説明

気流通路形成構造、ホッパユニット、および気流形成方法

【課題】成形機に供給される粉粒体に、成形機内で生じたガスが付着することを防止できる、気流通路形成構造、ホッパユニット、および気流形成方法を提供すること。
【解決手段】樹脂成形装置1は、ホッパ3と、成形機2と、ホッパ3および成形機2を接続する接続部材4と、接続部材4内を吸引する吸引装置5とを備えている。樹脂成形の材料としての粉粒体は、ホッパ3の排出口13から、接続部材4に形成された材料通路35を通過方向Tに通って、成形機2のシリンダ6の受入口9に供給される。シリンダ6内では、粉粒体が加熱溶融されることでガスが生じ、このガスの流れGが受入口9からホッパ3の排出口13に向かおうとする。一方、吸引装置5が、接続部材4の気流通路29内および材料通路35内を吸引しているので、材料通路35には、水平方向Hの気流Fが生じている。この気流Fにより、ガスの流れGがホッパ3の排出口13に向かうことが阻止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気流通路形成構造、ホッパユニット、および気流形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、樹脂成形の材料としての樹脂ペレットは、投入ホッパから、押出成形機や射出成形機などの、シリンダおよびスクリューを備える溶融成形機に投入される。樹脂ペレットは、その溶融成形機において加熱溶融された後、所定形状に成形される。
しかるに、樹脂ペレットは、シリンダ内において、加熱により酸化劣化する場合がある。その場合には、得られる成形品には黄色に変色しているなどの成形不良が発生する。
【0003】
そのような成形不良を防止すべく、投入ホッパ内を減圧することにより、投入ホッパ内の酸素濃度を低下させることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の提案では、投入ホッパ内を減圧するため、シリンダ内において、加熱により樹脂ペレットから揮発するガスが投入ホッパ内に流入する。その結果、ガスが投入ホッパ内の樹脂ペレットと接触し、あるいは、付着して、やはり、成形不良を生じる場合がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、成形機に供給される粉粒体に成形機内のガスが付着することを防止できる、気流通路形成構造、ホッパユニット、および気流形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、気流通路形成構造であって、樹脂成形の材料としての粉粒体が、ホッパの排出口から、前記粉粒体を溶融成形する成形機の受入口に供給されるときに、前記粉粒体が通過する材料通路を形成する材料通路形成部と、前記材料通路における前記粉粒体の通過方向と交差する交差方向の気流を前記材料通路に与えるために、前記材料通路に連通する気流通路を形成する気流通路形成部とを備え、前記気流通路の一端は、前記材料通路形成部の内面に開口していることを特徴としている。
【0007】
このような構成によると、粉粒体が加熱溶融されることで成形機内の粉粒体からガスが生じることがある。このガスは、成形機の受入口から材料通路を通ってホッパの排出口に流れようとする。しかしながら、材料通路における粉粒体の通過方向と交差する交差方向の気流が、材料通路に流れるようになっている。この気流により、材料通路を通るガスがホッパの排出口に流れることを阻止できる。したがって、ガスがホッパの排出口を通ってホッパ内の粉粒体に付着することを防止できる。また、たとえば、材料通路内に気流通路形成部を配置して気流通路の一端を材料通路の中央に配置する場合には、材料通路の外周付近で十分な気流を生じさせることができずに、成形機からのガスを気流で確実には捕集できないおそれがある。したがって、この場合には、成形機で発生し材料通路を通るガスがホッパ排出口に流れることを防止する効果は低い。しかし、本発明の構成では、気流通路の一端が材料通路形成部の内面に開口しているので、材料通路のうち外周領域を含む広い範囲に気流を生じることができる。したがって、成形機で発生し材料通路を通るガスがホッパ排出口に流れることを防止する効果は高い。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記気流通路形成部は、第1気流通路を形成する第1気流通路形成部と、第2気流通路を形成する第2気流通路形成部とを含み、前記第1気流通路の一端が前記材料通路に臨んでおり、前記第2気流通路の一端が前記材料通路に臨んでおり、前記材料通路における前記粉粒体の通過方向に投影したとき、前記第1気流通路の前記一端の中心と前記第2気流通路の前記一端の中心とを結ぶ仮想線分は、前記材料通路を通過していることを特徴としている。
【0009】
このような構成によると、第2気流通路から、材料通路を通って第1気流通路に向かう気流を生じることができる。したがって、材料通路において、交差方向の気流をより確実に生じることができる。結果として、成形機からのガスがホッパの排出口に流れることをより確実に防止できる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記気流通路形成構造が接続される前記成形機は、前記受入口から受入れた前記粉粒体を、所定の材料搬送方向に沿って搬送しながら前記粉粒体を溶融するものであり、前記材料通路における前記粉粒体の通過方向に投影したとき、前記仮想線分は、前記材料搬送方向と略直交していることを特徴としている。
【0010】
このような構成によると、成形機内からのガスは、材料搬送方向に流れつつ、受入口を通って接続部材の材料通路を通過する。一方、前記材料通路における前記粉粒体の通過方向に投影したとき、材料通路には、材料搬送方向と略直交する気流が流れている。したがって、成形機内からのガスを、より確実に気流に衝突させることができる。結果として、ガスがホッパ内に侵入することをより確実に抑制できる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の発明において、前記気流通路形成部は、前記第1気流通路内を吸引する吸引装置、および前記第2気流通路内に不活性ガスまたは乾燥処理が施されたガスを供給するガス供給装置の少なくとも一方と接続されていることを特徴としている。
このような構成によると、吸引装置が第1気流通路内を吸引することにより、第2気流通路から材料通路を通って第1気流通路に進む気流と、成形機内から材料通路を通って第1気流通路に進む気流と、を生じることができる。したがって、材料通路内のより広い範囲に亘って気流を生じることができる。結果として、成形機内で発生したガスをこの気流で確実に気流通路に排出できる。
【0012】
また、ガス供給装置から第2気流通路内に不活性ガスまたは乾燥ガスを供給することにより、不活性ガスまたは乾燥ガスの気流を生じることができる。この気流は、第2気流通路から材料通路を通って第1気流通路に進む。したがって、成形機内のガスをこの気流で確実に気流通路に排出できる。
なお、第1気流通路内を吸引し、かつ、第2気流通路内に不活性ガスまたは乾燥ガスを供給することが、より好ましい。この場合、第1気流通路内の吸引と、第2気流通路内への不活性ガスまたは乾燥ガスの供給との相乗効果により、成形機内からのガスを第1気流通路に排出できる効果を顕著に向上できる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記気流通路形成部は、前記気流通路内を吸引する吸引装置、または前記気流通路内に不活性ガスもしくは乾燥処理が施されたガスを供給するガス供給装置と接続されていることを特徴としている。
このような構成によると、吸引装置によって気流通路内を吸引するという簡易な構成により、交差方向の気流を、材料通路に発生させることができる。結果として、粉粒体の加熱溶融によるガスを排出することができるので、ホッパ内にこのガスが侵入することを防ぐ効果が高い。また、ガス供給装置によって気流通路内に不活性ガスまたは乾燥処理が施されたガスを供給するという簡易な構成により、交差方向の気流を、材料通路に発生させることができる。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5の発明において、前記気流通路形成構造が接続される前記成形機は、前記成形機内での前記材料の搬送方向において前記受入口よりも上流側で前記成形機の内外間の気体の通過を許容する許容部を備えるものであり、前記吸引装置が、前記気流通路内を吸引するときは、気体が、前記許容部を通って前記成形機内に吸引され、さらに、前記受入口、前記材料通路および前記気流通路を通り、前記ガス供給装置が、前記気流通路内に前記ガスを供給するときは、前記ガスが、前記気流通路、前記材料通路および前記受入口を通って前記成形機内に送られ、さらに、前記許容部から排出されることを特徴としている。
【0015】
このような構成によると、吸引装置の吸引を行うときは、空気などの気体が、前記許容部を通って前記成形機内に吸引され、さらに、前記受入口、前記材料通路および前記気流通路を通る。したがって、成形機内、材料通路および気流通路での気体の流れを良くできる。結果として、粉粒体からのガスを、確実に材料通路から排出することができる。また、ガス供給装置によるガスの供給を行うときは、このガスは、前記気流通路、前記材料通路および前記受入口を通って前記成形機内に送られ、さらに、前記許容部から排出される。したがって、ガス供給装置からのガスを材料通路から受入口に送り出すことができる。結果として、粉粒体の加熱溶融により生じたガスが材料通路を上昇することを、より確実に防止できる。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の発明において、前記接続部材が接続される前記ホッパ内の空間は、前記排出口を除いて密閉されていることを特徴としている。
このような構成によると、ホッパ内で気流が生じ難くされているので、成形機内からのガスがホッパ内に侵入することをより確実に抑制できる。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の発明において、前記粉粒体を加熱するためのヒータをさらに備えることを特徴としている。
このような構成によると、接続部材を通過する材料を予め加熱しておくことができるので、成形機内で粉粒体を加熱溶融する時間を短くできる。したがって、成形機による樹脂成形作業を、より迅速に行うことができる。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の発明において、前記材料通路を取り囲む環状気流通路をさらに備え、前記環状気流通路と前記気流通路の一端とが重なり、前記環状気流通路の内側に、前記材料通路形成部の内面を形成する多孔板が配置されていることを特徴としている。
このような構成によると、多孔板を設けていることにより、気流通路と材料通路との間で気流が生じるようにしつつ、粉粒体が材料通路から気流通路に入ってしまうことを防止できる。
【0019】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記多孔板は環状に形成され、前記多孔板には、前記多孔板の周方向の全域にわたって多数の貫通孔が形成されていることを特徴としている。
このような構成によると、多孔板の周方向の全域にわたって、材料通路に気流を生じさせることができる。その結果、成形機からのガスを、材料通路内で気流によって、より確実に捕集することができる。
【0020】
請求項11に記載の発明は、ホッパユニットであって、樹脂成形の材料としての粉粒体を溜めることが可能であり、かつ、前記粉粒体を排出するための排出口が形成されたホッパと、前記ホッパとは別体または一体に形成された、請求項1ないし10のいずれかに記載の気流通路形成構造とを備え、前記排出口から排出された前記粉粒体が前記材料通路を通過可能であることを特徴としている。
【0021】
このような構成によると、成形機内で生じたガスがホッパ内の粉粒体に付着することを防止できる。
請求項12に記載の発明は、気流形成方法であって、樹脂成形の材料としての粉粒体が、ホッパの排出口から前記粉粒体を溶融成形する成形機の受入口に供給されるときに通過する材料通路を形成する材料通路形成部の内面に、気流通路の一端を開口させておき、前記気流通路に気流を生じさせることにより、前記材料通路に、前記材料通路における前記粉粒体の通過方向と交差する交差方向の気流を生じさせることを特徴としている。
【0022】
このような構成によると、粉粒体が加熱溶融されることで成形機内の粉粒体からガスが生じることがある。このガスは、成形機の受入口から材料通路を通ってホッパの排出口に流れようとする。しかしながら、材料通路における粉粒体の通過方向と交差する交差方向の気流が、材料通路に流れるようになっている。この気流により、材料通路を通るガスがホッパの排出口に流れることを阻止できる。したがって、ガスがホッパの排出口を通ってホッパ内の粉粒体に付着することを防止できる。また、たとえば、材料通路内に気流通路形成部を配置して気流通路の一端を材料通路の中央に配置する場合には、材料通路の外周付近で十分な気流を生じさせることができずに、成形機からのガスを気流で確実には捕集できないおそれがある。したがって、この場合には、成形機で発生し材料通路を通るガスがホッパ排出口に流れることを防止する効果は低い。しかし、本発明の構成では、気流通路の一端が材料通路形成部の内面に開口しているので、材料通路のうち外周領域を含む広い範囲に気流を生じることができる。したがって、成形機で発生し材料通路を通るガスがホッパ排出口に流れることを防止する効果は高い。
【発明の効果】
【0023】
以上述べたように、請求項1記載の発明によれば、成形機内で生じたガスがホッパ内の粉粒体に付着することを防止できる。
請求項2に記載の発明によれば、材料通路において、交差方向の気流をより確実に生じることができる。
請求項3に記載の発明によれば、成形機内からのガスを、より確実に気流に衝突させることができるので、ガスがホッパ内に侵入することをより確実に抑制できる。
【0024】
請求項4に記載の発明によれば、吸引装置が第1気流通路内を吸引することにより、材料通路内のより広い範囲に亘って気流を生じることができる。結果として、成形機内で粉粒体から発生したガスをこの気流で確実に気流通路に排出できる。
また、ガス供給装置から第2気流通路内に不活性ガスまたは乾燥ガスを供給することにより生じた気流で、成形機内のガスを確実に気流通路に排出できる。
【0025】
請求項5に記載の発明によれば、吸引装置によって気流通路内を吸引することにより、材料通路に気流を発生させることができる。粉粒体の加熱溶融によるガスを排出するので、ホッパ内にこのガスが侵入することを防ぐ効果が高い。また、ガス供給装置によって気流通路内にガスを供給することにより、材料通路に気流を発生させることができる。
請求項6に記載の発明によれば、吸引装置の吸引によって、粉粒体の加熱溶融によるガスを確実に材料通路から排出することができる。また、ガス供給装置によるガスの供給によって、粉粒体の加熱溶融によるガスが材料通路を上昇することを、より確実に防止できる。
【0026】
請求項7に記載の発明によれば、成形機内からのガスがホッパ内に侵入することをより確実に抑制できる。
請求項8に記載の発明によれば、成形機による樹脂成形作業をより迅速に行うことができる。
請求項9に記載の発明によれば、気流通路と材料通路との間で気流が生じるようにしつつ、粉粒体が材料通路から気流通路に入ってしまうことを防止できる。
【0027】
請求項10に記載の発明によれば、成形機からのガスを、材料通路内で気流によって、より確実に捕集することができる。
請求項11に記載の発明によれば、成形機内で生じたガスがホッパ内の粉粒体に付着することを防止できる。
請求項12記載の発明によれば、成形機内で生じたガスがホッパ内の粉粒体に付着することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の樹脂成形装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】接続部材の周辺の構成を一部断面で示す模式図である。
【図3】本発明の樹脂成形装置の別の実施形態の要部の構成を一部断面で示す模式図である。
【図4】本発明の樹脂成形装置のさらに別の実施形態の要部の構成を一部断面で示す模式図である。
【図5】図5のV−V線に沿う断面およびその周辺の模式図である。
【図6】本発明のさらに別の実施形態の要部の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の好ましい実施形態を添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の気流通路形成構造およびホッパユニットを備える樹脂成形装置の一実施形態を示す概略構成図である。この樹脂成形装置1は、溶融成形機としての成形機2と、その成形機2に樹脂成形の材料としての粉粒体を供給するためのホッパ3と、成形機2とホッパ3とを接続する接続部材4と、接続部材4に接続された吸引装置5とを備えている。ホッパ3と接続部材4とにより、ホッパユニット75が形成されている。本実施形態では、ホッパ3と接続部材4とは別体に形成されている。なお、ホッパ3と接続部材4とは一体に形成されていてもよい。
【0030】
成形機2は、樹脂ペレット、粉砕材、マスターバッチおよび添加剤などを含む粉粒体を溶融して所定の形状に形成するためのものである。成形機2は、たとえば、射出成形機や押出成形機などにより構成されている。
この成形機2は、シリンダ6と、そのシリンダ6内において回転自在に設けられるスクリュー7と、そのスクリュー7を駆動するためのモータ8とを備えている。シリンダ6は、筒状をなし、成形機2における粉粒体の材料搬送方向Aに延びている。材料搬送方向Aは、スクリュー7の軸線方向に沿ってまっすぐに延びている。シリンダ6の一端部の上側に、粉粒体を受け入れる筒状の受入口9が形成されている。
【0031】
また、シリンダ6の一端部は、スクリュー7を回転自在に支持している。スクリュー7の螺旋羽根76は、左ねじ形状に形成されており、材料搬送方向Aに進むに従い、反時計回りに進んでいる。シリンダ6の一端部とスクリュー7の軸部77との間には、数十μm程度の幅のシール隙間を形成する許容部60が形成されている。許容部60は、シリンダ6の内側と外側とを連通している。許容部60により、シリンダ6の内側と外側との間の気体の通過が許容されている。
【0032】
許容部60は、受入口9よりも材料搬送方向Aの上流側に配置されている。許容部60は、後述する第1ヒータ59によっては加熱されない領域に配置されている。シリンダ6の他端部には、溶融された樹脂を押し出すための吐出部10が設けられている。
また、このシリンダ6における受入口9よりも他端側には、シリンダ6内の粉粒体を溶融するための第1ヒータ59が、軸方向に沿って設けられている。モータ8は、スクリュー7の軸方向一端部に連結されている。このモータ8の駆動により、スクリュー7をシリンダ6内で回転させる。成形機2では、受入口9から受け入れた粉粒体を材料搬送方向Aに沿って搬送し、粉粒体を吐出部10に向けて第1ヒータ59で加熱し、次第に溶融しながら移動させる。
【0033】
ホッパ3は、成形機2に供給される粉粒体を溜めておくものであり、成形機2の上方に配置されている。このホッパ3は、相対的に大径に形成された筒状の胴部11と、相対的に小径に形成された筒状の排出部12と、胴部11の上端を塞ぐ蓋78と、を備えている。ホッパ3の空間は、排出部12に形成された排出口13以外が、ホッパ3の外部空間に対して密閉されている。
【0034】
胴部11の下部は、下側に向かうに従い直径が小さくなるテーパ状に形成されている。排出部12は、鉛直方向Vに沿って真直ぐに延びており、上端が胴部11の下端に接続されている。排出部12によって形成された円柱状の空間が、排出口13とされている。排出口13は、胴部11内の空間に連通しており、胴部11内に溜められたホッパ3は、自重によって、排出口13に落下する。
【0035】
ホッパ3の胴部11には、図示しない気力輸送装置が接続されており、原料ホッパに溜められた粉粒体が、気力輸送装置によってホッパ3内に気力輸送されるようになっている。
図2は、接続部材4の周辺の構成を一部断面で示す模式図である。図2を参照して、ホッパ3の排出部12の下端には、環状のフランジ14が設けられている。このフランジ14に接するように接続部材4が配置されている。
【0036】
接続部材4は、本体15と、本体15に保持された多孔板としてのパンチングメタル16と、本体15の外周に巻かれた第2ヒータ79と、を備えている。
本体15は、たとえば、所定の厚みを有する円板状の金属片を用いて形成されている。本体15は、上端面17と、下端面18と外周面19とを備えている。上端面17は、ホッパ3の環状フランジ14の下端面20に突き合わされている。環状フランジ14と本体15とは、図示しないねじ部材などを用いて固定されている。
【0037】
本体15には、この本体15を鉛直方向Vに貫通する貫通孔21が形成されている。この貫通孔21は、本体15の上端面17および下端面18のそれぞれに開放されている。したがって、貫通孔21は、排出口13および受入口9の双方に連通している。
本体15における貫通孔21の内周面22のうち、鉛直方向Vの中間部には、環状溝部23が形成されている。環状溝部23は、パンチングメタル16を保持するためのものであり、本体15において、貫通孔21の周方向の全域に形成されている。
【0038】
本体15には、環状溝部23の径方向外方に配置された、環状気流通路形成部24が形成されている。環状気流通路形成部24は、環状溝部23内の空間、および後述する材料通路35を取り囲む環状をなしている。環状気流通路形成部24の縦断面形状は、溝形形状であり、環状溝部23内に開放している。
鉛直方向Vにおいて、環状気流通路形成部24の長さは、環状溝部23の長さよりも短い。環状溝部23は、環状気流通路形成部24に対して上方および下方にそれぞれ突出している。環状気流通路形成部24によって、環状気流通路25が形成されている。
【0039】
本体15には、環状気流通路形成部24に連なる第1気流通路形成部26が形成されている。第1気流通路形成部26は、環状気流通路形成部24に対して貫通孔21の径方向外方に延びている。第1気流通路形成部26は、環状気流通路形成部24と本体15の外周面19との間に本体15の径方向に沿って直線状に延びている。第1気流通路形成部26によって、円柱状空間としての第1気流通路27が形成されている。第1気流通路27は、材料搬送方向A(スクリュー7の軸線方向)と平行である
第1気流通路27は、貫通孔21の周方向において、たとえば1箇所に形成されている。第1気流通路27の一端27aは、環状気流通路25に重なっており、パンチングメタル16の内周面33(材料通路形成部34の内面)に開口している。第1気流通路27の他端27bは、本体15の外周面19に開放されている。第1気流通路27の一端27aは、後述する材料通路35に臨んでいる。
【0040】
第1気流通路27は、後述する材料通路35における粉粒体の通過方向Tとは交差する交差方向としての水平方向Hに真直ぐ延びている。第1気流通路27は、環状気流通路25から、材料搬送方向Aとは反対の方向としての反対方向B側に延びている。
第1気流通路形成部26によって、気流通路形成部28が形成されている。また、第1気流通路27によって、気流通路29が形成されている。
【0041】
また、本体15における貫通孔21の内周面22は、環状溝部23に対して鉛直方向Vの上側にある上側内周面31と、鉛直方向Vの下側にある下側内周面32とを含んでいる。
パンチングメタル16は、環状の金属板であり、パンチングメタル16の周方向の全域に亘って多数の貫通孔45が形成された部材である。パンチングメタル16の材料としては、熱伝導性に優れたアルミニウム合金を例示できる。このパンチングメタル16は、環状溝部23に嵌め込まれることで本体15に保持されており、環状気流通路25の内側に配置されている。パンチングメタル16の内周面33は、本体15における貫通孔21の上側内周面31および下側内周面32の双方と面一に並んでいる。
【0042】
これらパンチングメタル16の内周面33、上側内周面31および下側内周面32によって、環状の材料通路形成部34が形成されている。この材料通路形成部34により、円柱状空間としての材料通路35が形成されている。
材料通路35の上端は、ホッパ3の排出口13と連通しており、下端は、成形機2の受入口9と連通している。また、材料通路35と環状気流通路25との連通部分にパンチングメタル16が配置されている。材料通路35は、パンチングメタル16の貫通孔45を介して環状気流通路25と連通している。パンチングメタル16の外周面46は、環状気流通路25に臨んでいる。
【0043】
本体15の下端面18は、シリンダ6の外周面に形成された座部36の上端面に突き合わされている。本体15とシリンダ6とは、図示しないボルトなどを用いて互いに固定されている。
吸引装置5は、環状気流通路25、気流通路29および材料通路35に負圧を生じさせることにより、これら環状気流通路25、気流通路29内および材料通路35内に気流を生じさせるものである。吸引装置5は、吸引管37と、吸引管37に設けられた吸引ブロワ39と、吸引ブロワ39に接続された排気管71と、液槽72とを備えている。
【0044】
本実施形態では、吸引ブロワ39を用いて環状気流通路25内、気流通路29内および材料通路35内を真空(負圧)となるように吸引する構成としている。なお、エジェクタや真空ポンプなど、他の真空発生手段を用いて環状気流通路25内や、気流通路29内や材料通路35内を真空(負圧)となるように吸引してもよい。
吸引管37の一端は、本体15の貫通孔21の径方向における第1気流通路形成部26の外側端部に接続されている。吸引管37の他端には、吸引ブロワ39の吸気口が接続されている。吸引ブロワ39の排気口には、排気管71の一端が接続されている。排気管71の他端は、液槽72内に開放されている。液槽72は、ガス回収用の媒体(たとえば、水)が溜められており、この媒体内に排気管71の他端が配置されている。
【0045】
第2ヒータ79は、材料通路35を通過する粉粒体を加熱するためのものである。粉粒体は、第1ヒータ59で本加熱される前に、第2ヒータ79によって予熱される。第2ヒータ79は、たとえば、ラバーヒータにより構成されている。ラバーヒータは、ニッケル合金などの発熱抵抗体を、シリコンゴムシートなどの絶縁材で挟み込んだものである。
第2ヒータ79は、本体15の外周面19に略全周に亘って巻かれている。第2ヒータ79は、吸引管37を避けて配置されている。第2ヒータ79によって、本体15およびパンチングメタル16が加熱される。その結果、パンチングメタル16の内側の材料通路35内の粉粒体が加熱される。
【0046】
樹脂成形を行っているときには、ホッパ3から材料通路35を通って成形機2の受入口9に粉粒体が供給される。このとき、成形機2内にも粉粒体が満杯にされていることから、粉粒体は、材料通路35を、たとえば1時間程度かけてゆっくりと通過する。
樹脂成形を行っているときには、吸引ブロワ39が運転されている。吸引ブロワ39の運転により、吸引管37、第1気流通路27、環状気流通路25および材料通路35が吸引されている。したがって、環状気流通路25および材料通路35には、水平方向Hの気流Fが生じる。この水平方向Hは、材料通路35における粉粒体の通過方向Tと略直交する方向である。
【0047】
吸引管37に吸引された気体は、吸引ブロワ39によって排気管71に送られ、排気管71から液槽72の媒体内に吐出される。シリンダ6内で第1ヒータ59によって粉粒体が加熱されることにより生じたガスは、液槽72内の媒体に吸収されたり、この媒体によって固化されることで回収される。結果、粉粒体からのガスが大気に放出されて大気を汚染することが抑制されている。また、液槽72で粉粒体からのガスを容易に回収できるので、ガス回収にかかる手間が少なくて済む。
【0048】
上記の樹脂成形装置1において、ホッパ3の排出口13から連続的に排出された粉粒体は、材料通路35を、鉛直方向Vに沿う粉粒体の通過方向Tに通過する。材料通路35を通過した粉粒体は、さらに、成形機2の受入口9を通ってシリンダ6内に供給される。
シリンダ6の受入口9からシリンダ6の内側へ入った粉粒体は、スクリュー7の回転により、シリンダ6の一端から他端に送られつつ、第1ヒータ59によって加熱されて溶融される。シリンダ6内で粉粒体が加熱溶融されることにより、それまで粉粒体に含まれていた水分や揮発成分などが揮発する。すると、水蒸気や有機成分あるいは無機成分のガスが生じ、このガスがシリンダ6内に溜まる。そして、このガスは、矢印Gで示すように、シリンダ6の受入口9から材料通路35を通って上昇していく。
【0049】
一方、吸引式ブロワ39が第1気流通路27内を材料搬送方向Aの上流側から吸引することにより、第1気流通路27、環状気流通路25、材料通路35およびシリンダ6内が吸引される。すると、材料通路35には、水平方向Hに沿う気流Fが生じる。この気流Fは、材料通路35からパンチングメタル16の貫通孔45を通って環状気流通路25に向かい、さらに第1気流通路27に向かう。第1気流通路27に到達した気流は、さらに吸引管37に向かい、吸引ブロワ39から排気管71を通って、液槽72に溜められた媒体内に排出される。
【0050】
材料通路35に気流Fが生じているとき、空気が、シリンダ6の許容部60(図1参照)からシリンダ6内に入り、シリンダ6内を材料搬送方向Aに沿って流れ、シリンダ6内で粉粒体から発生したガスと混ざる。このガスは、さらに、成形機2の受入口9から材料通路35を上昇する。このときのガスの流れGは、材料通路35の途中で水平方向Hに向きを変え、環状気流通路25、第1気流通路27および吸引管37を通る。
【0051】
このように、シリンダ6内を材料搬送方向Aに沿って進んだガスの流れGの少なくとも一部は、材料通路35で反対方向Bに折り返されるように進み、環状気流通路25内および第1気流通路27内を進む。その結果、シリンダ6内で生じたガスは、吸引ブロワ39から排出される。よって、このガスの流れGは、ホッパ3の排出口13にまで到達しない。ホッパ3内の空間は、排出部12以外が密閉されているので、ホッパ3内では気流は実質的に生じない。
【0052】
以上説明したように、本実施形態によれば、粉粒体が加熱溶融されることで成形機2内の粉粒体からガスが生じる。このガスは、成形機2のシリンダ6の受入口9から材料通路35を通ってホッパ3の排出口13に流れようとする。しかしながら、材料通路35における粉粒体の通過方向Tと交差する水平方向Hの気流Fが、材料通路35に流れるようになっている。この気流Fにより、材料通路35を通るガスがホッパ3の排出口13に流れることを阻止できる。したがって、ガスがホッパ3の排出口13を通ってホッパ3内の粉粒体に付着することを防止できる。
【0053】
また、たとえば、材料通路内に気流通路形成部を配置して気流通路の一端を材料通路の中央に配置する場合には、材料通路の外周付近で十分な気流を生じさせることができずに、成形機からのガスを気流で確実には捕集できないおそれがある。したがって、この場合には、成形機で発生し材料通路を通るガスがホッパ排出口に流れることを防止する効果は低い。しかし、本実施形態では、第1気流通路27の一端27aが材料通路形成部34の内周面33に開口しているので、材料通路35のうち外周領域を含む広い範囲に気流を生じることができる。したがって、成形機2で発生し材料通路35を通るガスがホッパ2の排出口13に流れることを防止する効果は高い。
【0054】
さらに、吸引装置5によって気流通路29内を吸引するという簡易な構成により、材料通路35に気流Fを発生させることができる。結果として、粉粒体の加熱溶融によるガスを液槽72に排出するので、ホッパ3内にこのガスが侵入することを防ぐ効果が高い。
また、吸引装置5の吸引によって、空気などの気体が、シリンダ6の許容部60を通って成形機2のシリンダ6内に吸引され、さらに、受入口9、材料通路35および気流通路29を通る。したがって、成形機2内、材料通路35内および気流通路29内での気体の流れを良くできる。結果として、粉粒体からのガスを確実に材料通路35から排出することができる。
【0055】
さらに、ホッパ3内の空間は、排出口13を除いて密閉されていることにより、ホッパ3内で気流が生じ難くされている。したがって、ホッパ3の排出口13からホッパ3内へ流れる気流が発生し難い。結果として、成形機2内で粉粒体から発生したガスがホッパ3内に侵入することをより確実に抑制できる。
また、第2ヒータ79が設けられていることにより、接続部材4の材料通路35を通過する材料を、第1ヒータ59で加熱する前に予熱しておくことができる。したがって、成形機2内で粉粒体を加熱溶融する時間を短くできる。結果、成形機2による樹脂成形作業をより迅速に行うことができる。
【0056】
さらに、環状気流通路25の内側にパンチングメタル16を配置している。したがって、環状気流通路25と材料通路35との間で気流Fが生じるようにしつつ、粉粒体が材料通路35から環状気流通路25に入ってしまうことを防止できる。
また、パンチングメタル16には、パンチングメタル16の周方向の全域にわたって多数の貫通孔45が形成されている。したがって、パンチングメタル16の周方向の全域にわたって、材料通路35に気流Fを生じさせることができる。結果、成形機2からのガスを、材料通路35で気流Fによって、より確実に捕集することができる。
【0057】
本発明は、以上の実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、吸引装置5に代えて、図3に示すように、不活性ガス供給装置としての窒素ガス供給装置41を設けてもよい。窒素ガス供給装置41によって、環状気流通路25内、気流通路29内および材料通路35内に窒素ガスを加圧供給することができる。結果、材料通路35の少なくとも一部で水平方向Hを向く気流F’を生じさせることができる。
【0058】
なお、以下では、図2に示す構成と異なる点について説明し、同様の構成には図に同様の符号を付してその説明を省略する。窒素ガス供給装置41は、吐出管44と、フィルタ38と、窒素発生器43と、加圧ポンプ42とを備えている。
吐出管44の一端は、第1気流通路形成部26に接続されている。吐出管44の中間部に、フィルタ38および窒素発生器43が設けられている。吐出管44の他端に加圧ポンプ42が設けられている。
【0059】
加圧ポンプ42から窒素発生器43に送り込まれた外気(空気)のうち、実質的に窒素ガスのみが窒素発生器43を通過し、吐出管44に吐出される。窒素発生器43から吐出された窒素ガスは、吐出管44を通って、材料搬送方向Aの上流側から第1気流通路27に入る。第1気流通路27に入った窒素ガスは、さらに、環状気流通路25およびパンチングメタル16の貫通孔45を通って材料通路35に供給される。すると、材料通路35の少なくとも一部において、粉粒体の通過方向Tと交差する水平方向Hの気流F’が生じる。この気流F’は、さらに、受入口9側へ向かい、シリンダ6内を反対方向Bに沿って流れ、シリンダ6の許容部60から排出される。
【0060】
このとき、粉粒体の加熱溶融により生じたガスの流れGは、成形機2の受入口9から材料通路35には向かわず、許容部60側に流れる。このように、粉粒体からのガスは、ホッパ3の排出口13には至らないようにされている。ホッパ3内は、排出部12以外が密閉されており、高圧のホッパ3内には気流が生じない。
本実施形態によれば、窒素ガス供給装置41によって気流通路29に窒素ガスを供給するという簡易な構成により、材料通路35に気流F’を発生することができる。しかも、材料通路35内に窒素ガスを供給することにより、ホッパ3内などの、材料通路35周辺の領域を、不活性ガス雰囲気にすることができ、ホッパ3内などの粉粒体が酸化により劣化することを防止できる。
【0061】
また、窒素ガス供給装置41による窒素ガスの供給によって、窒素ガスは、気流通路29、材料通路35および受入口9を通って成形機2のシリンダ6内に送られ、さらに、シリンダ6の許容部60から排出される。したがって、窒素ガスを材料通路35から受入口9に送り出すことができる。結果、粉粒体の加熱溶融により生じたガスが材料通路35を上昇することを、より確実に防止できる。
【0062】
図4は、本発明のさらに別の実施形態の要部の構成を一部断面で示す模式図である。図5は、図4のV−V線に沿う断面およびその周辺の模式図である。
なお、以下では、図2に示す実施の形態と異なる点について主に説明する。図2に示す構成または図3に示す構成と同様の構成には、図に同様の符号を付してその説明を省略する。
【0063】
図4および図5を参照して、本実施形態と図2に示す実施形態とは、主に以下の3点で異なる。まず、(1)気流通路形成部28に第2気流通路形成部80が追加されていることにより、気流通路29に第2気流通路81が追加されている点が異なる。また、(2)第1気流通路27および第2気流通路81における気流の流れ方向J1,J2が互いに関連付けられている点が異なる。また、(3)気流通路29に、吸引装置5と、窒素ガス供給装置41の両方が接続されている点が異なる。
【0064】
図4を参照して、上記(1)について、成形機2を材料搬送方向Aに投影したとき、第1気流通路形成部26は、材料通路35の一方(左側)に配置されており、第2気流通路形成部80は、材料通路35の他方(右側)に配置されている。第2気流通路形成部80は、環状気流通路形成部24と、本体15の外周面19との間に直線状に延びている。第2気流通路形成部80によって、円柱状空間としての第2気流通路81が形成されている。第2気流通路形成部80の形状は、第1気流通路形成部26と同じである。
【0065】
第2気流通路81は、たとえば1つ設けられている。第2気流通路81の一端81aが環状気流通路25に重なっているとともに、他端81bが本体15の外周面19に開放されている。第2気流通路81の一端81aは、材料通路35に臨んでいる。第2気流通路81の一端81aは、パンチングメタル16の内周面33に開口している。
第2気流通路81は、材料通路35における粉粒体の通過方向Tとは交差する交差方向としての水平方向H’に真直ぐ延びている。
【0066】
第2気流通路81と、第1気流通路27とは、鉛直方向Vにおける位置(高さ位置)が揃えられている。図5を参照して、円柱状の材料通路35の周方向において、第2気流通路81と、第1気流通路27の位置は、異なっている。具体的には、第2気流通路81は、第1気流通路27に対して、材料通路35の周方向に数十度(たとえば、90度)以上ずれた位置に配置されている。本実施形態では、第2気流通路81と、第1気流通路27とは、材料通路35の周方向に180度ずれた位置に配置されている。
【0067】
次に、上記(2)について説明する。成形機2を材料通路35における粉粒体の通過方向Tに投影したとき、すなわち成形機2を図5で示すように見たとき、第2気流通路81の一端81aの中心81cと、第1気流通路27の一端27aの中心27cとを結ぶ仮想線分Kが規定されている。通過方向Tに投影したとき、仮想線分Kは、材料通路35および環状気流通路25を通過している。また、通過方向Tに投影したとき、この仮想線分Kは、材料搬送方向Aと略直交している。すなわち、通過方向Tに投影したとき、第2気流通路81の一端81aと、第1気流通路27の一端27aとは、材料搬送方向Aと略直交する水平方向H’に向かい合っている。
【0068】
図4を参照して、前述したように、スクリュー7は、左ねじであり、材料搬送方向A(紙面の奥側方向)に進んだとき、螺旋羽根76は、反時計回りに進む。スクリュー7は、材料搬送方向Aに投影したとき、時計回りに回転する。材料搬送方向Aに投影したとき、スクリュー7の右側にある粉粒体は、スクリュー7が回転したときに、下側に押し下げられる力L1を受ける。一方、スクリュー7の左側にある粉粒体は、スクリュー7が回転したときに、上側に押し下げられる力L2を受ける。
【0069】
成形機2を材料搬送方向Aに投影したとき、スクリュー7の中心軸線7aを含み鉛直方向Vに延びる仮想の基準平面Mが規定されている。基準平面Mの右側が右側領域N1とされ、左側が左側領域N2とされている。左側領域N2では、スクリュー7から、粉粒体に、粉粒体を上側(受入口9側)に押し上げようとする力L2が働く。この左側領域N2に、第1気流通路27が配置され、また、右側領域N1に、第2気流通路81が配置されている。
【0070】
次に、上記(3)について説明する。第1気流通路形成部26に、吸引装置5が接続されている。具体的には、吸引管37が第1気流通路形成部26に接続されており、第1気流通路27の他端27bが、吸引管37内の空間に接続されている。また、第2気流通路形成部80に、窒素ガス供給装置41が接続されている。具体的には、吐出管44が第2気流通路形成部80に接続されており、第2気流通路81の他端81bが、吐出管44内の空間に接続されている。第2ヒータ79は、吐出管44を避けて配置されている。
【0071】
上記の構成において、樹脂成形時には、スクリュー7が回転されることにより、粉粒体が成形機2内を材料搬送方向Aに搬送される。また、成形機2の第1ヒータ59がオンにされていることにより、成形機2内の材料が加熱される。
このとき、粉粒体は、右側領域N1では下向きの力L1を受けて下側に押し込まれるような動きをする。一方、粉粒体は、左側領域N2では上向きの力L2を受けて上側に押し上げられるような動きをする。その結果、粉粒体の加熱により生じたガスは、右側領域N1から受入口9に上昇する量よりも、左側領域N2から受入口9に上昇する量のほうが多い。このガスの流れは、たとえば、矢印J3で示すものとなる。
【0072】
このとき、吸引装置5は第1気流通路27内を吸引しており、窒素ガス供給装置41は、第2気流通路81内に窒素ガスを供給している。結果、窒素ガスの流れは、矢印J2,J1で示すものとなる。窒素ガスは、第2気流通路81から環状気流通路25を通って材料通路35に流れ、さらに、環状気流通路25から第1気流通路27に入り、吸引ブロワ39から液槽72に排出される。このときの窒素ガスの少なくとも一部の流れは、通過方向Tと交差(直交)する方向であって、第2気流通路81の一端81aから第1気流通路27の一端27aに向かう直線方向にまっすぐに延びている。窒素ガスの上記少なくとも一部の流れは、上記直線方向における材料通路35の一端から他端まで連続している。
【0073】
また、成形機2内の粉粒体から発生したガスは、受入口9を通過した後、窒素ガスの流れによって、矢印J3,J1で示すように、環状気流通路25に流れ、さらに、第1気流通路27および吸引ブロワ39を通り、液槽72に排出される。このように、成形機2内の粉粒体から発生したガスは、ホッパ3の排出口13には侵入しない。
本実施形態によれば、第2気流通路81から環状気流通路25を通り、さらに材料通路35および第1気流通路27を通る気流J2,J1を生じることができる。したがって、材料通路35において、水平方向H’の気流をより広い範囲で確実に生じることができる。結果として、成形機2からのガスがホッパ3の排出口13に流れることをより確実に防止できる。
【0074】
また、成形機2内の粉粒体から発生したガスは、材料搬送方向Aに流れつつ、受入口9から材料通路35に流れようとする。一方、通過方向Tに投影したとき、材料通路35には、材料搬送方向Aと略直交する水平方向H’の気流が流れている。したがって、成形機2内からのガスを、より確実に気流に衝突させることができる。結果として、成形機2からのガスがホッパ3内に侵入することをより確実に抑制できる。
【0075】
さらに、吸引装置5が第1気流通路27内を吸引することにより、第2気流通路81から材料通路35を通って第1気流通路27に進む気流J2,J1と、成形機2内から材料通路35を通って第1気流通路27に進む気流J3,J1と、を生じることができる。したがって、材料通路35内のより広い範囲に亘って気流を生じることができる。結果として、成形機2内で発生したガスを、この気流で確実に気流通路29に排出できる。
【0076】
また、窒素ガス供給装置41から第2気流通路81内に窒素ガスを供給することにより、窒素ガスの気流J2,J1を生じることができる。この気流は、第2気流通路81から環状気流通路25および材料通路35を通って第1気流通路27に進む。したがって、成形機2内のガスをこの気流で確実に気流通路29に排出できる。
しかも、第1気流通路27内の吸引と、第2気流通路81内への窒素ガスの供給との相乗効果により、成形機2内からのガスを第1気流通路27に排出できる効果を、顕著に向上できる。
【0077】
さらに、右側領域N1および左側領域N2のうち、左側領域N2において、より多くのガスが、粉粒体から受入口9に上昇する。この左側領域N2の近傍を吸引装置5で吸引している。結果、より確実に、成形機2内のガスを吸引装置5で吸引することができる。
なお、図4および図5に示す実施形態において、通過方向Tに投影したとき、仮想線分Kと、材料搬送方向Aとは、直交していてもよいし、所定の角度をなして相対的に傾いていてもよい。
【0078】
なお、図4および図5に示す実施形態の窒素ガス供給装置41に代えて、図6に示すガス供給装置82を用いてもよい。この場合、窒素発生器43に代えて、ドライヤ83が設けられる。ドライヤ83が設けられていることにより、加圧ポンプ42から圧送された空気が乾燥処理を施され、乾燥ガスとして第2気流通路81内に送られる。なお、ドライヤ83を通過するガスは、空気に限らず、不活性ガスなどの他のガスでもよい。
【0079】
また、図4および図5に示す実施形態において、吸引装置5は残しつつ、窒素ガス供給装置41を省略してもよい。この場合、吸引装置5の駆動により、第2気流通路81内には、外気が吸引される。
また、吸引装置5は省略し、窒素ガス供給装置41またはガス供給装置82を残してもよい。この場合も、第1気流通路27の一端27aから他端27bに向かう気流が生じる。
【0080】
また、図3に示す窒素ガス供給装置41に代えて、図6に示すガス供給装置82を設けてもよい。
なお、各上記実施形態において、不活性ガスとして窒素ガスを用いる構成を説明したが、これに限らず、他の一般の不活性ガスを用いてもよい。
また、気流通路29内に供給されるガスをヒータなどで加熱し、高温状態で気流通路29に供給してもよい。結果、材料通路35内を通過する粉粒体を予熱できる。
【0081】
さらに、第1気流通路27の数は、2つ以上でもよい。同様に、第2気流通路81の数は、2つ以上でもよい。また、環状気流通路25を省略してもよい。
また、各上記実施形態では、ホッパ3からシリンダ6内に粉粒体が連続的に投入される構成を説明したが、ホッパ3の排出口13と接続部材4の材料通路35との間に別途スライドゲートを設けて、ホッパ3内の粉粒体をバッチ供給してもよい。
【符号の説明】
【0082】
2 成形機
3 ホッパ
5 吸引装置
9 受入口
13 排出口
16 パンチングメタル(多孔板)
25 環状気流通路
26 第1気流通路形成部
27 第1気流通路
27a (第1気流通路の)一端
27c (第1気流通路の一端の)中心
28 気流通路形成部
29 気流通路
33 内周面
34 材料通路形成部
35 材料通路
41 窒素ガス供給装置(ガス供給装置)
45 (多孔板の)貫通孔
60 許容部
75 ホッパユニット
79 第2ヒータ
80 第2気流通路形成部
81 第2気流通路
81a (第2気流通路の)一端
81c (第2気流通路の一端の)中心
82 ガス供給装置
A 材料搬送方向
F,F’ 気流
H,H’ 水平方向(交差方向)
K 仮想線分
T 通過方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成形の材料としての粉粒体が、ホッパの排出口から、前記粉粒体を溶融成形する成形機の受入口に供給されるときに、前記粉粒体が通過する材料通路を形成する材料通路形成部と、
前記材料通路における前記粉粒体の通過方向と交差する交差方向の気流を前記材料通路に与えるために、前記材料通路に連通する気流通路を形成する気流通路形成部とを備え、
前記気流通路の一端は、前記材料通路形成部の内面に開口していることを特徴とする、気流通路形成構造。
【請求項2】
前記気流通路形成部は、第1気流通路を形成する第1気流通路形成部と、第2気流通路を形成する第2気流通路形成部とを含み、
前記第1気流通路の一端が前記材料通路に臨んでおり、
前記第2気流通路の一端が前記材料通路に臨んでおり、
前記材料通路における前記粉粒体の通過方向に投影したとき、前記第1気流通路の前記一端の中心と前記第2気流通路の前記一端の中心とを結ぶ仮想線分は、前記材料通路を通過していることを特徴とする、請求項1に記載の気流通路形成構造。
【請求項3】
前記気流通路形成構造が接続される前記成形機は、前記受入口から受入れた前記粉粒体を、所定の材料搬送方向に沿って搬送しながら前記粉粒体を溶融するものであり、
前記材料通路における前記粉粒体の通過方向に投影したとき、前記仮想線分は、前記材料搬送方向と略直交していることを特徴とする、請求項2に記載の気流通路形成構造。
【請求項4】
前記気流通路形成部は、前記第1気流通路内を吸引する吸引装置、および前記第2気流通路内に不活性ガスまたは乾燥処理が施されたガスを供給するガス供給装置の少なくとも一方と接続されていることを特徴とする、請求項2または3に記載の気流通路形成構造。
【請求項5】
前記気流通路形成部は、前記気流通路内を吸引する吸引装置、または前記気流通路内に不活性ガスもしくは乾燥処理が施されたガスを供給するガス供給装置と接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の気流通路形成構造。
【請求項6】
前記気流通路形成構造が接続される前記成形機は、前記成形機内での前記材料の搬送方向において前記受入口よりも上流側で前記成形機の内外間の気体の通過を許容する許容部を備えるものであり、
前記吸引装置が、前記気流通路内を吸引するときは、気体が、前記許容部を通って前記成形機内に吸引され、さらに、前記受入口、前記材料通路および前記気流通路を通り、
前記ガス供給装置が、前記気流通路内に前記ガスを供給するときは、前記ガスが、前記気流通路、前記材料通路および前記受入口を通って前記成形機内に送られ、さらに、前記許容部から排出されることを特徴とする、請求項5に記載の気流通路形成構造。
【請求項7】
前記接続部材が接続される前記ホッパ内の空間は、前記排出口を除いて密閉されていることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の気流通路形成構造。
【請求項8】
前記粉粒体を加熱するためのヒータをさらに備えることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれかに記載の気流通路形成構造。
【請求項9】
前記材料通路を取り囲む環状気流通路をさらに備え、
前記環状気流通路と前記気流通路の一端とが重なり、
前記環状気流通路の内側に、前記材料通路形成部の内面を形成する多孔板が配置されていることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれかに記載の気流通路形成構造。
【請求項10】
前記多孔板は環状に形成され、
前記多孔板には、前記多孔板の周方向の全域にわたって多数の貫通孔が形成されていることを特徴とする、請求項9に記載の気流通路形成構造。
【請求項11】
樹脂成形の材料としての粉粒体を溜めることが可能であり、かつ、前記粉粒体を排出するための排出口が形成されたホッパと、
前記ホッパとは別体または一体に形成された、請求項1ないし10のいずれかに記載の気流通路形成構造とを備え、
前記排出口から排出された前記粉粒体が前記材料通路を通過可能であることを特徴とする、ホッパユニット。
【請求項12】
樹脂成形の材料としての粉粒体が、ホッパの排出口から前記粉粒体を溶融成形する成形機の受入口に供給されるときに通過する材料通路を形成する材料通路形成部の内面に、気流通路の一端を開口させておき、
前記気流通路に気流を生じさせることにより、前記材料通路に、前記材料通路における前記粉粒体の通過方向と交差する交差方向の気流を生じさせることを特徴とする、気流形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−131987(P2010−131987A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251432(P2009−251432)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000129183)株式会社カワタ (120)
【出願人】(597024681)第一実業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】