説明

楽器

【課題】振動板を有する楽器において、振動板の振動特性を制御して、発音される音質を変化させる。
【解決手段】ギターは、エンドブロックに接続された支持部材50によって、表板11aに接続されるように支持されたアクチュエータ40を有する。このアクチュエータ40は、表板11aへの弦2からの力Fs、および表板11aの振動状態を検出するセンサからの検出結果に応じた力Faを、支持部材50を支点として表板11aに作用させて、強制的に表板11aの振動特性を変化させた状態を作り出す。したがって、ギターは、表板11aの振動特性を実質的に変化させることにより、音質を変化させて発音することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動板を有する楽器の音質を変化させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
楽器音に音響効果を付加する技術として、音を一旦電気信号に変換してから信号処理を施すものがある。また、ピアノの響板などにアクチュエータを取り付けて機械的に音響効果を付与する技術も存在する。例えば、特許文献1には、センサで検出された弦の振動信号に信号処理を施し、アクチュエータを動作させることにより響板を振動させ、響板から発音させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−73039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ピアノなどの弦楽器の音質は、音を放射する響板などの振動板がもつ振動特性によるところが大きい。そのため、一つの楽器において、様々な音質で発音させようとすると、振動板の振動特性を変化させる必要があるが、その場合には、振動板そのものを交換しなくてはならず現実的ではなかった。
上述した特許文献1に記載された技術においては、通常のピアノ音とは異なる発音を行うことも可能であるが、アクチュエータが響板に直に取り付けられていることから、アクチュエータは、自身に生じる慣性力により響板を振動させる一方、響板の振動に合わせてアクチュエータ全体も振動する。そのため、響板自体の物理的な振動特性はほとんど変化せず、実質的には、響板は、スピーカとして用いられていることになる。したがって、特許文献1の構成においては、弦の振動音を加工して響板から発音させることにより、通常の楽器音とは異なる音を付加することはできても、楽器自体の音質を大きく変えるものではなかった。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、振動板を有する楽器において、振動板の振動特性を制御して、発音される音質を変化させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するため、本発明は、振動する弦と、前記弦を支持する弦支持部と、前記弦支持部と接続し、前記弦の振動が当該弦支持部を介して伝達される振動板と、前記振動板を支持する構造体と、前記振動板および前記弦から受ける力を検出し、検出結果を示す力検出信号を出力する力検出センサと、前記振動板に力を加えて振動させる動作をするアクチュエータと、前記構造体に接続された部材であって、前記アクチュエータが前記振動板に接続されるように、当該アクチュエータを支持する支持部材と、前記力検出信号に応じた力が、前記振動板の前記弦支持部が接続された部分に加わるように、前記アクチュエータの動作を制御する制御部とを具備することを特徴とする楽器を提供する。
【0006】
また、別の好ましい態様において、前記振動板の前記アクチュエータが接続している部分は、前記弦支持部が接続された部分であることを特徴とする。
【0007】
また、別の好ましい態様において、前記振動板の一部の振動状態を検出し、検出結果を示す振動検出信号を出力する振動検出センサをさらに具備し、前記制御部は、前記振動検出信号に応じた力が、前記振動板の一部に加わるように、前記アクチュエータの動作を制御することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、振動板と、前記振動板を支持する構造体と、前記振動板の一部の振動状態を検出し、検出結果を示す振動検出信号を出力する振動検出センサと、前記振動板に力を加えて振動させる動作をするアクチュエータと、前記構造体に接続された部材であって、前記アクチュエータが前記振動板に接続されるように、当該アクチュエータを支持する支持部材と、前記振動検出信号に応じた力が、前記振動板の一部に加わるように、前記アクチュエータの動作を制御する制御部とを具備することを特徴とする楽器を提供する。
【0009】
また、別の好ましい態様において、前記振動板の一部は、前記振動板の前記アクチュエータに接続された部分であることを特徴とする。
【0010】
また、別の好ましい態様において、前記支持部材の振動状態を検出し、検出結果を示す第2振動検出信号を出力する第2振動検出センサをさらに具備し、前記制御部は、前記振動検出信号および前記第2振動検出信号に応じた力が、前記振動板の一部に加えられるように、前記アクチュエータの動作を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、振動板を有する楽器において、振動板の振動特性を制御して、発音される音質を変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態におけるギターの外観を説明する図である。
【図2】本発明の実施形態における胴部の正面図である。
【図3】図2に示す矢視III−III方向から見た胴部の断面図である。
【図4】本発明の実施形態におけるアクチュエータ近傍の構成を説明する図である。
【図5】本発明の実施形態における制御部の構成を説明するブロック図である。
【図6】本発明の実施形態における制御部における制御のモデルを説明する図である。
【図7】加速度に応じた制御におけるアクチュエータの動作有無による周波数特性の違いの一例を説明する図である。
【図8】速度に応じた制御におけるアクチュエータの動作有無による周波数特性の違いの一例を説明する図である。
【図9】力に応じた制御におけるアクチュエータの動作有無による周波数特性の違いの一例を説明する図である。
【図10】本発明の変形例1における胴部の正面図である。
【図11】図10に示す矢視XI−XI方向から見た胴部の断面図である。
【図12】本発明の変形例1における別の態様の胴部の正面図である。
【図13】図12に示す矢視XIII−XIII方向から見た胴部の断面図である。
【図14】本発明の変形例1における別の態様の胴部の正面図である。
【図15】図14に示す矢視XV−XV方向から見た胴部の断面図である。
【図16】本発明の変形例2における胴部の正面図である。
【図17】図16に示す矢視XVII−XVII方向から見た胴部の断面図である。
【図18】本発明の変形例2における制御部の構成を説明するブロック図である。
【図19】本発明のグランドピアノへの適用例を説明する図である。
【図20】本発明のカホンへの適用例を説明する図である。
【図21】図20に示す矢視XXI−XXI方向から見たカホンの断面図である。
【図22】本発明の変形例4における制御部の構成を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
[外観構成]
図1は、本発明の実施形態におけるギター1の外観を説明する図である。本発明の楽器の一例であるギター1は、胴部10を有している。胴部10の表板11aには、響孔(サウンドホール)12、ブリッジ13およびサドル14が設けられている。表板11aは、弦2を支持するサドル14およびサドル14を支持するブリッジ13を介して、ブリッジ13と接続された部分から弦2の振動が伝達される。表板11aの振動についても、これとは逆の経路で弦2に伝達される。このブリッジ13およびサドル14は、全体として弦2を支持して表板11aに接続される弦支持部として機能する。弦2の振動が表板11aに伝達されると、表板11aは、振動に応じた音を放射する。ブリッジ13上には、加速度センサ20が設けられている。この例においては、加速度センサ20は、サドル14と接触しない位置に設けられている。
【0014】
胴部10の側板11cは、表板11aの周辺部を支持している。操作部15は、側板11cに設けられている。この操作部15は、ロータリースイッチ、操作ボタンなどが設けられた操作パネルを有し、利用者による操作が受け付けられると、その操作内容を示す情報を出力する。操作部15には、メニュー画面などを表示する表示部が設けられていてもよい。なお、操作パネルには、さらに、不揮発性メモリを用いた記録媒体が差し込まれるスロット部が設けられていてもよい。また、側板11cには、さらに、外部からのオーディオ信号の入力を受け付ける入力端子などが設けられていてもよい。
【0015】
図2は、本発明の実施形態における胴部10の正面図である。図3は、図2に示す矢視III−III方向から見た胴部の断面図である。図2は、ギター1のうち胴部10の部分を抽出して表した図である。図2、図3に示す図においては、ギター1の他の構成である弦2、指板などについては、記載を省略している。また、以下に説明する各構成の位置関係をわかりやすくするため、胴部10の内部に設けられる響棒についても、記載を省略している。
【0016】
胴部10は、表板11a、裏板11b、側板11cにより囲まれた内部空間BSを有する。表板11aには、上述したように、ブリッジ13が接続されている。ブリッジ13とサドル14との間には、力検出センサ30が設けられている。また、ブリッジ13には、加速度センサ20が設けられている。
側板11cの内部空間BS側には、エンドブロック55が設けられている。エンドブロック55には、支持部材50が接続されている。アクチュエータ40は、内部空間BSに設けられ、支持部材50によって、表板11aに対して接続されるように支持されている。この例においては、アクチュエータ40の表板11aに接続された部分は、表板11aの法線方向(アクチュエータが力を加える方向)から見たときに、加速度センサ20および力検出センサ30の位置を含むようになっている。制御部100は、支持部材50に設けられ、加速度センサ20および力検出センサ30からの信号に応じてアクチュエータ40の動作を制御する。
続いて、本発明の特徴部分であるアクチュエータ40の近傍における構成について、図4を用いて詳細に説明する。
【0017】
[アクチュエータ40近傍の構成]
図4は、本発明の実施形態におけるアクチュエータ40近傍の構成を説明する図である。加速度センサ20は、表板11aの振動によって加速度センサ20に生じる振動方向(図4における上下方向)の加速度を検出する。すなわち、加速度センサ20は、表板11aのうちセンサが取り付けられた部分の加速度を検出する。加速度センサ20は、この検出結果を示す加速度検出信号Saを制御部100に出力する。加速度センサ20は、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いた半導体式、光学式、機械式などの公知の構成を用いればよい。
【0018】
力検出センサ30は、弦2からサドル14を介して力を受け、また表板11aからブリッジ13を介して力を受ける。力検出センサ30は、双方から受ける相対的な力を検出して、この検出結果を示す力検出信号Sfを制御部100に出力する。この力は、弦2が表板11aに対して、表板11aの法線方向(図4における上下方向)に加える力であり、以下、力Fsという。力Fsは、弦2の振動および表板11aの振動に応じて変動する。力検出センサ30は、例えば、圧電素子などを用いた公知の構成とすればよく、この例においては、インブリッジ式のピエゾピックアップと同様の構成である。
【0019】
アクチュエータ40は、後述するようにして制御部100から出力される駆動信号Spに応じて、表板11aに対して力Faを加える動作をする。アクチュエータ40は、この例においては、スピーカにおけるボイスコイルなどを用いた構成とするが、電気信号を機械的な力に変換する構成であれば、どのような構成を用いてもよい。アクチュエータ40と力検出センサ30および加速度センサ20とが上述した位置関係になっているため、アクチュエータ40からの力Faが加わる表板11aの部分は、ブリッジ13と接続された部分となる。そのため、アクチュエータ40からの力Faによる表板11aの振動は、直接的に力検出センサ30および加速度センサ20に伝達される。
【0020】
また、アクチュエータ40は、支持部材50によって支持されているため、支持部材50を支点として、表板11aに力Faを作用させる。このように、支持部材50は、アクチュエータ40により支点として用いられるものであるから、表板11aよりも剛性の高い部材であることが望ましい。また、支持部材50は、表板11aの振動が伝達されにくい部材に接続されていることが望ましい。この例においては、支持部材50は、多角柱形状のブロック状のエンドブロック55に接続され、このエンドブロック55は、表板11aと概ね垂直方向に延在する側板11cに接続されている。したがって、アクチュエータ40に対しては、側板11c、エンドブロック55および支持部材50を経路としては、表板11aの振動がほとんど伝達されない。
続いて、制御部100の構成について説明する。
【0021】
[制御部100の構成]
図5は、本発明の実施形態における制御部100の構成を説明するブロック図である。制御部100は、AD変換部110、DSP(Digital Signal Processor)120、DA変換部130および増幅部140を有する。AD変換部110は、加速度センサ20から加速度検出信号Saが入力され、力検出センサ30から力検出信号Sfが入力され、入力された信号をそれぞれデジタル信号に変換して出力する。
【0022】
DSP120は、AD変換部110から入力される加速度検出信号Saおよび力検出信号Sfを用いて、設定されたパラメータに応じた演算をする信号処理を行い、演算結果として得られる演算信号Szを出力する。上記パラメータは、操作部15からの操作信号に応じて設定される。この例においては、パラメータとして、音響放射特性におけるピーク周波数を変更するためのパラメータGf、ピークの鋭さを変更するためのパラメータGq、全体的なレベルを調整するためのパラメータGpが設定される。なお、これらのパラメータは、予め決められた値となっていてもよいし、いずれかの値が「0」であってもよい。
【0023】
DA変換部130は、DSPにおける信号処理によって出力されたデジタル信号の演算信号Szをアナログ信号に変換して出力する。増幅部140は、DA変換部130から出力された演算信号Szを増幅し、駆動信号Spとしてアクチュエータ40に出力する。これにより、アクチュエータ40は、駆動信号Spに応じた力を、表板11aと接続した部分に加える。
続いて、DSP120において行われる信号処理について説明する。
【0024】
[信号処理の内容]
DSP120は、加速度検出信号Saに対して、パラメータGfに応じた増幅処理をする。このようにして得られた信号(Gf・Sa)を加速度演算信号Szaという。DSP120は、加速度検出信号Saの時間に関する積分をするなどして、速度信号Svに変換し、パラメータGqに応じた増幅処理をする。このようにして得られた信号(Gq・Sv)を速度演算信号Szvという。DSP120は、力検出信号Sfに対して、パラメータGpに応じた増幅処理をする。このようにして得られた信号(Gp・Sf)を力演算信号Szpという。DSP120は、加速度演算信号Sza、速度演算信号Szvおよび力演算信号Szpを加算して合成し、演算信号Szとして出力する。なお、加速度演算信号Sza、速度演算信号Szvおよび力演算信号Szpに直流成分が存在する場合には、DCカットフィルタなどを用いて直流成分を除去してもよい。
【0025】
この演算信号Szを増幅した駆動信号Spにより、アクチュエータ40が動作して表板11aに力Faを加えて振動させることになる。この振動に与える影響について、力Faのうち、加速度演算信号Sza、速度演算信号Szvおよび力演算信号Szpのそれぞれの要素に分けて説明する。
【0026】
[原理説明]
図6は、本発明の実施形態における制御部100における制御のモデルを説明する図である。上述した力Fsおよび力Faにより振動する振動板(主として表板11aおよびブリッジ13)を一次の質量系に近似すると、図6に示すモデルとなり、バネ・マス・ダンパ系の運動方程式(以下の式(1))で表される。なお、mは質量、cはダンパ定数、kはバネ定数である。
【0027】
【数1】

【0028】
ここで、アクチュエータ40からの力Faが与えられていない状態においては、モデル化された部分の振動板における共振周波数およびアドミタンスは、それぞれ以下の式(2)、式(3)により表される。これらの振動特性は、楽器としての音質に大きく関連する特性である。
【0029】
【数2】

【0030】
まず、振動板に加えられる力Faのうち、加速度演算信号Szaの成分についての振動板の振動への影響について説明する。この場合には、力Faは、以下の式(4)として示される。そのため、上述した式(1)は、以下の式(5)、式(6)のように表され、力Faにより質量mが変化するように作用する。
【0031】
【数3】

【0032】
したがって、共振周波数およびアドミタンスは、それぞれ以下の式(7)、式(8)により表され、設定されるパラメータGfの大きさにより値が変化する。
【0033】
【数4】

【0034】
図7は、加速度に応じた制御におけるアクチュエータ40の動作有無による周波数特性の違いの一例を説明する図である。図7は、振動特性について、アクチュエータ40を動作させない場合のスペクトルSoff、およびアクチュエータ40を動作させた場合のスペクトルSon_Apの例を示し、横軸が周波数、縦軸がレベルを示している。この例においては、Gfが正の値であるものとする。
図7に示す例においては、スペクトルSoffには、310Hzに表板11aの特徴的な共振周波数のピークが現れている。一方、アクチュエータ40を動作させることにより、スペクトルSon_Aに示すように、共振周波数が240Hzに低下することになる。この共振周波数の変化量は、パラメータGfの大きさによって決まる。
【0035】
ここで、すべてのピークについての周波数が低下しないのは、それらの周波数におけるピークが表板11aの共振によるものではなかったり、ピークとなる周波数で共振する振動モードにおいて、表板11aのうちアクチュエータ40から力を加えられる部分では振幅が少なかったりすることによるものである。なお、図示していないが、Gfを負の値とすれば、共振周波数を高くすることもできる。
【0036】
続いて、振動板に加えられる力Faのうち、速度演算信号Szvの成分についての振動板の振動への影響について説明する。この場合には、力Faは、以下の式(9)として示される。そのため、上述した式(1)は、以下の式(10)、式(11)のように表され、力Faによりダンパ定数cが変化するように作用する。
【0037】
【数5】

【0038】
したがって、アドミタンスは、それぞれ以下の式(12)により表され、設定されるパラメータGqの大きさにより値が変化する。共振周波数については、式(2)と同じである。
【0039】
【数6】

【0040】
図8は、速度に応じた制御におけるアクチュエータ40の動作有無による周波数特性の違いの一例を説明する図である。図8は、振動特性について、アクチュエータ40を動作させない場合のスペクトルSoff、およびアクチュエータ40を動作させた場合のスペクトルSon_Vp、Son_Vmを示し、横軸が周波数、縦軸がレベルを示している。
図8に示す例においては、アクチュエータ40を動作させることにより、パラメータGqが正の値である場合には、スペクトルSon_Vpに示すように、スペクトルSoffよりもピークが鋭くなる。一方、パラメータGqが負の値である場合には、スペクトルSon_Vmに示すように、スペクトルSoffよりもピークが鈍くなる。
【0041】
ここで、すべてのピークについての鋭さの変化量が同じにならないのは、各ピークが表板11aの共振によるものではなかったり、ピークとなる周波数で共振する振動モードにおいて、表板11aのうちアクチュエータ40から力を加えられる部分では振幅が少なかったりすることによるものである。
【0042】
続いて、振動板に加えられる力Faのうち、力演算信号Szpの成分についての振動板の振動への影響について説明する。この場合には、力Faは、以下の式(13)として示される。そのため、上述した式(1)は、以下の式(14)、式(15)のように表され、力Faにより弦2からの力Fsが変化するように作用する。
【0043】
【数7】

【0044】
したがって、アドミタンスは、それぞれ以下の式(16)により表され、設定されるパラメータGpの大きさにより値が変化する。共振周波数については、式(2)と同じである。
【0045】
【数8】

【0046】
図9は、力に応じた制御におけるアクチュエータ40の動作有無による周波数特性の違いの一例を説明する図である。図9は、音響放射特性について、アクチュエータ40を動作させない場合のスペクトルSoff、およびアクチュエータ40を動作させた場合のスペクトルSon_Fp、Son_Fmを示し、横軸が周波数、縦軸がレベルを示している。
図9に示す例においては、アクチュエータ40を動作させることにより、パラメータGpが正の値である場合には、スペクトルSon_Fpに示すように、スペクトルSoffよりも全体的にレベルが高くなる。一方、パラメータGpが負の値である場合には、スペクトルSon_Fmに示すように、スペクトルSoffよりもレベルが低くなる。
ここで、各周波数の成分についてのレベルの変化量が同じにならないのは、表板11aの振動特性などによるものである。
【0047】
以上が、アクチュエータ40の力Faにより表板11aの振動に与える影響について、加速度演算信号Sza、速度演算信号Szvおよび力演算信号Szpのそれぞれの要素に分けた説明である。上述したように、アクチュエータ40の表板11aへ加える力Faは、加速度演算信号Sza、速度演算信号Szvおよび力演算信号Szpの各要素を加算して合成して決められている。したがって、振動板に対してアクチュエータ40から加わる力Faは、以下の式(17)のように表される。そして、共振周波数およびアドミタンスは、それぞれ以下の式(18)、式(19)により表されることになる。
【0048】
【数9】

【0049】
このようにして、制御部100は、加速度検出信号Saおよび力検出信号Sfを用いて、パラメータGf、Gq、Gpに基づいて駆動信号Spを出力し、アクチュエータ40を動作させる。この結果、表板11aは、弦2から伝達された振動に基づく振動だけでなく、アクチュエータ40からも振動させられることで、設定されたパラメータに応じて振動特性が実質的に変化した状態となる。このとき、アクチュエータ40は、支持部材50を支点として、表板11aに力を作用させるため、強制的に表板11aの振動特性を変化させた状態を作り出すことができる。したがって、本発明の実施形態におけるギター1は、表板11aの振動特性を実質的に変化させることにより、音質を変化させて発音することができる。
【0050】
<変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以下のように、さまざまな態様で実施可能である。
[変形例1]
上述した実施形態においては、支持部材50は、一端がエンドブロック55に接続され、他端でアクチュエータ40を支持していたが、別の態様で構成されていてもよい。以下、複数の例について説明する。
【0051】
図10は、本発明の変形例1における胴部10Aの正面図である。図11は、図10に示す矢視XI−XI方向から見た胴部10Aの断面図である。この例においては、支持部材50Aは、一端が実施形態と同様に、エンドブロック55に接続され、他端がネックブロック56に接続されている。アクチュエータ40を支持する支持部材50Aがこのように構成されることにより、支持部材50Aは、表板11aの振動がさらに伝達されにくくなる。以上が第1の例についての説明である。
【0052】
図12は、本発明の変形例1における別の態様の胴部10Bの正面図である。図13は、図12に示す矢視XIII−XIII方向から見た胴部10Bの断面図である。この例においては、支持部材50Bは、第1支持部材50B−1、第2支持部材50B−2、第3支持部材50B−3、第4支持部材50B−4および第5支持部材50B−5を有する。第1支持部材50B−1は、アクチュエータ40を支持する部材である。
【0053】
第2支持部材50B−2は、側板11cと表板11aとの境界部分11acと、第1支持部材50B−1に一端とを連結している。第3支持部材50B−3は、側板11cと表板11aとの境界部分11acと、第1支持部材50B−1の他端とを連結している。第4支持部材50B−4は、側板11cと裏板11bとの境界部分11bcと、第1支持部材50B−1の一端とを連結している。第5支持部材50B−5は、側板11cと裏板11bとの境界部分11bcと、第1支持部材50B−1の他端とを連結している。
なお、第1支持部材50B−1は、側板11cに直接接続される構成としてもよいが、第2支持部材50B−2、第3支持部材50B−3、第4支持部材50B−4および第5支持部材50B−5を介して、境界部分11ac、11bcに接続されることにより、表板11aの振動がより伝達されにくくなる。以上が第2の例についての説明である。
【0054】
図14は、本発明の変形例1における別の態様の胴部10Cの正面図である。図15は、図14に示す矢視XV−XV方向から見た胴部10Cの断面図である。この例においては、支持部材50Cは、ブロック状の部材であり、裏板11bに接続されている。表板11aの振動が側板11cを介して裏板11bに伝達されにくい構造である場合、表板11aよりも裏板11bの剛性が高い場合には好適である。
【0055】
[変形例2]
上述した実施形態においては、アクチュエータ40は、1台であったが、複数台であってもよい。この場合には、各アクチュエータ40について、力検出センサ30、加速度センサ20および制御部100が設けられていてもよい。各アクチュエータ40を支持する支持部材50は、1つの支持部材50を共通に用いてもよいし、アクチュエータ40毎に支持部材50を設けてもよい。アクチュエータ40が2台あり、一方のアクチュエータは、力検出信号Sfに基づいて動作し、他方のアクチュエータは、加速度検出信号Saに基づいて動作する場合について、図16、図17、図18を用いて説明する。
【0056】
図16は、本発明の変形例2における胴部10Dの正面図である。図17は、図16に示す矢視XVII−XVII方向から見た胴部10Dの断面図である。ブリッジ13には加速度センサ20が設けられていないが、加速度センサ20Dが表板11aの中央部(響孔12近傍)に設けられている。アクチュエータ40D−1は、実施形態における構成と同様に、エンドブロック55に接続された支持部材50D−1によって支持されている。一方、アクチュエータ40D−2は、ネックブロック56に接続された支持部材50D−2によって支持され、加速度センサ20Dが設けられた部分の表板11aに接続されている。アクチュエータ40D−2が接続される表板11aの位置は、振動を制御したい特定の振動モードにおいて、振幅が大きくなる位置であるとよく、最大振幅となる位置に近いことが望ましい。
【0057】
支持部材50D−1には、制御部100D−1が設けられ、支持部材50D−2には、制御部100D−2が設けられている。制御部100D−1は、力検出信号Sfに基づいてアクチュエータ40D−1を動作させ、制御部100D−2は、加速度検出信号Saに基づいてアクチュエータ40D−2を動作させる構成になっている。
【0058】
図18は、本発明の変形例2における制御部100D−1(図18(a))、100D−2(図18(b))の構成を説明するブロック図である。制御部100D−1は、図18(a)に示すように、実施形態における制御部100と比べて、加速度センサ20からの加速度検出信号Saが入力されない点が異なっている。したがって、制御部100D−1においては、力Fsに応じて、DSP120D−1が演算を行って、アクチュエータ40D−1の動作の制御を行う。また、制御部100D−2は、図18(b)に示すように、実施形態における制御部100と比べて、力検出センサ30からの力検出信号Sfが入力されない点が異なっている。したがって、制御部100D−2においては、加速度センサ20Dにおいて検出された加速度に応じて、DSP120D−2が演算を行って、アクチュエータ40D−2の動作の制御を行う。
【0059】
なお、表板11aに力を加えるアクチュエータの動作の制御は、力検出センサの検出結果に応じて行われるものと、加速度センサに応じて行われるものとの双方を含んでいる構成について説明してきたが、いずれかのセンサの検出結果に応じて行われる構成であってもよい。すなわち、アクチュエータ40D−1またはアクチュエータ40D−2の一方が存在しない構成であってもよい。アクチュエータ40D−1が存在しない構成である場合には、力検出センサ30、支持部材50D−1および制御部100D−1についても存在しない構成である。一方、アクチュエータ40D−2が存在しない構成である場合には、加速度センサ20D、支持部材50D−2および制御部100D−2についても存在しない構成である。
【0060】
[変形例3]
上述した実施形態においては、ギターにおける本発明の適用例について説明したが、ヴァイオリンなどの他の楽器について適用してもよい。また、適用可能な楽器としては、この他にも、音を放射する振動板を有する構成であればよい。例えば、アコースティックピアノであれば、響板が振動板として機能する。
【0061】
図19は、本発明のグランドピアノ1Eへの適用例を説明する図である。図19においては、グランドピアノの響板が設けられた部分を示す図である。グランドピアノ1Eは、側板11Ecに接続された響板11Eaおよび直支柱55Eを有する。また、響板11Eaには、弦2Eを支持するブリッジ13Eが接続されている。
【0062】
図19(a)に示すように、響板11Ea上のブリッジ13Eの近傍には、加速度センサ20E1が設けられている。また、響板11Eaとブリッジ13Eとの間には、その一部に力検出センサ30Eが設けられている。力検出センサ30Eは、弦2Eからの響板11Eaへの力、すなわち、実施形態における力Fsに相当する力を検出する。アクチュエータ40Eは、直支柱55Eに接続された支持部材50Eに支持されている。また、アクチュエータ40Eは、響板11Eaのブリッジ13E(力検出センサ30E)が接続された部分に接続している。
制御部100E1は、実施形態における制御部100と同様に、加速度センサ20E1からの加速度検出信号Saおよび力検出センサ30Eからの力検出信号Sfに応じて、アクチュエータ40Eの動作を制御する。この制御により、アクチュエータ40Eは、支持部材50Eを支点として、響板11Eaに力を作用させる。
【0063】
また、別の態様として、図19(b)に示すように、アクチュエータ40Eが、響板11Eaのブリッジ13E(力検出センサ30E)が接続された部分以外に接続していてもよい。この場合には、響板11Eaにおけるアクチュエータ40Eが接続された部分に加速度センサ20E2を設けるようにすればよい。このようなアクチュエータ40Eを制御する制御部100E2は、上述した変形例2における制御部100D−2と同様に、加速度センサ20E2からの加速度検出信号Saに応じて、アクチュエータ40Eの動作を制御する。なお、支持部材50Eは、直支柱55Eに接続されていたが、響板11Ea以外であれば、楽器の筐体を構成する構造体の別の場所に接続されていてもよい。
【0064】
また、アコースティックピアノのように、弦などの振動体からの振動が伝達される振動板を有する弦楽器に限られず、本発明は、カホンなどの打面が振動板として機能する体鳴楽器にも適用可能である。カホンへ適用した場合の構成について、図20、図21を用いて説明する。
【0065】
図20は、本発明のカホン1Fへの適用例を説明する図である。図21は、図20に示す矢視XXI−XXI方向から見たカホン1Fの断面図である。この例におけるカホン1Fは、実施形態における表板11aに相当する表板(打面)11Faと、裏板11bに相当する裏板(背面)11Fbと、側板11cに相当する4枚の側板(2面の側面、底面および座面)11Fcと有し、これらの6枚の板状部材により直方体を構成している。裏板11bには、響孔12Fが設けられている。表板11Faには、加速度センサ20Fが設けられている。アクチュエータ40Fは、表板11Faの加速度センサ20Fが設けられた部分に接続するように、側板(底面、座面)11Fcに接続された支持部材50Fにより支持されている。制御部100Fは、上述の制御部100E2と同様に、加速度センサ20Fからの加速度検出信号Saに応じて、アクチュエータ40Fの動作を制御する。
【0066】
上述のように、本発明は、ギターへの適用だけなく、表板、響板などの振動により音を放射する振動板を有する楽器であれば、どのような楽器にも適用することができる。
【0067】
[変形例4]
上述した実施形態において、DSP120は、演算信号を演算するにあたり、支持部材50の振動に応じた補正を行うようにしてもよい。この場合には、以下のように構成すればよい。
【0068】
図22は、本発明の変形例4における制御部100Gの構成を説明するブロック図である。制御部100Gは、実施形態における制御部100に加えて、補正用センサ150を有している。補正用センサ150は、支持部材50に取り付けられ、支持部材50の振動により生じる加速度を検出し、検出結果を示す補正用加速度検出信号Scを出力する。AD変換部110Gにおいては、さらに、アナログ信号として出力される補正用加速度検出信号Scをデジタル信号に変換する。DSP120Gは、補正用加速度検出信号Scを用いて演算信号Szに対して補正を行う。
【0069】
支持部材50が振動すると、アクチュエータ40が表板11aに力を作用させるときの支点が振動することになるため、実際に表板11aに加わる力が、本来作用させるべき力Faと異なる場合がある。このため、DSP120Gは、実際にアクチュエータ40から表板11aに加える力が、本来作用させるべき力Faに近づくように、補正処理を行う。具体的な補正処理については、様々な演算方法があるが、支持部材50の振動状態を検出した結果を用いた演算方法であれば、どのような方法であってもよい。
【0070】
[変形例5]
上述した実施形態においては、加速度センサ20が用いられていたが、加速度センサに限らず、速度センサ、変位センサなど、表板11aの振動状態を検出するセンサ(振動検出センサ)であればどのようなセンサを用いてもよい。これらのセンサは、例えば光学式、磁気式、音波式などにより速度、変位を検出する公知の構成を用いればよい。速度センサを用いた場合には、加速度を速度の時間に関する微分により算出すればよい。また、変位センサを用いた場合には、加速度を変位の時間に関する2階微分、速度を変位の時間に関する1階微分として算出すればよい。なお、変位センサについては、支持部材50と表板11aとの距離を検出する距離センサを用いて、基準となる距離からの変化量を変位として検出するようにしてもよい。
【0071】
[変形例6]
上述した実施形態においては、アクチュエータ40と加速度センサ20または力検出センサ30との位置関係は、アクチュエータ40の表板11aに接続された部分が、表板11aの法線方向から見たときに、加速度センサ20および力検出センサ30が取り付けられら部分を含むようになっていたが、含まなくてもよい。アクチュエータ40の表板11aに接続された部分と、各センサが取り付けられた部分がずれるほど、センサが取り付けられた部分に対しては間接的に力が加えられることになり、上述した振動特性の制御態様(ピークの周波数変化の制御、ピークの鋭さの制御、レベルの制御)とは異なる変化をするようになってくる。このような場合であっても、アクチュエータ40の動作をさせない場合と動作させた場合とで、実施形態とは別の音質に変化させることができる。アクチュエータ40が接続される表板11aの位置は、上述したように、振動を制御したい特定の振動モードにおいて、振幅が大きくなる位置であるとよく、最大振幅となる位置に近いことが望ましい。
【0072】
[変形例7]
上述した実施形態において、DSP120は、表板11aの加速度、速度に応じた演算を行っていたが、変位に応じた演算を行ってもよい。すなわち、速度信号Svの時間に関する積分をするなどして、変位信号Sxに変換して演算すればよい。そして、設定されたパラメータGkに応じて演算した結果が、演算信号Szに合成されるようにすればよい。
変位に応じた制御を行うと、実質的にバネ定数kが変化することになるから、加速度に応じた制御と同様に、共振周波数、アドミタンスともに変化させることができる。
【符号の説明】
【0073】
1…ギター、1E…グランドピアノ、1F…カホン、2,2E…弦、10,10A,10B,10C,10D…胴部、11a,11Fa…表板、11Ea…響板、11b,11Fb…裏板、11c,11Ec,11Fc…側板、12,12F…響孔、13,13E…ブリッジ、14…サドル、15…操作部、20,20D,20E1,20E2,20F…加速度センサ、30,30E…力検出センサ、40,40D−1,40D−2,40E,40F…アクチュエータ、50,50A,50B,50C,50D−1,50D−2,50E,50F…支持部材、55…エンドブロック、55E…直支柱、56…ネックブロック、100,100D−1,100D−2,100E1,100E2,100F,100G…制御部、110,110D−1,110D−2,110G…AD変換部、120,120D−1,120D−2,120G…DSP、130…DA変換部、140…増幅部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動する弦と、
前記弦を支持する弦支持部と、
前記弦支持部と接続し、前記弦の振動が当該弦支持部を介して伝達される振動板と、
前記振動板を支持する構造体と、
前記振動板および前記弦から受ける力を検出し、検出結果を示す力検出信号を出力する力検出センサと、
前記振動板に力を加えて振動させる動作をするアクチュエータと、
前記構造体に接続された部材であって、前記アクチュエータが前記振動板に接続されるように、当該アクチュエータを支持する支持部材と、
前記力検出信号に応じた力が、前記振動板の前記弦支持部が接続された部分に加わるように、前記アクチュエータの動作を制御する制御部と
を具備することを特徴とする楽器。
【請求項2】
前記振動板の前記アクチュエータが接続している部分は、前記弦支持部が接続された部分である
ことを特徴とする請求項1に記載の楽器。
【請求項3】
前記振動板の一部の振動状態を検出し、検出結果を示す振動検出信号を出力する振動検出センサをさらに具備し、
前記制御部は、前記振動検出信号に応じた力が、前記振動板の一部に加わるように、前記アクチュエータの動作を制御する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の楽器。
【請求項4】
振動板と、
前記振動板を支持する構造体と、
前記振動板の一部の振動状態を検出し、検出結果を示す振動検出信号を出力する振動検出センサと、
前記振動板に力を加えて振動させる動作をするアクチュエータと、
前記構造体に接続された部材であって、前記アクチュエータが前記振動板に接続されるように、当該アクチュエータを支持する支持部材と、
前記振動検出信号に応じた力が、前記振動板の一部に加わるように、前記アクチュエータの動作を制御する制御部と
を具備することを特徴とする楽器。
【請求項5】
前記振動板の一部は、前記振動板の前記アクチュエータに接続された部分である
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の楽器。
【請求項6】
前記支持部材の振動状態を検出し、検出結果を示す第2振動検出信号を出力する第2振動検出センサをさらに具備し、
前記制御部は、前記振動検出信号および前記第2振動検出信号に応じた力が、前記振動板の一部に加えられるように、前記アクチュエータの動作を制御する
ことを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれかに記載の楽器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−150235(P2012−150235A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8193(P2011−8193)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】