水中探知装置及び水中探知画像表示方法
【課題】魚単体の遊泳状況を観測容易にする。
【解決手段】水中探知装置は、水中に送波され、魚で反射した受信信号から単体魚及びその位置を周期的に検出する検出手段(5,6)と、周期的に検出された単体魚及びその位置の情報から、同一の単体魚を関連付ける連結処理部71と、検出された単体魚の受信信号から魚体長を算出する魚体長算出部75と、単体魚の遊泳ベクトルを算出する遊泳ベクトル算出部72と、連結された単体魚について、魚体長に対応した計量マーク92a、及び当該単体魚の遊泳ベクトルに対応した変位マーク92bを対応付け、表示部9に表示される2次元座標上の当該単体魚の検出位置に表示する表示制御部8とを備える。
【解決手段】水中探知装置は、水中に送波され、魚で反射した受信信号から単体魚及びその位置を周期的に検出する検出手段(5,6)と、周期的に検出された単体魚及びその位置の情報から、同一の単体魚を関連付ける連結処理部71と、検出された単体魚の受信信号から魚体長を算出する魚体長算出部75と、単体魚の遊泳ベクトルを算出する遊泳ベクトル算出部72と、連結された単体魚について、魚体長に対応した計量マーク92a、及び当該単体魚の遊泳ベクトルに対応した変位マーク92bを対応付け、表示部9に表示される2次元座標上の当該単体魚の検出位置に表示する表示制御部8とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のビーム幅を有する超音波信号を周期的に水中に送信すると共に水中を遊泳する探知対象物で反射した信号を受信し、受信信号から探知対象物に関する情報を生成し、表示部に表示する水中探知装置及び水中探知画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水産資源量の調査のため、魚単体の体長を探知し、検知結果を表示器に表示する計量魚群探知機が知られている。特許文献1には、この種の計量魚群探知機が記載されている。この計量魚群探知機は、送受波器から送波された超音波の音圧レベルと、魚で反射して帰来するエコーの音圧レベルとの比、すなわち反射強度TS(Target Strength)を求め、得られた反射強度TSから魚の体長を計算する。反射強度TSと魚体長Lとの間には、TS=20logL+20logA(A:信号周波数と魚種により決まる係数)との関係が成立することが知られている。計量魚群探知機で得られた魚単体の魚体長L情報は、所定の寸法範囲毎のヒストグラムの形で、いわゆる魚探画像が表示されるメイン表示領域に隣接して設けられたサブ表示領域に表示され、これにより計量値が視認可能にされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−249398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、魚単体の計量対象数と計量結果である魚体長とを所定のグラフで表示するものであり、かつメイン表示領域の魚探画像に魚単体のマークを表示することで、各魚単体の体長と深度、水中分布との関連(引用文献1の図5(B),(C)参照)が、おおよそ視認可能にされている。しかしながら、特許文献1は、あくまで計量観測という観点から魚体長及び数量を算出し、その結果をサブ表示領域にグラフ表示したものに過ぎず、グラフ表示で不足している情報については、メイン表示領域の魚探画像の表示内容を補足するようにしている。このように特許文献1には、遊泳状態の魚単体を観測するという観点はなく、そのための構成に関しても一切記載されていない。
【0005】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、魚単体等の水中を遊泳する探知対象物の遊泳状況を観測容易にする水中探知装置及び水中探知画像表示方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、所定のビーム幅を有する超音波信号を周期的に水中に送信すると共に水中を遊泳する探知対象物で反射した信号を受信し、受信信号から探知対象物に関する情報を生成し、表示部に表示する水中探知装置において、前記受信信号から探知対象物及びその位置を周期的に検出する検出手段と、前記検出手段によって周期的に検出された探知対象物及びその位置の情報から、同一の探知対象物を関連付ける連結手段と、前記連結手段によって連結された探知対象物について、探知対象物の位置の変化に対応した変位マークを対応付け、前記表示部に表示される少なくとも2次元の位置座標上の当該探知対象物の検出位置に表示する画像表示制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項16記載の発明は、所定のビーム幅を有する超音波信号を周期的に水中に送信すると共に水中を遊泳する探知対象物で反射した信号を受信し、受信信号から探知対象物に関する情報を生成し、表示部に表示する水中探知画像表示方法において、前記受信信号から探知対象物及びその位置を周期的に検出する検出行程と、前記検出行程によって周期的に検出された探知対象物及びその位置の情報から、同一の探知対象物を関連付ける連結行程と、前記連結行程によって連結された探知対象物について、探知対象物の位置の変化に対応した変位マークを対応付け、前記表示部に表示される少なくとも2次元の位置座標上の当該探知対象物の検出位置に表示する画像表示制御行程とを有するものである。
【0008】
これらの発明によれば、所定のビーム幅を有する超音波信号が、周期的に水中に送信され、水中を遊泳する魚や小動物等の探知対象物で反射して受信される。受信信号から探知対象物及びその位置が周期的に検出され、検出された探知対象物及びその位置の情報から、同一の探知対象物について関連付けが、すなわち連結処理が実行される。さらに、連結された探知対象物について、当該探知対象物の位置の変化に対応した変位マークが対応付けされる。一方、前記表示部には、少なくとも2次元の位置座標で画面表示がなされており、この画面上であって前記探知対象物の検出位置に対応して変位マークが表示される。このように、探知対象物に対応する変位マークが、送信毎の検出位置に対応して表示される結果、送信毎に変位マークの表示状況を観察することで、対応する探知対象物の遊泳状況を容易に観測することが可能となる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の水中探知装置において、前記連結手段は、検出位置及び送信周期から得られる位置変化の速度が所定値以上の探知対象物を連結対象から除外することを特徴とする。この構成によれば、検出位置及び送信周期から単体魚等の探知対象物の遊泳速度が算出され、この算出された遊泳速度が所定値以上の場合、連結対象から除外されるので、探知対象物の同一性の精度が向上する。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の水中探知装置において、前記連結手段は、連続する2回の送信によって検出された位置に基づいて姿勢角度が所定値以上の探知対象物を連結対象から除外することを特徴とする。この構成によれば、連続する2回の送信によって単体魚等の探知対象物の位置が検出され、この検出結果に基づいて探知対象物の鉛直方向の傾斜の姿勢角度が算出される。そして、算出された姿勢角度が所定値以上の場合、連結対象から除外されるので、探知対象物の同一性の精度が向上する。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の水中探知装置において、前記検出手段によって検出された探知対象物の受信信号から探知対象物の計量情報を算出する算出手段と、画像表示制御手段は、前記連結手段によって連結された前記探知対象物について、当該探知対象物の計量情報に対応した計量マークを対応付け、前記表示部に表示される少なくとも2次元の位置座標上の当該探知対象物の検出位置に、前記変位マークと関連付けて表示するようにしたことを特徴とする。この構成によれば、探知対象物の受信信号から魚体長等の探知対象物の計量情報が算出される。そして、連結された探知対象物について、探知対象物の計量情報に対応した計量マーク及び変位マークが対応付けされる。一方、前記表示部には、少なくとも2次元の位置座標で画面表示がなされており、この画面上であって前記探知対象物の検出に対応して計量マーク、変位マークが表示される。このように、探知対象物の検出に対応して計量マーク、変位マークが、送信毎の検出位置に対応して表示される結果、送信毎に計量マーク、変位マークの表示状況を観察することで、対応する探知対象物の長さ等の計量情報の他、遊泳状況も容易に観測することが可能となる。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項4に記載の水中探知装置において、前記算出手段は、前記計量情報として前記探知対象物の長さに関する情報を算出するものであることを特徴とする。この構成によれば、単体魚や小動物等である探知対象物の長さ寸法、及び遊泳状況が容易に観測可能となる。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項5に記載の水中探知装置において、前記画像表示制御手段は、前記探知対象物の長さに関する情報に応じて前記計量マークの大きさを異ならせるものである。この構成によれば、計量マークを観察することで、探知対象物の長さ寸法、例えば単体魚の体長が視認容易となる。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項4〜6のいずれかに記載の水中探知装置において、前記画像表示制御手段は、最新の受信信号から得られた位置に前記計量マークを表示するものである。この構成によれば、計量マークを観察することで、対応する単体魚の最新位置が視認容易となる。
【0015】
請求項8記載の発明は、請求項7に記載の水中探知装置において、前記画像表示制御手段は、前記計量マークから、前回の受信信号で得られた位置に向けて前記位置の変化に対応した長さを有する線分を前記変位マークとして表示するものである。この構成によれば、変位マークを観察することで、対応する単体魚の遊泳速度が視認容易となる。
【0016】
請求項9記載の発明は、請求項5又は6に記載の水中探知装置において、前記算出手段は、前記受信信号の反射強度から前記探知対象物の長さを算出するものであって、連続する2回の超音波信号の送信を受けて姿勢角度を算出し、姿勢角度を用いて前記反射強度を補正するものである。この構成によれば、探知対象物の鉛直方向に傾斜した姿勢角度によって探知対象物の受信信号の反射強度が補正されるため、探知対象物の長さが精度良く算出される。
【0017】
請求項10記載の発明は、請求項4〜9のいずれかに記載の水中探知装置において、前記画像表示制御手段は、探知範囲が分割された深度範囲毎に少なくとも前記計量マークの表示色を異ならせることを特徴とする。この構成によれば、探知対象物が表示される2次元座標上に深度軸がない場合に、深度範囲毎に異なる色で各単体魚が表示されることで、探知対象物を3次元的に観察することが可能となる。
【0018】
請求項11記載の発明は、請求項10に記載の水中探知装置において、深度範囲を選択する深度範囲選択操作部を備え、前記画像表示制御手段は、選択された前記深度範囲内に含まれる探知対象物の前記計量マーク及び前記変位マークの少なくとも一方のマークの表示色を特定色に変更することを特徴とする。この構成によれば、選択した深度範囲の探知対象物が特定色で表示されるので、観測を希望する探知対象物の深度情報が容易に視認可能となる。
【0019】
請求項12記載の発明は、請求項5に記載の水中探知装置において、前記探知対象物の長さの寸法範囲を選択する寸法範囲選択操作部を備え、前記画像表示制御手段は、選択された前記寸法範囲内に含まれる探知対象物の少なくとも計量マークの表示色を特定色に変更することを特徴とする。この構成によれば、観測を希望する探知対象物が特定色に変更されるので、その体長の情報が容易に視認可能となる。
【0020】
請求項13記載の発明は、請求項1〜12のいずれかに記載の水中探知装置において、前記画像表示制御手段は、前記表示部の適所であって中心から径方向に鉛直線からの距離が表記される船上ビューの表示モードと、前記表示部の適所であって上部から下方に探知距離が表記される水中ビューの表示モードとを選択的に表示することを特徴とする。この構成によれば、船上ビューの表示モードと水中ビューの表示モードとが選択的に表示可能となるので、種々の態様で単体魚の遊泳状況の観察が可能となる。
【0021】
請求項14記載の発明は、請求項1〜13のいずれかに記載の水中探知装置において、前記画像表示制御手段は、3次元ビューの表示モードを選択的に表示するものである。この構成によれば、3次元ビューによって探知対象物の遊泳状況が一層視認容易となる。
【0022】
請求項15記載の発明は、請求項14に記載の水中探知装置において、前記深度範囲毎の探知対象物の長さの平均値及び変位分の平均値を算出する平均値算出手段を備え、前記画像表示制御手段は、前記探知対象物の長さの平均値及び変位分の平均値を、前記3次元ビューの深度範囲に対応させて表示すると共に仮想的な水底面に投影して表示するものである。この構成によれば、深度範囲毎に平均化された情報が表示され、必要以上に多数の探知対象物が画面に混雑して表示されることがないので、観測が容易となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、単体魚に対応する変位マークが、送信毎の検出位置に対応して表示される結果、送信毎に変位マークの表示状況を観察することで、単体魚等の探知対象物の遊泳状況も容易に観測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る水中探知装置が適用される計量魚群探知機の一実施形態を示す回路構成図である。
【図2】データ演算部及び表示制御部の機能ブロック図である。
【図3】送信信号、受信信号及び相関処理出力信号の各波形図の一例である。
【図4】マッチドフィルタを用いた相関処理の原理を説明する図である。
【図5】受信手順を示すフローチャートである。
【図6】(a)は、平滑フィルタ処理後の出力データの一例を示す波形図であり、(b)は、さらに微分処理を施した後の波形図である。
【図7】受信方位検出部によって行われれる、スプリットビームを用いたSSBL(Super short base line)法による受信方位の検出原理を説明する図である。
【図8】計量解析手順を示すフローチャートである。
【図9】表示部の画面に表示される画像の一例を示す図である。
【図10】表示モード選択手順を示すフローチャートである。
【図11】船上ビューの表示方式を説明するための概略図である。
【図12】単体魚に対応する表示用マークの設定手順を示すフローチャートである。
【図13】単体魚観察画面に表示される船上ビューの表示を説明するための図であり、(a)は、基本表示画面、(b)は、深度範囲が指定された場合の画面、(c)は、魚体長の寸法範囲が指定された場合の画面である。
【図14】船上ビューの表示手順を示すフローチャートである。
【図15】単体魚観察画面に表示される水中ビューの表示を説明するための図であり、(a)は、基本表示画面、(b)は、魚体長の寸法範囲が指定された場合の画面である。
【図16】単体魚観察画面に表示される3Dビューの表示を説明するための図である。
【図17】3D表示手順を示すフローチャートである。
【図18】3Dビューの他の態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明に係る水中探知装置が適用される計量魚群探知機100の一実施形態を示す回路構成図である。図1において、送受波器1は、船舶の船底等に固定配備され、超音波を水中に送信し、ターゲットである、水中を遊泳する魚や小動物(探知対象物)で反射した信号を受信するものである。受信結果は、信号線を介して船内等に配置された表示部9に表示される。以下では、魚を例にして説明する。
【0026】
送受波器1は、図では示していないが、所要数の振動子が束状に一体化され、かつ各振動子の振動面が面一状で配列されている。送受波器1は、送波面が周方向に4分割され、各分割面がチャンネルCH1〜CH4とされ、かつそれぞれ共通の指向特性、特に所定の指向幅、例えば7°の指向幅を有している。送受波器1は、ターゲットである魚Fiで反射して帰来する超音波のエコーを各チャンネルCH1〜CH4で受信する。
【0027】
各チャンネルCH1〜CH4と船舶方位との関係は、チャンネルCH1とCH4とが船首(fore)側であり、チャンネルCH2とCH3とが船尾(aft)側であり、さらに、チャンネルCH1とCH2とが右舷(starboard)側であり、チャンネルCH3とCH4とが左舷(port)側である。送受波器1は、探知パルスである超音波信号の送信時には、全てのチャンネルCH1〜CH4の振動子から超音波を同位相で送信し、エコーの受信時には、チャンネルCH1,CH4の組と、チャンネルCH2,CH3の組とにより、及びチャンネルCH1,CH2の組と、チャンネルCH3,CH4の組とにより、指向幅内において船首−船尾方向、及び右舷−左舷方向からのエコーを受信可能にする。
【0028】
送受信部21〜24は、送受波器1のチャンネルCH1〜CH4の各振動子に対応して接続されている。送受信部21〜24は、FM送信波形生成部3で生成された送信信号を送受波器1のチャンネルCH1〜CH4の各振動子に供給する送信回路と、各振動子で受信されたエコー信号に対して増幅等の処理を行う受信回路と、送信と受信の動作を切り換える送受信切換回路とを備えている。
【0029】
FM送信波形生成部3は、送信信号として用いるFM(周波数変調)信号の波形を生成するブロックである。FM送信波形生成部3は、所定の送信時間幅、例えば数十μ秒を有し、その期間内で周波数を所定の範囲内でチャープさせるものである。本実施形態では、中心周波数が100KHzで、低周波側が70KHz、高周波側が130KHzであり、低周波から高周波に向けてチャープを行う。
【0030】
演算処理部4は、例えばマイクロコンピュタで構成され、所定の図略の記憶部に記録されている制御プログラムを実行することによって、受信信号処理部5、受信方位検出部6、データ演算部7及び表示制御部8として機能する。受信信号処理部5は、送受波器1で受信された受信信号を予め定められた基準信号と比較することにより相関処理を行い、受信信号を高い距離分解能で抽出する相関処理機能部と、抽出された受信信号中から単体魚を分離抽出する単体魚分離抽出機能部とを備えている。この単体魚分離抽出機能部は、併せて分離抽出した単体魚の深度情報を算出する。なお、深度とは、送受波器1の送波面あるいは水面を基準にして鉛直方向へ向かう距離である。従って、送信から受信までの時間に対応する距離情報が受信方位によって修正されることで深度に換算される。例えば受信方位が鉛直方向の場合、距離情報はそのまま深度情報となる。受信方位検出部6は、受信信号処理部5によって抽出された単体魚の各チャンネルCH1〜CH4の受信信号から受信方位を検出するものである。
【0031】
データ演算部7は、受信信号処理部5の単体魚分離抽出機能部及び受信方位検出部6で検出された単体魚の経時方向における連結処理と、反射強度を魚体長に換算(算出)する処理とを行うものである。表示制御部8は、表示部9に表示する画像データを生成すると共に、操作部11からの操作に応じた表示制御を行うものである。データ演算部7及び表示制御部8の詳細は、図2を用いて後述する。
【0032】
計量魚群探知機100は、所定の筐体を有し、筐体には表示面が露出するようにして表示部9が設けられている。表示部9は、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等からなり、1画面分のビデオRAM等を備える。操作部11は、計量魚群探知機100の筐体適所あるいは表示部9の表示面に積層されたタッチパネル等の透明な感圧センサで構成されたものである。操作部11は、探知及び表示に関する種々の指示を行うものである。なお、FM送信波形生成部3の一部をソフトウエアで構成し、FM信号をデジタル的に生成し、図略の電力増幅回路部へ出力する態様としてもよい。
【0033】
次に、図3〜図7を用いて、計量魚群探知機100によって受信されたターゲットの単体魚の検出、その受信方位及び距離(深度)、すなわち送受波器1に対する3次元位置の検出について説明する。FM送信波形生成部3は、図3(a)に示したような送信信号Txの波形を生成して送受信部21〜24へ出力する。この送信信号Txは、周波数変調された正弦波バースト信号からなる時間幅T1のパルスで、前述したように、時間幅T1の間で、周波数130KHzから70KHzまで連続的に変化する(時間とともに周波数が漸減する)。送受波器1の各振動子はこの信号により励振され、図3(a)と同じ波形の超音波信号S1を水中に送信する。
【0034】
水中に送信された超音波信号S1のパルスがターゲットである魚Fiで反射し、エコーS2として帰って来ると、このエコーS2は送受波器1で受信され、送受信部21〜24へ送られる。このときの受信信号Rxの波形は、図3(b)のように、基本的に図3(a)に示した送信信号Txと同じ波形である。但し、実際には水中の浮遊物からのエコーやプロペラノイズ等の影響により、受信信号には多くのノイズが含まれ、図3(b)のような理想的な波形にはならないが、ここでは便宜上、受信信号と送信信号とを同じ波形として扱う。
【0035】
受信信号処理部5は、マッチドフィルタ(Matched Filter)を備えている。図4(a)は、マッチドフィルタを用いた相関処理の原理を説明する図である。図4(a)の基準信号Txは、ここでは時間とともに周波数が低くなるチャープ信号となっている。この基準信号Txの波形データは、あらかじめメモリ(図示省略)に記憶されている。図4(b)は基準信号Txと比較される信号であって、具体的には送受信部21〜24から出力される受信信号Rx、すなわち受信信号処理部5の入力信号である。
【0036】
相関処理においては、基準信号Txと受信信号Rxとの位相を少しずつずらしながら、各時点での受信信号Rxのレベルと基準信号Txのレベルとの乗算とその積の和算の演算(積和演算)を行う。図4(a)は、ある時点での積和演算の様子を示しており、所定のサンプリング間隔で受信信号Rxのレベル値と基準信号Txのレベル値との乗算を行い、その積X1,X2,…Xnをサンプリング区間にわたって加算する。そして、この加算値X1+X2+…+Xnの値を相関出力とする。図4(b)は、別の時点における積和演算の様子を示しており、この場合も、所定のサンプリング間隔で受信信号Rxのレベル値と基準信号Txのレベル値との乗算を行い、その積Y1,Y2,…Ynをサンプリング区間にわたって加算する。そして、この加算値Y1+Y2+…+Ynの値を相関出力とする。
【0037】
受信信号処理部5は、受信信号Rxと基準信号Txとの一致度に応じたレベルの信号を出力する。一致度が大きくなるほど出力信号のレベルは大きくなり、一致度が小さくなるほど出力信号のレベルは小さくなる。図4(a)の場合は、基準信号Txと受信信号Rxとの位相の一致度が低いため、相関出力の値は小さくなるが、図4(b)の場合は、基準信号Txと受信信号Rxとの位相が一致しているため、相関出力の値は最大となる。こうして、相関処理によれば、積和演算によって信号のレベル情報だけでなく位相情報も取り込んで信号の検出を行うため、レベルのみに基づいて信号検出を行う場合に比べて、信号の検出精度を高めることができる。
【0038】
以上のような相関処理を行うことにより、マッチドフィルタからは、図3(c)に示したような、基準信号Txに対応した受信信号Rxoが取り出される。この受信信号Rxoは、送信信号Txと同様のバースト信号であるが、基準信号Txと同じ帯域(例えば100KHz近傍)の信号のみからなり、それ以外の帯域の信号はカットされている。すなわち、受信信号Rxoのパルス幅T2は、送信信号Txのパルス幅T1よりも短い。こうして、マッチドフィルタによる相関処理の結果、受信信号処理部5から出力される受信信号Rxoはパルス圧縮されているため、エコーの分解能が向上し、次に述べる単体魚分離抽出機能部において単体魚を精度良く分離することができる。なお、図3に示したマッチドフィルタの出力信号Rxoは、実際には、T2以外の区間で、T1と同じ区間にわたって非常に微小なレベルの信号を含んでいるが、この信号は実用上無視できるため、事実上パルス幅がT1からT2に圧縮されたとみなして差し支えない。
【0039】
なお、図3においては、FM送信信号のレベルを時間幅T1に亘って一定としたが、適当な窓関数、例えばハニング窓を用いてエンベロープ処理を施すことにより、受信信号に与えるサイドローブの影響を抑制することができる。
【0040】
次いで、単体魚分離抽出機能部は受信信号Rxoを解析して、単体魚の分離抽出処理を実行する。この原理を図5、図6により説明する。
【0041】
図5は、受信手順を示すフローチャートである。本フローチャートにより示される処理は、演算処理部4が処理情報記憶部103の記憶媒体に格納されている処理プログラムを実行することにより実現される。
【0042】
図5において、パルス復元処理によって、受信信号Rxoが抽出され(ステップS1)次いで、検波処理によって、受信信号Rxoが検波される(ステップS3)。すなわち、受信信号Rxoに対して直交検波が施されて4チャンネルCH1〜4分のデータ(実成分Iと虚成分Qとからなる複素データ)が生成される。次いで、検波処理によって生成された複素データが、同期加算処理によってデータ演算用(方位角推定用)データと単体検出用データとに分岐されると共に、この単体検出用データについて各チャンネルCH1〜4の振幅が求められて加算が施される(ステップS5)。なお、同期加算処理は、単体検出用データについて各チャンネルCH1〜4の信号を加算してから振幅を求めるようにしてもよい。次いで、同期加算処理によって得られたデータが、平滑フィルタ処理によって平滑してノイズが除去される(ステップS7)。
【0043】
図6(a)は、平滑フィルタ処理後の出力データの一例を示す波形図であり、図6(b)は、さらに微分処理を施した後の波形図である。ステップS9では、平滑フィルタ処理後の出力データにさらに微分処理が施され、この微分処理された信号についてゼロに近いタイミング(ゼロクロスタイミング、すなわち時刻あるいは換算後の位相)が求められ、このタイミングにおける4チャンネルCH1〜CH4分のデータ演算用データが単体魚データとして抽出される。抽出された単体魚データは魚情報記憶部101に記憶される(ステップS11)。
【0044】
図7は、受信方位検出部6によって行われれる、スプリットビームを用いたSSBL(Super short base line)法による受信方位の検出原理を説明する図である。検出原理としては、時間差による検出方法と位相差による検出方法とがある。いずれの場合にも、船首(fore)側のチャンネルCH1とCH4の振動子での受信信号を加算(CH1+CH4)し、船尾(aft)側のチャンネルCH2とCH3の振動子での受信信号を加算(CH2+CH3)し、右舷(starboard)側のチャンネルCH1とCH2の振動子での受信信号を加算(CH1+CH2)し、左舷(port)側のチャンネルCH3とCH4の振動子での受信信号を加算(CH3+CH4)する。次いで、時間差を用いる場合には、受信信号の船首−船尾方向における到達時間差Δx、右舷−左舷方向における到達時間差Δyは、各チャンネルCH1〜CH4の船首−船尾方向及び右舷−左舷方向における重心間距離d、水中音速c、鉛直方向に対する仰角θ、船首方向に対する振れ角φとしたとき、(1)式が成立し、その結果、(2)式によって到来角θ、φが求まる。
【0045】
【数1】
【0046】
【数2】
【0047】
同様に、位相差を用いる場合には、受信信号の船首−船尾方向におけるδx、受信信号の右舷−左舷方向におけるδyについて(3)式が成立し、その結果、(4)式によって位置角θ、φが求まる。
【0048】
【数3】
【0049】
【数4】
【0050】
以上により、360°方向に対する到来角(受信方位)が算出される。かかる受信方位の算出処理は、探知レンジ内から抽出された単体魚データの全てに対して行われる。算出された受信方位情報は、抽出された単体魚データと対にされて記憶部10(図2参照)に、単体魚毎の魚情報(受信方位、距離、受信信号強度等)として順次記憶される。算出された受信方位情報は、後述するように送受波器1の指向特性に基づく受信信号のレベルを補正するため等に使用される。なお、送受信部21〜24では、受信信号に対してフィルタリングや増幅等の処理が行われる。
【0051】
図2は、データ演算部7及び表示制御部8の機能ブロック図である。データ演算部7は、連結処理部71、遊泳ベクトル算出部72、指向特性修正係数算出部73、魚姿勢修正係数算出部74及び魚体長算出部75を備える。記憶部10は、各種の処理データを記憶するものである。記憶部10は、単体魚毎の受信方位と深度とからなる(3次元位置)情報の他、魚体長情報(計量情報の一例)及び遊泳ベクトル情報である魚情報を、前回送信分と今回送信分の2回分を少なくとも交互に記憶するRAM等の魚情報記憶部101と、ROM等からなり、送受波器1の指向特性情報を記憶する指向特性情報記憶部102や各種処理に必要な演算式(演算結果テーブル)、処理プログラム、後述する画像表示のためのマーク等を含む各種画像情報を記憶する処理情報記憶部103とを備えている。
【0052】
連結処理部71は、本実施形態では、3次元位置情報に基づく1次連結処理と、さらに魚の動きに基づく2次連結処理とを実行するものである。1次連結処理は、今回の送信で検出された単体魚の3次元位置情報が、前回の送信で検出された単体魚の3次元位置情報の所定の距離範囲に該当する単体魚、乃至は所定の距離範囲内で最接近位置の単体魚を組として連結、例えば連結フラグを立てる等して関連付ける。2次連結処理は、1次連結処理によって組みとされた単体魚の中から、遊泳ベクトル算出部72で算出される情報に基づいて、所定の条件を満たさない組を除外する処理である。所定の条件とは、単体魚の遊泳速度が所定の閾値以上、例えば遊泳速度が秒速で標準的な魚体長の5倍以上となるような場合(送信周期との関係では、遊泳距離と同義)、及び単体魚の深度方向に対する遊泳方向(姿勢角度)が所定の閾値以上に傾斜している場合である。遊泳速度は、前回送信で検出された3次元位置情報と今回送信で検出された3次元位置情報との差分及び送信周期から算出される。深度方向への姿勢角度は、前回送信で検出された深度情報と今回送信で検出された深度情報との差分と、前回送信で検出された水平位置情報と今回送信で検出された水平位置情報との差分との比から算出される。すなわち、かかる条件を超える単体魚を別の単体魚として区別することで、魚の生態に則した単体判定を行うようにしている。なお、遊泳ベクトル算出部72は、前回送信で検出された3次元位置情報と今回送信で検出された3次元位置情報とから遊泳方向を算出し、この方向に対する遊泳速度を算出するものである。
【0053】
また、データ演算部7は、連結処理部71で連結フラグが立てられた単体魚に対し、その送信信号及び受信信号のレベルから、まず反射強度TSを計算し、続いて反射強度TSから魚体長を演算する処理を行う。反射強度TSは、(5)式により算出されることが知られている。
【0054】
TS=20log10(SIG)−G+TVG+Bt(θ)
+Br(θ)−SL−Me−kD (5)
ここに、SIGは単体魚の受信信号のレベル、Gは受信ゲイン、TVGはターゲットまでの距離に応じて変化する可変時間ゲイン、Bt(θ)はターゲット方位による送信指向性の補正項、Br(θ)はターゲット方位による受信指向性の補正項、SLは送信信号のレベル、Meは受波音圧感度、kDは単体魚の姿勢角度による補正項、Dは傾斜角度に関する補正関数、kはその係数である。なお、指向性補正項であるBt(θ)とBr(θ)とは、(6)式により計算され、予め指向特性情報記憶部102に記憶されている。指向特性修正係数算出部73は、前述したSSBL法によって得られた方位情報θから、対応するBt(θ)とBr(θ)とを抽出する。
【0055】
【数5】
なお、(6)式において、J1は1種1次のベッセル関数、aは送受波器1の半径である。また、魚姿勢修正係数算出部74は、反射強度TSの算出に際して、単体魚の姿勢角度による補正項kDを用いるものである。
【0056】
このように、反射強度TSの計算にあたっては、受信信号の位相差から得られるターゲットの方位情報、送受波器1の指向特性情報、姿勢角度等に応じて各種補正された反射強度TSが算出される。そして、反射強度TSが求まると、魚体長算出部75によって、周知である(7)式に示す反射強度TS(Target Strength)と魚体長Lとの間の関係式から魚体長Lが算出される。
【0057】
TS=20logL+20logA (7)
ここに、Aは信号周波数と魚種により決まる係数である。魚種の係数Aは、例えば、海域、深度、時期、水温その他のうちの所要の情報を用いて対応する値(魚種毎、あるいは何通りか分)を予め記憶しておいた記憶部から読み出して(7)式に設定するなどすればよい。
【0058】
図8は、計量解析手順を示すフローチャートである。本フローチャートにより示される処理は、演算処理部4が処理情報記憶部103の記憶媒体に格納されている処理プログラムを実行することにより実現される。
【0059】
図8において、今回の送信で検出された単体魚のそれぞれについて順次、前回の送信で検出された位置情報との比較を行い、所定距離範囲にある単体魚、あるいは所定距離範囲内の最接近距離にある単体魚を同一の単体魚と判断して、1次連結処理が実行される(ステップS21)。次いで、連結された単体魚の、今回及び前回の3次元位置情報及び送信周期情報から、当該単体魚の前回の検知から今回の検知までにおける姿勢角度及び遊泳速度が算出される(ステップS23)。そして、2次連結処理が実行される(ステップS25)。すなわち、姿勢角度及び遊泳速度の一方が所定の条件を満たしていない場合、連結対象から除外され、両方の条件を満たした場合、連結が維持される。
【0060】
続いて、連結された単体魚に対して、魚情報記憶部101の記憶内容から、遊泳ベクトルが算出され(ステップS27)、次いで、受信方位情報が取得される(ステップS29)。さらに、送受波器1の指向特性と対象の単体魚の受信方位、及び対象の単体魚の姿勢角度等から、(5)式によって当該単体魚の反射強度TSが算出され(ステップS31)、次いで、魚体長Lが(7)式によって算出される(ステップS33)。算出された魚体長情報は、魚情報記憶部101の単体魚に対応して記憶される(ステップS35)。
【0061】
次に、表示制御部8は、表示画像作成部81、表示モード設定部82、深度範囲指定処理部83及び寸法範囲指定処理部84を備える。表示画像作成部81は、表示部9の画面に表示する画像を作成するもので、作成した画像をビデオRAMに転送するものである。ビデオRAMの記憶内容は、繰り返し読み出されて表示部9に静止画像として表示される。表示部9は、通常の探知画面を表示するメイン表示領域と、単体魚の動きに関する(観測)情報を各種の表示モードで表示するサブ表示領域を有し、表示画像作成部81は、各表示領域に表示する画像の作成をそれぞれ行う。メイン表示領域は、横軸の送信回数(経時方向)と、縦軸の深度とからなる表示態様であり、受信信号は受信レベルに応じた色で表示される。送信周期毎に、画像全体を所定幅だけ経時方向にスクロールすることで、最新の探知信号がメイン表示領域の所定の先端位置(例えば右端)に表示されるようになっている。
【0062】
表示モード設定部82は、後述するように、複数の表示モードがあり、ユーザによって選択された表示モードによる表示画像に切り替えるものである。深度範囲指定処理部83は、表示中の単体魚のうち、ユーザによって指定された深度範囲に該当する単体魚の画像を他の単体魚の画像と識別する表示を行うものである。深度範囲とは、探知レンジを所定数に分割した各区分をいう。寸法範囲指定処理部84は、表示中の単体魚のうち、ユーザによって指定された魚体長の寸法範囲に該当する単体魚の画像を他の単体魚の画像と識別する表示を行うものである。
【0063】
図9は、表示部の画面に表示される画像の一例を示している。画面は、メイン表示領域であるいわゆる魚探画面9aとサブ表示領域である単体魚観察画面9bで構成されている。魚探画面9aには魚群映像911、単体魚映像912及び水底映像913等の水中映像が表示されている。単体魚観察画面9bには単体魚画像や水深目盛画像等が表示されている。魚群映像911は、密集した魚群から反射した超音波エコーに基づいて得られる映像であって、エコーの強弱に応じた色で区分けして表示されている。単体魚映像912は、分離された単体魚の受信信号に基づき表示される映像であって、エコーの強弱に応じた色で区分けして表示されている。なお、受信信号処理部5の単体魚分離抽出機能部は、基本的に受信信号から単体魚を分離検出する。
【0064】
図10は、表示モード選択手順を示すフローチャートである。本フローチャートにより示される処理は、表示制御部8が処理情報記憶部103の記憶媒体に格納されている処理プログラムを実行することにより実現される。
【0065】
図10において、操作部11から表示モードの切替指示があったか否かの判断が行われ(ステップS41)、切替指示がなければ、本フローを抜ける。一方、切替指示があった場合、現在の表示モードが船上ビューか否かが判断される(ステップS43)。船上ビューである場合、表示モードが水中ビューに切り替えられて(ステップS45)、本フローを抜ける。一方、現在の表示モードが船上ビューでない場合、現在の表示モードが水中ビューか否かの判断が行われる(ステップS47)。水中ビューである場合、表示モードが3Dビューに切り替えられて(ステップS49)、本フローを抜ける。一方、現在の表示モードが水中ビューでない場合(すなわち、3Dビューである場合)、現在の表示モードが船上ビューに切り替えられる(ステップS51)。
【0066】
図11は、船上ビューの表示方式を説明するための概略図である。図11は、送受波器1から鉛直方向に水底90bに向かう所定の指向幅を有する超音波信号を示し、概略的には円錐90aとして表現される。円90b’は水底90bの平面図である。いま、ある深度に魚Fiがいる場合、魚Fiの位置から水底に正射影した位置が魚Fi’の表示位置とされる。従って、中心から径方向に鉛直線からの距離が表記される。なお、図11において、深度方向は所定の深度範囲ずつに区分されている。深度範囲としては、探知レンジに応じて設定され、例えば探知レンジが50mの場合、1/5ずつの10mずつでもよい。また、魚体長も所定の寸法範囲ずつに区分されている。魚体長の寸法範囲としては、10cmずつでもよい。
【0067】
図12は、単体魚に対応する表示用マークの設定手順を示すフローチャートである。本フローチャートにより示される処理は、表示制御部8が処理情報記憶部103の記憶媒体に格納されている処理プログラムを実行することにより実現される。
【0068】
図12において、まず、先頭の、例えば最も浅い深度として検出された単体魚の情報が魚情報記憶部101から読み出される(ステップS61)。次いで、この単体魚の寸法範囲に応じて、識別可能な形態を有する第1のマーク(計量マーク)、例えば、寸法範囲に応じて(魚体長が大きくなるに応じて)半径が大きくなる円形マーク画像が設定される(ステップS63)。次いで、この単体魚の遊泳ベクトルを表示面に対して正射影したベクトルの大きさに比例した長さの線分(第2のマーク;変位マーク)画像が設定される(ステップS65)。なお、線分画像の色は、第1のマークと同一であることが好ましい。次いで、この単体魚の深度範囲に応じて、予め設定されている色、例えば深度が深いほど淡い濃度となる色が第1、第2のマーク画像に設定される。ここでは、第1、第2のマーク画像に決定される色情報としては、無彩色が好ましい。なお、第2のマークは単一の色で表示されてもよい。
【0069】
次いで、次の単体魚の有無が判断され、未設定の単体魚がいれば、ステップS61に戻り、逆に全ての単体魚についての表示用マークの設定が終了すれば、本フローを終了する。設定内容は、単体魚毎に魚情報記憶部101に記憶される。
【0070】
図13は、単体魚観察画面9bに表示される船上ビューの表示を説明するための図であり、図13(a)は、基本表示画面、図13(b)は、深度範囲が指定された場合の画面、図13(c)は、魚体長の寸法範囲が指定された場合の画面である。
【0071】
図13(a)において、基本表示画面は、送受波器1の位置に相当する中心O、中心Oを有する所定半径の円C1、前後左右を示す方向補助スケールL1,L2で構成される。円C1は指向角(方位)に相当している。なお、円C1の半分の角度位置(1/2の半径位置)に、円C2が角度補助スケールとして表示される。船上ビューは、船の前後左右と指向角との座標軸で表示される画面であり、距離(深度)軸はない。従って、円C1内の各座標は単体魚の受信方位によって規定される。
【0072】
円C1内の座標に位置付けられる単体魚は、その単体魚画像92を構成する第1のマーク92a、第2のマーク92bによって表示される。単体魚画像92は単体魚の数だけ表示される。各単体魚画像を構成する第1、第2のマークは、図12で示した表示用マークの設定手順に従って決定されている。また、表示される単体魚の深度、魚体長の寸法をガイドする表示は円C1の外側適所に表示されている。特に深度は、船上ビュー方式では規定できないため、図12の表示用マークの設定手順に従って明確にしている。
【0073】
図13(b)は、図13(a)において、操作部11によって深度範囲20m−30mが指定された場合を想定した画面である。この場合、指定された深度範囲20m−30mに含まれる全ての単体魚の単体魚画像92を構成する第1のマーク92a、第2のマーク92bは、指定深度範囲外の単体魚画像の色とは識別可能な特別な色(特定色)に変更される。例えば、基本表示画面で単体魚画像が無彩色の濃淡で表示されている場合に、所定の有彩色(赤色等)に変更される。
【0074】
図13(c)は、図13(a)において、操作部11によって、魚体長として寸法範囲40cm以上が指定された場合を想定した画面である。この場合、指定された寸法範囲40cmに含まれる全ての単体魚の単体魚画像92を構成する第1のマーク92a、第2のマーク92bは、指定寸法範囲外の単体魚画像の色とは識別可能な特別な色に変更される。例えば、基本表示画面で単体魚画像が無彩色の濃淡で表示されている場合に、所定の有彩色(赤色等)に変更される。なお、図13(b)、図13(c)では、指定範囲を視認可能にするべく、該当するガイドも特定色に変更されている。
【0075】
図14は、船上ビューの表示手順を示すフローチャートである。本フローチャートにより示される処理は、表示制御部8が処理情報記憶部103の記憶媒体に格納されている処理プログラムを実行することにより実現される。
【0076】
図14において、単体魚観察画面9bに対して、船上ビューによる表示座標が設定され、画面表示(基本画面表示)が行われる(ステップS81)。具体的には、送受波器1に相当する中心O、指向角を示す円周、船の前後左右を示す線分が表示され、この画面内に、魚情報記憶部101に記憶されている、深度範囲、魚体長寸法範囲、遊泳ベクトルの大きさ(スカラ成分)毎に対応した単体魚の第1のマーク画像である円形画像、第2のマーク画像である線分画像が読み出されて表示される。なお、第2のマーク画像である線分画像は、一端が、第1のマーク画像である円形画像の位置に一致して設定され、線分の部分が遊泳ベクトルの方向と一致する方向となるように設定されている。
【0077】
次いで、深度範囲指定の有無が判断される(ステップS83)。深度範囲の指定があれば、指定された深度範囲内に含まれる単体魚の第1、第2のマーク画像のみが、他の深度範囲の単体魚と識別可能な特別色に変更される(ステップS85)。一方、深度範囲の指定がなければ、ステップS85をスルーする。次いで、魚体長の寸法範囲の指定の有無が判断される(ステップS87)。寸法範囲の指定があれば、指定された寸法範囲内に含まれる単体魚の第1、第2のマーク画像のみが、他の深度範囲の単体魚と識別可能な特別色(ステップS85と同一色でもよい。)に変更される(ステップS89)。一方、寸法範囲の指定がなければ、ステップS89をスルーする。
【0078】
次いで、基本画面表示の指定の有無が判断され(ステップS91)。基本画面表示が指定されたのであれば、ステップS81に戻って基本表示画面の表示が実行される。そうでなければ、ステップS93に進んで、表示モードの切替指示の有無が判断され、ここで、表示モードの切替指示がなければ、ステップS83に戻って、新たな深度範囲、寸法範囲についての指示の有無が判断され、一方、表示モードの切替指示があれば、本フローを抜ける。
【0079】
図15は、単体魚観察画面9bに表示される水中ビューの表示を説明するための図であり、図15(a)は、基本表示画面、図15(b)は、魚体長の寸法範囲が指定された場合の画面である。
【0080】
図15(a)において、基本表示画面は、横軸が船尾−船首方向、縦軸が深度である。深度範囲毎の深度補助スケールL0が表示されている。円C1内の各座標は単体魚の受信方位のうちの船首−船首方向と深度とによって規定される。画面内の座標に位置付けられる単体魚は、その単体魚画像92を構成する第1のマーク92a、第2のマーク92bによって表示される。単体魚画像92は単体魚の数だけ表示される。各単体魚画像を構成する第1、第2のマークは、図12で示した表示用マークの設定手順に従って決定されている。また、表示される単体魚の深度、寸法をガイドする表示は画像の外側適所に表示されている。
【0081】
図15(b)は、図15(a)において、操作部11によって、魚体長として寸法範囲40cm以上が指定された場合を想定した画面である。この場合、指定された寸法範囲40cmに含まれる全ての単体魚の単体魚画像92を構成する第1のマーク92a、第2のマーク92bは、指定寸法範囲外の単体魚画像の色とは識別可能な特別な色に変更される。例えば、基本表示画面で単体魚画像が無彩色の濃淡で表示されている場合に、所定の有彩色(赤色等)に変更される。指定範囲を視認可能にするべく、該当するガイドも特定色に変更されている。なお、表示画像の座標系は、送受波部1が4チャンネルCH1〜CH4によって前後及び左右方向の受信方位を検出し得ることから、横軸については、左舷−右舷としてもよい。
【0082】
図16は、単体魚観察画面9bに表示される3Dビューの表示を説明するための図である。3Dビューは、鳥瞰図的な表示画像で、船を模擬した画像(あるいは送受波器1を模擬した画像)SPから真下へ鉛直線画像Dが表示され、その下端に仮想的な水底を表す水底面画像Bfが表示されている。鉛直線画像Dには、深度レンジに応じて設定されるそれぞれの深度範囲を示す目盛Dmが表示されている。また、水底面画像Bfの表面には、船首船尾方向、左舷右舷方向を示すカーソルCu1,Cu2が表示されている。
【0083】
3Dビューでは、単体魚の関する情報は深度範囲毎に表示が行われる。すなわち、深度範囲毎に、当該深度範囲に存在する全ての単体魚について、データ演算部7によって、その遊泳ベクトル、魚体長が平均化処理され、次に、表示制御部8によって、所定のマーク、ここでは矢印マーク93に変換されて表示される。矢印マーク93は、基点が鉛直線画像Dに接し、そこから径方向に向けられている。また、水底面画像Bf上には、深度範囲毎の矢印マーク93が投影されて表示されている。なお、矢印マーク93は、船首船尾、左舷右舷の4方向に対して、異なる色を付すことで、方向を識別可能に表現する態様としてもよい。
【0084】
図17は、3D表示手順を示すフローチャートである。本フローチャートにより示される処理は、表示制御部8が処理情報記憶部103の記憶媒体に格納されている処理プログラムを実行することにより実現される。
【0085】
図17において、まず、深度範囲毎に、当該深度範囲に含まれる単体魚の魚体長情報が読み出され、その平均値の算出が行われる。算出された魚体長平均値は、予め設定されている矢印マーク93の線分の太さに変換される(ステップS101)。次いで、深度範囲毎に、当該深度範囲に含まれる単体魚の遊泳ベクトル情報が読み出され、その平均値(遊泳速度、遊泳方向)の算出が行われる。算出された遊泳ベクトル平均値は、予め設定されている矢印マーク93の線分の長さ、方向に変換される(ステップS103)。
【0086】
次いで、鉛直線画像D上であって、対応する深度範囲の中間位置に、変換された矢印マーク93の割り付けが行われる(ステップS105)。さらに、水底面画像Bfに各矢印マーク93の投影画が表示される(ステップS107)。
【0087】
なお、矢印マーク93は、水平面に限定されず、遊泳ベクトルの深度方向の向きを考慮して深度方向の成分を反映して表示してもよい。また、矢印マーク93の線分の太さを第1のマークとして扱い、線分長さを第2のマークとして扱うことで、図9の単体魚画像92と同様に扱うことができる。
【0088】
なお、本発明は、以下の態様も採用可能である。
【0089】
(1)受信信号処理部5、単体分離部6、データ演算部7及び表示制御部8は、ハードウエア回路で構成してもよい。
【0090】
(2)前記実施形態においては、マッチドフィルタを用いて相関処理を行う例を挙げたが、マッチドフィルタ以外の手段を用いて相関処理を行うようにしてもよい。
【0091】
(3)前記実施形態においては、FM信号として、周波数が時間ととともに漸減する信号を用いたが、周波数が時間と共に漸増する信号を用いてもよい。また、中心周波数及び周波数のチャープ範囲も、適宜設定することが可能である。
【0092】
(4)前記実施形態ではFM信号を用いたが、これに代えて、FM変調しない短パルスのバースト波を用いることも可能である。この場合、マッチドフィルタ等が省略でき、構成が簡素化される。
【0093】
(5)本実施形態では、魚体長を求めて第1のマーク92aとして表示したが、反射強度TSに応じて第1のマーク92aを表示する態様としてもよい。また、遊泳状況を把握する場合では、第2のマーク92bを表示すればよく、第1のマーク92aを表示しない態様であってもよい。
【0094】
(6)送受波器1の指向幅は7°に限定されず、5,6°から所定範囲まで、例えば15°程度までの所定角度であってもよい。送受波器1は複数の振動子を束ねて構成されるが、その数が大きくなるに従って送信パワーが増大し、かつ指向幅も狭くなる。従って、一般的には、探知可能な深度を設定することで、指向幅も決まってくる。
【0095】
(7)第1のマークは円に限定されず、種々の図形が採用可能である。また、魚体長の寸法範囲に応じて、形状を段階的に変更する他の表現態様が採用可能である。また、第2のマークは、遊泳速度に応じた(又は比例した)線分の長さに限定されず、他の種々の表現態様が採用可能である。この第2のマークは遊泳ベクトルの算出結果から得る方法でもよいが、前回と今回の受信により得られる2箇所の位置情報に対して、単に両位置を結ぶ線分を表示する態様としてもよい。このようにすれば、ベクトル演算処理が簡易化される。
【0096】
(8)計測結果の表示態様として、各種の表示モード(ビュー)に代えて、魚の移動方位と魚量との関係を示す態様を採用してもよい。例えば、探知深度範囲内の計測結果から、所定方位範囲内に含まれる単体魚を1つの代表する移動方位に割り当て、かかる割り当て作業を全ての単体魚について行うことで、各移動方位毎の単体魚数が得られる。例えば、+π〜−πを所定角度毎、例えば45度毎に区分けし、各中間方位を代表の移動方位として、0°(船首方位)、±45°、±90°、±135°、±π(船尾方位)毎に算出する。表示方法は、横軸に0°を中心にした方位を、縦軸に単体魚数を設定したグラフとし、このグラフ上の対応座標位置に計測結果をプロットし、乃至は棒グラフあるいは折れ線グラフ等の公知の方法で表現すればよい。これにより、自船の周囲で、魚群の大まかな移動方位を把握することが可能となる。なお、深度方向については、全範囲とせず、「浅」、「中」、「深」のような所定深度毎に区切って、それぞれ異なる色でグラフ表示するようにしてもよい。また、単体魚それぞれに魚体長を加味して、すなわち魚体長に応じた重み係数を設定することで単体魚を魚量として換算計測することで、魚量と移動方位とを実質的に表示するようにしてもよい。
【0097】
(9)図18は、3Dビューの他の態様を示す図である。図18は自船の更に斜め上方から俯瞰した図であり、探知深度範囲に対応したスケールの3次元空間枠94が表示されている。この3次元空間枠94の各軸(X,Y,Z)には単位距離スケールが併記されている。また、3次元空間枠94の上面中央には自船に相当位置が設定され、この自船位置から水底に向けて鉛直線を表示し、かつ指向角に応じた角度で、自船位置から船首、船尾、右舷及び左舷の各方向に水底に延びる斜線を表示している。例えば、船首−船尾方向がX軸に設定されてもよい。そして、この3次元空間の座標に対応して、計測された単体魚を第1のマーク92aと第2のマーク92bとで構成される単体魚画像92として表示すればよい。
【符号の説明】
【0098】
1 送受波器
CH1〜CH4 チャンネル
21〜24 送受信部
4 演算処理部
5 受信信号処理部(検出手段)
6 受信方位検出部(検出手段)
7 データ演算部(平均値算出手段)
71 連結処理部(連結手段)
72 遊泳ベクトル算出部(遊泳ベクトル算出手段)
73 指向特性修正係数算出部
74 魚姿勢修正係数算出部
75 魚体長算出部(魚体長検出手段)
8 表示制御部(画像表示制御手段)
81 表示画像作成部
82 表示モード設定部
83 深度範囲指定処理部
84 寸法範囲指定処理部
9 表示部
10 記憶部
101 魚情報記憶部
102 指向特性情報記憶部
103 処理情報記憶部
11 操作部
92 単体魚画像
92a 第1のマーク
92b 第2のマーク
93 矢印マーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のビーム幅を有する超音波信号を周期的に水中に送信すると共に水中を遊泳する探知対象物で反射した信号を受信し、受信信号から探知対象物に関する情報を生成し、表示部に表示する水中探知装置及び水中探知画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水産資源量の調査のため、魚単体の体長を探知し、検知結果を表示器に表示する計量魚群探知機が知られている。特許文献1には、この種の計量魚群探知機が記載されている。この計量魚群探知機は、送受波器から送波された超音波の音圧レベルと、魚で反射して帰来するエコーの音圧レベルとの比、すなわち反射強度TS(Target Strength)を求め、得られた反射強度TSから魚の体長を計算する。反射強度TSと魚体長Lとの間には、TS=20logL+20logA(A:信号周波数と魚種により決まる係数)との関係が成立することが知られている。計量魚群探知機で得られた魚単体の魚体長L情報は、所定の寸法範囲毎のヒストグラムの形で、いわゆる魚探画像が表示されるメイン表示領域に隣接して設けられたサブ表示領域に表示され、これにより計量値が視認可能にされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−249398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、魚単体の計量対象数と計量結果である魚体長とを所定のグラフで表示するものであり、かつメイン表示領域の魚探画像に魚単体のマークを表示することで、各魚単体の体長と深度、水中分布との関連(引用文献1の図5(B),(C)参照)が、おおよそ視認可能にされている。しかしながら、特許文献1は、あくまで計量観測という観点から魚体長及び数量を算出し、その結果をサブ表示領域にグラフ表示したものに過ぎず、グラフ表示で不足している情報については、メイン表示領域の魚探画像の表示内容を補足するようにしている。このように特許文献1には、遊泳状態の魚単体を観測するという観点はなく、そのための構成に関しても一切記載されていない。
【0005】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、魚単体等の水中を遊泳する探知対象物の遊泳状況を観測容易にする水中探知装置及び水中探知画像表示方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、所定のビーム幅を有する超音波信号を周期的に水中に送信すると共に水中を遊泳する探知対象物で反射した信号を受信し、受信信号から探知対象物に関する情報を生成し、表示部に表示する水中探知装置において、前記受信信号から探知対象物及びその位置を周期的に検出する検出手段と、前記検出手段によって周期的に検出された探知対象物及びその位置の情報から、同一の探知対象物を関連付ける連結手段と、前記連結手段によって連結された探知対象物について、探知対象物の位置の変化に対応した変位マークを対応付け、前記表示部に表示される少なくとも2次元の位置座標上の当該探知対象物の検出位置に表示する画像表示制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項16記載の発明は、所定のビーム幅を有する超音波信号を周期的に水中に送信すると共に水中を遊泳する探知対象物で反射した信号を受信し、受信信号から探知対象物に関する情報を生成し、表示部に表示する水中探知画像表示方法において、前記受信信号から探知対象物及びその位置を周期的に検出する検出行程と、前記検出行程によって周期的に検出された探知対象物及びその位置の情報から、同一の探知対象物を関連付ける連結行程と、前記連結行程によって連結された探知対象物について、探知対象物の位置の変化に対応した変位マークを対応付け、前記表示部に表示される少なくとも2次元の位置座標上の当該探知対象物の検出位置に表示する画像表示制御行程とを有するものである。
【0008】
これらの発明によれば、所定のビーム幅を有する超音波信号が、周期的に水中に送信され、水中を遊泳する魚や小動物等の探知対象物で反射して受信される。受信信号から探知対象物及びその位置が周期的に検出され、検出された探知対象物及びその位置の情報から、同一の探知対象物について関連付けが、すなわち連結処理が実行される。さらに、連結された探知対象物について、当該探知対象物の位置の変化に対応した変位マークが対応付けされる。一方、前記表示部には、少なくとも2次元の位置座標で画面表示がなされており、この画面上であって前記探知対象物の検出位置に対応して変位マークが表示される。このように、探知対象物に対応する変位マークが、送信毎の検出位置に対応して表示される結果、送信毎に変位マークの表示状況を観察することで、対応する探知対象物の遊泳状況を容易に観測することが可能となる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の水中探知装置において、前記連結手段は、検出位置及び送信周期から得られる位置変化の速度が所定値以上の探知対象物を連結対象から除外することを特徴とする。この構成によれば、検出位置及び送信周期から単体魚等の探知対象物の遊泳速度が算出され、この算出された遊泳速度が所定値以上の場合、連結対象から除外されるので、探知対象物の同一性の精度が向上する。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の水中探知装置において、前記連結手段は、連続する2回の送信によって検出された位置に基づいて姿勢角度が所定値以上の探知対象物を連結対象から除外することを特徴とする。この構成によれば、連続する2回の送信によって単体魚等の探知対象物の位置が検出され、この検出結果に基づいて探知対象物の鉛直方向の傾斜の姿勢角度が算出される。そして、算出された姿勢角度が所定値以上の場合、連結対象から除外されるので、探知対象物の同一性の精度が向上する。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の水中探知装置において、前記検出手段によって検出された探知対象物の受信信号から探知対象物の計量情報を算出する算出手段と、画像表示制御手段は、前記連結手段によって連結された前記探知対象物について、当該探知対象物の計量情報に対応した計量マークを対応付け、前記表示部に表示される少なくとも2次元の位置座標上の当該探知対象物の検出位置に、前記変位マークと関連付けて表示するようにしたことを特徴とする。この構成によれば、探知対象物の受信信号から魚体長等の探知対象物の計量情報が算出される。そして、連結された探知対象物について、探知対象物の計量情報に対応した計量マーク及び変位マークが対応付けされる。一方、前記表示部には、少なくとも2次元の位置座標で画面表示がなされており、この画面上であって前記探知対象物の検出に対応して計量マーク、変位マークが表示される。このように、探知対象物の検出に対応して計量マーク、変位マークが、送信毎の検出位置に対応して表示される結果、送信毎に計量マーク、変位マークの表示状況を観察することで、対応する探知対象物の長さ等の計量情報の他、遊泳状況も容易に観測することが可能となる。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項4に記載の水中探知装置において、前記算出手段は、前記計量情報として前記探知対象物の長さに関する情報を算出するものであることを特徴とする。この構成によれば、単体魚や小動物等である探知対象物の長さ寸法、及び遊泳状況が容易に観測可能となる。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項5に記載の水中探知装置において、前記画像表示制御手段は、前記探知対象物の長さに関する情報に応じて前記計量マークの大きさを異ならせるものである。この構成によれば、計量マークを観察することで、探知対象物の長さ寸法、例えば単体魚の体長が視認容易となる。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項4〜6のいずれかに記載の水中探知装置において、前記画像表示制御手段は、最新の受信信号から得られた位置に前記計量マークを表示するものである。この構成によれば、計量マークを観察することで、対応する単体魚の最新位置が視認容易となる。
【0015】
請求項8記載の発明は、請求項7に記載の水中探知装置において、前記画像表示制御手段は、前記計量マークから、前回の受信信号で得られた位置に向けて前記位置の変化に対応した長さを有する線分を前記変位マークとして表示するものである。この構成によれば、変位マークを観察することで、対応する単体魚の遊泳速度が視認容易となる。
【0016】
請求項9記載の発明は、請求項5又は6に記載の水中探知装置において、前記算出手段は、前記受信信号の反射強度から前記探知対象物の長さを算出するものであって、連続する2回の超音波信号の送信を受けて姿勢角度を算出し、姿勢角度を用いて前記反射強度を補正するものである。この構成によれば、探知対象物の鉛直方向に傾斜した姿勢角度によって探知対象物の受信信号の反射強度が補正されるため、探知対象物の長さが精度良く算出される。
【0017】
請求項10記載の発明は、請求項4〜9のいずれかに記載の水中探知装置において、前記画像表示制御手段は、探知範囲が分割された深度範囲毎に少なくとも前記計量マークの表示色を異ならせることを特徴とする。この構成によれば、探知対象物が表示される2次元座標上に深度軸がない場合に、深度範囲毎に異なる色で各単体魚が表示されることで、探知対象物を3次元的に観察することが可能となる。
【0018】
請求項11記載の発明は、請求項10に記載の水中探知装置において、深度範囲を選択する深度範囲選択操作部を備え、前記画像表示制御手段は、選択された前記深度範囲内に含まれる探知対象物の前記計量マーク及び前記変位マークの少なくとも一方のマークの表示色を特定色に変更することを特徴とする。この構成によれば、選択した深度範囲の探知対象物が特定色で表示されるので、観測を希望する探知対象物の深度情報が容易に視認可能となる。
【0019】
請求項12記載の発明は、請求項5に記載の水中探知装置において、前記探知対象物の長さの寸法範囲を選択する寸法範囲選択操作部を備え、前記画像表示制御手段は、選択された前記寸法範囲内に含まれる探知対象物の少なくとも計量マークの表示色を特定色に変更することを特徴とする。この構成によれば、観測を希望する探知対象物が特定色に変更されるので、その体長の情報が容易に視認可能となる。
【0020】
請求項13記載の発明は、請求項1〜12のいずれかに記載の水中探知装置において、前記画像表示制御手段は、前記表示部の適所であって中心から径方向に鉛直線からの距離が表記される船上ビューの表示モードと、前記表示部の適所であって上部から下方に探知距離が表記される水中ビューの表示モードとを選択的に表示することを特徴とする。この構成によれば、船上ビューの表示モードと水中ビューの表示モードとが選択的に表示可能となるので、種々の態様で単体魚の遊泳状況の観察が可能となる。
【0021】
請求項14記載の発明は、請求項1〜13のいずれかに記載の水中探知装置において、前記画像表示制御手段は、3次元ビューの表示モードを選択的に表示するものである。この構成によれば、3次元ビューによって探知対象物の遊泳状況が一層視認容易となる。
【0022】
請求項15記載の発明は、請求項14に記載の水中探知装置において、前記深度範囲毎の探知対象物の長さの平均値及び変位分の平均値を算出する平均値算出手段を備え、前記画像表示制御手段は、前記探知対象物の長さの平均値及び変位分の平均値を、前記3次元ビューの深度範囲に対応させて表示すると共に仮想的な水底面に投影して表示するものである。この構成によれば、深度範囲毎に平均化された情報が表示され、必要以上に多数の探知対象物が画面に混雑して表示されることがないので、観測が容易となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、単体魚に対応する変位マークが、送信毎の検出位置に対応して表示される結果、送信毎に変位マークの表示状況を観察することで、単体魚等の探知対象物の遊泳状況も容易に観測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る水中探知装置が適用される計量魚群探知機の一実施形態を示す回路構成図である。
【図2】データ演算部及び表示制御部の機能ブロック図である。
【図3】送信信号、受信信号及び相関処理出力信号の各波形図の一例である。
【図4】マッチドフィルタを用いた相関処理の原理を説明する図である。
【図5】受信手順を示すフローチャートである。
【図6】(a)は、平滑フィルタ処理後の出力データの一例を示す波形図であり、(b)は、さらに微分処理を施した後の波形図である。
【図7】受信方位検出部によって行われれる、スプリットビームを用いたSSBL(Super short base line)法による受信方位の検出原理を説明する図である。
【図8】計量解析手順を示すフローチャートである。
【図9】表示部の画面に表示される画像の一例を示す図である。
【図10】表示モード選択手順を示すフローチャートである。
【図11】船上ビューの表示方式を説明するための概略図である。
【図12】単体魚に対応する表示用マークの設定手順を示すフローチャートである。
【図13】単体魚観察画面に表示される船上ビューの表示を説明するための図であり、(a)は、基本表示画面、(b)は、深度範囲が指定された場合の画面、(c)は、魚体長の寸法範囲が指定された場合の画面である。
【図14】船上ビューの表示手順を示すフローチャートである。
【図15】単体魚観察画面に表示される水中ビューの表示を説明するための図であり、(a)は、基本表示画面、(b)は、魚体長の寸法範囲が指定された場合の画面である。
【図16】単体魚観察画面に表示される3Dビューの表示を説明するための図である。
【図17】3D表示手順を示すフローチャートである。
【図18】3Dビューの他の態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明に係る水中探知装置が適用される計量魚群探知機100の一実施形態を示す回路構成図である。図1において、送受波器1は、船舶の船底等に固定配備され、超音波を水中に送信し、ターゲットである、水中を遊泳する魚や小動物(探知対象物)で反射した信号を受信するものである。受信結果は、信号線を介して船内等に配置された表示部9に表示される。以下では、魚を例にして説明する。
【0026】
送受波器1は、図では示していないが、所要数の振動子が束状に一体化され、かつ各振動子の振動面が面一状で配列されている。送受波器1は、送波面が周方向に4分割され、各分割面がチャンネルCH1〜CH4とされ、かつそれぞれ共通の指向特性、特に所定の指向幅、例えば7°の指向幅を有している。送受波器1は、ターゲットである魚Fiで反射して帰来する超音波のエコーを各チャンネルCH1〜CH4で受信する。
【0027】
各チャンネルCH1〜CH4と船舶方位との関係は、チャンネルCH1とCH4とが船首(fore)側であり、チャンネルCH2とCH3とが船尾(aft)側であり、さらに、チャンネルCH1とCH2とが右舷(starboard)側であり、チャンネルCH3とCH4とが左舷(port)側である。送受波器1は、探知パルスである超音波信号の送信時には、全てのチャンネルCH1〜CH4の振動子から超音波を同位相で送信し、エコーの受信時には、チャンネルCH1,CH4の組と、チャンネルCH2,CH3の組とにより、及びチャンネルCH1,CH2の組と、チャンネルCH3,CH4の組とにより、指向幅内において船首−船尾方向、及び右舷−左舷方向からのエコーを受信可能にする。
【0028】
送受信部21〜24は、送受波器1のチャンネルCH1〜CH4の各振動子に対応して接続されている。送受信部21〜24は、FM送信波形生成部3で生成された送信信号を送受波器1のチャンネルCH1〜CH4の各振動子に供給する送信回路と、各振動子で受信されたエコー信号に対して増幅等の処理を行う受信回路と、送信と受信の動作を切り換える送受信切換回路とを備えている。
【0029】
FM送信波形生成部3は、送信信号として用いるFM(周波数変調)信号の波形を生成するブロックである。FM送信波形生成部3は、所定の送信時間幅、例えば数十μ秒を有し、その期間内で周波数を所定の範囲内でチャープさせるものである。本実施形態では、中心周波数が100KHzで、低周波側が70KHz、高周波側が130KHzであり、低周波から高周波に向けてチャープを行う。
【0030】
演算処理部4は、例えばマイクロコンピュタで構成され、所定の図略の記憶部に記録されている制御プログラムを実行することによって、受信信号処理部5、受信方位検出部6、データ演算部7及び表示制御部8として機能する。受信信号処理部5は、送受波器1で受信された受信信号を予め定められた基準信号と比較することにより相関処理を行い、受信信号を高い距離分解能で抽出する相関処理機能部と、抽出された受信信号中から単体魚を分離抽出する単体魚分離抽出機能部とを備えている。この単体魚分離抽出機能部は、併せて分離抽出した単体魚の深度情報を算出する。なお、深度とは、送受波器1の送波面あるいは水面を基準にして鉛直方向へ向かう距離である。従って、送信から受信までの時間に対応する距離情報が受信方位によって修正されることで深度に換算される。例えば受信方位が鉛直方向の場合、距離情報はそのまま深度情報となる。受信方位検出部6は、受信信号処理部5によって抽出された単体魚の各チャンネルCH1〜CH4の受信信号から受信方位を検出するものである。
【0031】
データ演算部7は、受信信号処理部5の単体魚分離抽出機能部及び受信方位検出部6で検出された単体魚の経時方向における連結処理と、反射強度を魚体長に換算(算出)する処理とを行うものである。表示制御部8は、表示部9に表示する画像データを生成すると共に、操作部11からの操作に応じた表示制御を行うものである。データ演算部7及び表示制御部8の詳細は、図2を用いて後述する。
【0032】
計量魚群探知機100は、所定の筐体を有し、筐体には表示面が露出するようにして表示部9が設けられている。表示部9は、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等からなり、1画面分のビデオRAM等を備える。操作部11は、計量魚群探知機100の筐体適所あるいは表示部9の表示面に積層されたタッチパネル等の透明な感圧センサで構成されたものである。操作部11は、探知及び表示に関する種々の指示を行うものである。なお、FM送信波形生成部3の一部をソフトウエアで構成し、FM信号をデジタル的に生成し、図略の電力増幅回路部へ出力する態様としてもよい。
【0033】
次に、図3〜図7を用いて、計量魚群探知機100によって受信されたターゲットの単体魚の検出、その受信方位及び距離(深度)、すなわち送受波器1に対する3次元位置の検出について説明する。FM送信波形生成部3は、図3(a)に示したような送信信号Txの波形を生成して送受信部21〜24へ出力する。この送信信号Txは、周波数変調された正弦波バースト信号からなる時間幅T1のパルスで、前述したように、時間幅T1の間で、周波数130KHzから70KHzまで連続的に変化する(時間とともに周波数が漸減する)。送受波器1の各振動子はこの信号により励振され、図3(a)と同じ波形の超音波信号S1を水中に送信する。
【0034】
水中に送信された超音波信号S1のパルスがターゲットである魚Fiで反射し、エコーS2として帰って来ると、このエコーS2は送受波器1で受信され、送受信部21〜24へ送られる。このときの受信信号Rxの波形は、図3(b)のように、基本的に図3(a)に示した送信信号Txと同じ波形である。但し、実際には水中の浮遊物からのエコーやプロペラノイズ等の影響により、受信信号には多くのノイズが含まれ、図3(b)のような理想的な波形にはならないが、ここでは便宜上、受信信号と送信信号とを同じ波形として扱う。
【0035】
受信信号処理部5は、マッチドフィルタ(Matched Filter)を備えている。図4(a)は、マッチドフィルタを用いた相関処理の原理を説明する図である。図4(a)の基準信号Txは、ここでは時間とともに周波数が低くなるチャープ信号となっている。この基準信号Txの波形データは、あらかじめメモリ(図示省略)に記憶されている。図4(b)は基準信号Txと比較される信号であって、具体的には送受信部21〜24から出力される受信信号Rx、すなわち受信信号処理部5の入力信号である。
【0036】
相関処理においては、基準信号Txと受信信号Rxとの位相を少しずつずらしながら、各時点での受信信号Rxのレベルと基準信号Txのレベルとの乗算とその積の和算の演算(積和演算)を行う。図4(a)は、ある時点での積和演算の様子を示しており、所定のサンプリング間隔で受信信号Rxのレベル値と基準信号Txのレベル値との乗算を行い、その積X1,X2,…Xnをサンプリング区間にわたって加算する。そして、この加算値X1+X2+…+Xnの値を相関出力とする。図4(b)は、別の時点における積和演算の様子を示しており、この場合も、所定のサンプリング間隔で受信信号Rxのレベル値と基準信号Txのレベル値との乗算を行い、その積Y1,Y2,…Ynをサンプリング区間にわたって加算する。そして、この加算値Y1+Y2+…+Ynの値を相関出力とする。
【0037】
受信信号処理部5は、受信信号Rxと基準信号Txとの一致度に応じたレベルの信号を出力する。一致度が大きくなるほど出力信号のレベルは大きくなり、一致度が小さくなるほど出力信号のレベルは小さくなる。図4(a)の場合は、基準信号Txと受信信号Rxとの位相の一致度が低いため、相関出力の値は小さくなるが、図4(b)の場合は、基準信号Txと受信信号Rxとの位相が一致しているため、相関出力の値は最大となる。こうして、相関処理によれば、積和演算によって信号のレベル情報だけでなく位相情報も取り込んで信号の検出を行うため、レベルのみに基づいて信号検出を行う場合に比べて、信号の検出精度を高めることができる。
【0038】
以上のような相関処理を行うことにより、マッチドフィルタからは、図3(c)に示したような、基準信号Txに対応した受信信号Rxoが取り出される。この受信信号Rxoは、送信信号Txと同様のバースト信号であるが、基準信号Txと同じ帯域(例えば100KHz近傍)の信号のみからなり、それ以外の帯域の信号はカットされている。すなわち、受信信号Rxoのパルス幅T2は、送信信号Txのパルス幅T1よりも短い。こうして、マッチドフィルタによる相関処理の結果、受信信号処理部5から出力される受信信号Rxoはパルス圧縮されているため、エコーの分解能が向上し、次に述べる単体魚分離抽出機能部において単体魚を精度良く分離することができる。なお、図3に示したマッチドフィルタの出力信号Rxoは、実際には、T2以外の区間で、T1と同じ区間にわたって非常に微小なレベルの信号を含んでいるが、この信号は実用上無視できるため、事実上パルス幅がT1からT2に圧縮されたとみなして差し支えない。
【0039】
なお、図3においては、FM送信信号のレベルを時間幅T1に亘って一定としたが、適当な窓関数、例えばハニング窓を用いてエンベロープ処理を施すことにより、受信信号に与えるサイドローブの影響を抑制することができる。
【0040】
次いで、単体魚分離抽出機能部は受信信号Rxoを解析して、単体魚の分離抽出処理を実行する。この原理を図5、図6により説明する。
【0041】
図5は、受信手順を示すフローチャートである。本フローチャートにより示される処理は、演算処理部4が処理情報記憶部103の記憶媒体に格納されている処理プログラムを実行することにより実現される。
【0042】
図5において、パルス復元処理によって、受信信号Rxoが抽出され(ステップS1)次いで、検波処理によって、受信信号Rxoが検波される(ステップS3)。すなわち、受信信号Rxoに対して直交検波が施されて4チャンネルCH1〜4分のデータ(実成分Iと虚成分Qとからなる複素データ)が生成される。次いで、検波処理によって生成された複素データが、同期加算処理によってデータ演算用(方位角推定用)データと単体検出用データとに分岐されると共に、この単体検出用データについて各チャンネルCH1〜4の振幅が求められて加算が施される(ステップS5)。なお、同期加算処理は、単体検出用データについて各チャンネルCH1〜4の信号を加算してから振幅を求めるようにしてもよい。次いで、同期加算処理によって得られたデータが、平滑フィルタ処理によって平滑してノイズが除去される(ステップS7)。
【0043】
図6(a)は、平滑フィルタ処理後の出力データの一例を示す波形図であり、図6(b)は、さらに微分処理を施した後の波形図である。ステップS9では、平滑フィルタ処理後の出力データにさらに微分処理が施され、この微分処理された信号についてゼロに近いタイミング(ゼロクロスタイミング、すなわち時刻あるいは換算後の位相)が求められ、このタイミングにおける4チャンネルCH1〜CH4分のデータ演算用データが単体魚データとして抽出される。抽出された単体魚データは魚情報記憶部101に記憶される(ステップS11)。
【0044】
図7は、受信方位検出部6によって行われれる、スプリットビームを用いたSSBL(Super short base line)法による受信方位の検出原理を説明する図である。検出原理としては、時間差による検出方法と位相差による検出方法とがある。いずれの場合にも、船首(fore)側のチャンネルCH1とCH4の振動子での受信信号を加算(CH1+CH4)し、船尾(aft)側のチャンネルCH2とCH3の振動子での受信信号を加算(CH2+CH3)し、右舷(starboard)側のチャンネルCH1とCH2の振動子での受信信号を加算(CH1+CH2)し、左舷(port)側のチャンネルCH3とCH4の振動子での受信信号を加算(CH3+CH4)する。次いで、時間差を用いる場合には、受信信号の船首−船尾方向における到達時間差Δx、右舷−左舷方向における到達時間差Δyは、各チャンネルCH1〜CH4の船首−船尾方向及び右舷−左舷方向における重心間距離d、水中音速c、鉛直方向に対する仰角θ、船首方向に対する振れ角φとしたとき、(1)式が成立し、その結果、(2)式によって到来角θ、φが求まる。
【0045】
【数1】
【0046】
【数2】
【0047】
同様に、位相差を用いる場合には、受信信号の船首−船尾方向におけるδx、受信信号の右舷−左舷方向におけるδyについて(3)式が成立し、その結果、(4)式によって位置角θ、φが求まる。
【0048】
【数3】
【0049】
【数4】
【0050】
以上により、360°方向に対する到来角(受信方位)が算出される。かかる受信方位の算出処理は、探知レンジ内から抽出された単体魚データの全てに対して行われる。算出された受信方位情報は、抽出された単体魚データと対にされて記憶部10(図2参照)に、単体魚毎の魚情報(受信方位、距離、受信信号強度等)として順次記憶される。算出された受信方位情報は、後述するように送受波器1の指向特性に基づく受信信号のレベルを補正するため等に使用される。なお、送受信部21〜24では、受信信号に対してフィルタリングや増幅等の処理が行われる。
【0051】
図2は、データ演算部7及び表示制御部8の機能ブロック図である。データ演算部7は、連結処理部71、遊泳ベクトル算出部72、指向特性修正係数算出部73、魚姿勢修正係数算出部74及び魚体長算出部75を備える。記憶部10は、各種の処理データを記憶するものである。記憶部10は、単体魚毎の受信方位と深度とからなる(3次元位置)情報の他、魚体長情報(計量情報の一例)及び遊泳ベクトル情報である魚情報を、前回送信分と今回送信分の2回分を少なくとも交互に記憶するRAM等の魚情報記憶部101と、ROM等からなり、送受波器1の指向特性情報を記憶する指向特性情報記憶部102や各種処理に必要な演算式(演算結果テーブル)、処理プログラム、後述する画像表示のためのマーク等を含む各種画像情報を記憶する処理情報記憶部103とを備えている。
【0052】
連結処理部71は、本実施形態では、3次元位置情報に基づく1次連結処理と、さらに魚の動きに基づく2次連結処理とを実行するものである。1次連結処理は、今回の送信で検出された単体魚の3次元位置情報が、前回の送信で検出された単体魚の3次元位置情報の所定の距離範囲に該当する単体魚、乃至は所定の距離範囲内で最接近位置の単体魚を組として連結、例えば連結フラグを立てる等して関連付ける。2次連結処理は、1次連結処理によって組みとされた単体魚の中から、遊泳ベクトル算出部72で算出される情報に基づいて、所定の条件を満たさない組を除外する処理である。所定の条件とは、単体魚の遊泳速度が所定の閾値以上、例えば遊泳速度が秒速で標準的な魚体長の5倍以上となるような場合(送信周期との関係では、遊泳距離と同義)、及び単体魚の深度方向に対する遊泳方向(姿勢角度)が所定の閾値以上に傾斜している場合である。遊泳速度は、前回送信で検出された3次元位置情報と今回送信で検出された3次元位置情報との差分及び送信周期から算出される。深度方向への姿勢角度は、前回送信で検出された深度情報と今回送信で検出された深度情報との差分と、前回送信で検出された水平位置情報と今回送信で検出された水平位置情報との差分との比から算出される。すなわち、かかる条件を超える単体魚を別の単体魚として区別することで、魚の生態に則した単体判定を行うようにしている。なお、遊泳ベクトル算出部72は、前回送信で検出された3次元位置情報と今回送信で検出された3次元位置情報とから遊泳方向を算出し、この方向に対する遊泳速度を算出するものである。
【0053】
また、データ演算部7は、連結処理部71で連結フラグが立てられた単体魚に対し、その送信信号及び受信信号のレベルから、まず反射強度TSを計算し、続いて反射強度TSから魚体長を演算する処理を行う。反射強度TSは、(5)式により算出されることが知られている。
【0054】
TS=20log10(SIG)−G+TVG+Bt(θ)
+Br(θ)−SL−Me−kD (5)
ここに、SIGは単体魚の受信信号のレベル、Gは受信ゲイン、TVGはターゲットまでの距離に応じて変化する可変時間ゲイン、Bt(θ)はターゲット方位による送信指向性の補正項、Br(θ)はターゲット方位による受信指向性の補正項、SLは送信信号のレベル、Meは受波音圧感度、kDは単体魚の姿勢角度による補正項、Dは傾斜角度に関する補正関数、kはその係数である。なお、指向性補正項であるBt(θ)とBr(θ)とは、(6)式により計算され、予め指向特性情報記憶部102に記憶されている。指向特性修正係数算出部73は、前述したSSBL法によって得られた方位情報θから、対応するBt(θ)とBr(θ)とを抽出する。
【0055】
【数5】
なお、(6)式において、J1は1種1次のベッセル関数、aは送受波器1の半径である。また、魚姿勢修正係数算出部74は、反射強度TSの算出に際して、単体魚の姿勢角度による補正項kDを用いるものである。
【0056】
このように、反射強度TSの計算にあたっては、受信信号の位相差から得られるターゲットの方位情報、送受波器1の指向特性情報、姿勢角度等に応じて各種補正された反射強度TSが算出される。そして、反射強度TSが求まると、魚体長算出部75によって、周知である(7)式に示す反射強度TS(Target Strength)と魚体長Lとの間の関係式から魚体長Lが算出される。
【0057】
TS=20logL+20logA (7)
ここに、Aは信号周波数と魚種により決まる係数である。魚種の係数Aは、例えば、海域、深度、時期、水温その他のうちの所要の情報を用いて対応する値(魚種毎、あるいは何通りか分)を予め記憶しておいた記憶部から読み出して(7)式に設定するなどすればよい。
【0058】
図8は、計量解析手順を示すフローチャートである。本フローチャートにより示される処理は、演算処理部4が処理情報記憶部103の記憶媒体に格納されている処理プログラムを実行することにより実現される。
【0059】
図8において、今回の送信で検出された単体魚のそれぞれについて順次、前回の送信で検出された位置情報との比較を行い、所定距離範囲にある単体魚、あるいは所定距離範囲内の最接近距離にある単体魚を同一の単体魚と判断して、1次連結処理が実行される(ステップS21)。次いで、連結された単体魚の、今回及び前回の3次元位置情報及び送信周期情報から、当該単体魚の前回の検知から今回の検知までにおける姿勢角度及び遊泳速度が算出される(ステップS23)。そして、2次連結処理が実行される(ステップS25)。すなわち、姿勢角度及び遊泳速度の一方が所定の条件を満たしていない場合、連結対象から除外され、両方の条件を満たした場合、連結が維持される。
【0060】
続いて、連結された単体魚に対して、魚情報記憶部101の記憶内容から、遊泳ベクトルが算出され(ステップS27)、次いで、受信方位情報が取得される(ステップS29)。さらに、送受波器1の指向特性と対象の単体魚の受信方位、及び対象の単体魚の姿勢角度等から、(5)式によって当該単体魚の反射強度TSが算出され(ステップS31)、次いで、魚体長Lが(7)式によって算出される(ステップS33)。算出された魚体長情報は、魚情報記憶部101の単体魚に対応して記憶される(ステップS35)。
【0061】
次に、表示制御部8は、表示画像作成部81、表示モード設定部82、深度範囲指定処理部83及び寸法範囲指定処理部84を備える。表示画像作成部81は、表示部9の画面に表示する画像を作成するもので、作成した画像をビデオRAMに転送するものである。ビデオRAMの記憶内容は、繰り返し読み出されて表示部9に静止画像として表示される。表示部9は、通常の探知画面を表示するメイン表示領域と、単体魚の動きに関する(観測)情報を各種の表示モードで表示するサブ表示領域を有し、表示画像作成部81は、各表示領域に表示する画像の作成をそれぞれ行う。メイン表示領域は、横軸の送信回数(経時方向)と、縦軸の深度とからなる表示態様であり、受信信号は受信レベルに応じた色で表示される。送信周期毎に、画像全体を所定幅だけ経時方向にスクロールすることで、最新の探知信号がメイン表示領域の所定の先端位置(例えば右端)に表示されるようになっている。
【0062】
表示モード設定部82は、後述するように、複数の表示モードがあり、ユーザによって選択された表示モードによる表示画像に切り替えるものである。深度範囲指定処理部83は、表示中の単体魚のうち、ユーザによって指定された深度範囲に該当する単体魚の画像を他の単体魚の画像と識別する表示を行うものである。深度範囲とは、探知レンジを所定数に分割した各区分をいう。寸法範囲指定処理部84は、表示中の単体魚のうち、ユーザによって指定された魚体長の寸法範囲に該当する単体魚の画像を他の単体魚の画像と識別する表示を行うものである。
【0063】
図9は、表示部の画面に表示される画像の一例を示している。画面は、メイン表示領域であるいわゆる魚探画面9aとサブ表示領域である単体魚観察画面9bで構成されている。魚探画面9aには魚群映像911、単体魚映像912及び水底映像913等の水中映像が表示されている。単体魚観察画面9bには単体魚画像や水深目盛画像等が表示されている。魚群映像911は、密集した魚群から反射した超音波エコーに基づいて得られる映像であって、エコーの強弱に応じた色で区分けして表示されている。単体魚映像912は、分離された単体魚の受信信号に基づき表示される映像であって、エコーの強弱に応じた色で区分けして表示されている。なお、受信信号処理部5の単体魚分離抽出機能部は、基本的に受信信号から単体魚を分離検出する。
【0064】
図10は、表示モード選択手順を示すフローチャートである。本フローチャートにより示される処理は、表示制御部8が処理情報記憶部103の記憶媒体に格納されている処理プログラムを実行することにより実現される。
【0065】
図10において、操作部11から表示モードの切替指示があったか否かの判断が行われ(ステップS41)、切替指示がなければ、本フローを抜ける。一方、切替指示があった場合、現在の表示モードが船上ビューか否かが判断される(ステップS43)。船上ビューである場合、表示モードが水中ビューに切り替えられて(ステップS45)、本フローを抜ける。一方、現在の表示モードが船上ビューでない場合、現在の表示モードが水中ビューか否かの判断が行われる(ステップS47)。水中ビューである場合、表示モードが3Dビューに切り替えられて(ステップS49)、本フローを抜ける。一方、現在の表示モードが水中ビューでない場合(すなわち、3Dビューである場合)、現在の表示モードが船上ビューに切り替えられる(ステップS51)。
【0066】
図11は、船上ビューの表示方式を説明するための概略図である。図11は、送受波器1から鉛直方向に水底90bに向かう所定の指向幅を有する超音波信号を示し、概略的には円錐90aとして表現される。円90b’は水底90bの平面図である。いま、ある深度に魚Fiがいる場合、魚Fiの位置から水底に正射影した位置が魚Fi’の表示位置とされる。従って、中心から径方向に鉛直線からの距離が表記される。なお、図11において、深度方向は所定の深度範囲ずつに区分されている。深度範囲としては、探知レンジに応じて設定され、例えば探知レンジが50mの場合、1/5ずつの10mずつでもよい。また、魚体長も所定の寸法範囲ずつに区分されている。魚体長の寸法範囲としては、10cmずつでもよい。
【0067】
図12は、単体魚に対応する表示用マークの設定手順を示すフローチャートである。本フローチャートにより示される処理は、表示制御部8が処理情報記憶部103の記憶媒体に格納されている処理プログラムを実行することにより実現される。
【0068】
図12において、まず、先頭の、例えば最も浅い深度として検出された単体魚の情報が魚情報記憶部101から読み出される(ステップS61)。次いで、この単体魚の寸法範囲に応じて、識別可能な形態を有する第1のマーク(計量マーク)、例えば、寸法範囲に応じて(魚体長が大きくなるに応じて)半径が大きくなる円形マーク画像が設定される(ステップS63)。次いで、この単体魚の遊泳ベクトルを表示面に対して正射影したベクトルの大きさに比例した長さの線分(第2のマーク;変位マーク)画像が設定される(ステップS65)。なお、線分画像の色は、第1のマークと同一であることが好ましい。次いで、この単体魚の深度範囲に応じて、予め設定されている色、例えば深度が深いほど淡い濃度となる色が第1、第2のマーク画像に設定される。ここでは、第1、第2のマーク画像に決定される色情報としては、無彩色が好ましい。なお、第2のマークは単一の色で表示されてもよい。
【0069】
次いで、次の単体魚の有無が判断され、未設定の単体魚がいれば、ステップS61に戻り、逆に全ての単体魚についての表示用マークの設定が終了すれば、本フローを終了する。設定内容は、単体魚毎に魚情報記憶部101に記憶される。
【0070】
図13は、単体魚観察画面9bに表示される船上ビューの表示を説明するための図であり、図13(a)は、基本表示画面、図13(b)は、深度範囲が指定された場合の画面、図13(c)は、魚体長の寸法範囲が指定された場合の画面である。
【0071】
図13(a)において、基本表示画面は、送受波器1の位置に相当する中心O、中心Oを有する所定半径の円C1、前後左右を示す方向補助スケールL1,L2で構成される。円C1は指向角(方位)に相当している。なお、円C1の半分の角度位置(1/2の半径位置)に、円C2が角度補助スケールとして表示される。船上ビューは、船の前後左右と指向角との座標軸で表示される画面であり、距離(深度)軸はない。従って、円C1内の各座標は単体魚の受信方位によって規定される。
【0072】
円C1内の座標に位置付けられる単体魚は、その単体魚画像92を構成する第1のマーク92a、第2のマーク92bによって表示される。単体魚画像92は単体魚の数だけ表示される。各単体魚画像を構成する第1、第2のマークは、図12で示した表示用マークの設定手順に従って決定されている。また、表示される単体魚の深度、魚体長の寸法をガイドする表示は円C1の外側適所に表示されている。特に深度は、船上ビュー方式では規定できないため、図12の表示用マークの設定手順に従って明確にしている。
【0073】
図13(b)は、図13(a)において、操作部11によって深度範囲20m−30mが指定された場合を想定した画面である。この場合、指定された深度範囲20m−30mに含まれる全ての単体魚の単体魚画像92を構成する第1のマーク92a、第2のマーク92bは、指定深度範囲外の単体魚画像の色とは識別可能な特別な色(特定色)に変更される。例えば、基本表示画面で単体魚画像が無彩色の濃淡で表示されている場合に、所定の有彩色(赤色等)に変更される。
【0074】
図13(c)は、図13(a)において、操作部11によって、魚体長として寸法範囲40cm以上が指定された場合を想定した画面である。この場合、指定された寸法範囲40cmに含まれる全ての単体魚の単体魚画像92を構成する第1のマーク92a、第2のマーク92bは、指定寸法範囲外の単体魚画像の色とは識別可能な特別な色に変更される。例えば、基本表示画面で単体魚画像が無彩色の濃淡で表示されている場合に、所定の有彩色(赤色等)に変更される。なお、図13(b)、図13(c)では、指定範囲を視認可能にするべく、該当するガイドも特定色に変更されている。
【0075】
図14は、船上ビューの表示手順を示すフローチャートである。本フローチャートにより示される処理は、表示制御部8が処理情報記憶部103の記憶媒体に格納されている処理プログラムを実行することにより実現される。
【0076】
図14において、単体魚観察画面9bに対して、船上ビューによる表示座標が設定され、画面表示(基本画面表示)が行われる(ステップS81)。具体的には、送受波器1に相当する中心O、指向角を示す円周、船の前後左右を示す線分が表示され、この画面内に、魚情報記憶部101に記憶されている、深度範囲、魚体長寸法範囲、遊泳ベクトルの大きさ(スカラ成分)毎に対応した単体魚の第1のマーク画像である円形画像、第2のマーク画像である線分画像が読み出されて表示される。なお、第2のマーク画像である線分画像は、一端が、第1のマーク画像である円形画像の位置に一致して設定され、線分の部分が遊泳ベクトルの方向と一致する方向となるように設定されている。
【0077】
次いで、深度範囲指定の有無が判断される(ステップS83)。深度範囲の指定があれば、指定された深度範囲内に含まれる単体魚の第1、第2のマーク画像のみが、他の深度範囲の単体魚と識別可能な特別色に変更される(ステップS85)。一方、深度範囲の指定がなければ、ステップS85をスルーする。次いで、魚体長の寸法範囲の指定の有無が判断される(ステップS87)。寸法範囲の指定があれば、指定された寸法範囲内に含まれる単体魚の第1、第2のマーク画像のみが、他の深度範囲の単体魚と識別可能な特別色(ステップS85と同一色でもよい。)に変更される(ステップS89)。一方、寸法範囲の指定がなければ、ステップS89をスルーする。
【0078】
次いで、基本画面表示の指定の有無が判断され(ステップS91)。基本画面表示が指定されたのであれば、ステップS81に戻って基本表示画面の表示が実行される。そうでなければ、ステップS93に進んで、表示モードの切替指示の有無が判断され、ここで、表示モードの切替指示がなければ、ステップS83に戻って、新たな深度範囲、寸法範囲についての指示の有無が判断され、一方、表示モードの切替指示があれば、本フローを抜ける。
【0079】
図15は、単体魚観察画面9bに表示される水中ビューの表示を説明するための図であり、図15(a)は、基本表示画面、図15(b)は、魚体長の寸法範囲が指定された場合の画面である。
【0080】
図15(a)において、基本表示画面は、横軸が船尾−船首方向、縦軸が深度である。深度範囲毎の深度補助スケールL0が表示されている。円C1内の各座標は単体魚の受信方位のうちの船首−船首方向と深度とによって規定される。画面内の座標に位置付けられる単体魚は、その単体魚画像92を構成する第1のマーク92a、第2のマーク92bによって表示される。単体魚画像92は単体魚の数だけ表示される。各単体魚画像を構成する第1、第2のマークは、図12で示した表示用マークの設定手順に従って決定されている。また、表示される単体魚の深度、寸法をガイドする表示は画像の外側適所に表示されている。
【0081】
図15(b)は、図15(a)において、操作部11によって、魚体長として寸法範囲40cm以上が指定された場合を想定した画面である。この場合、指定された寸法範囲40cmに含まれる全ての単体魚の単体魚画像92を構成する第1のマーク92a、第2のマーク92bは、指定寸法範囲外の単体魚画像の色とは識別可能な特別な色に変更される。例えば、基本表示画面で単体魚画像が無彩色の濃淡で表示されている場合に、所定の有彩色(赤色等)に変更される。指定範囲を視認可能にするべく、該当するガイドも特定色に変更されている。なお、表示画像の座標系は、送受波部1が4チャンネルCH1〜CH4によって前後及び左右方向の受信方位を検出し得ることから、横軸については、左舷−右舷としてもよい。
【0082】
図16は、単体魚観察画面9bに表示される3Dビューの表示を説明するための図である。3Dビューは、鳥瞰図的な表示画像で、船を模擬した画像(あるいは送受波器1を模擬した画像)SPから真下へ鉛直線画像Dが表示され、その下端に仮想的な水底を表す水底面画像Bfが表示されている。鉛直線画像Dには、深度レンジに応じて設定されるそれぞれの深度範囲を示す目盛Dmが表示されている。また、水底面画像Bfの表面には、船首船尾方向、左舷右舷方向を示すカーソルCu1,Cu2が表示されている。
【0083】
3Dビューでは、単体魚の関する情報は深度範囲毎に表示が行われる。すなわち、深度範囲毎に、当該深度範囲に存在する全ての単体魚について、データ演算部7によって、その遊泳ベクトル、魚体長が平均化処理され、次に、表示制御部8によって、所定のマーク、ここでは矢印マーク93に変換されて表示される。矢印マーク93は、基点が鉛直線画像Dに接し、そこから径方向に向けられている。また、水底面画像Bf上には、深度範囲毎の矢印マーク93が投影されて表示されている。なお、矢印マーク93は、船首船尾、左舷右舷の4方向に対して、異なる色を付すことで、方向を識別可能に表現する態様としてもよい。
【0084】
図17は、3D表示手順を示すフローチャートである。本フローチャートにより示される処理は、表示制御部8が処理情報記憶部103の記憶媒体に格納されている処理プログラムを実行することにより実現される。
【0085】
図17において、まず、深度範囲毎に、当該深度範囲に含まれる単体魚の魚体長情報が読み出され、その平均値の算出が行われる。算出された魚体長平均値は、予め設定されている矢印マーク93の線分の太さに変換される(ステップS101)。次いで、深度範囲毎に、当該深度範囲に含まれる単体魚の遊泳ベクトル情報が読み出され、その平均値(遊泳速度、遊泳方向)の算出が行われる。算出された遊泳ベクトル平均値は、予め設定されている矢印マーク93の線分の長さ、方向に変換される(ステップS103)。
【0086】
次いで、鉛直線画像D上であって、対応する深度範囲の中間位置に、変換された矢印マーク93の割り付けが行われる(ステップS105)。さらに、水底面画像Bfに各矢印マーク93の投影画が表示される(ステップS107)。
【0087】
なお、矢印マーク93は、水平面に限定されず、遊泳ベクトルの深度方向の向きを考慮して深度方向の成分を反映して表示してもよい。また、矢印マーク93の線分の太さを第1のマークとして扱い、線分長さを第2のマークとして扱うことで、図9の単体魚画像92と同様に扱うことができる。
【0088】
なお、本発明は、以下の態様も採用可能である。
【0089】
(1)受信信号処理部5、単体分離部6、データ演算部7及び表示制御部8は、ハードウエア回路で構成してもよい。
【0090】
(2)前記実施形態においては、マッチドフィルタを用いて相関処理を行う例を挙げたが、マッチドフィルタ以外の手段を用いて相関処理を行うようにしてもよい。
【0091】
(3)前記実施形態においては、FM信号として、周波数が時間ととともに漸減する信号を用いたが、周波数が時間と共に漸増する信号を用いてもよい。また、中心周波数及び周波数のチャープ範囲も、適宜設定することが可能である。
【0092】
(4)前記実施形態ではFM信号を用いたが、これに代えて、FM変調しない短パルスのバースト波を用いることも可能である。この場合、マッチドフィルタ等が省略でき、構成が簡素化される。
【0093】
(5)本実施形態では、魚体長を求めて第1のマーク92aとして表示したが、反射強度TSに応じて第1のマーク92aを表示する態様としてもよい。また、遊泳状況を把握する場合では、第2のマーク92bを表示すればよく、第1のマーク92aを表示しない態様であってもよい。
【0094】
(6)送受波器1の指向幅は7°に限定されず、5,6°から所定範囲まで、例えば15°程度までの所定角度であってもよい。送受波器1は複数の振動子を束ねて構成されるが、その数が大きくなるに従って送信パワーが増大し、かつ指向幅も狭くなる。従って、一般的には、探知可能な深度を設定することで、指向幅も決まってくる。
【0095】
(7)第1のマークは円に限定されず、種々の図形が採用可能である。また、魚体長の寸法範囲に応じて、形状を段階的に変更する他の表現態様が採用可能である。また、第2のマークは、遊泳速度に応じた(又は比例した)線分の長さに限定されず、他の種々の表現態様が採用可能である。この第2のマークは遊泳ベクトルの算出結果から得る方法でもよいが、前回と今回の受信により得られる2箇所の位置情報に対して、単に両位置を結ぶ線分を表示する態様としてもよい。このようにすれば、ベクトル演算処理が簡易化される。
【0096】
(8)計測結果の表示態様として、各種の表示モード(ビュー)に代えて、魚の移動方位と魚量との関係を示す態様を採用してもよい。例えば、探知深度範囲内の計測結果から、所定方位範囲内に含まれる単体魚を1つの代表する移動方位に割り当て、かかる割り当て作業を全ての単体魚について行うことで、各移動方位毎の単体魚数が得られる。例えば、+π〜−πを所定角度毎、例えば45度毎に区分けし、各中間方位を代表の移動方位として、0°(船首方位)、±45°、±90°、±135°、±π(船尾方位)毎に算出する。表示方法は、横軸に0°を中心にした方位を、縦軸に単体魚数を設定したグラフとし、このグラフ上の対応座標位置に計測結果をプロットし、乃至は棒グラフあるいは折れ線グラフ等の公知の方法で表現すればよい。これにより、自船の周囲で、魚群の大まかな移動方位を把握することが可能となる。なお、深度方向については、全範囲とせず、「浅」、「中」、「深」のような所定深度毎に区切って、それぞれ異なる色でグラフ表示するようにしてもよい。また、単体魚それぞれに魚体長を加味して、すなわち魚体長に応じた重み係数を設定することで単体魚を魚量として換算計測することで、魚量と移動方位とを実質的に表示するようにしてもよい。
【0097】
(9)図18は、3Dビューの他の態様を示す図である。図18は自船の更に斜め上方から俯瞰した図であり、探知深度範囲に対応したスケールの3次元空間枠94が表示されている。この3次元空間枠94の各軸(X,Y,Z)には単位距離スケールが併記されている。また、3次元空間枠94の上面中央には自船に相当位置が設定され、この自船位置から水底に向けて鉛直線を表示し、かつ指向角に応じた角度で、自船位置から船首、船尾、右舷及び左舷の各方向に水底に延びる斜線を表示している。例えば、船首−船尾方向がX軸に設定されてもよい。そして、この3次元空間の座標に対応して、計測された単体魚を第1のマーク92aと第2のマーク92bとで構成される単体魚画像92として表示すればよい。
【符号の説明】
【0098】
1 送受波器
CH1〜CH4 チャンネル
21〜24 送受信部
4 演算処理部
5 受信信号処理部(検出手段)
6 受信方位検出部(検出手段)
7 データ演算部(平均値算出手段)
71 連結処理部(連結手段)
72 遊泳ベクトル算出部(遊泳ベクトル算出手段)
73 指向特性修正係数算出部
74 魚姿勢修正係数算出部
75 魚体長算出部(魚体長検出手段)
8 表示制御部(画像表示制御手段)
81 表示画像作成部
82 表示モード設定部
83 深度範囲指定処理部
84 寸法範囲指定処理部
9 表示部
10 記憶部
101 魚情報記憶部
102 指向特性情報記憶部
103 処理情報記憶部
11 操作部
92 単体魚画像
92a 第1のマーク
92b 第2のマーク
93 矢印マーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のビーム幅を有する超音波信号を周期的に水中に送信すると共に水中を遊泳する探知対象物で反射した信号を受信し、受信信号から探知対象物に関する情報を生成し、表示部に表示する水中探知装置において、
前記受信信号から探知対象物及びその位置を周期的に検出する検出手段と、
前記検出手段によって周期的に検出された探知対象物及びその位置の情報から、同一の探知対象物を関連付ける連結手段と、
前記連結手段によって連結された探知対象物について、探知対象物の位置の変化に対応した変位マークを対応付け、前記表示部に表示される少なくとも2次元の位置座標上の当該探知対象物の検出位置に表示する画像表示制御手段とを備えたことを特徴とする水中探知装置。
【請求項2】
前記連結手段は、検出位置及び送信周期から得られる位置変化の速度が所定値以上の探知対象物を連結対象から除外することを特徴とする請求項1に記載の水中探知装置。
【請求項3】
前記連結手段は、連続する2回の送信によって検出された位置に基づいて姿勢角度が所定値以上の探知対象物を連結対象から除外することを特徴とする請求項1又は2に記載の水中探知装置。
【請求項4】
前記検出手段によって検出された探知対象物の受信信号から探知対象物の計量情報を算出する算出手段と、
画像表示制御手段は、前記連結手段によって連結された前記探知対象物について、当該探知対象物の計量情報に対応した計量マークを対応付け、前記表示部に表示される少なくとも2次元の位置座標上の当該探知対象物の検出位置に、前記変位マークと関連付けて表示するようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水中探知装置。
【請求項5】
前記算出手段は、前記計量情報として前記探知対象物の長さに関する情報を算出するものであることを特徴とする請求項4に記載の水中探知装置。
【請求項6】
前記画像表示制御手段は、前記探知対象物の長さに関する情報に応じて前記計量マークの大きさを異ならせるものである請求項5に記載の水中探知装置。
【請求項7】
前記画像表示制御手段は、最新の受信信号から得られた位置に前記計量マークを表示するものである請求項4〜6のいずれかに記載の水中探知装置。
【請求項8】
前記画像表示制御手段は、前記計量マークから、前回の受信信号で得られた位置に向けて前記位置の変化に対応した長さを有する線分を前記変位マークとして表示するものである請求項7に記載の水中探知装置。
【請求項9】
前記算出手段は、前記受信信号の反射強度から前記探知対象物の長さを算出するものであって、連続する2回の超音波信号の送信を受けて姿勢角度を算出し、姿勢角度を用いて前記反射強度を補正するものである請求項5又は6に記載の水中探知装置。
【請求項10】
前記画像表示制御手段は、探知範囲が分割された深度範囲毎に少なくとも前記計量マークの表示色を異ならせることを特徴とする請求項4〜9のいずれかに記載の水中探知装置。
【請求項11】
深度範囲を選択する深度範囲選択操作部を備え、前記画像表示制御手段は、選択された前記深度範囲内に含まれる探知対象物の前記計量マーク及び前記変位マークの少なくとも一方のマークの表示色を特定色に変更することを特徴とする請求項10に記載の水中探知装置。
【請求項12】
前記探知対象物の長さの寸法範囲を選択する寸法範囲選択操作部を備え、前記画像表示制御手段は、選択された前記寸法範囲内に含まれる探知対象物の少なくとも計量マークの表示色を特定色に変更することを特徴とする請求項5のいずれかに記載の水中探知装置。
【請求項13】
前記画像表示制御手段は、前記表示部の適所であって中心から径方向に鉛直線からの距離が表記される船上ビューの表示モードと、前記表示部の適所であって上部から下方に探知距離が表記される水中ビューの表示モードとを選択的に表示することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の水中探知装置。
【請求項14】
前記画像表示制御手段は、3次元ビューの表示モードを選択的に表示するものである請求項1〜13のいずれかに記載の水中探知装置。
【請求項15】
前記深度範囲毎の探知対象物の長さの平均値及び位置変化分の平均値を算出する平均値算出手段を備え、前記画像表示制御手段は、前記探知対象物の長さの平均値及び位置変化分の平均値を、前記3次元ビューの深度範囲に対応させて表示すると共に仮想的な水底面に投影して表示するものである請求項14に記載の水中探知装置。
【請求項16】
所定のビーム幅を有する超音波信号を周期的に水中に送信すると共に水中を遊泳する探知対象物で反射した信号を受信し、受信信号から探知対象物に関する情報を生成し、表示部に表示する水中探知画像表示方法において、
前記受信信号から探知対象物及びその位置を周期的に検出する検出行程と、
前記検出行程によって周期的に検出された探知対象物及びその位置の情報から、同一の探知対象物を関連付ける連結行程と、
前記連結行程によって連結された探知対象物について、探知対象物の位置の変化に対応した変位マークを対応付け、前記表示部に表示される少なくとも2次元の位置座標上の当該探知対象物の検出位置に表示する画像表示制御行程とを有する水中探知画像表示方法。
【請求項1】
所定のビーム幅を有する超音波信号を周期的に水中に送信すると共に水中を遊泳する探知対象物で反射した信号を受信し、受信信号から探知対象物に関する情報を生成し、表示部に表示する水中探知装置において、
前記受信信号から探知対象物及びその位置を周期的に検出する検出手段と、
前記検出手段によって周期的に検出された探知対象物及びその位置の情報から、同一の探知対象物を関連付ける連結手段と、
前記連結手段によって連結された探知対象物について、探知対象物の位置の変化に対応した変位マークを対応付け、前記表示部に表示される少なくとも2次元の位置座標上の当該探知対象物の検出位置に表示する画像表示制御手段とを備えたことを特徴とする水中探知装置。
【請求項2】
前記連結手段は、検出位置及び送信周期から得られる位置変化の速度が所定値以上の探知対象物を連結対象から除外することを特徴とする請求項1に記載の水中探知装置。
【請求項3】
前記連結手段は、連続する2回の送信によって検出された位置に基づいて姿勢角度が所定値以上の探知対象物を連結対象から除外することを特徴とする請求項1又は2に記載の水中探知装置。
【請求項4】
前記検出手段によって検出された探知対象物の受信信号から探知対象物の計量情報を算出する算出手段と、
画像表示制御手段は、前記連結手段によって連結された前記探知対象物について、当該探知対象物の計量情報に対応した計量マークを対応付け、前記表示部に表示される少なくとも2次元の位置座標上の当該探知対象物の検出位置に、前記変位マークと関連付けて表示するようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水中探知装置。
【請求項5】
前記算出手段は、前記計量情報として前記探知対象物の長さに関する情報を算出するものであることを特徴とする請求項4に記載の水中探知装置。
【請求項6】
前記画像表示制御手段は、前記探知対象物の長さに関する情報に応じて前記計量マークの大きさを異ならせるものである請求項5に記載の水中探知装置。
【請求項7】
前記画像表示制御手段は、最新の受信信号から得られた位置に前記計量マークを表示するものである請求項4〜6のいずれかに記載の水中探知装置。
【請求項8】
前記画像表示制御手段は、前記計量マークから、前回の受信信号で得られた位置に向けて前記位置の変化に対応した長さを有する線分を前記変位マークとして表示するものである請求項7に記載の水中探知装置。
【請求項9】
前記算出手段は、前記受信信号の反射強度から前記探知対象物の長さを算出するものであって、連続する2回の超音波信号の送信を受けて姿勢角度を算出し、姿勢角度を用いて前記反射強度を補正するものである請求項5又は6に記載の水中探知装置。
【請求項10】
前記画像表示制御手段は、探知範囲が分割された深度範囲毎に少なくとも前記計量マークの表示色を異ならせることを特徴とする請求項4〜9のいずれかに記載の水中探知装置。
【請求項11】
深度範囲を選択する深度範囲選択操作部を備え、前記画像表示制御手段は、選択された前記深度範囲内に含まれる探知対象物の前記計量マーク及び前記変位マークの少なくとも一方のマークの表示色を特定色に変更することを特徴とする請求項10に記載の水中探知装置。
【請求項12】
前記探知対象物の長さの寸法範囲を選択する寸法範囲選択操作部を備え、前記画像表示制御手段は、選択された前記寸法範囲内に含まれる探知対象物の少なくとも計量マークの表示色を特定色に変更することを特徴とする請求項5のいずれかに記載の水中探知装置。
【請求項13】
前記画像表示制御手段は、前記表示部の適所であって中心から径方向に鉛直線からの距離が表記される船上ビューの表示モードと、前記表示部の適所であって上部から下方に探知距離が表記される水中ビューの表示モードとを選択的に表示することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の水中探知装置。
【請求項14】
前記画像表示制御手段は、3次元ビューの表示モードを選択的に表示するものである請求項1〜13のいずれかに記載の水中探知装置。
【請求項15】
前記深度範囲毎の探知対象物の長さの平均値及び位置変化分の平均値を算出する平均値算出手段を備え、前記画像表示制御手段は、前記探知対象物の長さの平均値及び位置変化分の平均値を、前記3次元ビューの深度範囲に対応させて表示すると共に仮想的な水底面に投影して表示するものである請求項14に記載の水中探知装置。
【請求項16】
所定のビーム幅を有する超音波信号を周期的に水中に送信すると共に水中を遊泳する探知対象物で反射した信号を受信し、受信信号から探知対象物に関する情報を生成し、表示部に表示する水中探知画像表示方法において、
前記受信信号から探知対象物及びその位置を周期的に検出する検出行程と、
前記検出行程によって周期的に検出された探知対象物及びその位置の情報から、同一の探知対象物を関連付ける連結行程と、
前記連結行程によって連結された探知対象物について、探知対象物の位置の変化に対応した変位マークを対応付け、前記表示部に表示される少なくとも2次元の位置座標上の当該探知対象物の検出位置に表示する画像表示制御行程とを有する水中探知画像表示方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
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【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−261883(P2010−261883A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114284(P2009−114284)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成20年度生物系特定産業技術研究支援センター「生物系産業創出のための異分野融合研究支援事業」産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)」
【出願人】(000166247)古野電気株式会社 (441)
【出願人】(709002004)学校法人東北学院 (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成20年度生物系特定産業技術研究支援センター「生物系産業創出のための異分野融合研究支援事業」産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)」
【出願人】(000166247)古野電気株式会社 (441)
【出願人】(709002004)学校法人東北学院 (10)
【Fターム(参考)】
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