説明

構造化されたセラミックコーティングを作成する方法および前記方法により調合された被覆装置

発明は、多層または多相被覆を生じるための低温での方法を記載する。本発明に記載の技術では、化学的な組成、位相組成、多孔性、表面粗さ、機械的性質、生体適合性などに関する制御されたバリエーションを有する表面被覆が達成されることができる。基体表面を被覆する方法は、異なる化学的な組成を有する1つの粉末混合物、または、いくつかの粉末混合物を調製し、そこにおいて、少なくとも1つの粉末混合物は、非水和水硬性セラミック粉末結合相からなるステップ、基体とセラミックコーティング間との粘着力を増加させるために、基体表面を前処理するステップ、基体上へ非水和粉末混合物の互いの上に1つまたはそれ以上の異なる層を塗布するステップ、および、最後に、炭酸塩、リン酸塩またはフッ化物のイオンを含む硬化剤の粉末層/複数の層を水和させるステップからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックであると同様に、金属、重合体であることができる基体上の水硬性結合剤相とのセラミック組成物の多相および多層被覆の低温沈着の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
あるバイオセラミック、例えば、ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、リン酸カルシウム、炭酸カルシウムおよびBIOGLASS(登録商標)は、整形外科および歯科学において特別に関心を持たれている。これらの材料は、また、多かれ少なかれ生体に再吸収されるように作成することができる。すなわち、それらは人体において溶かされることができて、天然組織と取り替えられることができる。このグループのセラミックは、例えばヒドロキシアパタイト、および、リン酸カルシウムおよび/または炭酸カルシウムに基づく様々な骨移植物質の表面層で被覆される整形金属インプラントのために探求された。
【0003】
セラミック材におけるアパタイトの沈着もまた記載されてきた。カルシウム・アルミン酸塩を主成分とした材料系、および、アパタイト形成を強化する水に溶けるリン酸塩を含む水和液は、「歯科充てん材またはインプラント材料、粉材料および水和液のシステム」(SE0201920−6)、および「歯科充てん材またはインプラント材料と粉材料および水和液との接着システム、および、接着を作成する方法」(SE0201921−4)に記載されている。これらの特許出願は、被覆の材料組成、または、被覆を達成する技術を含まない。
【0004】
確立された表面被覆技術の範囲は記載されてきた。セラミックコーティングの沈着の最も確立された技術は、化学蒸着、物理蒸着、溶射、プラズマ溶射および電解析出である。表面被覆もまた、粉末技術により生産されることができる。
【0005】
電解析出を除いた、セラミックコーティングの沈着のこれらの技術での大きな不都合は、それらの処理に関与した温度の上昇である。このことは、基体の選択、および、化学的な構造と達成されることができる位相とに限界を設定する。化学および物理蒸着のために必要とされる気密真空配置、および、粉末技術において必要とされる高温および押圧のような必要とされる装置の複雑さもまた、不都合と見なされる。
【0006】
化学的接着するセラミックに基づく被覆の沈着のために最近開発された方法は、特許出願SE−0104440−3「被覆方法および被覆装置」(2001年12月出願);およびSE−0200637−7「セラミック表面層および被覆装置」(2002年3月出願)に記載される。これらの特許出願は、基体の前処理、水硬性成分で硬化可能なスラリーの準備、基体上の被覆としてのスラリーの沈着、および、水和を通じた被覆の硬化のステップを備えた被覆沈着方法を記載する:あるいは、非水和水硬化粉末層は基体上に沈着され、追加的なステップで水和する。
【0007】
1993年9月22日に出願されたUS−5480438−Aは、2つの生物活性層で被覆される金属インプラント基部を備えたセラミック・マルチ層を記載する。内側の層は、カルシウム・アルミン酸塩からなり、外側の層は、アパタイトおよび/またはリン酸カルシウムからなる。この多層は、本出願において使用される方法とは別の方法、主にプラズマ溶射によって製造される。US−5480438−Aは、水和されたセラミックからなる多層を開示しない。
【発明の要約】
【0008】
本発明は、構造化されたセラミックコーティングを作成する方法および前記方法により調合される被覆装置に関する。より具体的には、本発明は、多層または多相(多構造化した)被覆、および、例えば図1において表されるような被覆で被われる装置を生産する低温の方法に関する。本発明による技術では、化学組成、位相組成物、多孔性、表面粗さ、機械的性質、生体適合性、その他に関する制御された変形物を有する表面被覆が、達成されることができる。
【0009】
本発明は、多構造化および/または多相化したセラミックコーティングを1つのステップにおいて製造する方法を提供する。基本的な形状において、前記方法は、基体における非水和セラミック成分(または好ましくはカルシウム・アルミン酸塩の位相である少なくとも1つの非水和成分からなる混合)の用途、および、他の化合物からのイオンからなる水ベースの溶液を用いた前記集合体の硬化からなる。この方法により、多構造化、多相セラミックコーティング、または、両者の組み合わせが得ることができる。
本発明による方法は、基体における1つまたはそれ以上の非水和セラミック材の用途を含むいかなる被覆方法とも結合されることができる。本発明による方法はまた、適用されたセラミック層が異なるセラミック材からなる、または混合からなる場合、適用可能である。
本発明による表面被覆方法は、生物学的適合性のある被覆を生産するために好ましくは使用される。この生物学的適合性のある被覆は、一般のインプラント、または、特に整形および歯に応用されるインプラントを生産するために最適に使用されることができる。本発明はまた、表面が本発明による生物学的適合性のある被覆で被覆された装置に関する。生物学的適合性のある被覆はまた、ミクロ構造技術および摩擦学の分野内における用途のためと同様、治療として劇薬の担体として使用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による被覆方法を使用して達成されることができるa)同構造の被覆、b)多相被覆、および、c)多層被覆の概略一般図である。
【図2】基体と接触した純粋な水和カルシウム・アルミン酸塩層と10重量%のチタニアを有するカルシウム・アルミン酸塩の外部層とから構成されている二重層をなした被覆のスキャニングされた電子横断面画像である。
【発明の詳細な説明】
【0011】
本発明は、化学的に接着された水硬性セラミックに基づいて表面被覆を生産する低温の方法に関し、特に、カルシウム・アルミン酸塩のすべての位相は、発明に適用可能である。前記方法は、生物学的適合性のある、および、生物活性位相の原位置での形成によって、いくつかの位相、または、連続的な層からなる被覆を作成するために使用されることができる。本発明は、被覆システムの微細構造、多孔性、厚み、表面粗さ、位相組成および生体適合性を制御する異なる方法を記載する。
【0012】
被覆の製造の間、水和に影響を及ぼす化学的な環境を制御することによって、多構造化の生物学的適合性のある化合物の生体内原位置における形成の制御は、本発明に特有である。水和の間の化学的な環境は、粉末および水和液の両方への添加剤により制御されることができる。
【0013】
本発明による方法は、機械的に強く、かつ、化学的に安定した化合物(主にカルシウム・アルミン酸塩を水和させた)と、ヒドロキシアパタイトおよび炭酸カルシウムのような骨性に適合する、または、生体に再吸収できる化合物とを結合した被覆構造の沈着を可能にする。被覆は、生体に再吸収可能な物質の外部層、および、より良い機械的性質および基体への粘着力を有する水和セラミックの内側の層で、例えば設計されることができる。
本発明の1つの目的は、(化学量論(訳注*1)、位相、および、粒子サイズの観点からの)粉末混合物、または、異なる化学組成を有するいくつかの粉末混合物を調合するステップからなる表面被覆方法を提供することである。ここにおいて、少なくとも1つの前記粉末混合物は、非水和水硬性セラミック粉末結合相からなり、基体とセラミックコーティングとの間の粘着力を増加させるために基体表面を前処理し、基体上に非水和粉末混合物の互いの上部の単一の層またはいくつかの層を塗布し、および、炭酸塩、リン酸塩、または、フッ化物のイオンを含む硬化剤における粉末層/複数の層を水和する。前記非水和水硬性セラミック粉末は、本質的にカルシウム・アルミン酸塩、ケイ酸カルシウムまたはカルシウム硫酸塩またはその混合からなる。前記非水和水硬性セラミック粉末は、本質的にカルシウム・アルミン酸塩、ケイ酸カルシウムまたはカルシウム硫酸塩またはその混合からなる。
【0014】
本発明は、医療機器のような様々な装置を被覆する改良された被覆方法を提供し、ここで、改良された被覆方法は、より早い特許出願、SE−0104440−3「被覆方法および被覆装置」(2001年12月出願);およびSE−0200637「セラミック表面層および被覆装置」(2002年3月出願)に記載される方法に関する。
粉末の単純な塗布技術、および、水和に必要な低温のため、このような組成物に含まれる化学組成および化合物の位相は、異なる層の微細構造および多孔性と同様に、従来技術においてよりも非常によく制御されることができる。
【0015】
本出願を通して、用語「生体適合性」は、問題になっている材料または表面上の特定の性質を意味するように、多数使用される。しかしながら、「生体適合性」は、生物学的組織と接触することになっている材料にとって必要である、または、望ましい異なる性質の総称語として使用される点に留意する必要がある。さらに材料はまた、正しい方法でおよび適切な塗布のために使用/調合されなければならない。他に多用される用語は、材料が特に骨組織との接触のために都合が良いことを意味する「骨の適合性」である。用語「生物活性」は、生物活性である材料が、例えば骨組織におけるインプラントの内への成長を促進するという意味である。説明において数回使用される用語BIOGLASSは、良い生体適合性を有するリンを含むガラスの系統群の商品名である。
多相および多層被覆
同構造の単相の被覆に加えて、改良された性能は、多相および多層被覆システムによってしばしば達成される。このような被覆システムを使用する理由は、基体への粘着力を向上させ、耐久性、硬度または生体適合性を増加させ;被覆の内部応力を減少させ;または、被覆を製造する間、容積測定変化を制御するためである。多相および多層被覆の概念は、図1で図示される。
【0016】
異なる位相または個々の層は、以下の化合物の1つまたは複数から構成される:
カルシウム・アルミン酸塩、カルシウム・アルミン酸塩水和物、カルシウム硫酸塩およびカルシウム・ケイ酸塩のような他の水硬化位相、フッ素リン灰石、ヒドロキシアパタイト、他のアパタイト、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸塩-アパタイト混合位相、BIOGLASS、不活性位相(非水和相およびカルシウム・アルミン酸塩)。
本発明の方法で使用される最も好適な水硬セメントは、カルシウム・アルミン酸塩の様々な形状である。しかし、前記方法は、ケイ酸塩および硫酸塩のような他の水硬化セメントにもまた適用可能である。
【0017】
前の特許出願SE−0104440−3「被覆方法および被覆された装置」(2001年12月出願);およびSE−0200637−7「セラミック表面層および被覆された装置」(2002年3月出願)において開示された方法のように、その方法は、次のステップからなる:
− 基体の前処理。
− 粉末分子の調合および液体へのこれらの分散。
− 単一または多層における基体表面上への粉末分子の沈着。
− 水、水ベースの溶液または濃縮された水での水硬化成分の水和。
【0018】
しかしながら、本発明による方法においては、粉末分子を基体表面に沈着させるステップは、異なる化学組成の層が互いの上に塗布されるという点において、上述した方法と異なる。
【0019】
さらに、例えば水または類似した物質が粉末材料に添加されて溶かされる場合、水和媒体が特定のイオンを生成する異なる化合物の添加を有するという点で、水硬化成分を水和させるステップは変更された。

基体の前処理
基体前処理は、特許出願SE−0104440−3「被覆方法および被覆装置」(2001年12月出願)において記載されたものと同じ手順で続く。前処理ステップは、0.1から10.0μmの範囲において、Ra値で表面粗さを生成している湿式または乾燥したサンドブラストで好ましくは実行される。また、例えばエッチング処理、電解処理、または、研磨表面処理のような類似したランダムな表面構造になる他の技術も適用可能である。ブラスト処理の目的は、基体に被覆を固定することである。また、水硬性セラミック(好ましくはCA)の粒子でのブラスト処理は、代替可能であり;このことは、小結晶のポイント(埋め込まれたセラミック粉末または分子)を以下に続く塗布されたセラミック粉末の水和のために提供する。任意に、しかし必要ではなく、基体表面はまた、例えばLICI、または、分野内で公知の他の硬化促進剤のような水和加速化合物により前処理されることができる。このような硬化促進剤での前処理の目的は、制御された方法で、基体表面上において直接水和処理を始めることである。それによって、多孔性、割れなどは、被覆/基体界面で避けられる。
【0020】
本発明により使用される基体は、チタンまたはその合金、ステンレススチール、コバルト−クロム合金、他の生物学的適合性のある金属、重合体またかセラミック材料、または、それらの組合せである。

粉末混合の調合およびこれらの分散
粉末粒子の調合は、好ましくはカルシウム・アルミン酸塩またはケイ酸カルシウムである水硬性セメントの選択された組成物、位相構造、および、粒子サイズの作成を含む。本発明の基本的な形状において、セラミック粉末は、数化学量論が存在するカルシウム・アルミン酸塩の水硬性粒子のみからなる。CがCaoを意味し、AがAL(アルミナ)を意味するCA、C12、CA、CA、および、CAからなる粉末は、すべて本発明に適用可能である。このような粉末は、市販の製品である。
【0021】
被覆製造の間、アパタイトおよび炭酸塩の形成を制御するため、リン酸塩、フッ化物または炭酸イオンを提供するすべての粉末添加物は、発明に関連し、それらは、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、炭酸カルシウムまたはその他炭酸塩、カーボネートアパタイト、BIOGLASS(登録商標)、リン酸ナトリウムであってよい。
【0022】
前記表面被覆方法は、リン酸塩、フッ化物または炭酸塩、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、アパタイト、フルオロアパタイト、カーボネートアパタイト、ヒドロキシアパタイトおよびBIOGLASS(登録商標)を含む単一または数位相の粒子または粉末からなる1つまたはそれ以上の生物学的適合性のある、または、生物活性材料の粒子または粉末の加算からなる粉末混合を調合するステップを任意に含むことができる。
【0023】
アパタイトおよび炭酸塩の形成を制御している水硬化成分および添加物に加えて、粉末混合は、また、機械的性質、膨張性、硬化時間などを制御する添加物を含むことができる。
非水硬性の、すなわち、非水和の充填材は、我々の同時係属出願中のスウェーデンの特許出願SE−0 104 441−1の「セラミック材料および製造のプロセス」に記載されたように加えられることができる。
【0024】
非水硬性の充填材は、公式ABOに従って、ペロブスカイト構造のカルシウム・チタン酸塩または他のいかなる三元の酸化物を含むことができる。ここで、Oは酸素、AおよびBは金属またはこのような三元の酸化物の混成である。ペロブスカイト構造のAは、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムまたはバリウムからなる属から選択され、ペロブスカイト構造のBは、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムからなる属から選択される。
非水硬性の充填材は、セラミック成分の全体の量の30容量部未満、好ましくは10容量部未満の量で存在する。しかし、出願において開示されたすべての材料組成物は、本発明において被覆材料として適用される。
【0025】
また、特許出願PCT/SE99/01803「大きさが安定した結合剤組織」に記載された膨張制御添加物は、本発明に関連し、主にケイ酸カルシウムおよびヒュームド・シリカ(非常に微細な粒状の二酸化ケイ素)である。
本発明による表面被覆技術はまた、粉末材料における残余の水および/または有機材料の除去を任意に含むことができる。
【0026】
本発明によれば、表面粗さおよび多孔性は、粉末/粒子混合物の粒径の選択によって制御される。したがって、本発明による方法は、任意に粉末粒度の減少を含む。小さい粒度は、より滑らかな被覆、および、ミクロ構造の表面の被覆さえ可能にする。これらの性質が必要である場合、粉末粒度は、好ましくは10μm以下であり、より好ましくは0.1から3μmである。より大きい粒子および凝集粒子も、よりさらに多孔性被覆を生じる。
塗布された非水和セラミック層/複数の層はまた、最終的な水和より前に圧縮されることができる。このような圧縮は、コールドアイソスタティック成形(CIP)、ホットアイソスタティック成形(HIP)、または、表面上へのレーザ光線照射によって達成されることができる。
【0027】
圧縮ステップの後、粉末層の圧縮の度合いは、30から80%の間で増加し、多孔性は30から45容量%に減少する。
本発明によれば、表面粗さもまた、粒子混合物の分散液の選択により制御される。関連の分散液は、水、炭酸水、アルコール、オイル、アセトン、他の炭化水素、緩衝液、リン酸塩溶液、可塑剤などである。考慮される液体の性質は、粉末粒子および基体への湿潤性と同様、粘性、蒸気圧、分散効果である。水または水ベースの溶媒は、水和の即時の開始につながる。水でない溶媒は、硬化後に同時に発生し、このことは、実際の硬化が別個のステップで実行されることを意味する。
【0028】
エタノールは、より良い分散能力のため、アセトンより滑らかな表面を生じさせる。
水ベースの液体のために、表面構造は、水に溶ける分散剤および可塑剤の使用によって制御される。
【0029】
水または水ベースの溶液の硬化の場合、硬化した被覆の化学および位相構成は、二酸化炭素または炭酸塩、リン酸塩またはフッ化物塩の濃度によって制御される。炭酸イオンの濃度が高くなるほど、より多くの炭酸カルシウムは潜在的に形成されることができる。リン酸塩またはフッ化物の濃度が高くなるほど、より多くのヒドロキシアパタイトまたはフッ素リン灰石は、水和の間、形成される。
【0030】
多層被覆の作成のため、異なる化学組成および溶媒の粉末混成は、続いて起こる数ステップにおける沈着のために調合されることができる。
【0031】
1つの粉末層のみを使用して、多構造被覆の達成が要求される場合、本発明による被覆の位相構成は、特定のイオンを硬化剤に加えることにより、制御されることができる。これらのイオンは、硬化剤に対して、二酸化炭素または炭酸塩、リン酸塩またはフッ化物塩を加えることによって提供されることができる。硬化剤は、液体またはガスで機能することができ、好ましくは、水溶液または蒸気のような水ベースの薬剤である。任意に、硬化処理を加速、または、遅延させる成分は、硬化剤または粉末材料に加えることができる。

基体表面上への粉末粒子の沈着
粉末溶媒混合物は、基体に1つまたは複数の薄い層として塗布される。浸漬、吹付けなどの様々な沈着技術は、使用されることができる我々の同時係属出願中のスウェーデンの特許出願SE−0200637−7「セラミック表面層および被覆された装置」(2002年3月出願)に記載されたすべての沈着技術は本発明に関連する。
【0032】
基体表面上への粉末材料の塗布は、熱的な噴霧技術、PVD、または、CVD沈着技術によって実行される、または、テープ成型によって調製されるテープとして塗布される。
被覆の厚みは、粒径、粒子の分散および粉末と溶液の比率のいずれによってでも制御される。厚い被覆のために、複数の浸漬または吹付けは実行されることができる。
【0033】
粒子混合物の沈着の後、溶媒は蒸着される。蒸着は、粒子混合物を通常の気圧において室温に達するようにさせることにより実行されるが、蒸発処理はより高温において加速される。
【0034】
本発明による沈着表面被覆は、0.1から500μmの順序の、好ましくは50μm未満の厚みを有する。

水和後
沈着された粒子層または複数の層を硬化させる本発明の最も関連した手順は、水溶液、水蒸気または制御された湿度の気圧における別個のステップにおける水和後にある。
また、温度は硬化手順に影響を及ぼす。本発明に最も関連するのは、0℃から100℃の間の温度である。好ましくは、硬化は20℃から70℃の範囲で実行される。
【0035】
水和後の間、炭酸カルシウムおよびカルシウム・アルミノ炭酸塩の量は、二酸化炭素の存在により制御される。水和水または蒸気における炭酸水素塩の濃度を制御することにより、被覆内、および、被覆表面の炭酸カルシウムの量は制御される。炭酸水において被覆を水和させることによって、上部表面層は、主に炭酸カルシウムから構成される。水和が除炭酸水によって起こる場合、炭酸カルシウム形成は抑制され、表面層における低炭酸カルシウム含量という結果になる。
【0036】
水和はまた、リン酸カルシウムおよびアパタイトを発生させるため、リン酸塩緩衝液または人工体液のようなリン酸塩イオンが豊富な溶液において実行されることができる。フッ化物溶液は、フッ化カルシウムを生じる。
【0037】
しかしながら、水和の間、多くの他の位相は、化学的な環境の細部の結果として形成される可能性がある。
【0038】
例えば、大気中における二酸化炭素、および/または、水和水における炭酸、または、炭酸塩化合物のいずれかとして、炭素酸化物の存在は水和の間、カルシウム・アルミン酸塩水和物に加えて、炭酸カルシウムまたはカルシウム炭素アルミン酸塩の形成に導くことができる。
【0039】
炭酸塩の形成は、例えば以下の反応のようにアルミン酸塩の水和と相互に作用する:
CAH10+Co → CaCo+AH+7H
AH+3Co → 3CaCo+AH+3H
従って、水和水または大気中の二酸化炭素における炭酸の存在は、水和の間と後に形成された炭酸塩または炭素アルミン酸塩の量を制御する。炭酸カルシウムおよびカルシウム炭素アルミン酸塩の形成は、水和環境における炭素の化合物へのアクセスを制御することにより、抑制または強化されることができる。周囲の温度に従い、異なる化合物および位相は形成される。たとえば室温で、カルシウム・アルミン酸塩水和物は、炭酸カルシウムより安定している。炭素がある場合には、水和物は数カ月に対応する一定の期間にわたり炭酸塩にまだ変換することができる。37℃で、カルシウム・アルミン酸塩水和物はなお安定しているが、炭酸塩形成は室温においてよりも、数日または数週の一定の期間にわたり急速に進行する。60℃またはそれ以上で、炭酸化反応はより一層およびより急速に進行し、カルシウム・アルミン酸塩水和物より多くの炭酸カルシウムが形成されることができる。それゆえに、詳細な位相組成物は、硬化温度により支配されることができる。本発明の目的によれば、全体の温度範囲の0から100℃が適用可能である。
カルシウム・アルミン酸塩の水和の間の炭酸カルシウムの形成は、少なくとも2つの理由のために特定の関心を持たれている。
【0040】
第1に、炭酸カルシウムは、生体に再吸収可能なバイオセラミックである;それは、生きた有機体の骨組織の再生処理に相互作用する。
【0041】
第2に、カルシウム・アルミン酸塩水和物の制御された炭酸化は、水和物の濃度の増加につながることが示された。
【0042】
同様に、カルシウム・アルミン酸塩の水和の間の化学的な環境におけるリン酸塩またはフッ化物の存在は、生物学的適合性のある物質のヒドロキシアパタイトおよびフルオロアパタイト(それぞれCa(POOHとCa(POF)、または他のリン酸カルシウムおよびフッ化物(訳注*2)を生じることができる。これらの物質の形成は、適切なpH範囲(OHとHとの濃縮)および温度と組み合わせられ、次のイオンの存在を必要とする:CA2+、OH、H、および、PO3−、代替的に水和の間、F
【0043】
カルシウム・ベースの水硬組織の水和の間、CA2+イオンは水硬性粒子から生じ、OHは水和処理から生じる。リン酸塩またはフッ化物イオンは、粉末混合物からまたは水和液から生じることができる。Hは、水和水から生じる。
【0044】
このことは、カルシウム・ベースの水硬性組織が、適切な化学的な環境がつくられる場合、生体内原位置において、水和反応の自然な部分としてリン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、フッ素リン灰石、炭酸カルシウムを形成する能力を有することを意味する。この特許出願において、これらの周知の現象は、多層被覆を作成するために方法の一部として調べられる。

被覆および被覆装置
本発明による方法の一実施例において、生物学的適合性のある被覆は、2μm未満の主にカルシウム・アルミン酸塩粒子からなる基体と接触する結合層、3から30μmの粒度を有する主にカルシウム・アルミン酸塩からなる張出し層、および、生物活性材料、好ましくはリン酸カルシウム、アパタイト、炭酸カルシウムまたはフッ化カルシウムからなる外層を備えて達成される。
【0045】
生物学的適合性のある被覆は、また、治療としての劇薬の担体として使用されることができる。
【0046】
本発明はまた、基体および表面被覆カバーからなり、少なくとも基体表面の部分がそこにおいて、表面被覆は、本発明の方法による表面被覆技術を使用することにより作成された生物学的適合性のある表面被覆であり、基体は、チタンまたはその合金、ステンレススチール、コバルト‐クロム合金、他の生物学的適合性のある金属、重合またはセラミック材料、または、その組合せである表面が被覆された装置にも関する。表面が被覆された装置は、医療機器、移植のための医療機器、人工の整形装置、脊髄インプラント、ジョイント・インプラント、取付け要素、髄内くぎ、骨用ネジ、または、骨質補強プレートであることができる。
実施例
【実施例1】
【0047】
直径ロッドにおける長さ50mmかつ直径4mmの形状の、ステンレススチール基体の表面は、0.6から0.7μmの間のRaの表面粗さに、90メッシュの酸化アルミニウム・グリッドでサンドブラストにより前処理された。
カルシウム・アルミン酸塩粉末はLafarge Aluminate社からのTernal White(商標登録)が選ばれた。これは、ALとCaOとの比率が約70/30であるカルシウム・アルミン酸塩である。しかしながら、他のいかなる類似したカルシウム・アルミン酸塩粉末もまた、同じ目的に使用することが可能である。
【0048】
カルシウム・アルミン酸塩粉末の粒度は、ボールミリングによって、(訳注*3)減少された。ミリングでは、粒子の90%の容積を10μm未満に減少させた。ミリングは、ミリング媒体として、直径10mmの窒化ケイ素球体を用いて回転円柱状のプラスチック容器で実行された。ミリングの液体は、イソプロパノールである。全体のミリング時間は、72時間であった。
【0049】
ミリングの後、ミリング本体はふるいにかけて除去され、アルコールが蒸着された。その後で、ミリングされた粉末は、残余の水および有機汚染を除去するため、4時間、400℃で燃焼された。
【0050】
生物活性成分として、5μmの平均粒度を持つメルクのヒドロキシアパタイトが選ばれた。
【0051】
漸変皮膜の塗布のため、2つの異なるスラリーが調製された。第1のスラリーAは、重量で1:1の定量において混合されたカルシウム・アルミン酸塩粉末とエタノールとからなる。
【0052】
第1の層は、スラリーAに基体を浸漬することによって塗布され、その後でエタノールは、空気中で蒸着された。
【0053】
基体は、スラリーAに一度浸漬されて、それから空気乾燥された。被覆はそれから、1週間、60℃で、底部において炭酸水で密閉された容器で水和された。カルシウム・アルミン酸塩の位相は、1時間未満の範囲内で急速に形成される。炭酸水は、表面上の炭酸カルシウムの生体内原位置における形成を加速する。結果として生じる被覆は、基体の近くにカルシウム・アルミン酸塩水和物、および、表面に炭酸カルシウムの豊富な外層を有して二重の階層構造から構成される。全体の被覆は、厚みにおいてほぼ50μmであり、炭酸カルシウム表面層は、ほぼ5−10μmであった。ここで、二重の階層構造は、1つの粉末層のみ、および、1つの水和ステップのみ、および、1つの水和温度により達成される。
【実施例2】
【0054】
実施例1のように、ステンレススチール基体およびカルシウム・アルミン酸塩粉末が調製された。基体は、スラリーAに一度浸漬されて、それから空気乾燥された。サンプルは、3日間、37℃において脱イオンされた水で、底部で密閉容器において水和された。最後に、被覆されたサンプルは2週間、37℃で擬態された体液において入れられた。
【0055】
擬態された体液は、脱イオンされた水に溶解されたKHPO(0.2グラム/リットル)、NaCl(8.0グラム/リットル)、NaHPO(1.15グラム/リットル)、KCl(0.2グラム/リットル)、MgCl・6HO(0.1グラム/リットル)、CaCl・2HO(0.133グラム/リットル)を含むpH7.2−7.6に中和されたシグマ(製品D8662)から市販されたものであった。この混合は、被覆のリン酸塩処理を開始する。
【0056】
リン酸塩処理ステップ後、結果として生じる被覆は、基体の近くに少量の非水和カルシウム・アルミン酸塩、および、ヒドロキシアパタイト/リン酸カルシウムの外側の1−2μmの薄い層を有し、20−50μmのカルシウム・アルミン酸塩水和物、から構成された。この例では、2層構造は、1つの粉末層および2つのステップ水和手順のみによって達成される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体表面を被覆する方法であって、
−異なる化学的な組成物を有する1つの粉末混合物、または、いくつかの粉末混合物であって、そこにおいて、少なくとも1つの前記粉末混合物は非水和水硬性セラミック粉末結合相からなる粉末混合物の調製、
−前記基材と前記セラミックのコーティングとの間で粘着力を増加させるための前記基材表面の前処理、
−基体上の互いの上への前記非水和粉末混合物の1つまたはそれ以上の層の塗布、
および
−炭酸塩、リン酸塩、または、フッ化物のイオンからなる硬化剤を用いた粉末層/複数の層の水和からなる方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基体表面を被覆する方法であって、粉末混合物の調整ステップは、リン酸塩、フッ化物または炭酸塩、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、アパタイト、フルオロアパタイト、カーボネートアパタイト、ヒドロキシアパタイト、および、良い生体適合性を有するリンを含むガラスを包含する1つまたはいくつかの位相の粒子または粉末から構成された1つまたはそれ以上の生物学的適合性のある材料の粒子または粉末の添加をさらに含むことにおいて特徴づけられる方法。
【請求項3】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、公式ABOに従ったペロブスカイト構造のカルシウム・チタン酸塩または他のいかなる三元の酸化物からなる非水硬性の充填材を加えるステップをさらに含み、
ここで、Oは酸素であり、AおよびBは、金属、または、そのような三元の酸化物の混合物であり、前記充填材は、セラミック成分の全体の量の30容量部未満、好ましくは10容量部未満の量で存在することにおいて特徴づけられる方法。
【請求項4】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、粉末混合物を調製するステップは、粉末粒度の減少を含み、その粉末粒度は、好ましくは10μm以下であり、より好ましくは0.1から3μmであることにおいて特徴づけられる方法。
【請求項5】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、前記基体の前処理は、硬い粒子でその表面を噴射することによって実行されることにおいて特徴づけられる方法。
【請求項6】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、前記基体表面に水硬性セラミック、好ましくはカルシウム・アルミン酸塩の破片または粉末を埋め込むステップにより特徴づけられる方法。
【請求項7】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、前記埋め込みは、水硬性セラミック、好ましくはカルシウム・アルミン酸塩の破片または粉末で前記基体表面を噴射することによって実行されることにおいて特徴づけられる方法。
【請求項8】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、0.1から10.0μmの範囲のRa値の表面粗さを有する表面への基体表面の前処理は、前記粉末混合物の沈着の前に実行されることにおいて特徴づけられる方法。
【請求項9】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、前記硬化処理を加速するための硬化促進剤での前記基体表面の前処理により特徴づけられる方法。
【請求項10】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、前記粉末層は、熱的な噴霧技術、PVDまたはCVD沈着技術、によって塗布される、または、テープ成型によって調製されたテープとして塗布されることにおいて特徴づけられる方法。
【請求項11】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、前記塗布された非水和セラミック粉末層/複数の層は、最終的な水和の前に圧縮されることにおいて特徴づけられる方法。
【請求項12】
請求項11に記載の基体表面を被覆する方法であって、圧縮は、コールドアイソスタティック成形(CIP)、ホットアイソスタティック成形(HIP)を用いて、または、表面上へのレーザ光線照射によって達成されることができることにおいて特徴づけられる方法。
【請求項13】
請求項12に記載の基体表面を被覆する方法であって、前記粉末層の前記圧縮の度合いは、30から80%の間で増加し、多孔性は30から45容量%に減少することにおいて特徴づけられる方法。
【請求項14】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、さらに、水、炭酸水、アルコール、オイル、アセトン、他の炭化水素、緩衝液、リン酸塩溶液、可塑剤などからなるグループから選択された前記粉末材料に分散剤を加えるステップを含むことにおいて特徴づけられる方法。
【請求項15】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、前前記硬化ステップは、液体または気体の形の硬化剤の使用からなることにおいて特徴づけられる方法。
【請求項16】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、前記硬化剤は、水溶液または水蒸気であることにおいて特徴づけられる方法。
【請求項17】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、前記セラミックコーティングの硬化ステップは、前記硬化処理を加速または遅延させる成分の添加からなることにおいて特徴づけられる方法。
【請求項18】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、前記硬化ステップは、温度を0℃から100℃の範囲、好ましくは20℃から70℃の範囲に制御することを含むことにおいて特徴づけられる方法。
【請求項19】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、前記沈着された被覆は、0.1から500μmの順序の、好ましくは50μm未満の厚みを有することにおいて特徴づけられる方法。
【請求項20】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、前記非水和水硬性セラミック粉末は、本質的にカルシウム・アルミン酸塩、ケイ酸カルシウムまたはカルシウム硫酸塩またはその混合物であることにおいて特徴づけられる方法。
【請求項21】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、前記基体は、チタンまたはその合金、ステンレススチール、コバルト−クロム合金、他の生物学的適合性のある金属、重合体またかセラミック材料、または、それらの組合せであることにおいて特徴づけられる方法。
【請求項22】
生物学的適合性のある被覆であって、2μm未満の主にカルシウム・アルミン酸塩粒子からなる基体と接触する結合層、3から30μmの粒度を有する主にカルシウム・アルミン酸塩からなる張出し層、および、生物活性または生物学的適合性のある材料、好ましくはリン酸カルシウム、アパタイト、炭酸カルシウムまたはフッ化カルシウムからなる外層を備えることにおいて特徴づけられる被覆。
【請求項23】
請求項22に記載の生物学的適合性のある被覆であって、前記被覆は、薬剤を担持することができることにおいて特徴づけられる被覆。
【請求項24】
少なくとも前記基体表面の断片を被う基体および表面被覆からなる表面が被覆された装置であって、前記表面被覆は、請求項1から21のいずれかに記載の方法を用いて作成された生物学的適合性のある表面被覆であることにおいて特徴づけられる装置。
【請求項25】
請求項24に記載の表面が被覆された装置であって、前記基体は、チタンまたはその合金、ステンレススチール、コバルト−クロム合金、他の生物学的適合性のある金属、重合体またかセラミック材料、または、それらの組合せであることにおいて特徴づけられる装置。
【請求項26】
請求項24または25のいずれかに記載の表面が被覆された装置であって、医療機器、移植のための医療機器、人工の整形装置、脊髄インプラント、ジョイント・インプラント、取付け要素、髄内くぎ、骨用ネジ、または、骨質補強プレートであることができることにおいて特徴づけられる装置。
【請求項27】
請求項24から26のいずれかに記載の表面が被覆された装置であって、前記表面被覆は、請求項22に記載の前記生物学的適合性のある表面被覆であることにおいて特徴づけられる装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体表面を被覆する方法であって、
−異なる化学的な組成物を有する1つの粉末混合物、または、いくつかの粉末混合物であって、そこにおいて、少なくとも1つの前記粉末混合物は非水和水硬性セラミック粉末結合相からなる粉末混合物の調製、
−前記基材と前記セラミックのコーティングとの間で粘着力を増加させるための前記基材表面の前処理、
−基体上の互いの上への前記非水和粉末混合物の1つまたはそれ以上の層の塗布、
および
−炭酸塩、リン酸塩、または、フッ化物のイオンからなる硬化剤を用いた粉末層/複数の層の水和からなる方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基体表面を被覆する方法であって、粉末混合物の調整ステップは、リン酸塩、フッ化物または炭酸塩、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、アパタイト、フルオロアパタイト、カーボネートアパタイト、ヒドロキシアパタイト、および、良い生体適合性を有するリンを含むガラスを包含する1つまたはいくつかの位相の粒子または粉末から構成された1つまたはそれ以上の生物学的適合性のある材料の粒子または粉末の添加をさらに含むことにおいて特徴づけられる方法。
【請求項3】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、公式ABOに従ったペロブスカイト構造のカルシウム・チタン酸塩または他のいかなる三元の酸化物からなる非水硬性の充填材を加えるステップをさらに含み、
ここで、Oは酸素であり、AおよびBは、金属、または、そのような三元の酸化物の混合物であり、前記充填材は、セラミック成分の全体の量の30容量部未満、好ましくは10容量部未満の量で存在することにおいて特徴づけられる方法。
【請求項4】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、粉末混合物を調製するステップは、粉末粒度の減少を含み、その粉末粒度は、好ましくは10μm以下であり、より好ましくは0.1から3μmであることにおいて特徴づけられる方法。
【請求項5】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、前記基体の前処理は、硬い粒子でその表面を噴射することによって実行されることにおいて特徴づけられる方法。
【請求項6】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、前記基体表面に水硬性セラミック、好ましくはカルシウム・アルミン酸塩の破片または粉末を埋め込むステップにより特徴づけられる方法。
【請求項7】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、前記埋め込みは、水硬性セラミック、好ましくはカルシウム・アルミン酸塩の破片または粉末で前記基体表面を噴射することによって実行されることにおいて特徴づけられる方法。
【請求項8】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、0.1から10.0μmの範囲のRa値の表面粗さを有する表面への基体表面の前処理は、前記粉末混合物の沈着の前に実行されることにおいて特徴づけられる方法。
【請求項9】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、前記硬化処理を加速するための硬化促進剤での前記基体表面の前処理により特徴づけられる方法。
【請求項10】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、前記粉末層は、熱的な噴霧技術、PVDまたはCVD沈着技術、によって塗布される、または、テープ成型によって調製されたテープとして塗布されることにおいて特徴づけられる方法。
【請求項11】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、前記塗布された非水和セラミック粉末層/複数の層は、最終的な水和の前に圧縮されることにおいて特徴づけられる方法。
【請求項12】
請求項11に記載の基体表面を被覆する方法であって、圧縮は、コールドアイソスタティック成形(CIP)、ホットアイソスタティック成形(HIP)を用いて、または、表面上へのレーザ光線照射によって達成されることができることにおいて特徴づけられる方法。
【請求項13】
請求項12に記載の基体表面を被覆する方法であって、前記粉末層の前記圧縮の度合いは、30から80%の間で増加し、多孔性は30から45容量%に減少することにおいて特徴づけられる方法。
【請求項14】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、さらに、水、炭酸水、アルコール、オイル、アセトン、他の炭化水素、緩衝液、リン酸塩溶液、可塑剤などからなるグループから選択された前記粉末材料に分散剤を加えるステップを含むことにおいて特徴づけられる方法。
【請求項15】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、前前記硬化ステップは、液体または気体の形の硬化剤の使用からなることにおいて特徴づけられる方法。
【請求項16】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、前記硬化剤は、水溶液または水蒸気であることにおいて特徴づけられる方法。
【請求項17】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、前記セラミックコーティングの硬化ステップは、前記硬化処理を加速または遅延させる成分の添加からなることにおいて特徴づけられる方法。
【請求項18】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、前記硬化ステップは、温度を0℃から100℃の範囲、好ましくは20℃から70℃の範囲に制御することを含むことにおいて特徴づけられる方法。
【請求項19】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、前記沈着された被覆は、0.1から500μmの順序の、好ましくは50μm未満の厚みを有することにおいて特徴づけられる方法。
【請求項20】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、前記非水和水硬性セラミック粉末は、本質的にカルシウム・アルミン酸塩、ケイ酸カルシウムまたはカルシウム硫酸塩またはその混合物であることにおいて特徴づけられる方法。
【請求項21】
先行する請求項のいずれかに記載の基体表面を被覆する方法であって、前記基体は、チタンまたはその合金、ステンレススチール、コバルト−クロム合金、他の生物学的適合性のある金属、重合体またかセラミック材料、または、それらの組合せであることにおいて特徴づけられる方法。
【請求項22】
生物学的適合性のある被覆であって、2μm未満の主にカルシウム・アルミン酸塩水和物粒子からなる基体と接触する結合層、3から30μmの粒度を有する主にカルシウム・アルミン酸塩水和物からなる張出し層、および、生物活性または生物学的適合性のある材料、好ましくはリン酸カルシウム、アパタイト、炭酸カルシウムまたはフッ化カルシウムからなる外層を備えることにおいて特徴づけられる被覆。
【請求項23】
請求項22に記載の生物学的適合性のある被覆であって、前記被覆は、薬剤を担持することができることにおいて特徴づけられる被覆。
【請求項24】
少なくとも前記基体表面の断片を被う基体および表面被覆からなる表面が被覆された装置であって、前記表面被覆は、請求項1から21のいずれかに記載の方法を用いて作成された生物学的適合性のある表面被覆であることにおいて特徴づけられる装置。
【請求項25】
請求項24に記載の表面が被覆された装置であって、前記基体は、チタンまたはその合金、ステンレススチール、コバルト−クロム合金、他の生物学的適合性のある金属、重合体またかセラミック材料、または、それらの組合せであることにおいて特徴づけられる装置。
【請求項26】
請求項24または25のいずれかに記載の表面が被覆された装置であって、医療機器、移植のための医療機器、人工の整形装置、脊髄インプラント、ジョイント・インプラント、取付け要素、髄内くぎ、骨用ネジ、または、骨質補強プレートであることができることにおいて特徴づけられる装置。
【請求項27】
請求項24から26のいずれかに記載の表面が被覆された装置であって、前記表面被覆は、請求項22に記載の前記生物学的適合性のある表面被覆であることにおいて特徴づけられる装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−505689(P2006−505689A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−548215(P2004−548215)
【出願日】平成15年10月30日(2003.10.30)
【国際出願番号】PCT/SE2003/001679
【国際公開番号】WO2004/040036
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(505135449)セルビオ テック エービー (1)
【Fターム(参考)】