説明

機能的コロイドのケモメカニカル製造

本発明は、機能的コロイドを製造するための方法に関する。粒子が、改質剤の存在する分散剤において機械により反応により粉々にされ、それで改質剤は、粉砕されたコロイド粒子と少なくとも部分的に化学的に結合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能的(実用的)コロイド及びこれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コロイドは長い間知られてきた。コロイドは、例えばゾルゲル法や、水相及び気相での凝縮プロセスのような自然プロセスにおいて生じる。このようなコロイドは、安定化因子により凝集することが妨げられる場合、水溶液中でのみ安定しているのが典型的である。凝集はコロイド粒子間の相互作用、例えば、ファンデルワールス力、水素結合、疎水性相互作用、双極子−双極子相互作用又は化学結合により、始まる。極めて大きい表面があれば、凝集する傾向が特に大きい。コロイド粒子は通常は0.2μmを超えない寸法を有する。
【0003】
一般的に、コロイドの安定化は対応するゼータポテンシャルにより、すなわちコロイドの回りの二重電荷雲の形成により生じる。これは、様々な電子親和力、又はイオンや電子による粒子の帯電により、例えばpH値を調節することにより引き起こされる。しかしながら、これは、表面の特定の粒子の凝集(アグロメレーション)、例えば天然の水相中のフミン酸の凝集によっても起こる。しかし、これらのプロセスは全て、コロイドが前記の反応により発生し、このような安定化に至る条件がコロイドの環境で確立されたことを想定している。
【0004】
小さい粒子を製造するための他の方法、例えば、高エネルギー粉砕は結晶構造をナノスケールの大きさに粉砕するが、これらの方法ではその後の凝集は避けられない。目標の凝縮により気相から一部作られるこのような凝集粒子は、特定の条件下では凝集し得ない。例えば、油は弱い相互作用の金属表面の間で移動することができるので、金属粒子は油中で首尾よく分散した。しかしながら、金属粒子が高真空、すなわち超高純度条件下で作られる場合のみ、酸化表面が形成されないので、弱相互作用する金属表面が得られた。この場合でなければ、粒子を分散させることはもはや実質的に不可能になる。従って、前記の高エネルギー粉砕プロセスでは、主な微結晶サイズへの分散はもはや可能でない。
【0005】
前記のように油中で分散可能な金属粒子のために、このようなシステムだけが例外のプロセス見地から制御されうる。プロセス制御には、コロイド粒子がそれぞれのプロセスに関連する要件を満たすように製造中にコロイド粒子を設定する方法が必要である。このようにして、製造中にコロイド粒子に所望の特性又は機能を与えることが可能である。例えば、環境に対してコロイド粒子を安定化、融和化、不活性化又は再活性化することができる。
【0006】
商業的に利用できる粉砕集合体だけで、また新たに発生した壊れた表面が再結合するのを防ぐいわゆる粉砕添加剤を用いるだけでも、一般的に1マイクロメートル以下の粒子を得ることができる。コロイドの寸法を特に0.002〜0.05μmへ粉砕することは一般的に可能でない。
【0007】
【特許文献1】WO92/21729
【非特許文献1】W. Noll著, “Chemistry and Technology of Silicones”, Verlag Chemie GmbH, Weinheim/Bargstrasse (1968)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、凝集に対して際立った安定性を示すコロイドを製造することであった。ここで、コロイド粒子は極めて小さく(好ましくは0.2μm以下、特に0.05μm以下)、コロイド又はコロイド粒子の特性又は機能はそれぞれの要件に合わせることができる。驚くことに、本発明の目的はケモメカニカル反応粉砕プロセスを用いて達成され、実用化(機能化)と、同時に、得られたコロイド粒子の凝集に抗する安定化が実現する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明は機能的なコロイドのケモメカニカル製造方法を提供する。粒子は改質剤の存在する分散剤中で機械反応粉砕を受け、それで改質剤は粉砕されたコロイド粒子に少なくとも部分的に化学的に結合する。
【0010】
本発明によれば、粒子から機能的なコロイドを生じさせるために、粒子との化学結合に入りうる一般的な低分子の改質剤が粉砕凝集又は他の分散凝集に使用される。これらは、粒子の表面に固く結合した改質剤の分子残基を官能基として有する。ここで、必要なら、機能化された粒子の平均の最小寸法は0.01〜0.002μmにまでなる。本発明に従う方法により、好ましくは0.2μmを超えない粗粒子の平均最小寸法を有する安定したコロイドを得ることができる。新しく形成した表面で急に散乱する比較的小さい分子によってコロイド粒子を改質することにより、凝集が妨げられ又は抑制される一方、同時に、それぞれの要件のために調製されたコロイド又はコロイド粒子の実用化が行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
使用される粒子は適切な材料で作られた固い粒子である。例えば、それらは有機粒子(ポリマー)又は無機粒子であり、無機粒子が好ましい。無機粒子の例は、元素、合金又は元素化合物から成る粒子などである。無機粒子は好ましくは、金属、合金及び特に金属化合物及び半導体元素化合物、例えば、Si、Ge又はホウ素などから成る。
【0012】
元素からの粒子の例は、すすや活性炭のような炭素、ケイ素(工業Si、ケイ素鉄及び純粋なケイ素)やゲルマニウムのような半導体、又は鉄(鋼)、クロム、スズ、銅、アルミニウム、チタン、金及び亜鉛などの金属の粒子である。合金からの粒子の例は、青銅や真鍮の粒子などである。
【0013】
好ましい金属化合物、半導体元素又はホウ素の化合物の例は、ZnO、CdO、SiO、TiO、ZrO、CeO、SnO、Al(全ての変種において、特にコランダム、ベーム石、AlO(OH)、水酸化アルミニウム)、In、La、Fe、CuO、Ta、Nb、V、MoO又はWOのような酸化物(必要ならば、水酸化物)、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)、アンチモンスズ酸化物(ATO)、フッ素添加スズ酸化物(FTO)及びペロフスカイト構造を有する酸化物(BaTiO、PbTiOなど)の対応する混合酸化物、例えば硫化物(例えば、CdS、ZnS、PbS及びAgS)、セレニド(例えば、GaSe、CdSe及びZnSe)及びテルル化物(例えば、ZnTeやCdTe)などのカルコゲニド、AgCl、AgBr、Agl、CuCl、CuBr、Cdl及びPblなどのハロゲン化物、CdCやSiCなどの炭化物、MoSiなどのケイ化物、AlAs、GaAs及びGeAsなどのヒ化物、InSbなどのアンチモン化合物、BN、AlN、Si及びTiなどの窒化物、GaP、InP、Zn及びCdなどのリン化物、また特に金属又はSiなどの元素の炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、ジルコン酸塩、アンミン酸塩及びスズ酸塩、例えばカルシウム及び/又はマグネシウムの炭酸塩、アルカリケイ酸塩、タルカム、粘土(カオリン)又は雲母などのケイ酸塩、及びバリウムやカルシウムなどの硫酸塩がある。適切な粒子の他の例は、磁鉄鉱、マグヘマイト、スピネル(例えば、MgO・Al)、ムライト、エスコライト、チアライト、SiO・TiO又はバイオセラミックス(例えば、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト)がある。それらはガラスやセラミックスでできた粒子でもよい。
【0014】
それらは、製造ガラス(例えば、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス又はシリカガラス)、ガラスセラミックスやセラミックス(例えば、SiO、BeO、Al、ZrO又はMgOの酸化物又は対応する混合酸化物、チタン酸塩及びフェライトなどの電子・磁性セラミックス、又は窒化ケイ素、炭化ケイ素、ホウ窒化物又はホウ炭化物に基づく)に用いられる粒子でもよい。粒子は添加剤(フィラー)や顔料としても役立つ。技術的に重要な添加剤は、石英、クリストバル石、トリポライト、ノバキュライト、珪藻土、シリカ、パイロジェニックケイ酸、沈降ケイ酸及びシリカゲルなどのSiOを基にした添加剤、タルカム、パイロフィライト、カオリン、雲母、白雲母、金雲母、バーミキュライト、珪灰石及びパーライトのようなケイ酸塩、方解石、ドロマイト、チョーク及び合成炭酸カルシウムなどの炭酸塩、すす、蛍石(light spar)及び重晶石などの硫酸塩、鉄雲母、ガラス、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム及び二酸化チタンなどがある。
【0015】
これら粒子の混合物も使用できる。特に好ましい粒子のための材料は、金属酸化物、酸化ケイ素及びケイ酸塩、特にタルカム、ZrO、Al、TiO及びSiO又はその混合物である。
【0016】
本発明により用いられる粒子は従来通りに、例えば、炎熱分解、プラズマ法、気相凝縮法、コロイド技法、沈殿法、ゾルゲル法、制御式核生成・成長法、MOCVD法及び(マイクロ)エマルジョン法を介して製造される。これらの方法は文献に広範囲に記載されている。特に、塩型システムや多成分システムに加えて、金属(例えば、沈殿法の減少後)、セラミック酸化物システム(溶液からの析出による)が利用できる。
【0017】
利用できる粒子は一般的にしばしば市場でも手に入る。SiO粒子の例は、商業的に入手可能なケイ酸製品(例えばLevasile(登録商標)のようなシリカゾル、バイエル株式会社(Bayer AG)のシリカゾル)、又はパイロジェニックケイ酸(例えば、デグサの製品Aerosil(登録商標))である。もちろん、添加剤として用いられる全ての粒子は通常市場で手に入る。
【0018】
粒子はパウダーの形状か直接に分散剤における分散として利用できる。粒子は、インサイチュにおいて溶けた前駆物質の析出を介して分散剤中で得られる。
【0019】
使用される粒子の粒径は、本発明による方法で得られるコロイド粒子の粒径を超える。使用される粒子の粒径は望ましく選択されるが、100μm、好ましくは10μm未満の平均粒径と、0.001μm、好ましくは0.01μmを超える平均粒径を有する粒子が適する。
【0020】
分散剤が扱うべき粒子を溶かさないか、実質的に溶かず、また用いられる改質剤に対して不活性か、実質的に不活性ならば、分散剤はどんな溶剤も望ましい。扱うべき粒子しだいで、適切な分散剤は好ましくは水か有機溶剤から選択されるが、二硫化炭素のような無機溶剤も可能である。
【0021】
特に好ましい1つの分散剤は水、例えば脱イオン水である。適切な有機分散剤は、極性溶媒及び非極性溶媒、非プロトン性溶媒である。例としては、例えば1〜8個の炭素原子を有する脂肪族アルコール又は脂環式アルコールなどのアルコール(特に、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、ブタノール、オクタノール、シクロヘキサノール)、1〜8の炭素原子を有する脂肪族ケトン及び脂環式ケトンなどのケトン(特に、アセトン、ブタノン及びシクロヘキサノン)、酢酸エチルエステル及びグリコールエステルなどのエステル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、ジオキサン、テトラヒドロフラン及びテトラヒドロピランなどのエーテル、モノ、ジ、トリ及びポリグリコールエーテルなどのグリコールエーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びプロピレングリコールなどのグリコール、例えばジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ピリジン、N−メチルピロリジン及びアセトニトリルなどのアミド及び他の窒素化合物、例えばスルホラン及びジメチルスルホキシドなどのスルホキシド及びスルホン、ニトロベンゼンなどのニトロ化合物、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロカーボン、トリ、テトラクロロエテン、塩化エチレン、クロロフルオロカーボンなどのハロゲン炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン及びオクタン、シクロヘキサン、ベンジン、石油エーテル、メチルシクロヘキサン、デカリン、テルペン溶媒、ベンゼン、トルエン及びキシレンなどの、例えば5〜15の炭素原子を有する脂肪族、脂環式及び芳香族炭化水素がある。もちろん、このような分散剤の混合物も使用できる。
【0022】
好ましくは、用いられる有機分散剤には、n−プロパノール、i−プロパノールなどの脂肪族アルコール及び脂環式アルコール、エチレングリコールなどのグリコール、及びヘキサン、ヘプタン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン及びp−キシレンなどの脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素及び芳香族炭化水素がある。特に好ましい分散剤はエタノールとトルエンである。
【0023】
粒子は、改質剤の存在する分散剤において機械反応粉砕を受けやすい。すなわち、機械粉砕は、改質剤の、化学反応における粒子又は粉砕粒子との化学結合によって行われる。機械負荷下でのこのような反応はケモメカニカル反応と呼ばれる。当業者には知られているように、粒子の表面は通常、粒子内ではこの形態で存在できない基(グループ)を有する。これら表面の基は通常、全体的に相対的に反応しやすい官能基を有する。例えばこのような粒子は、例えば金属酸化物粒子の場合には、例えばヒドロキシル基及びオキシ基の残りの原子価のような表面の基、例えば金属硫化物の場合には、チオール基及びチオ基、又は例えば窒化物の場合には、アミノ基、アミド基及びイミド基を有する。
【0024】
特に、改質剤は、少なくとも機械粉砕の条件下において粒子の表面の基との化学結合に入ることができる官能基を有する。化学結合には好ましくは、改質剤と粒子の間の共有結合、イオン結合又は配位結合が含まれるが、水素結合も含まれる。配位結合は錯体形成であると考えられる。例えば、ブレンステッド又はルイスに従う酸性/塩基反応、錯体形成又はエステル化が、改質剤の官能基と粒子の間で生じる。
【0025】
官能基は改質剤を有し、好ましくはカルボン酸基、酸塩化物基、エステル基、ニトリル及びイソニトリル基、OH基、SH基、エポキシ基、無水物基、酸アミド基、第一級、第二級及び第三級アミノ基、Si−OH基、シランの加水分解性残基(以下に記述するSi−OR基)又はβ−ジカルボニル化合物のようなC−H酸基を有する。
【0026】
改質剤は、例えばベタイン、アミノ酸、EDTAにおけるこのような官能基を1以上有する。
【0027】
本発明に従う方法の1つのバリエーションでは、使用された改質剤は同時に分散剤としても働き、それで同じ結合が両者のために用いられる。
【0028】
改質剤は界面活性剤ではない。これは、高濃度で用いられても、分散剤として用いられた溶媒中の改質剤はミセルを形成することができないことを意味する。界面活性剤と異なる本発明による改質剤は、分散剤として用いられた溶媒において一様に溶ける。次いで、改質剤は離散した分子又は分子イオンとして溶液中に一様に分布して存在する。対照的に、溶媒中の界面活性剤は低濃度では界面にたまり、界面張力を低下させ、高濃度ではミセルを形成する。これは、それらが不均一に分布していることを意味する。前記の情報は純粋な分散剤における挙動に関する。粒子が存在する場合、改質剤は、本発明で記述した粒子の化学相互作用に自然に入り込むことができる。
【0029】
改質剤は少なくとも部分的に、前記の粒子の表面の基との共有、イオン又は配位化学結合に入り込むが、界面活性剤の相互作用は一般的に明確ではなく、例えば典型的には吸収又はウェット相互作用を有する。
【0030】
粒子の表面の基との化学結合に入り込むことができる少なくとも1つの官能基に加えて、改質剤は一般的に、官能基を介して改質剤に結びついた後粒子の特性を改質する分子残基を有する。分子残基又はその一部は疎水性又は親水性であり、また例えば、このようにしてその環境に対してコロイド粒子を機能化するために、すなわち、例えば安定化、融和化、不活性化又は活性化させるために、第2の官能基を運ぶことができる。このようにして、本発明により得られたコロイド粒子には、この分子残基により1つの機能又は表面機能が備わる。この意味では、改質剤又は表面改質剤で改質されたコロイド粒子のコロイドは機能的コロイドである。本発明により、所望の用途に調製した機能的コロイドを得ることが可能である。系しだいで、共有結合、イオン結合及び錯体結合が粒子を結合するために原則として存在する一方、水素結合も適する。
【0031】
疎水性分子残基は、適切な環境があれば不活性化又は反発作用をもたらす、アルキル、アリール、アルカリル(alkaryl)、アラルキル又はフッ素含有アルキル基を有する。親水性基の例はヒドロキシ基、アルコキシ基又はポリエステル基である。もしあれば、改質剤の第2官能基は酸性基、塩基又はイオン基である。それは選択された反応物質との化学反応に適する官能基でもよい。第2官能基は粒子と結びつくための官能基としても適するので、そこでの引用例を参照されたい。第2官能基の別な例は、エポキシ基、アクリルオキシ基、メタクリルオキシ基、アクリレート基又はメタアクリレート基である。この種の2以上の同一又は異なる官能基があってもよい。
【0032】
改質剤は好ましくは、500、より好ましくは400、特に200を超えない分子量を有する。結合剤(ボンド)は好ましくは通常の条件下では液体である。これら結合剤を運ぶ官能基は主に固体粒子の表面の基と所望の環境との相互作用に依存する。分子量は、新たに形成される粒子表面での拡散の点で重要な役割をも果たす。小さい分子は表面を急速に占有し、再結合を妨げる。
【0033】
従って、適切な改質剤の例は、飽和又は不飽和モノカルボン酸及びポリカルボン酸、対応する酸無水物、酸塩化物、エステル及び酸アミド、アミノ酸、イミン、ニトリル、イソニトリル、エポキシ化合物、モノアミン及びポリアミン、β−ジカルボニル化合物、シラン及び金属化合物である。これらは、粒子の表面の基と相互作用する官能基を有する。特に好ましい改質剤は、シラン、カルボン酸、アミノ酸及びアミノである。これら化合物の炭酸鎖は、O−基、S−基又はNH−基により遮断される。1つ又は複数の改質剤が用いられる。
【0034】
好ましくは飽和又は不飽和のモノカルボン酸及びポリカルボン酸(好ましくはモノカルボン酸)は、1〜24の炭素原子を有しており、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸
吉草酸、カプロン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、クエン酸、アジピン酸、琥珀酸、グルタル酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びステアリン酸、並びに対応する酸水化物(acid hydrides)、塩化物、エステル及びアミド、例えばカプロラクタムである。前記のカルボン酸は、炭素鎖がO−基、S−基又はNH−基により遮断されるものも含む。特別好ましいのは、カルボン酸モノエーテルやカルボン酸ポリエーテルなどのカルボン酸エーテル、並びに対応する酸水化物、エステル及びアミド(例えば、メトキシ酢酸、3,6−ジオキサヘプタン酸及び3,6,9−トリオキサデカン酸)である。
【0035】
好ましいモノアミン及びポリアミンの例は、一般式Q3−nNH(n=0,1又は2)を有するものであり、残基Qは独立して、1〜12、特に1〜6、特別好ましくは1〜4の炭素原子を有するアルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル及びブチル)、並びに6〜24の炭素原子を有するアリール、アルカリル又はアラルキル(例えば、フェニル、ナフチル、トリル及びベンジル)を表す。また、好ましいモノアミン及びポリアミンの例は、一般式YN(−Z−NY)−Yを有するポリアルキレンアミンであり、ここでYはQやHと無関係であり、Qは前記のように定められ、Yは1〜6、好ましくは1〜3の整数であり、Zは1〜4、好ましくは2〜3の炭素原子を有するアルキレン基である。具体例は、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、トルイジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンである。
【0036】
好ましいβ−ジカルボニル化合物は4〜12、特に5〜8の炭素原子を有するものであり、例えば、ジケトン(アセチルアセトンなど)、2,3−ヘキサンジオン、3,5−ヘプタンジオン、アセト酢酸、アセト酢酸−C−C−アルキルエステル(アセト酢酸エチルエステルなど)、ジアセチル及びアセトニルアセトンである。
【0037】
アミノ酸の例は、β−アラニン、グリシン、バリン、アミノカプロン酸、ロイシン及びイソロイシンである。
【0038】
好ましいシランは少なくとも1つの非加水分解性基又はヒドロキシ基を有し、特に好ましいのは、さらに少なくとも1つの非加水分解性残基を有する加水分解性オルガノシランである。好ましいシランは一般式(I)を有する。
【0039】
SiX(4−a) (I)
【0040】
ここで残基Rは同じ又は異なり、非加水分解性基を表し、残基Xは同じ又は異なり、加水分解性基又はヒドロキシ基を表し、aは1,2又は3の値を有する。aの値は好ましくは1である。
【0041】
一般式(I)において、同じ又は異なる加水分解性基Xは、例えば、水素又はハロゲン(F、Cl、Br又はI)、アルコキシ(好ましくは、C1−6アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ及びブトキシ)、アリールオキシ(好ましくは、C6−10−アリールオキシ、例えばフェノキシ)、アシルオキシ(好ましくは、C1−6アシルオキシ、例えばアセトキシ又はプロピオニルオキシ)、アルキルカルボニル(好ましくは、C2−7アルキルカルボニル、例えばアセチル)、好ましくは1〜12、特に1〜6の炭素原子を有するアミノ、モノアルキルアミノ又はジアルキルアミノである。好ましい加水分解性残基はハロゲン、アルコキシ基及びアシルオキシ基である。特に好ましい加水分解性残基はC1−4アルコキシ基、具体的にはメトキシとエトキシである。
【0042】
同じ又は異なる非加水分解性残基Rは、官能基を有する又は有しない非加水分解性残基Rである。
【0043】
官能基を有しない非加水分解性残基Rは、アルキル(好ましくは、C1−6アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル及びt−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル又はシクロヘキシル)、アルケニル(好ましくは、C2−6−アルケニル、例えばビニル、1−プロペニル、2−プロペニル及びブテニル)、アルキニル(好ましくは、C2−6アルキニル、例えばアセチレニル及びプロパルギル)、アリール(好ましくは、C6−10−アリール、例えばフェニル及びナフチル)、並びに対応するアルカリル及びアラルキル(例えば、トリル、ベンジル及びフェネチル)である。残基R及びXはそれぞれ、必要ならば、1つ又は複数の従来の置換基(例えば、ハロゲン又はアルコキシ)を有する。アルキルトリアルコキシシランが好ましい。
【0044】
例は、CHSiCl、CHSi(OC、CHSi(OCH、CSiCl、CSi(OC、CSi(OCH、CSi(OC、(CO)SiCCl、(CHSiCl、(CHSi(OC、(CHSi(OH)、CSi(OCH、CSi(OC、CCHCHSi(OCH、(CSiCl、(CSi(OC、(i−CSiOH、CH=CHSi(OOCCH、CH=CHSiCl、CH=CH−Si(OC、CH=CHSi(OC、CH=CH−Si(OCOCH、CH=CH−CH−Si(OC、CH=CH−CH−Si(OC、CH=CH−CH−Si(OOCCH、n−C13−CH−CH−Si(OC、及びn−C17−CH−CH−Si(OCである。
【0045】
官能基を有する非加水分解性残基Rは、エポキシド(例えば、グリシジル又はグリシジルオキシ)、ヒドロキシ、エーテル、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、必要ならば置換アニリノ、アミド、カルボキシ、アクリル、アクリルオキシ、メタクリル、メタクリルオキシ、メルカプト、シアノ、アルコキシ、イソシアナト、アルデヒド、アルキルカルボニル、酸無水物及びリン酸基の形式の官能基を有する。これらの官能基は、酸素又はNH基により遮断される、アルキレン、アルキニレン(alkenylene)又はアリレン(arylene)架橋基によりケイ素原子と結合している。架橋基(ブリッジグループ)は好ましくは1〜18、特に1〜6の炭素原子を有するのが好ましい。
【0046】
アルキルアミノ基のような、前記の二価の架橋基と存在する置換体は、例えば前記の一価のアルキル、アルキニル、アリール、アルカリル又はアラルキル残基である。自然に、残基Rは1つ又は複数の官能基を有する。
【0047】
官能基を有する非加水分解性残基Rの好ましい例は、グリシジル−又はグリシジルオキシ−(C1−20)−アルキレン残基(β−グリシジルオキシエチル、γ−グリシジルオキシプロピル、δ−グリシジルオキシブチル、ε−グリシジルオキシペンチル、ω−グリシジルオキシヘキシル及び2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルなど)、(メタ)アクリルオキシ−(C1−6)−アルキレン残基(例えば、(メタ)アクリルオキシメチル、(メタ)アクリルオキシエチル、(メタ)アクリルオキシプロピル又は(メタ)アクリルオキシブチルなど)、及び3−イソシアナトプロピル残基である。特に好ましい残基は、γ−グリシジルオキシプロピルと(メタ)アクリルオキシプロピルである。(メタ)アクリルはメタクリル又はアクリルを表す。
【0048】
対応するシランの特別な例は、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GPTS)、γ−グリシジルオキシプロピルジメチルクロロシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APTS)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)、N−(2−アミノエチル)−3アミノプロピルトリメトキシシラン、N−[N’−(2’−アミノエチル)−2−アミノエチル]−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ヒドロキシメチルトリメトキシシラン、2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン、ビス−(ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン及び3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシランである。
【0049】
フッ素で置換される有機残基を少なくとも部分的に示すシランの使用も可能である。特許文献1はこのようなシランを詳細に記述している。これらは、一般式(II)を有する非加水分解性残基を少なくとも1つ有する加水分解性シランである。
【0050】
Rf(R)SiX(3−b) (II)
【0051】
ここで、X及びRは式(I)と同様に定義され、Rfは、炭素原子と結合した1〜30のフッ素原子を有する非加水分解性基であり、bは0,1又は2である。炭素原子は好ましくは、少なくとも2つの原子、好ましくはエチレン基によりSiから分離する。特に、Rは官能基のない残基、好ましくはメチルやエチルなどのアルキル基である。基Rfは好ましくは、炭素原子と結合した3〜25、特に3〜18のフッ素原子を有する。Rfは好ましくは3〜20のC原子を有するフッ化アルキル基であり、例はCFCHCH、CCHCH、n−C13CHCH、i−COCHCHCH、n−C17CHCH及びn−C1021−CHCHである。
【0052】
使用できるフルオロシランの例は、CFCHCHSiCl(CH)、CFCHCHSiCl(CH)、CFCHCHSi(CH)(OCH、CCHCH−SiZ、n−C13CHCHSiZ、n−C17CHCHSiZ、n−C1021−CHCHSiZ(Z=OCH、OC又はCl)、i−COCHCHCHSiCl(CH)、n−C13CHCHSi(OCHCH、n−C13CHCHSiCl(CH)、及びn−C13CHCHSiCl(CH)である。
【0053】
シランは公知の方法によって製造することができる(非特許文献1参照)。
【0054】
官能基を有する金属化合物の例は、元素周期表の第1群III〜V及び/又は第2群II〜IVからの金属Mの金属化合物である。Al、Ti又はZrの化合物が好ましい。例はRMX4−c(M=Ti又はZr、c=1,2,3)であり、X及びRは式(I)で前記のように定義される。1つのR又は幾つかのRが共に、錯化剤、例えばβ−ジカルボニル化合物又は(モノ)カルボン酸を表す。ジルコニウム及びチタン−テトラアルコラートがここでは好ましく、アルコキシ基の一部が錯化剤(例えば、β−ジカルボニル化合物又はカルボン酸、好ましくはモノカルボン酸)で置き換えられている。
【0055】
本発明により用いられる物質は所望の順序で一緒に混ぜられる。混合は粉砕機械において直接行われるか、前もって別個の容器(例えば、ミキサー)で行われる。さもなければ、別な添加剤は好ましくは添加されない。すなわち、反応性の粉砕を受けやすい混合物は、少なくとも1つの分散剤、特別な場合に分散剤に一致する少なくとも1つの改質剤、及び好ましくはたった1つの材料から成る粒子である粒子から成る。所望に加えられる添加剤の例は、消泡剤、プレス補助手段、有機質粘結剤、光触媒、保存薬及び流動学的添加剤である。別な加工が必要な場合だけ、添加剤の供給が必要である。ゆえに、これらの添加物は本発明に従う加工後に供給されうる。先の添加の1つの利点は、粉砕により得られる同種の混合物にある。
【0056】
本発明に従う方法の実行の際、粒子の含有量は粒子の種類に大きく依存するが、一般的には懸濁液の60重量%、通常50〜0.5重量%、好ましくは30〜1重量%、特に分散剤の25〜2.5重量%になる。残りの懸濁液は、分散剤と改質剤から成る。ここで、粒子と改質剤の重量比は一般的に100:1〜100:35、特に100:2〜100:25、特別好ましくは100:4〜100:20になる。
【0057】
粉砕チャンバーに存在する粒子と粉砕媒体の量比は必然的に、懸濁液の固体含有量、用いられた粉砕ボールの充填レベル、粉砕ボールのかさ密度に由来する。
【0058】
機械粉砕は一般的にミル、ニーダー(混練機)、シリンダーミル又は例えば高速度分散機で行われる。機械粉砕に適する粉砕機械は、ホモジナイザー、ターボ撹拌機、離れた粉砕工具を有するミル(ボールミル、ロッドミル、ドラムミル、コーンミル、チューブミル、自生粉砕ミル、遊星ミル、振動ミル及び撹拌機ミル)、ヘビーローラーニーダー、とろこね機、コロイドミル及びシリンダーミルである。粉砕及びホモジナイジングを有する粉砕は好ましくは室温で行われる。所要時間は混合の種類と用いられる粉砕機による。
【0059】
離れた粉砕工具を有するミルが好ましくは用いられる。粉砕工具や粉砕手段(粉砕ボディ)は、例えばボール、ロッド又は短い円筒部品である。容器は、例えば回転運動、遊星運動又は撹拌運動を行い、又は粉砕手段は撹拌機と共に動く。
【0060】
特別好ましいミルは、運動撹拌機と粉砕手段としての粉砕ボールを有する撹拌ボールミルである。
【0061】
好ましくは非常に小さい粉砕手段を有するミルが用いられ、小さい寸法のせん断力の適用が可能になる。最も細かい分散ステップは、2.5mm、好ましくは1.5mm、そして特別好ましくは1.0mmを超えない直径を有し、0.05mm、好ましくは0.07mm、そして特別好ましくは0.09mmより大きい直径を有する粉砕手段を用いて実行されるのが好ましい。粉砕手段は通常鋼、プラスチック、超硬金属、Al、めのう、ケイ酸ジルコニウム、ZrO、Y−ZrO、Ce−ZrO、Mg−ZrO、ガラス、SiC、SiN又はこれら材料の混合物から成る。特別好ましい粉砕手段材料は、安定化された酸化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム及び鋼である。
【0062】
粉砕は2以上の段階で行うこともできる。例えば、それは先行する粉砕(プリ粉砕)と後続する最も細かい粉砕を有する。改質剤はそれぞれの段階に存在するか、少なくとも1つの段階(例えば、最終段階)に存在する。例えば、粉砕手段による粉砕は、最も細かい粉砕ステップのために最良の効率のよい最初の粒径を実現するために、粗い粉砕手段を有する粉砕ステップに後続する。
【0063】
最も細かい粉砕ステップの好ましい粒径(平均直径又は平均最小寸法)は、30〜1000nm、好ましくは50〜500nm、そして特別好ましくは60〜150nmになる。
【0064】
用いられる粉砕機械(特に、ミル)のデザインに応じて、例えば50〜100%の充填レベルが粉砕手段のために用いられる。充填レベルは、好ましくは60〜98%、特別好ましくは70〜95%になる。
【0065】
撹拌ボールミルにおける粉砕加工は、900〜5000RPMの撹拌速度で行われ、例えば1000〜4500RPMの速度が好ましく、2000〜4200RPMの速度が特別好ましい。
【0066】
粉砕所要時間は特に、用いられる粒子の種類に依存し、数分から数日(例えば、10分から5日、好ましくは1時間から12時間)まで続く。
【0067】
反応粉砕は、付加的なエネルギー供給(機械エネルギーとの組み合わせ)、例えばマイクロ波及び/又は超音波により補助される。これら2つの方法を同時に用いることもできる。直接粉砕機械において分散プロセスにエネルギーを供給することが特別好ましいが、これは製品循環において粉砕機械の外側でも行われる。
【0068】
本発明に従う方法は、好ましくは室温(約20℃)から分散媒体の沸点までで実行される。ミルの粉砕チャンバーの適切な温度緩和(冷却)により、これらの対応する操作温度を設定することが可能である。
【0069】
当該方法は、連続して単一パスモード、複数パスモード(振動プロセス)又は循環プロセス、並びに連続せずバッチモードにおいて用いられる。
【0070】
本発明による反応粉砕は、改質剤を粉砕粒子に化学的に結合させる。ここで、用いられた改質剤分子の少なくとも一部は粒子に結合する。化学結合になる割合は、粒子の種類、粒子に関する使用量、得られたサイズ及び利用できる粒子表面による。
【0071】
本発明による改質剤の使用と機械粉砕の組み合わせにより、コロイド粒子に固く結合した化合物を有する機能的コロイドを生成することが可能である。これにより、0.01〜0.002μmの最小寸法のコロイド粒子の作成が可能になる。
【0072】
本発明による方法において製造される粒子の平均最小寸法(平均直径、平均高さ又は幅)は、0.2μmを超えず、好ましくは0.1μmを超えず、特別好ましくは0.05μmを超えない。必要に応じて、粉砕により、0.01μmを超えない、また0.002μmをも超えない平均最小寸法を有する粒子も生成される。
【0073】
平均最小寸法は、球状粒子に対する平均粒径とプレート状粒子に対する平均高さである。この明細書では、平均粒径は体積分布のd50値であると理解されたい。専門家は、これらの粒径を決定するための方法及びこれら方法に関する詳細を知っている。適切な測定方法の例は、動的レーザー光散乱(例えば、超微細粒子アナライザー(UPA)を有する)、電子顕微鏡写真のX線ディスク遠心又は定量画像解析である。
【0074】
必要ならば、分散剤を除去することにより得られた機能的コロイドから、パウダーとして使用できる機能的コロイド粒子が得られる。専門家に知られた方法は、除去の目的、例えば蒸発、遠心分離又はろ過に用いられる。別な分離方法では、ろ過できる凝集物を得るために、専門家は等電点を設定するための公知の方法を使用する。得られた機能的コロイド粒子の表面は化学結合した改質剤分子を有し、その機能は粒子特性を制御するために用いられる。コロイド粒子は同じ又は別な分散剤に再び吸収される。凝集はほとんど又は全く起こらないので、平均粒径は本質的に保持される。
【0075】
機能的コロイド又は機能的コロイド粒子は、専門家に知られた方法によりさらに処理される。例えば、それは有機溶剤又は水性溶剤に分散させられる他の表面改質剤と反応し、例えば、前記の種類の、可溶ポリマー、オリゴマー又は有機モノマー又はゾル又は添加剤が加えられる。このような混合物、調剤又は機能的コロイド又は本発明による機能的コロイド粒子は、例えばコーティングを作り、また他の用途で使用される。
【0076】
これらの機能的コロイドや機能的コロイド粒子を含有する、機能的コロイド、機能的コロイド粒子又は混合物の使用の例は、セラミック鋳物、薄膜、メンブラン及びコーティングの製造、又はポリマーマトリクス化合物の製造である。コーティング又は層は広範囲の目的、例えば、低エネルギー表面のコーティング、又は耐磨耗性の、殺菌剤の、光触媒の、微細構造化可能な又は微細構造化された、ホログラフィック、導電、紫外線吸収、フォトクロミック及び/又はエレクトロクロミック層、に使用される。
【0077】
以下の例は本発明のさらなる説明に役立つ。
【実施例】
【0078】
実施例1〜5はミル(Drais Perl Mill PML-H/V)により実行された。特性:粉砕チャンバー全量1.2リットル、酸化ジルコニウムでできた撹拌機、粉砕チャンバー外装及び粉砕手段分離部(シブカートリッジ)、エンジン出力主駆動装置4.0kW、エンジン速度主駆動装置3000RPM、撹拌機速度900〜4100RPM。
【0079】
(実施例1)
600mlのトルエン、50gのタルカムパウダー(<10ミクロン、BET表面14m/g)及び5gのメリルトリメトキシシランが反応容器に配置され、かき混ぜて30分間混合される。得られた混合物は、1300gの粉砕ボール(ケイ化ジルコニウム、ボール直径0.6〜1.0mm)を有する撹拌ボールミルに入れられる。粉砕は4時間4000RPMで行われる。次いで、ミルは2リットルのトルエンを排出させられる。遠心分離(4000RPM、15分)により溶剤が除かれる。残りのパウダーは真空乾燥キャビネットで24時間130℃で乾燥され、200m/gのBET表面を有する。
【0080】
(実施例2)
600mlのトルエン、50gのタルカムパウダー(<10ミクロン、BET表面14m/g)及び7.2gのフェニルトリメトキシシランが反応容器に配置され、かき混ぜて30分間混合される。得られた混合物は、1300gの粉砕ボール(ケイ化ジルコニウム、ボール直径0.6〜1.0mm)を有する撹拌ボールミルに入れられる。粉砕は4時間4000RPMで行われる。次いで、ミルは2リットルのトルエンを排出させられる。遠心分離(4000RPM、15分)により溶剤が除かれる。残りのパウダーは真空乾燥キャビネットで24時間130℃で乾燥され、194m/gのBET表面を有する。
【0081】
(実施例3)
600mlのトルエン、50gのタルカムパウダー(<10ミクロン、BET表面14m/g)及び8.9gのメチルアクリル酸[3−トリメトキシシリルプロピルエステル]が反応容器に配置され、かき混ぜて30分間混合される。得られた混合物は、1300gの粉砕ボール(ケイ化ジルコニウム、ボール直径0.6〜1.0mm)を有する撹拌ボールミルに入れられる。粉砕は4時間4000RPMで行われる。次いで、ミルは2リットルのトルエンを排出させられる。遠心分離(4000RPM、15分)により溶剤が除かれる。残りのパウダーは真空乾燥キャビネットで24時間130℃で乾燥され、153m/gのBET表面を有する。
【0082】
(実施例4)
600mlのトルエン、50gのタルカムパウダー(<10ミクロン、BET表面14m/g)及び5gの2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシランが反応容器に配置され、かき混ぜて30分間混合される。得られた混合物は、1300gの粉砕ボール(ケイ化ジルコニウム、ボール直径0.6〜1.0mm)を有する撹拌ボールミルに入れられる。粉砕は4時間4000RPMで行われる。次いで、ミルは2リットルのトルエンを排出させられる。遠心分離(4000RPM、15分)により溶剤が除かれる。残りのパウダーは真空乾燥キャビネットで24時間130℃で乾燥され、101m/gのBET表面を有する。
【0083】
(比較例)
600mlのトルエン、50gのタルカムパウダー(<10ミクロン、BET表面14m/g)が反応容器に配置され、かき混ぜて30分間混合される。得られた混合物は、1300gの粉砕ボール(ケイ化ジルコニウム、ボール直径0.6〜1.0mm)を有する撹拌ボールミルに入れられる。粉砕は4時間4000RPMで行われる。次いで、ミルは2リットルのトルエンを排出させられる。遠心分離(4000RPM、15分)により溶剤が除かれる。残りのパウダーは真空乾燥キャビネットで24時間130℃で乾燥され、18m/gのBET表面を有する。
【0084】
(実施例5)
1350mlのトルエン、150gのタルカムパウダー(<10ミクロン、BET表面14m/g)及び15gのメタクリル酸[3−トリメトキシシリルプロピルエステル]が反応容器に配置され、かき混ぜて30分間混合される。得られた混合物は、粉砕ボール(酸化ジルコニウム、ボール直径0.4mm)で90%満たされた撹拌ボールミル(Netzsch LabStar LS1)に連続的に送られる。粉砕は2時間3000RPMで行われる。次いで、ミルは2リットルのトルエンを排出させられる。遠心分離(4000RPM、15分)により溶剤が除かれる。残りのパウダーは真空乾燥キャビネットで24時間130℃で乾燥され、180m/gのBET表面を有する。
【0085】
(実施例6)
1000mlの蒸留水、400gの酸化ジルコニウム(BET表面150±10m/g)及び60gの3,6,9−トリオキサデカン酸が反応容器に配置され、かき混ぜて30分間混合される。得られた混合物は、撹拌ボールミルで4時間粉砕される(Drais Perl Mill PML-H/V、酸化ジルコニウムの粉砕チャンバー外装、粉砕チャンバー全量1.2リットル、4100RPM、1700gの粉砕ボール、ケイ酸ジルコニウム、ボール直径0.3〜0.4mm、循環モードで連続操作)。このようにして得られたコロイドは、d50=0.0118μm(UPA)の平均粒径を有する粒子を有する。
【0086】
(実施例7)
880mlの蒸留水、800gの酸化ジルコニウム(BET表面150±10m/g)及び120gの3,6,9−トリオキサデカン酸が反応容器に配置され、かき混ぜて30分間混合される。得られた混合物は、撹拌ボールミルで4.5時間粉砕される(Drais Perl Mill PML-H/V、酸化ジルコニウムの粉砕チャンバー外装、粉砕チャンバー全量1.2リットル、4100RPM、1700gの粉砕ボール、ケイ酸ジルコニウム、ボール直径0.3〜0.4mm、循環モードで連続操作)。このようにして得られたコロイドは、d50=0.0123μm(UPA)の平均粒径を有する粒子を有する。
【0087】
(実施例8)
150mlの蒸留水、1500mlのi−プロパノール、800mgの酸化ジルコニウム(BET表面150±10m/g)及び40gの3,6,9−トリオキサデカン酸及び38.6gのメタクリル酸が反応容器に配置され、かき混ぜて30分間混合される。得られた混合物は、撹拌ボールミルで4.5時間粉砕される(Drais Perl Mill PML-H/V、酸化ジルコニウムの粉砕チャンバー外装、粉砕チャンバー全量1.2リットル、4100RPM、1700gの粉砕ボール、ケイ酸ジルコニウム、ボール直径0.3〜0.4mm、循環モードで連続操作)。このようにして得られたコロイドは、d50=0.0110μm(UPA)の平均粒径を有する粒子を有する。
【0088】
(実施例9)
800mlの蒸留水、400gの酸化ジルコニウム(Degussa、ZrO−VP、BET表面40±10m/g(メーカーによれば)、洗浄されたパウダー)及び60gの3,6,9−トリオキサデカン酸が反応容器に配置され、かき混ぜて30分間混合される。得られた混合物は、撹拌ボールミルで4.5時間粉砕される(Drais Perl Mill PML-H/V、酸化ジルコニウムの粉砕チャンバー外装、粉砕チャンバー全量1.2リットル、4100RPM、1700gの粉砕ボール、ケイ酸ジルコニウム、ボール直径0.3〜0.4mm、循環モードで連続操作)。このようにして得られたコロイドは、d50=0.023μm(UPA)の平均粒径を有する粒子を有し、BET表面は75m/gである。
【0089】
(実施例10)
800mlの蒸留水、400gの酸化ジルコニウム(Tosoh、ZrO/TZ−O、BET表面14m/g(メーカーによれば))、及び60gの3,6,9−トリオキサデカン酸が反応容器に配置され、かき混ぜて30分間混合される。得られた混合物は、撹拌ボールミルで粉砕される(Drais Perl Mill PML-H/V、酸化ジルコニウムの粉砕チャンバー外装、粉砕チャンバー全量1.2リットル、4100RPM、1700gの粉砕ボール、ケイ酸ジルコニウム、ボール直径0.3〜0.4mm、循環モードで連続操作)。このようにして得られたコロイドは、d50=0.073μm(UPA)の平均粒径を有する粒子を有し、BET表面は48m/gである。
【0090】
(実施例11)
1180mlの蒸留水、800gの酸化アルミニウム(Sumitomo、AKP53、BET表面9〜15m/g(メーカーによれば))、及び60gの3,6,9−トリオキサデカン酸が反応容器に配置され、かき混ぜて14時間混合される。得られた混合物は、撹拌ボールミルで12時間粉砕される(Drais Perl Mill PML-H/V、酸化ジルコニウムの粉砕チャンバー外装、粉砕チャンバー全量1.2リットル、4100RPM、1700gの粉砕ボール、ケイ酸ジルコニウム、ボール直径0.3〜0.4mm、循環モードで連続操作)。20gの3,6,9−トリオキサデカン酸は、4及び5.5時間後にそれぞれ加えられる。このようにして得られたコロイドは、54m/gのBET表面を有し、d50=0.044μm(X線ディスク遠心分離)である。
【0091】
(実施例12)
1035mlのエタノール、201gの二酸化チタン(Sachtleben、Hombitec RM300、BET表面60m/g(メーカーによれば)、洗浄されたパウダー)、20.16gのAPTES及び4.8mlの蒸留水が反応容器に配置され、かき混ぜて5分間混合される。得られた混合物は、撹拌ボールミルで4時間粉砕される(Drais Perl Mill PML-H/V、酸化ジルコニウムの粉砕チャンバー外装、粉砕チャンバー全量1.2リットル、4100RPM、1700gの粉砕ボール、ケイ酸ジルコニウム、ボール直径0.3〜0.4mm、循環モードで連続操作)。後続する遠心分離による溶剤置換及び蒸留水(pH=7)による2回洗浄により、pH4.5の水における再分散の後、d50=0.063μm(UPA)の平均粒径、BET表面99m/gを有するコロイドが生成される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子が改質剤の存在する分散剤において機械反応粉砕を受ける、機能的コロイドのケモメカニカル製造のための方法であって、改質剤が粉砕されたコロイド粒子と少なくとも部分的に化学結合する方法。
【請求項2】
粗い粉砕手段を有するミルが反応粉砕に用いられることを特徴とする、請求項1に記載の機能的コロイドのケモメカニカル製造のための方法。
【請求項3】
2.5mmを超えない直径を有する粉砕手段が用いられることを特徴とする、請求項2に記載の機能的コロイドのケモメカニカル製造のための方法。
【請求項4】
ジェットノズル原理による分散剤が反応粉砕のために用いられることを特徴とする、請求項1に記載の機能的コロイドのケモメカニカル製造のための方法。
【請求項5】
改質剤が水素結合によってコロイド粒子と共有、イオン又は配位結合することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の機能的コロイドのケモメカニカル製造のための方法。
【請求項6】
改質剤が500を超えない分子量を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の機能的コロイドのケモメカニカル製造のための方法。
【請求項7】
形成したコロイド粒子が0.2μmを超えない平均最小寸法を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の機能的コロイドのケモメカニカル製造のための方法。
【請求項8】
分散剤における改質剤が界面活性剤の特性を示さないことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の機能的コロイドのケモメカニカル製造のための方法。
【請求項9】
改質剤がシラン、カルボン酸、アミノカルボン酸又はアミンであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の機能的コロイドのケモメカニカル製造のための方法。
【請求項10】
改質剤が分散剤としても用いられることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の機能的コロイドのケモメカニカル製造のための方法。
【請求項11】
反応粉砕が分散への付加的なエネルギー供給により補助され、付加的なエネルギーは直接粉砕機械内で又は粉砕機械の外側から供給されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の機能的コロイドのケモメカニカル製造のための方法。
【請求項12】
付加的なエネルギー供給が超音波及び/又はマイクロ波により行われ、付加的なエネルギー供給は同時に超音波とマイクロ波により行うこともできることを特徴とする、請求項11に記載の機能的コロイドのケモメカニカル製造のための方法。
【請求項13】
機能的コロイドが請求項1〜12のいずれかの方法により製造され、分散剤が取り除かれることを特徴とする、機能的コロイド粒子のケモメカニカル製造のための方法。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれかの方法により得られる機能的コロイド。
【請求項15】
請求項13の方法により得られる機能的コロイド粒子。
【請求項16】
セラミック鋳物、薄膜及びメンブラン、耐磨耗性コーティング、低エネルギー表面を有するコーティング、殺菌剤コーティング、光触媒コーティング、微細構造化可能な、ホログラフィック、導電、紫外線吸収、フォトクロミック及び/又はエレクトロクロミック層又はポリマーマトリクス化合物のための、請求項14に記載の機能的コロイド、又は請求項15に記載の機能的コロイド粒子、又はこれら機能的コロイド又は機能的コロイド粒子を有する混合物の使用。

【公表番号】特表2006−520258(P2006−520258A)
【公表日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501761(P2006−501761)
【出願日】平成16年2月6日(2004.2.6)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001121
【国際公開番号】WO2004/069400
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(505296728)ビューラー パルテック ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】