説明

樹脂層付アクティブマトリクス基板の製造方法及び液晶素子

【課題】樹脂層付アクティブマトリクス基板への樹脂層形成時の不良率を低減する。
【解決手段】アクティブマトリクス基板上に、光重合開始剤、光重合性モノマー、バインダー、及び紫外線吸収剤を含む感光性樹脂層を形成する工程と、該感光性樹脂層をパターン露光する工程と、該感光性樹脂層を現像し該感光性樹脂層にコンタクト部を形成する工程とを有し、該感光性樹脂層の波長365nmでの光学濃度(OD)が0.8〜4であり、かつ該パターン露光時の露光マスクと該感光性樹脂層の距離が20〜200μmである樹脂層付アクティブマトリクス基板の製造方法である。
【数1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブマトリクス基板への樹脂層の形成方法に関する。更に詳しくは、多人数で見る携帯情報端末、パーソナルコンピューター、ワードプロセッサー、アミューズメント機器、テレビジョン装置などの平面ディスプレイ、シャッタ効果を利用した表示板、窓、扉、壁などに用いることができる液晶素子に用いられる樹脂層付アクティブマトリクス基板の製造方法とこの方法で得られた樹脂層付アクティブマトリクス基板を用いる液晶素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶素子は、従来、アクティブマトリクス基板とカラーフィルター付ガラス基板の間に液晶を封入して作成されてきたが、近年、高精細化時の開口率UP等の要求から、ガラス基板側に付与されていたカラーフィルターである着色層や透明層の一部または全て(本発明では樹脂層と呼ぶ事にする)をアクティブマトリクス基板側に形成しようとする試みが行われている。
例えば、有色有機フイルムを用いてアクティブマトリクス基板にカラーフィルターを形成している(例えば、特許文献1参照)。
このアクティブマトリクス基板側に形成された樹脂層上には透明電極が形成され、該樹脂層に形成されたコンタクトホールと呼ばれる穴を介して透明電極と下部の配線と接続される。しかし、該コンタクトホールでは接続不良が発生しやすいことがわかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−206888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の第1の目的は、樹脂層が形成されたアクティブマトリクス基板のコンタクトホールの接続不良を低減することができる樹脂層付アクティブマトリクス基板の製造方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、前記の方法で得られた樹脂層付アクティブマトリクス基板を用いた液晶素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した本発明の目的を達成するための樹脂層付アクティブマトリクス基板の製造方法は
<1> アクティブマトリクス基板上に、光重合開始剤、光重合性モノマー、バインダー、及び紫外線吸収剤を含む感光性樹脂層を形成する工程と、該感光性樹脂層をパターン露光する工程と、該感光性樹脂層を現像し該感光性樹脂層にコンタクト部を形成する工程とを有し、該感光性樹脂層の波長365nmでの光学濃度(OD)が0.8〜4であり、かつ該パターン露光時の露光マスクと該感光性樹脂層の距離が20〜200μmである樹脂層付アクティブマトリクス基板の製造方法である。
<2> 感光性樹脂の光学濃度(OD)が0.8〜3であることを特徴とする前記<1>に記載の樹脂層付アクティブマトリクス基板の製造方法である。
上記した本発明の目的を達成するための液晶素子は、
<3> 前記<1>または前記<2>に記載の製造方法で製造された樹脂層付アクティブマトリクス基板を用いたことを特徴とする液晶素子である。
【0006】
感光性樹脂層に形成されるコンタクトホールにおいて接続不良が生じる理由は、コンタクトホールの内周面で画素電極の切れが生じるものと考えられる。感光性樹脂層の光学濃度(OD)と、パターン露光時の露光マスクと該感光性樹脂層との距離とを、それぞれ所定の範囲に設定することで、感光性樹脂は、パターン露光と現像の後であっても該感光性樹脂層の少なくとも一部は該加熱温度において流動性を有し、しかるに所望の角度のテーパー状に形成され、画素電極の切れが生じにくくなるものと思われる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の樹脂層付きアクティブマトリクス基板の製造方法によれば、コンタクトホールの接続不良を低減することができる。
また、本発明の液晶素子によると、樹脂層付きアクティブマトリクス基板におけるコンタクトホールの接続不良が低減される結果、液晶素子としての表示品質の低下を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
(アクティブマトリクス基板)
本発明において「アクティブマトリクス基板」を「薄膜トランジスタ(TFT)、単結晶シリコントランジスタ(MOSFET)、ダイオード等が形成されている、液晶素子の基板」と定義する。
【0009】
(液晶素子)
液晶素子では、アクティブマトリクス基板とこのアクティブマトリクス基板に対向配置された対向基板と、アクティブマトリクス基板と対向基板との間に液晶層が形成されており、アクティブマトリクス基板上に制御信号を伝送する各ゲート信号線と映像信号を伝送する各ソース信号線を公差させて形成し、これらの信号線の公差部位に各スイッチング素子が形成される。
本発明の液晶素子としては、これらの信号線及びスイッチング素子上に感光性樹脂層が形成されたものが好ましい。この感光性樹脂層は、各原色のフィルム層からなるカラーフィルターでもよく、透明な感光性樹脂層からなる層間絶縁膜として機能させるものであってもよく、ブラックマトリックスでもよく、またカラーフィルターと透明な層間絶縁膜の両方をこの順に重ねたものでもよい。
このような液晶素子においては、各ソース信号線、各ゲート信号線、及び各画素電極間に感光性樹脂層が介在されるため、各信号線と各画素電極をオーバーラップさせることができ、画素の開口率を向上させることができる。
【0010】
(感光性樹脂層を形成する工程)
本発明において、アクティブマトリクス基板に感光性樹脂層を形成する方法は、染色法、電着法、及び顔料分散法等が挙げられるが、染色法、電着法では、カラーフィルターの耐候性に問題があり、顔料分散法では、スピンコート法による成膜時において、顔料の選択や顔料によるアクティブマトリクス基板の汚染等が問題が生じやすいので、ラミネート方式による感光性樹脂層の形成方法が最も好ましい。
【0011】
前記のラミネート方式による感光性樹脂層の形成方法としては、例えば、感光性樹脂層は特開平5−72724号公報に記述されている感光性転写材料、すなわち一体型となったフイルムを用いて形成することが好ましい。該一体型フイルムの構成の一例は支持体/熱可塑性樹脂層/酸素遮断膜/感光性樹脂層/保護フイルムである。(詳細は特開平5−72724号公報を参照)
【0012】
<感光性樹脂層>
本発明における感光性樹脂層は、光学濃度(OD)が0.5〜4であることが必要であり、好ましくは0.8〜4、より好ましくは0.8〜3、さらに好ましくは1.0〜2.5である。
本発明における光学濃度(OD)は、感光性樹脂層の被測定部分に入射する波長365nmの光の強度をI0 とし、感光性樹脂の被測定部分を透過して出射した波長365nmの光の強度をIとしたとき、下記の式で表される。
【0013】
【数1】

【0014】
感光性樹脂層は、感光性樹脂層組成物における光重合開始剤、UV吸収剤等の配合量を調整することによっての光学濃度(OD)を調整することができる。
本発明において、感光性樹脂層のODが0.5より小さいと、コンタクトホールの形成が不充分でコンタクトホールの接続不良が生じやすく、一方、感光性樹脂層のODが4、特に5を超えると、感光性樹脂層組成物の性状が好ましくなく、所定の感光性樹脂層の形成が困難となる。
【0015】
感光性を付与するための光重合系は表面硬化性のものが好ましい。表面硬化性を得るに酸素遮断膜を付与する、不活性ガス中や真空中で露光する、化学増幅系など酸素障害の無い重合系を用いる。
感光性樹脂組成物としては、ネガ型ジアゾ樹脂とバインダーからなる感光性樹脂組成物、光重合性組成物、アジド化合物とバインダーとからなる感光性樹脂組成物、桂皮酸型感光性樹脂組成物等が挙げられる。その中でも特に好ましいのは光重合開始剤、光重合性モノマーおよびバインダーを基本構成要素として含む感光性樹脂である。
本発明の感光性樹脂層の素材としては公知の、例えば特願平2−82262に記載されている感光性樹脂がすべて使用できる。
該感光性樹脂層には、アルカリ水溶液により現像可能なものと、有機溶剤により現像可能なものが知られているが、公害防止、労働安全性の確保の観点からアルカリ水溶液現像可能なものが好ましい。
【0016】
該感光性樹脂層には、特開平11−133600号公報記載の「重合性化合物B」「重合開始剤C」「界面活性剤」「接着助剤」や、その他の組成物が利用できる。
【0017】
該感光性樹脂層には、染料、顔料、紫外線吸収剤を必要により添加する。該顔料は感光性樹脂層中に均一に分散されており、好ましくは5μm以下の粒径、特に好ましくは1μm以下の粒径を有していなければならない。
好ましい染料ないし顔料の例は次の通りである。ビクトリア・ピュアーブルーBO(C.I.42595)、オーラミン(C.I.41000)、ファット・ブラックHB(C.I.26150)、モノライト・エローGT(C.I.ピグメントエロー12)、パーマネント・エローGR(C.I.ピグメント・エロー17)、パーマネント・エローHR(C.I.ピグメント・エロー83)、パーマネント・カーミンFBB(C.I.ピグメント・レッド146)、ホスターバームレッドESB(C.I.ピグメント・バイオレット19)、パーマネント・ルビーFBH(C.I.ピグメント・レッド11)ファステル・ピンクBスプラ(C.I.ピグメント・レッド81)モナストラル・ファースト・ブルー(C.I.ピグメント・ブルー15)、モノライト・ファースト・ブラックB(C.I.ピグメント・ブラック1)及びカーボン。
さらに、C.I.ピグメント・レッド97、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド149、C.I.ピグメント・レッド168、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド180、C.I.ピグメント・レッド192、C.I.ピグメント・レッド215、C.I.ピグメント・グリーン7、C.I.ピグメント・グリーン36、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:4、C.I.ピグメント・ブルー15:6、C.I.ピグメント・ブルー22、C.I.ピグメント・ブルー60、C.I.ピグメント・ブルー64を挙げることができる。
【0018】
好ましい紫外線吸収剤は、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、ニッケルキレート系、ヒンダードアミン系などが挙げられる。
具体的には、フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−4’−ヒドロキシベンゾエート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、エチル−2−シアノ−3,3−ジ−フェニルアクリレート、2,2’−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ニッケルジブチルジチオカーバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメトル−4−ピリジン)−セバケート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、サルチル酸フェニル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン縮合物、コハク酸−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリデニル)−エステル、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、7−{[4−クロロ−6−(ジエチルアミノ)−5−トリアジン−2−イル]アミノ}−3−フェニルクマリン等が挙げられる。
【0019】
<酸素遮断膜>
本発明では感光性樹脂層の上にさらに酸素遮断膜を形成して露光することが好ましい。該酸素遮断膜としては、低い酸素透過性を示し、水またはアルカリ水溶液に分散または溶解するものが好ましく、公知のものの中から適宜選択することができる。これらの内、特に好ましいのは、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンの組み合わせである。(詳細は特開平5−72724号公報参照。)
【0020】
(感光性樹脂層をパターン露光する工程)
<パターン露光>
本発明において、パターン露光とは、画像パターンが形成されたシャドウマスクを介して感光性樹脂層にパターン化された光を照射することである。このパターン露光時において、パターン露光時の露光マスクと該感光性樹脂層の距離が16〜300μmであることが必要であり、本発明においては20〜200μmとする。該距離の最も好ましくは30〜100μmである。
【0021】
前記の距離とは、厳密には露光マスクの感光性樹脂層に対面する面と、感光性樹脂層表面との距離を言い、この距離が16μm未満及び300μmを超える範囲では、コンタクトホールにおける画素電極の接続不良が生じやすい。
【0022】
パターン露光における露光量は、(N段目の透過率%)=100/((1.414)∧(N−1))となるように形成されたステップウェッジ付露光マスクで評価した際に、クリア段(感光性樹脂層がすべて除去できた段のうちの最小段)=2/ベタ段(感光性樹脂層が完全に残っている段のうちの最大段)=1程度からクリア段=8/ベタ段=5が好ましい。
【0023】
アクティブマトリクス基板上に感光性樹脂層を形成する工程においては、ラミネート方式により感光性樹脂層を形成する際に、それぞれの色の感光性樹脂層の光学濃度(OD)を前記範囲に調整し、それぞれの感光性樹脂層のパターン露光を前記した条件で行なうことが望ましい。
【0024】
(感光性樹脂層を現像し該樹脂層にコンタクト部を形成する工程)
感光性樹脂層の未硬化部分を除去するには現像液中で回転ブラシで擦るか湿潤スポンジで擦るなどの方法を組み合わせることができる。現像液の液温度は20℃〜40℃が好ましい。該現像処理の後に蒸留水、イオン交換水、超純水等による水洗工程を入れることが好ましい。
【0025】
この工程で使用される現像液は、特に制約はなく、公知の現像液を使用することができるが、現像液は感光性樹脂層が溶解型の現像挙動をするものが好ましい。現像液としては、例えば、pKa=7〜13の化合物を0.05〜5mole/Lの濃度含む現像液が好ましいが、さらに水と混和性を有す有機溶剤を少量添加しても良い。現像液のpHは8〜13が好ましい。水と混和性を有する有機溶剤は、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等がある。該有機溶剤の濃度は0.1重量%〜30重量%である。さらに公知の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の濃度は0.01重量%〜10重量%が好ましい。現像方式は、パドル現像、シャワー現像、シャワー&スピン現像、ディプ現像等のいずれでもよい。
【0026】
これらの現像によって感光性樹脂層にコンタクトホールが形成されるが、このコンタクトホールは、テーパー面(側面)の角度が基板に対し、30°〜60°の角度に形成されていることが好ましい。本発明では、コンタクト部形成後、透明電極形成前にアッシングやエッチングを実施し、コンタクト部の配線上を洗浄することが望ましい。
【実施例】
【0027】
以下、本発明を実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[一体型フイルムの作成]
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体に下記の処方H1、B1から成る塗布液を塗り付け、さらに下記感光性樹脂層溶液K、R、G、B、Sを塗り付け乾燥させ、該仮支持体の上に乾燥膜厚が14.6μmの熱可塑性樹脂層と乾燥膜厚が1.6μmの酸素遮断膜と各種乾燥膜厚(K、R、G、Bは2μm、Sは2.8μm)の感光層を設け、保護フイルムでカバーした。
こうして仮支持体と熱可塑性樹脂層と酸素遮断膜と感光層が一体となったフイルムを作成し、それぞれのサンプル名を、使用した感光性樹脂層溶液の記号K、R、G、B、Sとした。
【0028】
<熱可塑性樹脂層処方H1>
・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体 300重量部
・塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体 80重量部
・フタル酸ジブチル 80重量部
(メチルエチルケトンを適宜添加)
【0029】
<酸素遮断膜処方B1>
・ ポリビニルアルコール 200重量部
(水を適宜添加)
【0030】
<感光性樹脂層溶液K>
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 60重量部
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート 40重量部
・ミヒラーズケトン 3重量部
・2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルアミダジール二量体
3重量部
・カーボンブラック 6重量部
(メチルエチルケトンを適宜添加)
【0031】
<感光性樹脂層溶液R>
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 32重量部
・ペンタエリスリトールヘキサアクリレート 31重量部
・光重合開始剤 2.5重量部
2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−
1,3,4−オキサジアゾール
・UV吸収剤 12重量部
7−(2−(4−(3−ヒドロキシメチルピペリジノ)−6−
ジエチルアミノ)トリアジニルアミノ)−3−フェニルクマリン
・フェノチアジン 0.1重量部
・PR254 9.6重量部
(メチルエチルケトンを適宜添加)
【0032】
<感光性樹脂層溶液G>
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 30重量部
・ペンタエリスリトールヘキサアクリレート 29重量部
・光重合開始剤 1.5重量部
2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−
1,3,4−オキサジアゾール
・UV吸収剤 9.8重量部
7−(2−(4−(3−ヒドロキシメチルピペリジノ)−6−
ジエチルアミノ)トリアジニルアミノ)−3−フェニルクマリン
・PY138 10.1重量部
・PG36 20重量部
(メチルエチルケトンを適宜添加)
【0033】
<感光性樹脂層溶液B>
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 42重量部
・ペンタエリスリトールヘキサアクリレート 32重量部
・光重合開始剤 1.6重量部
2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−
1,3,4−オキサジアゾール
・フェノチアジン 0.2重量部
・PB15:6 24重量部
(メチルエチルケトンを適宜添加)
【0034】
<感光性樹脂層溶液S>
・ポリマー 24重量部
スチレン/マレイン酸共重合体ベンジルアミン変性物(共重合比68/32)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 20重量部
・光重合開始剤 IRG184(CAS947-19-3) 1重量部
・UV吸収剤 12重量部
7−(2−(4−(3−ヒドロキシメチルピペリジノ)−6−
ジエチルアミノ)トリアジニルアミノ)−3−フェニルクマリン
(メチルエチルケトンを適宜添加)
【0035】
[実施例1]コンタクトホール接続性の模擬テスト
アクティブマトリクス基板の配線部分の材料であるアルミニウムの板材を用いた模擬テストについて記述する。
【0036】
<基板の洗浄>
縦320mm横400mmのアルミニウム基板を、室温の超純水中で超音波洗浄1分後、エアーブローで水切り後、乾燥した。
<樹脂層の形成>
前記一体型フイルムR(感光性樹脂層の波長365nmでのODは1.5)の保護フイルムを剥離後、ラミネートした。
超高圧水銀灯を有すプロキシミティー型露光機で、露光マスク下面と該感光性フイルムの間の距離(本実施例ではこの距離を「プロキシ量」と呼ぶ事にする)を60μmに設定し、露光量30mJ/cm2でパターン露光後、下記組成の現像液P1にて38℃35秒シャワー現像し熱可塑性樹脂層と酸素遮断膜を除去した。
現像液P1の組成
・ 超純水 97重量部
・トリエタノールアミン 3重量部
(アルカリ金属濃度 50ppb)
【0037】
引き続き下記組成の現像液C1で33℃26秒シャワー現像し感光性樹脂層を現像し、パターン画像を得た。
現像液C1
・モノエタノールアミン 0.2mole/L
・アルカリ金属濃度 50ppb
・界面活性剤 5g/L
【0038】
引き続き、該基板に対して該樹脂層の側から超高圧水銀灯で100mJ/cm2の光でポスト露光後、温風循環型クリーンオーブンで220℃130分熱処理した。このサンプルを「実施例1A品」とした。
同様の方法で「実施例1B品」〜「実施例1G品」を作製した。但しこの場合は、プロキシ量を変化させた。
【0039】
[比較例]
実施例1と同様にプロキシ量を変えてサンプル作成した(但しプロキシ量0は、プロジェクション型露光機で感光性樹脂層面に焦点を結ぶ事で実施した)。
[評価例1]
ITOターゲットを設置したスパッタ装置にサンプルを入れ、真空度5×10-1Pa、温度180℃で90分予備加熱後、アルゴン80 酸素6の割合の混合ガスを流しながら20分間スパッタし0.2μmのITO膜を形成した。
サンプルを冷却後、コンタクトホール部の導通テストを行い、不良率を求めた。
プロキシ量(μm) 不良率
実施例1A 60 0
実施例1B 30 1
実施例1C 100 2
実施例1D 20 4
実施例1E 200 7
実施例1F 16 8
比較例1C 300 10
比較例1A 500 43
比較例1B 0 31
(不良率は100個のコンタクトホール中のNG数)
【0040】
[実施例2]
実施例1と同様にプロキシ量60でパターン露光して、サンプルを作製した。但し、感光性樹脂層の365nmのODを光重合開始剤とUV吸収剤の量で調整した。
【0041】
[比較例2]
実施例1と同様にプロキシ量60でパターン露光して、サンプルを作製した。但し、感光性樹脂層の365nmのODを光重合開始剤とUV吸収剤の量で調整した。
[測定例2]
感光性樹脂層OD 不良率
実施例2A 1.5 0
実施例2B 1.0 3
実施例2C 4 2
実施例2D 0.8 7
比較例2C 0.5 9
比較例2A 0.1 18
比較例2B (OD5のサンプルは作成途中で膜が脱落してNG)
(不良率は100個のコンタクトホール中のNG数)
【0042】
[実施例3]
上記一体型フイルムR、G、B、K(ODはそれぞれ1.5,3,2.5,4である。)を用い、プロキシ量を60μmとし、上記の現像液を用いた他は、特開平10−206,888号公報の記述に従って、カラーフィルター付きアクティブマトリスク基板を作製した。このカラーフィルター付きアクティブマトリスク基板は、コンタクトホールの接続不良はほとんど認められなかった。
【0043】
[実施例4]
上記一体型フイルムS(OD=2)を用いた他は、実施例3と同様の条件で、層間絶縁膜付きアクティブマトリクス基板を作製することができた。この層間絶縁膜付きアクティブマトリクス基板は、コンタクトホールの接続不良は、ほとんど認められなかった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブマトリクス基板上に、光重合開始剤、光重合性モノマー、バインダー、及び紫外線吸収剤を含む感光性樹脂層を形成する工程と、該感光性樹脂層をパターン露光する工程と、該感光性樹脂層を現像し該感光性樹脂層にコンタクト部を形成する工程とを有し、該感光性樹脂層の波長365nmでの光学濃度(OD)が0.8〜4であり、かつ該パターン露光時の露光マスクと該感光性樹脂層の距離が20〜200μmである樹脂層付アクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法で製造された樹脂層付アクティブマトリクス基板を用いた液晶素子。


【公開番号】特開2011−76116(P2011−76116A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294015(P2010−294015)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【分割の表示】特願2000−101456(P2000−101456)の分割
【原出願日】平成12年4月3日(2000.4.3)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】