説明

樹脂組成物、及び樹脂組成物の製造方法

【課題】 塗膜の密着性・光学的な透明性・表面硬度・耐擦傷性に優れた被膜を形成することのできる樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 (i)アルコキシシリル基及び(メタ)アクリロイル基を同一分子内に有する化合物と、(ii)アルコキシシリル基又は/及び(メタ)アクリロイル基で表面修飾された金属酸化物微粒子と、(iii)3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートと、(iv)重合開始剤として光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤と、を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にプラスチック基材に塗布し活性エネルギー線を用いて硬化することにより、基材に対して優れた密着性・光学的な透明性・表面硬度・耐磨耗性を有する塗膜を形成する樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン、PETなどに代表されるプラスチック製品は、軽さ・易成形性・耐衝撃性などに優れている反面、表面硬度・耐摩耗性が低い為、キズがつき易く外観を著しく損なうという欠点があり、各分野でプラスチックの使用を試みる場合、この欠点が使用を妨げる大きな要因となっている。このため、これらプラスチック製品に表面硬度・耐摩耗性を付与するためのハードコーティング処理が求められている。特に光学分野で使用されることが多いポリメチルメタクリレートやポリカーボネートは、表面硬度・耐摩耗性と同時に透明性が要求される。
これらの問題点を改善するハードコーティング用の樹脂組成物としてシリコン系、アクリル系、ウレタン系などの被覆材料を塗布し、熱又は活性エネルギー線により硬化され保護塗膜を形成する方法が知られている。しかし、シリコン系の樹脂組成物はアクリル系、ウレタン系よりも塗膜の表面硬度及び耐擦傷性(耐磨耗性)の点で優れているものの、加熱反応に依る硬化であり、生産性の低さや生産設備のコスト高から最近では敬遠されがちである。一方、密着性や耐磨耗性等の向上を目的として活性エネルギー線硬化によるアクリル系樹脂組成物が知られている(特許文献1 参照)。
【特許文献1】特開2004−277512公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、熱硬化のシリコン系の樹脂組成物に対して活性エネルギー線硬化のアクリル系の樹脂組成物は生産性においては有利なものの、表面硬度と耐擦傷性の両方を好適に得られ難いのが現状である。
本発明は、塗膜の密着性・光学的な透明性・表面硬度・耐擦傷性に優れた被膜を形成することのできる樹脂組成物、及び該樹脂組成物の製造方法を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 本発明の樹脂組成物は、(i)アルコキシシリル基及び(メタ)アクリロイル基を同一分子内に有する化合物と、(ii)アルコキシシリル基又は/及び(メタ)アクリロイル基で表面修飾された金属酸化物微粒子と、(iii)3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートと、(iv)重合開始剤として光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤と、を含有することを特徴とする。
(2) (1)の樹脂組成物は、活性エネルギー線照射により光ラジカル重合及び光カチオン重合の両方の硬化系で有機無機ハイブリッド化されることを特徴とする。
(3) (2)の樹脂組成物において、(i)、(ii)、(iii)の割合が全固形分に対して
(i)成分 3〜50重量%
(ii)成分 20〜90重量%
(iii)成分 3〜50重量%
であり、(iv)成分は(i)成分+(iii)成分の重量に対して
(iv)成分 1〜40重量%
であることを特徴とする。
(4) (2)の樹脂組成物は、活性エネルギー線硬化することにより超高硬度の鉛筆硬度特性を示すことを特徴とする。
(5) (4)の樹脂組成物において、(ii)成分の金属酸化物微粒子の表面修飾率は1〜100%であることを特徴とする。
(6) 本発明の樹脂組成物の製造方法は、ヒドロキシル基又はエポキシ基又はカルボキシル基含有の(メタ)アクリレートと,これらと反応し得る官能基を含有したシランカップリング剤とを反応させることによりアルコキシシリル基及び(メタ)アクリロイル基を同一分子内に有する化合物を得る第1ステップと、
有機溶媒を分散媒とした金属酸化物微粒子中に、金属酸化物微粒子表面のヒドロキシル基と反応する官能基を含むシランカップリング剤又は/及びヒドロキシル基と反応する官能基を含む(メタ)アクリレートとを反応させることにより、アルコキシシリル基又は/及び(メタ)アクリロイル基で表面修飾された金属酸化物微粒子を得る第2ステップと、
前記第1ステップにより得られた前記化合物と、前記第2ステップにて得られた前記表面修飾された金属酸化物微粒子と、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートと、光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤と、を混合する第3ステップと、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の樹脂組成物は、基材に対する密着性、光学的な透明性、表面硬度、耐擦傷性が優れた被膜を形成することが可能であり、熱硬化ではなく活性エネルギーの照射による硬化のため、耐熱性の低いプラスチック基材にとってダメージを受け難いハードコート用の樹脂組成物として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下において、本発明実施の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本実施形態の樹脂組成物は、アルコキシシリル基及び(メタ)アクリロイル基を同一分子内に有する化合物を得る段階(手順1)、アルコキシシリル基又は/及び(メタ)アクリロイル基で表面修飾された金属酸化物微粒子を得る段階(手順2)、手順1で得られた化合物、手順2で得られた表面修飾済の金属酸化物微粒子と、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートと、重合開始剤として光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤と、を混合する段階(手順3)、によって得ることができる。以下では各手順毎に分けて説明する。
【0007】
(手順1)
本実施形態で使用される(i)アルコキシシリル基及び(メタ)アクリロイル基を同一分子内に有する化合物の合成方法は特に限定されるものではないが、例として以下のように行うことができる。
ヒドロキシル基又はエポキシ基又はカルボキシル基含有の(メタ)アクリレートとこれらと反応し得る官能基(イソシアネート基・メルカプト基・ヒドロキシル基・アミノ基・カルボキシル基・エポキシ基等)を含有したシランカップリング剤を必要に応じてスズ化合物などを触媒として((メタ)アクリレートの重量に対して100〜1000ppm添加)10〜100℃、好ましくは20〜50℃に加熱しながら30分〜24時間、好ましくは1〜8時間攪拌し反応させることで、アルコキシシリル基及び(メタ)アクリロイル基を同一分子内に有する化合物が得られる。
なお、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの双方を含む意味で、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及びメタクリロイル基の双方を含む意味で用いている。
【0008】
ここで使用できる(メタ)アクリレートの例として、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ3−アクリロイロプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,4ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0009】
またイソシアネート基・メルカプト基・ヒドロキシル基・アミノ基・カルボキシル基・エポキシ基を含有したシランカップリング剤の例として、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルエチルジエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルジエチルエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルジメチルメトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルジメチルメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジエチルエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルジエチルエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルジエチルエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルメチルジメトキシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルエチルジエトキシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルジメチルメトキシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルジエチルエトキシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルエチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルジエチルエトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルトリメトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルメチルジメトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルジメチルメトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルトリエトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルエチルジエトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルジエチルエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)メチルジメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメチルメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)エチルジエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジエチルエトキシシラン、3−ベンジルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ベンジルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ベンジルアミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−ベンジルアミノプロピルトリエトキシシラン、3−ベンジルアミノプロピルエチルジエトキシシラン、3−ベンジルアミノプロピルジエチルエトキシシラン及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0010】
(手順2)
本実施形態で使用される(ii)アルコキシシリル基又は/及び(メタ)アクリロイル基で表面修飾された金属酸化物微粒子の合成法は特に限定されるものではないが、例として以下のように行うことができる。
有機溶媒を分散媒とした金属酸化物微粒子中に、下記に示すような表面修飾分子を所定量添加し、必要に応じてスズ化合物などの触媒存在下(シリカ固形分に対して100〜1000ppm添加)で10〜100℃、好ましくは20〜50℃に加熱しながら1〜48時間、好ましくは12〜24時間攪拌し反応させることにより、アルコキシシリル基又は/及び(メタ)アクリロイル基で表面修飾された金属酸化物微粒子が得られる。
【0011】
ここで表面修飾率は金属酸化物微粒子表面のヒドロキシル基に対して何%がアルコキシシリル基又は/及び(メタ)アクリロイル基に置き換わったかを表しており、本発明では表面修飾率1〜100%の範囲とする。1%以下では有機無機ハイブリッドが出来難く、高硬度性が得られない。また100%以上では過剰の修飾分子により高硬度性が得られない。表面修飾率5〜50%とすることが好ましい。尚、シリカ表面のヒドロキシル基は1.7mmol/gとして換算する。
また、(i)で使用するシランカップリング剤と(ii)で使用する表面修飾分子を同じもので設計した場合、手順1にて(i)の化合物の合成する際このシランカップリング剤を過剰に添加しておけば、その過剰分を使用してシリカの表面修飾が出来るので、同一の反応容器内にて手順1に続けて手順2を効率よく実行することもできる。
【0012】
本実施形態で使用される金属酸化物微粒子の粒径としては、平均粒径がサブミクロンオーダのものを使用する。好ましくは100nm以下であり、物理的な大きさを有していれば、その下限は特に限定されない。入手可能な無機微粒子の粒径によって定められることとなる。使用可能な金属酸化物微粒子としては、表面修飾可能な金属酸化物ゾルを挙げることができる。例えば、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)、ジルコニア(ZrO2)、チタニア(TiO2)、ITO(スズドープ酸化インジウム)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO2)、酸化アンチモン(Sb23、Sb25)、及びこれらの複合微粒子等を挙げることができる。
【0013】
また、本実施形態で使用される金属酸化物微粒子の分散媒としての有機溶媒は、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、イソプロピルアルコール(IPA)、メタノール、エチレングリコール、n−プロピルセロソルブ、ジメチルアセトアミド、キシレン、トルエン、n―ブタノール、プロピレングリコールモノメチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エタノール、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール、及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0014】
また、本実施形態で使用される金属酸化物微粒子の表面修飾分子は、金属酸化物微粒子表面のヒドロキシル基と反応する官能基を含むシランカップリング剤や、ヒドロキシル基と反応する官能基を含む(メタ)アクリレートであればよい。ヒドロキシル基と反応する官能基を含むシランカップリング剤としては、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルエチルジエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルジエチルエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルジメチルメトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルジメチルメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジエチルエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルジエチルエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルジエチルエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルメチルジメトキシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルエチルジエトキシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルジメチルメトキシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルジエチルエトキシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルエチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルジエチルエトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルトリメトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルメチルジメトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルジメチルメトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルトリエトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルエチルジエトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルジエチルエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)メチルジメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメチルメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)エチルジエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジエチルエトキシシラン、3−ベンジルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ベンジルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ベンジルアミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−ベンジルアミノプロピルトリエトキシシラン、3−ベンジルアミノプロピルエチルジエトキシシラン、3−ベンジルアミノプロピルジエチルエトキシシラン、ヒドロキシル基と反応する官能基を含む(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−ビス(アクリロイルオキシ)エチルイソシアネート、1,1−ビス(メタクリロイルオキシ)エチルイソシアネート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ3−アクリロイロプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,4ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0015】
(手順3)
あらかじめ(手順1)で合成された(i)アルコキシシリル基及び(メタ)アクリロイル基を同一分子内に有する化合物と、(手順2)で合成された(ii)アルコキシシリル基又は/及び(メタ)アクリロイル基で表面修飾された有機溶媒を分散媒とした金属酸化物微粒子を混合し、さらに(iii)3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート、(iv)光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤、さらに必要に応じて(v)その他の添加物を混合することで、目的のハードコート用の樹脂組成物を得ることができる。なお、樹脂組成物に含有する各成分の割合は、全固形分重量当たり(i)成分3〜50重量%、(ii)成分20〜90重量%、(iii)成分3〜50重量部%であり(iv)成分は(i)+(iii)の重量に対して1〜40重量%である。
【0016】
なお、本実施形態で使用される(iii)3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートの例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート等の分岐鎖状、環状の(メタ)アクリレート類、又はウレタンアクリレート類等、そしてこれらの重合体(オリゴマー、ポリマー)を挙げることができ、これらを1種類又は2種類以上の混合物にすることも可能である。
【0017】
また、本実施形態で使用される(iv)光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤は、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。光ラジカル重合開始剤の例として、トリス(クロロメチル)トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(4'−メトキシスチリル)−6−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−S−トリアジンなどのトリアジン系化合物、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテルなどのベンゾイン系化合物、ジエトキシアセトフェノン、4−フェノキシジクロロラセトフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルアセトフェノンなどのアセトフェノン系化合物、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2−クロロチオキサントンなどのチオキサントン系化合物、ベンジルジメチルケタール、2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルフォスフィンオキサイド、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、アシルフォスヒンオキサイド等が挙げられ、これらを1種類または2種類以上を併用して用いてもよい。添加量はアクリル樹脂に対して20重量%以下で、好ましくは1〜5重量%で使用する。また光カチオン重合開始剤はスルホニウム塩系やヨードニウム塩系があり、その例として、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリ−p−トリルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリ−p−トリルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート、4−イソプロピル−4'−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロヒ酸、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホン酸等が挙げられ、これらを1種類または2種類以上を併用して用いてもよい。添加量はアクリル樹脂に対して20重量%以下で、好ましくは1〜5重量%で使用する
(v)その他の添加剤として、さらにハードコート剤を希釈するための希釈剤(有機溶
剤や単官能又は2官能の(メタ)アクリレート及びそれらの混合物)、塗膜の塗れ性向上のための界面活性剤、泡消しのための消泡剤、紫外線が及ぼす塗膜への影響を削減し耐候性向上のための紫外線吸収剤や光安定剤、塗膜の表面滑り性又は撥水性を付与するためのフッ素系のアクリル樹脂の添加を行い、更なる機能性の付与や塗料の調整を行うことも可能である。
【0018】
(手順3)で得られた樹脂組成物を、スピンコート、スプレーコート、ディップコート、バーコート、フローコート、キャップコート、ナイフコート、ダイコート、ロールコート、グラビアコート法等を用いて所定の厚みだけプラスチック等からなる基板に塗布した後、活性エネルギー線により硬化させることにより、(メタ)アクリロリル基がラジカル重合し、アルコキシシリル基がカチオン重合し、それぞれが修飾された金属酸化物微粒子とも重合して3次元架橋することによって、有機無機ハイブリッド化が同時に行われる。これにより密着性に優れ光学的な透明性を有する表面硬度や耐擦傷性を向上させる効果を持つコーティングを行えることとなる。なお、本実施形態において、金属酸化物微粒子とアルコキシシリル基の反応は加水分解重縮合ではなくカチオン重合によるものであるため、塗料としてのポットライフを長く保つことが可能である。上記塗工方法にて基板に塗布、溶剤乾燥、活性エネルギー線照射し成膜することとなるが、このときの膜厚は1〜50μm、好ましくは1〜20μmとなるようにする。活性エネルギー線照射は、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、無電極ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、LEDランプ、タングステンランプ等の光源から発せられる活性エネルギー線を照射し硬化させて成膜する。ここで言う活性エネルギー線とは、紫外線や電子線など光ラジカル重合及び光カチオン重合可能なものをいう。
【0019】
これより以下に本発明に関する実施例及び比較例について述べるが、本発明はこれらに制限されるものではない。
(実施例1)
丸底フラスコにペンタエリスリトールトリアクリレート(ライトアクリレートPE3A:共栄社化学(株)製)を7.5gと3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(Y5187:日本ユニカー(株)製)を3.2g、触媒としてジ-n-ブチルスズジラウレート(DBTDL:キシダ化学(株)製)をPE3Aに対して500ppm混合し35℃で1時間攪拌した。ここでできる化合物をPE3AIPSという。なお、この反応の確認は、FT-IR測定(堀場製作所製FT720)にて2250cm-1付近に現れるイソシアネート基のピークが消失していることから確認された。
次に別の丸底フラスコにY5187を2.0g、メチルエチルケトン分散のシリカゾルを120.8g、DBTDLをシリカゾルに対して500ppm添加し、シリカの表面修飾を行う為40℃で24時間攪拌した。なお、この反応の確認は、FT-IR測定(堀場製作所製FT720)にて2250cm-1付近に現れるイソシアネート基のピークが消失していることから確認された。これら2個の丸底フラスコの内容物を混合し、さらに多官能アクリレートとしてPE3Aを5.2g、さらに光カチオン重合開始剤であるSP-152(旭電化工業(株)製)と光ラジカル重合開始剤であるイルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ製)をそれぞれ全アクリル樹脂の3重量%になるように添加して目的の樹脂組成物(ハードコート剤)とした。
【0020】
この樹脂組成物を市販のアクリル板に1000rpmで20秒間スピンコートした。この後65℃で1分間溶剤を乾燥させてから、高圧水銀灯で光源下100mmの位置で紫外線を1000mJ/cm2照射して硬化させた。この塗膜の特性及び物性について、下記の測定及び試験を行った。尚、この測定及び試験は塗布後24時間以上経過してから行った。下記実施例2〜7、比較例1〜5についても同様にして塗布・硬化させ、測定及び試験を行った。
(1) 透過率測定:分光光度計((株)日立製作所製、HITACHI200-10型)を用いて、樹脂組成物を塗布硬化させたアクリル板の所定領域(380〜780nm)の透過率を求めた。
(2) 機械的物性測定:塗布硬化させた樹脂組成物の表面上の鉛筆硬度(表面硬度)を、井本製作所製の鉛筆硬度試験機を用いてJIS-K-5400に準じて測定した。またスチールウールによる耐擦傷性は、ボンスター#0000(日本スチールウール)に1.5kg荷重をかけ10往復擦ったときのキズの本数で評価した。評価としては、キズが0本の場合は評価A、1〜5本は評価B、6〜10本は評価C、11〜15本は評価D、16〜20本は評価E、21本以上は評価Fとした。
(3) 密着性試験:JIS-K-5400に準じて、碁盤目状に100枡の升目をつくりセロハンテープ(ニチバン製#405)で圧着、剥がしを行い皮膜が残っている数で評価を行った。
(4)外観確認 :目視にて塗布表面の観察を行った。
測定、試験結果を表1に示す。
(実施例2)
丸底フラスコにPE3Aを7.5gとY5187を3.1g、DBTDLをPE3Aに対して500ppm混合し25℃で3時間攪拌した。またこれとは別の丸底フラスコにメチルエチルケトン分散のシリカゾル100.0gにBEIを3.2g、DBTDLをシリカゾルに対して500ppm混合し40℃で24時間攪拌した。これらの反応の確認は、FT-IR測定(堀場製作所製FT720)にて2250cm-1付近に現れるイソシアネート基のピークが消失していることから確認された。これら2個の丸底フラスコの内容物を混合し、ここにPE3Aを8.4g、さらに光カチオン重合開始剤であるSP-152と光ラジカル重合開始剤であるイルガキュア184をそれぞれ全アクリル樹脂の3重量%になるように添加して目的の樹脂組成物とした。
【0021】
得られた樹脂組成物を実施例1と同様に市販のアクリル板に同条件にて塗布し、(1)〜(4)の測定、試験を行った。その結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1と同様にして、PE3AIPSを合成した。またこれとは別の丸底フラスコにメチルエチルケトン分散のシリカゾル50.0g、1,1−ビス(アクリロイルオキシ)エチルイソシアネート(BEI)1.6g、Y5187を0.8g、DBTDLをシリカゾルに対して500ppm混合し40℃で24時間攪拌した。この反応の確認はFT-IR測定(堀場製作所製FT720)にて2250cm-1付近に現れるイソシアネート基のピークが消失していることから確認された。これら2個の丸底フラスコの内容物を混合し、ここにPE3Aを8.4g、さらにSP-152とイルガキュア184をそれぞれ全アクリル樹脂の3重量%になるように添加して目的の樹脂組成物とした。得られた樹脂組成物を実施例1と同様に市販のアクリル板に同条件にて塗布し、(1)〜(4)の測定、試験を行った。その結果を表1に示す。
(実施例4)
シリカゾルの表面修飾を、一方の丸底フラスコでメチルエチルケトン分散シリカゾル50.0gとBEIを0.9g加え、他方の丸底フラスコでメチルエチルケトン分散シリカゾル50.0gとY5187を0.8g加えてそれぞれのフラスコを40℃で24時間攪拌した。この反応の確認はFT-IR測定(堀場製作所製FT720)にて2250cm-1付近に現れるイソシアネート基のピークが消失していることから確認された。ここで実施例1と同様にして得られたPE3AIPSとこれら2種類の表面修飾シリカを混合し、PE3Aを8.4g、さらにSP-152とイルガキュア184をそれぞれ全アクリル樹脂の3重量%になるように添加して目的の樹脂組成物とした。得られた樹脂組成物を実施例1と同様に市販のアクリル板に同条件にて塗布し、(1)〜(4)の測定、試験を行った。その結果を表1に示す。
(実施例5)
(iii)成分として、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートをPE3Aの代わりにジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(ライトアクリレートDPE6A:共栄社化学(株)製)を5.2g用いた以外は実施例1と同様の操作を行い目的の樹脂組成物とした。得られた樹脂組成物を実施例1と同様に市販のアクリル板に同条件にて塗布し、(1)〜(4)の測定、試験を行った。その結果を表1に示す。
(実施例6)
丸底フラスコにジペンタエリスリトールペンタアクリレート(SR-399E:日本化薬(株)製)を8.0gとY5187を5.2g、触媒としてDBTDLをPE3Aに対して500ppmだけ混合し30℃で1時間攪拌した。ここでできる化合物をPE5AIPSという。この反応の確認はFT-IR測定(堀場製作所製FT720)にて2250cm-1付近に現れるイソシアネート基のピークが消失していることから確認された。これ以後の操作は実施例1と同様にして行い目的の樹脂組成物とした。得られた樹脂組成物を実施例1と同様に市販のアクリル板に同条件にて塗布し、(1)〜(4)の測定、試験を行った。その結果を表1に示す。
(実施例7)
丸底フラスコにPE3Aを7.5gとY5187を5.9g、触媒としてDBTDLをPE3Aに対して500ppm混合し30℃で1時間攪拌した。続けてMEK分散のシリカゾルを110.0g添加し35℃で20時間攪拌した。ここでFT-IRの測定を行い2250cm-1付近のピークが消失していることから、PE3AIPSの合成及びシリカの表面修飾が完了したことを確認した。ここにPE3Aを5.2g、SP-152とイルガキュア184を全アクリル樹脂の3重量%となるようにそれぞれ添加して、目的の樹脂組成物とした。得られた樹脂組成物を実施例1と同様に市販のアクリル板に同条件にて塗布し、(1)〜(4)の測定、試験を行った。その結果を表1に示す。
【0022】
【表1】

【0023】
(比較例1)
SP-152の添加をしなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行い樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を実施例1と同様に市販のアクリル板に同条件にて塗布し、(1)〜(4)の測定、試験を行った。その結果を表2に示す。
(比較例2)
実施例2と同様にしてPE3AIPSを合成した。ここに表面修飾を行っていないMEK分散のシリカゾルを100.0gを添加し、SP-152とイルガキュア184を全アクリル樹脂の3重量%になるように添加して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を実施例1と同様に市販のアクリル板に同条件にて塗布し、(1)〜(4)の測定、試験を行った。その結果を表2に示す。
(比較例3)
実施例1と同様にして2個の丸底フラスコを混合する操作までを行った。次に(iii)成分となる多官能アクリレートとしてPE3Aの添加をせずに、光カチオン重合開始剤であるSP-152と光ラジカル重合開始剤であるイルガキュア184をそれぞれ全アクリル樹脂の3重量%になるように添加して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を実施例1と同様に市販のアクリル板に同条件にて塗布し、(1)〜(4)の測定、試験を行った。その結果を表2に示す。
(比較例4)
MEK分散のシリカゾルに代えて、シリカゾルが入っていないMEK50.0gを添加したこと以外は、比較例3と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を実施例1と同様に市販のアクリル板に同条件にて塗布し、(1)〜(4)の測定、試験を行った。その結果を表2に示す。
(比較例5)
イルガキュア184の添加をしなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行い樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を実施例1と同様に市販のアクリル板に同条件にて塗布し、(1)〜(4)の測定、試験を行った。その結果を表2に示す。
【0024】
【表2】

【0025】
(結果)
表1、表2に示すように、実施例1〜7及び比較例1〜5の樹脂組成物を用いて得られる結果から本樹脂組成物は、基材に対する密着性、光学的な透明性、表面硬度、耐擦傷性が優れた被膜を形成することが確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)アルコキシシリル基及び(メタ)アクリロイル基を同一分子内に有する化合物と、(ii)アルコキシシリル基又は/及び(メタ)アクリロイル基で表面修飾された金属酸化物微粒子と、(iii)3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートと、(iv)重合開始剤として光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤と、を含有することを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1の樹脂組成物は、活性エネルギー線照射により光ラジカル重合及び光カチオン重合の両方の硬化系で有機無機ハイブリッド化されることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項3】
請求項2の樹脂組成物において、(i)、(ii)、(iii)の割合が全固形分に対して
(i)成分 3〜50重量%
(ii)成分 20〜90重量%
(iii)成分 3〜50重量%
であり、(iv)成分は(i)成分+(iii)成分の重量に対して
(iv)成分 1〜40重量%
であることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項4】
請求項2の樹脂組成物は、活性エネルギー線硬化することにより超高硬度の鉛筆硬度特性を示すことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項5】
請求項4の樹脂組成物において、(ii)成分の金属酸化物微粒子の表面修飾率は1〜100%であることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項6】
ヒドロキシル基又はエポキシ基又はカルボキシル基含有の(メタ)アクリレートと,これらと反応し得る官能基を含有したシランカップリング剤とを反応させることによりアルコキシシリル基及び(メタ)アクリロイル基を同一分子内に有する化合物を得る第1ステップと、
有機溶媒を分散媒とした金属酸化物微粒子中に、金属酸化物微粒子表面のヒドロキシル基と反応する官能基を含むシランカップリング剤又は/及びヒドロキシル基と反応する官能基を含む(メタ)アクリレートとを反応させることにより、アルコキシシリル基又は/及び(メタ)アクリロイル基で表面修飾された金属酸化物微粒子を得る第2ステップと、
前記第1ステップにより得られた前記化合物と、前記第2ステップにて得られた前記表面修飾された金属酸化物微粒子と、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートと、光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤と、を混合する第3ステップと、
を有することを特徴とする樹脂組成物の製造方法。

【公開番号】特開2009−84398(P2009−84398A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−255097(P2007−255097)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000135184)株式会社ニデック (745)
【Fターム(参考)】