説明

毛髪化粧料

コンディショニング効果に優れた毛髪化粧料、特に豊かな泡立ちですすぎ時の指どおりが良く、乾燥後の髪の感触に優れる毛髪化粧料を提供する。
陰イオン界面活性剤(a)0.1〜40質量%と、水酸基及びアミド結合を有するビニル系単量体(A)とカチオン性基を有するビニル系単量体(B)とを含む単量体混合物の共重合体に相当する構造を有する水溶性樹脂(b)0.01〜5.0質量%と、非イオン性及び/または両性界面活性剤(c)0.1〜10質量%とを含む毛髪化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料に関するものであり、濯ぎの際の良好な指通り性、及び乾燥後のなめらかさ、サラサラ感等のコンディショニング効果を与える毛髪化粧料に関するものである。
【0002】
背景技術
シャンプー等の毛髪化粧料のコンディショニング効果を上げるために様々な取り組みがなされており、代表的なものとして、カチオン化セルロースやカチオン化グアーガムを配合したり、シリコーン化合物を配合したものがある。例えば微粒度のシリコーンとカチオン化セルロースエーテル誘導体を活用したシャンプー組成物(特開平7−277931号公報)や、特定の粒子サイズの高粘度シリコーンの乳濁液とグアーゴムの陽イオン誘導体を組み合わせたシャンプー組成物(特開平4−234309号公報)、シロキサンガムやアミノ基含有シリコーンの微粒子とグアーゴムやセルロースエーテルの陽イオン誘導体から成る化粧品組成物(特開平5−194142号公報)、特定の電荷密度を有するグアーゴムの陽イオン誘導体と水不溶性で不揮発性のシリコーンを配合したシャンプー組成物(特開平4−364111号公報)、グアーゴムの陽イオン誘導体と特定の平均粒径の不溶性で不揮発性のシリコーンを配合したシャンプー組成物(特開平4−36226号公報)などが挙げられる。しかしながら、そのコンディショニング効果は十分ではなく、特にカラーリングにより髪が傷んだ消費者にとっては、不満足なものになっている。この理由として、コンディショニング成分であるシリコーンがシャンプー時に髪に吸着しにくいことが挙げられており、特にカラーリングなどで傷んだ髪ではその傾向が顕著であるとされている。
【0003】
発明の開示
本発明は、上記課題を解決することを目的とするものであって、コンディショニング効果に優れた毛髪化粧料、特に豊かな泡立ちですすぎ時の指どおりが良く、乾燥後の髪の感触に優れる毛髪化粧料を提供することである。女性の洗髪行動において、シャンプーで髪の汚れを落とした後、髪のパサつきの抑制など髪の状態を良くするためにコンディショナー(あるいはリンスやトリートメント)を使用することが多いが、時間的な制約があったり、子供との入浴で手間をかけたくない場合などはシャンプーのみを使用することもある。本発明は、特にシャンプーのみを使用しても十分に髪の状態を改善できるコンディショニング効果を持った毛髪化粧料を提供するものである。
【0004】
本発明者等は上記課題に鑑み鋭意検討した結果、(a)成分に、(b)成分の樹脂と(c)成分の界面活性剤を配合することで、毛髪化粧料中のコンディショニング成分であるシリコーンの吸着量の優れ、かつ頭皮にマイルドな毛髪化粧料を提供できることを見出した。具体的には、下記手段により達成された。
【0005】
(1)陰イオン界面活性剤(a)0.1〜40質量%と、水酸基及びアミド結合を有するビニル系単量体(A)とカチオン性基を有するビニル系単量体(B)とを含む単量体混合物の共重合体に相当する構造を有する水溶性樹脂(b)0.01〜5.0質量%と、非イオン性及び/または両性界面活性剤(c)0.1〜10質量%とを含む毛髪化粧料。
(2)水酸基及びアミド結合を有するビニル系単量体(A)が、式(1)で表され、カチオン性基を有するビニル系単量体(B)が、式(2)で表される(1)に記載の毛髪化粧料。
式(1)
【化4】

(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基を表す。aは1〜4の整数を表す)
式(2)
【化5】


(式中、R3は水素原子またはメチル基を表し、R4及びR5はそれぞれ独立して炭素原子数1〜24のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、R6は水素原子、炭素原子数1〜24のアルキル基、アリール基若しくはアラルキル基またはCH2−CH(OH)−CH2−N+789・Y-を表し、R7〜R9はそれぞれ独立して炭素原子数1〜24のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す。X-及びY-は、それぞれ独立して陰イオンを表す。bは0または1を表す。cは1〜10の整数を表す。)
(3)更にシリコーン化合物(d)0.1〜5.0質量%を含む(1)または(2)に記載の毛髪化粧料。
(4)更にカチオン性界面活性剤(e)0.01〜5.0質量%、及び/または式(12)で表される芳香族カルボン酸またはその塩(f)0.01〜10質量%を含有する(1)乃至(3)のいずれかに記載の毛髪化粧料
【化6】


(式中、R10、R11及びR12はそれぞれ炭素数1〜3のアルキル基、水酸基または水素原子を示し、A1はカルボキシル基またはその塩を示す)
(5)毛髪化粧料のpHが3.0〜6.5の範囲である(1)乃至(4)のいずれかに記載の毛髪化粧料。
(6)カラーリングを施した傷んだ髪に使用することを特徴とする、(1)乃至(5)のいずれかに記載の毛髪化粧料。
(7)式(12)で表される芳香族カルボン酸またはその塩(f)が、安息香酸またはサリチル酸及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩またはアルカノールアミン塩からなる群の少なくとも一種である(1)乃至(6)のいずれかに記載の毛髪化粧料。
【0006】
発明の詳細な説明
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。また、本発明の濃度は特に述べない限り、25℃におけるものを示している。
また、本発明において、カラーリングを施した傷んだ髪とは、例えば、ヘアカラー・ブリーチ剤を使用して髪の色を茶色または黒色などの色に染めた髪をいう。
さらに、本発明の毛髪化粧料、例えば、シャンプー、コンディショナー、ヘアワックス、液状やフォーム状のヘアスタイリング剤等をいう。
【0007】
(a)陰イオン界面活性剤
(a)成分は、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が好ましい。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩のアルキル基としては、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が好ましい。
ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸塩のアルケニル基としては、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ドデセニル基、ウンデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基等が好ましい。ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩およびポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸塩のエチレンオキシドの平均付加モル数は、1〜5が好ましく、2〜3がより好ましい。
また、α−オレフィンスルホン酸塩は、炭素数10〜18のものが好ましく、炭素数12〜16がより好ましく、炭素数14のテトラデセンスルホン酸塩がさらに好ましい。
これらの対イオンとしては、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム、カリウム、)、アルカリ土類金属塩(例えば、マグネシウム)、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩(例えば、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン)等が挙げられる。
これらの陰イオン性界面活性剤は、毛髪化粧料(例えば、ヘアコンディショナーやトリートメント、ヘアワックス)の全組成中に0.1〜40質量%、より好ましくは0.3〜30質量%配合される。0.1質量%未満では効果に乏しく、40質量%を越えると粘度増加により取り扱いが困難となる。
特に、毛髪化粧料をシャンプー組成物として使用する場合は、洗浄力、起泡力の点から、全組成中に好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%配合される。
また、毛髪化粧料をヘアコンディショナーやトリートメント、ヘアワックスなどのシャンプー以外の組成物として使用する場合は、効果の点から全組成中に好ましくは0.1〜2質量%、より好ましくは0.3〜0.8質量%配合される。
陰イオン性界面活性剤は、2種類以上を併用してもよく、この場合上記含量は、これらの合計量を意味している。
【0008】
水溶性樹脂(b)
(b)成分は、水酸基及びアミド結合を有するビニル系単量体(A)と、カチオン性基を有するビニル系単量体(B)とを含む単量体混合物の共重合体に相当する構造を有する。水酸基及びアミド結合を有するビニル系単量体(A)としては、式(1)で表されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド系(ここで「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルを表す)の単量体を用いるのが好ましい。
【0009】
【化7】

【0010】
(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基を表す。aは1〜4の整数を表す。)
ここで、R1は水素原子が好ましい。R2は水素原子が好ましい。aは、2が好ましい。
式(1)で表される水酸基及びアミド結合を有するビニル系単量体(A)としては、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。なかでも単量体の水への溶解性、及び得られた重合体の水への溶解性が高いことからN−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドが好ましい。
【0011】
水酸基及びアミド結合を有するビニル系単量体(A)に相当する構造単位は、共重合体中に20〜90質量%含有することが好ましい。更に好ましくは30〜80質量%、特に好ましくは40〜70質量%である。水酸基及びアミド結合を有するビニル系単量体(A)に相当する構成単位は、アミド結合部分に由来する水素結合の作用により、毛髪に吸着する効果が増大すると考えられる。
【0012】
また、一般的に、毛髪化粧料では陰イオン界面活性剤を用いることにより、該陰イオン界面活性剤と水溶性樹脂との複合体が形成され、毛髪に毛髪化粧料を塗布した後、あるいは洗髪や濯ぎの際にこの複合体が析出し、毛髪に付着すると考えられる。しかし、本発明で採用する水溶性樹脂(b)では、共重合体中のカチオン性基を有するビニル系単量体(B)に相当する構造単位と、併用されている陰イオン界面活性剤とが複合体を形成した後も、水酸基及びアミド結合を有するビニル系単量体(A)に相当する構成単位の有する親水性により共重合体の水溶性が保たれる。
【0013】
水酸基及びアミド結合を有するビニル系単量体(A)に相当する構成単位を共重合体中の20質量%以上とすることにより、毛髪等への吸着力をより効果的に保つことができ、さらに、乾燥後のなめらかさ、サラサラ感がより向上する。また、90質量%以下とすることにより、カチオン性基を有するビニル系単量体(B)に相当する構成単位の含量がより十分に保たれ、陰イオン界面活性剤とより十分な複合体を形成でき、毛髪への吸着量が向上し、濯ぎ時のなめらかさ等により効果的である。
【0014】
カチオン性基を有するビニル系単量体(B)としては、N,N−ジメチル−N,N−ジアリルアンモニウムクロライド等のジアリル系4級アンモニウム塩や、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド等の(メタ)アクリルエステル系4級アンモニウム塩や、N−メタクリロイルアミノプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド等の(メタ)アクリルアミド系4級アンモニウム塩、L−アルギニンとグリシジルメタクリレートの反応物等のアミノ酸系のカチオン種などが例示でき、この中でも、(メタ)アクリル系4級アンモニウム塩単量体がより好ましい。特に式(2)で表される(メタ)アクリル系4級アンモニウム塩単量体が、好ましい。
【0015】
【化8】

【0016】
(式中、R3は水素原子またはメチル基を表し、R4及びR5はそれぞれ独立して炭素原子数1〜24のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、R6は水素原子、炭素原子数1〜24のアルキル基、アリール基若しくはアラルキル基またはCH2−CH(OH)−CH2−N+789・Y-を表し、R7〜R9はそれぞれ独立して炭素原子数1〜24のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す。X-及びY-は、それぞれ独立して陰イオンを表す。bは0または1を表す。cは1〜10の整数を表す。)
3は、メチル基が好ましく、R4及びR5はそれぞれ独立してメチル基が好ましい。R6は炭素原子数1〜24のアルキル基あるいはアルケニル基が好ましく、メチル基がより好ましい。R7〜R9はそれぞれ独立してメチル基が好ましい。X-及びY-で表される陰イオンとしては、それぞれ独立して、塩素イオン、臭素イオンが好ましく、塩素イオンがより好ましい。bは1が好ましく、cは2が好ましい。
【0017】
式(2)で表されるカチオン性基を有するビニル系単量体のいくつかを例示すると、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N−エチル−N,N−ジメチルアンモニウム=モノエチル硫酸塩、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリエチルアンモニウム=モノエチル硫酸塩、N−[3−{N’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N’,N’−ジメチルアンモニウム}−2−ヒドロキシプロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、N−[3−{N’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N’,N’−ジエチルアンモニウム}−2−ヒドロキシプロピル]−N,N,N−トリエチルアンモニウムクロライド等のカチオン性基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N−エチル−N,N−ジメチルアンモニウム=モノエチル硫酸塩、N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N−ジエチル−N−メチルアンモニウムクロライド、N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N−ジエチル−N−メチルアンモニウム=モノメチル硫酸塩、N−[3−{N’−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N’,N’−ジメチルアンモニウム}−2−ヒドロキシプロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、N−[3−{N’−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N’,N’−ジエチルアンモニウム}−2−ヒドロキシプロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性基を有する(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
【0018】
なかでも、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライドが好ましく用いられ、特にN−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライドが好ましい。
また、カチオン性基を有するビニル系単量体(B)の共重合体に相当する構造は、例えば、式(3)で表されるカチオン性基を有するビニル系単量体の前駆体を共重合させた後に、カチオン化剤により、対応するカチオン基を有する構造に変換することにより得ることができる。
【0019】
【化9】

【0020】
(式中、R3〜R5、b、cは式(2)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同義である。)
カチオン性ビニル単量体前駆体としては、例えば、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアミン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジエチルアミン等の三級アミンを有する(メタ)アクリル酸エステル類;N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアミン、N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N−ジエチルアミン等の三級アミンを有する(メタ)アクリルアミド類などが挙げられる。
【0021】
カチオン化剤としては、メチルクロライド等のアルキルハライド及び3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン基含有カチオン化剤等が挙げられる。カチオン化反応は、例えば、重合体の溶液にカチオン化剤を添加し、20〜100℃、1〜20時間の条件で行うことができる。
なお、カチオン性ビニル単量体またはその前駆体は、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
【0022】
共重合体中のカチオン性基を有するビニル系単量体(B)に相当する構造単位の含量は、10〜80質量%であることが好ましい。更に好ましくは20〜70質量%、特に好ましくは30〜60質量%である。このカチオン性基を有するビニル系単量体(B)に相当する構造単位は、本発明の組成物に陰イオン界面活性剤が併用された場合、これと複合体を形成し、共重合体を毛髪に付着しやすくする。カチオン性基を有するビニル系単量体(B)に相当する構造単位を10質量%以上にすることにより、陰イオン界面活性剤とより十分な複合体を形成でき、例えば、洗髪時の濯ぎ時になめらかさをより効果的に保つことができる。40質量%以下とすることにより、毛髪等への吸着力をより十分に保つことができるため、乾燥後のなめらかさ、サラサラ感をより効果的に保つことができる。
【0023】
共重合体中には、更に他のビニル系単量体に由来する構造単位を含有させてもよい。但し、共重合体中にアニオン性の官能基が存在すると前述の陰イオン界面活性剤との複合体形成の障害となる場合があるので、アニオン性の官能基の少ないものが好ましく(例えば、全官能基の10%以下)、これを実質的に含まないものであれば更に好ましい。ここで、実質的に含まないとは、1%以下をいう。他のビニル系単量体としては、炭素原子数1〜22のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルや、炭素原子数1〜22のアルキルアミンと(メタ)アクリル酸とのアミド、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール等と(メタ)アクリル酸とのモノエステル、更にはこのモノエステルの水酸基がメタノールやエタノール等でエーテル化されたエステル、(メタ)アクロイルモルホリンなどのノニオン性単量体や、ベタイン基含有(メタ)アクリルエステル、ベタイン基含有(メタ)アクリルアミドなどの両性単量体、アミンオキシド基含有(メタ)アクリルエステル、アミンオキシド基含有(メタ)アクリルアミドなどの半極性単量体、などが挙げられる。
【0024】
他のビニル系単量体に由来する構造単位の含有量は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において適宜定めることができる。例えば、水溶性樹脂の溶解性やコンディショニング効果等を考慮して適宜定めることができる。したがって、共重合体中の30質量%以下が好ましい。
共重合体中の水酸基及びアミド結合を有するビニル系単量体(A)に相当する構成単位、カチオン性基を有するビニル系単量体(B)に相当する構成単位、及びその他ビニル系単量体に由来する構成単位の含有量は、水酸基やアミド結合部位のIR吸収や、水酸基やアミド結合部位、カチオン基に隣接するメチル基の1H−NMR、あるいはそれらの13C−NMR等により測定することが出来る。
【0025】
本発明で採用する水溶性樹脂は、常温、すなわち25℃で、5質量%以上の濃度の水溶液を形成し得るもの、すなわち、5質量%以上の濃度の水溶液の透過率(550nm)が80%以上あり、水溶液が均一かつ安定のものであるのが好ましい。さらに好ましくは、10質量%以上の濃度の水溶液を形成し得るものである。
本発明に係る水溶性樹脂は、例えば、それぞれの構成単位を与える単量体またはその前駆体を混合し、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の方法により共重合させた後、必要に応じてカチオン化反応を行うことにより製造することができる。
【0026】
重合反応は親水性溶媒中で行うのが好ましい。親水性溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール等のアルコール系溶媒、水等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。アルコール系溶媒または水を用いることが好ましい。
【0027】
重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プリピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等の過酸化物、過硫酸塩、またはそのレドックス系など、特に限定することなく用いることができる。重合開始剤は全単量体に対して、0.01〜5質量%の範囲で用いることが好ましい。
【0028】
重合反応は、例えば、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で、好ましくは30〜120℃、より好ましくは40〜100℃で1〜30時間行うことができる。重合終了後は、生成した共重合体を、溶媒留去、貧溶媒の添加など適宜の手段で反応液から単離するとよい。この共重合体はそのまま、または更に精製して本発明に係る組成物等の製造に用いることができる。精製は再沈澱、溶媒洗浄、膜分離など、適宜の手段を必要に応じて組み合わせて行うことができる。
【0029】
本発明で採用する水溶性樹脂の重量平均分子量は5,000〜5,000,000が好ましい。より好ましくは10,000〜2,000,000であり、更に好ましくは20,000〜1,000,000である。重量平均分子量を5,000以上とすることにより、すすぎ時の感触が悪化しコンディショニング効果をより効果的に保つことができる。5,000,000以下とすることにより、粘度を適度に保つことができ、製造上取り扱いがより容易になる。共重合体の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(例えば、展開溶媒として、水/メタノール/酢酸/酢酸ナトリウムを用いる)により測定することができる。
【0030】
本発明の水溶性樹脂(b)以外の水溶性高分子(b−1)として、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等が挙げられる。カチオン性高分子として、カチオン変性セルロースエーテル誘導体、ポリジメチルジアリルアンモニウムハライド、ジメチルジアリルアンモニウムハライドとアクリルアミドのコポリマー等が挙げられる。また、アニオン性高分子として、アクリル酸誘導体(ポリアクリル酸及びその塩、アクリル酸・アクリルアミド・アクリル酸エチル共重合体及びその塩等)、メタクリル酸誘導体、クロトン酸誘導体等が、ノニオン性高分子として、アクリル酸誘導体(アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体、ポリアクリルアミド等)、ビニルピロリドン誘導体(ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体等)が、そして両性高分子として、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体等)等が挙げられる。これらは、毛髪化粧料中に0.01〜0.1質量%含有させる。
【0031】
(c)非イオン性及び/または両性界面活性剤
(c)成分の非イオン性または両性界面活性剤は、下記式(4)〜(9)で表されるものが好ましい。
【0032】
【化10】



(式中、R41 、R51、R61、R71、R81およびR91は、それぞれ独立に炭素数8〜22のアルキル基またはアルケニル基を示し、R62、R63、R72、R73、R82およびR83は、それぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基またはアルケニル基および水素原子を示す。またZは水酸基または水素原子を表し、pは平均付加モル数として3〜20の数を表す。mおよびnは、それぞれ独立して0〜4の整数を表し、0<m+n<6である。)
【0033】
これらの非イオン性または両性界面活性剤は、皮膚に対する作用を温和化し、肌荒れを起こし難くする働きを有し、かつ泡立ちを増強するものであり、1種または2種以上を組合わせて用いることができ、本発明の毛髪化粧料中に0.1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%配合される。0.1質量%未満では充分な効果が得られない可能性があり、10質量%を超えると組成物の粘度が著しく増加したり、溶液安定性が悪化する可能性がある。
【0034】
(d)シリコーン化合物
(d)成分のシリコーン化合物としては、その種類が特に制限されるものではなく、通常毛髪化粧料に使用されているものを用いることが可能である。例えば、ジメチルポリシロキサン(高重合ジメチルポリシロキサン、シリコーンゴムを含む)、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリアミノ変性シリコーン、べタイン変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、シリコーングラフトポリマー、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン、トリメチルシリル基末端ジメチルポリシロキサン、シラノール基末端ジメチルポリシロキサン等を挙げることができ、これらは1種単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。これらの中でも、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリアミノ変性シリコーンが特に好適に使用される。
また、シリコーン化合物は、全組成中に0.1〜5.0質量%、好ましくは、0.3〜3.0質量%配合される。0.1質量%未満では、効果に乏しくなる可能性があり、5.0質量%を越えると製品中におけるシリコーンの分散安定化が困難になる可能性がある。
なお、これらのシリコーン化合物は、その粘度等が特に制限されるものではないが、温度25℃における粘度が、好ましくは0.0001〜2,000m2/S、より好ましくは0.003〜1,000m2/Sである。また、例えば、粘度が200〜1,200m2/Sの分子量の大きいシリコーン化合物を0.0001〜0.2m2/Sの低粘度のシリコーン化合物と混合して扱い易くすることも好適な方法である。
さらに、シリコーン化合物は、該シリコーン化合物を界面活性剤により乳化し、エマルジョン化したものも使用することができる。なお、このようなエマルジョンは、乳化剤や乳化方法に特に制限はなく、種々使用することができる。
なお、シリコーン化合物の粘度は、化粧品原料基準の一般試験法のブルックフィールド型粘度計を用いることで測定することができる。
【0035】
その他の油分として、高級アルコール、オリーブ油、ホホバ油、流動パラフィン、脂肪酸アルキルエステル油等を含めてもよい。
また、パール化剤として、脂肪酸エチレングリコール等、懸濁剤としてはポリスチレン乳化物等を含めてもよい。
【0036】
(e)カチオン性界面活性剤
(e)成分のカチオン性界面活性剤としては、本発明の趣旨を逸脱しない限り特に定めるものではないが、第4級テトラアルキルアンモニウム塩、下記式(10)で表されるグアニジン誘導体またはその塩である界面活性剤、アミノ酸系カチオン性界面活性剤、アミドアミン型界面活性剤が好ましく、第4級テトラアルキルアンモニウム塩がより好ましい。
第4級テトラアルキルアンモニウム塩をカチオン性界面活性剤として好ましく使用することができる。具体的には、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、セトステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジベヘニルジメチルアンモニウムクロライド等を挙げることができる。この中でも、16〜22の直鎖アルキル基を有するものが好ましく、具体的に、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライドがより好ましく、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライドがさらに好ましい。カチオン性界面活性剤は、塩酸塩、臭素酸塩の形のものが好ましい。
【0037】
また、下記式(10)で表されるグアニジン誘導体またはその塩も、カチオン性界面活性剤として好ましく使用することができる。
【化11】


(式中、R101は炭素数1〜21の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基、Aは炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基またはアルケニレン基であり、tは1〜5の整数であって、tが2以上の場合、各ブロック中のAは互いに異なってもよい。)
【0038】
上記一般式(10)中のR101は、好ましくは11〜19の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基であり、例えば、C1123−、C1225−、C1327−、C1429−、C1531−、C1633−、C1735−、(C8172CH−、4−C251530−等の基が好ましい例として挙げられる。
置換基Aは、好ましくは2〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基またはアルケニレン基であり、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、イソプロピレン基、2−ペンテニル基、2−エチルブチレン基等が挙げられる。
上記式(10)で表されるグアニジン誘導体は、好ましくは、塩の形で配合され、具体的には塩酸塩、臭素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機塩類、グリコール酸塩、酢酸塩、乳酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、酸性アミノ酸塩、高級脂肪酸塩、ピログルタミン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等の有機酸塩等として用いることができる。これらのうち、塩酸塩、臭素酸塩、酢酸塩、グリコール酸塩、クエン酸及び酸性アミノ酸塩の形が好ましい。
【0039】
さらに、アミノ酸系カチオン性界面活性剤も、カチオン性界面活性剤として好ましく使用することができる。アミノ酸系カチオン性界面活性剤としては、モノ−N−長鎖アシル塩基性アミノ酸低級アルキルエステル塩を挙げることができる。この化合物を構成する塩基性アミノ酸としては、例えば、オルニチン、リシン及びアルギニン等の天然アミノ酸を挙げることができる。また、α,γ−ジアミノ酪酸のような合成アミノ酸を用いることも可能である。これらは光学活性体でもラセミ体でもよい。
また、そのアシル基は、炭素数が8〜22の飽和または不飽和の高級脂肪酸残基であることが好ましい。これらは天然のものでも合成されたものでもよい。例えば、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基及びステアロイル基等の単一高級脂肪酸残基、並びにヤシ油脂肪酸残基及び牛脂高級脂肪酸残基等の天然の混合高級脂肪酸残基を採用することができる。
低級アルキルエステル成分としては、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル及びオクチルエステルが好ましい。低級アルキルエステル成分は、塩の形が好ましく、具体的には塩酸塩、臭素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機塩類、グリコール酸塩、酢酸塩、乳酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、酸性アミノ酸塩、高級脂肪酸塩、L−またはDL−ピロリドンカルボン酸塩、ピログルタミン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等の有機酸塩等として用いることができる。これらのうち、塩酸塩、L−またはDL−ピロリドンカルボン酸塩及び酸性アミノ酸塩の形が好ましい。
【0040】
さらに、アミドアミン型界面活性剤も、カチオン性界面活性剤として好適に使用することができる。アミドアミン型界面活性剤としては、下記式(11)で表される化合物を用いることができる。
【化12】


(式中、R111は炭素数7〜23の脂肪酸残基を表し、R112は炭素数1〜4のアルキル基を表し、pは2〜4の整数を表す。)
111は、好ましくは9〜22の脂肪酸残基、さらに好ましくは13〜22の脂肪酸残基であり、R112は、好ましくはメチル基またはエチル基である。
【0041】
上記式(11)で表されるアミドアミン型界面活性剤としては、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ヤシ油脂脂肪酸ジエチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミドが好ましい例として挙げられる。これらは、好ましくは塩の形で配合され、具体的には塩酸塩、臭素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機塩類、グリコール酸塩、酢酸塩、乳酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、酸性アミノ酸塩、高級脂肪酸塩、ピログルタミン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等の有機酸塩等として用いることができる。これらのうち、酸性アミノ酸塩、クエン酸塩、塩酸塩の形がより好ましい。なお、中和に用いられる塩は1種または2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ヤシ油脂脂肪酸ジエチルアミノプロピルアミドが好適に用いられる。
本発明では、これらのアミドアミン型界面活性剤中から、1種または2種以上を用いることができる。
【0042】
これらのカチオン性界面活性剤は、(b)成分の樹脂のコンディショニング効果を補助するために配合され、好ましくは0.01〜5.0質量%、より好ましくは0.1〜2.0質量%配合される。0.01質量%以上とすることにより、コンディショニング効果がより効果的であり、5.0質量%以下とすることにより、より(a)成分の陰イオン性界面活性剤の基剤とより均一に溶解しやすくなる。
【0043】
(f)芳香族カルボン酸またはその塩
(f)成分の芳香族カルボン酸またはその塩は、(b)成分のコンディショニング効果を補助する効果があり、(e)成分と併用すると、更にコンディショニング効果を高めることができる。
(f)成分の芳香族カルボン酸またはその塩は、好ましくは、下記式(12)で表される芳香族カルボン酸またはその塩である。
【化13】


(式中、R10、R11及びR12はそれぞれ炭素数1〜3のアルキル基、水酸基または水素原子を示し、A1はカルボキシル基またはその塩を示す)
安息香酸、サリチル酸及びこれらの塩がより好ましい。塩としては、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩)、アンモニウム塩(例えば、アンモニウム)、アルカノールアミン塩(例えば、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン)が好ましい。
(f)成分は、全組成中に好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜3質量%配合される。0.01質量%以上とすることにより、コンディショニング効果がより向上し、10質量%以下とすることにより分散安定性が悪くなるのをより効果的に抑止できる。
【0044】
さらにシャンプー組成物として使用する場合は、乳白化剤を加えてリッチな液外観を付与すると、消費者にとって好ましい毛髪化粧料となる。毛髪化粧料中に結晶状または固体状に分散することができ、真珠様光沢または乳白色を付与し得るものであれば特に制限されず、例えば魚鱗、雲母片等の天然物由来のものも使用することができるが、品質の安定性、経済性、製造時の取扱い易さ等の点から化学合成されたものが好ましい。さらに、分散安定性、起泡性などの点も考慮すると、特に式(13)および/または式(14)で表される化合物、ならびに、グリセリンモノ脂肪酸(炭素数16〜24)エステルが好ましい。
【0045】
【化14】


(式中、R13は炭素数15〜23のアルキル基またはアルケニル基を表し、A13は炭素数16〜24の脂肪酸残基を示し、nは1〜3の数を示す)
これらの乳白化剤は1種または2種以上を組合わせて用いることができ、毛髪化粧料中に、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%配合される。1質量%以上とすることにより、より美しい真珠様光沢が得られ、10質量%以下とすることにより、分散安定性をより効果的に保つことができる。
【0046】
また、本発明の毛髪化粧料には、前記成分の他、本発明の効果を損わない範囲で、通常の毛髪化粧料に用いられる成分、例えば可溶化剤として、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類などを;また、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の増粘剤、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)等のキレート剤、香料、色素、防腐・防黴剤、pH調整剤等を、必要に応じて適宜配合することができる。
【0047】
本発明の毛髪化粧料に使用される香料、香料組成物は、特開2003−300811号公報の[0021]〜[0035]に記載した香料成分等、さらに同公報の[0050]に記載した香料用溶剤等が挙げられる。
前記香料用溶剤の使用量は、香料組成物中に好ましくは0.1〜99質量%配合され、より好ましくは1〜50質量%配合される。
また、香料安定化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンEとその誘導体、カテキン化合物、フラボノイド化合物、ポリフェノール化合物等が好ましい例として挙げられ、香料組成中に好ましくは0.0001〜10質量%配合され、より好ましくは、0.001〜5質量%配合される。これらの中で、好ましい安定化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエンである。
香料組成物とは、前記の香料成分、溶剤、香料安定化剤等からなる混合物である。
本発明の毛髪化粧料にはかかる香料組成物が、毛髪化粧料全量に対して好ましくは0.005〜40質量%配合され、より好ましくは、0.01〜10質量%配合される。
【0048】
本発明の毛髪化粧料は、公知の方法に従って、各成分を混合撹拌することにより製造することができる。この際、(a)成分は予め精製水やエタノールなどに希釈された濃度20〜70質量%の陰イオン性界面活性剤水溶液を使用するのが製造容易性の観点から好ましい。(b)成分は予め水などに溶解したり、プロピレングリコールなどの溶媒に分散させて、添加する方法が好適である。(c)、(e)成分は、予め精製水やエタノールなどに希釈されたものを使用すると簡便で良いが、固体であれば、それを溶解温度以上に昇温させて流動化させ、(a)成分や精製水の混合された製造途中の液を攪拌しながら、少しづつ流動化物を添加することで、容易に短時間で溶解することができる。(f)成分は、水溶性のものはそのまま添加しても水溶液にして添加してもよいし、油溶性のものは香料などに溶解してもよい。
【0049】
以下、本発明を、実施例を用いて更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例により限定されるものではない。
<実施例1−1>
(共重合体(1)の製造)
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素ガス導入管及び撹拌装置を備えた反応器に蒸留水300重量部、表1(共重合体(1))の単量体及び蒸留水100重量部の単量体混合液を滴下ロートに仕込み、反応器を窒素置換したのち70℃まで加熱した。2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.5重量部を反応器に投入後、単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後から4時間反応させたのち、80℃まで加熱して更に2時間反応させた。
【0050】
得られた共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(装置:東ソー株式会社製、SC8010,SD8022,RI8020,CO8011,PS8010、カラム:和光純薬工業株式会社 Wakopak (Wakobeads G−50)、展開溶媒:水/メタノール/酢酸/酢酸ナトリウム=6/4/0.3/0.41)を用いて重量平均分子量の測定を行い、結果を表1に示した。
また、得られた共重合体の水溶性は、25℃で5質量%水溶液を調製し、その透過率(550nm、10mmガラスセル)を測定し、下記の規準に従って行った。結果を表1に示した。
○:80%以上
△:50%以上〜80%未満
×:50%未満
【0051】
【表1】

【0052】
DMC:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド
DMAPAAC:N−アクリロイルアミノプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド
DMAPMAC:N−メタアクリロイルアミノプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド
DADMAC:N,N−ジメチル−N,N−ジアリルアンモニウムクロライド
GMAArg:L−アルギニンとメタクリル酸グリシジルとの反応物
HEAA:N−ヒドロキシエチルアクリルアミド
NMAA:N−メチロールアクリルアミド
DMAPMAO:N−メタクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアミンオキシド
HEA:ヒドロキシエチルアクリレート
【0053】
(毛髪化粧料の調製)
表2に記載の樹脂として共重合体(1)を用い、この組成を有するシャンプーを調製した。調製は、まず、シリコーン油以外を混合した後、その混合物にシリコーン油を配合することにより行った。調製したシャンプーを用いて以下に述べる方法により、泡立ち、すすぎ時のなめらかさ、乾燥後のサラサラ感、乾燥後の柔軟性、シリコーン油吸着量を評価した。
【0054】
【表2】

【0055】
(毛髪化粧料の評価)
上記の方法によって得られた毛髪化粧料を、後述の方法にて評価した。毛束として未処理毛を使用した際の評価結果を表4に示し、ダメージ毛を使用した際の評価結果を表5に示した。
【0056】
<実施例1−2〜1−9>
(共重合体(2)〜(9)の製造)
表1(共重合体(2)〜(9))に記載の単量体組成を用いたこと以外は、共重合体(1)の製造と同様にして共重合体(2)〜共重合体(9)を製造した。得られた共重合体の重量平均分子量を表1に示した。
(毛髪化粧料の調製及び評価)
実施例1−1に記載の方法と同様に、毛髪化粧料の調製及び評価を行った。評価結果を表3、表4に示す。
【0057】
<実施例1−10>
(共重合体(10)の製造)
表1(共重合体(10))に記載の単量体組成を用い、初期に反応器に入れる蒸留水量を500重量部としたこと以外は、共重合体(1)の製造と同様にして共重合体(10)を製造した。
得られた共重合体の重量平均分子量を表1に示した。
(毛髪化粧料の調製及び評価)
実施例1−1に記載の方法と同様に、毛髪化粧料の調製及び評価を行った。評価結果を表3、表4に示す。
【0058】
<比較例1−1>
(共重合体(11)の製造)
表1(共重合体(11))に記載の単量体組成を用いたこと以外は、共重合体(1)の製造と同様にして共重合体(11)を製造した。得られた共重合体の重量平均分子量を表1に示した。
(毛髪化粧料の調製及び評価)
実施例1−1に記載の方法と同様に、毛髪化粧料の調製及び評価を行った。評価結果を表3、表4に示す。
【0059】
<比較例1−2>
(共重合体(12)の製造)
表1(共重合体(12))に記載の単量体組成を用いて、溶媒としてエタノールを使用し、重合開始剤としてジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを使用したこと以外は、共重合体(1)の製造と同様にして共重合体(12)を製造した。得られた共重合体は蒸留水を添加しエタノールを留去することにより水溶液にした。得られた共重合体の重量平均分子量を表1に示した。
(毛髪化粧料の調製及び評価)
実施例1−1に記載の方法と同様に、毛髪化粧料の調製及び評価を行った。評価結果を表3、表4に示す。
【0060】
<比較例1−3>
(毛髪化粧料の調製及び評価)
表2に記載の樹脂としてカチオン化ヒドロキシエチルセルロース(カルゴン社製:JR400)を用いたこと以外は、実施例1−1に記載の方法と同様に、毛髪化粧料の調製及び評価を行った。評価結果を表3、表4に示す。
【0061】
<比較例1−4>(標準)
(毛髪化粧料の調製及び評価)
表2に記載の樹脂を配合しなかったこと以外は、実施例1−1に記載の方法と同様に、毛髪化粧料の調製及び評価を行った。評価結果を表3、表4に示す。
【0062】
<評価方法>
各毛髪化粧料を、用意した毛束に塗布して下記項目をそれぞれ評価した。使用した毛束は、「未処理毛」として、「人毛黒髪(100%)根本揃え(未処理毛 10g×30cm);(株)ビューラックス」を使用した。また、「ダメージ毛」として「未処理毛」を下記のブリーチ処理したものを使用した。ブリーチ処理は、ブリーチ剤として(株)ミルボン製プロマティスブレーブオキシタン6.0(過酸化水素6%クリーム);12g、(株)メロス化学製パウダーブリーチMR2;6gを混合したものを毛束1本に塗布し、30分放置したのち水洗し、更にポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウムを塗布して洗浄することにより行った。
【0063】
(1)泡立ち
毛束10gを40℃の流水で水を含ませた後、過剰な水分を落とし、シャンプー1gを塗布して泡立てる。このときの泡立ちの早さ及び生成した泡の細かさの程度を4段階で評価して点数付けした。
+2: 標準試料(樹脂未添加品)に比べて泡立ちの早さ、生成した泡の細かさ共に優れる
+1: 標準試料に比べて泡立ちの早さ、生成した泡の細かさのどちらかが優れる
0 : 標準試料と同程度
−1: 標準試料に比べて劣る
【0064】
(2)すすぎ時のなめらかさ
泡立ち評価の後、40℃の流水中で毛束をすすいだときの指通りのなめらかさ及びそのなめらかさの持続具合を4段階で評価した。
+2: 標準試料に比べてなめらかさに優れ、なめらかさが1分以上持続する
+1: 標準試料に比べてなめらかさ、持続性のどちらかが優れる
0 : 標準試料と同程度
−1: 標準試料に比べて劣る
【0065】
(3)乾燥後のサラサラ感
すすぎ時のなめらかさ評価後の毛束を、23℃、60%RHの恒温室にて一晩乾燥させた後に、毛束のサラサラ感を4段階で評価した。
+2: 標準試料に比べてサラサラ感が著しく優れる
+1: 標準試料に比べてサラサラ感が優れる
0 : 標準試料と同程度
−1: 標準試料に比べて劣る
【0066】
(4)乾燥後の柔軟性
サラサラ感を評価した毛束にて、乾燥後の柔軟性を4段階で評価した。
+2: 標準試料に比べてほとんどゴワツキを感じない
+1: 標準試料に比べてゴワツキは少ないが若干感じられる
0 : 標準試料と同程度
−1: 標準試料に比べて劣る
【0067】
(5)シリコーン油吸着量
毛束10gを40℃の流水で30秒間濡らした後、水滴が落下しなくなるまで水を切り、シャンプー1gを塗布して櫛で1分間、100回とかして泡立てる。これを40℃の流水中で30秒間濯いだ後一晩乾燥させる。この処理を2回繰り返した後、毛髪に吸着したシリコーン油を抽出して抽出液のNMR測定(1H−NMRにより、Si−CH3のHを定量)により吸着量を評価した。
なお、抽出は毛束をクロロホルム/メタノール=4/1の溶媒に浸して超音波処理し、溶媒を減圧乾燥後、重クロロホルムに溶解し、内部標準としてテレフタル酸ジメチルを添加して濃度を求めた。
【0068】
【表3】

【0069】
【表4】

【0070】
<結果の評価>
1)比較例1−1は、水溶性樹脂の製造にN−メタクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアミンオキシドを用いているため、水溶性樹脂の構造単位に水酸基を有していない。そのため、ダメージ毛でのシリコーン油吸着量が低く、乾燥後のサラサラ感が劣っている。
2)比較例1−2は、水溶性樹脂の製造にヒドロキシエチルアクリレートを用いているため、水溶性樹脂の構造単位にアミド結合を有していない。そのため、未処理毛、ダメージ毛とも泡立ち、すすぎ時のなめらかさ、乾燥後のサラサラ感、乾燥後の柔軟性、シリコーン油吸着量が劣っている。
3)比較例1−3は、水溶性樹脂としてアミド結合を有していないカチオン化ヒドロキシエチルセルロースを用いているため、未処理毛、ダメージ毛とも乾燥後の柔軟性が劣っている。
4)比較例1−4(標準試料)は、樹脂を配合していないので本発明の水溶性樹脂を配合した毛髪化粧料に比べ未処理毛、ダメージ毛とも泡立ち、すすぎ時のなめらかさ、乾燥後のサラサラ感、乾燥後の柔軟性、シリコーン油吸着量が劣っている。
【0071】
<実施例2−1〜2−4、比較例2−1〜2−3>
下記表5に示す毛髪化粧料を調整し、以下の評価を行なった。尚、表5中の単位は、質量%である。
(評価方法)
20〜50才の女性10名が、毛髪化粧料を7日間使用し、その使用感で評価した。具体的には、良い、どちらでもない、悪いの3段階で評価してもらい、以下の基準に従って最終的な評価とした。
【0072】
◎:10名中8〜10名が良いと回答
〇:10名中5〜7名が良いと回答
△:10名中3〜4名が良いと回答
×:10名中0〜2名が良いと回答
【0073】
【表5】

【0074】
上記表の通り、実施例2−1〜2−4のシャンプーは、女性による評価に優れたものであった。
【0075】
<実施例2−5>
また、実施例2−1で得られた毛髪化粧料を、下記の容器に充填し、40℃、−5℃に温度管理された恒温槽内に1ヶ月保存した後、22〜27℃の環境に3日間放置し、毛髪化粧料の外観を評価した。保存後の内容液を全量シャーレ等の容器内に移して外観を観察した。その結果、いずれの温度、保存容器においても、層分離や著しい変色、結晶物などの異物の発生は認められなかった。
【0076】
<ボトル容器>
(1)ボトル部:材質PP キャップ:材質PP
(2)ボトル部:材質HDPE キャップ:材質PP
(3)ボトル部:材質PET キャップ:材質PP
(4)ボトル部:材質PP/HDPE キャップ:材質PP
<ポンプ容器>
(5)ボトル部:材質PP ディスペンサー部:使用材質PP及びPE及びSUS304
(6)ボトル部:HDPE ディスペンサー部:使用材質PP及びPE及びSUS304
(7)ボトル部:PET ディスペンサー部:使用材質PP及びPE及びSUS304
(8)ボトル部:PP/HDPE ディスペンサー部:使用材質PP及びPE及びSUS304
<パウチ容器>
(9)材質:アルミ蒸着ポリエチレンパウチ
【0077】
ここで、PEはポリエチレン、PPはポリプロピレン、PETはポリエチレンテレフタレート、HDPEは高密度ポリエチレンを示す。
【0078】
<実施例3>
ヘアコンディショナー組成物
下記表6に示すヘアコンディショナー組成物を製造した。さらに、下記の示すシャンプーを使用した後、表6に記載のヘアコンディショナー組成物を使用し、お湯で洗い流した。タオルドライした後、ドライヤーで乾燥して該コンディショナーの使用感を評価した。使用感の評価は実施例1と同様に行なった。
【0079】
【表6】

【0080】
実施例3の評価の際に使用したシャンプー組成(配合量は純分(質量%))
POEアルキルエーテル硫酸ナトリウム :10質量%
テトラデセンスルホン酸ナトリウム :1質量%
ラウリン酸アミドプロピルベタイン :4質量%
POE(2)ラウリン酸モノエタノールアミド :2質量%
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体
:0.5質量%
クエン酸 :適量(pH=5.2に調整)
安息香酸ナトリウム :1.1質量%
香料A :1.0質量%
精製水 :残分
【0081】
【表7】

【0082】
<実施例4> ヘアワックス
下記表8に示すヘアワックスを製造した。
下記に示すシャンプーとヘアコンディショナーを使用した後、ドライヤーで乾燥した髪に、該ヘアワックスを使用して使用感を評価した。使用感の評価は実施例1と同様に行なった。
【0083】
【表8】

【0084】
実施例4の評価の際に使用したシャンプー組成(配合量は純分で記載)
POEアルキルエーテル硫酸ナトリウム :10質量%
テトラデセンスルホン酸ナトリウム :1質量%
ラウリン酸アミドプロピルベタイン :4質量%
POE(2)ラウリン酸モノエタノールアミド :2質量%
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体
:0.5質量%
クエン酸 :適量(pH=5.2に調整)
安息香酸ナトリウム :1.1質量%
香料A :1.0質量%
精製水 :残分
【0085】
実施例4の評価の際に使用したヘアコンディショナー組成(配合量は純分で記載)
4−グアニジノブチルラウリルアミド :0.8質量%
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム :0.2質量%
ジメチルシリコーン(粘度100m2/S) :1.0質量%
ジメチルシリコーン(粘度10m2/S) :1.0質量%
ジメチルシリコーン(粘度0.005m2/S) :1.0質量%
セタノール :1.5質量%
ベヘニルアルコール :0.2質量%
アルギニン :0.3質量%
安息香酸ナトリウム :0.2質量%
リン酸 :適量(pH=3.5に調整)
香料A :1.0質量%
精製水 :残分
【0086】
【表9】

【0087】
尚、上記使用原料は、下記のものを採用した。
成分(a)
(ポリオキシエチレン(POE)アルキルエーテル硫酸ナトリウム)
テイカポールNE1230E(テイカ社製)を採用した。本原料は、化粧品種別配合成分規格(以下粧配規と略す)に準拠したポリオキシエチレンアルキル(12−14)エーテル硫酸ナトリウム液(3E.O.)で、純分約28%の水溶液である。
(テトラデセンスルホン酸ナトリウム)
テトラデセンスルホン酸ナトリウム(ライオン社製)を採用した。本原料は、粧配規に準拠したテトラデセンスルホン酸ナトリウム液で、純分約35%でヒドロキシアルカンスルホン酸ナトリウムを含んだ水溶液である。
(N−ヤシ油脂肪酸−L−グルタミン酸TEA)
粧配規に準拠したアミソフトCT−12(味の素社製)を使用した。本原料は、30%質量品である。
【0088】
成分(b)
(共重合体(2))
N−メタクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(DMC)・N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)共重合体(三菱化学社製)を採用した。DMA:HEAA=40:60で、重量平均分子量は約42万である。
(共重合体(3))
N−メタクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(DMC)・N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)共重合体(三菱化学社製)を採用した。DMA:HEAA=60:40で、重量平均分子量は約36万である。
(共重合体(4))
N−アクリロイルアミノプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(DMAPAAC)・N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)共重合体(三菱化学社製)を採用した。DMAPAAC:HEAA=40:60で、分子量は約40万であった。
【0089】
成分(c)
(ラウリン酸アミドプロピルベタイン)
LPB−30(一方社油脂工業社製)を採用した。本原料は、粧配規に準拠した純分約30質量%の水溶液である。
(POE(10)セチルエーテル)
EMALEX110(日本エマルジョン社製)を採用した。本原料は、粧配規に準拠しており、白色ワックス状であり、HLB11である。
(ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド)
コンパーランKM(ヘンケル社製)であり、本原料は、化粧品原料基準(以下粧原基と略す)に準拠している。
(POE(2)ラウリン酸モノエタノールアミド)
アミゼット2L−Y(川研ファインケミカル社製)を採用した。本原料は、粧配規に準拠している。平均EO付加モル数は約2である。
(POE(20)硬化ヒマシ油)
CW−20−90(青木油脂工業社製)を採用した。本原料は、粧原基に準拠しており、たポリオキシエチレン硬化ヒマシ油で、純分約90%の水溶液である。
(モノラウリン酸ソルビタン)
ソイボンS−20(東邦化学工業社製)を採用した。粧原基に準拠している。
(ポリオキシエチレンオクチルドテシルエーテル)
エマレックスOD−5(日本エマルジョン社製)を採用した。粧原基に準拠している。
【0090】
成分(d)
(高重合ジメチルシリコーン)
高重合ジメチルシリコーン(ライオン社製)を採用した。本原料は、粧配規に準拠しており、(1)粘度400m2/Sの高重合メチルポリシロキサン(KF−9029:信越化学工業社製)、(2)1000m2/Sの高重合メチルポリシロキサン(KF−9030:信越化学工業社製)及び、粧原基に準拠した(3)粘度0.1m2/Sのメチルポリシロキサン(KF−96:信越化学工業社製)を、(1):(2):(3)=15:15:70で混合し、粧原基に準拠したPOE(15)セチルエーテル(NPO−97:ライオンケミカル社製)を乳化剤として機械力で水に乳化分散したエマルジョン液である。該エマルジョン液のシリコーン((1)+(2)+(3))濃度は約60質量%であった。エマルジョン液の粘度は約1.5Pa・s(25℃:粧原基一般試験法第2法 使用ローターNo.3 回転数30rpm)で、ジメチルシリコーンの平均粒子径は約0.9μmであった。ヒドロキシエタンジホスホン酸(フェリオックス115:ライオン社製)でpHを3に調整し、防腐剤として安息香酸0.2質量%を配合した。
(アモジメチコーン)
SM8704C(東レダウコーニング社製)を採用した。本原料は、粧配規に準拠したアモジメチコンの水分散液で、アミノ変性シリコーンの濃度は約40質量%であった。水分散液中のアミノ変性シリコーンの平均粒子径は約0.1μmであった。
(ジメチルシリコーン(粘度100m2/S〜0.005m2/S)
KF−96ジメチルシリコーン(信越化学工業社製)を採用した。粧原基に準拠している。
(メチルシロキサン・ポリオキシエチレン共重合体)
SH3775M(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を採用した。粧原基に準拠している。
【0091】
成分(e)
(塩化ステアリルトリメチルアンモニウム)
アーカードT833(ライオン(株)製)を採用した。本原料は、粧原基に準拠した塩化ステアリルトリメチルアンモニウムで、純分約33%の水溶液(残り、粧原基無水エタノール29%、粧原基精製水38%)である。
(塩化セチルトリメチルアンモニウム)
アーカード16−50(ライオン(株)製)を採用した。本原料は、純分50%品でありイソプロピルアルコールと水が溶媒である。本原料は、粧原基に準拠している。
(4−グアニジノブチルラウリルアミド)
酢酸ラウリン酸アミドブチルグアニジン液(ライオン社製)を採用した。純分約32%であり、溶媒として水、エタノールを含む。
【0092】
成分(f)
(安息香酸ナトリウム)
安息香酸ソーダ(BFGoodrich Kalama Inc.社製)を採用した。本原料は、粧原基に準拠している。
(安息香酸)
安息香酸(BFGoodrich Kalama Inc. 社製)を採用した。粧原基に準拠している。
(サリチル酸)
吉富製薬社製を採用した。
【0093】
その他の成分
(ポリオキシエチレン(アクリレーツ/アクリル酸ラウリル/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー)
ダイヤフォーマーZ−631(三菱化学社製)を採用した。(アクリレーツ/アクリル酸ラウリル/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマーのエタノール・水溶液で、純分は約30質量%であった。
(プロピレングリコール)
旭硝子社製のものを採用した。本原料は、粧原基に準拠している。
(ベントナイト)
クニピアG(クニミネ工業社製)を採用した。本原料は、粧原基に準拠している。
(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)
メトローズ60SH―4000(信越化学工業社製)を採用した。本原料は、粧原基に準拠している。
(ジグルコシル没食子酸)
DGA(岩城製薬社製)を採用した。本原料の本質は没食子酸−3,5−ジグルコシドを90質量%以上含む粉末である。残分は主に水分であるが、その他、不純物として3質量%以下のモノ体、未反応物としての没食子酸は0.15質量%以下である。本原料の1質量%水溶液のpHは2.0〜4.0である。
(加水分解コムギたん白液)
Gluadin WLM(コグニスジャパン社製)を採用した。粧配規に準拠した有効成分量が約23質量%の水溶液である。防腐剤として安息香酸ナトリウム0.6質量%、フェノキシエタノール0.5質量%、メチルパラベン0.25質量%、プロピルパラベン0.05質量%を含む。
(ラフィノース)
オリゴGGF(旭化成社製)を採用した。D−ガラクトース、D−グルコース、D−フラクトースからなるオリゴ糖である。糖蜜から生成結晶化して得られる。
(ヒドロキシエタンジホスホン酸)
粧配規に準拠したフェリオックス115(ライオン社製)を採用した。本原料は約60質量%の水溶液である。
【0094】
(植物抽出液)
ファルコレックスBX−46(一丸ファルコス社製)を採用した。本原料は、粧配規のスギナエキス、ホップエキス、マツエキス、レモンエキス、ローズマリーエキスの混合物で1,3−ブチレングリコール(1,3−BG)と精製水の溶液である。
(ピロクトンオラミン)
オクトピロックス(クラリアント社製)を採用した。
(グリチルリチン酸ジカリウム)
グリチルリチンK2(丸善製薬社製)を採用した。本原料は、粧原基に準拠している。
(エタノール)
含量99%品を使用した。
(塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体)
カヤクリルレジンMN−50(日本化薬社製)を採用した。本原料は、粧配規に準拠した塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液で、約5.5質量%の水溶液である。
モノマーである塩化ジメチルジアリルアンモニウムとアクリルアミドの仕込み比は約1:1である。
(クエン酸)
粧原基に準拠したクエン酸(扶桑化学工業社製)を使用した。本原料の原料ソースは、雑穀などの植物性原料である。
(黄色203号)
キノリン イエローWS−G(中央合成化学社製)を採用した。
(緑色3号)
癸巳化成社製のものを採用した。
(赤色106号)
癸巳化成社製のものを採用した。
(グリシン)
アミノ酢酸(浜理薬品工業社製)を採用した。粧原基に準拠している。
(セタノール)
NAA−44(日本油脂社製)を採用した。粧原基に準拠している。
(べヘニルアルコール)
ラネッテ22(コグニスジャパン社製)を採用した。粧原基に準拠している。
(オレイルアルコール)
HD−オイタノール(コグニスジャパン社製)を採用した。粧原基に準拠している。
(オレイン酸)
NAA−180(日本油脂社製)を採用した。粧原基に準拠している。
(イソステアリン酸)
イソステアリン酸EX(高級アルコール工業社製)を採用した。粧原基に準拠している。
(ワセリン)
白色ワセリン(Penreco社製)を採用した。日本薬局方に準拠している。
(スクワラン)
スクワラン(岸本特殊肝油工業社製)を採用した。粧原基に準拠している。
(キャンデリラロウ)
精製キャンデリラロウ(横関油脂工業社製)を採用した。粧原基に準拠している。
(アルギニン)
L−アルギニン(味の素社製)を採用した。粧原基に準拠している。
(システイン)
L−システイン(協和発酵工業社製)を採用した。粧原基に準拠している。
(ポリオキシプロピレングリセリルエーテル)
ユニオールTG−700(日本油脂社製)を採用した。粧配規に準拠している。
(リン酸)
リン酸(純正化学社製)を採用した。粧原基に準拠している。
(ジヒドロキシベンゾフェノン)
ユビナール400(BASFジャパン社製)を採用した。粧配規に準拠している。
(プロピルパラペン)
プロピルパラペン(みどり化学社製)を採用した。粧原基に準拠している。
(メチルパラペン)
メチルパラペン(みどり化学社製)を採用した。粧原基に準拠している。
(フェノキシエタノール)
フェノキシエタノール−S(四日市合成社製)を採用した。粧原基に準拠している。
(エデト酸四ナトリウム)
キレスト2D(キレスト社製)を採用した。粧原基に準拠している。
(トリエタノールアミン)
トリエタノールアミン(三井東圧化学社製)を採用した。粧原基に準拠している。
(カルボキシビニルポリマー)
カーポポール941(BFGoodrich Kalama Inc.社製)を採用した。粧原基に準拠している。
(キサンタンガム)
アクアジェルVS−500(新田ゼラチン社製)を採用した。粧配規に準拠している。
(香料)
香料A、C、D、Eは、特開2003−89620号公報の表5〜10に記載の香料A、C、D、Eをそれぞれ採用した。
【0095】
産業上の利用可能性
本発明の毛髪化粧料を、例えば、シャンプー組成物として使用した場合、従来からシャンプーに配合されている樹脂成分であるカチオン化セルロースやカチオン化グアーガムとシリコーンを組み合わせた毛髪化粧料と比較して、シリコーンを髪に吸着させる効果が高いため、シャンプーのみの使用においても、すすぎ時の髪の指どおりが良く、乾燥後の髪の感触が優れたものが得られる。
更に毛髪化粧料に(e)成分のカチオン性界面活性剤や、(f)成分の芳香族カルボン酸またはその塩を添加することで、コンディショニング効果を増強したものが得られる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰イオン界面活性剤(a)0.1〜40質量%と、水酸基及びアミド結合を有するビニル系単量体(A)とカチオン性基を有するビニル系単量体(B)とを含む単量体混合物の共重合体に相当する構造を有する水溶性樹脂(b)0.01〜5.0質量%と、非イオン性及び/または両性界面活性剤(c)0.1〜10質量%とを含む毛髪化粧料。
【請求項2】
水酸基及びアミド結合を有するビニル系単量体(A)が、式(1)で表され、カチオン性基を有するビニル系単量体(B)が、式(2)で表される請求項1に記載の毛髪化粧料。
式(1)
【化1】


(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基を表す。aは1〜4の整数を表す)
式(2)
【化2】


(式中、R3は水素原子またはメチル基を表し、R4及びR5はそれぞれ独立して炭素原子数1〜24のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、R6は水素原子、炭素原子数1〜24のアルキル基、アリール基若しくはアラルキル基またはCH2−CH(OH)−CH2−N+789・Y-を表し、R7〜R9はそれぞれ独立して炭素原子数1〜24のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す。X-及びY-は、それぞれ独立して陰イオンを表す。bは0または1を表す。cは1〜10の整数を表す。)
【請求項3】
更にシリコーン化合物(d)0.1〜5.0質量%を含む請求項1または2に記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
更にカチオン性界面活性剤(e)0.01〜5.0質量%、及び/または式(12)で表される芳香族カルボン酸またはその塩(f)0.01〜10質量%を含有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の毛髪化粧料
【化3】


(式中、R10、R11及びR12はそれぞれ炭素数1〜3のアルキル基、水酸基または水素原子を示し、A1はカルボキシル基またはその塩を示す)
【請求項5】
毛髪化粧料のpHが3.0〜6.5の範囲である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。
【請求項6】
カラーリングを施した傷んだ髪に使用することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。
【請求項7】
式(12)で表される芳香族カルボン酸またはその塩(f)が、安息香酸またはサリチル酸及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩またはアルカノールアミン塩からなる群の少なくとも一種である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。


【公表番号】特表2007−522092(P2007−522092A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524130(P2006−524130)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【国際出願番号】PCT/JP2005/002380
【国際公開番号】WO2005/074868
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】