説明

構造体の製造法、構造体、磁気記録媒体および永久磁石

【課題】2種の合金材料を同時にメッキする必要の無い、新規なL10規則合金相を有する構造体の製造方法、磁気記録媒体および永久磁石を提供する。
【解決手段】Pt又はPdのいずれかの金属Xからなる膜面に対して垂直な多数の柱状部材11と、該柱状部材を取り囲むマトリックス2から成る薄膜を用意する工程と、該マトリックッス2の一部または全部を除去する工程と、該マトリックスの除去により露出した金属Xからなる柱状部材の表面をFe、Co又はNiのいずれかの金属Yで被覆する工程と、熱処理により金属X及び金属Yを含むL10規則合金相を形成する工程とを有する構造体の製造方法。微細なFePt等のL10規則合金相が内包された構造体を用いた磁気記録媒体および永久磁石。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、L10規則合金相を有する構造体の製造法、構造体、磁気記録媒体および永久磁石に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報量の飛躍的な増大に伴って、ハードディスクドライブ(HDD)を代表とする磁気記録装置など情報記録技術は大幅な大容量化が求められている。
記録密度の増加に伴い、記録層内に含まれる磁性粒子を微細化する事が求められているが、微細化に伴い、個々の磁性粒子が保持する磁気エネルギーの大きさが熱エネルギーの大きさを無視できなり、記録された磁化が失われる超常磁性効果(熱揺らぎ)が問題視されている。
【0003】
現在、主にCoCr系合金が記録材料として使用されているが、熱揺らぎによる記録磁化の不安定性を抑制する材料として、異方性磁界(Ku)の大きなL10規則合金が注目されている。特に、7×107erg・cm-3のKuを有するL10−FePt規則合金は大きな可能性を有する。
【0004】
FePt合金は、通常、成膜直後はfcc構造から成る不規則相であり、熱処理による不規則−規則変態によって規則合金化される。しかしながら、FePt連続膜は、熱処理工程により結晶粒子径が肥大化し、媒体ノイズの増大をもたらす。それ故、特許文献1および特許文献2に示すような酸化物マトッリクス中に微細なFePt規則合金粒子が内包されるグラニュラー媒体が提案されている。
【0005】
また、グラニュラー媒体として、微細な孔を多数有するナノホールを形成し、ナノホール内にFePt合金をめっき法により充填する磁気記録媒体の製造方法が提案されている(特許文献3)。
【特許文献1】特開2001−256631号公報
【特許文献2】特開2004−237429号公報
【特許文献3】特開2005−226156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3では、微細な孔を多数有するナノホールを形成し、ナノホール内にFePt合金をめっき法により充填する磁気記録媒体の製造方法が開示されている。
ここで、磁気記録媒体中の磁気記録層では、磁性材料の結晶配向を制御し磁化の方向を均一な状態にすることが求められる。記録領域毎に磁気特性が異なることは好ましくないからである。
【0007】
磁気記録材料として注目されているFePt合金の場合について述べる。
FePtの磁性膜は、FeイオンとPtイオンとを同時に有するメッキ浴中でのメッキにより、例えば基板上に形成される。
【0008】
FePt合金の結晶配向性は、合金の下地となる下地層の結晶配向性及び格子間隔等に強く影響される。
また、メッキによる成膜の場合は、初期のFe及びPtの厳密な組成制御を行なうことが必要となる。
【0009】
めっき法では、基板上に作製されるFe及びPtの核発生状態は、めっき状態及び初期層の組成に影響が及ぶ為、めっき諸条件(撹拌、温度、pH等)を詳細に制御する必要がある。
【0010】
しかしながら、めっき法にて初期層の状態を常に精度良く管理する為には、めっき諸条件のみならず、めっき浴中のメッキ材料の分散状態等を一定に保つ必要がある。
本発明は、FeとPtとを同時にメッキする必要のない新規なL10規則合金相を有する構造体およびその製造方法を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、微細な柱状構造からなるFePt等のL10規則合金相を有する構造体を用いた磁気記録媒体および永久磁石を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための構造体の製造方法は、PtまたはPdのいずれかの金属Xからなり、膜面に対して垂直な多数の柱状部材と、該柱状部材を取り囲むマトリックスから成る薄膜を用意する工程と、該マトリックッスの一部または全部を除去する工程と、該マトリックスの除去により露出した金属Xからなる柱状部材の表面をFe、CoまたはNiのいずれかの金属Yで被覆する工程と、熱処理により金属X及び金属Yを含むL10規則合金相を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0013】
前記多数の柱状部材と、該柱状部材を取り囲むマトリックスから成る薄膜が、薄膜内に多数の孔と、該孔を取り囲むマトリックスを有し、該孔の底面に基板または下地が露出して設けられている鋳型を用いて、該孔にPtまたはPdのいずれかの金属Xを充填してなる薄膜からなることが好ましい。
【0014】
前記マトリックッスの一部または全部を除去し、該マトリックスを除去した部分の全体に金属Yを充填して、マトリックスの除去により露出した金属Xからなる柱状部材の表面を金属Yで被覆することが好ましい。
【0015】
前記熱処理後、前記L10規則合金相を形成していない金属Yを除去する工程を有することが好ましい。
上記課題を解決するための磁気記録媒体は、上記の方法により製造された構造体を用いたことを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決するための永久磁石は、上記の方法により製造された構造体を用いたことを特徴とする。
上記課題を解決するための構造体は、PtまたはPdのいずれかの金属X、及びFe、CoまたはNiのいずれかの金属YからなるL10規則合金相の硬磁性体と、金属Y相または合金XYのL12規則合金相から成る軟磁性相を含み、該軟磁性相がマトリックスを形成し、該マトリックッス内に多数の柱状構造からなる硬磁性体が形成されていることを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決するための構造体の製造方法は、第1の材料からなる柱状部材を有する基板を用意する第1の工程、該柱状部材を、Fe、CoまたはNiの少なくともいずれかを含む第2の材料で被覆する第2の工程、及び熱処理により、該第1の材料と第2の材料からなる規則合金相を形成する第3の工程を有することを特徴とする。
【0018】
前記第1の材料は、PtまたはPdの少なくとも一方を含み、前記第2の材料は、Fe、CoまたはNiの少なくともいずれかを含むことが好ましい。
前記第2の材料は、PtまたはPdの少なくとも一方を含み、前記第1の材料は、Fe、CoまたはNiの少なくともいずれかを含むことが好ましい。
【0019】
本発明は、ナノホール構造体に微細な柱状構造からなるFePt等のL10規則合金相が設けられた磁気記録媒体の新たな製造方法を提供できる。また、本製造方法を用いることで、次世代異方性永久磁石として有力視されているFePt/Fe3Pt及びFePt/Fe等のナノコンポジット永久磁石の製造方法を提供できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、合金めっきに伴うめっき初期層制御等の困難さを伴うことなく、微細な柱状構造からなる結晶配向の良好なFePt等のL10規則合金相を有する構造体およびその製造方法を提供することができる。
【0021】
また、本発明は、微細な柱状構造からなるFePt等のL10規則合金相を有する構造体を用いた磁気記録媒体および永久磁石を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の構造体の製造方法の一実施形態について説明する。
本発明の構造体の製造方法は、PtまたはPdのいずれかの金属Xからなる膜面に対して垂直な多数の柱状部材と、該柱状部材を取り囲むマトリックスから成る薄膜を用意する工程と、該マトリックッスの一部または全部を除去する工程と、該マトリックスの除去により露出した金属Xからなる柱状部材の表面をFe、CoまたはNiのいずれかの金属Yで被覆する工程と、熱処理により金属X及び金属Yを含むL10規則合金相を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0023】
以下に各工程について説明する。
(1)膜面内に複数の孔を作成する工程
図1は、本発明の構造体の製造方法の一実施態様を示す工程図である。
【0024】
図1(a)に、複数の孔1を有する多孔質部材5を示す。多孔質部材5を孔1の上面側から見ると、孔が図2のように分散した状態である。図2において、21は細孔、22は細孔間に介在する孔壁からなるマトリックスである。このマトリックスには、細孔が分散配置されている。図1の孔1は下地3に貫通している。
【0025】
前記多孔質部材5において、孔1は柱状の細孔であるが、この複数の細孔の平均直径は例えば1nm以上100nm以下、好ましくは1nm以上30nm以下、更に好ましくは1nm以上15nm以下である。細孔の深さ(細孔の長手方向の長さ)は、利用目的に応じて異なるが、5nm以上100nm以下、好ましくは50nm以下、更に好ましくは30nm以下である。
【0026】
特に、本発明は、細孔の平均直径が15nm以下であり、且つ細孔間の平均間隔が20nm以下であるような鋳型を用いて、規則化した合金を含む構造体を作成するのが好ましい。
【0027】
前記多孔質部材5は、以下の方法により得られる。
例えば、特開2002−175621号公報に記載されているように、アルミニウムやアルミニウムを含む合金を、シュウ酸やリン酸等の溶液中で陽極酸化処理して細孔を形成する方法である。この方法によれば、酸化物であるアルミナを孔壁に有する多孔質体が形成される。
【0028】
また、特開2004−237429号公報に記載されているように、相分離構造を形成する材料を用いて、柱状部材がそれを取り囲む領域に分散した構造を形成し、該柱状部材を除去することにより多孔質層を得ることができる。その例を、図2を用いて説明する。
【0029】
図2において、20は基板、21は細孔、22は細孔が分散している母材であるマトリックスを示している。このような細孔を有する構造体は以下のようにして得られる。
具体的には、柱状部材の周囲が別な材料により構成されるマトリックッスに取り囲まれている薄膜を用意し、柱状部材を選択的に除去する。該薄膜には前記マトリックッスを構成する材料が、前記柱状部材を構成する材料と前記マトリックッスを構成する材料の全量に対して20atomic%以上70atomic%以下の割合で含まれている。上記割合の範囲であれば、実質的に柱状部材がそれを取り囲むマトリックスに分散した薄膜が得られる。
【0030】
ここで柱状部材の構成材料としては、AlやMgなどが挙げられる。前記柱状部材を取り囲むマトリックッスを構成する材料としては、Si、Ge、SiとGeの混合物(以降、SiGe(0<x<1)と記載することがある。)などが挙げられる。このような柱状部材がそれらを取り囲むマトリックッスに分散した薄膜を得るには、前記柱状部材及びそれを取り囲むマトリックッスを構成する材料の両方を含むターゲットを用いたスパッタリング法などの非平衡成膜法により行われる。成膜後、柱状部材を選択的に除去する。例えば、柱状部材がAlの場合、2.8%に希釈したアンモニア水に浸漬することにより、Al部分が溶出し多孔質材料が形成される。その他、各種酸溶液等も使用することが可能である。マトリックッスはAl柱状部材の溶解後酸化されてSiO2またはGeO2、及びSiO2とGeO2の混合物となる。
【0031】
また、多孔質部材は直接基板または下地上に形成することが可能である。作成するL10規則合金の配向制御を考慮する場合、特にL10規則合金層のc軸を基板垂直方向に配向させるためには下地電極層が基板面に対して平行に正方状の結晶配列を有していることが好ましい。例えば(001)配向したMgOなどの配向制御層を挿入し、更に前記配向制御層に基づき、下地膜を配向させることも好ましい。下地膜には(001)配向を有するPt膜をエピタキシャル成長することも好ましい形態である。但し、本発明ではPtとFeの熱拡散を用いてFePt合金を作成する。そのため、下地のPtが規則合金形成に寄与することを防ぐためには、下地にCuやAg等の材料を用いることも可能である。c軸配向したZnO等を用いる事も可能である。ここで、細孔に充填する磁性材料の配向を制御するために下地にはfcc構造を有する材料を用い、且つ(111)または(001)配向させることが好ましく、最も好適なのは(001)配向である。
【0032】
(2)充填工程
図1(b)に、孔内に充填物を充填し余剰な充填材料を研磨等により除去した構造を示す。充填物はPt又はPdである。これらの金属は孔のアスペクト比に応じて様々な方法を用いる充填することが可能である。最も充填性に優れる方法はメッキ法である。また、無電解メッキは充填には好ましい方法であるが、細孔底部に触媒層を必要とする。このため、下地にもPtやPd等を用いることが好ましい。メッキ法により充填されたPt及びPdは下地膜の配向の影響を受けて成長するが、メッキ中の不純物等の影響を受ける可能性がある。このような場合はメッキ後、不純物除去並びに結晶成長を促進させるために熱処理を行なうことも可能である。例えば、下地にPt(001)膜を用いた場合は、充填するPt,Pdの配向を制御する事が容易となる。
【0033】
一方、充填にスパッタ法、CVD法、蒸着法等のドライプロセスを用いることも可能である。特に、アークプラズマガンは、イオン化された金属粒子を成膜するイオンプレーティングに近い方法であり、ダマシン等の配線形成において埋め込み性能に優れる成膜方法であることが証明されている。また、基板バイアスをかけることにより充填性が良好となる。この他、堆積する粒子が基板に対して直進性良く飛散する、例えばイオンビームスパッタ等も細孔内への埋め込みに適した方法である。しかしながら、ドライプロセスを用いる場合、細孔内のみならず細孔壁上へも成膜されるため、充填性が悪化する可能性がある。そのために、特に細孔の直径が50nm以下の小さな孔に対してドライプロセスを用いて材料を充填する場合は、(細孔の深さ)/(孔の直径)で示されるアスペクト比は2以下、より好適には1以下である。また、必要に応じて、細孔壁上の堆積物をエッチングプロセスにより取り除く工程と、充填工程とを交互に行なう事で充填性を改善する事も可能である。充填工程にて溢れ出た部分は研磨等の方法により除去する。
【0034】
(3)マトリックスの除去工程
図1(c)及び(d)にマトリックスの全部及び一部を除去した構造を示す。下地にPtまたはPd等のL10規則合金を形成する材料を用いた場合は、図1(d)に示すようにマトリックス材料15を残す必要がある。即ち、鋳型であるマトリックッス材料15を残す事により、後述に示すように下地材料が規則合金相形成に寄与する事を妨げることができる。一方、下地にPt及びPdを使用しない場合は、図1(c)に示すようにマトリックスを全部除去しても構わない。マトリックスは図1(a)の工程でアルミの陽極酸化を用いる場合はアルミナであり、相分離構造を用いた場合はSiまたはGe、またはSi,Geの酸化物である。
【0035】
充填した柱状部材のPtやPdは耐食性が強い材料であり、王水等特殊な酸以外には耐性を有する。そのために、NaOH等のアルカリ溶液またはフッ化水素等への浸漬、またはtetramethylammonium(TMA)hydrooxide(テトラメチルアンモニウム水酸化物)溶液に浸漬する。これにより選択的にマトリックスを溶解し、PtまたはPdが上に凸な構造を作成することが可能である。溶液の種類、濃度及び温度などを制御することにより、マトリックスの溶解速度及び溶解量を制御することが可能となり、図1(d)のようにマトリックスの一部を残すことが可能である。
【0036】
(4)被覆工程
上記工程(3)により、上方に凸なPtまたはPdから成る突起構造物が形成される。この突起構造物表面に、Fe、Co、Niを少なくとも1種類以上含む金属Yを被覆することにより図1(e),(f)のような構造体を作製する。特にめっき法を用いることにより電極となるPt(Pd)上に金属Yを覆うことが可能である。金属YとPt(またはPd)の量論比が1:1近傍でL10規則合金が形成するため、金属Yの被覆量は、突起構造を形成するPt及びPdの量に応じて異なる。
【0037】
一方、前工程で除去したマトリックッス全体に金属Yを埋め戻す場合は、図4(e)及び図4(f)のような構造となる。図4は、本発明の構造体の製造方法の他の実施態様を示す工程図である。埋め戻し法においてメッキ法を用いる場合では、例えばFeを埋め戻す場合、Fe原料には塩化鉄、酸鉄スルファミン酸等を用いる事が可能である。なお、めっき浴中では、Feイオンが不安定であり、沈殿物を形成しやすいので、Feイオンの安定化のために、錯化剤を添加することもできる。錯化剤には酒石酸、クエン酸、コハク酸、マロン酸、リンゴ酸、グルコン酸や、これらの塩から適宜選択される。特に、酒石酸もしくはその塩および/またはクエン酸もしくはその塩、更には、酒石酸ナトリウムおよび/または酒石酸アンモニウムを用いることが好ましい。金属イオンを錯体化することにより、浴のpH濃度を高くすることも可能になり、埋め戻し時に障害となる水素発生を抑制する事が可能となる。また、成膜速度を制御して埋め戻し量、すなわち、凸構造に被覆する状態または完全に埋め戻す状態を区別する事が容易になる。
【0038】
埋め戻し後、表面を研磨することにより、図1(e),(f)または図4(e),(f)のような構造を作成することが可能である。例えば凸構造PtにFe等を皮膜した場合は、図3のような先端が平坦の凸構造に、完全に埋め戻した場合は図5に示したような平坦な構造を形成することが可能である。ここで示した研磨は、後述の熱処理後に行なう事も可能である。
【0039】
ここでは、埋め戻す材料としてFeを例にあげたが、Co,Ni及びこれらの混合物でも構わない。また、メッキ法を例に挙げたが、スパッタ法、CVD法、蒸着法等のドライプロセスを用いる事も可能である。
【0040】
(5)熱処理工程
図1(g)、(h)に示す構造体は、図1(e)、(f)で示す凸構造体が金属Yで覆われた構造体を熱処理したものである。この構造体を立体的に示したのが図3である。熱処理により、突起構造のPt(またはPd)とその表面を覆った金属Y(Fe,Co,Ni及びその合金)との界面よりそれぞれの原子が熱拡散し合金化が始まり、L10規則合金構造を形成する。FeとPtの積層構造におけるFePt規則合金の形成プロセスにおいて、熱処理初期にはPt側にFe原子が置換し、FePt3合金が形成され、その後更に熱拡散が進行することによりFePt規則合金が形成されることが報告されている。本発明においても、同様に突起構造のPtにFe原子が置換しFePt3合金を経由してFePt規則合金が形成される。ここで、得られるFePt規則合金の結晶配向は、突起構造を形成しているPtの結晶構造に強く影響される。すなわち、所望とするc軸が面直方向をとるFePt(001)配向を有する構造体を形成するためには、fcc結晶構造を有し(001)配向をもつPtを用意することが好ましい。
【0041】
上記(2)充填工程において、単元素から成るPtまたはPdを下地に対してエピタキシャル成長させることにより本工程では比較的容易に(001)配向を形成することが可能である。本熱処理工程は還元雰囲気下で行なう事が好ましい。また、真空下または水素雰囲気下で行なう事が好ましい。特に水素雰囲気下で熱処理を行なう事により、金属中に含まれる酸化物及び水酸化物を除去することが可能であり熱拡散も促進される。また、熱処理前または同時に水素プラズマ照射すことにより還元効果が高まる。予めFeとPtの量論比を1:1近傍にした図1(e),(f)の場合は、熱処理温度は600℃程度が好ましいが、磁気記録媒体の応用には500℃以下、更に好ましくは450℃以下とすると良い。また、昇温速度の速いRTA(rapid thermal annealing)をも用いることも好ましい熱処理方法である。
【0042】
埋め戻し工程において、図4(e)、(f)に示すように、除去した鋳型部分に完全に金属Yを埋め戻す場合は、熱処理温度及び時間の制御が必要である。熱拡散はFe原子がPt原子側に置換するようにして合金化が始まるが、最終的には全体が一様になる。即ち、Ptに対してFeが余剰に存在する場合、過剰な熱処理を行なうと構造全体にFexPt1-xが形成され、且つ、目的とする図4(g)、(h)のような構造を形成することができない。
【0043】
ナノコンポジット永久磁石としての応用の場合は、図4(g)、(h)で示す状態が最終形態となり、硬磁性体のFePt規則合金と軟磁性であるFeが共存したFePt/Feまたは一部Fe3Ptを有するナノコンポジット永久磁石となる。図5に上面画からの立体模式図を示す。
【0044】
磁気記録媒体として用いる場合は、磁性体である合金化していない金属Yを酸溶液などで溶解し除去する。このようなプロセスにより、個々のL10規則合金が分離された図4(i)、(j)のような構造を形成することができる。
【0045】
また、表面の平坦性を求める場合は、熱処理前後に研磨等により不要な金属Yを除去してもよい。
本発明の構造体の実施形態を示す。
【0046】
図5は、上記構造体の製造方法で得られる、図4(g)、(h)の構造体を上面側よりみた斜視図である。ここでは、使用元素がFe及びPtの場合を示すが、その他、Pd,Co,Niを用いた場合も同様である。51が硬磁性を示すFePt規則合金、52が未反応Feである。また、52には一部Ptが置換したFe3Pt合金を含んでも構わない。薄膜ナノコンポジット磁石のうち、強い磁気異方性を有するFePt規則合金を含むナノコンポジット磁石として、膜面平行にFePt/Fe、FePt/Fe3Ptを積層する例は報告されている。本発明の構造体は膜面に対して垂直に配列した柱状FePt規則合金を有するナノコンポジット磁石となる。
【0047】
次に、本発明の製造工程により形成される構造体を用いた、磁気記録媒体について示す。
本発明の製造方法により作成したL10規則合金を有する構造体を記録層として磁気記録媒体を作成することが可能である。図6は磁気記録媒体の構成例を示す模式図である。60は基板、61は下地、62は記録層、63は保護層、64は潤滑層である。基板60にはガラス基板、Al基板、Si基板等を用いる事ができる。硬度を確保するためにNiP膜をめっき法などにより下地層として形成しておくことが望ましい。基板60と記録層62間には軟磁性層を裏打ち層として形成することが有効である。その裏打ち層としては、NitFe1-tを主成分とする膜が使用可能である。tの範囲は0.65から0.91である。さらに一部Ag,Pd,Ir,Rh,Cu,CR,P,Bなどを含んでも良い。その他のFeTaCや、CoZrNb等のアモルファス軟磁性体材料の採用も可能である。
【0048】
また、前記裏打ち軟磁性層の上には、記録層に充填される磁性材料の配向制御のために(001)配向したMgOなどの配向制御層を挿入し、更に配向制御層の上にめっきのための電極層などを設けることも好ましい形態である。前記配向制御層に基づき、前記電極層を配向させることも好ましい。また、配向制御及び電極層の両者の役割を果たすZnO等を用いる事も可能である。ここで、細孔に充填する磁性材料の配向を制御するために下地電極層の配向を(111)または(001)を適宜選択することが好ましい。本発明の磁性体におけるL10規則合金層のc軸を基板垂直方向に配向させるためには下地電極層が基板面に対して平行に正方状の結晶配列を有していることが好ましい。特に、fcc構造の(001)配向を利用することが好ましい。記録層の上には表面保護層を形成することが好ましく、ヘッドとの摩擦に対して耐磨耗性を持たせるために、カーボンの他、カーバイト、窒化物等の高硬度の非磁性材料を用いることが有効である。更に、潤滑層としてPFPE(パーフルオロポリエーテル)を塗布することが好ましい。本発明の磁気記録媒体は垂直磁気記録媒体として有効である。
【0049】
なお、上記では、基板上に第1の材料からなる柱状構造体を有する基板を得る工程を含めて説明したが、基板上に形成されるのであれば、上記方法に限定されるものではない。
即ち、本発明は、以下の3つの工程よりなる。
【0050】
(第1の工程)
第1の材料からなる柱状部材を有する基板を用意する。
(第2の工程)
該柱状部材を第2の材料で被覆する
(第3の工程)
熱処理により、該第1の材料と第2の材料からなる規則合金相を形成する。
【0051】
ここで、前記第1の材料は、PtまたはPdの少なくとも一方を含み、前記第2の材料は、Fe、CoまたはNiの少なくともいずれかを含む。または、前記第2の材料は、PtまたはPdの少なくとも一方を含み、前記第1の材料は、Fe、CoまたはNiの少なくともいずれかを含む。
【0052】
本発明の特徴は、多孔質構造ではなく、柱状構造からなる第1の合金材料と、それを被覆する第2の合金材料とを熱処理により規則合金化することにある。
なお、被覆に際しては、メッキ法のみならず、CVDやスパッタ法等を適用することもできる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例を示し本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1
(1)膜面内に複数の孔を作成する工程
基板上に(001)配向MgO 50nm、その上に(001)配向Pt 10nmをスパッタ法にて成膜する。更に、Al56Si44組成のスパッタリングターゲットから成膜されたAlSi薄膜30nmを順次成膜する。ここで用いたAlSi薄膜は、円柱状のアルミニウム部分とそれを取り囲むSiマトリックッス部分から形成される。室温で2.8mol%のアンモニア水に10分浸漬してAlSi薄膜のアルミニウム部分を除去する。ここでは、細孔の平均直径は6nmであり、細孔間の間隔は平均12nmとなる。Si部分はアンモニア水浸漬により酸化されて、SiO2となっている。
【0054】
(2)充填工程
細孔内に無電解めっき法を用いてPtを充填する。Pt無電解めっき液は、レクトロレスPt100基本液100ml(日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース(株))、28%アンモニア水10ml、レクトロレスPt100還元剤2mL(日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース(株))、純水88mLを混合して調整しためっき液である。60℃の前記めっき液中に前記ナノ細孔体を10分間浸すことによりPtの充填する。FE−SEMで観察した結果、前記細孔体中に直径5nm、高さは30nmのPtが充填され、上部にはPtが溢れている事が確認できる。
【0055】
溢れためっき物は研磨にて除去する。上記構造体の下地Ptを除去後TEM観察を行なうと、充填物のPtは(001)配向を示す回折線が見られる。また、450℃の熱処理後では(001)配向の回折強度増大し、配向性が高まる事が分かる。
【0056】
(3)マトリックス部材除去工程
作成した構造体をtetramethylammonium(TMA)hydrooxide(テトラメチルアンモニウム水酸化物)20%溶液に浸漬させることにより、マトリックス部のSiO2を除去する。エネルギー分散型X線分析(EDS)によりSiの残存状態を観察すると、浸漬時間に応じてマトリックス部分のSiO2が減少するようすが観察される。完全にSiO2が消失する前に浸漬を中断する事により、断面TEM観察からSiO2が下地近傍に5nm程度残っていることが確認できる。
【0057】
(4)埋め戻し工程
突起構造を有するPtにめっき法にてFeを被覆する。突起状Ptが電極となり、Ptを覆うようにしてFeをめっきする。Feめっき浴はめっきレートを制御するために、塩化鉄に酒石酸アンモニウムを添加し錯体構造を含むめっき浴を用いる。
【0058】
(5)熱処理工程
上記めっき後、水素雰囲気中にてRTA法を用いて500℃の熱処理を行なう。熱処理後、保磁力(Hc)を振動試料型磁力計(VSM)により測定すると4kOeである。X線回折(XRD)にて合金化されたFePtの強い(001)回折ピークが観察され、c軸配向したFePtが作成されていることが分かる。柱状突起構造を有する構造体の表面を研磨することにより全体が平滑化される。
【0059】
実施例2
(1)膜面内に複数の孔を作成する工程
基板上に(001)配向ZnO 50nmをスパッタ法にて成膜する。更に、Al56Si44組成のスパッタリングターゲットから成膜されたAlSi薄膜30nmを順次成膜する。ここで用いたAlSi薄膜は、円柱状のアルミニウム部分とそれを取り囲むSiマトリックッス部分から形成される。室温で2.8mol%のアンモニア水に10分浸漬してAlSi薄膜のアルミニウム部分を除去する。ここでは、細孔の平均直径は6nmであり、細孔間の間隔は平均12nmとなる。
【0060】
(2)充填工程
電気めっきによりPtを充填する。安定性には劣るがpH7の中性のめっき液を用いてめっきを行なう。FE−SEMで観察した結果、前記細孔体中に直径5nm、高さは30nmのPtが充填され、上部にはPtが溢れている事が確認できる。
【0061】
溢れためっき物は研磨にて除去することができる。上記構造体の下地Ptを除去後、TEM観察を行なうと充填物のPtは(001)配向を示す回折線が見られる。また、450℃の熱処理後では(001)配向の回折強度増大し、配向性が高まる事が分かる。
【0062】
(3)マトリックッス部材除去工程
tetramethylammonium(TMA)hydrooxide(テトラメチルアンモニウム水酸化物)20%溶液に浸漬させることにより、マトリックス部のSiO2を完全に除去する。EDSによる組成分析からSiピークは消滅し、TEMによる断面観察からもマトリックス部のSiO2が完全に消失していることが確認できる。
【0063】
(4)埋め戻し工程
突起構造を有するPtにめっき法にてFeを被覆する。突起状Ptが電極となり、Ptを覆うようにしてFeをめっきする。Feめっき浴はめっきレートを制御するために、塩化鉄に酒石酸アンモニウムを添加し錯体構造を含むめっき浴を用いる。
【0064】
(5)熱処理工程
上記めっき後、水素雰囲気中にてRTA法を用いて500℃の熱処理を行なう。熱処理後、保磁力(Hc)を振動試料型磁力計(VSM)により測定する4kOeである。XRDにて合金化されたFePtの強い(001)回折ピークが観察され、c軸配向したFePtが作成されていることが分かる。柱状突起構造を有する構造体の表面を研磨することにより全体が平滑化される。
【0065】
実施例3
(1)膜面内に複数の孔を作成する工程
実施例1と同様に、AlSi薄膜を10nm成膜する。細孔は実施例1と同様であり、孔のアスペクト比は2以下である。
【0066】
(2)充填工程
アークプラズマガンを用いて孔内にPtを充填する。充填されたPtは緻密な構造である。実施例1と同様にして配向性を確認すると、(001)配向していることが確認される。
【0067】
(3)マトリックッス部材除去工程
実施例1と同様であるが、浸漬時間を制御する事で非常に薄くSiO2が残っている事が分かる。
【0068】
(4)埋め戻し工程
実施例1と同様である。
(5)熱処理工程
実施例1と同様であり、保磁力(Hc)を振動試料型磁力計(VSM)により測定すると3.5kOeである。XRDにて合金化されたFePtの(001)回折ピークが観察され、c軸配向したFePtが作成されていることが分かる。
【0069】
実施例4
ガラスディスク基板に裏打ち軟磁性層としてCoZrNbを成膜し、下地層及び磁性層として実施例1〜3を用い、表面に保護層のダイヤモンドカーボン(DLC)及び潤滑層を塗布する事により磁気記録媒体が得られる。
【0070】
実施例5
(1)膜面内に複数の孔を作成する工程
(2)充填工程
(3)マトリックッス部材除去工程
以上の工程は実施例1と同様である。
【0071】
(4)埋め戻し工程
突起構造を有するPtにめっき法にてFeを被覆する。突起状Ptが電極となり、Ptを覆うようにしてFeをめっきする。Feめっき浴はめっきレートを制御するために、塩化鉄に酒石酸アンモニウムを添加し錯体構造を含むめっき浴を用いる。めっきを続けて多孔質除去部分全体にFeを充填する。
【0072】
(5)熱処理工程
上記めっき後、水素雰囲気中にてRTA法を用いて500℃の熱処理を行なう。熱処理時間10秒とし、数回行なう。熱処理回数毎にVSMにてヒステリシスループ測定を行なうと、永久磁石の特性を示すBHmaxに極大値が現われる。極大値を示す構造体の断面TEM観察を用いたEDSによる組成分析から、FePt部分とFe部分が分かれていることが確認できる。この構造体は、FePt/Feを有する薄膜ナノコンポジット磁石となっていることが分かる。
【0073】
実施例6
(1)膜面内に複数のPt柱状部材を有する薄膜作成工程
基板上にPt柱状部材がSiO2で分離されたPt−SiO2層20nmを形成する。Pt−SiO2は、マグネトロンスパッタを用い、PtターゲットとSiO2ターゲットを同時スパッタすることにより形成する。組成分析では、Ptに対するSiO2の割合が60%である。表面及び断面を電子顕微鏡にて観察すると、SiO2マトリックス内に多数のPt柱状部材が分散していることが分かる。
【0074】
(2)マトリックッス部材除去工程
(3)埋め戻し工程
(4)埋め戻し工程
(5)熱処理工程
以上の(2)〜(5)工程は実施例1と同様であり、c軸配向したL10−FePt合金からなる柱状構造が膜面に垂直に形成された構造体と成る。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、合金めっきに伴うめっき初期層制御等の困難さを伴うことなく、微細な柱状構造からなる結晶配向の良好なFePt等のL10規則合金相を有する構造体を提供できるので、高密度磁気記録が求められる磁気録媒体及び永久磁石に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の構造体の製造方法の一実施態様を示す工程図である。
【図2】微細な細孔を有する構造体の模式図である。
【図3】本発明の構造体の一実施態様を示す模式図である。
【図4】本発明の構造体の製造方法の他の実施態様を示す工程図である。
【図5】本発明の構造体の他の実施態様を示す模式図である。
【図6】磁気記録媒体の構成例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0077】
1 孔
2 マトリックッス
3 下地
4 基板
5 多孔質部材
10 基板
11 充填金属X
12 マトリックッス
13 下地
14 基板
15 マトリックッス材料
16 金属Y
17 金属Y
18 硬磁性L10規則合金
19 硬磁性L10規則合金
20 下地
21 細孔
22 マトリックッス
31 記録層
40 マトリックッス
41 細孔
42 下地
43 基板
44 充填金属X
45 マトリックス材料(孔壁材料)
46 金属Y
47 金属Y
48 硬磁性L10規則合金
49 硬磁性L10規則合金
50 構造体
51 硬磁性L10規則合金
52 金属Y
53 基板
60 基板
61 下地
62 記録層
63 保護層
64 潤滑層
65 硬磁性体L10規則合金

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PtまたはPdのいずれかの金属Xからなり、膜面に対して垂直な多数の柱状部材と、該柱状部材を取り囲むマトリックスから成る薄膜を用意する工程と、該マトリックッスの一部または全部を除去する工程と、該マトリックスの除去により露出した金属Xからなる柱状部材の表面をFe、CoまたはNiのいずれかの金属Yで被覆する工程と、熱処理により金属X及び金属Yを含むL10規則合金相を形成する工程とを有することを特徴とする構造体の製造方法。
【請求項2】
前記多数の柱状部材と、該柱状部材を取り囲むマトリックスから成る薄膜が、薄膜内に多数の孔と、該孔を取り囲むマトリックスを有し、該孔の底面に基板または下地が露出して設けられている鋳型を用いて、該孔にPtまたはPdのいずれかの金属Xを充填してなる薄膜からなることを特徴とする請求項1に記載の構造体の製造方法。
【請求項3】
前記マトリックッスの一部または全部を除去し、該マトリックスを除去した部分の全体に金属Yを充填して、マトリックスの除去により露出した金属Xからなる柱状部材の表面を金属Yで被覆することを特徴とする請求項1または2に記載の構造体の製造方法。
【請求項4】
前記熱処理後、前記L10規則合金相を形成していない金属Yを除去する工程を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載の構造体の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかの方法により製造された構造体を用いた磁気記録媒体。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかの方法により製造された構造体を用いた永久磁石。
【請求項7】
PtまたはPdのいずれかの金属X、及びFe、CoまたはNiのいずれかの金属YからなるL10規則合金相の硬磁性体と、金属Y相または合金XYのL12規則合金相から成る軟磁性相を含み、該軟磁性相がマトリックスを形成し、該マトリックッス内に多数の柱状構造からなる硬磁性体が形成されていることを特徴とする構造体。
【請求項8】
第1の材料からなる柱状部材を有する基板を用意する第1の工程、該柱状部材を、Fe、CoまたはNiの少なくともいずれかを含む第2の材料で被覆する第2の工程、及び熱処理により、該第1の材料と第2の材料からなる規則合金相を形成する第3の工程を有することを特徴とする構造体の製造方法。
【請求項9】
前記第1の材料は、PtまたはPdの少なくとも一方を含み、前記第2の材料は、Fe、CoまたはNiの少なくともいずれかを含むことを特徴とする構造体の製造方法。
【請求項10】
前記第2の材料は、PtまたはPdの少なくとも一方を含み、前記第1の材料は、Fe、CoまたはNiの少なくともいずれかを含むことを特徴とする構造体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−208144(P2007−208144A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−27533(P2006−27533)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】