説明

水性樹脂組成物およびその製造方法

【課題】ポリオレフィン基材に対して付着性が良好で、各種極性樹脂との相溶性が良好で、且つ有機溶剤を含有しない、塗料、インキ、接着剤、シール剤あるいはプライマー用の水性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】酸変性ポリオレフィン100質量部と界面活性剤5〜60質量部を重合性単量体15〜1900質量部に溶解し、塩基性化合物の存在下に水を加えて転相乳化させた後、該重合性単量体を重合して得られる水性樹脂組成物;ならびに、酸変性ポリオレフィン100質量部と界面活性剤5〜60質量部を第1の重合性単量体に溶解し、塩基性化合物の存在下に水を加えて転相乳化させた後、該第1の重合性単量体を重合して樹脂組成物とし、次いで該樹脂組成物に第2の重合性単量体を加え、該第2の重合性単量体を重合して得られる水性樹脂組成物であって、酸変性ポリオレフィン100質量部に対して、第1および第2の重合性単量体を合計で15〜1900質量部用いて得られる水性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン基材の保護や美観のために用いられる水性樹脂組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンプロピレン共重合体、エチレンプロピレンジエン共重合体、ポリ4−メチル−1−ペンテン等のポリオレフィン系樹脂は、比較的安価で、優れた性能、例えば、耐薬品性、耐水性、耐熱性等を有し、自動車部品、電気部品、建築資材、包装用フィルム等の材料として広い分野で使用されている。しかしながら、ポリオレフィン系樹脂は、結晶性で且つ非極性であるが故に、塗装や接着を施すことが困難である。
【0003】
このような難接着性なポリオレフィン系樹脂の塗装や接着には、ポリオレフィン系樹脂に対して強い付着力を有する塩素化ポリオレフィンが、従来よりバインダー樹脂として使用されている(特許文献1、特許文献2参照)。また、塩素化ポリオレフィンの欠点を補うために、塩素化ポリオレフィンとアクリル、ウレタン、ポリエステル樹脂とを混合するか、または塩素化ポリオレフィンにこれらの樹脂をグラフト重合させて、バインダー組成物とし、塗装や接着を施している(特許文献3、特許文献4参照)。
【0004】
しかしながら、これらのバインダー組成物は、そのほとんどがトルエン、キシレン等の有機溶剤に溶解した形で使用され、塗装時に大量の有機溶剤が大気中に放出されるので、環境面や衛生面等において好ましくない。また、これらのバインダー組成物は、塩素原子を含有するために、焼却に伴う有害物質発生等の観点からも好ましくない。
【0005】
そこで、有機溶剤を含まず、樹脂中に塩素を含有しない水性樹脂組成物が提案されている(特許文献5、特許文献6参照)。しかしながら、これらの組成物では、エマルション製造工程において長時間の脱溶剤工程を含む場合があり、コスト高となるという問題がある。また、ポリオレフィン系樹脂自体が極性の低いものであり、アクリル、ウレタン、エポキシ、ポリエステル樹脂と混合して用いる場合には、相溶し難いために、期待する物性が発現しないという問題がある。
【特許文献1】特開昭59−75958号公報
【特許文献2】特開昭60−99138号公報
【特許文献3】特開平6−16746号公報
【特許文献4】特開平8−12913号公報
【特許文献5】特開平6−256592号公報
【特許文献6】特開2004−107539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、ポリオレフィン基材に対して付着性が良好で、各種極性樹脂との相溶性が良好で、且つ有機溶剤を含有しない、塗料、インキ、接着剤、シール剤あるいはプライマー用の水性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記に示すとおりの水性樹脂組成物、その製造方法、塗料、インキ、接着剤、シール剤およびプライマーを提供するものである。
項1. 酸変性ポリオレフィン100質量部と界面活性剤5〜60質量部を重合性単量体15〜1900質量部に溶解し、塩基性化合物の存在下に水を加えて転相乳化させた後、該重合性単量体を重合して得られる水性樹脂組成物。
項2. 酸変性ポリオレフィン100質量部と界面活性剤5〜60質量部を第1の重合性単量体に溶解し、塩基性化合物の存在下に水を加えて転相乳化させた後、該第1の重合性単量体を重合して樹脂組成物とし、次いで該樹脂組成物に第2の重合性単量体を加え、該第2の重合性単量体を重合して得られる水性樹脂組成物であって、酸変性ポリオレフィン100質量部に対して、第1および第2の重合性単量体を合計で15〜1900質量部用いて得られる水性樹脂組成物。
項3. 酸変性ポリオレフィンの高温GPC測定による重量平均分子量が3000〜200000である項1または2に記載の水性樹脂組成物。
項4. 酸変性ポリオレフィンが、ポリオレフィンに対し、不飽和カルボン酸およびその酸無水物から選択される少なくとも1種を0.4〜10質量%グラフト共重合してなる項1〜3のいずれかに記載の水性樹脂組成物。
項5. 項1〜4のいずれかに記載の水性樹脂組成物を有効成分とするポリオレフィンフィルム、シートまたは成形物用の塗料。
項6. 項1〜4のいずれかに記載の水性樹脂組成物を有効成分とするポリオレフィンフィルム、シートまたは成形物用のインキ。
項7. 項1〜4のいずれかに記載の水性樹脂組成物を有効成分とするポリオレフィンフィルム、シートまたは成形物用の接着剤。
項8. 項1〜4のいずれかに記載の水性樹脂組成物を有効成分とするポリオレフィンフィルム、シートまたは成形物用のシール剤。
項9. 項1〜4のいずれかに記載の水性樹脂組成物を有効成分とするポリオレフィン基材塗装用のプライマー。
項10. 酸変性ポリオレフィン100質量部と界面活性剤5〜60質量部を重合性単量体15〜1900質量部に溶解し、塩基性化合物の存在下に水を加えて転相乳化させた後、該重合性単量体を重合する水性樹脂組成物の製造方法。
項11. 酸変性ポリオレフィン100質量部と界面活性剤5〜60質量部を第1の重合性単量体に溶解し、塩基性化合物の存在下に水を加えて転相乳化させた後、該第1の重合性単量体を重合して樹脂組成物とし、次いで該樹脂組成物に第2の重合性単量体を加え、該第2の重合性単量体を重合する水性樹脂組成物の製造方法であって、酸変性ポリオレフィン100質量部に対して、第1および第2の重合性単量体を合計で15〜1900質量部用いる水性樹脂組成物の製造方法。
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明の水性樹脂組成物は、酸変性ポリオレフィンと界面活性剤を重合性単量体に溶解し、塩基性化合物の存在下に水媒体中で転相乳化させた後、該重合性単量体を重合して得られる。さらに、引き続いて第2の重合性単量体を加え、該第2の重合性単量体を重合して得ることもできる。
【0010】
本発明に用いられる酸変性ポリオレフィンは、例えば、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体、ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、ポリ1−ブテンおよび1−ブテン−α−オレフィン共重合体から選ばれる少なくとも1種のポリオレフィンに、α,β−不飽和カルボン酸およびその酸無水物から選ばれる少なくとも1種をグラフト共重合して得られる。
【0011】
ここで、プロピレン−α−オレフィン共重合体とは、プロピレンを主体としてこれとα−オレフィンを共重合したものである。α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、4−メチル−1−ペンテンなどの、炭素原子数2または5〜20のα−オレフィンが挙げられる。プロピレン−α−オレフィン共重合体におけるプロピレン成分の含有量は、50モル%以上であることが好ましい。プロピレン成分の含有量が50モル%未満であると、ポリプロピレン基材に対する密着性が悪くなる。
【0012】
エチレン−α−オレフィン共重合体とは、エチレンを主体としてこれとα−オレフィンを共重合したものである。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、4−メチル−1−ペンテンなどの、炭素原子数3〜20のα−オレフィンが挙げられる。エチレン−α−オレフィン共重合体におけるエチレン成分の含有量は、75モル%以上であることが好ましい。エチレン成分の含有量が75モル%未満であると、ポリエチレン基材に対する密着性が悪くなる。
【0013】
1−ブテン−α−オレフィン共重合体とは、1−ブテンを主体としてこれとα−オレフィンを共重合したものである。α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、4−メチル−1−ペンテンなどの、炭素原子数2または5〜20のα−オレフィンが挙げられる。1−ブテン−α−オレフィン共重合体における1−ブテン成分の含有量は、65モル%以上であることが好ましい。1−ブテン成分の含有量が65モル%未満であると、ポリプロピレン基材やポリ1−ブテン基材に対する密着性が悪くなる。
【0014】
ポリオレフィンにグラフト共重合するα,β−不飽和カルボン酸およびその酸無水物としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、無水ハイミック酸等が挙げられる。これらの中でも無水マレイン酸、無水イタコン酸が好ましい。
【0015】
酸変性ポリオレフィンにおけるα,β−不飽和カルボン酸成分およびその酸無水物成分の含有量は0.4〜10質量%であるのが好ましい。10質量%を超えると、樹脂の親水性が高くなり、目的組成物から得られる塗膜の耐水性が悪化するおそれがある。一方、0.4質量%未満であると、転相乳化が困難となるおそれがある。
【0016】
ポリオレフィンに、α,β−不飽和カルボン酸およびその酸無水物から選ばれる少なくとも1種をグラフト共重合する方法としては、ラジカル発生剤の存在下で該ポリオレフィンを融点以上に加熱溶融して反応させる方法(溶融法)、該ポリオレフィンを有機溶剤に溶解させた後にラジカル発生剤の存在下に加熱撹拌して反応させる方法(溶液法)などの公知の方法が挙げられる。
【0017】
本発明に用いられる酸変性ポリオレフィンの高温GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定による重量平均分子量は、3000〜200000であるのが好ましい。200000を超えると、重合性単量体に対する酸変性ポリオレフィンの溶解が困難となり、転相乳化がうまく行えないおそれがある。一方、3000未満であると、樹脂の凝集力が不足するため、物性が悪くなるおそれがある。
【0018】
なお、高温GPCによる重量平均分子量の測定は、オルトジクロロベンゼンを溶媒とし、ポリスチレンを標準物質として、市販の装置を用いて、公知の方法で行うことができる。具体的には、溶媒としてオルトジクロロベンゼンを用い、140℃にてウォータース(Waters)社製のGPC150−Cプラス型を用いて測定する。カラムには東ソー社製のGMH6−HT、GMH6−HTLを用いる。重量平均分子量は、分子量既知のポリスチレンを標準物質として算出する。
【0019】
本発明で用いられる界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤および両性界面活性剤が挙げられる。このうち、分散粒子の粒子径、および目的組成物から得られる塗膜の耐水性の観点から、ノニオン性界面活性剤やアニオン性界面活性剤を用いるのが好ましく、ノニオン性界面活性剤を用いるのがより好ましい。
【0020】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシプロピレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルアミンエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテル、ポリオキシプロピレンラノリンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレンラノリン脂肪酸エステル、(ポリオキシエチレンオキシプロピレン)ブロックコポリマー等が挙げられる。
【0021】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級アルキル硫酸エステル類、アルキルアリールポリオキシエチレン硫酸エステル塩類、高級脂肪酸塩類、アルキルアリールスルフォン酸塩類、アルキルリン酸エステル塩類等が挙げられる。
【0022】
また、これら界面活性剤として、分子中に重合性二重結合を有する反応性界面活性剤を用いることもできる。その一例としては、アデカリアソープNE−10、NE−20、NE−30、NE−40、SE−10N(以上、旭電化工業株式会社製)、アクアロンRN−20、RN−30、RN−50、HS−10、HS−20(以上、第一工業製薬株式会社製)、エレミノールJS−2、エレミノールRS−30(以上、三洋化成工業株式会社製)等が挙げられる。
【0023】
これら界面活性剤は、1種単独または2種以上を混合して用いることができる。
【0024】
本発明で使用される界面活性剤は、酸変性ポリオレフィン100質量部に対して、5〜60質量部用いる。5質量部未満であると、転相乳化が困難となる。一方、60質量部を超えると、目的組成物の耐水性が悪化する。
【0025】
本発明で使用される重合性単量体としては、上記の酸変性ポリオレフィンを溶解できるものであれば特に限定されない。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキサンメチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のアクリル系単量体、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系単量体が挙げられる。さらに、上記以外に併用し得るモノマー類としては、酢酸ビニル等が挙げられる。これら単量体は、1種単独または2種以上を混合して用いることができる。
【0026】
また、アクリル系単量体の中でも酸成分を代表とする分子内に極性基を有する単量体、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの重合性単量体は、酸変性ポリオレフィンを溶解させ難い単量体に属するので、これらの単量体を用いる場合は、上記溶解させ易い単量体と適宜混合して使用するのが良い。
【0027】
本願において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレートまたはメタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸またはメタクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリロイル基」は「アクリロイル基またはメタクリロイル基」を意味する。
【0028】
本発明に使用される重合性単量体は、酸変性ポリオレフィン100質量部に対して、15〜1900質量部用いる。15質量部未満であると、酸変性ポリオレフィンの溶解が困難となり、転相乳化がうまく行えない。一方、1900質量部を超えると、酸変性ポリオレフィンの含有量が少ないために、目的組成物のポリオレフィン基材への密着性が不足する。
【0029】
本発明において、酸変性ポリオレフィンを転相乳化させる際には塩基性化合物が必要である。これを系内に存在させることにより、酸変性ポリオレフィンの分散性を向上させることが可能となる。塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム等の無機塩基性化合物類、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール等のアミン類、アンモニア等が挙げられる。
【0030】
塩基性化合物の添加量は、酸変性ポリオレフィンのカルボキシル基に対して、0.3〜4.0倍化学当量が好ましく、0.7〜2.5倍化学当量がより好ましい。0.3倍化学当量未満であると、塩基性化合物が存在する効果が見られないおそれがある。一方、4.0倍化学当量を超えると、目的組成物の乾燥物中における残存量が多くなりすぎるおそれがある。
【0031】
本発明において、転相乳化は、酸変性ポリオレフィンと界面活性剤を重合性単量体に溶解した溶液に、塩基性化合物の存在下に、撹拌下で水を滴下することにより行われる。滴下当初は、酸変性ポリオレフィンと重合性単量体からなる油相が連続相である(W/O型)が、滴下を続けていくと、水が連続相となり、酸変性ポリオレフィンと重合性単量体からなる油相が分散相となる(O/W型)。すなわち、連続相と分散相が逆転(転相)して、しかも分散相が微粒子となる。この微粒子化後、重合性単量体を重合することにより、最終的な水性分散液の形態を成す。このような本発明の分散方法では、有機溶剤を一切使用していないので、脱溶剤工程の必要がなく、しかも分散に関する特殊な装置も必要ない。
【0032】
酸変性ポリオレフィンを転相乳化する際に添加する水の量は、重合性単量体が重合した後の最終固形分含有量が15〜50質量%の範囲になるような量が好ましい。15質量%未満であると、目的組成物を乾燥させるのに高温、長時間が必要となるおそれがある。一方、50質量%を超えると、転相乳化が困難となるおそれがある。
【0033】
酸変性ポリオレフィンを転相乳化させた後、乳化液に含まれる重合性単量体を重合させるが、重合反応を効率よく進めるために重合開始剤を用いる。重合開始剤としては、通常の乳化重合でよく用いられる重合開始剤を慣用量で用いるのが好ましい。このような重合開始剤の例として、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素;4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等のアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系開始剤等が挙げられる。これらは、1種単独または2種以上を混合して用いることができる。また、レドックス系開始剤も使用可能であり、その例としては、上記の重合開始剤と還元剤(例えば、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、コバルト、鉄、銅などの低次のイオン価の塩)の組み合わせからなるものが挙げられる。
【0034】
重合条件は、使用する重合性単量体や重合開始剤の種類により一概に特定できないが、重合温度は通常20〜100℃、好ましくは50〜80℃である。また、重合時間は一般に1〜8時間である。重合を速やかに進行させるためには、重合系内の雰囲気を窒素ガスのような不活性ガスで置換しておくことが好ましい。
【0035】
本発明の水性樹脂組成物における樹脂粒子は、上記のように重合性単量体による酸変性ポリオレフィンの溶解、次いで重合性単量体の重合を経て製造され、樹脂粒子の中心部に酸変性ポリオレフィン、該中心部の周りに重合性単量体の重合体が存在する。
【0036】
一方、このようにして得られた樹脂組成物に、さらに第2の重合性単量体を添加して重合することにより、重合性単量体から得られる重合体の含有量を多くしても良い。この方法では、酸変性ポリオレフィンに対する重合性単量体成分の割合を多くできるという利点や、重合時に大きな発熱を伴うような場合には発熱を分散できるという利点がある。さらには、酸変性ポリオレフィンの溶解に用いる第1の重合性単量体と、後から添加する第2の重合性単量体とが異なる場合には、樹脂粒子に多様な機能を付与することが可能となる。ここで使用する第2の重合性単量体の具体例としては、酸変性ポリオレフィンの溶解に用いる第1の重合性単量体と同様のものが挙げられる。また、この方法では、酸変性ポリオレフィンを溶解し難い単量体でも、第2の重合性単量体として用いることができる。その使用量は、酸変性ポリオレフィン100質量部に対して、第1および第2の重合性単量体の合計が15〜1900質量部である。その内訳は、酸変性ポリオレフィン100質量部に対して、第1の重合性単量体が14.5〜300質量部、第2の重合性単量体が0.5〜1600質量部であるのが好ましい。
【0037】
上記のようにして得られる水性樹脂組成物における樹脂粒子の平均粒子径は、0.5μm以下であるのが好ましく、0.2μm以下であるのがより好ましい。平均粒子径が0.5μmを超えると、塗装後の塗膜中に欠損が生じる可能性があり、諸物性に悪影響を及ぼし、特にトップコート塗料に使用し難くなるので、好ましくない。
【0038】
本発明の水性樹脂組成物は、そのままでもクリヤーワニスとして使用可能であるが、さらなる塗膜性能、例えば、造膜性、塗膜硬度、耐候性、柔軟性等の改質を目的として、ポリオレフィン基材に対する付着性を阻害しない程度に、種々の塗料用添加剤や他の樹脂エマルションをブレンドして使用できる。例えば、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルプロピレンジグリコール等の造膜助剤、消泡剤、たれ止め剤、濡れ剤、紫外線吸収剤等を使用できる。特に、アクリル系エマルションやウレタン系エマルションをブレンドして使用することにより、耐候性、耐水性、塗膜強度、柔軟性等の塗膜性能を高めることができる。
【0039】
さらに、本発明の水性樹脂組成物には、粘着付与剤、例えば、ロジン、ダンマル、重合ロジン、水添ロジン、エステルロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、ポリテルペン系樹脂、石油系樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、クマロンインデン系樹脂等の水系分散液を、必要に応じて適宜添加することができ、これにより塗膜の乾燥性やポリオレフィン基材に対する付着性を改善できる。添加量としては、樹脂組成物の固形分100質量部に対して、分散液中の固形分5〜100質量部であるのが好ましく、10〜50質量部であるのがより好ましい。添加量が5質量部未満の場合、添加効果が現れないというおそれがある。一方、100質量部を超えると、添加量が多すぎて逆に付着性の低下が起こるおそれがある。
【0040】
本発明の水性樹脂組成物は、ポリプロピレンを始めとする種々のポリオレフィン基材用の塗料等に好適に用いることができるが、これらの基材に限定されるものではなく、例えば、その他のプラスチック、木材、金属等にも塗装することができる。塗装方法に特別な制限はない。また、塗装後の塗膜の乾燥は常温で行っても良いが、30〜120℃で乾燥させるのが好ましく、60〜100℃で乾燥させるのがより好ましい。
【発明の効果】
【0041】
本発明の水性樹脂組成物においては、含有されている樹脂粒子が微粒子状に分散しているので、本発明の水性樹脂組成物は貯蔵安定性に優れ、本発明の水性樹脂組成物を用いた水性塗料は、ポリオレフィン基材に対して優れた密着性を有する。
【0042】
また、本発明の水性樹脂組成物の製造方法においては、有機溶剤を用いないので脱溶剤工程の必要がない。よって、工業的に優れたコストパフォーマンスを示す。
【0043】
本発明の水性樹脂組成物は、フィルム、シート、成形物等のポリオレフィン基材に対して優れた付着性を示すと共に、耐水性、耐薬品性にも優れた塗膜を形成することができるので、塗料、インキ、接着剤、シール剤、プライマー用の水性樹脂組成物として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0045】
以下において、高温GPCによる重量平均分子量の測定は、溶媒としてオルトジクロロベンゼンを用い、140℃にてウォータース(Waters)社製のGPC150−Cプラス型を用いて行った。カラムには東ソー社製のGMH6−HT、GMH6−HTLを用いた。重量平均分子量は、分子量既知のポリスチレンを標準物質として算出した。
【0046】
また、平均粒子径の測定には、レーザー回折式粒径分布測定機として、島津製作所製のSALD−2000Aを用いた。
【0047】
製造例1
ポリプロピレン280g、無水マレイン酸25g、ジクミルパーオキサイド7gおよびトルエン420gを、撹拌機を取り付けたオートクレーブ中に加え、窒素置換を約5分間行った後、加熱撹拌しながら140℃で5時間反応を行った。反応終了後、反応液を大量のメチルエチルケトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにメチルエチルケトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した。得られた樹脂を減圧乾燥することにより、酸変性ポリオレフィンの固形物を得た。赤外吸収スペクトルの測定結果から、無水マレイン酸成分とマレイン酸成分の合計の含有量は1.5質量%であった。また、高温GPC測定による重量平均分子量は83000であった。
【0048】
製造例2
プロピレン・エチレン共重合体(エチレン成分含有量=5.9モル%)280g、無水マレイン酸12g、ジーtert―ブチルパーオキサイド5.6gおよびトルエン420gを用いた以外は製造例1と同様の方法により、酸変性ポリオレフィンの固形物を得た。赤外吸収スペクトルの測定結果から、無水マレイン酸成分とマレイン酸成分の合計の含有量は0.9質量%であった。また、高温GPC測定による重量平均分子量は154000であった。
【0049】
製造例3
プロピレン・エチレン共重合体(エチレン成分含有量=50モル%)280g、無水マレイン酸70g、ジーtert―ブチルパーオキサイド5.6gおよびトルエン420gを用いた以外は製造例1と同様の方法により、酸変性ポリオレフィンの固形物を得た。赤外吸収スペクトルの測定結果から、無水マレイン酸成分とマレイン酸成分の合計の含有量は5.1質量%であった。また、高温GPC測定による重量平均分子量は45000であった。
【0050】
実施例1(水性樹脂組成物(a)の製造)
冷却器、温度計、撹拌機および滴下ロートを備えた2リットル4つ口フラスコに、製造例1で得られた酸変性ポリオレフィン75g、メチルメタクリレート105g、n−ブチルアクリレート105g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15gおよびポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(第一工業製薬株式会社製、商品名「ノイゲンEA−197」、ノニオン性界面活性剤)18gを仕込み、100℃に保った状態で十分溶解させた。この溶液にN,N−ジメチルエタノールアミン1.2gを加え、15分間撹拌した。次に、激しく撹拌した状態下に、あらかじめ95℃に加温しておいた脱イオン水710gを滴下ロートから30分かけて滴下し、酸変性ポリオレフィンを転相乳化させた。この乳化液を80℃まで冷却した後、窒素を流入することにより系内を十分に窒素置換した。次に、過硫酸アンモニウム0.9gを脱イオン水30gに溶解させた水溶液を、80℃に保った状態で添加し、窒素気流下で重合を開始した。窒素気流下で80℃で8時間反応させ、その後に冷却することにより、樹脂濃度(固形分)が30質量%、樹脂粒子の平均粒子径が0.13μmの水性樹脂組成物(a)を得た。
【0051】
実施例2(水性樹脂組成物(b)の製造)
各成分の量を表1の組成に変更したこと以外は実施例1と同様の方法により、樹脂濃度(固形分)が30質量%、樹脂粒子の平均粒子径が0.11μmの水性樹脂組成物(b)を得た。
【0052】
実施例3(水性樹脂組成物(c)の製造)
各成分の量を表1の組成に変更したこと以外は実施例1と同様の方法により、樹脂濃度(固形分)が30質量%、樹脂粒子の平均粒子径が0.15μmの水性樹脂組成物(c)を得た。
【0053】
実施例4(水性樹脂組成物(d)の製造)
冷却器、温度計、撹拌機および滴下ロートを備えた2リットル4つ口フラスコに、製造例2で得られた酸変性ポリオレフィン15g、シクロヘキシルメタクリレート45gおよびポリオキシエチレンラウリルエーテル(第一工業製薬株式会社製、商品名「DKS NL−180」、ノニオン性界面活性剤)9gを仕込み、100℃に保った状態で十分溶解させた。この溶液にN,N−ジメチルエタノールアミン0.2gを加え、15分間撹拌した。次に、激しく撹拌した状態下に、あらかじめ95℃に加温しておいた脱イオン水700gを滴下ロートから30分かけて滴下し、酸変性ポリオレフィンを転相乳化させた。この乳化液を80℃まで冷却した後、窒素を流入することにより系内を十分に窒素置換した。次に、過硫酸アンモニウム0.8gを脱イオン水20gに溶解させた水溶液を、80℃に保った状態で添加し、窒素気流下で重合を開始した。窒素気流下で80℃で3時間反応させた後、n−ブチルアクリレート210g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20gおよびメタクリル酸10gの混合物を滴下ロートから2時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃でさらに4時間反応させた後に冷却することにより、樹脂濃度(固形分)が30質量%、樹脂粒子の平均粒子径が0.18μmの水性樹脂組成物(d)を得た。
【0054】
比較例1(水性樹脂組成物(e)の製造)
各成分の量を表1の組成に変更したこと以外は実施例1と同様の方法により、樹脂濃度(固形分)が30質量%、樹脂粒子の平均粒子径が0.09μmの水性樹脂組成物(e)を得た。
【0055】
比較例2(水性樹脂組成物(f)の製造)
各成分の量を表1の組成に変更したこと以外は実施例1と同様の方法により、水性樹脂組成物(f)の製造を試みた。しかしながら、酸変性ポリオレフィンに対する重合性単量体の量が少ないために、酸変性ポリオレフィンの溶解が不十分となり、転相乳化が行えなかった。
【0056】
表1における各記号の意味は、以下の通りである。MMA:メチルメタクリレート、n−BA:n−ブチルアクリレート、CHMA:シクロヘキシルメタクリレート、2−HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート、MAA:メタクリル酸。
【0057】
【表1】

上記実施例1〜4および比較例1で得た水性樹脂組成物(a)〜(e)を用いて、以下の特性について評価した。その結果を表2に示す。
【0058】
(1)密着性
水性樹脂組成物100gに、造膜助剤としてジプロピレングリコールモノメチルエーテル3g、濡れ剤として「サーフィノール420」(エアープロダクツジャパン株式会社製)1gを添加し、マグネチックスターラーで30分間撹拌した。このエマルションを、イソプロピルアルコールで洗浄したポリプロピレン板(三井ノーブレン社製「SB−E3」を定法によりプレス成形したもの、100mm×50mm、厚さ2mm)に、乾燥塗膜厚が20〜25μmとなるようにスプレー塗装した。60℃で30分乾燥後、25℃×60%RHの雰囲気下に24時間放置し、これを試験板とした。この試験板に1mm間隔で素地に達する100個のマス目を作り、その上にセロハンテープを圧着させて塗面に対して90度の角度で引き剥がし、マス目の残存数を調べた。
【0059】
(2)耐水性
上記(1)の方法で得られる試験板を40℃の温水に240時間浸漬した後、上記(1)と同様の方法で評価した。
【0060】
(3)貯蔵安定性
水性樹脂組成物80gを容量100mlの容器に入れて密封し、50℃の雰囲気下に2週間放置し、その粘度変化を下記の評価基準で評価した。
○:わずかに増粘(初期粘度に対して2倍未満の粘度)、×:増粘(初期粘度に対して2倍以上の粘度)。
【0061】
(4)他の樹脂との相溶性
水性樹脂組成物に対して、「スーパーフレックス150HS」(第一工業製薬株式会社製ポリウレタンエマルション、固形分38質量%)または「プライマル2133」(ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社製アクリルエマルション、固形分41.5質量%)を、それぞれ固形分が1:1の質量比になるように混合したものを、ガラス板に50μmアプリケーターで塗布し、80℃で30分間乾燥した。乾燥後のガラス板の状態を目視で観察し、下記の評価基準で評価した。
○:塗膜が透明、×:塗膜に濁りが発生。
【0062】
【表2】

[表2の結果の考察]
表2から明らかなように、上記実施例1〜4で得た水性樹脂組成物(a)〜(d)は、良好な密着性を示すとともに、耐水性、貯蔵安定性、および他の樹脂との相溶性にも優れている。これに対し、酸変性ポリオレフィンと重合性単量体との比が本発明の範囲外で、酸変性ポリオレフィンの量が少ない水性樹脂組成物(e)は、密着性や耐水性に劣る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸変性ポリオレフィン100質量部と界面活性剤5〜60質量部を重合性単量体15〜1900質量部に溶解し、塩基性化合物の存在下に水を加えて転相乳化させた後、該重合性単量体を重合して得られる水性樹脂組成物。
【請求項2】
酸変性ポリオレフィン100質量部と界面活性剤5〜60質量部を第1の重合性単量体に溶解し、塩基性化合物の存在下に水を加えて転相乳化させた後、該第1の重合性単量体を重合して樹脂組成物とし、次いで該樹脂組成物に第2の重合性単量体を加え、該第2の重合性単量体を重合して得られる水性樹脂組成物であって、酸変性ポリオレフィン100質量部に対して、第1および第2の重合性単量体を合計で15〜1900質量部用いて得られる水性樹脂組成物。
【請求項3】
酸変性ポリオレフィンの高温GPC測定による重量平均分子量が3000〜200000である請求項1または2に記載の水性樹脂組成物。
【請求項4】
酸変性ポリオレフィンが、ポリオレフィンに対し、不飽和カルボン酸およびその酸無水物から選択される少なくとも1種を0.4〜10質量%グラフト共重合してなる請求項1〜3のいずれかに記載の水性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の水性樹脂組成物を有効成分とするポリオレフィンフィルム、シートまたは成形物用の塗料。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の水性樹脂組成物を有効成分とするポリオレフィンフィルム、シートまたは成形物用のインキ。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の水性樹脂組成物を有効成分とするポリオレフィンフィルム、シートまたは成形物用の接着剤。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれかに記載の水性樹脂組成物を有効成分とするポリオレフィンフィルム、シートまたは成形物用のシール剤。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれかに記載の水性樹脂組成物を有効成分とするポリオレフィン基材塗装用のプライマー。
【請求項10】
酸変性ポリオレフィン100質量部と界面活性剤5〜60質量部を重合性単量体15〜1900質量部に溶解し、塩基性化合物の存在下に水を加えて転相乳化させた後、該重合性単量体を重合する水性樹脂組成物の製造方法。
【請求項11】
酸変性ポリオレフィン100質量部と界面活性剤5〜60質量部を第1の重合性単量体に溶解し、塩基性化合物の存在下に水を加えて転相乳化させた後、該第1の重合性単量体を重合して樹脂組成物とし、次いで該樹脂組成物に第2の重合性単量体を加え、該第2の重合性単量体を重合する水性樹脂組成物の製造方法であって、酸変性ポリオレフィン100質量部に対して、第1および第2の重合性単量体を合計で15〜1900質量部用いる水性樹脂組成物の製造方法。

【公開番号】特開2006−36920(P2006−36920A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−218797(P2004−218797)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(000222554)東洋化成工業株式会社 (52)
【Fターム(参考)】