説明

検査装置

【課題】
従来の照射光学系では、照射光学系の状態確認用にカメラを搭載しているが、明るさや光軸のモニタとして使用されているに留まり、装置の異常や定期メンテナンスなどの調整時に使用されていた。本発明では、複数のカメラで照射光学系の状態をモニタリングし、装置にフィードバックすることで、環境の変動に影響を受けない安定した照射光学系、および検査装置を提供することができる。また、部品交換などのメンテナンス時間の短縮を可能とすることを目的とする。
【解決手段】
複数台の撮像装置を設置し、それらの画像を解析することができる計算処理部を有し、計算結果より照射光学系にフィードバックすることができる調整機構を搭載していることを特徴とする検査装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、検査装置に関するものである。例えば、半導体デバイスの製造工程で半導体ウエハの異物や傷等(以下、欠陥と称す。)を検査する方法,欠陥を検査する装置、及びそれらを用いた半導体デバイスの検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の検査装置では、特開2007−279021号公報に示されているように、レーザ光の光強度を測定するためだけに、光強度測定機構を備えている。従来の半導体表面検査装置において、光強度測定機構を確認し、調整を行っていた。
【0003】
【特許文献1】特開2007−279021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、センサなどのカメラにより装置状態を調整時にモニタしているが、複数台の撮像装置(例えばカメラ)での補正は行われておらず、装置調整段階にセンサで照明光の明るさや位置を観察し、装置状態が最適になるように調整を行っていた。また、感度低下や部品交換を実施した際にセンサを用いて装置状態を復元するためにセンサを使用して調整を行う。これらのセンサは、照射光学系の状態をモニタするために使用することはなく調整時の状態復元に使用される。
【0005】
このような従来技術では、時間の経過とともに調整が最適状態から変動する点については配慮がなされていなかった。本発明の目的は、検査装置を容易に安定稼動させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、複数の撮像装置を搭載することにある。
【0007】
本発明の他の特徴は、前記複数の撮像装置の撮像結果に基づいて照射光学系からの光を調整するための調整量を算出する処理部を有することにある。
【0008】
本発明のその他の特徴は、前記調整量に基づいて前記光を調整する調整機構を有することにある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、安定した装置状態を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1に検査装置の構成を示す。検査装置は、試料(ウエハ等の基板を含む)を載置し、走査方向に移動する搬送系1111と、光101を基板に照射する照射光学系1112と、試料からの光102(散乱光,反射光等)を検出する検出光学系1113と、検出結果から試料の検査を行う検査処理系1114と、様々な情報を表示し、入力する入出力系1115と、を有する。
【0011】
より、具体的には、搬送系1111は試料を載置する載置部1116と、載置部を移動させる移動部1117とを含む。照射光学系1112は光を発生する光源1と、光を試料へ導く光学素子1118とを含む。検出光学系1113は、試料からの光を検出する光検出器1119を含むが、試料からの光を光検出器へ導く光学素子を含んでも良い。検査処理系1114は、光検出器の検出結果から試料の欠陥を検査する欠陥処理部1120を有する。入出力系1115は、検査結果や欠陥の情報を表示する表示部1121と、検査条件等を入力する入力部1122とを含む。
【0012】
以下、実施例を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0013】
図2に、本発明の実施例である半導体ウエハの表面を検査する表面検査装置の構成を示す。
【0014】
搬送系1111の載置部1116として試料8を置く(載置する)検査テーブル19を含み、走査部1117としてXYZθステージ9を含む。なお、搬送系1111はスピンドル等のモータと、ステージとを有し、回転と直進とを行う構成でも良い。照射光学系1112は光源1を含み、調整機構として光量調整機構2,光軸調整機構3、およびズーム機構5を含み、光学素子1118としてミラー6a,6b,6c,6d,レンズ7a,7bとを含む。検出光学系1113は光検出器1119として光電子増倍管等の検出器10を含む、その他、増幅器11,A/D変換器12を含む。検査処理系1114は欠陥処理部1120として欠陥判定機構13,検出欠陥分類機構14を含む。入出力系1115は表示部111を含む。
【0015】
光源1から照射された光101は、λ/2波長板と偏光ビームスプリッタ(PBS)とで構成されたアテネータ等の明るさを調整することができる光量調整機構2,光軸を調整する光軸調整機構3、およびビームエキスパンダ等のズーム機構5を通り、試料8に照射される。光軸調整機構3には撮像装置の一例であるCCDカメラ4a(第1の撮像装置)が設置されている。ズーム機構5から照射された光は垂直斜方照射切り替えミラー6aで垂直光路または斜方光路に切り替えられる。垂直に分岐された光はハーフミラー6dを通過し、集光レンズ7aにて集光され試料8に照射される。試料8に照射された光は、反射し、集光レンズ7aを通り、ハーフミラー6dで分岐され、CCDカメラ4b(第2の撮像装置)に到達する。
【0016】
また、垂直斜方照射切り替えミラー6aが光路から抜けている場合は、ビームは斜方光路を進みミラー6b,6cで反射され集光レンズ7bにて試料面に照射される。試料8から反射した光は、垂直照射と同様に集光レンズ7aを通りCCDカメラ4bで撮像される。CCDカメラ4a,4bで撮像された画像は、画像解析部、およびフィードバック制御部15(処理部)に取り込まれ画像解析を行い、正しく調整された状態からのビームのずれに関する情報(例えば、光軸の水平方向のずれを示すシフト量,光軸の傾きのずれを示すチルト量,形状ずれ量、および明るさのずれ量)を算出し、光量調整機構2,光軸調整機構3、およびズーム機構5それぞれに調整量を指令する。
【0017】
より具体的には、光量調整機構2では、調整量に基づいて、例えばλ/2波長板が回転することになる。また、光軸調整機構3では、調整量に基づいて、後述するチルト機構103、およびシフト機構104の少なくとも1つが動作することとなる。
【0018】
このように、CCDカメラ4a、および4bの撮像結果に基づいて調整量を算出し、光量調整機構2,光軸調整機構3、およびズーム機構5それぞれが調整量に基づいて光101のずれを調整することとなるので、安定した装置状態を実現することができる。
【0019】
図3に光軸調整機構3の詳細を示す。ミラー17,18には、ミラー17,18を回転させるチルト(回転)機構103と、ミラー17,18を移動させるシフト機構104がそれぞれ設置されている。チルト機構としてはモータを、シフト機構としては一方向に移動するステージを用いることができる。ミラー17,18の後ろの光路に配置された固定反射ミラー16は、光101を2つの方向に分岐させる。固定反射ミラー16を抜けた光はCCDカメラ4aで観察される機構となっている。また固定反射ミラー16で向きを変えられた光はミラー6a,6b等を経由して試料8へ照射される。
【0020】
また、図4に光軸調整機構3に取り付けられたCCDカメラ画像を示す。
【0021】
光軸調整機構のCCDカメラ4aでは、光軸の水平方向のずれを示すシフト量と光軸の傾きのずれを示すチルト量が確認できる。CCDカメラ4bでは、ビームのチルト量が確認できる。ビームがチルト方向にずれている場合、光軸調整機構3のチルトにてビームを調整する。CCDカメラ4aでは、シフト量とチルト量が観察できるが、チルト量はCCDカメラ4bにて調整しているため、チルトずれは無い状態で、シフト量のみを確認できる。
【0022】
チルト量確認画像112,シフト量確認画像113について詳細に説明する。
【0023】
チルト量確認画像112は、一方向のチルト量(第1のチルト量)を1軸114として、第1のチルト量に対して垂直なチルト量(第2のチルト量)を1軸115としてチルト量を表示する。
【0024】
さらに、チルト量確認画像112は、画面を第1のチルト量の軸に対して平行な線(第1の線)116、および第2のチルト量の軸に対して平行な線(第2の線)117を用いて、画面を4分割表示する。第1の線116と、第2の線117の交点118付近がずれのない状態となる。
【0025】
このように交点118付近にビーム位置が調整された画像を表示することで、作業者は容易にビームのチルト量が正しく調整されたことを知ることができる。
【0026】
シフト量確認画像113についても同様のことが言える。シフト量確認画像113は、一方向のシフト量(第1のシフト量)を1軸119として、第1のシフト量に対して垂直なシフト量(第2のチルト量)を1軸120としてシフト量を表示する。
【0027】
さらに、シフト量確認画像113は、画面を第1のシフト量の軸に対して平行な線(第1の線)121、および第2のシフト量の軸に対して平行な線(第2の線)122を用いて、画面を4分割表示する。第1の線121と、第2の線122の交点123付近がずれのない状態となる。このように交点123付近にビーム位置が調整された画像を表示することで、作業者は容易にビームのシフト量が正しく調整されたことを知ることができ、併せてビームの状態を常時監視することができる。
【0028】
なお、チルト量確認画像112,シフト量確認画像113は液晶ディスプレイやCRTディスプレイ等の表示部111でも確認できる。
【0029】
図5に本発明の実施例である照射光学系調整のフローチャートを示す。CCDカメラ4bの画像からビーム位置,明るさを計算し、チルト量を確認する(211)。明るさは光量調整機構2で調整を行い(212)、ビーム位置は光軸調整機構3のチルトモータにて調整する(213)。次にCCDカメラ4aのシフト量を光軸調整機構3のシフト機構で確認し(214)、調整する(215)。また、CCDカメラ4bや表示部111では、カメラの倍率調整を実施することで、ビームの明るさおよび形状を確認できる。
【0030】
そして、CCDカメラ4a,4bでビーム位置を確認する(216)。ここでビーム位置にずれがある場合は(211)へ戻り、再度チルト量、およびシフト量を調整する。
【0031】
(216)にてビーム位置にずれがない場合は、CCDカメラ4bにてビームの形状を確認する(217)。ビームの形状にずれが無い場合は調整完了とする(220)。
【0032】
(217)にてビームの形状にずれがある場合は、Zステージ等の位置を確認し、焦点がずれていないか確認し(218)、焦点がずれている場合はZステージ等を移動し、焦点を調整する(221)。
【0033】
焦点にずれがない場合は、ズーム機構5にてビームの形状を調整する(219)。
【0034】
この結果から光量調整機構で明るさを調整し、ズーム機構にてビーム形状を調整し、照射光学系を常に最適状態に管理が容易となる。
【0035】
このように、ビームのチルト量とシフト量とを自動的に調整することで、安定した装置状態を実現することができる。さらに、従来では、照射光学系の調整に多くの時間を必要としていたが、本実施例では、従来よりも迅速にビームの状態を調整することができる。
【0036】
また、本実施例では、チルト量のみを調整することも可能である。チルト量のみを調整する場合は、図4において(213)の手順で調整を終了すれば良い。この方法では、チルト量とシフト量とを調整する場合に比べてさらに迅速にビームの状態を調整することもできる。
【0037】
また、半導体の製造工場では複数の製造ラインを有し、各製造ラインに本実施例のような表面検査装置等の検査装置を配置し、製造ラインの発塵状態等を監視している。照射光学系を搭載している装置ならば、安定的な感度を出すためには、照射光学系の状態の安定性、および検出系の安定性は不可欠である。照射光学系状態の相違は、装置間の機差に繋がるため、どちらか一方に特化しても装置性能に影響を来たす。この複数の製造ラインに配置された検査装置それぞれに本実施例を適用することで、装置間の機差を低減することもできる。
【0038】
なお、本発明は、ウエハ以外の、ハードディスク,液晶基板等の基板検査に適用できる。さらに、本発明は楕円球を用いて散乱光を集光する方式のウエハ検査装置にも適用できるし、パターンの形成されたウエハの欠陥を検査するパターン付きウエハ検査装置や、ハードディスクの欠陥を検査するハードディスク検査装置にも適用可能である。
【0039】
また、搬送系は、Xステージと、Yステージと、Zステージと、θステージとを有し、XY方向に走査する構成であっても良いし、照射光学系によって基板に照射されるレーザの形状は線状であっても良いし、検出光学系は、ミラー,レンズ等を用いた結像系であっても良いし、パターンからの回折光を除去する空間フィルタを備えていても良いし、検出器は、時間遅延積分型センサやCCDセンサであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】検査装置の構成。
【図2】表面検査装置の構成。
【図3】光軸調整機構3の詳細。
【図4】チルト量確認画像112,シフト量確認画像113。
【図5】照射光学系調整のフローチャート。
【符号の説明】
【0041】
1 光源
2 光量調整機構
3 光軸調整機構
4 CCDカメラ
5 ズーム機構
6 ミラー
7 集光レンズ
8 試料
9 XYZθステージ
10 検出器
11 増幅器
12 A/D変換器
13 欠陥判定機構
14 検出欠陥分類機構
15 画像処理部,フィードバック制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を載置し、走査方向へ移動する搬送系と、
前記試料に光を照射する照射光学系と、
前記試料からの光を検出する検出光学系と、
前記検出系からの検出結果から検査を行う検査処理系と、
前記光を撮像する第1の撮像装置と、
前記試料からの光を撮像する第2の撮像装置と、
前記第1の撮像装置、および前記第2の撮像装置の撮像結果を用いて、前記光のずれを調整する調整量を算出する処理部と、
前記調整量に基づいて前記光を調整する調整機構と、を有する検査装置。
【請求項2】
基板を載置する載置部と、
前記載置部を走査方向へ移動させる移動部と、
光を発生する光源と、
前記光を前記基板へ導く光学素子と、
前記基板からの光を検出する光検出器と、
前記光検出器の検出結果を用いて、前記基板の欠陥を判定する欠陥処理部と、
前記光を撮像する第1の撮像装置と、
前記試料からの光を撮像する第2の撮像装置と、
前記第1の撮像装置、および前記第2の撮像装置の撮像結果を用いて、前記光のずれを調整する調整量を算出する処理部と、
前記調整量に基づいて前記光を調整する調整機構と、を有する検査装置。
【請求項3】
請求項2の検査装置において、
前記第1の撮像装置、および前記第2の撮像装置は、CCDカメラである検査装置。
【請求項4】
請求項2の検査装置において、
前記試料からの光は、
レンズによって集光され、
ミラーによって分岐され、前記第2の撮像装置にて撮像される検査装置。
【請求項5】
請求項2の検査装置において、
前記調整機構は、光軸調整機構を有する検査装置。
【請求項6】
請求項5の検査装置において、
前記光軸調整機構は、
前記光を反射するミラーと、チルト機構と、シフト機構と、を有する検査装置。
【請求項7】
請求項6の検査装置において、
前記チルト機構はモータであり、
前記シフト機構はステージである検査装置。
【請求項8】
請求項6記載の検査装置において、
前記光軸調整機構は、
第1のミラー,第1のチルト機構、および第1のシフト機構と、
第2のミラー,第2のチルト機構、および第2のシフト機構と、を有する検査装置。
【請求項9】
請求項8記載の検査装置において、
前記光軸調整機構は、
第1のミラー、および第2のミラーの後ろの光路に、
前記光を第1の方向と第2の方向とに分岐する光学素子を有し、
前記第1の方向に前記第1の撮像装置が配置されている検査装置。
【請求項10】
請求項2の検査装置において、
前記調整機構は、ズーム機構と、光量調整機構とを有する検査装置。
【請求項11】
請求項2の検査装置において、
前記光のずれに関する情報は、
前記光の位置ずれ量,形状ずれのずれ量、および明るさのずれ量、の少なくとも1つである検査装置。
【請求項12】
請求項2の検査装置において、
表示部を有し、
前記表示部は、チルト量確認画像と、シフト量確認画像とを表示する検査装置。
【請求項13】
請求項11の検査装置において、
前記チルト量確認画像、およびシフト量確認画像は、
第1の線と第2の線とによって四分割表示される検査装置。
【請求項14】
試料の欠陥を検査する検査装置に用いる表示装置であって、
チルト量確認画像と、シフト量確認画像とを表示する表示装置。
【請求項15】
請求項14に記載の表示装置であって、
前記チルト量確認画像、およびシフト量確認画像は、
第1の線と第2の線とによって四分割表示される表示装置。
【請求項16】
試料に照射する光のチルト量を調整し、
前記光のシフト量を調整し、
前記試料の欠陥を検査する検査方法。
【請求項17】
試料に照射する光の明るさを調整し、
前記光のチルト量を調整し、
前記光のシフト量を調整し、
前記光の形状を調整し、
前記試料の欠陥を検査する検査方法。
【請求項18】
基板を載置する載置部と、
前記載置部を走査方向へ移動させる移動部と、
光を発生する光源と、
前記光を前記基板へ導く光学素子と、
前記基板からの光を検出する光検出器と、
前記光検出器の検出結果を用いて、前記基板の欠陥を判定する欠陥処理部と、
前記光を撮像する第1の撮像装置と、
前記試料からの光を撮像する第2の撮像装置と、
前記第1の撮像装置、および前記第2の撮像装置の撮像結果を用いて、前記光のずれを調整する調整量を算出する処理部と、
前記調整量に基づいて前記光の光軸を調整する光軸調整機構と、
前記調整量に基づいて前記光の明るさを調整する光量調整機構と、
前記調整量に基づいて前記光の形状を調整するズーム機構と、を有する検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−123700(P2010−123700A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295036(P2008−295036)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】