側に、前記第2の膜及び前記第1の膜が順次設けられ、前記第1の膜と前記第2の膜との界面が前記反射面となるものである。
【0012】
本発明の第4の態様にかかる検査装置は、上記の検査装置であって、前記光検出器が前記試料の画像を撮像する撮像手段であるものである。
【0013】
本発明の第5の態様にかかる検査装置は、上記の検査装置であって、前記光源からの光を波長に応じて分散させる光分散手段と、前記光分散部材で分散された光のうち一部の波長の光を通過させる空間フィルタと前記空間フィルタ上に前記光分散手段からの光を集光する集光手段をさらに備え、前記一部の波長の光を前記試料に入射させるものである。
【0014】
本発明の第6の態様にかかる検査方法は、光を透過する光透過性基板の透過率に基づいて欠陥を検出して、前記光透過性基板と、反射面を有する第1の膜とを備える試料に光を照射して検査する検査方法であって、開口数が0.002以上0.2以下の対物レンズで、光源からの光を前記反射面上に集光するステップと、前記集光された光を前記光透過性基板の一方の面である入射面に入射させるステップと、前記入射面に入射した光を前記光透過性基板を介して前記反射面に入射させるステップと、前記光透過性基板に斜めに入射した入射光が前記反射面で正反射されることによって、前記光透過性基板において前記入射光が通過した位置と近い位置を斜めに通過した光を検出するステップとを備えるものである。これにより、コントラストを向上することができ、正確に検査を行うことができる。
【0015】
本発明の第7の態様にかかる検査方法は、上記の検査方法であって、前記第1の膜は、前記光透過性基板の前記入射面とは反対側の面に設けられており、前記第1の膜と前記光透過性基板との界面が前記反射面となるものである。
【0016】
本発明の第8の態様にかかる検査装置は、上記の検査装置であって、前記試料が、前記光透過性基板側から入射した光のうち、前記第1の膜側に一部を透過させる第2の膜をさらに備え、前記試料は、前記光透過性基板の前記入射面とは反対側に、前記第2の膜及び前記第1の膜が順次設けられ、前記第1の膜と前記第2の膜との界面が前記反射面となるものである。
【0017】
本発明の第9の態様にかかる検査装置は、上記の検査装置であって、前記試料と前記試料上における光の入射位置を相対的に移動させ、前記検出される光の強度の変化から前記第2の膜の膜厚の変化を検出するものである。
【0018】
本発明の第10の態様にかかる検査装置は、上記の検査装置であって、前記光源からの光を波長に応じて分散させるステップと、前記分散された光を開口を有する空間フィルタ上に集光するステップと、前記空間フィルタ上に集光された光のうち一部の波長の光を通過させるステップとをさらに備え、前記一部の波長の光を前記試料に入射させるものである。
【0019】
本発明の第11の態様にかかるパターン基板の製造方法は、上記の検査方法により、試料を検査するステップと、前記検査された試料のうち、前記光透過性基板に欠陥がないと判定された試料によりマスクを製造するステップと、前記マスクを基板を用いて露光するステップと、前記露光された基板を現像して、パターンを形成するステップとを有するものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、高いコントラストで検査を行うことができる検査装置及び検査方法並びにそれを用いたパターン基板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明にかかる検査装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる検査装置の試料近傍の構成を拡大して示す図である。
【図3】本発明の実施の形態2にかかる検査装置の試料近傍の構成を拡大して示す図である。
【図4】本発明の実施の形態3にかかる検査装置の試料近傍の構成を拡大して示す図である。
【図5】本発明の実施の形態4にかかる検査装置の試料近傍の構成を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明を適用可能な実施の形態が説明される。以下の説明は、本発明の実施形態を説明するものであり、本発明が以下の実施形態に限定されるものではない。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略及び簡略化がなされている。又、当業者であれば、以下の実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。
発明の実施の形態1.
【0023】
本発明に係る検査装置の構成について図1を用いて説明する。図1は、本発明にかかる検査装置の構成を示す図である。11は光源、12はレンズ、13はプリズム、14はレンズ、15はビームスプリッタ、16はアパーチャ、17は対物レンズ、21はガラス基板、22はミラー、31はレンズ、32は光検出器である。また、本発明では、検査を行うための試料として、マスクを製作するための透明なガラス基板21(マスクサブストレート)を例に挙げて説明する。このガラス基板21は本発明にかかる検査装置で検査が行われた後、所定の遮光パターンが形成される。すなわち、試料である透明なガラス基板21に所定の遮光パターンが形成されフォトマスクが製造される。そして、露光波長が193nmの露光装置のフォトマスクとして利用される。本発明にかかる検査装置は、明視野の落射照明光学系により、ガラス基板21を照明している。
【0024】
光源11には例えば、重水素ランプ光源を用いることができる。重水素ランプ光源は広範囲に及ぶスペクトル分布を持っている。したがって、光源11には露光装置の波長193nmが含まれるスペクトルを有している。
【0025】
光源11からの光はレンズ12により屈折され、プリズム13に入射する。プリズム13は三角プリズムである。プリズム13は入射した光を波長によって異なる角度に屈折させる。すなわち、プリズム13内での波長による屈折率の違いから、プリズムを出射する光の位置及びその出射角が波長により変化する。
【0026】
プリズム13から出射した光は、レンズ14によって屈折される。レンズ14によって屈折された光の一部はビームスプリッタ15を通過して、アパーチャ16に入射する。ここで、レンズ14はアパーチャ16の位置に光を集光している。すなわち、アパーチャ16が瞳の位置となる。アパーチャ16には例えば、直径2mmの円状の開口が設けられた空間フィルタである。アパーチャ16に入射する光は、プリズム13を通過している。そのため、光の波長によって、アパーチャ16上で入射位置が異なる。したがって、一定範囲の波長の光のみアパーチャ16の開口を通過することができる。このアパーチャ16の開口の大きさは照明に利用する波長範囲に応じて決定することができる。すなわち、波長範囲が狭い光で照明したい場合、開口を小さくし、波長範囲が広い光で照明したい場合、開口を大きくする。ここでは、例えば、190nm±10nmの光がアパーチャ16を通過するように設定している。このように、プリズム13によって、波長を瞳上で分散させ、絞り(アパーチャ16)で分離することにより、視野上では波長分散しない光学系にすることができる。よって、観察箇所による波長強度ムラのない明視野画像を得ることができる。本発明では、視野上に波長分散しない特性を生かして、より広範囲の波長を利用することができるので、より明るい画像を得ることができる。
【0027】
アパーチャ16から出射された光は対物レンズ17に入射する。対物レンズ17に入射した光は、ミラー22の表面上に集光するように屈折される。対物レンズ17からの光はガラス基板21に入射する。ここで、ガラス基板21の対物レンズ側の面を入射面とする。この入射面は外側に露出している。本検査装置による検査後、ガラス基板21には入射面と反対側の面に遮光パターンが形成される。ガラス基板21の入射面と反対側の面であって、パターンが形成される面をパターン面とする。すなわち、光源11からの光はパターン面と反対側の面から入射する。ガラス基板21のパターン面側にはミラー22が配設されている。ミラー22はガラス基板21と近接して配設されている。対物レンズ17からの光はガラス基板21を透過し、ミラー22に入射する。そして、ミラー22の表面で正反射し、再度ガラス基板21を通過する。すなわち、光源11からの光は2回、ガラス基板21を通過することになる。再度ガラス基板21を通過した光は入射面から出射して対物レンズ17に入射する。
【0028】
ガラス基板21から対物レンズ17に入射した光は屈折され、アパーチャ16に入射する。アパーチャ16を透過した光の一部はビームスプリッタ15で反射されレンズ31に入射する。レンズ31はビームスプリッタ15で反射された光を光検出器32の受光面上に集光する。すなわち、レンズ31は光検出器32の受光面に結像している。光検出器32は例えば、2次元CCDカメラなどのエリアセンサである。また、BT−CCD等の193nm近傍に量子効率の高い検出器を用いることが望ましい。この光検出器32により、撮像する。そして、ガラス基板21及びミラー22をXYステージ上に載置する。このXYステージを矢印の方向に移動させ、ジグザグに走査することにより、試料全面に対して画像を撮像する。
【0029】
次に、ガラス基板21を通過する光について図2を用いて説明する。図2はガラス基板21の周辺の構成を示す拡大図である。24は光源11からの光が反射する反射面、25は光源11からの入射光、26は入射光25のうち反射面24で正反射する反射光、27はガラス基板21の内部に存在する欠陥である。ここで欠陥27は透過率が他の部分よりも低くなる欠陥を例に挙げて説明する。したがって、この欠陥27を通過した光は他の正常な領域を通過した光に比べて輝度が低減する。なお、図2において、ガラス基板21の上側が入射面であり、下側がパターン面である。ガラス基板21の内部において、欠陥27はパターン面側に存在している。
【0030】
光源11から出射され、対物レンズ17で屈折された入射光25はガラス基板21の入射面に入射する。ガラス基板21は透明であるので、入射面に入射した入射光25はガラス基板21を透過してパターン面まで到達する。なお、ガラス基板21の入射面及びパターン面における屈折は省略して図示している。この入射光25が欠陥27を通過するものとする。欠陥27を通過した入射光25はパターン面から出射される。そして、パターン面から出射した光はミラー22に入射し、ミラー22の反射面24で正反射する。
【0031】
ここで対物レンズ17はミラー22の反射面24に光源11からの光を集光している。ガラス基板21とミラー22とは近接して配設されている。すなわち、入射した光を正反射させるミラー22をガラス基板21の入射面と反対側の面に近接して配置している。したがって、図2に示すようにミラー22の反射面24で反射された反射光26は再度同じ欠陥27を通過する。すなわち、ミラー22が近接されて配置されているため、反射光26は光軸(図2における点線)と垂直な方向において、入射光25が通過した位置と非常に近い位置を通過する。したがって、入射光25と反射光26とはある程度の大きさがあり、反射面24の近傍に存在する欠陥27を通過する。光源11からの光は透過率が低くなっている欠陥27を2回通過する。欠陥27を2回通過した光は光検出器32によって検出される。欠陥27を通過した光は正常箇所を通過した光よりも検出光の強度が低下する。よって、欠陥27を透過して光検出器32に検出される検出光の光量は欠陥以外の箇所の検出光に比べて低減する。そして、欠陥27による吸収コントラストは1回透過の場合に2乗になる。これにより、高いコントラストで撮像することができ、正確に欠陥を検出することができる。
【0032】
光源11からの光が2回欠陥27を通過するか否かは欠陥27の大きさと、欠陥27のパターン面からの距離と、入射光25の入射角すなわち対物レンズ17のNAと、ミラー22とガラス基板21との距離とに依存する。ガラス基板21とミラー22との間隔は1mm以下とすることが好ましい。これにより、効果的に2回欠陥27を通過させることができる。例えば、ガラス基板21とミラー22との間隔を計測し、一定の間隔に保つようミラーの位置を制御する。これにより、ミラー22とガラス基板21を好適な間隔で近接させることができる。あるいは、ミラー22上に直接ガラス基板21を載置してもよい。
【0033】
また、対物レンズ17のNA(開口数)は0.002〜0.2とすることが好ましい。これにより、光源11から入射する光束が平行光束に近くなり、入射角を小さくすることができる。よって効果的に2回欠陥を通過させることができる。これにより、高コントラストで撮像することができ、正確に欠陥を検出することができる。このように収束光学系で、入射角が小さくなるようミラー22の反射面に収束させることによって、欠陥の画像を高いコントラストで得ることができる。
発明の実施の形態2.
【0034】
本実施の形態にかかる検査装置について図3を用いて説明する。図3は本実施の形態にかかる検査装置におけるガラス基板21の近傍の構成を示した拡大図である。なお、本実施の形態における検査装置の基本的構成は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。本実施の形態の検査装置は、図1に示すミラー22が設けられていない構成を有している。実施の形態1と同様の構成については説明を省略する。
【0035】
本実施の形態では、試料として、マスクブランクスを用いている。すなわち、透明なガラス基板21のパターン面に反射膜29が略均一に形成された試料を検査する。ここで、ガラス基板21の入射面と反対側の面がパターン面となるように配置する。ガラス基板21のパターン面には反射膜29が設けられている。すなわち、入射面と反対側の面に反射膜29が設けられている。反射膜29は例えば、金属クロム膜などの薄膜である。この反射膜29が検査後パターニングされ、遮光パターンとなる。
【0036】
対物レンズ17はこの反射膜29の表面に光源11からの光を集光する。すなわち、反射膜29とガラス基板21との界面が反射面24となる。ガラス基板21を通過した入射光25は反射面24で正反射される。すなわち、入射面に入射した光を透明なガラス基板21を介して反射面24に入射する。この反射面24は均一な反射率を持っているものとする。そして反射面24に入射した光は正反射され、再度、ガラス基板21を通過する。したがって、本実施の形態でも実施の形態1と同様に光源11からの光が2回欠陥を通過して、光検出器32で検出される。これにより、高コントラストで欠陥を撮像することができ、正確に欠陥を検出することができる。なお、効果的に欠陥を2回通過させるため、対物レンズ17のNAは0.002〜0.2とする。
発明の実施の形態3.
【0037】
本実施の形態にかかる検査装置について図4を用いて説明する。図4は本実施の形態にかかる検査装置におけるガラス基板21の近傍の構成を示した拡大図である。なお、本実施の形態における検査装置の基本的構成は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。本実施の形態の検査装置は、図1に示すミラー22が設けられていない構成を有している。実施の形態1、2と同様の構成については説明を省略する。
【0038】
本実施の形態では、実施の形態1と同様に試料として透明なガラス基板(マスクサブストレート)21を用いている。このガラス基板21は検査後、パターン面に遮光パターンが形成されてフォトマスクとなる。本実施の形態では透明なガラス基板21の入射面と反対側の面を反射面24としている。すなわち、透明なガラス基板21であっても、ガラス基板21の界面に入射光25が入射すると4%程度の光が反射される。この4%程度の反射光26を光検出器32により検出する。
【0039】
対物レンズ17により集光され、ガラス基板21の入射面に入射した入射光25はガラス基板21のパターン面まで到達する。ガラス基板21のパターン面が反射面24となるため、入射光25はパターン面で正反射される。すなわち、入射面に入射した光を透明なガラス基板21を介して反射面24に入射する。そして反射面24に入射した光は正反射され、再度、ガラス基板21を通過する。正反射された反射光26は光検出器32で検出される。このとき、光検出器32で検出される検出光は2回欠陥を通過している。よって、高コントラストで欠陥を撮像することができ、正確に欠陥を検出することができる。なお、効果的に欠陥を2回通過させるため、対物レンズ17のNAは0.002〜0.2とする。
発明の実施の形態4.
【0040】
本実施の形態にかかる検査装置について図5を用いて説明する。図5は本実施の形態にかかる検査装置におけるガラス基板21の近傍の構成を示した拡大図である。なお、本実施の形態における検査装置の基本的構成は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。本実施の形態の検査装置は、図1に示すミラー22が設けられていない構成を有している。実施の形態1、2、3と同様の構成については説明を省略する。
【0041】
本実施の形態では、実施の形態1と同様に試料としてハーフトーンマスク用のマスクブランクスを用いている。ハーフトーンマスク用のマスクブランクスは透明なガラス基板21上にハーフトーン膜28が設けられている。そして、ハーフトーン膜28の上には反射膜29が設けられている。ハーフトーン膜28は例えば、MoSi膜により構成される。反射膜29は例えば、クロム膜により構成される。
【0042】
ガラス基板21の入射面からガラス基板21を通過してハーフトーン膜28に入射した光の一部はガラス基板21とハーフトーン膜28との界面でガラス基板21の方向に正反射される。ガラス基板21の入射面からハーフトーン膜28に入射した光のうちガラス基板21とハーフトーン膜28との界面でガラス基板21の方向に正反射されなかった光はガラス基板21とハーフトーン膜28との界面を通過する。ガラス基板21とハーフトーン膜28との界面を通過した光は、一定の透過率でハーフトーン膜28と反射膜29との界面に到達する。ハーフトーン膜28と反射膜29との界面に到達した光の一部は、ハーフトーン膜28と反射膜29との界面で正反射される。ハーフトーン膜28と反射膜29との界面に到達した光のうち、ハーフトーン膜28と反射膜29との界面で正反射されなかった光は反射膜29に入射する。反射膜29に入射した光は一定の透過率で反射膜29の露出面すなわち、マスクブランクスの表面まで到達する。反射膜29の露出面に到達した光の一部は正反射される。
【0043】
このようなハーフトーンマスク用のマスクブランクスに対して第2の反射膜であるハーフトーン膜28とガラス基板21との界面を反射面としてもよい。すなわち、対物レンズで反射面24a上に光を集光して、検査を行う。この場合、実施の形態2と同様に、高コントラストで撮像することができる。また、図5に示すようにハーフトーン膜28と反射膜29との界面を反射面として検査を行ってもよい。すなわち、対物レンズで反射面24b上に光を集光して、検査を行う。この場合、ハーフトーン膜28に存在する欠陥を検出することができる。さらには、反射膜29の露出面を反射面としてもよい。すなわち、対物レンズで反射面24c上に光を集光して、検査を行う。この場合、ハーフトーン膜28及び反射膜29に存在する欠陥を検出することができる。このように、いずれの膜の界面を反射面としても、2回欠陥を通過した光を検出することにより、高コントラストで撮像することができる。もちろん、試料は1層あるいは2層の反射膜が設けられたものに限られるものではなく、3層以上の反射膜が設けられていてもよい。さらには試料の入射面と反対側の露出面を反射面としてもよい。反射膜28は入射した光のうち、一部を正反射する膜であればよい。本発明にかかる検査装置では、高コントラストで撮像することができるため正確に欠陥検査を行うことができる。さらに、パターン面と反対側から光を入射させているためパターン面側から検出することができない欠陥を容易に検出することができる。
【0044】
さらに、本実施の形態では、ハーフトーン膜の膜厚の変化を評価することができる。図5に示すように、ハーフトーン膜28と反射膜29との界面である反射面24b上に、対物レンズ17からの光を集光する。光検出器32で反射面24bにおける反射光26を検出しながら、ガラス基板21と入射光の相対位置を移動させて走査する。このとき、ハーフトーン膜28の膜厚が厚いほど、ハーフトーン膜28で吸収される光量が大きくなる。すなわち、ハーフトーン膜28の膜厚が厚いほど、反射面24bで正反射して光検出器32で検出される光の光量が低下する。換言すれば、光検出器32で検出される検出光の光量は、ハーフトーン膜28の膜厚に応じて変化する。このように、ハーフトーン膜28と反射膜29との界面である反射面24bで反射される反射光を検出しながら、試料を走査することによって膜厚の変化を検出することができる。もちろん、ハーフトーン膜28の膜厚の変化に限らず、その他の膜の膜厚の変化を検出することができる。このように膜厚の変化を検出することによって、マスクブランクスの受入検査に利用することができる。
【0045】
なお、上述の実施の形態1〜4にはプリズム及びアパーチャ16を用いて特定波長の光を試料に照射させたがこれに限るものではない。例えば、エキシマレーザなどのレーザ光源を用いることにより、193nm近傍の特定波長の光のみをガラス基板21に照射することができる。もちろん、試料を照明するのは波長が193nm近傍の光に限られるものではない。試料の用途や欠陥の性質に応じて特定波長の光を照射するようにすればよい。もちろん、通常のランプ光源等からの広いスペクトルの光で照明した場合であっても、2回通過の光を検出することによって、コントラストを向上することができる。
【0046】
分散された光のうち、一部の波長のみを通過させる空間フィルタはアパーチャ16に限られるものではない。空間フィルタとして、例えば、スリットを用いて一部の波長のみを通過させることができる。さらに光を瞳上に分散させる分散手段はプリズムに限られるものではない。
【0047】
なお、欠陥27の種類は、透過率が低下するものに限らず、他の種類の欠陥であってもよい。例えば、光を散乱する欠陥や他の領域と屈折率が異なる欠陥等の様々な欠陥を検出することができる。
【0048】
このように検査されたマスクブランクスやマスクサブストレートを用いることによって半導体基板などのパターン基板の生産性を向上することができる。すなわち、上述の検査によって、マスクブランクスやマスクサブストレートに対して欠陥の有無を判定する。そして、欠陥が無いと判定されたマスクブランクスやマスクサブストレートに転写パターンを形成し、マスクを製造する。そして、このマスクを用いて露光して、基板上に所定のパターンを形成する。これにより、生産性よく、半導体装置などのパターン基板を製造する。また、試料はマスクブランクスやマスクサブストレートに限らず、入射した光のうち少なくとも一部を透過する光透過性基板を有する試料であればよい。
【符号の説明】
【0049】
1 検査装置、11 光源、12 レンズ、13 プリズム、14 レンズ、
15 ビームスプリッタ、16 アパーチャ、17 対物レンズ、
21 ガラス基板、22 ミラー、24反射面、25 入射光、26 反射光、
27 欠陥、28 ハーフトーン膜、29 反射膜、31 レンズ、32 光検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を透過する光透過性基板の透過率に基づいて欠陥を検出して、前記光透過性基板と、反射面を有する第1の膜とを備える試料を検査する検査装置であって、
前記光透過性基板の一方の面である入射面から前記試料に光を入射させる光源と、
開口数が0.002以上0.2以下で、前記光源からの光を前記反射面上に集光する対物レンズと、
前記光透過性基板に斜めに入射した入射光が前記反射面で正反射されることによって、前記光透過性基板において前記入射光が通過した位置と近い位置を斜めに通過して前記入射面から出射された光を検出する光検出器とを備える検査装置。
【請求項2】
前記第1の膜は、前記光透過性基板の前記入射面とは反対側の面に設けられており、前記第1の膜と前記光透過性基板との界面が前記反射面となる請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記試料が、
前記光透過性基板側から入射した光のうち、前記第1の膜側に一部を透過させる第2の膜をさらに備え、
前記試料は、
前記光透過性基板の前記入射面とは反対側に、前記第2の膜及び前記第1の膜が順次設けられ、
前記第1の膜と前記第2の膜との界面が前記反射面となる請求項1に記載の検査装置。
【請求項4】
前記光検出器が前記試料の画像を撮像する撮像手段である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項5】
前記光源からの光を波長に応じて分散させる光分散手段と、
前記光分散部材で分散された光のうち一部の波長の光を通過させる空間フィルタと
前記空間フィルタ上に前記光分散手段からの光を集光する集光手段をさらに備え、
前記一部の波長の光を前記試料に入射させる請求項1乃至4のいずれかに記載の検査装置。
【請求項6】
光を透過する光透過性基板の透過率に基づいて欠陥を検出して、前記光透過性基板と、反射面を有する第1の膜とを備える試料に光を照射して検査する検査方法であって、
開口数が0.002以上0.2以下の対物レンズで、光源からの光を前記反射面上に集光するステップと、
前記集光された光を前記光透過性基板の一方の面である入射面に入射させるステップと、
前記入射面に入射した光を前記光透過性基板を介して前記反射面に入射させるステップと、
前記光透過性基板に斜めに入射した入射光が前記反射面で正反射されることによって、前記光透過性基板において前記入射光が通過した位置と近い位置を斜めに通過した光を検出するステップとを備える検査方法。
【請求項7】
前記第1の膜は、前記光透過性基板の前記入射面とは反対側の面に設けられており、前記第1の膜と前記光透過性基板との界面が前記反射面となる請求項6記載の検査方法。
【請求項8】
前記試料が、
前記光透過性基板側から入射した光のうち、前記第1の膜側に一部を透過させる第2の膜をさらに備え、
前記試料は、
前記光透過性基板の前記入射面とは反対側に、前記第2の膜及び前記第1の膜が順次設けられ、
前記第1の膜と前記第2の膜との界面が前記反射面となる請求項6記載の検査方法。
【請求項9】
前記試料と前記試料上における光の入射位置を相対的に移動させ、
前記検出される光の強度の変化から前記第2の膜の膜厚の変化を検出する請求項8に記載の検査方法。
【請求項10】
前記光源からの光を波長に応じて分散させるステップと、
前記分散された光を開口を有する空間フィルタ上に集光するステップと、
前記空間フィルタ上に集光された光のうち一部の波長の光を通過させるステップとをさらに備え、
前記一部の波長の光を前記試料に入射させる請求項6乃至9のいずれかに記載の検査方法。
【請求項11】
請求項6乃至10のいずれかに記載の検査方法により、試料を検査するステップと、
前記検査された試料のうち、前記光透過性基板に欠陥がないと判定された試料によりマスクを製造するステップと、
前記マスクを基板を用いて露光するステップと、
前記露光された基板を現像して、パターンを形成するステップとを有するパターン基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−139516(P2010−139516A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62454(P2010−62454)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【分割の表示】特願2005−4264(P2005−4264)の分割
【原出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【出願人】(000115902)レーザーテック株式会社 (184)
【Fターム(参考)】