説明

比例絞り弁

本発明は比例絞り弁に関し、この比例絞り弁は、流体入口(4)及び流体出口(5)が形成された弁ハウジング(3)内の長手方向において変位可能に案内されるとともに、可変オリフィスの作用を有する弁ピストン(2)を具備する。弁ピストン(2)の前縁部(6)が、流体入口(4)と流体出口(5)との流体連通部のための流量調整器(8)の制御ピストン(7)によって形成されるので、流量制御弁及び比例絞り弁は、1つの弁ユニットに作用的に組合わされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体入口及び流体出口を長手方向に備える弁ハウジングにおいて移動可能に案内されるとともにオリフィス作用を奏しうる、弁ピストンを具備する比例絞り弁において、計量縁部を備えた弁ピストンが、流体入口と流体出口との間の流体連通を活性化させる比例絞り弁に関する。
【背景技術】
【0002】
比例絞り弁は、それら弁を通過する流体流量のレベルが、弁ピストンを活性化させるコイルのその時点の磁流に応じて連続的に変更されるべき場合によく使用される。弁ピストンの弁座の開口断面は、弁ピストンの位置に応じて定まる。コイルに直流の電流が供給される場合、磁流に比例する磁力が形成され、その結果として、弁ピストンが開放位置に移動される。ここで、一般に、弁ピストンの後方に配置されるばねには張力が付与され、そのばね力は、磁力に対して反対に作用する。これら磁力とばね力との間に平衡状態が確立されている場合、弁ピストンはその位置に留まる。
【0003】
比例絞り弁は、制御されるべき圧力レベルから大部分が無関係である。なぜなら、弁ピストンが圧力均一化されている、すなわち一様に高い圧力が2つの端部面に作用するためである。
【0004】
比例絞り弁は、例えば昇降動作における適用、例えば産業用トラックにおいて用いられる。これらの適用のために荷を降下させるために、2/2方(2/2−way)弁が基本的な昇降運動を表すのに用いられる。同時に、体積流量を制御するのに比例絞り弁が用いられる。
【0005】
しかしながら、比例絞り弁において、体積流量が流体入口と流体出口との間の差圧に応じて定まり、それにより、例えば産業用トラックその他の上昇手段において、降下速度が移動される荷に応じて定まるようになるという問題がある。上昇手段又は降下過程において搬送されるべき荷に損傷を与えうる境界値を超える場合がある。したがって、従来技術において、調整不能な最大体積流量調整器が比例絞り弁の上流に直列に接続される。最大体積流量調整器は受動的であるように形成され、したがって、最大降下速度を超えたときのみ作動する。したがって、この点に関して設置される従来技術の流体回路は複雑であり、構成要素が複数である理由から、それに対応する大きい寸法の導入空間が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この従来技術に関し、本発明の目的は、前述した機能を組込んだ比例絞り弁を考案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、特許請求の範囲の請求項1に記載の特徴を備えた比例絞り弁の全体によって達成される。
この比例絞り弁において、請求項1の特徴部分に記載されるように、流体入口と流体出口との間の流体連通状態を調整する弁ピストンの計量縁部が、流量調整器の制御ピストンによって形成され、これら流量制御弁及び比例絞り弁の機能は、1つの弁ユニットにおいて組合わされる。
【0008】
好適な実施形態は従属請求項から明らかになるであろう。
導入空間を節約する特に好適な一実施形態において、流量制御器の制御ピストンは、弁ピストンそれ自体の孔と同一の弁ハウジングの孔において移動可能に案内される。この点に関して、流量調整器の制御ピストンが、弁ピストンの軸線方向の孔において翼列(cascade)の態様で案内されるとともに、要求される関連の制御ばねが制御ピストンの軸線方向の孔と、弁ピストンの軸線方向の孔との両方において案内されることが特に有利に提供される。
【0009】
好ましくは、流量調整器の特定の計量オリフィスは、流体入口に隣接する制御ピストンの軸線方向の端部に配置され、制御ピストンの底部において封止部を形成するとともに、制御ばねのばね室への流体連通部を形成する。制御ピストンは半径方向の流体出口を有しており、この流体出口は、比例絞り弁の休止状態において、弁ピストンの軸線方向の孔に完全にわたって設けられるとともに、弁ピストンを移動するようにコイルが励起されるときにのみ、これら出口は、流体出口を形成する弁ハウジングの半径方向の孔に部分的又は完全にわたって設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る比例絞り弁の長手方向の断面図である。
【図2】図1においてIIで表される詳細部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の解決手段を以下に図面を用いて詳述する。図面は概略的であり寸法通りではない。
図1は、直接的に制御される比例絞り弁1を長手方向の断面図において示す図である。磁石システムハウジングにおいて、DCコイル15によって作動されうる、詳述されないアーマチュア16を備えた磁石システム14が在る。磁石システム14は、押圧変位制御式比例磁石システムとして形成されるのが好ましく、DCコイル15の励起状態において、アーマチュア16及びアーマチュア16に動的に連結された作動部材17は、流体入口4の方向において下方に移動可能である。
【0012】
作動部材17は、「オリフィスピストン」として形成される弁ピストン2に動的に連結されている。DCコイル15の非励磁状態において、アーマチュア16、作動要素17及び弁ピストン2は、ばね18によって上昇停止部19に対して移動される。これは、比例絞り弁1の閉止状態に対応しており、流体入口4と流体出口5との間の流体経路は閉塞される。
【0013】
磁石システムハウジングは、弁ハウジング3内に突出するように円筒形の案内部20とともに形成されており、適宜封止される。円筒形の作動要素17は円筒形の案内部20内に同様に突出するとともに、案内部20内において、弁ピストン2の延長部21に取外し可能かつ確実に連結され、この延長部は、マンドレルのようにして永続的な接触状態を伴ってばね18を案内する。延長部21は、上昇停止部19を形成する底部23を備えた円筒形のスペーサ22を通る経路の後に、オリフィスピストンとして形成される弁ピストン2に移行する。この上昇停止部19は、弁ピストン2の後部24を弁ピストン2の主要制御域25から隔離する。
【0014】
主要制御域25は、概ね軸線方向の中央部において流量調整器8の制御ピストン7に分割される。制御ピストン7は弁ピストン2の孔と同一の孔9において案内され、主要制御域25の一部として、作動要素17を介して弁ハウジングにおいて移動可能なように支持される。制御ピストン7は、前述した弁ピストン2の軸線方向の孔10において軸線方向に移動可能なようにさらに案内される。圧縮ばねとして形成される制御ばね11は、その長さのおよそ半分にわたって軸線方向の孔10において案内される。
【0015】
制御ピストン7には、制御ばね11の案内部として用いられる追加の軸線方向の孔12が形成されている。流体入口4に向いた軸線方向の端部において、計量オリフィス13が制御ピストン7に挿入され、特にねじ込まれる。制御ピストン7には、直径方向反対側に半径方向の開口26が形成され、これら開口26は、図2に示される比例絞り弁1の休止状態において、封止位置において孔9の壁部に完全にわたって設けられている。図1に係る詳細部IIにおいて図2が示すように、流体出口5は、孔9の壁部において直径方向に差込まれた少なくとも2つの開口27によって形成される。測定縁部6は、制御ピストン7の外径部に配置され、DCコイル15が適宜励磁されるときに、流体入口4と流体出口5との間の全体の体積流量を調整するのに用いられる。
【0016】
比例絞り弁1の動作に際し、制御ばね11は、その予張力作用によって、計量オリフィス13と弁ピストン2の上方部分との間の距離を最大に維持する。この状態は、可能な最大体積流量に達するまで続き、弁は単に比例絞り弁として作用する。計量オリフィス13は、体積流量の値に応じて、計量オリフィス13を通る流れが生じるときに圧力損失を発生させる。この圧力値は、次いで制御ばね11を短尺化させることによって主要制御域25が同様に短尺化されるまで、制御ばね11への方向における位置決め作用力を発生させる。計量縁部6は、流体出口5における流れ断面がより小さくなる方向において押圧され、この際に、計量オリフィス13における圧力損失は、次いで体積流量の平衡状態が確立されるまで幾分低下する。そして、弁ピストン2が補償作用及び比例絞り作用を担う。
【0017】
したがって、本発明に係る解決手段によれば、外部流量調整器の流量調整作用が比例絞り弁に直接適応されうるようになり、それにより、この態様では、完成された追加の弁を流体回路から省略できる。ここで述べるように、このことは、比例絞り弁の制御ピストン内に収容される一定流量調整器のために必要な計量オリフィス及び制御ばねによって達成される。ここで、流量調整器のために同様に必要である補償作用は、比例絞り弁それ自体の制御ピストンによって担われる。したがって、ここで述べるピストンの計量縁部は、比例絞り作用とともに流量調整器の補償作用をも担っている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体入口(4)及び流体出口(5)を長手方向に備える弁ハウジング(3)において移動可能に案内されるとともにオリフィス作用を奏しうる、弁ピストン(2)を具備する比例絞り弁であって、
前記弁ピストン(2)の計量縁部(6)が、前記流体入口(4)から前記流体出口(5)までの流体連通部のための流体調整器(8)の制御ピストン(7)によって形成されることを特徴とする、比例絞り弁。
【請求項2】
前記流量調整器(8)の前記制御ピストン(7)は、弁ピストン(2)の孔と同一の前記弁ハウジング(3)の孔において移動可能に案内されることを特徴とする、請求項1に記載の比例絞り弁。
【請求項3】
前記流量調整器(8)の前記制御ピストン(7)が前記弁ピストン(2)の軸線方向の孔(10)において案内され、制御ばね(11)が、前記軸線方向の孔(10)において、かつ前記制御ピストン(7)における追加の軸線方向の孔(12)において、半径方向に支持されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の比例絞り弁。
【請求項4】
前記流量調整器(8)の計量オリフィス(13)が前記制御ピストン(7)内に在ることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の比例絞り弁。
【請求項5】
前記計量オリフィス(13)が、前記流体入口(4)に向いた前記制御ピストン(7)の端部領域に配置されることを特徴とする、請求項4に記載の比例絞り弁。
【請求項6】
軸線方向における前記流体入口(4)が前記弁ハウジング(3)内に延出しており、前記流体入口(4)対して直交する半径方向に配置される前記流体出口(5)が、前記弁ハウジング(3)を通って延在することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の比例絞り弁。
【請求項7】
当該比例絞り弁が直接的に制御されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の比例絞り弁。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−525547(P2012−525547A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507613(P2012−507613)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001158
【国際公開番号】WO2010/124757
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(500580909)ハイダック フルイドテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (6)
【Fターム(参考)】