説明

欠陥検査装置及び基板処理システム

【課題】余分な工程を必要とせず、一連の製造工程中において、基板の表面上の欠陥又は基板処理装置の装置性能の検査を行うことができる。
【解決手段】基板Wを基板処理装置1A、1Bへ搬入する搬入路及び前記基板Wを前記基板処理装置1A、1Bから搬出する搬出路において、前記基板Wの被検面W1に検査光Lを照射する光照射部4と、前記検査光Lが照射された被検面W1からの反射、回折及び/又は散乱光Lを検出して、搬入時に検出した搬入時光強度信号及び搬出時に検出した搬出時光強度信号を出力する光検出部5と、前記光検出部5から搬入時光強度信号及び搬出時光強度信号を受信し、前記被検面W1の欠陥Sを検出する情報処理装置6と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の基板に成膜するスパッタリング装置及びCVD装置、基板上にパターンを形成するエッチング装置、レジスト塗布装置、露光装置、洗浄・乾燥装置等の基板処理装置(以下、単に「装置」ということがある。)において処理された基板の表面上の欠陥を検査する欠陥検査装置及びその欠陥検査装置を用いた基板処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハ等の基板の表面上の欠陥は、例えば特許文献1に示すような欠陥検査装置によって検査している。そして、処理前の基板及び処理後の基板のそれぞれを欠陥検査装置に投入することにより、処理前後の基板表面上の欠陥の変化、又は基板処理装置における発塵等の装置性能等を検査している。また、一連の製造工程によって得られた製品の機能を確認することにより、基板表面上の欠陥、又は基板処理装置における発塵等の装置性能等をその他の問題と一括して検査している。
【0003】
しかしながら、基板処理装置と欠陥検査装置とが、それぞれ独立して設けられており、処理前の基板及び処理後の基板を、上記装置間で移動させなくてはならず、移動中の異物の付着などが考えられる。したがって、基板処理装置の装置性能を正確に検査することができないという問題がある。また、本来の製造工程の他に、処理前後の基板表面上の欠陥を検査するための検査工程を行う等の余分な工程が必要となってしまうという問題がある。
【特許文献1】特開2000−111484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、余分な工程を必要とせず、一連の製造工程中において、基板の表面上の欠陥及び基板処理装置の装置性能の検査を行うことができるようにすることをその主たる所期課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち本発明に係る欠陥検査装置は、基板を基板処理装置へ搬入する搬入路及び前記基板を前記基板処理装置から搬出する搬出路において、前記基板の被検面に検査光を照射する光照射部と、前記検査光が照射された被検面からの回折及び/又は散乱光を検出して、搬入時に検出した搬入時光強度信号及び搬出時に検出した搬出時光強度信号を出力する光検出部と、前記光検出部から搬入時光強度信号及び搬出時光強度信号を受信し、前記被検面の欠陥を検出する情報処理装置と、を備えていることを特徴とする。
【0006】
このようなものであれば、余分な工程を必要とすることなく、一連の製造工程において、基板の表面上の欠陥を検査することができる。また、搬入時の基板の被検面の欠陥検査及び搬出時の基板の被検面の欠陥検査を行うので、基板処理装置における発塵等の装置性能等を検査することができるようになる。
【0007】
なお、ここで「基板」とは、半導体ウエハ等の半導体製造に用いる薄板又はレティクル、マスク、ディスプレイ用ガラス、ディスクストレージ用記録メディア等である。「欠陥」とは、異物、塗布のムラ、露光不良、傷等である。「基板処理装置」とは、スパッタリング装置又はCVD装置等の成膜装置、エッチング装置、レジスト処理装置、露光装置、洗浄・乾燥装置等である。
【0008】
前記光照射部が、前記基板が前記基板処理装置の基板導入ポート及び基板導出ポート又はそれらの近傍、つまり基板の搬送経路上において、基板を処理が行われるチャンバに隣接した領域にあるときに検査光を照射するものであることが望ましい。これならば、搬送途中における異物の付着を可及的に防ぐことができ、装置内の発塵等を正確に検査することができるようになる。
【0009】
基板処理前後における基板被検面の欠陥の自動比較を可能にして、種々の分析用途に使用することができるようにするためには、前記情報処理装置が、前記搬入時光強度信号と前記搬出時光強度信号とを比較して、その比較結果をパラメータとして、前記被検面を検査するものであることが望ましい。
【0010】
また、前記情報処理装置が、前記搬入時光強度信号と前記搬出時光強度信号とを比較して、その比較結果をパラメータとして、前記基板処理装置を検査するものであることが望ましい。
【0011】
具体的には、前記情報処理装置が、前記搬入時光強度信号から得られる基板処理前の欠陥情報と、前記搬出時光強度信号から得られる処理後の欠陥情報とを比較して、前記基板処理装置における欠陥増加特性を評価するものであることが望ましい。
【0012】
ここで、「欠陥情報」とは、被検面内の欠陥数、欠陥密度、最高の欠陥密度、欠陥位置、欠陥の大きさ、欠陥の種類、一定の欠陥密度を超える領域の全体に対する割合等である。また、「欠陥増加特性」とは、当該基板処理装置において被検面の何処に欠陥を生じさせるか、どの程度欠陥が増加するか、また発塵部位等である。
【0013】
また、本発明に係る基板処理システムは、基板に対して処理を施す基板処理装置と、前記基板の被検面の欠陥を検査する欠陥検査装置とを備え、前記欠陥検査装置が、基板を基板処理装置へ搬入する搬入路及び前記基板を前記基板処理装置から搬出する搬出路において、前記基板の被検面に検査光を照射する光照射部と、前記検査光が照射された被検面からの回折光及び/又は散乱光を検出して、搬入時に検出した搬入時光強度信号及び搬出時に検出した搬出時光強度信号を出力する光検出部と、前記光検出部から搬入時光強度信号及び搬出時光強度信号を受信し、前記被検面の欠陥を検出する情報処理装置と、を備えていることを特徴とする。
【0014】
このようなものであれば、余分な工程を必要とすることなく、一連の製造工程において、基板の表面上の欠陥を検査することができる。また、搬入時の基板の被検面の欠陥検査及び搬出時の基板の被検面の欠陥検査を行うので、基板処理装置における発塵等の装置性能等を検査することができるようになる。また、製造工程において、瞬時に不良発生を発見することができ、工程や製品のロスを可及的に減少させることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上に説明したように、本発明によれば、余分な工程を必要とすることなく、一連の製造工程において、基板の表面上の欠陥を検査することができる。また、搬入時の基板表面上の欠陥検査及び搬出時の基板表面上の欠陥検査を行うので、基板処理装置における発塵等の装置性能等を検査することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
<第1実施形態>
【0017】
以下、本発明の欠陥検査装置の第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
本実施形態に係る基板処理システムは、図1に示すように、半導体ウエハ等の基板Wを処理する基板処理装置1A、1Bと、その基板処理装置1A、1Bに基板Wを搬送する搬送機構2(図2)と、前記基板処理装置1A、1Bよる処理前後において基板Wの被検面W1の欠陥Sを検査する欠陥検査装置3とを備えている。そして、基板Wを基板処理装置1A、1B内に導入出する基板導入ポート12及び基板導出ポート13に欠陥検査機能を付加して、基板Wが基板処理装置1A、1Bのチャンバ11内に搬入される搬入過程と、チャンバ11内で一定の処理工程を経た後、チャンバ11から搬出される搬出過程との2回、基板Wの欠陥検査を行うものである。なお、本実施形態では、欠陥はパーティクル等の異物であり、以下において、「欠陥」の語を「異物」に置き換えて説明する。
【0019】
基板処理装置1A、1Bは、基板Wに対して成膜する成膜装置1A(例えばCVD装置)及び基板Wをエッチングするエッチング装置1Bである。この基板処理装置1A、1Bは、基板Wの処理を行うチャンバ11と、当該チャンバ11に基板Wを導入するための基板導入ポート12と、前記チャンバ11から基板Wを導出するための基板導出ポート13とを備えている。基板導入ポート12及び基板導出ポート13はチャンバ11に隣接して設けられている。
【0020】
搬送機構2は、搬送経路に沿って基板Wを搬送するものであり、前処理として基板収納ボックス(カセット)7に収納された基板Wを、その基板収納ボックス7から基板処理装置1Aの基板導入ポート12に搬送する。さらに、処理後基板導出ポート13に出てきた基板Wを、その基板導出ポート13からその後工程の基板処理装置1Bに搬送する。
【0021】
搬送経路は、基板Wを基板処理装置1A、1Bに搬入する搬入路と基板Wを基板処理装置1A、1Bから搬出する搬出路とからなる。
【0022】
基板処理装置1Aに関して言うと、搬入路とは、搬送機構2によって基板収納ボックス7から基板導入ポート12に搬送され、その後基板Wがチャンバ11内に導入されるまでの経路であり、搬出路とは、処理後の基板Wがチャンバ11から取り出されてから、基板導出ポート13を経由して搬送機構2によって後工程の基板処理装置1Bに移されるまでの経路である。
【0023】
基板処理装置1Bに関して言うと、搬入路とは、搬送機構2によって基板処理装置1Aの基板導出ポート13から基板処理装置1Bの基板導入ポート12に搬送され、その後基板Wがチャンバ11内に導入されるまでの経路であり、搬出路とは、処理後の基板Wがチャンバ11から取り出されてから、基板導出ポート13を経由して搬送機構2によって後工程の基板処理装置等に移されるまでの経路である。
【0024】
なお、後述する搬送機構制御部63からの制御信号に基づいて、その後処理を行わない基板Wを回収するための回収ボックス(図示しない)に、基板Wを搬送する場合もある。
【0025】
異物検査装置3は、複数の基板処理装置1A、1B(本実施形態では、2つ)毎に設けられ、異物Sの有無、大きさ及びその位置等を検査するものであり、図1、図2に示すように、搬入路及び搬出路において、基板Wの被検面W1に検査光Lを照射する光照射部4と、検査光Lが照射された被検面W1からの反射、回折及び/又は散乱光LSを検出して、搬入時に検出した搬入時光強度信号及び搬出時に検出した搬出時光強度信号を出力する光検出部5と、光検出部5から搬入時光強度信号及び搬出時光強度信号を受信し、被検面W1の異物Sを検出する情報処理装置6とを備えている。なお、本実施形態では、基板Wの表面全体を被検面W1としている。
【0026】
光照射部4は、基板導出ポート13及び基板導入ポート12内において、そのポート12、13に配された基板Wを臨む位置に設けられ、搬送機構2によって基板導入ポート12に搬送された基板Wに検査光Lを走査しながら基板の所定面積(全面)を照射するとともに、チャンバ11から基板導出ポート13に出てきた基板Wに検査光Lを走査しながら基板の所定面積(全面)を照射するものである。なお、本実施形態では、少なくとも基板導入ポート12においては、搬送機構2によって保持された基板Wに検査光Lを照射するようにしている。
【0027】
その具体的構成は、レーザ光Lを発する光源41と、矢印U−V方向に回動してレーザ光をスキャニングする走査ミラ42と、集光光学系43とを備え、光源41からのレーザ光Lを基板Wの所定角度斜め上方から、X方向において所定角度範囲内(検査対象物Wの被検面W1のX方向の幅)で、走査線l上を直線的に往復走査しながら照射するように構成するようにしている。本実施形態では、光源41としてHeNeレーザなどのレーザ管を用いている。また、走査ミラ42は後述する情報処理装置6の制御部(図示しない)によって制御されている。
【0028】
光検出部5は、基板導出ポート13及び基板導入ポート12内において、そのポート12、13に配された基板Wを臨む位置に設けられ、被検面W1からの反射、回折及び/又は散乱光LSを検出するものであり、基板Wを搬入する際に検出される光強度信号である搬入時光強度信号と、基板Wを搬出する際に検出される光強度信号である搬出時光強度信号を情報処理装置6に出力するものである。
【0029】
本実施形態では2つの光検出部5が、基板WのX方向における両側斜め上方(走査線lに直交しない方向)に図示しない保持部材によって配置されており、それぞれ反射散乱光LSに対する集光レンズ、入射光制限用スリットを有する固定スリット板(いずれも図示しない)及び光検出器51(例えば光電子増倍管)などからなる。また、信号処理器(図示しない)も有している。
【0030】
また、本実施形態では、図3に示すように、光照射部4と光検出部5とをユニット化して光学系ユニットとし、この光学系ユニットをモータ等を備えた光学系駆動部によって、一体的にY軸方向及び/又はZ軸方向に可動可能に構成している。
【0031】
情報処理装置6は、光照射部4及び搬送機構2を制御するとともに、光検出部5からの光強度信号を受信して、基板Wの被検面W1内の異物Sを検出するものである。その機器構成は図4に示すように、CPU601、内部メモリ602、外部メモリ(図示しない)、入出力インタフェース603、AD変換器604等からなる汎用又は専用のコンピュータであり、前記内部メモリ602又は外部メモリ(図示しない)の所定領域に格納してあるプログラムに基づいてCPU601やその周辺機器等が作動することにより、図5に示すように、異物検出部61、基板処理装置評価部62、搬送機構制御部63、検査結果格納部D1、画面表示部64等として機能する。
【0032】
以下に各部61〜64、D1について説明する。
【0033】
異物検出部61は、光検出器51から搬入時光強度信号及び搬出時光強度信号を受け付けて、被検面W1に異物Sがあるか否か、異物Sの大きさ、又はその位置等を算出するものである。また、異物Sの検出結果に基づいて、その基板Wを以後の処理工程に移すか否かを判断するものである。
【0034】
具体的には、搬入時光強度信号から基板処理前の異物情報を、搬出時光強度信号から基板処理後の異物情報を算出する。ここで、異物情報とは、基板Wの被検面W1全体の異物数、異物密度、最高の異物密度、一定の異物密度を超える領域の被検面W1全体に対する割合等である。そして、その異物情報を示す異物データを画面表示部64、基板処理装置評価部62及び検査結果格納部D1に出力する。
【0035】
また、異物検出部61は、基板処理前における異物検出位置と、基板処理後における異物検出位置とを比較して、基板処理後に増加した異物Sに関する増加異物情報を算出するものである。なお、異物検出位置は、そのX座標は、光照射部4の走査信号から算出し、そのY座標は、光学系駆動部の駆動信号から算出する。具体的には、例えば処理前後における異物検出位置の距離が、所定値未満の場合には、それら異物Sは同じあると判断し、所定値以上の場合には、増加異物Sであると判断する。このようにして、処理前後における増加異物数、全異物位置と増加異物位置、全異物密度分布と増加異物密度分布等を算出する。そして、その算出した結果を示す増加異物データを画面表示部64、基板処理装置評価部62及び検査結果格納部D1に出力する。
【0036】
さらに、異物検出部61は、基板Wを基板処理装置1A、1B又は回収ボックス(図示しない)に搬送することを判断する搬送判断信号を、搬送機構制御部63に出力するものである。
【0037】
つまり、搬入出時において、被検面W1内の異物Sを検出することにより、その後の処理工程において除外すべき処理除外領域を設定し、その処理除外領域の被検面W1全体に対する割合が所定値以上である場合には、基板Wを回収ボックスに搬送すると判断する。一方、上記割合が、所定値未満である場合には、基板処理装置1A、1Bに搬送すると判断する。そして、その搬送判断信号を搬送機構制御部63に出力する。
【0038】
基板処理装置評価部62は、前記異物検出部61から異物データ及び異物増加データを受け付けて、それらデータに基づいて基板処理装置1を評価して、その評価結果を示す装置評価データを検査結果格納部D1及び画面表示部64に出力するものである。
【0039】
具体的には、異物検出部61によって算出された増加異物数、増加異物位置、増加異物密度分布等に基づいて、基板処理装置1A、1Bの異物増加特性等を評価する。異物増加特性とは、被検面W1の何処に異物Sが付着するか、どの程度異物Sが増加するか、その異物Sの大きさ、発塵量、発塵部位等である。また、処理一回当たりの異物増加数が所定値以上であれば、その基板処理装置1A、1Bは、当該処理に不適切であると判断する。なお、増加異物位置により装置内部の発塵部位を特定して、装置1A、1Bの部品の故障を判断することもできる。
【0040】
搬送機構制御部63は、異物検出部61からの搬送判断信号を受け付けて、その搬送判断信号に基づく制御信号を、直接前記搬送機構2に出力して制御する、又は前記搬送機構2を制御する制御装置(図示しない)に出力するものである。これによって、搬送機構2は、基板Wを基板処理装置1A、1B又は回収カセットに搬送する。
【0041】
検査結果格納部D1は、前記異物検出部61によって生成された異物データが格納され、また基板処理装置評価部62によって生成された装置評価データが格納されるものである。そして、検査結果格納部D1に格納された異物データ及び装置評価データは、基板収容ボックス(カセット)情報、基板収納ボックス7内での当該基板Wの位置情報等とともに、データベース化される。特に、異物データは、次工程の基板処理装置1B、あるいはプロセスを管理する工場又は生産ラインのホストコンピュータ(図示しない)に送信等出力可能にしている。
【0042】
画面表示部64は、異物検出部61からの異物データ又は基板処理装置評価部62からの装置評価データをディスプレイ8上に、数値又は図によって表示するものである。
【0043】
異物データの表示に関して言うと、例えば図6に示すように、基板W上に仮想的に描いた格子(例えば25mm角)領域中に存する異物数を表示する。図6においては、その異物数を格子内領域の濃淡によって表している。
【0044】
また、図7に示すように、任意の位置での異物密度を連続的に評価することで、等密度線として表示することもできる。さらに、図8に示すように、密度位置を点で表すことによって、分布密度を表示する。
【0045】
次に、基板処理装置1Aの処理前後における異物検査を行う異物検査装置3の動作について、図9のフローチャートを参照して説明する。
【0046】
まず、光照射部4が、基板導入ポート12に搬送された基板Wの被検面W1に検査光Lを照射して、被検面W1からの反射、回折及び/又は散乱光LSを光検出部5が検出する。そして、その搬入時光強度信号を情報処理装置6に出力する(ステップS1)。
【0047】
次に、搬入時光強度信号を受信した情報処理装置6の異物検出部61が、搬入時、つまり処理前の基板Wの被検面W1上の異物情報を算出する。そして、その異物情報を示す異物データを検査結果格納部D1、画面出力部64、基板処理装置評価部62に出力する(ステップS2)。また、搬送判断信号を搬送機構制御部63に出力する。
【0048】
処理前における基板Wの処理除外領域の割合が、所定値以上である場合には、搬送機構2が基板Wを回収ボックスに搬送する。一方、その割合が、所定値未満である場合には、搬送機構2は、基板Wを基板導入ポート12に載置し、基板Wがチャンバ11内に導入される。
【0049】
そして、基板Wが、チャンバ11内で処理されて、基板導出ポート13に取り出される。
【0050】
その後、光照射部4が、基板Wの被検面W1に検査光Lを照射して、被検面W1からの反射、回折及び/又は散乱光LSを光検出部5が検出する。そして、その搬出時光強度信号を情報処理装置6に出力する(ステップS3)。
【0051】
次に、搬出時光強度信号を受信した情報処理装置6の異物検出部61が、搬出時、つまり処理後の基板Wの被検面W1上の異物情報及び増加異物情報を算出する。そして、その増加異物情報を示す増加異物データを検査結果格納部D1、画面表示部64、基板処理装置評価部62に出力する(ステップS4)。また、搬送判断信号を搬送機構制御部に出力する。
【0052】
処理後における基板Wの処理除外領域の割合が、所定値以上である場合には、搬送機構2が基板Wを回収ボックス(図示しない)に搬送する。一方、その割合が、所定値未満である場合には、搬送機構2は、基板Wを次の基板処理装置1Bの基板導入ポート12に搬送する。
【0053】
また、基板処理装置評価部62は、異物検出部61から異物データ及び増加異物データを受信して、基板処理装置1Aの増加異物特性を評価して、その装置評価データを画面表示部64及び検査結果格納部D1に出力する(ステップS5)。
【0054】
このようなものであれば、基板Wを基板処理装置1A、1B内に導入する搬入過程で基板Wの被検面W1の異物Sを検査し、基板処理装置1A、1Bでの処理終了後、搬出過程で基板Wの被検面W1の異物Sを検査するので、余分な工程を必要とせず、一連の製造工程中において、基板Wの被検面W1上の異物Sの検査を行うことができる。また、基板処理装置1A、1Bでの処理における発塵や異物増加等の装置性能を検査することができる。
【0055】
さらに、被検面W1上に異物Sが所定量以上存在することにより使用不可能な基板Wを、次工程に搬送しない等の判断ができるので、効率的な検査及び生産を行うことができるようになる。
【0056】
<第2実施形態>
【0057】
次に、本発明の欠陥検査装置3を適用した基板処理システムについて図10を参照して説明する。なお、前記第1実施形態に対応するものには、同一に符号を付している。
【0058】
本実施形態に係る基板処理システムは、基板Wに対して処理を施す複数種類の基板処理装置1A、1B(本実施形態では、2つ)と、前記基板Wの被検面W1の欠陥を検査する欠陥検査装置3とを備えている。基板処理装置1A、1Bとしては、半導体ウエハ等の基板Wに成膜するスパッタリング装置及びCVD装置、基板W上にパターンを形成するエッチング装置、レジスト塗布装置、露光装置、洗浄・乾燥装置等が考えられる。
【0059】
欠陥検査装置3は、前記第1実施形態とほぼ同様であるが、制御装置6の機能が異なる。つまり、本実施形態の制御装置6は、図10に示すように、前記第1実施形態に加えて、基板処理条件受付部65と、基板処理制御部66とを備えている。
【0060】
基板処理受付部65は、外部から入力手段(図示しない)によって入力された基板処理条件を受け付けて、その基板処理条件を示す処理条件データを基板処理制御部66に出力するものである。なお、基板処理条件とは、複数の基板処理装置1A、1Bを用いて基板Wを処理するための各装置1A、1Bの動作条件等である。
【0061】
基板処理制御部66は、基板処理条件受付部65から処理条件データを受け付けて、基板処理装置評価部62から装置評価データを取得して、各基板処理装置1A、1Bの制御するために、その処理条件データを各基板処理装置1A、1Bに出力するものである。また、基板処理条件毎における異物情報及び/又は基板処理装置1A、1Bの評価情報を個別に表示できるようにする等のために、処理条件データを画面表示部64に出力するものである。
【0062】
このように構成した基板処理システムによれば、余分な工程を必要とすることなく、一連の製造工程において、基板Wの表面W1上の欠陥を検査することができる。また、搬入時の基板Wの被検面W1の欠陥検査及び搬出時の基板Wの被検面W1の欠陥検査を行うので、基板処理装置1A、1Bにおける発塵等の装置性能等を検査することができるようになる。また、製造工程において、瞬時に不良発生を発見することができ、工程や製品のロスを可及的に減少させることができる。
【0063】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0064】
例えば、前記実施形態では、搬送機構2のロボットアームが基板を保持した状態で異物検査を行うようにしているが、これに限定されることはなく、例えば、搬入路及び搬出路上に設けた測定ステージに一旦載置して測定するようにすることもできる。この場合、測定ステージは、少なくとも一軸(図2におけるY軸、Z軸又は両軸)に可動しうるステージであることが好ましい。
【0065】
また、異物の位置検出に関していうと、光学系駆動部からの駆動信号からY軸位置(Y座標)を算出する他に、搬送機構制御部63からの駆動信号から算出するようにすることも考えられる。さらに、別途位置検出センサなどを設けるようにしても良い。
【0066】
また、前記実施形態では、光照射部4及び光検出部5を、基板導入ポート12及び基板導出ポート13に設けるようにしているが、この他の搬送経路(搬入路上及び搬出路上)に設けるようにしても良い。
【0067】
さらに、図11に示すように、基板導入ポート12及び基板導出ポート13が共通のものである場合には、その導入出ポート14において、搬入時及び搬出時の異物を検査することも考えられる。
【0068】
その上、異物検出部61が、前記実施形態に加えて、被検面W1内の異物Sの存在に基づいて、その後の処理を行う処理対象領域及び処理を行わない処理除外領域を設定して、その後の処理工程において、処理対象領域のみ処理を行うようにすることも考えられる。そして、処理除外領域が、被検面W1全体に対する割合が所定値以上になった場合に、その基板Wを回収ボックスに搬送して、その後の処理を行わないようにすることも考えられる。また、被検面W1中の異物数が所定値以上である場合にその後の処理を行わないようにすることも考えられる。
【0069】
加えて、前記実施形態では、基板処理装置評価部62は、異物検出部61からの異物データ及び増加異物データを受信して、装置評価を行うものであったが、光検出部5から搬入時光強度信号及び搬出時光強度信号を直接受信して、基板処理装置1A、1Bの評価を行うものであっても良い。
【0070】
その上、異物Sを検出する異物検査装置の他に、異物Sのほかにも塗布のムラや、露光不良、傷などの欠陥を検出する欠陥検査装置であっても良い。
【0071】
さらに、前記実施形態においては、光照射部4では走査ミラ42を用いた構成にしているがこれに限られることはなく、例えば、プリズム及びシリンドリカルレンズを用いて光を広げて光帯を照射し、ラインセンサや2次元のCCDセンサなどを用いる構成にすることも考えられる。
【0072】
上記に加えて、異物密度分布は、単に基板W被検面W1の単位面積当たりの異物数であっても良いが、異物Sの大小を考慮する場合には、異物数にその異物Sの大きさ又は反射、回折及び/又は散乱光強度などによって、重み付けをして、信号強度密度、異物体積密度又は異物投影面積密度などとしても良い。
【0073】
さらに加えて、前記実施形態では、異物検査装置3を基板処理装置1A,1B毎に設けているが、例えば光照射部4及び光検出部5を2つの基板処理装置1A、1B間の搬送経路上に1つ設けるようにして一部を共通させても良いし、情報処理装置6を共通にすることも考えられる。
【0074】
その他、前記実施形態を含む前記した各構成を適宜組み合わせるようにしてもよく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1実施形態に係る基板処理システムの構成を概略的に示す全体概略図である。
【図2】同実施形態における異物検査装置の概略構成図。
【図3】同実施形態における光学ユニット及びその可動方向を示す図。
【図4】同実施形態における情報処理装置の機器構成図。
【図5】同実施形態における情報処理装置の機能構成図。
【図6】同実施形態に係る画面表示部の画面表示の具体例を示す図。
【図7】同実施形態に係る画面表示部の画面表示の具体例を示す図。
【図8】同実施形態に係る画面表示部の画面表示の具体例を示す図。
【図9】同実施形態における異物検査装置の動作を示すフローチャート。
【図10】本発明の第2実施形態に係る基板処理システムの概略構成及びそのシステムの制御装置の機能構成を示す図。
【図11】その他の変形実施形態に係る欠陥検査装置の概略構成図。
【符号の説明】
【0076】
W ・・・基板
W1・・・被検面
S ・・・欠陥(異物)
1 ・・・基板処理装置
2 ・・・搬送機構
3 ・・・欠陥検査装置(異物検査装置)
4 ・・・光照射部
5 ・・・光検出部
6 ・・・情報処理装置
61・・・異物検出部
62・・・基板処理装置評価部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を基板処理装置へ搬入する搬入路及び前記基板を前記基板処理装置から搬出する搬出路において、前記基板の被検面に検査光を照射する光照射部と、
前記検査光が照射された被検面からの回折及び/又は散乱光を検出して、搬入時に検出した搬入時光強度信号及び搬出時に検出した搬出時光強度信号を出力する光検出部と、
前記光検出部から搬入時光強度信号及び搬出時光強度信号を受信し、前記被検面の欠陥を検出する情報処理装置と、を備えている欠陥検査装置。
【請求項2】
前記光照射部が、前記基板が前記基板処理装置の基板導入ポートの近傍、及び基板導出ポートの近傍にあるときに検査光を照射するものであることを特徴とする請求項1記載の欠陥検査装置。
【請求項3】
前記情報処理装置が、前記搬入時光強度信号と前記搬出時光強度信号とを比較して、その比較結果をパラメータとして、前記被検面を検査するものであることを特徴とする請求項1又は2記載の欠陥検査装置。
【請求項4】
前記情報処理装置が、前記搬入時光強度信号と前記搬出時光強度信号とを比較して、その比較結果をパラメータとして、前記基板処理装置を検査するものであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の欠陥検査装置。
【請求項5】
前記情報処理装置が、前記搬入時光強度信号から得られる基板処理前の欠陥情報と、前記搬出時光強度信号から得られる処理後の欠陥情報とを比較して、前記基板処理装置における欠陥増加特性を評価するものであることを特徴とする請求項4記載の欠陥検査装置。
【請求項6】
基板に対して処理を施す基板処理装置と、
前記基板の被検面の欠陥を検査する欠陥検査装置とを備え、
前記欠陥検査装置が、基板を基板処理装置へ搬入する搬入路及び前記基板を前記基板処理装置から搬出する搬出路において、前記基板の被検面に検査光を照射する光照射部と、前記検査光が照射された被検面からの回折光及び/又は散乱光を検出して、搬入時に検出した搬入時光強度信号及び搬出時に検出した搬出時光強度信号を出力する光検出部と、前記光検出部から搬入時光強度信号及び搬出時光強度信号を受信し、前記被検面の欠陥を検出する情報処理装置と、を備えていることを特徴とする基板処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−255904(P2007−255904A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−76823(P2006−76823)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【Fターム(参考)】