機能的GHS−Rアンタゴニスト
【課題】機能的GHS-Rアンタゴニスト
【解決手段】ここで開示されるものは、機能的グレリン受容体アンタゴニストとして特徴付けられる新規の分類の生物学的活性分子である。それらの分子は、グレリン受容体が関連するカルシウム放出の初期上昇を付随し、続いて、持続的期間のカルシウム放出の量の著しい減弱を付随し(例えばグレリンと比較して)、そして、グレリン誘導性のGHS-R関連持続性カルシウム放出の阻害能力を付随し得る。そのような分子の同定方法、そのような分子の使用方法、並びに種々の他の特徴及び側面も提供される。
【解決手段】ここで開示されるものは、機能的グレリン受容体アンタゴニストとして特徴付けられる新規の分類の生物学的活性分子である。それらの分子は、グレリン受容体が関連するカルシウム放出の初期上昇を付随し、続いて、持続的期間のカルシウム放出の量の著しい減弱を付随し(例えばグレリンと比較して)、そして、グレリン誘導性のGHS-R関連持続性カルシウム放出の阻害能力を付随し得る。そのような分子の同定方法、そのような分子の使用方法、並びに種々の他の特徴及び側面も提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、とりわけ成長ホルモン分泌促進物質受容体(GHS-R)関連カルシウム放出の初期上昇を誘導する能力を含むユニークな生理化学的性質を示し、一方、持続性相のグレリン誘導性GHS-R関連カルシウム放出を減弱することによって特徴付けられる、新規の分類の生物学的活性分子の発見に関する。また、本発明は、それらの分子を同定する方法、及び同様の重要な生物学的性質を有する組成物、及びそのような分子及び関連する組成物の使用を含む実際的な適用に関する。
【背景技術】
【0002】
グレリン、成長ホルモン分泌促進物質受容体(GHS-R)のための内在性リガンドは、腸内ホルモンであり、現在、循環食欲刺激薬(食欲促進ホルモン)であり、また、もとは成長ホルモン(GH)分泌を刺激する内在性ペプチドとして発見された。GHS-Rの拮抗作用は、マウスの食物摂取と体重増加を減少させる。グレリン受容体(即ち、GHS-R)は、MK-0677、成長ホルモン(GH)分泌促進物質の使用によって、逆薬理学によってクローン化された(Howard et al., Science, 273, 974-977, 1996)。グレリンによって誘導された持続性のカルシウム放出は、GH放出に必須であると見られている。例えば、持続性のカルシウム放出相が、例えばカルシウムチャネルブロッカーによって減弱される状況において、GH分泌は停止する(例えば、Malogon et al., Endocrinology, 144:5372-80, 2003を参照されたい)。
【0003】
グレリンアンタゴニストは、抗肥満症薬剤として提案されてきた(例えば、Guillano in FEBS 2003, 552, 105-109; Ukkola in Eur.J.Int.Med. 2003, 14, 351-356;及びKojima in Curr.Opi.Pharm. 2002, 2, 665-668を参照されたい)。グレリンのための多くのアンタゴニスト、及びそのような化合物の使用、及び関連する組成物が近年、当該分野で提案されるか開示されている。例えば、米国特許第20010020012、20020187938、20030211967、2004122033、国際特許出願(PCT 公開番号) WO 04/110375、WO 04/000217、WO 04/084943、WO 04/05689、WO 04/004772、WO 03/055914、WO 02/060472、WO 02/090387、WO 01/087335、WO 01/038355、及び WO 98/42840、並びに Holst et al., Mol Endocrinol. 2003 Nov;17(11):2201-10, Asakawa et al., Gut. 2003 Jul;52(7):947-52, Carpino, Exp. Opin. Ther. Patents, 12(11):1599-1618 (2002), J. Med. Chem. 47:6655-6657, and Biorg. Med. Chem. Lettrs., 14:5223-5226) を参照されたい。それにもかかわらず、グレリン受容体に代わるもの及び改良された調節因子に対する要求が依然として存在する。本明細書に開示された本発明は、そのような調節因子を、グレリン受容体の機能的アンタゴニストとして作用する新規の分類の化合物の形態で提供する。そのような分子、関連する組成物、そのような分子及び組成物の同定方法、及び、本発明の多様な他のさらなる有益な側面及び特徴、及び、それらの関連する利点及び利益は、本明細書において提供された本発明の記載から、通常の熟練した技術者には明らかであろう。
【発明の開示】
【発明の詳細な説明】
【0004】
本明細書に開示された発明は、特に、とりわけユニークなGHS-R関連カルシウム放出プロフィールを示し、全てではないがほとんど場合に、グレリンが誘導するGHS-R関連カルシウム放出の持続性相(sustained phase)を減弱することによって特徴付けられる、新規の分類のGHS-R調節分子の発見に関する。この新規の分類の生物学的活性分子は、グレリン受容体のための「機能的アンタゴニスト」と記述することができる。これらのGHS-R機能的アンタゴニスト(又は「GHSRFA」)は、それらが、それらと接触した場合のGHS-R-関連カルシウム放出における検出可能な初期上昇を伴うことにおいて、GHS-Rの「純粋な」又は「真の」アンタゴニストと区別することができる(従って少なくともこの点で、GHSRFA「類似」GHS-Rアンタゴニスト)。しかしながら、GHSRFAはまた、グレリンと比較して持続性期間の間に著しく低いGHS-R関連カルシウム放出を伴う分子における以前に開示されたGHS-Rアゴニストと区別できる。
【0005】
本発明の内容におけるGHS-R関連カルシウム放出の「初期相(initial phase)」は、関連するGHS-R調節因子(例えば、特にGHSRFA、グレリンなど)をGHS-Rと接触させて持続性のカルシウム放出相(下記で定義されるような)を開始させてからの期間として定義される。特定のGHSRFAに関する初期相の長さは、他のGHSRFAと幾分異なる。初期相はまた、用いられたGHS-R調節因子の量、GHS-Rが存在する細胞、アッセイの条件などのような、他の関連するパラメーターによっても変化する。初期相は、典型的には、GHS-R調節因子とGHS-Rの接触後約20〜35秒まで持続する期間として定義される。典型的には、初期相は、そのような接触後約25〜35まで秒持続し、そのような接触後約25-30秒持続し、例えば、そのような接触後0-25、0-26、0-27、0-28、0-29、0-30、0-31、0-32、0-33、0-34、0-35、又は0-36秒持続する。
【0006】
用語が用いられる文脈に依存して、本発明の状況におけるGHS-R関連カルシウム放出の「持続性相」は、(a) GHSRFA誘導GHS-R関連カルシウム放出が、GHSRFAに関する初期相におけるカルシウム放出のレベルから著しく減少する時点で開始する期間、或いは、(b) GHSRFAが、グレリン誘導性カルシウム放出のレベルにおける著しい減少(対照と比較して)を起こす時点で開始する期間として定義される。典型的には、GHSRFAに関する持続性相は、GHS-Rとの接触後約25秒の時点で開始する期間として測定され、例えばGHS-Rとの接触後約30秒のような時点で、具体的な側面においてはGHS-Rとの接触後約35秒のような時点で(例えばGHS-Rとの接触後32, 33, 34, 35, 36,又は37秒)、又は、GHS-Rとの接触後約40秒の時点(例えば、GHS-Rとの接触後38, 40, 42, 44, 46, 又は48)で開始する期間として測定される。持続性相は任意の適切な期間持続可能であり、該持続性相の終了の測定は典型的には、化合物をGHSRFAとして特徴付けるために、又は、本発明の任意の他の側面のためには必要ではない。それにもかかわらず、該持続性相は通常、GHSRFAをGHS-Rと接触させた後、約400秒以下で終了する期間として定義され、例えばそのようなGHS-Rとの接触後約350秒以下、そのような接触後約300秒以下、そのような接触後約250秒以下、そのような接触後約200秒以下(例えば、そのような接触後、約190, 180, 170, 160, 150, 140, 130, 120, 110, 100, 90, 85, 80, 又は75秒)で終了する期間として定義される。換言すれば、与えられたGHSRFAについての持続性相は、典型的には、GHSRFA:GHS-R接触後、約25-400秒;例えば約25-300秒、30-300秒、又は35-300秒;例えば約25-200秒、30-200秒、又は35-200秒(例えば、約25-150, 30-150, 35-150, 25-120, 30-120, 又は35-120, 25-90, 30-90, 又は35-90秒)の期間として定義される。
【0007】
グレリン及びグレリンとその天然の(野生型)受容体との相互作用は、既に開示されている(例えば、C.Y. Bowers in J.Clin.Endocrinol.Metab. 2001, 86 (4):1464-1469;また、Petersenn, Horm. Res. 58(suppl 3):56-61 (2002); Holst et al., J Biol Chem. 2004 Dec 17;279(51):53806-17を参照されたい)。関連する受容体又は複数の受容体は、しばしば、広く設計された「成長ホルモン分泌促進物質受容体」(ここでは、GHS-Rと省略する)であるが、しかし主要なグレリン受容体−少なくともヒトを含む哺乳類においては−が、GHS-R1aと称されるGHS-Rの特定のサブタイプであることが多いことが現在明らかである。しかしながら、しばしばGHS-R1bと称されるような他の受容体サブタイプに対するグレリンの結合が、インビボでグレリンによって及ぼされる効果の少なくともある程度に関連することは、ありうることである。本発明の内容において、グレリン受容体、GHS-Rなどのような用語は、他に言及しない限り、野生型ヒト受容体の任意の機能的断片、GHS-R1a及びGHS-R1bの種々の天然のアイソフォーム、それらの受容体の機能的変異体などを含む、任意の機能的GHS受容体を称する。しかしながら、他に指示しない限り、そのような用語が(一般に)用いられるそれぞれの場合において、ヒト野生型GHS-R1aが、特に、本発明の重要な側面を表すことは理解されるべきであり、これは、GHSRFAのより広範な定義から区別され得る。
【0008】
GHSRFAの同定方法及びGHSRFA組成物の調製
一つの側面において、本発明は、組成物中のGHSRFAを同定する(又は、組成物がGHSRFAとして作用するか否かを評価する、任意のGHSRFAが組成物中に含まれるか否かを評価するなど)新規でかつ有用な方法を提供する。
【0009】
一つのそのような発明的方法は、機能的GHS-R関連細胞(典型的には、ヒトGHS-R1aのようなGHS-Rを示す、ヒト又はヒト由来細胞のような哺乳類細胞中で、グレリン及び任意にさらなる一以上の既知のGHSRFAに対するカルシウム放出応答の検出を容易に可能にするのに十分な量で)を候補化合物に、初期(例えば約0〜50秒)カルシウム放出応答及び持続性(例えば約50〜200秒)カルシウム放出応答を誘導するのに適した条件下で十分な期間接触させる工程、カルシウム応答プロフィールを得るための初期期間及び持続性期間の間のカルシウム放出を測定する工程、及び、特定の候補がGHSRFAであるか否かを決定するために、得られたカルシウム放出プロフィールを、一以上の基準(例えば、グレリン誘導性GHS-R関連カルシウム放出プロフィール、グレリン純粋アンタゴニストGHS-R関連カルシウム放出プロフィール、理想的な基準(又はコンピューターが作成した基準)及び/又は一以上の既知のGHSRFAによって得られたカルシウム放出プロフィール))と比較する工程を含む。
【0010】
GHS-R関連カルシウム放出は、任意の適切な方法によって評価することができる。受容体関連カルシウム放出を測定する効果的な方法は、デジタル画像処理と組み合わせたフラ-2微小蛍光定量法の使用に基づくもののような、比率的(ratiometric)画像技術の周辺で発展してきた(例えば、Parpura et al., Nature 1994; 369:744-747; Date et al., Diabetes 51:124-129, 2002; Malagon et al., Endocrinology Vol. 144, No. 12 5372-5380, 2003; Kohno et al., Diabetes 52:948-956, 2003; Camina et al., Endocrinology Vol. 145, No. 2 930-940, 2004; Camina et al., J Biol Chem 274:28134-28141, 1999; Desaki et al., Diabetes 53:3142-3151, 2004; Yada et al., J Physiol505 :319-328,1997; Yada et al., J Biol Chem 269:1290-1293, 1994; Lai et al., The International Journal of Biochemistry & Cell Biology, Volume 37, Issue 4 , April 2005, Pages 887-900; Muroya et al., Neurosci Lett 264:113-116,1999; and Muroya et al., Neurosci Lett 309:165-168,2001を参照されたい。そのような方法の例が開示され及び/又は例証される)。カルシウム放出アッセイもまた、国際特許出願(PCT公報)WO 01/56592に開示されている。リアルタイム、単一細胞自動カルシウム放出アッセイも最近、スキャニング蛍光定量的マイクロプレートリーダー/流体移動ワークステーション及びCCDカメラ及び灌流システムを備えた蛍光性顕微鏡 (Commend et al., 「Live Cell Imaging Workshop 2004」(March 2-3, Swiss Federal Institute of Technology Lausanne))を用いて開示されている。電気生理学的技術もまた、適切な条件化で十分な数の細胞を含む培地について用いることができる。他の蛍光カルシウム指標(Indo-1, Indo-1及びFura-2誘導体、Fura-4F, Fura-5F, Quin-2 及び誘導体など)もまた、そのような方法において用いられ得る。典型的には、GHS-R関連カルシウムプロフィールは、所望の分子のカルシウム放出効果を調査又は同定(その様な場合)するために、受容体及び/又は受容体関連細胞の集団及び十分な量のGHSRFA及び評価に必要な任意の他の化合物(例えばグレリン)を用いて評価される。
【0011】
一般に、本発明の方法における候補は、潜在的に適切なタイプの任意の化合物であってよく、例えば、ペプチド、ポリペプチド、複合タンパク質(例えば、抗体)などを含む。一つの側面において、候補化合物は、「小分子」化合物を含み、これは約100ダルトンより大きく約2,500ダルトンより小さい分子量を有する非ペプチド有機化合物である。候補薬剤は典型的に、水素結合を介してのような、GHS-Rとの構造的相互作用に必要な官能基を含み、典型的には、少なくともアミン、カルボニル、ヒドロキシ又はカルボキシ基を含み、そして、通常、少なくとも二つの機能的化学基を含む。候補薬剤もまた(より典型的にも)、一以上の上記官能基及び任意に、アルキル、硫黄、及び/又はハロゲン置換基のような他の置換基で置換された、環状炭素又は複素環式構造及び/又は芳香環又はポリ芳香環構造を含む。候補薬剤はまた、サッカリド、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、及び構造的類似体又はそれらの組み合わせ(又はペプチド、タンパク質などとのそのような分子の組み合わせ)を含む、非タンパク質生体分子のなかに見つけられる。
【0012】
候補薬剤は、合成又は天然の化合物のライブラリーを含む広く多様な出所から得られる。例えば、ランダム化されたオリゴヌクレオチドの発現を含む多数の方法が、広く多様な有機化合物及び生体分子の合成のランダム且つ直接的な合成のために利用可能である。或いは、細菌、真菌、植物及び動物の抽出物の形態の天然化合物のライブラリーが利用可能であり容易に作成される。さらに、天然又は合成的に作成されたライブラリー及び化合物は、従来の化学的、物理的及び生化学的方法を通して容易に改変される。既知の薬理学的薬剤が、構造的類似体を産生するために、アシル化、アルキル化、エステル化、アミド化(amidification)のような、直接的又はランダムな化学的改変に供される。合成的ライブラリーの作成のための種々の方法に関する原理は、例えば、「Young et al., Curr Opin Drug Discov Devel. 2004 May;7(3):318-24」;「Goodnow et al., Comb Chem High Throughput Screen. 2003 Nov;6(7):649-60」;「Dolle, J Comb Chem. 2003 Nov-Dec;5(6):693-753; Rose, Curr Opin Chem Biol. 2003 Jun;7(3):331-9」;「Jamois, Curr Opin Chem Biol. 2003 Jun;7(3):326-30; van Drie et al., EXS. 2003;(93):203-21; Knepper et al., Comb Chem High Throughput Screen. 2003 Nov;6(7):673-91」;及び、「Combinatorial Chemistry and Technology: Principles, Methods, and Applications (Miertus and Fassina, Eds.) (Marcel Decker, Inc. - New York, 1999)」;「Combinatorial Library: Method and Protocols (English, Lisa B. Ed., 2002)」;及び「Combinatorial Chemistry: Synthesis and Application (Wilson and Csarnik, Eds.) (John Wiley & Sons, 1997)」に開示されている。
【0013】
具体的な側面において、本発明の候補化合物スクリーニング方法は、GHS-Rアゴニストとして以前に同定されている化合物に適用される。
【0014】
一以上のスクリーニングされた候補の間からのGHSRFAの同定後、同定されたGHSRFAは、当該分野で既知の標準的な単離方法及び精製方法(例えば、組成物中の他の分子(例えば、GHSRFAを含むライブラリー内の他の候補)からの、分子量、サイズ、及び/又は電荷に基づくクロマトグラフィー的又は電気泳動的な分離、親和性に基づくクロマトグラフィー分離(例えば、GHS-R、抗体などを用いて)など)を用いて、少なくとも実質的に単離されることができ(該分子が、それが含まれる組成物中で優勢な生物学的活性化合物である規格 (standard) まで精製される)、或いは、GHSRFAの構造を決定するために生理化学的分析(例えば、マススペクトロメトリーに基づく技術)に供され、それによって、利用可能な合成方法によって少なくとも実質的に単離された形態でGHSRFAの生成が可能になる。
【0015】
また、本発明の方法は、一以上のGHSRFAを含むのではないかと疑われる薬学的組成物(そのような場合、本発明の方法は、任意に、例えば組成物中のGHSRFAの総重量を測定することなどの任意の適切な技術によって化合物中に存在するGHSRFAの量を測定する工程をさらに含む)のような化合物のための品質管理基準として適用されることもできる。
【0016】
さらなる側面において、本発明は、少なくとも一つのGHSRFAの、治療的有効量及び/又は予防的有効量のような、生理学的有効量を含む薬学的組成物の調製に関し、該方法は、上記のような方法によって同定された、単離されたGHSRFAを提供すること、及び、単離されたGHSRFAを、適切な担体組成物及び薬学的組成物に達するように任意に添加された生物学的活性物質と共に処方することを含む。
【0017】
さらなる側面において、本発明は、薬剤的に有用な薬物化合物を調製する方法に関し、該方法は、一以上のGHSRFAを同定するための候補化合物のライブラリーをスクリーニングすること、所望のカルシウム放出プロフィール(及び任意にグレリン誘導性カルシウム放出の所望のレベルの阻害)を有する少なくとも一つのGHSRFAを選択すること、及び、該分子を、当該分野で既知の種々の方法を用いて及び/又はそれらから新規のGHSRFAを生成/同定するために類似のコア官能基/構造を有する新規の化合物の設計のためのバックボーンとしての分子を用いて、毒性、溶解性などを改良するための改変に供することを含む。そのようなリード(lead)最適化方法は、典型的には、類似体化合物の合成及びスクリーニングによるライブラリースクリーニングを通してのGHSRFA同定の最適化において役立つ、経験的な、組み合わせの、及び合理的なアプローチの組み合わせを適用することを含む。一連の類似体の試験は、典型的に、ファルマコフォアのような、構造と活性の関連性(SAR)を確立するために作成された生物学的及び薬理学的データに対する化学構造における相関変化である、定量的情報をもたらす。リード最適化方法は、典型的に、高反復性である。リードは、それらの「薬物類似点(druglikeness)」についての薬理学的アッセイにおいて評価される。医薬の化学者は、生物学的利用能及び安定性のような薬理学的性質を最適化するために、それらの結果に基づいてリード分子を変更する。この点において、新規の類似体は、効力、選択性及びMOAの決定のためのスクリーニング階層中にフィードバックされる。それらのデータは、次いで、次の最適化サイクルに与えられる。リード最適化過程は、一般に、ヒトにおける新規の薬物の試験を保証する、定義された薬物プロフィールを達成するまで継続される。典型的には、代謝、排出、及び分配のようなインビボでの薬物動態学的なデータが、薬物物質の処方を最適化するために考慮に入れられる。薬物動態学的及び薬力学的調査が、薬物生産を達成するためのインビボでの薬物物質の挙動の理解を洗練するために用いられる。この過程における重要な要因(本発明のスクリーニング方法によって得られたヒット(hits)及びそれらに由来する類似体の評価のための)は、溶解度、pKa、吸収、代謝、処方、薬物動態、毒性及び効力を含む。一つの側面において、5より多くの水素ドナーを含み、500より大きいMW、5より大きいClog P (算出された、オクタノール/水 分配係数)、及び/又は10を超える窒素原子及び酸素原子の総数を有する、同定されたGHSRFAが、リード最適化に供される。他の側面において、広範なヒトへの使用のためには溶解度が不十分である決定された、同定されたGHSRFAは、溶解度−促進最適化方法に供され、この方法は、親油性の減少、可溶化成分(例えば、PEG成分、シクロデキストリン成分など)の追加、平面構造の排除、分子可動性の増大、及び、化合物の種々の塩の試験を含む。同定されたGHSRFAのファルマコフォアを同定するために、技術者は、GHSRFA活性(例えば、グレリン誘導性の持続性GHS-R関連カルシウム放出の減弱)に必須な領域の同定のために分子の部分を系統的に変化又は除去させることができる。同族体化(一定の単位、例えば-(CH2)n-による、一連の化合物の相違化)、脂肪族置換基への鎖分枝の導入、二級/三級アミンの一級アミンによる置換、環状構造の直鎖構造への変換などのような他の技術を、リードを発展させるのを補助する類似体の発展させるために用いることができる。同配体(isosteres)の置換基(類似の構造的、化学的及び/又は生理学的な性質を有する官能基)は、リード最適化における類似体を設計するための他の方法であり得る。典型的な同配体置換基は、以下を含む: CH3、NH2、OH、F、及び Cl;Cl、PH2、及びSH;-CH2-、-NH-、-O-、-S-、及び-Se-;-COCH2R -CONHR -CO2R、及び-COSR;及び-CH= 及び-N=。バイオ同配体(Bioisoteres)―これは少なくとも一つの物理的性質(例えば、サイズ、形状、電気的分布、疎水性、pKa、化学的反応性、及び/又は水素結合能、もっともしばしば多岐にわたる構造を有するが)を共有することによって定義される分子である―もまた、類似体開発及びリード最適化のための基礎であり得る。それらの任意の方法は、ここで開示された本発明の方法によって同定されたGHSRFAからの一般的に適したリード候補のために用いられることができる。
【0018】
GHSRFA
他の代表的な側面において、本発明は、新規且つ有用なGHSRFA化合物を提供する。具体的な面において、本発明は、とりわけ、限定された期間(例えば、約40秒以下、典型的には約35秒以下、通常約30秒以下、約25秒以下、又は約20秒以下)で、グレリンの効力の、少なくとも約25%、典型的には少なくとも約35%、より典型的には少なくとも約50%、及び通常、約50%より多い(例えば、約60%、65%、70%、75%、又はより多く、例えば約80%、85%、90%、95%、又は約100%又はより多く、例えば約110%、115%など)効力で、GHS-Rカルシウム放出を誘導する能力を有し、一方で、受容体と接触後の持続性期間(例えば、GHS-Rと接触を可能にされた後、約25-200秒の期間、例えば約30-200秒、約35-200秒、約30-190秒、約30-180秒、約30-170秒、約35-160秒、約40-150秒、約25-140秒、約30-140秒、約30-150秒、約35-140秒、約25-130秒、約30-130秒、約35-130秒、約40-130秒、約30-120秒、約35-120秒、約40-120秒、約30-100秒、約30-90秒、又は約30-80秒の期間(又は期間を含む))のにおける著しく減少されたGHS-R関連カルシウム放出と関連していることを特徴とするGHSRFAを提供する。
【0019】
実例となる側面において、本発明は、受容体との接触後約50秒以下(通常約35秒以下、例えば約30秒以下)の期間のグレリン(実質的に同定された条件化において、GHS-Rからのカルシウム放出を誘導することに関して)のものより、少なくとも約20% (例えば、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、90%、又は100%、又はそれ以上、(例えば、110%、120%、又は125%)、など)の効力でGHS-R関連カルシウム放出を誘導する能力を有し、しかし、それでもなお、グレリンのものより少なくとも約10%少ない、例えばグレリンのものより、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、又は少なくとも約50%少ない(グレリンのものより約60%、65%、又は70%少ないような)、持続性のカルシウム放出効力を伴う(GHS-Rの接触を可能にされた後、約30-100秒)ことを特徴とするGHSRFAを提供する。
【0020】
上記の例証的カルシウムプロフィール比較を得るためにカルシウムプロフィールアッセイにおいて用いられるグレリン及びGHSRFAの量は、そのような比較をするために用いられる実験において等しいか又は等しくない。よって、例えば、そのような比較において用いられるGHSRFA及びグレリンの量は、分子濃度、容量、質量などの点で等しくなくてよく、しかしその代わりに、それぞれ、同様の初期GHS-R関連カルシウム放出(例えば、受容体との接触後0-25又は0-30秒の期間の間)を誘導することに関して比較されるそれぞれの量を表す。
【0021】
他の側面において、本発明は、グレリンが誘導するGHS-R関連持続性カルシウム放出を減弱(即ち、検出可能な減少)する能力を有することをさらに特徴とするGHSRFAを提供する。一つの具体的な代表的な面において、本発明は、約50秒以下(例えば、約35秒以下、約30秒以下、又は約25秒以下)の期間の間、少なくとも約20%(例えば、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%など)(グレリンと比較して)の相対的な効力でGHS-R関連カルシウム放出を誘導する能力を有し、また、GHS-Rとの接触を可能にされた後、約25-200秒(例えば、約30-180、例えば約30-150、例えば約30-100秒)の間に、少なくとも約10% (例えば、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、又は約50%より多く、例えば、約60%、約70%、約80%またはそれより多く)で、グレリン誘導性カルシウム放出を減少する、GHSRFAを提供する。グレリン誘導性カルシウム放出の阻害は、グレリン及び所望のGHSRFAの混合物を投与することによって、また、任意の適切な技術を用いて(例えば、FURA2 (340/380 nm 比)カルシウム放出アッセイ)、GHSRFAを含まない対照又は基準と比較したGHSRFAの存在の影響を分析することによって決定できる。GHSRFAは、ある割合の阻害が、特定の量のGHSRFAとグレリンによって得られ、また、異なる割合が、異なる量のグレリン及びGHSRFAによって与えられるような、グレリン誘導性カルシウム放出の投与量依存的な阻害を示すことによって特徴付けられる。例えば、低いレベルの阻害は、約10 nMのグレリンの存在下における約10 μM(例えば、約5-20 μM、例えば約7-15 μM)のGHRSFAと比較して、10 nM グレリンの存在下において約0.1-1 μMのGHSRFAによって得られ得る(もちろん、異なる量のグレリン及び対応する異なる量のGHSRFAが、そのような評価をするのに用いられ、適切な量は日常的な実験を用いて決定される)。
【0022】
さらなる側面において、本発明は、或いはGHS-RのGHS-R存在細胞における内部移行動態学を調節するそれらの能力によって特徴づけられる、GHSRFAを提供する。一つのそのような側面において、本発明は、GHS-Rの内部移行を増大させる能力を有するGHSRFAを提供する。他の側面において、本発明は、受容体再循環期間を延長するために、細胞上に存在するGHS-R分子の平均数を減少させる能力を有するGHSRFAを提供する。
【0023】
GHSRFAは、他に示さない限り、任意の適切な構造を有することができる。典型的には、GHSRFAは、約100より大きく約2,500ダルトンより小さい分子量、例えば、約100-2000ダルトン、より典型的には約100-1500ダルトン、通常は約100-1000ダルトン、例えば約100-700ダルトン、約150-700ダルトン、約200-700ダルトン、約100-600ダルトン、約150-600ダルトン、又は約200-600ダルトンの分子量を有し、そして、少なくとも一つのアミン、カルボニル、ヒドロキシ又はカルボキシル基、及び、しばしば、少なくとも二つ、三つ、またはそれ以上の機能的化学基を含み、並びに、一以上の上記官能基又はアルキル、ハロゲンなどのような他の基で置換された、一以上の環状炭素又は複素環式構造、及び/又は芳香環又はポリ芳香環構造を典型的には含む、一以上のGHS-R相互作用官能基を典型的には含む、非ペプチド小有機化合物として特徴づけることが出来る。一つの側面において、本発明は、少なくとも一つの二環式構造、例えば、ナフタレン置換基、インデン置換基、又は同様の二環式(典型的にはポリ芳香環及びしばしば置換されたポリ芳香環(又はポリシクロアルケニル)置換基)を含むことを特徴とするGHSRFAを提供する。他の側面において、本発明は、少なくとも二つの置換された芳香環(又はシクロアルケニル)基、例えば一以上のエーテル(例えば、メトキシ)、アミン(例えば、ジメチルアミン)、又はハロゲン置換基(例えば、Cl、F)を伴う芳香環基を含むことを特徴とするGHSRFAを提供する。他の側面において、本発明は、少なくとも一つの、そのような置換されたシクロアルケニル(芳香族)基及び少なくとも一つのポリ芳香族/ポリシクロアルケニル基を含むGHSRFAを提供する。さらなる側面において、本発明は、また或いは一以上の窒素複素環式構造を含むことを特徴とする、GHSRFAを提供する。より一般的な側面において、本発明は、少なくとも一つのそれらの特徴を含むことによって特徴付けられる構造を含む、GHSRFAを提供する。
【0024】
他の側面において、GHSRFAペプチド(即ち、2〜約50のアミノ酸残基またはそれより少ない、例えば約2-40、2-35、2-30、2-25、2-20、2-15、又は2-10アミノ酸残基の単鎖アミノ酸ポリマー、これはGHSRFAとして作用する)のようなタンパク質GHSRFAが提供され、該タンパク質は、誘導体化されることができる(例えば、アシル化、PEG化などによって)。GHSRFAペプチドは、ここで開示された本発明のスクリーニング方法を用いて、ペプチドのライブラリーからスクリーニングされることによって同定されることができる。
【0025】
一つの側面において、本発明は、そのようなGHSRFAが、発明の背景で提供された何れかの参考文献に記載された任意のアンタゴニスト又は例えば下記の参考文献及び/又は本明細書で上げられた他の参考文献に開示された任意のGHS-Rアゴニストのような、以前に開示された何れかのGHS-Rアゴニスト又はGHS-Rアンタゴニストを含まないという条件で、ここで開示された任意の生理化学的特徴を有するGHSRFAを提供する:「Carpino, supra, 米国特許公開第20040063636及び20030186844、「Lugar et al., Bioorg Med Chem Lett. 2004 Dec 6;14(23):5873-6」、「Halem et al., Eur J Endocrinol. 2004 Aug;151 Suppl 1:S71-5」、「Holm et al., Eur J Endocrinol. 2004 Jun;150(6):893-904」、「Rubinfeld et al., Eur J Endocrinol. 2004 Dec;151(6):787-95」、「Nagamine et al., J Endocrinol. 2001 Dec;171(3):481-9」。
【0026】
一つの代表的な側面において、本発明は、グレリン様の様式でGHS-Rからの初期カルシウム放出を誘導させ、一方、該受容体との接触後、約25〜30秒後の期間の後、少なくとも約80秒間持続する期間(例えば、約25-200秒、約30-200秒の期間、例えば約25-150秒又は30-150秒)、著しく減弱されたカルシウム放出プロフィール(例えば、グレリンと比較して少なくとも約15%減少された)を示すことを特徴とすることができるGHSRFAを提供する。具体的な側面において、本発明は、該受容体との接触後、約25-100秒の間の一つの時点で(例えば、約40-70秒、例えば約50秒のような)、グレリンのものより約50%少ないレベルでの持続性のカルシウム放出を伴うGHSRFAを提供する。他の側面において、本発明は、グレリンと比較してカルシウム放出の量が約50%以上減少することによって特徴付けられる持続性のカルシウム放出プロフィールを有することによって特徴付けられるGHSRFAを提供する。
【0027】
薬学的組成物
他の側面において、本発明は、一以上のGHSRFAを他の成分、例えば担体、保存剤、安定化剤(例えば、BSA、アルブミンなどのような安定化タンパク質)、他の生物学的に活性な薬剤などと組み合わせて含む組成物に関する。
【0028】
一つのそのような側面において、本発明は、一以上のGHSRFAを含む薬学的組成物に関する。「薬学的組成物」とは、関連する集団などにおける相対的安全性(臨床試験又は他の適切な安全性(例えば毒性)試験手順によって決定されうるような)の点において、ヒト患者のような被検者(例えば哺乳類)に投与するのに適切である組成物である。
【0029】
一つの側面において、本発明は、少なくとも一つのGHSRFAの生理学的有効量を含む薬学的組成物のような、組成物を提供する。生理学的有効量は、具体的な被検者、類似の被検者の集団(例えば同様の生理学的条件を有する試験被検者)、又はその両者においてGHS-R関連生理学的応答(例えば、GHSRFA特徴的様式におけるGHS-R関連カルシウム放出の誘導)を誘導、促進、及び/又は増強させるために有効な量である。
【0030】
他の側面において、本発明は、少なくとも一つのGHSRFA(一以上の徴候に関し、ここにおいて、GHSRFAの投与は、障害、状態、疾患などの治療のために用いられる)の治療的有効量を含む、薬学的組成物のような組成物を提供する。「治療的有効量」とは、適切な投与量で適切な時期に送達されたときに、被検者において所望の治療的結果(例えば、肥満症、糖尿病、又はヒト患者における両方の減少を伴う生理学的応答の誘導、促進、及び/又は増強)を達成するために有効な量を意味する。GHSRFAの治療的有効量は、標的とする疾患の状態、個々の年齢、性別及び体重、及び個体において、所望の応答を誘発するGHSRFAの能力のような要因に従って変化する。治療的有効量は、典型的には、GHSRFAの任意の毒性又は有害な影響より、被検者又は類似の被検者の集団(例えば、臨床試験によって決定され得る、同様の状態を有する患者のグループ)における治療的に有益な効果が勝る量として特徴付けられる。治療的有効量は、哺乳類に予防的又は治療的に有益な影響を与えるのに必要な活性薬剤の、少なくとも最小の投与量であるがしかし毒性投与量より少ない量として特徴付けられることができる。言及された他の方法、治療的有効量は、哺乳類の肥満状態における寛解又は改善の原因を誘導する量である。
【0031】
さらなる側面において、本発明は、少なくとも一つのGHSRFA(GHS-R活性のGHSRFA調節が有益であると考えられる、発生している、切迫した、又は他の「危険である(at-risk)」状態に関して)の予防的有効量を含む薬学的組成物のような組成物を提供する。「予防的有効量」は、所望の予防的な結果を達成するための、投与量及び必要な期間において有効な量を指す(例えば、予防的な措置を受けていない同様の患者と比較して、障害の発達の可能性の減少、障害の強度又は拡散の減少、切迫した障害の間の生存の可能性の上昇、疾患状態の発症の遅延、切迫した状態の拡散の減少など)。典型的には、予防的投与が疾患の前又は疾患の初期段階で被検者に用いられるために、予防的有効量は、治療的有効量より少ない。
【0032】
予防的及び治療的のいずれでも有効なGHSRFAの量は、その用語が関係する具体的な徴候、状態などに関して単に「有効量」として言及される。GHSRFAの有効量を含む薬学的組成物のような組成物は、本発明の他の特徴である。
【0033】
薬学的に許容される塩
GHSRFAの考察が、本発明のスクリーニング方法によって同定された化合物並びにその薬学的に許容される塩を含むことは理解されるべきである。薬学的に許容される塩には、一般に、薬学的に許容される酸付加塩、薬学的に許容される金属塩、アンモニウム塩及びアルキル化アンモニウム塩が含まれる。酸付加塩には、無機酸並びに有機酸の塩が含まれる。適切な無機酸の代表的な例には、塩酸、臭化水素酸、沃化水素酸、リン酸、硫酸、スルファミド酸及び硝酸が含まれる。適切な有機酸の代表的な例には、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、桂皮酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピルビン酸、サリチル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン、酒石酸、アスコルビン酸、パモイック(pamoic)酸、ビスメチレンサリチル酸、エタン二スルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸及びp-トルエンスルホン酸が含まれる。薬学的に許容される無機又は有機酸付加塩のさらなる例には、「J.Pharm. Sci. 1977, 66, 2」に収載された薬学的に許容される塩が含まれる。金属塩の例には、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムの塩が含まれる。アンモニウム塩及びアルキル化アンモニウム塩の例には、アンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ヒドロキシエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ブチルアンモニウム及びテトラメチルアンモニウムの塩が含まれる。酸付加塩は、ここで開示された式Iの化合物に関して特に適切である。GHSRFAの水和形態(水和物)又はそれらの薬学的に許容される塩もまた、本発明によって提供され、ここで開示された本発明の種々の方法において使用するのに適している。
【0034】
薬学的製剤/組成物
GHSRFAは、単回投与又は複数回投与の何れかにおいて、単独で、又は薬学的に許容される担体又は賦形剤と組み合わせて投与されることが出来る。一般に、GHSRFA薬学的組成物は、「Remington, THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY, 19th Edition, Gennaro, Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA (1995)」に開示されているような従来の技術に従って、薬学的に許容される担体又は希釈剤並びに他の任意の既知のアジュバント及び賦形剤と共に処方されることが出来る。
【0035】
「薬学的に許容される担体」という用語は、ここで用いられているように、一般に有機又は無機の物質を称し、これは、該組成物中の一以上のGHSRFAのような活性成分の性質を実質的に損なわない(例えば反応によって)。薬学的に許容される担体は、一般に、任意の及び全ての、適切な溶媒、分散培地、コーティング、抗菌及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤、及びGHSRFAと生理学的に適合性であるようなものを含む。換言すれば、ここでいう「担体」という用語は、適切な溶媒、希釈剤、賦形剤、バッファー、安定剤、保存剤、賦形剤、風味剤、着色剤、湿潤剤、潤滑剤、錠剤化剤、溶媒、溶質、抗酸化剤、制生剤、懸濁剤、等張剤、肥厚剤、アジュバント、乳化剤、塩、芳香剤、活性-促進剤、可溶化剤など、或いはそれらの任意の適切な組み合わせを一般的に包含するよう意図される。薬学的に許容される担体の例には、水、生理食塩水、リン酸で緩衝された生理食塩水デキストロース、グリセロール、エタノールなど、並びに、任意のそれらの組み合わせが含まれる。多くの場合、例えば糖、マンニトール、ソルビトールのようなポリアルコール、又は塩化ナトリウムなどの等張剤を、そのような組成物中に含むことが望ましい。湿潤剤のような薬学的に許容される物質、又は、乳化剤、保存剤又はバッファーのような少量の補助的な物質(これはGHSRFAの有効期間又は有効性を増強できることが好ましい)もまた、薬学的に許容される担体の通常の意味の中に含まれる。担体及び薬学的組成物の他の成分に対する適合性は、被検者での関連する使用における、GHSRFAの所望の生物学的性質に与える著しい負の影響の欠如に基づいて決定される。担体又は希釈剤は、単独の又は蝋と一緒のグリセリルモノステアレート又はグリセリルジステアレートのような時間遅延物質、又は他の機能的類似物質を含んでよい。賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤、風味剤もまた、適切な担体であり得る。他の適切な担体は、抗酸化剤、バッファー、静菌薬、及び溶質及び/又は懸濁剤、可溶化剤、肥厚剤、安定化剤、及び保存剤を、所望の効果を得るために十分な量で(例えば、GHSRFAの有用な有効期間を増大させるのに十分な量)で含んでよい。
【0036】
一般的に有用な担体のさらなる例には、これらに限定されないが、ラクトース、グルコース及びスクロースのような糖;コーンスターチ及びポテトスターチのようなスターチ;セルロース及びナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース及び酢酸セルロースのようなその誘導体;粉末化されたトラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;ステアリン酸;マグネシウムステアレート;硫酸カルシウム;ピーナッツ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及びカカオ油のような植物油;プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコールのようなポリオール;アガー;アルギン酸;発熱性物質を含まない水;等張性生理食塩水;及びリン酸バッファー溶液;脱脂乳粉末;並びに、薬学的製剤中で用いられる他の非毒性の適合性物質が含まれる。ラウリル硫酸ナトリウムのような湿潤剤及び潤滑剤、並びに着色剤、風味剤、潤滑剤、賦形剤、錠剤化剤、安定化剤、抗酸化剤及び保存剤もまた存在してよい。
【0037】
薬学的組成物は、経口、直腸、経鼻、肺、局所的(頬側及び舌下を含む)、経皮性、大槽内、腹腔内、膣又は非経口的(皮下、筋肉内、くも膜下腔内、静脈内及び皮内を含む)経路のような任意の適切な経路によって投与されるための具体的に処方される。経路の選択は、治療される被験者の一般的な状態及び年齢、治療される状態の性質及び問題の活性成分(及び問題の活性成分(グレリンアンタゴニスト)の性質に依存する。
【0038】
経口投与のための薬学的組成物は、カプセル、錠剤、ドラガー(dragees)、ピル、ロゼンジ、粉末及び顆粒を含んでよい。適切な場合には、そのような組成物は腸溶コーティングのようなコーティングで調製されてよく、或いは、それらは、当該分野で周知の方法に従って、持続性放出や遅延された放出のような、活性成分の制御された放出を提供するために処方されてもよい。
【0039】
経口投与のための液体剤形は、溶液、エマルジョン、懸濁液、シロップ及びエリキシル剤を含む。
【0040】
非経口的投与のための薬学的組成物は、無菌の水性及び非水性注射用溶液、分散液、懸濁液又は乳濁液、並びに、使用前に滅菌の注射可能な溶液又は分散液に再構築される滅菌粉末を含む。持効性製剤(Depot)注射可能製剤もまた、本発明の範囲内であるとして考えられる。
【0041】
他の可能な投与形態は、坐薬、スプレー、軟膏、クリーム、ゲル、吸入薬、経皮パッチ及びインプラントを含む。
【0042】
GHSRFA組成物の典型的な経口投与量は、1日当り約0.0001〜約100 mg/kg体重の範囲にあると予期され、例えば1日当り約0.001〜約50 mg/kg体重、例えば(より具体的には)1日当り約0.01〜約25 mg/kg体重、の範囲にあると予期され、1日当り一以上の投与、例えば1日当り1〜3の投与で投与される。
【0043】
薬学的組成物は、当該分野の技術者に周知の方法論に従って、単位剤形であることが都合よい。1日当り一以上、例えば1日当り1〜3回のような経口投与のための典型的な単位剤形は、例えば、約0.05〜約2000 mgを含み、多くの場合に、約0.1〜約500 mg、例えば約0.5 mg〜約200 mgのGHSRFAを含む。
【0044】
静脈内、くも膜下腔内、筋肉内及び類似の投与経路のような非経口経路のための投与量は、典型的には、経口投与のために用いられる投与量の約半分の桁(order)である。
【0045】
GHSRFAは、遊離物質として、又はその薬学的に許容される塩として、特にその酸付加塩として投与されることが出来る。塩は、例えば、化合物の遊離塩基形態の溶液又は懸濁液を、典型的には、1当量(化学的当量、即ち、酸−塩基当量)の薬学的に許容される酸、例えば上記したそれらの代表的な例の中から選択される無機又は有機酸で処理することによって調製できる。
【0046】
非経口的な投与のために、滅菌水溶液、水性プロピレングリコール、又は適切な油性組成物(ごま油又はピーナッツ油のような)中に一以上のGHSRFAを含む溶液を用いることができる。そのような水性溶液は、必要であれば、適切に緩衝され、また、該液体は、最初に、十分な生理食塩水、グルコース、マンニトール又は他の薬学的に許容される張度調整物質を用いて、等張性を与えられる。水性溶液は典型的には、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与及び腹腔内投与のために特に適している。用いられる滅菌水性媒体は、当該分野の通常の技術者には周知の標準的な方法に従って、全て容易に入手可能である。
【0047】
適切な薬学的担体は、不活性な固体希釈剤又は充填剤、滅菌水性溶液及び種々の有機溶媒を含む。固体担体の例は、ラクトース、石膏、スクロース、シクロデキストリン、タルク、ゼラチン、アガー、ペクチン、アカシア、マグネシウムステアレート、ステアリン酸及びセルロースの低級アルキルエーテルである。液体担体の例は、シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、リン脂質、脂肪酸、脂肪酸アミン、ポリオキシエチレン及び水である。同様に、該担体又は希釈剤は、グリセリルモノステアレート又はグリセリルジステアレートのような、当該分野で既知の持続的放出物質を、単独で又は蝋と組み合わせて含んでよい。本発明の化合物と薬学的に許容される担体を組み合わせて形成した薬学的組成物は、それにより、開示された投与経路に適する種々の剤形で容易に投与される。製剤は、薬学の分野で周知の方法により、単位剤形で存在することが都合よい。
【0048】
経口投与に適する製剤は、カプセル又は錠剤のような分離したユニットとして存在することができ、それぞれ活性成分の所定量を含み、適切な賦形剤を含みうる。それらの製剤は、水性又は非水性液体中の溶液又は懸濁液として、或いは水中油エマルジョン又は油中水エマルジョンとして、粉末又は顆粒の形態であってよい。
【0049】
固体担体が経口投与のために用いられる場合、その調製は、粉末又はペレット形態にある硬質ゼラチンカプセル中に錠剤化されて配置されてよく、又は、トローチ又はロゼンジの形態であってよい。固体担体の量は、広く変化するが、ヒトへの投与のためには、通常約25 mg〜約1 gである。液体担体が用いられる場合、その製剤は、シロップ、エマルジョン、軟質ゼラチンカプセル又は、水性又は非水性液体懸濁液又は溶液のような滅菌注射用液体の形態であってよい。
【0050】
すでに示したように、GHSRFAは、ヒトにのみ投与可能なものではなく、動物、特に、脊索動物、及びさらに特には哺乳類(例えば、げっ歯類、非ヒト霊長類など)にも投与可能である。哺乳類には、例えば家庭のペット又は農場の動物などの飼いならされた動物、及び飼いならされていない動物のいずれも含まれる。
【0051】
適切な場合、薬学的組成物は、一以上のGHSRFAを、一以上の他の適切な薬学的活性物質と組み合わせて含んでよい。そのような物質の例には、抗糖尿病剤(例えば、経口抗糖尿病性薬物、インスリン、インスリン類似体、インスリン/インスリン類似体誘導体、GLP-1、GLP-1類似体、GLP-1/GLP-1類似体誘導体、抗-糖尿病性ビグアニド(例えば、メトホルミン)など)及び抗肥満症剤が含まれる。そのような第二の活性薬剤の面からの適合性は、日常的な方法及び原理によって決定されることができる。
【0052】
GHSRFA及びGHSRFA組成物の使用
他の側面において、本発明は、GHS-R活性に付随する、特に、持続的なGHS-R関連持続性カルシウム放出に付随する生理学的影響に付随する状態又は障害(例えば、疾患の状態、疾患以前の状態、症候群など)の治療のためのGHSRFAの使用に関し、一つの側面において、さらには、グレリン誘導性GHS-R関連持続性のカルシウム放出に付随する障害の治療のためのGHSRFAの使用に関する。言及される他の方法は、一つの側面において、本発明が、持続性のGHS-R関連カルシウム放出に付随する状態又は障害を治療する方法を提供し、具体的な側面においては、グレリン誘導性GHS-R関連持続性カルシウム放出に付随する障害又は状態である。
【0053】
「治療」という用語は、言及された疾患、障害、又は状態の予防及び最小化のいずれをも含むことを一般的に意味する(即ち、「治療」とは、文脈によって他に示されるか又は明らかに矛盾しない限り、化合物X又は化合物Xを含む組成物の予防的投与及び治療的投与のいずれをも称する;しかしながら、化合物X又は化合物Xを含む組成物の治療的投与、及び化合物X又は化合物Xを含む組成物の予防的投与は、別々に、本発明に独特であると考えられる)。例えば、一つの側面において、本発明は、例えば肥満症のような予期されるGHS-R関連状態の予防、及び/又は、治療なしで例えば肥満症のような状態をもたらした影響の最小化の結果の状態を治療する方法を提供する。
【0054】
一つの側面において、本発明は、肥満症の治療方法を提供し、該方法は、GHSRFAを含む薬学的組成物のような、GHSRFAの有効量、例えば治療的有効量を、ヒト患者のような、そのような治療を必要とするヒト患者のような被検者に、その肥満症を治療するために投与することを含む。他の側面において、本発明は、肥満症の治療のためのGHSRFA又はGHSRFA化合物の使用に関する。一つの側面において、ここで開示された使用又は方法は、GHSRFAが式Iの化合物ではないという条件によって限定される。しかしながら、他の側面において、本発明は、そのような側面における式Iの化合物の使用を提供する。他の側面において、任意のそのような側面の使用又は方法は、肥満症が中枢神経系(CNS)障害の治療に関していないという条件によって限定される。
【0055】
他の側面において、本発明は、他の抗肥満症薬剤、肥満症治療に関する手術、体重減少を伴うダイエット(例えば、低炭水化物ダイエットの、低カロリー摂取ダイエットなどの採用の結果)などによる治療によって得られたような、体重減少の維持を促進するための方法を提供し、該方法は、そのような体重が減少した被検者に、そのような体重減少を維持させるためにGHSRFAの有効量を投与することを含む。他の側面において、本発明は、被検者において、体重減少の維持、糖尿病の治療などの維持を促進する方法を提供し、ここで、該被検者は、著しく上昇したグレリンレベル(該被検者における通常の生理学的状態と比較して、及び/又は、同様の年齢、タイプなどの被検者における通常の生理学的状態と比較して)を付随していることを特徴とする。
【0056】
上記に示したように、本発明によって提供されるGHSRFA及びGHSRFA組成物の一つの有利な適用は、肥満症の治療のためのGHSRFAの能力である。肥満症という用語は、脂肪組織の過剰を意味する。この文脈において、肥満症は、健康リスクを加える任意の程度の過剰な脂肪組織と最もよくみなされる。正常な個体と肥満の個体との間の境界(cut-off)は、おおよそでしかなく、肥満によって加えられる健康リスクは、おそらく、体脂肪蓄積の増大と連続的である。本発明の状況において、体重指標(BMI = キログラムでの体重をメーターでの身長の二乗で割ったもの)が25以上である個体が、肥満とみなされる。この文書における肥満症の治療は、過体重又は肥満症として記載される状態であるものを含むがこれに限定されない被検者の任意の体重の低下又は体脂肪の減少を含む。
【0057】
肥満症の治療もまた、過食症障害(BED)、かなり新しい診断可能な障害−例えば、「Int.J.Obesity, 2002, 26, 299-307, and Curr.Opin.Pshyciatry, 17, 43-48, 2004」を参照されたい−の治療を一般に包含する。BEDは、神経性過食症(BN)と同じように、過食症発症によって特徴付けられる。しかしながら、BEDの被検者は、神経性過食症の患者と反対に、例えば、自己誘導性嘔吐、過剰な運動、及び下剤、利尿薬又は浣腸の濫用のような、代償的な行動に関与しない。一般の人口の1〜3%がBEDであり、一方、より高い罹患率(25〜30%まで)が肥満症患者について報告されていることが研究によって示されている[Int.J.Obesity, 2002, 26, 299-307]。それらの数字は、BED被検者が、肥満症であるか又は肥満症ではなく、肥満症患者がBEDであるか又はBEDでない、即ち、肥満症の原因がBEDであるということを示す。しかしながら、ある割合のBEDの被検者は、過剰なカロリー摂取のために、最終的に肥満になる。研究室の調査により、BED患者は、肥満コントロールグループと比較してデザート及びスナック(脂肪に富、タンパク質に乏しい)をより多く消費することが示されており [Int.J.Obesity, 2002, 26, 299-307]、本発明の化合物及び方法はBEDの治療に特によく適している。
【0058】
BNは、BEDがそうであるように、同じ過食症発症によって特徴付けられる。しかしながら、BNは、上記の代償的な行動によっても特徴付けられる。ある割合のBNの被検者は、代償的行動が、過剰なカロリー摂取を完全には代償できない範囲まで最終的に肥満症になる。調査はBNの患者とBEDの患者の過食を比較し、BNの被検者の過食は、BEDの被検者のものより、炭水化物及び糖の含量が高いと結論付けた。しかしながら、消費したカロリーの数字において、相違は発見されなかった[Int.J.Obesity, 2002, 26, 299-307]。本発明の化合物及び方法は、BNの治療によく適合することができる。
【0059】
食物に対する欲求又は特定の食物を食べることに対する激しい願望は、通常は、脂肪酸又は炭水化物に富む食物のような、エネルギーが高密度な食物に関係する [Appetite, 17, 177-185, 1991; Appetite, 17, 167-175, 1991]。そのような食物の例は、チョコレート、ビスケット、ケーキ及びスナックを含む。ある割合の食物欲求者(cravers)は、過剰なカロリー摂取のために、最終的に肥満になる。本発明の化合物及び方法は、食物欲求、特に脂肪又は炭水化物に富む食物を欲求することを治療するためによく適合できる。
【0060】
スナックは典型的には、本当の食事の間に食される軽くてカジュアルな、あわただしい便利な食事である。スナックは典型的に脂肪と炭水化物に富んでいる。調査により、特に米国の子供の間でのスナッキングの蔓延が増大していること、及び、スナッキングは、例えば子供の、BMIを上昇させる重要な原因であることが示されている [J.Pediatrics, 138, 493-498, 2001; and Obes.Res., 11, 143-151, 2003]。より健康的なスナックへの移行により、恐らく、昨年に起こったBMIの上昇を停止させるか又は変化させることが出来るかもしれない。脂肪及び炭水化物に富む食物から、低脂肪糖血症指標低食物へ食物の好みを移行させることが出来る医薬が望まれている。本発明の組成物及び方法は、スナッキングの量を減少させること、又はより健康的なスナックへスナックの好みを変化させることにおいて有用であり得る。よって、本発明は、そのような現象を達成するための方法を提供する。
【0061】
ある種のステロイドのようないくつかの薬物は、激しい体重増加を誘導すると知られている。理想体重から約7%の体重増加は、糖尿病及び循環器病並びに癌を含む他の肥満症関連疾患のような疾患をもたらし得る肥満症を伴うために、著しい健康リスクとみなされる。よって、一つの側面から、本発明は、そのような薬物に付随する体重増加を治療する方法に関する。具体的な側面において、本発明は、該薬物がCNS障害の治療には関係しないという条件によって改変されたような方法に関する。
【0062】
一つの側面において、本発明は、体重の維持、体重減少の維持を促進する方法、及び/又は、最適体重から約20%以上の体重を有する患者における、新規の体重減少の誘導及び/又は促進する方法に関連し、該方法は、GHSRFAの有効量を、該被検者に、所望の生理学的効果が達成されるように投与することを含む。
【0063】
一般に、「治療する又は治療」という用語は、疾患、状態又は障害を併用する目的のための、患者の管理及び治療を述べる。治療は一般に、症状又は合併症の発症を予防するため、症状又は合併症を軽減するため、又は疾患、状態又は障害を排除するための、本発明の化合物の投与を含む。肥満症の治療はそれ故、必要とする患者における、食物摂取の阻害、体重増加の阻害、及び体重損失の誘導を含む。
【0064】
一つの側面において、本発明は、肥満症及び関連する障害の治療に関する。他の側面において、本発明は肥満症に関連する障害の治療に関する。肥満症の治療と関連する「関連する障害」という用語は、これらに限定されないが、2型糖尿病、循環器病、癌、及びその病因が肥満症に由来する他の疾患を含む。特に有利な側面において、本発明は、糖尿病又は糖尿病に関連する状態(例えば、前糖尿病、インスリン耐性、メタボリック障害など)を治療する方法を提供し、該方法は、糖尿病又は糖尿病に関連する状態を治療するために、糖尿病又はその関連する状態に罹患しているか、又は、実質的なリスクで発達している患者に、GHSRFAの有効量を投与することを含む(具体的な側面において、該被検者は2型糖尿病に罹患している患者である)。他の側面において、本発明は、2型糖尿病、関連する状態、又はその両者の治療のための、医薬の調製のためのGHSRFAの使用に関する。
【0065】
具体的な側面において、本発明は、GHSRFAと第二の抗糖尿病薬剤の有効な組み合わせを、2型糖尿病を治療するために投与することを含む、2型糖尿病の治療方法を提供する。他の側面において、本発明は、2型糖尿病の治療のための医薬の調製のための、そのような薬剤の組み合わせの使用に関する。一つの側面において、前記第二の薬剤はインスリン、インスリン誘導体、インスリン類似体、又は誘導体インスリン類似体である。インスリン類似体は、天然のインスリンに生じる少なくとも一つのアミノ酸残基の欠失及び/又は置換によって、及び/又は、少なくとも一つの残基の追加によって、形式的に天然のインスリンの構造、例えばヒトインスリンのものに由来することができる、分子構造を有するポリペプチドである。付加及び/又は置換されたアミノ酸残基は、コード可能なアミノ酸残基であるか又は他の天然のアミノ酸残基であるか又は純粋な合成アミノ酸残基のいずれかであってよい。典型的には有用なインスリン類似体は、インスリンのB鎖の位置28が天然のPro残基からAsp、Lys、又はIleの一つに改変されたようなタンパク質を含む。他の態様において、B29に位置するLysもまた、代わりにProに改変される。また或いは、A21に位置するAsnは、Ala, Gln, Glu, Gly, His, Ile, Leu, Met, Ser, Thr, Trp, Tyr 又はValに改変され、特にGly, Ala, Ser, 又は Thrに改変され、好ましくはGlyに改変される。さらにその上、B3に位置するAsnは、Lys又はAspに改変され得る。インスリン類似体のさらなる例は、des(B30)ヒトインスリン、PheB1が欠失したインスリン類似体;A-鎖及び/又はB-鎖がN-末端伸長を有するインスリン類似体及びA-鎖及び/又はB-鎖がC-末端伸長を有するインスリン類似体である。よって、一つ又は二つのArg残基が、例えば、B1の位置に追加されてよい。インスリン分子又はインスリン類似体は、異種性の置換基の追加によって誘導体化され、例えば、そのようなタンパク質は、ヒトインスリンのB29における位置又はdesB30ヒトインスリンにおけるような位置のような、一以上の位置でアシル化される。アシル化されたインスリンの例は、NεB29-テトラデカノイルGlnB3 des(B30) ヒトインスリン)、NεB29-トリデカノイルヒトインスリン、NεB29-テトラデカノイルヒトインスリン、NεB29-デカノイルヒトインスリン、及びNεB29-ドデカノイルヒトインスリンである。周知のインスリンには、Humalog、Regular、NPH、Lenta、Ultralenta、及びLantusが含まれる。
【0066】
他の側面において、GHSRFAは、非インスリン抗糖尿病薬剤と有効に組み合わせて投与される。そのような第二の活性薬剤は、アカルボース(Precose)及びミグリトール(miglitol)(Glyset)のようなα-グルコシダーゼ阻害剤;トルブタミド、アセトヘキサミド、クロルプロプラミド(chlorpropramide)、トラザミド、グリピジド(glipizide)(Glucotrol)、グリメピリド(glimepiride)(Amaryl)、及びグリブリド(DiaBeta, Micronase, Glynase)のようなスルホニル尿素;レパグリニド(Prandin)及びナテグリニド(Starlix)のようなメグリチニド;メトホルミン(Glucophage)のようなビグアニド;トログリタゾン、ロシグリタゾン(rosiglitazone)(Avandia)及びピオグリタゾン(pioglitazone)(Actos)のようなチアゾリジンジオン(thiazolidinedione)(TZD)、或いは他のPPARアゴニスト(例えば、dual PPARアゴニスト、PPARγアゴニスト、etc.)、GLP-1、GLP-1類似体のような、GLP-1受容体アゴニスト、及び、リラグルチド(Liraglutide)又はエキセナチド(Exenatide)のようなそれらの誘導体;NVPDPP728、LAF237 (Vildagliptin)、スルホスチン(Sulphostin)、及びMK-0431のようなDPP IV阻害剤(米国特許第6,710,040号、6,432,969号、6,319,893号、6,303,661号、6,166,063号、6,124,305号、6,110,949号、6,107,317号;米国特許公開番号第20040082570号、第20050090539号、第20050043292号、第20040254167号、第20040242636号、第20040209891号、第20040171848号、第20040167341号、第20040167133号、第20040152745号、第20040132713号、第20040110817号、第20040106656号、第20030176357号、第20030166578号、第20030130199号、第20030119750号、第20030100563号、第20020193390号、第20020110560号、及び第20020006899号;及びWiedman et al., Curr Opin Investig Drugs. 2003 Apr;4(4):412-20;Abe et al., J Antibiot (Tokyo). 2005 Feb;58(2):111-7;Yamakazi et al., Eur J Pharmacol. 2004 Mar 19;488(1-3):213-8;Cohen et al., Biochimie. 2004 Jan;86(1):31-7をも参照されたい)。他の抗糖尿病薬剤は、AVE-0010、BIM-51077、LAF-237、MK-431、リボグリタゾン(Rivoglitazone)(CS-011)、T-131、MBX-102、R-483、CLX-0921、ガリダ(Galida)(tesaglitazar)、ムラグリタザル(Muraglitazar)、ナベグリタザル(Naveglitazar)(LY-818)、TAK-559、ネトグリタゾン(Netoglitazone)、GW-677594、LY-929、アミリン(Amylin)類似体、シムリン(Symlin)(pramlintide)、ナトリウムグルコース共-輸送体(SGLT)阻害剤(AVE-2268のような)、グリブリド、グルコトロール(Glucotrol)、アマリル(Amaryl)、及びプレコース(Precose)を含む。
【0067】
インスリン擬態もまた、当該分野で既知であり、そのような薬剤も又或いは一以上のGHSRFAと共投与などされるのに適切であり得るものであり、又は、関連した別々の投与方法に適している(代表的なインスリン擬態のいくつかの分類の記述は、例えば、米国特許公開番号第2003195147号及び第2003236190号を参照されたい)。
【0068】
本発明は、一以上のGHSRFA及び一以上の第二の活性成分(糖尿病の治療、肥満症の治療、又はその他の状況のいずれにせよ)及びそのような組み合わせを含む組成物の共投与、並びにそのような薬剤の別々の投与(別々の投与はそれでも、被検者に混合性の効果を与えるような方法で提供される)を提供する。
【0069】
さらなる側面において、本発明は、ヒト患者、例えば過剰な食欲を訴えるヒト患者又は過剰食欲に付随する状態を受けている及び/又は体重減少が重要な健康関連目的として確認されているような、被検者において食欲を抑制する方法に関し、GHSRFAの有効量を、そのような食欲が抑制される被検者に投与することを含む。他の側面において、本発明は、ヒト患者において食欲を抑制するための医薬の調製における、GHSRFAの使用に関する。
【0070】
ここで用いられる「投与する」「投与」などの用語は、該物質がGHS-Rと相互作用可能なように、体内にGHSRFAを導入するための任意の手段を含む。典型的に有利な投与経路は、GHSRFAの全身循環への導入である。例には、これに限定されないが、経口;経皮;皮下、静脈内、及び筋肉内注射が含まれる。典型的には、ここで記載する方法の実行において、GHSRFA又はGHSRFA組成物は、哺乳類、好ましくはヒトに、大量瞬時投与としての静脈内投与のような方法、或いは、筋肉内、腹腔内、脳内、脳脊髄内、皮下、関節内、滑液内、くも膜下腔内、眼内、病巣内、経口、局所的、吸入による、一定期間の間の連続的な注入による方法、又は持続性放出を通じての方法のような、既知の方法に従って投与される。
【0071】
一つの側面において、本発明は、肥満症又は上記の状態のような関連する障害の組み合わせ治療に関連し、組み合わせ治療は、GHSRFA及び第二の抗肥満症薬剤(又は抗肥満症治療の適用、例えば食餌治療、外科的治療など)の別々の投与によって達成されうる。ここにおいて、該組み合わせは、被検者(例えばそのような治療を必要とする患者)及び/又は同様の被検者の集団において肥満症を治療するために有効である。そのような化合物の例は、これらに限定されないが、apo-B/MTP阻害剤、MCR-4アゴニスト、CCK-Aアゴニスト、モノアミン再取り込み阻害剤、交感神経模倣薬薬剤、β3 アドレナリン作動性受容体アゴニスト、ドーパミンアゴニスト、メラノサイト-刺激ホルモン受容体類似体、5-HT2c受容体アゴニスト、メラニン濃縮ホルモンアンタゴニスト、レプチン、レプチン類似体、レプチン受容体アゴニスト、ガラニン受容体アンタゴニスト、リパーゼ阻害剤、ボンベシン受容体アゴニスト、神経ペプチド-Y受容体アンタゴニスト、チロ擬態性薬剤(thyromimetic agents)、デヒドロエピアンドロステロン又はそれらの類似体、グルカゴン受容体アンタゴニスト及び逆性アゴニスト、グルココルチコイド受容体アンタゴニスト、アノレキシン(anorexin)受容体アンタゴニスト、グルカゴン様ペプチド-1受容体アゴニスト(米国特許公開第20050043228号、第20040242853号、第20040235710号、第20040220105号、第20040146985号、第20040138100号、第20040127412号、第20040127398号、第20040106547号、第20040053370号、第20040018981号、第20040018975号、第20040002442号、第20030232754号、第20030199672号、第20030199451号、第20030144206号、第20030143183号、第20030119734号、第20030108568号、第20030022816 号、第20020123466号、第及び20010011071、並びに米国特許第6,458,924号、第6,451,974号、第6,268,343号、第5,631,224号、第及び RE37,302に開示されているような、GLP-1類似体、誘導体、組成物などのような)、毛様体神経栄養性因子、ヒトアグーチ-関連タンパク質アンタゴニスト、真グレリン受容体アンタゴニスト(例えば、背景及び該化合物に関する他の場所で提供された幾つかの引用を参照されたい)、ヒスタミン3受容体アンタゴニスト又は逆性アゴニスト、オキシレキシン(oxirexin)受容体アンタゴニスト(例えば、Haynes et al., Regul Pept. 2002 Mar 15;104(1-3):153-9を参照されたい)、及びニューロメディンU受容体アゴニストを含む。そのような治療方法、及び関連する原理、方法、組成物などにおける、GHSRFAと組み合わされる薬剤のさらなる例は、例えば、米国特許公開第20050054656号、第20050026983号、第20040259887号、第20040122074号、第20040204472号、第20040204398号、第20040132779号、第20040092520号、及び第20030212063号に開示されている。
【0072】
他の側面において、GHSRFAは、GHSRFAは、例として、これらに限定されないが、化学的脱共役薬剤及び種々の発熱性及び/又は摂食障害(anorectic)/摂食障害(anorexic)化合物が含まれる、エネルギー消費を増加させるように影響する一以上の化合物について、組み合わされ、共に投与され、又は投与される(全3つのそのようなストラテジーは、他に示さない限り、ここで記載された種々の組み合わせの全てに適用可能である)。そのような薬剤の具体的な例には、チロキシン、UCP-1、UCP-2、UCP3、StUCP、及びAtUCP(及び活性化類似体、断片、及び/又はそれらの誘導体)のような脱共役タンパク質(例えば、 Nedergaard et al., Biochim Biophys Acta. 2001 Mar 1;1504(1):82-106; Ricquier et al., Biochem J. 2000 Jan 15;345 Pt 2:161-79; Ricquier et al., J Physiol. 2000 Nov 15;529 Pt 1:3-10; Ricquier et al., J Intern Med. 1999 Jun;245(6):637-42; Boss et al., Diabetes. 2000 Feb;49(2):143-56; Schrauwen et al., Obes Res. 1999 Jan;7(1):97-105を参照されたい)並びにそれらの調節因子(例えば、Berraondo et al., Int J Obes Relat Metab Disord. 2000 Feb;24(2):156-63を参照されたい)、及び、他の化学的脱共役化合物(例えば、Massicot et al., Int J Obes. 1985;9(6):451-8; Soltoff, J. Biol. Chem., Vol. 279, Issue 12, 10910-10918, March 19, 2004を参照されたい)或いはウコルチン(ucortin)(例えば、Cullen et al., Endocrinology. 2001 Mar;142(3):992-9を参照されたい)、柑橘類アウランチム(aurantium)、及びチロキシン/チロキシン(例えば、Palamarchuk et al., Biochemistry (Mosc). 2002 Apr;67(4):468-72を参照されたい)のような他の関連する効果を有する化合物が含まれる(また、Ricquier, Int J Obes Relat Metab Disord. 1999 Jun;23 Suppl 6:S38-42; 及びAstrup, Endocrine. 2000 Oct;13(2):207-12を参照されたい)。そのような組み合わせに適する他の化合物は、グリセロール-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、リンゴ酸酵素及び/又は脂肪酸アシルCoAオキシダーゼ(例えば、7-オキソDHEA)のような、内在性発熱性酵素の活性を増強する薬剤を含む。肥満症の治療及びエネルギーレベルの制御に関する、関連する化合物及び他の化合物及び他の方法の記述には、「Burkey et al., Metabolism. 2000 Oct;49(10):1301-8」及び米国特許公開第20040110951, 20050079203, 20040259780, 20030040535, 20040081678, 20040157929, 20040137035, 20050033524も参照にされたい。
【0073】
エネルギーの制御及び/又は糖尿病の治療に関する他の化合物は、キセンドリン(Xenedrine)、エフェドリン、カフェイン、及び他の天然の又は人工的に誘導された刺激薬(例えば、phenylpropanolamine (DL-norephedrine))のような物質、デキスフェングルラミン(dexfenfluramine)及びフェンフルラミン(fenfluramine )(Servier Laboratories)のような摂食障害薬剤を含む組成物を含む。食欲を阻害する他の薬物は、フルオキセチン(選択的セロトニン取り込み阻害剤)、ジエチルプロピオン(1-フェニル-2-ジエチルアミン-1-プロパノンヒドロクロリド)、マジンドール及びフェンテルミン(ノルアドレナリン作動性薬剤)を含む。一つの側面において、治療又は組成物の組み合わせは、一以上の適切なアドレナリン作動性アゴニストを含む、任意の適切なタイプの発熱性薬剤であってよい発熱性薬剤を伴う。他の側面において、治療/組成物の組み合わせは、又或いは、テトラヒドロリポスタチン(Orlistat; Hoffman La Roche)又は脂肪消化を遮断する他のリパーゼ阻害剤のような、食物の消化又は吸収を遮断する組成物を含む。
【0074】
他の側面において、治療及び/又は組成物の組み合わせは、カテコールアミン作動性薬物(アドレナリン及び/又はノルアドレナリン、又は任意の他の関連する刺激性神経伝達物質の、脳レベルを上昇させる薬剤)を含む。フェンテルミンは、そのような薬剤の例である。或いはまた、フェンフルラミン、又はカテコールアミン作動性及びセロトニン作動性の性質の両方を有する化合物(例えば、メリジア(Meridia))のような、セロトニン放出促進剤が含まれうる。カテコールアミン作動性薬剤は、アンフェタミン及びその誘導体(主にフェニルエチルアミン)のような交感神経様作動薬を含む。この分類の他の薬剤は、ジエチルプロピオン、フェンテルミン及びマチンドールを含む。
【0075】
方法又は組成物の組み合わせに包含される適切な組成物の他の具体的な例には、ベンズフェタミン、フェンジメトラジン、フェンテルミン、ジエチルプロピオン、マチンドール、及びフェニルプロパノールアミンが含まれる。
【0076】
他の側面において、組み合わせ組成物又は治療は、抗肥満症効果を促進するために(例えば、CP-94,253のような選択的5-HT1B受容体アゴニスト)、フェンフルラミン(例えば、DL-フェンフルラミン、単独で又はフェンテルミンと共に)のようなセロトニン作動性薬剤、又は、d-フェンフルラミン(デキスフェンフルラミン、DFN)又は同様の性質を有するセロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)(例えば、フルオキセチン、プロザック(Prozac)又はセルタリン(sertaline))、又は5-ヒドロキシトリプトアミン(5-HT)受容体サブタイプで作用する薬剤(例えば、5-HT2Cではなく5-HT1B受容体で活性化する薬物)を含む。
【0077】
他の側面において、D2ドーパミンアゴニストブロモグリプチンのようなドーパミン作動性薬剤もまた或いは組み合わせ方法又は組成物に含まれる。
【0078】
他の具体的な側面において、CL 316,243 及び CL314,698のような、β3-アドレナリン受容体アゴニストもまた或いは、組み合わせ方法又は組成物に含まれる(ここに記載された全ての組み合わせは、前記混合性薬剤が前記組み合わせ中に含まれる薬剤の種々の量を与えられる有効な量で集合的であると考えられる)。
【0079】
他の代表的な抗肥満症薬剤は、シブトラミン(Sibutramine)化合物(例えば、シブトラミン塩酸塩一水和物)、リプスタチン(lipstatin)誘導体(例えばOrlistat)、神経ペプチドY (NPY)アンタゴニスト(例えば、NGD-95-1、ニューロゲン(Neurogen)、及びSR-120819A、サノフィ-アヴェンティス(Sanofi-Aventis))、及びNPY5受容体調節因子、コレシストキニン及び関連するペプチド(類似体、誘導体など、及び相互作用するペプチド)、コルチコトロピン関連因子(CRF)及び関連するペプチド、及び種々の抗肥満症及び/又はエネルギー制御栄養素及び/又はニュートラセウティカル(neutraceuticals)、例えば、3-ヒドロキシ酪酸 (3-OHB)及び内在性脂肪酸誘導体、例えば、3,4-ジヒドロキシブタノエートそのラクタム(2-ブテン-4-オリド)、コレシストキニンA (CCKA)受容体アンタゴニスト、β2-アドレナリン作動性アゴニスト(例えば、クレンブテロール)又はβ3-アゴニスト、セロトニンのようなアドレナリン作動性受容体と相互作用するモノアミンを含む。CCK、ボンベシン、グルカゴン、インスリン、エンテロスタチン、シクロヒスチジル-プロリン、ソマトメジン、アミリン、レプチン、及びアポタンパク質IV (apo IV)のような種々の内在性ペプチドは、全て食物摂取を減少させ、そしてそれら又は関連するペプチド(再び、類似体、誘導体、活性断片など、又は、ペプチドをコードする核酸、ベクターなどのような、関連する化合物(そのような関連化合物は、他に指示しない限り、ここで開示された任意のペプチド、タンパク質などのために用いることができ、該方法に関するここにおける任意のペプチドの記述は、ここで提供される発明的組成物、方法などにおける、そのような関連する化合物の使用を、含蓄的に支持していると理解されるべきである)は、ここで開示された他の潜在的な組み合わせ相手に加えて又或いは代わりとして、組み合わせ方法及び組成物に含むことが出来る。CCKのペプチド類似体、CCKアゴニストであるベンゾジアゼピン、CCKのタンパク分解性分解に対するアンタゴニスト及びGl路におけるCCK放出因子は、組み合わせ方法及び組成物に包含されるさらなる又は代わりの候補である。
【0080】
グルカゴン様ペプチド-2 (GLP-2)受容体アンタゴニストは、治療及び/又は組成物の組み合わせのために考慮され得る他の分類の薬剤である。
【0081】
ガストリン放出ペプチド(GRP)、グルカゴン、及びインスリン低投与治療のようなインスリン治療は(及びインスリン-関連分子、他の場所で開示した及び/又はさもなければ、当該分野で既知の、食物摂取を制御する性質を有するか、及び/又は、インスリンの低投与影響上を擬態又は改良するような投与量で提供される)、又はジアゾキシドのような、食欲抑制及び/又は肥満症治療方法におけるインスリンを低下させる他の薬剤もまた或いは、組み合わせ組成物又は方法に含むことが出来る。
【0082】
エンテロスタチン(Enterostatin)、ソマトスタチン(Somatostatin)(SRIF)、アミリン(又は島-関連ポリペプチド)、ドーパミン、ヒスタミン、GABA、グルタメート、5-ヒドロキシトリプトファン、ラクテート、ピルベート、3-ヒドロキシブチレート、3,4-ジヒドロキシブタノエート、2-ブテン-4-オリド、5-ヒドロキシトリプトファン、没食子酸プロピル、シモンドシン(Simmondsin)、アポタンパク質IV、コレシストキニン(CCK)、エンテロスタチン、ニューロメディンB 及び C、インクレチン、及び抗-肥満ステロイド、例えば、DHEA、7-オキソ-DHEA、及びオレイストロン(oleyestrone)、ソマトスタチン受容体リガンド、肥満関連インターロイキン(IL-6のような)、シクロ-ヒスチジル-プロリン(cyclo-his-pro)、ヒスタミン受容体アンタゴニスト、例えばH1 アンタゴニスト(例えば、PVN/VMH)、カルシトニン及びその遺伝子-関連ペプチド、オキシトシン、アルギニンバソプレッシン、及びH2-ブロッキング薬物(例えば、シメチジン)、MSH化合物(例えば、α-MSH)、及びそれらと関連する化合物(例えば、ここで言及されたペプチドに関連するペプチド)もまた或いは、組み合わせ組成物及び方法に包含することができる。それら及び組み合わせ治療及び方法のためのさらなる薬剤又は代わりの薬剤として有用であり得る他の種々の化合物は、例えば、「Bray and Frank, 「Current and Potential Drugs for Treatment of Obesity」 in Endocrine Reviews 20 (6): 805-875, 1999」に開示されている。
【0083】
他の側面において、GHSRFAは、抗肥満手術(典型的には胃の手術)と組み合わせて(例えば、その前、その間及び/又はその適用の後)投与され、この手術には、他の適切な手術技術も用いられるが、典型的には、小さい胃の嚢が小腸に直接排出されるように吻合が作られるバイパス手術か、又は、わずかな量の食物のみが通過できるように、小さい嚢が胃の中に封鎖される胃ステープル(gastro stapling)の何れかの形態で行われる。
【0084】
抗肥満症剤、方法、及び、本発明に従って一以上のGHSRFAの投与と組み合わされることが出来る関連する成分についての関連する文献は、十分に備えられている。この点に関する関連する刊行物の例(他の部分で記載した技術及び組成物、及び、そのような組み合わせのアプローチに包含されるさらに有用な方法及び組成物に関して)には、次のものが含まれる:Halford et al., Curr Drug Targets. 2005 Mar;6(2):201-13; Crouch, Adv Nurse Pract. 2005 Mar;13(3):53-6; Bell-Anderson et al., Treat Endocrinol. 2004;3(1):11-8; Pender et al., Psychiatr Clin North Am. 2005 Mar;28(1):219-34; Bray, Psychiatr Clin North Am. 2005 Mar;28(1):193-217, ix-x; Wadden et al., 「Behavioral treatment of obesity」Psychiatr Clin North Am. 2005 Mar;28(1):151-70, ix; Jakicic et al. (behavioral therapy in general as a combined treatment factor is contemplated), 「Physical activity recommendations in the treatment of obesity」, Psychiatr Clin North Am. 2005 Mar;28(1):141-50, ix (physical/exercise therapiesin general as a combined treatment factor arecontemplated); Makris et al., Psychiatr Clin North Am. 2005 Mar;28(1):117-39, viii-ix; Astrup et al., 「Topiramate: a new potential pharmacological treatment for obesi
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【0085】
本発明のGHSRFA及びGHSRFA組成物は、持続性GHS-R関連カルシウム放出に関係する他の障害の治療において用いることができる。一つの側面において、本発明は、被検者における血管新生を減少させる方法であって、該方法は、被検者のそのような血管新生が減少するように、GHSRFA又はGHSRFA組成物の有効量を被検者(それを必要とするヒト患者のような)に投与することを含む。さらに具体的な側面において、本発明は、被検者における血管新生が関連する癌(カルシノーマが関連する腫瘍成長のような)を治療する方法を提供し、該方法はGHSRFA又はGHSRFA化合物の有効量を該被検者に投与することを含む。他の側面において、本発明は、血管新生が関連する癌又は前癌性状態のような、血管新生が関連する障害を治療するための、医薬の調製のためのGHSRFAの使用に関する。
【0086】
他の側面において、本発明は、消化管の運動活性を減少させるための方法を提供し、該方法は、そのような運動活性が減少するように、GHSRFA又は関連する化合物の有効量を、そのような治療を必要とするヒト患者のような被検者に投与することを含む。他の側面において、本発明は、そのような活性に関する障害を治療する方法に関する。具体的な側面において、本発明は、そのような障害の治療の方法を提供し、ここで該障害は、過敏性大腸症候群、酸逆流性障害、及び他の関連する障害である。
【0087】
他の側面において、本発明は、それを必要としているヒト患者のような被検者において、覚醒及び/又は注意を増大することによるような、CNS−関連障害の治療方法を提供し、該方法は、被検者において障害の治療又は所望の生理学的効果を促進するように、GHSRFAの有効量を投与することを含む。具体的な側面において、本発明は、ナルコレプシー、睡眠-覚醒撹乱、閉塞性睡眠時無呼吸(又は日中の眠気又は傾眠を引き起こす他の状態)に罹患している被検者の日中の眠気又は傾眠、ADHD、アルツハイマー病、パーキンソン病、非アルツハイマー性痴呆、うつ病及び精神分裂病から選択される一以上の生涯を治療する方法を提供し、該方法は、該状態を治療するため又は所望の効果を誘導するために、GHSRFAの有効量を投与することを含む。
【0088】
他の側面において、本発明は、患者の増大された覚醒及び/又は注意を促進することによるような、CNS−関連障害の治療のための医薬の調製のための、GHSRFAの使用に関する。
【0089】
他の側面において、本発明は、GHS-R活性に付随する過剰な骨成長を減少させる方法に関する。これに関して、該方法は、末端肥大症、広汎性の特発性骨格過骨症、肥大性骨関節症、マルファン症候群、肥厚性関節炎、及びある型のパジェット病のような障害を治療する方法を提供する。
【0090】
さらに他の側面において、本発明は、被検者におけるグレリンの血管収縮薬活性を、寛解させ、減少させ、又は阻害する方法を提供し、該方法は、該活性が寛解され、阻害されるなどするように、該被検者にGHSRFAの有効量を投与することを含む。
【0091】
代表的な実験化合物、方法及びデータ
以下の代表的な実験、化合物、及びデータは、本発明の具体的な側面を説明するために提供されるものであり、その範囲を如何なる意味においても限定するように解釈されるべきではない。
【0092】
代表的GHSRFA
本発明を説明する目的で、ここで多数の代表的GHSRFA化合物を詳細に記述する。さらに、それらの化合物のほとんどに関する実験を記載する。
【0093】
式I GHSRFA化合物
一つの側面において、本発明の種々の方法において用いられ得るGHSRFAは、式Iに従う構造を含む(しかし典型的には、それから成るか又は本質的にそれから成る)化合物、及びそれらの薬学的に許容される塩である:
【化1】
【0094】
ここにおいて、R1 及び R2 は互いに独立して水素又はC1-6アルキルであり、又は、R1 及び R2 は共に、C2-5アルキレン基を形成し;J は次の基
【化2】
【0095】
であり、任意に、一以上のC1-6アルキル又はハロゲンで置換され;m は1、2又は3であり;R3はC1-6アルキルであり;p は 1、2又は3であり;G は次の基
【化3】
【0096】
であり、任意に、一以上のC1-6アルキル又はハロゲンで置換され;R4 及び R5 は互いに独立して水素又はC1-6アルキルであり;及びR6 は水素又はC1-6アルキル、好ましくは水素である。
【0097】
式Iの化合物は、一以上の不斉中心を有することができ、そして、分離され、純粋又は部分的に純粋な光学異性体又はそれらのラセミ混合物の形態にある、任意の及び全ての光学異性体が式Iの範囲に含まれる。E及びZ幾何異性体(上記の式Iの構造の左側のオレフィン二重結合に関して)のいずれも同様に式Iの範囲内に含まれる。
【0098】
一つの側面において、本発明は式Iの化合物を用いる方法を提供し、ここでR1 及び R2 はいずれもアルキル、好ましくはメチルである。一つの側面において、本発明は式Iの化合物に関し、ここでJ も同じであるか又は代わりに2-ナフチルである。一つの側面において、mもまた或いは代わりに1である。一つの側面において、R3はメチルである。他の側面において、pは1である。他の側面において、Gはフェニルである。他の側面において、R4はメチルである。他の側面において、R5は水素又はメチルである。さらに他の側面において、R6は水素又はメチルである。それらの特徴の任意の適切な組み合わせを含む式Iの組成物が、本明細書で記載される種々の方法において用いられることができる。
【0099】
式Iと関連して、「C1-6アルキル」という用語は、1〜6の炭素原子の直鎖(直鎖状の)、分枝鎖及び環状のアルキル基を含むように意図される。関連する直鎖状のC1-6アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルである。分枝C1-6アルキル基の例は、イソプロピル、s-ブチル、t-ブチル、イソペンチル及びイソヘキシルである。環状基(C3-6シクロアルキル基)の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルである。本明細書における「C1-6アルキル」という用語は、同様に、例えば、1〜6の炭素原子を有するシクロアルキル-置換アルキル基を含み、その例には(シクロプロピル)メチル、(シクロプロピル)エチル、(シクロプロピル)プロピル、(シクロブチル)メチル、(シクロブチル)エチル及び(シクロペンチル)メチルのような基が含まれる。特に適切なC1-6アルキル基は、多くの場合、C1-3アルキル基、即ち、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル及びシクロプロピルから選択される。
【0100】
「C2-5アルキレン基」(即ち、C2-5アルカンジイル基)という用語は、2〜5の炭素原子の直鎖(直鎖状)及び分枝鎖のアルカンジイル基のいずれをも含むように意図される。関連する直鎖状基は:-CH2-CH2-;-CH2-CH2-CH2-;-CH2-(CH2)2-CH2-;及び-CH2-(CH2)3-CH2-である。適切な分枝した基の例には、-CH2-CH(CH3)-;-CH2-CH(CH3)-CH2-;-CH2-CH2-CH(CH3)-;-CH2-(CH2)2-CH(CH3)-;及び-CH2-CH2-CH(CH3)-CH2-が含まれる。
【0101】
「ハロゲン」という用語は、Cl、F、Br及びIを含む。式Iと関連して特に適切なハロゲンは、Cl及びFである。
【0102】
式Iの範囲内のGHSRFAの具体的な例は、以下の化合物のジアステレオ異性体である:(2E)-4-アミノ-4-メチルペント-2-エノイック酸(enoic acid){(R)-1-[N-[1-(3-(N-メチルカルバモイル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-2-フェニルエチル]-N-メチルカルバモイル]-2-(2-ナフチル)エチル}アミド:
【化4】
【0103】
より具体的には、該ジアステレオ異性体は、請求の範囲と共に本明細書中で「ジアステレオ異性体2」又は「D2」と呼ばれ、これは、以下の1H-NMR分光学的データ(DMSO-d6中、ジアステレオ異性体2の酢酸塩として)を示す: δ= 1.30 (s, 3 H); 1.32 (s, 3 H); 1.95 (s, 3 H); 2.55 (d, 2 H); 2.80 (d, 3 H); 3.00 (s, 3 H); 3.30 (dd, 1 H); 3.50 (dd, 1 H); 5.00 (q, 1 H); 6.05 (dd, 1 H); 6.10 (d, 1 H); 6.60 (d, 1 H); 7.15-7.90 (m, 12 H); 8.70 (d, 1 H); 及び 8.95 (q, 1 H);及びこれは、WO 96/22997 (そのような方法は、本明細書のさらに他の部分で簡単にさらに記載される)の52-53頁に記載されたように行われるこの化合物の、二つのジアステレオ異性体(ジアステレオ異性体1及びジアステレオ異性体2)のHPLC分離における、より緩徐に溶出するジアステレオ異性体である。
【0104】
式Iの他の化合物の例は、下記の式を有する、(2E)-4-アミノ-4-メチルペント-2-エノイック酸{1-[N-[1-(3-(N,N-ジメチルカルバモイル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-2-フェニルエチル]-N-メチルカルバモイル]-2-(2-ナフチル)エチル}アミド(ジアステレオマー2):
【化5】
【0105】
及び、下記の式を有する、(2E)-4-アミノ-4-メチルペント-2-エノイック酸N-{(R)-1-[N-[1-(3-(N,N-ジメチルカルバモイル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-2-フェニルエチル]-N-メチルカルバモイル]-2-(2-ナフチル)エチル}-N-メチルアミド:
【化6】
【0106】
である。
【0107】
式Iの化合物の調製における一般的な適用の方法は、WO 96/22997の24〜25頁に開示されている「一般的方法E」であり、当該分野の通常の技術者は、式Iの範囲内の所望の化合物をそれらに基づいて調製することができるであろう。
【0108】
一つの側面において、本発明は、式Iの化合物ではないことを特徴とするGHSRFAに関する(例えば、一つの側面において、本発明はGHSRFAに関する。但し、そのようなGHSRFAは式Iの化合物ではない;一つの側面において、本発明は、ここで開示される発明的方法の何れかにおけるGHSRFAの使用に関する。ここで、該GHSRFAは、式Iの化合物ではない)。
【0109】
化合物D
他の代表的なGHSRFAは、次の構造を有する、(R)-5-(1-(2-(3-(アミノメチル)ベンズアミド)-N-メチル-3-(ナフタレン-2-イル)プロパンアミド)-2-フェニルエチル)-N-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-カルボキサミド(化合物A)(式C34H34N6O4;分子量(MW): 590.688)である:
【化7】
【0110】
本明細書において特定の化合物に対する構造及び命名法が異なっている場合であっても、読者は、提供された初めの主要な構造によって指導されるであろう。
【0111】
化合物B
他の有用な代表的GHSRFAは、次の構造を有する、(R,E)-5-(1-(2-(4-アミノ-N,4-ジメチルペント-2-エナミド)-N-メチル-3-(ナフタレン-2-イル)プロパンアミド)-2-フェニルエチル)-N,N-ジメチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-カルボキサミド(化合物B、これは上記にも簡単に開示されている)(式 C34H40N6O4; MW: 596.7357)である:
【化8】
【0112】
他に言及しない限り、本明細書で提供される任意の具体的な代表的GHSRFA化合物構造は、該化合物の全ての立体異性体、該化合物の塩などの開示をも提供することが理解されるであろう。通常の技術者には、ここで提供された構造に従って単独の特定の立体異性体がGHSRFAとして作用し得ることが認められるであろう。そのような立体異性体は、例えば特定のジアステレオマーは、日常的な実験によって、与えられたそのような化合物を容易に同定することができ、そのような形態がGHSRFAとして作用するか否かを決定するために、ここで提供された本発明の方法を用いて評価されることができる。即ちそれは、単独の特定の分離されたジアステレオマーがGHSRFAとして作用する場合である。「最速溶出方法(fastest eluting method)」は、特定の構造を有する混合物から分離されたジアステレオ異性体を得るための都合の良い方法であり、分離されたジアステレオ異性体はGHSRFAとして作用し得る。
【0113】
代表的な「最速溶出方法」は、以下の通りである:HPLC (Method 01_B4): 逆相クロマトグラフィー分析は、ウォーター(登録商標)300C-18シンメトリーカラム、3.9 mm x 150 mm 5 μを用いた、ウォーターズ(Waters)(登録商標)ミレニウムシステムを用いて行った。該カラムは、42℃まで熱され、水中の5-90 %アセトニトリル、85-0 % 水及び10 % トリフルオロ酢酸(0.5%)の直線勾配で、流速1 分/分で15分に渡って溶出された。最初の溶出分子は、D1立体異性体として処理され、第二のものはD2立体異性体として処理された(該化合物の実際の立体化学がそのような分析によっては決定されないとしても)。分離された立体異性体は、それらがGHSRFAとして作用するか否かを決定するために、ここで記載された本発明の分析的方法に供される。この方法の実行によって、化合物B、B-D2の一つの分離されたジアステレオ異性体が、GHSRFAではない(しかし、実際にはGHS-Rの純粋なアンタゴニストである)ことが決定され、他方で化合物B、B-D1の他のジアステレオ異性体はGHSRFAである。これは、特定の形態のGHSRFAが容易に同定され得ることをさらに説明する(例えば、一つの側面において、ここで提供される本発明のスクリーニング方法は、GHSRFA活性のための分離されたジアステレオマーを試験することを含む)。
【0114】
化合物E
他の代表的なGHSRFAは、3-(2-クロロフェニル)-N-(4-(ジエチルアミノ)フェニル)-5-メチルイソキサゾール-4-カルボキサミド(化合物E)である。この化合物は、式C21H22ClN3O2 、MW 383.87、及び次の構造を有する:
【化9】
【0115】
化合物F
さらに代表的なGHSRFAは、化合物3-(5-(4-エトキシフェニル)-4-p-トルイル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン(化合物F)(式 C22H20N4O; MW: 356.42)であり、これは次の構造を有する:
【化10】
【0116】
化合物G
さらなる代表的なGHSRFAは、化合物1-(2-クロロ-4-メチルベンゾイル)-3-(4-(オキサゾロ[4,5-b]ピリジン-2-イル)フェニル)チオウレア(化合物G)(式 C21H15ClN4O2S; MW: 422.89)であり、これは次の構造を有する:
【化11】
【0117】
化合物H
さらなる代表的なGHSRFAは、化合物(E)-N1-((4-(4-クロロフェニル)-3,4-ジヒドロベンゾ[f]キノリン-3-イル)メチレン)-N4,N4-ジメチルベンゼン-1,4-ジアミン(化合物H)(式 C28H24ClN3; MW:437.96)であり、これは次の構造を有する:
【化12】
【0118】
化合物I
さらなる例証となるGHSRFAは、化合物0892-0000-1755 (式 C25H36N2O3; MW: 412.56)であり、これは次の構造を有する:
【化13】
【0119】
化合物J
さらに他の代表的なGHSRFAは、化合物Jであり、これは次の構造を有する:
【化14】
【0120】
化合物K
さらに他の代表的なGHSRFAは、化合物Kであり、これは次の構造を有する:
【化15】
【0121】
化合物L
さらに他の代表的なGHSRFAは、(R)-5-(1-(2-(3-(アミノメチル)ベンズアミド)-N-メチル-3-(ナフタレン-2-イル)プロパンアミド)-2-フェニルエチル)-N-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-カルボキサミドであり、これはここでは化合物Lとしても呼ばれ(式 C34O4、 MW:590.688)、次の構造を有する:
【化16】
【実施例】
【0122】
実施例1−グレリン誘導性GHS-R関連持続性カルシウム放出のGHSRFA阻害の評価のためのアッセイ
以下のアッセイは、GHS-Rが結合した候補化合物がグレリン誘導性GHS-R関連持続性カルシウム放出を阻害する能力を有するか否かを決定するために用いることができる。この基本的な技術は、本明細書で他に開示する多くの具体的なGHSRFAを同定するために適用された。
【0123】
GHS-Rが過剰発現される、ヒト胚性腎293細胞(HEK293/GHS-R)(これは、従来の方法で作成される)が96穴のプレート中の適切な培地中に蒔かれ、一晩インキュベートされる。蒔かれたHEK293/GHS-R細胞は、約30分間FURA2カルシウム結合プローブを添加される。このプレートは、NOVOSTAR(動力学的プログラム及び注入システムを備える蛍光光度計)及びグレリン中に配置され、同時に、上昇した濃度のGHS-R結合化合物が該細胞に添加される。カルシウム応答が、適切な期間(例えば、約80秒の期間)の間記録され(蛍光に関して)、そして、候補化合物がグレリン誘導性カルシウム放出の持続性相を減弱させるか否かを決定するために、該データ(典型的には、340 nm〜380 nmでの蛍光値の割合に関する)が評価される。グレリン単独に対するカルシウムプロフィールもまた、比較の目的のために典型的には記録される(そのようなプロフィールの例を図1に示す)。
【0124】
実施例2−グレリンのGHS-R関連カルシウム放出の誘導
過剰発現GHS-R HEK293細胞において、グレリンは、投与量依存的様式でサイトゾルのカルシウムを増加させる。この点の説明として、図1に、種々の濃度のグレリンでそのような細胞中で行われたカルシウム放出アッセイについての340 nm/380 nm比を示す。このグレリン関連カルシウム放出プロフィールは、以下の実施例に記載するように、GHS-R関連カルシウム放出を誘導するグレリンの能力への、真のGHS-Rアンタゴニスト及びGHSRFAの影響を例証する(及び決定する)のに有用である。
【0125】
実施例3−グレリンアンタゴニストの、特徴的な様式でのグレリン誘導性GHS-R関連カルシウム放出の阻害
実施例1に記載したものと同じタイプのカルシウム放出アッセイを用いて、グレリン誘導性GHS-R関連カルシウム放出の阻害を、種々の「古典的な」グレリンアンタゴニスト(物質Pアンタゴニスト(図2))、アボット・ラボラトリー(Abbott Laboratories)によって作成されたグレリンアンタゴニスト(化合物1038)(図3)、及び[D-lys-3]-GHRP-6(図4)について測定した。これらのデータは、グレリンアンタゴニストが、該アンタゴニストがGHS-Rと結合することが可能になった後、少なくとも約100秒の持続する期間を通して、特徴的な「線形」様式でグレリン誘導性カルシウム放出を阻害することを示す。
【0126】
実施例4−化合物MはGHSRFAである
次の構造を有するGHS-R結合化合物
【化17】
【0127】
は、ラット下垂体細胞におけるGH放出を阻害すること(支持するデータはここには示さず)、及び、インビボで食欲を抑制すること(支持するデータはここには示さず)のいずれも実証されており、上記のようなHEK293/GHS-Rカルシウムアッセイにおいて試験した。FURA2蛍光値測定(340/380 nm 比)によって示されたようなGHS-R関連カルシウム放出は、380秒の間行われ、分析のために図表にプロットされた(図5)。
【0128】
図5に見られるように、化合物Mは、それがカルシウム放出における上昇を引き起こす限りは、カルシウム放出アッセイにおいてアゴニストとして振る舞う(全体的に)。しかしながら、該化合物Mカルシウム放出動態学はグレリンのものと著しく異なっている。特に、グレリンは、最初の(初期)相のカルシウム放出、続いて持続性カルシウム放出を誘導し(実施例1及び図1を参照されたい)、他方で化合物Mは、持続性カルシウム放出を誘導しない(図5を参照されたい)。明確に、グレリン及び化合物Mの0〜23秒のカルシウム放出プロフィールは非常に類似しているが、他方で、28秒から開始するそれらのプロフィールは著しく異なっている(例えば、28秒では、化合物Mはグレリンのもの(3)より約.5低い340/380 nm比である)。43秒において、その相違は約.75に増大し(グレリン2.86; 化合物 M 2.094)、48秒で該相違は約1.1であり(グレリン2.9; 化合物M 1.8)、及び約55秒で該相違は約1.5(グレリン2.8;化合物M 1.3)である。この相違(+/- 2)は、接触後103秒まで維持され、そしてその後、接触後148秒まで次第に小さくなる(例えば相違約1まで)(これがさらに、約0.7まで減少しそしてさらに約0.5まで減少する)。総合して、図5に示したように、化合物Mとグレリンの間のカルシウム放出量の顕著な相違は、受容体−過剰発現細胞との接触後約25〜約200秒の間持続した。
【0129】
この実験は、化合物MがGHSRFAとして作用することを実証し、さらに、GHSRFAの機能的特長及びGHSRFAが同定される方法のいずれをも例証する。
【0130】
実施例4−グレリンGHS-R関連持続性カルシウム放出のGHSRFAの阻害
化合物Mがさらに、グレリン誘導性持続性カルシウム放出を阻害する能力を含むか否かを評価するために、グレリン及び化合物Mを同時に種々の濃度(0.1、1、及び10 μM)でHEK293/GHS-R細胞に添加し(実施例1に記載されたように)、得られたカルシウム放出プロフィールを上記のように、89秒の間記録した。それらの実験の結果を図6に示す。そこに示されたように、化合物Mはグレリンによって誘導された持続的なカルシウム放出を、受容体との接触後約25秒で、投与量依存的様式で減弱した。この効果の具体的な例は、化合物Mの1 μMと10 μMとを比較したとき最も容易に明らかであるが、次の表において提示された選択された表に示される(1=それらにおいてカルシウム放出がないということに留意、及び同様のデータはここに報告される):
【表1】
【0131】
同様の方法を、化合物G、化合物E、及び化合物F(別個に)のグレリン誘導性カルシウム放出を阻害する能力を評価するために適用した。それらの実験の結果を図7、8及び9にそれぞれ示し、それらの化合物及び化合物Mによるグレリン誘導性の持続性カルシウム放出の阻害の割合の比較を図10に説明する。このデータは、それらの化合物が、グレリン誘導性の持続性カルシウム放出の阻害に関して、化合物Mの類似の動態学的プロフィールを有することを示している(例えば、受容体との接触後約25秒で開始される阻害、及び、そのような接触から少なくとも約90秒後にわたる持続、及び明らかな投与量依存的方法による作用)。
【0132】
化合物Gは、減弱期間のほとんど(約25/30-90秒)にわたって、グレリン誘導性カルシウム放出の最も大きな減弱を起こしたが(図7及び10を参照)、しかし、1 μM〜10 μMの濃度において、化合物Mについて観察されたものより、少ない減弱の相違を示した。この化合物による実験の代表的なデータを次の表に示す:
【表2】
【0133】
図8及び関連する実験から選択された代表的なデータポイントの下記表に示したように、化合物は、化合物Mと同様に、1 μM〜10 μMの間の濃度で、投与依存的相違を示した:
【表3】
【0134】
化合物Fは、同様に、図9及び次の表の関連する実験からの代表的なデータポイントに示されたように、GHSRFAの異なる濃度についてのグレリン誘導性カルシウム放出の減弱における、著しい投与依存的様式の相違を示した:
【表4】
【0135】
図10は、上記実験(図6〜9に示す)についてT=62秒で測定された持続性グレリン誘導性カルシウム放出の割合を、化合物濃度の関数として示す。このデータは、試験されたGHSRFAの全てが、投与量依存的様式でグレリン誘導性の持続性カルシウム放出を減弱することを示す(0 μMの化合物は、グラフ上の0.01 μM (log-2)に匹敵する)。
【0136】
それらの実験の結果は、GHSRFAがどのようにして、持続的なグレリン誘導性GHS-R関連カルシウム放出を減弱できるのかの明確な説明を提供する。従って、このデータは、グレリン誘導性GHS-R関連カルシウム放出の阻害における、GHSRFAの明らかな機能的特徴を例証する。さらに、それらの実験は、グレリン誘導性カルシウム放出を減弱することができるGHSRFAを同定することができる方法を例証している。
【0137】
実施例5−グレリン誘導性GHS-R関連持続性カルシウム放出の化合物Kによる減弱
上記実施例4で記載されたものと同様の実験を、化合物Kを用いて行った。それらの実験の結果を図11に示す。それらの結果から、化合物Kもまた、投与量依存的様式でグレリン誘導性の持続性カルシウム放出を減弱可能であることが実証された。この化合物の減弱プロフィールは、上記の他のGHSRFAのものと似ている(例えば、受容体との接触後約25〜30秒での減弱の開始、及び、該受容体との接触後少なくとも約90秒まで持続する著しい減弱(例えば、1 μM又は10 μMの化合物について、グレリンによって得られるレベルに対して約20-70%の減弱−それよりもさらに大きい割合の減弱でさえ、ベースラインのカルシウムレベルと比較して測定されうる)。基本のカルシウムレベルが図11と、ここで提供される、グレリン誘導性の持続性カルシウム放出の減弱の評価に関する実験と関連する他のいくつかの図に示されており、それが、グレリンの存在なしで、GHSRFAと関連するカルシウム放出レベルを反映していることは、留意されるであろう。
【0138】
実施例6−グレリン誘導性GHS-R関連持続性カルシウム放出の化合物Jによる減弱
化合物Jを用い、30μMの化合物の関連する実験で試験したことを除いて、上記実施例4に記載されたのと同様の実験を行った。それらの実験の結果を図12に示す。それらの結果から、化合物Jもまた、グレリン誘導性の持続性カルシウム放出を減弱する能力を、投与量依存的様式で、広い範囲の濃度にわたって有していることが実証された。この化合物の減弱プロフィールは、上記の他のGHSRFAのものと似ている(例えば、受容体との接触後約30秒で開始する初期の減弱、及び受容体との接触後少なくとも約90秒まで持続する著しい減弱(例えば、1 μM、10 μM、及び30 μMの化合物についての約20-50%の減弱))。図12で説明したように、80%の阻害(ベースラインのカルシウムレベルと比較して)は、そのような濃度でこの化合物によって得ることができる。
【0139】
実施例7−グレリン誘導性GHS-R関連持続性カルシウム放出の化合物Nによる減弱
上記実施例4に記載されたのと同様の実験を、化合物Nを用いて行った。この化合物は、次の基本的な構造を有すると思われる(立体化学は異なるが):
【化18】
【0140】
この実験の結果を図13に示す。それらの結果から、化合物Nもまた、投与量依存的様式で、広い範囲の濃度にわたって、投与依存的方法で、グレリン誘導性の持続性カルシウム放出を減弱させることができることを実証した。特に著しい減弱が、10 μMの化合物(例えば、受容体接触後約60〜80秒で60〜70%の桁の減弱)の化合物Nで得られた。図13で説明したように、88%のレベルの阻害(ベースラインのカルシウムレベルと比較して)が、示された濃度でのこのGHSRFAで得ることができた。
【0141】
実施例8−グレリン誘導性GHS-R関連持続性カルシウム放出の化合物Bによる減弱
上記実施例4に記載されたものと同様の実験を、化合物Bを用いて行った。それらの実験の結果を図14に示す。それらの結果から、化合物Bもまた、投与量依存的な様式で、広い範囲の濃度にわたって、グレリン誘導性の持続性カルシウム放出を減弱できることを実証した。驚くべきことに、約100%のカルシウム放出阻害が、10 μMのこの化合物を用いて得られた(ベースラインのカルシウムレベルと比較して)。
【0142】
実施例9−グレリン誘導性GHS-R関連持続性カルシウム放出の化合物Dによる減弱
上記実施例4に記載されたものと同様の実験を、化合物Dを用いて行った。それらの実験の結果を図15に示す。それらの結果から、化合物Dもまた、投与量依存的な様式で、広い範囲の濃度にわたって、グレリン誘導性の持続性カルシウム放出を減弱できることが実証された。この化合物は、試験された投与量の全てで著しい減弱を示したが、いくらかの投与量依存的効果がなおも観察できた。80%の最大阻害(ベースラインレベルと比較して)が得られた。
【0143】
実施例10−グレリン誘導性GHS-R関連持続性カルシウム放出の化合物Lによる減弱
上記実施例4に記載されたものと同様の実験を、化合物Lを用いて行った。それらの実験の結果を図16に示す。それらの結果から、この化合物もまた、投与量依存的様式で、広い範囲の濃度にわたって、グレリン誘導性の持続性カルシウム放出を減弱できることが実証された。
【0144】
実施例11−哺乳類における食欲を抑制可能なGHSRFA化合物N
ラットのグループを、化合物N(10 mg/kg, i.p. 輸送)、グレリンアンタゴニスト(1735)(3 mg/kg s.c.)及び溶媒(s.c.)で別々に処置し、その後、周期状況下で、自由に食餌を許した。総食物摂取を標準的な方法を用いて測定した。それらの実験の結果を図17に示す。図17で説明したように、GHSRFA化合物Nは、対照と比較して、食物摂取を数グラム(約10〜25%)減少させることができた。この実験の結果から、GHSRFAが、哺乳類における食物摂取の減少に有効であり、従って、肥満症及び肥満関連障害の治療に有効であり得ることが示された。
【0145】
結論
ここで提供された種々の実験の結果から、本発明が新規の分類の化合物を発見したことが示され、これはGHS-R関連カルシウム放出の改変に関して以前に知られていない動態学的なプロフィールを有し、また、有用な関連する薬理学的性質を有するものである。本明細書に記載された、与えられた広範なデータ及び説明的実施例から、通常の当業者は、さらなるGHSRFAの同定と、ここで開示された種々の使用及び方法と同様の使用が可能である。
【0146】
本明細書で挙げられた出版物、特許出版、及び特許を含む全ての参考文献は、ここの他に、任意に別に特定の文書の援用が提供されているに関わらず、参照によってそれらの全てが、それぞれの参考文献が個別に参照によって援用され、また、その全てが本明細書中に説明されているのと同等の範囲で、本明細書に援用される(法によって許容される最大の範囲で)。
【0147】
本発明を開示する文脈の中で、「一つの(a)」及び「その(the)」及び類似する用語の使用は、他に指示されない限り、又は文脈に明らかに矛盾しない限り、単数及び複数のいずれをも包含するように解釈されるべきである。
【0148】
他に言及しない限り、本明細書で提供された全ての正確な値は、対応する近似値の代表である(例えば、特定の要因又は測定に関して提供された全ての正確な実験値は、適切な「約」によって改変された、対応するおよその値をも提供するとみなすことが出来る)。
【0149】
要素に関して「含む」、「有する」、「含んでいる」、又は「包含する」のような用語を用いた、本発明の任意の側面の記述は、他に言及するか、又は文脈から明らかに矛盾しない限り、特定の要素「から成る」、特定の要素「から本質的に成る」、又は特定の要素「を実質的に含む」、本発明の類似の側面についての支持を提供するものと意図される(例えば、特定の要素を含むと記載された組成物は、他に言及しない限り、又は文脈から明らかに矛盾しない限り、該要素からなる組成物をも開示しているものと理解される)。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】図1は、GHS-R過剰発現細胞で、種々の濃度のグレリンでFURA2蛍光値アッセイを行って得られたグレリン誘導性カルシウム放出データの図表である。
【図2】図2は、種々の濃度の物質P及び10 nM グレリンでの、グレリンアンタゴニスト物質Pによるグレリン誘導性カルシウム放出の阻害を示すデータの図表である。
【図3】図3は、種々の濃度の化合物1038での、グレリンアンタゴニスト化合物1038によるグレリン誘導性カルシウム放出の阻害を示すデータの図表である。
【図4】図4は、その種々の濃度及び10 nM グレリンでの、グレリンアンタゴニストD-Lys3-GHRP6によるグレリン誘導性カルシウム放出の阻害を示すデータの図表である。
【図5】図5は、10 nM グレリン及び(別々に) 10 μM の成長ホルモン分泌促進物質受容体機能性アンタゴニスト化合物Mによって得られたカルシウム放出プロフィールの図表であり、グレリンと比較して、成長ホルモン分泌促進物質受容体機能性アンタゴニストにより著しく低く維持されたカルシウム放出プロフィールを相対的に示す。
【図6】図6は、種々の濃度の成長ホルモン分泌促進物質受容体機能性アンタゴニストM及び10 nM グレリンの、GHS-R過剰発現HEK293細胞への同時投与に関して得られたカルシウム放出データの図的プロットである。
【図7】図7は、種々の濃度の成長ホルモン分泌促進物質受容体機能性アンタゴニストG 及び 10 nM グレリンの、GHS-R過剰発現HEK293細胞への同時投与に関して得られたカルシウム放出データの図的プロットである。
【図8】図8は、種々の濃度の成長ホルモン分泌促進物質受容体機能性アンタゴニストE 及び10 nM グレリンの、GHS-R 過剰発現HEK293細胞への同時投与に関して得られたカルシウム放出データの図的プロットである。
【図9】図9は、種々の濃度の成長ホルモン分泌促進物質受容体機能性アンタゴニストF 及び10 nM グレリンの、GHS-R 過剰発現HEK293細胞への同時投与に関して得られたカルシウム放出データの図的プロットである。
【図10】図10は、GHS-R過剰発現HEK293細胞を化合物M、G、E、及びFに接触させたてから62秒後に測定した持続性のグレリン誘導性カルシウム放出の割合を化合物濃度の関数として示す。
【図11】図11は、種々の濃度の成長ホルモン分泌促進物質受容体機能性アンタゴニストK 及び10 nM グレリンの、GHS-R過剰発現HEK293細胞への同時投与に関して得られたカルシウム放出データの図的プロットである。
【図12】図12は、種々の濃度の成長ホルモン分泌促進物質受容体機能性アンタゴニストJ 及び10 nM グレリンの、GHS-R過剰発現HEK293細胞への同時投与に関して得られたカルシウム放出データの図的プロットである。
【図13】図13は、種々の量の成長ホルモン分泌促進物質受容体機能性アンタゴニストN(ここでは「772」と称する)及び10 nM グレリンの、GHS-R 過剰発現HEK293細胞への同時投与に関して得られたカルシウム放出データの図的プロットである。
【図14】図14は、種々の量の成長ホルモン分泌促進物質受容体機能性アンタゴニストB 及び10 nM グレリンの、GHS-R過剰発現HEK293細胞への同時投与に関して得られたカルシウム放出データの図的プロットである。
【図15】図15は、種々の量の成長ホルモン分泌促進物質受容体機能性アンタゴニストD 及び10 nM グレリンの、GHS-R過剰発現HEK293細胞への同時投与に関して得られたカルシウム放出データの図的プロットである。
【図16】図16は、種々の量の成長ホルモン分泌促進物質受容体機能性アンタゴニストL-1a(Lとも称す)及び10 nM グレリンの、GHS-R過剰発現HEK293細胞への同時投与に関して得られたカルシウム放出データの図的プロットである。
【図17】暗周期において自由に摂食したラットに皮下注射及び腹腔内注射した後(24h)の総食物摂取。
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、とりわけ成長ホルモン分泌促進物質受容体(GHS-R)関連カルシウム放出の初期上昇を誘導する能力を含むユニークな生理化学的性質を示し、一方、持続性相のグレリン誘導性GHS-R関連カルシウム放出を減弱することによって特徴付けられる、新規の分類の生物学的活性分子の発見に関する。また、本発明は、それらの分子を同定する方法、及び同様の重要な生物学的性質を有する組成物、及びそのような分子及び関連する組成物の使用を含む実際的な適用に関する。
【背景技術】
【0002】
グレリン、成長ホルモン分泌促進物質受容体(GHS-R)のための内在性リガンドは、腸内ホルモンであり、現在、循環食欲刺激薬(食欲促進ホルモン)であり、また、もとは成長ホルモン(GH)分泌を刺激する内在性ペプチドとして発見された。GHS-Rの拮抗作用は、マウスの食物摂取と体重増加を減少させる。グレリン受容体(即ち、GHS-R)は、MK-0677、成長ホルモン(GH)分泌促進物質の使用によって、逆薬理学によってクローン化された(Howard et al., Science, 273, 974-977, 1996)。グレリンによって誘導された持続性のカルシウム放出は、GH放出に必須であると見られている。例えば、持続性のカルシウム放出相が、例えばカルシウムチャネルブロッカーによって減弱される状況において、GH分泌は停止する(例えば、Malogon et al., Endocrinology, 144:5372-80, 2003を参照されたい)。
【0003】
グレリンアンタゴニストは、抗肥満症薬剤として提案されてきた(例えば、Guillano in FEBS 2003, 552, 105-109; Ukkola in Eur.J.Int.Med. 2003, 14, 351-356;及びKojima in Curr.Opi.Pharm. 2002, 2, 665-668を参照されたい)。グレリンのための多くのアンタゴニスト、及びそのような化合物の使用、及び関連する組成物が近年、当該分野で提案されるか開示されている。例えば、米国特許第20010020012、20020187938、20030211967、2004122033、国際特許出願(PCT 公開番号) WO 04/110375、WO 04/000217、WO 04/084943、WO 04/05689、WO 04/004772、WO 03/055914、WO 02/060472、WO 02/090387、WO 01/087335、WO 01/038355、及び WO 98/42840、並びに Holst et al., Mol Endocrinol. 2003 Nov;17(11):2201-10, Asakawa et al., Gut. 2003 Jul;52(7):947-52, Carpino, Exp. Opin. Ther. Patents, 12(11):1599-1618 (2002), J. Med. Chem. 47:6655-6657, and Biorg. Med. Chem. Lettrs., 14:5223-5226) を参照されたい。それにもかかわらず、グレリン受容体に代わるもの及び改良された調節因子に対する要求が依然として存在する。本明細書に開示された本発明は、そのような調節因子を、グレリン受容体の機能的アンタゴニストとして作用する新規の分類の化合物の形態で提供する。そのような分子、関連する組成物、そのような分子及び組成物の同定方法、及び、本発明の多様な他のさらなる有益な側面及び特徴、及び、それらの関連する利点及び利益は、本明細書において提供された本発明の記載から、通常の熟練した技術者には明らかであろう。
【発明の開示】
【発明の詳細な説明】
【0004】
本明細書に開示された発明は、特に、とりわけユニークなGHS-R関連カルシウム放出プロフィールを示し、全てではないがほとんど場合に、グレリンが誘導するGHS-R関連カルシウム放出の持続性相(sustained phase)を減弱することによって特徴付けられる、新規の分類のGHS-R調節分子の発見に関する。この新規の分類の生物学的活性分子は、グレリン受容体のための「機能的アンタゴニスト」と記述することができる。これらのGHS-R機能的アンタゴニスト(又は「GHSRFA」)は、それらが、それらと接触した場合のGHS-R-関連カルシウム放出における検出可能な初期上昇を伴うことにおいて、GHS-Rの「純粋な」又は「真の」アンタゴニストと区別することができる(従って少なくともこの点で、GHSRFA「類似」GHS-Rアンタゴニスト)。しかしながら、GHSRFAはまた、グレリンと比較して持続性期間の間に著しく低いGHS-R関連カルシウム放出を伴う分子における以前に開示されたGHS-Rアゴニストと区別できる。
【0005】
本発明の内容におけるGHS-R関連カルシウム放出の「初期相(initial phase)」は、関連するGHS-R調節因子(例えば、特にGHSRFA、グレリンなど)をGHS-Rと接触させて持続性のカルシウム放出相(下記で定義されるような)を開始させてからの期間として定義される。特定のGHSRFAに関する初期相の長さは、他のGHSRFAと幾分異なる。初期相はまた、用いられたGHS-R調節因子の量、GHS-Rが存在する細胞、アッセイの条件などのような、他の関連するパラメーターによっても変化する。初期相は、典型的には、GHS-R調節因子とGHS-Rの接触後約20〜35秒まで持続する期間として定義される。典型的には、初期相は、そのような接触後約25〜35まで秒持続し、そのような接触後約25-30秒持続し、例えば、そのような接触後0-25、0-26、0-27、0-28、0-29、0-30、0-31、0-32、0-33、0-34、0-35、又は0-36秒持続する。
【0006】
用語が用いられる文脈に依存して、本発明の状況におけるGHS-R関連カルシウム放出の「持続性相」は、(a) GHSRFA誘導GHS-R関連カルシウム放出が、GHSRFAに関する初期相におけるカルシウム放出のレベルから著しく減少する時点で開始する期間、或いは、(b) GHSRFAが、グレリン誘導性カルシウム放出のレベルにおける著しい減少(対照と比較して)を起こす時点で開始する期間として定義される。典型的には、GHSRFAに関する持続性相は、GHS-Rとの接触後約25秒の時点で開始する期間として測定され、例えばGHS-Rとの接触後約30秒のような時点で、具体的な側面においてはGHS-Rとの接触後約35秒のような時点で(例えばGHS-Rとの接触後32, 33, 34, 35, 36,又は37秒)、又は、GHS-Rとの接触後約40秒の時点(例えば、GHS-Rとの接触後38, 40, 42, 44, 46, 又は48)で開始する期間として測定される。持続性相は任意の適切な期間持続可能であり、該持続性相の終了の測定は典型的には、化合物をGHSRFAとして特徴付けるために、又は、本発明の任意の他の側面のためには必要ではない。それにもかかわらず、該持続性相は通常、GHSRFAをGHS-Rと接触させた後、約400秒以下で終了する期間として定義され、例えばそのようなGHS-Rとの接触後約350秒以下、そのような接触後約300秒以下、そのような接触後約250秒以下、そのような接触後約200秒以下(例えば、そのような接触後、約190, 180, 170, 160, 150, 140, 130, 120, 110, 100, 90, 85, 80, 又は75秒)で終了する期間として定義される。換言すれば、与えられたGHSRFAについての持続性相は、典型的には、GHSRFA:GHS-R接触後、約25-400秒;例えば約25-300秒、30-300秒、又は35-300秒;例えば約25-200秒、30-200秒、又は35-200秒(例えば、約25-150, 30-150, 35-150, 25-120, 30-120, 又は35-120, 25-90, 30-90, 又は35-90秒)の期間として定義される。
【0007】
グレリン及びグレリンとその天然の(野生型)受容体との相互作用は、既に開示されている(例えば、C.Y. Bowers in J.Clin.Endocrinol.Metab. 2001, 86 (4):1464-1469;また、Petersenn, Horm. Res. 58(suppl 3):56-61 (2002); Holst et al., J Biol Chem. 2004 Dec 17;279(51):53806-17を参照されたい)。関連する受容体又は複数の受容体は、しばしば、広く設計された「成長ホルモン分泌促進物質受容体」(ここでは、GHS-Rと省略する)であるが、しかし主要なグレリン受容体−少なくともヒトを含む哺乳類においては−が、GHS-R1aと称されるGHS-Rの特定のサブタイプであることが多いことが現在明らかである。しかしながら、しばしばGHS-R1bと称されるような他の受容体サブタイプに対するグレリンの結合が、インビボでグレリンによって及ぼされる効果の少なくともある程度に関連することは、ありうることである。本発明の内容において、グレリン受容体、GHS-Rなどのような用語は、他に言及しない限り、野生型ヒト受容体の任意の機能的断片、GHS-R1a及びGHS-R1bの種々の天然のアイソフォーム、それらの受容体の機能的変異体などを含む、任意の機能的GHS受容体を称する。しかしながら、他に指示しない限り、そのような用語が(一般に)用いられるそれぞれの場合において、ヒト野生型GHS-R1aが、特に、本発明の重要な側面を表すことは理解されるべきであり、これは、GHSRFAのより広範な定義から区別され得る。
【0008】
GHSRFAの同定方法及びGHSRFA組成物の調製
一つの側面において、本発明は、組成物中のGHSRFAを同定する(又は、組成物がGHSRFAとして作用するか否かを評価する、任意のGHSRFAが組成物中に含まれるか否かを評価するなど)新規でかつ有用な方法を提供する。
【0009】
一つのそのような発明的方法は、機能的GHS-R関連細胞(典型的には、ヒトGHS-R1aのようなGHS-Rを示す、ヒト又はヒト由来細胞のような哺乳類細胞中で、グレリン及び任意にさらなる一以上の既知のGHSRFAに対するカルシウム放出応答の検出を容易に可能にするのに十分な量で)を候補化合物に、初期(例えば約0〜50秒)カルシウム放出応答及び持続性(例えば約50〜200秒)カルシウム放出応答を誘導するのに適した条件下で十分な期間接触させる工程、カルシウム応答プロフィールを得るための初期期間及び持続性期間の間のカルシウム放出を測定する工程、及び、特定の候補がGHSRFAであるか否かを決定するために、得られたカルシウム放出プロフィールを、一以上の基準(例えば、グレリン誘導性GHS-R関連カルシウム放出プロフィール、グレリン純粋アンタゴニストGHS-R関連カルシウム放出プロフィール、理想的な基準(又はコンピューターが作成した基準)及び/又は一以上の既知のGHSRFAによって得られたカルシウム放出プロフィール))と比較する工程を含む。
【0010】
GHS-R関連カルシウム放出は、任意の適切な方法によって評価することができる。受容体関連カルシウム放出を測定する効果的な方法は、デジタル画像処理と組み合わせたフラ-2微小蛍光定量法の使用に基づくもののような、比率的(ratiometric)画像技術の周辺で発展してきた(例えば、Parpura et al., Nature 1994; 369:744-747; Date et al., Diabetes 51:124-129, 2002; Malagon et al., Endocrinology Vol. 144, No. 12 5372-5380, 2003; Kohno et al., Diabetes 52:948-956, 2003; Camina et al., Endocrinology Vol. 145, No. 2 930-940, 2004; Camina et al., J Biol Chem 274:28134-28141, 1999; Desaki et al., Diabetes 53:3142-3151, 2004; Yada et al., J Physiol505 :319-328,1997; Yada et al., J Biol Chem 269:1290-1293, 1994; Lai et al., The International Journal of Biochemistry & Cell Biology, Volume 37, Issue 4 , April 2005, Pages 887-900; Muroya et al., Neurosci Lett 264:113-116,1999; and Muroya et al., Neurosci Lett 309:165-168,2001を参照されたい。そのような方法の例が開示され及び/又は例証される)。カルシウム放出アッセイもまた、国際特許出願(PCT公報)WO 01/56592に開示されている。リアルタイム、単一細胞自動カルシウム放出アッセイも最近、スキャニング蛍光定量的マイクロプレートリーダー/流体移動ワークステーション及びCCDカメラ及び灌流システムを備えた蛍光性顕微鏡 (Commend et al., 「Live Cell Imaging Workshop 2004」(March 2-3, Swiss Federal Institute of Technology Lausanne))を用いて開示されている。電気生理学的技術もまた、適切な条件化で十分な数の細胞を含む培地について用いることができる。他の蛍光カルシウム指標(Indo-1, Indo-1及びFura-2誘導体、Fura-4F, Fura-5F, Quin-2 及び誘導体など)もまた、そのような方法において用いられ得る。典型的には、GHS-R関連カルシウムプロフィールは、所望の分子のカルシウム放出効果を調査又は同定(その様な場合)するために、受容体及び/又は受容体関連細胞の集団及び十分な量のGHSRFA及び評価に必要な任意の他の化合物(例えばグレリン)を用いて評価される。
【0011】
一般に、本発明の方法における候補は、潜在的に適切なタイプの任意の化合物であってよく、例えば、ペプチド、ポリペプチド、複合タンパク質(例えば、抗体)などを含む。一つの側面において、候補化合物は、「小分子」化合物を含み、これは約100ダルトンより大きく約2,500ダルトンより小さい分子量を有する非ペプチド有機化合物である。候補薬剤は典型的に、水素結合を介してのような、GHS-Rとの構造的相互作用に必要な官能基を含み、典型的には、少なくともアミン、カルボニル、ヒドロキシ又はカルボキシ基を含み、そして、通常、少なくとも二つの機能的化学基を含む。候補薬剤もまた(より典型的にも)、一以上の上記官能基及び任意に、アルキル、硫黄、及び/又はハロゲン置換基のような他の置換基で置換された、環状炭素又は複素環式構造及び/又は芳香環又はポリ芳香環構造を含む。候補薬剤はまた、サッカリド、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、及び構造的類似体又はそれらの組み合わせ(又はペプチド、タンパク質などとのそのような分子の組み合わせ)を含む、非タンパク質生体分子のなかに見つけられる。
【0012】
候補薬剤は、合成又は天然の化合物のライブラリーを含む広く多様な出所から得られる。例えば、ランダム化されたオリゴヌクレオチドの発現を含む多数の方法が、広く多様な有機化合物及び生体分子の合成のランダム且つ直接的な合成のために利用可能である。或いは、細菌、真菌、植物及び動物の抽出物の形態の天然化合物のライブラリーが利用可能であり容易に作成される。さらに、天然又は合成的に作成されたライブラリー及び化合物は、従来の化学的、物理的及び生化学的方法を通して容易に改変される。既知の薬理学的薬剤が、構造的類似体を産生するために、アシル化、アルキル化、エステル化、アミド化(amidification)のような、直接的又はランダムな化学的改変に供される。合成的ライブラリーの作成のための種々の方法に関する原理は、例えば、「Young et al., Curr Opin Drug Discov Devel. 2004 May;7(3):318-24」;「Goodnow et al., Comb Chem High Throughput Screen. 2003 Nov;6(7):649-60」;「Dolle, J Comb Chem. 2003 Nov-Dec;5(6):693-753; Rose, Curr Opin Chem Biol. 2003 Jun;7(3):331-9」;「Jamois, Curr Opin Chem Biol. 2003 Jun;7(3):326-30; van Drie et al., EXS. 2003;(93):203-21; Knepper et al., Comb Chem High Throughput Screen. 2003 Nov;6(7):673-91」;及び、「Combinatorial Chemistry and Technology: Principles, Methods, and Applications (Miertus and Fassina, Eds.) (Marcel Decker, Inc. - New York, 1999)」;「Combinatorial Library: Method and Protocols (English, Lisa B. Ed., 2002)」;及び「Combinatorial Chemistry: Synthesis and Application (Wilson and Csarnik, Eds.) (John Wiley & Sons, 1997)」に開示されている。
【0013】
具体的な側面において、本発明の候補化合物スクリーニング方法は、GHS-Rアゴニストとして以前に同定されている化合物に適用される。
【0014】
一以上のスクリーニングされた候補の間からのGHSRFAの同定後、同定されたGHSRFAは、当該分野で既知の標準的な単離方法及び精製方法(例えば、組成物中の他の分子(例えば、GHSRFAを含むライブラリー内の他の候補)からの、分子量、サイズ、及び/又は電荷に基づくクロマトグラフィー的又は電気泳動的な分離、親和性に基づくクロマトグラフィー分離(例えば、GHS-R、抗体などを用いて)など)を用いて、少なくとも実質的に単離されることができ(該分子が、それが含まれる組成物中で優勢な生物学的活性化合物である規格 (standard) まで精製される)、或いは、GHSRFAの構造を決定するために生理化学的分析(例えば、マススペクトロメトリーに基づく技術)に供され、それによって、利用可能な合成方法によって少なくとも実質的に単離された形態でGHSRFAの生成が可能になる。
【0015】
また、本発明の方法は、一以上のGHSRFAを含むのではないかと疑われる薬学的組成物(そのような場合、本発明の方法は、任意に、例えば組成物中のGHSRFAの総重量を測定することなどの任意の適切な技術によって化合物中に存在するGHSRFAの量を測定する工程をさらに含む)のような化合物のための品質管理基準として適用されることもできる。
【0016】
さらなる側面において、本発明は、少なくとも一つのGHSRFAの、治療的有効量及び/又は予防的有効量のような、生理学的有効量を含む薬学的組成物の調製に関し、該方法は、上記のような方法によって同定された、単離されたGHSRFAを提供すること、及び、単離されたGHSRFAを、適切な担体組成物及び薬学的組成物に達するように任意に添加された生物学的活性物質と共に処方することを含む。
【0017】
さらなる側面において、本発明は、薬剤的に有用な薬物化合物を調製する方法に関し、該方法は、一以上のGHSRFAを同定するための候補化合物のライブラリーをスクリーニングすること、所望のカルシウム放出プロフィール(及び任意にグレリン誘導性カルシウム放出の所望のレベルの阻害)を有する少なくとも一つのGHSRFAを選択すること、及び、該分子を、当該分野で既知の種々の方法を用いて及び/又はそれらから新規のGHSRFAを生成/同定するために類似のコア官能基/構造を有する新規の化合物の設計のためのバックボーンとしての分子を用いて、毒性、溶解性などを改良するための改変に供することを含む。そのようなリード(lead)最適化方法は、典型的には、類似体化合物の合成及びスクリーニングによるライブラリースクリーニングを通してのGHSRFA同定の最適化において役立つ、経験的な、組み合わせの、及び合理的なアプローチの組み合わせを適用することを含む。一連の類似体の試験は、典型的に、ファルマコフォアのような、構造と活性の関連性(SAR)を確立するために作成された生物学的及び薬理学的データに対する化学構造における相関変化である、定量的情報をもたらす。リード最適化方法は、典型的に、高反復性である。リードは、それらの「薬物類似点(druglikeness)」についての薬理学的アッセイにおいて評価される。医薬の化学者は、生物学的利用能及び安定性のような薬理学的性質を最適化するために、それらの結果に基づいてリード分子を変更する。この点において、新規の類似体は、効力、選択性及びMOAの決定のためのスクリーニング階層中にフィードバックされる。それらのデータは、次いで、次の最適化サイクルに与えられる。リード最適化過程は、一般に、ヒトにおける新規の薬物の試験を保証する、定義された薬物プロフィールを達成するまで継続される。典型的には、代謝、排出、及び分配のようなインビボでの薬物動態学的なデータが、薬物物質の処方を最適化するために考慮に入れられる。薬物動態学的及び薬力学的調査が、薬物生産を達成するためのインビボでの薬物物質の挙動の理解を洗練するために用いられる。この過程における重要な要因(本発明のスクリーニング方法によって得られたヒット(hits)及びそれらに由来する類似体の評価のための)は、溶解度、pKa、吸収、代謝、処方、薬物動態、毒性及び効力を含む。一つの側面において、5より多くの水素ドナーを含み、500より大きいMW、5より大きいClog P (算出された、オクタノール/水 分配係数)、及び/又は10を超える窒素原子及び酸素原子の総数を有する、同定されたGHSRFAが、リード最適化に供される。他の側面において、広範なヒトへの使用のためには溶解度が不十分である決定された、同定されたGHSRFAは、溶解度−促進最適化方法に供され、この方法は、親油性の減少、可溶化成分(例えば、PEG成分、シクロデキストリン成分など)の追加、平面構造の排除、分子可動性の増大、及び、化合物の種々の塩の試験を含む。同定されたGHSRFAのファルマコフォアを同定するために、技術者は、GHSRFA活性(例えば、グレリン誘導性の持続性GHS-R関連カルシウム放出の減弱)に必須な領域の同定のために分子の部分を系統的に変化又は除去させることができる。同族体化(一定の単位、例えば-(CH2)n-による、一連の化合物の相違化)、脂肪族置換基への鎖分枝の導入、二級/三級アミンの一級アミンによる置換、環状構造の直鎖構造への変換などのような他の技術を、リードを発展させるのを補助する類似体の発展させるために用いることができる。同配体(isosteres)の置換基(類似の構造的、化学的及び/又は生理学的な性質を有する官能基)は、リード最適化における類似体を設計するための他の方法であり得る。典型的な同配体置換基は、以下を含む: CH3、NH2、OH、F、及び Cl;Cl、PH2、及びSH;-CH2-、-NH-、-O-、-S-、及び-Se-;-COCH2R -CONHR -CO2R、及び-COSR;及び-CH= 及び-N=。バイオ同配体(Bioisoteres)―これは少なくとも一つの物理的性質(例えば、サイズ、形状、電気的分布、疎水性、pKa、化学的反応性、及び/又は水素結合能、もっともしばしば多岐にわたる構造を有するが)を共有することによって定義される分子である―もまた、類似体開発及びリード最適化のための基礎であり得る。それらの任意の方法は、ここで開示された本発明の方法によって同定されたGHSRFAからの一般的に適したリード候補のために用いられることができる。
【0018】
GHSRFA
他の代表的な側面において、本発明は、新規且つ有用なGHSRFA化合物を提供する。具体的な面において、本発明は、とりわけ、限定された期間(例えば、約40秒以下、典型的には約35秒以下、通常約30秒以下、約25秒以下、又は約20秒以下)で、グレリンの効力の、少なくとも約25%、典型的には少なくとも約35%、より典型的には少なくとも約50%、及び通常、約50%より多い(例えば、約60%、65%、70%、75%、又はより多く、例えば約80%、85%、90%、95%、又は約100%又はより多く、例えば約110%、115%など)効力で、GHS-Rカルシウム放出を誘導する能力を有し、一方で、受容体と接触後の持続性期間(例えば、GHS-Rと接触を可能にされた後、約25-200秒の期間、例えば約30-200秒、約35-200秒、約30-190秒、約30-180秒、約30-170秒、約35-160秒、約40-150秒、約25-140秒、約30-140秒、約30-150秒、約35-140秒、約25-130秒、約30-130秒、約35-130秒、約40-130秒、約30-120秒、約35-120秒、約40-120秒、約30-100秒、約30-90秒、又は約30-80秒の期間(又は期間を含む))のにおける著しく減少されたGHS-R関連カルシウム放出と関連していることを特徴とするGHSRFAを提供する。
【0019】
実例となる側面において、本発明は、受容体との接触後約50秒以下(通常約35秒以下、例えば約30秒以下)の期間のグレリン(実質的に同定された条件化において、GHS-Rからのカルシウム放出を誘導することに関して)のものより、少なくとも約20% (例えば、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、90%、又は100%、又はそれ以上、(例えば、110%、120%、又は125%)、など)の効力でGHS-R関連カルシウム放出を誘導する能力を有し、しかし、それでもなお、グレリンのものより少なくとも約10%少ない、例えばグレリンのものより、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、又は少なくとも約50%少ない(グレリンのものより約60%、65%、又は70%少ないような)、持続性のカルシウム放出効力を伴う(GHS-Rの接触を可能にされた後、約30-100秒)ことを特徴とするGHSRFAを提供する。
【0020】
上記の例証的カルシウムプロフィール比較を得るためにカルシウムプロフィールアッセイにおいて用いられるグレリン及びGHSRFAの量は、そのような比較をするために用いられる実験において等しいか又は等しくない。よって、例えば、そのような比較において用いられるGHSRFA及びグレリンの量は、分子濃度、容量、質量などの点で等しくなくてよく、しかしその代わりに、それぞれ、同様の初期GHS-R関連カルシウム放出(例えば、受容体との接触後0-25又は0-30秒の期間の間)を誘導することに関して比較されるそれぞれの量を表す。
【0021】
他の側面において、本発明は、グレリンが誘導するGHS-R関連持続性カルシウム放出を減弱(即ち、検出可能な減少)する能力を有することをさらに特徴とするGHSRFAを提供する。一つの具体的な代表的な面において、本発明は、約50秒以下(例えば、約35秒以下、約30秒以下、又は約25秒以下)の期間の間、少なくとも約20%(例えば、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%など)(グレリンと比較して)の相対的な効力でGHS-R関連カルシウム放出を誘導する能力を有し、また、GHS-Rとの接触を可能にされた後、約25-200秒(例えば、約30-180、例えば約30-150、例えば約30-100秒)の間に、少なくとも約10% (例えば、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、又は約50%より多く、例えば、約60%、約70%、約80%またはそれより多く)で、グレリン誘導性カルシウム放出を減少する、GHSRFAを提供する。グレリン誘導性カルシウム放出の阻害は、グレリン及び所望のGHSRFAの混合物を投与することによって、また、任意の適切な技術を用いて(例えば、FURA2 (340/380 nm 比)カルシウム放出アッセイ)、GHSRFAを含まない対照又は基準と比較したGHSRFAの存在の影響を分析することによって決定できる。GHSRFAは、ある割合の阻害が、特定の量のGHSRFAとグレリンによって得られ、また、異なる割合が、異なる量のグレリン及びGHSRFAによって与えられるような、グレリン誘導性カルシウム放出の投与量依存的な阻害を示すことによって特徴付けられる。例えば、低いレベルの阻害は、約10 nMのグレリンの存在下における約10 μM(例えば、約5-20 μM、例えば約7-15 μM)のGHRSFAと比較して、10 nM グレリンの存在下において約0.1-1 μMのGHSRFAによって得られ得る(もちろん、異なる量のグレリン及び対応する異なる量のGHSRFAが、そのような評価をするのに用いられ、適切な量は日常的な実験を用いて決定される)。
【0022】
さらなる側面において、本発明は、或いはGHS-RのGHS-R存在細胞における内部移行動態学を調節するそれらの能力によって特徴づけられる、GHSRFAを提供する。一つのそのような側面において、本発明は、GHS-Rの内部移行を増大させる能力を有するGHSRFAを提供する。他の側面において、本発明は、受容体再循環期間を延長するために、細胞上に存在するGHS-R分子の平均数を減少させる能力を有するGHSRFAを提供する。
【0023】
GHSRFAは、他に示さない限り、任意の適切な構造を有することができる。典型的には、GHSRFAは、約100より大きく約2,500ダルトンより小さい分子量、例えば、約100-2000ダルトン、より典型的には約100-1500ダルトン、通常は約100-1000ダルトン、例えば約100-700ダルトン、約150-700ダルトン、約200-700ダルトン、約100-600ダルトン、約150-600ダルトン、又は約200-600ダルトンの分子量を有し、そして、少なくとも一つのアミン、カルボニル、ヒドロキシ又はカルボキシル基、及び、しばしば、少なくとも二つ、三つ、またはそれ以上の機能的化学基を含み、並びに、一以上の上記官能基又はアルキル、ハロゲンなどのような他の基で置換された、一以上の環状炭素又は複素環式構造、及び/又は芳香環又はポリ芳香環構造を典型的には含む、一以上のGHS-R相互作用官能基を典型的には含む、非ペプチド小有機化合物として特徴づけることが出来る。一つの側面において、本発明は、少なくとも一つの二環式構造、例えば、ナフタレン置換基、インデン置換基、又は同様の二環式(典型的にはポリ芳香環及びしばしば置換されたポリ芳香環(又はポリシクロアルケニル)置換基)を含むことを特徴とするGHSRFAを提供する。他の側面において、本発明は、少なくとも二つの置換された芳香環(又はシクロアルケニル)基、例えば一以上のエーテル(例えば、メトキシ)、アミン(例えば、ジメチルアミン)、又はハロゲン置換基(例えば、Cl、F)を伴う芳香環基を含むことを特徴とするGHSRFAを提供する。他の側面において、本発明は、少なくとも一つの、そのような置換されたシクロアルケニル(芳香族)基及び少なくとも一つのポリ芳香族/ポリシクロアルケニル基を含むGHSRFAを提供する。さらなる側面において、本発明は、また或いは一以上の窒素複素環式構造を含むことを特徴とする、GHSRFAを提供する。より一般的な側面において、本発明は、少なくとも一つのそれらの特徴を含むことによって特徴付けられる構造を含む、GHSRFAを提供する。
【0024】
他の側面において、GHSRFAペプチド(即ち、2〜約50のアミノ酸残基またはそれより少ない、例えば約2-40、2-35、2-30、2-25、2-20、2-15、又は2-10アミノ酸残基の単鎖アミノ酸ポリマー、これはGHSRFAとして作用する)のようなタンパク質GHSRFAが提供され、該タンパク質は、誘導体化されることができる(例えば、アシル化、PEG化などによって)。GHSRFAペプチドは、ここで開示された本発明のスクリーニング方法を用いて、ペプチドのライブラリーからスクリーニングされることによって同定されることができる。
【0025】
一つの側面において、本発明は、そのようなGHSRFAが、発明の背景で提供された何れかの参考文献に記載された任意のアンタゴニスト又は例えば下記の参考文献及び/又は本明細書で上げられた他の参考文献に開示された任意のGHS-Rアゴニストのような、以前に開示された何れかのGHS-Rアゴニスト又はGHS-Rアンタゴニストを含まないという条件で、ここで開示された任意の生理化学的特徴を有するGHSRFAを提供する:「Carpino, supra, 米国特許公開第20040063636及び20030186844、「Lugar et al., Bioorg Med Chem Lett. 2004 Dec 6;14(23):5873-6」、「Halem et al., Eur J Endocrinol. 2004 Aug;151 Suppl 1:S71-5」、「Holm et al., Eur J Endocrinol. 2004 Jun;150(6):893-904」、「Rubinfeld et al., Eur J Endocrinol. 2004 Dec;151(6):787-95」、「Nagamine et al., J Endocrinol. 2001 Dec;171(3):481-9」。
【0026】
一つの代表的な側面において、本発明は、グレリン様の様式でGHS-Rからの初期カルシウム放出を誘導させ、一方、該受容体との接触後、約25〜30秒後の期間の後、少なくとも約80秒間持続する期間(例えば、約25-200秒、約30-200秒の期間、例えば約25-150秒又は30-150秒)、著しく減弱されたカルシウム放出プロフィール(例えば、グレリンと比較して少なくとも約15%減少された)を示すことを特徴とすることができるGHSRFAを提供する。具体的な側面において、本発明は、該受容体との接触後、約25-100秒の間の一つの時点で(例えば、約40-70秒、例えば約50秒のような)、グレリンのものより約50%少ないレベルでの持続性のカルシウム放出を伴うGHSRFAを提供する。他の側面において、本発明は、グレリンと比較してカルシウム放出の量が約50%以上減少することによって特徴付けられる持続性のカルシウム放出プロフィールを有することによって特徴付けられるGHSRFAを提供する。
【0027】
薬学的組成物
他の側面において、本発明は、一以上のGHSRFAを他の成分、例えば担体、保存剤、安定化剤(例えば、BSA、アルブミンなどのような安定化タンパク質)、他の生物学的に活性な薬剤などと組み合わせて含む組成物に関する。
【0028】
一つのそのような側面において、本発明は、一以上のGHSRFAを含む薬学的組成物に関する。「薬学的組成物」とは、関連する集団などにおける相対的安全性(臨床試験又は他の適切な安全性(例えば毒性)試験手順によって決定されうるような)の点において、ヒト患者のような被検者(例えば哺乳類)に投与するのに適切である組成物である。
【0029】
一つの側面において、本発明は、少なくとも一つのGHSRFAの生理学的有効量を含む薬学的組成物のような、組成物を提供する。生理学的有効量は、具体的な被検者、類似の被検者の集団(例えば同様の生理学的条件を有する試験被検者)、又はその両者においてGHS-R関連生理学的応答(例えば、GHSRFA特徴的様式におけるGHS-R関連カルシウム放出の誘導)を誘導、促進、及び/又は増強させるために有効な量である。
【0030】
他の側面において、本発明は、少なくとも一つのGHSRFA(一以上の徴候に関し、ここにおいて、GHSRFAの投与は、障害、状態、疾患などの治療のために用いられる)の治療的有効量を含む、薬学的組成物のような組成物を提供する。「治療的有効量」とは、適切な投与量で適切な時期に送達されたときに、被検者において所望の治療的結果(例えば、肥満症、糖尿病、又はヒト患者における両方の減少を伴う生理学的応答の誘導、促進、及び/又は増強)を達成するために有効な量を意味する。GHSRFAの治療的有効量は、標的とする疾患の状態、個々の年齢、性別及び体重、及び個体において、所望の応答を誘発するGHSRFAの能力のような要因に従って変化する。治療的有効量は、典型的には、GHSRFAの任意の毒性又は有害な影響より、被検者又は類似の被検者の集団(例えば、臨床試験によって決定され得る、同様の状態を有する患者のグループ)における治療的に有益な効果が勝る量として特徴付けられる。治療的有効量は、哺乳類に予防的又は治療的に有益な影響を与えるのに必要な活性薬剤の、少なくとも最小の投与量であるがしかし毒性投与量より少ない量として特徴付けられることができる。言及された他の方法、治療的有効量は、哺乳類の肥満状態における寛解又は改善の原因を誘導する量である。
【0031】
さらなる側面において、本発明は、少なくとも一つのGHSRFA(GHS-R活性のGHSRFA調節が有益であると考えられる、発生している、切迫した、又は他の「危険である(at-risk)」状態に関して)の予防的有効量を含む薬学的組成物のような組成物を提供する。「予防的有効量」は、所望の予防的な結果を達成するための、投与量及び必要な期間において有効な量を指す(例えば、予防的な措置を受けていない同様の患者と比較して、障害の発達の可能性の減少、障害の強度又は拡散の減少、切迫した障害の間の生存の可能性の上昇、疾患状態の発症の遅延、切迫した状態の拡散の減少など)。典型的には、予防的投与が疾患の前又は疾患の初期段階で被検者に用いられるために、予防的有効量は、治療的有効量より少ない。
【0032】
予防的及び治療的のいずれでも有効なGHSRFAの量は、その用語が関係する具体的な徴候、状態などに関して単に「有効量」として言及される。GHSRFAの有効量を含む薬学的組成物のような組成物は、本発明の他の特徴である。
【0033】
薬学的に許容される塩
GHSRFAの考察が、本発明のスクリーニング方法によって同定された化合物並びにその薬学的に許容される塩を含むことは理解されるべきである。薬学的に許容される塩には、一般に、薬学的に許容される酸付加塩、薬学的に許容される金属塩、アンモニウム塩及びアルキル化アンモニウム塩が含まれる。酸付加塩には、無機酸並びに有機酸の塩が含まれる。適切な無機酸の代表的な例には、塩酸、臭化水素酸、沃化水素酸、リン酸、硫酸、スルファミド酸及び硝酸が含まれる。適切な有機酸の代表的な例には、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、桂皮酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピルビン酸、サリチル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン、酒石酸、アスコルビン酸、パモイック(pamoic)酸、ビスメチレンサリチル酸、エタン二スルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸及びp-トルエンスルホン酸が含まれる。薬学的に許容される無機又は有機酸付加塩のさらなる例には、「J.Pharm. Sci. 1977, 66, 2」に収載された薬学的に許容される塩が含まれる。金属塩の例には、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムの塩が含まれる。アンモニウム塩及びアルキル化アンモニウム塩の例には、アンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ヒドロキシエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ブチルアンモニウム及びテトラメチルアンモニウムの塩が含まれる。酸付加塩は、ここで開示された式Iの化合物に関して特に適切である。GHSRFAの水和形態(水和物)又はそれらの薬学的に許容される塩もまた、本発明によって提供され、ここで開示された本発明の種々の方法において使用するのに適している。
【0034】
薬学的製剤/組成物
GHSRFAは、単回投与又は複数回投与の何れかにおいて、単独で、又は薬学的に許容される担体又は賦形剤と組み合わせて投与されることが出来る。一般に、GHSRFA薬学的組成物は、「Remington, THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY, 19th Edition, Gennaro, Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA (1995)」に開示されているような従来の技術に従って、薬学的に許容される担体又は希釈剤並びに他の任意の既知のアジュバント及び賦形剤と共に処方されることが出来る。
【0035】
「薬学的に許容される担体」という用語は、ここで用いられているように、一般に有機又は無機の物質を称し、これは、該組成物中の一以上のGHSRFAのような活性成分の性質を実質的に損なわない(例えば反応によって)。薬学的に許容される担体は、一般に、任意の及び全ての、適切な溶媒、分散培地、コーティング、抗菌及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤、及びGHSRFAと生理学的に適合性であるようなものを含む。換言すれば、ここでいう「担体」という用語は、適切な溶媒、希釈剤、賦形剤、バッファー、安定剤、保存剤、賦形剤、風味剤、着色剤、湿潤剤、潤滑剤、錠剤化剤、溶媒、溶質、抗酸化剤、制生剤、懸濁剤、等張剤、肥厚剤、アジュバント、乳化剤、塩、芳香剤、活性-促進剤、可溶化剤など、或いはそれらの任意の適切な組み合わせを一般的に包含するよう意図される。薬学的に許容される担体の例には、水、生理食塩水、リン酸で緩衝された生理食塩水デキストロース、グリセロール、エタノールなど、並びに、任意のそれらの組み合わせが含まれる。多くの場合、例えば糖、マンニトール、ソルビトールのようなポリアルコール、又は塩化ナトリウムなどの等張剤を、そのような組成物中に含むことが望ましい。湿潤剤のような薬学的に許容される物質、又は、乳化剤、保存剤又はバッファーのような少量の補助的な物質(これはGHSRFAの有効期間又は有効性を増強できることが好ましい)もまた、薬学的に許容される担体の通常の意味の中に含まれる。担体及び薬学的組成物の他の成分に対する適合性は、被検者での関連する使用における、GHSRFAの所望の生物学的性質に与える著しい負の影響の欠如に基づいて決定される。担体又は希釈剤は、単独の又は蝋と一緒のグリセリルモノステアレート又はグリセリルジステアレートのような時間遅延物質、又は他の機能的類似物質を含んでよい。賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤、風味剤もまた、適切な担体であり得る。他の適切な担体は、抗酸化剤、バッファー、静菌薬、及び溶質及び/又は懸濁剤、可溶化剤、肥厚剤、安定化剤、及び保存剤を、所望の効果を得るために十分な量で(例えば、GHSRFAの有用な有効期間を増大させるのに十分な量)で含んでよい。
【0036】
一般的に有用な担体のさらなる例には、これらに限定されないが、ラクトース、グルコース及びスクロースのような糖;コーンスターチ及びポテトスターチのようなスターチ;セルロース及びナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース及び酢酸セルロースのようなその誘導体;粉末化されたトラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;ステアリン酸;マグネシウムステアレート;硫酸カルシウム;ピーナッツ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及びカカオ油のような植物油;プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコールのようなポリオール;アガー;アルギン酸;発熱性物質を含まない水;等張性生理食塩水;及びリン酸バッファー溶液;脱脂乳粉末;並びに、薬学的製剤中で用いられる他の非毒性の適合性物質が含まれる。ラウリル硫酸ナトリウムのような湿潤剤及び潤滑剤、並びに着色剤、風味剤、潤滑剤、賦形剤、錠剤化剤、安定化剤、抗酸化剤及び保存剤もまた存在してよい。
【0037】
薬学的組成物は、経口、直腸、経鼻、肺、局所的(頬側及び舌下を含む)、経皮性、大槽内、腹腔内、膣又は非経口的(皮下、筋肉内、くも膜下腔内、静脈内及び皮内を含む)経路のような任意の適切な経路によって投与されるための具体的に処方される。経路の選択は、治療される被験者の一般的な状態及び年齢、治療される状態の性質及び問題の活性成分(及び問題の活性成分(グレリンアンタゴニスト)の性質に依存する。
【0038】
経口投与のための薬学的組成物は、カプセル、錠剤、ドラガー(dragees)、ピル、ロゼンジ、粉末及び顆粒を含んでよい。適切な場合には、そのような組成物は腸溶コーティングのようなコーティングで調製されてよく、或いは、それらは、当該分野で周知の方法に従って、持続性放出や遅延された放出のような、活性成分の制御された放出を提供するために処方されてもよい。
【0039】
経口投与のための液体剤形は、溶液、エマルジョン、懸濁液、シロップ及びエリキシル剤を含む。
【0040】
非経口的投与のための薬学的組成物は、無菌の水性及び非水性注射用溶液、分散液、懸濁液又は乳濁液、並びに、使用前に滅菌の注射可能な溶液又は分散液に再構築される滅菌粉末を含む。持効性製剤(Depot)注射可能製剤もまた、本発明の範囲内であるとして考えられる。
【0041】
他の可能な投与形態は、坐薬、スプレー、軟膏、クリーム、ゲル、吸入薬、経皮パッチ及びインプラントを含む。
【0042】
GHSRFA組成物の典型的な経口投与量は、1日当り約0.0001〜約100 mg/kg体重の範囲にあると予期され、例えば1日当り約0.001〜約50 mg/kg体重、例えば(より具体的には)1日当り約0.01〜約25 mg/kg体重、の範囲にあると予期され、1日当り一以上の投与、例えば1日当り1〜3の投与で投与される。
【0043】
薬学的組成物は、当該分野の技術者に周知の方法論に従って、単位剤形であることが都合よい。1日当り一以上、例えば1日当り1〜3回のような経口投与のための典型的な単位剤形は、例えば、約0.05〜約2000 mgを含み、多くの場合に、約0.1〜約500 mg、例えば約0.5 mg〜約200 mgのGHSRFAを含む。
【0044】
静脈内、くも膜下腔内、筋肉内及び類似の投与経路のような非経口経路のための投与量は、典型的には、経口投与のために用いられる投与量の約半分の桁(order)である。
【0045】
GHSRFAは、遊離物質として、又はその薬学的に許容される塩として、特にその酸付加塩として投与されることが出来る。塩は、例えば、化合物の遊離塩基形態の溶液又は懸濁液を、典型的には、1当量(化学的当量、即ち、酸−塩基当量)の薬学的に許容される酸、例えば上記したそれらの代表的な例の中から選択される無機又は有機酸で処理することによって調製できる。
【0046】
非経口的な投与のために、滅菌水溶液、水性プロピレングリコール、又は適切な油性組成物(ごま油又はピーナッツ油のような)中に一以上のGHSRFAを含む溶液を用いることができる。そのような水性溶液は、必要であれば、適切に緩衝され、また、該液体は、最初に、十分な生理食塩水、グルコース、マンニトール又は他の薬学的に許容される張度調整物質を用いて、等張性を与えられる。水性溶液は典型的には、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与及び腹腔内投与のために特に適している。用いられる滅菌水性媒体は、当該分野の通常の技術者には周知の標準的な方法に従って、全て容易に入手可能である。
【0047】
適切な薬学的担体は、不活性な固体希釈剤又は充填剤、滅菌水性溶液及び種々の有機溶媒を含む。固体担体の例は、ラクトース、石膏、スクロース、シクロデキストリン、タルク、ゼラチン、アガー、ペクチン、アカシア、マグネシウムステアレート、ステアリン酸及びセルロースの低級アルキルエーテルである。液体担体の例は、シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、リン脂質、脂肪酸、脂肪酸アミン、ポリオキシエチレン及び水である。同様に、該担体又は希釈剤は、グリセリルモノステアレート又はグリセリルジステアレートのような、当該分野で既知の持続的放出物質を、単独で又は蝋と組み合わせて含んでよい。本発明の化合物と薬学的に許容される担体を組み合わせて形成した薬学的組成物は、それにより、開示された投与経路に適する種々の剤形で容易に投与される。製剤は、薬学の分野で周知の方法により、単位剤形で存在することが都合よい。
【0048】
経口投与に適する製剤は、カプセル又は錠剤のような分離したユニットとして存在することができ、それぞれ活性成分の所定量を含み、適切な賦形剤を含みうる。それらの製剤は、水性又は非水性液体中の溶液又は懸濁液として、或いは水中油エマルジョン又は油中水エマルジョンとして、粉末又は顆粒の形態であってよい。
【0049】
固体担体が経口投与のために用いられる場合、その調製は、粉末又はペレット形態にある硬質ゼラチンカプセル中に錠剤化されて配置されてよく、又は、トローチ又はロゼンジの形態であってよい。固体担体の量は、広く変化するが、ヒトへの投与のためには、通常約25 mg〜約1 gである。液体担体が用いられる場合、その製剤は、シロップ、エマルジョン、軟質ゼラチンカプセル又は、水性又は非水性液体懸濁液又は溶液のような滅菌注射用液体の形態であってよい。
【0050】
すでに示したように、GHSRFAは、ヒトにのみ投与可能なものではなく、動物、特に、脊索動物、及びさらに特には哺乳類(例えば、げっ歯類、非ヒト霊長類など)にも投与可能である。哺乳類には、例えば家庭のペット又は農場の動物などの飼いならされた動物、及び飼いならされていない動物のいずれも含まれる。
【0051】
適切な場合、薬学的組成物は、一以上のGHSRFAを、一以上の他の適切な薬学的活性物質と組み合わせて含んでよい。そのような物質の例には、抗糖尿病剤(例えば、経口抗糖尿病性薬物、インスリン、インスリン類似体、インスリン/インスリン類似体誘導体、GLP-1、GLP-1類似体、GLP-1/GLP-1類似体誘導体、抗-糖尿病性ビグアニド(例えば、メトホルミン)など)及び抗肥満症剤が含まれる。そのような第二の活性薬剤の面からの適合性は、日常的な方法及び原理によって決定されることができる。
【0052】
GHSRFA及びGHSRFA組成物の使用
他の側面において、本発明は、GHS-R活性に付随する、特に、持続的なGHS-R関連持続性カルシウム放出に付随する生理学的影響に付随する状態又は障害(例えば、疾患の状態、疾患以前の状態、症候群など)の治療のためのGHSRFAの使用に関し、一つの側面において、さらには、グレリン誘導性GHS-R関連持続性のカルシウム放出に付随する障害の治療のためのGHSRFAの使用に関する。言及される他の方法は、一つの側面において、本発明が、持続性のGHS-R関連カルシウム放出に付随する状態又は障害を治療する方法を提供し、具体的な側面においては、グレリン誘導性GHS-R関連持続性カルシウム放出に付随する障害又は状態である。
【0053】
「治療」という用語は、言及された疾患、障害、又は状態の予防及び最小化のいずれをも含むことを一般的に意味する(即ち、「治療」とは、文脈によって他に示されるか又は明らかに矛盾しない限り、化合物X又は化合物Xを含む組成物の予防的投与及び治療的投与のいずれをも称する;しかしながら、化合物X又は化合物Xを含む組成物の治療的投与、及び化合物X又は化合物Xを含む組成物の予防的投与は、別々に、本発明に独特であると考えられる)。例えば、一つの側面において、本発明は、例えば肥満症のような予期されるGHS-R関連状態の予防、及び/又は、治療なしで例えば肥満症のような状態をもたらした影響の最小化の結果の状態を治療する方法を提供する。
【0054】
一つの側面において、本発明は、肥満症の治療方法を提供し、該方法は、GHSRFAを含む薬学的組成物のような、GHSRFAの有効量、例えば治療的有効量を、ヒト患者のような、そのような治療を必要とするヒト患者のような被検者に、その肥満症を治療するために投与することを含む。他の側面において、本発明は、肥満症の治療のためのGHSRFA又はGHSRFA化合物の使用に関する。一つの側面において、ここで開示された使用又は方法は、GHSRFAが式Iの化合物ではないという条件によって限定される。しかしながら、他の側面において、本発明は、そのような側面における式Iの化合物の使用を提供する。他の側面において、任意のそのような側面の使用又は方法は、肥満症が中枢神経系(CNS)障害の治療に関していないという条件によって限定される。
【0055】
他の側面において、本発明は、他の抗肥満症薬剤、肥満症治療に関する手術、体重減少を伴うダイエット(例えば、低炭水化物ダイエットの、低カロリー摂取ダイエットなどの採用の結果)などによる治療によって得られたような、体重減少の維持を促進するための方法を提供し、該方法は、そのような体重が減少した被検者に、そのような体重減少を維持させるためにGHSRFAの有効量を投与することを含む。他の側面において、本発明は、被検者において、体重減少の維持、糖尿病の治療などの維持を促進する方法を提供し、ここで、該被検者は、著しく上昇したグレリンレベル(該被検者における通常の生理学的状態と比較して、及び/又は、同様の年齢、タイプなどの被検者における通常の生理学的状態と比較して)を付随していることを特徴とする。
【0056】
上記に示したように、本発明によって提供されるGHSRFA及びGHSRFA組成物の一つの有利な適用は、肥満症の治療のためのGHSRFAの能力である。肥満症という用語は、脂肪組織の過剰を意味する。この文脈において、肥満症は、健康リスクを加える任意の程度の過剰な脂肪組織と最もよくみなされる。正常な個体と肥満の個体との間の境界(cut-off)は、おおよそでしかなく、肥満によって加えられる健康リスクは、おそらく、体脂肪蓄積の増大と連続的である。本発明の状況において、体重指標(BMI = キログラムでの体重をメーターでの身長の二乗で割ったもの)が25以上である個体が、肥満とみなされる。この文書における肥満症の治療は、過体重又は肥満症として記載される状態であるものを含むがこれに限定されない被検者の任意の体重の低下又は体脂肪の減少を含む。
【0057】
肥満症の治療もまた、過食症障害(BED)、かなり新しい診断可能な障害−例えば、「Int.J.Obesity, 2002, 26, 299-307, and Curr.Opin.Pshyciatry, 17, 43-48, 2004」を参照されたい−の治療を一般に包含する。BEDは、神経性過食症(BN)と同じように、過食症発症によって特徴付けられる。しかしながら、BEDの被検者は、神経性過食症の患者と反対に、例えば、自己誘導性嘔吐、過剰な運動、及び下剤、利尿薬又は浣腸の濫用のような、代償的な行動に関与しない。一般の人口の1〜3%がBEDであり、一方、より高い罹患率(25〜30%まで)が肥満症患者について報告されていることが研究によって示されている[Int.J.Obesity, 2002, 26, 299-307]。それらの数字は、BED被検者が、肥満症であるか又は肥満症ではなく、肥満症患者がBEDであるか又はBEDでない、即ち、肥満症の原因がBEDであるということを示す。しかしながら、ある割合のBEDの被検者は、過剰なカロリー摂取のために、最終的に肥満になる。研究室の調査により、BED患者は、肥満コントロールグループと比較してデザート及びスナック(脂肪に富、タンパク質に乏しい)をより多く消費することが示されており [Int.J.Obesity, 2002, 26, 299-307]、本発明の化合物及び方法はBEDの治療に特によく適している。
【0058】
BNは、BEDがそうであるように、同じ過食症発症によって特徴付けられる。しかしながら、BNは、上記の代償的な行動によっても特徴付けられる。ある割合のBNの被検者は、代償的行動が、過剰なカロリー摂取を完全には代償できない範囲まで最終的に肥満症になる。調査はBNの患者とBEDの患者の過食を比較し、BNの被検者の過食は、BEDの被検者のものより、炭水化物及び糖の含量が高いと結論付けた。しかしながら、消費したカロリーの数字において、相違は発見されなかった[Int.J.Obesity, 2002, 26, 299-307]。本発明の化合物及び方法は、BNの治療によく適合することができる。
【0059】
食物に対する欲求又は特定の食物を食べることに対する激しい願望は、通常は、脂肪酸又は炭水化物に富む食物のような、エネルギーが高密度な食物に関係する [Appetite, 17, 177-185, 1991; Appetite, 17, 167-175, 1991]。そのような食物の例は、チョコレート、ビスケット、ケーキ及びスナックを含む。ある割合の食物欲求者(cravers)は、過剰なカロリー摂取のために、最終的に肥満になる。本発明の化合物及び方法は、食物欲求、特に脂肪又は炭水化物に富む食物を欲求することを治療するためによく適合できる。
【0060】
スナックは典型的には、本当の食事の間に食される軽くてカジュアルな、あわただしい便利な食事である。スナックは典型的に脂肪と炭水化物に富んでいる。調査により、特に米国の子供の間でのスナッキングの蔓延が増大していること、及び、スナッキングは、例えば子供の、BMIを上昇させる重要な原因であることが示されている [J.Pediatrics, 138, 493-498, 2001; and Obes.Res., 11, 143-151, 2003]。より健康的なスナックへの移行により、恐らく、昨年に起こったBMIの上昇を停止させるか又は変化させることが出来るかもしれない。脂肪及び炭水化物に富む食物から、低脂肪糖血症指標低食物へ食物の好みを移行させることが出来る医薬が望まれている。本発明の組成物及び方法は、スナッキングの量を減少させること、又はより健康的なスナックへスナックの好みを変化させることにおいて有用であり得る。よって、本発明は、そのような現象を達成するための方法を提供する。
【0061】
ある種のステロイドのようないくつかの薬物は、激しい体重増加を誘導すると知られている。理想体重から約7%の体重増加は、糖尿病及び循環器病並びに癌を含む他の肥満症関連疾患のような疾患をもたらし得る肥満症を伴うために、著しい健康リスクとみなされる。よって、一つの側面から、本発明は、そのような薬物に付随する体重増加を治療する方法に関する。具体的な側面において、本発明は、該薬物がCNS障害の治療には関係しないという条件によって改変されたような方法に関する。
【0062】
一つの側面において、本発明は、体重の維持、体重減少の維持を促進する方法、及び/又は、最適体重から約20%以上の体重を有する患者における、新規の体重減少の誘導及び/又は促進する方法に関連し、該方法は、GHSRFAの有効量を、該被検者に、所望の生理学的効果が達成されるように投与することを含む。
【0063】
一般に、「治療する又は治療」という用語は、疾患、状態又は障害を併用する目的のための、患者の管理及び治療を述べる。治療は一般に、症状又は合併症の発症を予防するため、症状又は合併症を軽減するため、又は疾患、状態又は障害を排除するための、本発明の化合物の投与を含む。肥満症の治療はそれ故、必要とする患者における、食物摂取の阻害、体重増加の阻害、及び体重損失の誘導を含む。
【0064】
一つの側面において、本発明は、肥満症及び関連する障害の治療に関する。他の側面において、本発明は肥満症に関連する障害の治療に関する。肥満症の治療と関連する「関連する障害」という用語は、これらに限定されないが、2型糖尿病、循環器病、癌、及びその病因が肥満症に由来する他の疾患を含む。特に有利な側面において、本発明は、糖尿病又は糖尿病に関連する状態(例えば、前糖尿病、インスリン耐性、メタボリック障害など)を治療する方法を提供し、該方法は、糖尿病又は糖尿病に関連する状態を治療するために、糖尿病又はその関連する状態に罹患しているか、又は、実質的なリスクで発達している患者に、GHSRFAの有効量を投与することを含む(具体的な側面において、該被検者は2型糖尿病に罹患している患者である)。他の側面において、本発明は、2型糖尿病、関連する状態、又はその両者の治療のための、医薬の調製のためのGHSRFAの使用に関する。
【0065】
具体的な側面において、本発明は、GHSRFAと第二の抗糖尿病薬剤の有効な組み合わせを、2型糖尿病を治療するために投与することを含む、2型糖尿病の治療方法を提供する。他の側面において、本発明は、2型糖尿病の治療のための医薬の調製のための、そのような薬剤の組み合わせの使用に関する。一つの側面において、前記第二の薬剤はインスリン、インスリン誘導体、インスリン類似体、又は誘導体インスリン類似体である。インスリン類似体は、天然のインスリンに生じる少なくとも一つのアミノ酸残基の欠失及び/又は置換によって、及び/又は、少なくとも一つの残基の追加によって、形式的に天然のインスリンの構造、例えばヒトインスリンのものに由来することができる、分子構造を有するポリペプチドである。付加及び/又は置換されたアミノ酸残基は、コード可能なアミノ酸残基であるか又は他の天然のアミノ酸残基であるか又は純粋な合成アミノ酸残基のいずれかであってよい。典型的には有用なインスリン類似体は、インスリンのB鎖の位置28が天然のPro残基からAsp、Lys、又はIleの一つに改変されたようなタンパク質を含む。他の態様において、B29に位置するLysもまた、代わりにProに改変される。また或いは、A21に位置するAsnは、Ala, Gln, Glu, Gly, His, Ile, Leu, Met, Ser, Thr, Trp, Tyr 又はValに改変され、特にGly, Ala, Ser, 又は Thrに改変され、好ましくはGlyに改変される。さらにその上、B3に位置するAsnは、Lys又はAspに改変され得る。インスリン類似体のさらなる例は、des(B30)ヒトインスリン、PheB1が欠失したインスリン類似体;A-鎖及び/又はB-鎖がN-末端伸長を有するインスリン類似体及びA-鎖及び/又はB-鎖がC-末端伸長を有するインスリン類似体である。よって、一つ又は二つのArg残基が、例えば、B1の位置に追加されてよい。インスリン分子又はインスリン類似体は、異種性の置換基の追加によって誘導体化され、例えば、そのようなタンパク質は、ヒトインスリンのB29における位置又はdesB30ヒトインスリンにおけるような位置のような、一以上の位置でアシル化される。アシル化されたインスリンの例は、NεB29-テトラデカノイルGlnB3 des(B30) ヒトインスリン)、NεB29-トリデカノイルヒトインスリン、NεB29-テトラデカノイルヒトインスリン、NεB29-デカノイルヒトインスリン、及びNεB29-ドデカノイルヒトインスリンである。周知のインスリンには、Humalog、Regular、NPH、Lenta、Ultralenta、及びLantusが含まれる。
【0066】
他の側面において、GHSRFAは、非インスリン抗糖尿病薬剤と有効に組み合わせて投与される。そのような第二の活性薬剤は、アカルボース(Precose)及びミグリトール(miglitol)(Glyset)のようなα-グルコシダーゼ阻害剤;トルブタミド、アセトヘキサミド、クロルプロプラミド(chlorpropramide)、トラザミド、グリピジド(glipizide)(Glucotrol)、グリメピリド(glimepiride)(Amaryl)、及びグリブリド(DiaBeta, Micronase, Glynase)のようなスルホニル尿素;レパグリニド(Prandin)及びナテグリニド(Starlix)のようなメグリチニド;メトホルミン(Glucophage)のようなビグアニド;トログリタゾン、ロシグリタゾン(rosiglitazone)(Avandia)及びピオグリタゾン(pioglitazone)(Actos)のようなチアゾリジンジオン(thiazolidinedione)(TZD)、或いは他のPPARアゴニスト(例えば、dual PPARアゴニスト、PPARγアゴニスト、etc.)、GLP-1、GLP-1類似体のような、GLP-1受容体アゴニスト、及び、リラグルチド(Liraglutide)又はエキセナチド(Exenatide)のようなそれらの誘導体;NVPDPP728、LAF237 (Vildagliptin)、スルホスチン(Sulphostin)、及びMK-0431のようなDPP IV阻害剤(米国特許第6,710,040号、6,432,969号、6,319,893号、6,303,661号、6,166,063号、6,124,305号、6,110,949号、6,107,317号;米国特許公開番号第20040082570号、第20050090539号、第20050043292号、第20040254167号、第20040242636号、第20040209891号、第20040171848号、第20040167341号、第20040167133号、第20040152745号、第20040132713号、第20040110817号、第20040106656号、第20030176357号、第20030166578号、第20030130199号、第20030119750号、第20030100563号、第20020193390号、第20020110560号、及び第20020006899号;及びWiedman et al., Curr Opin Investig Drugs. 2003 Apr;4(4):412-20;Abe et al., J Antibiot (Tokyo). 2005 Feb;58(2):111-7;Yamakazi et al., Eur J Pharmacol. 2004 Mar 19;488(1-3):213-8;Cohen et al., Biochimie. 2004 Jan;86(1):31-7をも参照されたい)。他の抗糖尿病薬剤は、AVE-0010、BIM-51077、LAF-237、MK-431、リボグリタゾン(Rivoglitazone)(CS-011)、T-131、MBX-102、R-483、CLX-0921、ガリダ(Galida)(tesaglitazar)、ムラグリタザル(Muraglitazar)、ナベグリタザル(Naveglitazar)(LY-818)、TAK-559、ネトグリタゾン(Netoglitazone)、GW-677594、LY-929、アミリン(Amylin)類似体、シムリン(Symlin)(pramlintide)、ナトリウムグルコース共-輸送体(SGLT)阻害剤(AVE-2268のような)、グリブリド、グルコトロール(Glucotrol)、アマリル(Amaryl)、及びプレコース(Precose)を含む。
【0067】
インスリン擬態もまた、当該分野で既知であり、そのような薬剤も又或いは一以上のGHSRFAと共投与などされるのに適切であり得るものであり、又は、関連した別々の投与方法に適している(代表的なインスリン擬態のいくつかの分類の記述は、例えば、米国特許公開番号第2003195147号及び第2003236190号を参照されたい)。
【0068】
本発明は、一以上のGHSRFA及び一以上の第二の活性成分(糖尿病の治療、肥満症の治療、又はその他の状況のいずれにせよ)及びそのような組み合わせを含む組成物の共投与、並びにそのような薬剤の別々の投与(別々の投与はそれでも、被検者に混合性の効果を与えるような方法で提供される)を提供する。
【0069】
さらなる側面において、本発明は、ヒト患者、例えば過剰な食欲を訴えるヒト患者又は過剰食欲に付随する状態を受けている及び/又は体重減少が重要な健康関連目的として確認されているような、被検者において食欲を抑制する方法に関し、GHSRFAの有効量を、そのような食欲が抑制される被検者に投与することを含む。他の側面において、本発明は、ヒト患者において食欲を抑制するための医薬の調製における、GHSRFAの使用に関する。
【0070】
ここで用いられる「投与する」「投与」などの用語は、該物質がGHS-Rと相互作用可能なように、体内にGHSRFAを導入するための任意の手段を含む。典型的に有利な投与経路は、GHSRFAの全身循環への導入である。例には、これに限定されないが、経口;経皮;皮下、静脈内、及び筋肉内注射が含まれる。典型的には、ここで記載する方法の実行において、GHSRFA又はGHSRFA組成物は、哺乳類、好ましくはヒトに、大量瞬時投与としての静脈内投与のような方法、或いは、筋肉内、腹腔内、脳内、脳脊髄内、皮下、関節内、滑液内、くも膜下腔内、眼内、病巣内、経口、局所的、吸入による、一定期間の間の連続的な注入による方法、又は持続性放出を通じての方法のような、既知の方法に従って投与される。
【0071】
一つの側面において、本発明は、肥満症又は上記の状態のような関連する障害の組み合わせ治療に関連し、組み合わせ治療は、GHSRFA及び第二の抗肥満症薬剤(又は抗肥満症治療の適用、例えば食餌治療、外科的治療など)の別々の投与によって達成されうる。ここにおいて、該組み合わせは、被検者(例えばそのような治療を必要とする患者)及び/又は同様の被検者の集団において肥満症を治療するために有効である。そのような化合物の例は、これらに限定されないが、apo-B/MTP阻害剤、MCR-4アゴニスト、CCK-Aアゴニスト、モノアミン再取り込み阻害剤、交感神経模倣薬薬剤、β3 アドレナリン作動性受容体アゴニスト、ドーパミンアゴニスト、メラノサイト-刺激ホルモン受容体類似体、5-HT2c受容体アゴニスト、メラニン濃縮ホルモンアンタゴニスト、レプチン、レプチン類似体、レプチン受容体アゴニスト、ガラニン受容体アンタゴニスト、リパーゼ阻害剤、ボンベシン受容体アゴニスト、神経ペプチド-Y受容体アンタゴニスト、チロ擬態性薬剤(thyromimetic agents)、デヒドロエピアンドロステロン又はそれらの類似体、グルカゴン受容体アンタゴニスト及び逆性アゴニスト、グルココルチコイド受容体アンタゴニスト、アノレキシン(anorexin)受容体アンタゴニスト、グルカゴン様ペプチド-1受容体アゴニスト(米国特許公開第20050043228号、第20040242853号、第20040235710号、第20040220105号、第20040146985号、第20040138100号、第20040127412号、第20040127398号、第20040106547号、第20040053370号、第20040018981号、第20040018975号、第20040002442号、第20030232754号、第20030199672号、第20030199451号、第20030144206号、第20030143183号、第20030119734号、第20030108568号、第20030022816 号、第20020123466号、第及び20010011071、並びに米国特許第6,458,924号、第6,451,974号、第6,268,343号、第5,631,224号、第及び RE37,302に開示されているような、GLP-1類似体、誘導体、組成物などのような)、毛様体神経栄養性因子、ヒトアグーチ-関連タンパク質アンタゴニスト、真グレリン受容体アンタゴニスト(例えば、背景及び該化合物に関する他の場所で提供された幾つかの引用を参照されたい)、ヒスタミン3受容体アンタゴニスト又は逆性アゴニスト、オキシレキシン(oxirexin)受容体アンタゴニスト(例えば、Haynes et al., Regul Pept. 2002 Mar 15;104(1-3):153-9を参照されたい)、及びニューロメディンU受容体アゴニストを含む。そのような治療方法、及び関連する原理、方法、組成物などにおける、GHSRFAと組み合わされる薬剤のさらなる例は、例えば、米国特許公開第20050054656号、第20050026983号、第20040259887号、第20040122074号、第20040204472号、第20040204398号、第20040132779号、第20040092520号、及び第20030212063号に開示されている。
【0072】
他の側面において、GHSRFAは、GHSRFAは、例として、これらに限定されないが、化学的脱共役薬剤及び種々の発熱性及び/又は摂食障害(anorectic)/摂食障害(anorexic)化合物が含まれる、エネルギー消費を増加させるように影響する一以上の化合物について、組み合わされ、共に投与され、又は投与される(全3つのそのようなストラテジーは、他に示さない限り、ここで記載された種々の組み合わせの全てに適用可能である)。そのような薬剤の具体的な例には、チロキシン、UCP-1、UCP-2、UCP3、StUCP、及びAtUCP(及び活性化類似体、断片、及び/又はそれらの誘導体)のような脱共役タンパク質(例えば、 Nedergaard et al., Biochim Biophys Acta. 2001 Mar 1;1504(1):82-106; Ricquier et al., Biochem J. 2000 Jan 15;345 Pt 2:161-79; Ricquier et al., J Physiol. 2000 Nov 15;529 Pt 1:3-10; Ricquier et al., J Intern Med. 1999 Jun;245(6):637-42; Boss et al., Diabetes. 2000 Feb;49(2):143-56; Schrauwen et al., Obes Res. 1999 Jan;7(1):97-105を参照されたい)並びにそれらの調節因子(例えば、Berraondo et al., Int J Obes Relat Metab Disord. 2000 Feb;24(2):156-63を参照されたい)、及び、他の化学的脱共役化合物(例えば、Massicot et al., Int J Obes. 1985;9(6):451-8; Soltoff, J. Biol. Chem., Vol. 279, Issue 12, 10910-10918, March 19, 2004を参照されたい)或いはウコルチン(ucortin)(例えば、Cullen et al., Endocrinology. 2001 Mar;142(3):992-9を参照されたい)、柑橘類アウランチム(aurantium)、及びチロキシン/チロキシン(例えば、Palamarchuk et al., Biochemistry (Mosc). 2002 Apr;67(4):468-72を参照されたい)のような他の関連する効果を有する化合物が含まれる(また、Ricquier, Int J Obes Relat Metab Disord. 1999 Jun;23 Suppl 6:S38-42; 及びAstrup, Endocrine. 2000 Oct;13(2):207-12を参照されたい)。そのような組み合わせに適する他の化合物は、グリセロール-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、リンゴ酸酵素及び/又は脂肪酸アシルCoAオキシダーゼ(例えば、7-オキソDHEA)のような、内在性発熱性酵素の活性を増強する薬剤を含む。肥満症の治療及びエネルギーレベルの制御に関する、関連する化合物及び他の化合物及び他の方法の記述には、「Burkey et al., Metabolism. 2000 Oct;49(10):1301-8」及び米国特許公開第20040110951, 20050079203, 20040259780, 20030040535, 20040081678, 20040157929, 20040137035, 20050033524も参照にされたい。
【0073】
エネルギーの制御及び/又は糖尿病の治療に関する他の化合物は、キセンドリン(Xenedrine)、エフェドリン、カフェイン、及び他の天然の又は人工的に誘導された刺激薬(例えば、phenylpropanolamine (DL-norephedrine))のような物質、デキスフェングルラミン(dexfenfluramine)及びフェンフルラミン(fenfluramine )(Servier Laboratories)のような摂食障害薬剤を含む組成物を含む。食欲を阻害する他の薬物は、フルオキセチン(選択的セロトニン取り込み阻害剤)、ジエチルプロピオン(1-フェニル-2-ジエチルアミン-1-プロパノンヒドロクロリド)、マジンドール及びフェンテルミン(ノルアドレナリン作動性薬剤)を含む。一つの側面において、治療又は組成物の組み合わせは、一以上の適切なアドレナリン作動性アゴニストを含む、任意の適切なタイプの発熱性薬剤であってよい発熱性薬剤を伴う。他の側面において、治療/組成物の組み合わせは、又或いは、テトラヒドロリポスタチン(Orlistat; Hoffman La Roche)又は脂肪消化を遮断する他のリパーゼ阻害剤のような、食物の消化又は吸収を遮断する組成物を含む。
【0074】
他の側面において、治療及び/又は組成物の組み合わせは、カテコールアミン作動性薬物(アドレナリン及び/又はノルアドレナリン、又は任意の他の関連する刺激性神経伝達物質の、脳レベルを上昇させる薬剤)を含む。フェンテルミンは、そのような薬剤の例である。或いはまた、フェンフルラミン、又はカテコールアミン作動性及びセロトニン作動性の性質の両方を有する化合物(例えば、メリジア(Meridia))のような、セロトニン放出促進剤が含まれうる。カテコールアミン作動性薬剤は、アンフェタミン及びその誘導体(主にフェニルエチルアミン)のような交感神経様作動薬を含む。この分類の他の薬剤は、ジエチルプロピオン、フェンテルミン及びマチンドールを含む。
【0075】
方法又は組成物の組み合わせに包含される適切な組成物の他の具体的な例には、ベンズフェタミン、フェンジメトラジン、フェンテルミン、ジエチルプロピオン、マチンドール、及びフェニルプロパノールアミンが含まれる。
【0076】
他の側面において、組み合わせ組成物又は治療は、抗肥満症効果を促進するために(例えば、CP-94,253のような選択的5-HT1B受容体アゴニスト)、フェンフルラミン(例えば、DL-フェンフルラミン、単独で又はフェンテルミンと共に)のようなセロトニン作動性薬剤、又は、d-フェンフルラミン(デキスフェンフルラミン、DFN)又は同様の性質を有するセロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)(例えば、フルオキセチン、プロザック(Prozac)又はセルタリン(sertaline))、又は5-ヒドロキシトリプトアミン(5-HT)受容体サブタイプで作用する薬剤(例えば、5-HT2Cではなく5-HT1B受容体で活性化する薬物)を含む。
【0077】
他の側面において、D2ドーパミンアゴニストブロモグリプチンのようなドーパミン作動性薬剤もまた或いは組み合わせ方法又は組成物に含まれる。
【0078】
他の具体的な側面において、CL 316,243 及び CL314,698のような、β3-アドレナリン受容体アゴニストもまた或いは、組み合わせ方法又は組成物に含まれる(ここに記載された全ての組み合わせは、前記混合性薬剤が前記組み合わせ中に含まれる薬剤の種々の量を与えられる有効な量で集合的であると考えられる)。
【0079】
他の代表的な抗肥満症薬剤は、シブトラミン(Sibutramine)化合物(例えば、シブトラミン塩酸塩一水和物)、リプスタチン(lipstatin)誘導体(例えばOrlistat)、神経ペプチドY (NPY)アンタゴニスト(例えば、NGD-95-1、ニューロゲン(Neurogen)、及びSR-120819A、サノフィ-アヴェンティス(Sanofi-Aventis))、及びNPY5受容体調節因子、コレシストキニン及び関連するペプチド(類似体、誘導体など、及び相互作用するペプチド)、コルチコトロピン関連因子(CRF)及び関連するペプチド、及び種々の抗肥満症及び/又はエネルギー制御栄養素及び/又はニュートラセウティカル(neutraceuticals)、例えば、3-ヒドロキシ酪酸 (3-OHB)及び内在性脂肪酸誘導体、例えば、3,4-ジヒドロキシブタノエートそのラクタム(2-ブテン-4-オリド)、コレシストキニンA (CCKA)受容体アンタゴニスト、β2-アドレナリン作動性アゴニスト(例えば、クレンブテロール)又はβ3-アゴニスト、セロトニンのようなアドレナリン作動性受容体と相互作用するモノアミンを含む。CCK、ボンベシン、グルカゴン、インスリン、エンテロスタチン、シクロヒスチジル-プロリン、ソマトメジン、アミリン、レプチン、及びアポタンパク質IV (apo IV)のような種々の内在性ペプチドは、全て食物摂取を減少させ、そしてそれら又は関連するペプチド(再び、類似体、誘導体、活性断片など、又は、ペプチドをコードする核酸、ベクターなどのような、関連する化合物(そのような関連化合物は、他に指示しない限り、ここで開示された任意のペプチド、タンパク質などのために用いることができ、該方法に関するここにおける任意のペプチドの記述は、ここで提供される発明的組成物、方法などにおける、そのような関連する化合物の使用を、含蓄的に支持していると理解されるべきである)は、ここで開示された他の潜在的な組み合わせ相手に加えて又或いは代わりとして、組み合わせ方法及び組成物に含むことが出来る。CCKのペプチド類似体、CCKアゴニストであるベンゾジアゼピン、CCKのタンパク分解性分解に対するアンタゴニスト及びGl路におけるCCK放出因子は、組み合わせ方法及び組成物に包含されるさらなる又は代わりの候補である。
【0080】
グルカゴン様ペプチド-2 (GLP-2)受容体アンタゴニストは、治療及び/又は組成物の組み合わせのために考慮され得る他の分類の薬剤である。
【0081】
ガストリン放出ペプチド(GRP)、グルカゴン、及びインスリン低投与治療のようなインスリン治療は(及びインスリン-関連分子、他の場所で開示した及び/又はさもなければ、当該分野で既知の、食物摂取を制御する性質を有するか、及び/又は、インスリンの低投与影響上を擬態又は改良するような投与量で提供される)、又はジアゾキシドのような、食欲抑制及び/又は肥満症治療方法におけるインスリンを低下させる他の薬剤もまた或いは、組み合わせ組成物又は方法に含むことが出来る。
【0082】
エンテロスタチン(Enterostatin)、ソマトスタチン(Somatostatin)(SRIF)、アミリン(又は島-関連ポリペプチド)、ドーパミン、ヒスタミン、GABA、グルタメート、5-ヒドロキシトリプトファン、ラクテート、ピルベート、3-ヒドロキシブチレート、3,4-ジヒドロキシブタノエート、2-ブテン-4-オリド、5-ヒドロキシトリプトファン、没食子酸プロピル、シモンドシン(Simmondsin)、アポタンパク質IV、コレシストキニン(CCK)、エンテロスタチン、ニューロメディンB 及び C、インクレチン、及び抗-肥満ステロイド、例えば、DHEA、7-オキソ-DHEA、及びオレイストロン(oleyestrone)、ソマトスタチン受容体リガンド、肥満関連インターロイキン(IL-6のような)、シクロ-ヒスチジル-プロリン(cyclo-his-pro)、ヒスタミン受容体アンタゴニスト、例えばH1 アンタゴニスト(例えば、PVN/VMH)、カルシトニン及びその遺伝子-関連ペプチド、オキシトシン、アルギニンバソプレッシン、及びH2-ブロッキング薬物(例えば、シメチジン)、MSH化合物(例えば、α-MSH)、及びそれらと関連する化合物(例えば、ここで言及されたペプチドに関連するペプチド)もまた或いは、組み合わせ組成物及び方法に包含することができる。それら及び組み合わせ治療及び方法のためのさらなる薬剤又は代わりの薬剤として有用であり得る他の種々の化合物は、例えば、「Bray and Frank, 「Current and Potential Drugs for Treatment of Obesity」 in Endocrine Reviews 20 (6): 805-875, 1999」に開示されている。
【0083】
他の側面において、GHSRFAは、抗肥満手術(典型的には胃の手術)と組み合わせて(例えば、その前、その間及び/又はその適用の後)投与され、この手術には、他の適切な手術技術も用いられるが、典型的には、小さい胃の嚢が小腸に直接排出されるように吻合が作られるバイパス手術か、又は、わずかな量の食物のみが通過できるように、小さい嚢が胃の中に封鎖される胃ステープル(gastro stapling)の何れかの形態で行われる。
【0084】
抗肥満症剤、方法、及び、本発明に従って一以上のGHSRFAの投与と組み合わされることが出来る関連する成分についての関連する文献は、十分に備えられている。この点に関する関連する刊行物の例(他の部分で記載した技術及び組成物、及び、そのような組み合わせのアプローチに包含されるさらに有用な方法及び組成物に関して)には、次のものが含まれる:Halford et al., Curr Drug Targets. 2005 Mar;6(2):201-13; Crouch, Adv Nurse Pract. 2005 Mar;13(3):53-6; Bell-Anderson et al., Treat Endocrinol. 2004;3(1):11-8; Pender et al., Psychiatr Clin North Am. 2005 Mar;28(1):219-34; Bray, Psychiatr Clin North Am. 2005 Mar;28(1):193-217, ix-x; Wadden et al., 「Behavioral treatment of obesity」Psychiatr Clin North Am. 2005 Mar;28(1):151-70, ix; Jakicic et al. (behavioral therapy in general as a combined treatment factor is contemplated), 「Physical activity recommendations in the treatment of obesity」, Psychiatr Clin North Am. 2005 Mar;28(1):141-50, ix (physical/exercise therapiesin general as a combined treatment factor arecontemplated); Makris et al., Psychiatr Clin North Am. 2005 Mar;28(1):117-39, viii-ix; Astrup et al., 「Topiramate: a new potential pharmacological treatment for obesi
ty, 」 Obes Res. 2004 Dec;12 Suppl:167S-73S; Pei et al., 「Inhibition of protein tyrosine phosphatase 1B as a potential treatment of diabetes and obesity」, Curr Pharm Des. 2004;10(28):3481-504; Freeman et al., 「Central G-Protein Coupled受容体s (GPCR)s as molecular targets for the treatment of obesity: assets, liabilities and development status」Curr Drug Targets CNS Neurol Disord. 2004 Oct;3(5):357-77; Joyal, Curr Drug Targets CNS Neurol Disord. 2004 Oct;3(5):341-56; Boyce et al., 「Melanocortin-4受容体 agonists for the treatment of obesity」, Curr Opin Investig Drugs. 2004 Oct;5(10):1063-71; 「Pharmacological and surgical treatment of obesity」Evid Rep Technol Assess (Summ). 2004 Jul;(103):1-6; Jandacek et al., Drug Discov Today. 2004 Oct 15;9(20):874-80; Orzano et al., J Am Board Fam Pract. 2004 Sep-Oct;17(5):359-69; Bays et al., Obes Res. 2004 Aug;12(8):1197-211; Shi et al., 「Lipid metabolic enzymes: emerging drug targets for the treatment of obesity」Nat Rev Drug Discov. 2004 Aug;3(8):695-710; Vickers et al., 「Serotonin受容体 ligands and the treatment of obesity」Curr Opin Investig Drugs. 2004 Apr;5(4):377-88; Fobi, J Natl Med Assoc. 2004 Jan;96(1):61-7; Plodkowski et al., 「Medical nutrition therapy for the treatment of obesity」Endocrinol Metab Clin North Am. 2003 Dec;32(4):935-65; Harley et al., 「Protein tyrosine phosphatase 1B inhibitors for the treatment of type 2 diabetes and obesity: recent advances」 Curr Opin Investig Drugs. 2003 Oct;4(10):1179-89. Review. Erratum in: Curr Opin Investig Drugs. 2003 Dec;4(12):1488; Wallenius et al., 「The therapeutic potential of interleukin-6 in treating obesity」Expert Opin Biol Ther. 2003 Oct;3(7):1061-70; Larsen et al., 「Efficacy and safety of dietary supplements containing CLA for the treatment of obesity: evidence from animal and human studies」J Lipid Res. 2003 Dec;44(12):2234-41; Gault et al., 「Glucose-dependent insulinotropic polypeptide analogues and their therapeutic potential for the treatment of obesity-diabetes」Biochem Biophys Res Commun. 2003 Aug 22;308(2):207-13; Alemany et al., IDrugs. 2003 Jun;6(6):566-72; Collins et al., 「Prospects for obesity treatment: MCH受容体 antagonists」Curr Opin Investig Drugs. 2003 Apr;4(4):386-94; Larsen et al., 「Central pre-proglucagon derived peptides: opportunities for treatment of obesity」Curr Pharm Des. 2003;9(17):1373-82; Li et al., Curr Top Med Chem. 2003;3(8):899-919: Bickerdike MJ., Curr Top Med Chem. 2003;3(8):885-97; Szewczyk et al., 「CCK1R agonists: a promising target for the pharmacological treatment of obesity」Curr Top Med Chem. 2003;3(8):837-54; Halpern et al., Obes Rev. 2003 Feb;4(1):25-42; Zhang et al., 「PTP1B inhibitors as potential therapeutics in the treatment of type 2 diabetes and obesity」Expert Opin Investig Drugs. 2003 Feb;12(2):223-33; Halper et al., 「Mitochondrial uncoupling as a target for drug development for the treatment of obesity」Obes Rev. 2001 Nov;2(4):255-65; Ayyad et al., 「Long-term efficacy of dietary treatment of obesity: a systematic review of studies published between 1931 and 1999」Obes Rev. 2000 Oct;1(2):113-9; Mustajoki et al., 「Very low energy diets in the treatment of obesity」Obes Rev. 2001 Feb;2(1):61-72; Ukkola et al., 「Protein tyrosine phosphatase 1B: a new target for the treatment of obesity and associated co-morbidities」J Intern Med. 2002 Jun;251(6):467-75; Yamada et al., 「Bombesin and its family of peptides: prospects for the treatment of obesity」Eur J Pharmacol. 2002 Apr 12;440(2-3):281-90. Review. Erratum in: Eur J Pharmacol. 2002 Jul 19;448(2-3):269; Smart D, Haynes AC, Williams G, Arch JR, 「Orexins and the treatment of obesity」Eur J Pharmacol. 2002 Apr 12;440(2-3):199-212; MacNeil et al., 「The role of melanocortins in body weight regulation: opportunities for the treatment of obesity」Eur J Pharmacol. 2002 Apr 12;440(2-3):141-57. 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【0085】
本発明のGHSRFA及びGHSRFA組成物は、持続性GHS-R関連カルシウム放出に関係する他の障害の治療において用いることができる。一つの側面において、本発明は、被検者における血管新生を減少させる方法であって、該方法は、被検者のそのような血管新生が減少するように、GHSRFA又はGHSRFA組成物の有効量を被検者(それを必要とするヒト患者のような)に投与することを含む。さらに具体的な側面において、本発明は、被検者における血管新生が関連する癌(カルシノーマが関連する腫瘍成長のような)を治療する方法を提供し、該方法はGHSRFA又はGHSRFA化合物の有効量を該被検者に投与することを含む。他の側面において、本発明は、血管新生が関連する癌又は前癌性状態のような、血管新生が関連する障害を治療するための、医薬の調製のためのGHSRFAの使用に関する。
【0086】
他の側面において、本発明は、消化管の運動活性を減少させるための方法を提供し、該方法は、そのような運動活性が減少するように、GHSRFA又は関連する化合物の有効量を、そのような治療を必要とするヒト患者のような被検者に投与することを含む。他の側面において、本発明は、そのような活性に関する障害を治療する方法に関する。具体的な側面において、本発明は、そのような障害の治療の方法を提供し、ここで該障害は、過敏性大腸症候群、酸逆流性障害、及び他の関連する障害である。
【0087】
他の側面において、本発明は、それを必要としているヒト患者のような被検者において、覚醒及び/又は注意を増大することによるような、CNS−関連障害の治療方法を提供し、該方法は、被検者において障害の治療又は所望の生理学的効果を促進するように、GHSRFAの有効量を投与することを含む。具体的な側面において、本発明は、ナルコレプシー、睡眠-覚醒撹乱、閉塞性睡眠時無呼吸(又は日中の眠気又は傾眠を引き起こす他の状態)に罹患している被検者の日中の眠気又は傾眠、ADHD、アルツハイマー病、パーキンソン病、非アルツハイマー性痴呆、うつ病及び精神分裂病から選択される一以上の生涯を治療する方法を提供し、該方法は、該状態を治療するため又は所望の効果を誘導するために、GHSRFAの有効量を投与することを含む。
【0088】
他の側面において、本発明は、患者の増大された覚醒及び/又は注意を促進することによるような、CNS−関連障害の治療のための医薬の調製のための、GHSRFAの使用に関する。
【0089】
他の側面において、本発明は、GHS-R活性に付随する過剰な骨成長を減少させる方法に関する。これに関して、該方法は、末端肥大症、広汎性の特発性骨格過骨症、肥大性骨関節症、マルファン症候群、肥厚性関節炎、及びある型のパジェット病のような障害を治療する方法を提供する。
【0090】
さらに他の側面において、本発明は、被検者におけるグレリンの血管収縮薬活性を、寛解させ、減少させ、又は阻害する方法を提供し、該方法は、該活性が寛解され、阻害されるなどするように、該被検者にGHSRFAの有効量を投与することを含む。
【0091】
代表的な実験化合物、方法及びデータ
以下の代表的な実験、化合物、及びデータは、本発明の具体的な側面を説明するために提供されるものであり、その範囲を如何なる意味においても限定するように解釈されるべきではない。
【0092】
代表的GHSRFA
本発明を説明する目的で、ここで多数の代表的GHSRFA化合物を詳細に記述する。さらに、それらの化合物のほとんどに関する実験を記載する。
【0093】
式I GHSRFA化合物
一つの側面において、本発明の種々の方法において用いられ得るGHSRFAは、式Iに従う構造を含む(しかし典型的には、それから成るか又は本質的にそれから成る)化合物、及びそれらの薬学的に許容される塩である:
【化1】
【0094】
ここにおいて、R1 及び R2 は互いに独立して水素又はC1-6アルキルであり、又は、R1 及び R2 は共に、C2-5アルキレン基を形成し;J は次の基
【化2】
【0095】
であり、任意に、一以上のC1-6アルキル又はハロゲンで置換され;m は1、2又は3であり;R3はC1-6アルキルであり;p は 1、2又は3であり;G は次の基
【化3】
【0096】
であり、任意に、一以上のC1-6アルキル又はハロゲンで置換され;R4 及び R5 は互いに独立して水素又はC1-6アルキルであり;及びR6 は水素又はC1-6アルキル、好ましくは水素である。
【0097】
式Iの化合物は、一以上の不斉中心を有することができ、そして、分離され、純粋又は部分的に純粋な光学異性体又はそれらのラセミ混合物の形態にある、任意の及び全ての光学異性体が式Iの範囲に含まれる。E及びZ幾何異性体(上記の式Iの構造の左側のオレフィン二重結合に関して)のいずれも同様に式Iの範囲内に含まれる。
【0098】
一つの側面において、本発明は式Iの化合物を用いる方法を提供し、ここでR1 及び R2 はいずれもアルキル、好ましくはメチルである。一つの側面において、本発明は式Iの化合物に関し、ここでJ も同じであるか又は代わりに2-ナフチルである。一つの側面において、mもまた或いは代わりに1である。一つの側面において、R3はメチルである。他の側面において、pは1である。他の側面において、Gはフェニルである。他の側面において、R4はメチルである。他の側面において、R5は水素又はメチルである。さらに他の側面において、R6は水素又はメチルである。それらの特徴の任意の適切な組み合わせを含む式Iの組成物が、本明細書で記載される種々の方法において用いられることができる。
【0099】
式Iと関連して、「C1-6アルキル」という用語は、1〜6の炭素原子の直鎖(直鎖状の)、分枝鎖及び環状のアルキル基を含むように意図される。関連する直鎖状のC1-6アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルである。分枝C1-6アルキル基の例は、イソプロピル、s-ブチル、t-ブチル、イソペンチル及びイソヘキシルである。環状基(C3-6シクロアルキル基)の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルである。本明細書における「C1-6アルキル」という用語は、同様に、例えば、1〜6の炭素原子を有するシクロアルキル-置換アルキル基を含み、その例には(シクロプロピル)メチル、(シクロプロピル)エチル、(シクロプロピル)プロピル、(シクロブチル)メチル、(シクロブチル)エチル及び(シクロペンチル)メチルのような基が含まれる。特に適切なC1-6アルキル基は、多くの場合、C1-3アルキル基、即ち、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル及びシクロプロピルから選択される。
【0100】
「C2-5アルキレン基」(即ち、C2-5アルカンジイル基)という用語は、2〜5の炭素原子の直鎖(直鎖状)及び分枝鎖のアルカンジイル基のいずれをも含むように意図される。関連する直鎖状基は:-CH2-CH2-;-CH2-CH2-CH2-;-CH2-(CH2)2-CH2-;及び-CH2-(CH2)3-CH2-である。適切な分枝した基の例には、-CH2-CH(CH3)-;-CH2-CH(CH3)-CH2-;-CH2-CH2-CH(CH3)-;-CH2-(CH2)2-CH(CH3)-;及び-CH2-CH2-CH(CH3)-CH2-が含まれる。
【0101】
「ハロゲン」という用語は、Cl、F、Br及びIを含む。式Iと関連して特に適切なハロゲンは、Cl及びFである。
【0102】
式Iの範囲内のGHSRFAの具体的な例は、以下の化合物のジアステレオ異性体である:(2E)-4-アミノ-4-メチルペント-2-エノイック酸(enoic acid){(R)-1-[N-[1-(3-(N-メチルカルバモイル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-2-フェニルエチル]-N-メチルカルバモイル]-2-(2-ナフチル)エチル}アミド:
【化4】
【0103】
より具体的には、該ジアステレオ異性体は、請求の範囲と共に本明細書中で「ジアステレオ異性体2」又は「D2」と呼ばれ、これは、以下の1H-NMR分光学的データ(DMSO-d6中、ジアステレオ異性体2の酢酸塩として)を示す: δ= 1.30 (s, 3 H); 1.32 (s, 3 H); 1.95 (s, 3 H); 2.55 (d, 2 H); 2.80 (d, 3 H); 3.00 (s, 3 H); 3.30 (dd, 1 H); 3.50 (dd, 1 H); 5.00 (q, 1 H); 6.05 (dd, 1 H); 6.10 (d, 1 H); 6.60 (d, 1 H); 7.15-7.90 (m, 12 H); 8.70 (d, 1 H); 及び 8.95 (q, 1 H);及びこれは、WO 96/22997 (そのような方法は、本明細書のさらに他の部分で簡単にさらに記載される)の52-53頁に記載されたように行われるこの化合物の、二つのジアステレオ異性体(ジアステレオ異性体1及びジアステレオ異性体2)のHPLC分離における、より緩徐に溶出するジアステレオ異性体である。
【0104】
式Iの他の化合物の例は、下記の式を有する、(2E)-4-アミノ-4-メチルペント-2-エノイック酸{1-[N-[1-(3-(N,N-ジメチルカルバモイル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-2-フェニルエチル]-N-メチルカルバモイル]-2-(2-ナフチル)エチル}アミド(ジアステレオマー2):
【化5】
【0105】
及び、下記の式を有する、(2E)-4-アミノ-4-メチルペント-2-エノイック酸N-{(R)-1-[N-[1-(3-(N,N-ジメチルカルバモイル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-2-フェニルエチル]-N-メチルカルバモイル]-2-(2-ナフチル)エチル}-N-メチルアミド:
【化6】
【0106】
である。
【0107】
式Iの化合物の調製における一般的な適用の方法は、WO 96/22997の24〜25頁に開示されている「一般的方法E」であり、当該分野の通常の技術者は、式Iの範囲内の所望の化合物をそれらに基づいて調製することができるであろう。
【0108】
一つの側面において、本発明は、式Iの化合物ではないことを特徴とするGHSRFAに関する(例えば、一つの側面において、本発明はGHSRFAに関する。但し、そのようなGHSRFAは式Iの化合物ではない;一つの側面において、本発明は、ここで開示される発明的方法の何れかにおけるGHSRFAの使用に関する。ここで、該GHSRFAは、式Iの化合物ではない)。
【0109】
化合物D
他の代表的なGHSRFAは、次の構造を有する、(R)-5-(1-(2-(3-(アミノメチル)ベンズアミド)-N-メチル-3-(ナフタレン-2-イル)プロパンアミド)-2-フェニルエチル)-N-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-カルボキサミド(化合物A)(式C34H34N6O4;分子量(MW): 590.688)である:
【化7】
【0110】
本明細書において特定の化合物に対する構造及び命名法が異なっている場合であっても、読者は、提供された初めの主要な構造によって指導されるであろう。
【0111】
化合物B
他の有用な代表的GHSRFAは、次の構造を有する、(R,E)-5-(1-(2-(4-アミノ-N,4-ジメチルペント-2-エナミド)-N-メチル-3-(ナフタレン-2-イル)プロパンアミド)-2-フェニルエチル)-N,N-ジメチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-カルボキサミド(化合物B、これは上記にも簡単に開示されている)(式 C34H40N6O4; MW: 596.7357)である:
【化8】
【0112】
他に言及しない限り、本明細書で提供される任意の具体的な代表的GHSRFA化合物構造は、該化合物の全ての立体異性体、該化合物の塩などの開示をも提供することが理解されるであろう。通常の技術者には、ここで提供された構造に従って単独の特定の立体異性体がGHSRFAとして作用し得ることが認められるであろう。そのような立体異性体は、例えば特定のジアステレオマーは、日常的な実験によって、与えられたそのような化合物を容易に同定することができ、そのような形態がGHSRFAとして作用するか否かを決定するために、ここで提供された本発明の方法を用いて評価されることができる。即ちそれは、単独の特定の分離されたジアステレオマーがGHSRFAとして作用する場合である。「最速溶出方法(fastest eluting method)」は、特定の構造を有する混合物から分離されたジアステレオ異性体を得るための都合の良い方法であり、分離されたジアステレオ異性体はGHSRFAとして作用し得る。
【0113】
代表的な「最速溶出方法」は、以下の通りである:HPLC (Method 01_B4): 逆相クロマトグラフィー分析は、ウォーター(登録商標)300C-18シンメトリーカラム、3.9 mm x 150 mm 5 μを用いた、ウォーターズ(Waters)(登録商標)ミレニウムシステムを用いて行った。該カラムは、42℃まで熱され、水中の5-90 %アセトニトリル、85-0 % 水及び10 % トリフルオロ酢酸(0.5%)の直線勾配で、流速1 分/分で15分に渡って溶出された。最初の溶出分子は、D1立体異性体として処理され、第二のものはD2立体異性体として処理された(該化合物の実際の立体化学がそのような分析によっては決定されないとしても)。分離された立体異性体は、それらがGHSRFAとして作用するか否かを決定するために、ここで記載された本発明の分析的方法に供される。この方法の実行によって、化合物B、B-D2の一つの分離されたジアステレオ異性体が、GHSRFAではない(しかし、実際にはGHS-Rの純粋なアンタゴニストである)ことが決定され、他方で化合物B、B-D1の他のジアステレオ異性体はGHSRFAである。これは、特定の形態のGHSRFAが容易に同定され得ることをさらに説明する(例えば、一つの側面において、ここで提供される本発明のスクリーニング方法は、GHSRFA活性のための分離されたジアステレオマーを試験することを含む)。
【0114】
化合物E
他の代表的なGHSRFAは、3-(2-クロロフェニル)-N-(4-(ジエチルアミノ)フェニル)-5-メチルイソキサゾール-4-カルボキサミド(化合物E)である。この化合物は、式C21H22ClN3O2 、MW 383.87、及び次の構造を有する:
【化9】
【0115】
化合物F
さらに代表的なGHSRFAは、化合物3-(5-(4-エトキシフェニル)-4-p-トルイル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン(化合物F)(式 C22H20N4O; MW: 356.42)であり、これは次の構造を有する:
【化10】
【0116】
化合物G
さらなる代表的なGHSRFAは、化合物1-(2-クロロ-4-メチルベンゾイル)-3-(4-(オキサゾロ[4,5-b]ピリジン-2-イル)フェニル)チオウレア(化合物G)(式 C21H15ClN4O2S; MW: 422.89)であり、これは次の構造を有する:
【化11】
【0117】
化合物H
さらなる代表的なGHSRFAは、化合物(E)-N1-((4-(4-クロロフェニル)-3,4-ジヒドロベンゾ[f]キノリン-3-イル)メチレン)-N4,N4-ジメチルベンゼン-1,4-ジアミン(化合物H)(式 C28H24ClN3; MW:437.96)であり、これは次の構造を有する:
【化12】
【0118】
化合物I
さらなる例証となるGHSRFAは、化合物0892-0000-1755 (式 C25H36N2O3; MW: 412.56)であり、これは次の構造を有する:
【化13】
【0119】
化合物J
さらに他の代表的なGHSRFAは、化合物Jであり、これは次の構造を有する:
【化14】
【0120】
化合物K
さらに他の代表的なGHSRFAは、化合物Kであり、これは次の構造を有する:
【化15】
【0121】
化合物L
さらに他の代表的なGHSRFAは、(R)-5-(1-(2-(3-(アミノメチル)ベンズアミド)-N-メチル-3-(ナフタレン-2-イル)プロパンアミド)-2-フェニルエチル)-N-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-カルボキサミドであり、これはここでは化合物Lとしても呼ばれ(式 C34O4、 MW:590.688)、次の構造を有する:
【化16】
【実施例】
【0122】
実施例1−グレリン誘導性GHS-R関連持続性カルシウム放出のGHSRFA阻害の評価のためのアッセイ
以下のアッセイは、GHS-Rが結合した候補化合物がグレリン誘導性GHS-R関連持続性カルシウム放出を阻害する能力を有するか否かを決定するために用いることができる。この基本的な技術は、本明細書で他に開示する多くの具体的なGHSRFAを同定するために適用された。
【0123】
GHS-Rが過剰発現される、ヒト胚性腎293細胞(HEK293/GHS-R)(これは、従来の方法で作成される)が96穴のプレート中の適切な培地中に蒔かれ、一晩インキュベートされる。蒔かれたHEK293/GHS-R細胞は、約30分間FURA2カルシウム結合プローブを添加される。このプレートは、NOVOSTAR(動力学的プログラム及び注入システムを備える蛍光光度計)及びグレリン中に配置され、同時に、上昇した濃度のGHS-R結合化合物が該細胞に添加される。カルシウム応答が、適切な期間(例えば、約80秒の期間)の間記録され(蛍光に関して)、そして、候補化合物がグレリン誘導性カルシウム放出の持続性相を減弱させるか否かを決定するために、該データ(典型的には、340 nm〜380 nmでの蛍光値の割合に関する)が評価される。グレリン単独に対するカルシウムプロフィールもまた、比較の目的のために典型的には記録される(そのようなプロフィールの例を図1に示す)。
【0124】
実施例2−グレリンのGHS-R関連カルシウム放出の誘導
過剰発現GHS-R HEK293細胞において、グレリンは、投与量依存的様式でサイトゾルのカルシウムを増加させる。この点の説明として、図1に、種々の濃度のグレリンでそのような細胞中で行われたカルシウム放出アッセイについての340 nm/380 nm比を示す。このグレリン関連カルシウム放出プロフィールは、以下の実施例に記載するように、GHS-R関連カルシウム放出を誘導するグレリンの能力への、真のGHS-Rアンタゴニスト及びGHSRFAの影響を例証する(及び決定する)のに有用である。
【0125】
実施例3−グレリンアンタゴニストの、特徴的な様式でのグレリン誘導性GHS-R関連カルシウム放出の阻害
実施例1に記載したものと同じタイプのカルシウム放出アッセイを用いて、グレリン誘導性GHS-R関連カルシウム放出の阻害を、種々の「古典的な」グレリンアンタゴニスト(物質Pアンタゴニスト(図2))、アボット・ラボラトリー(Abbott Laboratories)によって作成されたグレリンアンタゴニスト(化合物1038)(図3)、及び[D-lys-3]-GHRP-6(図4)について測定した。これらのデータは、グレリンアンタゴニストが、該アンタゴニストがGHS-Rと結合することが可能になった後、少なくとも約100秒の持続する期間を通して、特徴的な「線形」様式でグレリン誘導性カルシウム放出を阻害することを示す。
【0126】
実施例4−化合物MはGHSRFAである
次の構造を有するGHS-R結合化合物
【化17】
【0127】
は、ラット下垂体細胞におけるGH放出を阻害すること(支持するデータはここには示さず)、及び、インビボで食欲を抑制すること(支持するデータはここには示さず)のいずれも実証されており、上記のようなHEK293/GHS-Rカルシウムアッセイにおいて試験した。FURA2蛍光値測定(340/380 nm 比)によって示されたようなGHS-R関連カルシウム放出は、380秒の間行われ、分析のために図表にプロットされた(図5)。
【0128】
図5に見られるように、化合物Mは、それがカルシウム放出における上昇を引き起こす限りは、カルシウム放出アッセイにおいてアゴニストとして振る舞う(全体的に)。しかしながら、該化合物Mカルシウム放出動態学はグレリンのものと著しく異なっている。特に、グレリンは、最初の(初期)相のカルシウム放出、続いて持続性カルシウム放出を誘導し(実施例1及び図1を参照されたい)、他方で化合物Mは、持続性カルシウム放出を誘導しない(図5を参照されたい)。明確に、グレリン及び化合物Mの0〜23秒のカルシウム放出プロフィールは非常に類似しているが、他方で、28秒から開始するそれらのプロフィールは著しく異なっている(例えば、28秒では、化合物Mはグレリンのもの(3)より約.5低い340/380 nm比である)。43秒において、その相違は約.75に増大し(グレリン2.86; 化合物 M 2.094)、48秒で該相違は約1.1であり(グレリン2.9; 化合物M 1.8)、及び約55秒で該相違は約1.5(グレリン2.8;化合物M 1.3)である。この相違(+/- 2)は、接触後103秒まで維持され、そしてその後、接触後148秒まで次第に小さくなる(例えば相違約1まで)(これがさらに、約0.7まで減少しそしてさらに約0.5まで減少する)。総合して、図5に示したように、化合物Mとグレリンの間のカルシウム放出量の顕著な相違は、受容体−過剰発現細胞との接触後約25〜約200秒の間持続した。
【0129】
この実験は、化合物MがGHSRFAとして作用することを実証し、さらに、GHSRFAの機能的特長及びGHSRFAが同定される方法のいずれをも例証する。
【0130】
実施例4−グレリンGHS-R関連持続性カルシウム放出のGHSRFAの阻害
化合物Mがさらに、グレリン誘導性持続性カルシウム放出を阻害する能力を含むか否かを評価するために、グレリン及び化合物Mを同時に種々の濃度(0.1、1、及び10 μM)でHEK293/GHS-R細胞に添加し(実施例1に記載されたように)、得られたカルシウム放出プロフィールを上記のように、89秒の間記録した。それらの実験の結果を図6に示す。そこに示されたように、化合物Mはグレリンによって誘導された持続的なカルシウム放出を、受容体との接触後約25秒で、投与量依存的様式で減弱した。この効果の具体的な例は、化合物Mの1 μMと10 μMとを比較したとき最も容易に明らかであるが、次の表において提示された選択された表に示される(1=それらにおいてカルシウム放出がないということに留意、及び同様のデータはここに報告される):
【表1】
【0131】
同様の方法を、化合物G、化合物E、及び化合物F(別個に)のグレリン誘導性カルシウム放出を阻害する能力を評価するために適用した。それらの実験の結果を図7、8及び9にそれぞれ示し、それらの化合物及び化合物Mによるグレリン誘導性の持続性カルシウム放出の阻害の割合の比較を図10に説明する。このデータは、それらの化合物が、グレリン誘導性の持続性カルシウム放出の阻害に関して、化合物Mの類似の動態学的プロフィールを有することを示している(例えば、受容体との接触後約25秒で開始される阻害、及び、そのような接触から少なくとも約90秒後にわたる持続、及び明らかな投与量依存的方法による作用)。
【0132】
化合物Gは、減弱期間のほとんど(約25/30-90秒)にわたって、グレリン誘導性カルシウム放出の最も大きな減弱を起こしたが(図7及び10を参照)、しかし、1 μM〜10 μMの濃度において、化合物Mについて観察されたものより、少ない減弱の相違を示した。この化合物による実験の代表的なデータを次の表に示す:
【表2】
【0133】
図8及び関連する実験から選択された代表的なデータポイントの下記表に示したように、化合物は、化合物Mと同様に、1 μM〜10 μMの間の濃度で、投与依存的相違を示した:
【表3】
【0134】
化合物Fは、同様に、図9及び次の表の関連する実験からの代表的なデータポイントに示されたように、GHSRFAの異なる濃度についてのグレリン誘導性カルシウム放出の減弱における、著しい投与依存的様式の相違を示した:
【表4】
【0135】
図10は、上記実験(図6〜9に示す)についてT=62秒で測定された持続性グレリン誘導性カルシウム放出の割合を、化合物濃度の関数として示す。このデータは、試験されたGHSRFAの全てが、投与量依存的様式でグレリン誘導性の持続性カルシウム放出を減弱することを示す(0 μMの化合物は、グラフ上の0.01 μM (log-2)に匹敵する)。
【0136】
それらの実験の結果は、GHSRFAがどのようにして、持続的なグレリン誘導性GHS-R関連カルシウム放出を減弱できるのかの明確な説明を提供する。従って、このデータは、グレリン誘導性GHS-R関連カルシウム放出の阻害における、GHSRFAの明らかな機能的特徴を例証する。さらに、それらの実験は、グレリン誘導性カルシウム放出を減弱することができるGHSRFAを同定することができる方法を例証している。
【0137】
実施例5−グレリン誘導性GHS-R関連持続性カルシウム放出の化合物Kによる減弱
上記実施例4で記載されたものと同様の実験を、化合物Kを用いて行った。それらの実験の結果を図11に示す。それらの結果から、化合物Kもまた、投与量依存的様式でグレリン誘導性の持続性カルシウム放出を減弱可能であることが実証された。この化合物の減弱プロフィールは、上記の他のGHSRFAのものと似ている(例えば、受容体との接触後約25〜30秒での減弱の開始、及び、該受容体との接触後少なくとも約90秒まで持続する著しい減弱(例えば、1 μM又は10 μMの化合物について、グレリンによって得られるレベルに対して約20-70%の減弱−それよりもさらに大きい割合の減弱でさえ、ベースラインのカルシウムレベルと比較して測定されうる)。基本のカルシウムレベルが図11と、ここで提供される、グレリン誘導性の持続性カルシウム放出の減弱の評価に関する実験と関連する他のいくつかの図に示されており、それが、グレリンの存在なしで、GHSRFAと関連するカルシウム放出レベルを反映していることは、留意されるであろう。
【0138】
実施例6−グレリン誘導性GHS-R関連持続性カルシウム放出の化合物Jによる減弱
化合物Jを用い、30μMの化合物の関連する実験で試験したことを除いて、上記実施例4に記載されたのと同様の実験を行った。それらの実験の結果を図12に示す。それらの結果から、化合物Jもまた、グレリン誘導性の持続性カルシウム放出を減弱する能力を、投与量依存的様式で、広い範囲の濃度にわたって有していることが実証された。この化合物の減弱プロフィールは、上記の他のGHSRFAのものと似ている(例えば、受容体との接触後約30秒で開始する初期の減弱、及び受容体との接触後少なくとも約90秒まで持続する著しい減弱(例えば、1 μM、10 μM、及び30 μMの化合物についての約20-50%の減弱))。図12で説明したように、80%の阻害(ベースラインのカルシウムレベルと比較して)は、そのような濃度でこの化合物によって得ることができる。
【0139】
実施例7−グレリン誘導性GHS-R関連持続性カルシウム放出の化合物Nによる減弱
上記実施例4に記載されたのと同様の実験を、化合物Nを用いて行った。この化合物は、次の基本的な構造を有すると思われる(立体化学は異なるが):
【化18】
【0140】
この実験の結果を図13に示す。それらの結果から、化合物Nもまた、投与量依存的様式で、広い範囲の濃度にわたって、投与依存的方法で、グレリン誘導性の持続性カルシウム放出を減弱させることができることを実証した。特に著しい減弱が、10 μMの化合物(例えば、受容体接触後約60〜80秒で60〜70%の桁の減弱)の化合物Nで得られた。図13で説明したように、88%のレベルの阻害(ベースラインのカルシウムレベルと比較して)が、示された濃度でのこのGHSRFAで得ることができた。
【0141】
実施例8−グレリン誘導性GHS-R関連持続性カルシウム放出の化合物Bによる減弱
上記実施例4に記載されたものと同様の実験を、化合物Bを用いて行った。それらの実験の結果を図14に示す。それらの結果から、化合物Bもまた、投与量依存的な様式で、広い範囲の濃度にわたって、グレリン誘導性の持続性カルシウム放出を減弱できることを実証した。驚くべきことに、約100%のカルシウム放出阻害が、10 μMのこの化合物を用いて得られた(ベースラインのカルシウムレベルと比較して)。
【0142】
実施例9−グレリン誘導性GHS-R関連持続性カルシウム放出の化合物Dによる減弱
上記実施例4に記載されたものと同様の実験を、化合物Dを用いて行った。それらの実験の結果を図15に示す。それらの結果から、化合物Dもまた、投与量依存的な様式で、広い範囲の濃度にわたって、グレリン誘導性の持続性カルシウム放出を減弱できることが実証された。この化合物は、試験された投与量の全てで著しい減弱を示したが、いくらかの投与量依存的効果がなおも観察できた。80%の最大阻害(ベースラインレベルと比較して)が得られた。
【0143】
実施例10−グレリン誘導性GHS-R関連持続性カルシウム放出の化合物Lによる減弱
上記実施例4に記載されたものと同様の実験を、化合物Lを用いて行った。それらの実験の結果を図16に示す。それらの結果から、この化合物もまた、投与量依存的様式で、広い範囲の濃度にわたって、グレリン誘導性の持続性カルシウム放出を減弱できることが実証された。
【0144】
実施例11−哺乳類における食欲を抑制可能なGHSRFA化合物N
ラットのグループを、化合物N(10 mg/kg, i.p. 輸送)、グレリンアンタゴニスト(1735)(3 mg/kg s.c.)及び溶媒(s.c.)で別々に処置し、その後、周期状況下で、自由に食餌を許した。総食物摂取を標準的な方法を用いて測定した。それらの実験の結果を図17に示す。図17で説明したように、GHSRFA化合物Nは、対照と比較して、食物摂取を数グラム(約10〜25%)減少させることができた。この実験の結果から、GHSRFAが、哺乳類における食物摂取の減少に有効であり、従って、肥満症及び肥満関連障害の治療に有効であり得ることが示された。
【0145】
結論
ここで提供された種々の実験の結果から、本発明が新規の分類の化合物を発見したことが示され、これはGHS-R関連カルシウム放出の改変に関して以前に知られていない動態学的なプロフィールを有し、また、有用な関連する薬理学的性質を有するものである。本明細書に記載された、与えられた広範なデータ及び説明的実施例から、通常の当業者は、さらなるGHSRFAの同定と、ここで開示された種々の使用及び方法と同様の使用が可能である。
【0146】
本明細書で挙げられた出版物、特許出版、及び特許を含む全ての参考文献は、ここの他に、任意に別に特定の文書の援用が提供されているに関わらず、参照によってそれらの全てが、それぞれの参考文献が個別に参照によって援用され、また、その全てが本明細書中に説明されているのと同等の範囲で、本明細書に援用される(法によって許容される最大の範囲で)。
【0147】
本発明を開示する文脈の中で、「一つの(a)」及び「その(the)」及び類似する用語の使用は、他に指示されない限り、又は文脈に明らかに矛盾しない限り、単数及び複数のいずれをも包含するように解釈されるべきである。
【0148】
他に言及しない限り、本明細書で提供された全ての正確な値は、対応する近似値の代表である(例えば、特定の要因又は測定に関して提供された全ての正確な実験値は、適切な「約」によって改変された、対応するおよその値をも提供するとみなすことが出来る)。
【0149】
要素に関して「含む」、「有する」、「含んでいる」、又は「包含する」のような用語を用いた、本発明の任意の側面の記述は、他に言及するか、又は文脈から明らかに矛盾しない限り、特定の要素「から成る」、特定の要素「から本質的に成る」、又は特定の要素「を実質的に含む」、本発明の類似の側面についての支持を提供するものと意図される(例えば、特定の要素を含むと記載された組成物は、他に言及しない限り、又は文脈から明らかに矛盾しない限り、該要素からなる組成物をも開示しているものと理解される)。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】図1は、GHS-R過剰発現細胞で、種々の濃度のグレリンでFURA2蛍光値アッセイを行って得られたグレリン誘導性カルシウム放出データの図表である。
【図2】図2は、種々の濃度の物質P及び10 nM グレリンでの、グレリンアンタゴニスト物質Pによるグレリン誘導性カルシウム放出の阻害を示すデータの図表である。
【図3】図3は、種々の濃度の化合物1038での、グレリンアンタゴニスト化合物1038によるグレリン誘導性カルシウム放出の阻害を示すデータの図表である。
【図4】図4は、その種々の濃度及び10 nM グレリンでの、グレリンアンタゴニストD-Lys3-GHRP6によるグレリン誘導性カルシウム放出の阻害を示すデータの図表である。
【図5】図5は、10 nM グレリン及び(別々に) 10 μM の成長ホルモン分泌促進物質受容体機能性アンタゴニスト化合物Mによって得られたカルシウム放出プロフィールの図表であり、グレリンと比較して、成長ホルモン分泌促進物質受容体機能性アンタゴニストにより著しく低く維持されたカルシウム放出プロフィールを相対的に示す。
【図6】図6は、種々の濃度の成長ホルモン分泌促進物質受容体機能性アンタゴニストM及び10 nM グレリンの、GHS-R過剰発現HEK293細胞への同時投与に関して得られたカルシウム放出データの図的プロットである。
【図7】図7は、種々の濃度の成長ホルモン分泌促進物質受容体機能性アンタゴニストG 及び 10 nM グレリンの、GHS-R過剰発現HEK293細胞への同時投与に関して得られたカルシウム放出データの図的プロットである。
【図8】図8は、種々の濃度の成長ホルモン分泌促進物質受容体機能性アンタゴニストE 及び10 nM グレリンの、GHS-R 過剰発現HEK293細胞への同時投与に関して得られたカルシウム放出データの図的プロットである。
【図9】図9は、種々の濃度の成長ホルモン分泌促進物質受容体機能性アンタゴニストF 及び10 nM グレリンの、GHS-R 過剰発現HEK293細胞への同時投与に関して得られたカルシウム放出データの図的プロットである。
【図10】図10は、GHS-R過剰発現HEK293細胞を化合物M、G、E、及びFに接触させたてから62秒後に測定した持続性のグレリン誘導性カルシウム放出の割合を化合物濃度の関数として示す。
【図11】図11は、種々の濃度の成長ホルモン分泌促進物質受容体機能性アンタゴニストK 及び10 nM グレリンの、GHS-R過剰発現HEK293細胞への同時投与に関して得られたカルシウム放出データの図的プロットである。
【図12】図12は、種々の濃度の成長ホルモン分泌促進物質受容体機能性アンタゴニストJ 及び10 nM グレリンの、GHS-R過剰発現HEK293細胞への同時投与に関して得られたカルシウム放出データの図的プロットである。
【図13】図13は、種々の量の成長ホルモン分泌促進物質受容体機能性アンタゴニストN(ここでは「772」と称する)及び10 nM グレリンの、GHS-R 過剰発現HEK293細胞への同時投与に関して得られたカルシウム放出データの図的プロットである。
【図14】図14は、種々の量の成長ホルモン分泌促進物質受容体機能性アンタゴニストB 及び10 nM グレリンの、GHS-R過剰発現HEK293細胞への同時投与に関して得られたカルシウム放出データの図的プロットである。
【図15】図15は、種々の量の成長ホルモン分泌促進物質受容体機能性アンタゴニストD 及び10 nM グレリンの、GHS-R過剰発現HEK293細胞への同時投与に関して得られたカルシウム放出データの図的プロットである。
【図16】図16は、種々の量の成長ホルモン分泌促進物質受容体機能性アンタゴニストL-1a(Lとも称す)及び10 nM グレリンの、GHS-R過剰発現HEK293細胞への同時投与に関して得られたカルシウム放出データの図的プロットである。
【図17】暗周期において自由に摂食したラットに皮下注射及び腹腔内注射した後(24h)の総食物摂取。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を具備する、グレリン受容体(GHS−R)機能的アンタゴニスト(GHSRFA)を同定する方法:
(a) GHS-R発現細胞を、GHS-R 活性を調節するのに有効であると予期される候補化合物の量、及び、GHS-R関連カルシウム放出を誘導するのに有効なグレリンの量との組み合わせと接触させること、(b) 前記細胞の接触から0-100秒を含む期間の間に、前記候補及びグレリンの存在下において放出されたカルシウムの量を測定すること、及び、(c) 前記組み合わせの存在下で得られた前記カルシウム放出を、対照又は基準と比較することによって、グレリン誘導性カルシウム放出に及ぼす候補化合物の影響を決定すること、
ここにおいて、候補化合物による、前記細胞との接触後、最初の25〜35秒の間のグレリン誘導性カルシウム放出(初期放出)において10%未満の阻害であるが、前記細胞との接触後、35秒から少なくとも100秒までの期間におけるカルシウム放出(持続性放出)において20%より大きい阻害を検出することが、該候補化合物がGHSRFAであることを示す方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記方法が、化合物のライブラリーを提供すること、及び、少なくとも一つのGHSRFAが同定されるまで、又はライブラリー中の実質的に全ての化合物が前記方法によって評価されるまで、工程(a)-(c)を繰り返すことを具備する方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、候補をGHSRFAとして同定する前記基準が、該候補がグレリン誘導性持続性カルシウム放出を少なくとも20%減少可能であることを要求することを含む方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、候補をGHSRFAとして同定する前記基準が、該候補がグレリン誘導性持続性カルシウム放出を少なくとも35%減少可能であることを要求することを含む方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、候補をGHSRFAとして同定する前記基準が、該候補がグレリン誘導性持続性カルシウム放出を少なくとも50%減少可能であることを要求することを含む方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法であって、工程(b)が前記候補とグレリンがGHS-R発現細胞と接触した後少なくとも200秒までに放出されたカルシウムの量を測定することを含む方法。
【請求項7】
医薬の調製における、グレリン受容体(GHS-R)機能性アンタゴニスト(GHSRFA)の使用。
【請求項8】
請求項7に記載の使用であって、前記GHSRFAが化合物A、化合物B、又は化合物Cではないことを特徴とする使用。
【請求項9】
肥満症の治療のための医薬の調製におけるGHSRFAの使用。
【請求項10】
請求項9に記載の使用であって、前記GHSRFAが化合物A、化合物B、又は化合物Cではないことを特徴とする使用。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の使用であって、前記使用が薬物誘導性肥満症の治療のための医薬の調製のためではないことを特徴とする使用。
【請求項12】
体重減少を持続させるための医薬の調製におけるGHSRFAの使用。
【請求項13】
請求項12に記載の使用であって、前記GHSRFAが化合物A、化合物B、又は化合物Cではないことを特徴とする使用。
【請求項14】
被験者の肥満症を治療する方法であって、グレリン受容体(GHS-R)機能性アンタゴニスト(GHSRFA)の有効量を該被験者に投与することを具備する方法。
【請求項15】
被験者の2型糖尿病を治療する方法であって、グレリン受容体(GHS-R)機能性アンタゴニスト(GHSRFA)の有効量を該被験者に投与することを具備する方法。
【請求項16】
被験者のGHS-R内部移行を促進及び/又は延長する方法であって、GHS-R内部移行をその点で促進及び/又は延長するように、グレリン受容体(GHS-R)機能性アンタゴニスト(GHSRFA)の生理学的有効量を該被験者に投与することを具備する方法。
【請求項17】
最近に体重を減少した被験者の体重減少の維持を促進する方法であって、体重減少の維持が該被験者において促進されるような、グレリン受容体(GHS-R)機能性アンタゴニスト(GHSRFA)の有効量を該被験者に投与することを具備する方法。
【請求項18】
前記被験者がヒトである請求項14〜17の何れか一項に記載の方法。
【請求項19】
2型糖尿病の治療のための医薬の調製における、GHSRFAの使用。
【請求項20】
グレリン受容体(GHS-R)機能性アンタゴニストの治療的有効量を含む薬学的組成物であって、前記GHS-R機能性アンタゴニストが、約40秒以下の間にグレリンの少なくとも約50%の効力でGHS-R関連カルシウム放出を誘導することができ、及び、GHS-Rとの接触後約40-100秒の期間を含む期間のグレリン誘導性カルシウム放出を少なくとも約15%減少させることを特徴とする薬学的組成物。
【請求項21】
治療的有効量のグレリン受容体(GHS-R)の機能性アンタゴニストを含む薬学的組成物であって、該GHS-R機能性アンタゴニストが、約40秒以下の間にグレリンの少なくとも約50%の効力でGHS-R関連カルシウム放出を誘導可能であるが、しかし、GHS-Rと接触後約40-100秒の期間を含む期間の間、グレリンのものより少なくとも約25%少ない持続性カルシウム放出を伴うことを特徴とする薬学的組成物。
【請求項22】
請求項21又は請求項22に記載の薬学的組成物であって、該組成物が少なくとも一つのさらなる活性薬剤を含み、該さらなる薬剤が抗肥満症薬剤及び抗糖尿病薬剤から選択されることを特徴とする薬学的組成物。
【請求項23】
請求項7に記載の使用であって、前記GHSRFAが上記定義のような式Iの化合物ではないことを特徴とする使用。
【請求項24】
請求項9に記載の使用であって、前記GHSRFAが上記定義のような式Iの化合物ではないことを特徴とする使用。
【請求項25】
請求項9又は請求項24に記載の使用であって、前記使用が薬物誘導性肥満症の治療のための医薬の調製のためではないことを特徴とする使用。
【請求項26】
本明細書に記載された任意の新規の特徴又は特徴の組み合わせ。
【請求項1】
以下を具備する、グレリン受容体(GHS−R)機能的アンタゴニスト(GHSRFA)を同定する方法:
(a) GHS-R発現細胞を、GHS-R 活性を調節するのに有効であると予期される候補化合物の量、及び、GHS-R関連カルシウム放出を誘導するのに有効なグレリンの量との組み合わせと接触させること、(b) 前記細胞の接触から0-100秒を含む期間の間に、前記候補及びグレリンの存在下において放出されたカルシウムの量を測定すること、及び、(c) 前記組み合わせの存在下で得られた前記カルシウム放出を、対照又は基準と比較することによって、グレリン誘導性カルシウム放出に及ぼす候補化合物の影響を決定すること、
ここにおいて、候補化合物による、前記細胞との接触後、最初の25〜35秒の間のグレリン誘導性カルシウム放出(初期放出)において10%未満の阻害であるが、前記細胞との接触後、35秒から少なくとも100秒までの期間におけるカルシウム放出(持続性放出)において20%より大きい阻害を検出することが、該候補化合物がGHSRFAであることを示す方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記方法が、化合物のライブラリーを提供すること、及び、少なくとも一つのGHSRFAが同定されるまで、又はライブラリー中の実質的に全ての化合物が前記方法によって評価されるまで、工程(a)-(c)を繰り返すことを具備する方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、候補をGHSRFAとして同定する前記基準が、該候補がグレリン誘導性持続性カルシウム放出を少なくとも20%減少可能であることを要求することを含む方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、候補をGHSRFAとして同定する前記基準が、該候補がグレリン誘導性持続性カルシウム放出を少なくとも35%減少可能であることを要求することを含む方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、候補をGHSRFAとして同定する前記基準が、該候補がグレリン誘導性持続性カルシウム放出を少なくとも50%減少可能であることを要求することを含む方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法であって、工程(b)が前記候補とグレリンがGHS-R発現細胞と接触した後少なくとも200秒までに放出されたカルシウムの量を測定することを含む方法。
【請求項7】
医薬の調製における、グレリン受容体(GHS-R)機能性アンタゴニスト(GHSRFA)の使用。
【請求項8】
請求項7に記載の使用であって、前記GHSRFAが化合物A、化合物B、又は化合物Cではないことを特徴とする使用。
【請求項9】
肥満症の治療のための医薬の調製におけるGHSRFAの使用。
【請求項10】
請求項9に記載の使用であって、前記GHSRFAが化合物A、化合物B、又は化合物Cではないことを特徴とする使用。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の使用であって、前記使用が薬物誘導性肥満症の治療のための医薬の調製のためではないことを特徴とする使用。
【請求項12】
体重減少を持続させるための医薬の調製におけるGHSRFAの使用。
【請求項13】
請求項12に記載の使用であって、前記GHSRFAが化合物A、化合物B、又は化合物Cではないことを特徴とする使用。
【請求項14】
被験者の肥満症を治療する方法であって、グレリン受容体(GHS-R)機能性アンタゴニスト(GHSRFA)の有効量を該被験者に投与することを具備する方法。
【請求項15】
被験者の2型糖尿病を治療する方法であって、グレリン受容体(GHS-R)機能性アンタゴニスト(GHSRFA)の有効量を該被験者に投与することを具備する方法。
【請求項16】
被験者のGHS-R内部移行を促進及び/又は延長する方法であって、GHS-R内部移行をその点で促進及び/又は延長するように、グレリン受容体(GHS-R)機能性アンタゴニスト(GHSRFA)の生理学的有効量を該被験者に投与することを具備する方法。
【請求項17】
最近に体重を減少した被験者の体重減少の維持を促進する方法であって、体重減少の維持が該被験者において促進されるような、グレリン受容体(GHS-R)機能性アンタゴニスト(GHSRFA)の有効量を該被験者に投与することを具備する方法。
【請求項18】
前記被験者がヒトである請求項14〜17の何れか一項に記載の方法。
【請求項19】
2型糖尿病の治療のための医薬の調製における、GHSRFAの使用。
【請求項20】
グレリン受容体(GHS-R)機能性アンタゴニストの治療的有効量を含む薬学的組成物であって、前記GHS-R機能性アンタゴニストが、約40秒以下の間にグレリンの少なくとも約50%の効力でGHS-R関連カルシウム放出を誘導することができ、及び、GHS-Rとの接触後約40-100秒の期間を含む期間のグレリン誘導性カルシウム放出を少なくとも約15%減少させることを特徴とする薬学的組成物。
【請求項21】
治療的有効量のグレリン受容体(GHS-R)の機能性アンタゴニストを含む薬学的組成物であって、該GHS-R機能性アンタゴニストが、約40秒以下の間にグレリンの少なくとも約50%の効力でGHS-R関連カルシウム放出を誘導可能であるが、しかし、GHS-Rと接触後約40-100秒の期間を含む期間の間、グレリンのものより少なくとも約25%少ない持続性カルシウム放出を伴うことを特徴とする薬学的組成物。
【請求項22】
請求項21又は請求項22に記載の薬学的組成物であって、該組成物が少なくとも一つのさらなる活性薬剤を含み、該さらなる薬剤が抗肥満症薬剤及び抗糖尿病薬剤から選択されることを特徴とする薬学的組成物。
【請求項23】
請求項7に記載の使用であって、前記GHSRFAが上記定義のような式Iの化合物ではないことを特徴とする使用。
【請求項24】
請求項9に記載の使用であって、前記GHSRFAが上記定義のような式Iの化合物ではないことを特徴とする使用。
【請求項25】
請求項9又は請求項24に記載の使用であって、前記使用が薬物誘導性肥満症の治療のための医薬の調製のためではないことを特徴とする使用。
【請求項26】
本明細書に記載された任意の新規の特徴又は特徴の組み合わせ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2007−537434(P2007−537434A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512224(P2007−512224)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【国際出願番号】PCT/EP2005/052222
【国際公開番号】WO2005/114180
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(391032071)ノボ ノルディスク アクティーゼルスカブ (148)
【氏名又は名称原語表記】NOVO NORDISK AKTIE SELSXAB
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【国際出願番号】PCT/EP2005/052222
【国際公開番号】WO2005/114180
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(391032071)ノボ ノルディスク アクティーゼルスカブ (148)
【氏名又は名称原語表記】NOVO NORDISK AKTIE SELSXAB
【Fターム(参考)】
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