説明

気体状マグネシウムを用いる酸化物の還元により製造される金属粉末

【課題】 金属酸化物の還元によるタンタルおよび/またはニオブの金属粉末の製造方法を提供すること。
【解決手段】 (a)気体が通過できる形態にある金属の酸化物または混合酸化物を準備し、(b)水素含有気体を集合体の中に高められた温度で通し、(c)酸化物中に含有される酸素の少なくとも20%を除去して亜酸化物が生成するように、酸化物の多孔度、還元反応の温度および時間を選択し、(d)第二段階で亜酸化物を還元性金属および還元性金属の水素化物の群から選択される還元剤でさらに還元し、それにより酸化物を実質的に完全に還元してその金属部分を遊離させる段階を含んでなる、Taおよび/またはNb並びにそれらの全てよりなる群からの金属粉末を、単独でまたはTi、Mo、W、HfおよびVおよびZrの群から選択される1種もしくはそれ以上の金属と共に製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は気体状活性金属、例えば気体形態のMg、Ca並びに物質を還元する他の元素および化合物、を用いる対応する金属酸化物の還元によるタンタル、ニオブおよび他の金属粉末並びにそれらの合金の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
タンタルおよびニオブはそれらの化合物、特にそれらの酸化物の一部、の安定性の理由のために遊離状態で単離することが難しい金属群の構成員である。タンタルを製造するために開発された方法の検討はこれらの金属の典型的な製造方法の歴史を説明するのに役立つであろう。タンタル金属粉末は最初に商業的規模でドイツにおいて20世紀始めに複塩であるヘプタフルオロタンタル酸カリウム(KTaF)のナトリウムを用いる還元により製造された。ナトリウムの小片をタンタルを含有する塩と混合しそして鋼管の中に密封した。管を頂部でリングバーナーで加熱し、そして発火後に、還元は急速に管を下方に進行した。反応混合物を放冷しそしてタンタル金属粉末、未反応のKTaFおよびナトリウム、並びに他の還元生成物からなる固体物質を手によって鑿を用いて除去した。混合物を粉砕しそして次に希酸で浸出させてタンタルを成分から分離した。この方法は調節が難しく、危険であり、且つ粗大な汚染された粉末を製造するが、それにもかかわらずその後の数年にわたり高純度タンタル製造の主要手段となった。
【0003】
米国におけるタンタル金属の商業的な製造は1930年代に始まった。酸化タンタル(Ta)を含有するKTaFの溶融混合物を鋼製レトルトの中で700℃において電気分解した。還元が完了した時に、系を冷却しそして固体物質を電解室から除去し、そして次に粉砕しそして浸出させて粗大なタンタル粉末を他の反応生成物から分離した。樹木模様のある粉末はコンデンサー用途における直接的な使用には適さなかった。
【0004】
タンタルを製造するための現代的な方法は1950年代にヘリエル(Hellier)およびマーチン(Martin)により開発された(Hellier,E.G.and Martin,G.L.、特許文献1、1960)。ヘリエルおよびマーチン法、並びに多くのその後に記載された実施法または変法によると、KTaFおよび希塩、典型的にはNaCl、の溶融混合物が撹拌反応器の中で溶融ナトリウムで還元される。このシステムを用いると、例えば還元温度、反応速度、および反応組成の如き重要な反応変数の調節が容易であった。長年にわたり、この方法は改良されそして20,000cm/gmを越える表面積を有する高品質の粉末が製造されそして5000〜8000cm/gm範囲の表面積を有する物質が典型的であるような点まで完成された。この製造方法はレトルトからの固体反応生成物の除去、浸出による塩からのタンタル粉末の分離、および物理的性質を改良するための集塊化のような処理を依然として必要とする。ほとんどのコンデンサー等級のタンタル粉末は酸素含有量を最少にするためにマグネシウムを用いる脱酸素反応にかけられる(Albrecht,W.W.,Hoppe,H.,Papp,V.and Wolf,R.、特許文献2、1985)。一次粒子から二次粒子形態への予備集塊化およびキャパシタンスを増加させるための物質(例えば、P、N、Si、およびC)のドーピングの人為操作も現在知られている。
【0005】
非特許文献1によると、ナトリウムを用いるKTaFの還元が高性能の高品質タンタル粉末製造産業を可能にしたが、コンデンサー用タンタルの消費量は毎年約1000トンというタンタルの世界生産量の50%を越える水準にすでに達しており、一方でニオブ用の原料ベースはタンタル用のものよりかなり広く且つ粉末製造およびコンデンサー製造方法に関する文献のほとんどがニオブ並びにタンタルを記載しているが、コンデンサー用
のニオブの使用は本質的になされていなかった。
【0006】
この方法をニオブに応用する際の難点の一部は下記の通りである:
塩溶融物中でのナトリウムによるヘプタフルオロタンタル酸カリウムの還元に関するヘリエルおよびマーチン法(特許文献1)に示されたタイプの製造方法は原則的にはヘプタフルオロニオブ酸カリウムによる高純度ニオブ粉末の製造用に利用可能であるが、それは実際にはうまくいかない。これは、一部は、対応するヘプタフルオロニオブ酸塩の沈澱の難しさのためでありそして、一部は、そのような塩の攻撃的な反応性および腐食性によるため、この方法により製造されるニオブは非常に不純である。さらに、酸化ニオブは一般的に不安定である。例えば、非特許文献2参照。
【0007】
従って、ニオブはコンデンサー産業においては非常に少ない程度、主として比較的低品質条件の分野、でのみ使用されていた。
【0008】
しかしながら、酸化ニオブ誘電定数は同様な酸化タンタル層のものの約1.5倍であり、そのためニオブコンデンサーの比較的高いキャパシタンスに関しては原則として安定性および他の要素を考慮しなければならない。
【0009】
タンタルそれ自体に関しては、KTaF/ナトリウム還元方法の成功にもかかわらず、この方法には幾つかの欠点がある。
【0010】
それは系に固有の変動を受けるバッチ方法であり、その結果として、バッチ毎の一貫性は難しい。後還元処理(機械的および湿式冶金的分離、濾過)は複雑であり、かなりの人的および資本投資が必要であり且つそれには時間がかかる。弗化物および塩化物を含有する大量の反応生成物の廃棄も問題となりうる。基本的な意味で、この方法は製造されるタンタル粉末の性能における意義ある利点が期待されるような成熟状態に進行してきた。
【0011】
長年にわたり、タンタルおよびNb−化合物を包含する同様な金属化合物を金属状態に還元するための代替方法を開発するための多くの試みがなされた(非特許文献3;Marden,J.W.and Rich,M.H.、特許文献3、1927;およびGardner,D.、特許文献4、1946;Hurd、特許文献5)。これらの中にはナトリウム以外の活性金属、例えばカルシウム、マグネシウムおよびアルミニウム、並びに例えば五酸化タンタルおよび塩化タンタルの如き原料の使用があった。以下の表Iに見られるように、負のギッブス(Gibbs)自由エネルギー変化はTa、Nbおよび他の金属の酸化物の金属状態へのマグネシウムを用いる還元が好ましいことを示しており、反応速度および方法がこの方式を商業的規模で高品質粉末を製造するために使用できるかを決める。今日まで、これらの方式が高品質粉末を製造しないため、これらはいずれも意義あるほど商業化されなかった。明らかに、これらの方式が過去に失敗した理由は還元剤を金属酸化物と配合することにより還元を行ったためである。反応は溶融した還元剤と接触した状態でそして高度の発熱反応の温度調節を不可能にするような条件下で起きた。従って、生成物の形態および残存還元性金属含有量を調節することができない。
【0012】
【表1】

【0013】
脱酸素反応を行うためまたはタンタル金属の酸素含有量を減ずるためのマグネシウムの使用は既知である。この方法は金属粉末を1〜3%のマグネシウムと配合しそして加熱して還元工程を行うことを包含する。マグネシウムは一部の加熱時間中に溶融状態にある。この場合には、目的は1000〜3000ppmの酸を除去することでありそして低濃度のMgOだけが生ずる。しかしながら、非常に大量の酸化タンタルが還元される時には大量の酸化マグネシウムが発生する。生じたマグネシウム、酸化タンタルおよび酸化マグネシウムの混合物は調節が難しい温度条件下ではタンタル−マグネシウム−酸素複合体を生成し、それらをタンタル金属から分離することは難しい。
【0014】
【特許文献1】米国特許第2,950,185号明細書
【特許文献2】米国特許第4,537,641号明細書
【特許文献3】米国特許第1,728,941号明細書
【特許文献4】米国特許第2,516,863号明細書
【特許文献5】米国特許第4,687,632号明細書
【非特許文献1】Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th Edition,Volume A26,p.80,1993
【非特許文献2】N.F.Jackson et al,Electrocomponent Science & Technology,Vol.1,pp.27−37(1974)
【非特許文献3】Miller,G.L.“Tantalum and Niobium,”London,1959,pp.188−94
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の主な目的は、従来の複塩還元およびその後の処理の1つもしくはそれ以上、好
ましくは全て、の問題を除く手段を与える高性能のコンデンサー等級のタンタルおよびニオブ粉末の新規な製造方式を提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は連続的な製造工程を可能にすることである。
【0017】
本発明の別の目的は改良された金属形態を提供することである。
【0018】
他の目的はコンデンサー等級の品質および形態のニオブ/タンタル合金粉末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
(発明の要旨)
我々は、大量の例えばTaおよびNbの如き金属酸化物並びに亜酸化物を気体形態のマグネシウムを用いて、実質的にまたは好ましくは完全に、還元する場合に先行技術の問題を排除できることを発見した。酸化物源は実質的にまたは好ましくは完全に固体でなければならない。酸化物はその集合体全体にわたり気体状還元剤が良く到達できるような多孔性固体の形態で供給される。
【0020】
本発明により効率的に単独でまたは複数で製造する(共−製造する)ことができる金属はTa、Nb、およびTa/Nb合金の群にあり、これらは単独であってもよくまたは加えられるかもしくは共−製造されるTi、Mo、V、W、Hfおよび/またはZrを包含してもよい。金属は製造中もしくは製造後に混合または合金化することもできおよび/またはそのような金属の有用な化合物に製造することもできる。これらの金属の各々の安定なおよび不安定な酸化物形態を原料として使用することができる。金属合金を、例えば酸化物用の適当な前駆体の共沈澱から生ずる、合金にされた酸化物前駆体から製造してもよい。
【0021】
還元剤の一部の蒸気圧を以下に示す:
【0022】
【表2】

【0023】
【表3】

【0024】
還元の温度は使用する還元剤に依存してかなり変動する。(Ta,Nb)酸化物の還元に関する温度範囲は、
Mg(気体)−800〜1,100℃、Al(気体)−1,100〜1,500℃、Li(気体)−1,000〜1,400℃、Ba(気体)−1,300〜1,900℃
である。
【0025】
還元により製造される金属粉末の異なる物理的性質および形態は有効な還元範囲内の温度および他の処理条件の変動により達成することができる。
【0026】
本発明の1つの態様は選択される1種もしくはそれ以上の金属の酸化物源を還元して金属価の80〜100(重量)%を一次粉末粒子として遊離させ、次に浸出させるかまたは他の湿式冶金段階でにかけて残存する還元剤酸化物および還元反応の他の副生物からそして残存する液化した還元剤(場合により)から金属を分離する第一段階、その後の第一の全般的な還元段階より濃度の低い試薬条件下での(そして還元剤の溶融状態のより良好な耐性での)1回もしくはそれ以上の脱酸素反応段階を包含し、次に必要ならさらなる分離が行われる。
【0027】
この第一態様によると、本発明は
(a)1種もしくはそれ以上の金属の酸化物または混合酸化物を、酸化物それ自体を気体が通過できるような形態で供給し、
(b)気体状還元剤を酸化物集合体の外側の部位で発生させそして気体を集合体の中に高められた温度で通し、
(c)1種もしくはそれ以上の酸化物を実質的に完全に還元してその金属部分を遊離させ、反応中に生成した還元剤の残存酸化物を容易に除去できるように、反応物の選択、酸化物の多孔度、還元反応の温度および時間を選択する
段階を含んでなり、それにより金属または合金粉末の製造における溶融状態の還元剤の使用を本質的に回避する方法で高表面積の流動性金属粉末を生成せしめる、上記の金属粉末の製造のための一段階還元方法を提供する。
【0028】
第一態様のこの還元方法で使用される好ましい還元剤はMg、Caおよび/またはそれらの水素化物である。Mgが特に好ましい。
【0029】
場合により互いに並びに/またはTi、Mo、W、Hf、VおよびZrよりなる群から選択される合金用元素と合金化されていてもよい、Nbおよび/またはTa金属の製造が好ましい。
【0030】
本発明の第二態様は、
(a)1種もしくはそれ以上の金属の酸化物または混合酸化物を、酸化物それ自体を気体が通過できるような形態で供給し、
(b)水素含有気体を、単独でまたは気体状希釈剤と共に、集合体の中に高められた温度で1種もしくはそれ以上の酸化物の部分的還元用のやり方で通し、
(c)酸化物中に含有される酸素の少なくとも20%を除去して亜酸化物を製造するように、酸化物の多孔度、還元反応の温度および時間を選択し、
(d)亜酸化物を1種もしくはそれ以上の還元性金属および1種もしくはそれ以上の還元性金属の水素化物で還元し、それにより酸化物を実質的に完全に還元してその金属部分を遊離させる
段階を含んでなる二段階還元方法を提供する。
【0031】
好ましくは、還元性金属および/または金属水素化物を気体形態の亜酸化物と接触させる。
【0032】
この第二態様の第二還元段階における好ましい還元性金属はMgおよび/もしくはCa並びに/またはそれらの水素化物である。Mgが特に好ましい。
【0033】
(Mgに関する)還元温度は好ましくは850℃から通常の沸点(1150℃)までの間で選択される。
【0034】
本発明に従う方法(両方の態様)は特にコンデンサー等級のタンタルおよびニオブ並びにタンタルニオブ合金粉末並びにTa/Nb材料または同等な純度および/または形態条件の用途を与えるために開発された。現状の最大の欠陥は本発明により得られるコンデンサー等級のニオブの入手により部分的に満たされ、タンタル技術の一部もそれにより進歩する。全ての場合に、タンタルおよび/またはニオブはタンタル/ニオブ製造用の還元反応中またはその後に他の材料との合金製造または化合により増強される。そのような粉末に関する条件の中には、圧縮および焼結後に付着性の多孔性物質を生じて漸減する直径を有する孔溝の内部連結システムを与えてアノード処理用の電解室およびマンガン処理用の硝酸マンガン溶液[Mn(NO]の容易な加入を可能にするようなほぼ球形の一次粒子の高い比表面を有する予備焼結された集塊構造に関する要望がある。
【0035】
少なくとも最初の還元段階中の気体状還元剤を用いる酸化物の還元が還元中の温度調節を容易にして過度の予備焼結を回避する。さらに、液体還元性金属を用いる先行技術の提案と比べて、気体状還元性金属を用いる調節された還元は還元された金属格子中への導入による還元性金属での還元された金属の汚染をもたらさない。そのような汚染は主として
(Nbの場合には)NbからNbOへの最初の還元中に起きることが見いだされた。亜酸化ニオブ(NbO)は五酸化ニオブ(NbO2.5)より20%だけ少ない酸素を含有しているため、これは最初は驚異的にみえた。この効果は、亜酸化物が五酸化物よりかなり密集している結晶格子を形成するという事実に戻される。NbO2.5の密度は4.47g/cmであるが、NbOのものは7.28g/cmであり、すなわち、酸素の20%だけの除去により密度が1.6倍増加する。ニオブおよび酸素の異なる原子量を考慮に入れると、42%の減量がNbO2.5からNbOへの還元に伴われる。従って、出願人は(それにより本発明の範囲を限定するものではないが)本発明に従う効果は五酸化物の還元中に酸化物と接触しているマグネシウムが格子中を比較的容易に拡散することができ、そこでそれが高い可動性を有するが、亜酸化物格子中のマグネシウムの可動性はかなり減じられるという点で説明することができる。従って、亜酸化物の還元中に、マグネシウムは表面上に実質的に残りそして洗浄用の酸による攻撃を受けやすい状態で残る。
【0036】
これは気体状マグネシウムを用いる調節された還元の場合にも適用される。明らかに、この場合には還元は酸化物の表面においてのみ亜酸化物への重要な最初の還元中にも起き、そして還元中に生成した酸化マグネシウムは酸化物または亜酸化物粉末の中に入らない。マグネシウム気体を用いる還元中の好ましい温度は900〜1100℃の間、特に好ましくは900〜1000℃の間、である。
【0037】
酸素の少なくとも20%を除去した後に予備焼結を改良するために温度を1200℃まで高めてもよい。
【0038】
水素を用いる五酸化物の還元が安定な焼結した架橋を含んでなる集塊の生成を伴うすでに焼結した亜酸化物を製造し、それはコンデンサー材料としての使用にとって好ましい構造を有する。
【0039】
より低い温度はより長い還元時間を必要とする。さらに、製造しようとする金属粉末の焼結度は予め決めうるやり方で還元温度および還元時間の選択により調節することができる。反応器は好ましくは汚染を避けるためにモリブデンシートでまたはHにより還元されないセラミックにより裏打ちされる。
【0040】
さらに、還元時間および還元温度は酸素の少なくとも20%が五酸化物から除去されるように選択すべきである。より高い還元度は有害ではない。しかしながら、一般的には実施可能な時間内で且つ許容可能な温度において酸素の60%以上を還元することはできない。
【0041】
20%もしくはそれ以上の還元度に達した後に、亜酸化物が存在する。この方法の態様によると、還元生成物は好ましくは依然としてある時間にわたり、最も好ましくは約60〜360分間にわたり、1000℃より上の温度に保たれる(焼きなまされる)。これが新規な密集している結晶構造を形成し且つ安定化させうることを可能にするようである。還元度に応じて還元速度は非常にかなり減少するため、亜酸化物を水素下で還元温度に加熱することで充分であり、場合により温度のわずかな低下を伴う。1100〜1500℃の温度範囲内での2〜6時間の還元および焼きなまし時間で典型的には充分である。さらに、水素を用いる還元はコンデンサー用途にとっては危機的である例えばF、ClおよびCの如き不純物が10ppmより少なく、好ましくは2ppmより少なく、減少するという利点も有する。
【0042】
亜酸化物を引き続き還元装置の中で室温(<100℃)に冷却し、亜酸化物粉末を還元性金属または金属水素化物の微細分割状粉末と混合しそして混合物を不活性気体下で第二
段階の還元温度に加熱する。還元性金属または金属水素化物は好ましくは酸土類金属亜酸化物の残存酸素に関する化学量論的量で使用され、そして最も好ましくは化学量論的量よりわずかに過剰な量で使用される。
【0043】
一つの特に好ましい工程は第一段階における撹拌床の使用および中間体を冷却せずに同一反応器中で還元性金属または金属水素化物を導入することによる第二段階の実施からなる。マグネシウムが還元性金属として使用される場合には、マグネシウムは好ましくはマグネシウム気体として導入され、その理由はこの方法では金属粉末を生成するための反応を容易に調節できるからである。
【0044】
一段階または二段階還元法のいずれであろうとも金属への還元が完了した後に、金属を冷却し、そして金属粉末を不活性化するために酸素の含有量を徐々に増加させながら不活性気体を引き続き反応器の中に通す。還元性金属の酸化物は当該技術で既知のやり方で酸による洗浄により除去される。
【0045】
五酸化タンタルおよびニオブは好ましくは微細分割状粉末の形態で使用される。五酸化物粉末の一次粒子寸法は製造しようとする金属粉末の所望する一次粒子寸法の約2〜3倍に相当すべきである。五酸化物粒子は好ましくは、最も好ましい50〜300μmの流動性寸法の特に好ましいより狭い範囲を包含する、20〜1000μmの平均粒子寸法を有する自由流動性の集塊からなる。
【0046】
気体状還元剤を用いる酸化ニオブの還元は撹拌または静止床、例えば回転炉、流動床、ラック炉の中で、またはスライディング・バット炉の中で実施することができる。静止床が使用される場合には、還元性気体が床の中を浸透できるようにするために床の深さは5〜15cmを越えてはならない。を気体が下から内部を流れるような床パッキングを使用する場合には、それより大きい床の深さが可能である。タンタルに関すると、好ましい装置の選択は実施例2および実施例2と3の間の章に以下で図1〜4を参照しながら記載されている。
【0047】
本発明に従う特に好ましいニオブ粉末は100〜1000nmの一次粒子寸法を有する集塊化した一次粒子の形態で得られ、ここで集塊はマスターサイザー(Mastersizer)(ASTM−B822)により測定してD10=3〜80μm、特に好ましくは3〜7μm、D50=20〜250μm、特に好ましくは70〜250μm、最も好ましくは130〜180μmおよびD90=30〜400、特に好ましくは230〜400μm、最も好ましくは280〜350μmに相当する粒子寸法分布を有する。本発明に従う粉末は顕著な流動性質および圧縮強度を有し、それらがコンデンサーを製造するためのそれらの加工性を決定する。集塊は安定な焼結された架橋により特徴づけられ、それによりコンデンサーを成形するための加工後の好ましい多孔度が確実になる。
【0048】
好ましくは本発明に従うニオブ粉末は酸素を2500〜4500ppm/mの表面の量で含有しそしてその他に酸素中に低い、10,000ppmまでの窒素および150ppmまでの炭素を含有し、そして合金用金属の含有量を考慮に入れないで350ppmの最大含有量の他の金属を有し、ここで金属含有量は主として還元性金属または水素化触媒金属のものである。他の金属の合計含有量は100ppm以下である。F、Cl、Sの合計含有量は10ppmより少ない。
【0049】
本発明による好ましいニオブ粉末から、不活性化およびメッシュ寸法400μmのふるいを通すふるいかけの直後に、コンデンサーを製造することができる。1100℃における3,5g/cmの圧縮密度における焼結および40Vにおける成形後に、これらのコンデンサーは80,000〜250,000μFV/gの(燐酸中で測定される)比キャ
パシタンスおよび2nA/μFVより低い比漏れ電流密度を有する。1150℃における焼結および40Vにおける成形後に、比コンデンサーキャパシタンスは40,000〜150,000μFV/gであり、1nA/μFVより低い比漏れ電流密度であった。1250℃における焼結および40Vにおける成形後に、30,000〜80,000μFV/gの(燐酸中で測定される)比キャパシタンスおよび1nA/μFVより低い比漏れ電流密度を有するコンデンサーが得られる。
【0050】
本発明による好ましいニオブ粉末は1.5〜30m/g、好ましくは2〜10m/g、のBET比表面を有する。
【0051】
驚くべきことに、コンデンサーをNb/Ta−合金粉末から、純粋なNb−および純粋なTa−粉末から製造されるコンデンサーから得られるかまたは簡単な線状内挿により合金に関して予測されるかなり高い比キャパシタンスを有するような方法で製造できることが見いだされた。同一表面積を有する焼結されたNb−粉末アノードおよび焼結されたTa−粉末アノードを有するコンデンサーのキャパシタンス(μFV)はほぼ等しい。この理由は、絶縁性酸化ニオブ層のより高い誘電定数(酸化タンタルの26に比べた41)はアノード処理中に生成するボルト(アノード処理電圧)当たりの酸化物層のより大きい厚さにより相殺されるためである。1ボルト当たりのNbの酸化物層厚さはTa上で生成するものの約2倍である(Taの場合の約1.8nm/VおよびNbの場合の約3.75nm/V)。本発明はNb粉末コンデンサーとTa粉末コンデンサーとの間の線状内挿から予測される値より約1.5〜1.7高い合金粉末コンデンサーの表面関連キャパシタンス(μFV/m)を与えることができる。これは、本発明の合金粉末の1ボルトのアノード処理電圧当たりの酸化物層厚さはTaのものに近いが酸化物層の誘電定数はNbのものに近いことを示しているようである。合金の前記の驚異的に高いキャパシタンスは純粋なNb粉末の表面上の酸化物の構造と比べた合金成分の酸化物の異なる構造形態と関連するかもしれない。実際に、予備測定は15at.−%Ta−85at.−%Nb合金の酸化物層成長がほとんど2.75nm/ボルトであることを示した。
【0052】
本発明は従って、主としてニオブからなりそしてNbおよびTaの合計含有量を基準として40at.−%までのタンタルを含有する電解質コンデンサーの製造における使用のための合金粉末をさらに含んでなる。本発明に従う合金粉末は、少量のTa−成分がニオブ金属の通常の不純物量より多い量で、すなわち0.2重量%(2000ppm、Taに関して2at.−%に相当する)より多い量で、存在するであろうことを意味するであろう。
【0053】
好ましくは、Taの含有量は、NbおよびTaの合計含有量を基準として、少なくとも2at.−%のタンタル、特に好ましくは少なくとも5at.−%のタンタル、最も好ましくは少なくとも12at.−%のタンタルである。
【0054】
好ましくは、本発明に従う合金粉末中のタンタルの含有量は34at.−%より少ないタンタルである。キャパシタンス増加の効果は約3のNb−対Ta−原子の比まで徐々に増加する。NbおよびTaの合計含有量を基準として25at.−%より高いTaは効果をわずかだけさらに増加させる。
【0055】
本発明に従う合金粉末は好ましくは8〜250(m/g)×(g/cm)の間の、特に好ましくは15〜80(m/g)×(g/cm)の間の、BET−表面と合金密度の積を有する。合金材料の密度はNbおよびTaのそれぞれの原子比とそれぞれNbおよびTaの密度の積から計算することができる。
【0056】
合金化のキャパシタンス増加の効果は集塊化した球状粒子の構造を有する粉末に限定さ
れない。従って、本発明に従う合金化された粉末は好ましくは8〜45(m/g)×(g/cm)の間のBET−表面と密度の積を有する集塊化したフレークの形状の形態を有することもできる。
【0057】
特に好ましい合金粉末は15〜60(m/g)×(g/cm)のBET−表面と密度の積を有する実質的に球状の一次粒子の集塊である。一次合金粉末(粒子)は100〜1500nm、好ましくは100〜300nm、の間の平均直径を有する。好ましくは平均粒子直径からの一次粒子の直径の逸脱は両方向とも因子2より小さい。
【0058】
集塊の粉末は以上でニオブ粉末に関して開示されているようなASTM−B822(マスターサイザー)に従い測定した平均粒子寸法を有する。
【0059】
特に好ましい合金粉末は1.5〜3(g/インチ)/(g/cm)の間のスコット密度および合金密度の比を有する。
【0060】
タンタルのみを含有する前駆体の代わりに金属粉末合金で所望されるNbおよびTaの概略原子比でニオブおよびタンタルを含有する合金にされた前駆体である前駆体が使用される限り、コンデンサー等級のタンタル粉末の製造用の当該技術で既知のいずれの製造方法でも使用することができる。
【0061】
有用な合金前駆体は水溶性Nb−およびTa−化合物を含有する水溶液からの(Nb,Ta)−化合物の共沈澱、例えばヘプタフルオロ錯体の水溶液からの(Nb,Ta)−オキシ水和物の共沈澱、からアンモニアの添加およびその後のオキシ水和物から酸化物へのか焼により、得ることができる。
【0062】
高純度の酸化タンタルおよびニオブの配合物の電子線溶融、溶融インゴットの還元、高められた温度におけるインゴットの水素化、および脆い合金の粉砕、合金粉末の脱水素化およびフレークへの成形によりフレーク状にされた粉末が得られる。フレークをその後に例えばMgの如き還元性金属の存在下で、場合によりPおよび/またはNでドーピングして、1100〜1400℃に加熱することにより集塊化する。「インゴット由来」粉末のこの製造方法は一般的にタンタルのフレーク状にされた粉末の製造に関してはUS−A4,740,238からそしてニオブのフレーク状にされた粉末に関してはWO98/19811から知られている。
【0063】
集塊化した球状粒子の形態を有する特に好ましいNb−Ta−合金粉末は混合(Nb,Ta)−酸化物からここに記載されたような気体状還元剤を用いる還元により製造される。
【0064】
製造された金属粉末は電子コンデンサー並びに例えば複合電子−光学的超伝導性および他の金属およびセラミック化合物、例えばPMN構造体並びに高温形態の金属および酸化物の製造を包含する他の用途における使用に適する。
【0065】
本発明は該粉末、該粉末の製造方法、該粉末から製造されるある種の誘導製品および該誘導製品を製造するための方法を含んでなる。
【0066】
コンデンサー使用法は例えば焼結密集化を遅らせるかまたは最終製品のキャパシタンス、漏れおよび電圧降伏を別のやり方で増加させるための試薬のドーピングの如き他の既知のコンデンサー製造技術の方式を伴ってもよい。
【0067】
本発明はその種々の適用分野のいくつかで数種の顕著な進歩を可能にする。
【0068】
まず、コンピューター/テレコミュンニケーション等級の固体電解質の小寸法のコンデンサー(単位容量当たりの高いキャパシタンスおよび安定な性能特性)を製造するための既知の高性能タンタル粉末を価格、複雑さおよび時間を実質的に真に節約しながら今回製造することができる。
【0069】
第二に、他の反応性金属−特にNbおよび合金、例えばTa−Nb、Ta−Ti、Nb−Ti、をある種の用途でコンデンサー中にTaの代わりに価格を節約しながらまたははるかに良好な性能を有する高級な最後のAl市場の代替品として加えることができ、特にはるかに小さい寸法でも固体電解質と同等なキャパシタンスおよび使用を可能にする。商業用のアルミニウム電解質コンデンサーは湿式電解質システムを使用する。
【0070】
他の目的、特徴および利点は添付図面と関連させた以下の好ましい態様の詳細な記述から明らかになるであろう。
【実施例】
【0071】
(好ましい態様の詳細な記述)
実施例1(比較例)
Taおよびマグネシウムの混合物をタンタルトレーの中に充填しそしてタンタル箔で覆った。マグネシウム化学量論は酸化タンタルを完全に還元するのに必要なものの109%であった。混合物をアルゴン雰囲気下で1000°に6時間にわたり加熱した。還元工程中には混合物を撹拌しなかった。冷却後に、生成物をプログラムされた酸素の添加により不動態化した。還元工程の結果は破壊しにくい黒色のスポンジ状物質であった。生成物を希鉱酸で浸出させて酸化マグネシウムを除去し、乾燥しそしてふるいにかけた。粗い(+40メッシュ)物質の収率は25%で高かった。+40および−40部分の各々の不純物含有量(%またはppm)および表面積(SA、cm/gm)は以下の表1.1に示されている。マグネシウムおよび酸素含有量の両者は高かった。粗い物質の大きい割合および生成物の劣悪な性質のためそれはコンデンサー用途における使用に適さなかった。
【0072】
【表4】

【0073】
実施例2
図1を参照すると、200グラムの五酸化タンタルの床(3)をタンタルボートの中に含有されたマグネシウム金属片(5)の上に懸垂された多孔性タンタル板4の上においた。容器をタンタルの蓋で覆いそしてノズル(6)を介して密封容積の中を通過するアルゴン(Ar)と共に密封されたレトルトの中に密封した。ボートをアルゴン/マグネシウム気体雰囲気中で酸化物床から完全に離れた領域中に保たれている固体マグネシウム片の床(5)を利用して1000℃に加熱しそして6時間保った。室温に冷却した後に、それぞれ2、4、8、15インチ(Hg、分圧)のO(g)を含有するアルゴン−酸素混合物を炉の中に加えることにより生成物である混合物を不動態化した。各混合物を粉末と30
分間にわたり接触させた。空気を用いる最終的不動態化のための保持時間は60分間であった。
【0074】
酸化マグネシウムをタンタル粉末から希硫酸を用いる浸出により分離しそして次に高純度水ですすいで酸残渣を除去した。生成物は自由流動性の粉末であった。生成物のサンプル(TaGR−2Dと表示される)は図5A、5B、4Cの走査電子顕微鏡写真(SEM)に、それぞれ15キロボルトで操作された電子顕微鏡で撮られた15,700、30,900および60,300倍率で示されている。ナトリウム還元により製造されたタンタル粉末の70,000倍率(x)である図5Dおよび5Eに比較例が示されている。図5A、5B、5Cのタンタル粉末の性質は以下の表2.1に示されている。
【0075】
【表5】

【0076】
酸素濃度対表面積比は表面酸素だけと一致し、酸化タンタルが完全に還元されたことを示す。
【0077】
図1に示され(そして実施例2で論じられ)たものとは別の形態の反応器が図2〜4に示されている。図2はヒーター24、金属酸化物の供給源25および還元剤(例えばMg)蒸気(アルゴン中に混合されている)の源26、アルゴン出口26′並びに金属および還元剤の酸化物用の収集器28により囲まれた垂直管を有するフラッシュ反応器20を示す。弁V1、V2が装備されている。酸化物の粒子が管を通って落下しそしてフラッシュ還元される。図3は傾斜している回転管32、ヒーター34、酸化物ホッパー35、気体源(還元剤および希釈剤、例えばアルゴン)および出口36、36′、並びに金属および還元剤酸化物用の収集器38を有する回転炉30を示す。図4は回転トレー43およびスプラインを付けたパドル43、ヒーター44、酸化物源45、気体源および出口46、46′および収集器48を含有するレトルト42を有する複数炉床40を示す。例えばそれ自体は普遍的な流動床炉反応器またはコントップ(Contop)、キヴセット(KIVCET)タイプの如きさらに別の形態の反応器を使用することができる。
【0078】
実施例3
実施例2の工程に従って製造された57,000cm/gmの表面積を有するタンタル粉末を2W/W%のMgと配合しそしてアルゴン雰囲気中で850℃に2時間にわたり加熱することにより該粉末を脱酸素反応にかけた。還元剤源および酸化物の分離はこのフォローアップ脱酸素反応段階では必要ない。脱酸素反応にかけられた粉末を放冷しそして次に不動態化し、浸出させ、そして乾燥した。脱酸素反応にかけられた(仕上げられた)粉末のSEM(100,000x)は図7Aに示されそして仕上げられたナトリウムで還元された粉末のSEM(70,000x)は図7Bに示され、形態の差は明らかである。適当な量のNHPOを添加することにより100ppmのPでドーピングした後に、粉末を5.0g/ccの圧縮密度で圧縮して0.14グラムの重量のペレットにした。別の脱酸素反応にかけられた粉末のSEMは図6に示されている。ペレットを真空中で
1200℃で20分間にわたり焼結した。ペレットを0.1容量%(V/V%)HPO溶液中で80℃において30ボルトまでアノード処理した。生成電流密度は100mA/gmでありそして化成電圧における保持時間は2時間であった。アノード処理したペレットの平均キャパシタンスは105,000μF(V)/gmでありそして21Vの5分間適用後に測定された漏れ電流は0.1nA/μF(V)であった。
【0079】
実施例4
実施例2に記載された通りにして製造された133,000cm/gmの表面積および27.3g/mのかさ密度を有する粉末を実施例3の通りにして処理した。仕上げられた粉末のSEM(56,600x)は図7Cに示されている。脱酸素反応にかけられた粉末から製造されたペレットを実施例3の条件を使用して16Vにアノード処理した。アノード処理したペレットの平均キャパシタンスは160,000μF(V)/gmであった。
【0080】
実施例5
900グラムのTaを気体状マグネシウムを用いて900℃で2時間にわたり還元した。酸化マグネシウムを還元生成物から希硫酸を用いる浸出により除去した。生じた粉末は70,000cm/gmの表面積を有しそして8W/W%のマグネシウムを用いて850℃で2時間にわたり脱酸素反応にかけた。1(1.0)W/W%のNHClを充填物に加えてタンタルを窒化した。脱酸素反応にかけた粉末を実施例3に記載された通りにして処理した。Pのドーピング水準は200ppmであった。粉末を再び同一の時間および温度プロフィールを用いて2.0W/W%のMgを用い且つNHClを用いずに脱酸素反応にかけた。残存マグネシウムおよび酸化マグネシウムを希鉱酸を用いる浸出により除去した。粉末の化学的性質は以下の表5.1に示されている。粉末は9,000cm/gmの表面積および優れた流動性を有していた。圧縮ペレットを1,350℃で20分間にわたり焼結しそして0.1V/V%のHPO中で80℃で16Vにアノード処理した。
【0081】
アノード処理したペレットのキャパシタンスは27,500μF(V)/gmでありそして漏れは0.43nA/μF(V)であった。
【0082】
【表6】

【0083】
実施例6
500グラムのTaを1,000℃で6時間にわたり気体状マグネシウムを用いて還元した。このようにして製造された一次粉末の性質は以下の表6.1に示されている。
【0084】
【表7】

【0085】
一次粉末を850℃で2時間にわたり脱酸素反応にかけた。4W/W%のMgおよび1W/W%のNHClを加えた。MgOを鉱酸を用いて浸出させた。次に粉末に等量のNHPOを加えることにより200ppmのPでドーピングした。粉末を850℃で2時間にわたり2回目の脱酸素反応にかけそして次に325℃において80%のアルゴンおよび20%の窒素を含有する気体状酸素を加えることにより窒化した。仕上げられた粉末の一部の性質は以下の表6.2に示されている。
【0086】
【表8】

【0087】
ペレットを粉末から5.0gm/ccの圧縮密度で製造した。焼結したペレットを80℃で0.1W/W%のHPO溶液中で16ボルトにアノード処理した。焼結温度の関数としてのキャパシタンスおよび漏れは以下の表6.3に示されている。
【0088】
【表9】

【0089】
実施例7(比較例)
ヘプタフルオロニオブ酸カリウム(KNbF)をナトリウムを用いてヘリエル(Hellier)他およびヒルドレス(Hildreth)他の米国特許第5,442,978号により記載された方法と同様な撹拌反応器溶融塩方法を用いて還元した。希釈剤で
ある塩は塩化ナトリウムでありそして反応器はインコネル(Inconel)合金から製造された。ニオブ金属粉末を塩マトリックスから希硝酸(HNO)を用いて浸出させそして次に水ですすぐことにより分離した。選択された物理的および化学的性質は以下の表7.1に示されている。金属元素であるニッケル、鉄およびクロムの非常に高い濃度のために粉末のコンデンサー等級材料としての使用は適さない。KNbFに固有な腐食性のために汚染が生じた。この性質のためにナトリウム還元法はコンデンサー等級のニオブ粉末の製造には適さない。
【0090】
【表10】

【0091】
SBD=スコットかさ密度(g/in)、FAPD=フィッシャー平均粒子直径(μ)
【0092】
実施例8
200グラムの五酸化ニオブを実施例2に記載された通りにして還元した。生じた粉末は自由流動性の黒色粉末でありそして200,800cm/gmの表面積を有していた。不動態化された生成物を希硝酸溶液で浸出させて酸化マグネシウムおよび残存マグネシウムを除去しそして次に高純度水で浸出させて残存酸を除去した。この物質を10(10.0)W/W%のMgと配合しそして850℃で2時間にわたり脱酸素反応にかけた。粉末の物理的および化学的性質は以下の表8.1に挙げられている。粉末に実施例3に記載された通りにして100ppmのPでドーピングした。
【0093】
【表11】

【0094】
液体ナトリウム(実施例7)およびマグネシウム気体(実施例8)還元により製造されたニオブ粉末に関するSEM(70,000x)はそれぞれ図8Aおよび8Bに示されている。大粒子上のバーナクル状の小粒子の密集化は図8Bでは8Aよりはるかに顕著であることに注目すること。図8C、8Dはそれぞれナトリウム還元およびマグネシウム気体還元により製造されたニオブ粉末のSEM(2,000x)である。
【0095】
液体ナトリウム還元により製造されたニオブ粉末は突出した大きい(>700nm)結
合した(300nm+)粒子および面を有しており、生成物を塊の形状およびバーナクル状の微細粒子物質(10nmの桁であるが一部は75nmまで)を与えるが、マグネシウム気体還元により製造されたニオブ粉末は約400nmのベース粒子寸法およびその上にある多くの約20nmの多くのそれより小さい粒子を有し、より小さいその粒子の多くはそれら自体で100nmまでの寸法の集塊となる。
【0096】
実施例9
0.14gmの重さのペレットを実施例8で製造されたニオブ粉末から製造した。ペレットを0.1V/V%のHPO溶液中で80℃でアノード処理した。電流密度は100mA/gmでありそして化成電圧における保持時間は2時間であった。ペレット圧縮密度、化成電圧および焼結温度の関数としての電気的結果は以下の表9.1に示されている。
【0097】
【表12】

【0098】
実施例10
酸化ニオブを実施例8に記載された通りにして気体状マグネシウムを用いて還元した。生じた粉末を脱酸素反応に2回かけた。第1回目の脱酸素反応中に、2.0W/W%のNHClを充填物に加えて粉末を窒化した。脱酸素反応条件は7.0W/W%のMgを用いる2時間にわたる850℃であった。浸出および乾燥後に、粉末に200ppmのPでドーピングした。第2回目の脱酸素反応を2.5W/W%のMgを用いて850℃において2時間にわたり行った。仕上げられた粉末は22,000cm/gmの表面積および良好な流動性を有する。化学的性質は以下の表10.1に示されている。ペレットを0.1V/V%のHPO溶液中で80℃において100mA/gの電流密度および2時間の保持時間を用いて16ボルトにアノード処理した。電気的性質は以下の表10.2に示されている。
【0099】
【表13】

【0100】
【表14】

【0101】
実施例11
a)使用したNbはFSSS(フィッシャー・サブ・シーブ・サイザー(Fisher Sub Sieve Sizer))により測定して1.7μmの粒子寸法を有しておりそして下記の含有量の不純物を含んでなっていた:
合計(Na、K、Ca、Mg) 11ppm
合計(Al、Co、Cr、Cu、Fe、Ga、
Mn、Mo、Ni、Pb、Sb、Sn、
Ti、V、W、Zn、Zr) 19ppm
Ta 8ppm
Si 7ppm
C <1ppm
Cl <3ppm
F 5ppm
S <1ppm
【0102】
Nbをモリブデンボート中でスライディング・バット炉の中にゆっくり流れる水素雰囲気下で通し、そして炉の熱い領域の中に3.5時間保った。
【0103】
得られた亜酸化物はNbOに相当する組成を有していた。
【0104】
b)生成物を微細メッシュのグリッド上に置き、その下には亜酸化物の酸素含有量に関する化学量論の1.1倍のマグネシウムを含有する坩堝が置かれていた。
【0105】
グリッドおよび坩堝を含んでなる配置を1000℃でアルゴン保護気体下で6時間にわたり処理した。この工程中に、マグネシウムが蒸発しそして上にある亜酸化物と反応した。炉を引き続き冷却し(<100℃)そして金属粉末の表面を不動態化するために空気を徐々に導入した。
【0106】
濾液中でマグネシウムがもはや検出できなくなるまで生成物を硫酸で洗浄し、そしてその後に中性となるまで脱イオン水で洗浄しそして乾燥した。
【0107】
ニオブ粉末の分析は下記の不純物含有量を与えた:
O 20,000ppm(3300ppm/m
Mg 200ppm
Fe 8ppm
Cr 13ppm
Ni 3ppm
Ta 110ppm
C 19ppm
N 4150ppm
【0108】
マスターサイザーにより測定した粒子寸法分布は
D10 4.27μm
D50 160.90μm
D90 318.33μm
に相当した。
【0109】
一次粒子寸法は約500nmであると視覚的に測定された。スコットかさ密度は15.5g/インチであった。BET比表面積は6.08m/gであった。ホール・フロー(Hall Flow)として測定された流動性は38秒間であった。
【0110】
c)3mmの直径、5.66mmの長さ、0.14gのアノード質量および3.5g/cmの圧縮密度を有するアノードをニオブ粉末からニオブ線上で表11.1に示された時間および温度で焼結することにより製造した。
【0111】
チャチロン(Chatillon)に従い測定されたアノードの圧縮強度は6.37kgであった。アノードを80℃において0.1容量%のHPOを含有する電解質の中で100/150mAの電流密度で表11.1に示された電圧で製造しそしてコンデンサー特性を測定した;表11.1参照
【0112】
【表15】

【0113】
実施例12
第1回目の還元段階における温度が1300℃であったこと以外は実施例11を繰り返した。
【0114】
金属粉末は下記の性質を有していた:
マスターサイザーD10 69.67μm
D50 183.57μm
D90 294.5μm
一次粒子寸法(視覚的) 300〜400nm
BET比表面積 5m/g
自由流動性。
【0115】
圧縮強度は非常に高かった:
3.5g/cmの圧縮密度における13kg、および
3g/cmの圧縮密度における8kg。
【0116】
1100℃において20分間焼結(圧縮密度3g/m)した後、および40Vで製造した後に、222,498μFV/gのキャパシタンスおよび0.19nA/μFVの漏れ電流が測定された。
【0117】
実施例13
この実施例はニオブ粉末の性質に対する第1段階における還元温度の影響を示す。
【0118】
五酸化ニオブの3つのバッチを水素下で1100℃、1300℃または1500℃において、その他は同じ条件下で、4時間にわたり処理した。
【0119】
バッチを引き続きMg気体を用いてニオブ金属に還元した(6時間、1000℃)。反応工程中に生成したMgOを、過剰のMgと一緒に、硫酸で洗浄除去した。下記の粉末性質が得られた:
還元温度 1100℃ 1300℃ 1500℃
亜酸化物
BET m/g1) 1.03 0.49 0.16
ホール・フロー2) 非流動性 48秒間で 20秒間で
25g 25g
ニオブ金属
BET m/g 9.93 7.8 5.23
FSSS μm3) 0.6 0.7 6.8
ホール・フロー 非流動性 85秒間で 19秒間で
25g 25g
SD g/インチ4) 16.8 16.5 16.8
Mg ppm 240 144 210
O ppm 40,000 28,100 16,600
1)BET比表面
2)流動性
3)フィッシャー・サブ・シーブ・サイザーにより測定した粒子寸法
4)かさ密度
【0120】
実施例14
撹拌しながらのアンモニアの添加およびその後のオキシ水和物(oxyhydrate)から酸化物へのか焼によるニオブおよびタンタルヘプタフルオロ錯体の混合水溶液からの(Nb,Ta)−オキシ水和物の共沈澱により(Nb,Ta1−x前駆体を製造する。
【0121】
Nb:Ta=90:10(重量比)の公称組成を有する多くの混合酸化物粉末をモリブデンボートの中に入れそしてスライディング・バット炉の中にゆっくり流動する水素雰囲気下で通しそして炉の熱い領域の中で1300℃に4時間にわたり保った。室温に冷却した後に、重量損失から組成はほぼ(Nb0.944Ta0.054)Oであると測定された。
【0122】
亜酸化物を微細メッシュのグリッド上に置き、その下には亜酸化物の酸素含有量に関する化学量論の1.2倍のマグネシウムを含有する坩堝が置かれていた。グリッドおよび坩堝を含んでなる配置を1000℃においてアルゴン保護気体下で6時間にわたり処理した。炉を引き続き100℃以下に冷却しそして金属粉末の表面を不動態化するために空気を徐々に導入した。
【0123】
濾液中でマグネシウムがもはや検出できなくなるまで生成物を硫酸で洗浄し、そしてその後に中性となるまで脱イオン水で洗浄しそして乾燥した。
【0124】
合金粉末の分析は9.73wt.−%のタンタル含有量および下記の不純物含有量を与えた:
O:20500、Mg:24、C:39、Fe:11、Cr:19、Ni:2、Mo:100。
【0125】
一次粒子寸法は約450nmであると視覚的に測定された。BET比表面は6.4m/gであり、スコット密度は15.1g/inであり、粒子寸法(FSSS)は0.87μmであった。
【0126】
2.94mmの直径、3.2mmの長さおよび3.23g/cmの圧縮密度を有するアノードを合金粉末からニオブ線上で1150℃において20分間にわたり焼結することにより製造した。焼結密度は3.42g/cmであった。電極を0.25%のHPO
を含有する電解質の中で40Vの最終電圧までアノード処理した。
【0127】
コンデンサー特性は10%HPO水溶液を用いることにより下記の通りであると測定された:キャパシタンス:209117μFV/g、漏れ電流:0.55nA/μFV。
【0128】
実施例15
Nb:Ta=75:25(重量比)の公称組成を有する酸化物粉末を用いて、実施例14の通りにして合金粉末を製造した。
【0129】
金属合金粉末の分析が26.74wt.−%のタンタル含有量および下記の不純物含有量(ppm)を与えた:
O:15000、Mg:25、C:43、Fe:9、Cr:20、Ni:2、Mo:7、N:247。
【0130】
一次粒子寸法は約400nmであると視覚的に測定された。BET比表面は3.9m/gであり、スコット密度は17.86g/inであり、粒子寸法(FSSS)は2.95μmであり、ホール・フローは27.0秒間であった。
【0131】
2.99mmの直径、3.23mmの長さおよび3.05g/cmの圧縮密度を有するアノードを合金粉末からニオブ線上で1,150℃において20分間にわたり焼結することにより製造した。電極を0.25%のHPOを含有する電解質の中で40Vの最終電圧までアノード処理した。
【0132】
コンデンサー特性は10%HPO水溶液を用いることにより下記の通りであると測定された:キャパシタンス:290173μFV/g、漏れ電流:0.44nA/μFg。
【0133】
実施例16
水酸化タンタルをタンタルフルオロ錯体水溶液からアンモニアの添加により沈澱させた。沈澱した水酸化物を1100℃で4時間にわたりか焼して下記の物理的データを有するTa前駆体を与えた:フィッシャー・サブ・シーブ・サイザー(FSSS)での平均粒子直径:7.3μm、かさ密度(スコット):27.8g/インチ、比表面積(BET):0.36m/g、超音波を用いずに測定されたマスター・サイザーS上でのレーザー回折による粒子寸法分布:D10=15.07μm、D50=23.65μm、D90=34.03μm。
【0134】
集塊化した球の形態は図9A〜9C(SEM−写真)に示されている。
【0135】
300gの前駆体である五酸化物をふるいの上に置きそして124gのMg(五酸化物を金属に還元するのに必要な化学量論量の1.5倍)を図1に示されたレトルトの底に置いた。
【0136】
レトルトを空にし、アルゴンを充填しそして950℃に12時間にわたり加熱した。100℃以下への冷却および不動態化後に、生成物を23wt.−%の硫酸および5.5wt.−%の過酸化水素を含有する水溶液で浸出させそしてその後に水で中性となるまで洗浄した。生成物を50℃で一夜乾燥しそしてふるいにかけて<400μmにした。
【0137】
タンタル粉末は下記の分析データを示した:
平均粒子寸法(FSSS):1.21μm、
かさ密度(スコット):25.5g/インチ
BET表面:2.20m/g、
良好な流動性、
マスター・サイザーD10=12.38μm、D50=21.47μm、D90=32.38μm、
形態:図10A〜10C(SEM−写真)参照。
化学的分析:
O:7150ppm
N:488ppm
H:195ppm
C:50ppm
Si:30ppm
F:2ppm
Mg:6ppm
Na:1ppm
Fe:3ppm
Cr:<2ppm
Ni:<3ppm。
【0138】
粉末を静かに撹拌しながら1ml当たり1mgのPを含有するNHPO−溶液で洗浄し、150ppmのPでドーピングするために50℃で一夜乾燥しそしてふるいにかけて<400μmにした。
【0139】
コンデンサーアノードを0.047gのTa−粉末から各々5.0g/cmの圧縮密度において1260℃における10分間の保持時間で焼結することにより製造した。
【0140】
製造用電解質として0.1wt.−%のHPO溶液を用いて85℃で100分間にわたり保持された16Vの最終電圧までで生じた電流密度は150mA/gであった。
試験結果:
焼結密度:4.6g/cm
キャパシタンス:100577μFV/g
漏れ電流:0.73nA/μFV。
【0141】
実施例17
高純度の光学等級Taを最初に1700℃で4時間にわたりそしてその後900℃で16時間にわたりか焼してより密集しそしてより粗大な前駆体粒子を与えた。五酸化物粉末の物理的性質は以下の通りである:
平均粒子寸法(FSSS):20μm
かさ密度(スコット):39g/インチ
スクリーン分析:400〜500μm 8.7%
200〜400μm 63.6%
125〜200μm 15.0%
80〜125μm 7.2%
45〜 80μm 3.8%
<45μm 1.7%
形態は図11A〜11C(SEM−写真)に示されている。
【0142】
酸化物粉末を実施例16に記載されている通りであるが1000℃において6時間にわたり還元して金属にした。
浸出およびP−ドーピングは実施例16の通りであった。
【0143】
タンタル粉末は下記の分析データを示した:
平均粒子寸法(FSSS):2.8μm、
かさ密度(スコット):28.9g/インチ
BET表面:2.11m/g、
60°の角度および0.1インチの開口部を有する非振動漏斗中の流動性:35秒間で25g、
マスター・サイザーD10=103.29μm、D50=294.63μm、D90=508.5μm、
形態:図12A〜12C(SEM−写真)参照。
化学的分析:
O:7350ppm
N:207ppm
H:174ppm
C:62ppm
Mg:9ppm
Fe:5ppm
Cr:<2ppm
Ni:<3ppm。
P:150ppm
【0144】
コンデンサーアノードを実施例16の通りにして製造しそしてアノード処理した。
試験結果:
焼結密度:4.8g/cm
キャパシタンス:89201μFV/g
漏れ電流:0.49nA/μFV
【0145】
第2シリーズのコンデンサーを焼結温度を同じ方法であるが1310℃に高めて製造した。
試験結果:
焼結密度:5.1g/cm
キャパシタンス:84201μFV/g
漏れ電流:0.68nA/μFV
【0146】
実施例18
各々が約25グラムのWO、ZrO、およびVの7つのサンプルを気体状マグネシウムを用いて950℃において6時間にわたり個別に還元した。還元生成物を希硫酸を用いて浸出させて残存する酸化マグネシウムを除去した。生成物は各場合とも黒色の金属粉末であった。タングステンおよびジルコニウム粉末はそれぞれ5.9および9.6W/W%の酸素含有量を有しており、金属酸化物が金属状態に還元されたことを示している。
【0147】
この方法は高品質の化学的に還元されたニオブ粉末を製造する唯一の例示方法であるようである。ここに示されているようなマグネシウムの如き気体状還元剤を用いる金属酸化物の還元は従って金属−金属酸化物コンデンサー基質として使用可能な粉末を製造するために特に適する。この還元方法はマグネシウム気体源と接触している床の中で金属酸化物を用いて行われるが、マグネシウムまたは他の還元剤が気体状態で供給される限り還元を流動床、回転炉、フラッシュ反応器、複数炉床または同様なシステムの中で行うことができる。この方法は気体状マグネシウムまたは他の還元剤を用いる還元反応が負のギッブス自由エネルギー変化を有するような他の金属酸化物または金属酸化物混合物を用いても行
われるであろう。
【0148】
ここに記載された気体状還元方法には幾つかの利点がある。還元生成物の処理が溶融塩システムにおけるKTaFのナトリウム還元のような液相反応により製造されるタンタル粉末の後還元処理よりはるかに複雑でなく且つ費用がかからない。この方法では弗化物または塩化物残渣は製造されない。このことが考えられる深刻な廃棄問題や非常のかかる廃物回収システムを設置する必要性を除く。気体状還元剤を用いる金属酸化物の還元は溶融塩/ナトリウム還元方法により製造される粉末よりはるかに高い表面積を有する粉末を与える。新規な方法は従来方法と比べて非常に高い表面積を有する粉末を容易に製造し、マグネシウムまたは他の気体状還元剤を用いて非常に高性能のコンデンサー等級の粉末を製造する能力が大きい。
【0149】
本発明はさらにコンデンサーの製造における使用のためのTa−Nb合金粉末の優秀性を初めて示すものである。
【0150】
図16は合金組成に関する得られうる最大キャパシタンス(μFV/g)および粉末のBET−表面(m/g)の比を示す。AおよびCはこの実施例16で測定された純粋なTa−、Nb−粉末をそれぞれ表す。BはWO98/37249の実施例2、5および7に開示された純粋なTa粉末コンデンサーの既知の最高値を表す。線1は純粋なTa、およびNb粉末コンデンサーからの線状内挿による合金粉末コンデンサーに関する予測値を表す。Eは絶縁酸化物層がTa粉末コンデンサー中と同じボルト当たりの厚さを有するが酸化ニオブの誘電定数が異なる架空のNb−粉末コンデンサーを表す。線11はBとEの間の線状内挿を表す。Dは本実施例15で示されているような25wt.−%のTa/75wt.−%のNb合金粉末の測定値を表す。曲線IIIは本発明に従う合金粉末コンデンサーの合金組成に対するキャパシタンスの推定依存性を表す。
【0151】
図13は本発明の電解コンデンサー使用法を行うための段階のブロックダイアグラムである。これらの段階は気体状還元剤を用いる金属酸化物の還元、生じた金属の集合体からの還元剤酸化物の分離、粉末形態および/または一次粉末粒子寸法への崩壊、分類、場合により、集塊化した二次粒子を得るための予備焼結(調節された機械的方法および最初の還元または分離段階の調節も集塊を得るために有効である)、酸素濃度を減ずるための脱酸素反応、圧縮用結合剤または潤滑剤を用いてのまたは用いない冷均衡圧縮による一次または二次粒子から多孔性付着集合体への圧縮、多孔性アノード形態(これは細長い円筒状、またはスラブまたは例えば片の如き短い長さのものでありうる)への焼結、焼結されたアノード密集体への焼結または溶接前のアノード中への埋設によるアノード線連結、誘電性酸化物層を制定するための電解酸化による多孔性アノード内での露呈された金属表面の形成、多孔性集合体中への前駆体の含浸および含浸の1つもしくはそれ以上の段階または他の方法での熱分解による固体電極含浸、カソード完成、並びに包装を含んでなる。クリーニングおよび試験の種々の追加段階は示されていない。最終生成物は図15にTaもしくはNb(またはTa−Nb−合金)コンデンサー101として、逆−電極(カソード)104と溶接連結部107によりアノードに連結されているTaまたはNb(一般的には粉末組成と合致する)の密度の高いリード線106を有する包装用外装105とによって囲まれた固体電解質を含浸させた多孔性のTaもしくはNb(またはTa−Nb−合金)アノード102として、部分的な一部切り取り形で(円筒状形態で)示されている。以上で述べたように、それ自体既知である他のコンデンサー形態(異なる形状要素、異なる金属、異なる電解質システムアノード線連結器など)を本発明により得ることができる。
【0152】
図14はさらなる反応および/または焼結、熱均衡圧縮(H.I.P.)もしくは焼結/H.I.P.方法による強化のための片状の、成形形態のおよびルーズパック形態での粉末の使用を包含する本発明の他の誘導製品の一部の製造および用途をまとめて説明する
ブロックダイアグラムである。粉末それ自体および/または強化されたものは、複合体の製造において、燃焼において、化学合成において(還元剤として)または触媒作用において、合金製造(例えば鉄冶金)においてそしてコーテイングにおいて使用することができる。強化された粉末は粉砕製品および組み立て部品を製造するために使用することができる。
【0153】
ある場合には、気体還元で製造された粉末を用いて製造した最終用途製品は当該技術の従来法で製造された(例えば還元された)粉末の状態と似ているであろうしそして他の場合には製品は新規でありそして気体状還元剤による還元により製造された粉末のここに記載されたような独特な形態から生ずる独特な物理的、化学的または電気的特性を有するであろう。粉末製造から最終製品または最終用途へ進行する工程は粉末の程度、それを製造する方法に応じて変更され、変更した不純物特徴および形態を生ずる。
【0154】
粉砕製品および組み立て部品の製造は再溶融、鋳造、焼きなまし、分散強化およびそれ自体既知である他の人為操作を包含することができる。金属粉末のさらなる反応により製造される最終製品は高純度の酸化物、窒化物、珪化物およびさらに別の誘導体、例えば強誘電体中および光学用途で使用される複合セラミック、例えば灰チタン石(perovskite)構造のPMW化合物、を包含しうる。
【0155】
当業者には、前記の開示の字句および精神に一致しそして請求の範囲によってのみ限定される本特許の範囲内にある他の態様、改良、詳細事項、および使用を同等性の原理を包含する特許法に従い行えることがここに明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】本発明の実施のための処理システムの略図を示す。
【図2】本発明の実施のための処理システムの略図を示す。
【図3】本発明の実施のための処理システムの略図を示す。
【図4】本発明の実施のための処理システムの略図を示す。
【図5A】本発明に従い製造された粉末の走査電子顕微鏡写真(SEM)であり、当該技術の現状のまたは本発明に従わずに別の方法で製造された金属粉末の比較例の幾つかのSEMを包含する。
【図5B】本発明に従い製造された粉末の走査電子顕微鏡写真(SEM)であり、当該技術の現状のまたは本発明に従わずに別の方法で製造された金属粉末の比較例の幾つかのSEMを包含する。
【図5C】本発明に従い製造された粉末の走査電子顕微鏡写真(SEM)であり、当該技術の現状のまたは本発明に従わずに別の方法で製造された金属粉末の比較例の幾つかのSEMを包含する。
【図5D】本発明に従い製造された粉末の走査電子顕微鏡写真(SEM)であり、当該技術の現状のまたは本発明に従わずに別の方法で製造された金属粉末の比較例の幾つかのSEMを包含する。
【図5E】本発明に従い製造された粉末の走査電子顕微鏡写真(SEM)であり、当該技術の現状のまたは本発明に従わずに別の方法で製造された金属粉末の比較例の幾つかのSEMを包含する。
【図6】本発明に従い製造された粉末の走査電子顕微鏡写真(SEM)であり、当該技術の現状のまたは本発明に従わずに別の方法で製造された金属粉末の比較例の幾つかのSEMを包含する。
【図7A】本発明に従い製造された粉末の走査電子顕微鏡写真(SEM)であり、当該技術の現状のまたは本発明に従わずに別の方法で製造された金属粉末の比較例の幾つかのSEMを包含する。
【図7B】本発明に従い製造された粉末の走査電子顕微鏡写真(SEM)であり、当該技術の現状のまたは本発明に従わずに別の方法で製造された金属粉末の比較例の幾つかのSEMを包含する。
【図7C】本発明に従い製造された粉末の走査電子顕微鏡写真(SEM)であり、当該技術の現状のまたは本発明に従わずに別の方法で製造された金属粉末の比較例の幾つかのSEMを包含する。
【図8A】本発明に従い製造された粉末の走査電子顕微鏡写真(SEM)であり、当該技術の現状のまたは本発明に従わずに別の方法で製造された金属粉末の比較例の幾つかのSEMを包含する。
【図8B】本発明に従い製造された粉末の走査電子顕微鏡写真(SEM)であり、当該技術の現状のまたは本発明に従わずに別の方法で製造された金属粉末の比較例の幾つかのSEMを包含する。
【図8C】本発明に従い製造された粉末の走査電子顕微鏡写真(SEM)であり、当該技術の現状のまたは本発明に従わずに別の方法で製造された金属粉末の比較例の幾つかのSEMを包含する。
【図8D】本発明に従い製造された粉末の走査電子顕微鏡写真(SEM)であり、当該技術の現状のまたは本発明に従わずに別の方法で製造された金属粉末の比較例の幾つかのSEMを包含する。
【図9A】本発明に従い製造された粉末の走査電子顕微鏡写真(SEM)であり、当該技術の現状のまたは本発明に従わずに別の方法で製造された金属粉末の比較例の幾つかのSEMを包含する。
【図9B】本発明に従い製造された粉末の走査電子顕微鏡写真(SEM)であり、当該技術の現状のまたは本発明に従わずに別の方法で製造された金属粉末の比較例の幾つかのSEMを包含する。
【図9C】本発明に従い製造された粉末の走査電子顕微鏡写真(SEM)であり、当該技術の現状のまたは本発明に従わずに別の方法で製造された金属粉末の比較例の幾つかのSEMを包含する。
【図10A】本発明に従い製造された粉末の走査電子顕微鏡写真(SEM)であり、当該技術の現状のまたは本発明に従わずに別の方法で製造された金属粉末の比較例の幾つかのSEMを包含する。
【図10B】本発明に従い製造された粉末の走査電子顕微鏡写真(SEM)であり、当該技術の現状のまたは本発明に従わずに別の方法で製造された金属粉末の比較例の幾つかのSEMを包含する。
【図10C】本発明に従い製造された粉末の走査電子顕微鏡写真(SEM)であり、当該技術の現状のまたは本発明に従わずに別の方法で製造された金属粉末の比較例の幾つかのSEMを包含する。
【図11A】本発明に従い製造された粉末の走査電子顕微鏡写真(SEM)であり、当該技術の現状のまたは本発明に従わずに別の方法で製造された金属粉末の比較例の幾つかのSEMを包含する。
【図11B】本発明に従い製造された粉末の走査電子顕微鏡写真(SEM)であり、当該技術の現状のまたは本発明に従わずに別の方法で製造された金属粉末の比較例の幾つかのSEMを包含する。
【図11C】本発明に従い製造された粉末の走査電子顕微鏡写真(SEM)であり、当該技術の現状のまたは本発明に従わずに別の方法で製造された金属粉末の比較例の幾つかのSEMを包含する。
【図12A】本発明に従い製造された粉末の走査電子顕微鏡写真(SEM)であり、当該技術の現状のまたは本発明に従わずに別の方法で製造された金属粉末の比較例の幾つかのSEMを包含する。
【図12B】本発明に従い製造された粉末の走査電子顕微鏡写真(SEM)であり、当該技術の現状のまたは本発明に従わずに別の方法で製造された金属粉末の比較例の幾つかのSEMを包含する。
【図12C】本発明に従い製造された粉末の走査電子顕微鏡写真(SEM)であり、当該技術の現状のまたは本発明に従わずに別の方法で製造された金属粉末の比較例の幾つかのSEMを包含する。
【図13】粉末および誘導体の多様な使用法を示すフローチャートである。
【図14】粉末および誘導体の多様な使用法を示すフローチャートである。
【図15】コンデンサー(コンデンサー使用法の数種の形態の1つ)としての使用法に従う最終製品の図式的表示である。
【図16】合金組成についてのTa−Nb合金粉末のキャパシタンスおよび表面積の記録結果である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)気体が通過できる形態にある金属の酸化物または混合酸化物を準備し、
(b)水素含有気体を集合体の中に高められた温度で通し、
(c)酸化物中に含有される酸素の少なくとも20%を除去して亜酸化物が生成するように、酸化物の多孔度、還元反応の温度および時間を選択し、
(d)第二段階で亜酸化物を還元性金属および還元性金属の水素化物の群から選択される還元剤でさらに還元し、それにより酸化物を実質的に完全に還元してその金属部分を遊離させる
段階を含んでなる、Taおよび/またはNb並びにそれらの全てよりなる群からの金属粉末を、単独でまたはTi、Mo、W、HfおよびVおよびZrの群から選択される1種もしくはそれ以上の金属と共に製造する方法。
【請求項2】
還元剤がマグネシウムである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
100〜1000nmの粒子寸法を有する集塊化した一次粒子の形態のニオブ粉末であって、ここで集塊がマスターサイザーにより測定してD10=3〜80μm、D50=20〜250μmおよびD90=30〜400μmに相当する粒子寸法を有する請求項1または2に記載の方法により得られるニオブ粉末。
【請求項4】
合計金属含有量を基準として、40at.%までのTaを単独でまたはTi、Mo、W、Hf、VおよびZrの群から選択される少なくとも1種の金属の1種もしくはそれ以上と共に含有する請求項3に記載のニオブ粉末。
【請求項5】
2500〜4500ppm/mのBET表面の量の酸素、10,000ppmまでの窒素、150ppmまでの炭素および合計で500ppmより少ない不純物金属を含有する請求項3または4に記載のニオブ粉末。
【請求項6】
請求項3〜5の1つに記載の粉末の焼結およびアノード処理により得られるコンデンサーアノード。
【請求項7】
請求項6に記載のアノードを含有するコンデンサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【公開番号】特開2008−106364(P2008−106364A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−274870(P2007−274870)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【分割の表示】特願2000−616950(P2000−616950)の分割
【原出願日】平成11年5月5日(1999.5.5)
【出願人】(595021662)エイチ・シー・スタルク・インコーポレーテツド (4)
【出願人】(591007228)エイチ・シー・スタルク・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (20)
【氏名又は名称原語表記】H.C.Starck Gmbh
【Fターム(参考)】