説明

樹脂被覆円筒体の急冷処理装置

【課題】樹脂被覆円筒体の表面に冷却液を噴射する方法を採用することにより、簡便で迅速な冷却が可能となり、非晶質表面処理に応用した場合にも、非晶化効果を確実に得ることができる装置を提供する。
【解決手段】急冷処理の対象の円筒体を、該円筒の軸が垂直方向になるように保持する保持手段、円筒体の円筒を、その軸を中心に回転するように保持手段を回転させる回転駆動手段、保持手段で保持された円筒体を、冷却室入口から冷却室内部に搬入した後、冷却室出口に向かって搬送し、次いで冷却室出口から冷却室外部へ搬出する搬送手段、及び、冷却室内の、円筒体の搬送経路の側面に設けられた、円筒体の外側面に対して冷却液を噴射する冷却手段を備えることを特徴とする樹脂被覆円筒体の急冷処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂が外側面に被覆された被覆円筒体の急冷を行う樹脂被覆円筒体の急冷処理装置に関し、特に、電子写真方式等の、画像、文字等を定着させる定着装置に用いられる定着ベルト、なかでも表面がフッ素樹脂で被覆された定着ベルトの製造に好適に用いられ、形状精度の高い樹脂被覆無端状ベルトの表面樹脂を非晶質化する技術に応用することができる。
【背景技術】
【0002】
電子写真を用いた画像形成装置の定着部に用いられるベルトやローラには、柔軟性を有する基材表面に熱可塑性樹脂を被覆した構成を備えている(特許文献1)。
【0003】
ここで被覆される熱可塑性樹脂の材質としては、トナーに対する離型性、およびトナー定着温度(通常180〜200℃)での連続耐久性などが要求されるため、例えば、フッ素樹脂等の離型性樹脂が用いられることが多い。フッ素樹脂としてポリテトラフルオロエチレン共重合(PTFE)が用いられてきたが、最近では、テトラフルオロエチレン−ポリエチレンフルオロビニルエーテル共重合体(PFA)の方が加工性がよいので、PFAが主に定着用の離型層の材料として使用されている。
【0004】
ここで、トナーに対する充分な離型性を得るため、前記樹脂面は、粗さRz:1〜3μm、うねり:2〜4μm程度の平滑性が要求される。
【0005】
このような平滑性を得る方法として、樹脂被覆表面温度を、被覆された樹脂の軟化または溶融温度より高い温度に加熱し、溶融状態から急冷凝固させることによって液体金属に類似した非晶質面を得る方法がある。この方法は回転しているベルトやローラの外周面に5m/min以上の流量の圧縮エアを、一線上に設けたエアブローノズル等から噴出させて、均一に冷却する方法である。
【0006】
このような従来の冷却装置におけるエアブローノズルには、噴射領域の形状が長円形状で、噴射領域における噴射量が均一で、冷却効率が高いフラットノズルと呼ばれるものが使用されているが、前記フラットノズルを高温の樹脂被覆表面に隣接すると、エア噴出量を制御する金属ブレードが変形し、流量が不均一になり、結果として、充分に早く樹脂被覆表面を急冷することができなくなると云う問題があった。このため、通常は退避位置にあるノズルを冷却時にエアシリンダ等の駆動機器により冷却処理位置に移動させる等の対策を行う必要があり、このとき、さらにエアシリンダを駆動させるための圧縮エアを得るための増圧装置が必要となるなど構造が複雑になり、コスト的にも問題がある。
【特許文献1】特開2002−361729公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、樹脂被覆円筒体の表面に冷却液を噴射する方法を採用することにより、簡便で迅速な冷却が可能となり、非晶質表面処理に応用した場合にも、非晶化効果を確実に得ることができる装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置は上記課題を解決するため、請求項1に記載の通り、外側面に樹脂層が形成された円筒体を冷却室内で急冷処理する樹脂被覆円筒体の急冷処理装置において、急冷処理の対象の円筒体を、該円筒の軸が垂直方向になるように保持する保持手段、前記円筒体の円筒を、その軸を中心に回転するように前記保持手段を回転させる回転駆動手段、前記保持手段で保持された前記円筒体を、冷却室入口から冷却室内部に搬入した後、冷却室出口に向かって搬送し、次いで冷却室出口から冷却室外部へ搬出する搬送手段、及び、前記冷却室内の、前記円筒体の搬送経路の側面に設けられた、前記円筒体の外側面に対して冷却液を噴射する冷却手段を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置は、請求項2に記載の通り、請求項1に記載の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置において、前記冷却手段が、冷却液を噴射する複数の冷却液噴射ノズルを前記円筒体の円筒の軸に平行な一線上に備えていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置は、請求項3に記載の通り、請求項2に記載の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置において、冷却液噴射ノズルとして、冷却液を扇状に噴射する冷却液噴射ノズルが備えられていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置は、請求項4に記載の通り、前記冷却液噴射ノズルが、冷却液を前記回転する円筒体の外側面に対して、カウンター方向に冷却液を噴射するよう設置されている。
【0012】
また、本発明の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置は、請求項5に記載の通り、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置において、前記保持手段が、前記円筒体のそれぞれ上下端付近を内側面から支持する2つの円形板と、該2つの円形板を固定する軸とを備え、かつ、該円筒体の上端付近を内側面から支持する円形板が、該円形板を貫通する通気口を備えていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置は、請求項6に記載の通り、請求項5に記載の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置において、前記保持手段の軸に、その一方の端部から前記2つの円形板の間の側面に設けられたエア排出口に連通するエア通路を備えるとともに、冷却室内での冷却手段によって前記円筒体の側面が冷却されているときに該エア通路にエアを供給するエア供給手段を備えていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置は、請求項7に記載の通り、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置において、急冷処理開始直前の前記円筒体の外側面表面の温度を計測する急冷処理前表面温度計測手段(イ)、急冷処理完了直後の該円筒体の外側面表面の温度を計測する急冷処理直後表面温度計測手段(ロ)、及び、これら表面温度計測手段(イ)及び(ロ)によって計測される急冷処理前後の温度、及び、該急冷処理を行った急冷処理時間から冷却速度を演算し、該冷却速度を予め設定された基準値と比較する冷却速度評価手段(ハ)を備えていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置は、請求項8に記載の通り、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置において、上記円筒体が定着ベルトであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の加熱急冷処理装置は、請求項9に記載のように、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置によれば、樹脂被覆無端状ベルトの表面に冷却液を噴射する方法を採用することにより、ノズルの進退機構などの複雑な機構を不要としながら、斑なく、迅速な冷却が可能となり、樹脂被覆無端状ベルトの非晶質表面処理を簡便に行なうことができ、また、複数の円筒体に対して連続的に効率よく急冷処理を行うことができる。
【0018】
また、請求項2に記載の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置によれば、円筒体外側面表面に対して冷却液を噴射して冷却させながら、円筒体を搬送するために、簡便な装置で効率良く急冷効果を得ることができる。
【0019】
さらに、冷却液噴射ノズルには冷却液を供給し続けることができるので、冷却処理前の円筒体が高温であっても、その熱によるノズルの熱変形が予め防止されている。
【0020】
また、請求項3に記載の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置によれば、前記冷却液を扇状に噴射することにより、より効率的に円筒体の冷却を行うことができるので、高い急冷効果が得られる。
【0021】
また、請求項4に記載の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置によれば、冷却液噴射ノズルが冷却液を前記回転する円筒体の外側面に対して、カウンター方向になるように冷却液を噴射するので、簡便な装置でありながら、非常に効率良く急冷効果を得ることができる。
【0022】
また、請求項5に記載の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置によれば、保持手段と円筒体と接触するのが2つの円形板だけであるので、保持手段の熱容量の影響を最小限にすることができ、急冷処理が妨げられることはない。さらに円筒体が軟質な素材からなるものであっても、冷却液の噴射の影響を受けにくく形状が円筒型に保たれやすい。
【0023】
また、請求項6に記載の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置によれば、円筒体内部にエアを導入することが可能となり、このエアにより、急冷効果をさらに高めることが可能となると共に、円筒体が軟質な材料からなる場合であっても、急冷処理による冷却液の噴射の影響を排し、円筒形状を維持させることができるので、冷却斑や円筒体の変形などの不都合を予め防止することができる。
【0024】
また、請求項7に記載の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置によれば、例えば冷却液不足などの不測の事態により発生した不良品の、製品(正常な急冷処理が行われた良品)への混入の防止が可能であり、製品の信頼性を高めることができる。
【0025】
また、請求項8に記載の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置によれば、効率的に冷却することが可能となるため、液体金属に類似した非晶質面を有する、表面の平滑性に優れた定着ローラを得ることができる。
【0026】
また、請求項9に記載の本発明の加熱急冷処理装置によれば、原則的には搬送手段を、加熱手段を有する加熱室にまで延長するだけ加熱処理及び急冷処理を連続的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置は、加熱装置と共に用いることができ、その場合、本発明の急冷処理装置を加熱装置に隣接して設置することにより、より高い急冷効果が得られる。
【0028】
本発明の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置において、冷却室には冷却手段による冷却液が周囲に飛散するのを防止する可能性があるので、通常は周囲と隔てるための壁を設ける。
【0029】
保持手段で保持された、急冷処理の対象の円筒体を冷却室入口から冷却室内部に搬入し、冷却室内部を冷却室出口に向かって搬送し、次いで冷却室出口から外部に搬出する搬送手段としては、ベルトコンベア、各種アクチュエータ等を用いることができる。なお、円筒体の冷却室内へ搬入する入口と冷却室からの搬出に用いる出口とを別に設けることにより、複数の円筒形の順次連続急冷処理が可能となる。
【0030】
本発明において、該円筒体がその円筒の軸を中心に回転するように前記保持手段を回転させる回転駆動手段としては、モータなどを用いることができる。このうち、回転速度が可変なモータであると、急冷処理の時には急冷斑の発生を抑制するために加熱処理の際の回転速度に比べ、高速回転させることが可能となるため、好ましい。
【0031】
冷却手段での冷却液は回転している円筒体の表面に対して噴射されることが必要である。このような構成により、円筒体表面を斑なく急冷することができる。なお、円筒体の回転速度は、急冷処理を行う前の円筒体の温度、大きさ、冷却液の種類、温度、液量、噴霧形状等によって異なるため、予め種々試験を行って決定する。
【0032】
さらに、円筒体をその円筒の軸が垂直方向になるように保持する保持手段によって、保持されていて、かつ、上記冷却液は搬送手段により冷却室内を搬送される円筒体の表面に対して噴射されることが必要である。このような構成により、効果的な急冷処理が可能となるとともに、冷却手段を移動させる手段が不要となって装置が簡単となると共に製作コストが低廉となり、かつ、円筒体表面を斑なく急冷することができる。
【0033】
以下に、本発明の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置について、外側面に樹脂層が形成された円筒体として定着装置に用いられる定着ベルトとして用いられる樹脂被覆無端状ベルトの表面の熱可塑性樹脂の非晶質化の例により、図面を用いて説明する。
【0034】
図1には、急冷処理を行う対象の、樹脂被覆無端状ベルトの一例1のモデル断面図を示す。
【0035】
樹脂被覆無端状ベルト1は、基材4、弾性層3、離型層2から形成されている。
【0036】
樹脂被覆無端状ベルト1の最内周層としては、層厚100μmの金属製の基材4が設けられている。基材4は、ステンレス(SUS430)製の円筒体で、その内側面面には、高さ50μmの凹凸が、幅方向にピッチ状に形成されている。この内側面の凹凸は、引抜き加工、押出し加工、切削加工等によって基材4に予め形成されたものである。
【0037】
本例では、金属からなる単層構造としたが、強度を向上させるために、基材4を金属と樹脂とからなる複層構造とすることもできる。このとき基材4に用いる樹脂として、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等を用いることができる。
【0038】
基材4の外周面には、プライマを介して、耐熱性シリコーンゴムからなる層厚200μmの弾性層3が形成されている。弾性層3は、塗装工程・乾燥工程を経た後のプライマ上に、塗装後加硫されたものである。この弾性層3の外周面には、シリコーン用の液状プライマを介して、粉体フッ素樹脂からなる層厚27〜33μmの離型層(樹脂層)2が形成されている。離型層2は、塗装工程・乾燥工程を経た後のプライマ上に粉体塗装されており、この例では約240℃を越えると軟化溶融を開始する。
【0039】
図2には本発明に係る樹脂被覆円筒体の急冷処理装置の一例A2を備えた加熱急冷処理装置である非晶質処理装置Aを示す。図2(a)は側面から見たモデル図、図2(b)は上方から見たモデル図である。
【0040】
図2中左半分が加熱手段6を備えた加熱室(加熱装置)A1であり、右半分が本発明に係る樹脂被覆円筒体の急冷処理装置A2であり、装置A外部、加熱室A1、本発明に係る急冷処理装置A2、及び、装置A外部をこの順に樹脂被覆無端状ベルト1を保持する保持手段5(後述するように図示しない搬送用パレットに固定されて搬送される)を搬送する搬送手段15としてマイクロコンピュータで制御された複数のアクチュエータ(エアシリンダー)を有する。保持手段5はこれら搬送経路を複数のアクチュエータにより順次搬送されるので、搬送手段15は複数の保持手段5を同時に順次搬送することができる。このため、この非晶質処理装置Aは効率良く非晶質化処理を行うことできる。なお、上記マイクロコンピュータは、搬送用のアクチュエータの他、後述する各室の扉の開閉用アクチュエータ(図示しない)や回転駆動手段である速度可変モータ13の回転速度等も制御しており、また、後述する冷却速度評価手段も兼ねている。
【0041】
ここで、図3を用いてこの装置で用いられる、樹脂被覆無端状ベルト1はその円筒の軸が垂直方向になるように保持する保持手段5について説明する。
【0042】
保持手段5の側面図である図3(b)に示すように保持手段5は2つの円形板19a及び19bと、これら2つの円形板19a及び19bを固定する軸20とを備え(これらは)、これら2つの円形板19a及び19bは円筒体である樹脂被覆無端状ベルト1のそれぞれ上端付近及び下端付近を内側面から支持する。これら2つの円形板19a、19b及び軸20は熱伝導性の高い材料からなることが望ましく、本例ではステンレスから形成されている。
【0043】
上記円形板19a、19bの直径は樹脂被覆無端状ベルト1の内径に対して同じ寸法にしてもよいが、樹脂被覆無端状ベルト1の内径より0.05〜0.1mm小さくすることにより樹脂被覆無端状ベルト1の内筒部への挿入が容易となるので好ましい。なお、このときも、樹脂被覆無端状ベルト1は円形板19a、19bによって充分に安定的に保持される。
【0044】
ここで、上面図である図3(a)中の円形板19aの上面図に示すように、樹脂被覆無端状ベルト1の上端付近を内側面から支持する円形板19aは円形板19aを貫通する通気口21を備えている。
【0045】
このように円形板19a上の通気口21を備えることにより、急冷前に行う加熱工程では、樹脂被覆無端状ベルト1と2つの円形板で形成される空間内部の空気が膨張する際の排気口となり、また、急冷工程では上記空間内部の空気が収縮する際に吸気口となるので、樹脂被覆無端状ベルト1表面の膨れや潰れを防いで、円筒形状を保つことができる。この例では円形板19a上に直径5mmの通気口を一つ備えたが、通気口を複数個備えても良い。
【0046】
さらに保持手段5の軸20には断面図である図3(d)及び部分拡大モデル図である図3(e)に示すように、上記2つの円形板19a及び19bの間の側面にエア排出口22(この例では複数個設けられている)と、これらエア排出口22と保持手段5の軸20の一方の端とを連通するエア通路20aとを備える。
【0047】
このような構成に加え、冷却室内での冷却手段によって円筒体の側面が冷却されているときにエア通路20aにエアを供給するエア供給手段、例えば、エアコンプレッサ等を備え、軸20の一方の端部からエア通路20aに圧縮空気(エア)を供給することにより、円形板19a、19bを固定する軸20の軸上に複数のエア排出口22から樹脂被覆無端状ベルト1内面に向けて、エアを噴射することができる。
【0048】
このようにして、後述する急冷工程において、冷却液噴射ノズル16から冷却液17を噴射する際に、樹脂被覆無端状ベルト1の内面に向けてエアを噴射することにより、樹脂被覆無端状ベルト1表面の潰れやへこみの発生を防いで、円筒形状を保たせることができ、つぶれ変形による急冷斑等の発生を防ぐことができ、また、同時に急冷効果を高めることができる。なお、本実施の形態では、円周方向に4個のエア排出口を等間隔に備えた構成を示したが、この数をさらに多くしても、少なくしても良く、また軸長手方向に複数列備えても良い。なお、本例では供給エア圧は0.4Mpaとした。
【0049】
このような保持手段5を図3(c)に示すように樹脂被覆無端状ベルト1の内筒部へ挿入し、円形板19a及び19bによって、樹脂被覆無端状ベルト1を保持させる。
【0050】
樹脂被覆無端状ベルト1を保持した保持手段5はコレットチャック14によって回転駆動手段である速度可変モータ13(図示しない搬送用パレットに固定されている)に固定され、円筒体である樹脂被覆無端状ベルト1はその円筒の軸を中心に回転される。回転方向はこの例では図2(b)に示すように上方から見た場合、矢印で示したように時計回りである。
【0051】
このように、保持手段5によって支持され、回転駆動手段によって回転される樹脂被覆無端状ベルト1は、まず図2に示すように加熱室A1内に搬入されて加熱処理される。
【0052】
図2(a)及び図2(b)に示すように、加熱室A1は加熱室A1から外部への放熱を防止するための断熱板10を壁として有している。この加熱室A1の入り口には加熱室A1内の温度の低下を防止する、保持手段5の加熱室A1への搬入時以外は自動的に閉じられる断熱入口扉8、及び、保持手段5の加熱室A1からの搬出時(換言すると、急冷処理装置A2への搬入時)以外は自動的に閉じられる断熱出口扉9が、それぞれ設けられている。
【0053】
樹脂被覆無端状ベルト1を保持する保持手段5は搬送手段15により加熱室A1に搬入される。加熱室A1内のでは搬送手段15により100mm/秒の速度で加熱室出口に搬送される。その搬送路の両側面には、樹脂被覆無端状ベルト1の表面被覆樹脂をその軟化温度または溶融温度以上の温度に加熱するための加熱手段6(この例では電熱線式ヒータ)が設けられていて、上記のように保持手段5によって保持された樹脂被覆無端状ベルト1は回転駆動手段によってその軸を中心に、50rpmの一定な回転速度で回転しながら加熱手段6により、均一に加熱され、その表面の離型層を構成する粉体フッ素樹脂が軟化ないし溶融する。加熱室A1内の温度は、不図示の温度センサと温度制御装置により制御されており、本実施の形態では340±5℃であり、加熱時間は30分とした。
【0054】
ここで、加熱手段6である電熱線式ヒータの縦方向の長さは加熱される樹脂被覆無端状ベルト1の縦方向(軸方向)の長さよりも長く、かつ、これらの縦方向の中心はほぼ一致するように電熱線式ヒータが設置されているので、加熱時に樹脂被覆無端状ベルト1の縦方向の加熱斑の発生は防止されている。
【0055】
なお、上記の実施の形態では、加熱方法として、樹脂被覆無端状ベルト1を加熱炉(加熱室A1)内で回転させながら加熱する方法を示したが、例えば加熱室内に収納した樹脂被覆無端状ベルト1をランプヒータによって赤外線ないし遠赤外線など照射することにより加熱しても良く、樹脂被覆無端状ベルト1が昇温でき、かつ、本発明の効果が損なわれることがなければ、どのような加熱を行っても良い。
【0056】
樹脂被覆無端状ベルト1はこのような加熱処理終了後、搬送手段15により急冷処理装置A2に搬入されて急冷処理が行われる。なお、加熱処理終了後には、急冷処理地点までは、この例では上記100mm/秒の速度よりも速い速度で搬送され、急冷処理による急冷効果(非結化)が確実に得られるようになっている。
【0057】
急冷処理装置A2には、搬送手段15により搬送される樹脂被覆無端状ベルト1の外側面に対して冷却液17を噴射する冷却手段として、複数(この例では3つ)の冷却液噴射ノズル(扇形に冷却液を噴射するもの。いけうち社製BIMV11002)16を、搬送手段15による搬送経路の側面の樹脂被覆無端状ベルト1の円筒の軸に平行な一線上に備えており、これらノズル16から冷却液17(本例では水)が樹脂被覆無端状ベルト1の外側面に対して噴射される。
【0058】
このとき、回転駆動手段により、樹脂被覆無端状ベルト1の回転は継続されるが、急冷処理装置A2内では速度可変モータ13の設定が変更されてその回転は300rpmとされ、斑のない、急冷加熱処理を可能とする。
【0059】
冷却液17は、図示しない圧送タンクより液送されており、冷却液17は冷却液噴射ノズル16によって霧状に噴射される。本実施の形態では、液送エア圧0.05Mpaとした。また、冷却液噴射ノズル16としてはスプレーガンを使用しており、これらスプレーガンにより噴射された霧状の冷却液17は、樹脂被覆無端状ベルト1の軸方向に長い、扇状に噴射されることにより、樹脂被覆無端状ベルト1表面に対する噴射領域が広くなり、広範囲に、かつ、斑なく急冷することができる。
【0060】
なお、本実施の形態では、上記急冷処理を行う急冷処理時間(Tk)を10秒とし、このような急冷処理により、樹脂被覆無端状ベルト1の表面の離型性樹脂(この場合フッ素樹脂)が熔融ないし軟化状態から固化する温度(例えば200℃)まで急冷する。
【0061】
急冷処理装置A2には、急冷処理開始直前の樹脂被覆無端状ベルト1の外側面表面の温度計測手段として放射温度計18aが、樹脂被覆無端状ベルト1が急冷処理装置A2内に搬入された直後、すなわち、樹脂被覆無端状ベルト1の中心軸が急冷処理装置A2の入口から急冷処理装置A2の出口に向かって、樹脂被覆無端状ベルト1の半径(この例では30mm)と同じ距離となる地点(搬入終了地点)に搬送されたときの樹脂被覆無端状ベルト1の外側面の表面温度を測定する位置に設けられている。この放射温度計18aは冷却速度評価手段(ハ)であるマイクロコンピュータに接続されており、その計測値は入力ポートI1からマイクロコンピュータに入力される。
【0062】
また、樹脂被覆無端状ベルト1が搬送手段により搬送され、上記搬入終了地点に達したときには搬送手段15のアクチュエータから冷却速度評価手段としてのマイクロコンピュータの入力ポートI2に対して”On”信号が出力される。
【0063】
また、樹脂被覆無端状ベルト1表面を急冷するにあたっては、急冷対象の樹脂被覆無端状ベルト1を搬送手段15のアクチュエータが上記搬入終了地点から、急冷処理を行う急冷処理地点への搬送が終了したときに、冷却速度評価手段であるマイクロコンピュータの入力ポートI4に対して、”On”信号が出力される。
【0064】
一方、急冷処理完了直後の樹脂被覆無端状ベルト1の外側面表面の温度計測手段として放射温度計18bが冷却液噴射ノズル16の搬送手段15による搬送経路を挟んで対面側に設けられている。このため、放射温度計18bは冷却液の影響を受けずに、急冷処理完了直後の樹脂被覆無端状ベルト1の外側面表面温度を正確に計測することが可能となっている。この放射温度計18bは冷却速度評価手段であるマイクロコンピュータに接続されており、その計測値は入力ポートI3からマイクロコンピュータに入力される。
【0065】
冷却液噴射ノズル16から噴射される冷却液17の温度を5〜12℃の範囲とし、これら冷却液噴射ノズル16から樹脂被覆無端状ベルト1表面に向けて噴射される冷却水の総噴射量を10cc以上とすることが望ましい。このような冷水を供給するには、圧送タンクに冷水を供給する能力を有する冷却水送出装置を接続するか、あるいは、冷却器を圧送タンクに設置・接続するなどの方法が挙げられる。
【0066】
急冷処理が終了した樹脂被覆無端状ベルト1は搬送手段15により急冷処理装置A2の出口から装置外へ搬出される。このとき、急冷処理装置A2の出口に設けられた急冷処理装置出口扉11は自動的に開放し、搬出後は再度閉まる。
【0067】
ここで、放射温度計18aによって測定される急冷処理開始直前の樹脂被覆無端状ベルト1の外側面表面の計測温度、放射温度計18bによって測定される急冷処理完了直後の樹脂被覆無端状ベルト1の外側面表面の計測温度、及び、急冷処理を行った急冷処理時間から冷却速度を演算し、該冷却速度を予め設定された基準値と比較する冷却速度評価手段のブロック図を図4に示す。
【0068】
冷却速度評価手段ε(ハ)には、急冷処理開始直前の樹脂被覆無端状ベルト1の外側面表面の温度を計測する急冷処理前表面温度計測手段β(急冷処理前表面温度計測手段(イ))(この例では放射温度計18a)、急冷処理完了直後の樹脂被覆無端状ベルト1の外側面表面の温度を計測する急冷処理直後表面温度計測手段δ(急冷処理直後表面温度計測手段(ロ))(この例では放射温度計18b)以外に、被急冷処理対象の樹脂被覆無端状ベルト1が搬送され、搬入終了地点に達したことを検出する搬入終了地点到達検知手段α(上記例では搬送手段15のアクチュエータ)、及び、さらに搬送されて急冷処理地点に達したことを検出する急冷処理地点到達検知手段γ(上記例では搬送手段15のアクチュエータ)からの出力信号を受信できるようにこれらが接続されている。
【0069】
冷却速度評価手段ε(ハ)には、さらに評価結果表示手段ζが接続されており、上記入力データを元に冷却速度評価手段εが冷却速度を演算し、その冷却速度を予め設定された基準値と比較し、基準値から外れた場合に評価結果表示手段ζに対して信号を出力し、警報を表示するようになっている。
【0070】
ここで、冷却速度評価手段ε(ハ)の実施の形態、回路図についてモデル的に図5(a)に示す(なお、上述したように本例におけるこのマイクロコンピュータ(MPU)30は冷却速度評価手段ε以外の機能も果たしているが、以下ではマイクロコンピュータMPU30の冷却速度評価手段εとしての機能についてのみ述べる)。
【0071】
マイクロコンピュータMPU30の入力ポートI1、I2、I3及びI4にはそれぞれ搬入終了地点到達検知手段αとしての搬送手段15のアクチュエータ、急冷処理前表面温度計測手段βとしての放射温度計18a、急冷処理地点到達検知手段γとしての搬送手段15のアクチュエータ、急冷処理直後表面温度計測手段δとしての放射温度計18bに接続されている。
【0072】
また、MPU30の出力ポートO1には、評価結果表示手段ζとして液晶表示装置LCD39が接続されている。
【0073】
MPU30には、中央演算回路であるCPU31、一時的なデータの格納のためのランダムアクセスメモリであるRAM32、及び、各種制御用定数及びCPU31の動作プログラム等を格納するリードオンリーメモリであるROM33が付属している。
【0074】
また、図5(b)に示すようにRAM32はタイマT1及びT2を備え、また、急冷処理開始直前の樹脂被覆無端状ベルト1の外側面表面の温度データ格納用変数Ta、及び、急冷処理完了直後の樹脂被覆無端状ベルト1の外側面表面の温度格納用偏するTbが格納される。
【0075】
一方、ROM33には予め設定された冷却速度の基準値K、及び、急冷処理時間Tkが格納されている。
【0076】
次にこのMPU30の機能について、図6のフローチャートを用いて説明する。
【0077】
ステップS1で、入力ポートI1に急冷処理対象の樹脂被覆無端状ベルト1がれ搬入終了地点に到達したことを示す「On」信号が届くまで待機し、「On」信号が入力されたらステップS2に進み、タイマT1をリセット後スタートさせる。
【0078】
ステップS3では搬入処理地点での樹脂被覆無端状ベルト1の表面温度、すなわち急冷処理開始直前の樹脂被覆無端状ベルト1の表面温度の外側面表面温度の放射温度計18aの計測値が変数Taに格納される。
【0079】
次いで、ステップS4では樹脂被覆無端状ベルト1がさらに搬送されて急冷処理地点に到達したことを知らせる搬送手段15のアクチュエータ出力信号「On」を待ち、「On」信号を受けたらステップS5に進んで、タイマT2をリセット後、スタートさせる。
【0080】
ステップS6ではタイマT2が急冷処理時間Tkに達するまで待ち、急冷処理時間Tkに達したらステップS7に進んで、急冷処理開始直後の樹脂被覆無端状ベルト1の表面温度の外側面表面温度の放射温度計18bの計測値が変数Tbに格納される。
【0081】
次いでステップS8で、演算が行われるとともに、算出された冷却速度が予め設定された基準値K以上である、すなわち、充分に早い急冷速度で冷却された場合にはステップS9に進み、出力ポートO1に”正常処理”の信号が出力され、LCD39には例えば「正常処理」の表示が行われ、算出された冷却速度が予め設定された基準値K未満の場合にはステップS10に進んで出力ポートO1に”急冷不良”の信号が出力され、LCD39には例えば「急冷不良」の警告表示が行われる。
【0082】
ここで、上記説明から理解されるようにマイクロコンピュータMPU30は表面温度計測手段による急冷処理完了直後の円筒体の外側面表面の計測温度、及び、急冷処理を行った急冷処理時間から冷却速度を演算し、該冷却速度を予め設定された基準値と比較する冷却速度評価手段として機能する。
【0083】
なお、上記に示した例は、樹脂被覆無端状ベルトを1つ急冷処理する場合の一例であるが、例えばステップS9あるいはステップS10終了後ステップS1に戻すなどの変更を加えれば連続処理にも対応でき、その場合も本発明に含まれる。
【0084】
また、上記は急冷処理対象の樹脂被覆無端状ベルト1の位置を、搬送手段15からの位置情報によって認識したが、放射温度計18aと放射温度計18bとからのの温度情報により、あるいは、放射温度計18aからの温度情報とタイマ手段との組合せにより、樹脂被覆無端状ベルト1の位置を認識することができ、そのような手段によって冷却速度評価を行った場合であっても本発明に属する。
【0085】
ここで、上記装置の例(急冷処理装置A2)では冷却液は、冷却液噴射ノズル16から、樹脂被覆無端状ベルト1の正対する部分、すなわち、最近接部分に対して(樹脂被覆無端状ベルト1の搬送方向に対して90°の方向に)冷却液17を噴射していた。ここで、図7(上方から見たモデル図である)に示すように、冷却液17を樹脂被覆無端状ベルト1の回転方向に対して、カウンター方向(冷却液の噴射方向と、その冷却液が噴射される、樹脂被覆無端状ベルト1の表面部分の移動方向が逆方向となる方向)となるように噴射することにより、樹脂被覆無端状ベルト1の正対する部分に対して噴射するよりも、樹脂被覆無端状ベルト1表面の冷却速度を著しく向上させることができる。図5に示した例では冷却液噴射ノズル16の噴射方向を樹脂被覆無端状ベルト1の搬送方向に対して60°傾けている例を示す。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置は、定着装置の定着ベルトなど、外側面に樹脂層が設けられている円筒体の樹脂層の非晶化処理などの、急速に冷却を行う場合に、好適に用い得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】実施の形態における本発明に係る樹脂被覆円筒体の急冷処理装置により、急冷処理を行う対象の、樹脂被覆無端状ベルトの一例1のモデル断面図である。
【図2】本発明に係る樹脂被覆円筒体の急冷処理装置の一例A2を備えた加熱急冷処理装置である非晶質処理装置Aを示すモデル図である。(a)側面から見たモデル図である。(b)上方から見たモデル図である。
【図3】保持手段5の説明図である。(a)保持手段5のモデル上面図である。(b)保持手段5のモデル側面図である。(c)保持手段5に樹脂被覆無端状ベルトの一例1を保持させた状態を示すモデル側面図である。(d)保持手段5の軸20の部分拡大モデル断面図である。(e)保持手段5の軸20の部分拡大モデル斜視図である。
【図4】本発明に係る樹脂被覆円筒体の急冷処理装置の冷却速度を評価する機構の一例のブロック図である。
【図5】本発明に係る樹脂被覆円筒体の急冷処理装置の冷却速度を評価する機構の一例の回路図である。
【図6】図5におけるMPUの動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】冷却液をカウンター方向に噴射する例について説明するモデル図である。
【符号の説明】
【0088】
A 非晶質処理装置
A1 加熱室(加熱装置)
A2 本発明に係る樹脂被覆円筒体の急冷処理装置の一例
1 樹脂被覆無端状ベルトの一例
2 基材
3 弾性層
4 離型層
6 加熱手段
5 保持手段
9 断熱出口扉
10 断熱板
13 速度可変モータ
14 コレットチャック
15 搬送手段
16 冷却液噴射ノズル
19a、19b 円形板
20 軸
20a エア通路
21 通気口
22 エア排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側面に樹脂層が形成された円筒体を冷却室内で急冷処理する樹脂被覆円筒体の急冷処理装置において、
急冷処理の対象の円筒体を、該円筒の軸が垂直方向になるように保持する保持手段、
前記円筒体の円筒を、その軸を中心に回転するように前記保持手段を回転させる回転駆動手段、
前記保持手段で保持された前記円筒体を、冷却室入口から冷却室内部に搬入した後、冷却室出口に向かって搬送し、次いで冷却室出口から冷却室外部へ搬出する搬送手段、及び、
前記冷却室内の、前記円筒体の搬送経路の側面に設けられた、前記円筒体の外側面に対して冷却液を噴射する冷却手段を
備えることを特徴とする樹脂被覆円筒体の急冷処理装置。
【請求項2】
前記冷却手段が、冷却液を噴射する複数の冷却液噴射ノズルを前記円筒体の円筒の軸に平行な一線上に備えていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置。
【請求項3】
冷却液噴射ノズルとして、冷却液を扇状に噴射する冷却液噴射ノズルが備えられていることを特徴とする請求項2に記載の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置。
【請求項4】
前記冷却液噴射ノズルが、冷却液を前記回転する円筒体の外側面に対して、カウンター方向に冷却液を噴射するよう設置されていることを特徴とする請求項3に記載の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置。
【請求項5】
前記保持手段が、前記円筒体のそれぞれ上下端付近を内側面から支持する2つの円形板と、該2つの円形板を固定する軸とを備え、かつ、該円筒体の上端付近を内側面から支持する円形板が、該円形板を貫通する通気口を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置。
【請求項6】
前記保持手段の軸に、その一方の端部から前記2つの円形板の間の側面に設けられたエア排出口に連通するエア通路を備えるとともに、
冷却室内での冷却手段によって前記円筒体の側面が冷却されているときに該エア通路にエアを供給するエア供給手段を備えていることを特徴とする請求項5に記載の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置。
【請求項7】
急冷処理開始直前の前記円筒体の外側面表面の温度を計測する急冷処理前表面温度計測手段(イ)、
急冷処理完了直後の該円筒体の外側面表面の温度を計測する急冷処理直後表面温度計測手段(ロ)、及び、
これら表面温度計測手段(イ)及び(ロ)によって計測される急冷処理前後の温度、及び、該急冷処理を行った急冷処理時間から冷却速度を演算し、該冷却速度を予め設定された基準値と比較する冷却速度評価手段(ハ)を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置。
【請求項8】
上記円筒体が定着ベルトであることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の樹脂被覆円筒体の急冷処理装置を備えたことを特徴とする加熱急冷処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−160526(P2007−160526A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−356079(P2005−356079)
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】