気相拡散技術を用いた、反応成分量の低い、反応成分で修飾されたアルミニウム化合物コーティング
本発明は、源から、コーティングされる物品へ、アルミニウムと反応成分とを共転送および共堆積する処理の制御が改善された気相コーティング技術である。一つの方法は、反応成分源を供給する工程を含んでおり、反応成分源の少なくとも一部が反応成分の非ハロゲン化合物を含んでおり、また、アルミニウム源を供給する工程と、ハロゲン化合物活性化剤を供給する工程と、アルミニウムと反応成分とを含んでいる種が、上記金属性表面上に共堆積されてコーティングを形成する効果的な条件で、金属性表面を持つ物品と、反応成分源と、アルミニウム源と、ハロゲン化合物活性化剤とを加熱する工程とを含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
本願は、「Forming Reactive Element Modified Aluminide Coatings with Low Reactive Element Content Using Vapor Phase Techniques」とのタイトルの2009年5月18日に出願された米国仮出願番号61/216,496の恩恵を主張し、この全開示がここに組み込まれる。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、気相コーティング技術を用いて、少ない反応成分(reactive element)量で、アルミニウム化合物コーティングを行う方法である。反応成分は、例えば、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)やこれらの組み合わせなどである。より詳細には、本発明は、気相コーティング技術を用いてこのようなコーティングを行うものであり、反応成分源材料は、反応成分の非ハロゲン化合物を含んでいる。例えば、反応成分の酸化物(例えばHfの場合にはHfO2)、反応成分の窒化物(例えばHfの場合にはHfN)、および/または反応成分の炭化物(例えばHfの場合にはHfC)である。この処理で生成したコーティングは、高温環境で化合物を腐食から守るのに用いることができる。このコーティングはまた、高温環境で用いられる成分に対する熱バリアシステムにおける結合コートとしても用いることができる。
【0003】
〔背景技術〕
エンジンの燃焼効率を改善して排出を抑える駆動部により、1940年代以降、ガスタービンエンジン内のタービンエントリー温度(TET)が著しく増加した。近年、商業的な航空エンジンの高温ガスに曝される高圧タービンブレードや翼は、典型的には、およそ1000℃の金属表面温度を経験し、短い期間には、1100℃もの高温のピークを経験している。このような供給環境では、鉄ベース、ニッケルベース、コバルトベースの超合金の発展を通じて、また、超合金を酸化や高温腐食などから保護できる抗酸化環境コーティングの使用によって、高温での能力が著しく向上してきた。
【0004】
例えば、保護すべき物品の表面は、その表面が酸化してさらなる酸化を抑制するアルミニウム酸化物鱗屑(scale)を形成するような、アルミニウム含有保護コーティングを用いて保護することができる。それゆえ、保護コーティングは、この酸化鱗屑の熱成長を促進するために、Alが十分多くなっている。この鱗屑はまた、熱成長酸化物(TGO)としても参照される。オプションとして、耐用年数を延ばす熱バリアを供給するのに役立たせるために、アルミニウム含有保護層上に、さらにセラミックトップコートを行う。酸化耐性を与えることに加えて、TGOは、セラミックトップコートが保護コーティングに結合するのを助ける。それとともに、保護コーティング(結合コートとも呼ぶ)、TGO層、およびセラミックトップコートは、コーティングされる物品を保護するために、熱バリアコーティングシステム(TBC)を提供する。
【0005】
熱バリアコーティングシステムにもかかわらず、厚いTGO鱗屑層の破砕や割れ目はしばしば、従来の熱バリアシステムの究極的な失敗メカニズムである。それゆえ、より信頼性の高い熱バリアシステムの発展のためには、界面TGOの接着と完全性との改善が重要である。理想的には、高温にさらされたときに、アルミニウム含有保護コーティングが酸化して、保護コーティングやセラミックトップコートによく接着する、成長の遅い、「しわ」の無いまたは少ない、非孔質のTGO層を形成すべきである。
【0006】
従来の結合コートは、典型的には、MCrAlYオーバーレイ(MはNi、Co、Feまたはこれらの組み合わせである)や拡散アルミニウムコーティングのいずれかである。MCrAlYオーバーレイは、一般に、電子ビーム物理蒸着(EB−PVD)、高速酸素燃料(HVOF)、定圧プラズマ噴射(LPPS)、真空プラズマ噴射(VPS)によって行われる。拡散アルミニウム化合物コーティングは、一般に、化学蒸着(CVD)、スラリーコーティング、あるいは、パックセメンテーション、上パック、気相堆積などの拡散プロセスにて行われる。拡散アルミニウム化合物コーティングは、特に、以下の理由により、ガスタービンエンジンの超合金成分の保護コーティングとして広がった。すなわち、(1)拡散処理が、複雑な幾何学やコーティングされる内面を有する成分があってもよいラインサイト処理ではないこと。また、(2)拡散処理は、一般に、オーバーレイ処理と比べて安価であることである。
【0007】
これらのコーティングによって供給される酸化保護を改善するために、アルミニウム化合物コーティングに、反応成分が導入された。アルミニウム化合物成分として提案されている反応成分の例は、Hf、Zr、Y、Laおよび/またはCeを含んでいる。アルミニウム化合物コーティングに少量の反応成分を加えるだけで、保護酸化鱗屑のコーティング/合金への接着や、コーティング/合金の、攻撃的な媒体ガス下での酸化耐性が改善する。
【0008】
Hfを加えることにより酸化耐性が著しく改善した例は多く示されている。例えば、β−NiAlキャストアレイへの追加(Pint et al., 「Effect of quaternary additions on the oxidation behavior of Hf-doped NiAl」、Oxidation of Metals, Vol.59, Pages 257-293, 2003)や、MCrAlYコーティング材料へのHf追加(Griggins Jr., et al., U.S. Patent 3,993,454, Gupta et al., U.S. Patent 4,585,481)である。また、Hfの追加により、ハフニウムがコーティング内へ拡散して、また、クリープ(creep)耐性を増加させる成長するアルミニウム酸化物へと拡散するときに、しわの傾向を減少させることがわかっている(Topygo et al., 「Effect of Hf, Y and C in the underlying superalloy on the rumpling of diffusion alminide coatings」、Acta Materialia 56, Pages 489-499, 2008)。また、酸化中に金属と酸化物との界面でコーティング合金に形成される空間を減少させることもわかっている(Provensano et al., 「Void formation and suppression during high temperature oxidation of MCrAlY-type coatings」、Surface and Coatings Technology, 36, Pages 61-74, 1988)。
【0009】
最近、Gleeson at al.の米国特許7,273,662は、熱曝露中に結合コーティング表面の進行する粗面化すなわち「しわ」を減少させる目的で、2相のγ−Ni+γ’Ni3Al合金組成物を開示している。
【0010】
Hf追加の重要な利益により、拡散アルミニウム化合物コーティングへHfを導入する拡散コーティング処理は、数十年間研究されてきた。1970年代初頭には、Chang et al.の米国特許3,951,642と米国特許3,996,021は、Hfで修飾したアルミニウム化合物コーティングを生成するための、パックセメンテーション処理を開示している。その後、Warnes et al.の米国特許5,989,733と米国特許6,136,451と米国特許6,689,422と、Nagaraj et al.の米国特許6,602,356は、Hf追加を行うまたは行わない白金(Pt)−アルミニウム化合物コーティングを生成するためのCVD処理を開示している。Rigny et al.の米国特許6,514,629と米国特許6,582,772は、基板を供給するステップと、白金、アルミニウム、ハフニウム、シリコンを含む層を堆積するステップと、層を加熱してアルミニウム、ハフニウム、シリコンを白金層に拡散させて保護層を形成することによって形成される、Hf−Si修飾のPt−アルミニウム化合物コーティングを開示している。
【0011】
パックセメンテーションと気相処理は、Hf修飾アルミニウム化合物拡散コーティングを形成するための、3つの可能性のある産業的な拡散コーティング処理である。これらのなかで、気相処理は、多くの利点を提供する可能性を有している。他は、欠点を有している。いくつかの成功例では用いられているが、ハフニウム修飾されたアルミニウム化合物と単純なアルミニウム化合物とのコーティングの両方に対するパックセメンテーション処理は、いくつかの欠点を共有している。例えば、不活性の詰め物、冷却孔の障害、形成されたコーティング表面にはめ込まれた粒子である。これらの欠点を避ける一方、ハフニウム修飾のアルミニウム化合物コーティングを形成するCVD処理を用いる大きな欠点は、設備のコストが大きいことである。パックとCVD処理とのこれらの欠点に鑑み、気相処理などの代替の堆積方法が考えられてきた。
【0012】
ハフニウム修飾されたアルミニウム化合物のコーティングのための気相処理の情報は限られている。Das et al.の米国特許6,332,931は、Hfドナー材料としてHf金属またはHf含有金属合金を用いて、アルミニウム化合物−ハフニウムコーティングを生成する気相コーティング処理を開示している。その結果、合成されたコーティングは、およそ0.5ないしおよそ60重量パーセントのハフニウムとおよそ12ないしおよそ38重量パーセントのアルミニウムとを含有していると開示している。しかしながら、アルミニウム化合物コーティング中のHf含有量が高すぎると、コーティングやコーティング表面に、Hfの多い沈殿相が形成される。例えば、HfC、HfO2、Ni2AlHfなどである。また、アルミニウム化合物コーティングの機械的な特性や酸化耐性を悪化させる。それゆえ、環境コーティングや熱バリアコーティングシステムの結合コートとして、タービンエンジン成分への応用によってガスタービンの性能を著しく向上させることができる、低いHf含有量のアルミニウム化合物コーティングを開発する必要がある。HfとAlの共堆積(co-deposit)や拡散コーティング処理の複雑な処理パラメータを制御するのが困難なため、Hf修飾アルミニウム化合物コーティングは、数十年研究されてきたが、Hf修飾アルミニウム化合物拡散コーティングの産業への応用のための情報は非常に限られたものしか報告されていない。
【0013】
気相処理の使用についての大きな障害は、源(source)から、コーティングされる物品への、アルミニウムと、Hfなどの反応成分との共堆積を十分に制御することができない点である。不幸にも、気相処理が用いられると、得られるアルミニウム化合物コーティングは、多すぎるハフニウムを導入する傾向がある。これにより、その機械的特性および/または耐用年数を過度に妥協したコーティングとなる。それゆえ、産業界には、アルミニウムとHfなどの反応成分との共転送(co-transfer)の制御が改善されたものを提供する気相コーティング技術を用いることができるようにとの強い欲求や必要性がある。
【0014】
〔発明の要約〕
本発明は、源から、コーティングされる物品への、アルミニウムと反応成分との共転送および共堆積の制御を改善できる気相処理コーティング技術への戦略を供給する。特に、本発明は、これに関連して反応成分源を適切に選択して、共転送と共堆積との制御を劇的に改善したことを評価する。気相コーティングの事情において、反応成分源の少なくとも一部が、反応成分源の、酸化物、窒化物、炭化物などの非ハロゲン化合物を含んでいるときに、制御が改善するという結果が得られている。一方、金属性の源やハロゲン化合物の源を用いると、コーティングに、過剰な、または制御されないような、反応成分レベルの結果となる傾向がある。
【0015】
本発明は、不利な動作環境から、あらゆる物品を保護するコーティングに適用される。好ましい実施形態では、コーティングは、高温および/または化学的な不利な環境において、酸化、熱腐食、その他の分解から保護する。コーティングはまた、熱バリアコーティングシステムでの結合コートとしても用いることができる。
【0016】
一つの面として、本発明は、物品のコーティング方法に関し、
金属性表面を持つ上記物品を供給する工程と、
反応成分源の少なくとも一部が反応成分の非ハロゲン化合物を含んでいる、反応成分源を供給する工程と、
アルミニウム源を供給する工程と、
ハロゲン化合物活性化剤を供給する工程と、
アルミニウムと上記反応成分とを含んでいる種(species)が、上記金属性表面上に共堆積されてコーティングを形成する効果的な条件で、上記物品と、上記反応成分源と、上記アルミニウム源と、上記ハロゲン化合物活性化剤とを加熱する工程とを含んでいることを特徴とするコーティング方法である。
【0017】
〔図面の簡単な説明〕
本発明の上記および他の利点と、それを達成する方法とは、付随の図面と結合して本発明の実施形態の以下の記述を参照することによって、より明らかになるであろう。
【0018】
図1は、熱バリアコーティングを有する金属性物品の横断面図である。
【0019】
図2は、本発明を実行するための好ましいアプローチのブロックダイヤグラムである。
【0020】
図3は、Hf修飾されたアルミニウム化合物コーティングを形成する気相コーティング装置の構造図である。
【0021】
図4A、4B、4Eは、それぞれ、WASPALOY(商標)のニッケルベースの超合金フラットサンプル上へのHf修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、表面画像、断面画像、およびGDMS結果であり、図4C、4D、4Fは、それぞれ、INCONEL(商標)のニッケルベースの超合金フラットサンプル上へのHf修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、表面画像、断面画像、およびGDMS結果である。
【0022】
図5A、5B、5Cは、同様のコーティング条件での、WASPALOYのフラットサンプル上への(HfおよびPtで)修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、表面画像、断面画像、およびGDMS結果である。図5Dは、加熱処理後の、(HfおよびPtで)修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、断面画像である。
【0023】
図6A、6B、6Cは、HS−188のコバルトベースの超合金フラットサンプル上へのHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、表面画像、断面画像、およびGDMS結果である。
【0024】
図7は、本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有するタービンエンジン要素である。
【0025】
図8A、8B、8C、8Dは、それぞれ、本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有する、MarM247基板タービン翼、INCONEL738タービン翼、CMSX−3タービンブレード、MarM509タービン翼の表面形態学画像である。
【0026】
図9A、9B、9C、9Dは、それぞれ、本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有する、MarM247基板タービン翼、INCONEL738タービン翼、CMSX−3タービンブレード、MarM509タービン翼の断面画像である。
【0027】
図10A、10B、10C、10Dは、それぞれ、本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有する、MarM247基板タービン翼、INCONEL738タービン翼、CMSX−3タービンブレード、MarM509タービン翼のGDMS結果である。
【0028】
〔発明の詳細な実施形態〕
以下に示す本発明の実施形態は、本発明を網羅することや、以下に示す記述の正確な形式に本発明を限定することを意図しない。むしろ、実施形態は、他の当業者が本発明の原理と実践とを評価・理解するように選び記述されている。
【0029】
図1は、本発明の原理に基づいて製造された、コーティングされた物品の一部の断面を概略的に示している。代表的な実施形態では、物品10は、ロケット、ミサイル、飛行機、船舶、産業設備、電力設備、電気モータ、化学製造設備、熱交換機などである。本発明の原理は、高温環境、例えばおよそ450℃以上、好ましくはおよそ650℃以上、より好ましくはおよそ850℃以上のような環境で酸化に対する保護が求められるような応用に好適に実施される。好ましい実施形態では、物品10は、高圧タービンノズル、低圧タービンノズル、タービンの覆い、タービン翼のうちの全部または一部のような、ガスタービンエンジンの要素である。物品10は、新しい部分でも、取り替えられた部分でも、修理された部分でもよい。物品10は、キャスト、成型、機械的、直接凝固(DS)、単結晶(SX)から製造でき、および/または、他の任意の所望の方法でも製造できる。
【0030】
物品10は、熱バリア構造12のための基板として機能する本体11を含んでいる。本体11は、純粋金属、金属間組成物(intermetallic composition)、合金、これらの組み合わせなどとすることができる金属性組成を有している。本体は、単相を含んでもよいし、多重相を含んでもよく、例えば、金属間沈殿物を有する合金マトリクスである。本体11は、非晶質、結晶などでよい。金属および/または金属間組成物に加えて、本体11は、他の成分を含んでもよい。例えば、本体11は、金属性マトリクスと繊維(図示せず)などを含む合成物であってよい。
【0031】
好ましい実施形態では、本体11は、ニッケルベース、コバルトベース、チタンベース、または鉄ベースの合金を含んでいる。「ニッケルベースの合金」との用語は、Niが合金中で優勢な元素であることを意味する。例えば、合金中の他のどの元素よりもNiが多く存在するということである。同様に、コバルトベース、チタンベース、鉄ベースの合金では、それぞれ、Co、Ti、Feが、優勢な元素である。合金は、一つまたはそれより多い他の合金元素を含んでもよい。例えば、クロム、アルミニウム、チタン、モリブデン、鉄、マンガン、タングステン、ホウ素、ニオブ、タンタル、コバルト、シリコン、レニウム、白金、ハフニウム、ジルコニウム、イットリウム、またはこれらの組み合わせなどを含んでよい。好ましくは、合金は、他のどの個々の元素よりも、ニッケルおよび/またはコバルトを多く含む。いくつかの実施形態では、ニッケル、コバルト、および/またはニッケル−鉄の合金(他の合金元素もあってもなくてもよい)は、高温で、優れた機械強度、クリープ耐性、良好な表面安定性ゆえに、超合金として知られている。超合金の例は、HASTELLOY(商標)、INCONEL(商標)、WASPALOY(商標)、RENE(商標)合金(例えば、RENE41、RENE80、RENE95、RENE104)、HAYNES(商標)合金、INCOLOY(商標)、MP98T、TMS合金、CMSX単結晶合金である。
【0032】
オプションとして、本体11は、一つまたはそれより多い層を含んでよい。例えば、いくつかの例では、白金層(図示せず)が、本体11の少なくとも一部に基板層を形成するために堆積されてもよい。高温では、白金は、拡散して、以下に述べるアルミニウム化合物コーティングに導入され、本体11の酸化保護を向上させる。白金の導入は、アルミニウム化合物コーティングの機械的特性も向上させる。しかしながら、費用が余分にかかるので、いくつかの実施形態では白金層を用いるのはコスト的に効果的でない。
【0033】
熱バリア構造12は、保護コーティング13、熱成長酸化層14、またオプションとして、セラミックトップコート15を含んでいる。保護コーティング13は、本体11を酸化から保護するのに役立つ。特に、高温環境(およそ450℃以上、好ましくはおよそ650℃以上、より好ましくはおよそ850℃以上のような環境)で役立つ。本発明の実施では、保護コーティング13はアルミニウム化合物を含んでいる。ここでの使用において、アルミニウム化合物は、アルミニウムと、基板本体11からの少なくとも一つの金属元素とを含む金属性固体溶液または金属間組成物を参照する。このような他の金属元素の例は、ニッケル、コバルト、チタン、鉄、クロム、これらの組み合わせなどを含んでいる。
【0034】
アルミニウムとニッケルとを含んでいるアルミニウム化合物組成物が好ましい。本発明では、ニッケルとアルミニウムの総量に基づいておよそ45ないしおよそ70原子パーセントのニッケルを含むニッケルアルミニウム化合物が好ましい。このような組成は、高温での酸化耐性と、受容できる機械的特性との間でよいバランスを与える。対照に、アルミニウムに対し、より多くのNiが存在すると、酸化耐性が低下する傾向がある。アルミニウムに対し、Niが少ないと、アルミニウム化合物はよりもろくなる。バイナリのAl−Niシステムに対する相ダイヤグラムは、アルミニウムとニッケルとを含む相を5つ示している。これらは、アルミニウムリッチな相であるAl3NiおよびAl3Ni2を含んでいる。これらはまた、ニッケルリッチな相であるAl3Ni5およびAlNi3を含んでいる。5番目の相は、アルミニウム化合物が、ニッケルとアルミニウムの総量に基づいておよそ45ないしおよそ70原子パーセントのニッケルを含むときに一般に存在するAlNiを含んでいる。したがって、ニッケルアルミニウム化合物がニッケルとアルミニウムの総量に基づいておよそ45ないしおよそ70原子パーセントのNiを含むときに、ニッケルアルミニウム化合物の少なくとも一つの優勢な部位が、AlNi相として存在すると考えられる。
【0035】
アルミニウム化合物、本発明の保護コーティング13は、外側成長部位と内側拡散領域との両方に、低反応成分を含んでいるが、Hfおよび/または白金(もしあれば)のいずれかを含む沈殿相は含まない。有利には、反応成分の量が低いと、酸化鱗屑の量を最小化して鱗屑の保護コーティング12への付着を向上させることによって、優れた酸化保護を提供する。
【0036】
ここで用いるように、コーティング内のHfの重量パーセントは、コーティング13の外側成長部位または内側拡散領域に関し、(以下に述べる)テストされた体積内のアルミニウム化合物コーティングにおけるすべての元素の総重量に基づいている。存在してもよい他の元素は、HfとAlに加えて、本体11の組成に部分的に基づき、Ni、Co、Cr、Mo、W、Ta、Nb、Ti、Fe、Mn、Si、Zr、V、C、B、S、Pなどを含んでもよい。
【0037】
コーティングの深さ全体にわたって、Hfなどの各元素の組成は、著しく変化する傾向がある。しかしながら、コーティング表面からの同じコーティング深さでは、各元素の組成は実質的に不変の傾向がある。したがって、コーティング表面からの特定のコーティング深さにおけるHf組成を得るためには、コーティングの外側成長部位または内側拡散領域のいずれかについて、特定の深さで、コーティング表面から5ミクロンなど、体表的な数のサンプル体積(例えば1ないし10個のサンプル、好ましくは3個のサンプル)をテストすることができる。そして、その深さでのHfの重量パーセントを平均として計算することができる。
【0038】
本発明の実施では、特定のコーティング深さでHf組成を得るための適切なテスト体積は、コーティング深さの方向において特定の深さに中心がある。例えば、5ミクロンの深さでのHf組成を得るための、4ミクロンないし6ミクロンの範囲の深さにおける体積である。特定の深さを「D」ミクロンとし、適切なテスト体積のための適切な深さを「D±d」ミクロンとすると、適切な「d」は、3ミクロンより少ないことが所望され、2ミクロンより小さいことが好ましい。テストされる体積は他の寸法に依存して変動する。他の寸法とは、テストされる体積がほぼ立方体の構造を有する場合は、幅と長さなどである。適切な、テストされる体積は、少なくとも1立方ミクロンであることが所望される。最大体積は、深さ寸法以外の他の寸法に依存して変動することがある。これは、部分的には、テスト方法によるものである。また、テストされる体積が、外側成長部位と内側拡散領域との橋渡しをしないことが望ましい。これは、この2つの領域間の界面が、周りのコーティング領域よりもHfが相対的に多い沈殿相を含む傾向があるからである。
【0039】
コーティングの外側成長部位または内側拡散領域のいずれかにおける特定のコーティング深さでのHf組成を得るために、3つの代表的なテスト体積からデータを得ることが有益である。テストされる体積は、HfやPt(もしあれば)のいずれかを含んでいる沈殿相を含むべきでない。沈殿相と周囲のコーティング領域との大きな違いの一つは、相の結晶構造の点の違いであるとともに、適切な実施条件では「沈殿相」が冶金サンプルに異なった色で現れるような組成である点である。
【0040】
データを得るためには様々なテスト方法が用いられる。例は、Glow Discharge Mass Spectrometry(GDMS)、Energy Dispersive Spectroscopy(EDS)などである。GDMS、EDSその他の方法が一致しないデータを与えるときは、GDMSデータをコントロールとする。
【0041】
コーティングのHf含有量は一般にコーティング深さに応じて変動するが、外側成長部位または内側拡散領域のいずれか一方以内の任意の深さで決定したHf組成が所望の範囲内に入ることが望ましい。代表的な実施形態では、コーティング13のテストされたサンプル体積におけるHf含有量は、一つまたはそれより多い反応成分を、およそ0.01ないしおよそ4重量パーセント、また、およそ0.01ないしおよそ4重量パーセント、また、およそ0.01ないしおよそ2重量パーセント、またさらにはおよそ0.05ないしおよそ0.5重量パーセント、またおよそ0.1ないし0.3重量パーセント、含む。言い換えれば、反応成分の含有量はサンプルされた体積の深さによって異なるが、コーティング13の様々な深さから取られた様々なサンプルにおける反応成分の含有量がこの範囲内にあることが好ましい。
【0042】
いくつかの例では、所望の反応成分含有量は、コーティング13が形成される本体11の組成の性質に依存する。例えば、一つの実施形態では、保護的なアルミニウム化合物コーティングのHf含有量は、一般には、Niベースの超合金を含む本体11に形成されたときにアルミニウム化合物のコーティングのテストされたコーティング体積における全元素の総重量に基づいて、0.5重量パーセントよりも小さい。他の実施形態では、保護的なアルミニウム化合物コーティングのHf含有量は、一般には、Coベースの超合金を含む本体11に形成されたときにアルミニウム化合物のコーティングのテストされたコーティング体積における全元素の総重量に基づいて、2重量パーセントよりも小さい。他の実施形態では、保護的なアルミニウム化合物コーティングのHf含有量は、一般には、CoおよびNiベースの超合金を含む本体11に形成されたときにアルミニウム化合物のコーティングのテストされたコーティング体積における全元素の総重量に基づいて、0.5重量パーセントよりも小さく、より好ましくはおよそ0.1重量パーセントないしおよそ0.3重量パーセントである。
【0043】
ここで用いているように、アルミニウム化合物組成中に存在することによって、同じ源材料から、同じ比率で、ただし反応成分が存在しない状態で行われたコーティングに比較して、酸化に対して本体11を保護する保護コーティング13の能力を増加させる材料を反応成分と称している。代表的な反応成分は、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、これらの組み合わせなどを含んでいる。好ましい実施形態では、反応成分は、Hf、Zr、および/またはYの少なくとも一つを含んでおり、反応成分源から得られる。ここで、源の少なくとも一部が、酸化物、他の酸素含有化合物、窒化物、炭化物等のような反応成分の非ハロゲン化合物を含んでいる。アルミニウム化合物コーティングへ追加する技術と追加による効果との面で、これらすべての反応成分の類似性により、明細書中のこれらの材料の議論は、便宜上、Hfに絞ることとする。当業者は、Hfの議論が、他の反応成分にも当てはまることを理解するだろう。
【0044】
有利には、本発明のアルミニウム化合物コーティングは、気相コーティング技術を用いて生成される。本発明は、この内容に用いられる気相コーティング技術を実現可能にすることによって重要である。過去には、気相コーティング技術を用いて、アルミニウム化合物コーティング技術を形成するときに、反応成分の含有量を低レベルに制御することが非常に望ましいとされてきた。しかしながら、従来の気相コーティング技術は、反応成分の種の共堆積をあまり制御できていない。その結果、反応成分の含有量が高すぎて、満足できる耐用年数を持った満足できるコーティングを提供できなかった。本発明は、制御について劇的な成果を上げた。反応成分の非ハロゲン化合物を含む反応成分源(例えばHfの場合にはHfO2などの酸化物)を用いることによって、本発明は、気相コーティング技術を用いて、反応成分の含有量をより低いレベルに制御して、保護的なアルミニウム化合物コーティングを生成することを可能にした。
【0045】
アルミニウムと、一つまたはそれより多い付加的な、オプションである貴金属成分(金、銀、白金、パラジウムを含む。白金が好ましい。)と、一つまたはそれより多い反応成分とに加えて、本発明のアルミニウム化合物組成物は、一つまたはそれより多い金属種を含んでもよい。これらの例は、Ni、Co、Cr、Mo、W、Ta、Nb、Ti、Fe、Mn、Si、V、またこれらの組み合わせなどである。
【0046】
実際の実施例では、保護コーティング13を堆積する処理は、温度を上昇させながら行う。堆積中に、コーティング13を形成する材料の一部は、一般に、本体11の表面に、コーティングの外側成長部位を形成する。コーティング13を形成する材料の他の一部は、本体11の材料に対して内側拡散し、本体11へある深さにまで延びる内側拡散領域9を形成する。同時に、本体11のいくつかの構成成分は、堆積されたコーティング13に拡散する。本発明の目的のために、内側拡散領域9は、それが本体11内側に向かって下方に延びていても、コーティング13の部位であると考える。
【0047】
保護コーティング13は、単相でもよいし、一つまたはそれより多い付加的なHf含有相を少量含んでもよい。例えば、Hf含有量がここで述べる範囲の下限に近ければ、微細な、Hfの多い沈殿相が少量、コーティングにおいて検出される。例えば、コーティング13表面においてや、付加的な層(アルミニウム化合物コーティングの外側成長部位とも称される)と内側拡散層との間の界面においてや、および/または、コーティング13の外側成長部位において認められる。この内容における少量とは、2重量パーセントより少ないコーティング13が、一つまたはそれより多い付加的なHf含有相を含んでいることを意味する。より好ましくは、実質的にはこのような付加的なHf相が存在しない。言い換えれば、好ましくは、実質的にすべてのHfが、好ましくは固体の溶液状態にある。内側拡散領域は、典型的には、また、W、Moなど、いくつかの耐熱性元素の多い沈殿相や、Crの多い層を含んでもよい。部分的には、内側拡散領域の沈殿相の組成は、本体11の組成に依存する。
【0048】
好ましい実施形態では、コーティング13の外側成長部位は、基板組成に依存して、β−NiAl、β−CoAl、β−(Ni,Co,Pt)Alなどの単一のβ相微細構造を含んでいる。コーティング13の外側成長部位の他の元素は、Crおよび/またはSiや、また、気相コーティング処理の高温で拡散を通じて本体11由来のいくつかの耐熱性元素とすることができる。
【0049】
コーティング13は、広い範囲の厚みを有する。ここで述べる厚みは、外側成長部位と内側拡散領域の合計厚みである。多くの実施形態で、コーティング13の適切な厚みは、従来の産業上のコーティングの厚みと類似しており、典型的にはおよそ25ないし125マイクロメートル(およそ0.001ないし0.005インチ)である。
【0050】
セラミックトップコート15は、トップコート15の表面18に相対して熱的に成長した酸化層14の表面17で表面の温度を下げることによって、物品10の耐用年数を延ばすのに役立っている。実際には、表面17と表面18との間の温度差はおよそ100℃であると考えられる。
【0051】
セラミックトップコート15は、広範囲のセラミック材料から形成することができる。適切なセラミック材料は、一つまたはそれより多い、熱伝導性が低く、酸素透過性が高く、熱膨張係数が比較的高いものを有する。代表的な実施形態では、トップコート15は、およそ2ないしおよそ12重量パーセント、好ましくはおよそ4ないしおよそ8重量パーセントのイットリウム酸化物を含むイットリア安定化ジルコニア(YSZ)を含む。
【0052】
トップコート15が高い酸素透過性を有するこれらの実施形態では、保護コーティング13は、望ましくは、酸素攻撃への耐性を有する。それゆえ、望ましくは、保護コーティング13は、α−Al2O3の、保護的な、熱で成長した酸化物(TGO)の鱗屑である層14を形成するために、Alを十分多く有する。酸化耐性を与えるのに加えて、TGOは、保護コーティング13にセラミックトップコート15を結合させるのに役立つ。実際には、層14の一部は、トップコート15が相対的に高温で形成されるときなどのような、物品10の製造中に、もとの位置で形成される。付加的な部位は、物品10の耐用年数の間に、もとの位置で形成してもよい。
【0053】
図2は、気相技術を用いる本発明のアルミニウム化合物コーティングを生成する好ましいアプローチのブロックダイヤグラムである。工程20では、コーティングされる基板(例えば本体11)が供給される。オプションとして、本体11の表面が適切に洗浄され、活性化され、あるいは別の処理がなされる。例えば、本体11が本来のものまたは取り替えたものであれば、表面を、グリットブラストなどできれいにする。本体11が、修理される使用済み品の場合は、以前のコーティングを取り除くために、はがす処理を行うことができる。これは、適切な表面洗浄動作によって行える。
【0054】
工程22では、オプションとして、本体11は、白金含有層でコーティングされて熱処理されることができる。白金含有層は、任意の適切な方法で堆積できる。好ましくは、白金含有層は、電気メッキ処理と適切な白金源とを用いて堆積される。例えば、Pt(NH3)2(NO2)2の構造を持つPt P塩や、[Pt(NH3)4]HPO4の構造を持つPt Q塩である。
【0055】
工程24では、気相コーティング処理(例えば、単一工程の気相処理)を用い、そのときには、反応成分で修飾されたアルミニウム化合物拡散コーティングを形成するために、本体11上に、Alと、少なくとも一つの反応成分とを含む成分を共堆積する。ここで用いているように、「反応成分で修飾された」とは、コーティングが反応成分を含んでいることを意味する。オプションとして、工程24は、コーティング微細構造や組成物分布を調整するために、反応成分で修飾されたアルミニウム化合物コーティングを加熱する工程をさらに含んでもよい。このようなアルミニウム化合物コーティングを形成する処理が、図3と関連する以下の記載でより詳細に述べられている。
【0056】
再度図2を参照して、工程25では、反応成分で修飾されたアルミニウム化合物コーティングの上に、オプションとして、セラミックトップコート(例えばセラミックトップコート15)を堆積する。トップコートは、様々な方法で形成できる。いくつかの実施形態では、トップコートは、空気プラズマ噴霧や、電子ビーム物理蒸着を用いて行える。多くの実施形態では、トップコートは、およそ100ミクロンないし400ミクロンの厚みを有する。
【0057】
本発明の、反応成分で修飾されたアルミニウム化合物コーティングを形成する処理は、図3を用いて以下により詳細に記述されている。説明の目的のため、処理は、Hf含有アルミニウム化合物コーティングを形成する内容にて記述する。ここで、Hfは、HfO2、HfN、HfCなどの、Hfの酸化物、窒化物、炭化物を含む源から得られる。対応するこれらの酸化物、窒化物、炭化物から得られる、(オプションとしてHfとともに)Zr、Y、Laおよび/またはCoなどの他の反応成分を含むコーティングが、それに対応する源で、ここに述べるHf源を置き換えることによって得ることができることは理解されるだろう。
【0058】
図3は、代表的なHf含有アルミニウム化合物コーティングを生成するのに用いられる、レトルト(retort)形式のシステム30を示す。図3を参照して、レトルトの内部には3つのコーティングチャンバ31がある。所望であれば、これより少ないまたはこれより多い個数のこのようなチャンバを含むレトルトを用いることができる。例えば、他のレトルト実施形態では、一方では一つまたは二つだけチャンバ31を含み、他方ではおそらく4つまたはそれより多いチャンバを含んでもよい。多重コーティングチャンバ31を用いる場合は、底部のコーティングチャンバ31は、炉底のセラミック支持部39の上に座る。支持部39は、チャンバ31とレトルト底部とを、それらの成分間の温度差によって分離するために用いられている。チャンバ31の温度は相対的に高く、レトルト底部の温度は相対的に低い。隣接チャンバ31間では、熱的に隣接チャンバを分離するのに、セラミックスペーサ36を用いることができる。ある状態の実施例では、チャンバ31は、チャンバごとに異なる処理が行われるときや、あるチャンバでは大きめの部品を収納するために他より大きくするときや、異なる処理材料が用いられるときなどのときには、一つ一つ異なったものを用いてもよい。この代表的なシステム30では、3つのコーティングチャンバ31は同一のものである。したがって、ここでは、他の表現を行わない限り、底部のコーティングチャンバ31の説明が、他の2つのチャンバ31にも適用されると理解されるものとして、その説明を行うこととする。
【0059】
本発明のHf含有アルミニウム化合物コーティングは、アルミニウム源、Hf源、ハロゲン化合物活性化剤を含む材料から得られる。これらの材料は、微細粉末、塊、ペレット、顆粒、薄片など利用できる任意の形式で供給できる。好ましい実施形態では、アルミニウム源の材料は、およそ3mmないしおよそ20mmの平均粒子系を有する塊として供給される。これらは利用できる任意の形状で供給できる。例えば、不規則、樹木状、針状、立方体、球体、繊維状、またはこれらの組み合わせなどである。Hf源の材料は、好ましくは、200ミクロンより平均サイズが小さい微細粉末として供給される。活性化剤の材料は、好ましくは、1mmより平均サイズが小さい微細粉末として供給される。Hf源、アルミニウム源材料、活性化剤の混合物32が、他の任意の所望の材料とともに、チャンバ31の底に入れられる。一つまたはそれより多い不活性の詰め物材料を用いることができるが、混合物32は実質的には不活性の詰め物材料を含まないことがより好ましい。
【0060】
アルミニウム源は、アルミニウムの多い合金であり、オプションとして、Cr、Co、Ni、Fe、Mo、W、Mn、Ti、Y、Zr、Pt、Hfまたはこれらの組み合わせなどの、他の元素を有することができる。アルミニウム源内のアルミニウム含有量は、望ましくは、アルミニウム源材料の総量のおよそ3重量パーセントないし99重量パーセントであり、好ましくは、およそ15重量パーセントないし50重量パーセントであり、残りは一つまたはそれより多い他の元素である。特に好ましいアルミニウム源は、およそ25重量パーセントないし35重量パーセントのAlを含んでいる。アルミニウム源材料の量は、望ましくは、チャンバ31の容積1立方フィートあたりおよそ0.3kgないしおよそ7kgであり、好ましくはチャンバ31の容積1立方フィートあたりおよそ2kgないしおよそ4kgである。
【0061】
Hf源の少なくとも一部は、望ましくは、酸化物、窒化物、炭化物などの、Hf非ハロゲン化合物を含む。説明中の実施形態では、好ましいHf源はHfO2である。有利には、HfとAlの共堆積のために気相技術を用いる場合には、源としてHfの酸化物を用いて、Hf活性を良好に制御できる。加えて、Hf源は、オプションとして、(純粋なHf、Hf合金、Hf金属間化合物を含む)金属性Hf、Hfのハロゲン化合物、Hfの他の塩、およびこれらの組み合わせなどのような、他のHf含有種を含んでもよい。このような、他の種類のHf含有種の例は、HfCl4、HfF4、Hf粉末、およびこれらの組み合わせなどを含む。ここで述べたような他のHf含有種でHfO2を置き換えた場合は、他のすべての処理パラメータを変更せずに気相処理で同等なHf活性を達成するのに十分な量、これらを用いることが望ましい。処理パラメータは、温度、組成、Al源量、種、活性化剤量、混合物32の負荷条件などである。望ましくは、Hf源の、少なくとも25重量パーセント、好ましくは少なくとも50重量パーセント、より好ましくは実質すべてが、このような化合物である。Hf源の量は、望ましくは、Al源材料のおよそ1重量パーセントないし30重量パーセントであり、好ましくは、Al源材料のおよそ3重量パーセントないし10重量パーセントである。
【0062】
活性化剤は、一つまたはそれより多いハロゲン化合物塩を含んでいる。適切なハロゲン化合物活性化剤は、AlF3、AlC3、NH4F、NH4Cl、NaF、NaCl、KF、KClを含んでいる。これらは、好ましくは、コーティングチャンバ内に粉末として存在する。AlF3は、好ましくはチャンバ31の容積1立方フィートあたりおよそ0.4ないしおよそ2.4モルを用い、好ましくはチャンバ31の容積1立方フィートあたりおよそ1.0ないしおよそ1.5モルを用いる、好ましい活性化剤である。ここで述べたような他のハロゲン化合物活性化剤でAlF3を置き換えた場合は、同等な活性化剤活性を達成するのに十分な量、これらを用いることが望ましい。
【0063】
コーティングチャンバ31に一つまたはそれより多いコーティングされるべき物品34が入れられ、金属スクリーン33のような適切な支持部上に座る。したがって、チャンバ31での気相処理中に、コーティングされるべき物品34は、コーティング処理中に混合物32と接触しないままである。金属支持スクリーン33とドナー/活性化剤混合物32との距離を変えることで、生成するコーティングの厚みと組成とに影響を及ぼすことができる。上述したようにアルミニウム化合物コーティングのテストされるコーティング体積においてすべての元素の総重量に基づいて外側成長部位と内側拡散領域とにおよそ0.3ないしおよそ0.5重量パーセントのHf含有量を持ったコーティングを形成する、代表的な実施形態では、支持スクリーン33と混合物32の最上部表面との適切な距離はおよそ9ないし20cmである。望ましくは、コーティングチャンバは金属蓋35で覆われる。
【0064】
コーティング処理を行うためには、物品34に望ましいコーティングを行う目的で、チャンバ31の中身が、酸化を起こさない雰囲気(いくつかの実施形態では、不活性雰囲気や減圧雰囲気)で、適切な温度で、適切な時間、加熱される。アルゴンや水素などの保護ガスを、管37を通じてレトルトへ流し込み、管38を通じてレトルトから排出させる。チャンバ31の側面に排出口(図3には示さず)を設ける、および/または、蓋35とチャンバ31との間にいくつかの隙間(図3には示さず)を設けてもよい。処理の初めに、気相処理中の酸化を避けるために、雰囲気中の空気を排出させるための孔を通じてチャンバへ保護ガスを流し込む。ここで述べた実施形態では、チャンバ31とその中身は、およそ900℃ないしおよそ1150℃の範囲で、およそ2分ないしおよそ10時間、好ましくはおよそ2時間ないしおよそ10時間、一つまたはそれより多い温度で加熱される。特に好ましい処理は、少なくとも2時間、およそ1050℃ないしおよそ1100℃の温度で行うものである。
【0065】
結合されることを望まなければ、以下の反応シーケンスが提案できる。加熱によりハロゲン化合物活性化剤を気化させる。この気体は、その後、源材料のハフニウムとアルミニウムとに反応して、アルミニウムハロゲン化合物とハフニウムハロゲン化合物の気体を生成する。これらの気体は、その後、物品34の表面で反応して、AlとHfの原子を放出する。これらの原子は、その後、物品34上に堆積され、および/またはその中に拡散し、コーティング中のHf重量含有量が非常に低いHf含有アルミニウム化合物コーティングを生成する。
【0066】
本発明は以下の実施例に沿って述べられる。実施例は、本発明のいくつかの説明される実施形態を記述している。
【0067】
2つの実施形態に沿い、上述のようにアルミニウム化合物コーティングのテストされるコーティング体積においてすべての元素の総重量に基づいてコーティング中におよそ0.7重量パーセントにまでの、外側成長部位中および内側拡散領域中のHf含有量を持った本発明のコーティングを生成するために、Niベースの超合金(それぞれWASPALOYおよびINCONEL)を含むフラットサンプルがコーティングされた。
【0068】
別の実施形態では、Niベースの超合金(WASPALOY)のフラットサンプルが白金層で電気メッキされ、加熱され、その後、本発明の気相処理を用いてコーティングされた。これは、上述のようにアルミニウム化合物コーティングのテストされるコーティング体積においてすべての元素の総重量に基づいてコーティング中におよそ0.35重量パーセントにまでの、外側成長部位中および内側拡散領域中のHf含有量を持った本発明のコーティングを生成した。
【0069】
さらに別の実施形態では、Coベースの超合金(HS−188)のフラットサンプルが、本発明の気相処理を用いてコーティングされ、上述のようにアルミニウム化合物コーティングのテストされるコーティング体積においてすべての元素の総重量に基づいてコーティング中におよそ1.6重量パーセントにまでの、外側成長部位中および内側拡散領域中のHf含有量を持ったコーティングを生成した。
【0070】
さらに他の実施形態では、本発明の気相処理を用いて、Niベースの超合金を含む3つのタービンエンジン成分と、Coベースの超合金エンジン成分を含む別のタービンエンジン成分とをコーティングした。これにより、以下の(1)ないし(4)の外側成長部位と内側拡散領域におけるHf含有量を持つコーティングを生成した。
(1)上述のアルミニウム化合物コーティングのテストされるコーティング体積においてすべての元素の総重量に基づいて、INCONEL738合金タービン翼に、およそ0.14重量パーセントにまで。
(2)上述のアルミニウム化合物コーティングのテストされるコーティング体積においてすべての元素の総重量に基づいて、CMSX−3単結晶タービンブレードの外側成長部位および内側拡散領域に、およそ0.55重量パーセントのHfにまで。
(3)上述のアルミニウム化合物コーティングのテストされるコーティング体積においてすべての元素の総重量に基づいて、MarM247タービン翼セグメントの外側成長部位および内側拡散領域に、およそ2重量パーセントのHfにまで。
(4)上述のアルミニウム化合物コーティングのテストされるコーティング体積においてすべての元素の総重量に基づいて、MarM509Coベースのタービン翼セグメントの外側成長部位および内側拡散領域に、およそ4重量パーセントのHfにまで。
【0071】
〔実施例1〕
80×55×1.1mmのサイズのWASPALOYのNiベース合金フラットサンプルと、64×27×1.6mmのサイズのINCONEL718のNiベース合金フラットサンプルとを、図3の装置でグリットブラスト処理し、気相コーティングした。コーティングチャンバ31のサイズは、径が0.685メートル(27インチ)で、深さが0.254メートル(10インチ)である。混合物32は、およそ3.5mm×17.5mmのサイズの9.072kg(20lbs)の30Al−70Cr(重量パーセント)と、およそ44ミクロンの粉末サイズの0.454kg(1lb)のHfO2粉末と、およそ200ミクロンの粉末サイズの0.3kgのAlF3粉末とを含んでいた。支持スクリーン33と混合物32との距離はおよそ9cmであった。気相処理温度は、およそ6時間の間、およそ1975°F(1079℃)であった。
【0072】
図4A、4B、4Eに、WASPALOYサンプルの表面形態、断面微細構造、コーティング深さに沿ったGlow-Discharge Mass Spectrometry(GDMS)組成プロフィールをそれぞれ示し、図4C、4D、4Fに、INCONELサンプルについて示す。コーティング表面と、付加的な層と内側拡散層との界面の白い相が、Hfの豊富な相である。このHfの豊富な相に関連して、GDMSスペクトル(図4E、4F)はHf含有量のピークを示している。
【0073】
〔実施例2〕
以下の実験条件で、(West Deptford, NJの)Johnson Matthey Inc.により供給されたQ塩溶液を用いて、38×26×1.1mmのサイズのWASPALOYのNiベース合金フラットサンプルを蒸気脱脂し、グリットブラスト処理し、超音波洗浄し、白金メッキした。白金濃度は5g/dm3であり、pHは10.2ないし10.6の範囲であり、温度は90ないし95℃であった。メッキ処理中、電流密度は2〜5mA/cm2の範囲内に制御され、白金の厚みは、4〜7ミクロンに制御された。白金メッキ処理の後、サンプルは、1時間、真空下で1925°F(1052℃)で加熱処理された。その後、サンプルは上述の実施例1と同様に同様の条件でグリットブラスト処理され、気相コーティング処理された。
【0074】
図5A、5B、5Cに、サンプルの表面形態、断面微細構造、コーティング深さに沿ったGDMS組成プロフィールをそれぞれ示す。展開したコーティングは、β−(Ni,Pt)Alマトリクスにおけるξ−PtAl2相を示した。GDMSスペクトルは、Hf導入、特に、コーティング表面の高いHf含有量を示し、表面の、沈殿した、Hfの豊富な相を示している。ξ−PtAl2+β−(Ni,Pt)Alのコーティング微細構造は、適切な加熱処理を介して、単相β−(Ni,Pt)Alコーティングへと変形されることができる。
【0075】
加熱処理温度は、数時間、およそ900℃ないしおよそ1200℃の範囲内とすることができる。加熱処理の時間の長さは、温度、コーティングにおけるξ−PtAl2相の割合、および基板材料に依存する。例えば、図5Bのξ−PtAl2+β−(Ni,Pt)Alのコーティング微細構造は、図5Dに示すように、2時間、1177°C(2150℃)で加熱処理することで、単相β−(Ni,Pt)Alコーティング微細構造へと変形される。しかしながら、コーティング表面と、付加的な層と内側拡散層との界面の、Hfの豊富な相は、あまり影響を受けない。コーティングの適用の前に、オプションとして、Hfの豊富な相を含むコーティング表面を、グリットブラストのような適切な方法で除去することもできる。
【0076】
〔実施例3〕
52×11×1.2mmのサイズのCoベース合金(HS−188)フラットサンプルを、上述の実施例1と同様の条件で、グリットブラスト処理し、気相処理でコーティングした。
【0077】
図6A、6B、6Cに、サンプルの表面形態、断面微細構造、コーティング深さに沿ったGDMS組成プロフィールをそれぞれ示す。展開したコーティングは、コーティング表面と、コーティングとにおいて、Hfの豊富な相を示した。サンプルのGDMSスペクトルは、Hf導入をも示した。
【0078】
〔実施例4〕
産業への応用を示すために、スクラップのタービンエンジン成分をHf修飾アルミニウム化合物コーティングでコーティングした。成分は、3つのNiベース超合金タービンエンジン成分(INCONEL738合金タービン翼、CMSX−3単結晶タービンブレード、MarM247タービン翼セグメント)と、1つのCoベース超合金エンジン成分(MarM509タービン翼セグメント)であった。実施例1と同様の条件で、成分をグリットブラスト処理し、気相処理でコーティングした。
【0079】
図7に示すように、関連する成分は、光沢のあるコーティング表面を示した。成分72はMarM247タービン翼セグメントであり、成分74はINCONEL738タービン翼であり、成分76はCMSX−3タービンブレードであり、成分78はMarM509タービン翼セグメントである。MarM247タービン翼セグメントについて図8Aに示し、INCONEL738タービン翼について図8Bに示し、CMSX−3タービンブレードについて図8Cに示し、MarM509タービン翼セグメントについて図8Dに示すように、コーティングされた成分の表面形態試験は、多結晶構造を示した。同様に、MarM247タービン翼セグメントについて図9Aに示し、INCONEL738タービン翼について図9Bに示し、CMSX−3タービンブレードについて図9Cに示し、MarM509タービン翼セグメントについて図9Dに示すように、コーティングされたすべての成分のコーティング断面微細構造が、β−(Ni,Co)Al相マトリクスに、細かい、沈殿したHfの豊富な相を示した。MarM247タービン翼セグメントについて図10Aに示し、INCONEL738タービン翼について図10Bに示し、CMSX−3タービンブレードについて図10Cに示し、MarM509タービン翼セグメントについて図10Dに示すように、展開されたコーティングのGDMSスペクトルは、Hf導入を示した。
【0080】
上述の各実施例において、β−NiAlやβ−(Ni,Pt)Al拡散コーティングへのHf導入が、GDMS法を用いて得られた組成プロフィールにおいて明らかになった。気相コーティング処理で、単純なアルミニウム化合物や白金で修飾されたアルミニウム化合物のコーティングにHfを良好に導入することは重要である。これは、Hf追加が、タービンエンジン成分の拡散コーティングの特性を改善させることが明らかであるからだけではなく、さらに、発明された産業上の気相コーティング処理を用いることによって実現可能でもあるからである。
【0081】
本発明の多くの実施形態について述べた。しなしながら、本発明の精神と範囲とから離れることなく様々な修正が可能であることが理解されるだろう。したがって、他の実施形態も請求項の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】熱バリアコーティングを有する金属性物品の横断面図である。
【図2】本発明を実行するための好ましいアプローチのブロックダイヤグラムである。
【図3】Hf修飾されたアルミニウム化合物コーティングを形成する気相コーティング装置の構造図である。
【図4A】WASPALOYのニッケルベースの超合金フラットサンプル上へのHf修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、表面画像である。
【図4B】WASPALOYのニッケルベースの超合金フラットサンプル上へのHf修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、断面画像である。
【図4C】INCONELのニッケルベースの超合金フラットサンプル上へのHf修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、表面画像である。
【図4D】INCONELのニッケルベースの超合金フラットサンプル上へのHf修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、断面画像である。
【図4E】WASPALOYのニッケルベースの超合金フラットサンプル上へのHf修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、GDMS結果である。
【図4F】INCONELのニッケルベースの超合金フラットサンプル上へのHf修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、GDMS結果である。
【図5A】同様のコーティング条件での、WASPALOYのフラットサンプル上への(HfおよびPtで)修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、表面画像である。
【図5B】同様のコーティング条件での、WASPALOYのフラットサンプル上への(HfおよびPtで)修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、断面画像である。
【図5C】同様のコーティング条件での、WASPALOYのフラットサンプル上への(HfおよびPtで)修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、GDMS結果である。
【図5D】加熱処理後の、(HfおよびPtで)修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、断面画像である。
【図6A】HS−188のコバルトベースの超合金フラットサンプル上へのHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、表面画像である。
【図6B】HS−188のコバルトベースの超合金フラットサンプル上へのHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、断面画像である。
【図6C】HS−188のコバルトベースの超合金フラットサンプル上へのHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、GDMS結果である。
【図7】本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有するタービンエンジン要素である。
【図8A】本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有する、MarM247基板タービン翼の表面形態学画像である。
【図8B】本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有する、INCONEL738タービン翼の表面形態学画像である。
【図8C】本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有する、CMSX−3タービンブレードの表面形態学画像である。
【図8D】本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有する、MarM509タービン翼の表面形態学画像である。
【図9A】本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有する、MarM247基板タービン翼の断面画像である。
【図9B】本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有する、INCONEL738タービン翼の断面画像である。
【図9C】本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有する、CMSX−3タービンブレードの断面画像である。
【図9D】本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有する、MarM509タービン翼の断面画像である。
【図10A】本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有する、MarM247基板タービン翼のGDMS結果である。
【図10B】本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有する、INCONEL738タービン翼のGDMS結果である。
【図10C】本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有する、CMSX−3タービンブレードのGDMS結果である。
【図10D】本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有する、MarM509タービン翼のGDMS結果である。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
本願は、「Forming Reactive Element Modified Aluminide Coatings with Low Reactive Element Content Using Vapor Phase Techniques」とのタイトルの2009年5月18日に出願された米国仮出願番号61/216,496の恩恵を主張し、この全開示がここに組み込まれる。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、気相コーティング技術を用いて、少ない反応成分(reactive element)量で、アルミニウム化合物コーティングを行う方法である。反応成分は、例えば、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)やこれらの組み合わせなどである。より詳細には、本発明は、気相コーティング技術を用いてこのようなコーティングを行うものであり、反応成分源材料は、反応成分の非ハロゲン化合物を含んでいる。例えば、反応成分の酸化物(例えばHfの場合にはHfO2)、反応成分の窒化物(例えばHfの場合にはHfN)、および/または反応成分の炭化物(例えばHfの場合にはHfC)である。この処理で生成したコーティングは、高温環境で化合物を腐食から守るのに用いることができる。このコーティングはまた、高温環境で用いられる成分に対する熱バリアシステムにおける結合コートとしても用いることができる。
【0003】
〔背景技術〕
エンジンの燃焼効率を改善して排出を抑える駆動部により、1940年代以降、ガスタービンエンジン内のタービンエントリー温度(TET)が著しく増加した。近年、商業的な航空エンジンの高温ガスに曝される高圧タービンブレードや翼は、典型的には、およそ1000℃の金属表面温度を経験し、短い期間には、1100℃もの高温のピークを経験している。このような供給環境では、鉄ベース、ニッケルベース、コバルトベースの超合金の発展を通じて、また、超合金を酸化や高温腐食などから保護できる抗酸化環境コーティングの使用によって、高温での能力が著しく向上してきた。
【0004】
例えば、保護すべき物品の表面は、その表面が酸化してさらなる酸化を抑制するアルミニウム酸化物鱗屑(scale)を形成するような、アルミニウム含有保護コーティングを用いて保護することができる。それゆえ、保護コーティングは、この酸化鱗屑の熱成長を促進するために、Alが十分多くなっている。この鱗屑はまた、熱成長酸化物(TGO)としても参照される。オプションとして、耐用年数を延ばす熱バリアを供給するのに役立たせるために、アルミニウム含有保護層上に、さらにセラミックトップコートを行う。酸化耐性を与えることに加えて、TGOは、セラミックトップコートが保護コーティングに結合するのを助ける。それとともに、保護コーティング(結合コートとも呼ぶ)、TGO層、およびセラミックトップコートは、コーティングされる物品を保護するために、熱バリアコーティングシステム(TBC)を提供する。
【0005】
熱バリアコーティングシステムにもかかわらず、厚いTGO鱗屑層の破砕や割れ目はしばしば、従来の熱バリアシステムの究極的な失敗メカニズムである。それゆえ、より信頼性の高い熱バリアシステムの発展のためには、界面TGOの接着と完全性との改善が重要である。理想的には、高温にさらされたときに、アルミニウム含有保護コーティングが酸化して、保護コーティングやセラミックトップコートによく接着する、成長の遅い、「しわ」の無いまたは少ない、非孔質のTGO層を形成すべきである。
【0006】
従来の結合コートは、典型的には、MCrAlYオーバーレイ(MはNi、Co、Feまたはこれらの組み合わせである)や拡散アルミニウムコーティングのいずれかである。MCrAlYオーバーレイは、一般に、電子ビーム物理蒸着(EB−PVD)、高速酸素燃料(HVOF)、定圧プラズマ噴射(LPPS)、真空プラズマ噴射(VPS)によって行われる。拡散アルミニウム化合物コーティングは、一般に、化学蒸着(CVD)、スラリーコーティング、あるいは、パックセメンテーション、上パック、気相堆積などの拡散プロセスにて行われる。拡散アルミニウム化合物コーティングは、特に、以下の理由により、ガスタービンエンジンの超合金成分の保護コーティングとして広がった。すなわち、(1)拡散処理が、複雑な幾何学やコーティングされる内面を有する成分があってもよいラインサイト処理ではないこと。また、(2)拡散処理は、一般に、オーバーレイ処理と比べて安価であることである。
【0007】
これらのコーティングによって供給される酸化保護を改善するために、アルミニウム化合物コーティングに、反応成分が導入された。アルミニウム化合物成分として提案されている反応成分の例は、Hf、Zr、Y、Laおよび/またはCeを含んでいる。アルミニウム化合物コーティングに少量の反応成分を加えるだけで、保護酸化鱗屑のコーティング/合金への接着や、コーティング/合金の、攻撃的な媒体ガス下での酸化耐性が改善する。
【0008】
Hfを加えることにより酸化耐性が著しく改善した例は多く示されている。例えば、β−NiAlキャストアレイへの追加(Pint et al., 「Effect of quaternary additions on the oxidation behavior of Hf-doped NiAl」、Oxidation of Metals, Vol.59, Pages 257-293, 2003)や、MCrAlYコーティング材料へのHf追加(Griggins Jr., et al., U.S. Patent 3,993,454, Gupta et al., U.S. Patent 4,585,481)である。また、Hfの追加により、ハフニウムがコーティング内へ拡散して、また、クリープ(creep)耐性を増加させる成長するアルミニウム酸化物へと拡散するときに、しわの傾向を減少させることがわかっている(Topygo et al., 「Effect of Hf, Y and C in the underlying superalloy on the rumpling of diffusion alminide coatings」、Acta Materialia 56, Pages 489-499, 2008)。また、酸化中に金属と酸化物との界面でコーティング合金に形成される空間を減少させることもわかっている(Provensano et al., 「Void formation and suppression during high temperature oxidation of MCrAlY-type coatings」、Surface and Coatings Technology, 36, Pages 61-74, 1988)。
【0009】
最近、Gleeson at al.の米国特許7,273,662は、熱曝露中に結合コーティング表面の進行する粗面化すなわち「しわ」を減少させる目的で、2相のγ−Ni+γ’Ni3Al合金組成物を開示している。
【0010】
Hf追加の重要な利益により、拡散アルミニウム化合物コーティングへHfを導入する拡散コーティング処理は、数十年間研究されてきた。1970年代初頭には、Chang et al.の米国特許3,951,642と米国特許3,996,021は、Hfで修飾したアルミニウム化合物コーティングを生成するための、パックセメンテーション処理を開示している。その後、Warnes et al.の米国特許5,989,733と米国特許6,136,451と米国特許6,689,422と、Nagaraj et al.の米国特許6,602,356は、Hf追加を行うまたは行わない白金(Pt)−アルミニウム化合物コーティングを生成するためのCVD処理を開示している。Rigny et al.の米国特許6,514,629と米国特許6,582,772は、基板を供給するステップと、白金、アルミニウム、ハフニウム、シリコンを含む層を堆積するステップと、層を加熱してアルミニウム、ハフニウム、シリコンを白金層に拡散させて保護層を形成することによって形成される、Hf−Si修飾のPt−アルミニウム化合物コーティングを開示している。
【0011】
パックセメンテーションと気相処理は、Hf修飾アルミニウム化合物拡散コーティングを形成するための、3つの可能性のある産業的な拡散コーティング処理である。これらのなかで、気相処理は、多くの利点を提供する可能性を有している。他は、欠点を有している。いくつかの成功例では用いられているが、ハフニウム修飾されたアルミニウム化合物と単純なアルミニウム化合物とのコーティングの両方に対するパックセメンテーション処理は、いくつかの欠点を共有している。例えば、不活性の詰め物、冷却孔の障害、形成されたコーティング表面にはめ込まれた粒子である。これらの欠点を避ける一方、ハフニウム修飾のアルミニウム化合物コーティングを形成するCVD処理を用いる大きな欠点は、設備のコストが大きいことである。パックとCVD処理とのこれらの欠点に鑑み、気相処理などの代替の堆積方法が考えられてきた。
【0012】
ハフニウム修飾されたアルミニウム化合物のコーティングのための気相処理の情報は限られている。Das et al.の米国特許6,332,931は、Hfドナー材料としてHf金属またはHf含有金属合金を用いて、アルミニウム化合物−ハフニウムコーティングを生成する気相コーティング処理を開示している。その結果、合成されたコーティングは、およそ0.5ないしおよそ60重量パーセントのハフニウムとおよそ12ないしおよそ38重量パーセントのアルミニウムとを含有していると開示している。しかしながら、アルミニウム化合物コーティング中のHf含有量が高すぎると、コーティングやコーティング表面に、Hfの多い沈殿相が形成される。例えば、HfC、HfO2、Ni2AlHfなどである。また、アルミニウム化合物コーティングの機械的な特性や酸化耐性を悪化させる。それゆえ、環境コーティングや熱バリアコーティングシステムの結合コートとして、タービンエンジン成分への応用によってガスタービンの性能を著しく向上させることができる、低いHf含有量のアルミニウム化合物コーティングを開発する必要がある。HfとAlの共堆積(co-deposit)や拡散コーティング処理の複雑な処理パラメータを制御するのが困難なため、Hf修飾アルミニウム化合物コーティングは、数十年研究されてきたが、Hf修飾アルミニウム化合物拡散コーティングの産業への応用のための情報は非常に限られたものしか報告されていない。
【0013】
気相処理の使用についての大きな障害は、源(source)から、コーティングされる物品への、アルミニウムと、Hfなどの反応成分との共堆積を十分に制御することができない点である。不幸にも、気相処理が用いられると、得られるアルミニウム化合物コーティングは、多すぎるハフニウムを導入する傾向がある。これにより、その機械的特性および/または耐用年数を過度に妥協したコーティングとなる。それゆえ、産業界には、アルミニウムとHfなどの反応成分との共転送(co-transfer)の制御が改善されたものを提供する気相コーティング技術を用いることができるようにとの強い欲求や必要性がある。
【0014】
〔発明の要約〕
本発明は、源から、コーティングされる物品への、アルミニウムと反応成分との共転送および共堆積の制御を改善できる気相処理コーティング技術への戦略を供給する。特に、本発明は、これに関連して反応成分源を適切に選択して、共転送と共堆積との制御を劇的に改善したことを評価する。気相コーティングの事情において、反応成分源の少なくとも一部が、反応成分源の、酸化物、窒化物、炭化物などの非ハロゲン化合物を含んでいるときに、制御が改善するという結果が得られている。一方、金属性の源やハロゲン化合物の源を用いると、コーティングに、過剰な、または制御されないような、反応成分レベルの結果となる傾向がある。
【0015】
本発明は、不利な動作環境から、あらゆる物品を保護するコーティングに適用される。好ましい実施形態では、コーティングは、高温および/または化学的な不利な環境において、酸化、熱腐食、その他の分解から保護する。コーティングはまた、熱バリアコーティングシステムでの結合コートとしても用いることができる。
【0016】
一つの面として、本発明は、物品のコーティング方法に関し、
金属性表面を持つ上記物品を供給する工程と、
反応成分源の少なくとも一部が反応成分の非ハロゲン化合物を含んでいる、反応成分源を供給する工程と、
アルミニウム源を供給する工程と、
ハロゲン化合物活性化剤を供給する工程と、
アルミニウムと上記反応成分とを含んでいる種(species)が、上記金属性表面上に共堆積されてコーティングを形成する効果的な条件で、上記物品と、上記反応成分源と、上記アルミニウム源と、上記ハロゲン化合物活性化剤とを加熱する工程とを含んでいることを特徴とするコーティング方法である。
【0017】
〔図面の簡単な説明〕
本発明の上記および他の利点と、それを達成する方法とは、付随の図面と結合して本発明の実施形態の以下の記述を参照することによって、より明らかになるであろう。
【0018】
図1は、熱バリアコーティングを有する金属性物品の横断面図である。
【0019】
図2は、本発明を実行するための好ましいアプローチのブロックダイヤグラムである。
【0020】
図3は、Hf修飾されたアルミニウム化合物コーティングを形成する気相コーティング装置の構造図である。
【0021】
図4A、4B、4Eは、それぞれ、WASPALOY(商標)のニッケルベースの超合金フラットサンプル上へのHf修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、表面画像、断面画像、およびGDMS結果であり、図4C、4D、4Fは、それぞれ、INCONEL(商標)のニッケルベースの超合金フラットサンプル上へのHf修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、表面画像、断面画像、およびGDMS結果である。
【0022】
図5A、5B、5Cは、同様のコーティング条件での、WASPALOYのフラットサンプル上への(HfおよびPtで)修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、表面画像、断面画像、およびGDMS結果である。図5Dは、加熱処理後の、(HfおよびPtで)修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、断面画像である。
【0023】
図6A、6B、6Cは、HS−188のコバルトベースの超合金フラットサンプル上へのHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、表面画像、断面画像、およびGDMS結果である。
【0024】
図7は、本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有するタービンエンジン要素である。
【0025】
図8A、8B、8C、8Dは、それぞれ、本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有する、MarM247基板タービン翼、INCONEL738タービン翼、CMSX−3タービンブレード、MarM509タービン翼の表面形態学画像である。
【0026】
図9A、9B、9C、9Dは、それぞれ、本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有する、MarM247基板タービン翼、INCONEL738タービン翼、CMSX−3タービンブレード、MarM509タービン翼の断面画像である。
【0027】
図10A、10B、10C、10Dは、それぞれ、本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有する、MarM247基板タービン翼、INCONEL738タービン翼、CMSX−3タービンブレード、MarM509タービン翼のGDMS結果である。
【0028】
〔発明の詳細な実施形態〕
以下に示す本発明の実施形態は、本発明を網羅することや、以下に示す記述の正確な形式に本発明を限定することを意図しない。むしろ、実施形態は、他の当業者が本発明の原理と実践とを評価・理解するように選び記述されている。
【0029】
図1は、本発明の原理に基づいて製造された、コーティングされた物品の一部の断面を概略的に示している。代表的な実施形態では、物品10は、ロケット、ミサイル、飛行機、船舶、産業設備、電力設備、電気モータ、化学製造設備、熱交換機などである。本発明の原理は、高温環境、例えばおよそ450℃以上、好ましくはおよそ650℃以上、より好ましくはおよそ850℃以上のような環境で酸化に対する保護が求められるような応用に好適に実施される。好ましい実施形態では、物品10は、高圧タービンノズル、低圧タービンノズル、タービンの覆い、タービン翼のうちの全部または一部のような、ガスタービンエンジンの要素である。物品10は、新しい部分でも、取り替えられた部分でも、修理された部分でもよい。物品10は、キャスト、成型、機械的、直接凝固(DS)、単結晶(SX)から製造でき、および/または、他の任意の所望の方法でも製造できる。
【0030】
物品10は、熱バリア構造12のための基板として機能する本体11を含んでいる。本体11は、純粋金属、金属間組成物(intermetallic composition)、合金、これらの組み合わせなどとすることができる金属性組成を有している。本体は、単相を含んでもよいし、多重相を含んでもよく、例えば、金属間沈殿物を有する合金マトリクスである。本体11は、非晶質、結晶などでよい。金属および/または金属間組成物に加えて、本体11は、他の成分を含んでもよい。例えば、本体11は、金属性マトリクスと繊維(図示せず)などを含む合成物であってよい。
【0031】
好ましい実施形態では、本体11は、ニッケルベース、コバルトベース、チタンベース、または鉄ベースの合金を含んでいる。「ニッケルベースの合金」との用語は、Niが合金中で優勢な元素であることを意味する。例えば、合金中の他のどの元素よりもNiが多く存在するということである。同様に、コバルトベース、チタンベース、鉄ベースの合金では、それぞれ、Co、Ti、Feが、優勢な元素である。合金は、一つまたはそれより多い他の合金元素を含んでもよい。例えば、クロム、アルミニウム、チタン、モリブデン、鉄、マンガン、タングステン、ホウ素、ニオブ、タンタル、コバルト、シリコン、レニウム、白金、ハフニウム、ジルコニウム、イットリウム、またはこれらの組み合わせなどを含んでよい。好ましくは、合金は、他のどの個々の元素よりも、ニッケルおよび/またはコバルトを多く含む。いくつかの実施形態では、ニッケル、コバルト、および/またはニッケル−鉄の合金(他の合金元素もあってもなくてもよい)は、高温で、優れた機械強度、クリープ耐性、良好な表面安定性ゆえに、超合金として知られている。超合金の例は、HASTELLOY(商標)、INCONEL(商標)、WASPALOY(商標)、RENE(商標)合金(例えば、RENE41、RENE80、RENE95、RENE104)、HAYNES(商標)合金、INCOLOY(商標)、MP98T、TMS合金、CMSX単結晶合金である。
【0032】
オプションとして、本体11は、一つまたはそれより多い層を含んでよい。例えば、いくつかの例では、白金層(図示せず)が、本体11の少なくとも一部に基板層を形成するために堆積されてもよい。高温では、白金は、拡散して、以下に述べるアルミニウム化合物コーティングに導入され、本体11の酸化保護を向上させる。白金の導入は、アルミニウム化合物コーティングの機械的特性も向上させる。しかしながら、費用が余分にかかるので、いくつかの実施形態では白金層を用いるのはコスト的に効果的でない。
【0033】
熱バリア構造12は、保護コーティング13、熱成長酸化層14、またオプションとして、セラミックトップコート15を含んでいる。保護コーティング13は、本体11を酸化から保護するのに役立つ。特に、高温環境(およそ450℃以上、好ましくはおよそ650℃以上、より好ましくはおよそ850℃以上のような環境)で役立つ。本発明の実施では、保護コーティング13はアルミニウム化合物を含んでいる。ここでの使用において、アルミニウム化合物は、アルミニウムと、基板本体11からの少なくとも一つの金属元素とを含む金属性固体溶液または金属間組成物を参照する。このような他の金属元素の例は、ニッケル、コバルト、チタン、鉄、クロム、これらの組み合わせなどを含んでいる。
【0034】
アルミニウムとニッケルとを含んでいるアルミニウム化合物組成物が好ましい。本発明では、ニッケルとアルミニウムの総量に基づいておよそ45ないしおよそ70原子パーセントのニッケルを含むニッケルアルミニウム化合物が好ましい。このような組成は、高温での酸化耐性と、受容できる機械的特性との間でよいバランスを与える。対照に、アルミニウムに対し、より多くのNiが存在すると、酸化耐性が低下する傾向がある。アルミニウムに対し、Niが少ないと、アルミニウム化合物はよりもろくなる。バイナリのAl−Niシステムに対する相ダイヤグラムは、アルミニウムとニッケルとを含む相を5つ示している。これらは、アルミニウムリッチな相であるAl3NiおよびAl3Ni2を含んでいる。これらはまた、ニッケルリッチな相であるAl3Ni5およびAlNi3を含んでいる。5番目の相は、アルミニウム化合物が、ニッケルとアルミニウムの総量に基づいておよそ45ないしおよそ70原子パーセントのニッケルを含むときに一般に存在するAlNiを含んでいる。したがって、ニッケルアルミニウム化合物がニッケルとアルミニウムの総量に基づいておよそ45ないしおよそ70原子パーセントのNiを含むときに、ニッケルアルミニウム化合物の少なくとも一つの優勢な部位が、AlNi相として存在すると考えられる。
【0035】
アルミニウム化合物、本発明の保護コーティング13は、外側成長部位と内側拡散領域との両方に、低反応成分を含んでいるが、Hfおよび/または白金(もしあれば)のいずれかを含む沈殿相は含まない。有利には、反応成分の量が低いと、酸化鱗屑の量を最小化して鱗屑の保護コーティング12への付着を向上させることによって、優れた酸化保護を提供する。
【0036】
ここで用いるように、コーティング内のHfの重量パーセントは、コーティング13の外側成長部位または内側拡散領域に関し、(以下に述べる)テストされた体積内のアルミニウム化合物コーティングにおけるすべての元素の総重量に基づいている。存在してもよい他の元素は、HfとAlに加えて、本体11の組成に部分的に基づき、Ni、Co、Cr、Mo、W、Ta、Nb、Ti、Fe、Mn、Si、Zr、V、C、B、S、Pなどを含んでもよい。
【0037】
コーティングの深さ全体にわたって、Hfなどの各元素の組成は、著しく変化する傾向がある。しかしながら、コーティング表面からの同じコーティング深さでは、各元素の組成は実質的に不変の傾向がある。したがって、コーティング表面からの特定のコーティング深さにおけるHf組成を得るためには、コーティングの外側成長部位または内側拡散領域のいずれかについて、特定の深さで、コーティング表面から5ミクロンなど、体表的な数のサンプル体積(例えば1ないし10個のサンプル、好ましくは3個のサンプル)をテストすることができる。そして、その深さでのHfの重量パーセントを平均として計算することができる。
【0038】
本発明の実施では、特定のコーティング深さでHf組成を得るための適切なテスト体積は、コーティング深さの方向において特定の深さに中心がある。例えば、5ミクロンの深さでのHf組成を得るための、4ミクロンないし6ミクロンの範囲の深さにおける体積である。特定の深さを「D」ミクロンとし、適切なテスト体積のための適切な深さを「D±d」ミクロンとすると、適切な「d」は、3ミクロンより少ないことが所望され、2ミクロンより小さいことが好ましい。テストされる体積は他の寸法に依存して変動する。他の寸法とは、テストされる体積がほぼ立方体の構造を有する場合は、幅と長さなどである。適切な、テストされる体積は、少なくとも1立方ミクロンであることが所望される。最大体積は、深さ寸法以外の他の寸法に依存して変動することがある。これは、部分的には、テスト方法によるものである。また、テストされる体積が、外側成長部位と内側拡散領域との橋渡しをしないことが望ましい。これは、この2つの領域間の界面が、周りのコーティング領域よりもHfが相対的に多い沈殿相を含む傾向があるからである。
【0039】
コーティングの外側成長部位または内側拡散領域のいずれかにおける特定のコーティング深さでのHf組成を得るために、3つの代表的なテスト体積からデータを得ることが有益である。テストされる体積は、HfやPt(もしあれば)のいずれかを含んでいる沈殿相を含むべきでない。沈殿相と周囲のコーティング領域との大きな違いの一つは、相の結晶構造の点の違いであるとともに、適切な実施条件では「沈殿相」が冶金サンプルに異なった色で現れるような組成である点である。
【0040】
データを得るためには様々なテスト方法が用いられる。例は、Glow Discharge Mass Spectrometry(GDMS)、Energy Dispersive Spectroscopy(EDS)などである。GDMS、EDSその他の方法が一致しないデータを与えるときは、GDMSデータをコントロールとする。
【0041】
コーティングのHf含有量は一般にコーティング深さに応じて変動するが、外側成長部位または内側拡散領域のいずれか一方以内の任意の深さで決定したHf組成が所望の範囲内に入ることが望ましい。代表的な実施形態では、コーティング13のテストされたサンプル体積におけるHf含有量は、一つまたはそれより多い反応成分を、およそ0.01ないしおよそ4重量パーセント、また、およそ0.01ないしおよそ4重量パーセント、また、およそ0.01ないしおよそ2重量パーセント、またさらにはおよそ0.05ないしおよそ0.5重量パーセント、またおよそ0.1ないし0.3重量パーセント、含む。言い換えれば、反応成分の含有量はサンプルされた体積の深さによって異なるが、コーティング13の様々な深さから取られた様々なサンプルにおける反応成分の含有量がこの範囲内にあることが好ましい。
【0042】
いくつかの例では、所望の反応成分含有量は、コーティング13が形成される本体11の組成の性質に依存する。例えば、一つの実施形態では、保護的なアルミニウム化合物コーティングのHf含有量は、一般には、Niベースの超合金を含む本体11に形成されたときにアルミニウム化合物のコーティングのテストされたコーティング体積における全元素の総重量に基づいて、0.5重量パーセントよりも小さい。他の実施形態では、保護的なアルミニウム化合物コーティングのHf含有量は、一般には、Coベースの超合金を含む本体11に形成されたときにアルミニウム化合物のコーティングのテストされたコーティング体積における全元素の総重量に基づいて、2重量パーセントよりも小さい。他の実施形態では、保護的なアルミニウム化合物コーティングのHf含有量は、一般には、CoおよびNiベースの超合金を含む本体11に形成されたときにアルミニウム化合物のコーティングのテストされたコーティング体積における全元素の総重量に基づいて、0.5重量パーセントよりも小さく、より好ましくはおよそ0.1重量パーセントないしおよそ0.3重量パーセントである。
【0043】
ここで用いているように、アルミニウム化合物組成中に存在することによって、同じ源材料から、同じ比率で、ただし反応成分が存在しない状態で行われたコーティングに比較して、酸化に対して本体11を保護する保護コーティング13の能力を増加させる材料を反応成分と称している。代表的な反応成分は、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、これらの組み合わせなどを含んでいる。好ましい実施形態では、反応成分は、Hf、Zr、および/またはYの少なくとも一つを含んでおり、反応成分源から得られる。ここで、源の少なくとも一部が、酸化物、他の酸素含有化合物、窒化物、炭化物等のような反応成分の非ハロゲン化合物を含んでいる。アルミニウム化合物コーティングへ追加する技術と追加による効果との面で、これらすべての反応成分の類似性により、明細書中のこれらの材料の議論は、便宜上、Hfに絞ることとする。当業者は、Hfの議論が、他の反応成分にも当てはまることを理解するだろう。
【0044】
有利には、本発明のアルミニウム化合物コーティングは、気相コーティング技術を用いて生成される。本発明は、この内容に用いられる気相コーティング技術を実現可能にすることによって重要である。過去には、気相コーティング技術を用いて、アルミニウム化合物コーティング技術を形成するときに、反応成分の含有量を低レベルに制御することが非常に望ましいとされてきた。しかしながら、従来の気相コーティング技術は、反応成分の種の共堆積をあまり制御できていない。その結果、反応成分の含有量が高すぎて、満足できる耐用年数を持った満足できるコーティングを提供できなかった。本発明は、制御について劇的な成果を上げた。反応成分の非ハロゲン化合物を含む反応成分源(例えばHfの場合にはHfO2などの酸化物)を用いることによって、本発明は、気相コーティング技術を用いて、反応成分の含有量をより低いレベルに制御して、保護的なアルミニウム化合物コーティングを生成することを可能にした。
【0045】
アルミニウムと、一つまたはそれより多い付加的な、オプションである貴金属成分(金、銀、白金、パラジウムを含む。白金が好ましい。)と、一つまたはそれより多い反応成分とに加えて、本発明のアルミニウム化合物組成物は、一つまたはそれより多い金属種を含んでもよい。これらの例は、Ni、Co、Cr、Mo、W、Ta、Nb、Ti、Fe、Mn、Si、V、またこれらの組み合わせなどである。
【0046】
実際の実施例では、保護コーティング13を堆積する処理は、温度を上昇させながら行う。堆積中に、コーティング13を形成する材料の一部は、一般に、本体11の表面に、コーティングの外側成長部位を形成する。コーティング13を形成する材料の他の一部は、本体11の材料に対して内側拡散し、本体11へある深さにまで延びる内側拡散領域9を形成する。同時に、本体11のいくつかの構成成分は、堆積されたコーティング13に拡散する。本発明の目的のために、内側拡散領域9は、それが本体11内側に向かって下方に延びていても、コーティング13の部位であると考える。
【0047】
保護コーティング13は、単相でもよいし、一つまたはそれより多い付加的なHf含有相を少量含んでもよい。例えば、Hf含有量がここで述べる範囲の下限に近ければ、微細な、Hfの多い沈殿相が少量、コーティングにおいて検出される。例えば、コーティング13表面においてや、付加的な層(アルミニウム化合物コーティングの外側成長部位とも称される)と内側拡散層との間の界面においてや、および/または、コーティング13の外側成長部位において認められる。この内容における少量とは、2重量パーセントより少ないコーティング13が、一つまたはそれより多い付加的なHf含有相を含んでいることを意味する。より好ましくは、実質的にはこのような付加的なHf相が存在しない。言い換えれば、好ましくは、実質的にすべてのHfが、好ましくは固体の溶液状態にある。内側拡散領域は、典型的には、また、W、Moなど、いくつかの耐熱性元素の多い沈殿相や、Crの多い層を含んでもよい。部分的には、内側拡散領域の沈殿相の組成は、本体11の組成に依存する。
【0048】
好ましい実施形態では、コーティング13の外側成長部位は、基板組成に依存して、β−NiAl、β−CoAl、β−(Ni,Co,Pt)Alなどの単一のβ相微細構造を含んでいる。コーティング13の外側成長部位の他の元素は、Crおよび/またはSiや、また、気相コーティング処理の高温で拡散を通じて本体11由来のいくつかの耐熱性元素とすることができる。
【0049】
コーティング13は、広い範囲の厚みを有する。ここで述べる厚みは、外側成長部位と内側拡散領域の合計厚みである。多くの実施形態で、コーティング13の適切な厚みは、従来の産業上のコーティングの厚みと類似しており、典型的にはおよそ25ないし125マイクロメートル(およそ0.001ないし0.005インチ)である。
【0050】
セラミックトップコート15は、トップコート15の表面18に相対して熱的に成長した酸化層14の表面17で表面の温度を下げることによって、物品10の耐用年数を延ばすのに役立っている。実際には、表面17と表面18との間の温度差はおよそ100℃であると考えられる。
【0051】
セラミックトップコート15は、広範囲のセラミック材料から形成することができる。適切なセラミック材料は、一つまたはそれより多い、熱伝導性が低く、酸素透過性が高く、熱膨張係数が比較的高いものを有する。代表的な実施形態では、トップコート15は、およそ2ないしおよそ12重量パーセント、好ましくはおよそ4ないしおよそ8重量パーセントのイットリウム酸化物を含むイットリア安定化ジルコニア(YSZ)を含む。
【0052】
トップコート15が高い酸素透過性を有するこれらの実施形態では、保護コーティング13は、望ましくは、酸素攻撃への耐性を有する。それゆえ、望ましくは、保護コーティング13は、α−Al2O3の、保護的な、熱で成長した酸化物(TGO)の鱗屑である層14を形成するために、Alを十分多く有する。酸化耐性を与えるのに加えて、TGOは、保護コーティング13にセラミックトップコート15を結合させるのに役立つ。実際には、層14の一部は、トップコート15が相対的に高温で形成されるときなどのような、物品10の製造中に、もとの位置で形成される。付加的な部位は、物品10の耐用年数の間に、もとの位置で形成してもよい。
【0053】
図2は、気相技術を用いる本発明のアルミニウム化合物コーティングを生成する好ましいアプローチのブロックダイヤグラムである。工程20では、コーティングされる基板(例えば本体11)が供給される。オプションとして、本体11の表面が適切に洗浄され、活性化され、あるいは別の処理がなされる。例えば、本体11が本来のものまたは取り替えたものであれば、表面を、グリットブラストなどできれいにする。本体11が、修理される使用済み品の場合は、以前のコーティングを取り除くために、はがす処理を行うことができる。これは、適切な表面洗浄動作によって行える。
【0054】
工程22では、オプションとして、本体11は、白金含有層でコーティングされて熱処理されることができる。白金含有層は、任意の適切な方法で堆積できる。好ましくは、白金含有層は、電気メッキ処理と適切な白金源とを用いて堆積される。例えば、Pt(NH3)2(NO2)2の構造を持つPt P塩や、[Pt(NH3)4]HPO4の構造を持つPt Q塩である。
【0055】
工程24では、気相コーティング処理(例えば、単一工程の気相処理)を用い、そのときには、反応成分で修飾されたアルミニウム化合物拡散コーティングを形成するために、本体11上に、Alと、少なくとも一つの反応成分とを含む成分を共堆積する。ここで用いているように、「反応成分で修飾された」とは、コーティングが反応成分を含んでいることを意味する。オプションとして、工程24は、コーティング微細構造や組成物分布を調整するために、反応成分で修飾されたアルミニウム化合物コーティングを加熱する工程をさらに含んでもよい。このようなアルミニウム化合物コーティングを形成する処理が、図3と関連する以下の記載でより詳細に述べられている。
【0056】
再度図2を参照して、工程25では、反応成分で修飾されたアルミニウム化合物コーティングの上に、オプションとして、セラミックトップコート(例えばセラミックトップコート15)を堆積する。トップコートは、様々な方法で形成できる。いくつかの実施形態では、トップコートは、空気プラズマ噴霧や、電子ビーム物理蒸着を用いて行える。多くの実施形態では、トップコートは、およそ100ミクロンないし400ミクロンの厚みを有する。
【0057】
本発明の、反応成分で修飾されたアルミニウム化合物コーティングを形成する処理は、図3を用いて以下により詳細に記述されている。説明の目的のため、処理は、Hf含有アルミニウム化合物コーティングを形成する内容にて記述する。ここで、Hfは、HfO2、HfN、HfCなどの、Hfの酸化物、窒化物、炭化物を含む源から得られる。対応するこれらの酸化物、窒化物、炭化物から得られる、(オプションとしてHfとともに)Zr、Y、Laおよび/またはCoなどの他の反応成分を含むコーティングが、それに対応する源で、ここに述べるHf源を置き換えることによって得ることができることは理解されるだろう。
【0058】
図3は、代表的なHf含有アルミニウム化合物コーティングを生成するのに用いられる、レトルト(retort)形式のシステム30を示す。図3を参照して、レトルトの内部には3つのコーティングチャンバ31がある。所望であれば、これより少ないまたはこれより多い個数のこのようなチャンバを含むレトルトを用いることができる。例えば、他のレトルト実施形態では、一方では一つまたは二つだけチャンバ31を含み、他方ではおそらく4つまたはそれより多いチャンバを含んでもよい。多重コーティングチャンバ31を用いる場合は、底部のコーティングチャンバ31は、炉底のセラミック支持部39の上に座る。支持部39は、チャンバ31とレトルト底部とを、それらの成分間の温度差によって分離するために用いられている。チャンバ31の温度は相対的に高く、レトルト底部の温度は相対的に低い。隣接チャンバ31間では、熱的に隣接チャンバを分離するのに、セラミックスペーサ36を用いることができる。ある状態の実施例では、チャンバ31は、チャンバごとに異なる処理が行われるときや、あるチャンバでは大きめの部品を収納するために他より大きくするときや、異なる処理材料が用いられるときなどのときには、一つ一つ異なったものを用いてもよい。この代表的なシステム30では、3つのコーティングチャンバ31は同一のものである。したがって、ここでは、他の表現を行わない限り、底部のコーティングチャンバ31の説明が、他の2つのチャンバ31にも適用されると理解されるものとして、その説明を行うこととする。
【0059】
本発明のHf含有アルミニウム化合物コーティングは、アルミニウム源、Hf源、ハロゲン化合物活性化剤を含む材料から得られる。これらの材料は、微細粉末、塊、ペレット、顆粒、薄片など利用できる任意の形式で供給できる。好ましい実施形態では、アルミニウム源の材料は、およそ3mmないしおよそ20mmの平均粒子系を有する塊として供給される。これらは利用できる任意の形状で供給できる。例えば、不規則、樹木状、針状、立方体、球体、繊維状、またはこれらの組み合わせなどである。Hf源の材料は、好ましくは、200ミクロンより平均サイズが小さい微細粉末として供給される。活性化剤の材料は、好ましくは、1mmより平均サイズが小さい微細粉末として供給される。Hf源、アルミニウム源材料、活性化剤の混合物32が、他の任意の所望の材料とともに、チャンバ31の底に入れられる。一つまたはそれより多い不活性の詰め物材料を用いることができるが、混合物32は実質的には不活性の詰め物材料を含まないことがより好ましい。
【0060】
アルミニウム源は、アルミニウムの多い合金であり、オプションとして、Cr、Co、Ni、Fe、Mo、W、Mn、Ti、Y、Zr、Pt、Hfまたはこれらの組み合わせなどの、他の元素を有することができる。アルミニウム源内のアルミニウム含有量は、望ましくは、アルミニウム源材料の総量のおよそ3重量パーセントないし99重量パーセントであり、好ましくは、およそ15重量パーセントないし50重量パーセントであり、残りは一つまたはそれより多い他の元素である。特に好ましいアルミニウム源は、およそ25重量パーセントないし35重量パーセントのAlを含んでいる。アルミニウム源材料の量は、望ましくは、チャンバ31の容積1立方フィートあたりおよそ0.3kgないしおよそ7kgであり、好ましくはチャンバ31の容積1立方フィートあたりおよそ2kgないしおよそ4kgである。
【0061】
Hf源の少なくとも一部は、望ましくは、酸化物、窒化物、炭化物などの、Hf非ハロゲン化合物を含む。説明中の実施形態では、好ましいHf源はHfO2である。有利には、HfとAlの共堆積のために気相技術を用いる場合には、源としてHfの酸化物を用いて、Hf活性を良好に制御できる。加えて、Hf源は、オプションとして、(純粋なHf、Hf合金、Hf金属間化合物を含む)金属性Hf、Hfのハロゲン化合物、Hfの他の塩、およびこれらの組み合わせなどのような、他のHf含有種を含んでもよい。このような、他の種類のHf含有種の例は、HfCl4、HfF4、Hf粉末、およびこれらの組み合わせなどを含む。ここで述べたような他のHf含有種でHfO2を置き換えた場合は、他のすべての処理パラメータを変更せずに気相処理で同等なHf活性を達成するのに十分な量、これらを用いることが望ましい。処理パラメータは、温度、組成、Al源量、種、活性化剤量、混合物32の負荷条件などである。望ましくは、Hf源の、少なくとも25重量パーセント、好ましくは少なくとも50重量パーセント、より好ましくは実質すべてが、このような化合物である。Hf源の量は、望ましくは、Al源材料のおよそ1重量パーセントないし30重量パーセントであり、好ましくは、Al源材料のおよそ3重量パーセントないし10重量パーセントである。
【0062】
活性化剤は、一つまたはそれより多いハロゲン化合物塩を含んでいる。適切なハロゲン化合物活性化剤は、AlF3、AlC3、NH4F、NH4Cl、NaF、NaCl、KF、KClを含んでいる。これらは、好ましくは、コーティングチャンバ内に粉末として存在する。AlF3は、好ましくはチャンバ31の容積1立方フィートあたりおよそ0.4ないしおよそ2.4モルを用い、好ましくはチャンバ31の容積1立方フィートあたりおよそ1.0ないしおよそ1.5モルを用いる、好ましい活性化剤である。ここで述べたような他のハロゲン化合物活性化剤でAlF3を置き換えた場合は、同等な活性化剤活性を達成するのに十分な量、これらを用いることが望ましい。
【0063】
コーティングチャンバ31に一つまたはそれより多いコーティングされるべき物品34が入れられ、金属スクリーン33のような適切な支持部上に座る。したがって、チャンバ31での気相処理中に、コーティングされるべき物品34は、コーティング処理中に混合物32と接触しないままである。金属支持スクリーン33とドナー/活性化剤混合物32との距離を変えることで、生成するコーティングの厚みと組成とに影響を及ぼすことができる。上述したようにアルミニウム化合物コーティングのテストされるコーティング体積においてすべての元素の総重量に基づいて外側成長部位と内側拡散領域とにおよそ0.3ないしおよそ0.5重量パーセントのHf含有量を持ったコーティングを形成する、代表的な実施形態では、支持スクリーン33と混合物32の最上部表面との適切な距離はおよそ9ないし20cmである。望ましくは、コーティングチャンバは金属蓋35で覆われる。
【0064】
コーティング処理を行うためには、物品34に望ましいコーティングを行う目的で、チャンバ31の中身が、酸化を起こさない雰囲気(いくつかの実施形態では、不活性雰囲気や減圧雰囲気)で、適切な温度で、適切な時間、加熱される。アルゴンや水素などの保護ガスを、管37を通じてレトルトへ流し込み、管38を通じてレトルトから排出させる。チャンバ31の側面に排出口(図3には示さず)を設ける、および/または、蓋35とチャンバ31との間にいくつかの隙間(図3には示さず)を設けてもよい。処理の初めに、気相処理中の酸化を避けるために、雰囲気中の空気を排出させるための孔を通じてチャンバへ保護ガスを流し込む。ここで述べた実施形態では、チャンバ31とその中身は、およそ900℃ないしおよそ1150℃の範囲で、およそ2分ないしおよそ10時間、好ましくはおよそ2時間ないしおよそ10時間、一つまたはそれより多い温度で加熱される。特に好ましい処理は、少なくとも2時間、およそ1050℃ないしおよそ1100℃の温度で行うものである。
【0065】
結合されることを望まなければ、以下の反応シーケンスが提案できる。加熱によりハロゲン化合物活性化剤を気化させる。この気体は、その後、源材料のハフニウムとアルミニウムとに反応して、アルミニウムハロゲン化合物とハフニウムハロゲン化合物の気体を生成する。これらの気体は、その後、物品34の表面で反応して、AlとHfの原子を放出する。これらの原子は、その後、物品34上に堆積され、および/またはその中に拡散し、コーティング中のHf重量含有量が非常に低いHf含有アルミニウム化合物コーティングを生成する。
【0066】
本発明は以下の実施例に沿って述べられる。実施例は、本発明のいくつかの説明される実施形態を記述している。
【0067】
2つの実施形態に沿い、上述のようにアルミニウム化合物コーティングのテストされるコーティング体積においてすべての元素の総重量に基づいてコーティング中におよそ0.7重量パーセントにまでの、外側成長部位中および内側拡散領域中のHf含有量を持った本発明のコーティングを生成するために、Niベースの超合金(それぞれWASPALOYおよびINCONEL)を含むフラットサンプルがコーティングされた。
【0068】
別の実施形態では、Niベースの超合金(WASPALOY)のフラットサンプルが白金層で電気メッキされ、加熱され、その後、本発明の気相処理を用いてコーティングされた。これは、上述のようにアルミニウム化合物コーティングのテストされるコーティング体積においてすべての元素の総重量に基づいてコーティング中におよそ0.35重量パーセントにまでの、外側成長部位中および内側拡散領域中のHf含有量を持った本発明のコーティングを生成した。
【0069】
さらに別の実施形態では、Coベースの超合金(HS−188)のフラットサンプルが、本発明の気相処理を用いてコーティングされ、上述のようにアルミニウム化合物コーティングのテストされるコーティング体積においてすべての元素の総重量に基づいてコーティング中におよそ1.6重量パーセントにまでの、外側成長部位中および内側拡散領域中のHf含有量を持ったコーティングを生成した。
【0070】
さらに他の実施形態では、本発明の気相処理を用いて、Niベースの超合金を含む3つのタービンエンジン成分と、Coベースの超合金エンジン成分を含む別のタービンエンジン成分とをコーティングした。これにより、以下の(1)ないし(4)の外側成長部位と内側拡散領域におけるHf含有量を持つコーティングを生成した。
(1)上述のアルミニウム化合物コーティングのテストされるコーティング体積においてすべての元素の総重量に基づいて、INCONEL738合金タービン翼に、およそ0.14重量パーセントにまで。
(2)上述のアルミニウム化合物コーティングのテストされるコーティング体積においてすべての元素の総重量に基づいて、CMSX−3単結晶タービンブレードの外側成長部位および内側拡散領域に、およそ0.55重量パーセントのHfにまで。
(3)上述のアルミニウム化合物コーティングのテストされるコーティング体積においてすべての元素の総重量に基づいて、MarM247タービン翼セグメントの外側成長部位および内側拡散領域に、およそ2重量パーセントのHfにまで。
(4)上述のアルミニウム化合物コーティングのテストされるコーティング体積においてすべての元素の総重量に基づいて、MarM509Coベースのタービン翼セグメントの外側成長部位および内側拡散領域に、およそ4重量パーセントのHfにまで。
【0071】
〔実施例1〕
80×55×1.1mmのサイズのWASPALOYのNiベース合金フラットサンプルと、64×27×1.6mmのサイズのINCONEL718のNiベース合金フラットサンプルとを、図3の装置でグリットブラスト処理し、気相コーティングした。コーティングチャンバ31のサイズは、径が0.685メートル(27インチ)で、深さが0.254メートル(10インチ)である。混合物32は、およそ3.5mm×17.5mmのサイズの9.072kg(20lbs)の30Al−70Cr(重量パーセント)と、およそ44ミクロンの粉末サイズの0.454kg(1lb)のHfO2粉末と、およそ200ミクロンの粉末サイズの0.3kgのAlF3粉末とを含んでいた。支持スクリーン33と混合物32との距離はおよそ9cmであった。気相処理温度は、およそ6時間の間、およそ1975°F(1079℃)であった。
【0072】
図4A、4B、4Eに、WASPALOYサンプルの表面形態、断面微細構造、コーティング深さに沿ったGlow-Discharge Mass Spectrometry(GDMS)組成プロフィールをそれぞれ示し、図4C、4D、4Fに、INCONELサンプルについて示す。コーティング表面と、付加的な層と内側拡散層との界面の白い相が、Hfの豊富な相である。このHfの豊富な相に関連して、GDMSスペクトル(図4E、4F)はHf含有量のピークを示している。
【0073】
〔実施例2〕
以下の実験条件で、(West Deptford, NJの)Johnson Matthey Inc.により供給されたQ塩溶液を用いて、38×26×1.1mmのサイズのWASPALOYのNiベース合金フラットサンプルを蒸気脱脂し、グリットブラスト処理し、超音波洗浄し、白金メッキした。白金濃度は5g/dm3であり、pHは10.2ないし10.6の範囲であり、温度は90ないし95℃であった。メッキ処理中、電流密度は2〜5mA/cm2の範囲内に制御され、白金の厚みは、4〜7ミクロンに制御された。白金メッキ処理の後、サンプルは、1時間、真空下で1925°F(1052℃)で加熱処理された。その後、サンプルは上述の実施例1と同様に同様の条件でグリットブラスト処理され、気相コーティング処理された。
【0074】
図5A、5B、5Cに、サンプルの表面形態、断面微細構造、コーティング深さに沿ったGDMS組成プロフィールをそれぞれ示す。展開したコーティングは、β−(Ni,Pt)Alマトリクスにおけるξ−PtAl2相を示した。GDMSスペクトルは、Hf導入、特に、コーティング表面の高いHf含有量を示し、表面の、沈殿した、Hfの豊富な相を示している。ξ−PtAl2+β−(Ni,Pt)Alのコーティング微細構造は、適切な加熱処理を介して、単相β−(Ni,Pt)Alコーティングへと変形されることができる。
【0075】
加熱処理温度は、数時間、およそ900℃ないしおよそ1200℃の範囲内とすることができる。加熱処理の時間の長さは、温度、コーティングにおけるξ−PtAl2相の割合、および基板材料に依存する。例えば、図5Bのξ−PtAl2+β−(Ni,Pt)Alのコーティング微細構造は、図5Dに示すように、2時間、1177°C(2150℃)で加熱処理することで、単相β−(Ni,Pt)Alコーティング微細構造へと変形される。しかしながら、コーティング表面と、付加的な層と内側拡散層との界面の、Hfの豊富な相は、あまり影響を受けない。コーティングの適用の前に、オプションとして、Hfの豊富な相を含むコーティング表面を、グリットブラストのような適切な方法で除去することもできる。
【0076】
〔実施例3〕
52×11×1.2mmのサイズのCoベース合金(HS−188)フラットサンプルを、上述の実施例1と同様の条件で、グリットブラスト処理し、気相処理でコーティングした。
【0077】
図6A、6B、6Cに、サンプルの表面形態、断面微細構造、コーティング深さに沿ったGDMS組成プロフィールをそれぞれ示す。展開したコーティングは、コーティング表面と、コーティングとにおいて、Hfの豊富な相を示した。サンプルのGDMSスペクトルは、Hf導入をも示した。
【0078】
〔実施例4〕
産業への応用を示すために、スクラップのタービンエンジン成分をHf修飾アルミニウム化合物コーティングでコーティングした。成分は、3つのNiベース超合金タービンエンジン成分(INCONEL738合金タービン翼、CMSX−3単結晶タービンブレード、MarM247タービン翼セグメント)と、1つのCoベース超合金エンジン成分(MarM509タービン翼セグメント)であった。実施例1と同様の条件で、成分をグリットブラスト処理し、気相処理でコーティングした。
【0079】
図7に示すように、関連する成分は、光沢のあるコーティング表面を示した。成分72はMarM247タービン翼セグメントであり、成分74はINCONEL738タービン翼であり、成分76はCMSX−3タービンブレードであり、成分78はMarM509タービン翼セグメントである。MarM247タービン翼セグメントについて図8Aに示し、INCONEL738タービン翼について図8Bに示し、CMSX−3タービンブレードについて図8Cに示し、MarM509タービン翼セグメントについて図8Dに示すように、コーティングされた成分の表面形態試験は、多結晶構造を示した。同様に、MarM247タービン翼セグメントについて図9Aに示し、INCONEL738タービン翼について図9Bに示し、CMSX−3タービンブレードについて図9Cに示し、MarM509タービン翼セグメントについて図9Dに示すように、コーティングされたすべての成分のコーティング断面微細構造が、β−(Ni,Co)Al相マトリクスに、細かい、沈殿したHfの豊富な相を示した。MarM247タービン翼セグメントについて図10Aに示し、INCONEL738タービン翼について図10Bに示し、CMSX−3タービンブレードについて図10Cに示し、MarM509タービン翼セグメントについて図10Dに示すように、展開されたコーティングのGDMSスペクトルは、Hf導入を示した。
【0080】
上述の各実施例において、β−NiAlやβ−(Ni,Pt)Al拡散コーティングへのHf導入が、GDMS法を用いて得られた組成プロフィールにおいて明らかになった。気相コーティング処理で、単純なアルミニウム化合物や白金で修飾されたアルミニウム化合物のコーティングにHfを良好に導入することは重要である。これは、Hf追加が、タービンエンジン成分の拡散コーティングの特性を改善させることが明らかであるからだけではなく、さらに、発明された産業上の気相コーティング処理を用いることによって実現可能でもあるからである。
【0081】
本発明の多くの実施形態について述べた。しなしながら、本発明の精神と範囲とから離れることなく様々な修正が可能であることが理解されるだろう。したがって、他の実施形態も請求項の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】熱バリアコーティングを有する金属性物品の横断面図である。
【図2】本発明を実行するための好ましいアプローチのブロックダイヤグラムである。
【図3】Hf修飾されたアルミニウム化合物コーティングを形成する気相コーティング装置の構造図である。
【図4A】WASPALOYのニッケルベースの超合金フラットサンプル上へのHf修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、表面画像である。
【図4B】WASPALOYのニッケルベースの超合金フラットサンプル上へのHf修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、断面画像である。
【図4C】INCONELのニッケルベースの超合金フラットサンプル上へのHf修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、表面画像である。
【図4D】INCONELのニッケルベースの超合金フラットサンプル上へのHf修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、断面画像である。
【図4E】WASPALOYのニッケルベースの超合金フラットサンプル上へのHf修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、GDMS結果である。
【図4F】INCONELのニッケルベースの超合金フラットサンプル上へのHf修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、GDMS結果である。
【図5A】同様のコーティング条件での、WASPALOYのフラットサンプル上への(HfおよびPtで)修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、表面画像である。
【図5B】同様のコーティング条件での、WASPALOYのフラットサンプル上への(HfおよびPtで)修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、断面画像である。
【図5C】同様のコーティング条件での、WASPALOYのフラットサンプル上への(HfおよびPtで)修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、GDMS結果である。
【図5D】加熱処理後の、(HfおよびPtで)修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、断面画像である。
【図6A】HS−188のコバルトベースの超合金フラットサンプル上へのHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、表面画像である。
【図6B】HS−188のコバルトベースの超合金フラットサンプル上へのHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、断面画像である。
【図6C】HS−188のコバルトベースの超合金フラットサンプル上へのHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングの、GDMS結果である。
【図7】本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有するタービンエンジン要素である。
【図8A】本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有する、MarM247基板タービン翼の表面形態学画像である。
【図8B】本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有する、INCONEL738タービン翼の表面形態学画像である。
【図8C】本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有する、CMSX−3タービンブレードの表面形態学画像である。
【図8D】本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有する、MarM509タービン翼の表面形態学画像である。
【図9A】本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有する、MarM247基板タービン翼の断面画像である。
【図9B】本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有する、INCONEL738タービン翼の断面画像である。
【図9C】本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有する、CMSX−3タービンブレードの断面画像である。
【図9D】本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有する、MarM509タービン翼の断面画像である。
【図10A】本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有する、MarM247基板タービン翼のGDMS結果である。
【図10B】本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有する、INCONEL738タービン翼のGDMS結果である。
【図10C】本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有する、CMSX−3タービンブレードのGDMS結果である。
【図10D】本発明のHfで修飾されたアルミニウム化合物コーティングを有する、MarM509タービン翼のGDMS結果である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品のコーティング方法であって、
(a)金属性表面を持つ上記物品を供給する工程と、
(b)反応成分源の少なくとも一部が反応成分の非ハロゲン化合物を含んでいる、反応成分源を供給する工程と、
(c)アルミニウム源を供給する工程と、
(d)ハロゲン化合物活性化剤を供給する工程と、
(e)アルミニウムと上記反応成分とを含んでいる種が、上記金属性表面上に共堆積されてコーティングを形成する効果的な条件で、上記物品と、上記反応成分源と、上記アルミニウム源と、上記ハロゲン化合物活性化剤とを加熱する工程とを含んでいることを特徴とするコーティング方法。
【請求項2】
上記金属性表面が、
金属合金、金属間組成物、純粋金属、またはこれらの組み合わせを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記金属性表面が、
ニッケルベースの合金、コバルトベースの合金、チタンベースの合金、鉄ベースの合金、またはこれらの組み合わせを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上記金属性表面が、超合金を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも上記物品を加熱する工程が、酸化を起こさない雰囲気中で行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
加熱工程で、上記物品が、源の少なくとも一つと、ハロゲン化合物活性化剤とに、物理的に接触していないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
上記ハロゲン化合物活性化剤が、ハロゲン塩を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
上記ハロゲン化合物活性化剤が、AlF3、AlCl3、NH4F、NH4Cl、NaF、NaCl、KF、KCl、またはこれらの組み合わせを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
加熱が、ある体積のチャンバで起こり、
供給される活性化剤の量が、チャンバ体積1立方フィートあたり、0.4ないし2.4モルのハロゲン化合物活性化剤を供給するのに十分なものであることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
上記アルミニウム源が、
アルミニウムと、
Cr、Co、Ni、Fe、Mo、W、Mn、Ti、Y、Zr、Pt、Hf、またはこれらの組み合わせから選ばれる他の少なくとも一つの成分とを含んでおり、
上記アルミニウム源が、
上記アルミニウム源の総重量に基づいて、およそ3ないしおよそ99重量パーセントのアルミニウムを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
加熱が、ある体積のチャンバで起こり、
上記チャンバが、体積1立方フィートあたりおよそ0.3kgないしおよそ7kgのアルミニウム源を含んでいることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
源とハロゲン化合物活性化剤とが、粒子形状であり、
上記工程(b)ないし(d)が、上記粒子を混合物に取り込むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
上記反応成分が、Hf、Y、Zr、La、および/またはCeから選ばれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
上記反応成分がHfであり、
上記反応成分源がHfの酸化物を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
上記反応成分源の少なくとも50%がHfの酸化物を含んでいることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
上記工程(b)が、
上記アルミニウム源の総重量に基づいて、およそ1重量パーセントないしおよそ30重量パーセントの反応成分源を供給する工程を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
加熱工程を、およそ900℃ないしおよそ1150℃の範囲の温度で行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
加熱工程を、およそ2分ないしおよそ10時間の期間行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
物品の表面が、白金含有層を含んでいることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項1】
物品のコーティング方法であって、
(a)金属性表面を持つ上記物品を供給する工程と、
(b)反応成分源の少なくとも一部が反応成分の非ハロゲン化合物を含んでいる、反応成分源を供給する工程と、
(c)アルミニウム源を供給する工程と、
(d)ハロゲン化合物活性化剤を供給する工程と、
(e)アルミニウムと上記反応成分とを含んでいる種が、上記金属性表面上に共堆積されてコーティングを形成する効果的な条件で、上記物品と、上記反応成分源と、上記アルミニウム源と、上記ハロゲン化合物活性化剤とを加熱する工程とを含んでいることを特徴とするコーティング方法。
【請求項2】
上記金属性表面が、
金属合金、金属間組成物、純粋金属、またはこれらの組み合わせを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記金属性表面が、
ニッケルベースの合金、コバルトベースの合金、チタンベースの合金、鉄ベースの合金、またはこれらの組み合わせを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上記金属性表面が、超合金を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも上記物品を加熱する工程が、酸化を起こさない雰囲気中で行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
加熱工程で、上記物品が、源の少なくとも一つと、ハロゲン化合物活性化剤とに、物理的に接触していないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
上記ハロゲン化合物活性化剤が、ハロゲン塩を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
上記ハロゲン化合物活性化剤が、AlF3、AlCl3、NH4F、NH4Cl、NaF、NaCl、KF、KCl、またはこれらの組み合わせを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
加熱が、ある体積のチャンバで起こり、
供給される活性化剤の量が、チャンバ体積1立方フィートあたり、0.4ないし2.4モルのハロゲン化合物活性化剤を供給するのに十分なものであることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
上記アルミニウム源が、
アルミニウムと、
Cr、Co、Ni、Fe、Mo、W、Mn、Ti、Y、Zr、Pt、Hf、またはこれらの組み合わせから選ばれる他の少なくとも一つの成分とを含んでおり、
上記アルミニウム源が、
上記アルミニウム源の総重量に基づいて、およそ3ないしおよそ99重量パーセントのアルミニウムを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
加熱が、ある体積のチャンバで起こり、
上記チャンバが、体積1立方フィートあたりおよそ0.3kgないしおよそ7kgのアルミニウム源を含んでいることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
源とハロゲン化合物活性化剤とが、粒子形状であり、
上記工程(b)ないし(d)が、上記粒子を混合物に取り込むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
上記反応成分が、Hf、Y、Zr、La、および/またはCeから選ばれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
上記反応成分がHfであり、
上記反応成分源がHfの酸化物を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
上記反応成分源の少なくとも50%がHfの酸化物を含んでいることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
上記工程(b)が、
上記アルミニウム源の総重量に基づいて、およそ1重量パーセントないしおよそ30重量パーセントの反応成分源を供給する工程を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
加熱工程を、およそ900℃ないしおよそ1150℃の範囲の温度で行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
加熱工程を、およそ2分ないしおよそ10時間の期間行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
物品の表面が、白金含有層を含んでいることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【公表番号】特表2012−527539(P2012−527539A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511903(P2012−511903)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/034712
【国際公開番号】WO2010/135144
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(511279900)シフコ インダストリーズ,インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】SIFCO INDUSTRIES,INC.
【住所又は居所原語表記】2430 North Winnetka Avenue,Minneapolis,Minnesota 55427,United States of America
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/034712
【国際公開番号】WO2010/135144
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(511279900)シフコ インダストリーズ,インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】SIFCO INDUSTRIES,INC.
【住所又は居所原語表記】2430 North Winnetka Avenue,Minneapolis,Minnesota 55427,United States of America
【Fターム(参考)】
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