説明

樹脂組成物、これを用いた感光性フィルム、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板

【課題】ハロゲン系難燃剤を用いずに十分な難燃性を確保することができ、アルカリ現像液で十分な解像性が得られ、PCT試験での表面の変色及び配線板上の銅と樹脂との界面でのふくれがなく、且つ、ブリードアウトの問題が十分に低減されたリン含有化合物、このリン含有化合物を含有してなる樹脂組成物及び樹脂組成物を用いた感光性フィルム、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板を提供する。
【解決手段】特定の化学式で表わされる繰り返し単位を有する樹脂、(B)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、並びに(C)重合開始剤を含有する樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リン含有化合物、このリン含有化合物を含有した樹脂組成物及び樹脂組成物を用いた感光性フィルム、レジストパターンの形成方法並びにプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器及び電子部品には、世界的な環境問題、人体に対する安全性への関心の高まりと共に、非公害性、低有毒性、安全性という点で要求が高まっている。その中でも、電子機器及び電子部品を焼却した場合の有害ガスの低減が要望されつつある。特に、これまで使用されてきたハロゲン系難燃剤は、燃焼した場合にダイオキシン等を発生する可能性があると言われている。これを受けて、非ハロゲン系難燃剤の開発が強く要求されている。これら電子機器及び電子部品に使用されるプリント配線板の分野では、回路形成用基板である銅張積層板、絶縁樹脂、ソルダーレジスト等にハロゲン系難燃剤が使用されてきた。従来、難燃剤として使用されているハロゲン化合物は大部分が臭素系であり、テトラブロモビスフェノールAを中心とする臭素化エポキシ樹脂などが広く使用されている。
【0003】
臭素化エポキシ樹脂としては、例えば、酸ペンダント型臭素化エポキシアクリレートが知られているが(例えば、特許文献1参照)、これをソルダーレジストの難燃剤として用いた例では、高温において長期間使用した場合、ハロゲン化物が解離して配線腐食を引き起こす恐れがある。こうしたハロゲン化物の解離等による不具合の発生を回避する観点からも、ハロゲン化合物を含まないプリント配線板用材料の開発が急務となっている。そこで、樹脂組成物に難燃性を付与するための非ハロゲン系難燃剤として、窒素系化合物、リン系化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機系化合物などの使用が提案されている。これらの中でも、特にリン系難燃剤は広く研究されており、芳香族ホスフェート類の使用が多く提案されている(例えば、特許文献2〜4参照)。
【0004】
一方、電子機器及び電子部品の小型化、軽量化、多機能化に伴い、回路形成用のドライフィルム、ソルダーレジスト等の感光性樹脂(感光性材料)には、プリント配線板上の高密度化に対応するための高解像度化が要求されている。また、環境問題への配慮から、現像液として希アルカリ水溶液を用いるアルカリ現像タイプが主流となってきている。
【0005】
感光性材料を用いたレジストパターンの形成は、原料となる樹脂組成物を露光後、現像し、画像形成することにより行われる。このような工程において、樹脂組成物は露光により光硬化するが、アルカリ現像液を用いた現像により高い解像度を得るためには、露光部の光硬化度を高めるとともに未露光部の溶解性を高めること、すなわち露光部と未露光部とのコントラストを上げることが要求される。未露光部の溶解性を高めるためには、感光性樹脂組成中に親水性基を導入する方法がある。このような親水基としてカルボキシル基を適用した場合は親水性の高さは酸価によって表され、高酸価の樹脂であるほど溶解性が高くなる。
【0006】
しかし、ソルダーレジストのような永久レジストの場合、高酸価ポリマであるほど吸水率が高くなるため、高温高湿下での絶縁抵抗、耐熱性の低下、すなわち、高温耐湿性の低下が起こりやすい。そこで、高温耐湿性を確保するため、活性エネルギー線硬化性樹脂にノボラック型エポキシ化合物と不飽和カルボン酸との反応物を用いた液状ソルダレジストインキ組成物が開発されている(例えば、特許文献5参照)。また、特許文献2〜4のホスフェート類はエステル結合が加水分解されやすく、耐水性に問題がある。なお、永久レジストの分野では、耐水性の評価として、高温耐湿性を評価するPCT(「プレッシャークッカ−テスト」の略称)試験が行われる。これは、配線板上に形成されたレジストを高温高湿下に一定時間置いた後、レジストの変色及び配線板上の銅とレジストとの界面での膨れの程度を評価するものである。
【0007】
ところで、ソルダーレジストはエポキシ樹脂と反応しやすいため、製品は2液(エポキシ基含有溶液とカルボキシル基含有溶液の2液型)に分けて販売されることが多い。しかしながら、2液を混合した場合のポットライフは数時間から一日と短いため、使用条件に制限が生じたり、予め2液を混合してフィルム化した場合、フィルム状態での保管が困難であった。このような問題が生じ難い一液型の樹脂組成物としては、ノボラック型エポキシ化合物と不飽和一塩基酸との反応物に脂環族二塩基酸無水物とを反応して得られる光硬化樹脂、光重合開始剤、希釈剤及びビニルトリアジン系化合物等の熱硬化促進剤からなる一液型液状フォトソルダーレジストインキ組成物が知られている(例えば、特許文献6参照)。
【0008】
上述したような非ハロゲン系難燃剤には、溶剤に不溶なフィラータイプの難燃剤と、溶剤に可溶で他の樹脂成分と混合できる難燃剤とがある。しかしながら、前者の溶剤に不溶な難燃剤では、絶縁材としてBステージのフィルム状態とした場合に、可とう性が低下して取扱いに支障が生じたり、硬化物とした場合には伸び率が低下してクラックが生じやすくなり、これを用いた電子部品の信頼性が低下するといった問題がある。
【0009】
また、非ハロゲン系難燃剤は、十分な難燃性を付与するためには多量の添加が必要となるため、特に樹脂組成物に前者の難燃剤を用いた場合、未露光部の樹脂組成物のアルカリ現像液に対する溶解性が低下し、解像性が低下する場合がある。また、後者の溶剤に可溶な難燃剤では、低分子量の芳香族ホスフェート類が代表的な例であるが、樹脂組成物中に添加した場合、分子量が小さく揮発性が高いため、加熱時にブリードアウトしやすいという問題がある。
【0010】
また、上記特許文献5のインキ組成物を用いて作製したプリント配線板は、高温高湿下において配線板上の銅とレジストとの界面での膨れが発生する問題がある。この問題は、配線板上の銅とレジストとの界面での密着性不足、高温高湿下においてレジスト内で分解した低分子化合物のガス化、光硬化反応又は熱硬化反応で発生した応力が高温高湿下において開放されたことに起因すると考えられる。ここでの熱硬化反応とは、エポキシ化合物と不飽和カルボン酸との開環反応である。また、特許文献6のインキ組成物においても、PCT試験で配線板上の銅と樹脂との界面でのふくれが発生する問題がある。これも上述した理由と同様であるが、熱硬化反応は熱硬化剤によるものである。
【0011】
【特許文献1】特開平11−181050号公報
【特許文献2】特開昭48−90348号公報
【特許文献3】特開昭59−45351号公報
【特許文献4】特開平5−70671号公報
【特許文献5】特開昭61−243869号公報
【特許文献6】特開平4−281454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、ハロゲン系難燃剤を用いずに十分な難燃性を確保することができ、アルカリ現像液で十分な解像性が得られ、PCT試験での表面の変色及び配線板上の銅と樹脂との界面でのふくれがなく、且つ、ブリードアウトの問題が十分に低減されたリン含有化合物、このリン含有化合物を含有してなる樹脂組成物及び樹脂組成物を用いた感光性フィルム、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、以下に関する。
1. (A)下記一般式(1)、(2)及び(3)で表わされる繰り返し単位を有する樹脂、(B)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、並びに(C)重合開始剤を含有する樹脂組成物。
【0014】
【化1】


【0015】
【化2】


【0016】
【化3】


[式(1)中、Xは単結合又は2価の有機基を示し、R及びRは各々独立に、水酸基、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜3のアルキルオキシ基、アリール基又はアリールオキシ基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示す。式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を示す。式(3)中、Yは単結合又は炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、下記一般式(4)で表される有機基を示し、Rは各々独立に水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、フェニル基、ベンジル基又は下記一般式(5)で表される有機基を示し、nは1〜5の整数を示す。]
【0017】
【化4】



[式(4)中、lは0〜20の整数を示し、mは0〜20の整数を示し、l及びmのどちらか一方は1以上である。]
【0018】
【化5】


[式(5)中、Rは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基又は炭素数1〜5のアルコキシ基を示し、pは1〜5の整数を示す。]
【0019】
2. 前記一般式(1)、(2)及び(3)で表わされる繰り返し単位に加え、下記一般式(6)で表される繰り返し単位を有する樹脂である項1に記載の樹脂組成物。
【0020】
【化6】



[式(6)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を示す。]
【0021】
3. 一般式(1)におけるXが、下記一般式(7)〜(11)のいずれかである項1又は2に記載の樹脂組成物。
【0022】
【化7】


[式(7)中、aは1〜10の整数を示す。]
【0023】
【化8】



[式(8)中、Lは炭素数1〜3のアルキレン基を示す。]
【0024】
【化9】



[式(9)中、Lは炭素数1〜3のアルキレン基を示す。]
【0025】
【化10】



[式(10)中、bは1〜10の整数を示す。]
【0026】
【化11】


[式(11)中、cは1〜10の整数を示す。]
【0027】
4. 支持体及び該支持体上に形成された項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物からなる樹脂組成物層を備えてなる感光性フィルム。
5. 絶縁基板及び該絶縁基板上に形成された回路パターンを有する導体層を備える積層基板の前記絶縁基板上に、前記導体層を覆うように項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物からなる樹脂組成物層を形成し、該樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を形成し、前記樹脂組成物層の前記露光部以外の部分を除去することを特徴とするレジストパターンの形成方法。
6. 絶縁基板、該絶縁基板上に形成された回路パターンを有する導体層及び前記導体層を覆うように前記絶縁基板上に形成されたレジスト層を備えるプリント配線板であって、前記レジスト層が、項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物からなり、前記導体層の一部が露出するように開口部を有してなるプリント配線板。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、ハロゲン系難燃剤を用いずに十分な難燃性を確保することができ、アルカリ現像液で十分な解像性が得られ、低分子量の芳香族ホスフェート類に多く見られる揮発性の高いことが原因とされる加熱時のブリードアウトの問題を十分に低減することができ、且つ、十分な耐PCT性を有するリン含有化合物、このリン含有化合物を含有してなる樹脂組成物及び樹脂組成物を用いた感光性フィルム、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の樹脂組成物によれば、上記のような構成にすることにより、ハロゲン系難燃剤を用いずに十分な難燃性を確保することができ、アルカリ現像液で十分な解像性が得られ、ブリードアウトの問題が十分に低減され、PCT試験での表面の変色及び配線板上の銅と樹脂との界面でのふくれがない硬化物を得ることができる。
【0030】
ここで、本発明の樹脂組成物より上述の効果が得られる理由について、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明のリン含有化合物は、リンを含む構造の側鎖を備える上記一般式(1)で表される構造単位を有していることにより、十分な難燃性を示すことができるものと考えられる。
【0031】
また、上記一般式(1)、(2)及び(3)で表わされる繰り返し単位を有する樹脂を用いることにより、エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物との相溶性に優れ、且つアセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶剤に対して高い溶解性を有している、フィラー型の難燃剤で問題となったBステージのフィルム状態での取扱い性および硬化物の伸び率の低下を十分に抑制することができる。
【0032】
また、上記リン含有化合物は、分子量Mwが十分に高いため(例えば、1,000以上)、モノマーや低分子量の芳香族ホスフェート類に多く見られる揮発性の高いことが原因とされる加熱時のブリードアウトの発生が十分に抑制されるものと考えられる。
【0033】
さらに、本願の樹脂組成物は、カルボキシル基を含む共重合体であるため、アルカリ現像液での溶解性が十分に高くなる。したがって、本願の樹脂組成物は、未露光部のアルカリ現像液での溶解性が高くなるため、解像性が良好になるものと考えられる。この場合、親水性の高さは酸価を指標として判断することができ、高酸価の化合物であるほどアルカリ現像液での溶解性は高くなる。
【0034】
また、一般式(1)、(2)及び(3)で表わされる繰り返し単位を有する樹脂は、一般式(3)で表される構成単位を含むため、この疎水性部分による酸価の調整が可能となり、さらにこの疎水性部分による耐湿性の向上が可能となり、PCT試験での表面の変色及び配線板上の銅と樹脂との界面でのふくれを抑制できると考えられる。
【0035】
また、一般式(1)で表される構成単位において、リン酸エステル結合が多いほど耐加水分解性が低く、特にエステル結合が3つあるホスフェート類ではその傾向が高い。したがって、一般式(1)で表される構成単位において、リン酸エステル結合を含まないことが好ましい。これにより、耐加水分解性は向上し、PCT試験での表面の変色及び配線板上の銅と樹脂との界面のふくれを抑制できる。
【0036】
本発明になる樹脂組成物によれば、上記構成を有する一般式(1)で表される構成単位であるリン含有の樹脂を含むことによって、ハロゲン系難燃剤を用いずに十分な難燃性を確保することができ、アルカリ現像液で十分な解像性が得られ、ブリードアウトの問題が十分に低減され、PCT試験での表面の変色及び配線板上の銅と樹脂との界面でのふくれを抑制することができる。
【0037】
本発明になる樹脂組成物を感光性の永久レジストに用いた場合、樹脂中に上記一般式(2)で表される構造単位を有するため、アルカリ現像液に可溶であることから、部分的な光照射による露光によって所望の部分のみを硬化させ、その後現像液で未露光部分の樹脂を容易に除去することができる。
【0038】
さらに、溶剤に不溶なフィラータイプの難燃剤の場合は、露光部分と未露光部分の境界部分で難燃剤に起因した光の散乱による光の回り込みが生じて、解像性が低下するが、本発明の樹脂組成物によれば、難燃剤としての上記リン含有化合物と他の樹脂との相溶性が良好であるため、高い解像度が期待できる。
【0039】
本発明は、また、支持体及び該支持体上に形成された上記本発明になる樹脂組成物からなる樹脂組成物層を備えることにより、ハロゲン系難燃剤を用いずに十分な難燃性を確保することができ、アルカリ現像液で十分な解像性を確保でき、十分な耐PCT性を有するレジスト(永久レジスト)を形成することができる。
【0040】
本発明は、また、絶縁基板及び該絶縁基板上に形成された回路パターンを有する導体層を備える積層基板の上記絶縁基板上に、上記導体層を覆うように上記本発明の樹脂組成物からなる樹脂組成物層を形成し、該樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を形成し、上記樹脂組成物層の上記露光部以外の部分を除去する方法でレジストパターンを形成することにより、ハロゲン系難燃剤を用いずに十分な難燃性を確保することができ、アルカリ現像液で十分な解像性が得られ、十分な耐PCT性を有するレジストパターンを形成することができる。ここで、上記本発明の樹脂組成物からなる樹脂組成物層は、上記本発明の感光性フィルムを用いて、該感光性フィルムにおける樹脂組成物層を絶縁基板上に積層したものであってもよい。
【0041】
本発明は、さらに、絶縁基板と、該絶縁基板上に形成された回路パターンを有する導体層及び上記導体層を覆うように上記絶縁基板上に形成されたレジスト層を備えるプリント配線板であって、上記レジスト層が、上記本発明になる樹脂組成物の硬化物からなり、上記導体層の一部が露出するように開口部を有するようにすることでレジスト層等のプリント配線板を構成する硬化物が、本発明の樹脂組成物を硬化させてなるものであるため、当該硬化物がハロゲン系難燃剤を用いずに十分な難燃性を確保することができ、アルカリ現像液で十分な解像性が得られ、更に十分な耐PCT性を有するプリント配線板が実現可能となる。
【0042】
以下、場合により図面を引用し、発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
(A)樹脂
本発明の樹脂組成物は、前記一般式(1)、(2)及び(3)で表わされる繰り返し単位を有するものである。このような樹脂は、一般式(1)、(2)及び(3)のそれぞれの構成単位のモノマーから常法のラジカル重合等によって合成できる。
前記一般式(1)で表される構成単位のモノマとしては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルホスフェート(新日本理化株式会社製、商品名:Z−100)、ジフェニル−(2−メタクリロイルオキシエチル)ホスフェート(大八化学工業株式会社製、商品名:MR−260)、2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート(大八化学工業株式会社製、商品名:MR−200)、ジフェニル−(メタクリロイルオキシメチル)ホスホナート、ジフェニル−(2−(メタクリロイルオキシ)エチル)ホスホナート、ジフェニル−(3−(メタクリロイルオキシ)プロピル)ホスホナート、ジフェニル−(4−(メタクリロイルオキシ)ブチル)ホスホナート、ジフェニル−(5−(メタクリロイルオキシ)ペンチル)ホスホナート、ジフェニル−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシル)ホスホナート、ジメチル−(メタクリロイルオキシメチル)ホスホナート、ジメチル−(2−(メタクリロイルオキシ)エチル)ホスホナート、ジメチル−(3−(メタクリロイルオキシ)プロピル)ホスホナート、ジメチル−(4−(メタクリロイルオキシ)ブチル)ホスホナート、ジメチル−(5−(メタクリロイルオキシ)ペンチル)ホスホナート、ジメチル−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシル)ホスホナート、ジエチル−(メタクリロイルオキシメチル)ホスホナート、ジエチル−(2−(メタクリロイルオキシ)エチル)ホスホナート、ジエチル−(3−(メタクリロイルオキシ)プロピル)ホスホナート、ジエチル−(4−(メタクリロイルオキシ)ブチル)ホスホナート、ジエチル−(5−(メタクリロイルオキシ)ペンチル)ホスホナート、ジエチル−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシル)ホスホナート、ジプロピル−(メタクリロイルオキシメチル)ホスホナート、ジプロピル−(2−(メタクリロイルオキシ)エチル)ホスホナート、ジプロピル−(3−(メタクリロイルオキシ)プロピル)ホスホナート、ジプロピル−(4−(メタクリロイルオキシ)ブチル)ホスホナート、ジプロピル−(5−(メタクリロイルオキシ)ペンチル)ホスホナート、ジプロピル−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシル)ホスホナート、ジフェニル−(メタクリロイルオキシメチル)ホスフィナート、ジフェニル−(2−(メタクリロイルオキシ)エチル)ホスフィナート、ジフェニル−(3−(メタクリロイルオキシ)プロピル)ホスフィナート、ジフェニル−(4−(メタクリロイルオキシ)ブチル)ホスフィナート、ジフェニル−(5−(メタクリロイルオキシ)ペンチル)ホスフィナート、ジフェニル−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシル)ホスフィナート、ジメチル−(メタクリロイルオキシメチル)ホスフィナート、ジメチル−(2−(メタクリロイルオキシ)エチル)ホスフィナート、ジメチル−(3−(メタクリロイルオキシ)プロピル)ホスフィナート、ジメチル−(4−(メタクリロイルオキシ)ブチル)ホスフィナート、ジメチル−(5−(メタクリロイルオキシ)ペンチル)ホスフィナート、ジメチル−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシル)ホスフィナート、ジエチル−(メタクリロイルオキシメチル)ホスフィナート、ジエチル−(2−(メタクリロイルオキシ)エチル)ホスフィナート、ジエチル−(3−(メタクリロイルオキシ)プロピル)ホスフィナート、ジエチル−(4−(メタクリロイルオキシ)ブチル)ホスフィナート、ジエチル−(5−(メタクリロイルオキシ)ペンチル)ホスフィナート、ジエチル−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシル)ホスフィナート、ジプロピル−(メタクリロイルオキシメチル)ホスフィナート、ジプロピル−(2−(メタクリロイルオキシ)エチル)ホスフィナート、ジプロピル−(3−(メタクリロイルオキシ)プロピル)ホスフィナート、ジプロピル−(4−(メタクリロイルオキシ)ブチル)ホスフィナート、ジプロピル−(5−(メタクリロイルオキシ)ペンチル)ホスフィナート、ジプロピル−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシル)ホスフィナート、ジフェニル−(メタクリロイルオキシメチル)ホスフィンオキシド、ジフェニル−(2−(メタクリロイルオキシ)エチル)ホスフィンオキシド、ジフェニル−(3−(メタクリロイルオキシ)プロピル)ホスフィンオキシド、ジフェニル−(4−(メタクリロイルオキシ)ブチル)ホスフィンオキシド、ジフェニル−(5−(メタクリロイルオキシ)ペンチル)ホスフィンオキシド、ジフェニル−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシル)ホスフィンオキシド、ジメチル−(メタクリロイルオキシメチル)ホスフィンオキシド、ジメチル−(2−(メタクリロイルオキシ)エチル)ホスフィンオキシド、ジメチル−(3−(メタクリロイルオキシ)プロピル)ホスフィンオキシド、ジメチル−(4−(メタクリロイルオキシ)ブチル)ホスフィンオキシド、ジメチル−(5−(メタクリロイルオキシ)ペンチル)ホスフィンオキシド、ジメチル−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシル)ホスフィンオキシド、ジエチル−(メタクリロイルオキシメチル)ホスフィンオキシド、ジエチル−(2−(メタクリロイルオキシ)エチル)ホスフィンオキシド、ジエチル−(3−(メタクリロイルオキシ)プロピル)ホスフィンオキシド、ジエチル−(4−(メタクリロイルオキシ)ブチル)ホスフィンオキシド、ジエチル−(5−(メタクリロイルオキシ)ペンチル)ホスフィンオキシド、ジエチル−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシル)ホスフィンオキシド、ジプロピル−(メタクリロイルオキシメチル)ホスフィンオキシド、ジプロピル−(2−(メタクリロイルオキシ)エチル)ホスフィンオキシド、ジプロピル−(3−(メタクリロイルオキシ)プロピル)ホスフィンオキシド、ジプロピル−(4−(メタクリロイルオキシ)ブチル)ホスフィンオキシド、ジプロピル−(5−(メタクリロイルオキシ)ペンチル)ホスフィンオキシド、ジプロピル−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシル)ホスフィンオキシド、スチリルホスホン酸ジフェニル、スチリルホスホン酸ジメチル、スチリルホスホン酸ジエチル、スチリルホスホン酸ジブチル、スチリルホスホン酸ジペンチル、スチリルホスホン酸ジヘキシル、スチリルメチルホスホン酸ジフェニル(=ベンジルホスホン酸ジフェニルと同じ)、スチリルメチルホスホン酸ジメチル、スチリルメチルホスホン酸ジエチル、スチリルメチルホスホン酸ジブチル、スチリルメチルホスホン酸ジペンチル、スチリルメチルホスホン酸ジヘキシル、スチリルエチルホスホン酸ジフェニル、スチリルエチルホスホン酸ジメチル、スチリルエチルホスホン酸ジエチル、スチリルエチルホスホン酸ジブチル、スチリルエチルホスホン酸ジペンチル、スチリルエチルホスホン酸ジヘキシル、スチリルプロピルホスホン酸ジフェニル、スチリルプロピルホスホン酸ジメチル、スチリルプロピルホスホン酸ジエチル、スチリルプロピルホスホン酸ジブチル、スチリルプロピルホスホン酸ジペンチル、スチリルプロピルホスホン酸ジヘキシル、スチリルブチルホスホン酸ジフェニル、スチリルブチルホスホン酸ジメチル、スチリルブチルホスホン酸ジエチル、スチリルブチルホスホン酸ジブチル、スチリルブチルホスホン酸ジペンチル、スチリルブチルホスホン酸ジヘキシル、スチリルペンチルホスホン酸ジフェニル、スチリルペンチルホスホン酸ジメチル、スチリルペンチルホスホン酸ジエチル、スチリルペンチルホスホン酸ジブチル、スチリルペンチルホスホン酸ジペンチル、スチリルペンチルホスホン酸ジヘキシル、スチリルヘキシルホスホン酸ジフェニル、スチリルヘキシルホスホン酸ジメチル、スチリルヘキシルホスホン酸ジエチル、スチリルヘキシルホスホン酸ジブチル、スチリルヘキシルホスホン酸ジペンチル、スチリルヘキシルホスホン酸ジヘキシル、スチリルジフェニルホスフィンオキシド、スチリルジメチルホスフィンオキシド、スチリルジエチルホスフィンオキシド、スチリルジブチルホスフィンオキシド、スチリルジペンチルホスフィンオキシド、スチリルジヘキシルホスフィンオキシド、(スチリルメチル)ジフェニルホスフィンオキシド(=ベンジルジフェニルホスフィンオキシドと同じ)、(スチリルメチル)ジメチルホスフィンオキシド、(スチリルメチル)ジエチルホスフィンオキシド、(スチリルメチル)ジブチルホスフィンオキシド、(スチリルメチル)ジペンチルホスフィンオキシド、(スチリルメチル)ジヘキシルホスフィンオキシド、(スチリルエチル)ジフェニルホスフィンオキシド、(スチリルエチル)ジメチルホスフィンオキシド、(スチリルエチル)ジエチルホスフィンオキシド、(スチリルエチル)ジブチルホスフィンオキシド、(スチリルエチル)ジペンチルホスフィンオキシド、(スチリルエチル)ジヘキシルホスフィンオキシド、(スチリルプロピル)ジフェニルホスフィンオキシド、(スチリルプロピル)ジメチルホスフィンオキシド、(スチリルプロピル)ジエチルホスフィンオキシド、(スチリルプロピル)ジブチルホスフィンオキシド、(スチリルプロピル)ジペンチルホスフィンオキシド、(スチリルプロピル)ジヘキシルホスフィンオキシド、(スチリルブチル)ジフェニルホスフィンオキシド、(スチリルブチル)ジメチルホスフィンオキシド、(スチリルブチル)ジエチルホスフィンオキシド、(スチリルブチル)ジブチルホスフィンオキシド、(スチリルブチル)ジペンチルホスフィンオキシド、(スチリルブチル)ジヘキシルホスフィンオキシド、(スチリルペンチル)ジフェニルホスフィンオキシド、(スチリルペンチル)ジメチルホスフィンオキシド、(スチリルペンチル)ジエチルホスフィンオキシド、(スチリルペンチル)ジブチルホスフィンオキシド、(スチリルペンチル)ジペンチルホスフィンオキシド、(スチリルペンチル)ジヘキシルホスフィンオキシド、(スチリルヘキシル)ジフェニルホスフィンオキシド、(スチリルヘキシル)ジメチルホスフィンオキシド、(スチリルヘキシル)ジエチルホスフィンオキシド、(スチリルヘキシル)ジブチルホスフィンオキシド、(スチリルヘキシル)ジペンチルホスフィンオキシド、(スチリルヘキシル)ジヘキシルホスフィンオキシド、ビニルホスホナート化合物、ビニルホスフィナート化合物、ビニルホスフィンオキシド化合物等が挙げられる。
上記一般式(1)におけるXが単結合であるビニルホスホナート化合物、ビニルホスフィナート化合物、ビニルホスフィンオキシド化合物としては、公知のPd、Rh、Niのような金属触媒を用い、水素ホスホン酸エステル、水素ホスフィン酸エステル及びホスフィンオキシドのアセチレン類への付加反応により合成することができる。
【0043】
これらの例としては、例えば、ビニルジメチルホスホナート、ビニルジエチルホスホナート、ビニルジフェニルホスホナート、ビニルメチルホスフィン酸メチル、ビニルエチルホスフィン酸エチル、ビニルフェニルホスフィン酸フェニル、ビニルジメチルホスフィンオキシド、ビニルジエチルホスフィンオキシド、ビニルジフェニルホスフィンオキシド等が挙げられるが、これらに制限するものではない。
【0044】
前記一般式(2)で表される構成単位のモノマとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
前記一般式(3)で表される構成単位のモノマとしては、特に制限はないが、例えば、メタクリル酸ベンジル、スチレン、パラクミルフェノールEO変性アクリレート、ノニルフェノールPO変性アクリレート、ノニルフェノールEO変性アクリレート、パラクミルフェノールEO変性アクリレート等が挙げられる。
【0045】
前記一般式(6)で表される構成単位のモノマとしては、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルが挙げられる。
前記アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸エチレングリコールメチルエーテル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸アミド、アクリル酸イソデシル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸アリル、アクリル酸N−ビニルピロリドン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸エチレングリコールメチルエーテル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸アミド、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸N−ビニルピロリドンを例示することができる。また側鎖にリンを持たないモノマーとして、アクリロニトリル、ジメチルアミノエチル等の非アクリル酸系のモノマーを用いることもできる。
また、一般式(1)〜(3)および(6)の構成単位のモノマー以外のモノマーも共重合成分として用いることができる。このようなモノマーとしては、アクリロニトリル、ジメチルアミノエチル等の非アクリル酸系のモノマーを用いることもできる。
【0046】
前記モノマーを原料として樹脂を合成するには一般的な重合開始剤を用いて容易に合成することができる。前記重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、過安息香酸tert−ブチル(PBOC)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウムなどの過酸化塩、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジt−ブチルペルオキシド、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、t−ブチルペルイソブチレート、t−ブチルペルピバレート、過酸化水素/第一鉄塩、過硫酸塩/酸性亜硫酸ナトリウム、クメンヒドロペルオキシド/第一鉄塩、過酸化ベンゾイル/ジメチルアニリン等を例示できる。またこれらを組み合わせてもよい。
【0047】
重合開始剤の使用量は、重合開始剤の種類によって異なるが、重合開始剤の使用量が少ないと重合率が低下し、重合開始剤の使用量が多いと重量平均分子量が小さくなる傾向があるため、使用するモノマーの全量100質量部に対して、0.0001〜5質量部が好ましく、0.001〜3質量部がより好ましい。
【0048】
また、本願の樹脂は、原料であるモノマーを、有機溶媒に均一に溶解させて行うこともできるし、また水溶液に乳化や懸濁させて行うこともできる。均一に溶解させる有機溶媒としては、原料のモノマーと、生成するポリマーと、重合開始剤とが溶解すれば特に制限はないが、トルエン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等を例示できる。
【0049】
共重合の反応温度は、原料モノマーや溶媒の沸点、重合開始剤のラジカル発生温度と半減期によって最適温度が変わるが、製造設備や効率の観点から−15℃〜150℃が好ましく、室温(25℃)〜100℃で行うのがより好ましい。
【0050】
製造したポリマーは特に必要がなければ、そのまま用いることができるが、ろ過による不純物の除去、または貧溶媒による沈殿等によって精製することもできる。さらに、懸濁重合、乳化重合においては分散剤、乳化剤、α−スチレンダイマーなどの連鎖移動剤を用いることで、より効率的に重合させることができる。
本発明に用いられる(A)成分である樹脂の重量平均分子量(GPC法によるスチレン換算値)は、耐熱性、フィルム形成能の観点から、1,000〜1,000,000であることが好ましく、2,000〜500,000であることがより好ましく、3,000〜400,000であることがさらに好ましく、10,000〜300,000であることが特に好ましく、30,000〜200,000であることが最も好ましい。分子量が1,000未満であると、樹脂組成中でブリードアウトやBステージのタック(べとつき)の問題が生じたり、フィルムの塗膜がもろくなる傾向がある。また分子量が1,000,000を超えると現像後の樹脂残りが多くなり、後述する光硬化後での未露出部の樹脂の除去(現象)が難しくなる傾向がある。
【0051】
また、リン含有化合物の酸価は、20〜200mgKOH/gであることが好ましく、30〜180mgKOH/gであることがより好ましく、40〜150mgKOH/gであることがさらに好ましい。酸価が20mgKOH/g未満であると、アルカリ現像液での解像性が不十分となる傾向があり、他方、200mgKOH/gを超えると、耐電食性が不十分となる傾向がある。
【0052】
本発明になる樹脂組成物は、上記本発明のリン含有化合物を含むものであり、光により硬化するものであることが好ましい。
本発明になる硬化性樹脂組成物(樹脂組成物)において、上記本発明のリン含有化合物の含有量は、硬化性樹脂組成物中の固形分全量を基準として10〜80質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることがより好ましい。この含有量が10質量%未満であると、得られる硬化物の難燃性が低下する傾向があり、80質量%を超えると、樹脂組成物とした場合の感光性が低下して、解像性や硬化後の物性が不十分となる傾向がある。
【0053】
(B)エチレン性不飽和基を有する重合性化合物
本発明の樹脂組成物に含まれるエチレン性不飽和基を有する重合性化合物としては、例えば、多価アルコールにα、β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等のビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、グリシジル基含有化合物にα、β−不飽和カルボン酸を反応させで得られる化合物、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシエチル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
【0054】
上記多価アルコールにα、β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2〜14であり、プロピレン基の数が2〜14であるポリエチレンポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンペンタエトキシトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0055】
上記2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカエトキシ)フェニル)プロパン等が挙げられ、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−500(新中村化学工業株式会社製、商品名)として商業的に入手可能であり、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−1300(新中村化学工業株式会社製、商品名)として商業的に入手可能である。
【0056】
上記ウレタンモノマーとしては、例えば、β位にOH基を有する(メタ)アクリルモノマーとイソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物との付加反応物、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0057】
なお、「EO」は、エチレンオキサイドを示し、EO変性された化合物はエチレンオキシ基のブロック構造を有する。
また、「PO」は、プロピレンオキサイドを示し、PO変性された化合物はプロピレンオキシ基のブロック構造を有する。
【0058】
EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、新中村化学工業株式会社製、商品名「UA−11」などが商業的に入手可能である。
また、EO、PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、新中村化学工業株式会社製、商品名「UA−13」などが商業的に入手可能である。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0059】
(C)重合開始剤
本発明になる硬化性樹脂組成物において、重合開始剤は、硬化の際に使用する露光機の光波長にあわせたものであればよく、公知のものを利用することができる。かかる重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、ベンゾフェノン、4,4−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−ジメトキシ−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、メチルベンゾイルフォーメート、3,3,4,4−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、1,2−ジ−9−アクリジニルエタン、1,3−ジ−9−アクリジニルプロパン、1,4−ジ−9−アクリジニルブタン、1,7−ジ−9−アクリジニルヘプタン、1,8−ジ−9−アクリジニルオクタン、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体又はその誘導体等が挙げられる。
【0060】
重合開始剤の含有量は、硬化性樹脂組成物中の固形分全量を基準として0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5.0質量%であることが特に好ましい。
【0061】
本発明になる硬化性樹脂組成物には、本発明の効果が低下しない範囲で、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂を単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。このうち、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂を用いることで、硬化性樹脂組成物の耐熱性を向上させることができる。
【0062】
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリメタクリル酸メチル等が挙げられる。なお、カルボキシル基を含むような樹脂を用いることで、アルカリ現像液に対する樹脂の溶解性を向上させることができる。
【0063】
熱硬化性樹脂としては、特に制限はなく、公知の熱硬化性樹脂を利用することができる。具体的には、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート樹脂等を用いることができ、それらの硬化剤又は硬化促進剤が適宜配合される。例えば、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合には、硬化剤としては、特に制限されないが、アミン類、フェノール類、酸無水物等が用いられる。
【0064】
ここで、アミン類としては、ジメチルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチルアミノプロピルアミン、アミノエチルピペラジン、メンセンジアミン、メタキシリレンジアミン、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、メチレンジアニリン、メタフェニレンジアミン等が挙げられる。
【0065】
フェノール類としては、ビフェノール、ビスフェノール−A、ビスフェノール−F、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック及びこれらのアルキル基置換体などが挙げられる。
【0066】
酸無水物としては、無水ヘキサヒドロフタル酸(HPA)、無水テトラヒドロフタル酸(THPA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、無水ドデニルコハク酸(DDSA)、無水フタル酸(PA)、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(MeHPA)、無水マレイン酸等が挙げられる。これらの硬化剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0067】
また、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合の硬化促進剤としては、イミダゾール化合物、有機リン化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩、第2級アミノ基をアクリロニトリル、イソシアネート、メラミン、アクリレート等でマスク化したイミダゾール化合物などを用いることができ、その添加量はエポキシ樹脂100質量部に対して、0.1〜6質量部とすることが好ましい。この添加量が0.1質量部未満では硬化を促進する効果が小さく、6質量部を超えると硬化性樹脂組成物の保存安定性が低下する傾向がある。
【0068】
ここで使用されるイミダゾール化合物としては、イミダゾール、2−メチル−イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾリン、2−エチル−4メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−ウンデシルイミダゾリン、2−ヘプタデシルイミダゾリン、2−イソプロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾリン、2−イソプロピルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、2−フェニル−4−メチルイミダゾリン等が挙げられる。
【0069】
また、硬化性樹脂組成物に用いられる樹脂として、不飽和ポリエステル樹脂や上述の重合開始剤によって架橋可能な官能基を有した共重合体又は単量体と同等の化合物等などを用いることもできる。
また、熱又は熱重合開始剤で重合する樹脂を用いることもできる。
【0070】
熱重合開始剤としては公知のものを利用することができる。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、ターシャリーブチルパーオキサイド等のアルキルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシケタール類、パーオキシエステル類、アルキルパーエステル類等を用いることができる。
【0071】
本発明の樹脂組成物において熱重合開始剤を用いる場合の含有量は、硬化性樹脂組成物中の固形分全量を基準として0.1〜10質量%とすることが好ましく、0.5〜5質量%とすることがより好ましい。
光硬化性樹脂の具体例としては、ビスフェノール類のジグリシジルエーテル化合物にアクリル酸及び/又はメタクリル酸が付加したエポキシ(メタ)アクリレート、ノボラック型エポキシ樹脂にアクリル酸及び/又はメタクリル酸が付加した(メタ)アクリル変性ノボラック型エポキシ樹脂、カルボキシル基を有するアクリル樹脂にグリシジルアクリレート及び/又はグリシジルメタクリレートを付加した樹脂などが挙げられる。
【0072】
また、本発明になる硬化性樹脂組成物にエポキシ樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂にアクリル酸及び/又はメタクリル酸を付加させた後、解像性や耐湿絶縁性などの物性値を低下させない範囲で、酸無水物で変性を行ってもよい。
【0073】
酸無水物としては、例えば、カルボン酸無水物、マレイン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、イタコン酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、コハク酸無水物、ナフタル酸無水物、シトラコン酸無水物、メチルフタル酸無水物、ブテニルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、アルケニル酸無水物、トリカルバニル酸無水物などが挙げられる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、カチオン性光開始剤によって架橋可能な官能基を有した共重合体及び/又は単量体を含んでいてもよい。かかる共重合体及び/又は単量体としては、カチオン重合を行うものであれば特に制限はなく、例えば分子内に重合可能なビニルエーテル基、プロペニルエーテル基、エポキシ基、オキセタニル基を有する化合物などが挙げられる。
【0074】
カチオン性光開始剤としては、公知のものが挙げられ、例えば、トリフェニルスルフォンヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルフォンヘキサフルオロホスフェート、p−メトキシベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、p−クロロベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4,4−ジ−t−ブチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、(1−6−n−クメン)(n−ジクロペンタジニエル)鉄6フッ化リン酸等が挙げられる。これらのラジカル性光開始剤又はカチオン性光開始剤の含有量は、それぞれ硬化性樹脂組成物中の固形分全量を基準として、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5.0質量%であることがより好ましい。
【0075】
また、本発明の樹脂組成物には、本発明により得られる効果を阻害しない範囲で、熱硬化剤を添加してもよい。このような熱硬化剤としては、特に制限されないが、例えば、加熱によりそれ自体が架橋する熱硬化剤、すなわち、熱を加えることにより、高分子網目を形成する硬化剤や、硬化性樹脂組成物に用いられる樹脂としてカルボキシル基を有する樹脂を用いた場合に、加熱により上記樹脂のカルボキシル基と反応し3次元構造を形成する硬化剤等が挙げられる。
【0076】
加熱によりそれ自体が架橋する熱硬化剤としては、ビスマレイミド化合物が挙げられる。
ビスマレイミド化合物としては、m−ジ−N−マレイミジルベンゼン、ビス(4−N−マレイミジルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−N−マレイミジルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−N−マレイミジル2,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(4−N−マレイミジルフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス(4−N−マレイミジル−2−メチル−5−エチルフェニル)プロパン等の各種ビスマレイミド化合物がそのまま又は混合物として用いられる。これらのビスマレイミド化合物は単体としても各種樹脂との変性物でもどちらも用いることが可能である。
【0077】
また、樹脂組成物において、加熱により上記樹脂のカルボキシル基と反応して3次元構造を形成する硬化剤としてブロックイソシアネート化合物を用いることもできる。
【0078】
ブロックイソシアネート化合物としては、アルコール化合物、フェノール化合物、ε−カプロラクタム、オキシム化合物、活性メチレン化合物等のブロック剤によりブロック化されたポリイソシアネート化合物が挙げられる。
【0079】
ブロック化されるポリイソシアネート化合物としては、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、o−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、2,4−トリレンダイマー等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートが挙げられ、耐熱性の観点からは芳香族ポリイソシアネートが、着色防止の観点からは脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートが、好ましい。
【0080】
また、本発明により樹脂組成物には、解像性、難燃性及び硬化物の伸び率を低下させない範囲で、フィラーを添加してもよい。
フィラーとしては、例えば、シリカ、溶融シリカ、タルク、アルミナ、水和アルミナ、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、エーロジル、炭酸カルシウム等の無機微粒子、粉末状エポキシ樹脂、粉末状ポリイミド粒子等の有機微粒子、粉末状ポリテトラフルオロエチレン粒子等が挙げられる。これらのフィラーには予めカップリング処理を施してもよい。
【0081】
これらのフィラーの分散は、ニーダー、ボールミル、ビーズミル、3本ロール等の既知の混練方法によって達成される。これらのフィラーの含有量は、硬化性樹脂組成物中の固形分全量を基準として、2〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。
【0082】
本発明になる樹脂組成物は、樹脂組成物層を形成させる場合に溶剤に希釈して用いることができる。
この溶剤としては、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン等のケトン化合物、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素化合物、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド化合物等を使用することができる。これらの溶剤は、単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0083】
また、樹脂組成物を効率よく溶解させるために、当該組成物の溶解性にあわせてエチレングリコールモノエチルエーテル、エチルエトキシプロピオネート等を溶剤に用いてもよく、これらを他の溶剤に加えてもよい。
【0084】
樹脂組成物における溶剤の配合量は、樹脂組成物中の溶剤以外の成分(固形分)100質量部に対して10〜200質量部であることが好ましく、30〜100質量部であることがより好ましい。溶剤の配合量が10質量部未満の場合は、樹脂組成物の粘度が高くなる傾向があるため、均一に混合することが困難となる傾向がある。一方、溶剤の配合量が200質量部を超える場合は、粘度の低下により硬化性樹脂組成物層を形成した際の層の厚さを制御することが困難となる傾向があると共に、溶剤の使用量が多いことからコスト高となる傾向がある。
【0085】
樹脂組成物には、重合安定剤、レベリング剤、顔料、染料、密着性向上剤をさらに添加してもよい。これらの選択は、通常の硬化性樹脂組成物と同様の考慮のもとで行われる。これらの添加量は、本発明の樹脂組成物の特性が損なわれない程度で、各々、樹脂組成中の固形分全量を基準として0.01〜10質量%の含有量となるように添加することが好ましい。
【0086】
本発明による樹脂組成物を用いて形成される樹脂組成物層の厚さについては特に制限はなく、10〜150μmの範囲で適宜選択される。樹脂組成物は、ディップコート法、ロールコート法、フローコート法、スクリーン印刷法、スプレー法、静電スプレー法等の常法により、基板又はプリント配線板上に直接塗工し、基板又は配線板上に上記樹脂組成物からなる樹脂組成物層を容易に形成することも可能であるが、後述するように永久レジスト用感光性フィルムとして用いてもよい。
【0087】
本発明になる樹脂組成物は、感光性フィルム、永久レジストなどのレジストパターンの形成及びプリント配線板等に使用することができる。
また、本発明の樹脂組成物は、光硬化性を有することにより、上記の感光性フィルムやレジストパターンの形成及びプリント配線板に好適に使用することができる。
【0088】
次に、本発明になる感光性フィルムについて説明する。
図1は本発明の感光性フィルムの好適な一例を示す模式断面図である。図1に示す感光性フィルム1は永久レジスト用感光性フィルムであり、支持体(キャリアフィルム)11上に、本発明になる樹脂組成物からなる樹脂組成物層12を備え、さらにに、感光性樹脂組成物層12の支持体(キャリアフィルム)11と反対側の面上にカバーフィルム(保護フィルム)13を備えている。
【0089】
支持体(キャリアフィルム)11としては、樹脂組成物層12、さらにはカバーフィルム13を支持することができれば特に制限はないが、例えば、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等のフィルムが好適に用いられる。支持体11は単層構造であってもよく、複数の組成からなるフィルムを積層した多層構造を有していてもよい。さらに、支持体11の樹脂組成物層12と反対側の面にはエンボス加工、コロナ処理等の処理が施されていてもよい。
【0090】
支持体(キャリアフィルム)11の厚みは特に制限はないが、2〜150μmの範囲が好ましく、5〜100μmの範囲がより好ましく、8〜20μmの範囲がさらに好ましく、10〜16μmの範囲が特に好ましい。この厚みが2μm未満では、感光性フィルム1から支持体(キャリアフィルム)11を剥離除去する際に支持体(キャリアフィルム)11が破れる傾向があり、150μmを超えると感光性フィルム1全体としての柔軟性が低下し、ラミネートすべき対象の表面の凹凸への追従性が低下する傾向がある。
【0091】
支持体(キャリアフィルム)11上に樹脂組成物層12を形成する方法としては、本発明になる樹脂組成物を含む塗液を、支持体(キャリアフィルム)11上に、コンマコータ、ブレードコータ、リップコータ、ロッドコータ、スクイズコータ、リバースコータ、トランスファロールコータ等によって均一な厚さに塗布し、加熱・乾燥して溶剤を揮発させる方法が挙げられる。形成された樹脂組成物層の厚さについては特に制限はなく、10〜150μmの範囲で適宜選択される。
【0092】
カバーフィルム13は、保護フィルムとして使用され、ラミネートする前に剥離されるので、可撓性を有していて樹脂組成物層12に剥離可能に接着でき、乾燥炉の温度で損傷を受けないものであれば特に制限はないが、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、表面処理した紙等が挙げられる。
【0093】
カバーフィルム13は、これを樹脂組成物層12から容易に剥離可能とするために、樹脂組成物層12と支持体11との接着力よりも樹脂組成物層12とカバーフィルム13との接着力の方が小さくなるものであることが好ましい。
【0094】
カバーフィルム13の厚みは、特に制限はないが、ロール状に巻いた場合のサイズの点を考慮すると、10〜30μmとすることが好ましく、10〜25μmとすることがより好ましく、10〜20μmとすることがさらに好ましい。
【0095】
かかる感光性フィルム1によれば、樹脂組成物層12を基板又はプリント配線板に重ね、ホットロールラミネーターなどを用いて張り合わせることで、基板又は配線板上に上記永久レジスト用フィルムの樹脂組成物層12を容易に形成することができる。
【0096】
また、形成された樹脂組成物層12の露光及び現像は、常法により行うことができる。例えば、光源として超高圧水銀灯や高圧水銀灯等を用い、樹脂組成物層12上に直接又はポリエチレンテレフタレートフィルムなどの透明フィルムを介し、ネガマスクを通して像的に露光することができる。露光後、透明フィルムが残っている場合には、これを剥離した後現像することが好ましい。
【0097】
また、本発明の樹脂組成物は、印刷法、炭酸ガスレーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ等を用いたレーザ穴あけ法などで像的樹脂膜を形成することも可能である。
上述した樹脂組成物及び感光性フィルムは、ハロゲン化物を用いずに加熱時のブリードの問題がなく、難燃性を確保することができ、さらに、解像性、硬化物の伸び率に優れる永久レジストを形成することができる。
なお、本発明になる感光性フィルムは、上述のものに制限されず、例えば、カバーフィルム13を有しないものであってもよい。
【0098】
次に、本発明になるレジストパターンの形成方法について説明する。
本発明になるレジストパターンの形成方法は、絶縁基板及び該絶縁基板上に形成された回路パターンを有する導体層を備える積層基板の絶縁基板上に、導体層を覆うように、少なくとも感光性を有する上記本発明になる樹脂組成物からなる樹脂組成物層を形成し、該樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を形成し、感光性樹脂組成物層の露光部以外の部分を除去する方法である。
【0099】
樹脂組成物層の積層方法としては、上記本発明の樹脂組成物を絶縁基板上に直接塗工する方法及び上述した本発明の感光性フィルム1における樹脂組成物層12を、加熱しながら絶縁基板に圧着することにより積層させる方法等が例示できる。従って、基板上に積層された樹脂組成物層は、硬化性樹脂組成物が溶剤等の揮発成分を含む場合は、溶剤の大部分が除去された後の成分が主成分となる。
【0100】
このようにして積層が完了した後、樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を形成させる(露光工程)。露光部を形成させる方法としては、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線を画像状に照射する方法が挙げられる。この際、マスクは樹脂組成物層上に直接接触させてもよく、透明なフィルムを介して接触させてもよい。
【0101】
活性光線の光源としては、公知の光源が用いられ、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に放射するものが用いられる。また写真用フラッド電球、太陽ランプ等の可視光を有効に放射するものも用いられる。
【0102】
露光後、アルカリ現像液を用い、例えば、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法により露光部分以外の部分を除去して現像を行い、レジストパターンを形成させる(現像工程)。なお、レジストパターン形成後に、1〜5J/cmの露光及び/又は100〜200℃、30分〜12時間の加熱(後加熱工程)による後硬化をさらに行ってもよい。
【0103】
現像処理に用いられる現像液は、アルカリ現像液を標準としたが、露光部にダメージを与えず、未露光部を選択的に溶出するものであれば、その種類については特に制限はなく、樹脂組成物の現像タイプによって決定され、アルカリ現像液、準水系現像液、溶剤現像液など一般的なものを用いることができる。例えば、水と有機溶剤とを含むエマルジョン現像液を使用することができる。
【0104】
特に有用なエマルジョン現像液としては、例えば、有機溶剤成分としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、2,2−ブトキシエトキシエタノール、乳酸ブチル、乳酸シクロヘキシル、安息香酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等の有機溶剤を10〜40質量%含有するエマルジョン現像液を挙げることができる。
【0105】
また、アルカリ現像液を用いる場合には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、燐酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、4−ホウ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液と上記有機溶剤とのエマルジョン現像液を用いることもできる。
【0106】
上述の方法によって、回路パターンが形成された導体層上に積層された感光性樹脂組成物層に、レジストパターンの形成を行うことができる。レジストパターンの形成された感光性樹脂組成物層は、実装部品の接合時に、導体層上の不必要な部分へのはんだの付着を防ぐソルダーレジストとして用いることができる。
【0107】
次に、本発明になるプリント配線板及びその製造方法について説明する。
図2は、本発明のプリント配線板の一例を示す模式断面図である。図2に示すプリント配線板2は、絶縁基板22、絶縁基板22の一方向の面上に形成された回路パターンを有する導体層23、絶縁基板22の他方の面上に形成された回路パターンを有しない導体層21及び回路パターンを有する導体層23を覆うように絶縁基板22上に形成されているレジスト層24を備えている。
【0108】
また、レジスト層24は、上記本発明になる感光性フィルムにおける樹脂組成物層の硬化物からなり、該レジスト層(樹脂組成物層)24は、回路パターンを有する導体層23の少なくとも一部が露出するように開口部26を有している。なお、レジスト層(樹脂組成物層)24は、上記本発明になる硬化性樹脂組成物を絶縁基板22上に塗布し、硬化させてなるものであってもよい。
【0109】
プリント配線板2は、開口部26を有しているため、CSPやBGAなどの実装部品を、回路パターンを有する導体層23にはんだ等により接合することができ、いわゆる表面実装が可能となる。レジスト層(樹脂組成物層)24は、接合のためのはんだ付けの際に、導体層の不必要な部分にはんだが付着することを防ぐためのソルダーレジストとしての役割を有しており、また実装部品接合後においては、回路パターンを有する導体層23を保護するための永久マスクとして機能する。
【0110】
図3は、図2に示すプリント配線板2の製造方法を示す工程図である。なお、図3(a)は一方面に回路パターンを有する導体層23と他方面に回路パターンを有しない導体層21とを備える絶縁基板22であり、図3(b)、図3(c)及び図3(d)は、それぞれ絶縁基板22上へレジスト層(樹脂組成物)24の積層した後のプリント配線板4、レジスト層(樹脂組成物層)24へ活性光線を照射している様子及び現像後のプリント配線板2を示す。
【0111】
まず、両面金属積層板(例えば、両面銅張積層板など)の片面をエッチングする公知の方法により、図3(a)に示すように絶縁基板22上に回路パターンを有する導体層23のパターンを形成させ、回路パターンを有する導体層23が形成されたプリント配線板3を得る。
【0112】
次に、図3(b)に示すように回路パターンを有する導体層23が形成された両面金属張積層板3上に、回路パターンを有する導体層23を覆うようにして本発明になる感光性フィルムの樹脂組成物からなるレジスト層(樹脂組成物層)24を積層させ、レジスト層(樹脂組成物層)24が積層されたプリント配線板4を得る。
【0113】
次に、図3(c)に示すように積層されたレジスト層(樹脂組成物層)24に所定のパターンを有するマスク5を介して活性光線を照射することによりレジスト層(感光性樹脂組成物層)24の所定部分を硬化させる。
【0114】
最後に、未露光部を除去することによって、図3(d)に示すように開口部26を有するレジスト層(樹脂組成物層)24を形成させることでプリント配線板2が得られる。なお、レジスト層(樹脂組成物層)24は、樹脂組成物が溶剤等の揮発成分を含有している場合は、かかる揮発成分の大部分が除去された後の樹脂組成物の硬化物である。
【0115】
なお、絶縁基板22上へのレジスト層(樹脂組成物層)24の積層、活性光線の照射及び未露光部の除去は、上述のレジストパターンの形成方法における場合と同様の方法により行うことができる。
【0116】
かかるプリント配線板によれば、その構成材料としての硬化物が本発明の硬化性樹脂組成物からなるものであることにより、ハロゲン系難燃剤を用いずに十分な難燃性を確保することができ、十分な耐PCT性が得られ、高信頼性のプリント配線板を実現することができる。
【実施例】
【0117】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限するものではない。
[合成例]
ジメチルアセトアミド50重量部を500mlの四つ口フラスコに入れ、窒素気流下で攪拌しながら加熱して80℃とした。
【0118】
一方、表1に示した配合(mol)比、さらにラジカル重合開始剤としてAIBN(アゾイソブチロニトリル)1質量%を有機溶媒であるジメチルアセトアミド50質量部に室温で溶解させておき、これを上記四つ口フラスコ内に液温を80℃に保ちつつ30分かけて滴下し、さらに同温度で300分間反応させて、繰り返し単位がランダムに共重合してなるリン化合物(共重合体)のジメチルアセトアミド溶液を得た。
【0119】
合成して得られたリン化合物のポリマ特性として、酸価(KOHmg/g)、リン含有率(%)、重量平均分子量(Mw)は、表1に併記した。なお、それぞれの特性は、次のように測定した。
【0120】
(リン含有率)
合成して得られたリン化合物を35mm角のMCL上に塗布後、170℃で1時間乾燥し、溶媒および未反応モノマを揮発したポリマ膜を得た。この試料を蛍光X線測定装置を用いて、リン化合物中のP元素のX線強度を測定し、X線強度からリン化合物中のP含有率を求めた。
【0121】
(重量平均分子量)
合成して得られたリン化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により重量平均分子量(Mw)を求めた。分子量は、標準ポリスチレンにて作製した分子量/溶出時間曲線にて換算した。なお、カラムは、Gelpack GL−S3000MDT−5(日立化成工業株式会社製、商品名)、溶離液は、ジメチルホルムアミド/テトラヒドロフラン=1/1の混合溶離液を用いた。
【0122】
【表1】


MEDPP:2−(メタクリルオキシ)エチルジフェニルホスフィネート(城北化学株式会社製)
MAAC:メタクリル酸(関東化学工業株式会社製)
MMEC:メタクリル酸メチル(関東化学工業株式会社製)
MBzEC:メタクリル酸ベンジル(関東化学工業株式会社製)
M110:パラクミルフェノールEO変性アクリレート(東亜合成化学工業株式会社製)
M117:ノニルフェノールPO変性アクリレート(東亜合成化学工業株式会社製)
【0123】
[実施例、比較例]
以下に示すように上記合成例1〜8のリン化合物と各種材料とを配合して、感光性樹脂組成物を調合した。
・合成例のリン化合物:70質量部(固形分)
・光重合モノマ(日立化成工業株式会社製、商品名:FA−321M):30質量部(固形分)
・光重合開始剤(チバガイギー株式会社製、商品名:イルガキュア651):5質量部(固形分)
・熱重合開始剤(日本油脂株式会社製、商品名:パーヘキシン25B):2質量部(固形分)
・熱硬化剤(2,2−ビス[4−(4−N−マレイミジニルフェノキシ)フェニル]プロパン、日立化成工業株式会社製):10質量部(固形分)
・メチルエチルケトン:20質量部
得られた感光性樹脂組成物をPETフィルム上に塗工し、80℃で20分間乾燥することで、膜厚40μmの樹脂組成物層がPETフィルム上に形成された感光性フィルムを得た。このようにして得られた実施例1〜5、比較例1〜3の感光性フィルムについて以下の評価試験を行った。
【0124】
(感光性フィルムのにごり)
得られた感光性フィルムを目視で観察し、透明なものを○、白濁(にごり)しているものを×を意味する。
【0125】
(解像性)
両面粗化箔を両面に有するガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、日立化成工業株式会社製、商品名:MCL−BE−67G)にエッチングを施し、片面にライン幅/スペース幅(40μm/40μm)寸法の櫛形形状の回路を形成した回路層を有する回路板を作製した。次に、実施例1〜5及び比較例1〜3で得られた感光性フィルムを、ラミネータを用いて回路板上に積層し、膜厚40μmの感光性樹脂組成物層を形成した。次に、開口部となる部分に直径150μmの遮蔽部のあるフォトマスクを介して、露光量200mJ/cmの紫外線を樹脂組成物層に照射し、PETフィルムを剥離した後、1質量%の炭酸ナトリウムを含むアルカリ現像液を用いて30℃で1分間スプレー処理し、レジストパターンを作製した。
このようにして形成されたレジストパターンの開口部を金属顕微鏡により評価した。なお、表中、○は、現像性の良好なもの(基板表面上に樹脂が全く残らないもの)を意味し、×は現像性の不良なもの(基板表面上に樹脂が少し残るもの)を意味する。
【0126】
(難燃性評価試験)
両面粗化箔を両面に有するガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、日立化成工業株式会社製、商品名:MCL−BE−67G)の全面にエッチングを施して、回路層がない基板を作製した。次に、実施例1〜5及び比較例1〜3で得られた感光性フィルムを、上記の基板のエッチングを施した側の面に接するように、ラミネータを用いて基板上に積層し、膜厚40μmの感光性樹脂組成物層を形成した。次に、基板上の樹脂組成物層に露光量200mJ/cmの紫外線を照射し、その後PETフィルムを剥離した。次いで、基板上の樹脂組成物層が硬化した樹脂層(レジスト)に対して、メタルハライドランプ型コンベア式露光機(ランプ出力80W/cm、ランプ高さ80cm、コールドミラーなし、コンベア速度1.5m/分)を用いて紫外線1000mJ/cmを照射して、後露光を行った。
【0127】
さらに、160℃で1時間の後加熱を行うことにより、樹脂組成物層を完全に硬化させ、硬化物を得た。そして、得られた硬化物を、幅13mm及び長さ130mmに切断することで、実施例1〜5及び比較例6〜8の難燃性の試験片を得た。このようにして得られた試験片(各5個)を用いて、UL94規格に準拠して垂直燃焼試験を5回行った。5回の燃焼時間を合計して総燃焼時間(秒)とし、UL94規格の判定基準に従って、V−0、V−1、V−2及び全焼(試験片のクランプまで全焼したもの)の4つのランクで判定した。
それぞれの実施例および比較例で使用したリン化合物との関係と、各種特性評価を行った結果を表2に示す。
【0128】
【表2】

【0129】
実施例1〜5の感光性フィルムを用いた場合、感光性フィルム形成後のフィルムの濁りが発生せず、透明な感光性フィルムが得られ、解像性、難燃性のいずれも確保できることが明らかである。
これに対し、比較例1では、感光性フィルム形成後のフィルムの濁りは発生していないが、酸価が0KOHmg/gのため、解像性がないこと、さらに、比較例2および3では、リン化合物に一般式(3)が含まれていないため、感光性フィルム形成後のフィルムの濁りが発生していることから、樹脂組成物の相溶性が悪いと推察され、そのため、紫外線照射時の紫外線の分散やアルカリ現像液への溶解性が低下し、十分な解像性を確保することができない。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明になる感光性フィルムの一例を示す模式断面図である。
【図2】本発明のプリント配線板の一例を示す模式断面図である。
【図3】(a)〜(d)はそれぞれ、図2に示すプリント配線板の製造過程を示す工程図である。
【符号の説明】
【0131】
1 感光性フィルム
2、3、4 プリント配線板
5 フォトマスク
11 支持体
12 感光性樹脂組成物層
13 カバーフィルム
21 回路パターンを有しない導体層
22 絶縁基板
23 回路パターンを有する導体層
24 レジスト層(感光性樹脂組成物層)
26 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)、(2)及び(3)で表わされる繰り返し単位を有する樹脂、(B)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、並びに(C)重合開始剤を含有する樹脂組成物。
【化1】



【化2】



【化3】



[式(1)中、Xは単結合又は2価の有機基を示し、R及びRは各々独立に、水酸基、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜3のアルキルオキシ基、アリール基又はアリールオキシ基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示す。式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を示す。式(3)中、Yは単結合又は炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、下記一般式(4)で表される有機基を示し、Rは各々独立に水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、フェニル基、ベンジル基又は下記一般式(5)で表される有機基を示し、nは1〜5の整数を示す。]
【化4】



[式(4)中、lは0〜20の整数を示し、mは0〜20の整数を示し、l及びmのどちらか一方は1以上である。]
【化5】



[式(5)中、Rは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基又は炭素数1〜5のアルコキシ基を示し、pは1〜5の整数を示す。]
【請求項2】
前記一般式(1)、(2)及び(3)で表わされる繰り返し単位に加え、下記一般式(6)で表される繰り返し単位を有する樹脂である請求項1に記載の樹脂組成物。
【化6】


[式(6)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を示す。]
【請求項3】
一般式(1)におけるXが、下記一般式(7)〜(11)のいずれかである請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【化7】


[式(7)中、aは1〜10の整数を示す。]
【化8】


[式(8)中、Lは炭素数1〜3のアルキレン基を示す。]
【化9】



[式(9)中、Lは炭素数1〜3のアルキレン基を示す。]
【化10】


[式(10)中、bは1〜10の整数を示す。]
【化11】



[式(11)中、cは1〜10の整数を示す。]
【請求項4】
支持体及び該支持体上に形成された請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物からなる樹脂組成物層を備えてなる感光性フィルム。
【請求項5】
絶縁基板及び該絶縁基板上に形成された回路パターンを有する導体層を備える積層基板の前記絶縁基板上に、前記導体層を覆うように請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物からなる樹脂組成物層を形成し、該樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を形成し、前記樹脂組成物層の前記露光部以外の部分を除去することを特徴とするレジストパターンの形成方法。
【請求項6】
絶縁基板、該絶縁基板上に形成された回路パターンを有する導体層及び前記導体層を覆うように前記絶縁基板上に形成されたレジスト層を備えるプリント配線板であって、前記レジスト層が、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物からなり、前記導体層の一部が露出するように開口部を有してなるプリント配線板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−91458(P2009−91458A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−263344(P2007−263344)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】