説明

検査装置

【課題】従来技術では、メモリセル部等の繰り返しパターン部分以外では、検出感度(最小検出異物寸法)が低いという課題がある。これは空間フィルタの遮光パターンが一様であることに起因している。
【解決手段】本発明は、基板の異常を検査する検査装置において、基板に光を照明する照明光学系と、前記基板からの光を検出して像として結像する検出光学系と、前記像を用いて前記異常を検出する処理部と、を有し、前記検出光学系は、フーリエ面に配置された薄膜を有し、前記薄膜は、前記パターンに対応した遮光パターンを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップや液晶製品を製造する際の薄膜基板,半導体基板,フォトマスク等に存在する異物や欠陥等の異常を検出する検査装置、及び方法に関する。また、それらの異常を分析して対策を施す検査装置、及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程では、半導体基板(ウェハ)上に異物が存在すると配線の絶縁不良や短絡などの不良原因になる。さらに半導体素子の微細化に伴い、より微細な異物がキャパシタの絶縁不良やゲート酸化膜などの破壊の原因にもなる。これらの異物は、搬送装置の可動部から発生するものや、人体から発生するもの、プロセスガスにより処理装置内で反応生成されたもの、薬品や材料に混入していたものなど種々の原因により種々の状態で混入される。
【0003】
同様に液晶表示素子の製造工程においても、上記異物によりパターン欠陥が生じると、表示素子として使えないものになってしまう。
【0004】
また、プリント基板の製造工程においても同様の状況であって、異物の混入はパターンの短絡,不良接続の原因となる。
【0005】
このような背景の下、半導体製造においては、各製造ライン毎に異物検査装置を場合によっては複数配置し、上記異物の早期発見による製造プロセスへのフィードバックにより半導体製造の歩留まり向上を図っている。
【0006】
従来のこの種の半導体基板上の異物を検出する技術の1つとして、特開昭62−89336号公報(特許文献1)に記載されているように、半導体基板上にレーザを照射して半導体基板上に異物が付着している場合に発生する異物からの散乱光を検出し、直前に検査した同一品種半導体基板の検査結果と比較することにより、パターンによる虚報を無くし、高感度かつ高信頼度な異物及び欠陥検査を可能にするものが開示されている。
【0007】
また、特開昭63−135848号公報(特許文献2)に開示されているように、半導体基板上にレーザ光を照射して半導体基板上に異物が付着している場合に発生する異物からの散乱光を検出し、この検出した異物をレーザフォトルミネッセンスあるいは2次X線分析(XMR)などの分析技術で分析するものが知られている。
【0008】
また、ウェハ上に形成された回路パターンに対して該回路パターンの主要な直線群に対して45度傾けた方向から照射して主要な直線群からの0次回折光を対物レンズの開口内に入射させないようにした異物検査装置が、特開平1−117024号公報(特許文献3)において知られている。
【0009】
また、異物等の欠陥検査装置およびその方法に関する従来技術としては、特開平1−250847号公報(特許文献4),特開2000−105203号公報(特許文献5)が知られている。特許文献5には、検出光学系を切り換えて検出画素サイズを変えることが記載されている。
【0010】
異物のサイズ測定技術としては、特開2001−60607号公報(特許文献6)が開示されている。
【0011】
その他の先行技術としては、特許文献7−12が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開昭62−89336号公報
【特許文献2】特開昭63−135848号公報
【特許文献3】特開平1−117024号公報
【特許文献4】特開平1−250847号公報
【特許文献5】特開2000−105203号公報
【特許文献6】特開2001−60607号公報
【特許文献7】特開2007−232555号公報
【特許文献8】特開2006−267022号公報
【特許文献9】特開2004−177377号公報
【特許文献10】特開2008−004638号公報
【特許文献11】米国特許第7436503号公報
【特許文献12】米国特許第7397557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記先行技術では、繰り返しパターンや非繰り返しパターンが混在する基板上の微細な異物または欠陥を、高感度で、かつ高速に検出することは容易にできなかった。すなわち、上記先行技術では、例えば、メモリセル部等の繰り返しパターン部分以外では、検出感度(最小検出異物寸法)が低いという課題があった。これは空間フィルタの遮光パターンが一様であることに起因している。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、基板の異常を検査する検査装置において、基板に光を照明する照明光学系と、前記基板からの光を検出して像として結像する検出光学系と、前記像を用いて前記異常を検出する処理部と、を有し、前記検出光学系は、フーリエ面に配置された薄膜を有し、前記薄膜は、前記パターンからの回折光に対応した遮光パターンを有することを特徴とする。
【0015】
本発明は、前記薄膜に前記遮光パターンを形成するための形成装置を有することを特徴とする。
【0016】
本発明は、前記遮光パターンは蛍光体であることを特徴とする。
【0017】
本発明は、前記遮光パターンは濃度勾配を有することを特徴とする。
【0018】
本発明は、被検査対象基板上に存在するパターンからの回折光を遮光するために対物レンズのフーリエ変換面に設置している空間フィルタを透明基板上に遮光部を形成する構成とすることにより、パターンからの回折光のみを遮光し、それ以外を通過する欠陥散乱光の遮光を最小限に抑える装置構成としたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、被検査対象基板上に照射される照明光の照明幅を光路途中に配した濃度フィルタで調節してレンズ開口でのケラレによる照明光の不具合(サイドローブ発生)を防止することにより迷光を低減させ、微小欠陥を効率的に検出できるように制御する構成を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、例えば、検査対象が非繰り返しパターンを備える場合であっても、高感度な検査を行うことが可能となる。
【0021】
例えば、本発明によれば、空間フィルタの遮光部を任意に変更できることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】欠陥検査装置の概略構成図である。
【図2】照明光学系の配置関係,低角度照明光学系の概略構成、及び照明領域と検出領域の関係を示す図である。
【図3】照明光学系に用いられている円錐曲面レンズ及び円筒レンズの斜視図である。
【図4】欠陥検査装置の全体動作説明図である。
【図5】オリフラ検出光学系,端面検査装置の配置を示す側面図である。
【図6】空間フィルタの全体動作説明図である。
【図7】空間フィルタの説明図である。
【図8】空間フィルタ製作ステーションの配置図である。
【図9】空間フィルタ作製動作を説明するための図である。
【図10】空間フィルタの別の実施例を示す図である。
【図11】線状照明の光学系の概略構成を示す図である。
【図12】照明光の適正光学系の木戸分布を示す図である。
【図13】信号処理系の詳細な構成を示すブロック図である。
【図14】信号処理系の画素マージ回路の説明図である。
【図15】信号処理系で凸欠陥を検出する場合の説明図である。
【図16】信号処理系で凹欠陥を検出する場合の説明図である。
【図17】観察光学系を付けた欠陥検査装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を用いて説明する。
【0024】
まず、本発明に係る欠陥検査装置の実施の形態について具体的に説明する。なお、以下の実施の形態では、半導体ウェハ及び該ウェハ上に形成された透明膜上の小/大異物やマイクロスクラッチおよび、透明膜中の異物やパターン欠陥等の欠陥(異常)を検査する場合について説明するが、半導体ウェハに限らず、薄膜基板やフォトマスク,TFT,PDP等にも適用可能である。
【実施例1】
【0025】
図1に、第1の実施例に係る物体表面の欠陥検査装置の構成を示す。本欠陥検査装置は、大きくは、照明光学系10,検出光学系20,搬送系30,信号処理回路40及び欠陥検査装置全体を制御する全体制御部50によって構成される。
【0026】
搬送系30は、様々な品種や様々な製造工程から得られるウェハ等の被検査対象基板1を載置台34に載置,移動させるXステージ31−1,Yステージ31−2,Zステージ32,θステージ33と、これらを制御するための駆動回路35とを備えている。
【0027】
照明光学系10は図2の如く、レーザ光源11,シャッタ58,ビーム拡大光学系16,ミラー260〜268,レンズ231〜233,波長板211〜213を備え、レーザ光源11から射出された光を、ビーム拡大光学系16である大きさに拡大後、ミラー,波長板,レンズ等を介して、斜め複数方向からウェハ1表面上に照明する。
【0028】
検出光学系20は、対物レンズ21,空間フィルタ22,結像レンズ23,光学フィルタ25,ミラー90,TDIイメージセンサ等の光検出器26を備えて構成されている。
【0029】
信号処理回路40は、光検出器26で検出された画像信号を処理して欠陥,異物を検出する。
【0030】
観察光学系60は、対物レンズ61,ハーフミラー62,チューブレンズ65,照明光源63及び撮像手段64を備え、照明光源63から出射した光をハーフミラー62で反射して光路をウェハ1の方向に曲げ、対物レンズ61で集光させてウェハ1の表面を照明する。ウェハ1で反射,散乱した光のうち対物レンズ61に入射した光は、ハーフミラー62を透過して撮像手段64の受光面に結像する。観察光学系60はウェハ1を検出光学系20で検査して得られた検査結果に基づいて異物の有無,形状を確認するものであり図示しない倍率可変手段を備えている。
【0031】
全体制御部50は、検査条件などを設定し、上記照明光学系10,検出光学系20,搬送系30および信号処理回路40の全体を制御する。全体制御部50には、入力出力手段51(キーボードやネットワークも含む),表示手段52,記憶部53が設けられている。55は被検査対象基板1の表面に形成されている回路パターンなどの設計データが格納されている記憶手段(サーバ)であり、設計データから空間的な光学像を形成することができる。
【0032】
なお、この欠陥検査装置には、ウェハ1の表面の像を光検出器26の受光面に結像させるように自動焦点制御系(図示せず)を備えており、検査中、光検出器26の配列画素203は線状照明領域201内に含まれるよう制御される。
【0033】
本検査装置では、複数の方向から被検査対象基板1の表面に照明可能な構成になっており、シャッタ58は検査中にレーザ光L0が被検査対象基板1表面への照射の有無で開閉するようになっている。すなわち、レーザ光が被検査対象基板1表面以外に照射される場合は閉じて、後方の光学素子にレーザ光を導かないよう制御される。照明光学系10としては、特開2000−105203号公報に記載されているように、図2(a)に示す如く、レーザ光源11から射出された光L0を、例えば図示しない凹レンズおよび凸レンズ等から構成されるビーム拡大光学系16,スリット状ビームに成形するレンズ14,ミラー255等で構成され、レーザ光源11から出射された光L0をスリット状(線状)ビーム200に成形してウェハ1にスリット状の照明領域201を形成するものである。
【0034】
本実施例による検査装置では、単波長のレーザビームでウェハ1の表面を低角度(低い入射角度)で照明するための構成として、図2(b)に示す如く、スリット状ビーム200(ウェハ1のスリット状の照明領域201に照射する光、以後、この光をスリット状ビームと記載する)を平面的に複数の方向(図2(b)においてはレーザ光L1〜L5)、及び複数の照明角度(図2(b)におけるα,β,γ,δ)にて、載置台(ウェハチャック)34上に載置されたウェハ1に照射するように構成されている。
【0035】
ここで、照明光をスリット状ビーム200にするのは、照明により発生する異物や欠陥からの散乱光の像を、光検出器26の一列に配置した受光素子の検出面上に結像させて、一括して検出することにより、異物検査の高速化を図るためである。
【0036】
すなわち、ウェハ1上に形成されたチップ202の配列方向がXステージ31−1の走査方向およびYステージ31−2の走査方向に対して平行になるようにθステージ33を駆動して載置テーブル34上に載置されたウェハ1の向きを調整し、この向きを調整したウェハ1上にスリット状ビーム200を照射する。
【0037】
このスリット状ビーム200が照射されるウェハ上のスリット状の照明領域201の形状は、X方向に集光してY方向に平行光となるように構成された光学系により、Xステージ31−1の走査方向Xに直角(ウェハ1上に照射されたスリット状の照明領域201の長手方向がXステージ31−1の走査方向Xに直角)、Yステージ31−2の走査方向Yに平行(ウェハ1上に照射されたスリット状の照明領域201の長手方向がYステージ31−2の走査方向Yに平行)、また光検出器26の画素配列203方向とも平行になるよう光軸が調整されているものである。これは画像信号のチップ間比較を行う際に、ウェハ1上に配列されたチップ202のチップ間の位置合わせが容易に行える効果を奏する。このスリット状の照明領域201は、図3に示すように光路中に例えば円錐曲面レンズ14を設けるかまたは円筒レンズ232を設けることにより形成することができる。一例として、ここでレンズ231及233は、図3(a)に示すように、長手方向の曲率半径が連続的に変化するような円錐曲面レンズであり、水平方向角度φ方向からYステージ31−2の走査方向に対してウェハ1上に照射されるスリット状ビーム201の長軸方向が平行になるようにしている。
【0038】
すなわちここで、レーザ光L1及びL3による照明では、ウェハのY軸方向に対して、時計回り,反時計回りに角度φ回転し、かつZ軸方向に角度α傾斜した方向(図2(b)では、L3からの照明光がミラー265で反射されてレンズ233を透過してミラー268に到る光路と、ミラー268からウェハ1のスリット状ビーム200の照射領域201までの光路とが重なって表示されている)からそれぞれスリット状に成形されたレーザ光をウェハ1上に照射する。
【0039】
また、レーザ光L2による照明は、例えば図3(b)に示す円筒形レンズ232により、ウェハのY軸に対して、角度γ傾斜した方向から、Yステージ31−2の走査方向と同方向にスリット状ビーム200の照射領域201−2を形成する構成となっている(円筒形レンズ232は、Y軸に対して傾斜して、スリット状ビーム200の照射領域201−2がウェハ1上に集光するように配置されている)。
【0040】
また、レーザ光L4(L5)による照明は、例えば図3(c)に示すレンズ234(235),ミラー269,271(270,272)により、ウェハのY軸に平行で、Z軸方向に角度δ傾斜した方向から、スリット状ビーム200の照射領域201−4(201−5)を形成する構成となっている。この場合、レンズ234の曲率面はY軸に対してX方向には左右非対称な球面形状となっている(スリット状ビーム200の照射領域201−4(201−5)の集光方向がX方向に長くならないように若干の球面収差を与えている)。
【0041】
また、全体制御部50からの指令に基づいて、図2(a)に示すように、ミラー255の角度θを図示していないパルスモータ等の駆動手段で変えることにより、照明角α(β,γ,δ)を例えば被検査対象基板1上で検査対象とする異物の種類によって変えられる構成になっている。図2(c)に示すように、いかなる照明角の場合でもスリット状ビーム200の照射領域201は、光検出器26の画素配列203をカバーし、また、レーザ光L1〜L5による照明であっても、スリット状ビーム200の照射領域201−1〜201−5はウェハ1上で一致するよう構成されるものである。
【0042】
これにより、Y方向に平行光を有し、かつφ=45度付近の照明を実現することができる。特に、スリット状ビーム200をY方向に平行光にすることによって、主要な直線群がX方向およびY方向を向いた回路パターンから発する回折光が空間フィルタ22によって効率的に遮光されることになる。ここで空間フィルタ22は、図1に示すように、検出光学系20の光路中に、検査中はY方向に退避可能なミラー90と、投影レンズ91,TVカメラ92からなる瞳観察光学系70を用いて、フーリエ変換の結像位置における繰り返しパターンからの反射回折光像の輝点を撮像し、処理回路95により処理してこの輝点をフーリエ変換の結像位置に設けた複数の遮光部を有する空間フィルタで遮光するように調整されるものである。
【0043】
これらの動作は、全体制御部50からの指令に基づいて駆動回路27からの信号により行われるが、例えば、被検査対象基板1上に形成された回路パターンが高密度の場合は高倍率での高感度検査モードとし、回路パターンが低密度の場合は低倍率にして高速検査を行う等、ステージ上に載置される被検査対象基板1の表面情報、製造プロセスにあわせて微小欠陥を多く検出するように照明,検出条件を設定するものである。
【0044】
なお、レーザ光源11としては、例えばYAG第2高調波の波長532nmの高出力レーザや第4高調波の266nmを用いても良く、また、紫外,遠紫外あるいは真空紫外光レーザでも良く、またArレーザや窒素レーザ,He−Cdレーザやエキシマレーザ,半導体レーザ等の光源であっても良い。また、高輝度LEDを用いても良いが、同様の機能を得るには、光学系に改良が必要である。
【0045】
一般的には、照明波長を短波長化することにより、検出系の解像度が向上するため、高感度な検査が可能となる。
【0046】
次に本発明における欠陥検査の動作の一例について図4により説明する。図4において、500は欠陥検査装置、85はウェハを収納するウェハカセット、80は搬送ロボット、82はウェハをつかんで搬送するための搬送アーム、340はウェハのオリフラ検出部、350はオリフラ検出光学系、300はウェハのエッジ部の欠陥を検出する端面検査装置、345はウェハ表面の欠陥を検出する欠陥検査装置である。被検査対象基板であるウェハ1は、搬送アーム82でウェハカセット85から取り出され、オリフラ検出部340に搬送される。図5はオリフラ検出部340を、図4のY方向から見た断面図である。ウェハ1は、チャック353に真空吸着され、モータ354により回転する。オリフラ検出光学系350は、例えば投光部351と検出部355から成り、投光部351からの照明光352を受光して、検出部355の受光信号が処理回路356を介して全体制御部50に送られる。全体制御部50は、ウェハ1の偏芯量とオリフラ(Vノッチ)位置を算出し、コントローラ357を介してY軸に対するオリフラの補正信号をモータ354に送る。また、偏芯量は搬送ロボットが欠陥検出部345の搬送系30にウェハ1を設置する際に補正値として搬送アーム82の移動値にフィードバックされ、ウェハ1が欠陥検出部345の載置台34の中央に位置合わせされる。一方、ウェハ1が回転している間、端面検査装置300はウェハ1の端面部(エッジ部)の欠陥検査を行う。検出された信号は処理回路301で処理されて欠陥信号が全体制御部50に送られる。欠陥が検出された場合、オリフラの位置を原点位置として、モータ354に連結された図示していないロータリーエンコーダのパルスカウントから回転方向の座標位置が全体制御部50に記憶される。
【0047】
欠陥検査においては、ウェハ1表面の微細な欠陥を高速に検査する必要があり、且つ、欠陥検査部345の載置台34に載置されたウェハ1の表面には色々な欠陥種が存在し、欠陥検査においては、より多くの欠陥種を安定して検出することが要求される。このため、検出する欠陥種に合わせた検査条件を設定する必要がある。本欠陥検査装置では、照明の方向、角度を欠陥種に合わせて変更可能な構成とし、かつ一定の検査条件で検査できるような装置構成としている。例えば、欠陥検査装置内において光路中にミラー320と測定系310を配して照明光量測定を行うことにより、光路中に配したミラーやフィルタなどの光学素子の透過率低下等の不具合を監視している。もし、光学系の光路中に配したミラー,フィルタなどの光学素子に不具合箇所が発見された場合は、光学素子を一次元または二次元方向に移動して不具合箇所を光が通過しないようにしている。一例として、NDフィルタや偏光子が設けられた光学ユニット140をモータ122,送りネジ123とリニアガイド124によって、図2(b)の如くレーザ光L0の光軸に対して垂直方向(Y方向)に移動して照明ビームの照射される位置を変更、且つ、移動によって光軸が変化しないような構成になっている。なお、光学素子の移動量は、予め照明ビームL0のビーム径より算出され、損傷部分と干渉しない程の移動量が全体制御部50からの指令により設定されるが、移動箇所がなくなった場合は、新規光学素子と交換されることになる。この場合、予備の光学ユニットと交換、あるいは光学ユニットにもう一式同様の光学素子を設置し、モータと送りネジでリニアガイド上を移動させて切り換える構成にしてもよい。
【0048】
ところで、高集積の半導体基板上の微細欠陥を高速検出するためには、高輝度の照明ビームをウェハ1上に照射し、回路パターンからの回折光を遮光して欠陥から発生する散乱光を効率よく検出する必要がある。このため、光検出器26の画素配列に対して、スリット状ビーム200の照射領域201がウェハ1上で一致し、検査中は検出光学系20の物体焦点に対して、ウェハ1の表面が一定高さになるように記述していない自動焦点系により制御されるため光検出器26の画素配列に対して、スリット状ビーム200の照射領域201はウェハ1上で一致した状態が保持される。このため、ウェハ上のメモリセル部の繰り返しパターンからの回折光は、対物レンズ21の後側焦点位置(フーリエ面)で空間フィルタ22で遮光され、欠陥からの散乱光のみが空間フィルタ22を通過して光検出器26に到達する。
【0049】
ここで空間フィルタは、図6(c)に示すように、収縮自在のバネに均等間隔で矩形断面のロッドが複数本設置されている構成となっている。同図(a)(b)は空間フィルタの間隔(Px)を、対物レンズ21のフーリエ面に形成される繰り返しパターンからの回折光507の間隔に合わせて設置するための機構の一例を示すものである。すなわち、矩形ロッド503および、遮光幅の異なるロッド504が複数本設置されたバネ715,716の両端を支持バー710a,710bで支持し、モータ735,送りネジ730でリニアガイド722上をスライドさせて支持バー710a,710bをX方向に開閉して各ロッド503の間隔がPxとなるように設定する構成になっている。対物レンズ21のフーリエ面の瞳径501に対して、空間フィルタ22全体を位置決めするために、X方向には、モータ726,送りネジ737,リニアガイド728で、Y方向には、モータ735,送りネジ730,リニアガイド732でそれぞれ位置合わせ可能になっており、瞳観察光学系70のTVカメラ92の検出画像に基づいて、移動量が全体制御部50からの指令により設定されるようになっている。なお、空間フィルタ22は、上記同様な機構構成でXY方向に直交して配置されている。
【0050】
また、空間フィルタとして図10に示す如く、四角形枠(または円形枠、これらは例えば開口を有する板と表現することができる)の上面に複数のV形の溝を設け、瞳観察光学系70のTVカメラ92の検出画像に基づいて、複数の小径ロッド807を配列し、(b)の如く押え板810で固定して空間フィルタ800として使用することも考えられる。この場合、V溝の深さはロッド807を押え板810で固定できるようにピッチPと溝の深さに基づいて決定される。また、(c)に示すように、回転軸808に対して遮光部809の断面を楕円形状にし、超音波モータ等を駆動源としたアクチュエータ811で任意に回転させ、異なった遮光幅を有する空間フィルタを形成することも可能である。また、遮光部分には回路パターンからの高輝度な光が照射されるため、これらが対物レンズ21のレンズ表面とで多重反射し迷光となって欠陥検出に悪影響を及ぼすことも考えられる。このため、(d)のようにロッドの表面に溝812を形成したり、(e)のように針状の微小突起813をエッチング等を用いて形成することにより反射光を低減するような構造にすることが好ましい。また、任意の位置にロッドを配列するほかの方法として、磁性流体をV溝に塗布して金属ロッドを固定しても良い。
【0051】
本実施例1では、このロッド807をV溝812間を移動させることで遮光パターンの粗調整を行い、ロッド807自体を回転させることで微調整を行うことが可能となる。
【0052】
本実施例1では、このロッド807等の遮光材の間隔をそれぞれ異なるように設定することができる。
【0053】
本実施例1では、従来よりも高感度な検査が可能となる。
【実施例2】
【0054】
次に実施例2について説明する。
【0055】
実施例1の上記構成の空間フィルタは、対物レンズ21のフーリエ面の瞳径501がある程度大きい口径には設置可能であるが、例えば、小径(例えば10mm以下)のフーリエ面の瞳径501については、機構が複雑なため設置できないことも考えられる。
【0056】
これを解決するために、本実施例2では、可動機構を持たない空間フィルタを設置することを考案した。すなわち、欠陥検査装置内に空間フィルタ製造ステーションを設けて、瞳観察光学系70のTVカメラ92の検出画像に基づいて、パターン回折光を遮光するように遮光部が配置された空間フィルタ680を作製し、フーリエ面に位置決め、設置するようにした。
【0057】
本実施例2は、図7(a)に示すように、円形(又は正方形)の枠601上に、検出光学系20の検出性能に影響されない膜厚の透明膜610(例えば異物付着防止膜)が形成されたフィルタ用基板600に対して、瞳観察光学系70のTVカメラ92で検出したフーリエ変換面の検出画像に基づいて、図7(b)のように回路パターンの回折光の輝点の配置と相対的に同配置となるように、透明膜610の表面に遮光部510を印刷し、空間フィルタとして用いるものである。
【0058】
次に本実施例2における空間フィルタ680を作製する動作の一例について図8及び図9を用いて説明する。
【0059】
図8において、500は欠陥検査装置、660はフィルタ用基板600と、フィルタ用基板600に遮光部を形成した空間フィルタ680を収納するカセット、630は搬送ロボット、632は枠601を保持して搬送するための搬送アーム、650はフィルタ用基板600の透明膜610上に遮光パターン510を形成すための印刷装置である。フィルタ用基板600は収納カセット660から搬送アーム632で取り出され、印刷装置650の下部の回転ステージ642に載置される。643はフィルタ用基板600の枠601の円周端部に設けられた位置決め用ノッチ605a,605bを検出するための位置検出部であり、フィルタ用基板600が回転している間、検出信号は処理回路644を介して全体制御部50に送られ、検出された位置決め用ノッチ605a,605bの回転位置は検出光学系20のフーリエ変換面設置時の位置情報として記憶される。全体制御部50は瞳観察光学系70のTVカメラ92から得られる対物レンズ21のフーリエ変換の結像位置における繰り返しパターンからの反射回折光像から輝点の位置座標と面積を算出し、印刷装置と、Xステージ640−1及びYステージ640−2をコントローラ641を介して制御し、フィルタ用基板600の透明膜610の表面に遮光パターン510を全面に亘って形成する。印刷は繰り返しパターンからの反射回折光像の輝点より数十パーセントの余裕度を見込んで若干、大きめに印刷される。余裕度は入力出力手段51から任意に設定でき、また、印刷は同一ウェハ上の他の検査領域のパターンの遮光部も、予め取得したTVカメラ92の画像を用いて同時に印刷することができる。印刷完了後は搬送アーム632で取り出され検出光学系20のフーリエ変換面に設置されるが、図6のように支持バー710a,710bに、図示しない位置決めプレートを設けて、位置決め用ノッチ605a,605bで位置決めした後、固定しても良い。ここで、透明膜610は検査波長に応じたものが適用される。
【0060】
また、透明膜610の膜厚は検出光学系20の性能を劣化させない膜厚(例えば薄膜、より具体的には、光学的に透明であり、十分に薄い薄膜)とし、波長の整数倍とすることで、パターン回折光の透明膜610の表裏面での反射光の欠陥検出への影響を防止する効果が考えられる。
【0061】
また、遮光パターンを蛍光体で形成すれば回折光の影響を低減することもできる。例えば、この場合の蛍光体は、基板からの散乱光を受けてこの散乱光の波長とは異なる波長の光を発生させるものであると表現することができる。
【0062】
また、透明膜610の遮光パターンに濃度勾配をつければ検出する光の強度プロファイルに含まれるサイドローブの影響を低減することができる。例えば、この濃度勾配は、検出する光の強度ガウスプロファイルに対応している。より具体的には、この濃度勾配は、このガウスプロファイルのある高さ以下のものを消すような関数となっている。さらに、この関数によるサイドローブの打ち消し方は、非常に滑らかな打ち消し方であることが望ましい。併せて、上記の透明膜610は照明光学系に用いることもできる。その場合、濃度勾配は、照明光学系の照明ビームのガウスプロファイルに対応させればよい。
【0063】
本実施例2では、パターン回折光に対応した部分のみを遮光することが可能になる。よって、従来よりもさらに高感度な検査が可能となる。
【実施例3】
【0064】
次に本検査装置の検査感度を向上すべく、図3(b)に示した照明の別の照明方法について図11により説明する。
【0065】
本欠陥検査装置には被検査対象基板1に対して、図3で示した照明系構成により、5方向からの照明を可能にしている。これは、回路パターンからの回折光発生の抑制し欠陥からの散乱光を有効に検出するためや、照明ビームを広げて拡大視野で検査することにより短時間で検査する目的で構成されているものである。しかし、半導体の益々の高密度化により、より高感度での検査が望まれるようになってきている。このため、検出光学系20を高倍率化し、より最小の検出画素で検査を行うことが必須になってきている。これに合わせて、照明幅も細線化する必要がある。
【0066】
そこで、本実施例3では、図11(a)の如く、第1の光学系900aで集光した後、リレー光学系900bにより、被検査対象基板1に対して投影する構成とした。すなわち、レーザ光源11から出射された平行レーザ光L0を、ビームエキスパンダ16で拡大後、ビーム整形素子904,集光レンズ903で回折格子902上に集光させ、図11(b)の如く回折格子902で回折した光905を、レンズ901b及びレンズ901aで構成されるリレー光学系900bで被検査対象基板1表面に集光してスリット状ビーム201を形成する構成になっている。この構成によれば、第1の光学系900aで回折格子802上に集光するビームの形状を、リレー光学系900bのリレー倍率を変えることにより、スリット状ビーム201のビーム幅を任意に設定することが可能である。また、図11(a)では回折格子上に線照明を行うために、プリズム等のビーム整形素子を用いたが、同図(c)のように円筒レンズにより線照明を形成する構成にしても良い。
【0067】
また、集光レンズ903及び905への入射ビーム径は大きい方が、より細く絞れるが、ビームエキスパンダ16で拡大したレーザ光がレンズの開口で制限された場合、集光ビームのプロファイルを観察した際にサイドローブが発生し、欠陥検出に悪影響を及ぼす。このため、本実施例3では、図12(a)に示す特性の濃度フィルタを光路中に配して、レンズに入射するレーザ光の強度がレンズ開口で急激に低下しないようにしてサイドローブの発生を防止している。本検査装置においては、検査の倍率ごとに検査領域が変化するため、これに合わせて照明幅も変化する。したがって図12(a)に示す濃度フィルタ950が数種類必要であるため、同図(b)に示すように円形の回転板960に濃度特性の異なるフィルタ950a〜950dを配置して図示しない駆動手段により回転させて、切り換える構成にしている。
【0068】
次に、欠陥検査装置における欠陥検出信号処理について説明する。図13は、本実施例3の信号処理系の構成を示すものである。ウェハ1表面からの反射回折光を受光して光検出器26で光電変換された検出画像信号1300は信号処理回路40で処理される。信号処理回路40は、A/D変換器1301,A/D変換された検出画像信号f(i,j)1410を記憶するデータ記憶部1302,上記検出画像信号に基づいて閾値算出処理をする閾値算出処理部1303、上記データ記憶部1302から得られる検出画像信号1410と、閾値算出処理部1303から得られる閾値画像信号(Th(H),Th(Hm),Th(Lm),Th(L))1420を基に画素マージ毎に異物検出処理を行うための回路を複数備えた異物検出処理部1304a〜1304n、低角,高角度照明によって検出欠陥から得られた散乱光量や欠陥の大きさ示す検出画素数等の特徴量を算出する特徴量算出回路1309、該特徴量算出回路1309から得られる各マージ毎の特徴量を基に、欠陥,異物のサイズや種類を分類する統合処理部1310から構成されている。
【0069】
異物検出処理部1304a〜1304nの各々は、例えば検出された二次元画像に対して1×1,3×3,5×5,…n×n画素単位で画像処理するためのマージオペレータ1504を備えた画素マージ回路部1305a〜1305n,1306a〜1306nと、異物検出処理回路1307a〜1307nおよび、検査領域処理部1308a〜1308nとで構成されている。
【0070】
A/D変換器1301でデジタル化された検出画像信号f(i,j)1410は、データ記憶部1302と閾値算出処理部1303に送られる。閾値算出処理部1303は、検出画像信号から欠陥,異物を検出するための閾値画像Th(i,j)1420を算出し、画素マージ回路1306に出力する。画素マージ回路1305,1306は、データ記憶部1302および閾値算出処理部1303から出力された画像信号1410,1420に対して、n×n画素の範囲で結合する機能を有し、例えば、n×n画素の平均値を出力する回路であり、各種マージオペレータ毎に画像処理が行われる。異物検出処理回路1307は、画素マージ回路1305および1306から出力された信号を処理して欠陥,異物を検出する。ここで、画素をマージするのはウェハ1上に存在する大きさの異なる欠陥,異物をそれらのサイズに合った検出画素でS/N良く検出する目的であるが、検出すべき欠陥の形状によっては、必ずしもn×nの必要はなくn×mでも良い。
【0071】
検査領域処理部1308は、異物検出処理回路1307によって検出された欠陥または異物が存在するチップを特定するための処理を行うものであり、欠陥または異物を検出するため、検出閾値Th(H,L)と、検証閾値Th(Hm,Lm)を設けて、異物または欠陥を検出したチップを特定するものである。図15(a)はチップ1701,1702,1703のうち、中央のチップ1702に凸形の欠陥1704が存在する場合の検出画像例と、断面X−Xでの信号波形を示している。また、図16(a)はチップ1801,1802,1803のうち、中央のチップ1802に凹形の欠陥1804が存在する場合の検出画像例を示している。図15(a)において、信号1706は凸欠陥1704の信号を示し、信号1705,信号1707はチップ内に欠陥が存在しない場合を示している。
【0072】
図15(b)は、隣接チップ単位での差分処理結果を示すものであり、差分信号1710,1711はチップ1701,1702,1703で得られた画像信号の差画像1708,1709の断面X′−X′での信号波形を示している。差分信号1710はチップ1702の画像信号「B」とチップ1701の画像信号1「A」との差信号(B−A)であり、差分信号1711はチップ1703の画像信号「C」とチップ1702の画像信号「B」との差分信号(C−B)である。ここで、検出閾値H,検証閾値Hmは凸形の差分信号を検出するための閾値であり、検出閾値L,検証閾値Lmは凹形の差分信号を検出するための閾値である。
【0073】
図15(b)において、差分信号1710(B−A)が正の場合、その値が検出閾値Hまたは検証閾値Hmよりも大きい場合に異物または欠陥として検出し、また、差分信号1711(C−B)が負の場合、その値が検出閾値Lまたは検証閾値Lmよりも小さい場合(差分値,閾値共に負の値のために符号付の値が小さい場合である。絶対値としては閾値よりも差分値の方が大きい)に異物または欠陥として検出される。
【0074】
ところで、ウェハ1の外周検査時には隣接チップが存在しなくなる。この場合、検査領域処理部1308a〜1308nは、全体制御部50から得られる検査座標データを基に上記隣接チップ同士の比較処理{(B−A),(C−B)}から、飛び越えた隣のチップ同士の比較処理{(B−A),(C−A)}に切り換えることになる。
【0075】
検査領域処理部1308は、検出された異物信号や閾値画像を検査領域処理部1308により、検出場所による処理を施す。同時に、各種マージオペレータ毎に設けられた異物検出処理部1304a〜1304nの、画素マージ回路1305a〜1305n,1306a〜1306n,異物検出処理回路1307a〜1307n,検査領域処理部1308a〜1308nから得られた信号を基に、特徴量算出回路1309で特徴量(例えば、高角度照明により得られた散乱光量,低角度照明により得られた散乱光量,欠陥の検出画素数等)を算出し、前記異物信号と前記特徴量を統合処理部1310で統合し、統合したデータを全体制御部50へ送信する。
【0076】
以下に詳細を述べる。A/D変換器1301は光検出器26で得られたアナログ信号1300をデジタル信号に8〜12ビットで変換する回路であり、データ記憶部1302は、A/D変換されたデジタル信号を記憶しておくための回路である。画素マージ回路部1305a〜1305n,1306a〜1306nは、図14に示す各々異なるマージオペレータ1504で構成されている。
【0077】
マージオペレータ1504は、データ記憶部1302から得られる検出画像信号f(i,j)1410と、閾値算出処理部1303から得られる検出閾値画像Th(H),検出閾値画像Th(L),検証閾値画像Th(Hm)、および検証閾値画像Th(Lm)からなる差分閾値画像信号1420との各々をn×n画素の範囲で結合する機能であり、例えば、n×n画素の平均値を出力する回路である。
【0078】
ここで、画素マージ回路部について、1305a,1306aは例えば1×1画素を、1305b,1306bは3×3画素を、1305c,1306cは5×5画素を、…1305n,1306nはn×n画素をマージする奇数画素のマージオペレータで構成される。例えば、1×1画素をマージするマージオペレータは、入力信号1410,1420をそのまま出力することになる。
【0079】
閾値画像信号は、4種の画像信号(Th(H),Th(Hm),Th(Lm),Th(L))からなるため、各画素マージ回路部1306a〜1306nにおいても上記4種のマージオペレータOpが必要となる。従って、各画素マージ回路部1305a〜1305nからは、検出画像信号が各種マージオペレータ1504でマージ処理してマージ処理検出画像信号431a〜431nとして出力されることになる。他方、各画素マージ回路部1306a〜1306nからは、4つの閾値画像信号(Th(H),Th(Hm),Th(Lm),Th(L))が各種マージオペレータOp1〜Opnでマージ処理してマージ処理閾値画像信号441a(441a1〜441a4)〜441n(441n1〜441n4)として出力されることになる。なお、各画素マージ回路部1306a〜1306n内のマージオペレータは同じものである。
【0080】
ここで、画素をマージする効果を説明する。異物検査では、微小異物だけでなく、数μmの範囲に広がった薄膜状の大きな異物も見逃すことなく検出する必要がある。しかし、薄膜状異物からの検出画像信号は、必ずしも大きくならないため、1画素単位の検出画像信号ではS/N比が低く、見逃しが生じることがある。このため、薄膜状異物の大きさに相当するn×n画素の単位で切出して畳み込み演算をすることによってSN比を向上させるようにしている。
【0081】
次に、検査領域処理部1308a〜1308nについて説明する。検査領域処理部1308a〜1308nは、異物検出処理回路1307a〜1307nからチップを特定して得られる異物又は欠陥検出信号に対して、検査不要領域(チップ内の領域も含む)のデータ除去や、検出感度を領域(チップ内の領域も含む)毎に変える場合や検査領域を選択する場合に用いる。
【0082】
検査領域処理部1308a〜1308nは、例えば、被検査対象基板1上の領域のうち、検出感度が低くても良い場合には、閾値算出処理部1303から得られる該当領域の閾値を高く設定しても良いし、異物検出処理回路1307a〜1307nから出力される異物のデータから異物の座標を基にして検査したい領域の異物のデータのみを残す方法でも良い。
【0083】
ここで、検出感度が低くする場合は、例えば、被検査対象基板1において回路パターンの低密度の領域であり、回路パターンが高密度領域では、高感度検査によりデバイス製造の歩留りを向上することができる。
【0084】
しかしながら、被検査対象基板1上の全領域を同一感度で検査した場合、重要な異物と重要でない異物が混じるために、重要な異物を容易に抽出することができない。そこで、検査領域処理部1308a〜1308nは、チップ内のCAD情報または閾値マップ情報に基づいて、回路パターンが存在しないような、歩留りにあまり影響しない領域の検出感度を低くすることにより、効率良く重要異物を抽出することができる。ただし、異物の抽出方法は、検出感度を変更する方法だけでなく、後述する異物の分類により、重要異物を抽出しても良いし、異物サイズを基に重要異物を抽出しても良い。
【0085】
次に、特徴量算出回路1309について説明する。この特徴量とは、検出された異物や欠陥の特徴を表す値であり、特徴量算出回路1309は、前記特徴量を算出する処理回路である。特徴量としては、例えば、照明角α,β,γを変えた高角度照明及び低角度照明によって得られた異物又は欠陥からの反射回折光量(散乱光量),検出画素数,異物検出領域の形状や慣性主軸の方向,ウェハ上の異物の検出場所,下地の回路パターン種類,異物検出時の閾値等がある。
【0086】
次に、統合処理部1310について説明する。統合処理部1310では、画素マージ回路1305,1306で並列処理された異物検出結果を統合したり、特徴量算出回路1309で算出した特徴量と異物検出結果(異物欠陥の位置情報)を統合し、全体制御部50に結果を送る機能を有する。この検査結果統合処理は、処理内容を変更し易くするためにPC等で行うのが望ましい。
【0087】
一方、TVカメラ92で撮像した検出光学系20のフーリエ変換像の結像位置におけるウェハ1に形成された繰り返しパターンからの反射回折光像の輝点の画像信号は、信号処理回路95に送られる。信号処理回路95には、A/D変換器,画像データ処理部,パターンピッチ演算部があり、繰り返しパターンからの反射回折光像の輝点の画像信号は、A/D変換された後、画像データ処理部で画像データとして処理され、パターンピッチ演算部で反射回折光像の輝点のピッチが求められる。この求めた輝点のピッチのデータと画像データとは全体制御部50に送られ、空間フィルタ22の遮光板の配列ピッチを制御する信号として空間フィルタ制御部27へ送られる。なお、ミラー240が対物レンズ21と結像レンズ23の間に挿入される際は、空間フィルタは退避することになる。
【実施例4】
【0088】
欠陥検査装置に顕微鏡を付けた実施の形態を図17に示す。この実施形態においては、検査によって検出された異物は、観察用光学系60によって確認可能な構成になっている。この観察用光学系60は、ステージ31,32を動かすことにより、観察用光学系60の顕微鏡視野の位置に、ウェハ1上の検出した異物(虚報も含む)を移動させ、この画像を観察するものである。
【0089】
観察用光学系60を備えている利点は、SEMなどのレビュー装置にウェハを移動させなくても、検出した異物を即座に観察できることである。検査装置での検出物を即座に観察することによって、すばやく異物の発生原因を特定することができる。また、観察用光学系60のTVカメラ64の画像は、パソコンと共用のカラーモニタ上に検出した異物の画像が映し出され、検出異物の座標を中心として、部分的にレーザ照射とステージ走査による検査ができ、異物の散乱光像と異物位置をマーキングしてモニタ上に写す機能も有している。これにより、実際異物を検出したか否かの確認も可能である。なお、ステージ走査による部分画像は、異物の検出されたダイの隣接ダイの検査画像も取得できるのでその場での比較確認も可能である。
【0090】
観察用光学系60としては、光源には可視光(例えば白色光)でも良いし、紫外光を光源とした顕微鏡でも良い。特に微小な異物を観察するためには、高解像度の顕微鏡、例えば、紫外光を用いた顕微鏡が望ましい。また、可視光の顕微鏡を用いると異物の色情報が得られ、異物の認識を容易に行えるという利点がある
【符号の説明】
【0091】
1 ウェハ(被検査対象基板)
10 照明光学系
11 レーザ光源
20 検出光学系
25 光学フィルタ
30 搬送系
35 駆動回路
40 信号処理回路
50 全体制御部
51 入力出力手段
52 表示手段
53 記憶部
60 観察用光学系
70 瞳観察光学系
80 搬送ロボット
82 搬送アーム
155 裏面検査装置
180 異物付着防止手段
195 異物除去手段
240,320 ミラー
300 端面検査装置
350 オリフラ検出光学系
600 フィルタ用基板
610 透明膜
650 印刷装置
900a 第1の光学系
900b リレー光学系
902 回折格子
1301 A/D変換器
1302 データ記憶部
1303 閾値算出処理部
1307 異物検出処理回路
1308 検査領域処理部
1309 特徴量算出回路
1310 統合処理部
1311 結果表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターンの形成された基板の異常を検査する検査装置において、
基板に光を照明する照明光学系と、
前記基板からの光を検出して像として結像する検出光学系と、
前記像を用いて前記異常を検出する処理部と、を有し、
前記検出光学系は、フーリエ面に配置された透明薄膜を有し、
前記透明薄膜は、前記パターンに対応した遮光パターンを有することを特徴とする検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検査装置において、
前記透明薄膜に前記遮光パターンを形成するための形成装置を有することを特徴とする検査装置。
【請求項3】
請求項1に記載の検査装置において、
前記遮光パターンは蛍光体であることを特徴とする検査装置。
【請求項4】
請求項1に記載の検査装置において、
前記遮光パターンは濃度勾配を有することを特徴とする検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−163422(P2012−163422A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23466(P2011−23466)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】