説明

水分量制御装置及び水分量制御プログラム

【課題】過不足なく加湿すること。
【解決手段】水分量制御装置は、車両に設けられた電極と被験者との接触部に送風する。また、水分量制御装置は、送風される空気中に水分を添加する。また、水分量制御装置は、車両の位置を示す位置情報を取得する。また、水分量制御装置は、位置情報に基づいて、添加する水分量を制御する。例えば、水分量制御装置は、位置情報に基づいて車両が定常走行中であるか否かを判定する。そして、例えば、水分量制御装置は、定常走行中であると判定した場合に、添加する水分量が増加するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分量制御装置及び水分量制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
被験者の脈拍や心拍の状態を用いて、被験者の生理状態を検出する検出装置がある。例えば、車両に設けられた検出装置は、運転者の生理状態を検出することで、生理状態悪化による事故発生を抑止する。
【0003】
例えば、検出装置は、被験者と接触した2つの電極間の電位差信号を測定し、測定した電位差信号から被験者の脈拍や心拍を示す心電信号を識別する。そして、検出装置は、識別した心電信号を用いて、被験者の生理状態として眠気や覚醒度などを検出する。
【0004】
例えば、被験者に接触される電極は、車両の操舵部(ハンドル)や座面などに設けられる。座面に設けられた電極は、被験者が座席に座わることで、被験者の臀部と接触する。ハンドルに設けられた電極は、被験者がハンドルを握ることで、被験者の手と接触する。
【0005】
電極は、被験者の衣服を介して被験者と接触することがある。例えば、座面に設けられた電極は、スカートやジーンズなどを介して被験者と接触する。また、衣服には様々な種類があり、吸水性や生地の厚さや電気信号の通しやすさなども衣服ごとに様々である。
【0006】
ここで、被験者と接触した2つの電極間の電位差信号を測定する際に、電極近傍の相対湿度を高める相対湿度装置がある。つまり、相対湿度装置は、電極近傍にある衣服を加湿することで電気信号を通りやすくし、被験者の電気信号を検知しやすくする。
【0007】
なお、相対湿度は、大気中に含まれる水蒸気の圧力を、現在の温度における飽和水蒸気圧で除算することで得られる値を示す。例えば、相対湿度が「100%」であれば、大気中の水蒸気量が飽和したことになり、結露が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−142576号公報
【特許文献2】特開2006−198403号公報
【特許文献3】特開2009−106673号公報
【特許文献4】特開2009−106675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の相対湿度装置では、相対湿度を一定に制御しており、状況によっては加湿が不足したり過剰であったりしたという課題があった。この結果、例えば、加湿が不足した場合には、心電信号を識別できなかった。また、例えば、加湿が過剰である場合には、被験者を不快にさせていた。
【0010】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、過不足なく加湿可能である水分量制御装置及び水分量制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
開示する水分量制御装置は、一つの態様において、車両に設けられた電極と被験者との接触部に送風する送風部を備える。また、水分量制御装置は、前記送風部によって送風される空気中に水分を添加する水分添加部を備える。また、水分量制御装置は、前記車両の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部を備える。また、水分量制御装置は、前記位置情報取得部によって取得された位置情報に基づいて、前記水分添加部によって添加される水分量を制御する水分量制御部を備える。
【発明の効果】
【0012】
開示する水分量制御装置の一つの態様によれば、過不足なく加湿可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施例1に係る水分量制御装置の構成の一例について説明するブロック図である。
【図2】図2は、実施例2に係る水分量制御装置の構成の一例について説明するブロック図である。
【図3】図3は、実施例2におけるハンドル電極の一例について説明する図である。
【図4】図4は、車両のシートに設けられたシート上部電極やシート下部電極の一例について説明する図である。
【図5】図5は、実施例2における電位測定部により測定される電位について説明する図である。
【図6A】図6Aは、実施例2における送風部について説明する図である。
【図6B】図6Bは、実施例2における送風部について説明する図である。
【図7】図7は、ノイズ量と加湿や除湿との関係について説明する図である。
【図8】図8は、実施例2における水分量制御部による処理について説明する図である。
【図9】図9は、実施例2に係る水分量制御装置による処理の流れの一例について説明するフローチャートである。
【図10】図10は、乾燥した空気を加湿制御時に併せて送風する場合について説明する図である。
【図11】図11は、電極と接触した被験者の衣服の一部分に対して強く加湿する場合について説明する図である。
【図12】図12は、実施例2に係る水分量制御プログラムを実行するコンピュータの一例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本願の開示する水分量制御装置及び水分量制御プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施例により開示する発明が限定されるものではない。各実施例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【実施例1】
【0015】
図1を用いて、実施例1に係る水分量制御装置100の構成の一例について説明する。図1は、実施例1に係る水分量制御装置の構成の一例について説明するブロック図である。水分量制御装置100は、図1に示す例では、送風部101と、水分添加部102と、位置情報取得部103と、水分量制御部104とを有する。
【0016】
送風部101は、車両に設けられた電極と被験者との接触部に送風する。水分添加部102は、送風部101によって送風される空気中に水分を添加する。位置情報取得部103は、車両の位置を示す位置情報を取得する。水分量制御部104は、位置情報取得部103によって取得された位置情報に基づいて、水分添加部102によって添加される水分量を制御する。
【0017】
すなわち、車両の走行位置によっては、電位差信号を精度良く検知する必要が高かったり低かったりすることを踏まえ、水分量制御装置100は、車両の現在地に基づいて、電極と被験者とが接触した接触部への加湿の強さを変える。この結果、実施例1に係る水分量制御装置100によれば、過不足なく加湿可能である。
【実施例2】
【0018】
[実施例2に係る水分量制御装置の構成]
次に、実施例2に係る水分量制御装置200について説明する。図2を用いて、実施例2に係る水分量制御装置200の構成の一例について説明する。図2は、実施例2に係る水分量制御装置の構成の一例について説明するブロック図である。水分量制御装置200は、図2に示す例では、自動車を一例とする車両に搭載され、また、ナビゲーション装置150と接続される。また、水分量制御装置200は、図2に示す例では、ハンドル電極201と、シート上部電極202と、シート下部電極203と、電位測定部204とを有する。また、水分量制御装置200は、送風部205と、水分添加部206と、入出力インターフェイス部207と、記憶部300と、制御部400とを有する。車両は、車両を運転する被験者による操作によって移動するものであれば、自動車に限る必要は無い。
【0019】
(ナビゲーション装置)
ナビゲーション装置150は、水分量制御装置200と接続される。ナビゲーション装置150は、例えば、車両に設けられる。ナビゲーション装置150は、車両を運転する被験者から目的地を示す目的地情報が入力されると、車両の現在地を示す位置情報を取得し、渋滞情報を取得し、地図情報を取得する。そして、ナビゲーション装置150は、取得した位置情報や渋滞情報、地図情報を用いて、現在地から目的地までの行き方を示す行方情報を作成し、作成した行方情報を被験者に報知する。なお、ナビゲーション装置150は、例えば、GPS(Global Positioning System)を用いて車両の現在地を取得する。ナビゲーション装置150は、例えば、カーナビゲーションやPND(Portable Navigation Device、Personal Navigation Device)などが該当する。
【0020】
ナビゲーション装置150は、現在の位置を示す位置情報や目的地情報などを要求する要求指示を水分量制御装置200から受信すると、位置情報や地図情報、目的地情報、行方情報、渋滞情報などを水分量制御装置200に出力する。なお、実施例2では、水分量制御装置200とナビゲーション装置150とが別装置である場合を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、水分量制御装置200とナビゲーション装置150とが一つの装置であっても良い。例えば、水分量制御装置200は、図2の制御部400に示した各部と同等の機能がナビゲーション装置150に搭載されることで実現されても良い。
【0021】
(電極)
以下では、特に言及しない限り、電極としてハンドル電極201が車両のハンドルに設けられ、また電極としてシート上部電極202とシート下部電極203とが車両のシート座面に設けられる場合を例に説明する。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、ハンドル電極201とシート上部電極202とは、被験者の心臓を間に挟む2つの位置に設けられれば良い。例えば、ハンドル電極201とシート上部電極202とは、車両のハンドルとシートの背もたれとにそれぞれ設けられても良く、任意の位置を組み合わせて良い。また、シート上部電極202とシート下部電極203とは、被験者の心臓を間に挟む2つの位置の一方に両方が設けられれば良い。例えば、シート上部電極202とシート下部電極203とは、シートの背もたれに設けられても良く、任意の場所に設けられて良い。
【0022】
ハンドル電極201は、電位測定部204と接続される。なお、ハンドルは、操舵部やステアリングホイールとも称される。図3を用いて、ハンドル電極201の構造の一例について説明する。図3は、実施例2におけるハンドル電極の一例について説明する図である。図3の501は、ハンドルを示す。図3の「1」及び「2」は、それぞれ、ハンドル電極201を示す。図3の(1)に示すように、2個のハンドル電極201が、ハンドル501の円周方向に沿って均等な大きさで設けられた場合を例に示した。以下では、「2」個あるハンドル電極201それぞれについて、ハンドル電極「1」やハンドル電極「2」と記載する。
【0023】
なお、以下では、特に言及しない限り、ハンドル電極201は、ハンドル501に2個設けられる場合を例に説明する。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、ハンドル501に1個設けられても良く、3個以上設けられても良く、任意の数設けられて良い。
【0024】
ハンドル電極201は、ハンドル501が被験者に握られることで、被験者と電気的に接触する。図3の(2)に示す例では、ハンドル電極「1」は被験者の右手と接触し、ハンドル電極「2」は被験者の左手と接触する。なお、以下の説明では、電気的に接触している状態を、単に、接触していると表現する場合もある。
【0025】
シート上部電極202とシート下部電極203とについて説明する。シート上部電極202とシート下部電極203とは、電位測定部204と接続される。シート上部電極202は、ハンドル501に設けられた電極とは別の箇所に設けられる。例えば、シート上部電極202とシート下部電極203とは、車両のシート502に設けられる。シート下部電極203は、アースと接地され、車両の電位と等しくなる。シート下部電極203は、水分量制御装置100によって基準電極として用いられる。
【0026】
図4を用いて、車両のシート502に設けられたシート上部電極202やシート下部電極203の一例について説明する。図4は、車両のシートに設けられたシート上部電極やシート下部電極の一例について説明する図である。図4の(1)は、車両のシート上部から見た図であり、図4の(2)は、車両のシートの断面図である。図4において、502は車両のシートを示し、503はシート502の部材であるシート部材を示し、504はシート下部電極203を示し、505は絶縁層を示し、506と507とはシート上部電極202を示す。また、図4において、508は保護部材を示し、509は導電部を示す。
【0027】
図4に示す例では、シート部材503上に、シート下部電極504、絶縁層505、シート上部電極506や507、保護部材508が順に積層される。また、保護部材508には、導電部509が設けられる。導電部509は、シート上部電極506や507と接続される。例えば、保護部材508は、開口部を有し、導電部509は、開口部の内壁に設けられる。図4に示す例では、図4の506と507とに示すように、シート上部電極506や507は、2つに分離している場合を例に示した。この場合、シート上部電極506と507とは、それぞれ、被験者の臀部の右側と左側とに対応する。シート下部電極504は、絶縁層505を介してシート上部電極506や507と対向する。なお、シート上部電極202は、複数に分離している場合に限定されるものではなく、分離していなくても良い。
【0028】
なお、以下では、2つに分離したシート上部電極506と507とを区別しない場合を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、2つに分離したシート上部電極506と507と、それぞれ電気的に独立し、後述する電位測定部204が、シート上部電極506と507とについて、別個に電位を測定しても良い。
【0029】
図2の説明に戻る。シート上部電極202は、被験者がシート502に着座することで被験者と接触する。図4に示す例では、被験者がシート502に着座する結果、シート上部電極202が導電部509を介して被験者の臀部と接触する。なお、実施例2では、特に言及しない限り、シート上部電極202が被験者と接触した場合を例に説明する。つまり、実施例2では、被験者がシート502に着座した場合を例に説明する。
【0030】
(電位測定部)
電位測定部204は、ハンドル電極201、シート上部電極202、シート下部電極203及び制御部400と接続される。電位測定部204は、オペアンプが該当する。電位測定部204は、被験者の心臓を間に挟む2つの位置の電位をそれぞれ測定する。具体的には、電位測定部204は、車両の電位を基準電位とした場合におけるハンドル電極201やシート上部電極202の電位をそれぞれ測定する。つまり、電位測定部204は、ハンドル電極「1」やハンドル電極「2」の電位を測定することで被験者の手の電位を測定し、シート上部電極202の電位を測定することで被験者の臀部の電位を測定する。
【0031】
図5を用いて、電位測定部204により測定される電位について更に説明する。図5は、実施例2における電位測定部により測定される電位について説明する図である。図5では、説明の便宜上、「2」個あるハンドル電極201が、それぞれ、被験者の左右の手によって接触された場合を例に説明する。
【0032】
被験者の心臓から腕までは、電気的には抵抗成分とみなせる。被験者の手は、電気的にはRC(resistor capacitor)並列回路とみなせる。被験者の心臓から臀部までは電気的には抵抗成分とみなせる。また、手袋やズボンやスカートなどの着衣は電気的にはRC並列回路とみなせる。この結果、被験者自身を含む等価回路は図5に示すようになる。図5において、510から512は、オペアンプを示し、電位測定部204に対応する。513は被験者の心臓を示す。514は、運転者の心臓513から右腕までの抵抗成分を示す。515は、右手に対応するRC並列回路を示す。516は、運転者の心臓513から左腕までの抵抗成分を示す。517は、左手に対応するRC並列回路を示す。518は、心臓513から臀部までの抵抗成分を示す。519は、被験者の衣服に対応するRC並列回路を示す。
【0033】
図5に示すように、オペアンプ510は、2つの入力を有する。オペアンプ510は、一方の入力に対して、抵抗514とRC並列回路515とを経由して心臓513の心筋活動電位がハンドル電極「1」から入力され、他方の入力に対して、基準電位となる車体の電位がシート下部電極203から入力される。そして、オペアンプ510は、車体フレームの電位を基準電位とした場合における心筋活動電位を増幅した上で出力する。つまり、図5に示す例では、オペアンプ510は、運転者の右手から心筋活動電位を検知し、検出した心筋活動電位を増幅した上で出力する。
【0034】
また、オペアンプ511は、オペアンプ510と同様に、抵抗516とRC並列回路517とを経由して心臓513の心筋活動電位がハンドル電極「2」から入力され、心筋活動電位を増幅した上で出力する。つまり、オペアンプ511は、運転者の左手から心筋活動電位を検知し、増幅した上で出力する。
【0035】
また、オペアンプ512は、オペアンプ510と同様に、抵抗518とRC並列回路519とを経由して心臓513の心筋活動電位がシート上部電極202から入力され、心筋活動電位を増幅した上で出力する。つまり、オペアンプ512は、運転者の臀部から心筋活動電位を検知し、増幅した上で出力する。
【0036】
なお、オペアンプ510〜512が心筋活動電位を増幅した上で送るのは、車体フレームの電位を基準電位とした場合における心筋活動電位が微弱だからである。また、オペアンプ510〜512は、固定の増幅率を用いて増幅する。また、被験者の臀部から検知される心筋活動電位は、RC並列回路519を介して検知される結果、つまり、被験者の衣服を介して検知される結果、被験者の手から検知される心筋活動電位と比較して小さい。言い換えると、被験者の臀部から検知される心筋活動電位は、被験者の手から検知される心筋活動電位と比較して、ノイズが大きい。
【0037】
(送風部及び水分添加部)
送風部205と水分添加部206とは、協働することで、電極と被験者とが接触する接触部を加湿したり除湿したりする。送風部205について説明する。送風部205は、水分添加部206及び制御部400と接続される。送風部205は、例えば、車両の空調装置が該当する。送風部205は、ハンドル電極201やシート上部電極202と被験者とが接触する接触部に対して送風する。なお、送風部205によって送風される空気中には、水分添加部206によって水分が添加される。
【0038】
図6Aや図6Bを用いて、実施例2における送風部205について説明する。図6Aや図6Bは、実施例2における送風部について説明する図である。図6Aや図6Bに示す例では、車両のシートが、被験者に風を送るための送風路を座面に有する場合を例に説明する。
【0039】
図6Aや図6Bにおいて、501はハンドル電極201を示し、502は車両のシートを示す。また、図6Aや図6Bにおいて、520は、車両のシート502のうち、シート上部電極202やシート下部電極203が設けられた部分を示す。また、図6Aや図6Bにおいて、521や522は、送風部205によって送風される空気の流れを示す。
【0040】
図6Aに示す例では、送風部205は、車両のシート502に設けられた送風路を介して、シート502の座面から被験者に向けて送風する。例えば、図6Bに示す例では、送風部205は、シート上部電極202やシート下部電極203を貫通して設けられた送風部を介して、シート502の座面と被験者との接触部に対して送風する。
【0041】
水分添加部206について説明する。水分添加部206は、送風部205及び制御部400と接続される。水分添加部206は、例えば、車両の空調装置が該当する。水分添加部206は、送風部205によって送風される空気中に水分を添加する。例えば、水分添加部206は、被験者の衣服を加湿する場合には、送風部205によって送風される空気中に水分を添加する。また、例えば、水分添加部206は、被験者の衣服を除湿する場合には、送風部205によって送風される空気中に水分を添加しなかったり、送風部205によって送風される空気中から水分を除去したりする。つまり、水分添加部206によって添加される水分量を低くする結果、被験者と電極とが接触する接触部に送風される空気中に含まれる水分量が減少し、送風される空気が接触部から水分を奪う。この結果、接触部が乾燥する。水分添加部206の例として、水分を霧状にする超音波式のミスト発生器が考えられる。
【0042】
つまり、例えば、水分添加部206が、送風部205によって送られる空気中に水分を添加した場合には、接触部は加湿される。また、例えば、水分添加部206が、送風部205によって送られる空気中から水分を除去した場合には、接触部は除湿される。
【0043】
ここで、図7を用いて、電位測定部204によって測定される信号に含まれるノイズ量と、加湿や除湿との関係について簡単に説明する。図7は、ノイズ量と加湿や除湿との関係について説明する図である。図7の601〜605は、電位測定部204によって測定される信号を示す。また、図7の606は、電位測定部204によって測定される信号に含まれるノイズを示し、図7の607は、電位測定部204によって測定される信号に含まれる心拍信号を示す。また、図7の611に示す矢印は、加湿した場合における電位差信号の変化の方向を示し、図7の612は、除湿した場合における電位差信号の変化の方向を示す。
【0044】
図7の611に示すように、電位測定部204によって測定される信号は、電極と被験者との接触部が加湿されると、ノイズが減少する。つまり、図7に示すように、601〜605へと変化するに従って、ノイズが減少する。また、図7の612に示すように、電位測定部204によって測定される信号は、電極と被験者との接触部が除湿されると、ノイズが増加する。つまり、図7に示すように、605〜601へと変化するに従って、ノイズは増加する。
【0045】
(入出力インターフェイス部)
入出力インターフェイス部207は、制御部400と接続される。入出力インターフェイス部207は、制御部400からの情報をナビゲーション装置150に出力し、ナビゲーション装置150から受信した情報を制御部400に送る。なお、入出力インターフェイス部207によって入出力される情報については、ここでは説明を省略し、関係する各部について説明する際に併せて説明する。
【0046】
(記憶部)
記憶部300は、制御部400と接続される。記憶部300は、制御部400による各種処理に用いるデータを記憶する。記憶部300は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、又は、ハードディスクや光ディスクなどの記憶装置である。
【0047】
(制御部)
制御部400は、電位測定部204、送風部205、水分添加部206、入出力インターフェイス部207及び記憶部300と接続される。制御部400は、各種の処理手順などを規定したプログラムを記憶する内部メモリを有し、種々の処理を制御する。制御部400は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)などの電子回路である。制御部400は、図2に示す例では、電位差測定部401と、拍識別部402と、位置情報取得部403と、水分量制御部404とを有する。
【0048】
電位差測定部401は、被験者の心臓を間に挟む2つの位置に設けられた2つの電極間の電位差を測定し、被験者の心臓を間に挟む2つの位置の一方に設けられた2つの電極間の電位差を測定する。以下では、ある瞬間の電位差の値に限定せず、ある時間位置から継続して測定された電位差の値各々を電位差信号と記載する。
【0049】
具体的には、電位差測定部401は、ハンドルとは別の箇所に設けられた電極とハンドル電極201との間の電位差信号を測定する。つまり、電位差測定部401は、ハンドル電極201とシート下部電極203との間の電位差信号を測定する。より詳細には、電位差測定部401は、ハンドル電極「1」とシート下部電極203との間の電位差信号を測定し、ハンドル電極「2」とシート下部電極203との間の電位差信号を測定する。また、電位差測定部401は、シート上部電極202とシート下部電極203との間の電位差信号を測定する。
【0050】
また、電位差測定部401は、ハンドルに設けられた複数のハンドル電極201電極のうち2つの電極間の電位差信号を測定する。つまり、例えば、電位差測定部401は、ハンドル電極「1」とハンドル電極「2」との間の電位差信号を測定する。より詳細には、ハンドル電極「1」とシート下部電極203との間の電位差と、ハンドル電極「2」とシート下部電極203との間の電位差との差を測定することで、ハンドル電極「1」とハンドル電極「2」との間の電位差信号を測定する。
【0051】
ところで、被験者が車両のシートに座っていたとしても、複数あるハンドル電極201には被験者の手と接触したものもあれば、接触していないものもある。また、複数あるハンドル電極201のすべてが、被験者と接触していない場合もある。ここで、被験者の手と接触した接触電極から算出される電位と、被験者の手と接触していない未接触電極から算出された電位とは、異なる値を示す。
【0052】
具体的には、運転者は車両と接触している。このため、ハンドル電極201は、運転者によって接触されると、車両の電位である基準電位に近い電位を検知する。言い換えると、接触電極では、未接触電極によって検知される電位と比較して、基準電位に近い値が検知される。なお、シート上部電極202もまた、運転者の臀部と接触する。このため、シート上部電極202では、未接触電極にて検知される電位よりも基準電位に近い値が検知される。
【0053】
このことを踏まえ、電位差測定部401は、電位の値に基づいて、被験者と電極とが接触したかを判定する。そして、電位差測定部401は、複数のハンドル電極201と被験者とが接触したと判定した場合には、ハンドルに設けられた複数のハンドル電極201電極のうち2つの電極間の電位差信号を測定する。また、電位差測定部401は、一つのハンドル電極201と被験者とが接触したと判定した場合には、ハンドル電極201とシート上部電極202との間の電位差信号を測定する。
【0054】
また、電位差測定部401は、電位差信号に対して各種フィルタリングを行うことで、受信した電位差信号に含まれるノイズを軽減しても良い。つまり、電位差測定部401は、電位差信号に含まれる成分のうち、心筋活動電位に関する成分以外の成分を軽減しても良い。
【0055】
例えば、電位差測定部401は、ノッチフィルタや、バンドパスフィルタ、相関フィルタを順に用いてフィルタリングしても良い。なお、ノッチフィルタは、特定の周波数の信号を減衰させるフィルタである。バンドパスフィルタは、特定の周波数を通過させるフィルタである。相関フィルタは、信号に対して、逆拡散処理(相関処理)を行うフィルタである。
【0056】
拍識別部402は、電位差測定部401によって測定された電位差信号から、心筋活動電位に関する成分を識別する。つまり、拍識別部402は、被験者の脈拍や心拍を示す心電信号を識別する。
【0057】
位置情報取得部403は、車両の位置を示す位置情報を取得する。また、位置情報取得部403は、車両の目的地を示す目的地情報を取得する。なお、位置情報取得部403は、目的地取得部とも称する。例えば、位置情報取得部403は、入出力インターフェイス部207を介して要求指示をナビゲーション装置150に送信し、ナビゲーション装置150から入出力インターフェイス部207を介して目的地情報や位置情報を取得する。以下では、位置情報取得部403が、目的地情報や位置情報だけでなく、行方情報などもナビゲーション装置150から取得する場合を用いて説明する。
【0058】
水分量制御部404は、位置情報に基づいて、水分添加部206によって添加される水分量を制御する。具体的には、水分量制御部404は、加湿制御すべき地点に近づいたかを位置情報に基づいて判定し、また、除湿制御すべき地点に近づいたかを位置情報に基づいて判定する。ここで、水分量制御部404は、加湿制御すべき地点に近づいたと判定すると、加湿制御を実行する。例えば、水分量制御部404は、水分添加部206によって添加される水分量が増加するように制御する。
【0059】
また、水分量制御部404は、除湿制御すべき地点に近づいたと判定すると、除湿制御を実行する。例えば、水分量制御部404は、水分添加部206によって添加される水分量が減少するように制御する。なお、水分量制御部404は、加湿制御すべき地点にも除湿制御すべき地点にも近づいていないと判定すると、快適制御を実行する。つまり、例えば、水分量制御部404は、接触部の湿り気を被験者が不快に感じない程度に維持する制御を実行する。
【0060】
ここで、加湿制御すべき地点とは、被験者が眠る可能性が高かったり、被験者が体を動かすことが多かったり、事故が起きやすい地点を示す。例えば、加湿制御すべき地点には、高速道路や、定常走行中となる地点、渋滞の最後尾が近くにある地点などが該当する。また、除湿制御すべき地点とは、被験者の生理状態を検出しなくても良い地点を示し、言い換えると、電位差信号を検出しなくても良い地点を示す。例えば、除湿制御すべき地点には、目的地の周辺であったり、降車地点周辺であったりする場合が該当する。
【0061】
なお、定常走行中となる地点とは、車両のハンドルやアクセル、ブレーキ、ギアなどを被験者が車両に対して操作する操作量が、所定の閾値よりも小さくなる地点を示す。操作量が所定の閾値よりも小さくなる地点として、例えば、高速道路を含む自動車専用道路のように一定速度で走行する地点が該当する。一般道であっても、交差点が少ない道路や、カーブが少ない道路、道幅が広く運転しやすい道路などを定常走行となる地点に含めても良い。
【0062】
ここで、高速道路を走行中であったり、定常走行中となる地点であったりする場合には、被験者による運転操作が単調になる傾向があり、被験者が眠る、すなわち生理状態が悪化する可能性が高いと考えられる。生理状態の悪化は事故の原因となる場合があるので、そのような地点は、生理状態を検出し損ねることは望ましくない地点である。また、高速道路を走行中であったり、定常走行中となる地点であったりする場合には、被験者が自ら眠気を覚ます為に運転操作以外で体を動かすことが多いと考えられる。そして、体の動きに起因して発生する静電気により、電位差信号に含まれるノイズの強度が増加すると考えられる。このため、水分量制御部404は、加湿制御することで、拍識別部402が拍を精度良く検出できるように制御する。また、渋滞の最後尾が近くにある地点では、例えば追突事故などの事故が起きやすいと考えられる。このため、水分量制御部404は、加湿制御することで、拍識別部402が拍を精度良く検出できるように制御する。
【0063】
また、降車時に被験者の衣服が湿っていると、被験者が不快に感じる。このため、水分量制御部404は、除湿処理を実行することで、降車後に被験者を不快にさせることを防止する。
【0064】
加湿制御すべき地点に近づいたかを判定する処理について更に説明する。例えば、水分量制御部404は、位置情報によって示される現在地が高速道路であるかを判定することで、高速道路であるかを判定する。より詳細には、水分量制御部404は、高速道路を示す位置情報を取得すると、高速道路であると判定する。そして、水分量制御部404は、高速道路であると判定すると、加湿制御を実行する。
【0065】
また、例えば、水分量制御部404は、位置情報の経時変化が一定であるかを判定することで、定常走行中となる地点かを判定する。より詳細には、水分量制御部404は、位置情報を一定間隔ごとに取得する。そして、水分量制御部404、例えば、取得した位置情報によって示される位置各々間の距離が一定である場合に、定常走行中となる地点であると判定する。そして、水分量制御部404は、定常走行中となる地点であると判定すると、加湿制御を実行する。
【0066】
また、例えば、水分量制御部404は、渋滞情報を取得した場合には、渋滞の最後尾から所定距離に現在地があるかを判定することで、渋滞の最後尾が近くにある地点であるかを判定する。より詳細には、水分量制御部404は、渋滞の最後尾を示す地点を渋滞情報から識別し、現在地からの距離を算出する。そして、水分量制御部404は、算出した距離が所定閾値以下である場合に、渋滞の最後尾が近くにある地点であると判定する。距離についての所定閾値は、例えば、渋滞の最後尾を示す地点に「10分」程度で到着する距離が用いられる。なお、距離についての所定閾値として、「10分」程度で到着する距離を例に示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、任意の値を用いて良い。
【0067】
ここで、水分量制御部404は、現在位置が、予め定められた定常走行中となる地点であるかを判定しても良い。一般道を走行中である場合には、被験者はハンドルやアクセル、ブレーキを操作することが多いと考えられ、被験者が眠る可能性は低いと考えられる。また、高速走行中であっても、高速道路にて走行を開始した直後や、高速道路から一般道に出る前であれば、被験者はハンドルやアクセル、ブレーキを操作することが多いと考えられ、被験者が眠る可能性は低いと考えられる。このため、水分量制御部404は、高速道路走行上であって、さらに、インターチェンジやサービスエリアから所定距離以上は離れている領域を定常走行となる地点と予め定めておき、現在位置が定常走行中となる地点であると判定した場合に、加湿制御を実行しても良い。
【0068】
除湿制御すべき地点に近づいたかを判定する処理について更に説明する。例えば、水分量制御部404は、目的地情報によって示される目的地から所定の範囲内に現在の位置情報によって示される位置があるかを判定する。そして、水分量制御部404は、所定の範囲内にあると判定した場合に、水分添加部206によって添加される水分量が減少するように制御する。所定の範囲内とは、例えば、目的地から「5分」程度で到着する距離などが用いられる。なお、所定の範囲内として、目的地から「5分」程度で到着する距離を例に示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、任意の値を用いて良い。
【0069】
また、例えば、水分量制御部404は、現在地を示す情報が、高速道路の休憩所へと続く道路であるかを判定することで、降車地点周辺であるかを判定する。そして、水分量制御部404は、降車地点周辺であると判定すると、除湿制御を実行する。なお、降車地点周辺として、高速道路の休憩所へと続く道路を例に示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、任意の値を用いて地点を用いて良い。
【0070】
以下では、図8を用いて、実施例2における水分量制御部404による処理について説明する。図8は、実施例2における水分量制御部による処理について説明する図である。図8において、701は、被験者が運転を開始した時点を示す。702は、一般道から高速道路への入り口を示す。703は、高速道路に設けられた休憩所を示す。704は、高速道路から一般道への出口を示す。705は、被験者の目的地を示す。701から702までの道路と、704から705までの道路とは、一般道である。702から704までの道路は高速道路である。「P1」〜「P14」は、それぞれ、道路上における任意の地点を示す。また、図8に示す例では、被験者は、高速道路の休憩所703に立ち寄った場合を例に説明する。図8において、ICは、インターチェンジ(Inter change)を示し、SAは、サービスエリアを示す。
【0071】
また、以下では、「P5」〜「P12」までの区間に渋滞がある場合を例に説明する。「P1」〜「P2」までの区間は、高速道路の入り口から所定距離離れた区間を示す。「P3」〜「P4」までの区間は、渋滞の最後尾から所定距離離れた区間を示す。「P6」〜「P7」までの区間は、渋滞に入ってから所定距離離れた区間を示す。「P8」〜「P9」までの区間は、休憩所703の入り口から所定距離にある区間を示す。「P10」〜「P11」までの区間は、休憩所703の出口から所定距離離れた区間を示す。「P13」〜「P14」までの区間は、目的地705から所定距離にある区間を示す。
【0072】
例えば、図8の「P1」〜「P2」において、水分量制御部404は、加湿制御を実行する。つまり、水分量制御部404は、一般道から高速道路への入り口702を経過した後、定常走行中となる地点と判定すると、加湿制御を実行する。また、例えば、図8の「P3」〜「P4」において、水分量制御部404は、加湿制御を実行する。つまり、水分量制御部404は、渋滞の最後尾を示す地点「P5」が所定の距離内に現在地があると判定すると、加湿制御を実行する。また、例えば、図8の「P6」〜「P7」において、水分量制御部404は、加湿制御を実行する。つまり、水分量制御部404は、渋滞に入った後定常航行中となる地点と判定すると、加湿制御を実行する。
【0073】
また、例えば、図8の「P8」〜「P9」において、水分量制御部404は、除湿制御を実行する。つまり、水分量制御部404は、高速道路の休憩所703へと続く道路が現在地であると判定すると、除湿制御を実行する。また、例えば、図8の「P10」〜「P11」において、水分量制御部404は、加湿制御を実行する。つまり、水分量制御部404は、高速道路の休憩所703を出て高速道路に戻った後、定常走行中となる地点と判定すると、加湿制御を実行する。
【0074】
また、例えば、図8の「P13」〜「P14」において、水分量制御部404は、除湿制御を実行する。つまり、水分量制御部404は、目的地から所定の範囲内に現在地があると判定すると、除湿制御を実行する。
【0075】
なお、水分量制御部404が、行方情報を位置情報取得部403から取得した場合について説明する。この場合、水分量制御部404は、行方情報によって示される運転開始地点から目的地までのルートのうち、いずれの箇所において加湿制御を実行し、いずれの箇所において除湿制御を実行するかを予め決定しても良い。つまり、図8に示す例を用いて説明すると、水分量制御部404は、運転開始地点701にて行方情報を取得すると、例えば、「P1」〜「P2」、「P6」〜「P7」、「P10」〜「P11」において加湿制御を実行すると予め決定しても良い。また、水分量制御部404は、「P8」〜「P9」、「P13」〜「P14」において、除湿制御を実行すると予め決定しても良い。また、水分量制御部404は、渋滞情報も併せて取得した場合には、更に、「P3」〜「P4」において加湿制御を実行すると予め決定しても良い。
【0076】
[水分量制御装置による処理]
次に、図9を用いて、実施例2に係る水分量制御装置200による処理の流れの一例について説明する。図9は、実施例2に係る水分量制御装置による処理の流れの一例について説明するフローチャートである。水分量制御装置200は、以下に説明する一連の処理を、例えば、位置情報を取得するごとに繰り返し実行し、又は、一定期間ごとに繰り返し実行する。
【0077】
図9に示すように、位置情報を取得すると(ステップS101肯定)、水分量制御部404は、加湿制御すべき地点に近づいたかを位置情報に基づいて判定する(ステップS102)。例えば、水分量制御部404は、車両が高速道路を走行中であったり、定常走行中となる地点であったり、渋滞の最後尾が近くにある地点であったりするかを判定する。ここで、水分量制御部404は、加湿制御すべき地点に近づいたと判定すると(ステップS102肯定)、加湿制御を実行する(ステップS103)。つまり、例えば、水分量制御部404は、水分添加部206によって添加される水分量が増加するように制御する。
【0078】
また、水分量制御部404は、加湿制御すべき地点に近づいたと判定しないと(ステップS102否定)、除湿制御すべき地点に近づいたかを位置情報に基づいて判定する(ステップS104)。例えば、水分量制御部404は、目的地の周辺であったり、降車地点周辺であったりするかを判定する。ここで、水分量制御部404は、除湿制御すべき地点に近づいたと判定すると(ステップS104肯定)、除湿制御を実行する(ステップS105)。つまり、例えば、水分量制御部404は、水分添加部206によって添加される水分量が減少するように制御する。
【0079】
また、水分量制御部404は、加湿制御すべき地点に近づいたと判定しないと(ステップS102否定)、除湿制御すべき地点に近づいたと判定しないと(ステップS104否定)、快適制御を実行する(ステップS106)。つまり、例えば、水分量制御部404は、接触部の湿り気を被験者が不快に感じない程度に維持する制御を実行する。
【0080】
なお、上記の処理手順は、上記の順番に限定されるものではなく、処理内容を矛盾させない範囲で適宜変更しても良い。例えば、上述のステップS102とS104とを入れ替えても良い。
【0081】
[実施例2の効果]
上述したように、実施例2によれば、水分量制御装置200は、送風部205と、水分添加部206とを有する。また、水分量制御装置200は、車両の現在地を示す位置情報に基づいて、水分添加部206によって添加される水分量を制御する水分量制御部404を有する。この結果、実施例2によれば、過不足なく加湿可能である。
【0082】
また、実施例2によれば、水分量制御装置200は、位置情報に基づいて車両が定常走行中となる地点であるか否かを判定し、定常走行中となる地点であると判定した場合に、水分添加部によって添加される水分量が増加するように制御するので、過不足なく加湿可能である。つまり、被験者の一例である車両のドライバが眠る可能性が高い定常走行中となる地点に、被験者が体を動かしたとしても、心電信号を識別可能である。
【0083】
また、実施例2によれば、水分量制御装置200は、位置情報取得部403を更に有する。そして、水分量制御装置200は、位置情報取得部403によって取得された目的地情報によって示される目的地から所定の範囲内に現在の位置情報によって示される位置があるかを判定する。そして、水分量制御装置200は、所定の範囲内にあると判定した場合に、水分添加部206によって添加される水分量が減少するように制御する。この結果、実施例2によれば、降車前に被験者を乾燥させることが可能である。
【0084】
例えば、車両が目的地周辺にあり、被験者が運転を終了する前であれば、被験者の生理状態を検出しなくても良い。ここで、車両が目的地周辺にあったとしても相対湿度を一定に制御する装置では、降車直前まで加湿制御が行われる結果、降車後に被験者を不快にさせていた。本発明によれば、目的地から所定の範囲内にある場合に、水分添加部によって添加される水分量を減少するように制御する結果、被験者の衣服を乾燥させることが可能である。この結果、降車後に被験者を不快にさせることを防止できる。
【実施例3】
【0085】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上記した実施例以外にも、その他の実施例にて実施されても良い。そこで、以下では、その他の実施例について説明する。
【0086】
[加湿制御時における送風処理]
また、例えば、水分量制御装置200は、加湿制御時に、被験者に対して乾燥した空気を併せて送風するように送風部205や水分添加部206を制御しても良い。すなわち、加湿制御時には、被験者の衣服がムレた状態になり、被験者が不快に感じる場合がある。このため、電極と被験者との接触部に対して加湿制御を実行する場合に、被験者の他の部位に対して乾燥した空気を送風することで、被験者が不快に感じることを防止しても良い。
【0087】
図10を用いて、乾燥した空気を加湿制御時に併せて送風する場合について説明する。図10は、乾燥した空気を加湿制御時に併せて送風する場合について説明する図である。図10の711〜715は、それぞれ、送風口を示す。図10の711〜713は、電極と被験者との接触部からは外れた位置にある送風口である。また、図10の714と715とは、電極と被験者との接触部に位置する送風口である。この場合、水分量制御部404は、加湿制御時に、送風部205が、送風口711〜713については、乾燥した空気を送風するように制御し、送風口714〜715については、加湿した空気を送風するように制御しても良い。
【0088】
[一部分に対して強く加湿]
また、例えば、水分量制御部404は、加湿制御開始時に、電極と接触した被験者の衣服の一部分に対して、他の部分と比較して強く加湿しても良い。図11を用いて、電極と接触した被験者の衣服の一部分に対して強く加湿する場合について説明する。図11は、電極と接触した被験者の衣服の一部分に対して強く加湿する場合について説明する図である。図11に示す例では、図11の720の部分に対して、加湿制御開始時に強く加湿する場合を例に示した。
【0089】
この結果、加湿制御開始直後であっても、図11の720の部分において電位差信号を測定することで、速やかに、ノイズ強度が減少した電位差信号を速やかに測定可能である。
【0090】
[システム構成]
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともできる。例えば、図9において、目的地情報が被験者によって入力されても良い。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については(図1〜図11)、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0091】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、図2に示す例を用いて説明すると、ハンドル電極201やシート上部電極202を水分量制御装置200の外部装置としてネットワーク(無線LAN(Local Area Network)など)経由で接続されて協働するようにしても良い。
【0092】
また、例えば、図2に示す例では、水分量制御装置200は、電位差測定部401や拍識別部402を有する場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、水分量制御装置200は、電位差測定部401や拍識別部402を有さなくても良い。この場合、水分量制御装置200は、送風部205と水分添加部206と入出力インターフェイス部207とを有し、水分量制御装置200の制御部400が、位置情報取得部403と水分量制御部404とを有する。
【0093】
[コンピュータ]
また、上記の実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図12を用いて、上記の実施例と同様の機能を有する水分量制御プログラムを実行するコンピュータの一例について説明する。なお、図12は、実施例2に係る水分量制御プログラムを実行するコンピュータの一例について説明する図である。
【0094】
図12に示すように、実施例2におけるコンピュータ3000は、入出力インターフェイス3001、通信部3006、CPU3010、ROM3011を有する。また、コンピュータ3000は、HDD(Hard Disk Drive)3012、RAM(Random Access Memory)3013を有する。また、コンピュータ3000は、各部がバス3009で接続される。また、コンピュータ3000は、入出力インターフェイス3001を介して、電位測定装置4001と送風装置4002と、水分添加装置4003と、ナビゲーション装置4004と接続される。なお、電位測定装置4001と送風装置4002と水分添加装置4003とナビゲーション装置4004とは、それぞれ、図2に示す例では、電位測定部204と送風部205と水分添加部206とナビゲーション装置150とに対応する。
【0095】
ROM3011は、上記の実施例2で示した電位差測定部401と、拍識別部402と、位置情報取得部403と、水分量制御部404と同様の機能を発揮する制御プログラムを予め記憶する。つまり、図12に示すように、ROM3011は、電位差測定プログラム3011aと、拍識別プログラム3011bと、位置情報取得プログラム3011cと、水分量制御プログラム3011dとを予め記憶する。なお、これらのプログラム3011a〜3011dについては、図2に示した水分量制御装置200の各構成要素と同様、適宜統合又は分離しても良い。
【0096】
そして、CPU3010が、これらのプログラム3011a〜3011dをROM3011から読み出して実行する。この結果、図12に示すように、各プログラム3011a〜3011dは、電位差測定プロセス3010aと、拍識別プロセス3010bと、位置情報取得プロセス3010cと、水分量制御プロセス3010dとして機能する。なお、各プロセス3010a〜3010dは、図2に示した、電位差測定部401と、拍識別部402と、位置情報取得部403と、水分量制御部404とにそれぞれ対応する。
【0097】
そして、CPU3010は、RAM3013に格納された電位差信号データ3013aと、位置情報データ3013bと、目的地情報データ3013cと、地図情報データ3013dと、渋滞情報データ3013eとを用いて、水分量制御プログラムを実行する。
【0098】
[その他]
なお、本実施例で説明した水分量制御プログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、水分量制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【符号の説明】
【0099】
100 水分量制御装置
101 送風部
102 水分添加部
103 位置情報取得部
104 水分量制御部
150 ナビゲーション装置
200 水分量制御装置
201 ハンドル電極
202 シート上部電極
203 シート下部電極
204 電位測定部
205 送風部
206 水分添加部
207 入出力インターフェイス部
300 記憶部
400 制御部
401 電位差測定部
402 拍識別部
403 位置情報取得部
404 水分量制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた電極と被験者とが電気的に接触する接触部に送風する送風部と、
前記送風部によって送風される空気中に水分を添加する水分添加部と、
前記車両の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報取得部によって取得された位置情報に基づいて、前記水分添加部によって添加される水分量を制御する水分量制御部と
を備えたことを特徴とする水分量制御装置。
【請求項2】
前記水分量制御部は、前記位置情報に基づいて前記車両が定常走行中であるか否かを判定し、定常走行中であると判定した場合に、前記水分添加部によって添加される水分量が増加するように制御することを特徴とする請求項1に記載の水分量制御装置。
【請求項3】
前記車両の目的地を示す目的地情報を取得する目的地取得部を更に備え、
前記水分量制御部は、前記目的地取得部によって取得された目的地情報によって示される目的地から所定の範囲内に現在の前記位置情報によって示される位置があるかを判定し、所定の範囲内にあると判定した場合に、前記水分添加部によって添加される水分量が減少するように制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の水分量制御装置。
【請求項4】
車両の位置情報を取得する取得手順と、
前記車両の現在地を示す位置情報に基づいて、前記車両に設けられた電極と被験者とが電気的に接触する接触部に送風される空気中に水分を添加する水分添加部を制御し、前記水分添加部によって添加される水分量を制御する水分量制御手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とする水分量制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−111145(P2011−111145A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272412(P2009−272412)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】