樹脂成形装置及び樹脂成形方法
【課題】ゴム製の成形型に比べて成形型内の熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができ、簡単な装置の構成によって、熱可塑性樹脂の各部位における加熱温度の均一化を図ることができる樹脂成形装置及び樹脂成形方法を提供すること。
【解決手段】樹脂成形装置1は、ゴム製の成形型6と、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発する光源2と、多数の反射面31から構成したリフレクタ3とを有している。樹脂成形装置1は、光源2とリフレクタ3とを固定して目標照射位置Gへ配光する際に、各反射面31の反射による光の反射中心軸線が目標照射位置Gに到達する範囲を照射範囲Eとしたとき、光源2とリフレクタ3とを一体的に回動させることにより、目標照射位置Gの中心に対して、円を描くように照射範囲Eを変化させて、成形型6内の熱可塑性樹脂8を加熱する。
【解決手段】樹脂成形装置1は、ゴム製の成形型6と、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発する光源2と、多数の反射面31から構成したリフレクタ3とを有している。樹脂成形装置1は、光源2とリフレクタ3とを固定して目標照射位置Gへ配光する際に、各反射面31の反射による光の反射中心軸線が目標照射位置Gに到達する範囲を照射範囲Eとしたとき、光源2とリフレクタ3とを一体的に回動させることにより、目標照射位置Gの中心に対して、円を描くように照射範囲Eを変化させて、成形型6内の熱可塑性樹脂8を加熱する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源から発した光をリフレクタによって配光してゴム製の成形型へ導き、この成形型内の熱可塑性樹脂を加熱するよう構成した樹脂成形装置及び樹脂成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光(電磁波)を用いて被加熱物を加熱するよう構成したランプとしては種々のものがある。
例えば、直管型のランプを複数本並べて配置し、広い範囲に略均一に光を照射する方法がある。しかしながら、この方法によれば、ランプの後方に配置した反射鏡の奥行きが浅く、ランプ自身が邪魔になるなどの理由によって光の利用効率が低い。そのため、膨大な電力を消費し、かつ比較的遠距離の照射には光強度が不足する。
【0003】
これに対し、単灯式(点光源)のランプを配置し、反射鏡の構造設計によって略均一な配光分布を形成する方法がある。この方法においては、反射鏡には、1つの曲面状の反射面を椀状に形成したもの又は多数の微小な平坦状の反射面を組み合わせて椀状に形成したものを用い、反射面による配光方向を設計することによって、所望の照射範囲に略均一な配光分布が得られるようにしている。これにより、光の利用効率を高くすることができ、遠距離の照射を行う際にも光強度が不足することを解消している。
しかしながら、単灯式のランプを用いる際には、フィラメント等の光源の形状が反射鏡によって被加熱物上に投影されることにより、局所的に著しく加熱される部位を形成してしまう。そのため、被加熱物の略均一な加熱を行うためには十分ではない。また、被加熱物の形状が異なる場合には、局所的に加熱される部位が変化し、種々の形状の被加熱物に対して使用することが困難である。
【0004】
また、特許文献1には、被加熱対象となる半導体ウエハを均一に加熱するために、光源からの光を反射鏡により集め、反射鏡からの光を偏向器を介して半導体ウエハに集束光として照射すると共に、この集束光でウエハ面を走査するよう偏向器を駆動させる光加熱装置が開示されている。しかしながら、特許文献1においては、点集中させた集束光を高速で走査させて、光の照射むらを低減している。そのため、高速の走査を行うための装置の構成が複雑である。
【0005】
【特許文献1】実開平5−63043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、ゴム製の成形型に比べて成形型内の熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができ、簡単な装置の構成によって、熱可塑性樹脂の各部位における加熱温度の均一化を図ることができる樹脂成形装置及び樹脂成形方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、熱可塑性樹脂を充填するためのキャビティを形成してなるゴム製の成形型と、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発する光源と、該光源から発した光を配光して上記成形型へ導くためのリフレクタとを有し、
該リフレクタは、その反射面を椀状に形成してなると共に、該反射面によって上記光源から発した光を該光源から所定距離にある目標照射位置へ配光するよう構成してあり、
上記光源と上記リフレクタとを固定して上記目標照射位置へ配光する際に、上記反射面によって反射された光が上記目標照射位置に到達する範囲を照射範囲としたとき、上記光源と上記リフレクタとを一体的に回動させる、又は上記光源を固定した状態で上記リフレクタを回動させることにより、上記目標照射位置に対して、円を描くように上記照射範囲を変化させて、上記目標照射位置の周辺に配置した上記成形型の表面から上記キャビティ内に充填する上記熱可塑性樹脂に光を照射し、該熱可塑性樹脂を加熱するよう構成したことを特徴とする樹脂成形装置にある(請求項1)。
【0008】
本発明の樹脂成形装置は、ゴム製の成形型を用いて熱可塑性樹脂からなる樹脂成形品を成形するに当たり、光源及びリフレクタを用いた単灯式のランプを用い、光の照射範囲を適切に変化させることによって、成形型内の熱可塑性樹脂の各部位における加熱温度の均一化を図ることができるものである。
樹脂成形品を成形するに当たっては、ゴム製の成形型のキャビティ内に熱可塑性樹脂を充填する。そして、この充填の際には、光源から発した0.78〜2μmの波長領域を含む光を、リフレクタによって配光し、成形型の表面からキャビティ内の熱可塑性樹脂に照射する。このとき、成形型を構成するゴムと熱可塑性樹脂との物性の違いにより、ゴム製の成形型に比べて、熱可塑性樹脂をより多く加熱することができる。
【0009】
これにより、キャビティ内への熱可塑性樹脂の充填が完了するまでの間において、ゴム製の成形型の温度よりも、キャビティ内における熱可塑性樹脂の温度を高く維持することができる。そのため、ゴム製の成形型に対してキャビティ内の熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができ、キャビティ内に熱可塑性樹脂の充填不良が生じることを防止して、良好な樹脂成形品を得ることができる。
【0010】
なお、成形型を介して熱可塑性樹脂に照射する光(電磁波)としては、波長が0.78〜2μmの領域の光だけでなく、これ以外の領域の光も含まれていてもよい。この場合において、成形型を介して熱可塑性樹脂に照射する光は、波長が0.78〜2μmの領域の光を、これ以外の領域の光よりも多く含むことが好ましい。
【0011】
また、本発明の樹脂成形装置においては、反射面を椀状に形成して目標照射位置へ略均一に配光する構造のリフレクタを用いる。そして、光源とリフレクタとを一体的に回動させる、又は光源を固定してリフレクタを回動させることにより、目標照射位置に対して、円を描くように光の照射範囲を変化させる。これにより、光源の形状がリフレクタによって目標照射位置に投影されることによって成形型内の熱可塑性樹脂に局所的に著しく加熱される部位が集中することを防止することができる。
【0012】
また、目標照射位置に光強度が高い部位の集中が生じないため、特定形状の成形型内の熱可塑性樹脂だけでなく、種々の形状の熱可塑性樹脂の各部位における加熱温度の均一化を図ることができる。さらに、本発明の樹脂成形装置は、光源及びリフレクタを回動させるか、又はリフレクタのみを回動させる簡単な構成である。
【0013】
それ故、本発明の樹脂成形装置によれば、ゴム製の成形型に比べて成形型内の熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができ、簡単な装置の構成によって、熱可塑性樹脂の各部位における加熱温度の均一化を図ることができる。
【0014】
なお、上記0.78〜2μmの波長領域を含む光(特に近赤外線)により、ゴム製の成形型に比べて、熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができる理由としては、以下のように考える。
すなわち、ゴム製の成形型の表面に照射された0.78〜2μmの波長領域を含む光は、成形型の表面を反射又は成形型を透過する割合が多いのに対し、熱可塑性樹脂に吸収される割合が多いと考える。そのため、0.78〜2μmの波長領域を含む光のエネルギーが熱可塑性樹脂に優先的に吸収されて、熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができると考える。
【0015】
第2の発明は、熱可塑性樹脂を充填するためのキャビティを形成してなるゴム製の成形型と、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発する光源と、該光源から発した光を配光して反射するリフレクタと、該リフレクタから反射された光をさらに反射させて上記成形型へ導くための中継反射鏡とを有し、
上記リフレクタは、その反射面を椀状に形成してなると共に、該反射面によって上記光源から発した光を該光源から所定距離にある上記中継反射鏡へ配光するよう構成してあり、
上記中継反射鏡は、上記リフレクタから受けた光を当該中継反射鏡から所定距離にある目標照射位置へ反射させるよう構成してあり、
上記光源と上記リフレクタと上記中継反射鏡とを固定して上記目標照射位置へ配光する際に、上記中継反射鏡によって反射された光が上記目標照射位置に到達する範囲を照射範囲としたとき、上記光源と上記リフレクタとを固定した状態で上記中継反射鏡を回動させることにより、上記目標照射位置に対して、円を描くように上記照射範囲を変化させて、上記目標照射位置の周辺に配置した上記成形型の表面から上記キャビティ内に充填する上記熱可塑性樹脂に光を照射し、該熱可塑性樹脂を加熱するよう構成したことを特徴とする樹脂成形装置にある(請求項2)。
【0016】
本発明の樹脂成形装置は、ゴム製の成形型を用いて熱可塑性樹脂からなる樹脂成形品を成形するに当たり、光源及びリフレクタを用いた単灯式のランプと、中継反射鏡とを用いることによって、より簡単に光の照射範囲を適切に変化させることができ、成形型内の熱可塑性樹脂の各部位における加熱温度の均一化を図ることができるものである。
樹脂成形品を成形するに当たっては、ゴム製の成形型のキャビティ内に熱可塑性樹脂を充填する。そして、この充填の際には、光源から発した0.78〜2μmの波長領域を含む光を、リフレクタ及び中継反射鏡によって配光し、成形型の表面からキャビティ内の熱可塑性樹脂に照射する。このとき、成形型を構成するゴムと熱可塑性樹脂との物性の違いにより、ゴム製の成形型に比べて、熱可塑性樹脂をより多く加熱することができる。
【0017】
これにより、キャビティ内への熱可塑性樹脂の充填が完了するまでの間において、ゴム製の成形型の温度よりも、キャビティ内における熱可塑性樹脂の温度を高く維持することができる。そのため、ゴム製の成形型に対してキャビティ内の熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができ、キャビティ内に熱可塑性樹脂の充填不良が生じることを防止して、良好な樹脂成形品を得ることができる。
【0018】
また、本発明の樹脂成形装置においては、反射面を椀状に形成して目標照射位置へ略均一に配光する構造のリフレクタ、及びリフレクタから受けた光を目標照射位置へ反射させる中継反射鏡を用いる。そして、光源とリフレクタとを固定した状態で中継反射鏡を回動させることにより、目標照射位置に対して、円を描くように光の照射範囲を変化させる。これにより、光源の形状がリフレクタによって目標照射位置に投影されることによって成形型内の熱可塑性樹脂に局所的に著しく加熱される部位が集中することを防止することができる。
【0019】
また、本発明においては、中継反射鏡を回動させる構造にしたことにより、特に光源を回動させる必要がなく、回動する際の振動等によって光源が劣化することを防止することができる。また、軽量かつ配線等がない中継反射鏡を回動させる構造にしたことにより、回動構成部分の駆動を容易にすることができる。
また、目標照射位置に光強度が高い部位の集中が生じないため、特定形状の成形型内の熱可塑性樹脂だけでなく、種々の形状の熱可塑性樹脂の各部位における加熱温度の均一化を図ることができる。
【0020】
それ故、本発明の樹脂成形装置によっても、ゴム製の成形型に比べて成形型内の熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができ、簡単な装置の構成によって、熱可塑性樹脂の各部位における加熱温度の均一化を図ることができる。
【0021】
なお、上記0.78〜2μmの波長領域を含む光(特に近赤外線)により、ゴム製の成形型に比べて、熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができる理由は、上記第1の発明と同様に考える。
【0022】
第3の発明は、熱可塑性樹脂を充填するためのキャビティを形成してなるゴム製の成形型と、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発する光源と、該光源から発した光を配光して上記成形型へ導くためのリフレクタとを有する樹脂成形装置を用い、
上記リフレクタは、その反射面を椀状に形成してなると共に、該反射面によって上記光源から発した光を該光源から所定距離にある目標照射位置へ配光するよう構成しておき、
上記光源と上記リフレクタとを固定して上記目標照射位置へ配光する際に、上記反射面によって反射された光が上記目標照射位置に到達する範囲を照射範囲としたとき、上記光源と上記リフレクタとを一体的に回動させる、又は上記光源を固定して上記リフレクタを回動させることにより、上記目標照射位置に対して、円を描くように上記照射範囲を変化させて、上記目標照射位置の周辺に配置した上記成形型の表面から上記キャビティ内に充填する上記熱可塑性樹脂に光を照射し、該熱可塑性樹脂を加熱することを特徴とする樹脂成形方法にある(請求項8)。
【0023】
本発明の樹脂成形方法においては、熱可塑性樹脂の加熱温度の均一化を図ることができる樹脂成形装置の特性を活用して樹脂成形品を得ることができる。
それ故、本発明の樹脂成形方法によれば、ゴム製の成形型に比べて成形型内の熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができ、熱可塑性樹脂における各部位の加熱温度の均一化を図って優れた品質の樹脂成形品を得ることができる。
【0024】
第4の発明は、熱可塑性樹脂を充填するためのキャビティを形成してなるゴム製の成形型と、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発する光源と、該光源から発した光を配光して反射するリフレクタと、該リフレクタから反射された光をさらに反射させて上記成形型へ導くための中継反射鏡とを有する樹脂成形装置を用い、
上記リフレクタは、その反射面を椀状に形成してなると共に、該反射面によって上記光源から発した光を該光源から所定距離にある上記中継反射鏡へ配光するよう構成しておき、
上記中継反射鏡は、上記リフレクタから受けた光を当該中継反射鏡から所定距離にある目標照射位置へ反射させるよう構成しておき、
上記光源と上記リフレクタと上記中継反射鏡とを固定して上記目標照射位置へ配光する際に、上記中継反射鏡によって反射された光が上記目標照射位置に到達する範囲を照射範囲としたとき、上記光源と上記リフレクタとを固定した状態で上記中継反射鏡を回動させることにより、上記目標照射位置に対して、円を描くように上記照射範囲を変化させて、上記目標照射位置の周辺に配置した上記成形型の表面から上記キャビティ内に充填する上記熱可塑性樹脂に光を照射し、該熱可塑性樹脂を加熱することを特徴とする樹脂成形方法にある(請求項9)。
【0025】
本発明の樹脂成形方法においても、熱可塑性樹脂の加熱温度の均一化を図ることができる樹脂成形装置の特性を活用して樹脂成形品を得ることができる。
それ故、本発明の樹脂成形方法によっても、ゴム製の成形型に比べて成形型内の熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができ、熱可塑性樹脂における各部位の加熱温度の均一化を図って優れた品質の樹脂成形品を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
上述した第1〜第4の発明における好ましい実施の形態につき説明する。
第1〜第4の発明において、上記照射範囲によって描く円は、必ずしも真円である必要はなく、楕円等の円とすることもできる。ただし、装置構成の簡単化を図るためには、上記照射範囲は、真円軌道で変化させることが好ましい。また、上記照射範囲は、駆動手段に工夫をすることにより、照射範囲を自転させながら旋回させることもできる(遊星円軌道で変化させることもできる)。
また、上記リフレクタは、円形状の照射範囲を形成する椀形状とすることができる。
【0027】
また、第1、第3の発明において、上記光源と上記リフレクタとは、1組として用いるだけでなく、複数組をセットにして用いることができる。また、第2、第4の発明において、上記光源と上記リフレクタと上記中継反射鏡とは、1組として用いるだけでなく、複数組をセットにして用いることができる。すなわち、成形品(あるいはキャビティ)の形状によっては、両側又は上下左右から光を照射した方が好ましい場合がある。
【0028】
また、上記熱可塑性樹脂は、非晶性熱可塑性樹脂であることが好ましい。
ところで、熱可塑性樹脂の冷却速度は、成形型がゴム製であるため、金型の場合に比べて遅くなる。そのため、冷却中に熱可塑性樹脂の結晶性が高くなることがあり、これによって、樹脂成形品の寸法精度が低下したり、樹脂成形品の耐衝撃性が低下したりすることがある。これに対し、熱可塑性樹脂を非晶性熱可塑性樹脂にしたことにより、上記樹脂成形品の寸法精度の低下及び耐衝撃性の低下等を防止することができる。
【0029】
非晶性熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、スチレン・メタクリル酸メチル共重合体等のスチレン系樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)、AES樹脂(アクリロニトリル・エチレン−プロピレン−ジエン・スチレン樹脂)、ASA樹脂(アクリレート・スチレン・アクリロニトリル樹脂)等のゴム変性熱可塑性樹脂、又はポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート樹脂(PC)、PC/ゴム変性熱可塑性樹脂アロイ等を用いることができる。その中でも、特にゴム変性熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
【0030】
ゴム変性熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、ゴム質重合体の存在下にビニル系単量体をグラフト重合させた重合体を1種又は2種以上含むものが好ましい。
上記ゴム質重合体としては、特に限定されないが、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・ブテン−1・非共役ジエン共重合体、アクリルゴム、シリコーンゴム等が挙げられ、これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
また、上記ゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、アクリルゴムを用いることが好ましく、上記ゴム変性熱可塑性樹脂としては、例えば、ABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂等を用いることができる。その中でも、特にABS樹脂を用いることがさらに好ましい。
【0032】
また、上記成形型は、シリコーンゴムからなることが好ましい。
この場合には、成形型の作製が容易であると共に、上記0.78〜2μmの波長領域を含む光により、成形型をほとんど加熱することなく熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができる。
また、シリコーンゴムの硬度は、JIS−A規格測定において25〜80であることが好ましい。
【0033】
また、第1の発明においては、上記光源は、該光源と上記リフレクタとを一体的に回動させるための回動中心軸線に対してオフセットした位置にあり、上記光源と上記リフレクタとを上記回動中心軸線の回りに一体的に回動させることによって、上記目標照射位置に対して、円を描くように上記照射範囲を変化させるよう構成することができる(請求項3)。
この場合には、光源とリフレクタとを一体的に回動させることが容易であり、簡単に樹脂成形装置を構成することができる。
【0034】
また、第2の発明においては、上記中継反射鏡は、その反射面による反射配光方向が、当該中継反射鏡を回動させるための回動中心軸線に対して傾斜する方向を向いており、上記中継反射鏡を上記回動中心軸線の回りに回動させることによって、上記目標照射位置に対して、円を描くように上記照射範囲を変化させるよう構成することができる(請求項4)。
この場合には、中継反射鏡を回動させることが容易であり、簡単に樹脂成形装置を構成することができる。
【0035】
また、上記中継反射鏡は、上記回動中心軸線の回りに回動する回動本体部に対して、ねじの調整によって上記反射配光方向の傾斜角度を変更することができるよう構成することができる(請求項5)。
この場合には、中継反射鏡の傾斜角度を容易に変更することができ、上記円を描くように変化させる照射範囲の旋回直径を容易に調整することができる。
【0036】
また、上記照射範囲における中心は、上記目標照射位置における中心回りの円軌道上を移動し、該円軌道の直径Bは、上記照射範囲の最大外径をAとしたとき、0.2A≦B≦2Aの関係を有していることが好ましい(請求項6)。
この場合には、目標照射位置に光が照射される照射範囲において、光源からの直接照射によって成形型内の熱可塑性樹脂に局所的に著しく加熱される部位が集中することを容易に避けることができる。
【0037】
また、上記リフレクタにおける上記反射面は、多数の平坦状の反射面を組み合わせた多段式構造、又は連続する1つの曲面状の反射面からなる連続曲面構造を有しており、上記照射範囲は、上記多数の平坦状の反射面による光の反射中心軸線が上記目標照射位置に到達する範囲、又は上記連続する1つの曲面状の反射面を区画した多数の仮想反射面による光の反射中心軸線が上記目標照射位置に到達する範囲として設定することができる(請求項7)。
上記各反射面又は各仮想反射面による光の反射中心軸線とは、各反射面又は各仮想反射面の図心位置を反射する光軸線のことをいう。
【0038】
また、上記照射範囲は、円形状を有しており、上記リフレクタにおける上記多数の反射面又は多数の仮想反射面は、該多数の反射面又は多数の仮想反射面によって反射された光の反射中心軸線の全体が、上記照射範囲全体の直径に対して所定の大きさの直径の中心部の範囲外に到達する状態に形成することができる。
この場合には、成形型内の熱可塑性樹脂における各部位の加熱温度の均一化を図ることができる樹脂成形装置に適したリフレクタを容易に形成することができる。
なお、上記照射範囲全体の直径に対して所定の大きさの直径の中心部は、円形状の照射範囲と同心状に形成した円形状であることを意味する。
【0039】
また、上記光源は、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発するハロゲンランプ、キセノンランプ等とすることができる。また、光源の出力特性、形状等は、被加熱物の種類、加熱用途等に応じて選択することができる。
【実施例】
【0040】
以下に、本発明の樹脂成形装置及び樹脂成形方法にかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
(実施例1)
本例の樹脂成形装置1は、図1、図2に示すごとく、熱可塑性樹脂8を充填するためのキャビティ61を形成してなるゴム製の成形型6と、0.78〜2μmの波長領域を含む光(電磁波)を発する光源2と、光源2から発した光を配光して成形型6へ導くためのリフレクタ3とを有している。リフレクタ3は、多数の平坦状の反射面31を椀状に組み合わせてなると共に、多数の反射面31によって光源2から発した光を光源2から所定距離にある目標照射位置Gへ配光するよう構成してある。
【0041】
図3に示すごとく、本例の樹脂成形装置1は、光源2とリフレクタ3とを固定して目標照射位置Gへ配光する際に、各反射面31によって反射された光の反射中心軸線D1が目標照射位置Gに到達する範囲を照射範囲Eとしたとき、光源2とリフレクタ3とを一体的に回動させることにより、目標照射位置Gの中心Oに対して、円を描くように照射範囲Eを変化させて、目標照射位置Gの周辺に配置した成形型6の表面からキャビティ61内に充填する熱可塑性樹脂8に光を照射し、熱可塑性樹脂8を加熱するよう構成してある。なお、円を描くように照射範囲Eを変化させることにより、目標照射位置Gにおいては、光の反射中心軸線D1が到達する移動照射範囲E’が形成される。また、本例の樹脂成形方法も、樹脂成形装置1と同様の構成によって、目標照射位置Gに対して、円を描くように照射範囲Eを変化させて熱可塑性樹脂8を加熱する。
また、目標照射位置Gは、成形型6のキャビティ61における配光方向X1の中心箇所に合わせることができる。
【0042】
以下に、本例の樹脂成形装置1及び樹脂成形方法につき、図1〜図9を参照して詳説する。
図1に示すごとく、本例の光源2とリフレクタ3とは、ハロゲンヒータ11を構成している。ハロゲンヒータ11は、多数の反射面31による配光方向X1(反射中心軸線D1の全体の中心である反射全体中心軸線C2)が、光源2とリフレクタ3とを一体的に回動させるための回動中心軸線C1に対してオフセットして配置してある。本例の光源2及びリフレクタ3は、モータ等の駆動源による回転力を受けて回動(回転)する回動本体部4に配設してあり、回動本体部4における回動の中心を構成する回動中心軸線C1に対し、光源2及びリフレクタ3の中心(反射全体中心軸線C2)をオフセットさせて(横ずれさせて)配設してある。そして、図3に示すごとく、回動本体部4が回動する際に、回動中心軸線C1の回りに光源2及びリフレクタ3が回動(旋回)することによって、目標照射位置Gにおける光の照射範囲Eを中心Oの回りの円軌道S上に変化させることができる。
本例のリフレクタ3は、円形状の照射範囲Eを形成する椀形状に多数の平坦状の反射板31を配置してなる。
【0043】
なお、図8に示すごとく、樹脂成形装置1は、回動本体部4の回動中心軸線C1に対して、配光方向X1(反射全体中心軸線C2)が所定の傾斜角度θとなるよう配設することもできる。これによっても、目標照射位置Gにおける光の照射範囲Eを円軌道S上に変化させることができる。
【0044】
リフレクタ3における各反射面31によって反射された光は、反射中心軸線D1を中心として(反射中心軸線D1上に光強度のピークを有して)拡散する光として目標照射位置Gに照射される。
本例の光源2は、0.78〜2μmの波長領域(ほぼ近赤外線の波長領域に相当する。)を含む光を発するハロゲンランプ2である。このハロゲンランプ2は、0.78〜2μmの波長領域内に(本例では約0.9μmに)光強度のピークを有するものを用いた。また、図2に示すごとく、ハロゲンランプ2は、ガラス等からなる保護管22内に、つる巻き状に形成したフィラメント(発光体)21を配設してなる。なお、フィラメント21の中心を符号Hによって示す。
【0045】
図3に示すごとく、本例の樹脂成形装置1においては、目標照射位置Gにおける光の照射範囲Eにおける中心は、目標照射位置Gにおける中心Oの回りの円軌道S上を移動する。回動本体部4によって照射範囲Eを旋回させる旋回中心直径(照射範囲Eの中心が通る旋回直径、円軌道の直径)Bは、照射範囲Eの最大外径(本例では直径)をAとしたとき、0.2A≦B≦2Aの関係を満たすよう決定することができる。ここで、照射範囲Eの最大外径とは、照射範囲Eにおける光の反射中心軸線D1の到達部位における対角線上の最大幅のことをいう。本例では、照射範囲Eが真円形状であるため、照射範囲Eの最大外径とは真円の直径のことをいう。
なお、光の照射範囲Eは、例えば、直径がφ20〜300mmの範囲として設定することができる。また、回動本体部4を回動させる回転速度は、例えば、10〜100rpmとすることができる。
【0046】
図4、図6には、光源2及びリフレクタ3からなるハロゲンヒータ11について、光の配光状態のシミュレーションを行った結果を示す。各図においては、光源2から発した光がリフレクタ3の各反射面31によって反射されて、目標照射位置Gに照射される状態を示す。また、光源2から発する光は、フィラメント21による光の出射位置の中心Hで示し、リフレクタ3から目標照射位置Gへと描かれた直線は、多数の反射面31における反射中心軸線D1を示す。ここで、反射中心軸線D1は、反射面31の図心位置を反射する光軸線によって示す。
【0047】
また、図4、図6に示すごとく、本例のリフレクタ3における多数の反射面31は、多数の反射面31によって反射された光の反射中心軸線D1の全体が、照射範囲Eの全体の直径に対して所定の大きさの直径の中心部Fの範囲外に到達する状態に配置してある。リフレクタ3における多数の反射面31の構造設計に当たっては、目標照射位置Gにおける照射範囲Eを設定し、この照射範囲E内の略全体に略均一に光が到達するよう各反射面31の向きを決定することができる。
【0048】
また、図4は、光の反射中心軸線D1の全体が、照射範囲Eの全体の直径に対して約60%の大きさの直径の中心部Fの範囲外に到達する状態に配置されるよう設計したリフレクタ3を示す。図6は、光の反射中心軸線D1の全体が、照射範囲Eの全体の直径に対して約40%の大きさの直径の中心部Fの範囲外に到達する状態に配置されるよう設計したリフレクタ3を示す。図6のリフレクタ3は、図4のリフレクタ3に対して、光源2の位置を目標照射位置Gに1mm近づける(リフレクタ3から1mm遠ざける)ことによって形成した。
【0049】
図5、図7には、横軸に照射範囲Eの中心からの相対距離(%)をとり、縦軸に光強度(照射照度比)(%)をとって、目標照射位置Gにおける各部位の光強度を示すグラフである。図5は、図4の場合の特性を示し、図7は、図6の場合の特性を示す。図6、図7のハロゲンヒータ11の方が、図4、図5のハロゲンヒータ11よりも、照射範囲Eの中心部Fにおける光強度が強くなっている。
ここで、照射範囲Eの中心からの相対距離(%)は、100%が照射範囲(照射直径)Eの半径位置であることを示す。光強度(%)は、設計規定値を100%としたとき、設計規定値に対する各部位(照射範囲Eの中心からの各相対距離)における光強度を比率(照射照度比)(%)で表す。
【0050】
図5、図7において、中心からの相対距離が100%までの範囲は目標照射位置Gに形成する照射範囲Eであり、光強度が90%以上になるよう設定されている。また、照射範囲Eの範囲外においては、光が完全に到達しなくなるのではなく、照射範囲Eの範囲外においても所定の相対距離までは光が到達し、所定の勾配で光強度が減少することを示す。また、各ハロゲンヒータ11は、照射範囲Eの中心からの相対距離(%)が80%ぐらいまでの範囲においては、光強度(%)が約100%以上であり、照射範囲Eの中心からの相対距離(%)が80%以上である範囲においては、光強度(%)が所定の勾配で低下していく特性を有している。
【0051】
本例においては、熱可塑性樹脂8として、非晶性熱可塑性樹脂であると共にゴム変性熱可塑性樹脂であるABS樹脂を用いる。
また、本例の成形型6は、シリコーンゴムからなる。この成形型6は、成形する樹脂成形品のマスターモデル(手作りの現物等)を液状のシリコーンゴム内に配置し、このシリコーンゴムを硬化させ、硬化後のシリコーンゴムからマスターモデルを取り出すことによって作製することができる。また、成形型6は、ゴム製であるため、成形後の樹脂成形品を取り出す際の型開きを行うためのパーティング面(分割面)を簡単にかつ任意に形成することができる。
【0052】
本例の樹脂成形装置1及び樹脂成形方法においては、ゴム製の成形型6のキャビティ61内に粒子状態の熱可塑性樹脂8を投入し、成形型6を介してキャビティ61内における粒子状態の熱可塑性樹脂8に、0.78〜2μmの波長領域を含む光を照射し、粒子状態の熱可塑性樹脂8を加熱して溶融させた後、キャビティ61において残された空間に溶融状態の熱可塑性樹脂8を充填して、樹脂成形品を成形する。
これにより、溶融状態の熱可塑性樹脂8の充填圧力をあまり高くすることなくキャビティ61の全体へ熱可塑性樹脂8を充填することができ、成形型6の変形及び開きを効果的に抑制することができる。そのため、成形型6におけるパーティング面からの樹脂漏れを防止することができ、成形した樹脂成形品の形状、表面精度等の品質を効果的に向上させることができる。
【0053】
また、図示は省略するが、リフレクタ3と成形型6との間には、波長が2μmを超える光の透過量を減少させるフィルタを配置することができる。このフィルタは、石英ガラス等から構成することができる。この場合には、フィルタによって、成形型6に吸収されやすい波長が2μmを超える光が成形型6に照射され難くすることができ、成形型6の温度上昇をより効果的に防止することができる。
また、図示は省略するが、リフレクタ3と成形型6との間には、成形型6と同質のゴムからなるゴム製フィルタを配置することもできる。この場合にも、成形型6によって吸収され易い波長の光をゴム製フィルタによって吸収することができ、成形型6の温度上昇をより効果的に防止することができる。
【0054】
図9は、透明のシリコーンゴムと半透明のシリコーンゴムについて、横軸に波長(nm)をとり、縦軸に光の透過率(%)をとって、各シリコーンゴムにおける光の透過率を示すグラフである。同図において、各シリコーンゴムは、200〜2200(nm)の間の波長の光を透過させることがわかる。そのため、この波長の領域である近赤外線をシリコーンゴム製の成形型6の表面に照射すると、当該近赤外線の多くを、成形型6を透過させて熱可塑性樹脂8に吸収させることができる。
【0055】
本例の樹脂成形装置1は、ゴム製の成形型6を用いて熱可塑性樹脂8からなる樹脂成形品を成形するに当たり、光源2及びリフレクタ3を用いた単灯式のランプを用い、光の照射範囲Eを適切に変化させることによって、成形型6内の熱可塑性樹脂8を略均一に加熱することができるものである。
樹脂成形品を成形するに当たっては、ゴム製の成形型6のキャビティ61内に熱可塑性樹脂8を充填する。そして、この充填の際には、光源2から発した0.78〜2μmの波長領域を含む光を、リフレクタ3によって配光し、成形型6の表面からキャビティ61内の熱可塑性樹脂8に照射する。このとき、成形型6を構成するゴムと熱可塑性樹脂8との物性の違いにより、ゴム製の成形型6に比べて、熱可塑性樹脂8をより多く加熱することができる。
【0056】
これにより、キャビティ61内への熱可塑性樹脂8の充填が完了するまでの間において、ゴム製の成形型6の温度よりも、キャビティ61内における熱可塑性樹脂8の温度を高く維持することができる。そのため、ゴム製の成形型6に対してキャビティ61内の熱可塑性樹脂8を選択的に加熱することができ、キャビティ61内に熱可塑性樹脂8の充填不良が生じることを防止して、良好な樹脂成形品を得ることができる。
【0057】
また、本例の樹脂成形装置1においては、多数の反射面31を椀状に形成して目標照射位置Gへ略均一に配光する構造のリフレクタ3を用いる。そして、回動中心軸線C1の回りに回動本体部4を回動させるときには、回動中心軸線C1に対して中心がオフセットした光源2とリフレクタ3とが、円軌道S上を一体的に旋回する。
【0058】
このとき、目標照射位置Gにおいては、照射範囲E(照射直径)の中心Pが円軌道S上を移動して移動照射範囲E’を形成し、目標照射位置Gにおいて中心Oからの各距離の部位においては、光が照射されている時間帯と、照射されていない時間帯とが形成される。そして、この光の照射の交番により、目標照射位置Gに配置したゴム製の成形型6内の熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図ることができる。
また、上記光の照射の交番により、フィラメント(発光体)21の形状がリフレクタ3の多数の反射面31によって目標照射位置Gに投影されることによって生じるフィラメント21の影(局所加熱部位)が目標照射位置Gにおいて移動することになる。これにより、成形型6内の熱可塑性樹脂8に局所的に著しく加熱される部位が集中することを防止することができる。
【0059】
また、目標照射位置Gに光強度が高い部位の集中が生じないため、特定形状の熱可塑性樹脂8だけでなく、種々の形状の熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図ることができる。さらに、光源2及びリフレクタ3を回動させる簡単な構成によって、熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図ることができる。
それ故、本例の樹脂成形装置1によれば、ゴム製の成形型6に比べて成形型6内の熱可塑性樹脂8を選択的に加熱することができ、簡単な装置の構成によって、熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図ることができる。
【0060】
また、本例の樹脂成形方法も、熱可塑性樹脂8の加熱温度の均一化を図ることができる樹脂成形装置1の特性を活用して樹脂成形品を得ることができる。
それ故、本例の樹脂成形方法によれば、ゴム製の成形型6に比べて成形型6内の熱可塑性樹脂8を選択的に加熱することができ、熱可塑性樹脂8における各部位の加熱温度の均一化を図って優れた品質の樹脂成形品を得ることができる。
【0061】
なお、本例においては、熱可塑性樹脂8としてABS樹脂を用いた。熱可塑性樹脂8としては、これ以外にも、上記成形型6の表面に上記0.78〜2μmの波長領域を含む光を照射したときに、成形型6内に吸収されずに透過した光を吸収することができる熱可塑性樹脂8を用いることができる。
【0062】
また、本例においては、成形した樹脂成形品は、成形型6のキャビティ61内において空冷することにより冷却した後、このキャビティ61内から取り出す。このとき、上記のごとく熱可塑性樹脂8を選択的に加熱できることにより、成形型6の温度は、熱可塑性樹脂8の温度よりも低く維持することができる。そのため、樹脂成形品を冷却するために要する冷却時間を短縮することができる。
また、成形型6の温度を低く維持することができることにより、成形型6の劣化を抑制することができ、成形型6の耐久性を向上させることができる。
【0063】
(実施例2)
本例は、図10に示すごとく、光源2及びリフレクタ3を旋回させる代わりに、中継反射鏡5を用いてリフレクタ3によって反射された光を目標照射位置Gへ導くよう構成した例である。
本例の樹脂成形装置1は、熱可塑性樹脂8を充填するためのキャビティ61を形成してなるゴム製の成形型6と、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発する光源2と、光源2から発した光を配光して反射するリフレクタ3と、リフレクタ3から反射された光をさらに反射させて成形型6へ導くための中継反射鏡5とを有している。
【0064】
本例のリフレクタ3は、多数の平坦状の反射面31を椀状に形成してなると共に(図2参照)、多数の反射面31によって光源2から発した光を光源2から所定距離にある中継反射鏡5へ配光するよう構成してある。また、本例の中継反射鏡5は、リフレクタ3から受けた光を中継反射鏡5から所定距離にある目標照射位置Gへ反射させるよう構成してある。
本例の樹脂成形装置1は、図10に示すごとく、光源2とリフレクタ3と中継反射鏡5とを固定して目標照射位置Gへ配光する際に、中継反射鏡5によって反射された各反射面31による光の反射中心軸線D1が目標照射位置Gに到達する範囲を照射範囲Eとしたとき、図11、図12に示すごとく、光源2とリフレクタ3とを固定した状態で中継反射鏡5を回動させることにより、目標照射位置Gに対して、円を描くように照射範囲Eを変化させて、目標照射位置Gの周辺に配置した成形型6の表面からキャビティ61内に充填する熱可塑性樹脂8に光を照射し、この熱可塑性樹脂8を加熱するよう構成してある。
【0065】
図11〜図13に示すごとく、本例の中継反射鏡5は、その反射面51による反射配光方向X2が、中継反射鏡5を回動させるための回動中心軸線C1に対して傾斜する方向を向いている。本例の中継反射鏡5は、モータ等の駆動源による回転力を受けて回動(回転)する回動本体部4に配設してあり、回動本体部4における回動の中心を構成する回動中心軸線C1に対し、中継反射鏡5の反射配光方向X2が傾斜している。
本例の樹脂成形装置1は、中継反射鏡5を回動中心軸線C1の回りに回動させることによって、中継反射鏡5の反射面51による反射配光方向X2が目標照射位置Gの中心Oの回りの円軌道S上を移動するよう構成されている。なお、図11、図12は、回動本体部4の回動により反射配光方向X2が変化する状態を示す。
【0066】
図10に示すごとく、本例の中継反射鏡5は、回動本体部4の回動中心軸線C1に対して反射面51による反射配光方向X2を平行にした状態(反射面51を垂直にした状態)を原位置とし、中継反射鏡5が原位置にあるときには、光源2(フィラメント21)から受けた光を、目標照射位置Gにおける中心に反射させるよう構成してある。また、中継反射鏡5は、その反射配光方向X2が回動中心軸線C1と一致する原位置において、リフレクタ3から受けた光を90°屈折させて、目標照射位置Gの中心Oへ導くよう構成してある。また、本例の回動本体部4の回動中心軸線C1は、リフレクタ3による配光方向X1に対して45°傾斜して設けてある。また、本例の中継反射鏡5は円盤状に形成した。
なお、中継反射鏡5の反射面51は、平面状に形成したが、これ以外にも、例えば曲面状に形成することもできる。
【0067】
また、中継反射鏡5は、回動中心軸線C1の回りに回動する回動本体部4に対して、ねじ42の調整によって反射配光方向X2の傾斜角度θを変更することができるよう構成してある。本例の中継反射鏡5は、回動本体部4に対して傾斜角度θを変更する際に、回動本体部4の回動部41に対して回動中心軸線C1を挟む両側に螺合した一対又は複数のねじ42の先端を、中継反射鏡5に当接させ、各ねじ42の回動本体部4に対する螺合位置から先端位置までの突出長さを調整することによって、回動中心軸線C1に対する反射面51の反射配光方向X2を調整するよう構成してある。そして、ねじ42の調整によって回動中心軸線C1に対する反射配光方向X2の傾斜角度θを所定の角度に設定すると、回動本体部4によって中継反射鏡5を回動させる際に、リフレクタ3から配向される光が、目標照射位置Gにおける中心Oの回りの円軌道S上を移動する。
【0068】
本例の樹脂成形装置1は、ゴム製の成形型6を用いて熱可塑性樹脂8からなる樹脂成形品を成形するに当たり、光源2及びリフレクタ3を用いた単灯式のランプと、中継反射鏡5とを用いることによって、より簡単に光の照射範囲Eを適切に変化させることができ、成形型6内の熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図ることができるものである。
樹脂成形品を成形するに当たっては、ゴム製の成形型6のキャビティ61内に熱可塑性樹脂8を充填する。そして、この充填の際には、光源2から発した0.78〜2μmの波長領域を含む光を、リフレクタ3及び中継反射鏡5によって配光し、成形型6の表面からキャビティ61内の熱可塑性樹脂8に照射する。このとき、成形型6を構成するゴムと熱可塑性樹脂8との物性の違いにより、ゴム製の成形型6に比べて、熱可塑性樹脂8をより多く加熱することができる。
【0069】
これにより、キャビティ61内への熱可塑性樹脂8の充填が完了するまでの間において、ゴム製の成形型6の温度よりも、キャビティ61内における熱可塑性樹脂8の温度を高く維持することができる。そのため、ゴム製の成形型6に対してキャビティ61内の熱可塑性樹脂8を選択的に加熱することができ、キャビティ61内に熱可塑性樹脂8の充填不良が生じることを防止して、良好な樹脂成形品を得ることができる。
【0070】
また、本例の樹脂成形装置1においては、多数の反射面31を椀状に形成して目標照射位置Gへ略均一に配光する構造のリフレクタ3、及びリフレクタ3から受けた光を目標照射位置Gへ反射させる中継反射鏡5を用いる。そして、成形型6内の熱可塑性樹脂8を加熱する際には、光源2から発した光をリフレクタ3によって配光して、中継反射鏡5へと導く。また、回動本体部4によって中継反射鏡5を回動させる。このとき、回動中心軸線C1に対する中継反射鏡5の反射配光方向X2が所定の傾斜角度θに調整してあり、中継反射鏡5の反射面51に入射した光は、所定の反射角度で目標照射位置Gへ出射される。
【0071】
また、このとき、目標照射位置Gにおいては、中継反射鏡5によって反射された照射範囲(照射直径)Eの中心Pが円軌道S上を移動し、目標照射位置Gにおいて中心Oからの各距離の部位においては、光が照射されている時間帯と、照射されていない時間帯とが形成される。そして、この光の照射の交番により、目標照射位置Gに配置した成形型6内の熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図ることができる。
また、上記光の照射の交番により、フィラメント(発光体)21の形状がリフレクタ3の多数の反射面31によって目標照射位置Gに投影されることによって生じるフィラメント21の影(局所加熱部位)が目標照射位置Gにおいて移動することになる。これにより、成形型6内の熱可塑性樹脂8に局所的に著しく加熱される部位が集中することを防止することができる。
【0072】
また、本例においては、中継反射鏡5を回動させる構造にしたことにより、特に光源2を回動させる必要がなく、回動する際の振動等によって光源2が劣化することを防止することができる。また、軽量かつ配線等がない中継反射鏡5を回動させる構造にしたことにより、回動本体部4の駆動を容易にすることができる。
また、目標照射位置Gに光強度が高い部位の集中が生じないため、特定形状の成形型6内の熱可塑性樹脂8だけでなく、種々の形状の熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図ることができる。
【0073】
それ故、本例の樹脂成形装置1によっても、ゴム製の成形型6に比べて成形型6内の熱可塑性樹脂8を選択的に加熱することができ、簡単な装置の構成によって、熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図ることができる。
また、本例の樹脂成形方法も、熱可塑性樹脂8の加熱温度の均一化を図ることができる樹脂成形装置1の特性を活用して樹脂成形品を得ることができる。それ故、本例の樹脂成形方法によっても、上記実施例1と同様に、熱可塑性樹脂8における各部位の加熱温度の均一化を図って優れた品質の樹脂成形品を得ることができる。
本例においても、その他の構成は上記実施例1と同様であり、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0074】
(確認試験1)
本確認試験においては、上記実施例2に示した樹脂成形装置1による熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図ることができる効果を確認するための試験を行った。
光源2及びリフレクタ3としては、0.9μmの波長に光強度のピークを有し、最大定格容量が100V、2.5kWであるハロゲンヒータ11(インフリッヂ工業(株)製、HSH−2、f300、φ100)を用い、光源2(フィラメント21)のランプ温度は3200Kであるものを用いた。
また、熱可塑性樹脂8としてはABS樹脂を用い、成形型6としてはシリコーンゴムからなるものを用いた。また、ABS樹脂は、粒子状態の熱可塑性樹脂8を用い、平均粒径が700μmのマイクロペレットとした。また、ABS樹脂は、推奨成形温度が220℃、未溶融温度が170℃以下、焼けを生じる上限温度が300℃であるものを用いた。
また、キャビティ61は、試験用として2mmの厚みの平面状態のものとした。
【0075】
本確認試験のハロゲンヒータ11は、光源2から目標照射位置Gまでの照射距離を300mmとし、目標照射位置Gにおける照射範囲Eをφ100mmとした。本例のリフレクタ3における多数の反射面31による反射直径は、φ145mmとした。
また、本確認試験においては中継反射鏡5を用いているため、光源2から中継反射鏡5までの距離を150mmとし、中継反射鏡5から目標照射位置Gまでの距離を150mmとした。そして、目標照射位置Gにおける照射範囲Eは、光源2から中継反射鏡5までの経路と、中継反射鏡5から目標照射位置Gまでの経路とによって絞って、φ100mmとした。
【0076】
本確認試験においては、実施例1の図6、図7に示したハロゲンヒータ11を用いた。
図6に示したように、本確認試験において用いたハロゲンヒータ11は、多数の反射面31によって反射された光の反射中心軸線D1の全体が、照射範囲Eの全体の直径に対して約40%の大きさの直径の中心部Fの範囲外に到達する状態に配置してある。
【0077】
成形型6のキャビティ61内に充填した加熱前のABS樹脂の温度は30℃とし、樹脂成形装置1によって、キャビティ61内のABS樹脂における被照射範囲であるφ150mmの範囲内が推奨成形温度である220℃に到達するまでの照射時間(sec)を測定した。そして、10秒ごとに記録した値から直径φ200mmの被照射面のABS樹脂の最大温度(℃)、平均温度(℃)、最小温度(℃)も計算した。この各温度の測定は、赤外線サーモグラフィ(日本アビオニクス(株)製)を用いて行った。
この測定を行った結果を表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
また、本確認試験においては、中継反射鏡5の回動を停止した場合(照射範囲Eを固定した場合)(比較1)、照射範囲Eの中心が通る旋回直径(円軌道の直径)Bを、照射範囲Eの直径をAとしたとき、0.2A≦B≦2Aの範囲内で変化させた場合(発明1〜10)について、照射時間及び各温度の測定を行った。
同表において、照射範囲Eの直径Aに対する円軌道の直径Bである比率を回転比B/Aで示す。また、最大温度(℃)と最小温度(℃)との差を温度差(℃)で示す。
発明1は、回転比B/Aが0.2である場合を示し、発明10は、回転比B/Aが2である場合を示す。
【0080】
また、試験の評価は、焼け判定(熱可塑性樹脂8の表面に焼けが生じたかの判定)、未溶融判定(熱可塑性樹脂8が溶融したかの判定)を行い、これらを総合して総合判定を行った。同表において、焼け判定は、熱可塑性樹脂8の最大温度が320℃以上になった場合を×、300〜319℃になった場合を△、280〜299℃になった場合を○、280℃未満になった場合を◎で示す。また、未溶融判定は、熱可塑性樹脂8の最小温度が150℃未満になった場合を×、150〜159℃になった場合を△、160〜169℃になった場合を○、170℃以上になった場合を◎で示す。
【0081】
同表において、比較1については、平均温度では高くなるものの、最大温度と最小温度との温度差が著しく大きい。また、キャビティ61内の熱可塑性樹脂8に焼けが生じ(焼け判定が×となり)、また、熱可塑性樹脂8の未溶融の状態が生じ易い(未溶融判定が△となった)。そのため、比較1によっては、総合判定が×となり、成形型6内の熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図ることができないことがわかる。
【0082】
一方、発明1、2(回転比B/Aが0.2、0.4の場合)については、キャビティ61の各部位における熱可塑性樹脂8に、焼けが生じるか(焼け判定が△となり)、未溶融の状態が生じるおそれがある(未溶融判定が○となった)。そのため、発明品1、2によっては、総合判定が△となり、成形型6内の熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図るためには不充分であることがわかる。
また、発明3〜5(回転比B/Aが0.6、0.8、1の場合)については、キャビティ61の各部位における熱可塑性樹脂8に、照射時間によっては焼けが生じるおそれがある(焼け判定が○となった)。ただし、未溶融の状態は生じない(未溶融判定が◎となった)。そのため、発明品3〜5によっては、総合判定が○となり、成形型6内の熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図ることができることがわかる。
【0083】
また、発明品6〜10(回転比B/Aが1.2、1.4、1.6、1.8、2の場合)については、キャビティ61の各部位における熱可塑性樹脂8に焼けが生じることがなく(焼け判定が◎となり)、未溶融の状態も生じない(未溶融判定が◎となった)。そのため、発明品6〜10によれば、総合判定が◎となり、成形型6内の熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図るのにより適していることがわかった。
【0084】
なお、被照射範囲であるφ150mmの範囲内が220℃に到達するまでの照射時間(sec)は、回転比B/Aを大きくするほど長くなることがわかる。すなわち、回転比B/Aを大きくすれば、熱可塑性樹脂8における各部位の加熱温度の均一化を図ることができるが、照射時間が長くなることがわかる。
そのため、回転比(照射範囲Eの直径Aに対する移動照射範囲E’の円軌道の直径Bの比率)B/Aは、多数の反射面31による光の反射中心軸線D1の全体を、照射範囲Eの全体の直径に対して約40%の大きさの直径の中心部Fの範囲外に到達する状態に形成したハロゲンヒータ11を用いた場合には、加熱温度の偏りと照射時間との兼ね合いより、回転比B/Aを0.2〜2とすることが好ましく、0.6〜2とすることがより好ましく、さらには、1.2〜2とすることがより一層好ましいことがわかる。
【0085】
図14〜図16には、横軸に、目標照射位置Gにおける中心Oからの距離をとり、縦軸に熱可塑性樹脂8の温度をとって、熱可塑性樹脂8の各部位における温度を測定した結果を示す。図14は比較1を示し、図15は発明5を示し、図16は発明9を示す。
各図において、発明5は比較1に比べて熱可塑性樹脂8の各部位における温度の偏りが少なく、発明9は発明5に比べて熱可塑性樹脂8の各部位における温度の偏りがさらに少なくなっていることがわかる。
【0086】
(確認試験2)
本確認試験においても、上記実施例2に示した樹脂成形装置1による熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図ることができる効果を確認するための試験を行った。
本確認試験においては、実施例1の図4、図5に示したハロゲンヒータ11を用いた。
図4に示したように、ハロゲンヒータ11のリフレクタ3における多数の反射面31による反射中心軸線D1は、確認試験1の場合(図6)と比べて照射範囲Eの外縁部により多く位置する状態に形成した。より具体的には、本確認試験のハロゲンヒータ11は、多数の反射面31によって反射された光の反射中心軸線D1の全体が、照射範囲Eの全体の直径に対して約60%の大きさの直径の中心部の範囲外に到達する状態に形成した。
なお、本確認試験に用いたハロゲンヒータ11の上記以外の構成は、確認試験1と同様である。また、本確認試験において用いた熱可塑性樹脂8、成形型6、成形型6内のキャビティ61の形成状態についても確認試験1と同様である。
【0087】
本確認試験においては、中継反射鏡5の回動を停止した場合(照射範囲Eを固定した場合)(比較2)、照射範囲Eの中心が通る旋回直径(円軌道の直径)Bを、照射範囲Eの直径をAとしたとき、0.2A≦B≦2Aの範囲内で変化させた場合(発明11〜16)について、照射時間及び各温度の測定を行った。本確認試験においては、発明11は、回転比B/Aが0.2である場合を示し、発明16は、回転比B/Aが1.2である場合を示す。
この測定を行った結果を表2に示す。
【0088】
【表2】
【0089】
同表において、比較2については、平均温度では高くなるものの、最大温度と最小温度との温度差が著しく大きい。また、キャビティ61内の熱可塑性樹脂8に焼けが生じやすいが(焼け判定が△となり)、熱可塑性樹脂8の未溶融の状態は生じない(未溶融判定が◎となった)。そのため、比較2によっては、総合判定が△となり、成形型6内の熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図ることができないことがわかる。
【0090】
一方、発明11、12(回転比B/Aが0.2、0.4の場合)については、キャビティ61の各部位における熱可塑性樹脂8に、焼けが生じるおそれがあるが(焼け判定が○となり)、未溶融の状態は生じない(未溶融判定が◎となった)。そのため、発明品11、12によっては、総合判定が○となり、成形型6内の熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図ることができることがわかる。
【0091】
また、発明13(回転比B/Aが0.6の場合)については、キャビティ61の各部位における熱可塑性樹脂8に、焼けが生じることがなく(焼け判定が◎となった)、未溶融の状態も生じない(未溶融判定が◎となった)。そのため、発明品13によれば、総合判定が◎となり、成形型6内の熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化をより効果的に図ることができることがわかる。
また、発明14〜16(回転比B/Aが0.8、1、1.2の場合)については、キャビティ61の各部位における熱可塑性樹脂8に、焼けが生じるおそれはほとんどなく(焼け判定が○か◎となった)、未溶融の状態もほとんど生じない(未溶融判定が○となった)。そのため、発明品14〜16によっては、総合判定が○となり、成形型6内の熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図ることができることがわかる。
なお、本確認試験においても、評価方法は確認試験1と同様である。
【0092】
図17、図18には、横軸に、目標照射位置Gにおける中心Oからの距離をとり、縦軸に熱可塑性樹脂8の温度をとって、熱可塑性樹脂8の各部位における温度を測定した結果を示す。図17は比較2を示し、図18は発明13を示す。
各図において、発明13は比較2に比べて熱可塑性樹脂8の各部位における温度の偏りが少なくなっていることがわかる。ただし、発明13は、確認試験1で示した発明5、発明9の場合に比べて、温度の偏りが大きいことがわかる。
以上の結果より、確認試験1に用いたハロゲンヒータ11の方が確認試験2で用いたハロゲンヒータ11よりも、成形型6内の熱可塑性樹脂8における各部位の加熱温度の均一化を図るためにより適していることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】実施例1における、樹脂成形装置を示す説明図。
【図2】実施例1における、ハロゲンヒータを示す説明図。
【図3】実施例1における、樹脂成形装置による目標照射位置における光の移動照射範囲を示す説明図。
【図4】実施例1における、ハロゲンヒータについて光の配光状態のシミュレーションを行った結果を示す説明図。
【図5】実施例1における、図4のハロゲンヒータについて目標照射位置における各部位の光強度を示すグラフ。
【図6】実施例1における、他のハロゲンヒータについて光の配光状態のシミュレーションを行った結果を示す説明図。
【図7】実施例1における、図6のハロゲンヒータについて目標照射位置における各部位の光強度を示すグラフ。
【図8】実施例1における、他の樹脂成形装置を示す説明図。
【図9】実施例1における、シリコーンゴムにおける光の透過率を示すグラフ。
【図10】実施例2における、樹脂成形装置を示す説明図。
【図11】実施例2における、中継反射鏡が回動する状態の樹脂成形装置を示す説明図。
【図12】実施例2における、中継反射鏡が回動する状態の樹脂成形装置を示す説明図。
【図13】実施例2における、中継反射鏡を模式的に示す説明図。
【図14】確認試験1の比較1について、熱可塑性樹脂の各部位における温度を測定した結果を示すグラフ。
【図15】確認試験1の発明5について、熱可塑性樹脂の各部位における温度を測定した結果を示すグラフ。
【図16】確認試験1の発明9について、熱可塑性樹脂の各部位における温度を測定した結果を示すグラフ。
【図17】確認試験2の比較2について、熱可塑性樹脂の各部位における温度を測定した結果を示すグラフ。
【図18】確認試験2の発明13について、熱可塑性樹脂の各部位における温度を測定した結果を示すグラフ。
【符号の説明】
【0094】
1 樹脂成形装置
11 ハロゲンヒータ
2 光源
21 フィラメント
3 リフレクタ
31 反射面
4 回動本体部
5 中継反射鏡
51 反射面
8 熱可塑性樹脂
G 目標照射位置
E 照射範囲
C1 回動中心軸線
C2 反射全体中心軸線
D1 反射中心軸線
X1 配光方向
X2 反射配光方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源から発した光をリフレクタによって配光してゴム製の成形型へ導き、この成形型内の熱可塑性樹脂を加熱するよう構成した樹脂成形装置及び樹脂成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光(電磁波)を用いて被加熱物を加熱するよう構成したランプとしては種々のものがある。
例えば、直管型のランプを複数本並べて配置し、広い範囲に略均一に光を照射する方法がある。しかしながら、この方法によれば、ランプの後方に配置した反射鏡の奥行きが浅く、ランプ自身が邪魔になるなどの理由によって光の利用効率が低い。そのため、膨大な電力を消費し、かつ比較的遠距離の照射には光強度が不足する。
【0003】
これに対し、単灯式(点光源)のランプを配置し、反射鏡の構造設計によって略均一な配光分布を形成する方法がある。この方法においては、反射鏡には、1つの曲面状の反射面を椀状に形成したもの又は多数の微小な平坦状の反射面を組み合わせて椀状に形成したものを用い、反射面による配光方向を設計することによって、所望の照射範囲に略均一な配光分布が得られるようにしている。これにより、光の利用効率を高くすることができ、遠距離の照射を行う際にも光強度が不足することを解消している。
しかしながら、単灯式のランプを用いる際には、フィラメント等の光源の形状が反射鏡によって被加熱物上に投影されることにより、局所的に著しく加熱される部位を形成してしまう。そのため、被加熱物の略均一な加熱を行うためには十分ではない。また、被加熱物の形状が異なる場合には、局所的に加熱される部位が変化し、種々の形状の被加熱物に対して使用することが困難である。
【0004】
また、特許文献1には、被加熱対象となる半導体ウエハを均一に加熱するために、光源からの光を反射鏡により集め、反射鏡からの光を偏向器を介して半導体ウエハに集束光として照射すると共に、この集束光でウエハ面を走査するよう偏向器を駆動させる光加熱装置が開示されている。しかしながら、特許文献1においては、点集中させた集束光を高速で走査させて、光の照射むらを低減している。そのため、高速の走査を行うための装置の構成が複雑である。
【0005】
【特許文献1】実開平5−63043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、ゴム製の成形型に比べて成形型内の熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができ、簡単な装置の構成によって、熱可塑性樹脂の各部位における加熱温度の均一化を図ることができる樹脂成形装置及び樹脂成形方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、熱可塑性樹脂を充填するためのキャビティを形成してなるゴム製の成形型と、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発する光源と、該光源から発した光を配光して上記成形型へ導くためのリフレクタとを有し、
該リフレクタは、その反射面を椀状に形成してなると共に、該反射面によって上記光源から発した光を該光源から所定距離にある目標照射位置へ配光するよう構成してあり、
上記光源と上記リフレクタとを固定して上記目標照射位置へ配光する際に、上記反射面によって反射された光が上記目標照射位置に到達する範囲を照射範囲としたとき、上記光源と上記リフレクタとを一体的に回動させる、又は上記光源を固定した状態で上記リフレクタを回動させることにより、上記目標照射位置に対して、円を描くように上記照射範囲を変化させて、上記目標照射位置の周辺に配置した上記成形型の表面から上記キャビティ内に充填する上記熱可塑性樹脂に光を照射し、該熱可塑性樹脂を加熱するよう構成したことを特徴とする樹脂成形装置にある(請求項1)。
【0008】
本発明の樹脂成形装置は、ゴム製の成形型を用いて熱可塑性樹脂からなる樹脂成形品を成形するに当たり、光源及びリフレクタを用いた単灯式のランプを用い、光の照射範囲を適切に変化させることによって、成形型内の熱可塑性樹脂の各部位における加熱温度の均一化を図ることができるものである。
樹脂成形品を成形するに当たっては、ゴム製の成形型のキャビティ内に熱可塑性樹脂を充填する。そして、この充填の際には、光源から発した0.78〜2μmの波長領域を含む光を、リフレクタによって配光し、成形型の表面からキャビティ内の熱可塑性樹脂に照射する。このとき、成形型を構成するゴムと熱可塑性樹脂との物性の違いにより、ゴム製の成形型に比べて、熱可塑性樹脂をより多く加熱することができる。
【0009】
これにより、キャビティ内への熱可塑性樹脂の充填が完了するまでの間において、ゴム製の成形型の温度よりも、キャビティ内における熱可塑性樹脂の温度を高く維持することができる。そのため、ゴム製の成形型に対してキャビティ内の熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができ、キャビティ内に熱可塑性樹脂の充填不良が生じることを防止して、良好な樹脂成形品を得ることができる。
【0010】
なお、成形型を介して熱可塑性樹脂に照射する光(電磁波)としては、波長が0.78〜2μmの領域の光だけでなく、これ以外の領域の光も含まれていてもよい。この場合において、成形型を介して熱可塑性樹脂に照射する光は、波長が0.78〜2μmの領域の光を、これ以外の領域の光よりも多く含むことが好ましい。
【0011】
また、本発明の樹脂成形装置においては、反射面を椀状に形成して目標照射位置へ略均一に配光する構造のリフレクタを用いる。そして、光源とリフレクタとを一体的に回動させる、又は光源を固定してリフレクタを回動させることにより、目標照射位置に対して、円を描くように光の照射範囲を変化させる。これにより、光源の形状がリフレクタによって目標照射位置に投影されることによって成形型内の熱可塑性樹脂に局所的に著しく加熱される部位が集中することを防止することができる。
【0012】
また、目標照射位置に光強度が高い部位の集中が生じないため、特定形状の成形型内の熱可塑性樹脂だけでなく、種々の形状の熱可塑性樹脂の各部位における加熱温度の均一化を図ることができる。さらに、本発明の樹脂成形装置は、光源及びリフレクタを回動させるか、又はリフレクタのみを回動させる簡単な構成である。
【0013】
それ故、本発明の樹脂成形装置によれば、ゴム製の成形型に比べて成形型内の熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができ、簡単な装置の構成によって、熱可塑性樹脂の各部位における加熱温度の均一化を図ることができる。
【0014】
なお、上記0.78〜2μmの波長領域を含む光(特に近赤外線)により、ゴム製の成形型に比べて、熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができる理由としては、以下のように考える。
すなわち、ゴム製の成形型の表面に照射された0.78〜2μmの波長領域を含む光は、成形型の表面を反射又は成形型を透過する割合が多いのに対し、熱可塑性樹脂に吸収される割合が多いと考える。そのため、0.78〜2μmの波長領域を含む光のエネルギーが熱可塑性樹脂に優先的に吸収されて、熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができると考える。
【0015】
第2の発明は、熱可塑性樹脂を充填するためのキャビティを形成してなるゴム製の成形型と、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発する光源と、該光源から発した光を配光して反射するリフレクタと、該リフレクタから反射された光をさらに反射させて上記成形型へ導くための中継反射鏡とを有し、
上記リフレクタは、その反射面を椀状に形成してなると共に、該反射面によって上記光源から発した光を該光源から所定距離にある上記中継反射鏡へ配光するよう構成してあり、
上記中継反射鏡は、上記リフレクタから受けた光を当該中継反射鏡から所定距離にある目標照射位置へ反射させるよう構成してあり、
上記光源と上記リフレクタと上記中継反射鏡とを固定して上記目標照射位置へ配光する際に、上記中継反射鏡によって反射された光が上記目標照射位置に到達する範囲を照射範囲としたとき、上記光源と上記リフレクタとを固定した状態で上記中継反射鏡を回動させることにより、上記目標照射位置に対して、円を描くように上記照射範囲を変化させて、上記目標照射位置の周辺に配置した上記成形型の表面から上記キャビティ内に充填する上記熱可塑性樹脂に光を照射し、該熱可塑性樹脂を加熱するよう構成したことを特徴とする樹脂成形装置にある(請求項2)。
【0016】
本発明の樹脂成形装置は、ゴム製の成形型を用いて熱可塑性樹脂からなる樹脂成形品を成形するに当たり、光源及びリフレクタを用いた単灯式のランプと、中継反射鏡とを用いることによって、より簡単に光の照射範囲を適切に変化させることができ、成形型内の熱可塑性樹脂の各部位における加熱温度の均一化を図ることができるものである。
樹脂成形品を成形するに当たっては、ゴム製の成形型のキャビティ内に熱可塑性樹脂を充填する。そして、この充填の際には、光源から発した0.78〜2μmの波長領域を含む光を、リフレクタ及び中継反射鏡によって配光し、成形型の表面からキャビティ内の熱可塑性樹脂に照射する。このとき、成形型を構成するゴムと熱可塑性樹脂との物性の違いにより、ゴム製の成形型に比べて、熱可塑性樹脂をより多く加熱することができる。
【0017】
これにより、キャビティ内への熱可塑性樹脂の充填が完了するまでの間において、ゴム製の成形型の温度よりも、キャビティ内における熱可塑性樹脂の温度を高く維持することができる。そのため、ゴム製の成形型に対してキャビティ内の熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができ、キャビティ内に熱可塑性樹脂の充填不良が生じることを防止して、良好な樹脂成形品を得ることができる。
【0018】
また、本発明の樹脂成形装置においては、反射面を椀状に形成して目標照射位置へ略均一に配光する構造のリフレクタ、及びリフレクタから受けた光を目標照射位置へ反射させる中継反射鏡を用いる。そして、光源とリフレクタとを固定した状態で中継反射鏡を回動させることにより、目標照射位置に対して、円を描くように光の照射範囲を変化させる。これにより、光源の形状がリフレクタによって目標照射位置に投影されることによって成形型内の熱可塑性樹脂に局所的に著しく加熱される部位が集中することを防止することができる。
【0019】
また、本発明においては、中継反射鏡を回動させる構造にしたことにより、特に光源を回動させる必要がなく、回動する際の振動等によって光源が劣化することを防止することができる。また、軽量かつ配線等がない中継反射鏡を回動させる構造にしたことにより、回動構成部分の駆動を容易にすることができる。
また、目標照射位置に光強度が高い部位の集中が生じないため、特定形状の成形型内の熱可塑性樹脂だけでなく、種々の形状の熱可塑性樹脂の各部位における加熱温度の均一化を図ることができる。
【0020】
それ故、本発明の樹脂成形装置によっても、ゴム製の成形型に比べて成形型内の熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができ、簡単な装置の構成によって、熱可塑性樹脂の各部位における加熱温度の均一化を図ることができる。
【0021】
なお、上記0.78〜2μmの波長領域を含む光(特に近赤外線)により、ゴム製の成形型に比べて、熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができる理由は、上記第1の発明と同様に考える。
【0022】
第3の発明は、熱可塑性樹脂を充填するためのキャビティを形成してなるゴム製の成形型と、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発する光源と、該光源から発した光を配光して上記成形型へ導くためのリフレクタとを有する樹脂成形装置を用い、
上記リフレクタは、その反射面を椀状に形成してなると共に、該反射面によって上記光源から発した光を該光源から所定距離にある目標照射位置へ配光するよう構成しておき、
上記光源と上記リフレクタとを固定して上記目標照射位置へ配光する際に、上記反射面によって反射された光が上記目標照射位置に到達する範囲を照射範囲としたとき、上記光源と上記リフレクタとを一体的に回動させる、又は上記光源を固定して上記リフレクタを回動させることにより、上記目標照射位置に対して、円を描くように上記照射範囲を変化させて、上記目標照射位置の周辺に配置した上記成形型の表面から上記キャビティ内に充填する上記熱可塑性樹脂に光を照射し、該熱可塑性樹脂を加熱することを特徴とする樹脂成形方法にある(請求項8)。
【0023】
本発明の樹脂成形方法においては、熱可塑性樹脂の加熱温度の均一化を図ることができる樹脂成形装置の特性を活用して樹脂成形品を得ることができる。
それ故、本発明の樹脂成形方法によれば、ゴム製の成形型に比べて成形型内の熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができ、熱可塑性樹脂における各部位の加熱温度の均一化を図って優れた品質の樹脂成形品を得ることができる。
【0024】
第4の発明は、熱可塑性樹脂を充填するためのキャビティを形成してなるゴム製の成形型と、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発する光源と、該光源から発した光を配光して反射するリフレクタと、該リフレクタから反射された光をさらに反射させて上記成形型へ導くための中継反射鏡とを有する樹脂成形装置を用い、
上記リフレクタは、その反射面を椀状に形成してなると共に、該反射面によって上記光源から発した光を該光源から所定距離にある上記中継反射鏡へ配光するよう構成しておき、
上記中継反射鏡は、上記リフレクタから受けた光を当該中継反射鏡から所定距離にある目標照射位置へ反射させるよう構成しておき、
上記光源と上記リフレクタと上記中継反射鏡とを固定して上記目標照射位置へ配光する際に、上記中継反射鏡によって反射された光が上記目標照射位置に到達する範囲を照射範囲としたとき、上記光源と上記リフレクタとを固定した状態で上記中継反射鏡を回動させることにより、上記目標照射位置に対して、円を描くように上記照射範囲を変化させて、上記目標照射位置の周辺に配置した上記成形型の表面から上記キャビティ内に充填する上記熱可塑性樹脂に光を照射し、該熱可塑性樹脂を加熱することを特徴とする樹脂成形方法にある(請求項9)。
【0025】
本発明の樹脂成形方法においても、熱可塑性樹脂の加熱温度の均一化を図ることができる樹脂成形装置の特性を活用して樹脂成形品を得ることができる。
それ故、本発明の樹脂成形方法によっても、ゴム製の成形型に比べて成形型内の熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができ、熱可塑性樹脂における各部位の加熱温度の均一化を図って優れた品質の樹脂成形品を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
上述した第1〜第4の発明における好ましい実施の形態につき説明する。
第1〜第4の発明において、上記照射範囲によって描く円は、必ずしも真円である必要はなく、楕円等の円とすることもできる。ただし、装置構成の簡単化を図るためには、上記照射範囲は、真円軌道で変化させることが好ましい。また、上記照射範囲は、駆動手段に工夫をすることにより、照射範囲を自転させながら旋回させることもできる(遊星円軌道で変化させることもできる)。
また、上記リフレクタは、円形状の照射範囲を形成する椀形状とすることができる。
【0027】
また、第1、第3の発明において、上記光源と上記リフレクタとは、1組として用いるだけでなく、複数組をセットにして用いることができる。また、第2、第4の発明において、上記光源と上記リフレクタと上記中継反射鏡とは、1組として用いるだけでなく、複数組をセットにして用いることができる。すなわち、成形品(あるいはキャビティ)の形状によっては、両側又は上下左右から光を照射した方が好ましい場合がある。
【0028】
また、上記熱可塑性樹脂は、非晶性熱可塑性樹脂であることが好ましい。
ところで、熱可塑性樹脂の冷却速度は、成形型がゴム製であるため、金型の場合に比べて遅くなる。そのため、冷却中に熱可塑性樹脂の結晶性が高くなることがあり、これによって、樹脂成形品の寸法精度が低下したり、樹脂成形品の耐衝撃性が低下したりすることがある。これに対し、熱可塑性樹脂を非晶性熱可塑性樹脂にしたことにより、上記樹脂成形品の寸法精度の低下及び耐衝撃性の低下等を防止することができる。
【0029】
非晶性熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、スチレン・メタクリル酸メチル共重合体等のスチレン系樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)、AES樹脂(アクリロニトリル・エチレン−プロピレン−ジエン・スチレン樹脂)、ASA樹脂(アクリレート・スチレン・アクリロニトリル樹脂)等のゴム変性熱可塑性樹脂、又はポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート樹脂(PC)、PC/ゴム変性熱可塑性樹脂アロイ等を用いることができる。その中でも、特にゴム変性熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
【0030】
ゴム変性熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、ゴム質重合体の存在下にビニル系単量体をグラフト重合させた重合体を1種又は2種以上含むものが好ましい。
上記ゴム質重合体としては、特に限定されないが、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・ブテン−1・非共役ジエン共重合体、アクリルゴム、シリコーンゴム等が挙げられ、これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
また、上記ゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、アクリルゴムを用いることが好ましく、上記ゴム変性熱可塑性樹脂としては、例えば、ABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂等を用いることができる。その中でも、特にABS樹脂を用いることがさらに好ましい。
【0032】
また、上記成形型は、シリコーンゴムからなることが好ましい。
この場合には、成形型の作製が容易であると共に、上記0.78〜2μmの波長領域を含む光により、成形型をほとんど加熱することなく熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができる。
また、シリコーンゴムの硬度は、JIS−A規格測定において25〜80であることが好ましい。
【0033】
また、第1の発明においては、上記光源は、該光源と上記リフレクタとを一体的に回動させるための回動中心軸線に対してオフセットした位置にあり、上記光源と上記リフレクタとを上記回動中心軸線の回りに一体的に回動させることによって、上記目標照射位置に対して、円を描くように上記照射範囲を変化させるよう構成することができる(請求項3)。
この場合には、光源とリフレクタとを一体的に回動させることが容易であり、簡単に樹脂成形装置を構成することができる。
【0034】
また、第2の発明においては、上記中継反射鏡は、その反射面による反射配光方向が、当該中継反射鏡を回動させるための回動中心軸線に対して傾斜する方向を向いており、上記中継反射鏡を上記回動中心軸線の回りに回動させることによって、上記目標照射位置に対して、円を描くように上記照射範囲を変化させるよう構成することができる(請求項4)。
この場合には、中継反射鏡を回動させることが容易であり、簡単に樹脂成形装置を構成することができる。
【0035】
また、上記中継反射鏡は、上記回動中心軸線の回りに回動する回動本体部に対して、ねじの調整によって上記反射配光方向の傾斜角度を変更することができるよう構成することができる(請求項5)。
この場合には、中継反射鏡の傾斜角度を容易に変更することができ、上記円を描くように変化させる照射範囲の旋回直径を容易に調整することができる。
【0036】
また、上記照射範囲における中心は、上記目標照射位置における中心回りの円軌道上を移動し、該円軌道の直径Bは、上記照射範囲の最大外径をAとしたとき、0.2A≦B≦2Aの関係を有していることが好ましい(請求項6)。
この場合には、目標照射位置に光が照射される照射範囲において、光源からの直接照射によって成形型内の熱可塑性樹脂に局所的に著しく加熱される部位が集中することを容易に避けることができる。
【0037】
また、上記リフレクタにおける上記反射面は、多数の平坦状の反射面を組み合わせた多段式構造、又は連続する1つの曲面状の反射面からなる連続曲面構造を有しており、上記照射範囲は、上記多数の平坦状の反射面による光の反射中心軸線が上記目標照射位置に到達する範囲、又は上記連続する1つの曲面状の反射面を区画した多数の仮想反射面による光の反射中心軸線が上記目標照射位置に到達する範囲として設定することができる(請求項7)。
上記各反射面又は各仮想反射面による光の反射中心軸線とは、各反射面又は各仮想反射面の図心位置を反射する光軸線のことをいう。
【0038】
また、上記照射範囲は、円形状を有しており、上記リフレクタにおける上記多数の反射面又は多数の仮想反射面は、該多数の反射面又は多数の仮想反射面によって反射された光の反射中心軸線の全体が、上記照射範囲全体の直径に対して所定の大きさの直径の中心部の範囲外に到達する状態に形成することができる。
この場合には、成形型内の熱可塑性樹脂における各部位の加熱温度の均一化を図ることができる樹脂成形装置に適したリフレクタを容易に形成することができる。
なお、上記照射範囲全体の直径に対して所定の大きさの直径の中心部は、円形状の照射範囲と同心状に形成した円形状であることを意味する。
【0039】
また、上記光源は、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発するハロゲンランプ、キセノンランプ等とすることができる。また、光源の出力特性、形状等は、被加熱物の種類、加熱用途等に応じて選択することができる。
【実施例】
【0040】
以下に、本発明の樹脂成形装置及び樹脂成形方法にかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
(実施例1)
本例の樹脂成形装置1は、図1、図2に示すごとく、熱可塑性樹脂8を充填するためのキャビティ61を形成してなるゴム製の成形型6と、0.78〜2μmの波長領域を含む光(電磁波)を発する光源2と、光源2から発した光を配光して成形型6へ導くためのリフレクタ3とを有している。リフレクタ3は、多数の平坦状の反射面31を椀状に組み合わせてなると共に、多数の反射面31によって光源2から発した光を光源2から所定距離にある目標照射位置Gへ配光するよう構成してある。
【0041】
図3に示すごとく、本例の樹脂成形装置1は、光源2とリフレクタ3とを固定して目標照射位置Gへ配光する際に、各反射面31によって反射された光の反射中心軸線D1が目標照射位置Gに到達する範囲を照射範囲Eとしたとき、光源2とリフレクタ3とを一体的に回動させることにより、目標照射位置Gの中心Oに対して、円を描くように照射範囲Eを変化させて、目標照射位置Gの周辺に配置した成形型6の表面からキャビティ61内に充填する熱可塑性樹脂8に光を照射し、熱可塑性樹脂8を加熱するよう構成してある。なお、円を描くように照射範囲Eを変化させることにより、目標照射位置Gにおいては、光の反射中心軸線D1が到達する移動照射範囲E’が形成される。また、本例の樹脂成形方法も、樹脂成形装置1と同様の構成によって、目標照射位置Gに対して、円を描くように照射範囲Eを変化させて熱可塑性樹脂8を加熱する。
また、目標照射位置Gは、成形型6のキャビティ61における配光方向X1の中心箇所に合わせることができる。
【0042】
以下に、本例の樹脂成形装置1及び樹脂成形方法につき、図1〜図9を参照して詳説する。
図1に示すごとく、本例の光源2とリフレクタ3とは、ハロゲンヒータ11を構成している。ハロゲンヒータ11は、多数の反射面31による配光方向X1(反射中心軸線D1の全体の中心である反射全体中心軸線C2)が、光源2とリフレクタ3とを一体的に回動させるための回動中心軸線C1に対してオフセットして配置してある。本例の光源2及びリフレクタ3は、モータ等の駆動源による回転力を受けて回動(回転)する回動本体部4に配設してあり、回動本体部4における回動の中心を構成する回動中心軸線C1に対し、光源2及びリフレクタ3の中心(反射全体中心軸線C2)をオフセットさせて(横ずれさせて)配設してある。そして、図3に示すごとく、回動本体部4が回動する際に、回動中心軸線C1の回りに光源2及びリフレクタ3が回動(旋回)することによって、目標照射位置Gにおける光の照射範囲Eを中心Oの回りの円軌道S上に変化させることができる。
本例のリフレクタ3は、円形状の照射範囲Eを形成する椀形状に多数の平坦状の反射板31を配置してなる。
【0043】
なお、図8に示すごとく、樹脂成形装置1は、回動本体部4の回動中心軸線C1に対して、配光方向X1(反射全体中心軸線C2)が所定の傾斜角度θとなるよう配設することもできる。これによっても、目標照射位置Gにおける光の照射範囲Eを円軌道S上に変化させることができる。
【0044】
リフレクタ3における各反射面31によって反射された光は、反射中心軸線D1を中心として(反射中心軸線D1上に光強度のピークを有して)拡散する光として目標照射位置Gに照射される。
本例の光源2は、0.78〜2μmの波長領域(ほぼ近赤外線の波長領域に相当する。)を含む光を発するハロゲンランプ2である。このハロゲンランプ2は、0.78〜2μmの波長領域内に(本例では約0.9μmに)光強度のピークを有するものを用いた。また、図2に示すごとく、ハロゲンランプ2は、ガラス等からなる保護管22内に、つる巻き状に形成したフィラメント(発光体)21を配設してなる。なお、フィラメント21の中心を符号Hによって示す。
【0045】
図3に示すごとく、本例の樹脂成形装置1においては、目標照射位置Gにおける光の照射範囲Eにおける中心は、目標照射位置Gにおける中心Oの回りの円軌道S上を移動する。回動本体部4によって照射範囲Eを旋回させる旋回中心直径(照射範囲Eの中心が通る旋回直径、円軌道の直径)Bは、照射範囲Eの最大外径(本例では直径)をAとしたとき、0.2A≦B≦2Aの関係を満たすよう決定することができる。ここで、照射範囲Eの最大外径とは、照射範囲Eにおける光の反射中心軸線D1の到達部位における対角線上の最大幅のことをいう。本例では、照射範囲Eが真円形状であるため、照射範囲Eの最大外径とは真円の直径のことをいう。
なお、光の照射範囲Eは、例えば、直径がφ20〜300mmの範囲として設定することができる。また、回動本体部4を回動させる回転速度は、例えば、10〜100rpmとすることができる。
【0046】
図4、図6には、光源2及びリフレクタ3からなるハロゲンヒータ11について、光の配光状態のシミュレーションを行った結果を示す。各図においては、光源2から発した光がリフレクタ3の各反射面31によって反射されて、目標照射位置Gに照射される状態を示す。また、光源2から発する光は、フィラメント21による光の出射位置の中心Hで示し、リフレクタ3から目標照射位置Gへと描かれた直線は、多数の反射面31における反射中心軸線D1を示す。ここで、反射中心軸線D1は、反射面31の図心位置を反射する光軸線によって示す。
【0047】
また、図4、図6に示すごとく、本例のリフレクタ3における多数の反射面31は、多数の反射面31によって反射された光の反射中心軸線D1の全体が、照射範囲Eの全体の直径に対して所定の大きさの直径の中心部Fの範囲外に到達する状態に配置してある。リフレクタ3における多数の反射面31の構造設計に当たっては、目標照射位置Gにおける照射範囲Eを設定し、この照射範囲E内の略全体に略均一に光が到達するよう各反射面31の向きを決定することができる。
【0048】
また、図4は、光の反射中心軸線D1の全体が、照射範囲Eの全体の直径に対して約60%の大きさの直径の中心部Fの範囲外に到達する状態に配置されるよう設計したリフレクタ3を示す。図6は、光の反射中心軸線D1の全体が、照射範囲Eの全体の直径に対して約40%の大きさの直径の中心部Fの範囲外に到達する状態に配置されるよう設計したリフレクタ3を示す。図6のリフレクタ3は、図4のリフレクタ3に対して、光源2の位置を目標照射位置Gに1mm近づける(リフレクタ3から1mm遠ざける)ことによって形成した。
【0049】
図5、図7には、横軸に照射範囲Eの中心からの相対距離(%)をとり、縦軸に光強度(照射照度比)(%)をとって、目標照射位置Gにおける各部位の光強度を示すグラフである。図5は、図4の場合の特性を示し、図7は、図6の場合の特性を示す。図6、図7のハロゲンヒータ11の方が、図4、図5のハロゲンヒータ11よりも、照射範囲Eの中心部Fにおける光強度が強くなっている。
ここで、照射範囲Eの中心からの相対距離(%)は、100%が照射範囲(照射直径)Eの半径位置であることを示す。光強度(%)は、設計規定値を100%としたとき、設計規定値に対する各部位(照射範囲Eの中心からの各相対距離)における光強度を比率(照射照度比)(%)で表す。
【0050】
図5、図7において、中心からの相対距離が100%までの範囲は目標照射位置Gに形成する照射範囲Eであり、光強度が90%以上になるよう設定されている。また、照射範囲Eの範囲外においては、光が完全に到達しなくなるのではなく、照射範囲Eの範囲外においても所定の相対距離までは光が到達し、所定の勾配で光強度が減少することを示す。また、各ハロゲンヒータ11は、照射範囲Eの中心からの相対距離(%)が80%ぐらいまでの範囲においては、光強度(%)が約100%以上であり、照射範囲Eの中心からの相対距離(%)が80%以上である範囲においては、光強度(%)が所定の勾配で低下していく特性を有している。
【0051】
本例においては、熱可塑性樹脂8として、非晶性熱可塑性樹脂であると共にゴム変性熱可塑性樹脂であるABS樹脂を用いる。
また、本例の成形型6は、シリコーンゴムからなる。この成形型6は、成形する樹脂成形品のマスターモデル(手作りの現物等)を液状のシリコーンゴム内に配置し、このシリコーンゴムを硬化させ、硬化後のシリコーンゴムからマスターモデルを取り出すことによって作製することができる。また、成形型6は、ゴム製であるため、成形後の樹脂成形品を取り出す際の型開きを行うためのパーティング面(分割面)を簡単にかつ任意に形成することができる。
【0052】
本例の樹脂成形装置1及び樹脂成形方法においては、ゴム製の成形型6のキャビティ61内に粒子状態の熱可塑性樹脂8を投入し、成形型6を介してキャビティ61内における粒子状態の熱可塑性樹脂8に、0.78〜2μmの波長領域を含む光を照射し、粒子状態の熱可塑性樹脂8を加熱して溶融させた後、キャビティ61において残された空間に溶融状態の熱可塑性樹脂8を充填して、樹脂成形品を成形する。
これにより、溶融状態の熱可塑性樹脂8の充填圧力をあまり高くすることなくキャビティ61の全体へ熱可塑性樹脂8を充填することができ、成形型6の変形及び開きを効果的に抑制することができる。そのため、成形型6におけるパーティング面からの樹脂漏れを防止することができ、成形した樹脂成形品の形状、表面精度等の品質を効果的に向上させることができる。
【0053】
また、図示は省略するが、リフレクタ3と成形型6との間には、波長が2μmを超える光の透過量を減少させるフィルタを配置することができる。このフィルタは、石英ガラス等から構成することができる。この場合には、フィルタによって、成形型6に吸収されやすい波長が2μmを超える光が成形型6に照射され難くすることができ、成形型6の温度上昇をより効果的に防止することができる。
また、図示は省略するが、リフレクタ3と成形型6との間には、成形型6と同質のゴムからなるゴム製フィルタを配置することもできる。この場合にも、成形型6によって吸収され易い波長の光をゴム製フィルタによって吸収することができ、成形型6の温度上昇をより効果的に防止することができる。
【0054】
図9は、透明のシリコーンゴムと半透明のシリコーンゴムについて、横軸に波長(nm)をとり、縦軸に光の透過率(%)をとって、各シリコーンゴムにおける光の透過率を示すグラフである。同図において、各シリコーンゴムは、200〜2200(nm)の間の波長の光を透過させることがわかる。そのため、この波長の領域である近赤外線をシリコーンゴム製の成形型6の表面に照射すると、当該近赤外線の多くを、成形型6を透過させて熱可塑性樹脂8に吸収させることができる。
【0055】
本例の樹脂成形装置1は、ゴム製の成形型6を用いて熱可塑性樹脂8からなる樹脂成形品を成形するに当たり、光源2及びリフレクタ3を用いた単灯式のランプを用い、光の照射範囲Eを適切に変化させることによって、成形型6内の熱可塑性樹脂8を略均一に加熱することができるものである。
樹脂成形品を成形するに当たっては、ゴム製の成形型6のキャビティ61内に熱可塑性樹脂8を充填する。そして、この充填の際には、光源2から発した0.78〜2μmの波長領域を含む光を、リフレクタ3によって配光し、成形型6の表面からキャビティ61内の熱可塑性樹脂8に照射する。このとき、成形型6を構成するゴムと熱可塑性樹脂8との物性の違いにより、ゴム製の成形型6に比べて、熱可塑性樹脂8をより多く加熱することができる。
【0056】
これにより、キャビティ61内への熱可塑性樹脂8の充填が完了するまでの間において、ゴム製の成形型6の温度よりも、キャビティ61内における熱可塑性樹脂8の温度を高く維持することができる。そのため、ゴム製の成形型6に対してキャビティ61内の熱可塑性樹脂8を選択的に加熱することができ、キャビティ61内に熱可塑性樹脂8の充填不良が生じることを防止して、良好な樹脂成形品を得ることができる。
【0057】
また、本例の樹脂成形装置1においては、多数の反射面31を椀状に形成して目標照射位置Gへ略均一に配光する構造のリフレクタ3を用いる。そして、回動中心軸線C1の回りに回動本体部4を回動させるときには、回動中心軸線C1に対して中心がオフセットした光源2とリフレクタ3とが、円軌道S上を一体的に旋回する。
【0058】
このとき、目標照射位置Gにおいては、照射範囲E(照射直径)の中心Pが円軌道S上を移動して移動照射範囲E’を形成し、目標照射位置Gにおいて中心Oからの各距離の部位においては、光が照射されている時間帯と、照射されていない時間帯とが形成される。そして、この光の照射の交番により、目標照射位置Gに配置したゴム製の成形型6内の熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図ることができる。
また、上記光の照射の交番により、フィラメント(発光体)21の形状がリフレクタ3の多数の反射面31によって目標照射位置Gに投影されることによって生じるフィラメント21の影(局所加熱部位)が目標照射位置Gにおいて移動することになる。これにより、成形型6内の熱可塑性樹脂8に局所的に著しく加熱される部位が集中することを防止することができる。
【0059】
また、目標照射位置Gに光強度が高い部位の集中が生じないため、特定形状の熱可塑性樹脂8だけでなく、種々の形状の熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図ることができる。さらに、光源2及びリフレクタ3を回動させる簡単な構成によって、熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図ることができる。
それ故、本例の樹脂成形装置1によれば、ゴム製の成形型6に比べて成形型6内の熱可塑性樹脂8を選択的に加熱することができ、簡単な装置の構成によって、熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図ることができる。
【0060】
また、本例の樹脂成形方法も、熱可塑性樹脂8の加熱温度の均一化を図ることができる樹脂成形装置1の特性を活用して樹脂成形品を得ることができる。
それ故、本例の樹脂成形方法によれば、ゴム製の成形型6に比べて成形型6内の熱可塑性樹脂8を選択的に加熱することができ、熱可塑性樹脂8における各部位の加熱温度の均一化を図って優れた品質の樹脂成形品を得ることができる。
【0061】
なお、本例においては、熱可塑性樹脂8としてABS樹脂を用いた。熱可塑性樹脂8としては、これ以外にも、上記成形型6の表面に上記0.78〜2μmの波長領域を含む光を照射したときに、成形型6内に吸収されずに透過した光を吸収することができる熱可塑性樹脂8を用いることができる。
【0062】
また、本例においては、成形した樹脂成形品は、成形型6のキャビティ61内において空冷することにより冷却した後、このキャビティ61内から取り出す。このとき、上記のごとく熱可塑性樹脂8を選択的に加熱できることにより、成形型6の温度は、熱可塑性樹脂8の温度よりも低く維持することができる。そのため、樹脂成形品を冷却するために要する冷却時間を短縮することができる。
また、成形型6の温度を低く維持することができることにより、成形型6の劣化を抑制することができ、成形型6の耐久性を向上させることができる。
【0063】
(実施例2)
本例は、図10に示すごとく、光源2及びリフレクタ3を旋回させる代わりに、中継反射鏡5を用いてリフレクタ3によって反射された光を目標照射位置Gへ導くよう構成した例である。
本例の樹脂成形装置1は、熱可塑性樹脂8を充填するためのキャビティ61を形成してなるゴム製の成形型6と、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発する光源2と、光源2から発した光を配光して反射するリフレクタ3と、リフレクタ3から反射された光をさらに反射させて成形型6へ導くための中継反射鏡5とを有している。
【0064】
本例のリフレクタ3は、多数の平坦状の反射面31を椀状に形成してなると共に(図2参照)、多数の反射面31によって光源2から発した光を光源2から所定距離にある中継反射鏡5へ配光するよう構成してある。また、本例の中継反射鏡5は、リフレクタ3から受けた光を中継反射鏡5から所定距離にある目標照射位置Gへ反射させるよう構成してある。
本例の樹脂成形装置1は、図10に示すごとく、光源2とリフレクタ3と中継反射鏡5とを固定して目標照射位置Gへ配光する際に、中継反射鏡5によって反射された各反射面31による光の反射中心軸線D1が目標照射位置Gに到達する範囲を照射範囲Eとしたとき、図11、図12に示すごとく、光源2とリフレクタ3とを固定した状態で中継反射鏡5を回動させることにより、目標照射位置Gに対して、円を描くように照射範囲Eを変化させて、目標照射位置Gの周辺に配置した成形型6の表面からキャビティ61内に充填する熱可塑性樹脂8に光を照射し、この熱可塑性樹脂8を加熱するよう構成してある。
【0065】
図11〜図13に示すごとく、本例の中継反射鏡5は、その反射面51による反射配光方向X2が、中継反射鏡5を回動させるための回動中心軸線C1に対して傾斜する方向を向いている。本例の中継反射鏡5は、モータ等の駆動源による回転力を受けて回動(回転)する回動本体部4に配設してあり、回動本体部4における回動の中心を構成する回動中心軸線C1に対し、中継反射鏡5の反射配光方向X2が傾斜している。
本例の樹脂成形装置1は、中継反射鏡5を回動中心軸線C1の回りに回動させることによって、中継反射鏡5の反射面51による反射配光方向X2が目標照射位置Gの中心Oの回りの円軌道S上を移動するよう構成されている。なお、図11、図12は、回動本体部4の回動により反射配光方向X2が変化する状態を示す。
【0066】
図10に示すごとく、本例の中継反射鏡5は、回動本体部4の回動中心軸線C1に対して反射面51による反射配光方向X2を平行にした状態(反射面51を垂直にした状態)を原位置とし、中継反射鏡5が原位置にあるときには、光源2(フィラメント21)から受けた光を、目標照射位置Gにおける中心に反射させるよう構成してある。また、中継反射鏡5は、その反射配光方向X2が回動中心軸線C1と一致する原位置において、リフレクタ3から受けた光を90°屈折させて、目標照射位置Gの中心Oへ導くよう構成してある。また、本例の回動本体部4の回動中心軸線C1は、リフレクタ3による配光方向X1に対して45°傾斜して設けてある。また、本例の中継反射鏡5は円盤状に形成した。
なお、中継反射鏡5の反射面51は、平面状に形成したが、これ以外にも、例えば曲面状に形成することもできる。
【0067】
また、中継反射鏡5は、回動中心軸線C1の回りに回動する回動本体部4に対して、ねじ42の調整によって反射配光方向X2の傾斜角度θを変更することができるよう構成してある。本例の中継反射鏡5は、回動本体部4に対して傾斜角度θを変更する際に、回動本体部4の回動部41に対して回動中心軸線C1を挟む両側に螺合した一対又は複数のねじ42の先端を、中継反射鏡5に当接させ、各ねじ42の回動本体部4に対する螺合位置から先端位置までの突出長さを調整することによって、回動中心軸線C1に対する反射面51の反射配光方向X2を調整するよう構成してある。そして、ねじ42の調整によって回動中心軸線C1に対する反射配光方向X2の傾斜角度θを所定の角度に設定すると、回動本体部4によって中継反射鏡5を回動させる際に、リフレクタ3から配向される光が、目標照射位置Gにおける中心Oの回りの円軌道S上を移動する。
【0068】
本例の樹脂成形装置1は、ゴム製の成形型6を用いて熱可塑性樹脂8からなる樹脂成形品を成形するに当たり、光源2及びリフレクタ3を用いた単灯式のランプと、中継反射鏡5とを用いることによって、より簡単に光の照射範囲Eを適切に変化させることができ、成形型6内の熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図ることができるものである。
樹脂成形品を成形するに当たっては、ゴム製の成形型6のキャビティ61内に熱可塑性樹脂8を充填する。そして、この充填の際には、光源2から発した0.78〜2μmの波長領域を含む光を、リフレクタ3及び中継反射鏡5によって配光し、成形型6の表面からキャビティ61内の熱可塑性樹脂8に照射する。このとき、成形型6を構成するゴムと熱可塑性樹脂8との物性の違いにより、ゴム製の成形型6に比べて、熱可塑性樹脂8をより多く加熱することができる。
【0069】
これにより、キャビティ61内への熱可塑性樹脂8の充填が完了するまでの間において、ゴム製の成形型6の温度よりも、キャビティ61内における熱可塑性樹脂8の温度を高く維持することができる。そのため、ゴム製の成形型6に対してキャビティ61内の熱可塑性樹脂8を選択的に加熱することができ、キャビティ61内に熱可塑性樹脂8の充填不良が生じることを防止して、良好な樹脂成形品を得ることができる。
【0070】
また、本例の樹脂成形装置1においては、多数の反射面31を椀状に形成して目標照射位置Gへ略均一に配光する構造のリフレクタ3、及びリフレクタ3から受けた光を目標照射位置Gへ反射させる中継反射鏡5を用いる。そして、成形型6内の熱可塑性樹脂8を加熱する際には、光源2から発した光をリフレクタ3によって配光して、中継反射鏡5へと導く。また、回動本体部4によって中継反射鏡5を回動させる。このとき、回動中心軸線C1に対する中継反射鏡5の反射配光方向X2が所定の傾斜角度θに調整してあり、中継反射鏡5の反射面51に入射した光は、所定の反射角度で目標照射位置Gへ出射される。
【0071】
また、このとき、目標照射位置Gにおいては、中継反射鏡5によって反射された照射範囲(照射直径)Eの中心Pが円軌道S上を移動し、目標照射位置Gにおいて中心Oからの各距離の部位においては、光が照射されている時間帯と、照射されていない時間帯とが形成される。そして、この光の照射の交番により、目標照射位置Gに配置した成形型6内の熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図ることができる。
また、上記光の照射の交番により、フィラメント(発光体)21の形状がリフレクタ3の多数の反射面31によって目標照射位置Gに投影されることによって生じるフィラメント21の影(局所加熱部位)が目標照射位置Gにおいて移動することになる。これにより、成形型6内の熱可塑性樹脂8に局所的に著しく加熱される部位が集中することを防止することができる。
【0072】
また、本例においては、中継反射鏡5を回動させる構造にしたことにより、特に光源2を回動させる必要がなく、回動する際の振動等によって光源2が劣化することを防止することができる。また、軽量かつ配線等がない中継反射鏡5を回動させる構造にしたことにより、回動本体部4の駆動を容易にすることができる。
また、目標照射位置Gに光強度が高い部位の集中が生じないため、特定形状の成形型6内の熱可塑性樹脂8だけでなく、種々の形状の熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図ることができる。
【0073】
それ故、本例の樹脂成形装置1によっても、ゴム製の成形型6に比べて成形型6内の熱可塑性樹脂8を選択的に加熱することができ、簡単な装置の構成によって、熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図ることができる。
また、本例の樹脂成形方法も、熱可塑性樹脂8の加熱温度の均一化を図ることができる樹脂成形装置1の特性を活用して樹脂成形品を得ることができる。それ故、本例の樹脂成形方法によっても、上記実施例1と同様に、熱可塑性樹脂8における各部位の加熱温度の均一化を図って優れた品質の樹脂成形品を得ることができる。
本例においても、その他の構成は上記実施例1と同様であり、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0074】
(確認試験1)
本確認試験においては、上記実施例2に示した樹脂成形装置1による熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図ることができる効果を確認するための試験を行った。
光源2及びリフレクタ3としては、0.9μmの波長に光強度のピークを有し、最大定格容量が100V、2.5kWであるハロゲンヒータ11(インフリッヂ工業(株)製、HSH−2、f300、φ100)を用い、光源2(フィラメント21)のランプ温度は3200Kであるものを用いた。
また、熱可塑性樹脂8としてはABS樹脂を用い、成形型6としてはシリコーンゴムからなるものを用いた。また、ABS樹脂は、粒子状態の熱可塑性樹脂8を用い、平均粒径が700μmのマイクロペレットとした。また、ABS樹脂は、推奨成形温度が220℃、未溶融温度が170℃以下、焼けを生じる上限温度が300℃であるものを用いた。
また、キャビティ61は、試験用として2mmの厚みの平面状態のものとした。
【0075】
本確認試験のハロゲンヒータ11は、光源2から目標照射位置Gまでの照射距離を300mmとし、目標照射位置Gにおける照射範囲Eをφ100mmとした。本例のリフレクタ3における多数の反射面31による反射直径は、φ145mmとした。
また、本確認試験においては中継反射鏡5を用いているため、光源2から中継反射鏡5までの距離を150mmとし、中継反射鏡5から目標照射位置Gまでの距離を150mmとした。そして、目標照射位置Gにおける照射範囲Eは、光源2から中継反射鏡5までの経路と、中継反射鏡5から目標照射位置Gまでの経路とによって絞って、φ100mmとした。
【0076】
本確認試験においては、実施例1の図6、図7に示したハロゲンヒータ11を用いた。
図6に示したように、本確認試験において用いたハロゲンヒータ11は、多数の反射面31によって反射された光の反射中心軸線D1の全体が、照射範囲Eの全体の直径に対して約40%の大きさの直径の中心部Fの範囲外に到達する状態に配置してある。
【0077】
成形型6のキャビティ61内に充填した加熱前のABS樹脂の温度は30℃とし、樹脂成形装置1によって、キャビティ61内のABS樹脂における被照射範囲であるφ150mmの範囲内が推奨成形温度である220℃に到達するまでの照射時間(sec)を測定した。そして、10秒ごとに記録した値から直径φ200mmの被照射面のABS樹脂の最大温度(℃)、平均温度(℃)、最小温度(℃)も計算した。この各温度の測定は、赤外線サーモグラフィ(日本アビオニクス(株)製)を用いて行った。
この測定を行った結果を表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
また、本確認試験においては、中継反射鏡5の回動を停止した場合(照射範囲Eを固定した場合)(比較1)、照射範囲Eの中心が通る旋回直径(円軌道の直径)Bを、照射範囲Eの直径をAとしたとき、0.2A≦B≦2Aの範囲内で変化させた場合(発明1〜10)について、照射時間及び各温度の測定を行った。
同表において、照射範囲Eの直径Aに対する円軌道の直径Bである比率を回転比B/Aで示す。また、最大温度(℃)と最小温度(℃)との差を温度差(℃)で示す。
発明1は、回転比B/Aが0.2である場合を示し、発明10は、回転比B/Aが2である場合を示す。
【0080】
また、試験の評価は、焼け判定(熱可塑性樹脂8の表面に焼けが生じたかの判定)、未溶融判定(熱可塑性樹脂8が溶融したかの判定)を行い、これらを総合して総合判定を行った。同表において、焼け判定は、熱可塑性樹脂8の最大温度が320℃以上になった場合を×、300〜319℃になった場合を△、280〜299℃になった場合を○、280℃未満になった場合を◎で示す。また、未溶融判定は、熱可塑性樹脂8の最小温度が150℃未満になった場合を×、150〜159℃になった場合を△、160〜169℃になった場合を○、170℃以上になった場合を◎で示す。
【0081】
同表において、比較1については、平均温度では高くなるものの、最大温度と最小温度との温度差が著しく大きい。また、キャビティ61内の熱可塑性樹脂8に焼けが生じ(焼け判定が×となり)、また、熱可塑性樹脂8の未溶融の状態が生じ易い(未溶融判定が△となった)。そのため、比較1によっては、総合判定が×となり、成形型6内の熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図ることができないことがわかる。
【0082】
一方、発明1、2(回転比B/Aが0.2、0.4の場合)については、キャビティ61の各部位における熱可塑性樹脂8に、焼けが生じるか(焼け判定が△となり)、未溶融の状態が生じるおそれがある(未溶融判定が○となった)。そのため、発明品1、2によっては、総合判定が△となり、成形型6内の熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図るためには不充分であることがわかる。
また、発明3〜5(回転比B/Aが0.6、0.8、1の場合)については、キャビティ61の各部位における熱可塑性樹脂8に、照射時間によっては焼けが生じるおそれがある(焼け判定が○となった)。ただし、未溶融の状態は生じない(未溶融判定が◎となった)。そのため、発明品3〜5によっては、総合判定が○となり、成形型6内の熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図ることができることがわかる。
【0083】
また、発明品6〜10(回転比B/Aが1.2、1.4、1.6、1.8、2の場合)については、キャビティ61の各部位における熱可塑性樹脂8に焼けが生じることがなく(焼け判定が◎となり)、未溶融の状態も生じない(未溶融判定が◎となった)。そのため、発明品6〜10によれば、総合判定が◎となり、成形型6内の熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図るのにより適していることがわかった。
【0084】
なお、被照射範囲であるφ150mmの範囲内が220℃に到達するまでの照射時間(sec)は、回転比B/Aを大きくするほど長くなることがわかる。すなわち、回転比B/Aを大きくすれば、熱可塑性樹脂8における各部位の加熱温度の均一化を図ることができるが、照射時間が長くなることがわかる。
そのため、回転比(照射範囲Eの直径Aに対する移動照射範囲E’の円軌道の直径Bの比率)B/Aは、多数の反射面31による光の反射中心軸線D1の全体を、照射範囲Eの全体の直径に対して約40%の大きさの直径の中心部Fの範囲外に到達する状態に形成したハロゲンヒータ11を用いた場合には、加熱温度の偏りと照射時間との兼ね合いより、回転比B/Aを0.2〜2とすることが好ましく、0.6〜2とすることがより好ましく、さらには、1.2〜2とすることがより一層好ましいことがわかる。
【0085】
図14〜図16には、横軸に、目標照射位置Gにおける中心Oからの距離をとり、縦軸に熱可塑性樹脂8の温度をとって、熱可塑性樹脂8の各部位における温度を測定した結果を示す。図14は比較1を示し、図15は発明5を示し、図16は発明9を示す。
各図において、発明5は比較1に比べて熱可塑性樹脂8の各部位における温度の偏りが少なく、発明9は発明5に比べて熱可塑性樹脂8の各部位における温度の偏りがさらに少なくなっていることがわかる。
【0086】
(確認試験2)
本確認試験においても、上記実施例2に示した樹脂成形装置1による熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図ることができる効果を確認するための試験を行った。
本確認試験においては、実施例1の図4、図5に示したハロゲンヒータ11を用いた。
図4に示したように、ハロゲンヒータ11のリフレクタ3における多数の反射面31による反射中心軸線D1は、確認試験1の場合(図6)と比べて照射範囲Eの外縁部により多く位置する状態に形成した。より具体的には、本確認試験のハロゲンヒータ11は、多数の反射面31によって反射された光の反射中心軸線D1の全体が、照射範囲Eの全体の直径に対して約60%の大きさの直径の中心部の範囲外に到達する状態に形成した。
なお、本確認試験に用いたハロゲンヒータ11の上記以外の構成は、確認試験1と同様である。また、本確認試験において用いた熱可塑性樹脂8、成形型6、成形型6内のキャビティ61の形成状態についても確認試験1と同様である。
【0087】
本確認試験においては、中継反射鏡5の回動を停止した場合(照射範囲Eを固定した場合)(比較2)、照射範囲Eの中心が通る旋回直径(円軌道の直径)Bを、照射範囲Eの直径をAとしたとき、0.2A≦B≦2Aの範囲内で変化させた場合(発明11〜16)について、照射時間及び各温度の測定を行った。本確認試験においては、発明11は、回転比B/Aが0.2である場合を示し、発明16は、回転比B/Aが1.2である場合を示す。
この測定を行った結果を表2に示す。
【0088】
【表2】
【0089】
同表において、比較2については、平均温度では高くなるものの、最大温度と最小温度との温度差が著しく大きい。また、キャビティ61内の熱可塑性樹脂8に焼けが生じやすいが(焼け判定が△となり)、熱可塑性樹脂8の未溶融の状態は生じない(未溶融判定が◎となった)。そのため、比較2によっては、総合判定が△となり、成形型6内の熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図ることができないことがわかる。
【0090】
一方、発明11、12(回転比B/Aが0.2、0.4の場合)については、キャビティ61の各部位における熱可塑性樹脂8に、焼けが生じるおそれがあるが(焼け判定が○となり)、未溶融の状態は生じない(未溶融判定が◎となった)。そのため、発明品11、12によっては、総合判定が○となり、成形型6内の熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図ることができることがわかる。
【0091】
また、発明13(回転比B/Aが0.6の場合)については、キャビティ61の各部位における熱可塑性樹脂8に、焼けが生じることがなく(焼け判定が◎となった)、未溶融の状態も生じない(未溶融判定が◎となった)。そのため、発明品13によれば、総合判定が◎となり、成形型6内の熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化をより効果的に図ることができることがわかる。
また、発明14〜16(回転比B/Aが0.8、1、1.2の場合)については、キャビティ61の各部位における熱可塑性樹脂8に、焼けが生じるおそれはほとんどなく(焼け判定が○か◎となった)、未溶融の状態もほとんど生じない(未溶融判定が○となった)。そのため、発明品14〜16によっては、総合判定が○となり、成形型6内の熱可塑性樹脂8の各部位における加熱温度の均一化を図ることができることがわかる。
なお、本確認試験においても、評価方法は確認試験1と同様である。
【0092】
図17、図18には、横軸に、目標照射位置Gにおける中心Oからの距離をとり、縦軸に熱可塑性樹脂8の温度をとって、熱可塑性樹脂8の各部位における温度を測定した結果を示す。図17は比較2を示し、図18は発明13を示す。
各図において、発明13は比較2に比べて熱可塑性樹脂8の各部位における温度の偏りが少なくなっていることがわかる。ただし、発明13は、確認試験1で示した発明5、発明9の場合に比べて、温度の偏りが大きいことがわかる。
以上の結果より、確認試験1に用いたハロゲンヒータ11の方が確認試験2で用いたハロゲンヒータ11よりも、成形型6内の熱可塑性樹脂8における各部位の加熱温度の均一化を図るためにより適していることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】実施例1における、樹脂成形装置を示す説明図。
【図2】実施例1における、ハロゲンヒータを示す説明図。
【図3】実施例1における、樹脂成形装置による目標照射位置における光の移動照射範囲を示す説明図。
【図4】実施例1における、ハロゲンヒータについて光の配光状態のシミュレーションを行った結果を示す説明図。
【図5】実施例1における、図4のハロゲンヒータについて目標照射位置における各部位の光強度を示すグラフ。
【図6】実施例1における、他のハロゲンヒータについて光の配光状態のシミュレーションを行った結果を示す説明図。
【図7】実施例1における、図6のハロゲンヒータについて目標照射位置における各部位の光強度を示すグラフ。
【図8】実施例1における、他の樹脂成形装置を示す説明図。
【図9】実施例1における、シリコーンゴムにおける光の透過率を示すグラフ。
【図10】実施例2における、樹脂成形装置を示す説明図。
【図11】実施例2における、中継反射鏡が回動する状態の樹脂成形装置を示す説明図。
【図12】実施例2における、中継反射鏡が回動する状態の樹脂成形装置を示す説明図。
【図13】実施例2における、中継反射鏡を模式的に示す説明図。
【図14】確認試験1の比較1について、熱可塑性樹脂の各部位における温度を測定した結果を示すグラフ。
【図15】確認試験1の発明5について、熱可塑性樹脂の各部位における温度を測定した結果を示すグラフ。
【図16】確認試験1の発明9について、熱可塑性樹脂の各部位における温度を測定した結果を示すグラフ。
【図17】確認試験2の比較2について、熱可塑性樹脂の各部位における温度を測定した結果を示すグラフ。
【図18】確認試験2の発明13について、熱可塑性樹脂の各部位における温度を測定した結果を示すグラフ。
【符号の説明】
【0094】
1 樹脂成形装置
11 ハロゲンヒータ
2 光源
21 フィラメント
3 リフレクタ
31 反射面
4 回動本体部
5 中継反射鏡
51 反射面
8 熱可塑性樹脂
G 目標照射位置
E 照射範囲
C1 回動中心軸線
C2 反射全体中心軸線
D1 反射中心軸線
X1 配光方向
X2 反射配光方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂を充填するためのキャビティを形成してなるゴム製の成形型と、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発する光源と、該光源から発した光を配光して上記成形型へ導くためのリフレクタとを有し、
該リフレクタは、その反射面を椀状に形成してなると共に、該反射面によって上記光源から発した光を該光源から所定距離にある目標照射位置へ配光するよう構成してあり、
上記光源と上記リフレクタとを固定して上記目標照射位置へ配光する際に、上記反射面によって反射された光が上記目標照射位置に到達する範囲を照射範囲としたとき、上記光源と上記リフレクタとを一体的に回動させる、又は上記光源を固定した状態で上記リフレクタを回動させることにより、上記目標照射位置に対して、円を描くように上記照射範囲を変化させて、上記目標照射位置の周辺に配置した上記成形型の表面から上記キャビティ内に充填する上記熱可塑性樹脂に光を照射し、該熱可塑性樹脂を加熱するよう構成したことを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項2】
熱可塑性樹脂を充填するためのキャビティを形成してなるゴム製の成形型と、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発する光源と、該光源から発した光を配光して反射するリフレクタと、該リフレクタから反射された光をさらに反射させて上記成形型へ導くための中継反射鏡とを有し、
上記リフレクタは、その反射面を椀状に形成してなると共に、該反射面によって上記光源から発した光を該光源から所定距離にある上記中継反射鏡へ配光するよう構成してあり、
上記中継反射鏡は、上記リフレクタから受けた光を当該中継反射鏡から所定距離にある目標照射位置へ反射させるよう構成してあり、
上記光源と上記リフレクタと上記中継反射鏡とを固定して上記目標照射位置へ配光する際に、上記中継反射鏡によって反射された光が上記目標照射位置に到達する範囲を照射範囲としたとき、上記光源と上記リフレクタとを固定した状態で上記中継反射鏡を回動させることにより、上記目標照射位置に対して、円を描くように上記照射範囲を変化させて、上記目標照射位置の周辺に配置した上記成形型の表面から上記キャビティ内に充填する上記熱可塑性樹脂に光を照射し、該熱可塑性樹脂を加熱するよう構成したことを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項3】
請求項1において、上記光源は、該光源と上記リフレクタとを一体的に回動させるための回動中心軸線に対してオフセットした位置にあり、
上記光源と上記リフレクタとを上記回動中心軸線の回りに一体的に回動させることによって、上記目標照射位置に対して、円を描くように上記照射範囲を変化させるよう構成したことを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項4】
請求項2において、上記中継反射鏡は、その反射面による反射配光方向が、当該中継反射鏡を回動させるための回動中心軸線に対して傾斜する方向を向いており、
上記中継反射鏡を上記回動中心軸線の回りに回動させることによって、上記目標照射位置に対して、円を描くように上記照射範囲を変化させるよう構成したことを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項5】
請求項4において、上記中継反射鏡は、上記回動中心軸線の回りに回動する回動本体部に対して、ねじの調整によって上記反射配光方向の傾斜角度を変更することができるよう構成してあることを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項において、上記照射範囲における中心は、上記目標照射位置における中心回りの円軌道上を移動し、該円軌道の直径Bは、上記照射範囲の最大外径をAとしたとき、0.2A≦B≦2Aの関係を有していることを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項において、上記リフレクタにおける上記反射面は、多数の平坦状の反射面を組み合わせた多段式構造、又は連続する1つの曲面状の反射面からなる連続曲面構造を有しており、
上記照射範囲は、上記多数の平坦状の反射面による光の反射中心軸線が上記目標照射位置に到達する範囲、又は上記連続する1つの曲面状の反射面を区画した多数の仮想反射面による光の反射中心軸線が上記目標照射位置に到達する範囲として設定してあることを特徴とする光照射加熱装置。
【請求項8】
熱可塑性樹脂を充填するためのキャビティを形成してなるゴム製の成形型と、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発する光源と、該光源から発した光を配光して上記成形型へ導くためのリフレクタとを有する樹脂成形装置を用い、
上記リフレクタは、その反射面を椀状に形成してなると共に、該反射面によって上記光源から発した光を該光源から所定距離にある目標照射位置へ配光するよう構成しておき、
上記光源と上記リフレクタとを固定して上記目標照射位置へ配光する際に、上記反射面によって反射された光が上記目標照射位置に到達する範囲を照射範囲としたとき、上記光源と上記リフレクタとを一体的に回動させる、又は上記光源を固定して上記リフレクタを回動させることにより、上記目標照射位置に対して、円を描くように上記照射範囲を変化させて、上記目標照射位置の周辺に配置した上記成形型の表面から上記キャビティ内に充填する上記熱可塑性樹脂に光を照射し、該熱可塑性樹脂を加熱することを特徴とする樹脂成形方法。
【請求項9】
熱可塑性樹脂を充填するためのキャビティを形成してなるゴム製の成形型と、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発する光源と、該光源から発した光を配光して反射するリフレクタと、該リフレクタから反射された光をさらに反射させて上記成形型へ導くための中継反射鏡とを有する樹脂成形装置を用い、
上記リフレクタは、その反射面を椀状に形成してなると共に、該反射面によって上記光源から発した光を該光源から所定距離にある上記中継反射鏡へ配光するよう構成しておき、
上記中継反射鏡は、上記リフレクタから受けた光を当該中継反射鏡から所定距離にある目標照射位置へ反射させるよう構成しておき、
上記光源と上記リフレクタと上記中継反射鏡とを固定して上記目標照射位置へ配光する際に、上記中継反射鏡によって反射された光が上記目標照射位置に到達する範囲を照射範囲としたとき、上記光源と上記リフレクタとを固定した状態で上記中継反射鏡を回動させることにより、上記目標照射位置に対して、円を描くように上記照射範囲を変化させて、上記目標照射位置の周辺に配置した上記成形型の表面から上記キャビティ内に充填する上記熱可塑性樹脂に光を照射し、該熱可塑性樹脂を加熱することを特徴とする樹脂成形方法。
【請求項1】
熱可塑性樹脂を充填するためのキャビティを形成してなるゴム製の成形型と、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発する光源と、該光源から発した光を配光して上記成形型へ導くためのリフレクタとを有し、
該リフレクタは、その反射面を椀状に形成してなると共に、該反射面によって上記光源から発した光を該光源から所定距離にある目標照射位置へ配光するよう構成してあり、
上記光源と上記リフレクタとを固定して上記目標照射位置へ配光する際に、上記反射面によって反射された光が上記目標照射位置に到達する範囲を照射範囲としたとき、上記光源と上記リフレクタとを一体的に回動させる、又は上記光源を固定した状態で上記リフレクタを回動させることにより、上記目標照射位置に対して、円を描くように上記照射範囲を変化させて、上記目標照射位置の周辺に配置した上記成形型の表面から上記キャビティ内に充填する上記熱可塑性樹脂に光を照射し、該熱可塑性樹脂を加熱するよう構成したことを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項2】
熱可塑性樹脂を充填するためのキャビティを形成してなるゴム製の成形型と、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発する光源と、該光源から発した光を配光して反射するリフレクタと、該リフレクタから反射された光をさらに反射させて上記成形型へ導くための中継反射鏡とを有し、
上記リフレクタは、その反射面を椀状に形成してなると共に、該反射面によって上記光源から発した光を該光源から所定距離にある上記中継反射鏡へ配光するよう構成してあり、
上記中継反射鏡は、上記リフレクタから受けた光を当該中継反射鏡から所定距離にある目標照射位置へ反射させるよう構成してあり、
上記光源と上記リフレクタと上記中継反射鏡とを固定して上記目標照射位置へ配光する際に、上記中継反射鏡によって反射された光が上記目標照射位置に到達する範囲を照射範囲としたとき、上記光源と上記リフレクタとを固定した状態で上記中継反射鏡を回動させることにより、上記目標照射位置に対して、円を描くように上記照射範囲を変化させて、上記目標照射位置の周辺に配置した上記成形型の表面から上記キャビティ内に充填する上記熱可塑性樹脂に光を照射し、該熱可塑性樹脂を加熱するよう構成したことを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項3】
請求項1において、上記光源は、該光源と上記リフレクタとを一体的に回動させるための回動中心軸線に対してオフセットした位置にあり、
上記光源と上記リフレクタとを上記回動中心軸線の回りに一体的に回動させることによって、上記目標照射位置に対して、円を描くように上記照射範囲を変化させるよう構成したことを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項4】
請求項2において、上記中継反射鏡は、その反射面による反射配光方向が、当該中継反射鏡を回動させるための回動中心軸線に対して傾斜する方向を向いており、
上記中継反射鏡を上記回動中心軸線の回りに回動させることによって、上記目標照射位置に対して、円を描くように上記照射範囲を変化させるよう構成したことを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項5】
請求項4において、上記中継反射鏡は、上記回動中心軸線の回りに回動する回動本体部に対して、ねじの調整によって上記反射配光方向の傾斜角度を変更することができるよう構成してあることを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項において、上記照射範囲における中心は、上記目標照射位置における中心回りの円軌道上を移動し、該円軌道の直径Bは、上記照射範囲の最大外径をAとしたとき、0.2A≦B≦2Aの関係を有していることを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項において、上記リフレクタにおける上記反射面は、多数の平坦状の反射面を組み合わせた多段式構造、又は連続する1つの曲面状の反射面からなる連続曲面構造を有しており、
上記照射範囲は、上記多数の平坦状の反射面による光の反射中心軸線が上記目標照射位置に到達する範囲、又は上記連続する1つの曲面状の反射面を区画した多数の仮想反射面による光の反射中心軸線が上記目標照射位置に到達する範囲として設定してあることを特徴とする光照射加熱装置。
【請求項8】
熱可塑性樹脂を充填するためのキャビティを形成してなるゴム製の成形型と、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発する光源と、該光源から発した光を配光して上記成形型へ導くためのリフレクタとを有する樹脂成形装置を用い、
上記リフレクタは、その反射面を椀状に形成してなると共に、該反射面によって上記光源から発した光を該光源から所定距離にある目標照射位置へ配光するよう構成しておき、
上記光源と上記リフレクタとを固定して上記目標照射位置へ配光する際に、上記反射面によって反射された光が上記目標照射位置に到達する範囲を照射範囲としたとき、上記光源と上記リフレクタとを一体的に回動させる、又は上記光源を固定して上記リフレクタを回動させることにより、上記目標照射位置に対して、円を描くように上記照射範囲を変化させて、上記目標照射位置の周辺に配置した上記成形型の表面から上記キャビティ内に充填する上記熱可塑性樹脂に光を照射し、該熱可塑性樹脂を加熱することを特徴とする樹脂成形方法。
【請求項9】
熱可塑性樹脂を充填するためのキャビティを形成してなるゴム製の成形型と、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発する光源と、該光源から発した光を配光して反射するリフレクタと、該リフレクタから反射された光をさらに反射させて上記成形型へ導くための中継反射鏡とを有する樹脂成形装置を用い、
上記リフレクタは、その反射面を椀状に形成してなると共に、該反射面によって上記光源から発した光を該光源から所定距離にある上記中継反射鏡へ配光するよう構成しておき、
上記中継反射鏡は、上記リフレクタから受けた光を当該中継反射鏡から所定距離にある目標照射位置へ反射させるよう構成しておき、
上記光源と上記リフレクタと上記中継反射鏡とを固定して上記目標照射位置へ配光する際に、上記中継反射鏡によって反射された光が上記目標照射位置に到達する範囲を照射範囲としたとき、上記光源と上記リフレクタとを固定した状態で上記中継反射鏡を回動させることにより、上記目標照射位置に対して、円を描くように上記照射範囲を変化させて、上記目標照射位置の周辺に配置した上記成形型の表面から上記キャビティ内に充填する上記熱可塑性樹脂に光を照射し、該熱可塑性樹脂を加熱することを特徴とする樹脂成形方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−99860(P2010−99860A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271245(P2008−271245)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(396021575)テクノポリマー株式会社 (278)
【出願人】(594014638)日本レックス株式会社 (19)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(396021575)テクノポリマー株式会社 (278)
【出願人】(594014638)日本レックス株式会社 (19)
【Fターム(参考)】
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