説明

毛髪洗浄剤組成物

【課題】25℃の粘度が10Pa・s〜100Pa・sであり、低温での流動性、チューブ容器に充填した場合、チューブ容器からの優れた吐出性を有する透明ジェル状の毛髪洗浄剤組成物、優れた洗浄力(皮脂除去性)を有する毛髪洗浄剤組成物、すすぎ時の髪の指通りに優れ、すすぎが簡単な毛髪洗浄剤組成物、スクラブ剤等を分散配合した場合、スクラブ剤の長期保存安定性に優れる毛髪洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】下記(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)成分を含有し、25℃の粘度が10Pa・s〜100Pa・sである透明な毛髪洗浄剤組成物。
(A)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩
(B)ベタイン型両性界面活性剤
(C)糖骨格を有するカチオン化ポリマー
(D)無機塩
(E)HLBが12以上のポリグリセリン脂肪酸エステル

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、25℃の粘度が10Pa・s〜100Pa・sであり、低温下においても容器から吐出しやすく、優れた洗浄力(皮脂除去性)を有し、すすぎ時の髪の指通りに優れる透明ジェル状の毛髪洗浄剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
毛髪洗浄剤組成物において求められる機能として、洗浄力、すなわち髪や地肌の余分な皮脂や汚れを除去することが挙げられる。洗浄力を重視する消費者とっては、不透明よりも透明な液外観の毛髪洗浄剤組成物の方が魅力的である。透明外観には高洗浄力のイメージが強いことや、スクラブ剤のような洗浄効果を補助する成分を液に分散させた場合、分散しているスクラブ剤を目視ではっきりと認知でき、消費者が商品特徴を良く理解できるという利点がある。
【0003】
透明外観の毛髪洗浄剤組成物は、高粘度のジェル状物性にするとさらに有利となる。これは、一般的に消費者は指先を使用して地肌を洗浄しているが、しっかりとした洗髪をするために樹脂等の突起物を付加した洗髪用のブラシを使用することがある。その際、毛髪洗浄剤組成物の粘度が高いと洗髪用ブラシ上に直接毛髪洗浄剤組成物を塗布することが可能な垂れ落ちない物性となり、使いやすい。また、粘度が高いことで前述のスクラブ剤の安定分散状態を保つことが容易になる。
【0004】
透明ジェル状の洗浄剤としては、洗顔用やメイク落とし用のものが提案されている(特許文献1:特開平11−349443号公報、特許文献2:特開2000−212040号公報)。しかしながら、これらは、洗顔用として設計されているため毛髪洗浄剤組成物としては泡立ちが不満足なものである。
【0005】
透明ジェル状組成物をチューブ容器に充填した場合、浴室の気温が5℃以下になる冬場には、透明ジェル状の組成物の粘度が高くなりすぎてチューブから出にくくなるという不具合があった。これに対して低温における排出性が改善できるまでエタノール等の溶媒を添加して粘度を下げると、20℃〜25℃の室内温度での粘度も下がりジェル状にならない。(A)及び(B)成分の合計配合量を下げたり、(B)成分や(D)成分を削除することでも低温の吐出性を改善できるが、同様に室温での粘度も下がりジェル状にならない。以上のことから、室温での粘度は下げることなく、低温での流動性、チューブ容器からの優れた吐出性を有するものが望まれていた。
【0006】
また、透明ジェル状組成物であっても、優れた洗浄力(皮脂除去性)、毛髪洗浄剤組成物を泡立てた後、シャワー等のお湯ですすぎ流す際、髪がからまず、すぐにぬるつきがとれ容易にすすぎ流せるすすぎが簡単なものが望まれていた。なお、本発明に関連する先行技術文献としては下記が挙げられる。
【0007】
【特許文献1】特開平11−349443号公報
【特許文献2】特開2000−212040号公報
【特許文献3】特開平7−96162号公報
【特許文献4】特開平11−19500号公報
【特許文献5】特開2001−311099号公報
【特許文献6】特開2003−104852号公報
【特許文献7】特開平7−224296号公報
【特許文献8】特開昭60−193909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、25℃の粘度が10Pa・s〜100Pa・sであり、低温での流動性、チューブ容器からの優れた吐出性を有する透明ジェル状の毛髪洗浄剤組成物、優れた洗浄力(皮脂除去性)を有する毛髪洗浄剤組成物、すすぎ時の髪の指通りに優れ、すすぎが簡単な毛髪洗浄剤組成物、スクラブ剤等を分散配合した場合、スクラブ剤の長期保存安定性に優れる毛髪洗浄剤組成物を提供する。本発明は、前記課題の少なくとも一つを解決する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、(A)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩及び(B)ベタイン型両性界面活性剤の界面活性剤成分を組み合わせ、これに(C)糖骨格を有するカチオン化ポリマー及び(D)無機塩を配合することにより、透明で粘度の高いジェル状の液外観で、泡立ちが良くすすぎ時の髪の指通りに優れ、優れた洗浄力ですすぎ後はさっぱりとする毛髪洗浄剤組成物が得られることを知見した。また、毛髪洗浄剤組成物に、スクラブ剤等を分散配合した場合、スクラブ剤の長期保存安定性に優れることを知見した。さらに、(E)HLBが12以上のポリグリセリン脂肪酸エステル成分を配合することにより、より洗浄力に優れ、かつ室温での粘度は下げることなく、低温での流動性、チューブ容器からの優れた吐出性を有する透明ジェル状の毛髪洗浄剤組成物が得られることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0010】
従って、本発明は
[1].下記(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)成分を含有し、25℃の粘度が10Pa・s〜100Pa・sである透明な毛髪洗浄剤組成物、
(A)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩
(B)ベタイン型両性界面活性剤
(C)糖骨格を有するカチオン化ポリマー
(D)無機塩
(E)HLBが12以上のポリグリセリン脂肪酸エステル
[2].チューブ容器充填用である[1]記載の毛髪洗浄剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、室温での粘度は下げることなく低温での流動性を有し、チューブ容器に充填した場合には、チューブ容器からの優れた吐出性を有する透明ジェル状の毛髪洗浄剤組成物、優れた洗浄力(皮脂除去性)を有する毛髪洗浄剤組成物を提供することができる。また、スクラブ剤を配合した場合、分散安定性に優れる毛髪洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(A)成分はポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル(12,13)エーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル(11,15)エーテル硫酸塩等が挙げられる。工業的に製造される原料にはポリオキシエチレンの付加モル数に幅があるが、0モル〜15モル程度の分布の通常グレードのものや0モル〜7モル程度と比較的分布が狭いもののいずれも適している。このポリオキシエチレンの付加モル数の平均は1〜4の範囲のものが泡立ちや洗浄力の点で好適である。アルキル部分は、パーム核油やヤシ油由来のPG1214、PG1270(P&G社製)、石油由来のネオドール(
シェル社製)、サフォール(サソール社製)等を使用したものがあり、いずれも問題なく使用できるが、環境問題を考慮すると再生可能な植物を使用している前者の天然植物由来のものが好ましい。また、製造方法はアルコールのエチレンオキサイド付加物を硫酸化した後に中和するのが一般的であるが、その品質を維持・向上させるために、不純物等を除去するためのトッピング処理、ハンドリング性を高めるための精製水添加による低濃度・低粘度化、原料保存時の分解抑制のためのpH緩衝剤(バッファー剤)の添加、pH調整のための酸・アルカリの添加、腐敗防止のための防腐剤の添加等の方法を取ったいずれの原料でも使用することができる。塩としては、ナトリウム塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩等が挙げられる。
【0013】
(A)成分の配合量は特に限定されないが、毛髪洗浄剤組成物中5〜30質量%が好ましく、より好ましくは8〜20質量%である。配合量が5質量%未満だと、泡立ちが少な
い場合があり、30質量%を超えると、粘度が高くなりすぎる場合がある。
【0014】
(B)成分はベタイン型両性界面活性剤であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。アルキルベタイン系界面活性剤、アミドベタイン系界面活性剤、スルホベタイン系界面活性剤、ヒドロキシスルホベタイン系界面活性剤、アミドスルホベタイン系界面活性剤、ホスホベタイン系界面活性剤、イミダゾリニウムベタイン系界面活性剤等が挙げられる。より具体的には、例えば、N−デシルベタイン、セチルベタイン、ステアリルベタイン、ヤシ油アルキルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン系界面活性剤、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドメチルベタイン、ミリスチン酸アミドメチルベタイン、パルミチン酸アミドメチルベタイン、ステアリン酸アミドメチルベタイン等のアミドベタイン系界面活性剤、ヤシ油アルキルジメチルスルホプロピルベタイン、ステアリルジメチルスルホプロピルベタイン、ヤシ油アルキルアミノメチルスルホプロピルベタイン、ステアリルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、ミリスチルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン等のスルホベタイン系界面活性剤、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウリルアミノメチル−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−スルホプロピルベタイン等のヒドロキシスルホベタイン系界面活性剤、2−ヤシ油アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、2−ラウリル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリニウムベタイン系等が挙げられる。中でもヤシ油アルキルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインが好ましい。
【0015】
(B)成分の配合量は特に限定されないが、毛髪洗浄剤組成物中0.5〜15質量%が好ましく、より好ましくは2〜10質量%である。配合量が0.5質量%未満だと、粘度が上がらず、泡立ちが悪い場合がある。一方、15質量%を超えると、(C)成分の働きが弱くなり、すすぎ時になめらかな感触が弱くなり、髪のからまりやきしみ感を生じるようになる場合がある。なお、組成物の粘度を上げるためには、(A)成分と(B)成分の質量比も重要であり、(A):(B)=1:2〜4:1が特に好ましい範囲である。
【0016】
(C)成分は糖骨格を有するカチオン化ポリマーであり、毛髪洗浄剤組成物に配合された際に透明に溶解する糖骨格のカチオンポリマーである。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。具体的には、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(カチオン化セルロース)、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]グァーガム(カチオン化グァーガム)、カチオン化タマリンドガム、カチオン化フェヌグリークガム、カチオン化タラガム、カチオン化ローカストビーンガム等が挙げられる。カチオン化セルロースとしては、レオガードシリーズ(GP、KGP、LP、MGP、MLP(ライオン社製))、Ucare polymerシリーズ(JR−125、JR−400、JR−30M、LR−400、LR−30M(ダウケミカル社製))、カチナールHC−100(東邦化学工業社製)が好ましい。なお、カチオン化グァーガムには透明に溶解するものと透明になりにくいグレードが販売されており、透明になるタイプであるラボールガムCG−M8M(大日本住友製薬社製)、ジャガーエクセル(ローディア社製)が最も適している。カチオン化タマリンドガムとしてはカチナールCTM−200S(東邦化学工業社製)、カチオン化フェヌグリークガムとしてはカチナールCF−100、カチナールCF−200(東邦化学工業社製)、カチオン化タラガムとしてはカチナールCTR−100、カチナールCTR−200(東邦化学工業社製)、カチオン化ローカストビーンガムとしてはカチナールCL−200(東邦化学工業社製)が挙げられる。
【0017】
(C)成分の配合量は特に限定されないが、通常は毛髪洗浄剤組成物中0.01〜3質量%であり、より好ましくは0.1〜1質量%である。0.01質量%未満だと、すすぎ時のなめらかさに劣る場合があり、3質量%を超えると、毛髪洗浄剤組成物が水あめのような曳糸性のある物性となる場合があり、(C)成分が過剰に髪に残るために乾燥後の髪の感触に硬い不愉快な感触を与えてしまう場合がある。
【0018】
(D)成分は無機塩であり、水に溶解する無機塩が好ましい。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。具体的には、硫酸塩、塩酸塩等の塩類で、対イオンはナトリウム、カリウム、マグネシウム等や、硫酸水素ナトリウム等の部分中和塩が好ましい。特に、水への溶解度や経済性の点から、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウムが好ましい。
【0019】
(D)成分の配合量は特に限定されないが、毛髪洗浄剤組成物中0.01〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3質量%である。0.01質量%未満だと毛髪洗浄剤組成物の粘度が低くなる場合があり、5質量%を超えると低温で析出して透明外観を保つのが困難になる場合がある。
【0020】
(E)成分はHLBが12以上、好ましくは13〜18のポリグリセリン脂肪酸エステルであり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。シャンプー時、地肌の余分な皮脂や汚れは、指先で地肌を擦る等の物理力でほとんどを除去することができる。しかし、地肌全体を隅々まで洗うのは難しく、毛穴の奥の汚れは指が届かないために落としにくいが、(E)成分を配合することにより、余分な皮脂や汚れをより除去することができる。また、HLBが12未満のポリグリセリン脂肪酸エステルを用いると、透明ジェル状の液外観を得ることができない。HLBが12以上のポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、モノラウリン酸デカグリセリル(HLB15.5)、モノオレイン酸デカグリセリル(HLB13.0〜15.0)、モノステアリン酸デカグリセリル(HLB15.0)、モノイソステアリン酸デカグリセリル(HLB14.9)等が挙げられ、モノラウリン酸デカグリセリルが特に好ましい。
【0021】
(E)成分の配合量は特に限定されないが、毛髪洗浄剤組成物中0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは1〜5質量%である。0.1質量%未満だと、低温での流動性が乏しくなる場合があり、かつ皮脂除去力が弱くなる場合がある。一方、10質量%を超えると毛髪洗浄剤組成物の粘度が下がりすぎて、ジェル状を保つのが難しくなる場合がある。
【0022】
本発明の毛髪洗浄剤組成物には(F)スクラブ剤を、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて分散して配合することが好ましい。洗浄剤組成物が透明であるため、毛髪洗浄剤組成物にスクラブ剤を分散させた場合、分散しているスクラブ剤を目視ではっきりと認知でき、25℃の粘度が10Pa・s〜100Pa・sのジェル状の組成物であるため、毛髪洗浄剤組成物中のスクラブ剤は長期にわたり分散安定性が良好である。スクラブ剤としては、ポリエチレンビーズ、マイクロクリスタインワックスビーズ、アルミナ、軽石、シリカや木くず等の天然素材が挙げられる。
【0023】
(F)スクラブ剤の配合量は特に限定されないが、毛髪洗浄剤組成物中0.01〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3質量%である。
【0024】
本発明の毛髪洗浄剤組成物には、上記必須成分、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の毛髪洗浄剤組成物に用いられる成分を必要に応じて適宜配合することができる。任意成分としては、水、可溶化剤として、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類、泡安定化剤や粘度調整剤として、POE(20)硬化ヒマシ油、ラウリン酸モノエタノールアミド等、増粘剤として無水硫酸ナトリウム等、キレート剤としてEHDP、EDTA等、色素、香料、防腐・防黴剤等が挙げられる。
【0025】
本発明の毛髪洗浄剤組成物に香料を配合する場合、使用される香料は、特開2003−300811号公報[0021]〜[0035]に記載した香料成分等、さらに同[0050]に記載した香料用溶剤等が挙げられる。上記香料用溶剤の使用量は、香料組成物中に0.1〜99質量%配合されるが、好ましくは、1〜50質量%配合される。また、香料安定化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンEとその誘導体、カテキン化合物、フラボノイド化合物、ポリフェノール化合物等が挙げられ、香料組成物中に0.0001〜10質量%配合されるが、好ましくは、0.001〜5質量%配合される。これらの中で、好ましい安定化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエンが挙げられる。香料組成物とは、上記の香料成分、溶剤、香料安定化剤等からなる混合物である。本発明の毛髪洗浄剤組成物にはかかる香料組成物が、毛髪洗浄剤組成物中0.005〜40質量%配合されるが、好ましくは0.01〜10質量%配合される。
【0026】
本発明の毛髪洗浄剤組成物の外観は透明である。なお、本発明において「透明」とは、内径35mm、外径40mmの円柱状の透明ガラス瓶に試料を入れ、円柱を側面から見て、最も経路長の長い部分を通して5ポイントの黒色ゴシック文字が判読できることを意味する。
【0027】
本発明の毛髪洗浄剤組成物の25℃の粘度は、10Pa・s〜100Pa・sであり、20Pa・s〜80Pa・sが好ましい。なお、粘度の測定法は化粧品原料基準第2法に従い、BM型粘度計にてローターNo.4(粘度の低いものはNo.3)を用い、ローターを6rpmで1分間回転させた後の読み値から粘度を算出する。
【0028】
本発明の毛髪洗浄剤組成物の25℃におけるpHは2.5〜7.0が好ましく、より好ましくは3.0〜6.0である。なお、毛髪洗浄剤組成物のpHは、化粧品原料基準(第2版)の一般試験法に定められた方法を用い、組成物中に直接pHメーターの電極を差し込み、安定した後のpH値を読むことで測定することができる。
【0029】
本発明の毛髪洗浄剤組成物は、通常の方法に従って、上記必須成分、任意成分及び水(残部、好適には60〜90質量%)を混合し、各成分を混合撹拌することにより製造される。
【0030】
本発明の毛髪洗浄剤組成物を充填する容器は特に限定されないが、組成物がジェル状であることからチューブ容器に充填することが好ましく、チューブ容器充填用の毛髪洗浄剤組成物、毛髪洗浄剤組成物と、これを充填したチューブ容器とを備えた毛髪洗浄剤組成物製品とすることが好ましい。チューブ容器は、内容物の組成物を見ることができることから、半透明から透明なチューブが好ましく、内容物の組成物が吐出される吐出口の口径は直径3.0〜7.0mmが好ましく、より好ましくは4.0〜6.0でmmである。チューブ容器の材料は、透明度が高く、かつ軟らかい材質である点から、ポリエチレン製や、ポリエチレンとポリビニルアルコールとの積層タイプのものが好ましい。
【実施例】
【0031】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%、各成分の量は純分換算した数値(AI)、比率は質量比を示す。
【0032】
[実施例1〜9、比較例1〜6]
表1,2に示す組成の毛髪洗浄剤組成物を常法に基づいて調製し、下記に示す方法に従って測定及び評価を行った。結果を表中に併記する。
【0033】
<粘度>
化粧品原料基準第2法に従い、BM型粘度計にてローターNo.4(粘度の低いものはNo.3)を用い、ローターを6rpmで1分間回転させた後の読み値から粘度を算出した。
【0034】
<組成物外観の透明性>
内径35mm、外径40mmの円柱形の透明ガラス瓶に試料を入れ、最も経路長の長い部分を通して5ポイントの大きさの黒色のゴシック体文字を判読できれば「○」、できなければ「×」と評価した。
【0035】
<流動性>
内径35mmの円柱形のガラス容器内に高さが40mmになるように試料を入れ、5℃の恒温環境に保存して試料温度を5℃にした。容器を水平に傾けて10mmの長さを組成物が流動するまでにかかった時間を計測した。流動にかかる時間が短いほど、流動しやすくチューブ容器から出しやすい物性である。20秒以内に流動すれば使用上の不具合にはならない。
【0036】
<皮脂除去性>
前腕内側部にモデル皮脂(トリオレイン:オレイン酸:スクワレン=2:1:1(質量比))15mgを50mm×50mmの範囲に均一に塗った。それぞれの試料の10%水溶液を10g作製し、内径30mmの円形カップ内でモデル皮脂を塗った部分を60秒洗浄し、40℃のお湯ですすぎ流した。ドライヤーで乾燥後、セバムメーター(アミック社製SKICON−301)で測定部を5秒間圧着した後の値を測定し、以下の基準で評価した。なお、本セバムメーターは、上記の条件でモデル皮脂を塗った場合、洗浄前は約200の値を示し、皮脂を完全に除去するまで洗浄すると5以下の数値を示す。
◎:セバムメーターの測定値が50未満
○:セバムメーターの測定値が50以上100未満
△:セバムメーターの測定値が100以上150未満
×:セバムメーターの測定値が150以上
【0037】
<すすぎ時の髪の指通り>
長さ30cm、重さ約5gのアジア人の毛束を、6%過酸化水素水に30分間浸漬し、水道水で洗い流して乾燥させ、この操作をもう一度繰り返してブリーチ処理を行った。このブリーチ処理した毛束を水でぬらし、洗浄剤組成物1gを塗布して、クシで1分間泡立てて洗浄した後、40℃の流水中でクシ通ししながらすすいだ。すすぎ終了直前で水を切り、3回クシ通しして、その時の加重を加重計(IMADA社製)にて測定し、3回の平均値を算出し、以下の基準で評価した。この加重値が低いほど、すすぎ時の髪の指通りに優れている。
◎:加重が100gF以下
○:加重が100gFを超え、500gF以下
△:加重が500gFを超える
×:髪にクシが絡まり、加重の測定が困難
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
実施例1〜9の毛髪洗浄剤組成物120gを直径38mm、ポリエチレン製、吐出口径5.0mmのチューブ容器に充填し、5℃の恒温環境に24時間保存して毛髪洗浄剤組成物の温度を5℃にした。その後チューブから毛髪洗浄剤組成物を吐出させたところ、容易に毛髪洗浄剤組成物を吐出した。
【0041】
[実施例10,11、比較例7,8]
実施例1の組成及び比較例1の組成に表3に示すスクラブ剤2%配合して毛髪洗浄剤組成物を得た。得られた組成物120gを直径38mm、ポリエチレン製、吐出口径5.0mmのチューブ容器に充填し、1ヶ月間、40℃にて保存した。その結果、実施例10,11はスクラブ剤が分散状態を保っていたが、比較例7,8は比重の軽いスクラブ剤が液上面に浮いていた。
【0042】
【表3】

【0043】
[実施例12]
下記組成の毛髪洗浄剤組成物を常法に基づいて調製し、チューブ容器に充填した。
組成 %
(A)ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム(2E.O.)
18
(B)2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン 6
(C)カチオン化グァーガム 0.4
(D)無水硫酸ナトリウム 2
(E)モノラウリン酸グリセリル 4
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(20E.O.) 0.5
グリチルリチン酸ジカリウム 0.3
ピロクトンオラミン 0.5
クエン酸 適量(pHを4.5に調整)
香料組成物B 1.2
水 残部
合計 100.0
粘度:30Pa・s(25℃)
【0044】
[実施例13]
下記組成の毛髪洗浄剤組成物を常法に基づいて調製、チューブ容器に充填した。
組成 %
(A)ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン 6
(A)ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(2E.O.)

(B)ヤシ油アルキルベタイン 5
(B)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 2
(C)カチオン化グァーガム 0.2
(C)カチオン化セルロース(高重合度) 0.05
(D)無水硫酸ナトリウム 3
(E)モノラウリン酸デカグリセリル 2
(E)モノイソステアリン酸デカグリセリル 1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.3
ピロクトンオラミン 0.5
海藻エキス(5) 1
クエン酸 適量(pHを4.2に調整)
l−メントール 0.7
バニリルブチルエーテル 0.2
香料組成物C 1.5
水 残部
合計 100.0
粘度:20Pa・s(25℃)
【0045】
実施例12,13の毛髪洗浄剤組成物は、透明ジェル外観で、泡立ちが良好で洗浄力が高く、低温環境下でもチューブからの排出性に優れていた。
【0046】
例で使用した原料を下記に示す。
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)成分を含有し、25℃の粘度が10Pa・s〜100Pa・sである透明な毛髪洗浄剤組成物。
(A)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩
(B)ベタイン型両性界面活性剤
(C)糖骨格を有するカチオン化ポリマー
(D)無機塩
(E)HLBが12以上のポリグリセリン脂肪酸エステル
【請求項2】
チューブ容器充填用である請求項1記載の毛髪洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2008−81415(P2008−81415A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−260721(P2006−260721)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】