説明

樹脂成形品のパートライン研磨装置

【課題】パートラインが様々な形状からなる樹脂成形品の何れも研磨処理することができ、かつ迅速に研磨する。
【解決手段】樹脂成形品Wのパートライン52のばり又は段差を研磨する、略垂直方向に回転するように配置した無端ベルト状の研磨ベルト1と、研磨ベルト1の一部を裏面から押圧して、研磨ベルト1の傾斜面の傾斜角度を可変可能に形成するために、研磨ベルト1を裏面に設けた可動自在になるベルト押圧用プーリ21と、仕上研磨をするための、研磨ベルト1よりヤスリ目が細かく、かつその硬さも柔らかい、板状の研磨板2と、樹脂成形品Wを、パートライン52が略水平方向になるように着脱自在に担持するワーク保持具3と、から成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂めっき処理前の樹脂成形品のパートライン、即ちばりを研磨する研磨技術に係り、特に凹凸部、角部や曲面部を有する樹脂成形品の周囲に形成されたパートラインを研磨する樹脂成形品のパートライン研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂めっきを施す樹脂成形品については、それを樹脂めっきした際に、クラック(割れ)が生じやすいので、樹脂成形する際に形成された外周部のパートラインを研磨している。また、直接人の手が触れる樹脂成形品については、パートラインを必ず研磨する必要がある。例えば、図11に示すように合成樹脂製の取っ手51のような樹脂成形品Wについては、金型成形の際にその接合部に形成されたパートライン52を研磨していた。
【0003】
従来は、このような樹脂成形品のパートラインについては、一つ一つの樹脂成形品を手作業で研磨していた。しかし、1個の樹脂成形品の研磨作業に約30秒から2分以上もかかり研磨処理に長時間を要していた。しかも、手作業の研磨はバラツキが多く、製品の一定品質を維持することが困難であった。
【0004】
そこで、樹脂成形品を自動研磨する技術が提案されている。例えば、特許文献1の特開2000−176807号公報「樹脂成形品のばり取り装置」のように、板状の樹脂成形品の外周部のばりを除去するための樹脂成形品のばり取り方法であって、複数の上記樹脂成形品を積層し、該積層状態の樹脂成形品の外周部に1以上の回転ブラシを接触させた状態で、該回転ブラシを回転駆動しつつ上記積層状態の樹脂成形品と上記回転ブラシとを該樹脂成形品の積層方向に相対移動させて各樹脂成形品の外周部のばりを順次除去する樹脂成形品のばり取り方法が提案されている。
【0005】
また、特許文献1には、積層状態の樹脂成形品を外周部の一部を露出させて積層方向に移動可能に案内支持する第1ガイド部と、上記第1ガイド部上の樹脂成形品の上記露出部分のばりを除去する第1回転ブラシと、上記第1ガイド部に接続して設けられ、上記積層状態の樹脂成形品を外周部の上記第1回転ブラシによるばりの除去が行われない部分を露出させて積層方向に移動可能に案内支持する第2ガイド部と、上記第2ガイド部上の樹脂成形品の上記露出部分のばりを除去する第2回転ブラシと、上記各樹脂成形品の外周部のばりが上記第1及び第2回転ブラシにより順次除去されるように上記積層状態の樹脂成形品を上記第1及び第2ガイド部上で積層方向に移動させる移動機構とを備えていることを特徴とする樹脂成形品のばり取り装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−176807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のばり取り方法、ばり取り装置は、スリットを有するような外周形状であっても、樹脂成形品のばり以外の部分に傷を付けることなく、かつ整列状態のままでばりの除去作業を行い、ブロックベルトのブロックのような板状の樹脂成形品の外周部のばりを除去することができる。しかし、合成樹脂製の取っ手のような凹凸部と曲面部を共に有する樹脂成形品の外周部のパートラインは研磨することは困難である。即ち、複雑な形状の樹脂成形品については、そのパートラインを円滑に研磨することができないという問題を
有していた。
【0008】
また、特許文献1のばり取り方法、ばり取り装置では、回転ブラシを採用しているので、樹脂成形品の研磨面に回転方向の傷が付きやすく、その後の樹脂めっきに不具合が生じやすいので、手に触れたときに違和感が生じる製品になりやすいという問題を有していた。
【0009】
更に、図12(a)に示すように樹脂成形品Wのパートライン52が樹脂成形品Wの上側角部に形成されたものでは、図13の工程図に示すように、研磨ベルト又は研磨バフの研磨面(GS)に対して、樹脂成形品Wを微妙に傾斜させて研磨する必要があった。傾斜させて研磨しないと、パートライン52以外の部分を不要に研磨するという問題を有していた。
【0010】
また、図12(b)に示すように 樹脂成形品Wのパートライン52が樹脂成形品Wの下側角部に形成されたものも、研磨ベルト又は研磨バフの研磨面(GS)に対して、樹脂成形品Wを微妙に傾斜させて研磨する必要があった。
【0011】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、研磨ベルトと、仕上研磨する板状の研磨板とを隣接配置すると共に、樹脂成形品の方向を可変させながら研磨する機構を設けると共に、樹脂成形品のパートラインの位置に応じて研磨ベルト又は研磨バフの研磨面を傾斜させることで、パートラインが様々な形状からなる樹脂成形品の何れも研磨処理することができ、かつ迅速に研磨することができる樹脂成形品のパートライン研磨装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の研磨装置は、樹脂めっきに供され、かつ凹凸部、角部や曲面部を有する樹脂成形品(W)について、その周囲の接合部に、金型成形の際に形成されたパートライン(52)を研磨するパートライン研磨装置であって、前記樹脂成形品(W)を樹脂めっきしたときに、クラックの起点の原因になるパートライン(52)のばり又は段差を研磨する無端ベルト状の研磨ベルト(1)と、前記研磨ベルト(1)を裏面から押圧して、該研磨ベルト(1)の一部に傾斜面を形成するために、該研磨ベルト(1)を裏面に設けた可動自在になるベルト押圧用プーリ(21)と、前記研磨ベルト(1)に隣接すると共に、前記樹脂成形品(W)のパートライン(52)に、該研磨ベルト(1)の研磨により発生した、樹脂めっきしたときに、クラックの起点の原因になるエッジ部分に、丸みを付けるための仕上研磨をする、該研磨ベルト(1)よりヤスリ目が細かく、かつその硬さも柔らかい、板状の研磨板(2)と、前記樹脂成形品(W)の上側角部又は下側角部に形成されたパートライン(52)の凹形状部や曲面形状部を研磨するために、前記研磨板(2)の研磨面が垂直方向に対して傾斜自在になるように、該研磨板(2)が取り付けられた回転板(10)に首振り自在に連結した回転軸(9)と、前記樹脂成形品(W)を担持するワーク保持具(3)と、前記ワーク保持具(3)を樹脂成形品(W)と共に、所定方向に移動させるワーク保持具可動機構(4)と、から成り、前記研磨ベルト(1)による研磨に引き続いて前記研磨板(2)による仕上研磨するために樹脂成形品(W)を迅速に移動させるように、該研磨ベルト(1)の研磨する面と、該研磨板(2)の研磨面とにより形成される角度(α)が90度から180度の範囲内になるように、研磨ベルト(1)と研磨板(2)とを配置した、ことを特徴とする。
【0013】
または、樹脂めっきに供され、かつ凹凸部、角部や曲面部を有する樹脂成形品(W)について、その周囲の接合部に、金型成形の際に形成されたパートライン(52)を研磨するパートライン研磨装置であって、前記樹脂成形品(W)を樹脂めっきしたときに、クラックの起点の原因になるパートライン(52)のばり又は段差を研磨する、略垂直方向に回転するように配置した無端ベルト状の研磨ベルト(1)と、前記研磨ベルト(1)の一部を裏面から押圧して、該研磨ベルト(1)の傾斜面の傾斜角度を可変可能に形成するために、該研磨ベルト(1)を裏面に設けた可動自在になるベルト押圧用プーリ(21)と、前記研磨ベルト(1)に隣接すると共に、前記樹脂成形品(W)のパートライン(52)に、該研磨ベルト(1)の研磨により発生した、樹脂めっきしたときに、クラックの起点の原因になるエッジ部分に、丸みを付けるために仕上研磨をする、該研磨ベルト(1)よりヤスリ目が細かく、かつその硬さも柔らかい、板状の研磨板(2)と、前記樹脂成形品(W)の上側角部又は下側角部に形成されたパートライン(52)の凹形状部や曲面形状部を研磨するために、前記研磨板(2)の研磨面が垂直方向に対して傾斜自在になるように、該研磨板(2)が取り付けられた回転板(10)に首振り自在に連結した回転軸(9)と、前記樹脂成形品(W)を、該パートライン(52)が略水平方向になるように着脱自在に担持するワーク保持具(3)と、前記ワーク保持具(3)を樹脂成形品(W)と共に、略水平の所定方向に移動させるワーク保持具可動機構(4)と、から成り、前記研磨ベルト(1)による研磨に引き続いて前記研磨板(2)による仕上研磨するために樹脂成形品(W)を迅速に移動させるように、該研磨ベルト(1)の研磨する面と、該研磨板(2)の研磨面とにより形成される角度(α)が90度から180度の範囲内になるように、研磨ベルト(1)と研磨板(2)とを配置した、ことを特徴とする。
【0014】
例えば、前記ベルト押圧用プーリ(21)は、前記研磨ベルト(1)裏面に向けて進退自在になる2個の押圧用プーリ(22)を設け、各押圧用プーリ(22)の突出距離を異なるように個別に進退させることにより、該研磨ベルト(1)の傾斜面の傾斜角度を可変できるように構成したものである。
あるいは、前記ベルト押圧用プーリ(21)は、前記研磨ベルト(1)裏面に向けて進退自在になる2個の押圧用プーリ(22)を連結部材(31)の両端にそれぞれ取り付け、該連結部材(31)の中間位置(32)でシーソー状に回動させることにより、該研磨ベルト(1)の傾斜面の傾斜角度を可変できるように構成したのである。
【0015】
前記研磨板(2)を、振動装置に取り付けることができる。
前記研磨板(2)を取り付ける回転板(10)の中心位置に、前記回転軸(9)の中心軸位置から偏心させる偏心部材(9a)を介して該回転軸(9)を連結することができる。
【0016】
前記研磨ベルト(1)を回転させる装置の一部に、該研磨ベルト(1)に付着した研磨滓を除去するクリーニング機構(11)を設けることが好ましい。
前記研磨板(2)を保持する回転板(10)に、前記回転軸(9)の軸方向に複数の噴射孔(41)を開け、該回転板(10)に研磨板(2)を取り付けた状態で、この噴射孔(41)から圧縮空気を噴射させ、該研磨板(2)に付着した研磨滓を除去するように構成することが好ましい。
前記クリーニング機構(11)は、超音波で洗浄し、水中で洗浄し、振動モータを利用し又は除電エアを噴射させることにより、研磨ベルト(1)に付着した研磨滓を除去する機構である。
前記ワーク保持具(3)には、樹脂成形品(W)に向けて噴射させる除電エアの噴射口を設けることが好ましい。
前記ワーク保持具可動機構(4)は、略水平方向と上下方向の所定方向に移動させるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の研磨装置では、研磨ベルト(1)と、仕上研磨する研磨板(2)とを隣接配置したので、研磨ベルト(1)に、樹脂成形品(W)の外周に形成された凹凸形状部、角部や曲面形状部のパートライン(52)を当てながら連続研磨し、隣の回転又は振動する研磨板(2)に、樹脂成形品(W)の周囲のパートライン(52)が擦るように、樹脂成形品(W)を略水平方向に移動させながら、この樹脂成形品(W)周囲のパートライン(52)を連続して仕上研磨することができる。特に、研磨ベルト(1)に隣接して、90度から180度の範囲内に研磨板(2)を配置したので、研磨ベルト(1)の研磨により発生した、樹脂めっきしたときに、クラックの起点の原因になる樹脂成形品(W)のエッジ部分については、研磨ベルト(1)よりヤスリ目が細かく、かつその硬さも柔らかい研磨板(2)の仕上研磨により、迅速に丸みを付けることができる。そこで、この樹脂成形品(W)を樹脂めっきする際に発生する「膨れ」や「クラック」を防止することができる。
【0018】
ベルト押圧用プーリ(21)を、研磨ベルト(1)の研磨位置を基準にこの位置より、例えば上方から押圧すると、樹脂成形品(W)の上方が突出し、下方が引き込んだ状態の傾斜角度を形成し、この傾斜した研磨ベルト(1)では、樹脂成形品(W)の上側に形成されたパートライン(52)を研磨するときに適する。逆に、ベルト押圧用プーリ(21)を、前記研磨ベルト(1)の研磨位置を基準にこの位置より下方から押圧すると、樹脂成形品(W)の下方が突出し、上方が引き込んだ状態の傾斜角度を形成し、この傾斜した研磨ベルト(1)では、樹脂成形品(W)の下側に形成されたパートライン(52)を研磨するときに適する。
【0019】
回転軸(9)に研磨板(2)を取り付ける回転板(10)を偏心して連結したものは、研磨板(2)を偏心させて回転させ、樹脂成形品(W)の周囲のパートライン(52)を仕上研磨することができる。これにより、樹脂成形品(W)の研磨面に回転方向の傷を付けないようにすることができる。
【0020】
研磨ベルト(1)を回転させる装置の一部に、研磨ベルト(1)に付着した研磨滓を除去するクリーニング機構(11)を設けたものでは、研磨ベルト(1)の作動中に、研磨滓をクリーニングしながら、樹脂成形品(W)を研磨することができる。研磨ベルト(1)の研磨面の目詰まりによる研磨能力を低下させることなく連続的に研磨することができる。
【0021】
ワーク保持具可動機構(4)を略水平方向と上下方向の所定方向に移動させることにより、パートライン(52)が直線的に形成されていない樹脂成形品(W)であってもその形状に合わせて樹脂成形品(W)を、水平方向と上下方向の移動を組み合わせながら研磨することができる。同様に、パートライン(52)が直線的に形成されているものであっても、樹脂成形品(W)の軸方向に対して傾斜状態でワーク保持具(3)を取り付けたことで、そのパートライン(52)の形状に合わせて樹脂成形品(W)を水平方向と上下方向の移動を組み合わせながら研磨することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例1の樹脂成形品のパートライン研磨装置を示す概略斜視図である。
【図2】実施例1の樹脂成形品のパートライン研磨装置を示す概略平面図である。
【図3】実施例1の樹脂成形品のパートライン研磨装置を示す概略側面図である。
【図4】研磨ベルトによるパートライン部分の研磨状態を示す拡大側面図である。
【図5】研磨装置における樹脂成形品の動作状態を示す説明平面図であり、(a)から(e)までは研磨ベルトによる研磨処理の状態、(f)から(j)は研磨板による仕上研磨処理の状態である。
【図6】研磨装置を用いた樹脂成形品のパートライン研磨方法を示す工程図である。
【図7】研磨ベルトによるパートライン部分の研磨状態を示す拡大側面図であり、(a)は上側角部にパートラインを研磨している状態、(b)は下側角部にパートラインを研磨している状態である。
【図8】実施例2のベルト押圧用プーリを示す拡大側面図であり、(a)は上側角部のパートラインを研磨している状態、(b)は下側角部のパートラインを研磨している状態である。
【図9】実施例3の研磨板の研磨滓を除去する噴射孔を開けた回転板を示す横断面図である。
【図10】実施例4の板状の研磨板を偏心回転させる状態であり、(a)は側面図であり、(b)は正面図である。
【図11】樹脂成形品の一例である合成樹脂製の取っ手にあらわれたパートラインを示す説明図である。
【図12】成樹脂製品にあらわれたパートラインを示す部分説明図であり、(a)は樹脂成形品の上側角部に形成されたパートライン、(b)は樹脂成形品の下側角部に形成されたパートラインである。
【図13】従来の樹脂成形品のパートライン研磨方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、凹凸部、角部や曲面部を有する樹脂成形品に形成されたパートラインについて、研磨ベルトによる連続して研磨する研磨ベルトと、研磨板による連続した仕上研磨する研磨板を隣接配置し、これらに対して樹脂成形品を移動させるワーク保持具可動機構とを配置した樹脂成形品のパートライン研磨装置である。
【実施例1】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は実施例1の樹脂成形品のパートライン研磨装置を示す概略斜視図である。図2は実施例1の樹脂成形品のパートライン研磨装置を示す概略平面図である。図3は実施例1の樹脂成形品のパートライン研磨装置を示す概略側面図である。
実施例1の本発明のパートライン研磨装置は、樹脂成形品Wのパートライン52を研磨する、略垂直方向に走行する無端ベルト状の研磨ベルト1と、この研磨ベルト1に隣接し、樹脂成形品Wのパートライン52を仕上研磨する研磨板2とを配置したものである。樹脂成形品Wは、ワーク保持具3を用いてそのパートライン52が略水平方向になるように担持するようになっている。このワーク保持具3は、ワーク保持具可動機構4により樹脂成形品Wと共に略水平の所定方向に移動させながら、凹凸部、角部や曲面部を有する樹脂成形品Wに形成されたパートライン52を研磨するようになっている。
【0025】
図1から図3の概略図示例では、研磨ベルト1と研磨板2とワーク保持具3とを配置したもののみを示しているが、実際のパートライン研磨装置では、樹脂成形品Wのパートライン52を研磨した研磨滓が飛散しないように、これらの装置を筐体内に収容する。筐体の一面には、樹脂成形品Wを出し入れする部分だけにドアを設ける。この筐体の一面は内部が見られるように透明板で製造することが好ましい。研磨ベルト1又は研磨板2による摩擦帯電によって静電気が生じる。その結果、電荷を帯びた研磨滓が樹脂成形品W、研磨ベルト1、研磨板2、ワーク保持具3又は筐体内壁に付着しやすくなる。そこで、静電気を除去するために除電エアを噴射させる(図示していない)。
【0026】
研磨ベルト1による研磨は、樹脂成形品Wのパートライン52のばり又は段差が、この樹脂成形品Wをめっき処理した際に、膨れ又はクラックの起点となるため、このばりや段差を除去することを目的とするものである。図1と図3の図示例では、樹脂成形品Wを研磨する位置において、研磨ベルト1を上から下に向けて走行させている(矢示線参照)。これは、ワーク保持具3に取り付けた樹脂成形品Wが研磨中に外れないようにするためである。ワーク保持具3に対して樹脂成形品Wを取り付ける状態に応じて研磨ベルト1の回転方向が決定される。
【0027】
この研磨ベルト1は、図3の概略側面図に示すように、略四角形状に配置したプーリ5と駆動輪6に掛け渡した。この駆動輪6は、モータ等の駆動機7に連結してプーリ5を回転させるものである。この駆動輪6又はプーリ5のいずれか1個は、研磨装置の使用に際して、研磨ベルト1にテンションをかけるようになっている。本発明の研磨装置を使用していないときは、駆動輪6又はプーリ5を研磨ベルト1に接触させないで、研磨ベルト1が伸びないようにしている。
【0028】
この研磨ベルト1は、例えば布製の研磨ベルトで、ヤスリ目は#120〜2000が適当であった。この研磨ベルト1は、ベルトの伸びが比較的に小さいものが好ましい。研磨ベルト1の伸びが大きいと、一日の研磨後の製品のばらつきが大きくなるからである。この研磨ベルト1の長さと幅は、樹脂成形品Wの寸法やパートライン研磨装置の規模に応じて決定される。
【0029】
図3に示すように、研磨位置における研磨ベルト1の裏面には、ベルト押圧用プーリ21を配置する。このベルト押圧用プーリ21は、研磨ベルト1の研磨位置を挟むように間隔を空けて研磨ベルト1を部分的に押圧する押圧用プーリ22を進退自在に2箇所設けた。棒状部材23の先端に押圧用プーリ22を設け、この棒状部材23は、操作部24で支持され、かつ、図示上の左右方向、即ち、研磨ベルト1の裏面側に近づけるように構成されたものである。具体的には、回転ハンドル25の操作で、進退自在になり、ストッパ26でその位置を維持できるようになっている。各ベルト押圧用プーリ21の突出距離を異なるように個別に進退させることにより、研磨ベルト1の傾斜面の傾斜角度を可変できるように構成した。
通常は、図4に示すように、各押圧用プーリ22の突出距離を同一にして研磨ベルト
1の研磨面を略垂直状態にして使用する。
【0030】
研磨ベルト1が樹脂成形品Wのパートライン52を研磨する面と反対の面を、研磨ベルト1の内側から押圧するパッドを設けることも可能である(図示していない)。このパッドは、上述したベルト押圧用プーリ21に代え又は併せて設ける。このパッドは樹脂成形品Wの凹部のパートライン52を的確に研磨するものである。このパッドにより、樹脂成形品Wのパートライン52の平坦面と曲面を均一に研磨できる。このパッドの前後動の駆動は、樹脂成形品Wのパートライン52の形状に応じて制御するようになっている。例えば、直線形状が多いパートライン52には、押圧面が直線形状のパッドを用い、凹凸が多いパートライン52には、押圧面が小さいパッドを用いることで、パートライン52の様々な形状に対応できるようにする。また、パッドの前後動の駆動制御はプログラムに連動させることができる。
【0031】
研磨ベルト1に隣接して研磨板2を配置した。この研磨板2による仕上研磨は、研磨ベルト1の研磨により発生した樹脂成形品W周囲のエッジ部分についても、この樹脂成形品Wを樹脂めっき処理した際に、膨れ又はクラックの原因となるために丸みを付けて、それを防止することを目的とする。
【0032】
研磨板2は、略水平に配置した回転軸9に連結した回転板10に取り付けたものである。本発明では図2の概略平面図に示すように、研磨ベルト1の研磨する面と、研磨板2の研磨面とにより形成される角度αが90度から180度の範囲内になるように、研磨ベルト1と研磨板2とを配置した。これは、研磨ベルト1による研磨に引き続いて研磨板2による仕上研磨するために樹脂成形品Wを迅速に移動させやすくするためである。
【0033】
研磨ベルト1を走行(回転)させる装置の一部に、研磨ベルト1に付着した研磨滓を除去するクリーニング機構11を設ける。このクリーニング機構11では、研磨ベルト1を超音波洗浄する方法を用いた。樹脂成形品Wの種類に応じては、水中で洗浄する方法、圧縮空気を吹き付ける方法、振動モータで落下させる方法、除電エアを噴射する方法等を用いることができる。このクリーニング機構11では冷却効果も期待できる。このクリーニング機構11により、研磨ベルト1の作動中に、研磨滓を除去しながら、樹脂成形品Wを研磨することができる。そこで、研磨ベルト1の研磨面の目詰まりによる研磨能力を低下させることなく連続的に研磨することが可能になる。
【0034】
なお、図示例の研磨ベルト1の走法方向は、上から下に向けて回転させるものを示している。研磨ベルト1の走法方向は、上から下に向けて回転させるものに限定されない。樹脂成形品Wの種類、形状の大小に応じて、研磨ベルト1を水平方向に回転するように配置することも可能である。このときは、研磨板2は、研磨ベルト1の走法方向に対して上側又は下側に配置する。即ち、研磨ベルト1に引き続いて研磨板2に、樹脂成形品Wを略上下方向に移動させながら連続して仕上研磨できるように配置する。
【0035】
研磨板2は、上述した研磨ベルト1より細かいヤスリ目であって、硬さが柔らかいものを用いる。この研磨板2は硬すぎると研磨目が粗くなり、めっき後はそこが傷のようになることがあるからである。
【0036】
図示例の研磨板2は、樹脂成形品Wを研磨する位置において、上から下に向けて走行(回転)させている。これは、ワーク保持具3に取り付けた樹脂成形品Wが研磨中に外れないようにするためである。ワーク保持具3に対して樹脂成形品Wを取り付けた状態に応じて研磨板2の回転方向が決定される。
【0037】
ワーク保持具3は、スタンドの上に棒状の部材12を立て、この上部に樹脂成形品Wの研磨する必要のない部分に開けた孔部分で回動しないように止め、更に枝部13で上下方向への揺れが生じないように支える。例えば、合成樹脂製の取っ手では、ドア機構としての軸止め用の孔やスリットが開けられた部分を、棒状の部材12に嵌めこみ、枝部13で支えて研磨処理中に不要な揺れが生じないようにする。
【0038】
ワーク保持具可動機構4は、ワーク保持具3を樹脂成形品Wと共に、略水平の所定方向に移動させる機構である。例えば、3軸直交ロボットを用いて、研磨装置内において樹脂成形品Wを載せたワーク保持具3を移動させるものである。このワーク保持具可動機構4の動作は、樹脂成形品Wのパートライン52の形状に応じて制御するようになっている。例えば、コンピュータ・プログラムに連動してワーク保持具3を所定の方向に移動させることができる。
【0039】
このワーク保持具可動機構4は、必ずしも略水平方向のみ移動させる必要はない。更に上下方向の移動を組み合わせることができる。例えば、パートライン52が直線的に形成されていない樹脂成形品Wであっても、その形状に合わせて樹脂成形品Wを水平方向と上下方向の移動を組み合わせながら研磨することができる。同様に、パートライン52が直線的に形成されている樹脂成形品Wであっても、樹脂成形品Wの軸方向に対して傾斜状態でワーク保持具3を取り付けたときにも、そのパートライン52の形状に合わせて樹脂成形品Wを水平方向と上下方向の移動を組み合わせながら研磨することができる。
あるいは、ワーク保持具3自体は、昇降し得るように構成することも可能である。
【0040】
図5は研磨装置における樹脂成形品の動作状態を示す説明平面図であり、(a)から(e)までは研磨ベルトによる研磨処理の状態、(f)から(j)は研磨板による仕上研磨処理の状態である。図6は樹脂成形品のパートライン研磨方法を示す工程図である。
この樹脂成形品Wの凹形状部のパートライン52に、研磨ベルト1に押し当てながら研磨した後、例えばベルト押圧用プーリ21の各押圧用プーリ22の進退量を調節して、この研磨ベルト1を後退させる。このような研磨ベルト1の位置を変化させることにより、凹部を有する樹脂成形品であっても自動研磨することができる。この凹形状部のパートライン52が湾曲しているときは、その曲面をなぞるように研磨する。更にパッドを用いて研磨ベルト1の位置調節を図ることも可能である。
【0041】
この凹形状部のパートライン52に続けて、図5の(a)から(e)に示すように、樹脂成形品Wの周囲のパートライン52を、研磨ベルト1面を擦るように、樹脂成形品Wを略水平方向に移動させながら、この樹脂成形品Wの周囲のパートラインを連続研磨する。これにより円滑なパートライン52の研磨を実施することができる。
【0042】
次に、樹脂成形品Wの凹形状部のパートライン52を、図5の(f)から(j)に示すように、研磨板2に押し当てながら仕上研磨し、樹脂成形品Wの周囲のパートライン52が研磨板2を擦るように、樹脂成形品Wを略水平方向に移動させながら、樹脂成形品Wの周囲のパートライン52を連続して仕上研磨する。これにより円滑にパートライン52の仕上研磨を実施することができる。
【0043】
このように図6の工程図に示すように、凹凸部、角部や曲面部を有する樹脂成形品Wに形成されたパートライン52について、研磨ベルト1による連続した研磨と、研磨板2による連続した仕上研磨が終了したら、ワーク保持具3から取り外し研磨処理が完了する。
上述と同様な工程で次の樹脂成形品Wをセットする。
【0044】
最後に、研磨ベルト1又は研磨板2による摩擦帯電によって静電気が生じるため、電荷を帯びた研磨滓が樹脂成形品Wに付着する。この状態では、樹脂めっきすることができない。そこで、静電気を除去するために除電エアを噴射させ、樹脂成形品Wから研磨滓を除去する。
【0045】
図7は研磨ベルトによるパートライン部分の研磨状態を示す拡大側面図であり、(a)は上側角部のパートラインを研磨している状態、(b)は下側角部のパートラインを研磨している状態である。
パートライン52が樹脂成形品Wの上側角部又は下側角部に形成されたものでは、図12(a)、(b)で説明したように、研磨位置における研磨ベルト1が垂直状態であると、パートライン52以外の部位を研磨するおそれがある。なぜならワーク保持具3に取り付けられた、樹脂成形品W(パートライン52)は原則として、水平に移動させる構成になっているからである。そこで、本発明では、樹脂成形品Wを微妙に傾斜させるのではなく、研磨ベルト1の一部を傾斜させて樹脂成形品W(パートライン52)を研磨する構成にした。
【0046】
上側角部にあるパートライン52を研磨するときは、図7(a)に示すように、回転ハンドル25の操作で、ベルト押圧用プーリ21の上側の押圧用プーリ22を進出させ、逆に下側の押圧用プーリ22を後退させる。この配置により、研磨ベルト1は、その上側が突出し、下側が凹んだ状態の傾斜面を形成する。この研磨ベルト1の傾斜面を利用すれば、上側角部に形成されたパートライン52を容易に研磨することができる。
【0047】
下側角部にあるパートライン52を研磨するときは、図7(b)に示すように、回転ハンドル25の操作で、ベルト押圧用プーリ21の上側の押圧用プーリ22を後退させ、逆に下側の押圧用プーリ22を進出させる。この配置により、研磨ベルト1は、その上側が凹み、下側が突出した状態の傾斜面を形成する。この研磨ベルト1の傾斜面を利用すれば、下側角部に形成されたパートライン52を容易に研磨することができる。このように回転ハンドル25の操作で、研磨ベルト1の傾斜面の傾斜角度を微妙に可変できる。ベルト押圧用プーリ21は、樹脂成形品Wの上側角部に形成されたパートライン52を研磨する状態に応じて可変することができる。
【0048】
このベルト押圧用プーリ21により、樹脂成形品Wのパートライン52の平坦面と曲面を均一に研磨できる。例えば、このベルト押圧用プーリ21による研磨ベルト1の傾斜面の調節は、樹脂成形品Wのパートライン52の形状に応じて手動で行うだけでなく、ベルト押圧用プーリ21の進退量の調節制御はコンピュータ・プログラムに連動させることも可能である。
【0049】
勿論、図4で示したように、研磨ベルト1が垂直状態にあるときの方が、樹脂成形品Wのパートライン52を研磨しやすいときは、ベルト押圧用プーリ21の2個の押圧用プーリ22の突出量を同じ距離に配置して研磨することも可能である。なお、研磨ベルト1全体のテンションを考慮して、2個の押圧用プーリ22の突出量を決定することが望ましい。
【実施例2】
【0050】
図8は実施例2のベルト押圧用プーリを示す拡大側面図であり、(a)は上側角部のパートラインを研磨している状態、(b)は下側角部のパートラインを研磨している状態である。
実施例2のベルト押圧用プーリ21は、前述した2個の押圧用プーリ22を進退する構成に代えて、シーソー方式によるものである。このベルト押圧用プーリ21は、研磨ベルト1の裏面に向けて進退自在になる2個の押圧用プーリ22を両端にそれぞれ取り付け、連結部材31の中間位置32を調節ハンドル33でシーソー状に回動させることにより、研磨ベルト1の傾斜面の傾斜角度を可変できるように構成した。
【0051】
樹脂成形品Wの上側角部に形成されたパートライン52は、図8(a)に示すようにベルト押圧用プーリ21を傾斜させて樹脂成形品Wを研磨する。逆に、樹脂成形品Wの下側角部に形成されたパートライン52は、図8(b)に示すようにベルト押圧用プーリ21を傾斜させて樹脂成形品Wを研磨する。
【0052】
実施例2のベルト押圧用プーリ21は、連結部材31の中間位置32でその角度を調節ハンドル33により可変するだけで、研磨ベルト1の一部に容易に傾斜面を形成することができる。なお、連結部材31の形状は、この円弧形状に限定されず、単純な直線状、V字形状又はU字形状の何れの形状のものを用いることができる。この実施例2のシーソー方式のベルト押圧用プーリ21では、研磨ベルト1のテンションの調整が容易又は不要になるという特徴がある。
研磨ベルト1の一部に傾斜面を形成する構造は、ベルト押圧用プーリ21は、実施例1又は実施例2の構成に限定されない。
【実施例3】
【0053】
図9は実施例3の研磨板の研磨滓を除去する噴射孔を開けた回転板を示す横断面図である。
実施例3では、研磨板2に付着した研磨滓を除去する噴射孔41を回転板10に開けた。研磨板2を長時間使用すると、その樹脂成形品Wの研磨面の目詰まりによる研磨能力が低下する。そこで、研磨板2を保持する回転板10に、回転軸9の軸方向に複数の噴射孔41を開けた。この噴射孔41から圧縮空気を噴射させることで、回転板10に研磨板2を取り付けた状態で、研磨板2に付着した研磨滓を除去することができる。図示例では、噴射孔41への空気の供給を回転軸9を中空にし、そこに空気を送り込む構成を示しているが、この構成に限定されない。
【0054】
この噴射孔41から噴射する圧縮空気では冷却効果も期待できる。研磨板2の作動中に、研磨滓を除去しながら、樹脂成形品Wを研磨することができ、連続的に研磨することが可能になる。
【実施例4】
【0055】
図10は実施例4の板状の研磨板を偏心回転させる状態であり、(a)は側面図であり、(b)は正面図である。
実施例3では、研磨板2を取り付ける回転板10の中心位置に、回転軸9の中心軸位置CSから偏心させる偏心部材9aを介して回転軸9を連結した。この板状の研磨板3を偏心させて回転させながら、樹脂成形品W周囲のパートライン52を仕上研磨する。このように板状の研磨板2を偏心させて回転させると研磨面に回転方向の傷を付けないようにすることができる。
【実施例5】
【0056】
実施例5では、板状の研磨板2を振動の振幅を可変させながら、樹脂成形品Wの周囲のパートライン52を仕上研磨する(図示していない)。このように板状の研磨板3をその振動の振幅を可変させる方法でも、研磨面に傷を付けないようにできる。
【0057】
なお、本発明は上述した発明の実施の形態に限定されず、研磨ベルト1と、仕上研磨する板状の研磨板2とを隣接配置すると共に、樹脂成形品Wの方向を可変させながら研磨する機構4を設けると共に、樹脂成形品Wのパートライン52の位置に応じて研磨ベルト1又は研磨バフの研磨面を傾斜させることで、パートライン52が様々な形状からなる樹脂成形品Wの何れも研磨処理することができ、かつ迅速に研磨することができる構成であれば、図示したような構造に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の樹脂成形品のパートライン研磨装置は、凹凸部、角部や曲面部を有する樹脂成形品について利用できるだけでなく、板状の単純な形状の樹脂成形品のパートラインの研磨に利用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 研磨ベルト
2 研磨板
3 ワーク保持具
4 ワーク保持具可動機構
9 回転軸
9a 偏心部材
10 回転板
11 クリーニング機構
21 ベルト押圧用プーリ
22 押圧用プーリ
31 連結部材
32 中間位置
52 パートライン
W 樹脂成形品
α 研磨ベルト面と研磨板研磨面とにより形成される角度


【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂めっきに供され、かつ凹凸部、角部や曲面部を有する樹脂成形品(W)について、その周囲の接合部に、金型成形の際に形成されたパートライン(52)を研磨するパートライン研磨装置であって、
前記樹脂成形品(W)を樹脂めっきしたときに、クラックの起点の原因になるパートライン(52)のばり又は段差を研磨する無端ベルト状の研磨ベルト(1)と、
前記研磨ベルト(1)を裏面から押圧して、該研磨ベルト(1)の一部に傾斜面を形成するために、該研磨ベルト(1)を裏面に設けた可動自在になるベルト押圧用プーリ(21)と、
前記研磨ベルト(1)に隣接すると共に、前記樹脂成形品(W)のパートライン(52)に、該研磨ベルト(1)の研磨により発生した、樹脂めっきしたときに、クラックの起点の原因になるエッジ部分に、丸みを付けるための仕上研磨をする、該研磨ベルト(1)よりヤスリ目が細かく、かつその硬さも柔らかい、板状の研磨板(2)と、
前記樹脂成形品(W)の上側角部又は下側角部に形成されたパートライン(52)の凹形状部や曲面形状部を研磨するために、前記研磨板(2)の研磨面が垂直方向に対して傾斜自在になるように、該研磨板(2)が取り付けられた回転板(10)に首振り自在に連結した回転軸(9)と、
前記樹脂成形品(W)を担持するワーク保持具(3)と、
前記ワーク保持具(3)を樹脂成形品(W)と共に、所定方向に移動させるワーク保持具可動機構(4)と、から成り、
前記研磨ベルト(1)による研磨に引き続いて前記研磨板(2)による仕上研磨するために樹脂成形品(W)を迅速に移動させるように、該研磨ベルト(1)の研磨する面と、該研磨板(2)の研磨面とにより形成される角度(α)が90度から180度の範囲内になるように、研磨ベルト(1)と研磨板(2)とを配置した、ことを特徴とする樹脂成形品のパートライン研磨装置。
【請求項2】
樹脂めっきに供され、かつ凹凸部、角部や曲面部を有する樹脂成形品(W)について、その周囲の接合部に、金型成形の際に形成されたパートライン(52)を研磨するパートライン研磨装置であって、
前記樹脂成形品(W)を樹脂めっきしたときに、クラックの起点の原因になるパートライン(52)のばり又は段差を研磨する、略垂直方向に回転するように配置した無端ベルト状の研磨ベルト(1)と、
前記研磨ベルト(1)の一部を裏面から押圧して、該研磨ベルト(1)の傾斜面の傾斜角度を可変可能に形成するために、該研磨ベルト(1)を裏面に設けた可動自在になるベルト押圧用プーリ(21)と、
前記研磨ベルト(1)に隣接すると共に、前記樹脂成形品(W)のパートライン(52)に、該研磨ベルト(1)の研磨により発生した、樹脂めっきしたときに、クラックの起点の原因になるエッジ部分に、丸みを付けるために仕上研磨をする、該研磨ベルト(1)よりヤスリ目が細かく、かつその硬さも柔らかい、板状の研磨板(2)と、
前記樹脂成形品(W)の上側角部又は下側角部に形成されたパートライン(52)の凹形状部や曲面形状部を研磨するために、前記研磨板(2)の研磨面が垂直方向に対して傾斜自在になるように、該研磨板(2)が取り付けられた回転板(10)に首振り自在に連結した回転軸(9)と、
前記樹脂成形品(W)を、該パートライン(52)が略水平方向になるように着脱自在に担持するワーク保持具(3)と、
前記ワーク保持具(3)を樹脂成形品(W)と共に、略水平の所定方向に移動させるワーク保持具可動機構(4)と、から成り、
前記研磨ベルト(1)による研磨に引き続いて前記研磨板(2)による仕上研磨するために樹脂成形品(W)を迅速に移動させるように、該研磨ベルト(1)の研磨する面と、該研磨板(2)の研磨面とにより形成される角度(α)が90度から180度の範囲内になるように、研磨ベルト(1)と研磨板(2)とを配置した、ことを特徴とする樹脂成形品のパートライン研磨装置。
【請求項3】
前記ベルト押圧用プーリ(21)は、前記研磨ベルト(1)裏面に向けて進退自在になる2個の押圧用プーリ(22)を設け、各押圧用プーリ(22)の突出距離を異なるように個別に進退させることにより、該研磨ベルト(1)の傾斜面の傾斜角度を可変できるように構成した、ことを特徴とする1又は2の樹脂成形品のパートライン研磨装置。
【請求項4】
前記ベルト押圧用プーリ(21)は、前記研磨ベルト(1)裏面に向けて進退自在になる2個の押圧用プーリ(22)を連結部材(31)の両端にそれぞれ取り付け、該連結部材(31)の中間位置(32)でシーソー状に回動させることにより、該研磨ベルト(1)の傾斜面の傾斜角度を可変できるように構成した、ことを特徴とする1又は2の樹脂成形品のパートライン研磨装置。
【請求項5】
前記研磨板(2)を、振動装置に取り付けた、ことを特徴とする請求項1又は2の樹脂成形品のパートライン研磨装置。
【請求項6】
前記研磨板(2)を取り付ける回転板(10)の中心位置に、前記回転軸(9)の中心軸位置から偏心させる偏心部材(9a)を介して該回転軸(9)を連結した、ことを特徴とする請求項1又は2の樹脂成形品のパートライン研磨装置。
【請求項7】
前記研磨ベルト(1)を回転させる装置の一部に、該研磨ベルト(1)に付着した研磨滓を除去するクリーニング機構(11)を設けた、ことを特徴とする請求項1又は2の樹脂成形品のパートライン研磨装置。
【請求項8】
前記研磨板(2)を保持する回転板(10)に、前記回転軸(9)の軸方向に複数の噴射孔(41)を開け、該回転板(10)に研磨板(2)を取り付けた状態で、この噴射孔(41)から圧縮空気を噴射させ、該研磨板(2)に付着した研磨滓を除去するように構成した、ことを特徴とする請求項1又は2の樹脂成形品のパートライン研磨装置。
【請求項9】
前記クリーニング機構(11)は、超音波で洗浄し、水中で洗浄し、振動モータを利用し又は除電エアを噴射させることにより、研磨ベルト(1)に付着した研磨滓を除去する機構である、ことを特徴とする請求項1又は2の樹脂成形品のパートライン研磨装置。
【請求項10】
前記ワーク保持具(3)には、樹脂成形品(W)に向けて噴射させる除電エアの噴射口を設けた、ことを特徴とする請求項1又は2の樹脂成形品のパートライン研磨装置。
【請求項11】
前記ワーク保持具可動機構(4)は、略水平方向と上下方向の所定方向に移動させるものである、ことを特徴とする請求項1又は2の樹脂成形品のパートライン研磨装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−59858(P2013−59858A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−257113(P2012−257113)
【出願日】平成24年11月26日(2012.11.26)
【分割の表示】特願2010−186939(P2010−186939)の分割
【原出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(594035138)柿原工業株式会社 (14)
【Fターム(参考)】