説明

水中油型乳化組成物

【課題】 乳化安定性、外観及び使用感に優れた水中油型乳化組成物の提供。
【解決手段】 (A)25℃で液体のエステル油、
(B)一般式(1)で表わされるスフィンゴシン類
【化1】


(R1は置換基を有していてもよい炭化水素基;Yはメチレン、メチン又はO;X1、X2、X3はH、OH、アセトキシ基;X4はH、アセチル基等;R2、R3はH、OH等;RはH、アミジノ基等;aは2又は3)、
(C)無機酸及び炭素数5以下の有機酸から選ばれる酸性化合物、並びに
(D)コレステロール又はフィトステロール、
を含有し、全油相総量に対して成分(A)を含む液体の油性成分の占める割合が5〜90質量%である水中油型乳化組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スフィンゴシン類、コレステロール類及び液状エステル油を含み、保存安定性、外観及び使用感に優れた水中油型乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エステル油は乳化組成物に油相成分として用いられ、製品の油っぽさをやわらげ、処方に含まれる成分相互の混和剤としても作用する。さらに有効成分、色素や香料などの溶解補助剤や保留剤、無機粉体の分散剤としての機能を有するものもある。また、エステル油を配合した皮膚外用剤は一般に皮膚に対して柔らかでのびよく広がり、浸透性が良く、保湿能をもつことが知られており、近年使用感触を向上させるため、ワックスや炭化水素油から置換えて配合する傾向がある。
【0003】
しかしながら、乳化組成物にエステル油が入ると、界面活性剤がエステル油に溶解して界面から油相中に移行してしまい、界面が乱れて不安定になり乳化状態が劣化する。その結果、組成物の表面のツヤが消失する等の外観も損なわれる。このため、多量の界面活性剤を用いてエステル油を安定に乳化しようとすると、べたつき、ぬるつき等の使用感が劣るなどの問題が生じてくる。このようにエステル油を安定に配合するのは難しいと考えられていた。
【0004】
そこで、特許文献1には、界面活性剤を用いずに、水分散性であってかつ非油分散性の粉末成分を用いることで、極性油を含む油相成分が安定に球状形態で分散される化粧料組成物が開示されている。しかしながら、この組成物にはエタノールなどの低級アルコールが高濃度配合されており、ノンアルコール処方には応用できない。また粉体成分を含有するため粉っぽい使用感は避けられず、放置時に粉体成分が沈降し、使用時に振盪しなければならない使用上の煩雑さがある。
【0005】
また、特許文献2には、親水性の界面活性剤としてポリオキシブチレンポリグリセリンモノアルキル(モノアルケニル)エーテルとポリグリセリンモノ脂肪酸エステルを用いることで極性油を安定に乳化でき、アルデヒドを発生しない皮膚への安全性に優れた乳化組成物が記載されているが、界面活性剤量の低減には不十分であった。
このように、使用感触や保湿能の向上のために乳化組成物中にエステル油を安定に配合することは困難であった。
【特許文献1】特開2001−220315号公報
【特許文献2】特開2003−40731号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、エステル油を配合しても安定に乳化でき、保存安定性、外観及び使用感に優れた水中油型乳化組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、スフィンゴシン類と酸性化合物を共存させることで、両者が中和反応して塩を形成し、これによりスフィンゴシン類のアミノ基がカチオン化されて活性剤的な働きをすることから結晶化しやすいセラミド類を安定に乳化できることを見出し、さまざまな皮膚外用剤への検討を行ってきた。
本発明は、皮膚外用剤の成分として汎用的なエステル油を併用する際、カチオン化されたスフィンゴシン類と、コレステロール又はフィトステロールを組み合わせて、油水界面をより強固に安定化させ、25℃で液体のエステル油を含む液体の油性成分をある一定の比率で油相中に含有させることで、液体のエステル油を安定に乳化できることを見出し、完成されたものである。
【0008】
本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)25℃で液体のエステル油、
(B)一般式(1)で表わされるスフィンゴシン類
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、R1はヒドロキシル基、カルボニル基又はアミノ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;Yはメチレン基、メチン基又は酸素原子を示し;X1、X2、及びX3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X4は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Yがメチン基のとき、X1とX2のいずれか一方が水素原子であり、他方は存在しない。X4がオキソ基を形成するとき、X3は存在しない。);R2及びR3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;a個のRは各々独立して水素原子又はアミジノ基であるか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;aは2又は3の数を示し;破線部は不飽和結合であってもよいことを示す)、
(C)無機酸及び炭素数5以下の有機酸から選ばれる酸性化合物、
(D)コレステロール又はフィトステロール、
を含有し、全油相総量に対して成分(A)を含む液体の油性成分の占める割合が5〜90質量%である水中油型乳化組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の水中油型乳化組成物は、界面活性剤を含有しなくても乳化状態を長期にわたり安定に保つことができる。また、表面にツヤがあって外観が良好で、使用感にも優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の水中油型乳化組成物においては、一般式(1)で表わされるスフィンゴシン類と無機酸及び炭素数5以下の有機酸から選ばれる酸性化合物とが、中和反応することにより塩を形成し、スフィンゴシン類がカチオン化されて活性剤的な働きをするようになる。さらにコレステロール類が加わることにより、エステル油を油相に含有していてもカチオン化されたスフィンゴシン類が油相中に溶解・移行することなく油水界面に偏在でき、活性剤的な働きを十分に発揮するため、安定な乳化組成物が得られると考えられる。乳化状態が良好で均一に乳化粒子が分散しているため、化粧料の外観がつややかできれいに見え、かつ保存安定性にも優れると思われる。またこの組成物はカチオン化されたスフィンゴシン類以外に界面活性剤を加えなくても安定であるため、一般的な乳化製剤に比べて界面活性剤量を低減できるだけでなく、肌へのなじみがよく、しかも油っぽさやべたつきのない使用感と肌への高い安全性を得ることができる。
【0013】
本発明で用いる成分(A)の25℃で液体のエステル油は、1気圧25℃の条件で流動性を有するものである。また、本発明でのエステル油とは、酸として脂肪酸、多塩基酸、アミノ酸などカルボキシル基を有するものと、アルコールとして低級アルコール、高級アルコール、多価アルコール、コレステロール等のステロール類など水酸基を有するものとから脱水して得られるものであり、一般にエステル油であるかどうかは、けん化価又はエステル価を測定することでわかる。また、動植物を原料に精製されたエステル油や特定の紫外線吸収剤なども含まれる。
【0014】
成分(A)の25℃で液体のエステル油としては、例えばミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸イソステアリル、オクタン酸セトステアリル、オクタン酸ステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸オクチルドデシル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、イソパルミチン酸オクチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、カプリル酸セチル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸イソステアリル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸オクチルドデシル、クエン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、安息香酸アルキル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤などのモノエステル油;ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)、ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジイソステアリン酸ジグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、(イソステアリン酸・ミリスチン酸)グリセリル、コハク酸ジオクチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル等のジエステル油;トリオクタン酸グリセリル、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリカプリル酸グリセリル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリオクチル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリオクチルドデシル等のトリエステル油;テトラオレイン酸ジグリセリル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、テトラオクタン酸ペンタエリトリトール、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、テトライソステアリン酸ジグリセリルのテトラエステル油;モノエステル油〜トリエステル油の混在物である天然油脂としてオリーブ油、コメヌカ油、小麦胚芽油、マカデミアナッツ油、アボガド油、アーモンド油、サフラワー油、大豆油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヤシ油、ミンク油、ホホバ油等が挙げられる。
【0015】
これらの中で、モノエステル油、ジエステル油、トリエステル油、及び天然油脂が、本発明の乳化安定性の向上効果をより発揮しやすいので好ましい。特に、分子量が350〜1000の範囲のもの又は植物から抽出された天然油脂が、使用感の点で好ましい。更には、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジイソステアリン酸ジグリセリル、(イソステアリン酸・ミリスチン酸)グリセリル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ホホバ油が好ましい。
【0016】
成分(A)は1種以上を用いることができ、本発明の水中油型乳化組成物中の含有量は、0.05〜70質量%、特に0.1〜50質量%、更に0.5〜30質量%であるのが好ましい。
【0017】
また、油相中には、成分(A)以外に液体の油性成分、例えば流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素油;メチルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性シリコーン油、アルキル変性シリコーン油、アミノ変性シリコーン等のシリコーン油;パーフルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルエーテルシリコーン等のフッ素油等を含有させることができる。
本発明の乳化組成物は、全油相総量に対して成分(A)を含む液体の油性成分の占める割合が5〜90質量%、好ましくは15〜80質量%である。この範囲内であれば、良好な外観及び優れた乳化安定性を得ることができる。
【0018】
本発明で用いる成分(B)のスフィンゴシン類は、前記一般式(1)で表わされるものである。
式中、R1は、ヒドロキシル基、カルボニル基又はアミノ基が置換していてもよい、炭素数4〜30、好ましくはヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数7〜22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基である。特に、炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、Y側末端にヒドロキシル基を持つ炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基で、分岐鎖アルキル基の場合は分岐鎖がメチル分岐のもの等が好ましい。具体的には、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ステアリル基、1−ヒドロキシトリデシル基、1−ヒドロキシペンタデシル基、イソヘキサデシル基、イソステアリル基が好ましい。
【0019】
Yはメチレン基(CH2)、メチン基(CH)又は酸素原子のいずれかを示す。
1、X2、及びX3は、各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X4は水素原子、アセチル基、グリセリル基、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成する置換基を示す。特に、X1、X2、及びX3のうち0〜1個がヒドロキシル基で、残余が水素原子、及びX4が水素原子であるものが好ましい。なお、Yがメチン基のとき、X1とX2のいずれか一方のみが水素原子であり、他方は存在しない。また、X4がオキソ基を形成するとき、X3は存在しない。
【0020】
2及びR3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し、特にR3は水素原子であることが好ましい。
また、aは2又は3の数を示し、aが2のときRはR4及びR5を示し、aが3のときRはR4、R5及びR6を示す。
【0021】
4、R5及びR6は、各々独立して水素原子又はアミジノ基であるか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示す。ここで炭化水素基に置換し得るヒドロキシアルコキシ基としては炭素数1〜7の直鎖又は分岐鎖のヒドロキシアルコキシ基が好ましい。またアルコキシ基としては炭素数1〜7の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基が好ましい。R4、R5及びR6としては、例えば水素原子;メチル、エチル、プロピル、2−エチルへキシル、イソプロピル等の直鎖又は分岐鎖アルキル基;ビニル、アリル等のアルケニル基;アミジノ基;ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル、2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシへキシル、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル、2−メトキシエチル、1−メチル−2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、3−メトキシプロピル、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル等のヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基及びアルコキシ基から選ばれる1〜6個が置換した総炭素数1〜8の炭化水素基が挙げられる。
【0022】
特に水素原子、又はメチル基、2−ヒドロキシエチル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル等のヒドロキシル基及びヒドロキシアルコキシ基から選ばれる1〜3個が置換していてもよいアルキル基が好ましい。
【0023】
一般式(1)で表わされるスフィンゴシン類としては、次の一般式(2)で表わされる天然又は天然型スフィンゴシン類、及びその誘導体(以下、天然型スフィンゴシンと記載する。)又は一般式(3)で表わされるスフィンゴシン構造を持つ擬似型(以下、擬似型スフィンゴシンと記載する。)であることが好ましい。
(I)一般式(2)で表わされる天然型スフィンゴシン:
【0024】
【化2】

【0025】
(式中、R11はヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数7〜19の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;Y1はメチレン基又はメチン基を示し;X11、X12及びX13は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X14は水素原子を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Y1がメチン基のとき、X11とX12のいずれか一方が水素原子を示し、他方は存在しない。X14がオキソ基を形成するとき、X13は存在しない。);R12はヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;a個のR1は各々独立して水素原子又はアミジノ基であるか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和炭化水素基を示し;aは2又は3の数を示し;破線部は不飽和結合があってもよいことを示す)
【0026】
ここでR11としては、炭素数7〜19の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基が好ましく、特に炭素数13〜15の直鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基が好ましい。aは2が好ましく、R1は各々独立して水素原子、又は炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基が好ましい。
【0027】
一般式(2)で表わされる天然型スフィンゴシンとしては、具体的には、天然のスフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、スフィンガジエニン、デヒドロスフィンゴシン、デヒドロフィトスフィンゴシン、及びこれらのN−アセチル体、N−アルキル体(例えばN−メチル体)等が挙げられる。
【0028】
これらのスフィンゴシンは天然型(D(+)体)の光学活性体を用いても、非天然型(L(−)体)の光学活性体を用いても、更に天然型と非天然型の混合物を用いてもよい。上記化合物の相対立体配置は、天然型の立体配置のものでも、それ以外の非天然型の立体配置のものでも良く、また、これらの混合物によるものでもよい。
特に、PHYTOSPHINGOSINE(INCI名;8th Edition)及び次式で表わされるものが好ましい。
【0029】
【化3】

【0030】
これらは、天然からの抽出物及び合成物のいずれでもよく、市販のものを用いることができる。
天然型スフィンゴシンの市販のものとしては、例えば、D-Sphingosine(4-Sphingenine) (SIGMA-ALDRICH社)、DS-phytosphingosine (DOOSAN社)、phytosphingosine(コスモファーム社)が挙げられる。
(II)一般式(3)で表わされる擬似型スフィンゴシン:
【0031】
【化4】

【0032】
(式中、R13はヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数10〜22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;X15は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示し;a個のR2は各々独立して水素原子又はアミジノ基を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、aは2又は3の数を示す)
【0033】
ここでR13としては、炭素数14〜20のイソ分岐アルキル基が好ましく、特にイソステアリル基が好ましい。イソステアリル基は、動植物油由来の脂肪酸を用いたダイマー酸製造時の副生成物由来のイソステアルアルコールを原料油として得られるイソステアリル基がもっとも好ましい。
【0034】
また、aが2のときR2はR14及びR15を示し、aが3のときR2はR14、R15及びR16である。
【0035】
14、R15及びR16は、例えば水素原子;メチル、エチル、プロピル、2−エチルへキシル、イソプロピル等の直鎖又は分岐鎖のアルキル基;ビニル、アリル等のアルケニル基;アミジノ基;ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル、2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシへキシル、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル、2−メトキシエチル、1−メチル−2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、3−メトキシプロピル、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル等のヒドロキシ、ヒドロキシアルコキシ及びアルコキシから選ばれる置換基を有する総炭素数1〜8のアルキル基が挙げられる。
特に、R14及びR15のいずれか1つが水素原子で、他方が2−ヒドロキシエチル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルである2級アミンが好ましい。
【0036】
擬似型スフィンゴシンとしては、R13がイソステアリル基、X15は水素原子で、R14が水素原子、R15が2−ヒドロキシエチル基、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル基、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル基、又は2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基等のヒドロキシル基及びヒドロキシアルコキシ基から選ばれる1〜3個が置換したアルキル基であるものが好ましい。
擬似型スフィンゴシンの具体例としては、次の擬似型スフィンゴシン(i)〜(iv)が挙げられる。
【0037】
【化5】

【0038】
成分(B)は1種以上を用いることができ、本発明の水中油型乳化組成物中の含有量は、0.001〜10質量%、特に0.005〜5質量%、更に0.01〜3質量%であるのがより優れた使用感の点で好ましい。
【0039】
本発明で用いる成分(C)の無機酸及び炭素数5以下の有機酸から選ばれる酸性化合物は、成分(B)のスフィンゴシン類のアミノ基と中和反応により塩を形成し、スフィンゴシン類がカチオン化されて活性剤的な働きをするようになると考えられる。スフィンゴシン類の塩は、通常化合物の構造を特定するために用いられる、赤外吸収分光法やプロトン核磁気共鳴分光法等を用いて確認することができる。
成分(C)は、25℃における0.1mol/L水溶液のpHが1以上7未満、特にpH1〜6.5であるものが好ましい。
【0040】
成分(C)のうち無機酸としては、リン酸、塩酸、硝酸、硫酸、過塩素酸、炭酸等が挙げられる。
有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸等のモノカルボン酸;コハク酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸等のジカルボン酸;グリコール酸、クエン酸、乳酸、ピルビン酸、リンゴ酸、酒石酸等のオキシカルボン酸;グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ酸等が挙げられる。
【0041】
成分(C)としては、リン酸、塩酸、コハク酸、クエン酸、乳酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等が好ましく、特に乳酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等が好ましい。
成分(C)は1種以上を用いることができ、本発明の水中油型乳化組成物中の含有量は、0.001〜10質量%、特に0.005〜5質量%、更に0.01〜3質量%であるのが好ましい。
【0042】
また、成分(C)は、(B)スフィンゴシン類のアミンをカチオン化するために、成分(B)1モルに対して0.3モル以上、特に0.3〜5モル、更に0.5〜3モル含有するのが好ましい。例えば、成分(B)と等モル混合した水溶液のpHが、25℃で2〜6になるのが好ましい(フタル酸塩標準液で補正後、HORIBA pH METER F-22で測定)。
【0043】
本発明の水中油型乳化組成物において、成分(A)、(B)及び(C)の質量割合(A)/((B)+(C))は、0.1〜100、特に0.5〜70、更に0.5〜40であるのが、安定性が良好である点で好ましい。
【0044】
本発明において、成分(D)のコレステロール又はフィトステロールは、スフィンゴシン類及び酸性化合物とともに界面に偏在して乳化助剤的に作用するため、低温及び高温保存下でも油相と水相との界面を安定な状態に保つ役割を果たし、乳化安定性を向上させると考えられる。
【0045】
成分(D)として、コレステロール及びフィトステロールを併用してもよい。本発明の水中油型乳化組成物中の成分(D)の含有量は、0.05〜20質量%、特に0.1〜15質量%、更に0.2〜10質量%であるのが、より優れた安定性及び感触が得られるので好ましい。
さらに、全油相総量に対して成分(D)の占める割合が0.1〜80質量%、特に0.5〜60質量%、更に1〜40質量%であるのが、乳化安定性の向上がみられる点で好ましい。
【0046】
本発明の水中油型乳化組成物において、成分(B)、(C)及び(D)の質量割合((B)+(C))/(D)は、0.001〜100、特に0.005〜50、更に0.01〜30であるのが、安定性が良好である点で好ましい。
また、成分(A)及び(D)の質量割合(A)/(D)は、0.05〜70、特に0.1〜30、更に0.1〜20であるのが、安定性が良好である点で好ましい。
【0047】
本発明の水中油型乳化組成物は、上記成分(A)〜(D)以外に、成分(E)として25℃で半固体又は固体状の油性成分を含有させることができ、乳化安定性をより向上させることができる。25℃で半固体又は固体状の油性成分としては、例えばステアリルアルコール、セチルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール等の高級アルコール;ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸;、イソステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル等の脂肪酸エステル;ワセリン、ラノリン、セレシン、ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、水添ホホバ油等のワックス・ロウ;特開2002-114666号公報に記載の次の一般式で表されるジアミド化合物などが挙げられる。
【0048】
【化6】

【0049】
(式中、R21は、夫々独立してヒドロキシル基及び/又はアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、R22は、夫々独立して炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖の二価の炭化水素基を示し、R23は炭素数1〜42の直鎖又は分岐鎖の二価の炭化水素基を示す)
【0050】
特にステアリルアルコール、セチルアルコール、ステアリン酸、イソステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ワセリン、キャンデリラロウ、上記一般式で表されるジアミド化合物(化合物A)が、本発明の効果を著しく向上させる点で好ましい。更には、ステアリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコールが好ましい。
【0051】
成分(E)は、油相の流動性を抑制することで、さらに乳化の安定性を高めると考えられる。
成分(E)は1種以上を用いることができ、本発明の水中油型乳化組成物中の含有量は、0.01〜40質量%、特に0.05〜20質量%、更に0.1〜15質量%であるのが、乳化安定性と使用感に優れる点で好ましい。
【0052】
本発明の乳化組成物の水相の量は、全組成中に20〜99質量%、特に40〜99質量%であるのが好ましい。水相には水以外の成分として水に溶解する成分、例えば1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;ソルビトール、ポリエチレングリコール、グリシンベタイン、キシリトール、トレハロース、尿素、アミノ酸等の保湿剤;キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルグアガム等の水溶性高分子;ユーカリエキス、ヒバマタエキス、アスナロエキス、カミツレエキス、ワレモコウエキス、茶エキス等の植物抽出エキス;アスコルビン酸リン酸マグネシウム塩、グリチルリチン酸塩、ビタミン等の水溶性薬効剤;塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等の金属塩類;クエン酸、コハク酸、クエン酸三ナトリウム等のpH緩衝剤;メチルパラベン、デヒドロ酢酸ナトリウム、フェノキシエタノール等の防腐剤などが挙げられる。
【0053】
本発明の水中油型乳化組成物には、上記成分以外に、通常の化粧料や医薬品で使用される成分、例えばセルロースパウダー、ナイロンパウダー、多孔質セルロースパウダー、多孔質ナイロンパウダー等の有機粉体;架橋型シリコーン末、架橋型メチルポリシロキサン等のシリコーン粉体;無水シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄等の無機粉体;メントール、カンファー等の清涼剤;紫外線防御剤、酸化防止剤、香料、殺菌剤、色素などを含有させることができる。
【0054】
本発明の水中油型乳化組成物においては、乳化のために界面活性剤は必要ないが、有効成分の安定化、粉体等の分散などの目的のため、必要に応じて含有させることは可能である。
【0055】
本発明の水中油型乳化組成物は、例えば、成分(A)、(B)、(D)及び必要に応じて成分(E)を融点以上で加熱溶解して油相としたものに、温度を維持しながら、あらかじめ成分(C)を水に溶解した水溶液を徐々に添加して乳化することにより製造することができる。
【0056】
本発明の水中油型乳化組成物は、化粧料、医薬品、入浴剤、清拭剤、頭皮ケア剤等として使用することができる。特に化粧料、例えば化粧水、乳液、クリーム、美容液等の基礎化粧料;下地化粧料、ファンデーション、コントロールカラー、アイカラー、マスカラなどのメークアップ化粧料;ヘアクリーム、ヘアトリートメント等の毛髪用化粧料として使用するのが好ましい。
【実施例】
【0057】
実施例1〜7、比較例1〜4
表1に示す組成の水中油型乳化組成物を下記方法により製造した。得られた乳化組成物について、外観、保存安定性及び使用感を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0058】
(製造方法)
成分(1)〜(10)を80〜90℃に加熱溶解した後、これに撹拌(300r/min)しながら、別途80〜90℃で成分(11)〜(14)をあらかじめ均一に加熱溶解したものを添加した。ホモミキサーにかけた後、撹拌しながら、室温まで冷却して、水中油型乳化組成物を得た。
【0059】
(評価方法)
(1)外観:
10名の専門パネラーによる官能評価により、各組成物がつややかで均一な状態であるかを評価した。評価基準は、「外観のつや」が、非常に良好:5点、良好:4点、普通:3点、やや不良:2点、不良:1点とし、10名による平均点が4.5点以上を◎、3.5点以上4.5点未満を○、2.5点以上3.5点未満を△、2.5点未満を×として示した。
【0060】
(2)保存安定性:
各水中油型乳化組成物を50mL入りガラス瓶に充填し、40℃、25℃及び5℃にそれぞれ3ヶ月間静置保存した後、肉眼及び光学顕微鏡で観察し、調製直後の乳化状態と比較して、以下の基準で評価した。
◎:変化なし。
○:わずかに変化がみられる(光学顕微鏡下で粒子の合一がみられる)。
△:やや変化がみられる(わずかに油浮きやクリーミング、弱いゲル化が認められる)。
×:はっきりとした変化が確認される(油分離、クリーミング、ゲル化が認められる)。
【0061】
(3)使用感:
10名の専門パネラーが各水中油型乳化組成物を使用したときの「塗布時の肌へのなじみのよさ」、「塗布時の油っぽさのなさ」、「塗布後の肌のべたつきのなさ」について官能評価し、次の基準により判定した。
◎:9名以上が良好(良い)と評価した。
○:7名以上が良好(良い)と評価した。
△:4〜6名が良好(良い)と評価した。
×:3名以下が良好(良い)と評価した。
【0062】
【表1】

【0063】
表1の結果から明らかなように、実施例1〜7の水中油型乳化組成物はいずれも、外観、40℃、25℃及び5℃の保存安定性、使用感ともに良好なものであった。成分(B)と(C)を含まない比較例1は調製直後の時点で油が均一に乳化されなかった。成分(D)を含まない比較例2は、ツヤがなく外観が劣り、乳化状態の安定性や使用感も悪かった。全油相総量に対して成分(A)を含む液体の油性成分の占める割合が5%未満の比較例3は、低温保存下での乳化安定性が劣り、使用感もべたつきがありなじみの悪いものだった。また液体の油性成分の占める割合が90%を超える比較例4は、外観や乳化安定性が劣り、使用感も油っぽくべたつくものであった。
【0064】
実施例8(化粧水)
表2に示す組成の化粧水を下記方法により製造した。得られた化粧水は、外観、安定性及び使用感の良好なものであった。
【0065】
(製造方法)
成分(1)〜(3)を80〜90℃で加熱溶解し、撹拌(300r/min)しながら、80〜90℃で成分(4)〜(12)、(14)をあらかじめ均一に加熱溶解したものを添加した。ホモミキサーにかけた後、撹拌しながら35℃まで冷却して成分(13)を添加した後、室温まで冷却して、化粧水を得た。
【0066】
【表2】

【0067】
実施例9(乳液)
表3に示す組成の乳液を下記方法により製造した。得られた乳液は、外観、安定性及び使用感の良好なものであった。
【0068】
(製造方法)
成分(1)〜(9)を80〜90℃で加熱溶解し、これに撹拌(300r/min)しながら、80〜90℃で成分(10)〜(18)を加熱溶解したものを添加した。添加後、ホモミキサーで乳化した後、撹拌しながら室温まで冷却して、乳液を得た。
【0069】
【表3】

【0070】
実施例10(クリーム)
表4に示す組成のクリームを下記方法により製造した。得られたクリームは、外観、安定性及び使用感の良好なものであった。
【0071】
(製造方法)
成分(1)〜(11)を80〜90℃に加熱撹拌して溶解させ、これに撹拌(300r/min)しながら、80〜90℃で成分(12)〜(22)を加熱溶解したものを添加した。添加後、ホモミキサーにかけ、撹拌しながら室温まで冷却して、クリームを得た。
【0072】
【表4】

【0073】
実施例11(美容液)
表5に示す組成の美容液を下記方法により製造した。得られた美容液は、外観、安定性及び使用感の良好なものであった。
【0074】
(製造方法)
成分(1)〜(9)を80〜90℃に加熱して溶解させ、これに撹拌(300r/min)しながら、80〜90℃で成分(10)〜(21)を加熱溶解したものを添加した。添加後、ホモミキサーにかけ、撹拌しながら室温まで冷却して、美容液を得た。
【0075】
【表5】

【0076】
実施例12(サンケアクリーム)
表6に示す組成のサンケアクリームを下記方法により製造した。得られたサンケアクリームは、外観、安定性及び使用感の良好なものであった。
【0077】
(製造方法)
成分(1)〜(10)を80〜90℃に加熱して溶解させ、これに撹拌(300r/min)しながら、80〜90℃で成分(11)、(12)、(14)〜(16)を加熱溶解したものを添加した。添加後、ホモミキサーにかけ、撹拌しながら35℃まで冷却して成分(13)を添加後、室温まで冷却して、サンケアクリームを得た。
【0078】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)25℃で液体のエステル油、
(B)一般式(1)で表わされるスフィンゴシン類
【化1】

(式中、R1はヒドロキシル基、カルボニル基又はアミノ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;Yはメチレン基、メチン基又は酸素原子を示し;X1、X2、及びX3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X4は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Yがメチン基のとき、X1とX2のいずれか一方が水素原子であり、他方は存在しない。X4がオキソ基を形成するとき、X3は存在しない。);R2及びR3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;a個のRは各々独立して水素原子又はアミジノ基であるか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;aは2又は3の数を示し;破線部は不飽和結合であってもよいことを示す)、
(C)無機酸及び炭素数5以下の有機酸から選ばれる酸性化合物、
(D)コレステロール又はフィトステロール
を含有し、全油相総量に対して、成分(A)を含む液体の油性成分の占める割合が5〜90質量%である水中油型乳化組成物。
【請求項2】
成分(A)、(B)及び(C)の質量割合が、(A)/((B)+(C))=0.1〜100である請求項1記載の水中油型乳化組成物。
【請求項3】
全油相総量に対して成分(D)の占める割合が0.1〜80質量%である請求項1又は2記載の水中油型乳化組成物。
【請求項4】
成分(A)が、モノエステル油、ジエステル油、トリエステル油、又は天然油脂である請求項1〜3のいずれか1項記載の水中油型乳化組成物。
【請求項5】
更に、(E)25℃で半固体又は固体状の油性成分を含有する請求項1〜4のいずれか1項記載の水中油型乳化組成物。


【公開番号】特開2006−28109(P2006−28109A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−211024(P2004−211024)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】