説明

樹脂付きスクリーン印刷マスク作製用架橋性組成物

【課題】有機溶剤を含浸したウエスの擦りに対しても樹脂層の膜減りが発生しにくい樹脂付きスクリーン印刷マスクの作製に使用する架橋性組成物を提供する。
【解決手段】開口部を有するスクリーン印刷マスク1の一方の主表面上に架橋性組成物を含有してなる樹脂層4及びマスキング層3を形成する工程、前記スクリーン印刷マスクの樹脂層を設けた側とは反対側の主表面から樹脂層除去液を供給することによって樹脂層に開口部2を形成する工程とを含む樹脂付きスクリーン印刷マスクの作製方法で使用される架橋性組成物であって、少なくとも(A)カルボキシル基を含有するバインダーポリマー、(B)光重合開始剤、(C)分子内に少なくとも1個の重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物及び(D)多官能ブロック化イソシアネート化合物を含有してなることを特徴とする樹脂付きスクリーン印刷マスク作製用架橋性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂付きスクリーン印刷マスクの作製に使用するための架橋性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の小型化、多機能化に伴い、プリント配線基板の高密度化や配線パターンの微細化が進められており、プリント配線基板への電子部品の高密度実装化が広く行われている。このプリント配線基板への電子部品の高密度実装化においては、プリント配線基板面に電子部品を実装するためにクリーム半田を印刷し、半田端子に電子部品を搭載した後にリフロー炉で加熱して半田付けを行う。クリーム半田の印刷方法としては、スクリーン印刷による工程が広く用いられている。一般的に、スクリーン印刷は、パターン状の開口部が形成されたスクリーン印刷マスクを印刷すべき被印刷基板の上面にセットし、スクリーン印刷マスク上にクリーム半田等のペースト材料を供給してスキージによって掻き寄せることによって、開口部を通してペースト材料をパターン状に転写印刷する方法である。
【0003】
スクリーン印刷マスクを用いて被印刷基板面にクリーム半田を印刷し、電子部品の実装用の半田端子を形成した場合、パターンが高密度かつ高精細になると、クリーム半田のスクリーン印刷マスクからの抜け性の悪化を生じる。また、近年、環境面の問題からクリーム半田の素材も無鉛化の動きが高まっており、その対策の一環として、鉛を含まない鉛フリー半田が用いられるようになってきている。鉛フリーのクリーム半田は、従来のクリーム半田に比べ転写性に劣る傾向がある。転写性の悪化、具体的にはクリーム半田のスクリーン印刷マスクからの抜け性の悪化により、半田端子の突起や欠け、ひび割れ、抜け等の欠陥が発生する。また、被印刷基板とスクリーン印刷マスクの密着性の悪化により、クリーム半田の滲みが発生することもあり、いずれも歩留まり低下の大きな原因となっていた。
【0004】
このような問題を解決するために、メタルマスク上に樹脂層としてシリコーンエラストマーを積層し、レーザー法によって開口部を設けた樹脂付きスクリーン印刷マスクが提案されている(例えば、特許文献1参照)。樹脂層の存在によって被印刷基板との密着性が向上し、クリーム半田の滲みの発生しないスクリーン印刷を達成できるものの、樹脂層が被印刷基板と接着してしまい、樹脂付きスクリーン印刷マスクを引き上げる際に被印刷基板が持ち上がり、版離れが容易に実施できない問題がある。また、レーザー法によりメタルマスクと樹脂層を同時に一括で開口すると、メタルマスクから多量の熱が発生し、樹脂層の変形や変性を引き起こす場合があり、メタルマスクと樹脂層とをともに良好に開口するためのレーザー照射条件を定めるのが困難であるという問題もある。
【0005】
また、メタルマスクを作製した後に感光性樹脂層を形成し、フォトリソグラフ法によってメタルマスクの開口位置に合わせて感光性樹脂層を開口させる技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、印刷パターンが高密度かつ高精細になると、フォトリソグラフ法では、メタルマスクの開口位置に正確に位置ずれなく感光性樹脂層の開口を形成するのが困難であるという問題がある。
【0006】
一方、開口部を有するスクリーン印刷マスクの一方の主表面に、前記開口部と略同位置に開口部を有する樹脂層が設けられてなる樹脂付きスクリーン印刷マスクを製造する方法であって、前記スクリーン印刷マスクの一方の主表面上にラミネート加工によって樹脂層を被覆する工程と、前記スクリーン印刷マスクの樹脂層を設けた側とは反対側の主表面から樹脂層除去液を供給することによって樹脂層に開口部を形成する工程とを含む樹脂付きスクリーン印刷マスクを作製する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。この方法によっては、スクリーン印刷マスクの開口部と樹脂層の開口部との間で位置ずれが発生しないという効果や、レーザー法による一括開口がないため、樹脂層の変形が起こらないという効果が得られる。また、先に開口部を有するスクリーン印刷マスクを最適な製造条件で作製できるので、内壁面の平滑性や開口部形状の寸法精度等が良好なスクリーン印刷マスクに対して樹脂層を形成でき、スクリーン印刷マスクの板厚及び樹脂層の厚みを自由に設定することができるという効果も得られる。特許文献3では、カルボキシル基を含有するバインダーポリマー、分子内に少なくとも1個の重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物及び光重合開始剤を含む架橋性組成物を含有してなる樹脂層が提案されていて、開口部を形成した後に、紫外線照射処理による光架橋と加熱処理によって、樹脂層に耐性化処理が施されている。
【0007】
一般的に、スクリーン印刷マスクは、繰り返し使用することにより、スクリーン印刷マスクの開口部又は被印刷基板接触面にクリーム半田の残存物が発生する。この際、アルコール類やグリコール類といった有機溶剤によって超音波洗浄したり、有機溶剤を含浸したウエスやクリーニングペーパー類によって拭き取ったりする必要が生じる。そのため、有機溶剤に膨潤せず、ウエスの擦れに耐えうる樹脂層の形成が必要であった。特許文献3の架橋性組成物を含有してなる樹脂層においては、連続して有機溶剤の含浸したウエスにて拭き取りを行うと、徐々に樹脂層がウエスに転写し、樹脂層の膜減りが発生し、その結果、クリーム半田印刷不良が発生する問題が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−311867号公報
【特許文献2】特許第3017752号公報
【特許文献3】国際公開第2007/117040号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、有機溶剤を含浸したウエスの擦りに対しても樹脂層の膜減りが発生しにくい樹脂付きスクリーン印刷マスクの作製に使用する架橋性組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、開口部を有するスクリーン印刷マスクの一方の主表面上に架橋性組成物を含有してなる樹脂層及びマスキング層を形成する工程、前記スクリーン印刷マスクの樹脂層を設けた側とは反対側の主表面から樹脂層除去液を供給することによって樹脂層に開口部を形成する工程とを含む樹脂付きスクリーン印刷マスクの作製方法で使用される架橋性組成物であって、少なくとも(A)カルボキシル基を含有するバインダーポリマー、(B)光重合開始剤、(C)分子内に少なくとも1個の重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、(D)多官能ブロック化イソシアネート化合物を含有してなる樹脂付きスクリーン印刷マスク作製用架橋性組成物によって、上記課題を解決できることを見出した。
【発明の効果】
【0011】
本発明の樹脂付きスクリーン印刷マスク作製用架橋性組成物は、成分(B)及び成分(C)を含有しているので、開口部を形成した後に光架橋を行うことで、硬化被膜が形成される。さらに、加熱処理を行うことで、成分(D)中のブロック化イソシアネート基から発生したイソシアネート基と成分(A)中のカルボキシル基との熱架橋による強固な結合が形成され、耐溶剤性、耐擦り性により優れた硬化被膜が得られることから、有機溶剤を含浸したウエスの擦りに対しても樹脂層の膜減りが発生しにくい樹脂付きスクリーン印刷マスクを作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係わる樹脂付きスクリーン印刷マスクを作製する方法の一工程を表す断面図。
【図2】本発明に係わる樹脂付きスクリーン印刷マスクを作製する方法の一工程を表す断面図。
【図3】本発明に係わる樹脂付きスクリーン印刷マスクを作製する方法の一工程を表す断面図。
【図4】本発明に係わる樹脂付きスクリーン印刷マスクを作製する方法の一工程を表す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の樹脂付きスクリーン印刷マスク作製用架橋性組成物(以下、「本発明の架橋性組成物」という)について詳細に説明する。被印刷基板としてプリント配線基板、ペースト材料としてクリーム半田を例に挙げて説明するが、本発明の趣旨に反しない限り、この例に限定されるものではない。
【0014】
図面を用いて、本発明に係わる樹脂付きスクリーン印刷マスクの作製方法を説明する。開口部2を有するスクリーン印刷マスク1(図1)の一方の主表面(以下、「第1面」とする)上に、開口部を塞ぐように、ラミネートによって樹脂層4及びマスキング層3を形成する(図2)。次に、もう一方の主表面(以下、「第2面」とする)から樹脂層除去液を供給する。樹脂層除去液は開口部2を通って、第1面の樹脂層4に達し、開口部2上の樹脂層4を除去する(図3)。マスキング層3は、この樹脂層除去液に対して不溶性の成分からなり、従って、樹脂層除去液は、樹脂層4の開口部2上を正確かつ選択的に精度よく除去できる。開口部2上の樹脂層4を除去した後、マスキング層3を除去することにより(図4)、樹脂層4の開口部2上が除去された樹脂付きスクリーン印刷マスクを作製することができる。
【0015】
樹脂層は、本発明の架橋性組成物を含有してなる。本発明の架橋性組成物は、少なくとも(A)カルボキシル基を含有するバインダーポリマー、(B)光重合開始剤、(C)分子内に少なくとも1個の重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、(D)多官能ブロック化イソシアネート化合物を含有してなる。
【0016】
成分(A)としては、成分(C)及び成分(D)と共に光架橋及び熱架橋可能な重合体であればよく、特に制限されない。例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、の有機高分子が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
樹脂層除去液にアルカリ水溶液を用いた場合、樹脂層除去液への溶解性が高いことから、アクリル系樹脂を用いることが好ましい。アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリレートを主成分とし、これにエチレン性不飽和カルボン酸及びその他の共重合可能なエチレン性不飽和基を有する単量体(以下、「重合性単量体」という)を共重合させてなるアクリル系重合体であればよい。
【0018】
上記(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0019】
上記エチレン性不飽和カルボン酸として、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸が好適に用いられ、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のジカルボン酸や、それらの無水物やハーフエステルを用いることもできる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸が特に好ましい。
【0020】
上記その他の重合性単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エトキシスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ビニルトルエン、酢酸ビニル、ビニル−n−ブチルエーテル等が挙げられる。
【0021】
本発明に係わる成分(A)において、2種類以上を組み合わせて用いる場合のバインダーポリマーの組み合わせとしては、例えば、異なる共重合成分を有する2種類以上のバインダーポリマーの組み合わせ、異なる質量平均分子量を有する2種類以上のバインダーポリマーの組み合わせ、異なる分散度(質量平均分子量/数平均分子量)を有する2種類以上のバインダーポリマーの組み合わせが挙げられる。
【0022】
成分(A)の酸価は、30〜500mgKOH/gであることが好ましく、100〜300mgKOH/gであることがより好ましい。樹脂層除去液としてアルカリ水溶液を用いた場合、この酸価が、30mgKOH/g未満では溶解までの時間が長くなる傾向があり、一方、500mgKOH/gを超えると、スクリーン印刷用マスクへの樹脂層の貼り付きが悪くなる場合がある。
【0023】
また、成分(A)の質量平均分子量は、10000〜200000であることが好ましく、10000〜150000であることがより好ましい。質量平均分子量が10000未満では本発明の架橋性組成物を被膜状態に形成するのが困難になることがあり、一方、200000を超えると樹脂層除去液に対する溶解性が悪化する傾向がある。
【0024】
本発明に係わる成分(B)としては、ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物等が挙げられる。上記2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体における2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は、同一であって対象な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。これらは単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0025】
本発明に係わる成分(C)としては、例えば、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物;グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー;ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレート;γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β′−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシアルキル−β′−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−o−フタレート等のフタル酸系化合物;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、EO、PO変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ここで、EO及びPOは、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドを示し、EO変性された化合物は、エチレンオキサイド基のブロック構造を有するものであり、PO変性された化合物は、プロピレンオキサイド基のブロック構造を有するものである。これらの光重合性化合物は単独で、又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
また、成分(C)として、分子内に3個以上の重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物を使用して、架橋点を増やすことにより、さらに高効率に架橋させることもできる。分子内に3個以上の重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレートのうち少なくとも1種を含有するものが挙げられる。
【0027】
本発明に係わる成分(D)とは、多官能イソシアネート化合物のイソシアネート基にブロック化剤を反応させることで得られ、常温で安定な化合物であるが、ある一定条件下で加熱すると、ブロック剤が開裂してイソシアネート基が発生する。ブロック剤としては、フェノール、クレゾール、p―エチルフェノール、p―tert―ブチルフェノール等のフェノール系、エタノール、ブタノール、エチレングリコール、メチルセルソルブ、ベンジルアルコール等のアルコール系、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル等の活性メチレン系、アセトアニリド、アセトアミド等の酸アミド系、その他イミド系、アミン系、イミダゾール系、ピラゾール系、尿素系、カルバミン酸系、イミン系、ホロドアルドキシム、アセトアルドキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム系、メルカプタン系、重亜硫酸ソーダ系、重亜硫酸カリウム等の亜硫酸塩系、ラクタム系等がある。
【0028】
上記多官能イソシアネート化合物としては、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサンメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、1,3−(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、ダイマー酸ジイソシアネート、並びにそれらのアダクト体、ビウレット体、イソシアヌレート体等のプレポリマーが挙げられる。
【0029】
本発明の架橋性組成物には、必要に応じて、上記成分(A)〜(D)以外の成分を含有させてもよい。このような成分としては、熱重合禁止剤、可塑剤、着色剤(染料、顔料)、光発色剤、熱発色防止剤、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱硬化剤、表面張力調整剤、撥水剤及び撥油剤等が挙げられ、各々0.01〜20質量%程度含有することができる。これらの成分は1種を単独で、又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
本発明の架橋性組成物は、必要に応じて、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−ブタノール、n−ヘキサノール等のアルコール類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−n−アミル、硫酸メチル、プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、安息香酸エチル等のエステル類、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の溶剤又はこれらの混合溶剤を含有させてもよい。
【0031】
本発明の架橋性組成物において、成分(A)の配合量は、成分(A)、成分(C)及び成分(D)の総量に対して25〜65質量%であることが好ましく、35〜55質量%であることがより好ましい。成分(A)の配合量が25質量%未満では、被膜性が悪くなることがある。成分(A)の配合量が65質量%を超えると、光架橋性が低下することがある。
【0032】
成分(B)の配合量は、成分(A)、成分(C)及び成分(D)の総量に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、0.2〜5質量%であることがより好ましい。成分(B)の配合量が0.1質量%未満では光重合性が不十分となる傾向があり、一方、10質量%を超えると、露光の際に光架橋性組成物の表面で吸収が増大して、樹脂層内部の光架橋が不十分となる傾向がある。
【0033】
成分(C)の配合量は、成分(A)、成分(C)及び成分(D)の総量に対して10〜50質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることがより好ましい。成分(C)の配合量が10質量%未満では、光感度が不十分となる傾向があり、一方、50質量%を超えると、膜表面のタック性が顕著になるだけでなく、硬化後の樹脂層が脆くなる傾向がある。
【0034】
成分(D)の配合量は、成分(A)、成分(C)及び成分(D)の総量に対して5〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。成分(D)の配合量が5質量%未満では、加熱後の耐溶剤性が不十分となることがあり、一方、40質量%を超えると、膜表面のタック性が顕著になるだけでなく、光感度が不十分となる傾向がある。
【0035】
本発明に係わる樹脂付きスクリーン印刷マスクの作製方法の工程のうち、第2面から樹脂層除去液を供給し、開口部2上の樹脂層4を除去したのち、マスキング層3を除去する工程(図4)の次に紫外線照射処理及び加熱処理によって、本発明の架橋性組成物の架橋反応を施すことが必要である。紫外線照射処理のみであると、十分な機械的強度及び耐溶剤性が得られないし、加熱処理のみであると、開口部のエッジ部が丸くなる現象が発生し、それによりクリーム半田の滲みが発生し、問題となる。先に、加熱処理を行って次に紫外線照射処理を行うと、この開口部のエッジが丸くなる現象が発生するので、先に、紫外線照射処理によって樹脂層の形状を保持させたのちに、加熱処理をする必要がある。
【0036】
紫外線照射処理は、高圧水銀灯、超高圧水銀灯等の光源を用いて活性光を照射する。光量は、0.5〜20J/cmであることが好ましく、1〜10J/cmであることがより好ましい。光量が0.5J/cm未満では、樹脂層中の光重合性化合物に未反応の不飽和基が残存し、十分な光架橋が行えない。一方、20J/cmを超えると、樹脂層中の光架橋反応は飽和に達するため、これ以上の光量は不要である。加熱処理は、使用するブロック化剤の開裂する温度以上が好ましい。加熱温度は、90〜250℃であるのが好ましく、140〜200℃であるのがさらに好ましい。90℃未満であると架橋反応の進みが遅く、250℃を超えると、他の成分の分解が発生する可能性がある。加熱時間は、10〜90分間行うのが好ましい。
【0037】
本発明に係わる樹脂付きスクリーン印刷マスクの樹脂層の厚みは、1〜100μmであるのが好ましく、5〜50μmであることがより好ましい。この樹脂層の厚みは、印刷すべきペースト材料の転写量に対して、適正量のペースト材料が印刷されるように、あらかじめ定められたスクリーン印刷マスクの厚みと合わせて決定される。樹脂層の厚みが大きすぎると、開口が不十分となったり、ペースト材料の粒子が入り込んで滲みが発生しやすくなる傾向がある。逆に薄すぎると、スクリーン印刷マスクと樹脂層との接着性が低下するだけでなく、樹脂層が被印刷基板表面の微細な凹凸を吸収できなくなり、被印刷基板と樹脂付きスクリーン印刷マスクとの密着性が低下して、滲みが発生し転写パターン間のブリッジの原因になることがある。
【0038】
本発明に係わるマスキング層としては、樹脂層除去液に対して不溶性又は難溶性である樹脂や金属等を使用することができる。樹脂としては、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルブチラールのようなビニルアセタール樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン及びその塩化物、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンイソフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル変性アルキッド樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリイミド樹脂、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース等のセルロースエステル誘導体等の樹脂が利用できる。汎用性の点から、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂等を好適に使用することができる。金属としては、銅やアルミニウム等を使用できる。マスキング層としては、簡便性や面内の均一性の点から金属よりも樹脂を用いるのがより好ましい。マスキング層は、フィルム形状として、樹脂層と一体化してスクリーン印刷マスク上に形成するようにすれば、工程上、簡便で安定に樹脂層とマスキング層の形成ができるので好ましい。
【0039】
本発明に係わる樹脂層とマスキング層とを一体に形成する方法としては、あらかじめ、マスキング層となる樹脂や金属等のフィルムに樹脂付きスクリーン印刷マスク作製用架橋性組成物を含有してなる樹脂層を形成し、ラミネータによりスクリーン印刷マスクに熱圧着する方法を好適に使用することができる。
【0040】
本発明に係わる樹脂層除去液としては、樹脂付きスクリーン印刷マスク作製用架橋性組成物(樹脂層)を溶解又は分散可能な液であり、使用する樹脂層の組成に見合った液を使用する。樹脂層除去液によって、開口部の樹脂層を除去し、開口部に樹脂層の存在しない領域を形成する。樹脂層除去液は、マスキング層を溶解しない液か、あるいは、マスキング層を溶解する液であっても、樹脂層を適正量分だけ溶解する条件において、マスキング層が膨潤したり、形状が変化したりすることがない液を使用する。また、スクリーン印刷マスクに対しても、溶解や膨潤、形状変化等を起こさせない樹脂層除去液を使用する。一般的には、アルカリ水溶液が有用に使用される。アルカリ水溶液としては、例えば、ケイ酸アルカリ金属塩、アルカリ金属水酸化物、リン酸又は炭酸アルカリ金属塩、リン酸又は炭酸アンモニウム塩等の無機塩基性化合物の水溶液、エタノールアミン、エチレンジアミン、プロパンジアミン、トリエチレンテトラミン、モルホリン等の有機塩基性化合物の水溶液を使用することができる。これら水溶液は、樹脂層に対する溶解性を制御するため、濃度、温度、スプレー圧等を調整する必要がある。樹脂層除去液の供給は、マスキング層を有する面と反対の面から、開口部を通して樹脂層に樹脂層除去液が接触するように供給できれば、いずれの方式を用いてもよい。ディップ処理装置、両面シャワースプレー装置、片面シャワースプレー装置等を利用することができる。樹脂層の除去は、樹脂層除去液による処理に続いて、水洗や酸処理を行うことによって、速やかに停止させることができる。
【0041】
本発明の樹脂付きスクリーン印刷マスクは、電子部品を実装するための半田端子の形成において、適正量のペースト材料を転写印刷するため開口部を有するが、その形状は多岐にわたる。例えば、円形、楕円形、正方形、長方形、菱形、台形等の四角形、六角形及び八角形等の多角形、その他、ひょうたん形、ダンベル形等の不定形等が挙げられる。また、開口部の大きさは、一般的な表面実装において、数百μm〜数十mm、高密度実装においては、大きさ30〜300μm、ピッチ間隔50〜500μmである。さらに、スクリーン印刷マスクの開口部はテーパーを有している場合もある。
【0042】
本発明に係わる樹脂付きスクリーン印刷マスクは、片面にペースト材料をのせ、スキージで掻き寄せることでペースト材料をパターン上に転写することができるものであれば、いずれの方式で作製したスクリーン印刷マスクも使用できる。アディティブ法で作製したメタルマスク、レーザー法で作製したメタルマスク、エッチング法で作製したメタルマスク、メッシュ層の上に開口部を形成したスクリーン印刷マスキング層を有する印刷用マスク(エマルジョン型スクリーン印刷マスク、ソリッドマスク、サスペンドマスク)等がある。
【0043】
本発明に係わる樹脂付きスクリーン印刷マスクに用いられるスクリーン印刷マスクの材料としては、ニッケル、銅、クロム、亜鉛、鉄等を主成分とする金属、あるいは合金、又はステンレス等の金属板が好ましい。スクリーン印刷マスクの厚みは30〜400μmで、前記の金属や合金の単層体でも積層体でもよい。また、エマルジョン型スクリーン印刷マスク(メッシュマスク)の場合、メッシュ材質の種類によって、金属線を平織りにした金属メッシュ、樹脂線を平織りにした樹脂メッシュがある。また、非織物のメッシュもあり、これは、ニッケル等の金属をアディティブ法(電鋳法)によってメッシュ状に析出形成させたものである。さらに、各種平織りメッシュに金属メッキを施して、交点を固定して寸法安定性を改善させたメッキスクリーンと呼ばれるメッシュも用いられている。
【0044】
本発明に係わる樹脂付きスクリーン印刷マスクは、いかなるスクリーン印刷にも使用できるが、通常は、剛性のある枠に取り付けて用いられる。例えば、剛性のある金属製の枠にまずメッシュ(紗)を貼り付け、そのメッシュの中央部に、作製した樹脂付きスクリーン印刷マスクの樹脂層と反対側の面の外周部を接着剤によってメッシュに貼り付ける。続いて、接着部以外の内側のメッシュを切り取ることによって、枠付きの樹脂付きスクリーン印刷マスクを作製することができる。
【実施例】
【0045】
以下実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0046】
(実施例1〜11、比較例1、2)
表1に示す各成分を混合し、樹脂付きスクリーン印刷マスク作製用架橋性組成物用の塗工液を得た。なお、表1における各成分配合量の単位は、質量部を表す。得られた塗工液を、ワイヤーバーを用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名:R310、25μm厚、三菱化学ポリエステルフィルム社製、マスキング層として使用)上に塗工し、100℃で3分間乾燥し、溶剤成分をとばし、PETフィルムの片面上に実施例1〜11、比較例1、2の樹脂付きスクリーン印刷マスク作製用架橋性組成物(乾燥膜厚:20μm)を含有してなる樹脂層を得た。
【0047】
【表1】

【0048】
表1において、各成分は以下の通りである。
(A−1)成分;メチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/メタクリル酸を質量比58/15/27で共重合させた共重合樹脂(1−メトキシ−2−プロパノールを溶剤とした35質量%溶液、酸価176mgKOH/g、質量平均分子量70000)、
(A−2)成分;メチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/メタクリル酸を質量比70/15/15で共重合させた共重合樹脂(1−メトキシ−2−プロパノールを溶剤とした35質量%溶液、酸価104mgKOH/g、質量平均分子量12000)、
(A−3)成分;メチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/メタクリル酸を質量比25/30/45で共重合させた共重合樹脂(1−メトキシ−2−プロパノールを溶剤とした35質量%溶液、酸価293mgKOH/g、質量平均分子量140000)、
(B−1)2−(2′−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体
(B−2)4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
(C−1)2,2′−ビス−(4−メタクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン(商品名:BPE−500、新中村化学工業社製)
(C−2)ペンタエリスリトールトリアクリレート(商品名:PE−3A、共栄社化学社製)
(C−3)トリメチロールプロパントリアクリレート(商品名:TMP−A、共栄社化学社製)
(D―1)スミジュールBL3175(商品名、住化バイエルウレタン社製、ベース:1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ブロック剤:メチルエチルケトンオキシム、固形分75%)
(D−2)デスモジュールBL1100(商品名、住化バイエルウレタン社製、ベース:2,6−トリレンジイソシアネート、ブロック剤:ε−カプロラクタム)
(D−3)ディスモサーム2170(商品名、住化バイエルウレタン社製、ベース:4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ブロック剤:活性メチレン、固形分70%)
【0049】
次に、厚さ100μmのステンレス板(SUS304)にYAGレーザーで多数の開口部を形成し、面積400×480mmのスクリーン印刷マスクを作製し、上記で得られた実施例1〜11及び比較例1、2を該スクリーン印刷マスクの第1面に100℃で熱圧着し、樹脂層及びマスキング層を設けた。
【0050】
次に、10質量%の炭酸ナトリウム水溶液(30℃)の樹脂層除去液を用いて、スクリーン印刷マスクの第2面側よりシャワースプレーを当てて、第1面の開口部上の樹脂層を除去し、水洗後マスキング層を除去した。光学顕微鏡を用いて面内10箇所で開口部を観察したところ、つば残りがなく、良好な開口が実施できた。さらに、全面にわたって樹脂層開口部の位置ずれはなく、20μmの厚みをもった樹脂層が形成されていた。
【0051】
次に、吸引密着機構を有する焼付用高圧水銀灯光源装置(商品名:ユニレックURM300、ウシオ電機社製、12mW/cm)を用いて、300秒間紫外線を照射し、樹脂層を光架橋させた。さらに、150℃のオーブン中で30分間加熱処理し、樹脂層を熱架橋させて、樹脂付きスクリーン印刷マスクを作製した。
【0052】
実施例1〜11及び比較例1、2で作製された樹脂付きスクリーン印刷マスクを、パレット上に載置したプリント配線基板上にセットし、スキージによりクリーム半田をスクリーン印刷した。実施例1〜11及び比較例1、2すべての樹脂付きスクリーン印刷用マスクを用いた場合において、クリーム半田の滲みは少なく、印刷後の開口部内のクリーム半田残りも少なく良好な印刷ができ、初期印刷性が良好であることが確認できた。
【0053】
次に、樹脂付きスクリーン印刷マスクの被印刷基板接触面に発生したクリーム半田の残存物を有機溶剤で浸したウエスによって擦りとる必要が生じたため、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトンの溶剤を浸した3種類のウエスによって、拭き取り試験を行った。拭き取り試験は、断面積28.3cmの円柱の重り500gにウエス(商品名:ナノワイパー、三菱製紙社製)を3重に巻き付け、該ウエスに各溶剤を適量含浸し、20mm/secにて200往復擦りつけた。擦った部分の膜厚を、マイクロメーターを用いて膜厚を測定し残存膜厚によって次のように3段階の評価を実施した。○:19μm以上20μm以下、△:17μm以上19μm未満、×17μm未満。
【0054】
上記の結果を表2に示した。実施例1〜11で得られた樹脂付きスクリーン印刷用マスクでは、非常に良好な耐溶剤性が確認できた。その後、1000版以上印刷し、5版印刷に1回の割合でイソプロピルアルコールを含浸したウエス洗浄を行い、200回以上ウエスでの洗浄を行った後でも、膜減りがなく、クリーム半田の転写量が減少しなかった。一方、比較例のものは、初期印刷特性が良好であったが、100版印刷(20回ウエス洗浄)において、クリーム半田転写量の減少及びクリーム半田の滲みが発生しはじめた。
【0055】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の樹脂付きスクリーン印刷マスクは、広くスクリーン印刷の用途に適用可能であり、例えば、ペースト材としては、導電性材料、絶縁性材料、色材、封止材料、接着材料、レジスト材料、処理薬剤等を、スクリーン印刷によって任意の基材上にパターン形成を行う用途に適用できる。
【符号の説明】
【0057】
1 スクリーン印刷マスク
2 開口部
3 マスキング層
4 樹脂層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有するスクリーン印刷マスクの一方の主表面上に架橋性組成物を含有してなる樹脂層及びマスキング層を形成する工程、前記スクリーン印刷マスクの樹脂層を設けた側とは反対側の主表面から樹脂層除去液を供給することによって樹脂層に開口部を形成する工程とを含む樹脂付きスクリーン印刷マスクの作製方法で使用される架橋性組成物であって、少なくとも(A)カルボキシル基を含有するバインダーポリマー、(B)光重合開始剤、(C)分子内に少なくとも1個の重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物及び(D)多官能ブロック化イソシアネート化合物を含有してなることを特徴とする樹脂付きスクリーン印刷マスク作製用架橋性組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−212516(P2010−212516A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58506(P2009−58506)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】