説明

樹脂シートの製造方法

【課題】金属ロールの表面から樹脂シートを適切に剥離可能な樹脂シートの製造方法及び表面からシートを適切に剥離可能な金属ロールを提供する。
【解決手段】この樹脂シートの製造方法は、加熱溶融状態の樹脂をダイから連続的に押し出して連続樹脂シートを製造するシート製造工程と、表面に厚さ0.5μm以下のめっき層を有する金属ロールの表面に連続樹脂シートを押し当てることによって連続樹脂シートを成形して樹脂シートを得る成形工程と、樹脂シートを金属ロールの表面から剥離する剥離工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂シートの製造方法及び金属ロールに関する。
【背景技術】
【0002】
表面に形状を有する樹脂シートを製造する方法として、押出機を用いて、樹脂を加熱溶融状態でダイから押し出し、連続した樹脂シート(連続樹脂シート)を製造し、転写型を用いて、連続樹脂シートの表面に転写型の形状を転写する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、シートの厚み方向に離間する第1押圧ロールと第2押圧ロールとの間に、連続樹脂シートを挟み込んで押圧し、第2押圧ロールの表面に形成された転写型の形状を、連続樹脂シートに転写している。第2押圧ロールの表面には、クロムめっき層、銅めっき層、ニッケルめっき層、又はニッケル−リンめっき層等のめっき層が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−220555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
押圧ロールの表面にあるめっき層の厚さは、通常1〜100μm程度である。この場合、押圧ロールの表面から樹脂シートを剥離する際に、条件によっては樹脂シートが適切に剥離しないおそれがある。例えば、条件によっては樹脂シートの幅方向において樹脂シートが不均一に押圧ロールに巻き付いて、不均一に剥離されると、樹脂シートに反りやうねりが発生する場合がある。また、条件によってはそもそも樹脂シートを押圧ロールから剥離できない場合もある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて為されたものであり、金属ロールの表面から樹脂シートを適切に剥離可能な樹脂シートの製造方法及び表面からシートを適切に剥離可能な金属ロールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本発明の一側面に係る樹脂シートの製造方法は、加熱溶融状態の樹脂をダイから連続的に押し出して連続樹脂シートを製造するシート製造工程と、表面に厚さ0.5μm以下のめっき層を有する金属ロールの前記表面に前記連続樹脂シートを押し当てることによって前記連続樹脂シートを成形して樹脂シートを得る成形工程と、前記樹脂シートを前記金属ロールの前記表面から剥離する剥離工程とを含む。
【0007】
この製造方法では、金属ロールの表面にあるめっき層の厚さが0.5μmを超える場合に比べて、金属ロールの表面から樹脂シートを適切に剥離可能である。めっき層の厚さが0.5μmを超える場合、金属ロールの表面から樹脂シートが適切に剥離せず、樹脂シートが金属ロールに巻き付いてしまうおそれがある。
【0008】
前記金属ロールの前記表面には、前記連続樹脂シートに形状を転写するための凹部が形成されていてもよい。
【0009】
金属ロールの表面に凹部が形成されている場合、表面積が増大するので通常であれば金属ロールの表面から樹脂シートを剥離し難くくなる。しかし、上述の製造方法では、金属ロールの表面から樹脂シートを適切に剥離可能である。
【0010】
前記めっき層がクロム層であってもよい。前記樹脂が熱可塑性樹脂であってもよい。前記熱可塑性樹脂が、アクリル樹脂、ポリスチレン、又はポリカーボネートであってもよい。
【0011】
前記樹脂のガラス転移温度をTg(℃)、前記樹脂シートの厚さをT(mm)としたときに、前記ダイから押し出される前記樹脂の温度を(Tg+50)℃〜(Tg+160)℃、前記金属ロールの温度を(Tg−30)℃〜(Tg+50)℃として、前記連続樹脂シートをライン速度(0.2/T)m/min〜(50/T)m/minで前記金属ロールの前記表面に押し当ててもよい。
【0012】
本発明の一側面に係る金属ロールは、表面に厚さ0.5μm以下のめっき層を有する。 この金属ロールでは、めっき層の厚さが0.5μmを超える場合に比べて、金属ロールの表面にシートを押し当てた後、金属ロールの表面からシートを適切に剥離可能である。めっき層の厚さが0.5μmを超える場合、金属ロールの表面からシートが適切に剥離せず、シートが金属ロールに巻き付いてしまうおそれがある。
【0013】
上記金属ロールは、ダイから連続的に押し出された加熱溶融状態の樹脂から製造される連続樹脂シートに押し当てることによって前記連続樹脂シートを成形するための金属ロールであってもよい。
【0014】
前記金属ロールの前記表面には凹部が形成されていてもよい。
【0015】
金属ロールの表面に凹部が形成されている場合、表面積が増大するので通常であれば金属ロールの表面にシートを押し当てた後、金属ロールの表面からシートを剥離し難くくなる。しかし、上述の金属ロールでは、金属ロールの表面からシートを適切に剥離可能である。
【0016】
前記めっき層がクロム層であってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、金属ロールの表面から樹脂シートを適切に剥離可能な樹脂シートの製造方法及び表面からシートを適切に剥離可能な金属ロールが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一実施形態に係る樹脂シートの製造装置を示す概略構成図である。
【図2】一実施形態に係る金属ロールの構成を模式的に示す斜視図である。
【図3】一実施形態に係る樹脂シートの構成を模式的に示す斜視図である。
【図4】金属ロールの表面に形成された凹部及び樹脂シートに形成された凸部を模式的に示す断面図である。
【図5】一実施形態に係る樹脂シートの製造方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
【0020】
(樹脂シートの製造装置)
図1は、一実施形態に係る樹脂シートの製造装置を示す概略構成図である。図1に示される樹脂シートの製造装置10は、本実施形態の樹脂シートの製造方法に使用可能な装置である。樹脂シートの製造装置10により、樹脂シート30が製造される。樹脂シートの製造装置10は、加熱溶融状態の樹脂を連続的に押し出すダイ12と、ダイ12から押し出された連続樹脂シート30Aを厚み方向の両側から押圧する第1押圧ロール14A及び第2押圧ロール14Bと、第2押圧ロール14Bの周面に沿って搬送された連続樹脂シート30Aを、第2押圧ロール14Bと共に厚み方向の両側から押圧する第3押圧ロール14C(金属ロール)とを備えている。また、樹脂シートの製造装置10は、樹脂をダイ12に供給する押出機16及び18を更に備えてもよい。押出機16は例えばスクリュー径40mmφの単軸押出機である。押出機18は例えばスクリュー径20mmφの単軸押出機である。
【0021】
第1押圧ロール14A、第2押圧ロール14B及び第3押圧ロール14Cは、例えば互いに平行な回転軸回りに回転可能な構成とされている。第1押圧ロール14A及び第2押圧ロール14Bは、連続樹脂シート30Aの厚み方向に離間して配置され、互いの周面同士の間隔は、連続樹脂シート30Aの厚みに応じて設定されている。第2押圧ロール14B及び第3押圧ロール14Cも、連続樹脂シート30Aの厚み方向に離間して配置され、互いの周面同士の間隔は、連続樹脂シート30Aの厚みに応じて設定されている。
【0022】
第1押圧ロール14A、第2押圧ロール14B及び第3押圧ロール14Cの直径は例えば100mm〜500mmである。第1押圧ロール14A及び第2押圧ロール14Bの周面は例えば鏡面である。
【0023】
図2は、一実施形態に係る金属ロールの構成を模式的に示す斜視図である。図2に示される第3押圧ロール14Cは、回転軸に沿って延びるロール本体22と、ロール本体の周面を覆う転写型24とを備える金属ロールである。ロール本体22は例えばステンレス鋼、鉄鋼等の金属からなる。転写型24は例えば円筒状の金属部材である。転写型24は、連続樹脂シート30Aに転写される凹凸形状を表面に有している。詳しくは、後述する。第3押圧ロール14Cは、形状ロール又は転写ロールとも呼ばれる。
【0024】
図3は、一実施形態に係る樹脂シートの構成を模式的に示す斜視図である。図3に示される樹脂シート30は、所定のサイズに切断されて形成されたものである。樹脂シート30は、例えば導光板、光拡散板等に使用可能である。樹脂シート30は、透過型画像表示装置(例えば液晶ディスプレイ)に搭載される面光源装置(例えばバックライト)の導光板として使用可能である。面光源装置としては、樹脂シート30の側面33にLEDなどの光源を対向配置し、樹脂シート30の側面33から入射した光を正面側に出射するエッジライト型面光源装置などが挙げられる。また、樹脂シート30の背面32に光源を対向配置して樹脂シート30を光拡散板として使用してもよい。
【0025】
樹脂シート30を導光板として用いる場合、通常、樹脂シート30の背面32(表面31と反対側の面)には、側面33から入射した光を乱反射させる反射加工が施される。反射加工として行う印刷の方法としては、シルク印刷のほかに、インクジェット印刷を行ってもよい。あるいは反射加工の方法としては、印刷ではなく、レーザー照射によりドット形状の凹凸を付与してもよい。
【0026】
樹脂シート30の表面31には、第1の方向(x軸方向)に延在すると共に、この第1の方向に直交する第2の方向(y軸方向)に並列配置された複数の凸部35が形成されている。凸部35は、第3押圧ロール14Cの転写型24によって形成される。
【0027】
樹脂シート30は、例えば屈折率が1.49〜1.59の透光性樹脂から形成されてもよい。樹脂シート30は、熱可塑性樹脂から形成されてもよい。熱可塑性樹脂は、加熱されることにより溶融状態となる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン、又はポリカーボネート等が挙げられる。なお、樹脂シート30は、熱硬化性樹脂を含んでもよい。また、樹脂シート30は、光拡散剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、帯電防止剤などの添加剤を含んでもよい。
【0028】
図4は、金属ロールの表面に形成された凹部及び樹脂シートに形成された凸部を模式的に示す断面図である。図4には第3押圧ロール14C及び樹脂シート30の一部が示されている。第3押圧ロール14Cの転写型24には、第3押圧ロール14Cの表面に設けられた複数の凹部26が形成されている。複数の凹部26は複数の凸部35に対応している。例えば、凹部26は、第3押圧ロール14Cの周方向に連続して形成されている溝である。複数の凹部26の深さDは例えば5〜500μmである。複数の凹部26の開口幅Wは例えば5〜500μmである。凹部26の断面形状としては、半円形状、半楕円形状などが挙げられる。また、凹部26の断面形状は、プリズム形状に対応した鋭角部を有するV字型形状でもよい。凹部26は、例えば、ダイヤモンドバイトや金属砥石等を用いた除去加工、レーザー加工、ケミカルエッチング等を用いて形成される。
【0029】
転写型24は、転写型本体24Aと、転写型本体24Aの表面を覆うめっき層24Bとを備える。転写型本体24Aは、例えば銅めっき層からなる。めっき層24Bは、第3押圧ロール14Cの最表面に位置する。めっき層24Bの厚さSは0.5μm以下であり、0.3μm以下であってもよい。めっき層24Bの厚さSは0μm超であり、0.1μm以上であってもよい。めっき層24Bの厚さSが凹部26の深さDよりも小さいので、めっき層24Bは凹部26の形状に沿って形成される。めっき層24Bは、例えば硬質クロム層等のクロム層であってもよいし、ニッケル層、ニッケル−リン層等であってもよい。
【0030】
(樹脂シートの製造方法)
図5は、一実施形態に係る樹脂シートの製造方法の手順を示すフローチャートである。本実施形態の樹脂シートの製造方法は、例えば、図1に示す樹脂シートの製造装置10を用いて実施可能である。図1及び図5に示されるように、本実施形態の樹脂シートの製造方法は、加熱溶融状態の樹脂をダイ12から連続的に押し出して連続樹脂シート30Aを製造するシート製造工程S1と、表面に厚さ0.5μm以下のめっき層24Bを有する第3押圧ロール14C(金属ロール)の表面に連続樹脂シート30Aを押し当てることによって連続樹脂シート30Aを成形して樹脂シート30を得る成形工程S2と、樹脂シート30を第3押圧ロール14Cの表面から剥離する剥離工程S3と、を含む。
【0031】
(シート製造工程)
シート製造工程S1では、樹脂を加熱溶融状態でダイ12から連続的に押し出して連続樹脂シート30Aを製造する。
【0032】
ダイ12としては、例えば、通常の押出成形法に用いられるものと同様の金属製のTダイなどが用いられる。ダイ12から樹脂を加熱溶融状態で押し出すには、通常の押出成形法と同様に、押出機16及び18のうち少なくとも1つが用いられる。押出機16及び18は一軸押出機であってもよいし、二軸押出機であってもよい。樹脂は押出機16及び18内で加熱され、溶融された状態でダイ12に送られ、押し出される。ダイ12から押し出された樹脂は、連続的にシート状となって押し出され、連続樹脂シート30Aとなる。
【0033】
シート製造工程S1においてダイ12から押し出される樹脂の温度は、樹脂のガラス転移温度をTg(℃)としたときに、例えば(Tg+50)℃〜(Tg+160)℃の範囲である。ダイ12から押し出される樹脂の温度は、ダイ12の設定温度に対応する。
【0034】
連続樹脂シート30Aは、第1押圧ロール14Aと第2押圧ロール14Bとの間において、連続樹脂シート30Aの厚み方向の両側から押圧される。その後、連続樹脂シート30Aは、第2押圧ロール14Bの周面に沿って搬送される。
【0035】
(成形工程)
成形工程S2では、図1に示されるように、連続樹脂シート30Aが、第2押圧ロール14Bと第3押圧ロール14Cとの間において、連続樹脂シート30Aの厚み方向の両側から押圧される。これにより、連続樹脂シート30Aが成形され、樹脂シート30が得られる。その後、樹脂シート30は、第3押圧ロール14Cの周面に沿って搬送される。
【0036】
本実施形態では、図4に示されるように、第3押圧ロール14Cの転写型24の表面形状が連続樹脂シート30Aに転写される。
【0037】
第3押圧ロール14Cの温度は、樹脂のガラス転移温度をTg(℃)としたときに、例えば(Tg−30)℃〜(Tg+50)℃の範囲である。第3押圧ロール14Cの温度は、第3押圧ロール14C内の流路を通る流体(例えばオイル)の設定温度に対応する。流体は、温度コントローラを備えた加熱装置で設定温度に加熱される。
【0038】
図1に示されるように、得られる樹脂シート30の厚さをT(mm)としたときに、連続樹脂シート30Aは、例えばライン速度(0.2/T)m/min〜(50/T)m/minで第3押圧ロール14Cの表面に押し当てられる。
【0039】
(剥離工程)
剥離工程S3では、図1に示されるように、樹脂シート30が第3押圧ロール14Cの表面から剥離される。
【0040】
上述の工程を経ることによって、樹脂シート30が製造される。この製造方法では、第3押圧ロール14Cの表面にあるめっき層24Bの厚さSが0.5μmを超える場合に比べて、第3押圧ロール14Cの表面から樹脂シート30を適切に剥離可能である。めっき層の厚さが0.5μmを超える場合、第3押圧ロールの表面から樹脂シートが適切に剥離せず、樹脂シートが金属ロールに巻き付いてしまうおそれがある。
【0041】
また、第3押圧ロール14Cの表面には、連続樹脂シート30Aに形状を転写するための凹部26が形成されている。第3押圧ロールの表面に凹部が形成されている場合、表面積が増大するので通常であれば第3押圧ロールの表面から樹脂シートを剥離し難くくなる。しかし、上述の製造方法では、第3押圧ロール14Cの表面から樹脂シート30を適切に剥離可能である。
【0042】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0043】
例えば、樹脂シートの製造装置10は第1押圧ロール14Aを備えなくてもよい。この場合、ダイ12から押し出された連続樹脂シート30Aは、第2押圧ロール14B及び第3押圧ロール14Cの間に直接供給される。
【0044】
樹脂シートの製造装置10において、第2押圧ロール14Bと第3押圧ロール14Cとの位置関係を逆にしてもよい。この場合、ダイ12から押し出された連続樹脂シート30Aは、第1押圧ロール14A及び第3押圧ロール14Cの間に供給された後、第2押圧ロール14B及び第3押圧ロール14Cの間に供給される。
【0045】
第3押圧ロール14Cは、凹部26が形成された転写型24に代えて、凹部26が形成されていない鏡面の周面を有してもよい。この場合、成形工程S2によって得られる樹脂シート30の表面は平坦になる。
【0046】
連続樹脂シート30Aに代えて種々の材料からなるシートを第3押圧ロール14Cの表面に押し当ててもよい。
【0047】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0048】
(実施例1)
図1に示す樹脂シートの製造装置10を用いて実施例1の樹脂シートを作製した。樹脂としては、アクリル樹脂(住友化学株式会社製、商品名:EXN)を用いた。樹脂のガラス転移温度Tgは102℃である。
【0049】
第3押圧ロール14Cとしては、以下のように作製した金属ロールを用いた。まず、鉄製のロール本体22の表面に厚さ400μmの銅めっき層を形成した。その後、銅めっき層に凹部26となる溝を形成し、溝が形成された銅めっき層上に厚さ0.3μmのサージェントクロムめっき層を形成した。凹部26の深さDは222μm、開口幅Wは400μmである。
【0050】
スクリュー径40mmφの単軸押出機(押出機16)及びスクリュー径20mmφの単軸押出機(押出機18)において90〜250℃で樹脂を溶融混練し、幅250mmのマルチマニホールドダイ(ダイ12)の温度を250℃として、ダイ12から連続樹脂シート30Aを共押出しした。すなわち、ダイ12から押し出される樹脂の温度は250℃である。第3押圧ロール14Cの温度を95℃とした。ライン速度は0.5m/minとした。得られた樹脂シート30の厚さTは30mmであった。
【0051】
(実施例2)
第3押圧ロール14Cの温度を100℃としたこと以外は実施例1と同様にして実施例2の樹脂シートを作製した。
【0052】
(実施例3)
第3押圧ロール14Cの温度を105℃としたこと以外は実施例1と同様にして実施例3の樹脂シートを作製した。
【0053】
(比較例1)
サージェントクロムめっき層の厚さを0.8μmとしたこと以外は実施例1と同様にして比較例1の樹脂シートを作製した。
【0054】
(比較例2)
サージェントクロムめっき層の厚さを0.8μmとしたこと以外は実施例2と同様にして比較例2の樹脂シートを作製した。
【0055】
(比較例3)
サージェントクロムめっき層の厚さを0.8μmとしたこと以外は実施例3と同様にして比較例3の樹脂シートを作製した。
【0056】
(評価結果)
実施例1及び2では、樹脂シート30が第3押圧ロール14Cに巻き付くことなく、第3押圧ロール14Cの表面から樹脂シート30を適切に剥離することができた。一方、比較例1及び2では、樹脂シートの幅方向において樹脂シートが不均一に第3押圧ロールに巻き付いてしまい、第3押圧ロールの表面から樹脂シートを適切に剥離することができなかった。
【0057】
実施例3では、樹脂シート30が第3押圧ロール14Cに少し巻き付いたものの、樹脂シート30の幅方向において一様に巻き付いていたので樹脂シート30を適切に剥離することができた。一方、比較例3では、第3押圧ロールの表面から樹脂シートを剥離することができなかった。
【0058】
実施例1〜3では、得られた樹脂シート30に反りやうねりは見られなかった。一方、比較例1〜2では、得られた樹脂シートに反りやうねりが見られた。比較例3では樹脂シートが得られなかった。よって、第3押圧ロール14Cの最表面に位置するサージェントクロムめっき層の厚さを小さく(0.5μm以下)することによって、樹脂シート30を第3押圧ロール14Cから適切に剥離可能であることが分かった。
【符号の説明】
【0059】
12…ダイ、14C…第3押圧ロール(金属ロール)、24B…めっき層、26…凹部、30…樹脂シート、30A…連続樹脂シート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱溶融状態の樹脂をダイから連続的に押し出して連続樹脂シートを製造するシート製造工程と、
表面に厚さ0.5μm以下のめっき層を有する金属ロールの前記表面に前記連続樹脂シートを押し当てることによって前記連続樹脂シートを成形して樹脂シートを得る成形工程と、
前記樹脂シートを前記金属ロールの前記表面から剥離する剥離工程と、
を含む、樹脂シートの製造方法。
【請求項2】
前記金属ロールの前記表面には、前記連続樹脂シートに形状を転写するための凹部が形成されている、請求項1に記載の樹脂シートの製造方法。
【請求項3】
前記めっき層がクロム層である、請求項1又は2に記載の樹脂シートの製造方法。
【請求項4】
前記樹脂が熱可塑性樹脂である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂シートの製造方法。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂が、アクリル樹脂、ポリスチレン、又はポリカーボネートである、請求項4に記載の樹脂シートの製造方法。
【請求項6】
前記樹脂のガラス転移温度をTg(℃)、前記樹脂シートの厚さをT(mm)としたときに、前記ダイから押し出される前記樹脂の温度を(Tg+50)℃〜(Tg+160)℃、前記金属ロールの温度を(Tg−30)℃〜(Tg+50)℃として、前記連続樹脂シートをライン速度(0.2/T)m/min〜(50/T)m/minで前記金属ロールの前記表面に押し当てる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂シートの製造方法。
【請求項7】
表面に厚さ0.5μm以下のめっき層を有する金属ロール。
【請求項8】
ダイから連続的に押し出された加熱溶融状態の樹脂から製造される連続樹脂シートに押し当てることによって前記連続樹脂シートを成形するための金属ロールである、請求項7に記載の金属ロール。
【請求項9】
前記金属ロールの前記表面には凹部が形成されている、請求項7又は8に記載の金属ロール。
【請求項10】
前記めっき層がクロム層である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の金属ロール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−22813(P2013−22813A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159017(P2011−159017)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】