説明

検査装置

【課題】効率的に高解像度で長尺状の被検査物をX線検査する。
【解決手段】被検査物であるテープ22を一定速度で搬送しながらX線を透過させ、透過したX線を、外周面に輝尽性蛍光体を備えた回転する回転ドラム60に照射する。X線の照射位置よりも回転方向下流側で励起光Laを走査照射し、輝尽性蛍光体から発する輝尽発光光Lbをフォトマルチプライヤー78で受け、2次元のX線画像を得る。励起光Laを走査照射した位置よりも回転方向下流側では、消去光を照射して残像を消去する。残像の消去された輝尽性蛍光体は、回転ドラム60の回転により再び、X線照射位置に戻るので、長尺状のテープ22を順次X線検査することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置にかかり、特に、放射線を用いて被検査物を連続的に検査可能な検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の小型化の要求が強まっており、そのため、半導体装置の外形寸法をほぼ半導体素子の外形寸法にまで小型化したチップサイズパッケージ(以後、CSPと称す。)の半導体装置が提案されている。
【0003】
このCSPの半導体装置としては、例えば、半導体素子の外形寸法よりも若干大きい外形寸法の基板上に半導体素子を接着剤などでボンディングし、半導体素子の周縁部に形成された電極と基板の周縁部に形成された電極とを金線などで電気的に接続した構成のものや、半導体素子の外形寸法程度に形成され表面にアレイ状の電極を備えた基板と、半導体素子の裏面側にアレイ状に形成された半田ボールとを融着して電気的に接続する構成など、様々な構成のCSPの半導体装置が提案されている。
【0004】
このようなCSPの半導体装置の製造においては、1チップに対応して形成される配線、電極、ビームリード及びスルーホールなどのパターンが複数繰り返してパタンニングされたCSPテープを用いて一度に大量のパッケージを製造するようになっている。
【0005】
このCSPテープは、ポリイミド基材等の基材の表面に蒸着などにより銅箔などの導電膜を形成した後、通常のエッチング技術を用いてCSP用の配線、電極、ビームリード及びスルーホールなどのパターンを複数繰り返してパタンニングした長尺状のテープである。
【0006】
このようなテープの製造にあたっては、パターン形成後に配線の断線や欠けのパターン欠陥を、例えば、特許文献1に示されるような検査装置で検査している。
【0007】
従来の検査装置によるパターン欠陥の検出は、CSPテープ表面のパターンをCCDなどの画像読取装置により光学的に読み取り、この読み取られた画像に基づいて欠陥を検出している。また、テープ表面の異物の付着等の検出も行っている。
【0008】
しかしながら、光学的な読取方法では、金属のパターンの上にレジストが乗っている場合、レジストによって金属のパターンが見えなくなる問題があり、また、両面にパターンが形成されている場合、表面の画像を撮影しているにも関わらず、裏面のパターンが透け映ってしまい、裏面のパターンを表面のパターンの欠陥として誤検出する虞がある。
【0009】
そこで、X線カメラを用いて金属のパターンを検出する方法が考えられる。しかしながら、X線カメラでは、撮像素子のサイズ、及び画素数を大きくするにも限界があり、解像度を容易に上げられない問題がある。また、サイズ、及び画素数の大きい撮像素子は、非常に高価である。
【0010】
これに対し、X線カメラよりも容易に解像度の高い画像を得る方法が種々提案されている(例えば、特許文献2〜9参照。)
【特許文献1】特開2006−071313号公報
【特許文献2】特開2000−309457号公報
【特許文献3】特開平6−317543号公報
【特許文献4】特開2005−73023号公報
【特許文献5】特開2005−99624号公報
【特許文献6】特開2006−113169号公報
【特許文献7】特開2001−211289号公報
【特許文献8】特開2000−221622号公報
【特許文献9】特開2003−222965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献2〜9に開示されている装置、及び方法では、被検査物を透過させたX線をプレート上の輝尽性蛍光体に照射し、輝尽性蛍光体上に絞ったレーザービーム等を走査することで画像を得るものであり、X線発生器から被写体までの距離に対して、X線発生器からプレートまでの距離を離すことで、プレート上の画像がX線発生器からの距離に応じて拡大し、容易に解像度を上げることが可能となる。また、輝尽性蛍光体をプレート上に配置したものは、撮像素子に比較して非常に安価であり、装置コストはX線カメラよりも安価にできる利点がある。さらに、輝尽性蛍光体を用いた撮影手法では、感度が高く、ダイナミックレンジが広いという利点がある。
【0012】
しかしながら、従来の装置では、矩形のプレートを用いているため、例えば、被検査物が非常に長いテープ状の場合、プレートを何枚も用意して、ある領域の撮影を終えたら新プレートで次の領域を撮影する工程を何回も繰り返さなければならず、検査を効率的に行うことが出来なかった。
【0013】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、長尺状の被検査物であっても効率的にX線検査をすることが可能な検査装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の検査装置は、被検査物を搬送する搬送手段と、搬送される前記被検査物に放射線を照射する放射線発生手段と、外周面に輝尽性蛍光体を備え、前記被検査物の放射線透過側で回転する回転体と、前記被検査物を透過した前記放射線の照射された前記輝尽性蛍光体に励起光を照射して、前記輝尽性蛍光体から輝尽発光光を発生させる励起光発生手段と、前記輝尽性蛍光体から発せられた前記輝尽発光光に基づいて前記輝尽性蛍光体に記録された放射線画像を読み取る読取手段と、前記励起光の照射位置よりも前記回転体の回転方向下流側の前記輝尽性蛍光体に消去光を照射して前記放射線画像を消去する消去光発生手段と、を備えることを特徴とする検査装置。
【0015】
次に、請求項1に記載の検査装置の作用を説明する。
【0016】
先ず、被検査物は、搬送手段によって所定の方向に搬送され、搬送されながら放射線発生装置からの放射線が照射される。
【0017】
被検査物を透過した放射線は、回転体の外周面に設けられた輝尽性蛍光体に順次照射される。放射線の照射された輝尽性蛍光体には、励起光発生手段からの励起光が順次照射され、輝尽性蛍光体に照射された放射線の強度に応じた輝尽発光光が輝尽性蛍光体から発せされる。読取手段は、輝尽性蛍光体が発した輝尽発光光に基づいて放射線画像を読み取ることができる。
【0018】
なお、画像を読み取った後の輝尽性蛍光体は、消去光発生手段からの照射光が順次照射され、残像の消去が行われる。残像の消去された輝尽性蛍光体は、回転体の回転によって再びX線の照射位置に至る。
【0019】
このように、輝尽性蛍光体を外周面に設けた回転体を回転させることで、放射線画像の読取、消去を連続的に行うことができ、長尺状の被検査物の検査を効率的に行うことが出来る。
【0020】
また、放射線発生器から被検査物までの距離に対して、放射線発生器から輝尽性蛍光体までの距離を離すことで、輝尽性蛍光体で得られる放射線画像が放射線発生器からの距離に応じて拡大し、容易に解像度を上げることが可能となる。
【0021】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の検査装置において、前記読取手段で読み取った前記放射線画像を表示する表示手段を有する、ことを特徴としている。
【0022】
次に、請求項2に記載の検査装置の作用を説明する。
【0023】
請求項2に記載の検査装置では、読取手段で読み取った放射線画像を表示手段で表示することができる。
【0024】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の検査装置において、前記被検査物を撮影して画像信号を出力する撮影手段と、前記撮影手段からの画像信号を処理して前記被検査物の欠陥を検出する欠陥検出手段と、を有することを特徴としている。
【0025】
次に、請求項3に記載の検査装置の作用を説明する。
【0026】
請求項3に記載の検査装置では、撮影手段が被検査物を撮影し、画像信号を出力する。
【0027】
欠陥検出手段は、画像信号を処理して被検査物の欠陥を検出することができる。
【0028】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に検査装置において、前記搬送手段は、テープ状の前記被検査物を搬送する、ことを特徴としている。
【0029】
次に、請求項4に記載の検査装置の作用を説明する。
【0030】
請求項4に記載の検査装置では、搬送手段がテープ状の被検査物を搬送できるので、テープ状の被検査物を連続的に検査することができる。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように本発明の検査装置によれば、効率的に高解像度で被検査物をX線検査できる、という優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0033】
以下、図1及び図2を参照して本発明の適用された検査装置10を説明する。
【0034】
図1に示すように、本実施形態の検査装置10は、大別して巻き出しユニット12、光学検査装置14、X線検査装置16、マーキング装置18、及び巻き取りユニット20を備えている。
(巻き出しユニット)
巻き出しユニット12は、合成樹脂製のフィルムベース上に金属パターンの形成されたテープ(例えば、TABテープ、COFテープ等)22とスペーサテープ24とを共に巻き取ってロール状に形成したロール26を保持する巻き出し側リール軸28、テープ22と共に引き出されたスペーサテープ24を巻き取って保持する巻き出し側スペーサテープ軸30を備えている。
【0035】
ロール26の送出し側には、テープ22をガイドするガイドローラ32、スペーサテープ24をガイドするガイドローラ34、及びダンサー36が配置されている。
(光学検査装置)
光学検査装置14には、ダンサー38、ローラ40、ローラ42が順に配置されている。
【0036】
ローラ40とローラ42とは間隔をあけて水平に配置されており、ローラ40とローラ42との間には、テーブル44が配置されている。
【0037】
テーブル44の中央上方には、レンズ、及びCCDラインセンサからなる光学式の画像読取装置46が配置されている。
【0038】
テープ22は、ローラ40とローラ42とに掛け渡され、ローラ40とローラ42が回転することで一方向に一定の速度で送られ、テーブル44上を通過する際に上記画像読取部でテープ22の上面(回路パターン等)が撮影される。なお、ローラ40、及びローラ42は、コンピュータ等を含む制御装置48によって回転が制御されている。
【0039】
CCDラインセンサからの画像情報は、制御装置48の画像処理を行うコンピュータ(図示せず)に送られ、コンピュータはCCDラインセンサからの画像信号(情報)に基づいて画像処理を行ってパターンの欠陥を検出する。
【0040】
なお、検査画像等は、後述する表示装置80のモニタ82に表示することができる。
(X線検査装置)
次に、X線検査装置16には、ロングダンサー52、ローラ54、ローラ56が順に配置されている。
【0041】
テープ22は、ローラ54とローラ56とに掛け渡されている。ローラ54とローラ56は、制御装置48によって制御されるモータ(図示せず)で回転される。
【0042】
このローラ54とローラ56との間には、テープ22の搬送経路上側に画像生成装置58が配置されている。
【0043】
画像生成装置58は、回転ドラム60を備えている。回転ドラム60は、回転軸がテープ22の搬送方向と直交し、かつテープ22と平行とされている。
【0044】
回転ドラム60の外周表面には、輝尽性蛍光体を含む放射線画像変換層が配置されている。
【0045】
回転ドラム60は、X線の透過を阻止可能な金属で形成されている。なお、回転ドラム60は、鉛等の金属板が外周面側(輝尽性蛍光体の下側)に貼り付けたものであっても い。
【0046】
この回転ドラム60は、制御装置48によって制御されるモータ(図示せず)によって回転される。
【0047】
ローラ54とローラ56との間には、テープ22の搬送経路下側にX線発生装置62が配置されており、X線発生装置62は、上方の回転ドラム60に向けてX線を照射する。
【0048】
なお、X線発生装置62は、X線の照射側に図示しない鉛等の金属からなるスリット64を備え、回転ドラム60の下端に向けて、回転軸方向に細長い長方形状にX線が照射されるようになっている。
【0049】
なお、X線の照射領域の大きさは、テープ22の搬送経路上において、テープ22の幅方向の寸法としては、テープ22の幅と同等(検査装置位に応じてテープ22の幅よりも狭くても良い。)で、テープ搬送方向の寸法としては、テープ22の幅方向の寸法よりも小さく設定されている。
【0050】
テープ22の搬送と共に回転ドラム60は図1において反時計回り(図1の矢印A方向)に回転する。なお、X線発生装置62は、X線管の1点(発生点P)から出射するので、X線は放射状に出射されることになる。したがって、X線管の発生点からテープ22までの距離をA、X線管の発生点から輝尽性蛍光体までの距離をBとすると、テープ22は、輝尽性蛍光体上で、B/A倍拡大されて写ることになるので、回転ドラム60の周速は、テープ22の搬送速度のB/A倍とする。
【0051】
回転ドラム60の周囲には、X線の照射位置よりも回転方向下流側に、励起光照射装置63、検出装置65、消去光照射装置66が順に配置されている。
【0052】
図2に示すように、励起光照射装置63は、輝尽性蛍光体を励起し発光させる励起光Laを出射する励起光光源(例えば、レーザーダイオード等)68、モータ70によって回転駆動され励起光Laを偏向させるポリゴンミラー72、およびポリゴンミラー72によって偏向された励起光を輝尽性蛍光体上に集光させる光学系74等から構成されている。この励起光照射装置63は、例えば、レーザープリンタ等に用いられている光走査装置を利用することもできる。
【0053】
励起光光源68から出射された励起光Laは、ポリゴンミラー72、光学系74を介して回転ドラム60の外周面に設けた輝尽性蛍光体上に主走査方向(回転ドラム60の回転軸方向と平行。図2の矢印B方向。)に繰り返し走査される。
【0054】
そして、励起光Laが輝尽性蛍光体上を主走査方向に繰り返し走査している間に、回転ドラム60の回転により輝尽性蛍光体は副走査方向(回転ドラム60の回転方向)に移動され、これにより励起光Laは輝尽性蛍光体上を二次元的に走査することになる。
【0055】
なお、本実施形態の励起光照射装置63では、ポリゴンミラー72の回転により、励起光Laを回転ドラム60の軸方向一端から他端まで主走査可能としている。
【0056】
また、励起光照射装置63の近傍には、検出装置65が配置されている。
【0057】
検出装置65は、輝尽性蛍光体から発生した輝尽発光光Lbが入射する集光ガイド76、及び集光ガイド76の射出端から出射した輝尽発光光Lbを光電的に検出するフォトマルチプライヤー78を備えている。
【0058】
輝尽発光光Lbは、フォトマルチプライヤー78に入射した後、光電変換されて電気的なアナログ信号として制御装置48に出力される。
【0059】
制御装置48では、フォトマルチプライヤー78から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して2次元画像データとして画像メモリに記憶する。なお、画像メモリには、光学的に読み取った画像を記憶するエリアと、X線で読み取った画像を記憶するエリア等を備えている。
【0060】
また、フォトマルチプライヤー78からの画像情報は、制御装置48の画像処理を行うコンピュータ(図示せず)に送られ、コンピュータはフォトマルチプライヤー78からの画像信号(情報)に基づいて画像処理を行って欠陥の検出を行う。
【0061】
図1に示すように、制御装置48には表示装置80が接続されている。表示装置80は、画像メモリの二次元データを入力し、映像信号に変換し出力する映像信号処理回路、及び映像信号処理回路から出力された映像信号に基づく画像を表示するモニタ82を備えている。
【0062】
消去光照射装置66は、回転ドラム60の軸方向に沿って長いランプ(例えば、ハロゲンランプ、蛍光灯、キセノンランプ等)、及びランプからの消去光をドラム表面に集める反射板を供えている。
【0063】
なお、図示はしないが、X線検査装置16からX線が外部に漏れないように、装置内部に鉛板等からなる遮蔽が行われている。
(マーキング装置)
マーキング装置18には、ロングダンサー84、ローラ86、ローラ88、ショートダンサー90が順に配置されている。
【0064】
テープ22は、ローラ86とローラ88とに掛け渡されている。
【0065】
ローラ86とローラ88との間には、欠陥有りと検知されたパッケージパターンの予め定めた位置にマーキングを施すマーキングユニット92が配置されている。
(巻き取りユニット)
巻き取りユニット20は、マーキング装置18のテープ搬送方向下流側に配置されている。
【0066】
巻き取りユニット20は、ロール状に形成したスペーサテープ24を保持する巻き取り側スペーサテープ軸94と、スペーサテープ24と検査済みのテープ22とを共に巻き取る巻き取り側リール軸96を備えている。
【0067】
巻き取り側リール軸96のテープ巻取り側には、テープ22の搬送方向を変更するローラ98、100が配置されている。また、巻き取り側スペーサテープ軸94のテープ巻取り側には、ローラ102、ショートダンサー104が配置されている。
(作用)
次に、本実施形態の検査装置10の作用を説明する。
【0068】
ロール26から引き出されたテープ22は、テーブル44の上に搬送され、画像読取装置46により上面が順次撮影される。そして、画像読取装置46から出力された画像情報は、制御装置48のコンピュータに送られて画像処理され、テープ22の撮影画像がモニタ82に表示されると共に、テープ22に欠陥があるか否かの判断が行われる。
【0069】
ここで、欠陥が異物の場合、光学的な撮影画像からは重大な欠陥である金属異物か否かの判断が困難である。
【0070】
本実施形態の検査装置10では、欠陥が異物であると判断された場合に、確認(ベリファイ)のためにX線による検査を行う。
【0071】
画像読取装置46を通過したテープ22は、一定の速度で搬送されながらX線検査装置16にて順次撮影が行われる。テープ22は、合成樹脂製のベースフィルムの上に金属のパターンが形成されているものであるため、金属以外の塵等は金属に比較してX線を良く透過してしまうため放射線画像としては映らず、パターンの欠陥として誤認識することは無い。したがって、金属異物以外の塵による過検出は極めて少なくなる。一方、ショート等の原因となる金属の塵は、放射線画像として映るので、重大な欠陥であることが判断できる。したがって、X線による検査を行うことで、検査結果の品質が向上する。
【0072】
放射線画像に映った金属異物は、検査員が画像から判断しなくても、画像処理を行うことで自動で判定を下すことが容易となる。したがって、X線による検査を併用し、X線画像の画像処理を行うようにすることで、検査員を不要とすることが可能となる。なお、検査員がモニタ82の画像を見て欠陥を判断しても良いのは勿論である。
【0073】
また、金属のパターンの上にレジストが載って光学的にパターンが見えない場合がある。レジストは金属に比較してX線を良く透過してしまうため、X線検査によりパターンの画像を確実に得ることができる。
【0074】
さらに、両面にパターンが形成されている場合、光学式でパターンの検査を行う場合、表と裏の2回検査を行う必要があるが、X線を透過させて検査する場合、表のパターンと裏のパターンとを同時に放射線画像として得られるため、検査が1回で済む。画像としては、パターンの形成されていない部分、パターンが重なっている部分、及び何れか一方のパターンのみの部分とで画像の濃度が各々異なるため、容易に見分けることが出来る。
【0075】
また、光学的に撮影を行う場合、細いパターンを高倍率かつ高解像度で撮影する場合、被写界深度が浅くなるため、撮影時にテープ22が少しでも曲がると、部分的にピントがずれて検出精度の低下を招くが、X線を用いる検査では、X線がテープ22を透過するのでテープ22が多少曲がっても放射線画像の品質の低下は招かない。
【0076】
なお、欠陥が検出された場合にはマーキング装置18が欠陥のあるパターンに対応して予め決定した箇所にマーキングを行う。
[その他の実施形態]
上記検査装置10では、光学的に検査を行い、欠陥が異物であると判断された場合、確認のためにX線検査を行ったが、光学的な検査を行わず、X線検査のみでも良い。また、光学的な検査を必要としない場合には、検査装置10としては光学検査装置14を省いても良い。
【0077】
また、上記検査装置10の励起光照射装置63は、ポリゴンミラー72の回転により、励起光Laを回転ドラム60の軸方向一端から他端まで主走査可能としているが、放射線画像のサイズによって回転ドラム60の軸方向長さを長くした場合、走査範囲が不足するような場合がある。このような場合には、励起光照射装置63を回転ドラム60の軸方向に複数台配置しても良い。この場合、一方の励起光走査ビームと、これに隣接する他方の励起光走査ビームとがドラム周方向に見て多少オーバーラップするように走査を行う。輝尽性蛍光体に励起光を複数回照射すると、輝尽発光光が弱くなるが、画像処理で補正すれば良い。
【0078】
また、上記実施形態では、輝尽性蛍光体を回転ドラム60の外周表面に設けたが、一対のローラに掛け渡した無端ベルトの表面に輝尽性蛍光体を設けても良い。この場合、反対側の輝尽性蛍光体にX線が照射されないように、ローラの間にX線を遮蔽する鉛板等を配置する。
【0079】
また、上記実施形態では、長尺状のテープ22の欠陥を検出する例を示したが、被検査物はテープ状に限らず、通常のプリント基板等のテープ22に比較して短いものであっても良い。このような被検査物の場合、ゴム等のX線を透過し易い材料からなるベルトコンベア等で搬送すれば良く、従来のように複数枚のイメージングプレートを使用することなく、複数の被検査物を連続的に検査することが可能となる。
【0080】
また、上記実施形態では、被検査物を搬送しながら検査を行ったが、被検査物を固定し、X線検査装置16を搬送しても同様に検査を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】検査装置を正面から見た構成図である。
【図2】励起光照射装置、及び検出装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0082】
10 検査装置
14 光学検査装置
16 X線検査装置
22 テープ
32 ガイドローラ
34 ガイドローラ
36 ダンサー
38 ダンサー
40 ローラ
42 ローラ
46 画像読取装置
48 制御装置
52 ロングダンサー
54 ローラ
56 ローラ
58 画像生成装置
60 回転ドラム
62 X線発生装置
63 励起光照射装置
65 検出装置
66 消去光照射装置
68 励起光光源
80 表示装置
82 モニタ
84 ロングダンサー
86 ローラ
88 ローラ
90 ショートダンサー
La 励起光
Lb 輝尽発光光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物を搬送する搬送手段と、
搬送される前記被検査物に放射線を照射する放射線発生手段と、
外周面に輝尽性蛍光体を備え、前記被検査物の放射線透過側で回転する回転体と、
前記被検査物を透過した前記放射線の照射された前記輝尽性蛍光体に励起光を照射して、前記輝尽性蛍光体から輝尽発光光を発生させる励起光発生手段と、
前記輝尽性蛍光体から発せられた前記輝尽発光光に基づいて前記輝尽性蛍光体に記録された放射線画像を読み取る読取手段と、
前記励起光の照射位置よりも前記回転体の回転方向下流側の前記輝尽性蛍光体に消去光を照射して前記放射線画像を消去する消去光発生手段と、
を備えることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記読取手段で読み取った前記放射線画像を表示する表示手段を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記被検査物を撮影して画像信号を出力する撮影手段と、
前記撮影手段からの画像信号を処理して前記被検査物の欠陥を検出する欠陥検出手段と、
を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記搬送手段は、テープ状の前記被検査物を搬送する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−51585(P2008−51585A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−226263(P2006−226263)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【出願人】(000170554)国際技術開発株式会社 (34)
【Fターム(参考)】