説明

構造水中の無機イオン

本発明は、非水溶性鉱物によって放出され、構造水の水クラスター内に組み入れられる無機イオンを含有する強化された構造水に関する。特に本発明は、I水、S水、およびそれらの組合せからなる群から選択される構造水を含有する組成物を提供する。構造水は、水分子の荷電クラスターであって、前記荷電クラスターと結合してクラスター錯体を形成する少なくとも1つの無機イオンを有する前記荷電クラスターを少なくとも1つ含む。クラスター錯体中の無機イオンは、非構造水中の無機イオンと比較して強化された生物活性を示す。さらに、少なくとも1つの結合剤および少なくとも1つのキャッピング剤をクラスター錯体内に組み込むことによって、本発明の組成物は、鮮明で強烈な色と共に驚くべき予想外の色の安定性を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造水および構造水を含有する組成物に関する。特に本発明は、非水溶性鉱物によって放出される無機イオンを含有する強化された構造水に関し、その無機イオンは、強化構造水の水クラスター内に組み入れられてクラスター錯体 (cluster complex) を形成する。かかるクラスター錯体中の無機イオンは、非構造水中の無機イオンと比較して著しく改善された生物活性(コラゲナーゼ抑制活性、コラーゲン合成強化活性、酸素フリーラジカル抑制活性等)を示す。さらに、少なくとも1つの結合剤 (bridging agent) および少なくとも1つのキャッピング剤 (capping agent) をクラスター錯体内に組み込む際、本発明の組成物は、鮮明で強烈な色と共に驚くべき予想外の色の安定性を示す。
【背景技術】
【0002】
鉱物から抽出された必須イオンの生物学的役割は、当技術分野で立証されている。必須無機イオン(例えば、銅、マンガン、ケイ素、およびセレンイオン)の、例えば抗炎症活性、抗酸化活性、およびコラーゲン合成強化活性などの様々な生物活性が論じられている、Inflammation Research Vol.2,pp 281-291,Ed.G.Weissman,B.Samuelson and R.Paoletti Raven Press,New York 1979を参照のこと。
【0003】
しかし、かかる必須イオンを含有する鉱物は、殆どが非水溶性である。かかる非水溶性鉱物を水に分散させて、安定な分散液を形成するためには、非水溶性鉱物を微粒子に粉砕する必要がある。さらに、かかる非水溶性鉱物は、一般に約1.5以上の比重を有し、それによって鉱物粒子が水から容易に沈殿してしまう。水に結晶性セルロースおよびムコ多糖を添加して、その結晶性セルロースまたはムコ多糖の3次元ネットワーク構造に主たる微粒子を吸着させ保持することによって非水溶性鉱物の比較的安定な水分散液を得るための、様々な研究が実施されている(特開昭56-117758および特公昭57-35945号公報)。また、非水溶性鉱物粒子を脂肪および油に添加し、該粒子をその中に分散させ、得られる混合物中の脂肪および油の含量を約30重量%以上に調節することによって比重を緩和する既知の方法がある(特開昭57-110167)。
【0004】
しかし、上記組成物中の鉱物は非水溶性粒子として残存し、かかる鉱物中の必須イオンは可溶化することも水構造に組み入れられることもない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、非水溶性鉱物によって放出され、可溶化し水構造に組み入れられる必須イオンを含有する安定な組成物を形成する必要がある。
【0006】
本発明者らは、非水溶性鉱物からの無機イオンを含有する安定な溶液を形成するために、構造水が特に有効であることを見出した。I水およびS水などの構造水ならびにこれらを形成する方法は、ルーマニア特許RO88053、RO88054、RO107544、RO107545、およびRO107546、英国特許出願GB2335142、ならびに米国特許第5846397号、第6139855号、第6231874号、第6451328号、および第6958163号によって詳細に記載されており、これらの内容はあらゆる目的でその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では本発明は、I水、S水、およびそれらの組合せからなる群から選択される構造水を含む組成物に関し、前記構造水は、水分子の荷電クラスターであって、前記荷電クラスターと結合してクラスター錯体を形成する少なくとも1つの無機イオンを有する前記荷電クラスターを少なくとも1つ含む。
【0008】
本発明の組成物に組み込むことができる適切な無機イオンには、それに限定されるものではないが、銅、マンガン、セレン、ケイ素、亜鉛、鉄、アルミニウム、カルシウム、カリウム、ナトリウム、リチウム、マグネシウム、銀等が含まれる。必ずしも必要ではないが、無機イオンは、好ましくは銅、マンガン、セレン、ケイ素、亜鉛、および鉄からなる群から選択される正荷電イオンである。より好ましくは、無機イオンは銅またはマンガンイオンを含む。
【0009】
本発明の実施に有用な例示的な非水溶性鉱物には、それに限定されるものではないが、マラカイト(銅イオンを含有し、式CuCO3・Cu(OH)2を有する)、アズライト(銅イオンを含有し、式2CuCO3・Cu(OH)2を有する)、クリソコラ(銅イオンを含有し、式CuSiO3・nH2Oを有する)、ロードクロサイト(マンガンイオンを含有し、式MnCO3を有する)、ロードナイト(中でもマンガンイオンを含有し、式(Mn、Fe、Mg、Ca)SiO3を有する)、トルマリン(ケイ素イオンを、アルミニウム、ホウ素、および他の要素のケイ酸の錯塩形態で含有する)、ルビー(アルミニウムイオンを含有し、式Al2O3::Crを有する)、カルサイト(カルシウムイオンを含有し、式CaCO3を有する)、ヘマタイト(鉄イオンを含有し、式Fe2O3を有する)、およびそれらの組合せがある。本発明で使用される非水溶性鉱物は、好ましくはマラカイト、アズライト、クリソコラ、ロードクロサイト、またはロードナイトなどのCu-またはMn-含有鉱物である。
【0010】
クラスター錯体が水分子の荷電クラスターおよび無機イオンのみを含有する場合、本発明の組成物は無色の溶液である。しかし、クラスター錯体内に、無機イオンに加えて少なくとも1つの結合剤および少なくとも1つのキャッピング剤が組み込まれる場合、本発明の組成物は、鮮明で強烈な色と共に予想外の驚くべき色の安定性を示す。
【0011】
本明細書で使用される「結合剤」という用語は、水分子の荷電クラスターと結合してクラスター錯体内の電子運動を容易にし、組成物全体に色を付与することができる薬剤を指す。本発明の実施に適した結合剤の例には、例えばクエン酸、サリチル酸、グルタミン酸、およびアスパラギン酸などの有機酸が含まれる。
【0012】
本明細書で使用される「キャッピング剤」という用語は、水分子の荷電クラスターと結合して、クラスター錯体内の電荷を平衡化し、組成物全体の色を固定/安定化することができる薬剤を指す。キャッピング剤の選択は、組成物に使用される構造水の特定のタイプに依存する。例えば、I水を含有する組成物への使用に適したキャッピング剤には、アルギニン、リシン、およびヒスチジンなどの正荷電アミノ酸、または追加のI水が含まれる。別の例では、S水を含有する組成物への使用に適したキャッピング剤には、追加のS水が含まれる。
【0013】
無機イオン、結合剤、およびキャッピング剤を含有する本発明の組成物は、紫、青、緑、黄、および赤などの鮮明で強烈な様々な色を示すことができる。より重要なことには、かかる色は、約50℃の高温で実施される色の安定性試験によって示される通り驚くほど予想外に安定であり、少なくとも4週間は色落ちまたは色の沈殿が観測されない。
【0014】
本発明の特定の一実施形態では、組成物は、水分子の負荷電クラスターをその中に有するI水を含む。水分子のかかる負荷電クラスターの少なくとも1つは、銅イオン、クエン酸、およびL-アルギニンと結合してクラスター錯体を形成する。かかる組成物は、安定な青色を示す。
【0015】
本発明の別の実施形態では、組成物は、水分子の負荷電クラスターをその中に有するI水を含む。水分子のかかる負荷電クラスターの少なくとも1つは、銅イオン、グルタミン酸、およびL-アルギニンと結合してクラスター錯体を形成する。かかる組成物は、安定な紫色を示す。
【0016】
本発明の別の代替実施形態では、組成物は、水分子の正荷電クラスターをその中に有するS水を含む。水分子のかかる正荷電クラスターの少なくとも1つは、サリチル酸、銅イオン、および追加のS水と結合してクラスター錯体を形成する。かかる組成物は、安定な緑色を示す。
【0017】
本発明のさらに別の代替実施形態では、組成物は、水分子の負荷電クラスターをその中に有するI水を含む。水分子のかかる負荷電クラスターの少なくとも1つは、マンガンイオン、クエン酸、およびL-アルギニンと結合してクラスター錯体を形成する。かかる組成物は、安定な黄色を示す。
【0018】
本発明のさらなる代替実施形態では、組成物は、水分子の正荷電クラスターをその中に有するS水を含む。水分子のかかる正荷電クラスターの少なくとも1つは、サリチル酸、マンガンイオン、および追加のS水と結合してクラスター錯体を形成する。かかる組成物は、安定な赤色を示す。
【0019】
本発明の組成物はさらに、可溶化剤を使用することなく可溶化しクラスター錯体に組み込まれる1つまたは複数の芳香剤を含むことができる。換言すれば、本発明の組成物は本質的に可溶化剤を含まない。
【0020】
別の態様では、本発明は、非水溶性鉱物の粒子をI水と混合する工程を含み、該非水溶性鉱物の少なくとも一部分が可溶化し、少なくとも1つの正荷電無機イオンを放出し、I水中の水分子の少なくとも1つの負荷電クラスターと結合してクラスター錯体を形成する、組成物の形成方法に関する。必ずしも必要ではないが、上記の非水溶性鉱物粒子は、好ましくは約1ミクロン〜約1mm、より好ましくは約10ミクロン〜約0.1mmの範囲の平均粒径を有する。
【0021】
得られる組成物に色を付与するために、上記の少なくとも1つの結合剤をさらに混合物に添加して少なくとも1つの正荷電無機イオンと結合させ、クラスター錯体の一部分を形成することが好ましい。上記の少なくとも1つのキャッピング剤を混合物に添加して少なくとも1つの結合剤と結合させ、得られる組成物の色の安定性を強化することがより好ましい。さらに、非水溶性鉱物の非溶解粒子は、例えば約0.01ミクロン〜約1ミクロンの範囲の保持閾値を有するフィルターを使用する濾過によって混合物から除去される。かかる濾過は、好ましくは少なくとも1つの結合剤を添加した後、少なくとも1つのキャッピング剤を添加する前に実施される。
【0022】
さらなる一態様では、本発明は、少なくとも1つの結合剤をS水に添加する工程であって、少なくとも1つの結合剤は、クエン酸、サリチル酸、グルタミン酸、およびアスパラギン酸からなる群から選択される有機酸を含み、S水の水分子の少なくとも1つの正荷電クラスターと結合する前記工程と、非水溶性鉱物の粒子を、S水および結合剤の混合物に混合する工程であって、非水溶性鉱物の少なくとも一部分は可溶化し、少なくとも1つの正荷電無機イオンを放出し、少なくとも1つの結合剤と結合してクラスター錯体を形成する前記工程を含む、組成物の形成方法に関する。
【0023】
必ずしも必要ではないが、上記の非水溶性鉱物粒子は、好ましくは約1ミクロン〜約1mm、より好ましくは約10ミクロン〜約0.1mmの範囲の平均粒径を有する。また、追加のS水をキャッピング剤として混合物に添加して正荷電無機イオンと結合させ、クラスター錯体の一部分を形成することが好ましい。さらに、非水溶性鉱物の非溶解粒子は、非水溶性鉱物の粒子をS水および結合剤の混合物と混合した後、追加のS水を添加する前に、濾過によって混合物から除去することができる。
【0024】
本発明の他の態様および目的は、説明、実施例、および請求の範囲を確実に理解することによってより明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
動作実施例および比較例を除き、または明確に指示されない限り、反応の材料または条件の量または比、材料の物理的性質および/または使用を示す本説明の全ての数字は、「約」という用語によって修正されると理解すべきである。全ての量または濃度は、別段の指定が無い限り、最終組成物の重量パーセントによって定義される。
【0026】
本発明の発明者らは、非水溶性鉱物からの無機イオンを構造水に効果的に可溶化することができ、かかる構造水中の水分子の荷電クラスターと結合させて安定なクラスター錯体を形成できることを見出した。かかるクラスター錯体の無機イオンの、酸素フリーラジカル抑制活性、抗コラゲナーゼ活性、および/またはコラーゲン合成活性などの幾つかの生物活性は、脱イオン水などの非構造水中の無機イオンと比較して強化され得る。
【0027】
上記のように、構造水は当技術分野で知られている。特に、I水およびS水は、約250〜450の導電率C(μS/cm)、約5.0〜7.5のpHを有する給水に由来する。水道水の双極性分子構造と電場との相互作用によって、I水およびS水が同時に生成される。I水の導電率は、約500〜3500のC(μS/cm)および約2.0〜4.0のpHを特徴とし、S水の導電率は、約600〜2500のC(μS/cm)および約10.0〜12.0のpHを特徴とする。構造水およびその製造方法に関するさらなる詳細については、あらゆる目的でその内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる、ルーマニア特許RO88053、RO88054、RO107544、RO107545、およびRO107546、英国特許出願GB2335142、ならびに米国特許第5846397号、第6139855号、第6231874号、第6451328号、および第6958163号を参照のこと。知られているかかる構造および方法は、本発明が不明瞭になるのを回避するために本明細書では繰り返されない。特に、本発明に使用される構造水には、I水、S水、またはそれらの組合せが含まれ得る。
【0028】
化粧組成物または医薬組成物に使用できる任意の適切な無機イオンを、本発明の構造水に組み込むことができる。適切な無機イオンの例には、それに限定されるものではないが、銅、マンガン、セレン、ケイ素、亜鉛、鉄、アルミニウム、カルシウム、カリウム、ナトリウム、リチウム、マグネシウム、銀、およびそれらの組合せが含まれる。かかる無機イオンは、一般に非水溶性鉱物または宝石の原石、例えばマラカイト、アズライト、クリソコラ、ロードクロサイト、ロードナイト、トルマリン、ルビー、カルサイト、ヘマタイト等に含有される。
【0029】
無機イオンは、より好ましくは銅、マンガン、セレン、ケイ素、亜鉛、および鉄などの必須イオンから選択される。これらの必須イオンは、皮膚に有益となり得る幾つかの生物活性を有し、したがって局所組成物の形成に特に有用であるといわれている。例えば、マラカイトまたはアズライトからの銅イオンは、抗コラゲナーゼ、抗酸化、抗菌、および抗にきび活性を有するといわれている。別の例では、ロードクロサイトからのマンガンイオンは、コラゲナーゼ合成活性を有するといわれている。しかし無機イオンは、構造水中の荷電クラスターに組み込まれる場合、脱イオン水などの非構造水中の無機イオンと比較して著しく強化された生物活性を示す。かかる強化された生物活性を、以下に提供する実施例に示す。
【0030】
本発明の組成物の無機イオンの濃度は、使用される無機イオンのタイプに依存して変わり得る。一般には、本発明の組成物の無機イオンの濃度は、約2ppm〜約2000ppmの範囲であってよい。特に銅イオンについては、その濃度は約2ppm〜約5000ppmの範囲であってよく、より好ましくは約100ppmである。マンガンイオンについては、その濃度は約3ppm〜約500ppmの範囲であってよい。構造水の無機イオンの濃度は、構造水のクラスター構造内の無機イオン剤の安定性に影響を及ぼすことに留意すべきである。無機イオンの濃度が高すぎると、無機イオンが溶液から沈殿する恐れがある。
【0031】
クラスター錯体が水分子の荷電クラスターおよび無機イオンのみを含有する場合、該組成物は殆どまたは全く色を示さない。しかし、クラスター錯体内に、無機イオンに加えて幾つかの結合剤およびキャッピング剤が組み込まれる場合、得られる組成物は、鮮明で強烈な色と共に予想外の驚くべき色の安定性を示す。
【0032】
特に本発明の組成物に使用される結合剤は、クラスター錯体内の電子の動きを容易にし、特徴的な色を組成物に付与する機能をする。本発明の実施に使用できる適切な結合剤には、それに限定されるものではないが、クエン酸、サリチル酸、グルタミン酸、およびアスパラギン酸などの有機酸が含まれる。かかる結合剤を含有する組成物は、紫、青、緑、黄、および赤などの鮮明で強烈な色を示すが、結合剤を含まない組成物は、色が非常に薄く、または全くの無色を示す。本発明の組成物の結合剤の濃度は、組成物の全重量に対して一般に約0.01%〜5%、好ましくは0.1%〜2%、より好ましくは0.2%〜1%の範囲である。
【0033】
さらに、本発明の組成物に使用されるキャッピング剤は、クラスター錯体内の電荷を平衡化し、組成物中に形成される色を固定/安定化する機能をする。上記のようにキャッピング剤の選択は、組成物に使用される構造水の特定のタイプに依存する。例えば、I水を含有する組成物への使用に適したキャッピング剤には、アルギニン、リシン、およびヒスチジンなどの正荷電アミノ酸、または追加のI水が含まれる。別の例では、S水を含有する組成物への使用に適したキャッピング剤には、追加のS水が含まれる。キャッピング剤を含む組成物は、約50℃の高温で少なくとも4週間、驚くべき予想外の色の安定性を示し、即ち色落ちまたは色の沈殿を示さないが、キャッピング剤を含まない組成物は、時間の経過により著しい色落ちまたは色の沈殿を示す。本発明の組成物のキャッピング剤の適切な濃度は、使用されるキャッピング剤のタイプに依存して決まる。正荷電アミノ酸がキャッピング剤として使用される場合、その濃度は組成物の全重量に対して一般に0.01%〜5%、好ましくは0.1%〜2%、より好ましくは0.2%〜1%の範囲である。追加のI水またはS水がキャッピング剤として使用される場合、その濃度は組成物の全重量に対して約1%〜約99%、より好ましくは約3%〜約55%の広い範囲をとることができる。
【0034】
上記の無機イオン、結合剤、およびキャッピング剤は、構造I水および/またはS水中の水分子の負および/または正荷電クラスターと結合し、それによってクラスター錯体を形成する。その結果、無機イオンは構造水内で安定化する。より重要なことには、クラスター錯体に組み込まれる無機イオンは、脱イオン水などの非構造水中の無機イオンと比較して著しく強化された生物活性を示す。本発明の構造水中の無機イオンによって示される強化された生物活性には、例えばフリーラジカル抑制活性、抗酸化活性、抗コラゲナーゼ活性、コラーゲン合成活性、抗にきび活性、および抗菌活性等が含まれる。さらに、鮮明で強烈な色と共に驚くべき予想外の安定性が、得られる組成物に付与される。かかる鮮明で強烈な色には、それに限定されるものではないが、紫、青、緑、黄、および赤が含まれる。本発明の例示的な組成物の特定の生物活性および色を、以下により詳細に例示する。
【0035】
上記の本発明の組成物はまた、水性成分が存在する任意の局所または非局所用化粧品または医薬品に無機イオン活性を提供するために使用することができる。例えば本発明の組成物は、化粧品または医薬品の水性成分全体を構成することができる。あるいは本発明の組成物は、通常の水性成分の一部分のみを構成することができ、即ち蒸留水または芳香水などの他の非構造性の水性成分と混合される。構造水の特異性および安定性が理由で、非構造水と共に構造水を使用することが可能である。
【0036】
上記の本発明の組成物は、純粋な水性賦形剤として、含水アルコール賦形剤の一部分として、または例えば油中水もしくは水中油乳剤などの任意の乳剤の水相の一部分として使用することができる。本発明の組成物に組み込むために、例えば溶剤、コロイド分散剤、乳剤、懸濁剤、クリーム、ローション、ゲル、発泡剤、ムース、スプレーなどの皮膚への局所適用に適した任意形態の賦形剤を使用することができる。本発明の組成物は、例えば、洗浄剤、化粧水、保湿剤、マスク、スクラブなどのスキンケア製品に使用することができ、口紅およびグロス、ファンデーション、頬紅、アイライナー、アイシャドウなどのメーキャップ製品に使用することができる。無機イオンの安定性が特に不可欠である医薬品を含む治療用製品にも有用となろう。
【0037】
所望の特定の利益(複数)に依存して、他の生物活性剤を本発明の組成物に添加することができる。日常的実験によって、安定な組成物を保持するために必要なかかる生物活性剤の量を決定することができる。生物活性剤は、本発明の組成物を形成する前に構造水に直接添加してよく、または該組成物を形成した後に本発明の組成物に直接添加してもよい。添加される生物活性剤のタイプは、局所用化粧組成物または医薬組成物に有益に使用される任意のものであってよい。例えば構造水は、そのクラスター構造内に、保湿活性成分、しみ、角化症、およびしわを治療するために使用される薬剤、ならびに鎮痛剤、麻酔剤、抗にきび剤、抗菌剤、抗酵母菌剤、抗真菌剤、抗ウィルス剤、ふけ防止剤、皮膚炎防止剤、抗掻痒薬、制吐剤、抗動揺病剤、抗刺激剤、抗炎症剤、過剰角質溶解防止剤(antihyperkeratolytic agent)、皮膚乾燥防止剤、発汗抑制剤、乾癬治療剤、抗脂漏薬、毛髪コンディショナーおよび毛髪トリートメント剤、老化防止剤、しわ防止剤、日焼け止め薬、抗ヒスタミン剤、皮膚美白剤、脱色剤、創傷治癒剤、ビタミン剤、コルチコステロイド、セルフタンニング剤、またはホルモンを含有することができる。
【0038】
必ずしも必要ではないが、本発明の特に好ましい一実施形態では、本発明の組成物は、植物からの天然精油または合成芳香剤などの1つまたは複数の芳香剤をさらに含むことができる。かかる芳香剤は一般に水不溶性であるが、本発明の構造水によって、可溶化剤を使用することなく効果的に可溶化することができ、クラスター錯体の一部分になることができる。
【0039】
さらなる態様では、本発明は上記組成物の製造方法に関する。特に、それぞれの非水溶性鉱物から所望の無機イオンを効果的に放出するために、まず非水溶性鉱物を、約1ミクロン〜約1mm、より好ましくは約10ミクロン〜約0.1mmの平均粒径を有する粒子に粉砕する。無機イオンの安定性を維持し、早期沈殿を回避するために、異なる成分を特定の順序で添加して、得られる混合物中の電荷が各処理工程中に平衡化されるようにすることが重要である。例えば、構造水がI水である場合、まず非水溶性鉱物粒子をI水と混合することによって本発明の組成物を形成することが好ましい。結合剤およびキャッピング剤の添加は、所望によりその後順に実施すべきである。構造水がS水である場合、まず結合剤をS水に添加し、次いで非水溶性鉱物粒子をS水および結合剤の混合物と混合することによって本発明の組成物を形成することが好ましい。所望ならば、その後キャッピング剤の添加を実施すべきである。非水溶性鉱物の非溶解粒子は、約0.01ミクロン〜約1ミクロンの保持閾値を有するフィルターによって混合物から除去することができる。本発明の特定の組成物を形成するための特定の処理工程を例示するために、以下に実施例を記載する。
【0040】
(実施例I)
I水および脱イオン水の両方を、40〜60ミクロンの粒径を有するマラカイト粉末1wt%と混合した。両方の混合物を150RPMの速度で連続的に72時間撹拌し、次いで滅菌濾過した。I水およびマラカイト粉末の濾過混合物をI-マラカイト水と命名した。これは約4.85のpH値を有し、非常に薄い青色の透明溶液であった。脱イオン水およびマラカイト粉末の濾過混合物をD-マラカイト水と命名したが、これは約6.48のpH値を有する透明溶液である。両方の溶液の無機イオン(即ち、この場合は銅イオン)の濃度を決定するために、原子吸光分析法を使用した。具体的には、D-マラカイト水は0.1%ppm未満の銅イオンを含有しており、I-マラカイト水は約125ppmの銅イオンを含有していた。
【0041】
次いで、I-マラカイト水中の銅イオンの生物活性を、D-マラカイト水中の銅イオンの生物活性と比較した。具体的には、図1はI-マラカイト水およびD-マラカイト水の相対的酸素フリーラジカル抑制活性を示しており、酸素フリーラジカル抑制試験中にそれらを原液として使用し、さらに約1%(体積)および5%(体積)の濃度に希釈して測定した。さらに図2は、I-マラカイト水およびD-マラカイト水の相対的コラゲナーゼ抑制活性を示しており、コラゲナーゼ抑制試験中にそれらを原液として使用し、さらに約0.6%(体積)および1.25%(体積)の濃度に希釈して測定した。図1および2に示した生物活性試験結果は、I-マラカイト水が、D-マラカイト水と比較して強化された酸素フリーラジカル抑制活性、強化されたコラゲナーゼ抑制活性を有することを示している。
【0042】
全体を通して記載するように、本発明で使用する酸素フリーラジカル抑制試験に関して、オプソニン化ザイモサンの存在下での多形核球(PMN)白血球の活性によって酸素フリーラジカルが生成され、これが光エネルギー放出(化学発光活性)に関連していることが知られている。かかる化学発光活性は、ルミノールによって活発化すると、活性化PMN白血球から放出された酸素フリーラジカルの量の指標として、照度計によって容易に定量化される。したがって本発明で使用するフリーラジカル抑制試験は、EG&G Berthold製のMicro Lumat Plus照度計を使用して実施し、該試験によって、ザイモサンによって誘導されルミノールで強化された化学発光をPMNから測定して、PMNによって放出された酸素フリーラジカルの量を決定した。具体的には、試験サンプルの存在下でPMNによって放出された酸素フリーラジカルの量、ならびに非抑制対照サンプル(陽性対照)下でPMNによって放出されたフリーラジカルの量を照度計で決定し、実験結果を自動的に処理してパーセンテージ(RLO)を得た。かかるパーセンテージ(RLO)は、試験サンプル下でPMNによって放出された酸素フリーラジカルの量を、対照サンプル下でPMNによって放出された酸素フリーラジカルの量と比較して表すものとした。次いで、100からそのパーセンテージ(RLO)を引いて抑制パーセンテージを得たが、それはPMNによって放出された酸素フリーラジカルに対する試験サンプルの抑制作用を表すものであった。抑制パーセンテージが高い程、試験サンプルの酸素フリーラジカル抑制作用も高い。
【0043】
全体を通して記載するように、本発明で使用するコラゲナーゼ抑制試験について、コラゲナーゼは、コラーゲンのへリックス領域の3重の天然コラーゲン線維を消化し、コラーゲン分解を生じ得ることが知られている。したがって本発明で使用するコラゲナーゼ抑制試験は、コラゲナーゼによって酵素的に分割して、親油性有色生成物(4-フェニル-アゾ-ベンジル-オキシカルボニル-Pro-Leu)を形成することができる人工コラゲナーゼ基質(4-フェニル-アゾ-ベンジル-オキシカルボニル-Pro-Leu-Gly-Pro-D-Arg)を使用して実施した。親油性有色生成物は、酢酸エチルによる抽出後、分光光度計を使用して約320nmの波長で、コラゲナーゼ活性の測定値として定量化することができる。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中、人工コラゲナーゼ基質および塩化カルシウムのみを含有する、コラゲナーゼを含まない第1の組成物を「対照1」として得、それを陰性対照サンプルとして作用させて、コラゲナーゼ活性の完全な欠乏を示した。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中、人工コラゲナーゼ基質、塩化カルシウム、およびコラゲナーゼを含有する第2の組成物を「対照2」として得、それを陽性対照サンプルとして作用させて、抑制されない完全なコラゲナーゼ活性を示した。次いでコラゲナーゼ抑制活性を試験すべき組成物を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中、人工コラゲナーゼ基質、塩化カルシウム、およびコラゲナーゼと混合して、「サンプル」組成物を形成した。次いで、クエン酸1mlおよび酢酸エチル2.5mlを、対照1、対照2、およびサンプル組成物に連続して添加した。対照1、対照2、およびサンプル組成物からの上方の相の含有物を収集し、それぞれNa2SO4溶液150mgに入れて室温で約25分間維持し、各組成物の液体含有物を、石英キュベット中、UV-VIS分光光度計によって約320nmの波長で読み取った。各組成物について吸光度単位(AU)を記録し、その光学密度値を示した。試験すべき組成物のコラゲナーゼ抑制活性を、以下のようにパーセンテージ(%)として算出した。
【0044】
阻害%=100-(AUサンプル-AU対照1)/(AU対照2-AU対照1)×100
ここではパーセンテージが高い程、コラゲナーゼ抑制活性も高い。
【0045】
(実施例II)
市販で購入したマラカイト粉末0.4グラムを、I水98.6グラムと混合し、連続的に2時間撹拌した。次いでl-グルタミン酸(結合剤)0.5グラムを混合物に添加し、それを連続的に5時間撹拌した。約0.22ミクロンの保持閾値を有するフィルターを使用する濾過によって、非溶解マラカイト粉末を溶液から除去した。濾過後の混合物のpH値を測定すると約3.97であった。最終的にはL-アルギニン(キャッピング剤)0.5グラムを混合物に添加し、それを連続的に約5〜10分間撹拌した。L-アルギニン添加後の混合物のpH値を再び測定すると約4.90であった。保存剤は添加しなかった。得られた溶液は、安定な紫色を特徴としており、これをI-マラカイト(LGA-LA)水と命名した。
【0046】
同様に、市販で購入したマラカイト粉末0.4wt%を脱イオン水98.6wt%と混合し、連続的に2時間撹拌した。混合物のpH値を測定すると約6.35であった。次いでl-グルタミン酸(結合剤)0.5wt%を混合物に添加し、それを連続的に5時間撹拌した。混合物のpH値を再び測定すると約4.31であった。次にL-アルギニン(キャッピング剤)0.5wt%を混合物に添加し、それを連続的に約10〜30分間撹拌した。約0.22ミクロンの保持閾値を有するフィルターを使用する濾過によって、非溶解マラカイト粉末を溶液から除去した。濾過後の混合物のpH値を測定すると約5.47であった。保存剤は添加しなかった。得られた溶液は、紫色を有しており、これをD-マラカイト(LGA-LA)水と命名した。
【0047】
両方の溶液の無機イオン(即ち、この場合は銅イオン)の濃度を決定するために、原子吸光分析法を使用した。具体的には、D-マラカイト(LGA-LA)水は約1140ppmの銅イオンを含有しており、I-マラカイト(LGA-LA)水は約1435ppmの銅イオンを含有していた。
【0048】
次いで、I-マラカイト(LGA-LA)水中の銅イオンのコラゲナーゼ抑制活性を、D-マラカイト(LGA-LA)水中の銅イオンの生物活性と比較した。具体的には、図3はI-マラカイト(LGA-LA)水およびD-マラカイト(LGA-LA)水の相対的コラゲナーゼ抑制活性を示しており、コラゲナーゼ抑制試験中にそれらを原液として使用し、さらに約0.003%(体積)および0.01%(体積)の濃度に希釈して測定した。図3に示した試験結果は、I-マラカイト(LGA-LA)水が、D-マラカイト(LGA-LA)水と比較して強化されたコラゲナーゼ抑制活性を有することを示している。
【0049】
(実施例III)
I水を、約0.5mmの粒径を有するロードクロサイト粒子5wt%に48時間注入した。混合物を、約150RPMの速度で連続的に撹拌した。2時間後、クエン酸0.5wt%を注入処理物に添加した。注入処理を46時間後に停止し、溶液を滅菌濾過した。そうして得られた溶液は黄色であり、I-ロードクロサイト(CA)水と命名した。溶液の無機イオン(即ち、この場合はマンガンイオン)の濃度を決定するために、原子吸光分析法を使用した。具体的には、I-ロードクロサイト(CA)水は約692ppmのマンガンイオンを含有していた。
【0050】
次いで、陽性対照サンプルとしてマグネシウム-アスコルビル-リン酸塩(MAP)18μg/mlを使用して、I-ロードクロサイト(CA)水のマンガンイオンのコラーゲン合成活性を測定した。具体的には、図4はI-ロードクロサイト(CA)水およびMAP溶液18μg/mlの相対的コラーゲン合成活性を示しており、コラーゲン合成試験中にI-ロードクロサイト(CA)水を原液として使用し、さらに約0.01%(体積)、1%(体積)、および10%(体積)の濃度に希釈して測定した。図4に示した試験結果は、I-ロードクロサイト(CA)水が、知られているコラーゲン合成強化剤であるMAPに匹敵する著しいコラーゲン合成活性を有することを示している。
【0051】
上記のコラーゲン合成活性試験は、ヒト胎児線維芽細胞を使用してin vitroで実施した。具体的には、培地で成長したヒト胎児線維芽細胞によって合成したコラーゲンを、色素、即ちダイレクトレッド80-Fluka43665で染色し、次いで比色分析で波長約540nmにて測定することができる。10%のウシ胎仔血清(FCS)-Sigma F2442を補充したBasal改変イーグル(BME)-Sigma B1522成長培地のみを含有する「対照」成長培地を得た。コラゲナーゼ合成活性を試験すべきそれぞれの組成物を、BMEおよび10%のFCSと混合して、「サンプル」成長培地を形成した。さらに、MAP18μg/mlを培地に添加して、「陽性対照」成長培地を形成した。かかる対照、サンプル、および陽性対照の培地でそれぞれ成長させたヒト胎児線維芽細胞を採取し、それぞれのヒト胎児線維芽細胞で合成したコラーゲンの量を、上記の方法に従って測定した。次いで、合成されたコラーゲンの量を示すそれぞれの吸光度単位(AU)を記録した。試験すべき組成物のコラーゲン合成活性を、以下のようにパーセンテージ(%)として算出した。
【0052】
コラーゲン合成%=(AUサンプル/AU対照)×100-100
ここではパーセンテージが高い程、コラーゲン合成活性も高くなる。
【0053】
(実施例IV)
サリチル酸(結合剤)0.2グラムを、S水99.75グラムに添加し、連続的に2時間撹拌した。次いで市販で購入したマラカイト粉末0.05グラムを、S水およびサリチル酸の混合物と混合し、それを連続的に5時間撹拌した。約0.22ミクロンの保持閾値を有するフィルターを使用する濾過によって、非溶解マラカイト粉末を溶液から除去した。濾過後の混合物のpH値を測定すると約3.62であった。得られた混合物を等量の追加のS水(キャッピング剤)と混合し、次いで約0.22ミクロンの保持閾値を有するフィルターを使用して再び濾過した。第2の濾過工程後の混合物のpHを測定すると約5.18であった。保存剤は添加しなかった。得られた溶液は、安定な緑色を特徴としており、これをS-マラカイト(SA)水と命名した。
【0054】
同様に、サリチル酸(結合剤)0.2wt%を脱イオン水99.75wt%と混合し、連続的に2時間撹拌した。混合物のpH値を測定すると約2.58であった。次いで市販で購入したマラカイト粉末0.05wt%を、脱イオン水およびサリチル酸の混合物と混合し、それを連続的に5時間撹拌した。混合物のpH値を再び測定すると約3.26であった。次いで混合物を等量の追加の脱イオン水と混合し、約5〜約10分間撹拌した。その後、約0.22ミクロンの保持閾値を有するフィルターを使用する濾過によって、非溶解マラカイト粉末を溶液から除去した。濾過後の溶液のpH値を測定すると約3.30であった。保存剤は添加しなかった。得られた溶液は、無色透明であり、これをD-マラカイト(SA)水と命名した。
【0055】
両方の溶液の無機イオン(即ち、この場合は銅イオン)の濃度を決定するために、原子吸光分析法を使用した。具体的には、D-マラカイト(SA)水は約120ppmの銅イオンを含有しており、S-マラカイト(SA)水は約115ppmの銅イオンを含有していた。
【0056】
次いで、S-マラカイト(SA)水中の銅イオンの酸素フリーラジカル抑制活性を、D-マラカイト(SA)水中の銅イオンの生物活性と比較した。具体的には、図5はS-マラカイト(SA)水およびD-マラカイト(SA)水の相対的酸素フリーラジカル抑制活性を示しており、酸素フリーラジカル抑制試験中にそれらを原液として使用し、さらに約0.5%(体積)および1%(体積)の濃度に希釈して測定した。図5に示した試験結果は、S-マラカイト(SA)水が、D-マラカイト(SA)水と比較して強化されたフリーラジカル抑制活性を有することを示している。
【0057】
(実施例V)
市販で購入したマラカイト粉末0.4グラムを、I水98.3グラムと混合し、連続的に2時間撹拌した。次いでクエン酸(結合剤)0.5グラムを混合物に添加し、それを連続的に5時間撹拌した。約0.22ミクロンの保持閾値を有するフィルターを使用する濾過によって、非溶解マラカイト粉末を溶液から除去した。濾過後の混合物のpH値を測定すると約3.05であった。最終的に、L-アルギニン(キャッピング剤)0.6グラムを混合物に添加し、それを連続的に約10分間撹拌した。L-アルギニンの添加後の混合物のpH値を再び測定すると約4.25であった。保存剤は添加しなかった。得られた溶液は、安定な青色を特徴としていた。
【0058】
(実施例VI)
約0.1mmの平均粒径を有する粉砕ロードクロサイト粒子1グラムを、I水98.5グラムおよびクエン酸(結合剤)0.5グラムと混合し、それを連続的に8時間撹拌した。約0.22ミクロンの保持閾値を有するフィルターを使用する濾過によって、非溶解ロードクロサイト粒子を溶液から除去した。最終的に、L-アルギニン(キャッピング剤)0.2グラムを混合物に添加した。L-アルギニンの添加後の混合物のpH値を測定すると約4.24であった。保存剤は添加しなかった。得られた溶液は、安定な黄色を特徴としていた。
【0059】
(実施例VII)
サリチル酸(結合剤)0.8グラムを、S水377グラムに添加し、連続的に1時間撹拌した。S水およびサリチル酸の混合物のpHを測定すると約2.72であった。約0.1mmの平均粒径を有する粉砕ロードクロサイト粒子2.0グラムを、S水およびサリチル酸の混合物に添加し、連続的に約5時間撹拌した。ロードクロサイト粒子添加後の混合物のpHを再び測定すると約5.43であった。追加のS水(キャッピング剤)20グラムを混合物に添加し、連続的に約5〜10分間撹拌した。追加のS水の添加後の混合物のpHを測定すると約6.38であった。約0.22ミクロンの保持閾値を有するフィルターを使用する濾過によって、非溶解ロードクロサイト粒子を溶液から除去した。濾過後の混合物のpH値を再び測定すると約6.31であった。保存剤は添加しなかった。得られた溶液は、安定な赤色を特徴としていた。
【0060】
特定の態様、特徴、および実施形態を参照しながら本発明を本明細書に記載してきたが、本発明は上述に限定されるものではなく、他の変形、改変、および代替実施形態に拡張され、それらを包含することを理解されたい。したがって本発明は、全てのかかる他の変形、改変、および代替実施形態を、先に特許請求した本発明の精神および範囲内にあるものとして包含するように構成され、そのように広義に解釈されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】マラカイト粉末をI水と混合することによって形成したサンプルによって示される酸素フリーラジカル抑制活性を、マラカイト粉末を脱イオン水と混合することによって形成したサンプルと比較して例示する棒グラフである。
【図2】マラカイト粉末をI水と混合することによって形成したサンプルによって示される抗コラゲナーゼ(またはコラゲナーゼ抑制)活性を、マラカイト粉末を脱イオン水と混合することによって形成したサンプルと比較して例示する棒グラフである。
【図3】I水中にマラカイト粉末、L-グルタミン酸、およびL-アルギニンを含有するサンプルによって示されるコラゲナーゼ抑制活性を、脱イオン水中に同じ成分を含有するサンプルと比較して例示する棒グラフである。
【図4】I水中にロードクロサイト粉末およびクエン酸を含有するサンプルによって示されるコラーゲン合成活性を、MAP(マグネシウム-アスコルビル-リン酸塩)18μg/mlを含有する陽性対照サンプルと比較して例示する棒グラフである。
【図5】S水中にマラカイト粉末およびサリチル酸を含有するサンプルによって示されるフリーラジカル抑制活性を、脱イオン水中に同じ成分を含有するサンプルと比較して例示する棒グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
I水、S水、およびそれらの組合せからなる群から選択される構造水を含む組成物であって、前記構造水が、水分子の少なくとも1つの荷電クラスターであって、前記荷電クラスターと結合してクラスター錯体を形成する少なくとも1つの無機イオンを有する前記荷電クラスターを含む組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つの無機イオンが、銅、マンガン、セレン、ケイ素、亜鉛、鉄、アルミニウム、カルシウム、カリウム、ナトリウム、リチウム、マグネシウム、銀、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つの無機イオンが、銅、マンガン、セレン、ケイ素、亜鉛、および鉄からなる群から選択される正荷電無機イオンである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つの無機イオンが、マラカイト、アズライト、クリソコラ、ロードクロサイト、ロードナイト、トルマリン、ルビー、カルサイト、ヘマタイト、およびそれらの組合せからなる群から選択される非水溶性鉱物によって放出される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
無色の請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記クラスター錯体が、水分子の少なくとも1つの荷電クラスターと結合した結合剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記結合剤が、クエン酸、サリチル酸、グルタミン酸、およびアスパラギン酸からなる群から選択される有機酸を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記クラスター錯体が、水分子の少なくとも1つの荷電クラスターと結合したキャッピング剤をさらに含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記構造水がI水であり、前記キャッピング剤が、アルギニン、リシン、ヒスチジン、および追加のI水からなる群から選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
構造水がS水であり、前記キャッピング剤が追加のS水を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
紫、青、緑、黄、および赤からなる群から選択される安定な色を特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
前記構造水が水分子の負荷電クラスターを含むI水であり、水分子の前記負荷電クラスターの少なくとも1つが、銅イオン、クエン酸、およびL-アルギニンと結合してクラスター錯体を形成し、安定な青色を特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項13】
前記構造水が水分子の負荷電クラスターを含むI水であり、水分子の前記負荷電クラスターの少なくとも1つが、銅イオン、グルタミン酸、およびL-アルギニンと結合してクラスター錯体を形成し、安定な紫色を特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項14】
前記構造水が水分子の正荷電クラスターを含むS水であり、水分子の前記正荷電クラスターの少なくとも1つが、サリチル酸、銅イオン、および追加のS水と結合してクラスター錯体を形成し、安定な緑色を特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項15】
前記構造水が水分子の負荷電クラスターを含むI水であり、水分子の前記負荷電クラスターの少なくとも1つが、マンガンイオン、クエン酸、およびL-アルギニンと結合してクラスター錯体を形成し、安定な黄色を特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項16】
前記構造水が水分子の正荷電クラスターを含むS水であり、水分子の前記正荷電クラスターの少なくとも1つが、サリチル酸、マンガンイオン、および追加のS水と結合してクラスター錯体を形成し、安定な赤色を特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項17】
可溶化しクラスター錯体に組み込まれる1つまたは複数の芳香剤をさらに含む、本質的に可溶化剤を含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
非水溶性鉱物の粒子をI水と混合する工程を含み、前記非水溶性鉱物の少なくとも一部分が可溶化し、少なくとも1つの正荷電無機イオンを放出し、I水中の水分子の少なくとも1つの負荷電クラスターと結合してクラスター錯体を形成する、組成物の形成方法。
【請求項19】
前記非水溶性鉱物粒子が、約1ミクロン〜約1mmの範囲の平均粒径を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つの結合剤を混合物に添加して少なくとも1つの正荷電無機イオンと結合させ、クラスター錯体の一部分を形成する工程をさらに含み、前記少なくとも1つの結合剤が、クエン酸、サリチル酸、グルタミン酸、およびアスパラギン酸からなる群から選択される有機酸を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
少なくとも1つのキャッピング剤を混合物に添加して少なくとも1つの結合剤と結合させ、クラスター錯体の一部分を形成する工程をさらに含み、前記少なくとも1つのキャッピング剤が、アルギニン、リシン、ヒスチジン、および追加のI水からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
非水溶性鉱物の非溶解粒子が、少なくとも1つの結合剤の添加後、少なくとも1つのキャッピング剤の添加前に濾過によって混合物から除去される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つの結合剤をS水に添加する工程であって、前記少なくとも1つの結合剤は、クエン酸、サリチル酸、グルタミン酸、およびアスパラギン酸からなる群から選択される有機酸を含み、S水中の水分子の少なくとも1つの正荷電クラスターと結合する前記工程と、
非水溶性鉱物の粒子を、S水および結合剤の混合物と混合する工程であって、非水溶性鉱物の少なくとも一部分は可溶化し、少なくとも1つの正荷電無機イオンを放出し、少なくとも1つの結合剤と結合してクラスター錯体を形成する前記工程を含む、組成物の形成方法。
【請求項24】
前記非水溶性鉱物粒子が、約1ミクロン〜約1mmの範囲の平均粒径を有する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
キャッピング剤としての追加のS水を混合物に添加して正荷電無機イオンと結合させ、クラスター錯体の一部分を形成する工程をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記非水溶性鉱物の非溶解粒子が、非水溶性鉱物の粒子をS水および結合剤の混合物と混合した後、追加のS水を添加する前に、約0.01ミクロン〜約1ミクロンの範囲の保持閾値を有する濾過によって混合物から除去される、請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−526083(P2009−526083A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554514(P2008−554514)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/061907
【国際公開番号】WO2007/120971
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(598100128)イーエルシー マネージメント エルエルシー (112)
【Fターム(参考)】