説明

水に溶解すると透明な洗浄溶液を形成する、非常に水溶性の固体洗濯洗剤組成物

本発明は、以下の成分:(a)0.1重量%〜10重量%のアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤と、(b)1重量%〜25重量%の非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤と、(d)0重量%〜4重量%のゼオライトビルダーと、(e)0重量%〜4重量%のホスフェートビルダーと、(f)0重量%〜10重量%のケイ酸塩とを含む固体洗濯洗剤組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水に溶解すると透明な洗浄溶液を形成する、非常に水溶性の固体洗濯洗剤組成物に関する。特に、本発明は、アニオン性洗浄界面活性剤系を含み、ゼオライトビルダー、ホスフェートビルダー及びケイ酸塩を低濃度で含むか又はこれらを全く含まない、固体洗濯洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
顆粒状洗濯洗剤組成物は、広範な汚れの種類に対して非常に良好な布地洗浄性能を有する必要がある。顆粒状洗濯洗剤はまた、非常に優れた分配及び溶解特性も有する必要がある。しかしながら、その布地洗浄性能を高めるための顆粒状洗濯洗剤組成物のある種の改質がその分配及び溶解特性に悪影響を及ぼす場合があり、また逆も同様にあり得るという二分する意見が存在し得る。顆粒状洗濯洗剤組成物の洗浄性能と、分配特性及び溶解特性とを同時に高めるのは非常に困難である。更に、非常に水溶性の顆粒状洗濯洗剤組成物は、水に溶解したときに透明な洗浄溶液を形成することも望まれる。これは、透明な洗浄溶液となることが、顆粒状洗濯洗剤組成物が溶解したという、消費者への好ましい合図であるためである。
【0003】
アニオン性洗浄界面活性剤が、良好な布地洗浄性能を提供するために顆粒状洗濯洗剤組成物に組み込まれる。例えば、GB1408969、GB1408970、米国特許第4487710号、米国特許第5663136号及びPCT国際公開特許WO2004/041982はいずれも、アニオン性洗浄界面活性剤を含む組成物に関する。しかしながら、アニオン性洗浄界面活性剤は、当該アニオン性洗浄界面活性剤を溶液から析出させるような方式で、洗浄溶液中に存在するカルシウムイオン及びマグネシウムカチオンのような遊離カチオン類と錯体を形成することが可能であり、これは当該アニオン性洗浄界面活性剤の活性を低下させる。極端な場合は、前記の非水溶性錯体が布地に付着して、その結果、白色度の維持を低下させて、布地一体性効果(fabric integrity benefits)を低下させる場合がある。このことは、高濃度のカルシウムカチオン類が存在するとき、硬水洗浄条件で洗濯洗剤組成物を使用する場合に、特に問題となる。
【0004】
アニオン性洗浄界面活性剤が溶液から析出するような方式で洗浄溶液中の遊離カチオン類と錯体を形成する傾向は、ゼオライトビルダー類及びリン酸塩ビルダー類などの、カルシウムカチオン及びマグネシウムカチオンのようなカチオン類との高い結合定数を有するビルダー類の存在によって緩和される。これらのビルダー類は、遊離カルシウム及びマグネシウムカチオン類を隔離し、これらの望ましくない錯体類の形成を軽減する。しかし、ゼオライトビルダー類は非水溶性であり、それらを洗濯洗剤組成物に組み込むと、当該洗濯洗剤組成物の溶解性が低下し、また、好ましくない残留物が布地に付着する可能性もある。加えて、高濃度のゼオライトビルダーを含む洗剤組成物は、水に接触すると、望ましくない濁った洗浄溶液を形成する。リン酸塩ビルダー類は、好ましい環境特性を持たないと言われており、しかも、例えば多くの国でのホスフェート規制の理由から、洗濯洗剤組成物中でのそれらの使用はあまり見られなくなりつつある。
【0005】
アルキルベンゼンスルホネート及びアルキルエトキシル化スルフェート洗浄界面活性剤を含む洗剤組成物は、GB1408969、GB1408970、米国特許第4487710号及び米国特許第5663136号に記載されている。広範な水の硬度で染み除去効果を高めたとされるアニオン性洗浄界面活性剤及び非イオン性洗浄界面活性剤を含む洗剤組成物は、PCT国際公開特許2004/041982に記載されている。顆粒状洗剤と、水蒸気透過率(moisture vapour transfer rate)の低い包装システムとの組み合わせは、EP634484に記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
良好な布地洗浄性能、特に良好な油染み洗浄性能、良好な白色度の維持、及び非常に良好な分配及び溶解特性を有するアニオン性洗浄界面活性剤を含み、水に溶解すると透明な洗浄溶液を与える顆粒状洗濯洗剤組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
本発明は、(a)0.1重量%〜10重量%のアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤と、(b)1重量%〜25重量%の非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤と、(d)0重量%〜4重量%のゼオライトビルダーと、(e)0重量%〜4重量%のホスフェートビルダーと、(f)0重量%〜10重量%のケイ酸塩とを含む、固体洗濯洗剤組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤
前記組成物は、0.1重量%〜10重量%のアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含む。これは、良好な脂汚れ洗浄性能を提供し、良好な発泡特性を与え、洗浄界面活性剤系全体の硬度許容度(hardness tolerancy)を高めるアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤の最適濃度である。前記組成物は、3重量%〜5重量%のアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含むことが好ましい場合があるか、又は前記組成物は、1重量%〜3重量%のアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含むことが好ましい場合がある。
【0009】
好ましくは、アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤は、平均アルコキシル化度が1〜30、好ましくは1〜10の、直鎖又は分枝鎖の、置換又は非置換のC12〜18アルキルアルコキシル化スルフェートである。好ましくは、アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤は、平均エトキシル化度が1〜10の、直鎖又は分枝鎖の、置換又は非置換のC12〜18アルキルエトキシル化スルフェートである。最も好ましくは、アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤は、平均エトキシル化度が3〜7の、直鎖の非置換のC12〜18アルキルエトキシル化スルフェートである。
【0010】
好ましくは、アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤の少なくとも一部、より好ましくは全てが、噴霧乾燥されてない粉末の形態、例えば押出品、凝集、好ましくは凝集である。このことは、高濃度のアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を前記組成物中に組み込むのが望ましい場合に、特に好ましい。
【0011】
アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤は、遊離カルシウムカチオン類の存在下で非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤が溶液から析出する可能性を低減することによって、当該非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤の活性を高める場合もある。好ましくは、非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤とアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤との重量比は、5:1未満、又は3:1未満、又は1.7:1未満、或いは1.5:1未満である。この比は、良好な硬度許容(hardness tolerency)特性及び良好な発泡特性と併せて、最適な白色度の維持性能を与える。しかしながら、非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤とアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤との重量比は、5:1を超え、又は6:1を超え、又は7:1を超え、或いは10:1を超えることが好ましい場合がある。この比は、良好な硬度許容(hardness tolerency)特性及び良好な発泡特性と併せて、最適な脂汚れ洗浄性能を与える。好適なアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤は、コグニス(Cognis)によるテキサパン(Texapan)LEST(商標)、サソール(Sasol)によるコスマコール(Cosmacol)AES(商標)、ステファン(Stephan)によるBES151(商標)、エンピコール(Empicol)ESC70/U(商標)、及びこれらの混合物である。
【0012】
非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤
前記組成物は、1重量%〜25重量%の非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含む。これは、良好な洗浄性能を提供する非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤の最適濃度である。前記組成物は、16重量%〜20重量%の非アルコキシル化アルコキシル化(non-alkoxylated alkoxylated)アニオン性洗浄界面活性剤を含むことが好ましい場合がある。これは、前記組成物が1重量%〜3重量%のアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含む場合に特に好ましい。前記の量のアニオン性洗浄界面活性剤は、良好な硬度許容度特性及び良好な発泡特性と併せて、良好な油性洗浄性能を提供する。しかしながら、前記組成物はまた、4重量%〜10重量%の非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含むことが好ましい場合もある。これは、前記組成物が3重量%〜5重量%のアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含む場合に特に好ましい。前記の量のアニオン性洗浄界面活性剤は、良好な硬度許容特性及び良好な発泡特性と併せて、良好な白色度の維持性能を提供する。
【0013】
非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤は、アルキル硫酸塩、アルキルスルホネート、アルキルホスフェート、アルキルホスホネート、アルキルカルボキシレート、又はこれらのいずれかの混合物であり得る。非アルコキシル化アニオン性界面活性剤は、C10〜C18アルキルベンゼンスルホネート類(LAS)、好ましくは直鎖C10〜C13アルキルベンゼンスルホネート類;C10〜C20の一級、分枝鎖、直鎖及びランダム鎖アルキル硫酸塩類(AS)であって、典型的に次式を有するもの:
CH(CHCH−OSO
(式中、Mは、水素、又は電気的中性を付与するカチオンであって、好ましいカチオン類はナトリウムカチオン及びアンモニウムカチオンであり、xは少なくとも7、好ましくは少なくとも9の整数である);C10〜C18の二級(2,3)アルキル硫酸塩類であって、次式を有するもの:
【化1】

(式中、Mは、水素、又は電気的中性を付与するカチオンであって、好ましいカチオン類としてはナトリウムカチオン及びアンモニウムカチオンが挙げられ、xは少なくとも7、好ましくは少なくとも9の整数であり、yは少なくとも8、好ましくは少なくとも9の整数である);C10〜C18アルキルアルコキシカルボキシレート類;米国特許第6,020,303号及び米国特許第6,060,443号においてより詳細に記載されているような中鎖分枝状アルキル硫酸塩類;PCT国際公開特許WO99/05243、PCT国際公開特許WO99/05242、PCT国際公開特許WO99/05244、PCT国際公開特許WO99/05082、PCT国際公開特許WO99/05084、PCT国際公開特許WO99/05241、PCT国際公開特許WO99/07656、PCT国際公開特許WO 00/23549及びPCT国際公開特許WO 00/23548においてより詳細に記載されているような変性アルキルベンゼンスルホネート(MLAS);メチルエステルスルホネート(MES);α−オレフィンスルホネート(AOS)、並びにこれらの混合物から成る群より選択されることができる。
【0014】
好ましい非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤類は、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換の、C12〜18アルキル硫酸塩類;直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換の、C10〜13アルキルベンゼンスルホネート類、好ましくは直鎖C10〜13アルキルベンゼンスルホネート類、及びこれらの混合物から成る群より選択される。極めて好ましいのは、直鎖C10〜13アルキルベンゼンスルホネート類である。極めて好ましいのは、市販の直鎖アルキルベンゼン類(LAB)をスルホン化することによって生成可能な、好ましくはそれによって生成される直鎖C10〜13アルキルベンゼンスルホネート類であって、好適なLABとしては、サソール(Sasol)からイソケム(Isochem)(登録商標)の商標名で供給されているものか又はペトレサ(Petresa)から商標名ペトレラボ(Petrelab)(登録商標)の商標名で供給されているもののような低級2−フェニルLABが挙げられ、その他の好適なLABとしては、サソールからハイブリーン(Hyblene)(登録商標)の商標名で供給されているもののような高級2−フェニルLABが挙げられる。
【0015】
非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤は、当該非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤をよりカルシウム耐性にさせ、遊離カルシウムイオンの存在下で当該非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤が洗浄溶液から析出する可能性を低減するような方式で、構造的に修飾されることが好ましい場合がある。この構造的修飾は、前記非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤の先端基の付近にメチル部分又はエチル部分を導入することであり得るが、これにより、先端基の立体障害に起因して、よりカルシウム耐性の高い非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤がもたらされることができ、それが、溶液から析出させるような方式で遊離カルシウムカチオン類と錯体を形成するための前記非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤の親和性を低下させる場合があるためである。他の構造的修飾には、前記非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤のアルキル鎖中の、アミン部分などの官能基の導入が挙げられ、これにより、非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤のアルキル鎖中の官能基の存在が、当該非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤の望ましくない物理化学的特性を最小限に抑えて、洗浄溶液中の遊離カルシウムイオン類の存在下で滑らかな結晶構造を形成する場合があるため、よりカルシウム耐性の高い非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤をもたらすことができる。これにより、溶液から非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤が析出する傾向が低下する場合がある。
【0016】
非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤は、好ましくは凝集、噴霧乾燥された粉末、押出品、ビーズ、麺状物、針状物又はフレークなどの粒子形態である。好ましくは、非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤又はその少なくとも一部は、凝集形態であって、前記凝集は、好ましくは当該凝集の少なくとも20重量%の非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含み、より好ましくは当該凝集の25重量%〜65重量%の非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含む。非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤の一部が、噴霧乾燥された粉末の形態(例えば、ブロー成形された粉末)であり、非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤の一部が、噴霧乾燥されていない粉末の形態(例えば、凝集、押出品、又は直鎖アルキルベンゼンスルホネートフレークのようなフレークであって、好適な直鎖アルキルベンゼンスルホネートフレークは、パイロット・ケミカル(Pilot Chemical)から商標名F90(登録商標)として、又はステパン(Stepan)から商標名ナコノール(Nacconol)90G(登録商標)として供給される)であることが好ましい場合がある。これは、前記組成物中に高濃度の非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を組み込むのが望ましい場合に特に好ましい。
【0017】
カチオン性洗浄界面活性剤
前記組成物は、任意に、0.1重量%〜5重量%のカチオン性洗浄界面活性剤を含んでいてよい。好ましくは、前記組成物は、0.5重量%〜3重量%、又は1重量%〜3重量%、或いは1重量%〜2重量%のカチオン性洗浄界面活性剤を含む。これは、良好な洗浄をもたらすカチオン性洗浄界面活性剤の最適濃度である。好適なカチオン性洗浄界面活性剤類は、アルキルピリジニウム化合物類、アルキル四級アンモニウム化合物類、アルキル四級ホスホニウム化合物類、及びアルキル三級スルホニウム化合物類である。カチオン性洗浄界面活性剤は、米国特許第6,136,769号においてより詳細に記載されているようなアルコキシラート四級アンモニウム(AQA)界面活性剤類;米国特許第6,004,922号においてより詳細に記載されているようなジメチルヒドロキシエチル四級アンモニウム界面活性剤類;PCT国際公開特許WO98/35002、PCT国際公開特許WO98/35003、PCT国際公開特許WO98/35004、PCT国際公開特許WO98/35005及びPCT国際公開特許WO98/35006においてより詳細に記載されているようなポリアミンカチオン性界面活性剤類;米国特許第4,228,042号、米国特許第4,239,660号、米国特許第4,260,529号、及び米国特許第6,022,844号においてより詳細に記載されているようなカチオン性エステル界面活性剤類;米国特許第6,221,825号及びPCT国際公開特許WO 00/47708においてより詳細に記載されているようなアミノ界面活性剤類、特にアミドプロピルジメチルアミン;並びにこれらの混合物から成る群より選択することができる。好ましいカチオン性洗浄界面活性剤類は、次の一般式、
(R)(R)(R)(R)N
を有する四級アンモニウム化合物類である(式中、Rは直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換の、C6〜18アルキル又はアルケニル部分であり、R及びRは、独立して、メチル又はエチル部分から選択され、Rは、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル又はヒドロキシエチル部分であり、Xは電気的中性を付与するアニオンであり、好ましいアニオン類には、ハロゲン化物類(塩化物など)、スルフェート及びスルホネートが挙げられる)。好ましいカチオン性洗浄界面活性剤類は、モノ−C6〜18アルキルモノヒドロキシエチルジメチル四級アンモニウムクロライドである。非常に好ましいカチオン性洗浄界面活性剤類は、モノ−C8〜10アルキルモノヒドロキシエチルジメチル四級アンモニウムクロライド、モノ−C10〜12アルキルモノヒドロキシエチルジメチル四級アンモニウムクロライド、及びモノ−C10アルキルモノヒドロキシエチルジメチル四級アンモニウムクロライドである。
【0018】
カチオン性洗浄界面活性剤は、更なる脂汚れ洗浄性能を提供する。しかしながら、カチオン性洗浄界面活性剤は、非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を溶液から析出し易くする場合がある。好ましくは、カチオン性洗浄界面活性剤と非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤は、前記組成物中で別々の粒子の形態で存在する。このことにより、カチオン性洗浄界面活性剤が非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤の望ましくない析出時に及ぼし得るいかなる影響も最小限に抑えられ、また水と接触したときに結果として得られる洗浄溶液が濁らないことも確実にする。好ましくは、非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤とカチオン性洗浄界面活性剤との重量比は、5:1〜25:1、より好ましくは5:1〜20:1、又は6:1〜15:1、又は7:1〜10:1、或いは8:1〜9:1までの範囲内である。
【0019】
カチオン性洗浄界面活性剤は、好ましくは噴霧乾燥された粉末、凝集、押出品、フレーク、麺状物、針状物或いはこれらのいずれかの組み合わせなどの粒子形態である。好ましくは、カチオン性洗浄界面活性剤又はその少なくとも一部は、噴霧乾燥された粉末又は凝集の形態である。
【0020】
非イオン性洗浄界面活性剤
前記組成物は、0.5重量%〜10重量%の非イオン性洗浄界面活性剤を含んでいてよい。好ましくは、前記組成物は、1重量%から7重量%、又は2重量%〜4重量%の非イオン性洗浄界面活性剤を含んでいてよい。前記組成物中に非イオン性洗浄界面活性剤を包含することは、特に60℃以上などの高温で洗濯するときに、良好な全体的な洗浄特性を付与するのに役立つ。
【0021】
非イオン性洗浄界面活性剤は、C12〜C18アルキルエトキシレート類、例えば、シェル(Shell)製ネオドール(NEODOL)(登録商標)非イオン性界面活性剤類;C〜C12アルキルフェノールアルコキシラート類であって、ここで前記アルコキシラート単位が、エチレンオキシ単位、プロピレンオキシ単位、又はこれらの混合物であるもの;エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマー類との、C12〜C18アルコール縮合物及びC〜C12アルキルフェノール縮合物、例えば、バスフ(BASF)製プルロニック(Pluronic)(登録商標);米国特許第6,150,322号においてより詳細に記載されているC14〜C22中鎖分枝状アルコール類、BA;米国特許第6,153,577号、米国特許第6,020,303号及び米国特許第6,093,856号においてより詳細に記載されているC14〜C22中鎖分枝状アルキルアルコキシラート類、BAEx、ただし、xは1〜30であるもの;米国特許第4,565,647号においてより詳細に記載されているアルキル多糖類、特に、米国特許第4,483,780号及び米国特許第4,483,779号においてより詳細に記載されているアルキルポリグリコシド類;米国特許第5,332,528号、PCT国際公開特許WO92/06162、PCT国際公開特許WO93/19146、PCT国際公開特許WO93/19038、及びPCT国際公開特許WO94/09099においてより詳細に記載されているポリヒドロキシ脂肪酸アミド類;米国特許第6,482,994号及びPCT国際公開特許WO01/42408においてより詳細に記載されているエーテルで末端保護されたポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤類;並びにこれらの混合物から成る群より選択することができる。
【0022】
非イオン性洗浄界面活性剤は、アルキルポリグルコシド及び/又はアルキルアルコキシル化アルコールであり得る。好ましくは、非イオン性洗浄界面活性剤は、平均エトキシル化度が1〜10、より好ましくは3〜7の、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC8〜18アルキルエトキシル化アルコールである。
【0023】
非イオン性洗浄界面活性剤は、さらなる油汚れ洗浄性能を付与するのみならず、遊離カルシウムカチオン類の存在下でアニオン性洗浄界面活性剤が溶液から析出する可能性を低減することによって当該アニオン性洗浄界面活性剤の活性を高める場合もある。非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤と非イオン性洗浄界面活性剤との重量比は、8:1未満、もしくは7:1未満、又は6:1未満、或いは5:1未満、好ましくは1:1〜5:1、又は2:1〜5:1、或いは3:1〜4:1の範囲内である。
【0024】
非イオン性洗浄界面活性剤又はその少なくとも一部は、前記組成物中に液体噴霧された形態で組み込まれることが可能であり、この場合、液状(例えば、ホットメルト形態)の非イオン性洗浄界面活性剤又はその少なくとも一部が前記組成物の残りの成分に噴霧される。非イオン性洗浄界面活性剤又はその少なくとも一部は、粒子形態であってよく、非イオン性洗浄界面活性剤又はその少なくとも一部は、前記組成物の残りの成分に乾燥状態で追加されてもよい。非イオン性洗浄界面活性剤又はその少なくとも一部は、炭酸塩、硫酸塩、バーク石、シリカ、又はこれらのいずれかの混合物などの固体キャリア材料との共同粒子混合体の形態であってよい。
【0025】
非イオン性洗浄界面活性剤又はその少なくとも一部は、アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤、非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤、又はカチオン性洗浄界面活性剤のいずれかとの共同粒子混合体であってもよい。非イオン性洗浄界面活性剤又はその少なくとも一部は、アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤、非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤又はカチオン性洗浄界面活性剤のいずれかと共に凝集又は押出成形されてもよい。
【0026】
第1、第2及び第3界面活性剤成分
前記組成物は、好ましくは、少なくとも、それぞれが粒子形態である、2つの個々の粒子形態の界面活性剤成分を含む。前記組成物が少なくとも、それぞれが粒子形態である、3つの個々の粒子形態の界面活性剤成分を含むことが好ましい場合がある。
【0027】
第1界面活性剤成分は、主に、アルコキシル化洗浄界面活性剤を含む。主に含むとは、第1界面活性剤成分が当該第1界面活性剤成分の50重量%を超えるアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含み、好ましくは当該第1界面活性剤成分の60重量%を超える、又は70重量%を超える、又は80重量%を超える、又は90重量%を超える、或いは本質的に100重量%のアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含むことを意味する。好ましくは、第1界面活性剤成分は、当該第1界面活性剤成分の10重量%未満の非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含み、好ましくは当該第1界面活性剤成分の5重量%未満、又は2重量%未満、或いは0重量%の非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含む。好ましくは、第1界面活性剤成分は非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を本質的に含まない。非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を本質的に含まないとは、第1界面活性剤成分が、通常、故意に添加された非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含まないことを意味する。このことは、前記組成物が良好な分配及び溶解特性を有することを確実にするためと、更には前記組成物が、水に溶解されたときに透明な洗浄溶液を提供することを確実にするために、特に好ましい。
【0028】
カチオン性洗浄界面活性剤が前記組成物中に存在する場合、好ましくは、第1界面活性剤成分が当該第1界面活性剤成分の10重量%未満のカチオン性洗浄界面活性剤を含み、好ましくは当該第1界面活性剤成分の5重量%未満、又は2重量%未満、或いは0%のカチオン性洗浄界面活性剤を含む。好ましくは、第1界面活性剤成分は、カチオン性洗浄界面活性剤を本質的に含まない。カチオン性洗浄界面活性剤を本質的に含まないとは、第1界面活性剤成分が、通常、故意に添加されたカチオン性洗浄界面活性剤を含まないことを意味する。このことは、洗浄溶液中での界面活性剤のゲル化程度を低減するために、特に好ましい。
【0029】
第1界面活性剤成分は、好ましくは噴霧乾燥された粉末、凝集、押出品、又はフレークの形態である。第1界面活性剤成分が凝集粒子又は押出品粒子の形態であれば、好ましくは、前記粒子は、当該粒子の20重量%〜65重量%のアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含む。第1界面活性剤成分が噴霧乾燥された粒子の形態であれば、好ましくは、前記粒子は、当該粒子の10重量%〜30重量%のアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含む。第1界面活性剤成分は、固体キャリア材料との共同粒子混合体の形態であってよい。固体キャリア材料は、硫酸塩及び/又は炭酸塩、好ましくは硫酸ナトリウム及び/又は炭酸ナトリウムであり得る。
【0030】
第2界面活性剤成分は、主に、非アルコキシル化洗浄界面活性剤を含む。主に含むとは、第2界面活性剤成分が当該第2界面活性剤成分の50重量%を超える非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含み、好ましくは当該第2界面活性剤成分の60重量%を超える、又は70重量%を超える、又は80重量%を超える、又は90重量%を超える、或いは本質的に100%の非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含むことを意味する。好ましくは、第2界面活性剤成分は、当該第2界面活性剤成分の10重量%未満のアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含み、好ましくは当該第2界面活性剤成分の5重量%未満、又は2重量%未満、或いは0%のアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含む。カチオン性洗浄界面活性剤が前記組成物中に存在する場合、好ましくは、第2界面活性剤成分が当該第2界面活性剤成分の10重量%未満のカチオン性洗浄界面活性剤を含み、好ましくは当該第2界面活性剤成分の5重量%未満、又は2重量%未満、或いは0%のカチオン性洗浄界面活性剤を含む。好ましくは、第2界面活性剤成分は、アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を本質的に含まない。アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を本質的に含まないとは、第2界面活性剤成分が、通常、故意に添加されたアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含まないことを意味する。好ましくは、第2界面活性剤成分は、カチオン性洗浄界面活性剤を本質的に含まない。カチオン性洗浄界面活性剤を本質的に含まないとは、通常、第2界面活性剤成分が、故意に添加されたカチオン性洗浄界面活性剤を含まないことを意味する。このことは、前記組成物が良好な分配及び溶解特性を有することを確実にするためと、更には前記組成物が、水に溶解されたときに透明な洗浄溶液を提供することを確実にするために、特に好ましい。
【0031】
第2界面活性剤成分は、好ましくは噴霧乾燥された粉末、気流乾燥された粉末、凝集、又は押出品の形態である。第2界面活性剤成分が凝集粒子の形態であれば、好ましくは、前記粒子は、当該粒子の5重量%〜50重量%の非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤、又は5重量%〜25重量%の非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含む。第2界面活性剤成分は、固体キャリア材料との共同粒子混合体の形態であってよい。固体キャリア材料は、硫酸塩及び/又は炭酸塩、好ましくは硫酸ナトリウム及び/又は炭酸ナトリウムであり得る。
【0032】
第3界面活性剤成分は、主に、カチオン性洗浄界面活性剤を含む。主に含むとは、第3界面活性剤成分が当該第3界面活性剤成分の50重量%を超えるカチオン性洗浄界面活性剤を含み、好ましくは当該第3界面活性剤成分の60重量%を超える、又は70重量%を超える、又は80重量%を超える、又は90重量%を超える、或いは本質的に100重量%のカチオン性洗浄界面活性剤を含むことを意味する。好ましくは、第3界面活性剤成分は、当該第3界面活性剤成分の10重量%未満のアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含み、好ましくは当該第3界面活性剤成分の5重量%未満、又は2重量%未満、或いは本質的に0重量%のアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含む。好ましくは、第3界面活性剤成分は、当該第3界面活性剤成分の10重量%未満の非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含み、好ましくは当該第3界面活性剤成分の5重量%未満、又は2重量%未満、或いは0重量%の非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含む。好ましくは、第3界面活性剤成分は、アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を本質的に含まない。アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を本質的に含まないとは、第3界面活性剤成分が、通常、故意に添加されたアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含まないことを意味する。好ましくは、第3界面活性剤成分は、非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を本質的に含まない。非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を本質的に含まないとは、第3界面活性剤成分が、通常、故意に添加された非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含まないことを意味する。このことは、前記組成物が良好な分配及び溶解特性を有することを確実にするためと、更には前記組成物が、水に溶解されたときに透明な洗浄溶液を提供することを確実にするために、特に好ましい。
【0033】
第3界面活性剤成分は、好ましくは噴霧乾燥された粉末、気流乾燥された粉末、凝集、又は押出品の形態である。第3界面活性剤成分が凝集粒子(agglomerate particle)の形態であれば、好ましくは、前記粒子は、当該粒子の5重量%〜50重量%のカチオン性洗浄界面活性剤、又は5重量%〜25重量%のカチオン性洗浄界面活性剤を含む。第3界面活性剤成分は、固体キャリア材料との共同粒子混合体の形態であってよい。固体キャリア材料は、硫酸塩及び/又は炭酸塩、好ましくは硫酸ナトリウム及び/又は炭酸ナトリウムであり得る。
【0034】
ケイ酸塩
洗剤組成物は、0重量%〜10重量%のケイ酸塩を含む。前記組成物は、好ましくは0重量%〜5重量%、又は4重量%未満、又は2重量%未満、又は1重量%未満のケイ酸塩を含む。前記組成物がケイ酸塩を本質的に含まないことが更に好ましい場合がある。ケイ酸塩を本質的に含まないとは、前記組成物が、故意に添加されたケイ酸塩を含まないことを意味する。このことは、前記組成物が非常に良好な分配及び溶解特性を有することを確実にするため、及び前記組成物が水に溶解されたときに透明な洗浄溶液を提供することを確実にするために、特に好ましい。ケイ酸塩類には、非水溶性ケイ酸塩類が包含される。ケイ酸塩類には、非晶質ケイ酸塩類及び結晶性層状ケイ酸塩類(例えば、SKS−6)が包含される。好ましいケイ酸塩は、ケイ酸ナトリウムである。
【0035】
ゼオライトビルダー
前記組成物は、0重量%〜4重量%のゼオライトビルダーを含む。前記組成物は、好ましくは0重量%〜3重量%、又は0重量%〜2重量%、又は0重量%〜1重量%のゼオライトビルダーを含む。前記組成物がゼオライトビルダーを本質的に含まないことが更に好ましい場合がある。ゼオライトビルダーを本質的に含まないとは、前記組成物が、通常、故意に添加されたゼオライトビルダーを含まないことを意味する。このことは、非水溶性残留物(例えば、これは布地表面に沈着することがある)の量を最少化するために、前記組成物が非常に溶解性が高いことが望ましい場合、また更には透明な洗浄溶液を有するのが極めて望ましい場合に、特に好ましい。ゼオライトビルダー類としては、ゼオライトA、ゼオライトX、ゼオライトP及びゼオライトMAPが挙げられる。
【0036】
リン酸塩ビルダー
前記組成物は、0重量%〜4重量%のリン酸塩ビルダーを含む。前記組成物は、好ましくは0重量%〜3重量%、又は0重量%〜2重量%、又は0重量%〜1重量%のリン酸塩ビルダーを含む。前記組成物がリン酸塩ビルダーを本質的に含まないことが更に好ましい場合がある。リン酸塩ビルダーを本質的に含まないとは、前記組成物が、通常、故意に添加されたリン酸塩ビルダーを含まないことを意味する。このことは、前記組成物が極めて良好な環境プロファイルを有するのが望ましい場合に、特に好ましい。リン酸塩ビルダー類としては、トリポリリン酸ナトリウムが挙げられる。
【0037】
補助ビルダー類
前記組成物は、ゼオライトビルダー及びリン酸塩ビルダー以外の補助ビルダー類を含んでもよく、特に好ましいものは水溶性補助ビルダー類である。補助ビルダー類は、好ましくは炭酸ナトリウム、スルファミン酸及び/又はスルファミン酸ナトリウムのようなその水溶性塩類、クエン酸及び/又はクエン酸ナトリウムのようなその水溶性塩類、アクリル酸とマレイン酸とのコポリマー類又はポリアクリレートなどの高分子ポリカルボキシレート類から成る群より選択される。
【0038】
前記組成物は、非常に低濃度の非水溶性ビルダー類、例えばゼオライトA、ゼオライトX、ゼオライトP及びゼオライトMAPを含むと同時に、比較的高濃度の水溶性補助ビルダー類、例えば炭酸ナトリウム、スルファミン酸及びクエン酸を含むことが好ましい場合がある。炭酸ナトリウムとゼオライトビルダーとの重量比は少なくとも5:1、好ましくは少なくとも10:1、又は少なくとも15:1、又は少なくとも20:1、或いは少なくとも25:1であることが好ましい場合がある。
【0039】
炭酸塩
洗剤組成物が炭酸塩、典型的には1重量%〜50重量%、又は5重量%〜25重量%又は10重量%〜20重量%の炭酸塩を含むことが好ましい場合がある。好ましい炭酸塩は、炭酸ナトリウム及び/又は重炭酸ナトリウムである。極めて好ましい炭酸塩は、炭酸ナトリウムである。好ましくは、前記組成物は10重量%〜20重量%の炭酸ナトリウムを含んでよい。しかしながら、また、前記組成物は2重量%〜8重量%の重炭酸ナトリウムを含むことが好ましい場合もある。前記濃度の重炭酸ナトリウムは、良好なアルカリ性を付与すると同時に、界面活性剤−炭酸塩系で生じ得る界面活性剤のゲル化の危険性を最小限に抑える。前記組成物が炭酸ナトリウム及びゼオライトを含む場合、好ましくは炭酸ナトリウムとゼオライトとの重量比は少なくとも15:1である。
【0040】
炭酸塩又は少なくともその一部は、典型的には粒子形態であり、典型的には200〜500マイクロメートルの範囲内の重量平均粒径を有する。しかし、炭酸塩又は少なくともその一部は、微粉化した粒子形態であり、典型的には4〜40マイクロメートルの範囲内の重量平均粒径を有するのが好ましい場合があり、このことは、炭酸塩又は少なくともその一部が、アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤などの洗浄界面活性剤との共同粒子混合体の形態である場合に、特に好ましい。
【0041】
高濃度の炭酸塩は、洗浄溶液のpHを高めることによって前記組成物の洗浄性能を向上させる。この高められたアルカリ性は、漂白剤が存在する場合はその性能を向上させて、汚れを加水分解し易くし、それによって汚れを布地から取り除き易くし、そして更には洗浄すべき汚れのイオン化速度と電離度を増大させる。イオン化された汚れはより可溶性となって、洗濯プロセスの洗浄段階で布地から取り除き易い。更に、高い炭酸塩濃度は、洗剤組成物が自由流動性粒子形態である場合に、当該組成物の流動性を向上させる。
【0042】
しかし、炭酸アニオン類は洗浄溶液中のカルシウムカチオン類と容易に錯体を形成して、炭酸カルシウムを形成する。炭酸カルシウムは非水溶性であり、洗浄溶液中で溶液から析出し、布地上に付着して、結果として、白色度の維持を低下させる。従って、前記組成物は、低濃度の炭酸塩を含むか又は全く含まないことが好ましい場合がある。前記組成物は、炭酸塩の存在に伴う問題点を最小限に抑えるために、0重量%〜10重量%の炭酸塩を含んでいてよい。しかし、上記により詳細に述べたように、より高濃度の炭酸塩を前記組成物中に組み込むのが望ましい場合がある。前記組成物が高濃度の炭酸塩、例えば少なくとも10重量%の炭酸塩を含む場合、前記組成物は、また、好ましくは、炭酸アニオンと酸/塩基反応し得る酸供給源、例えばスルファミン酸、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸、又はこれらのいずれかの混合物をも含む。特に好ましい酸供給源は、スルファミン酸である。好ましくは、前記組成物中における炭酸塩と、炭酸アニオンと酸/塩基反応し得る酸供給源の総量との重量比は、好ましくは50:1未満、より好ましくは25:1未満、又は15:1未満、又は10:1未満、或いは5:1未満である。前記組成物が炭酸ナトリウム及びスルファミン酸を含む場合、好ましくは、炭酸ナトリウムとスルファミン酸との重量比は5:1未満である。
【0043】
炭酸アニオン供給源
洗浄溶液中の炭酸アニオン類の濃度が高すぎることによる望ましくない効果を最小限に抑えるために、前記組成物中の炭酸アニオン供給源の総量が好ましくは制限される。好ましい炭酸アニオン供給源は、炭酸塩類及び/又は過炭酸塩類である。好ましくは、前記組成物中の炭酸アニオン供給源の総量(炭酸アニオンを基準にした場合)は、前記組成物中に存在する酸供給源であって、炭酸アニオンと酸/塩基反応し得る酸供給源の総量を完全に中和するために必要な炭酸アニオン供給源の理論量より7重量%〜14重量%多い。前記組成物中の炭酸アニオン供給源の総量を、該組成物中の酸供給源の量との関係で、上述した方式で調整することにより、洗浄溶液中の炭酸アニオン類の濃度が高すぎることによる全ての望ましくない悪影響を最小限に抑えながら、前記組成物中に炭酸アニオン供給源を有することによる全ての利益が最大化される。
【0044】
硫酸塩
前記組成物は、好ましくは、少なくとも10重量%の硫酸塩を含んでいてよい。高濃度の硫酸塩は、前記組成物の油染み除去洗浄性能を向上させることができる。好ましい硫酸塩は、硫酸ナトリウムである。硫酸ナトリウムとスルファミン酸を水の存在下で合わせて錯体化して、次式を有する錯体を形成することができる:
6HSONH・5NaSO・15H
このような錯体類は、本明細書に用いるのに好適である。
【0045】
前記組成物は、好ましくは非常に高濃度の硫酸塩を含んでいてよい;当該洗剤組成物は典型的には、少なくとも15重量%の硫酸塩、或いは20重量%の硫酸塩、或いは25重量%の硫酸塩、また場合により更に少なくとも30重量%の硫酸塩を含む。硫酸塩又は少なくともその一部は、典型的には粒子形態であり、典型的には60〜200マイクロメートルの範囲内の重量平均粒径を有する。しかし、硫酸塩又は少なくともその一部は、微粉化した粒子形態であり、典型的には5〜60マイクロメートル未満、好ましくは5〜40マイクロメートルの範囲内の重量平均粒径を有するのが好ましい場合がある。硫酸塩が粗粒子形態であり、典型的には200超〜800マイクロメートルまでの重量平均粒径を有することが更に好ましい場合がある。しかしながら、前記組成物は、20重量%未満の硫酸塩、或いは10重量%未満、或いは5重量%未満の硫酸塩を含むことが好ましい場合もある。
【0046】
前記組成物は、好ましくは60重量%未満の、炭酸塩と硫酸塩とを合わせた総量を含んでもよい。前記組成物は、55重量%未満、又は50重量%未満、又は45重量%未満、又は40重量%未満の、炭酸塩と硫酸塩とを合わせた総量を含んでもよい。
【0047】
スルファミン酸
前記組成物は、スルファミン酸及び/又はその水溶性塩類を含んでいてよい。スルファミン酸の水溶性塩類は、スルファミン酸アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩であり得る。スルファミン酸の水溶性塩類の他の例には、スルファミン酸アンモニウム、スルファミン酸亜鉛及びスルファミン酸鉛が挙げられる。スルファミン酸の好ましい水溶性塩は、スルファミン酸ナトリウムである。好ましくは、洗剤組成物はスルファミン酸を含む。洗剤組成物は、好ましくは(スルファミン酸を基準にした場合)0.1重量%〜20重量%のスルファミン酸及び/又はその水溶性塩類を含むが、前記洗剤組成物が0.1重量%〜15重量%、又は1重量%〜12重量%、或いは3重量%〜10重量%のスルファミン酸及び/又はその水溶性塩類を含むことが好ましい場合がある。スルファミン酸は、典型的には次式、
NSO
を有する。
【0048】
スルファミン酸は、洗剤組成物中に存在する場合には双極性の形態であり得、双極性の形態のスルファミン酸は、次式、
SO
を有する。
【0049】
スルファミン酸が、例えば、別個の粒子成分として前記組成物中に存在するとき、場合によってはスルファミン酸の少なくとも一部、或いは場合によりその全部が、双極性の形態である。
【0050】
スルファミン酸は、洗剤組成物の分配及び分解を改善できる。それは、炭酸塩の供給源が自動洗濯機のドラム内又は自動洗濯機の分配用引き出し内又はボール(粒状(granulette))もしくはネットなどの他の分配装置内の洗浄溶液などの水性環境中に存在する場合には、炭酸塩の供給源と反応して二酸化炭素ガスを発生することができる。スルファミン酸と炭酸塩の供給源との組み合わせは、洗剤組成物の分配性能を改善できる発泡系である。更に、洗浄溶液中での、この発泡系により付与される追加の攪拌によって、洗剤組成物の洗浄性能を改善することもできる。
【0051】
スルファミン酸の吸湿性は非常に低く、クエン酸、リンゴ酸又はコハク酸などの他の酸類よりも著しく低いので、スルファミン酸は水分を容易に吸収しない。スルファミン酸は、洗剤組成物の保管中は安定しており、高湿度などの特定の貯蔵条件下で、洗剤組成物の他の成分を容易に分解しない。意外にも、スルファミン酸は流動性の液相、例えば非イオン性洗浄界面活性剤類の存在下でも安定している。更に意外なことに、スルファミン酸は高湿度での貯蔵中に、香料を容易に分解しない。
【0052】
好ましくは、スルファミン酸及び/又はその水溶性塩類は、粒子形態である。洗剤組成物が粒子形態であり、特に自由流動性粒子形態である場合、スルファミン酸及び/又はその水溶性塩類は、好ましくは粒子形態であり、好ましくは乾燥状態で追加される粒子の形態にて、好ましくは乾燥状態で追加される別個の粒子の形態にて洗剤組成物中に組み込まれる。或いは、スルファミン酸は、炭酸塩の供給源との共同粒子混合体の形態であってもよく、この共同粒子混合体は(加圧アグロメレーションを包含する)アグロメレーション、ローラー圧縮、押出成形、球形化、又はこれらのいずれかの組み合わせなどの方法によって作製されてもよい。好ましくは、粒子形態のスルファミン酸及び/又はその水溶性塩類は、210マイクロメートル〜1,200マイクロメートル、又は好ましくは250マイクロメートル〜800マイクロメートルの範囲内の重量平均粒径を有する。好ましくは、粒子形態のスルファミン酸及び/又はその水溶性塩類は、当該スルファミン酸及び/又はその水溶性塩類の35重量%以下が、250マイクロメートル未満の粒径を有し、好ましくは当該スルファミン酸及び/又はその水溶性塩類の30重量%以下が、250マイクロメートル未満の粒径を有し、且つ好ましくは当該スルファミン酸及び/又はその水溶性塩類の35重量%以下が、1,000マイクロメートルより大きい粒径を有し、好ましくは当該スルファミン酸及び/又はその水溶性塩類の25重量%以下が1,000マイクロメートルより大きい粒径を有するような粒径分布を有する。
【0053】
スルファミン酸及び/又はその塩類は、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、及びそれらの塩類などの、他の酸類よりも優れた構築能力を有する。前記組成物に組み込まれるか又はスルファミン酸のその場での中和によって洗浄溶液中でその場で形成されるスルファミン酸塩は、遊離カチオン類(例えば、スルファミン酸カルシウム及び/又はスルファミン酸マグネシウムをそれぞれ形成するカルシウムカチオン及び/又はマグネシウムカチオン)との高い結合効率を有する。洗剤組成物中のスルファミン酸及び/又はその水溶性塩類の存在に起因するこの優れた構築性能は、洗剤組成物がゼオライトビルダー類及びリン酸塩ビルダー類を非常に低濃度で含むか又は全く含まない場合、高濃度の遊離カルシウム及び/又はマグネシウムに関連する洗浄上の問題点が発生する可能性が高い場合に、特に有益である。
【0054】
高分子ポリカルボキシレート
前記組成物は、少なくとも1重量%、又は少なくとも2重量%、又は少なくとも3重量%、又は少なくとも4重量%、或いは少なくとも5重量%の高分子ポリカルボキシレート類を含むことが好ましい場合がある。高濃度の高分子ポリカルボキシレートは、ビルダーとして作用して洗浄溶液中の遊離カルシウムイオンを封鎖することができ、また汚れ分散剤としても作用することができ、改善された粒子状の染み除去洗浄効果を付与することができる。好ましい高分子ポリカルボキシレート類としては、好ましくは1,000Da〜20,000Daの重量平均分子量を有するポリアクリレート類;マレイン酸とアクリル酸とのコポリマー類であって、好ましくはマレイン酸モノマー類とアクリル酸モノマー類とのモル比が1:1〜1:10であり、10,000Da〜200,000Daの重量平均分子量を有するもの、又は好ましくはマレイン酸モノマー類とアクリル酸モノマー類とのモル比が0.3:1〜3:1であり、1,000Da〜50,000Daの重量平均分子量を有するものが挙げられる。
【0055】
汚れ分散剤
前記組成物が、次式、
ビス((CO)(CO)n)(CH)−N−C2x−N−(CH)−ビス((CO)(CO)n)
を有する汚れ分散剤を含むことが好ましいこともある(式中、nは20〜30であり、xは3〜8である)。他の好適な汚れ分散剤類は、次式、
スルホン酸化又は硫酸化されたビス((CO)(CO)n)(CH)−N−C2x−N−(CH)−ビス((CO)(CO)n)
を有するスルホネート(sulphonate)又は硫酸化汚れ分散剤類である(式中、nは20〜30であり、xは3〜8である)。好ましくは、前記組成物は、少なくとも1重量%、又は少なくとも2重量%、或いは少なくとも3重量%の汚れ分散剤類を含む。
【0056】
その他の補助剤成分
前記組成物は、典型的には、補助剤成分を含む。これらの補助剤成分には、過炭酸塩及び/又は過ホウ酸塩のような漂白剤;好ましくはこれらと、テトラアセチルエチレンジアミンのような漂白活性化剤との組み合わせ、ノナノイルオキシベンゼンスルホネートのようなオキシベンゼンスルホネート漂白活性化剤類との組み合わせ、カプロラクタム漂白活性化剤類との組み合わせ、N−ノナノイル−N−メチルアセトアミドのようなイミド漂白活性化剤類との組み合わせ、N,N−フタロイルアミノ(N,N-pthaloylamino)ペルオキシカプロン酸、ノニルアミドペルオキシアジピン酸又は過酸化ジベンゾイルのような予備形成された過酸類との組み合わせ;ジエチレントリアミンペンタアセテート、ジエチレントリアミンペンタ(メチルホスホン酸)、エチレンジアミン−N’N’−二コハク酸、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)及びヒドロキシエタンジ(メチレンホスホン酸)のようなキレート剤類;アミラーゼ類、カルボヒドラーゼ類、セルラーゼ類、ラッカーゼ類、リパーゼ類、オキシダーゼ類、ペルオキシダーゼ類、プロテアーゼ類、ペクテートリアーゼ類及びマンナナーゼ類のような酵素類;シリコーン系の泡抑制剤類のような泡抑制系類;光沢剤類;光漂白剤;充填剤塩類;粘土、シリコーン及び/又は四級アンモニウム化合物類のような布地柔軟化剤類;ポリエチレンオキシドのような凝集剤類;ポリビニルピロリドン、ポリ4−ビニルピリジンN−オキシド及び/又はビニルピロリドンとビニルイミダゾールとのコポリマーのような移染防止剤類;イミダゾールとエピクロルヒドリン(epichlorhydrin)との縮合により生成される疎水変性セルロース及びオリゴマー類のような布地一体性成分(fabric integrity component)類;ポリカルボキシレート類、アルコキシル化ポリアミン類及びエトキシル化エチレンイミンポリマー類のような汚れ分散剤類及び汚れ再付着防止助剤類;カルボキシメチルセルロース及びポリエステル類のような再付着防止成分;香料類;及びオレンジ染料のような染料類が包含される。
【0057】
好ましくは、前記組成物は、1重量%未満の塩素漂白剤及び1重量%未満の臭素漂白剤を含む。好ましくは、前記組成物は、臭素漂白剤及び塩素漂白剤を本質的に含まない。「本質的に含まない」とは、「故意に添加されたものを含まない」ことを通常意味する。
【0058】
前記組成物が傷つきやすい布地を洗濯するのに使用される場合、好ましくは前記組成物は、漂白剤を本質的に含まず、並びに/又はプロテアーゼを本質的に含まず、及び/もしくは0重量%〜0.1重量%未満の蛍光増白剤成分を本質的に含まない。「本質的に含まない」とは、「故意に添加されたものを含まない」ことを通常意味する。このことは、シルク及び/又はウールのような柔らかな布地を洗濯するときに良好な布地ケアを付与するのが望ましい場合に、好ましい。
【0059】
前記組成物は、好ましくは0重量%〜20重量%未満のクエン酸ナトリウム、又は0重量%〜10重量%、又は0重量%〜5重量%、又は0重量%〜1重量%のクエン酸ナトリウムを含んでいてもよい。前記組成物は、好ましくは0重量%〜2重量%のスルホコハク酸三ナトリウム、又は0重量%〜1重量%、又は0重量%〜0.1重量%のスルホコハク酸三ナトリウムも含んでいてもよい。このことは、前記処方中の空間を最適化するために好ましい。
【0060】
組成物
前記組成物は、凝集、噴霧乾燥された粉末、押出品、フレーク、針状物、麺状物、ビーズ、又はこれらのいずれかの組み合わせのような、あらゆる固体形態であることができる。好ましくは、洗剤組成物は、自由流動性粒子の形態である。自由流動性粒子とは、通常、前記組成物が別個の離散粒子の形態であることを意味する。自由流動性粒子形態の洗剤組成物は、典型的には450g/l〜1,000g/lの嵩密度を有し、好ましい低嵩密度の洗剤組成物は、550g/l〜650g/lの嵩密度を有し、好ましい高嵩密度の洗剤組成物は、750g/l〜900g/lの嵩密度を有する。洗濯プロセス中、前記組成物は典型的には水と接触して、7超〜13未満、好ましくは7超〜10.5未満のpHを有する洗浄溶液を与える。これは、良好な洗浄を付与すると同時に、良好な布地ケア特性をも確実にするための最適pHである。
【0061】
前記組成物は、アグロメレーション、噴霧乾燥、押出成形、混合、乾燥混合、液体噴霧方式、ローラー圧縮、球形化、又はこれらのいずれかの組み合わせを包含するいかなる好適な方法で作製されてよい。
【0062】
好ましくは、前記組成物は、9.2g/lの濃度及び20℃の温度で水と接触すると、(i)500比濁計濁度単位未満の濁度、及び(ii)8〜12の範囲のpHを有する透明な洗浄溶液を形成する。好ましくは、その結果として得られる洗浄溶液の濁度は、400比濁計濁度単位未満、又は300比濁計濁度単位未満、又は10〜300比濁計濁度単位である。洗浄溶液の濁度は、典型的に、H1 93703マイクロプロセッサー濁度計を用いて測定される。洗浄溶液の濁度を測定するための典型的な方法は以下の通りである:組成物9.2gをビーカー内の1リットルの水に加えて溶液を形成する。この溶液を、20℃において62.83rad/s(600rpm)で5分間攪拌する。この溶液の濁度を、次に、製造者の指示に従ってH1 93703マイクロプロセッサー濁度計を用いて測定する。
【0063】
前記組成物は、典型的には、35℃の温度で測定するとき、0%〜30%未満、好ましくは0%〜20%の平衡相対湿度を有する。典型的には、平衡相対湿度は、以下のようにして決定される:
前記組成物の平衡相対湿度の決定方法
組成物300gを、不透水性材料で作製された1リットルの容器であって、当該容器を密封することができる蓋が付いた容器に入れる。蓋には、プローブを容器内部へ挿入できるように適合した、密封可能な孔が設けられている。容器とその内容物を35℃の温度で24時間保持して、温度を平衡させる。固体状態の湿度計(英国ハンプシャー(Hapshire)のテストターム社(Testoterm Ltd)から販売されているハイグロテスト(Hygrotest)6100)を用いて、水蒸気圧を測定する。これは、容器の蓋の密封可能な孔から容器内部にプローブを挿入して、ヘッドスペースの水蒸気圧を測定することによって行われる。これらの測定は、水蒸気圧が平衡するまで10分おきに行う。その後、プローブが自動的に水蒸気圧を平衡相対湿度値に変換する。
【0064】
洗剤製品
洗剤製品は、組成物と包装システムの組み合わせを含む。前記組成物は、上記においてより詳細に定義されている。包装システムを、以下に、より詳細に定義する。包装システムは、0gm−2−1から、好ましくは10gm−2−1未満の水蒸気透過率(moisture vapour transfer rate)を有する。水蒸気透過率(moisture vapour transfer rate)は、典型的には、当該技術分野で既知のいずれかの好適な方法で測定され、好ましい方法としては、ASTM標準規格E−96−53T又はTAPPI標準規格T464 m−45が挙げられる。好ましい方法は、ASTM標準規格E−96−53Tである。包装システムは、箱、バッグ、ビン、錫製の容器(tin)、缶、包み、袋、ドラム缶の形態であってよい。好ましくは、包装システムはビンの形態である。ビンは半透明であるのが好ましい。前記組成物の安定性は、非常に低い水蒸気透過率(moisture vapour transfer rate)を有する包装システム内で貯蔵すると向上する。
【実施例】
【0065】
実施例1. 粒子状洗濯洗剤組成物及びその製造方法。
【表1】

【0066】
噴霧乾燥された粉末の調製
上述したような組成物を有する、湿分含量が25.89%の水性スラリーを調製する。水性スラリーを、72℃に加熱し、高圧(5.5×10Nm−2〜6.0×10Nm−2)下で、空気入り口温度270℃〜300℃の向流式噴霧乾燥塔内に送り込む。水性スラリーを噴霧化し、この噴霧化されたスラリーを乾燥して固体混合物を生成して、次にこれを冷却して、大きすぎる物質(>1.8mm)を篩分けして取り除いて、噴霧乾燥された自由流動性粉末を形成する。微細物質(<0.15mm)は、噴霧乾燥塔内の排気(the exhaust the exhaust air)で水簸されて、後の塔(post tower)の収容システム内に集められる。噴霧乾燥された粉末は、1.0重量%の湿分含量、427g/lのバルク密度、及び噴霧乾燥された粉末の95.2重量%の粒径が150〜710マイクロメートルであるような粒径分布を有する。噴霧乾燥された粉末の組成を以下に示す。
【表2】

【0067】
アニオン性洗浄界面活性剤粒子1の調製
アニオン性洗浄界面活性剤粒子1は、傾斜ピン(Tilt-A-Pin)ミキサー、次に傾斜プラウ(Tilt-A-Plow)ミキサー(いずれもプロセソール(Processall)製)を用いて520gバッチを基準にして作製される。供給された硫酸ナトリウム108gを、炭酸ナトリウム244gと共に傾斜ピン(Tilt-A-Pin)ミキサーに添加する。70%活性C25Sペースト(C12/15アルコールとエチレンオキシドをベースとするエトキシ硫酸ナトリウム)168gを傾斜ピン(Tilt-A-Pin)ミキサーに添加する。これら成分を、その後、125.66rad/s(1200rpm)で10秒間混合する。得られた粉末を、次に、傾斜プラウ(Tilt-A-Plow)ミキサーに移して、20.94rad/s(200rpm)で2分間混合して粒子を形成する。粒子を、次に、当該粒子の平衡相対湿度が15%未満になるまで、2500l/分の速度で120℃において流動床乾燥機内で乾燥させる。乾燥した粒子をその後、篩分けして、1180μmまで通過し250μm上にある分画を保管する。アニオン性洗浄界面活性剤1の組成は次の通りである:
25Sエトキシ硫酸ナトリウム 25.0重量%
硫酸ナトリウム 18.0重量%
炭酸ナトリウム 57.0重量%
【0068】
カチオン性洗浄界面活性剤粒子1の調製
カチオン性界面活性剤粒子1は、モートン FM−50レーディゲ(Morton FM-50 Loedige)ミキサーで14.6kgバッチを基準にして作製される。微紛化した硫酸ナトリウム4.5kg及び微紛化した炭酸ナトリウム4.5kgをモートン FM−50レーディゲ(Morton FM-50 Loedige)ミキサーで予備混合する。モノ−C12〜14アルキルモノヒドロキシエチルジメチル四級アンモニウムクロライド(カチオン性界面活性剤)の40%活性水溶液4.6kgをモートン FM−50レーディゲ(Morton FM-50 Loedige)ミキサーに添加し、それと同時に主要な駆動部とチョッパーの両方を作動する。約2分間混合させた後、微粉化した硫酸ナトリウムと微粉化した炭酸ナトリウムとの重量比1:1の混合物1.0kgを前記ミキサーに追加する。その結果得られた凝集を集めて、100〜140℃で2500l/分の空気を基準にして、30分間、流体床乾燥機を使って乾燥させる。その結果得られた粉末を篩分けして、1400μmまでの分画をカチオン性界面活性剤粒子1として集める。カチオン性界面活性剤粒子1の組成は、次の通りである:
モノC12〜14アルキルモノヒドロキシエチルジメチル四級アンモニウムクロライド 15重量%
炭酸ナトリウム 40.76重量%
硫酸ナトリウム 40.76重量%
湿分及びその他 3.48重量%
【0069】
顆粒状洗濯洗剤組成物の調製
実施例1の噴霧乾燥された粉末10.84kg、アニオン性洗浄界面活性剤粒子1 4.76kg、カチオン性洗浄界面活性剤粒子1 1.57kg、及びその他の個別に与えられ、乾燥状態で追加された物質7.83kg(総量)を、24rpmで作動している直径1mのコンクリートバッチミキサーに加える。これら材料全てを前記ミキサー内に加えた後、該混合物を5分間混合し、顆粒状洗濯洗剤組成物を形成する。顆粒状洗濯洗剤組成物の処方を以下に記す:
【表3】

【0070】
実施例2〜10.粒子状洗濯洗剤組成物
以下に示す成分の量は、重量%である。
【表4−1】

【表4−2】

【表4−3】

【0071】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行えることが当業者には明白であろう。従って、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。本明細書に引用される文献は全て、関連部分において参考として本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本発明に関する先行技術であることを承認するものとして解釈されるべきでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)0.1重量%〜10重量%のアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤と、
(b)1重量%〜25重量%の非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤と、
(d)0重量%〜4重量%のゼオライトビルダーと、
(e)0重量%〜4重量%のホスフェートビルダーと、
(f)0重量%〜10重量%のケイ酸塩と
を含む、固体洗濯洗剤組成物。
【請求項2】
前記組成物が、それぞれ粒子形態の少なくとも2つの別個の界面活性剤成分:
(a)アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を主に含む第1界面活性剤成分と、
(b)非アルコキシル化洗浄界面活性剤を主に含む第2界面活性剤成分と、
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、カチオン性洗浄界面活性剤を主に含む、粒子形態の別個の第3界面活性剤成分を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記第1界面活性剤成分が、当該第1界面活性剤成分の2重量%未満の非アルコキシル化洗浄界面活性剤を含む、請求項2又は3に記載の組成物。
【請求項5】
前記第2界面活性剤成分が、当該第2界面活性剤成分の2重量%未満のアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含む、請求項2〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記第3界面活性剤成分が、
(a)当該第3界面活性剤成分の2重量%未満のアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤と、
(b)当該第3界面活性剤成分の2重量%未満の非アルコキシル化洗浄界面活性剤と
を含み、
前記第1界面活性剤成分が、
(c)当該第1界面活性剤成分の2重量%未満のカチオン性洗浄界面活性剤と、
(d)当該第1界面活性剤成分の2重量%未満の非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤と
を含み、
前記第2界面活性剤成分が、
(e)当該第2界面活性剤成分の2重量%未満のカチオン性洗浄界面活性剤と、
(f)当該第2界面活性剤成分の2重量%未満のアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤と
を含む、請求項3〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤の少なくとも一部が、噴霧乾燥された粉末の形態であり、また前記アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤の少なくとも一部が、噴霧乾燥されていない粉末の形態である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤の少なくとも一部が、凝集形態である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤とアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤との重量比が、7:1を超える、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、16重量%〜20重量%の非アルコキシル化アニオン性洗浄活性界面活性剤と、1重量%〜3重量%のアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤とアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤との重量比が、1.7:1未満である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、4重量%〜10重量%の非アルコキシル化アニオン性洗浄活性界面活性剤と、3重量%〜5重量%のアルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤を含む、請求項1〜8及び11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記非アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤が、C10〜13直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、直鎖又は分枝鎖の、置換又は非置換のC12〜18アルキルスルフェート、及びこれらの混合物から成る群より選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記アルコキシル化アニオン性洗浄界面活性剤が、1〜10の平均エトキシル化度を有する、直鎖又は分枝鎖の、置換又は非置換のC12〜18アルキルエトキシル化スルフェートである、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、0.1重量%〜5重量%のカチオン性洗浄界面活性剤を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が、0.5重量%〜3重量%のカチオン性洗浄界面活性剤を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記カチオン性洗浄界面活性剤が、モノC6〜18アルキルモノヒドロキシエチルジメチル四級アンモニウムクロライドである、請求項15又は16に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物が、非イオン性洗浄界面活性剤を含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が、1重量%未満のケイ酸塩を含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が、ケイ酸塩を本質的に含まない、請求項1〜19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物が、ゼオライトビルダーを本質的に含まない、請求項1〜20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
前記組成物が、ホスフェートビルダーを本質的に含まない、請求項1〜21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記組成物が、10重量%〜20重量%の炭酸ナトリウムを含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
前記組成物が、炭酸ナトリウムを含み、前記組成物がまたゼオライトビルダーも含む場合には、前記炭酸ナトリウムとゼオライトビルダーとの重量比が少なくとも15:1である、請求項1〜23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
前記組成物が、2重量%〜8重量%の重炭酸ナトリウムを含む、請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物が、
(a)炭酸アニオン供給源と、
(b)炭酸アニオンと酸/塩基反応し得る酸供給源と
を含み、ここで炭酸アニオンを基準にして、前記組成物中の前記炭酸アニオン供給源の総量が、前記組成物中に存在する酸供給源の総量であって、炭酸アニオンと酸/塩基反応し得る前記酸供給源の総量を完全に中和するために必要な前記炭酸アニオン供給源の理論量より7重量%〜14重量%多い、請求項1〜25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
前記組成物が、微粉化された粒子形態の炭酸ナトリウムを含む、請求項1〜26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
前記組成物が、スルファミン酸及び/又はその水溶性塩類を含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
前記組成物が、炭酸ナトリウムとスルファミン酸を含み、該組成物が10重量%を超える炭酸ナトリウムを含む場合には、前記炭酸ナトリウムとスルファミン酸との重量比が5:1未満である、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記組成物が、少なくとも3重量%の高分子ポリカルボキシレートを含む、請求項1〜29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
前記組成物が、以下の式:
ビス((CO)(CO)n)(CH)−N−C2x−N−(CH)−ビス((CO)(CO)n)
を有する汚れ分散剤を含む、(式中、nは20〜30であり、xは3〜8である)、請求項1〜30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
前記組成物が、0重量%〜2重量%未満のスルホコハク酸三ナトリウムを含む、請求項1〜31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
前記組成物が、0重量%〜20重量%未満の硫酸塩を含む、請求項1〜32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
前記組成物が、0重量%〜20重量%未満のクエン酸ナトリウムを含む、請求項1〜33のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
前記組成物が、漂白剤を本質的に含まない、請求項1〜34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
前記組成物が、プロテアーゼを本質的に含まない、請求項1〜35のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
前記組成物が、0重量%〜0.1重量%未満の蛍光増白剤成分を含む、請求項1〜36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
前記組成物が、水と接触すると、7超〜10.5未満までのpHを有する洗浄溶液を形成する、請求項1〜37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項39】
前記組成物が、9.2g/lの濃度及び20℃の温度において水と接触するとき、
(a)500比濁計濁度単位未満の濁度;及び
(b)8〜12までの範囲のpH
を有する透明な洗浄溶液を形成する、請求項1〜38のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
請求項1〜39のいずれか一項に記載の組成物と包装システムとの組み合わせを含む洗剤製品であって、前記包装システムが、0gm−2−1〜20gm−2−1未満の水蒸気透過率を有する、前記洗剤製品。
【請求項41】
前記包装システムが、0gm−2−1〜10gm−2−1未満の水蒸気透過率を有する、請求項40に記載の製品。
【請求項42】
前記包装システムが、ビンの形態である、請求項40又は41に記載の製品。
【請求項43】
前記組成物の平衡相対湿度が、35℃の温度で測定したとき0%〜30%未満である、請求項40〜42のいずれか一項に記載の製品。

【公表番号】特表2008−509278(P2008−509278A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525797(P2007−525797)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【国際出願番号】PCT/US2005/028587
【国際公開番号】WO2006/020789
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】