説明

水処理システム

【課題】前処理制御系と給水処理制御系とを各々別個独立にシステム設計し、両者を連携させることにより、低コスト化で種々のバリエーションに対応可能であり、利便性の優れた付加価値の高い機能を備えた水処理システムを実現する。
【解決手段】制御ブロック8が、前処理ブロック4の各構成要素(原水ポンプ1、除鉄・除マンガンろ過装置2、軟水装置3、次亜注入装置11、残留塩素濃度監視装置12)の制御を司る第1の制御部29と、給水処理ブロック7の各構成要素(RO装置5、処理水タンク6、還元剤注入装置17、原水硬度監視装置18、流量計19、次亜注入装置20)の制御を司る第2の制御部31とに分別されている。第1の制御部29は前記第2の制御部31に対し運転許可信号33及び異常検知信号34を送信し、第2の制御部31は第1の制御部29に対し給水要求信号32を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、地下水や工場廃水等の原水から高純度の処理水を生産し、該処理水をボイラー用水や冷却塔、飲料水等に使用可能とした水処理システムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1では、井戸用水中ポンプ、除鉄・除マンガンろ過装置、活性炭ろ過装置、分離膜モジュール、及び逆洗タンクを順次直列的に配し、制御盤に内蔵されたインバータで井戸用水中ポンプの運転駆動を制御するようにした水の浄水化装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、水中ポンプ、原水タンク、砂ろ過装置、精密ろ過装置、クッションタンク、及び貯留タンクを順次直列的に配し、前記貯留タンクの後段に配された配水ポンプで貯留タンク内の処理水を原水タンクに送水するようにした供給浄化水の水質管理装置が開示されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、給水ライン上に活性炭ろ過処理装置、軟水化処理装置、プレフィルタ、膜ろ過装置、及び給水タンクを順次配し、前記給水タンクに貯留された処理水をボイラに給水するようにした給水システムが開示されている。
【0006】
このように従来の水処理システムでは、原水の水質に応じ一つ又は複数の再生型ろ過装置を使用して前処理を行い、原水中に懸濁している汚染物質を除去した後、膜ろ過装置を使用して精密ろ過乃至超ろ過を行い、これにより用途に応じた所望水質の処理水を得ている。
【0007】
【特許文献1】特開2005−95812号公報(図1)
【特許文献2】特開2003−340435号公報(図1)
【特許文献3】特開2005−334798号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、膜ろ過装置は、精密ろ過膜(以下、「MF膜」という。)、限外ろ過膜(以下、「UF膜」という。)、ナノろ過膜(以下、「NF膜」という。)、逆浸透膜(以下、「RO膜」という。)等、膜の種類によって機械的構造が異なり、また要求される処理能力や水質によっては多段に設置される場合はあるが、原水を供給して処理水を生産するという動作自体は同様である。したがって、給水処理制御については、膜ろ過装置に内蔵される制御基板で前記膜ろ過装置の種別に起因する差異を吸収することにより、電気的に統一的な取扱いが可能であり、したがって標準化は比較的容易と考えられる。
【0009】
これに対し、前処理は上述した除鉄・除マンガンろ過装置、活性炭ろ過装置、砂ろ過装置等の再生型ろ過装置を使用して行うが、処理水量や原水の水質に応じて再生型ろ過装置の種類や大きさ、個数等が区々であり、原水ポンプの処理能力も異なる。したがって、前処理制御は、給水処理制御とは異なり、統一的な取扱いが困難であり、原水の水質や要求処理能力に応じて個別に対応する必要がある。
【0010】
しかしながら、特許文献1〜3に示すような従来の水処理システムでは、通常、前処理制御と給水処理制御とからなるシステム全体を一括して制御しているため、再生型ろ過装置や原水ポンプの仕様に応じて個別にシステム全体の制御系を構築しなければならず、非効率的であり経済的損失も大きいという問題点があった。
【0011】
また、近年、付加価値の高い水処理システムの実現が要請されている。例えば、硬度監視装置等の各種センサを配管中に配設し、軟水装置や膜ろ過装置をこれらのセンサと連携させながらシステム制御をしたり、外部通信機器と交信することのできる利便性の優れた付加価値の高い水処理システムの実現が要請されている。
【0012】
しかしながら、従来の水処理システムでは、上述したようにシステム全体を一括して制御しているため、個別の基本設計に長時間を要する上、上述した付加価値を追加しようとすると、更なる設計期間の長期化を招き、またコストの高騰化を招くおそれがある。したがって、ユーザの要求を満足する高付加価値の水処理システムを短期かつ低コストで実現するのは困難であった。
【0013】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、前処理制御系と給水処理制御系とを各々別個独立にシステム設計し、かつ両者を連携させることにより、低コストで種々のバリエーションに対応可能であり、かつ利便性の優れた付加価値の高い機能を備えた水処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明に係る水処理システムは、少なくとも原水ポンプと再生型ろ過装置とを構成要素として含む前処理ブロックと、前記前処理ブロックから給水される被処理水を処理する膜ろ過装置と該膜ろ過装置を透過した処理水を貯留する処理水タンクとを構成要素として含み、給水量の調整機能を有する給水処理ブロックと、前記前処理ブロック及び前記給水処理ブロックを制御する制御手段とを備えた水処理システムにおいて、前記制御手段が、前記前処理ブロックの各構成要素の制御を司る第1の制御部と、前記給水処理ブロックの各構成要素の制御を司る第2の制御部とに分別され、前記第1の制御部と前記第2の制御部とが電気的に接続されると共に、前記第1の制御部は前記第2の制御部に対し運転許可信号を送信し、前記第2の制御部は前記第1の制御部に対し給水要求信号を送信することを特徴としている。
【0015】
また、本発明の水処理システムは、前記第1の制御部は、前記前処理ブロックの各構成要素の異常を検知する異常検知手段と、該異常検知手段によりいずれかの構成要素の異常を検知したときは第2の制御部に異常を報知する異常報知手段とを有し、前記第2の制御部は、前記異常報知手段からの信号を受信したときは、前記前処理ブロック以外の別経路を介して前記貯留タンクに水の補給を可能とする補給手段を備えていることを特徴としている。
【0016】
さらに、本発明の水処理システムは、前記第1の制御部は、前記前処理ブロックのいずれかの構成要素が強制的に給水を停止するときは前記運転許可信号を無効とする無効手段を備えていることを特徴としている。
【0017】
また、本発明の水処理システムは、前記第1の制御部及び前記第2の制御部のうちの少なくともいずれかの制御部が、外部通信機器に接続されていることを特徴としている。
【0018】
また、本発明の水処理システムは、前記再生型ろ過装置には、除鉄・除マンガンろ過装置、砂ろ過装置、活性炭ろ過装置、及びこれらの組み合わせのいずれかが含まれていることを特徴としている。
【0019】
さらに、本発明の水処理システムは、前記前処理ブロックには、少なくとも塩素系化合物を含む薬剤を注入する第1の薬剤注入手段、残留塩素濃度を監視する第1の監視手段、前記再生型ろ過装置を逆洗して再生する逆洗手段、及びこれらの組み合わせのうちのいずれかが含まれていることを特徴としている。
【0020】
また、本発明の水処理システムは、前記膜ろ過装置には、精密ろ過装置、限外ろ過装置、ナノろ過装置、逆浸透ろ過装置、及びこれらの組み合わせのいずれかが含まれていることを特徴としている。
【0021】
さらに、本発明の水処理システムは、前記給水処理ブロックには、硬度を監視する第2の監視手段、還元剤及び塩素系化合物のいずれかを含む薬剤を注入する第2の薬剤注入手段、及びこれらの組み合わせのいずれかが含まれていることを特徴としている。
【0022】
また、本発明の水処理システムは、前記薬剤には、硬度成分を分散させる分散剤が含まれることを特徴としている。
【0023】
さらに、本発明の水処理システムは、軟水装置が、前記前処理ブロック及び前記給水処理ブロックのうちのいずれか一方のブロックに設けられていることを特徴としている。
【0024】
また、本発明の水処理システムは、前記第2の制御部は、前記給水処理ブロックの運転開始タイミング及び運転停止タイミングを前記前処理ブロックの運転開始タイミング及び運転停止タイミングよりも所定時間遅延させる遅延手段を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明の水処理システムによれば、制御手段が、前処理ブロックの各構成要素(除鉄・除マンガンろ過装置、砂ろ過装置、活性炭ろ過装置、第1の薬剤注入手段、第1の監視手段、逆洗手段等)の制御を司る第1の制御部と、前記給水処理ブロックの各構成要素(精密ろ過装置、限外ろ過装置、ナノろ過装置、逆浸透ろ過装置、第2の監視手段、第2の薬剤注入手段等)の制御を司る第2の制御部とに分別され、前記第1の制御部と前記第2の制御部とが電気的に接続されると共に、前記第1の制御部は前記第2の制御部に対し運転許可信号を送信し、前記第2の制御部は前記第1の制御部に対し給水要求信号を送信するので、第2の制御部は第1の制御部から運転許可信号を受信していることを確認してから、第2の制御部が第1の制御部に給水要求信号を送信するのみで、給水処理ブロックの各構成要素は通水が可能となり、給水処理ブロックは運転を開始することができる。すなわち、前処理ブロックは給水処理ブロックに対し仮想ポンプとしての作用をなし、原水は前処理ブロックを通過して給水処理ブロックに供給され、膜ろ過装置で処理水を生産し、処理水タンクに貯留される。
【0026】
そして、本発明は、前処理ブロックの各構成要素の制御を司る第1の制御部と、給水処理ブロックの各構成要素を司る第2の制御部とを別個独立に構築し、両者を電気的に接続して連携させているので、別個独立に構築された第1の制御部と第2の制御部とを組み合わせることにより、種々のバリエーションに対応可能な水処理システムを安価かつ低コストで容易に実現することができる。
【0027】
特に、給水処理については、膜ろ過装置は種類や配列が異なっていても、基本的には原水を供給して処理水を生産するという動作を行うので、給水制御に関する第2の制御部を容易に標準化することが可能である。したがって、第1の制御部のみを個別にシステム設計し、或いは個別にシステム設計したものを標準化し、斯かる第1の制御部と標準化された第2の制御部とを組み合わせることによって、システム全体の制御系を構築することができる。そして、これにより従来のようなシステム構成全体を個別に設計して一括制御する場合に比べ、設計期間の大幅な短縮化とコストダウンを達成することが可能となる。
【0028】
また、前記第1の制御部は、前記前処理ブロックの各構成要素の異常を検知する異常検知手段と、該異常検知手段によりいずれかの構成要素の異常を検知したときは第2の制御部に異常を報知する異常報知手段とを有し、前記第2の制御部は、前記異常報知手段からの信号を受信したときは、前記前処理ブロック以外の別経路を介して前記処理水タンクに水の補給を可能とする補給手段を備えているので、前処理ブロックの各構成要素が異常状態となっても、必要に応じて処理水タンクに水が補給されることとなり、処理水の外部機器への水の供給に支障が生じることもない。
【0029】
また、前記第1の制御部は、前記前処理ブロックのいずれかの構成要素が強制的に給水を停止するときは前記運転許可信号を無効とする無効手段を備えているので、再生処理等、給水処理ブロックへの通水を遮断しているときは、給水処理ブロックの運転は停止されることとなり、したがって空運転等を防止することができ、機械的損傷を回避することができる。
【0030】
また、前記第1の制御部及び前記第2の制御部のうちの少なくともいずれかの制御部が、外部通信機器に接続されているので、外部からシステム状態を監視することも可能となり、付加価値の高い水処理システムを実現することができる。
【0031】
本発明のその他の特徴、及び作用効果は、下記の発明の実施の形態の記載からより一層明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づき詳説する。
【0033】
図1は本発明に係る水処理システムの一実施の形態(第1の実施の形態)を示すシステム構成図である。
【0034】
該水処理システムは、地下水や工場廃水等の原水を汲み上げる原水ポンプ1、再生型ろ過装置としての除鉄・除マンガンろ過装置2、及び軟水装置3(第1及び第2の軟水装置3a、3b)を有する前処理ブロック4と、前処理ブロック4から給水される被処理水を処理する逆浸透膜ろ過装置(以下、「RO装置」という。)5、及び該RO装置5を透過した処理水を貯留する処理水タンク6を有し、給水量の調整機能を有する給水処理ブロック7と、前記前処理ブロック4及び前記給水処理ブロック7の各構成要素を制御する制御ブロック8(制御手段)とから構成されている。
【0035】
前処理ブロック4は、具体的には、原水供給ライン9上に前記原水ポンプ1、除鉄・除マンガンろ過装置2、軟水装置3が順次配設されると共に、該前処理ブロック4の終端には給水制御弁10が設けられている。そして、次亜塩素酸ナトリウム(塩素系化合物)が原水に注入可能となるように、原水ポンプ1と除鉄・除マンガンろ過装置2との間には次亜注入装置11(第1の薬剤注入手段)が配設されている。尚、この次亜注入装置11には次亜塩素酸ナトリウムの貯留状態を検知するレベルセンサが設けられている。また、原水中の残留塩素濃度を監視する残留塩素濃度監視装置12(第1の監視手段)が、除鉄・除マンガンろ過装置2と軟水装置3の間に配設されている。
【0036】
さらに、除鉄・除マンガンろ過装置2は、逆洗水供給ライン13を介して処理水タンク6に接続されており、また、該逆洗水供給ライン13の管路には逆洗ポンプ14が設けられている。
【0037】
除鉄・除マンガンろ過装置2は、無煙炭を粉砕して粒状とされたアンスラサイトがマンガン酸化触媒上に重層されている。そして、次亜注入装置11により注入された次亜塩素酸ナトリウムによって原水中の鉄分が酸化されて析出し、これにより原水から鉄分が除去される。さらに、原水中のマンガン成分はマンガン酸化触媒によって酸化除去される。
【0038】
また、除鉄・除マンガンろ過装置2にはタイマが内蔵されており、原水の供給を定期的に遮断して再生処理を行う。すなわち、除鉄・除マンガンろ過装置2は、所定時間(例えば、0.5〜1/日)毎に通水モードと再生モードとを繰り返す。そして、除鉄・除マンガンろ過装置2は、内蔵タイマの計時により再生モードに突入すると、逆洗ポンプ14が駆動し、処理水タンク6に貯留された処理水が除鉄・除マンガンろ過装置2に供給され、ろ材(アンスラサイト及びマンガン酸化触媒)を逆洗した後、所定時間経過後に水洗し、これにより前記ろ材が再生される。
【0039】
軟水装置3は二筒式からなり、三方弁15により第1の軟水装置3a及び第2の軟水装置3bのいずれか一方に通水可能とされ、原水の軟水化処理が中断することのないように構成されている。
【0040】
軟水装置3は、具体的には、ナトリウム型の陽イオン交換樹脂(不図示)が内有されており、陽イオン交換樹脂内には飽和食塩水が貯留されている。そして、原水が原水供給ライン9から、例えば第1の軟水装置3aに供給されると、原水に含まれるカルシウムイオンやマグネシウムイオンなどの硬度成分が、飽和食塩水に含有されるナトリウムイオンとイオン交換されて除去され、これにより原水は軟水化される。また、第1の軟水装置3aの陽イオン交換樹脂の交換能力が飽和状態になると、軟水装置3の内蔵マイコンによって三方弁15が操作され、第2の軟水装置3bが通水可能となるように切り替えられる。そして、第1の軟水装置3aは再生モードとなり、第2の軟水装置3bは通水モードとなる。再生モードに突入した第1の軟水装置3aは、飽和食塩水を塩水タンク(不図示)から供給し、これにより陽イオン交換樹脂の再生が行われる。次いで、再生処理の終了した第1の軟水装置3aは、第2の軟水装置3bが再生モードに突入するまで待機モードとなる。
【0041】
このように軟水装置3は、第1の軟水装置3a及び第2の軟水装置3bのうちのいずれか一方が通水モードとなるように構成されており、通水を中断することなく軟水化処理が可能とされている。
【0042】
また、給水処理ブロック7は、前記原水供給ライン9に連接される補給ライン16に上記RO装置5及び上記処理水タンク6が順次配設されると共に、RO装置5の上流側には還元剤注入装置17(第2の薬剤注入手段)及び原水硬度監視装置18(第2の監視手段)が順次配設され、RO装置5と上記処理水タンク6との間には流量計19及び次亜注入装置20(第2の薬剤注入手段)が順次配設されている。
【0043】
還元剤注入装置17は、重亜硫酸ナトリウム等の還元剤が貯留されており、原水中の残留塩素を除去する。尚、この還元剤注入装置17には、還元剤の貯留状態を検知するレベルセンサが設けられている。
【0044】
また、原水硬度監視装置18は、軟水装置3により原水が所望の軟水化されたか否かを監視する。そして、原水の硬度が所定値以上を示すときは、後述するRO膜へのスケール付着が増大するおそれがあると判断し、RO装置5の透過水の回収率が低下するように、原水硬度監視装置18とRO装置5との間で連携制御を行う。
【0045】
流量計19は、RO装置5により処理された処理水(透過水)の流量を計測し、その計測信号を制御ブロック8に送信する。次亜注入装置20は、次亜塩素酸ナトリウム(塩素系化合物)が貯留されており、処理水が雑菌繁殖するのを抑制する。尚、この次亜注入装置20には、次亜塩素酸ナトリウムの貯留状態を検知するレベルセンサが設けられている。
【0046】
RO装置5は、例えばスパイラル形状に巻回されたRO膜エレメント(以下、「RO膜」という。)21aを内蔵したROモジュール21と、加圧ポンプ22とを有している。ROモジュール21は、原水が供給される一次側とRO膜21aを透過した透過水を出力する二次側とに分離されている。また、二次側には排水弁23が介装された排水ライン及び循環ライン24が接続されている。
【0047】
このように構成されたRO装置5では、加圧ポンプ22を駆動し、RO膜21aに一次側から浸透圧以上の高圧が負荷されると、溶存塩類やシリカ(SiO)が除去された高純度の透過水が二次側に出水し、これにより処理水を生産する。また、RO膜21aを透過しなかった濃縮水の一部は循環ライン24を介して加圧ポンプ22に還流され、残りは排水弁23から排水される。
【0048】
また、処理水タンク6は、その下方側壁に圧力検知式の水位センサ25が挿入されており、該水位センサ25により処理水タンク6への処理水の給水を制御する。
【0049】
さらに、処理水タンク6には、補給ライン16とは別ライン26が接続され、前処理ブロック4のいずれかの構成要素が異常状態を検出したときは、補給制御弁27を開弁して前記別ライン26から水を補給することができる。尚、別ライン26から補給される水は、要求される水質に応じ、前処理された原水又は膜ろ過された処理水、或いはこれらの混合水を使用することができる。
【0050】
制御ブロック8は、第1の制御ライン28を介して前処理ブロック4の各構成要素と電気的に接続された第1の制御部29と、第2の制御ライン30を介して給水処理ブロック7の各構成要素と電気的に接続された第2の制御部31とを有している。
【0051】
第1の制御部29と第2の制御部31とは電気的に接続されている。そして、第2の制御部31は第1の制御部29に対し給水要求信号32を送信し、第1の制御部29は第2の制御部31に対し運転許可信号33及び異常検知信号34を送信する。また、第1及び第2の制御部29、31は、第1及び第2の通信線35、36を介してパーソナルコンピュータや携帯端末等の外部通信機器(不図示)と接続されている。
【0052】
図2は制御ブロック8の詳細を示すブロック構成図である。
【0053】
第1の制御部29は、前処理ブロック4の各構成要素との間でインターフェース動作を司る入出力部37と、所定の演算プログラム等が格納されたROM38と、演算結果を記憶したりワークエリアとして使用されるRAM39と、前処理ブロック全体の制御、及び第2の制御部31や外部通信機器との交信制御を司るCPU40とを備えている。
【0054】
そして、入出力部37からは原水ポンプ1、給水制御弁10、逆洗ポンプ14、及び次亜注入装置11に所定の電気信号が出力され、残留塩素濃度監視装置12、軟水装置3、除鉄・除マンガンろ過装置2、及び次亜注入装置11からは所定の電気信号が入出力部37に入力される。
【0055】
また、第2の制御部31は、給水処理ブロック7の各構成要素との間でインターフェース動作を司る入出力部41と、所定の演算プログラム等が格納されたROM42と、演算結果を記憶したりワークエリアとして使用されるRAM43と、給水処理ブロック全体の制御、及び第1の制御部29や外部通信機器との交信制御を司るCPU44とを備えている。
【0056】
そして、入出力部41からは加圧ポンプ22、排水弁23、補給制御弁27、原水硬度監視装置18、還元剤注入装置17、次亜注入装置20に所定の電気信号が出力され、原水硬度監視装置18、流量計19、水位センサ25、還元剤注入装置17、次亜注入装置20からは所定の電気信号が入出力部41に入力される。
【0057】
さらに、CPU44にはタイマ44aが内蔵されており、該タイマ44aにより給水処理ブロック7の運転開始タイミング及び運転停止タイミングが前処理ブロック4の運転開始タイミング及び運転停止タイミングよりも所定時間(例えば、20〜50秒)遅延するように制御される。
【0058】
すなわち、原水を給水処理ブロック5側に供給するためには給水制御弁10を開弁する必要があるが、給水制御弁10が全開するまでには一定時間を要する。
【0059】
しかるに、給水制御弁10が全開するまでに加圧ポンプ22が起動し昇圧すると加圧ポンプ22の入口が負圧となって加圧ポンプ22に異常が生じるおそれがある。したがって、給水制御弁10が全開状態になるまで加圧ポンプ22の起動を遅延させる必要がある。
【0060】
そこで、第2の制御部31は、給水処理ブロック7の運転開始タイミングが前処理ブロック4の運転開始タイミングよりも遅延するように、第1の制御部29へ給水要求信号32を送信した後、タイマ44aで所定時間計時し、その後、加圧ポンプ22が起動するように制御している。
【0061】
一方、水位センサ25が上限値を検知した場合は、給水処理ブロック7の運転を停止する必要がある。しかしながら、第1の制御部29から原水ポンプ1に駆動停止指令が発せられても原水ポンプ1の回転羽根は慣性で一定時間回転する。このため、原水ポンプ1の駆動停止指令と同時に給水処理ブロック7を停止させると、RO装置5の内圧が過度に上昇したりウォーターハンマ等の配管障害が生じるおそれがある。
【0062】
そこで、第2の制御部31は、給水処理ブロック7の運転停止タイミングが前処理ブロック4の運転停止タイミングよりも遅延するように、給水要求信号32を無効とした後、タイマ44aで原水ポンプ1の回転羽根が停止するような所定時間を計時し、その後給水処理ブロック7の運転が停止するように制御している。
【0063】
このように構成された水処理システムでは、以下のように運転される。
【0064】
まず、第1の制御部29は第2の制御部31に運転許可信号33を送信する。次いで、第2の制御部31は運転許可信号33を受信していることを確認した後、第1の制御部29に給水要求信号32を送信する。
【0065】
給水要求信号32を受信した第1の制御部29は、原水ポンプ1に駆動指令を発し、給水制御弁10に開弁指令を発する。次亜注入装置11は、第1の制御部29からの指令信号に基づいて原水供給ライン9を通過する原水に次亜塩素酸ナトリウムを注入する。そして、除鉄・除マンガンろ過装置2では次亜塩素酸ナトリウムによって原水に含有される鉄分が酸化除去され、さらにマンガンが酸化除去される。次いで、原水は軟水装置3で軟水化され、給水制御弁10を経て給水処理ブロック7に送水される。尚、次亜注入装置11に内蔵されるレベルセンサが所定下限値を検出すると、レベル低下信号が第1の制御部29に送信され、その旨を警告灯又は警報音等でユーザに報知し、次亜塩素酸ナトリウムを補充すべきことを催告する。
【0066】
一方、第1の制御部29からの運転許可信号33を受信した第2の制御部は、タイマ44aにより所定時間(例えば、20秒)遅延させた後、給水処理ブロック7の各構成要素に運転指令を発する。
【0067】
前処理ブロック4から送られてきた原水中には、還元剤注入装置17からの還元剤が注入され、原水に含有されている残留塩素等が除去される。次いで、原水はRO装置5で透過水と濃縮水に膜ろ過分離され、濃縮水の一部は循環ライン24を介して加圧ポンプ22に還流され、残りは排水弁23から排水される。一方、透過水は処理水となって流量計19を通過し、必要に応じて次亜注入装置20からの次亜塩素酸ナトリウムが注入され、処理水タンク6に補給される。尚、還元剤注入装置17又は次亜注入装置20に内蔵されるレベルセンサが所定下限値を検出すると、レベル低下信号が第2の制御部31に送信され、その旨を警告灯又は警報音等でユーザに報知し、還元剤又は次亜塩素酸ナトリウムを補充すべきことを催告する。
【0068】
また、原水硬度監視装置18とRO装置5とは第2の制御部31を介して以下のような連携制御を行う。すなわち、補給ライン16を通過する原水の硬度を原水硬度監視装置18で監視し、その測定結果を第2の制御部31に送信する。そして、第2の制御部31は、原水硬度監視装置18が所定値以上の原水硬度を検知したときは、RO膜21aへのスケール付着が増大するおそれがあると判断し、加圧ポンプ22と排水弁23に制御信号を送信し、透過水の回収率を低下させる。
【0069】
このように本実施の形態では原水硬度監視装置18とRO装置5とを第2の制御部31を介して連携制御している。
【0070】
尚、水位センサ25が上限値を検知すると、第2の制御部31は第1の制御部29に対する給水要求信号32を停止する。これにより、第1の制御部29は原水ポンプ1の停止指令を発し、給水制御弁10に閉弁指令を発する。第1の制御部29に対する給水要求信号32を停止した第2の制御部31は、タイマ44aにより所定時間(例えば、10秒)遅延させた後、給水処理ブロック7の各構成要素に運転停止指令を発し、水処理システムの運転を停止させる。
【0071】
また、第1の制御部29は、給水要求信号32の受信中に除鉄・除マンガンろ過装置2が再生モードに入ると、除鉄・除マンガンろ過装置2は第1の制御部29に再生処理信号を送信する。該第1の制御部29は、運転許可信号33を無効とし、これにより第2の制御部31は給水要求信号32を無効とし、給水処理ブロック7の運転を停止させる。そして、第1の制御部29は、給水要求信号32が無効になったことを確認してから、原水ポンプ1を停止すると共に、逆洗ポンプ14を駆動させて除鉄・除マンガンろ過装置2の再生処理を行う。すなわち、給水処理ブロック7の各構成要素は運転を停止すると共に、除鉄・除マンガンろ過装置2は、逆洗→休止→水洗の一連の再生処理を行い、ろ材を再生する。そして、再生処理が終了すると、運転許可信号33を有効にして原水ポンプ1を駆動させ、再び水処理システムの運転を開始する。
【0072】
また、前処理ブロック4のいずれかの構成要素に異常を生じたときは、第1の制御部29は第2の制御部31への運転許可信号33を無効にした上で異常検知信号34を送信し、第2の制御部31は警告灯の点滅や警報音等で異常を了知させる。そして、第2の制御部31は、異常発生時に水位センサ25が下限値を検知したときは、補給制御弁27を開弁し、別ライン26から別途水を処理水タンク6に補給する。
【0073】
このように本第1の実施の形態では、第1の制御部29は、前処理ブロック4が第2の制御部31からの給水要求信号32に応じて運転可能な状態にある場合は、常に第2の制御部31に運転許可信号33を送信する。第2の制御部31は給水が必要と判断した場合に第1の制御部29からの運転許可信号33が有効であれば、第1の制御部29に給水要求信号32を送信する。すなわち、第2の制御部31は第1の制御部29から運転許可信号33の受信を確認してから、第2の制御部31が第1の制御部29に給水要求信号32を送信するのみで、給水処理ブロック7の各構成要素は通水が可能となる。つまり、前処理ブロック4は給水処理ブロック7に対し仮想ポンプのような作用を呈し、給水処理ブロック7に原水が供給される。そして、給水処理ブロック7に供給された原水は、還元剤注入装置17により還元剤が注入され、RO装置5を経て、さらに必要に応じて次亜注入装置20により次亜塩素酸ナトリウムが注入され、処理水となって処理水タンク6に貯留される。
【0074】
また、制御ブロック8は、前処理ブロック4の各構成要素を司る第1の制御部29と給水処理ブロック7の各構成要素を司る第2の制御部31に分別されているので、第2の制御部31を標準化することにより、斯かる標準化された第2の制御部と、個別の又は標準化された第1の制御部29とを連携させて制御システムを構築することが可能となり、システム設計の大幅な期間短縮化とコストダウンを図ることが可能となる。
【0075】
図3は本発明に係る水処理システムの第2の実施の形態を示すシステム構成図であって、この第2の実施の形態では、軟水装置3が前処理ブロック45に属するのではなく、給水処理ブロック46に属するようにシステム構成されている。そして、制御ブロック47は、第1の実施の形態と同様、第1の制御部48と第2の制御部49とに分別されており、軟水装置3からの電気信号は第1の制御ライン50ではなく、第2の制御ライン51を介して第2の制御部49に接続されている。
【0076】
この第2の実施の形態で示すように軟水装置3が二筒式の場合、一方の軟水装置(例えば、第1の軟水装置3a)が再生モードのときは、他方の軟水装置(例えば、第2の軟水装置3b)が通水可能となるように三方弁15で切替えられるので、再生処理を理由に運転許可信号33を無効とする必要はない。したがって、軟水装置3は前処理ブロック及び給水処理ブロックのいずれに属させてもよい。
【0077】
本第2の実施の形態においても、第1の制御部49は、前処理ブロック45が第2の制御部49からの給水要求信号32に応じて運転可能な状態にある場合は、常に第2の制御部49に運転許可信号33を送信する。第2の制御部49は給水が必要と判断した場合に第1の制御部48からの運転許可信号33が有効であれば、第1の制御部48に給水要求信号32を送信する。すなわち、第2の制御部49は第1の制御部48から運転許可信号33の受信を確認してから、第2の制御部49が第1の制御部48に給水要求信号32を送信するのみで、給水処理ブロック46の各構成要素は通水が可能となる。つまり、前処理ブロック45は給水処理ブロック46に対し仮想ポンプのような作用を呈し、給水処理ブロック46に原水が供給される。給水処理ブロック46に供給された原水は、軟水装置3及びRO装置5を経て、必要に応じて次亜注入装置20により次亜塩素酸ナトリウムが注入され、処理水となって処理水タンク6に貯留される。
【0078】
また、本第2の実施の形態では、軟水装置3、原水硬度監視装置18、及びRO装置5との間で以下のような連携制御が可能となる。
【0079】
すなわち、原水硬度監視装置18により補給ライン16を通過する原水の硬度を監視し、原水硬度が所定値以上を示したときは、第1の実施の形態と同様、その測定結果を第2の制御部31に送信する。第2の制御部31は、RO膜21aへのスケール付着の増大するおそれがあると判断し、加圧ポンプ22と排水弁23に制御信号を送信し、透過水の回収率を低下させる。そして、現在通水中の軟水装置(例えば、第1の軟水装置3a)を再生モードとし、待機モードにある他方の軟水装置(例えば、第2の軟水装置3b)を通水モードとして給水制御を行うことができる。
【0080】
また、図示はしていないが、軟水装置3の上流側に原水硬度監視装置を配し、下流側に積算流量計を配し、これら原水硬度監視装置、軟水装置3、及び積算流量計を連携させて制御するのも好ましい。
【0081】
すなわち、原水硬度監視装置及び積算流量計の測定結果を第2の制御部46に送信し、第2の制御部は前記測定結果を積算して除去硬度質量を算出し、第2の制御部46に予め記憶されている陽イオン交換樹脂の交換能力が超えたときに軟水装置が再生処理を行うように連携制御するのも好ましい。そして、このような連携制御を行うことにより、単に内蔵タイマで通水モードと再生モードとを切替える場合に比べ、陽イオン交換樹脂の交換能力を無駄なく使い切ることができ、再生頻度も低減させることができ、再生時に使用する飽和食塩水の量を節減することが可能となる。
【0082】
図4は本発明に係る水処理システムの第3の実施の形態を示すシステム構成図であって、この第3の実施の形態では、単筒式の軟水装置52が、前処理ブロック53の構成要素に組み入れられると共に、該軟水装置52は、第1の制御ライン54を介して制御ブロック55の第1の制御部56に電気的に接続されている。
【0083】
すなわち、本第3の実施の形態では、第1の実施の形態における二筒式の軟水装置3a、3bに代えて単筒式の軟水装置52が原水供給ライン9上に配設されている。単筒式の軟水装置52の場合、再生処理中は給水処理ブロック7への通水を遮断する必要があることから、前処理ブロック53に含ませる必要がある。
【0084】
本第3の実施の形態では、軟水装置52が再生モードに突入すると、再生処理信号が第1の制御ライン54を介して第1の制御部56に送信され、該第1の制御部56は第2の制御部31に対し運転許可信号33を無効とし、給水処理ブロック7の運転を停止する。
【0085】
そして、本第3の実施の形態でも、第1及び第2の実施の形態と同様、第1の制御部56は、前処理ブロック53が第2の制御部31からの給水要求信号32に応じて運転可能な状態にある場合は、常に第2の制御部31に運転許可信号33を送信する。第2の制御部31は給水が必要と判断した場合に第1の制御部56からの運転許可信号33が有効であれば、第1の制御部56に給水要求信号32を送信する。すなわち、第2の制御部31は第1の制御部56から運転許可信号33の受信を確認してから、第2の制御部31が第1の制御部56に給水要求信号32を送信するのみで、給水処理ブロック7の各構成要素は通水が可能となる。つまり、前処理ブロック53は給水処理ブロック7に対し仮想ポンプのような作用を呈し、給水処理ブロック7に原水が供給される。そして、給水処理ブロック7に供給された原水は、還元剤注入装置17により還元剤が注入された後、RO装置5を経て、必要に応じて次亜注入装置20により次亜塩素酸ナトリウムが注入された処理水となって処理水タンク6に貯留される。
【0086】
図5は本発明に係る水処理システムの第4の実施の形態を示すシステム構成図であって、この第4の実施の形態では、前処理ブロック57が、再生型ろ過装置として除鉄・除マンガンろ過装置2に加え活性炭ろ過装置58を有し、かつ第2の実施の形態と同様、給水処理ブロック46は二筒式の軟水装置3を有している。
【0087】
すなわち、本第4の実施の形態では、第1の実施の形態における還元剤注入装置17に代えて、該還元剤注入装置17と略同様の作用を有する活性炭ろ過装置58を残留塩素濃度監視装置12と給水制御弁10との間に介装すると共に、活性炭ろ過装置58は、逆洗ライン13から分岐した分岐ライン59を介して逆洗ポンプ14に接続されるように構成されている。
【0088】
活性炭ろ過装置58は、活性炭が層状に内蔵されており、原水に含有される残留塩素や有機物を除去する。さらに、活性炭ろ過装置58は、除鉄・除マンガンろ過装置2と同様、タイマが内蔵されており、原水の供給を定期的に遮断して再生処理を行う。すなわち、所定時間(例えば、0.5〜1/日)毎に再生モードに突入し、逆洗ポンプ14を駆動して処理水タンク6に貯留された処理水を活性炭ろ過装置58に供給して逆洗した後、所定時間経過後に水洗し、活性炭に付着したゴミ等の異物を除去し、再生する。
【0089】
また、再生処理信号は第1の制御ライン60を介して制御ブロック61の第1の制御部62に送信され、再生処理信号を受信した第1の制御部62は第2の制御部49に対し運転許可信号33を無効とし、給水処理ブロック46の運転を停止する。
【0090】
そして、本第4の実施の形態でも、第1〜第3の実施の形態と同様、第1の制御部62は、前処理ブロック57が第2の制御部49からの給水要求信号32に応じて運転可能な状態にある場合は、常に第2の制御部49に運転許可信号33を送信する。第2の制御部49は給水が必要と判断した場合に第1の制御部62からの運転許可信号33が有効であれば、第1の制御部62に給水要求信号32を送信する。すなわち、第2の制御部49は第1の制御部62から運転許可信号33の受信を確認してから、第2の制御部49が第1の制御部62に給水要求信号32を送信するのみで、給水処理ブロック46の各構成要素は通水が可能となる。つまり、前処理ブロック57は給水処理ブロック46に対し仮想ポンプのような作用を呈し、給水処理ブロック46に原水が供給される。そして、給水処理ブロック46に供給された原水は、軟水装置3及びRO装置5を経て、必要に応じて次亜注入装置20により次亜塩素酸ナトリウムが注入された処理水となって処理水タンク6に貯留される。
【0091】
図6は本発明に係る水処理システムの第5の実施の形態を示すシステム構成図であって、この第5の実施の形態では、給水処理ブロック63が、軟水装置の代替品としての作用を有する分散剤注入装置64を給水ライン16上に設ける。
【0092】
すなわち、分散剤注入装置64が、硬度監視装置18の前段の給水ライン16上に設けられている。この分散剤注入装置64にはカルボン酸重合体やホスフィノカルボン酸重合体等のスケール分散剤が貯留されている。設置スペース等の関係で軟水装置を配するのが困難な場合は、分散剤注入装置64を給水ライン16上に設けることができる。
【0093】
また、分散剤注入装置64は、制御ブロック65の第2の制御部66と第2の制御ライン67を介して電気的に接続されている。そして、給水要求信号32が有効であるときは、第2の制御部66は分散剤注入装置64に対し原水中に分散剤の注入指令を適宜発する。また、分散剤注入装置64にはレベルセンサ(不図示)が設けられており、分散剤の貯留量が所定下限値になると、レベル低下信号が第2の制御部66に送信され、その旨を警告灯又は警報音等でユーザに報知し、分散剤を補充すべきことを催告する。
【0094】
本第5の実施の形態においても、第1〜第4の実施の形態と同様、第1の制御部62は、前処理ブロック57が第2の制御部66からの給水要求信号32に応じて運転可能な状態にある場合は、常に第2の制御部66に運転許可信号33を送信する。第2の制御部66は給水が必要と判断した場合に第1の制御部62からの運転許可信号33が有効であれば、第1の制御部62に給水要求信号32を送信する。すなわち、第2の制御部66は第1の制御部62から運転許可信号33の受信を確認してから、第2の制御部66が第1の制御部62に給水要求信号32を送信するのみで、給水処理ブロック63の各構成要素は通水が可能となる。つまり、前処理ブロック57は給水処理ブロック63に対し仮想ポンプのような作用を呈し、給水処理ブロック63に原水が供給される。そして、給水処理ブロック63に供給された原水は、分散剤注入装置64により分散剤が注入された後、RO装置5を経て処理水タンク6に貯留される。
【0095】
図7は本発明に係る水処理システムの第6の実施の形態を示すシステム構成図であって、この第6の実施の形態では、前処理ブロック68が、再生型ろ過装置として除鉄・除マンガンろ過装置2及び活性炭ろ過装置58に加え砂ろ過装置69を有し、また、給水処理ブロック70は、3個のRO装置(第1〜第3のRO装置71a〜71c)が給水ライン16上に並列に配設されている。
【0096】
すなわち、砂ろ過装置69は、残留塩素監視装置12と活性炭ろ過装置58の間の給水ライン9上に配設されると共に、逆洗ポンプ14からの分岐ライン59をさらに分岐した第2分岐ライン72を介して逆洗ポンプ14に接続されている。
【0097】
砂ろ過装置69は、ろ過砂(必要に応じてアンスラサイト)が内蔵されており、原水に含有される懸濁物質を除去する。また、砂ろ過装置69は、除鉄・除マンガンろ過装置2や活性炭ろ過装置58と同様、タイマが内蔵されており、原水の供給を定期的に遮断して再生処理を行う。すなわち、所定時間(例えば、0.5〜1/日)毎に再生モードに突入し、逆洗ポンプ14を駆動して処理水タンク6に貯留された処理水を砂ろ過装置69に供給して逆洗した後、所定時間経過後に水洗し、ろ過砂等のろ材を再生する。
【0098】
また、再生処理信号は第1の制御ライン73を介して制御ブロック74の第1の制御部75に送信され、再生処理信号を受信した第1の制御部75は運転許可信号33を無効とし、第2の制御部76は運転許可信号33が有効となるまで第2の制御ライン77を介して給水処理ブロック65の運転停止を指令する。
【0099】
本第6の実施の形態においても、第1〜第5の実施の形態と同様、第1の制御部75は、前処理ブロック68が第2の制御部76からの給水要求信号32に応じて運転可能な状態にある場合は、常に第2の制御部76に運転許可信号33を送信する。第2の制御部76は給水が必要と判断した場合に第1の制御部75からの運転許可信号33が有効であれば、第1の制御部62に給水要求信号32を送信する。すなわち、第2の制御部76は第1の制御部75から運転許可信号33の受信を確認してから、第2の制御部76が第1の制御部75に給水要求信号32を送信するのみで、給水処理ブロック70の各構成要素は通水が可能となる。つまり、前処理ブロック68は給水処理ブロック70に対し仮想ポンプのような作用を呈し、給水処理ブロック70に原水が供給される。そして、給水処理ブロック70に供給された原水は、軟水装置3及びRO装置5を経て、必要に応じて次亜注入装置20により次亜塩素酸ナトリウムが注入され、処理水となって処理水タンク6に貯留される。
【0100】
本発明の水処理システムは、上記第1〜第6の実施の形態に示すように、制御ブロックを構成する第1の制御部と第2の制御部とを給水要求信号と運転許可信号とで連携することによって、両者を別個独立に設計することができ、種々の組み合わせのバリエーションが容易に可能となる。したがって、水処理システムの全体を一括して制御する場合に比べて、個々の開発コストを大幅に低減することが可能となる。
【0101】
しかも、配管に配設される各種センサと膜ろ過装置とを連携させながら付加価値の高い制御を実現することも容易となり、大幅なコスト高を招くことなく利便性の優れた水処理システムを実現することができる。
【0102】
さらに、第1の制御部及び第2の制御部の双方と第1及び第2の通信ラインを介して外部通信機器と交信できるので、外部通信機器から第1及び第2の制御部に指令を送信することも可能であり、より利便性の優れた水処理システムを実現することができる。
【0103】
また、上述したように第1の制御部及び第2の制御部を別個独立にシステム設計し、両者を連携して制御しているので、第1通信ラインと第2の通信ラインとで通信プロトコルが異なる場合であっても、システム制御に支障が生じることはなく、より汎用性の優れた水処理システムを実現することが可能となる。
【0104】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態では、膜ろ過装置は全てRO装置を使用したが、MF膜を搭載したMF装置、UF膜を搭載したUF装置、NF膜を搭載したUF装置についても、処理動作は略同様であり、前処理ブロックを仮想ポンプとした制御体系の実現が可能であるのはいうまでもない。
【0105】
また、上記各実施の形態では、再生型ろ過装置の再生を処理水タンクに貯留された処理水を使用して行っているが、原水の水質によっては原水で逆洗するようにしてもよい。
【0106】
また、上記実施の形態では第1及び第2の制御部の双方が、第1及び第2の通信ラインを介して外部通信機器と交信できるようにしているが、必要に応じ第1又は第2の制御部のいずれか一方のみと通信できるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明に係る水処理システムの一実施の形態(第1の実施の形態)を示すシステム構成図である。
【図2】第1の実施の形態の制御系の詳細を示すブロック構成図である。
【図3】本発明に係る水処理システムの第2の実施の形態を示すシステム構成図である。
【図4】本発明に係る水処理システムの第3の実施の形態を示すシステム構成図である。
【図5】本発明に係る水処理システムの第4の実施の形態を示すシステム構成図である。
【図6】本発明に係る水処理システムの第5の実施の形態を示すシステム構成図である。
【図7】本発明に係る水処理システムの第6の実施の形態を示すシステム構成図である。
【符号の説明】
【0108】
1 原水ポンプ
2 除鉄・除マンガンろ過装置(再生型ろ過装置)
3、52 軟水装置
4、45、53、57、68 前処理ブロック
5、71a〜71c RO装置(膜ろ過装置)
6 処理水タンク
7、46、63、70 給水処理ブロック
8、55、61、65、74 制御ブロック(制御手段)
11 次亜注入装置(第1の薬剤注入手段)
12 残留塩素濃度監視装置(第1の監視手段)
14 逆洗ポンプ(逆洗手段)
17 還元剤注入装置(第2の薬剤注入手段)
18 原水硬度監視装置(第2の監視手段)
20 次亜注入装置(第2の薬剤注入手段)
26 別ライン
29、48、56、62、75 第1の制御部
31、49、66、76 第2の制御部
32 給水要求信号
33 運転許可信号
34 異常検出信号
58 活性炭ろ過装置
64 分散剤注入装置(第2の薬剤注入装置)
69 砂ろ過装置(再生型ろ過装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも原水ポンプと再生型ろ過装置とを構成要素として含む前処理ブロックと、
前記前処理ブロックから給水される被処理水を処理する膜ろ過装置と該膜ろ過装置を透過した処理水を貯留する処理水タンクとを構成要素として含み、給水量の調整機能を有する給水処理ブロックと、
前記前処理ブロック及び前記給水処理ブロックを制御する制御手段とを備えた水処理システムにおいて、
前記制御手段が、前記前処理ブロックの各構成要素の制御を司る第1の制御部と、前記給水処理ブロックの各構成要素の制御を司る第2の制御部とに分別され、
前記第1の制御部と前記第2の制御部とが電気的に接続されると共に、前記第1の制御部は前記第2の制御部に対し運転許可信号を送信し、前記第2の制御部は前記第1の制御部に対し給水要求信号を送信することを特徴とする水処理システム。
【請求項2】
前記第1の制御部は、前記前処理ブロックの各構成要素の異常を検知する異常検知手段と、該異常検知手段によりいずれかの構成要素の異常を検知したときは第2の制御部に異常を報知する異常報知手段とを有し、
前記第2の制御部は、前記異常報知手段からの信号を受信したときは、前記前処理ブロック以外の別経路を介して前記処理水タンクに水の補給を可能とする補給手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の水処理システム。
【請求項3】
前記第1の制御部は、前記前処理ブロックのいずれかの構成要素が強制的に給水を停止するときは前記運転許可信号を無効とする無効手段を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の水処理システム。
【請求項4】
前記第1の制御部及び前記第2の制御部のうちの少なくともいずれかの制御部が、外部通信機器に接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の水処理システム。
【請求項5】
前記再生型ろ過装置には、除鉄・除マンガンろ過装置、砂ろ過装置、活性炭ろ過装置、及びこれらの組み合わせのいずれかが含まれていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の水処理システム。
【請求項6】
前記前処理ブロックには、少なくとも塩素系化合物を含む薬剤を注入する第1の薬剤注入手段、残留塩素濃度を監視する第1の監視手段、前記再生型ろ過装置を逆洗して再生する逆洗手段、及びこれらの組み合わせのうちのいずれかが含まれていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の水処理システム。
【請求項7】
前記膜ろ過装置には、精密ろ過装置、限外ろ過装置、ナノろ過装置、逆浸透ろ過装置、及びこれらの組み合わせのいずれかが含まれていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の水処理システム。
【請求項8】
前記給水処理ブロックには、硬度を監視する第2の監視手段、還元剤及び塩素系化合物のいずれかを含む薬剤を注入する第2の薬剤注入手段、及びこれらの組み合わせのいずれかが含まれていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の水処理システム。
【請求項9】
前記薬剤には、硬度成分を分散させる分散剤が含まれることを特徴とする請求項6又は請求項8記載の水処理システム。
【請求項10】
軟水装置が、前記前処理ブロック及び前記給水処理ブロックのうちのいずれか一方のブロックに設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の水処理システム。
【請求項11】
前記第2の制御部は、前記給水処理ブロックの運転開始タイミング及び運転停止タイミングを前記前処理ブロックの運転開始タイミング及び運転停止タイミングよりも所定時間遅延させる遅延手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の水処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−112921(P2009−112921A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287457(P2007−287457)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)
【Fターム(参考)】